ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 C03C 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C03C 審判 全部申し立て ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 C03C 審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 C03C 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C03C |
---|---|
管理番号 | 1356806 |
異議申立番号 | 異議2019-700051 |
総通号数 | 240 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-12-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-01-25 |
確定日 | 2019-09-20 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6362717号発明「光学ガラスおよびその利用」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6362717号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?7〕について訂正することを認める。 特許第6362717号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件特許6362717号は、平成25年8月23日に出願された特願2013-173998号の一部を平成29年2月6日に新たな出願とした特願2017-19225号の特許請求の範囲に記載された請求項1?7に係る発明について、平成30年7月6日に設定登録、同年7月25日に登録公報の発行がされたものであり、その後、その全請求項に係る特許について、平成31年1月25日付けの特許異議の申立てが宮園 祐爾(以下、「申立人」という。)によりされ、同年3月26日付けで取消理由を通知したところ、令和1年5月24日付けの訂正請求がされ、これに対し、期間を指定して申立人に意見を求めたが応答がなかったものである。 第2.訂正請求について 1.訂正の内容 本件訂正請求は、次の訂正事項よりなる(下線部が訂正箇所)。 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「(但し、La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)を合計で70%以下)」とあるのを「(但し、La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)を合計で50%以下)」に訂正する。 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「Nb^(5+)およびTa^(5)の合計含有量に対するNb^(5+)の含有量のカチオン比」とあるのを「Nb^(5+)の含有量に対するNb^(5+)およびTa^(5)^(+)の合計含有量のカチオン比」に訂正する。 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に「[(Nb^(5+)+Ta^(5+))/Nb^(5)]」とあるのを「[(Nb^(5+)+Ta^(5+))/Nb^(5)^(+)]」に訂正する。 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「(但し、La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)を合計で70%以下)」とあるのを「(但し、La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)を合計で60%以下)」に訂正する。 一群の請求項について 訂正前の請求項1?7は、訂正事項1?3に係る請求項1を引用する請求項2,3と、請求項1に加えて訂正事項4に係る請求項4も引用する請求項5?7とからなるから、一つの一群の請求項を構成する。 したがって、本件訂正請求は、この一群の請求項について請求されたものと認められる。 2.訂正要件の判断 訂正事項1,4について 訂正事項1,4は、請求項1,4に係る光学ガラスの発明において、La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量の数値範囲を減縮するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、本件明細書の【0020】に「La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量の好ましい上限は60%、より好ましい上限は50%」と記載されていたから、この訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項2,3について 訂正事項2,3のうち、「Ta^(5)」「Nb^(5)」をそれぞれ「Ta^(5+)」「Nb^(5+)」とする訂正は、カチオン表記に係る明らかな誤りを直すものであるから、明瞭でない記載の釈明または誤記の訂正を目的とするものといえる。また、訂正事項2のうち、カチオン比の説明に係る訂正は、本件明細書の【0031】に記載されるとおり、続けて記載されたカチオン比の式と整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。そして、いずれの訂正も願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1?3号に規定された事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?7〕について訂正することを認める。 第3.本件発明について 訂正が認められたことにより、本件特許の請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1?7」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?7に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認められる。 【請求項1】 Si^(4+)、B^(3+)、La^(3+)、Ti^(4+)、Nb^(5+)、およびZr^(4+)を必須成分とし、 カチオン%表示で、 Si^(4+)およびB^(3+)を合計で20?30%、 La^(3+)を18?35%(但し、La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)を合計で50%以下)、 Ti^(4)+、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)を合計で22?35%、 含み、但し、Ti^(4+)含有量は22%以下であり、 Si^(4+)およびB^(3+)の合計含有量に対するSi^(4+)の含有量のカチオン比[Si^(4+)/(Si^(4+)+B^(3+))]が0.34以下、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)、Yb^(3+)、Zr^(4+)、Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)、W^(6+)およびBi^(3+)の合計含有量が65%以上、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量に対するY^(3+)の含有量のカチオン比[Y^(3+)/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))]が0.12以下、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量に対するBa^(2+)の含有量のカチオン比[Ba^(2+)/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))]が0.40以下、 Zr^(4+)の含有量に対するZr^(4+)、Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)の合計含有量のカチオン比[(Zr^(4+)+Ti^(4+)+Nb^(5+)+Ta^(5+)+W^(6+))/Zr^(4+)]が2以上、 B^(3+)の含有量に対するTi^(4+)の含有量のカチオン比(Ti^(4+)/B^(3+))が0.85以上、であり、 Nb^(5+)の含有量に対するNb^(5+)およびTa^(5)^(+)の合計含有量のカチオン比[(Nb^(5+)+Ta^(5+))/Nb^(5)^(+)]が1以上5以下、 アッベ数νdが23?35の範囲であり、かつ屈折率ndが下記(1)式を満たす酸化物ガラスである光学ガラス。 nd≧2.205-(0.0062×νd) ・・・(1) 【請求項2】 Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)の合計含有量に対するNb^(5+)およびTa^(5+)の合計含有量のカチオン比[(Nb^(5+)+Ta^(5+))/(Ti^(4+)+Nb^(5+)+Ta^(5+)+W^(6+))]が0.41以下である請求項1に記載の光学ガラス。 【請求項3】 Zr^(4+)を1カチオン%以上含む請求項1または2に記載の光学ガラス。 【請求項4】 Si^(4+)、B^(3+)、La^(3+)、Ti^(4+)、Nb^(5+)、およびZr^(4+)を必須成分とし、 カチオン%表示で、 Si^(4+)およびB^(3+)を合計で15?30.40%、 La^(3+)を15?35%(但し、La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)を合計で60%以下)、 Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)を合計で23?45%(但し、Ti^(4+)を22%超)、 含み、 Si^(4+)およびB^(3+)の合計含有量に対するSi^(4+)の含有量のカチオン比[Si^(4+)/(Si^(4+)+B^(3+))]が0.35以下、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量に対するY^(3+)の含有量のカチオン比[Y^(3+)/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))]が0.14以下、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量に対するBa^(2+)の含有量のカチオン比[Ba^(2+)/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))]が0.40以下、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量に対するGd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量のカチオン比[(Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))]が0.02以上、 Zr^(4+)の含有量に対するZr^(4+)、Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)の合計含有量のカチオン比[(Zr^(4+)+Ti^(4+)+Nb^(5+)+Ta^(5+)+W^(6+))/Zr^(4+)]が2以上、 Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)の合計含有量に対するNb^(5+)およびTa^(5+)の合計含有量のカチオン比[(Nb^(5+)+Ta^(5+))/(Ti^(4+)+Nb^(5+)+Ta^(5+)+W^(6+))]が0.181以上、 B^(3+)の含有量に対するTi^(4+)の含有量のカチオン比(Ti^(4+)/B^(3+))が0.85以上、 であり、 アッベ数νdが18以上35未満の範囲であり、かつ屈折率ndが下記(2)式を満たす酸化物ガラスである光学ガラス。 nd≧2.540-(0.02×νd) ・・・ (2) 【請求項5】 請求項1?4のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブ。 【請求項6】 請求項1?4のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子ブランク。 【請求項7】 請求項1?4のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子。 第4.取消理由について 1.概要 当審にて通知した取消理由は、要するに、 「訂正前の請求項1、4に記載された「La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)を合計で70%以下」との記載は、他の成分含有量の下限値からみて取り得ない上限値であること、及び、訂正前の請求項1に記載された「Ta^(5)」と「Nb^(5)」という用語の意味が不明であることを指摘し、請求項1,4及びこれを引用する請求項に係る発明は明確でないから、当該請求項に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。」 というものである。 2.判断 前述したように、訂正により「La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)」の合計量の上限値は、請求項1において50%、請求項4において60%に変更され、他の成分含有量の下限値と矛盾のないものとなった。また、請求項1に記載された「Ta^(5)」と「Nb^(5)」という用語は、それぞれ「Ta^(5+)」と「Nb^(5+)」に改められ、技術的に意味ある明確なものとなった。 したがって、取消理由には理由がなくなった。 第5.取消理由に採用しなかった申立理由について 1.概要 申立人は、後述するように、訂正前の請求項1?7の記載について、当該請求項に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された発明といえず、また、明確でもないから、その特許は特許法第36条第6項第1号または第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたもの(以下、それぞれ「申立理由1,2」という。)であること、また、本件明細書の記載について、訂正前の請求項1?7に係る発明が実施可能な程度に明確に記載されたものといえないから、その特許は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたもの(以下、「申立理由3」という。)であると主張している。 2.申立理由1について (1)申立人は、本件発明1において、その課題である安定性の指標となる物性要件が特定されていないから、本件発明1は発明の詳細な説明に記載された発明とはいえないと主張している。 そこで検討するに、本件発明1が特定している組成要件について、本件明細書の【0015】にSi^(4+)およびB^(3+)の合計含有量、【0019】にLa^(3+)の含有量、【0020】にLa^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量、【0026】にTi^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)の合計含有量、【0028】にTi^(4+)の含有量、【0018】にカチオン比[Si^(4+)/(Si^(4+)+B^(3+))]、【0021】にカチオン比Y^(3+)/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))、【0042】にカチオン比Ba^(2+)/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))、【0027】にカチオン比(Zr^(4+)+Ti^(4+)+Nb^(5+)+Ta^(5+)+W^(6+))/Zr^(4+)、【0036】にカチオン比Ti^(4+)/B^(3+)、【0031】にカチオン比(Nb^(5+)+Ta^(5+))/Nb^(5+)が、いずれも安定性(耐失透性)の観点から数値限定されたことが記載されている。 そして、本件明細書の【0102】【0103】には、上記組成要件を満足する実施例が、先行技術文献記載の実施例に比べ、同一製造条件で比較して、結晶析出が少なくガラスの安定性に優れていることが記載されている。 してみると、安定性の指標となる物性要件が具体的に特定されていなくとも、本件明細書の記載から上記組成要件により特定された本件発明1が安定性を有することを当業者は認識できる。 したがって、上記主張は採用できない。 (2)申立人は、本件発明1,4で特定された組成要件に対し、本件明細書に記載された実施例のカチオン含有量やカチオン比は限定的な範囲となっているから、本件発明1,4及びこれを引用する本件発明2,3,5?7は発明の詳細な説明に記載された発明とはいえないと主張している。 そこで検討するに、本件発明1が課題とする高屈折率低分散及び安定性(耐失透性)に関し、本件明細書には、組成要件として記載されている各カチオンの作用が以下のとおり記載されている。なお、申立人は、化学的耐久性についても言及しているが、化学的耐久性を本件発明1の課題とすることは、本件明細書に記載されていない。 Si^(4+)およびB^(3+):安定性 La^(3+):安定性、高屈折率、低分散 Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+):高屈折率、低分散 Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+);高屈折率、安定性 Zr^(4+):高屈折率、安定性 してみると、一群とされたカチオン間の置換はもちろん、同様の作用を有するとされたカチオン間の置換によっても含有量の変更が可能であることは当業者に自明なことといえる。すなわち、実施例におけるカチオン含有量やカチオン比の範囲が限定的であるとしても、当業者であれば、上記相互置換によりその範囲を拡張できることを認識できる。 したがって、上記主張は採用できない。 (3)申立人は、本件発明1,4で特定されたあるアッベ数に対し、本件明細書に記載された実施例のアッベ数は限定的な範囲となっているから、本件発明1,4及びこれを引用する本件発明2,3,5?7は発明の詳細な説明に記載された発明とはいえないと主張している。 そこで検討するに、(2)で述べたとおり、同様の作用を有するカチオン間の置換が可能であることから、例えば、実施例において、安定性に作用するB^(3+)や、高屈折率に作用するTi^(4+)の一部を、安定性及び高屈折率に加え低分散にも作用するLa^(3+)に置換すれば、当該実施例に比べ大きなアッベ数のガラスが得られ、逆の置換をすれば、アッベ数の小さなガラスとなることは当業者に自明なことといえる。 したがって、上記主張は採用できない。 3.申立理由2について 申立人は、本件発明1の「Ti^(4+)含有量は22%以下」という発明特定事項は、例えばSi^(4+)が1%のとき「Si^(4+)およびB^(3+)を合計で20?30%」からB^(3+)の最大含有量が29%となり「カチオン比(Ti^(4+)/B^(3+))が0.85以上」という発明特定事項を満たさないから、明確でないと主張している。 そこで検討するに、「Ti^(4+)含有量は22%以下」であり「カチオン比(Ti^(4+)/B^(3+))が0.85以上」ということは、B^(3+)の最大含有量が約26%であることを意味するのであって、申立人の主張は前提において誤りがある。 したがって、上記主張は採用できない。 4.申立理由3について 申立人は、本件発明1,4で特定された組成要件は、本件明細書に記載された実施例のカチオン含有量やカチオン比から外れる範囲を含むから、当業者が過度の試行錯誤を要することなく本件発明1,4及びこれを引用する本件発明2,3,5?7を実施できるといえないと主張している。 しかしながら、「2.(2)」で検討したように、組成要件において一群とされているカチオン間の置換はもちろん、発明の詳細な説明において同様の作用を有するとされたカチオン間の置換によっても含有量の変更が可能であるから、当業者であれば、実施例におけるカチオン含有量やカチオン比の範囲から外れる範囲において、過度の試行錯誤を要することなく本件発明1,4及びこれを引用する本件発明2,3,5?7を実施できるといえる。 したがって、上記主張は採用できない。 第6.むすび 以上のとおりであるから、取消理由及び申立理由によっては、請求項1?7に係る特許を取り消すことはできない。 そして、他に請求項1?7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 Si^(4+)、B^(3+)、La^(3+)、Ti^(4+)、Nb^(5+)、およびZr^(4+)を必須成分とし、 カチオン%表示で、 Si^(4+)およびB^(3+)を合計で20?30%、 La^(3+)を18?35%(但し、La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)を合計で50%以下)、 Ti^(4)+、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)を合計で22?35%、 含み、但し、Ti^(4+)含有量は22%以下であり、 Si^(4+)およびB^(3+)の合計含有量に対するSi^(4+)の含有量のカチオン比[Si^(4+)/(Si^(4+)+B^(3+))]が0.34以下、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)、Yb^(3+)、Zr^(4+)、Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)、W^(6+)およびBi^(3+)の合計含有量が65%以上、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量に対するY^(3+)の含有量のカチオン比[Y^(3+)/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))]が0.12以下、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量に対するBa^(2+)の含有量のカチオン比[Ba^(2+)/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))]が0.40以下、 Zr^(4+)の含有量に対するZr^(4+)、Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)の合計含有量のカチオン比[(Zr^(4+)+Ti^(4+)+Nb^(5+)+Ta^(5+)+W^(6+))/Zr^(4+)]が2以上、 B^(3+)の含有量に対するTi^(4+)の含有量のカチオン比(Ti^(4+)/B^(3+))が0.85以上、であり、 Nb^(5+)の含有量に対するNb^(5+)およびTa^(5)^(+)の合計含有量のカチオン比[(Nb^(5+)+Ta^(5+))/Nb^(5)^(+)]が1以上5以下、 アッベ数νdが23?35の範囲であり、かつ屈折率ndが下記(1)式を満たす酸化物ガラスである光学ガラス。 nd≧2.205-(0.0062×νd) ・・・(1) 【請求項2】 Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)の合計含有量に対するNb^(5+)およびTa^(5+)の合計含有量のカチオン比[(Nb^(5+)+Ta^(5+))/(Ti^(4+)+Nb^(5+)+Ta^(5+)+W^(6+))]が0.41以下である請求項1に記載の光学ガラス。 【請求項3】 Zr^(4+)を1カチオン%以上含む請求項1または2に記載の光学ガラス。 【請求項4】 Si^(4+)、B^(3+)、La^(3+)、Ti^(4+)、Nb^(5+)、およびZr^(4+)を必須成分とし、 カチオン%表示で、 Si^(4+)およびB^(3+)を合計で15?30.40%、 La^(3+)を15?35%(但し、La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)を合計で60%以下)、 Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)を合計で23?45%(但し、Ti^(4+)を22%超)、 含み、 Si^(4+)およびB^(3+)の合計含有量に対するSi^(4+)の含有量のカチオン比[Si^(4+)/(Si^(4+)+B^(3+))]が0.35以下、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量に対するY^(3+)の含有量のカチオン比[Y^(3+)/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))]が0.14以下、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量に対するBa^(2+)の含有量のカチオン比[Ba^(2+)/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))]が0.40以下、 La^(3+)、Gd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量に対するGd^(3+)、Y^(3+)およびYb^(3+)の合計含有量のカチオン比[(Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))/(La^(3+)+Gd^(3+)+Y^(3+)+Yb^(3+))]が0.02以上、 Zr^(4+)の含有量に対するZr^(4+)、Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)の合計含有量のカチオン比[(Zr^(4+)+Ti^(4+)+Nb^(5+)+Ta^(5+)+W^(6+))/Zr^(4+)]が2以上、 Ti^(4+)、Nb^(5+)、Ta^(5+)およびW^(6+)の合計含有量に対するNb^(5+)およびTa^(5+)の合計含有量のカチオン比[(Nb^(5+)+Ta^(5+))/(Ti^(4+)+Nb^(5+)+Ta^(5+)+W^(6+))]が0.181以上、 B^(3+)の含有量に対するTi^(4+)の含有量のカチオン比(Ti^(4+)/B^(3+))が0.85以上、 であり、 アッベ数νdが18以上35未満の範囲であり、かつ屈折率ndが下記(2)式を満たす酸化物ガラスである光学ガラス。 nd≧2.540-(0.02×νd) ・・・ (2) 【請求項5】 請求項1?4のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブ。 【請求項6】 請求項1?4のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子ブランク。 【請求項7】 請求項1?4のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-09-11 |
出願番号 | 特願2017-19225(P2017-19225) |
審決分類 |
P
1
651・
851-
YAA
(C03C)
P 1 651・ 536- YAA (C03C) P 1 651・ 853- YAA (C03C) P 1 651・ 852- YAA (C03C) P 1 651・ 537- YAA (C03C) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山田 貴之 |
特許庁審判長 |
菊地 則義 |
特許庁審判官 |
大橋 賢一 宮澤 尚之 |
登録日 | 2018-07-06 |
登録番号 | 特許第6362717号(P6362717) |
権利者 | HOYA株式会社 |
発明の名称 | 光学ガラスおよびその利用 |
代理人 | 特許業務法人特許事務所サイクス |
代理人 | 特許業務法人特許事務所サイクス |