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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F24F
審判 全部申し立て 2項進歩性  F24F
管理番号 1356826
異議申立番号 異議2018-700570  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-07-13 
確定日 2019-10-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6261295号発明「空気調和システム」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第6261295号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1?6〕について訂正することを認める。 特許第6261295号の請求項1?6に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯の概略
特許第6261295号の請求項1?6に係る特許(以下「本件特許」という。)についての手続の経緯は,概ね,以下のとおりである。
平成25年11月20日 特許出願
平成29年12月22日 設定登録
平成30年 1月17日 特許掲載公報発行
平成30年 7月13日 特許異議申立書(特許異議申立人:特許
業務法人虎ノ門知的財産事務所(以下「申
立人虎ノ門事務所」という。))
同日 特許異議申立書(特許異議申立人:星野
裕司(以下「申立人星野」という。))
平成30年10月 5日付け 取消理由通知書
平成30年12月 3日 意見書(特許権者),訂正請求書
平成31年 2月 6日 意見書(申立人星野)
平成31年 2月 7日 意見書(申立人虎ノ門事務所)
令和 元年 5月 9日付け 取消理由通知書(決定の予告)
令和 元年 7月16日 意見書(特許権者),訂正請求書
令和 元年 8月23日 意見書(申立人星野)
以下,令和元年7月16日付け訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。なお,平成30年12月3日付け訂正請求書は,取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。
また,本件訂正があった旨を申立人虎ノ門事務所に通知したが(特許法120条の5第5項),申立人虎ノ門事務所からは応答がなかった。

第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正の請求は,特許第6261295号の明細書及び特許請求の範囲を,訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1?6について訂正することを求めるものであって,その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1) 訂正事項1
本件訂正前の請求項1に,
「室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と,前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部情報端末とを備えると共に,前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており,
前記室温検出手段で検出された室温が所定温度以上であるとき,前記通信網を経由して前記外部情報端末から報知する第1の機能を備え,
前記第1の機能は,前記室温検出手段で検出された室温が所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで再度の報知を行わない
ことを特徴とする空気調和システム。」
とあるのを,
「室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と,前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備えると共に,前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており,
前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるとき,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する第1の機能を備え,
前記第1の機能は,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない
ことを特徴とする空気調和システム。」
と訂正する。

(2) 訂正事項2
本件訂正前の請求項2に,
「室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と,前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部情報端末とを備えると共に,前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており,
前記室温検出手段で検出された室温が所定温度以上である状態が所定時間継続したとき,前記通信網を経由して前記外部情報端末から報知する第1の機能を備え,
前記第1の機能は,前記室温検出手段で検出された室温が所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで再度の報知を行わない
ことを特徴とする空気調和システム。」
とあるのを,
「室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と,前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備えると共に,前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており,
前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上である状態が所定時間継続したとき,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する第1の機能を備え,
前記第1の機能は,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない,
ことを特徴とする空気調和システム。」
と訂正する。

(3) 訂正事項3
本件訂正前の請求項3に,
「請求項1又は請求項2に記載の空気調和システムにおいて,
前記外部情報端末からの指示によって前記空気調和装置の空調運転を開始する第2の機能を備えたことを特徴とする空気調和システム。」
とあるのを,
「請求項1又は請求項2に記載の空気調和システムにおいて,
前記外部携帯情報端末からの指示によって前記空気調和装置の空調運転を開始する第2の機能を備えた
ことを特徴とする空気調和システム。」
と訂正する。

(4) 訂正事項4
本件訂正前の請求項5に,
「請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気調和システムにおいて,
空調運転を開始した後に前記室温検出手段で検出された室温が所定温度以下になると,空調運転を停止すると共に,室内機に設けられた報知手段,又は,前記通信網を経由して前記外部情報端末から報知する
ことを特徴とする空気調和システム。」
とあるのを,
「請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気調和システムにおいて,
空調運転を開始した後に前記室温検出手段で検出された室温が所定温度以下になると,空調運転を停止すると共に,室内機に設けられた報知手段,又は,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する
ことを特徴とする空気調和システム。」
と訂正する。

(5) 訂正事項5
本件訂正前の請求項6に,
「請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気調和システムにおいて,
空調運転を開始してから所定時間が経過すると,空調運転を停止すると共に,室内機に設けられた報知手段,又は,前記通信網を経由して前記外部情報端末から報知する
ことを特徴とする空気調和システム。」
とあるのを,
「請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気調和システムにおいて,
空調運転を開始してから所定時間が経過すると,空調運転を停止すると共に,室内機に設けられた報知手段,又は,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する
ことを特徴とする空気調和システム。」
と訂正する。

(6) 訂正事項6
本件訂正前の明細書の【0009】に,
「本発明の特徴は,室内に人物がいる状態で,室内の環境が熱中症を発症する危険性が大きいと判断される場合は,空気調和装置に対応付けされた外部情報端末に注意喚起情報を送信して報知する,ところにある。」
とあるのを,
「本発明の特徴は,室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と,空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備えると共に,空調側制御手段と端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており,室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるとき,通信網を経由して外部携帯情報端末から報知する第1の機能を備え,第1の機能は,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,室温検出手段で検出された室温が所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,通信網を経由して外部携帯情報端末から再度の報知を行わない,ところにある。」
と訂正する。

2 本件訂正の適否について
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は,本件訂正前の請求項1における「外部情報端末」について「外部携帯情報端末」と具体的に特定し,「第1の機能」に関し,「所定温度」について「当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度」と具体的に特定した上で,さらに,「所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない」ことを特定することにより,空気調和システムをより具体的に特定して限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,本件訂正前の明細書に,「そして,最近ではスマートフォンやタブレットPCなどの外部情報端末が普及し,これらの外部情報端末と通信を行って空気調和装置の運転制御等を行う空気調和システムが普及しつつある。」(【0003】),「図3は,室内機10が備える空気調和装置側制御手段(以下,空調側制御手段という)40を含む空気調和装置,及びスマートフォンやタブレットPC等の外部情報端末42を含む空気調和システムの構成を示すブロック図である。」(【0027】),「空調側制御手段40はリモートコントローラ14とは別に,音声認識手段を備えた外部情報端末42,例えばスマートフォンやタブレットPCとインターネット等の通信網ITを介して情報通信が可能な構成であり,外部情報端末42を通して空気調和装置の操作者からの運転制御情報を受信した場合,受信した運転制御情報に応じて空調運転やデータの通信等を行う構成となっている。」(【0031】)と記載されている(スマートフォンやタブレットPCは,利用者が携帯して使用する外部情報端末であることがよく知られている。)。
また,「本発明の特徴は,室内に人物がいる状態で,室内の環境が熱中症を発症する危険性が大きいと判断される場合は,空気調和装置に対応付けされた外部情報端末に注意喚起情報を送信して報知する,ところにある。」(【0009】),「ここで,比較の基準となる所定の温度は,熱中症を発症する危険性が高い温度に設定されており,これは予め記憶手段50,或いは駆動制御部48の記憶部に記憶されている。」(【0043】)と記載されている。
さらに,「制御フローは所定の時間間隔,本実施例では例えば100ms毎の起動タイミングの到来によって起動されるものであり,以下処理ステップ毎にその機能を説明する。」(【0037】),「そして,この後に所定の起動タイミングが到来すると同じ動作を繰り返すものである。一方,ステップS40で空気調和装置による空調運転がなされていないと判断されるとステップS41に進み,外部情報端末42に注意喚起情報を送信する処理ステップを実行することになる。」(【0038】),「尚,ステップS41で室内に人物がいることを検出し,ステップS42で熱中症の危険性があると判断し,ステップ43で所定時間が経過した場合であっても,外部情報端末42に注意喚起情報を送信した後は,所定時間経過するまでは,外部情報端末42に再度の注意喚起情報を送信しない。」(【0052】)と記載されている。
そうすると,訂正事項1に係る本件訂正は,新規事項を追加するものではなく,また,実質上特許請求の範囲を拡張,又は変更するものではない。

(2) 訂正事項2について
訂正事項2は,請求項2における「外部情報端末」について「外部携帯情報端末」と具体的に特定し,「第1の機能」に関し,「所定温度」について「当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度」と具体的に特定した上で,さらに,「所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない」ことを特定することにより,空気調和システムをより具体的に特定して限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして,本件訂正前の明細書には,前記(1)のとおり記載されているから,訂正事項2に係る本件訂正は,新規事項を追加するものではなく,また,実質上特許請求の範囲を拡張,又は変更するものではない。

(3) 訂正事項3?5について
訂正事項3?5は,請求項3,5,6が引用する請求項1,2において,訂正事項1,2により,「外部情報端末」を「外部携帯情報端末」と訂正することに伴い,これと整合するように,請求項3,5,6の「前記外部情報端末」を「前記外部携帯情報端末」とするもので,「外部情報端末」について「外部携帯情報端末」と具体的に特定するものであるから,特許請求の範囲の減縮,又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして,訂正事項3?5に係る本件訂正は,新規事項を追加するものではなく,また,実質上特許請求の範囲を拡張,又は変更するものではない。

(4) 訂正事項6について
訂正事項6は,訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから,明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして,訂正事項6に係る本件訂正は,新規事項を追加するものではなく,また,実質上特許請求の範囲を拡張,又は変更するものではない。

(5) さらに,本件訂正は訂正前の請求項〔1?6〕という一群の請求項ごとに請求されたものである。

(6) 以上のとおりであるから,本件訂正は特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであって,同条4項,並びに同条9項において準用する同法126条4項?6項の規定に適合するので,訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1?6〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
前記第2のとおり本件訂正は認められるから,本件特許の請求項1?6に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。以下,本件特許に係る発明を請求項の番号に従って,「本件発明1」などという。
「【請求項1】
室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と,前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備えると共に,前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており,
前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるとき,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する第1の機能を備え,
前記第1の機能は,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項2】
室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と,前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備えると共に,前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており,
前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上である状態が所定時間継続したとき,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する第1の機能を備え,
前記第1の機能は,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない,
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の空気調和システムにおいて,
前記外部携帯情報端末からの指示によって前記空気調和装置の空調運転を開始する第2の機能を備えた
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項4】
請求項3に記載の空気調和システムにおいて,
前記第2の機能によって空調運転が開始されたとき,前記空気調和装置の室内機に設けられた報知手段から報知する第3の機能を備えた
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気調和システムにおいて,
空調運転を開始した後に前記室温検出手段で検出された室温が所定温度以下になると,空調運転を停止すると共に,室内機に設けられた報知手段,又は,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気調和システムにおいて,
空調運転を開始してから所定時間が経過すると,空調運転を停止すると共に,室内機に設けられた報知手段,又は,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する
ことを特徴とする空気調和システム。」

第4 取消理由の概要
1 本件訂正前の本件特許に対し通知した取消理由は,概ね,次のとおりである。すなわち,本件発明1?6は,本件特許の出願前に日本国内又は外国において,頒布された以下の引用例に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(引用例)
引用例1:特開2002-142271号公報
引用例2:特開2008-241165号公報
引用例3:特開2010-112696号公報
引用例4:特開平10-9651号公報
引用例5:特開2010-96479号公報
引用例6:特開2013-167425号公報
引用例7:特開2002-345051号公報
引用例8:特表2012-521685号公報
引用例9:特開2006-261987号公報
引用例10:特開2011-233056号公報
引用例11:特開2007-172536号公報
引用例12:特開平11-122198号公報
引用例13:特開2013-217534号公報
引用例14:特開2012-207867号公報
引用例15:特開2001-280664号公報
引用例16:「ケータイホームシステム取扱説明書」,株式会社NTTドコモ,2010年1月,第1版
引用例17:特開2006-162091号公報
引用例18:特開2004-176936号公報
引用例19:特開2013-190171号公報
引用例20:特開2013-217532号公報
なお,引用例1?5は,申立人虎ノ門事務所が提出した甲第1号証?甲第5号証に対応し,引用例6?15は,申立人星野が提出した甲第1号証?甲第10号証に対応し,引用例16?18は,平成31年2月7日付け意見書(申立人虎ノ門事務所)添付参考資料4?6に対応し,引用例19,20は,平成31年2月6日付け意見書(申立人星野)添付参考資料1,2に対応する。

第5 取消理由について
1 引用例について
(1) 引用例1
ア 引用例1には,以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】 管理サーバーと,この管理サーバーを利用するユーザーが操作して上記管理サーバーと信号の送受信をする携帯端末と,家屋内に設置し,上記管理サーバーと信号の送受信をする家屋内情報端末と,この情報端末と信号の送受信をする電子機器などの制御対象とからなり,上記管理サーバーは,上記ユーザーを識別するためのユーザー情報と制御対象である電子機器とを登録したユーザーファイルを保存するユーザーデータベースと,受信したユーザー情報を上記ユーザーファイルのユーザー情報と照合するセキュリティ管理部とを備え,上記管理サーバーが,上記携帯端末から受信したユーザー情報と上記ユーザーファイルのユーザー情報とを照合し,これらユーザー情報が一致したとき,上記携帯端末と上記情報端末とで信号の送受信を可能にし,携帯端末から電子機器等の制御対象を遠隔操作する構成にしたことを特徴とする電子・電気機器の遠隔制御システム。
【請求項2】 管理サーバーは,セキュリティ管理部およびユーザーデータベースとともに,ユーザーが設定した制御対象を制御するプログラムを保存したプログラムデータベースを備え,このプログラムデータベースのプログラムに基づいて,電子機器等の制御対象を制御することを特徴とする請求項1記載の電子・電気機器の遠隔制御システム。
【請求項3】 ユーザーファイルにはユーザーを識別するためのユーザー情報と家屋内の異常高温などの緊急条件とを登録し,家屋内情報端末が電子機器等から受信した屋内温度などのデータ情報を管理サーバーに送信すると,この管理サーバーは,家屋内情報端末から受信した情報と上記緊急条件とを比較し,これらの情報が一致するとき,上記ユーザーファイルから特定されるユーザーの携帯端末に,家屋内が緊急状態であることを通知する構成にしたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子・電気機器の遠隔制御システム。」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,インターネットなどの通信ネットを利用して家屋内電子・電気機器の遠隔制御をする電子・電気機器の遠隔制御システムに関する。」
・「【0009】この発明の目的は,外出先から家屋内電子・電気機器を遠隔制御するシステムを安価に実現するものである。」
・「【0014】
【発明の実施の形態】図1に,この発明の電子・電気機器19,32の遠隔制御システムのブロック図を示す。このシステムを提供する側には,管理サーバー13を設けている。また,この管理サーバー13を利用するユーザーは,管理サーバー13にアクセスするための携帯端末14を備えている。そして,上記管理サーバー13には通信ネット信号送受信部15を備え,上記携帯端末14には通信ネット信号送受信部16を備えている。これら通信ネット信号送受信部15,16は,通信ネットNを介して,互いに信号を送受信できるようにしている。さらに,上記携帯端末13は,操作のための操作部17と,受信した情報などを表示する表示部18とを備えている。一方,家屋K内や家屋K周辺には,ユーザーが外出先から遠隔制御する電子・電気機器19,32を設けている。例えば,図1に示す空調機19および監視カメラ32は,この発明の電子・電気機器である。
【0015】上記管理サーバー13は,この管理サーバー13を利用するユーザーについての情報を保存したユーザーデータベース20と,電子・電気機器制御の専用プログラムを保存したプログラムデータベース21とを備えている。
【0016】上記ユーザーデータベース20には,ユーザーを識別するためのユーザー識別番号などのユーザー情報をユーザーファイルにしてユーザーごとに保存している。上記ユーザーファイルには,ユーザーの制御対象となる電子機器を登録している。また,ユーザーファイルには,電子機器から受信した屋内温度などのデータ情報による家屋K内の異変があったとき,ユーザーの携帯端末14に通知するための緊急条件を登録している。なお,上記ユーザー情報は,ユーザーの電話番号,ユーザー識別番号,ユーザーが決めた暗証番号などのユーザーを識別するためのものである。」
・「【0019】一方,家屋K内には,家屋内情報端末24を設けている。そして,この家屋内情報端末24には,通信ネット信号送受信部25を備えている。この通信ネット信号送受信部25は,上記管理サーバー13と信号の送受信をするためのものである。上記家屋内情報端末24には,制御信号送受信部26を備えている。この制御信号送受信部26は,家屋K内の電子・電気機器と制御信号を送受信するためのものである。」
・「【0021】家屋K内や家屋K周辺の電子・電気機器19,32には,電子機器制御装置29を設けている。この電子機器制御装置29には,制御信号送受信部30を備えている。この制御信号送受信部30は,家屋内情報端末24と制御信号を送受信するためのものである。また,上記電子機器制御装置29には,制御信号送受信部30から受信した制御信号により,電子・電気機器19,32を制御する制御処理部31を備えている。この制御処理部31は,電子・電気機器19,32の制御結果の情報を上記制御信号送受信部30に送信する機能も備えている。
【0022】また,上記電子機器制御装置29ごとに,電子・電気機器19,32に対応した電子機器識別番号を付けている。このように識別番号を電子機器制御装置29に付けることにより,上記家屋内情報端末24は,各電子機器制御装置29を区別することができる。」
・「【0024】上記システムにより,外出先から携帯端末14を操作して,家屋K内電子・電気機器である空調機19を遠隔制御する場合について図2で説明する。ステップ1で,ユーザーが,携帯端末14の操作部17を操作して,上記管理サーバー13にアクセスする。ステップ2で,ユーザーは,あらかじめ登録しているユーザー識別番号を入力する。ステップ3で,管理サーバー13のセキュリティ管理部22は,このユーザー識別番号に基いてユーザーデータベース20からユーザーファイルを特定する。ここで,セキュリティ管理部22は,アクセスしてきた端末がユーザーであるか否かを判断する。そして,セキュリティ管理部22は,アクセスしてきた端末がユーザーでないと判断すれば,接続を終了させる。
【0025】一方,セキュリティ管理部22がアクセスしてきた端末がユーザーであると判断すれば,管理サーバー13の処理装置23は,ユーザー識別番号からこのユーザーファイルの制御対象の空調機を読み込む。そして,処理装置23は,上記プログラムデータベース21から空調機制御のプログラムを読み込み,このプログラムを実行する。そして,このプログラムを実行する際,処理装置23は,プログラムの一部として簡単な情報処理機能部分を,ユーザーの家屋内情報端末24にダウンロードする。家屋内情報端末24は,ダウンロードしたプログラムを,一旦記憶部27に保存した後,このプログラムを実行する。なお,上記家屋内情報端末24は,ダウンロードしたプログラムを記憶部27に保存したら,電子・電気機器やその制御の設定条件に変更がない限り,記憶部27のプログラムを実行する。つまり,家屋内情報端末24は,電子・電気機器やその制御の設定条件に変更がなければ,管理サーバー13からプログラムをダウンロードすることなく,記憶部27に保存したプログラムを実行する。
【0026】上記のように処理装置23がプログラムを実行すると,空調機19の操作入力画面が,携帯端末14の表示部18に表示される。ステップ4で,ユーザーは,表示部18を見ながら,空調機19の電源を入れる操作をし,さらに,この空調機19に対応する電子機器識別番号を入力する。ステップ5で,上記操作および上記識別番号の情報を受信した管理サーバー13の処理装置23は,家屋内情報端末24に,これらの情報を送信する。ステップ6で,これらの情報を受信した家屋内情報端末24は,上記電子機器識別番号の電子機器制御装置29に,空調機19の電源を入れる制御信号を送る。
【0027】ステップ7で,上記電子機器識別番号の制御信号送受信部30は,空調機制御の信号を受信する。この制御信号が制御処理部31に送信され,空調機19は電源が入る。ステップ8で,この空調機19は室内の温度を測定する。この温度の情報と電源が入った情報とを,電子機器制御装置29は,家屋内情報端末24に送信する。ステップ9で,家屋内情報端末24は,電源が入ったことおよび温度の情報を管理サーバー13に送信する。
【0028】ステップ10で,この情報を受信した管理サーバー13は,この情報を携帯端末14に送信する。携帯端末14の表示部18に,上記空調機19の置かれた部屋の温度と空調機19の電源が入った情報とが表示される。ステップ11で,さらに空調機19を操作するかを尋ねる表示が表示部18に表示される。ここで,ユーザーが,携帯端末14を操作して,「空調機を操作する」の項目を選択すると,上記ステップ4からステップ11までを再度実行する。反対に,ユーザーが上記表示画面を終了させると,携帯端末14と管理サーバー13との接続が切れる。
【0029】このようにして,ユーザーは,外出先からでも,携帯端末14を操作して,家屋K内の空調機19を遠隔制御することができる。」
・「【0031】なお,あらかじめユーザーファイルの緊急条件に,室温が50℃を超える場合を登録しておくと,上記ステップ9の後に,次のようにすることもできる。図3において,ステップ9の後,家屋内情報端末24から管理サーバー13に送信した空調機9の測定した室温の情報を,処理装置23が上記ユーザーファイルに登録した緊急条件と照合する。家屋内情報端末24からの情報が,緊急条件に一致する場合には,ユーザーの携帯端末14の表示部18に緊急状態であることを表示する。ここでは,室温が50℃を超えていたとき,緊急時と判断し,携帯端末14に緊急状態であることを送信する。そして,ユーザーは,携帯端末14の表示などから緊急状態であることを知る。このようにして,ユーザーは,電子・電気機器19を制御したときに,屋内が緊急状態であれば,そのことを知ることができる。つまり,ユーザーは,外出先からも,暖房器具のつけっぱなしなどの緊急状態がないかを確認することができ,家屋Kの安全性の管理をすることができる。」
・「【0045】上記ユーザーの家屋K内に緊急状態が発生する前から,ユーザーに緊急状態を通知するまでについて図6で説明する。上記ユーザーの外出中,ステップ1で,家屋内情報端末24が,室温測定の制御信号を空調機19に送信する。ステップ2で,家屋内情報端末24は,空調機19から室温のデータ情報を受信する。ステップ3で,家屋内情報端末24は,この受信した室温のデータ情報を管理サーバー13に送信する。
【0046】ステップ4で,管理サーバー13の処理装置23は,受信したデータ情報がユーザーファイルの緊急条件と一致するかを照合する。一致しなければ,ユーザーの設定した時間後に再び,ステップ1からステップ4を繰り返す。このようにして,定期的に家屋K内の室温を調べる。なお,管理サーバー13の処理装置23は,受信した室温のデータ情報を上記ユーザーファイルに保存する。
【0047】上記ステップ4で,受信したデータ情報がユーザーファイルの緊急条件と一致すると,ステップ5に進む。ステップ5で,処理装置23は,ユーザーファイルのユーザー情報で特定されるユーザーの携帯端末14に,着信音やフラッシング画面などにより,緊急状態であることを通知する。このようにして,ユーザーは,家屋K内が緊急状態であることを知ることができる。つまり,ユーザーは,例えば,暖房器具のつけっぱなしなどによる火災を事前に察知することができる。そのため,ユーザーは,家屋Kの様子を自分で定期的に調べることなく,家屋Kの安全性を管理することができる。」
イ 以上の記載からすると,引用例1には,次の発明が記載されているといえる(以下「引用例1発明」という。)。
(引用例1発明)
「室内の温度を測定する手段を有する電子機器制御装置29を備えた空調機19と,前記電子機器制御装置29に通信ネットNを介して接続された携帯端末14とを備えると共に,前記電子機器制御装置29ごとに付けられた電子機器識別番号と,前記携帯端末14を特定するユーザー情報が,管理サーバー13のユーザーデータベース20に,ユーザーファイルにしてユーザーごとに保存されており,
室温が50℃を超えたときを緊急条件として前記ユーザーファイルに登録しておき,空調機19からの室温のデータ情報が前記ユーザーファイルの緊急条件と一致すると,前記通信ネットNを経由して前記携帯端末14に着信音やフラッシング画面などにより,緊急状態であることを通知する機能を備える空調機の遠隔制御システム。」

(2) 引用例2
引用例2には,以下の事項が記載されている。
・「【0046】
また,遠隔監視装置10は,動作不調ありと判定する毎に,動作不調コードを含む運転データD1を監視センタ30へ送信することも可能であるし,定期的に運転データD1を監視センタ30へ送信するタイミング以外は,動作不調ありと判定しても運転データD1を送信しないよう動作することも可能である。このため,遠隔監視装置10から監視センタ30へ頻繁に動作不調が報知されることによる不都合が生じる場合,例えば,既に動作不調への対策を開始してから動作不調が解消されるまでの間は,動作不調の報知が行われないので,監視コンピュータ31を操作するオペレータの業務が煩雑になることを防止できる。」

(3) 引用例3
引用例3には,以下の事項が記載されている。
・「【0022】
本発明によれば,室内機の設定温度に対して室内機の設置箇所の室内温度が所定時間以上乖離する異常が発生した場合,監視装置から遠隔管理装置に,設定温度から室内温度が乖離する異常を示す異常識別情報および異常情報とともに,異常が発生している室内機の個体識別情報と,室内機の設置箇所の室内温度の調節に係わる全ての室内機を含むグループの識別情報と,それらに係わる過去の運転データとを送信することができる。」

(4) 引用例4
引用例4には,以下の事項が記載されている。
・「【0008】また,これに対し,室内制御部は,図14に示すように,設定内容用データに開始指令用データを付与した信号を受信したかどうか判断しており,受信した場合には,運転開始を報知するブザー(1)「ピピッ」を出力してエアコンの運転を開始する。」

(5) 引用例5
引用例5には,以下の事項が記載されている。
・「【請求項5】
室外機内に収容される圧縮機と,室外熱交換器と,四方切換弁および膨張装置と,室内機内に収容される室内熱交換器とを,順次,冷媒配管を介して冷凍サイクルを構成するように接続される空気調和機において,
上記膨張装置と上記室内熱交換器とを接続する冷媒配管に設けられ,上記室外機内に収容される気液分離器と,
この気液分離器で気液分離された気相冷媒を上記圧縮機に戻すバイパス回路と,
このバイパス回路に設けられる,電磁開閉弁である気液分離器用切換弁と,
上記圧縮機と,四方切換弁と,膨張装置および気液分離器用切換弁他の電動構成部品を駆動制御する制御手段とを具備し,
上記制御手段は,暖房運転時に気液分離器用切換弁を閉成し,以下の条件を全て満たしたときにのみ異常発生の判定を実施する
[暖房運転時の異常発生判定条件]
a.圧縮機起動から設定時間以上経過
b.室内熱交換器温度と室内温度との温度差が設定温度以下を設定時間継続した後
c.圧縮機の運転周波数が設定値以上
異常発生判定後の動作として,異常発生1回目は圧縮機の運転を一旦停止したあと再起動し,異常発生2回目以降は圧縮機の運転を停止するとともに,上記室内機へ異常コードを通信し記憶させることでユーザーへ異常発生を報知する
ことを特徴とする空気調和機。」
・「【0078】
以上を総括すると,上記制御部Sは暖房運転時に気液分離器用切換弁11を閉成するが,以下の条件を全て満たしたときにのみ,気液分離器用切換弁11が異常開放している,との判定を実施する。
[気液分離器用切換弁11の異常発生判定条件]
a.圧縮機2が起動してから設定時間以上経過
b.室内熱交換器6の温度と室内温度との温度差が,設定温度以下を設定時間継続した後
c.圧縮機2の運転周波数が設定値以上
異常発生判定後の動作として,異常発生1回目は圧縮機2の運転を一旦停止したあと再起動し,異常発生2回目以降は圧縮機2の運転を停止するとともに,室内機1Bへ異常コードを通信し記憶させることでユーザーへ異常発生を報知する。
以上説明したように,冷房運転時には,冷媒が気相と液相とが入り混じった状態となり,冷媒の圧力損失が増すために,気液分離器8を用いて冷媒を気相と液相に分離し圧力損失を低減させる。」

(6) 引用例6
ア 引用例6には,以下の事項が記載されている。
・「【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内温度を検出する温度検出部,室内の空調空間に存在する人を含む物体を検出する人物検出部,リモートコントローラとの間で情報の伝送を行う第1の通信部,および空調制御部を備えた室内空気調和機と,空調状態を視覚化して表示する表示部,前記室内空気調和機の運転を遠隔制御する操作部,前記第1の通信部との間で情報の伝送を行う第2の通信部,およびリモコン制御部を備えたリモートコントローラと,を備えた空気調和機であって,
前記空調制御部には,室内温度と比較される温度の値を示す高温側閾値とこの高温側閾値より小さい低温側閾値とが設定され,
前記空調制御部は,前記人物検出部で物体が検出され,かつ,前記温度検出部で検出された室内温度が高温側閾値以上の場合には室内が異常高温であることを示す第1の情報を出力し,前記人物検出部で物体が検出され,かつ,前記温度検出部で検出された室内温度が前記低温側閾値以下の場合には室内が異常低温であることを示す第2の情報を出力し,
前記リモコン制御部には,前記高温側閾値を超える異常高温であることを前記表示部に表示させる第1の表示情報と,前記低温側閾値を下回る異常低温であることを前記表示部に表示させる第2の表示情報とが設定され,
前記リモコン制御部は,前記室内空気調和機からの前記第1の情報を受信したとき前記第1の表示情報を出力し,前記室内空気調和機からの前記第2の情報を受信したとき前記第2の表示情報を出力することを特徴とする空気調和機。」
・「【請求項7】
複数の前記空気調和機が設置された場所とは別の場所に設けられると共に,前記第1の表示情報および前記第2の表示情報が設定され,前記各室内空気調和機からの前記第1の情報を受信したとき前記第1の表示情報を出力し,前記各室内空気調和機からの前記第2の情報を受信したとき前記第2の表示情報を出力するコントローラを備えたことを特徴とする請求項1?6の何れか1つに記載の空気調和機。
【請求項8】
室内空気調和機は,インターネット端末に接続されるインターネット通信部を備え,
前記空調制御部は,前記第1の情報および前記第2の情報を,前記インターネット通信部を介して通信機器に送信することを特徴とする請求項1?7の何れか1つに記載の空気調和機。
【請求項9】
前記空調制御部は,前記通信機器からの空調制御情報に基づいて空調制御を行うことを特徴とする請求項1?8の何れか1つに記載の空気調和機。
【請求項10】
前記空調制御部は,前記インターネット通信部を介して,室内温度変動に係わる情報を受信し,この情報を前記リモートコントローラまたは前記通信機器に対して送信することを特徴とする請求項1?9の何れか1つに記載の空気調和機。」
・「【0005】
本発明は,上記に鑑みてなされたものであって,室内が異常高温または異常低温のとき室内の人に注意喚起を行うことができる空気調和機を得ることを目的とする。」
・「【0007】
この発明によれば,室内空気調和機または室内空気調和機制御用コントローラに室内が異常高温または異常低温である旨の注意喚起を行う機能を設けるようにしたので,室内に人が存在し,かつ,室内が異常高温または異常低温のとき室内の人に注意喚起を行うことができるという効果を奏する。」
・「【0011】
図1には,本発明の実施の形態1にかかる空気調和機の室内空気調和機Bと室内空気調和機制御用コントローラA(以下「コントローラA」)とが示されている。コントローラAには,空調制御の設定温度などを表示する表示部a-1と,室内空気調和機Bの運転を遠隔制御するための操作部a-2と,室内空気調和機Bとの間で情報の通信を行う通信部a-3とが設けられている。また空気調和機Bには,赤外線によって室内に存在する人や動物などを検出する赤外線センサb-1と,室内温度を検出する室内温度検出センサb-2と,コントローラAとの間で情報の通信を行う通信部b-3とが設けられている。なお,通信部a-3および通信部b-3の通信方式は,無線,有線を問わない。また,実施の形態1の空気調和機では,室内空気調和機Bと通信可能なデバイスとしてコントローラAが用いられているが,例えばスマートフォンなどの通信端末をリモコンとして用いてもよい。また,実施の形態1の空気調和機では,室内に存在する人や動物などを検出する手段として赤外線センサb-1が用いられているが,例えばカメラなどの撮像装置で撮影された撮像データ(可視情報)に基づいて人や動物などを検出するように構成してもよい。
【0012】
室内空気調和機Bの空調制御部10では,例えば,赤外線センサb-1によって人体またはペット(以下「人など」)が検出されたか否かが判断されると共に,予め使用者本人によって設定されまたは工場出荷時に設定された高温側閾値温度(以下「高温側閾値」)あるいは低温側閾値温度(以下「低温側閾値」)と室内温度検出センサb-2で検出された室内温度とを比較して,室内温度が高温側閾値以上であるか否か,室内温度が低温側閾値以下であるかなどの判断が行われる。なお,高温側閾値および低温側閾値は,人の年齢や性別,ペットの種別や大きさなどによって適正値が異なるため,これらに対応した複数の閾値温度を空調制御部10に登録しておき,ユーザがこれらの閾値を選択可能に構成してもよい。このように構成することによって,使用者がこれらの閾値を容易に選択することが可能となる。
【0013】
次に図3を用いて動作を説明する。人などが検出され(ステップS1,Yes),かつ,室内温度が高温側閾値以上の場合(ステップS2,Yes),空調制御部10は,室内が異常高温(室内の人が熱中症になるおそれがある温度)であることを室内の人などに対して注意喚起するため情報(異常高温の警告情報10a)を通信部b-3へ出力する。警告情報10aは,通信部b-3からコントローラAの通信部a-3に送信され,通信部a-3からリモコン制御部20に伝送される。
【0014】
リモコン制御部20には,異常高温の警告情報10aに対応した注意喚起表示情報20aや,異常低温(室内の人が低体温症になるおそれがある温度)の警告情報10bに対応した注意喚起表示情報20bが設定されており,リモコン制御部20は,警告情報10aを受信したとき,注意喚起表示情報20aを表示部a-1へ送信する。この動作によって,表示部a-1には,室内が異常高温である旨の注意喚起表示が行われる(ステップS4)。
【0015】
ステップS2において,室内温度が高温側閾値未満の場合(ステップS2,No),空調制御部10では,室内温度が低温側閾値以下か否かが判断され,室内温度が低温側閾値以下のとき(ステップS3,Yes),空調制御部10は,室内が異常低温であることを室内の人などに対して注意喚起するため警告情報10bを通信部b-3へ出力する。この警告情報10bは,警告情報10aと同様に,通信部b-3および通信部a-3を介してリモコン制御部20に伝送され,警告情報10bを受信したリモコン制御部20では,警告情報10bに対応した注意喚起表示情報20bが表示部a-1へ送信され,表示部a-1には室内が異常低温である旨の注意喚起表示が行われる(ステップS4)。
【0016】
人などが検出されなかった場合(ステップS1,No),室内空気調和機Bの空調制御部10ではステップS1の動作が繰り返される。また,室内温度が高温側閾値未満,かつ,低温側閾値を超過している場合(ステップS3,No),空調制御部10では,ステップS1?S3の動作が繰り返される。なお,表示部a-1における表示内容としては,例えば「室内が高温状態」などの文字情報を提供するように構成してもよいし,発光ダイオードなどの発光源を表示部a-1に用いてこの発光源を通常運転とは異なるタイミングで点滅させ,あるいは発光源を通常の明るさよりも明るくなるように点灯させることによって,コントローラAから離れた場所に居る人に気づかせるように構成してもよい。」
・「【0018】
実施の形態2.
実施の形態1の空気調和機には,コントローラAに注意喚起を表示する注意喚起表示機能が設けられているが,実施の形態2の空気調和機には,目の不自由な人やコントローラAが置かれていない部屋に居る人も,室内温度が高温側閾値以上または低温側閾値以下であることを知ることができるように,音通知機能が設けられている。以下,実施の形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し,ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0019】
図4は,本発明の実施の形態2にかかる空気調和機の構成図であり,図4には,実施の形態2にかかる空気調和機を構成するコントローラA1および室内空気調和機B1が示されている。図5は,実施の形態2にかかる空気調和機の動作を説明するためのフローチャートである。室内空気調和機B1には,空調制御部10,赤外線センサb-1,室内温度検出センサb-2,および通信部b-3が設けられると共に,音発生部b-4が設けられている。またコントローラA1には,リモコン制御部20,表示部a-1,操作部a-2,および通信部a-3が設けられると共に,音発生部a-4が設けられている。
【0020】
コントローラA1において,音発生部a-4には注意喚起を促すような警告音や警告音声が設定されている。リモコン制御部20には,高温側閾値異常を超える異常高温であることを示す第1の音情報が警告情報10aと対応付けて設定され,また低温側閾値を下回る異常低温であることを示す第2の音情報が警告情報10bと対応付けて設定されている。そして,リモコン制御部20は,警告情報10a,10bを受信したとき,第1の音情報,第2の音情報を音発生部a-4に出力する。また,室内空気調和機B1において,空調制御部10は,警告情報10aを出力するときには音発生部b-4に対して異常高温であることを示す第1の音情報を出力し,警告情報10bを出力するときには音発生部b-4に対して異常低温であることを示す第2の音情報を出力する。なお,音発生部a-4,b-4に設定される音としては,例えば,コントローラA1の操作音の音調を変更して警告音として用いてもよい。
【0021】
次に図5を用いて動作を説明する。人などが検出され(ステップS11,Yes),室内温度が高温側閾値以上の場合(ステップS12,Yes),室内空気調和機B1の空調制御部10は,警告情報10aを通信部b-3へ出力すると共に,音発生部b-4に対して第1の音情報を出力する。通信部b-3で受信された警告情報10aは,コントローラAの通信部a-3に送信され,通信部a-3からリモコン制御部20に伝送される。警告情報10aを受信したリモコン制御部20は,第1の音情報を音発生部a-4へ送信すると共に,注意喚起表示情報20aを表示部a-1へ送信する。その結果,音発生部a-4および音発生部b-4からは室内が異常高温である旨の警告音や警告音声が発せられ,表示部a-1には室内が異常高温である旨の注意喚起表示が行われる(ステップS14)。」
・「【0026】
実施の形態3.
実施の形態1の空気調和機は注意喚起を表示するように構成されているが,実施の形態3の空気調和機は,異常温度が検出された際,室内温度を正常な温度に調整するように,室内空気調和機が空調制御を自動的に行うように構成されている。実施の形態1の空気調和機との相違点は,室内空気調和機Bの空調制御部10に,室内温度を正常な温度に調整する温度調整機能が追加されている点である。以下,実施の形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し,ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0027】
図6は,実施の形態3にかかる空気調和機の動作を説明するためのフローチャートである。人などが検出され(ステップS21,Yes),室内温度が高温側閾値以上の場合(ステップS22,Yes),室内空気調和機Bの空調制御部10は,室内温度を高温側閾値未満に低下させる温度制御指令情報を出力する。この温度制御指令情報が出力されることによって空気調和機では自動運転が行われ(ステップS24),例えば圧縮機,四方弁,室外ファン駆動部,および室内ファン駆動部(図示せず)などが制御される。
【0028】
ステップS22において,室内温度が高温側閾値未満(ステップS22,No),かつ,室内温度が低温側閾値以下のとき(ステップS23,Yes),室内空気調和機Bの空調制御部10は,室内温度を低温側閾値以上に上昇させる温度制御指令情報を出力し,空気調和機では自動運転が行われる(ステップS25)。
【0029】
人などが検出されなかった場合(ステップS21,No),室内空気調和機Bの空調制御部10ではステップS21の動作が繰り返される。また,室内温度が高温側閾値未満(ステップS22,No),かつ,低温側閾値を超過している場合(ステップS23,No),室内空気調和機Bの空調制御部10では,ステップS21?S23の動作が繰り返される。
【0030】
なお,実施の形態3にかかる空気調和機は,室内温度が高温側閾値以上または低温側閾値以下となったとき自動運転を実行させるか否かを使用者が任意に設定できるように構成してもよいし,この設定に関わらず室内温度が高温側閾値以上または低温側閾値以下となったときには強制的に自動運転を実行させるように構成してもよい。また,実施の形態3にかかる空気調和機の自動運転機能は,実施の形態1,2の機能と組み合わせてもよく,このように構成すれば,人の操作が行われなくとも室内温度を正常な温度に調整することができると共に,実施の形態1,2の効果も得ることが可能である。
【0031】
以上に説明したように,実施の形態3にかかる空気調和機の空調制御部10は,警告情報10aを出力するときには室内温度を高温側閾値未満に低下させる温度制御指令情報を出力して空気調和機の自動運転を行い,警告情報10bを出力するときには室内温度を低温側閾値以上に上昇させる温度制御指令情報を出力して空気調和機の自動運転を行うようにしたので,室内に居る人などが熱中症や低体温症になることを防ぐことができる。」
・「【0046】
実施の形態7.
実施の形態1?6の空気調和機には室内空気調和機Bが1台のみ用いられているが,以下の説明では,複数の室内空気調和機Bからの警告情報10aおよび警告情報10bを受信する集中管理制御用コントローラA3を備えた空気調和機に関して説明する。以下,実施の形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し,ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0047】
図10は,本発明の実施の形態7にかかる空気調和機の構成図である。図10には,複数の部屋A?Dに各々設置された室内空気調和機Bと,各室内空気調和機Bに対応付けて設置された複数のコントローラAと,集中管理制御用コントローラA3とが示されているこのように,各部屋に室内空気調和機Bが設置されている場合,各部屋の室内空気調和機BあるいはコントローラAで検出された室内温度に関する情報は,図示しない通信回線を通じて集中管理制御用コントローラA3に送信される。また,室内温度が高温側閾値以上の場合,集中管理制御用コントローラA3には警告情報10aが伝送され,室内温度が低温側閾値以下の場合,集中管理制御用コントローラA3には警告情報10bが伝送される。従って,集中管理制御用コントローラA3には,どの部屋に設置された室内空気調和機BまたはコントローラAで異常温度が検出されているのかを表示することができる。また,集中管理制御用コントローラA3は,異常温度が検出された部屋の空調制御を行うことができる。また,実施の形態7の空気調和機は,集中管理制御用コントローラA3以外にも,一の部屋(例えば部屋A)で検出された異常温度に関する情報を他の部屋(例えば部屋Bなど)に設けられたコントローラAに表示させるように構成してもよい。
【0048】
自分では室内空気調和機Bの設定を変えることのできない高齢者等が部屋に居るような場合,室内温度が異常高温または異常低温となると高齢者等は体調を崩すおそれがある。実施の形態7の空気調和機によれば,高齢者等がいる部屋に家族や介護者がいなくても,集中管理制御用コントローラA3,もしくは他の部屋にあるコントローラAに,どの部屋で異常温度が検出されているのかを表示させることができると共に,異常温度が検出された部屋の空調制御を行うことができるので,高齢者等が体調を崩すことを防ぐことができる。
【0049】
以上に説明したように,実施の形態7にかかる空気調和機は,複数の空気調和機Bが設置された場所とは別の場所に設けられると共に,注意喚起表示情報20aおよび注意喚起表示情報20bが設定され,各室内空気調和機Bからの警告情報10aを受信したとき注意喚起表示情報20aを出力し,各室内空気調和機Bからの警告情報10bを受信したとき注意喚起表示情報20bを出力するコントローラ(集中管理制御用コントローラA3)を備えるようにしたので,高齢者等が居る部屋以外の場所から室内の温度状況を管理することができ,高齢者等が体調を崩すことを防ぐことができる。」
・「【0050】
実施の形態8.
実施の形態1?7は,室内空気調和機BとコントローラAとの間における宅内ローカル通信の実施例であるが,以下の説明では,室内空気調和機BまたはコントローラAにインターネット接続用端末が搭載された空気調和機に関して説明する。以下,実施の形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し,ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0051】
図11は,本発明の実施の形態8にかかる空気調和機の構成図である。実施の形態1の空気調和機との相違点は,室内空気調和機Bにインターネット接続用端末c-1が接続され,室内空気調和機Bにはインターネット通信部(図示せず)が設けられている点である。なお,インターネット通信部は,コントローラAに設けてもよい。室内空気調和機BもしくはコントローラAにインターネット通信部を設けた場合,室内温度が高温側閾値以上または低温側閾値以下になったとき,空調制御部10からの警告情報10aまたは警告情報10bが,インターネット端末c-1およびインターネット回線c-2を介してパソコンc-4に伝送され,インターネット回線c-2および電話基地局c-3を介して携帯電話c-5に伝送される。すなわち,屋外に居る人に対して室内温度が異常低温あるいは異常高温であることが通報される。
【0052】
通報の態様としては,予め登録されたEメールアドレスに対してEメールで通知し,携帯電話c-5にアプリケーションを常駐させて通知を受信できるようにしてもよい。なお,インターネット通信部は,室内空気調和機BおよびコントローラAの両方に搭載してもよいし,何れか一方に搭載してもよい。
【0053】
以上に説明したように,実施の形態8にかかる空気調和機の室内空気調和機Bは,インターネット端末c-1に接続されるインターネット通信部を備え,空調制御部10は,警告情報10aおよび警告情報10bをインターネット通信部を介して通信機器(パソコンc-4,携帯電話c-5)に送信することようにしたので,室内空気調和機Bが設置された部屋に,空気調和機の設定を変えることのできない高齢者等の介護者がいなくても,遠隔地にある通信機器に室内温度の異常を通知することができる。
【0054】
実施の形態9.
実施の形態8の空気調和機は,インターネット回線c-2を用いて遠隔地にあるパソコンc-4や携帯電話c-5などの通信機器にEメール等で室内温度の異常温度を通報するように構成されているが,実施の形態9の空気調和機は,遠隔地にある通信機器によって運転制御が行われるように構成されている。例えば,遠隔地にある通信機器では,室内空気調和機Bに設定されている温度,室内温度,異常温度などを,インターネット回線c-2を介して確かめることができる。室内が異常温度になることを事前に防ぐため,遠隔地にある通信機器によって空調操作情報(例えば室内設定温度の変更)が行われた場合,空調操作情報が室内空気調和機Bに送信される。実施の形態9にかかる空気調和機の空調制御部10では,この情報に基づいて空調制御が行われ,室内温度が異常高温または異常低温となることが防止される。
【0055】
以上に説明したように,実施の形態9にかかる空気調和機の空調制御部10は,通信機器からの空調操作情報に基づいて空調制御を行うようにしたので,高齢者等の介護者が遠隔地にいながら空気調和機の温度調整を行うことが可能である。」
イ 以上の記載からすると,引用例6には,次の発明が記載されているといえる(以下「引用例6発明」という。)。
(引用例6発明)
「複数の部屋A?Dに各々設置され室内温度を検出する室内温度センサb-2と空調制御部10を備えた複数の室内空気調和機Bと,
前記空調制御部10に通信回線を通じて接続された集中管理制御用コントローラA3とを備え,
室内温度が高温側閾値以上の場合,集中管理制御用コントローラA3に警告情報10aが伝送され,集中管理制御用コントローラA3にどの部屋に設置された室内空気調和機Bで異常高温(室内の人が熱中症になるおそれがある温度)が検出されているのかを表示する機能を備える空気調和機に係るシステム。」

(7) 引用例7
引用例7には,以下の事項が記載されている。
・「【0043】以上により,あるユーザが電気洗濯機14を新規に購入してネットワーク家電構成管理ページに登録する手続について説明した。こうして,ユーザごとにセンターサーバ20の顧客データベース21に所有製品ごとの管理情報を登録すれば,この後,ユーザ各々は,自宅10内でホーム端末15を用いて登録されている家電製品1xに対する遠隔操作できるようになる。なお,家電製品1xそれぞれの認証番号は,製品の製造番号である。
【0044】すなわち,図7のフローチャートに示すように,例えば,ユーザが自宅10の1階にいて2階のエアコン11のスイッチをONあるいはOFFしたいと思った場合,ホーム端末15に表示されている登録機器からエアコンのアイコンを選択すると,ホーム端末15の通信装置16からエアコン11の通信装置16を呼び出し,アクセス要求を行う(ステップS51)。エアコン11の通信装置16は,アクセス要求を受け取ると,認証コードを認証する。ここで,ホーム端末15側からエアコン11に対する最初のアクセス要求である場合には,エアコン11側がホーム端末15側に認証コードの入力を要求し,ユーザが製造番号を認証コードとして入力すれば,照合する(ステップS53,S55)。
【0045】認証が成立すれば,エアコン11の通信装置16はホーム端末15に接続許可を出し,ホーム端末15からエアコン11に対する遠隔操作を可能にする(ステップS57,S61)。認証コードが不一致であれば,接続を許可せず,通信を切断する(ステップS69)。なお,2回目以降は,認証コードの認証はホーム端末15と家電製品の通信装置16との間で自動的に実行され,ホーム端末15から1回目に入力され,保持されている製造番号を認証コードとして家電製品1xに送信し,家電製品1x側の通信装置16において自機の製造番号と照合する。
【0046】ホーム端末15から家電製品1xに対する遠隔操作が可能になれば,以降,エアコン11に対する遠隔操作であれば,例えば,図8の遷移図,図9のフローチャートのような手順で遠隔操作が実行される。まず,図8(A)の機器選択の画面からエアコンのアイコンが選択されると矢印(i)のように同図(B)の画面に展開される。そこで,いずれかの操作ボタン,ここでは温度設定ボタンにタッチ操作されると,矢印(ii)のように同図(C)に展開され,これから設定温度のためにアップ・ダウン操作がなされる。温度設定操作が完了して「OK」ボタンが押されると,矢印(iii)のように画面(B)に戻り,さらに「キャンセル」ボタンが押されると矢印(iv)のように画面(A)の機器選択に復帰する。」
・「【0054】次に,この第2の実施の形態のホームネットワークシステムにおいて,ユーザが外出先から携帯電話51又は携帯情報端末52を用いて自宅の家電製品1xのいずれかの遠隔操作を行う場合の処理手順について,図13を用いて説明する。ここでも,ユーザが携帯電話51を用いて,外出先から自宅のエアコン11のタイマ設定を行う手順について説明する。
【0055】(1)ユーザは携帯電話51によってセンターサーバ20の電話番号に接続する。
【0056】(2)センターサーバ20では,顧客情報及び機器管理情報からユーザの個人認証及び接続している携帯電話51の機器認証を行う。ここで,リモート接続可能な機器情報60はあらかじめ登録されていて,機器のハードウェア情報及び電話番号等によって識別する。また,個人認証はIDとパスワードによる。
【0057】(3)センターサーバ20では,携帯電話51からのアクセスに対して認証が成立すれば,あらかじめ登録されているユーザ宅の無線ルータ17に接続先を変更する。同時にセンターサーバ20は携帯電話51に対して図8に示したようにGUIメニューを送信して表示させる。
【0058】(4)センターサーバ20から接続先が変更された無線ルータ17では,顧客情報及び機器構成管理情報からユーザ認証と機器認証とを再度実行する。これは,セキュリティのためである。
【0059】(5)携帯電話51からの接続に対して,無線ルータ17が認証を確認すると,図8に示したGUIメニューから操作対象機器と命令を選択し,実行する。この場合,無線ルータ17は選択された家電機器,ここではエアコン11の通信装置16と無線通信を行い,携帯電話51からの指令をエアコン11に実行させることになる。
【0060】(6)無線ルータ17は携帯電話51からの操作命令を該当する家電製品に対して実行させれば,そのステータスを携帯電話51に転送する。
【0061】これにより,例えば,ユーザが外出先から携帯電話51等で遠隔操作をする場合に,1つの家に同一型式の家電製品が設置されていても,そのうちの1台(例えば,同一型式のエアコンが複数台,各部屋に設置されているような場合に居間の1台)だけを指定して遠隔操作できるようになる。しかも,この場合,ホーム端末15側の外部ネットワークとの通信機能を備えなくてもよいため,その構成,機能を簡単化できる。」

(8) 引用例8について
・「【0024】
図1は,無線通信リンク200を介して伝搬されるプロトコル手段2000,2100,2200,2300,2400,2500を使用して,本発明の教示に従って自己記述的である1つ又は複数の装置300と通信する1つ又は複数のコントローラ100を含む遠隔操作システムを開示する。さらに,コントローラ100は,それ又はユーザが対話する必要がある場合があるあらゆるリソースにアクセスするために,又は装置300のカスタマイズ化を達成するために,通信ネットワーク600を介してサーバ500とも通信してよい。
【0025】
装置300は,オートディスカバリ遠隔操作(ADRC)プロトコルを実装し,その結果少なくとも1つのリソース記述ファイル(RDF)を含む。ADRCプロトコルを使用し,コントローラ100は無線通信リンク200上で装置300と通信する。
【0026】
プロトコルステップ2000で,コントローラ100及び装置300は互いを発見し,以後,それらが双方向通信に自由に参加し得る関連付けを形成する。
【0027】
プロトコルステップ2100で,コントローラ100は,装置300のサブユニットごとにRDFを受信し,その中に示されるあらゆるリソースを取り戻そうと試みる。いったんこれらのリソースが取得されると,コントローラ100はRDF内の情報を使用し,装置300を制御するために必要且つ十分であるユーザインタフェースを動的に生成し,受信される可能性のあるイベントに応答するために必要とされるあらゆるハンドラリソースを構成する。
【0028】
プロトコルステップ2200で,コントローラ100は,装置300のための記述情報を受信する。記述情報は,製造メーカ,型,バージョン,及びリンクを含む項目を含むことがあり,これは装置300が実装することがある1つ又は複数のサブユニットのために提供される。
【0029】
プロトコルステップ2300で,ユーザは,音声命令を発行することによってであってよいユーザインタフェースからの制御を活性化し,コントローラ100は,RDF内の関連付けられた情報を使用して正しいコマンドコードシーケンスを策定し,コマンドコードシーケンスを受信し,関連付けられたコマンドを実装する装置300にこれを送る。
【0030】
プロトコルステップ2400で,装置300は,コントローラ100に,それが状態を変更したこと,又は何らかの他の状態の変化が発生したことを示す,求められていないイベント通知を送る。コントローラ100は,RDFに含まれる情報を使用して通知を解釈し,関連付けられたハンドラリソースを呼び出すことによって適切な応答を実施できる。」
・「【0040】
アプリケーションに応じて,装置300は,コントローラ100が認証する,またはその逆を必要とすることがある。認証が必要とされ,無事に完了すると,装置300及びコントローラ100は互いとのネットワーク接続を確立するために必要とされる任意の情報を交換する。例えば,ネットワークがRF4CEPANであると,コントローラ100はPAIR.requestメッセージをNLMEに送り,装置300はPAIR.responseで応答するであろう。成功すると,両方関係者とも互いと「組になり」,ここで自由に通信できる。」
・「【0059】
図6を参照して,続く段落は,M台のコントローラとN台の装置間の関連付けを形成するタスクが,ユーザのために大幅に簡略化される構成を開示する。
【0060】
特定のPANに基づいたネットワーキングシステムでは,ユーザは,各コントローラMと装置Nの間の関連付けを形成するように要求される。関連付けの数がM*N(M及びNの積)であるため,これは,比較的早急にユーザにとって不便となる。例えば,ある家庭が3台のコントローラ及び5台の装置(例えば,TV,DVD,STB,エアコン,加熱サーモスタット)を有していると,15の関連付けが行われなければならないだろう。この数は,受容性の限界と近似している。しかしながら,別の家庭が3台のコントローラ及び20台の装置(AV機器,電灯スイッチ,調節器,コンセント等)を有していた場合,関連付けの数は,明らかにセットアップに不便であり,管理が困難である60になるだろう。
【0061】
この状況を緩和するために,プロキシ装置700が遠隔操作システムに導入されてよい。この構成では,各装置1...Nは,プロキシ700との関連付けを形成し,各コントローラ1...Mもプロキシとの関連付けも形成する。したがって,N+Mの関連付けがある。以前の例を続けると,家庭1では,現在,15と比較して8の関連付けがあり,家庭2の場合,60と比較して23の関連付けがあるだろう。したがって,プロキシ700の導入は,ユーザがセットアップし,保守しなければならない関連付けの数を大幅に削減し,したがって結果として生じるシステムはより便利で,望ましくなる。
【0062】
プロキシ700は,前述されたサービス510に類似するように動いてよく,各装置300はプロキシ700のサブユニットになる。したがって,コントローラ100は,必要に応じて,コントローラ100から装置300に要求を,及び装置300からコントローラ100に応答を転送するプロキシ700と対話するためにADRCプロトコルを使用できる。」
・「【0075】
図12を参照して,続く段落は,装置700が,無線通信リンク200の範囲外にある別の場所にあるコントローラ100に遠隔アクセスを提供する構成を開示する。
【0076】
仕事場所等の遠隔場所にいる間に,イベント通知を制御し,自分の家庭の装置からイベント通知を受信できることを有利だと感じるユーザもいる。例えば,ユーザがエアコンをオフにせずに外出したことが分かった場合に,彼らは仕事を始めるときに,又は一般に,インターネットにアクセスできる任意の場所から状況を訂正できるだろう。
【0077】
別の例では,装置がイベントを生成すると,ユーザが警告され,その結果,なんらかの処置を講じることができるように,これを遠隔場所にあるコントローラに送ることができるであろう。
【0078】
装置700は,1つ又は複数のPAN上の装置300と通信できるように構成される。これらのPANは,必ずしも同じ技術を使用する必要はない。例えば,PAN1はBlutooth3ネットワークであってよく,PAN2は超広帯域(UWB)ネットワークであってよい。また,装置700は,なんらかのLANネットワーキング手段を介して,例えば,Wi-Fi(商標)アクセスポイント又はDSLモデム等を介して,インターネットに接続するように構成される。コンピュータ500は遠隔位置にあり,インターネットへの接続部を有する。
【0079】
ADRCプロトコルを具体的に表現するソフトウェアアプリケーションが,コンピュータ500上にインストールされる。この「SoftRemote」100は,インターネット上のサーバからダウンロードされた可能性がある。さらに,装置700は,ネットワークパケットをフォーマットし直し,それらをあるネットワークと別のネットワークの間で送ることを可能にする1つ又は複数のゲートウェア手段を実装する。
【0080】
例えば,コンピュータ500は,UDP/IPパケットを1つ又は複数のBluetoothパケットにフォーマットし直し,これらをPAN1に送る装置700にそのUDP/IPパケットを送ることがある。最後に,前記に開示されたように,各装置300がハブのサブネットの内の1つであるように見えるように,ハブ700がプロキシとして働く。ここで「SoftRemote」100は,あたかも装置300a,300b,及び300cがローカルであるかのように装置700を介してそれらの装置と対話するためにADRCプロトコルを使用できる。」

(9) 引用例9について
引用例9には,以下の事項が記載されている。
・「【0018】
まず,本実施形態の情報処理装置としてビデオ装置を例にとって説明する。なお,本発明の情報処理装置は,ビデオ装置に限るものではなく,テレビ,カセットデッキ,DVDプレイヤ,ハードディスクレコーダ,ラジオ,カーナビゲーションシステム,自動車・家・マンションにおけるエントリーシステム,照明器具,エアコン,または扇風機など,様々な機器に適用することができる。
【0019】
図1は,本実施形態のビデオ装置100のブロック構成図である。本実施形態のビデオ装置100は,通信インターフェース部101,受信部102(受信手段),信号処理部103(情報処理手段,設定手段),記憶部104(記憶手段),送信部105(送信手段),実行部106(実行手段),デッキ部107,および表示部108を含んで構成されている。このビデオ装置100は,リモコン機能付きの携帯電話200から,例えば赤外線によるリモート信号を受信し,受信したリモート信号に応じて,挿入されているビデオテープの再生,または停止などの動作を行う。以下,各構成について詳細に説明する。
【0020】
通信インターフェース部101は,リモコン機能付きの携帯電話200から赤外線によるリモート信号を受信し,または携帯電話200に対して登録されている情報などを出力する部分である。本実施形態では,通信方式として赤外線の送受信インターフェースとして機能しているが,通信方式としてブルートゥースや通常の携帯電話における無線通信を採用してもよい。
【0021】
受信部102は,通信インターフェース部101を介して受信した携帯電話200からの動作指示,ID情報,またはコード情報などの各種情報を含んだリモート信号を受信する部分である。受信部102が受信したリモート信号は信号処理部103に出力される。
【0022】
信号処理部103は,受信部102により受信されたリモート信号に基づいた処理を行う部分である。具体的には,信号処理部103は,携帯電話200から受信部102を介して機器IDを受信した場合,当該機器IDがビデオ装置100を示す機器IDであるか否かを判断するため,ビデオ装置100が予め記憶している機器IDと携帯電話200から送信された機器IDとを比較する。信号処理部103は,機器IDが一致していると判断した場合,送信部105による確認要求を携帯電話200に行う。また,信号処理部103は,機器IDが不一致であると判断した場合,エラーの旨を示す信号を,携帯電話200に送信部105を介して出力する。
【0023】
また,信号処理部103は,携帯電話200から固有番号,PINコード,およびリモコン種別などを,受信部102を介して受信すると,リモコン番号を生成して,携帯電話200にリモコン番号を割り当て,記憶部104に記憶させる。その後,信号処理部103は,リモコン種別に応じた機能登録ガイド(音声または文字によるメッセージ)を,記憶部104から読み出し,送信部105を介して携帯電話200に出力する。さらに,信号処理部103は,機能登録ガイドに従って機能設定がされた携帯電話200から出力された,機能情報と操作ボタンを示す操作情報とを対応付けたレイアウト情報を,上述割り付けられたリモコン番号とともに,受信部102を介して受信する。そして,信号処理部103は,記憶部104に,当該リモコン番号に,機能情報と操作ボタンを示す操作情報とを対応付けて記憶させる。
【0024】
また,信号処理部103は,リモコン番号と操作ボタンを示す操作情報とを,携帯電話200から受信部102を介して受信すると,記憶部104から,リモコン番号および操作情報に対応した機能情報を読み出し,実行部106に出力する。また,信号処理部103は,リモコン番号とレイアウト情報の要求とを,携帯電話200から受信部102を介して受信すると,記憶部104から,リモコン番号に対応した操作情報および機能情報を読み出し,送信部105を介して,携帯電話200に出力する。
【0025】
記憶部104は,リモコン番号ごとに,操作情報と機能情報とを対応付け記憶する部分である。リモコン番号は,信号処理部103により生成されて,記憶部104に記憶される。また,操作情報および機能情報は携帯電話200から受信部102および信号処理部103を介して,記憶部104に記憶される。また,記憶部104は,リモコン種別ごとに機能登録ガイドを記憶する。機能登録ガイドとは,携帯電話200で操作ボタンごとの機能の設定を行わせるためのガイダンスメッセージであって,携帯電話200にて,文字や音声で出力されるメッセージである。記憶部104ではリモコン種別ごとに機能登録ガイドを記憶しているため,音声メッセージを出力するか,文字によるメッセージを出力するかが,リモコン種別によって,信号処理部103により判断され,対応した機能登録ガイドが出力される。なお,本実施形態ではリモコン番号ごとにレイアウト情報を記憶しているが,リモコン番号に限定するものではなく,携帯電話200に設定されている固有番号に対応付けてレイアウト情報を記憶するようにしてもよい。固有番号を利用することで,ビデオ装置100側でリモコン番号の設定処理や,その通知処理を省略することができる。」

(10) 引用例10
引用例10には,以下の事項が記載されている。
・「【0006】
従来の設備異常遠隔監視システムにおいては,設備の異常が連続して繰り返し発生し異常が解消されて異常信号が検出されなくなるまで,監視装置から監視センタに対して発報が,所定の間隔をあけて繰り返し行なわれる。例えば,建物の管理者,または設備の異常に対応する作業員がその異常を認識しているにもかかわらず,設備の異常が解消されなければ,監視装置から監視センタに発報が繰り返し行なわれることになる。
【0007】
このように同一の異常情報が多発すると,発報の動作ごとに通信費用が発生してしまい,通信コストが増大してしまうという問題がある。また,監視センタにおいては,繰り返し受信される同一の異常情報を,その都度,処理しなければならず,監視センタの負荷が増大してしまうという問題がある。当然に,監視センタの負荷が増大すると,多発している異常情報とは異なる他の異常情報を処理しにくくなる可能性がある。
【0008】
本発明の目的は,同一の異常情報が多発した場合であっても,無駄な通信コストを低減するとともに,監視センタの負荷を低減することができる設備異常遠隔監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は,建物内の設備を監視する監視装置と,監視装置に通信回線を介して接続され,建物内の設備の異常を遠隔から監視する監視センタと,を有する設備異常遠隔監視システムにおいて,監視装置は,設備から入力された異常信号を異常情報として監視センタに発報するとともに,その異常信号がなくなるまで所定の間隔をあけて発報し続ける発報部を有し,監視センタは,同一の異常情報の多発状況を検出する異常情報多発検出部と,異常情報多発検出部により前記多発状況が検出された場合,監視装置に対して発報間隔を変更させる発報間隔変更部と,を有することを特徴とする。」
・「【0021】
設備14は,システム10の監視対象となる設備のことであり,空調設備,受変電設備,照明設備,給排水衛生設備,セキュリティ設備,昇降設備および防災設備などである。これらの設備は,機器,機器を制御する制御装置および各種センサを含む。設備14には,異常信号を出力する出力接点(図示せず)が設けられ,この出力接点と監視装置20が通信回線を介して接続される。
【0022】
監視装置20は,設備14を監視する装置である。監視装置20は,各設備14に接続され,設備14の異常を監視する監視部22を有する。設備14の異常とは,設備14が正常ではない状態のことであり,これには設備14の故障も含まれる。
【0023】
また,監視装置20は,発報部24とタイマ部26とタイマ変更部28と送受信部30とを有する。
【0024】
発報部24は,監視部22に接続され,設備14から監視部22にその設備14の異常信号が入力されると,その異常信号を異常情報として監視センタ16に発報する。また,発報部24は,後述するタイマ部26からの所定時間T1経過信号に基づいて,再度,同一の異常情報を監視センタ16に発報する機能を有する。すなわち,発報部24は,設備14の異常信号が連続して繰り返し発生して検出され続けている間は,所定時間T1の間隔をあけて,監視センタ16に対して発報動作を繰り返す。
【0025】
タイマ部26は,時間を計る装置である。タイマ部26は,発報部24の発報動作に基づいて,時間の計測を開始する。そして,タイマ部26は,その計測時間が,予め設定された所定時間T1に到達すると,発報部24に所定時間T1経過信号を出力する。所定時間T経過信号には,発報部24が生成した異常情報と,この情報に基づいて計時を開始してから所定時間T1経過した旨の情報とが含まれる。
【0026】
タイマ変更部28は,タイマ部26に設定される所定時間T1を変更する装置である。所定時間T1とは,設備14の異常を異常情報として発報した時点からの時間であり,その時間は,例えば5分である。タイマ変更部28は,所定時間T1を,これより大きい所定時間T2(例えは30分)に変更することができる。」
・「【0033】
また,監視センタ16は,異常情報多発検出部38と発報間隔変更部40と通知部42とを有する。
【0034】
異常情報多発検出部38は,監視装置20からの同一の異常情報の多発状況を検出する装置である。異常情報の多発状況とは,所定時間Tx内における同一の異常情報の発報回数nが所定回数N1以上である状況のことである。ここで,所定時間Txとは,例えば1時間であり,所定回数N1とは,例えば10回である。
【0035】
異常情報多発検出部38は,発報された異常情報が,例えばその日において連続したものではなく初めてのものである場合,時間を所定時間Txまでカウントし,その間における異常情報の発報回数をカウントする。そして,異常情報多発検出部38は,所定時間Tx内における同一の異常情報の発報回数nが所定回数N1以上である場合,その異常情報が多発状況であることを検出する。
【0036】
発報間隔変更部40は,異常情報多発検出部38により異常情報の多発状況が検出された場合,監視装置20に対して発報間隔を変更させる。具体的には,発報間隔変更部40は,タイマ変更部28に対して変更指令情報を出力する。変更指令情報が入力されたタイマ変更部28は,タイマ部26に設定される所定時間T1を所定時間T2に変更するとともに,変更完了情報を監視センタ16に出力する。」
・「【0038】
次に,システム10の制御動作の一例について図2を用いて説明する。図2は,システム10の制御動作を示すフローチャートである。なお,この制御動作のスタートは,設備14に異常が発生し,監視装置20の監視部22がその異常信号を検出した時点とする。
【0039】
ステップS101において,発報部24が,検出された異常信号に基づいて,異常情報を監視センタ16に発報する。このとき,タイマ部26は時間の計測を開始する。
【0040】
ステップS102において,監視センタ16が異常情報を受信し,ステップS103において,作業指示部36が,その異常情報に基づく設備14の異常に対処するように作業員に指示する。
【0041】
ステップS104において,異常情報多発検出部38は,ステップS102で監視センタ16が異常情報を受信した時点で,タイマと,その異常情報と同一の異常情報の発報回数とのカウントを開始する。
【0042】
ステップS105において,所定時間Tx経過時における発報回数nが設定回数N1以上であるか否かが判断される。所定時間Tx経過時における発報回数nが設定回数N1以上である場合,異常情報多発検出部38は,異常情報の多発を検出してステップS106に進む。一方,所定時間Tx経過時における発報回数nが設定回数N1未満である場合,異常情報多発検出部38は,異常情報が多発状況ではないと判断し,制御動作が終了する。
【0043】
ステップS106では,発報間隔変更部40がタイマ変更部28に変更指令情報を出力し,その情報に基づいてタイマ変更部28が発報間隔,すなわちタイマ部26に設定される所定時間T1からより大きい所定時間T2に変更する。変更後,タイマ変更部28は,変更完了情報を監視センタ16に出力する。
【0044】
そして,ステップS107では,通知部42が,ステップS103で指示された作業員に対して,発報間隔が変更された旨の情報を通知し,制御動作が終了する。
【0045】
本実施形態のシステム10によれば,同一の異常情報に基づく発報回数が多発した場合,その発報間隔をより大きくするように変更することができる。このような発報間隔の変更により,所定時間内における発報回数が変更前の発報回数に比べて低減されるので,発報の伴う通信コストを削減することができる。さらに,発報回数の減少により,監視センタ16内における異常情報の処理回数も減少するので,監視センタ16の負荷を低減させることができる。」

(11) 引用例11
引用例11には,以下の事項が記載されている。
・「【0066】
医監装置1が,監視対象の装置を認識して登録すると,次に,医療提供者は,3種類の監視タイマと,監視間隔の時間n(例えば10秒)を設定する。
【0067】
図7を用いて3種類の監視タイマについて説明する。
【0068】
監視タイマAは,医監装置1が,監視対象の医療機器105の異常を検知して,ナースコールを最初に通知した時点で監視タイマAを作動し,監視タイマAに設定した時間(例:15秒)が経過するまでに,ナースコールの通知に対する確認ボタン204が,医療提供者によって入力されなかった場合,監視タイマAが満了した時点で,再度ナースコールを通知する為に用いる。
【0069】
監視タイマBは,医監装置1が,監視対象の医療機器105の異常を検知して,ナースコールを最初に通知した後,ナースコールの通知に対する確認ボタン204が,医療提供者によって入力された時点で監視タイマBを作動し,監視タイマBに設定する時間(例えば20秒間)の間は,医療提供者により監視対象の医療機器105の異常に対する処置が実行されていると判断し,医監装置1が継続して監視を実行中に異常(警告音の音量等が増幅しない場合)を検知しても,ナースコールを再度通知しない判断に用いる。
【0070】
監視タイマCは,監視タイマAの満了通知を受けて再度ナースコールを通知する場合,再度ナースコールを通知した時点で,監視タイマCを作動する。
【0071】
監視タイマCに設定した時間(例:10秒)の間に,確認ボタン204が入力されず,監視タイマCが満了した場合,医監装置1は緊急を要すると判断し,ナースコールに通知するだけでなく医局110に通知を行う。
【0072】
医監装置1には,ナースコールシステムに接続し,病室を管理するナースコールセンターに通知するだけでなく,ナースコールを管轄する医局110等に通知する機能を持たせる。」
・「【0073】
以上がステップ301で行う医監装置1の初期設定に関する内容である。
【0074】
初期設定が終了すると医療提供者の入力によって,医監装置1は,医療機器監視を開始する。
【0075】
医監装置1が監視を開始すると,ステップ302の処理に進む。
【0076】
ステップ302の処理について,図2と図3を参照して説明する。
【0077】
ステップ302では,ステップ301で設定された時刻n間隔毎に,タイマ制御部215から,音検知制御部207と,画像光検知制御部209へ,通知信号216,217を用いて同時に時刻nの経過がHW信号として通知される。」
・「【0096】
次にステップ302以降の処理について説明する。
【0097】
ステップ302以降の処理は,メモリ202上のプログラム(監視タスク)の処理フローである。
【0098】
ステップ302では,時刻(T+n)の時点で,音検知制御部207と,画像光検知制御部209の監視結果を確認し,図6の,警告音検出結果601と,光検知検出結果611の両方が有効であるかどうかを確認し,有効である場合は,監視対象の医療機器105の異常検出として判断しステップ303へ進む,警告音検出結果601と光検知検出結果611の両方が有効でない場合は,次の時刻T+2nにおいて,再度ステップ302の処理を実行する。
【0099】
ステップ303では,医監装置1が監視対象の医療機器105の異常を検知したため,中継機104を経由して,ナースコールシステム子機107を解して,ナースコールシステム親機112に,異常検知を通知する。
【0100】
ステップ303での通知は,異常検知後の1回目の通知となる為,監視タイマAを開始し,医監装置1の監視タスクのプログラム上で監視対象の医療機器の異常検知有無を管理する異常検知フラグを有効に設定し,ステップ400の処理に進む。
【0101】
図4と図5は,異常を検知した後のステップ400以降の処理,時刻(T+n)以降に,プログラムの監視タスクに通知されるイベントを処理するフローである。
【0102】
監視タスクには,大別して3つのイベントが通知される。
【0103】
第1のイベントは確認ボタン204からの通知イベントで,第2のイベントは,監視タイマAや監視タイマBや監視タイマCのタイマからの満了通知イベントで,第3のイベントは,時刻n単位毎の図2の2つの検知処理部からの定期通知イベントである。
【0104】
監視タスクでは,これら3つのイベントを監視タスクが管理する監視対象の状態と照合して,通知に応じた処理を実行する。
【0105】
ステップ401では,医療提供者によって,異常検知通知に対する医監装置1の確認ボタン204が押下され確認入力がされたかどうかを判定する。
【0106】
確認ボタン204が入力された場合は,監視タスクのプログラムで管理する確認入力フラグを有効に設定し,ステップ402の処理に進み,入力されて無い場合はステップ403に進む。
【0107】
ステップ402では,異常検知通知に対して医療提供者から確認が入力された為,監視タイマAを停止し,監視タイマBを開始し,ステップ400に進み次のイベント通知をまつ。
【0108】
ステップ404では,タイマからのイベント通知の種類が,タイマAもしくはタイマCからの満了通知である場合は,ナースコールシステムへの再通知と医局110へ通知を行う為,ステップ510へ進む。異なる場合はステップ405へ進む。
【0109】
ステップ405では,ステップ303で設定した異常検知フラグが有効の状態で,監視タイマBの満了が通知された場合は,医療提供者による,医療機器105の異常解除処理が遅れていると判断し,ステップ510へ進み,ナースコールシステムへの再通知と医局110への通知を実行する。
【0110】
異常検知フラグが有効でなく,かつ監視タイマBの満了が通知されて無い場合は,ステップ400へ進み次のイベントを待つ。
【0111】
ステップ403でタイマ通知が無い場合は,ステップ406へ進み,音検知制御部207と画像光検知制御部209からの定期通知イベントである,定期検知イベントかどうかを判断し,定期検知イベントの場合は,ステップ500へ進み,異なる場合はステップ400へ進み次のイベントを待つ。
【0112】
図5は,図4で定期検知イベントが通知された場合の処理である。
【0113】
ステップ500に進んだ場合はステップ501で,定期的な異常検知判定を実行する。
【0114】
時刻T+nにおいて,音検知制御部207と,画像光検知制御部209の両方において,異常が検知された場合に,医療機器105において異常が発生したと判断した場合,時刻T+n以降も,時刻n毎に継続して異常検知判定を実行する。
【0115】
ステップ501では,時刻T+2nにおける異常検知判定において,時刻T+nと同様に,警告音検知と光検知の両方が異常を検知していた場合,ステップ502に進み,警告音検知と光検知の両方が異常を検知してない場合は,ステップ503に進む。
【0116】
ステップ502では,時刻T+nと時刻T+2nにおいて,警告音検知の異常増幅検知フラグ605と,光検知の異常増幅検知フラグ615の値を確認し,異常増幅が検知されているかどうかを確認する。この増幅確認の方法については,監視タスクのプログラム上に,警告音検知の音量や,光検知の光の強さを管理して,時刻T+nと,時刻T+2nの差を比較し,増幅しているかどうかを判断することも可能である。
【0117】
時刻T+nと,時刻T+2nで,異常増幅検知が確認された場合は,医療機器105の状態が緊急を要すると判断し,ステップ507に進み,ナースコールと医局110へ異常検知増幅を通知し,監視タイマCを開始する。
【0118】
異常の増幅が検知されない場合は,異常は継続して検知されているため,タイマ通知もしくは確認ボタン204の通知を待つため,ステップ400へ進み次のイベントを待つ。」

(12) 引用例12
引用例12には,以下の事項が記載されている。
・「【0059】ステップS120またはステップS150にてエラー有りと判定された場合,ステップS160にてそのエラー内容と,当該集線装置40の設置情報を,図6に示す通信手順に従って被通知端末20に通知する。同図において,エラー有りと判定されると,そのエラー内容と上記のような設置情報をLANコントローラ42に渡して上記エラー内容設定情報のエラー通知先に指定されている被通知端末20に通知する。エラー通知を行った後,10秒以内に同被通知端末20からACKが返送されなければ,同一のエラー内容および設置情報を再通知する。そして,ACKが返送されれば,所定のフラグをセットして同一のエラー内容を10分間通知しないようにしてからステップS110に戻って同様の処理を繰り返す。」

(13) 引用例13
引用例13には,以下の事項が記載されている。
・「【0004】
したがって,室内温度や室内湿度が高い状態であっても,ユーザがコントローラに対して運転開始操作を行わない場合,空気調和機の運転が開始されない。そのため,ユーザが熱中症等になることがある。
【0005】
そこで,本発明は,運転停止時において,運転開始を促す報知を行う空気調和機を提供することを目的とする。」
・「【0078】
そして,コントローラ30の裏面には全体を覆う蓋部が設けられており,図3(b)では蓋部を外した状態を示している。図3(b)に示すように,コントローラ30の裏面には,蓋部を外すと,モード切換部50が設けられている。モード切換部50により,空気調和機1の高温防止モードを,強制運転モード,お知らせモード及び切のいずれかに切り換えることができる。
【0079】
お知らせモードでは,室内が高温状態や高湿状態である場合に,室内温度及び室内湿度に基づいて,強制運転が自動的に開始される。したがって,お知らせモードに切り換えた場合,室内が高温状態や高湿状態になったときに,ユーザがコントローラ30に対して運転開始操作を行わなかった場合でも,強制運転が自動的に開始されて,室内温度及び室内湿度が低下する。
【0080】
また,お知らせモードでは,室内が高温状態や高湿状態である場合に,室内温度及び室内湿度に基づいて,運転開始を促す報知が自動的に行われる。」
・「【0108】
〔第2実施形態〕
次に,図6を参照しつつ,本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の空気調和機は,第1実施形態の空気調和機と,お知らせモードで運転開始を促す報知が行われる時期が異なっている。なお,その他の構成は,上記第1実施形態と同様であるため,同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0109】
第2実施形態の空気調和機において,運転開始を促す報知を行うかを判定する判定図は,第1実施形態の空気調和機における判定図(図4)と同一である。
【0110】
そして,第1実施形態の空気調和機では,お知らせモードにおいて,室内温度及び室内湿度が高温ゾーンにある場合に運転開始を促す報知が行われるのに対し,第2実施形態の空気調和機では,お知らせモードにおいて,室内温度及び室内湿度が高温ゾーンにある場合に運転開始を促す報知が行われると共に,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンに所定時間ある場合に運転開始を促す報知が行われる。
【0111】
次に,第2実施形態の空気調和機のお知らせモードにおける制御について説明する。
【0112】
まず,空気調和機の運転停止時において,コントローラのモード切換部50(図3(b)参照)によって,お知らせモードに切り換えられる(ステップS21)。ここでは,お知らせモードに切り換えられたときの室内温度及び室内湿度が待機ゾーンにある場合について説明する。
【0113】
お知らせモードにおいて,室内温度センサ21で検出された室内温度及び室内湿度センサ22で検出された室内湿度が,モニタリングゾーンにあるかを判断する(ステップS22)。室内温度及び室内湿度が待機ゾーンから高温ゾーンに変化する場合には,待機ゾーンからモニタリングゾーンに変化した後で,高温ゾーンに変化すると考えられる。したがって,ステップS22では,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにあるかに基づいて,室内温度及び室内湿度が,冷房運転を開始する必要のある高温ゾーンに近付いたかを判断する。
【0114】
そして,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにあると判断した場合には(ステップS22:YES),室内ファン16を駆動して,送風運転を開始する(ステップS23)。室内温度及び室内湿度が高温ゾーンの近くのモニタリングゾーンにある場合,送風運転を開始することで,室内機2の内部に空気が流れるので,室内温度及び室内湿度が適正に検出できる。
【0115】
一方,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにないと判断した場合には(ステップS22:NO),室内温度及び室内湿度が待機ゾーンにあるので,ステップS22に移行して,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにあるかの判断を継続する。
【0116】
そして,ステップS23で送風運転を開始した後,室内温度センサ21で検出された室内温度及び室内湿度センサ22で検出された室内湿度が,モニタリングゾーンにあるかを判断する(ステップS24)。室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにないと判断した場合には(ステップS24:NO),送風運転を開始した後で,室内温度及び室内湿度が待機ゾーンまたは高温ゾーンに変化したと考えられる。したがって,室内温度及び室内湿度が待機ゾーンにあるかを判断する(ステップS25)。室内温度及び室内湿度が待機ゾーンにあると判断した場合には(ステップS25:YES),室内温度及び室内湿度が高温ゾーンに近いモニタリングゾーンから待機ゾーンに変化したので,送風運転を停止し(ステップS26),ステップS22に移行して,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにあるかの判断を継続する。一方,ステップS25で,室内温度及び室内湿度が待機ゾーンにないと判断した場合には(ステップS25:NO),室内温度及び室内湿度が高温ゾーンにあって,室内温度及び室内湿度を低下させる必要があるので,運転開始を促す報知を行う(ステップS27)。
【0117】
<本実施形態の空気調和機の特徴>
本実施形態の空気調和機では,第1実施形態の空気調和機と同様に,室内が室内温度及び室内湿度を低下させる必要のある状態になった場合に,報知手段18により運転開始を促す報知が自動的に行われる。したがって,室内温度及び室内湿度が高い状態で長時間継続されるのを抑制できるので,ユーザが熱中症等になることを防止できる。
【0118】
また,本実施形態の空気調和機では,室内ファン16が駆動された後に,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンに所定時間ある場合に,運転開始を促す報知が行われる。したがって,室内温度及び室内湿度が,報知が必要となる前に報知を行って,室内温度及び室内湿度を低下させることが必要なことをユーザに知らせることができる。」

(14) 引用例14
引用例14には,以下の事項が記載されている。
・「【請求項1】
複数及び単数の空調機を監視・制御する集中コントローラ及びリモコンを備える空調管理システムにおいて,
前記集中コントローラは表示部及びスピーカを備え,前記空調機それぞれの設定状態を前記コントローラの表示部に表示する手段を備え,スピーカを通じて音声または警告音出力により警告内容を通知する手段を備え,
前記リモコンは表示部及びスピーカを備え,前記空調機それぞれの設定状態をリモコン表示部に表示する手段を備え,スピーカを通じて音声または警告音出力により警告内容を通知する手段を備え,室内機またはリモコンの温度センサにより感知した室内温度が30℃以上または,室内機の湿度センサにより感知した室内湿度が75%以上となった場合に室内機に付属している人感センサで人がいると判断した空調機に対して前記集中コントローラ表示部及び前記リモコン表示部に「室内環境注意状態」であることを表示し,前記集中コントローラのスピーカ及び前記リモコンスピーカより「室内環境注意状態」であることを通知し,前記状態が5分以上継続した場合に空調機の運転/停止状態に関わらず当該の空調機を熱中症予防の促進を目的とし空気の循環を意識し,現在のいかなる運転状態に関わらず運転/停止状態を運転,運転モードを冷房,設定温度を26℃,設定風量を最大,設定風向を自動,手元リモコン操作を全禁止として強制制御を行い,強制制御中は他のいかなる運転状態変更指令を受け付けず,前記集中コントローラ表示部及び前記リモコン表示部に「室内環境強制制御中」であることを表示し,前記集中コントローラのスピーカ及び前記リモコンスピーカより「室内環境強制制御中」であることを通知し,「室内環境強制制御」によって「室内環境注意状態」が30分間継続して解除された場合,「室内環境強制制御」を解除することを特徴とする空調管理システム。」
・「【0001】
本発明は複数の空調機の制御を行うリモートコントローラおよび,複数の空調機の管理を行う空調管理システムに関し,特に熱中症の予防を促進する強制制御を行うものに関する。」
・「【0022】
前記集中コントローラ2の前記制御部2bは,入力部2cからの運転指示要求(運転/停止,運転モード,設定温度,設定風向,設定風量の変更)を前記通信部2aから制御配線7を介して室内ユニット4に送信する。室内ユニット4は,その運転指示要求を前記通信部4aで受信し,制御部4bで運転指示要求を実行する。その実行後,室内ユニットの制御部4bは,通信部4a及び制御配線7を介して前記集中コントローラ2に変更データを送信する。集中コントローラ2の通信部2aは室内ユニット4の通信部4aからの変更データを受信し,その変更内容をコントローラ表示部2dに表示する。また,前記変更データは,前記室内ユニットの通信部4aから制御配線7を介して前記室外ユニット3とリモコン6にも送信される。」
・「【0039】
ステップ8またはステップ9において閾値を超えていると判断した場合において対象となっているときは,集中コントローラ2の表示部2dの当該室内ユニットおよび当該のリモコンの表示部6dに「室内環境注意状態」の表示を行い,集中コントローラ2のスピーカ2eおよびリモコンのスピーカ6fより「室内環境注意状態」であることを音または音声で出力する(ステップ13)。
【0040】
これにより当該の室内状態になっている部屋に「室内環境注意状態」となっていることが報知可能となる。従って,それを知ったユーザーは自らの意思により,自主的な空調制御を行うことが可能となる。また,集中コントローラを設置している部屋に「室内環境注意状態」となっている部屋の存在を報知可能すれば,「室内環境注意状態」となっている部屋にいる人に伝えることにより,部屋にいるユーザーによる自主的な空調制御を行うことが可能となる。また,事前に注意表示を行うことにより,強制制御となることを事前に知ることが可能となる。
【0041】
その後,自動制御を行うタイミングが即時なのか一定時間経過後なのかの判定を集中コントローラ2の制御部2bで行う(ステップ14)。
【0042】
これにより自主的に空調制御を行うことが可能な部屋と即時空調制御を行う部屋の判断が可能となる。
【0043】
ステップ14において判定した強制制御を行うタイミングになったとき,健康管理を第一に考え,スケジュール制御中およびデマンド制御中に関わらず集中コントローラ2の制御部2bは,室内環境強制制御(運転/停止:運転,運転モード:冷房,設定温度:26℃,設定風量:最大,設定風向:自動,手元リモコン操作:全禁止)の運転指令を集中コントローラ2の通信部2aから制御配線7を介して室内ユニット4に送信し,集中コントローラ2の表示部2dおよびリモコン6の表示部6dの表示を「室内環境注意状態」から「室内環境強制制御中」の表示に変える(ステップ15)。このように,健康管理を意識した空調機の制御を他のどの制御(或る別のモードで運転しているか或いは停止状態)よりも優先して行う。
【0044】
これにより「室内環境注意状態」となっている室内状態を緩和して熱中症等を起こしにくい,健康管理上,有利な室内状態へと空調することが可能となる。また,通知することで集中コントローラまたはリモコンから設定した制御内容と異なる制御となっている理由を,管理室にいる人や部屋にいる人に報知することが可能となる。
【0045】
30分継続して「室内環境注意状態」が解除された状態か判定を行う(ステップ16)。
【0046】
解除されていなければ強制制御を引き続き行い,解除されていれば集中コントローラ2の制御部2bで強制制御状態を解除し強制制御前の制御状態に戻すか,戻さないかの判断を行う(ステップ17)。これにより「室内環境注意状態」が解消されている場合は省エネを意識して元の制御状態に戻すか,「室内環境注意状態」に再び戻らないように手元リモコン操作全禁止のみ解除して他の設定は強制制御のままとするかの判定を行うことが可能となる。
【0047】
強制制御前の制御状態に戻さない場合,つまり手元リモコン全禁止のみ解除する場合,集中コントローラ2の制御部2bはリモコン禁止全解除の指令を通信部2aから制御配線7を介して室内ユニット4に送信し,集中コントローラ2の表示部2dおよびリモコン6の表示部6dの表示を通常の表示に戻し,集中コントローラ2のスピーカ2eおよびリモコンのスピーカ6fから出力する音声及び警告音を消す(ステップ18)。これにより強制制御状態が終了したことを報知することが可能となり,手元リモコンから直接空調機の制御を行うことが可能となる。
【0048】
強制制御前の制御状態に戻す場合,集中コントローラ2の制御部2bは強制制御前の制御状態の運転指令を集中コントローラ2の通信部2aから制御配線7を介して室内ユニット4に送信し,集中コントローラ2の表示部2dおよびリモコン6の表示部6dの表示を通常の表示に戻し,集中コントローラ2のスピーカ2eおよびリモコンのスピーカ6fから出力する音声及び警告音を消す(ステップ19)。これにより強制制御状態が終了したことを報知することが可能となり,また元の制御状態に戻すことで手動で元の制御状態に戻す手間を省略することが可能となる。」

(15) 引用例15
引用例15には,以下の事項が記載されている。
・「【0009】本発明の課題は,上述の事情を考慮してなされたものであり,外出時等に部屋を帰宅前の所定時刻に予め暖める要請と,無人の部屋を暖めるエネルギーの無駄を抑制する要請との両者を共に満足させることができる空気調和装置の制御システムを提供することにある。」
・「【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は,室外機および室内機を有する空気調和装置を予め設定した時刻に所定の設定温度で運転開始させる入りタイマー機能を有する空気調和装置のプログラムタイマー制御システムであって,運転開始により室内が設定温度もしくはその温度付近に達した後は時間の経過とともに次第に温度設定を緩めてゆき,かつ運転開始から一定時間が経過した後は運転を強制的に停止させる温度緩和・強制停止機能を有するものである。」
・「【0022】ところで,制御装置13には,リモートコントローラ26からの入力信号を受けて所定時間経過後に運転を開始させる入りタイマー運転,入りタイマー運転後の継続運転,入り切りタイマー運転等,各種タイマー運転を制御するプログラムタイマー制御手段13aが備えられている。そして,このプログラムタイマー制御手段13aには,入りタイマー機能に付随して,運転開始により室内が設定温度もしくはその温度付近に達した後は時間の経過とともに次第に温度設定を緩めてゆき,かつ運転開始から一定時間が経過した後は運転を強制的に停止させる温度緩和・強制停止機能が具備されている。」

(16) 引用例16
引用例16には,以下の事項が記載されている。
・「


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(17) 引用例17
引用例17には,以下の事項が記載されている。
・「【0017】
本発明によると,遠隔制御により空気調和機を運転させた場合に,運転開始後所定時間内に制御指令がないときは,強制的に空気調和機を停止させることができるので,遠隔制御の利便性を利用しつつも,不注意による消し忘れを防止でき,無駄な運転がなくなって経済的である。」
・「【0019】
空気調和機1は,図2に示すように,制御手段としての制御部6と,通信装置2との間でデータ信号を送受信する通信インターフェース7と,リモコン5からの制御指令を受信する受信部8と,時間を計測するタイマ9と,操作スイッチ10とを備えている。空気調和機1は,外部通信機器3,リモコン5又は操作スイッチ10からの制御指令により,冷房,暖房,除湿,換気等の空調を行う。」
・「【0021】
外部通信機器3は,インターネットを利用した通信が可能な例えば,携帯電話,パソコン,携帯情報端末(PDA)等の携帯端末が例示されるが,通信回線4を介して通信可能な装置であればこれに限定されるものではない。また,複数の外部通信機器3により遠隔制御可能としてもよい。」
・「【0028】
次に,上述の強制運転停止の制御方法について詳細を説明する。図3は,空気調和機の制御フローチャートである。外部通信機器3の遠隔制御により空気調和機1の運転開始指示がされ,空気調和機1はこの制御指令を受信して,運転を開始する。このとき,同時にタイムカウントを始める。
【0029】
図3に示すように,まず,制御部6は,空気調和機1が遠隔制御されたかどうかを判断する(S10)。そして,直前の制御指令が遠隔制御であると判断した場合は,最後に遠隔制御されたときからの時間が所定時間を経過したか否かを判断し(S11),所定時間を経過している場合は,空気調和機1の運転を停止させる(S12)。運転停止後は,制御指令の待機状態となる。」

(18) 引用例18
引用例18には,以下の事項が記載されている。
・「【0025】
また,本発明によれば,遠隔制御装置からのオンタイマ予約による運転指示に基づく運転中に,運転開始時の室内温度と運転開始から一定時間経過後の室内温度との差が所定値よりも小さい場合には,空調負荷の運転が停止される。上記の差が所定値よりも小さいということは,空調負荷の運転によっても室内温度変化があまり現れていないということになり,この場合は,例えば部屋の窓が開いているなど,室内環境が異常であると判断することができる。したがって,室内環境の異常時には空調負荷の運転が停止されることにより,無駄なエネルギーの消費を回避して,ユーザが不要な電気料金を支払うのを防ぐことができる。」
・「【0028】
空気調和機1は,室内および室外またはそのどちらか一方に設置され,室内の空気調整,すなわち,室内の冷房,暖房,除湿,換気等を行うものである。つまり,空気調和機1は,室内機と室外機とを合わせたもの以外にも,窓用エアコンディショナーのように室内に取り付けられるものも含む概念である。空気調和機1は,本体内の後述のスイッチ10からの指示内容のほか,遠隔制御装置2およびリモコン3からの指示内容に応じた運転を行うようになっている。なお,空気調和機1の詳細な構成については,後述する。
【0029】
遠隔制御装置2は,空気調和機1(特に空調負荷8)の運転を室外から指示したり,空気調和機1の保持する情報(例えば現在の運転状況に関する情報やセンサ情報)を取得するためのものである。遠隔制御装置2は,例えば,携帯電話等の携帯端末,小型PC(パーソナルコンピュータ)などの持ち運びが可能な装置,同じ建物内でも空気調和機1が設置される部屋以外の部屋や,他の建物内に設置されるPCや遠隔制御専用装置など,部屋に設置された空気調和機1と通信回線4を介して通信可能な装置であれば,どのような形態であっても構わない。
【0030】
上記通信回線4を介しての通信としては,例えばインターネット網,有線または無線による電話回線,有線による専用線などを利用した通信や,赤外線通信などの無線通信,あるいはそれらの通信形態を複数組み合わせたものを考えることができる。つまり,空気調和機1と遠隔制御装置2との間でデータ通信を実現できるものであれば,通信の種別は特に問わない。」
・「【0109】
本実施形態では,実施の形態1・2の遠隔オンタイマ予約運転制御シーケンスによるセンシング運転時,予備運転時および予約運転時(予約設定時刻からの運転時)の少なくともいずれかの運転時において,制御部19は,室内温度の変化に基づいて室内の異常(例えば窓やドアが開状態であるか否か)を判断し,異常時には,室内または室外のユーザに例えば電子メールでその旨を知らせるようになっている。以下,本実施形態の処理について,図5のフローチャートに基づいて説明する。なお,以下で言う運転とは,センシング運転,予備運転および予約運転のいずれであってもよい。
【0110】
まず,制御部19は,現在時刻が運転開始時刻であるか否かを判断し(S31),運転開始時刻であれば,その時点でセンサ9にて検知される室内温度T1を,センサ入力部17を介して取得し(S32),運転を開始させる(S33)。
【0111】
次に,制御部19は,運転開始から一定時間経過したかどうかを判断する(S34)。S34にて,一定時間経過していれば,その時点でセンサ9にて検知される室内温度T2を,センサ入力部17を介して取得する(S35)。
【0112】
続いて,制御部19は,運転開始時に取得した室内温度T1と,運転開始から一定時間運転した後に取得した室内温度T2との差分(|T1-T2|)をとり,その結果が所定値ΔTより小さいか否かを判断する(S36)。上記差分が所定値ΔT以上の場合は,制御部19は,遠隔オンタイマ予約運転を続行する制御を行う(S37)。
【0113】
一方,上記差分が所定値ΔTよりも小さい場合は,制御部19は,室内環境が適切でないと判断し,負荷駆動部16を制御して空調負荷8の運転を停止させる(S38)。そして,制御部19は,遠隔オンタイマ予約運転が停止したことを,遠隔操作を行ったユーザへ通知するための電子メールデータを作成し,遠隔制御データ入出力部11より当該データを遠隔制御装置2に送信する(S39)。また,このとき,同時に,制御部19は,表示処理部15を制御して,表示部7に遠隔オンタイマ予約運転が停止した旨を表示させるようにしてもよい。
【0114】
なお,遠隔操作による運転制御としては,オンタイマによる予約運転だけでなく,空気調和機1を単に運転オンする場合も考えられる。室内に人がいないという条件から考えると,遠隔オンタイマ予約運転だけでなく単なる遠隔オン運転時においても,これらの処理を行っても構わない。
【0115】
以上のように,本実施形態では,制御手段(制御部19および負荷駆動部16を含む制御回路部6)は,遠隔制御装置2からのオンタイマ予約による運転指示に基づく運転中に,運転開始時の室内温度T1と運転開始から一定時間経過後の室内温度T2との差(|T1-T2|)が所定値ΔTよりも小さい場合には,空調負荷8の運転を停止させている。なお,上記の運転は,センシング運転,予備運転,オンタイマ予約により設定された時刻からの予約運転のいずれであってもよい。」

(19) 引用例19
引用例19には,以下の事項が記載されている。
・「【0007】
本発明に係る空気調和システムは,室内温度を測定する温度検出器と,情報を表示,音,または振動で告知する告知部と,当該空気調和システムの制御を行うものであって,制御モードに告知モードを含む制御部を備え,前記制御部は,前記告知モードが有効とされているときに,室内温度が所定値以上であることを前記温度検出器が測定した場合,室内温度が所定値以上であることを前記告知部に告知させることを特徴としている。」
・「【0017】
本発明に係る空気調和システムは,図1から図6に示す第1実施形態では,空気調和機本体1と,それを遠隔操作する遠隔操作装置により構成される。遠隔操作装置は,片手で操作できる手持ち式のリモートコントローラ(本明細書においては「リモコン」の略称を用いることがある)50として構成されている。空気調和機本体1はリモコン50からの指令を受けて冷房,暖房,除湿などの各種空調運転を行う。」
・「【0027】
室内機30は告知部36及び送受信部37を備える。告知部36は表示部を兼ねるものであり,情報を表示または音で告知する。告知に表示を用いる場合,告知部36は筐体31の正面に露出する形で配置される。この場合の告知部36は液晶パネルやLEDで表示を行う。告知が専ら音により行われる場合は,告知部36は筐体31の内部に隠れていてもよい。送受信部37はリモコン50からの信号を受信したり,リモコン50に対し信号を送信したりするためのものであり,送受信のための素子を筐体31の正面に露出させている。
【0028】
空気調和機本体1の全体制御を司るのは図3に示す制御部40である。制御部40は中央処理装置(CPU)を中心的構成要素として含むものであり,室内機30の側に配置されている。制御部40は室内温度が使用者によって設定された目標値に達するように制御を行う。」
・「【0043】
前述の通り,空気調和機本体1は各種の制御モードで運転されるが,その制御モードには「告知モード」が含まれる。「告知モード」とは,室内温度が所定値以上であるとき,そのことを告知部36が告知するモードのことである。告知モードでは図6に示すフローチャートに従って制御が進行する。
【0044】
リモコン50の操作部53の中で「表示」の操作ボタン56が告知モードの有効,無効を切り替える切替ボタンとされている。すなわち操作部53が告知モードの有効,無効を設定する告知モード設定部ということになる。
【0045】
現在の設定が「告知モード無効」である場合,操作ボタン56を押すと,室内機30に対し「告知モードを有効にせよ」との指令が送信される。その指令を受け取った制御部40は告知モードを有効にする。告知モードが有効と設定されたことは不揮発性メモリ41に書き込まれ,不揮発性メモリ41はその情報を記憶する。告知部36が表示で告知を行うものであれば,告知部36に告知モードが有効と設定された旨の表示が現れる。告知部36が音で告知を行うものであれば,告知部36は告知モードが有効と設定されたことを音で告知する。リモコン50の表示部52にも告知モードが有効と設定された旨の表示が現れるようにしてもよい。
【0046】
告知モードが有効に設定された場合,制御部40は,図6のステップ#101で,温度検出器35の出力をチェックし,室内温度が所定値(例えば32℃)以上であるか,どうかを調べる。調べた結果,判定がYESであればステップ#102に進む。
【0047】
ステップ#102では告知処理ステータスが「告知」とされる。これにより告知部36は,表示または音により,室内温度が所定値以上であること,すなわちこのまま放置すると熱中症発症のおそれがあることを,液晶パネルの表示やLEDの点灯などで使用者に告知する。これを判断の一助として使用者は,空気調和機本体1の冷房運転,あるいは除湿運転を開始するか,どうかを決定し,必要な措置をとることができる。
・「【0049】
告知が表示に加えて音でもされる構成である場合,あるいは告知が音のみでされる構成である場合,告知部36はチャイムを鳴らすなどして告知する。その場合は,所定時間毎(例えば5分毎)に音を鳴らすようにするとよい。」
・「【0053】
リモコン50側の温度検出器35で測定した室温が所定値(例えば32℃)以上である場合は,リモコン50の表示部52に高温であることの表示を行わせるとともに,室内機30の告知部36でも液晶パネルの表示やLEDの点灯などによる表示を行わせる。なおリモコン50と室内機30の間の通信は,赤外線通信でなく電波通信にしておくと,リモコン50の向きにかかわらず安定した通信を行うことができるので,より好ましい。」
・「【0071】
本発明の空気調和システムの第4実施形態を図13に基づき説明する。第4実施形態がそれ以前の実施形態と異なっているのは,空気調和機本体1から告知部をなくし,リモコン50の表示部52のみに告知部としての機能を持たせた点である。
【0072】
制御部40は送受信部37よりリモコン50の送受信部61に必要な情報を送信する。情報を受信したリモコン50は,表示部52で表示により告知を行う。表示に加え,音で告知を行うこととしてもよい。また,リモコン50は手で持ったり,テーブルの上に置いたりするものであるところから,表示や音に加えて,あるいはそれらに代えて,振動で告知を行うこととしてもよい。」
・「【0078】
携帯電話やスマートフォンなど,無線で情報を授受する携帯情報端末に専用のアプリケーションをインストールし,これらを遠隔操作装置として使用することも可能である。これらの機器であれば,表示はもちろんのこと,音や振動で告知を行うことも容易である。これらの機器は,身につけたりバッグに入れるなど,使用者と共にあることが多いので,告知がより伝わりやすい。」

(20) 引用例20
引用例20には,以下の事項が記載されている。
・「【0004】
したがって,室内温度や室内湿度が高い状態であっても,ユーザがコントローラに対して運転開始操作を行わない場合,空気調和機の運転が開始されない。そのため,ユーザが熱中症等になることがある。
【0005】
そこで,本発明は,運転停止時において,室内温度及び室内湿度の少なくとも一方を低下させる強制運転を自動的に開始できる空気調和機を提供することを目的とする。」
・「【0075】
そして,コントローラ30の裏面には全体を覆う蓋部が設けられており,図3(b)では蓋部を外した状態を示している。図3(b)に示すように,コントローラ30の裏面には,蓋部を外すと,モード切換部50が設けられている。モード切換部50により,空気調和機1の高温防止モードを,強制運転モード,お知らせモード及び切のいずれかに切り換えることができる。」
・「【0078】
お知らせモードでは,室内が高温状態や高湿状態である場合に,室内温度及び室内湿度に基づいて,運転開始を促す報知が自動的に行われる。」
・「【0084】
よって,空気調和機1の運転停止時において,強制運転モードに切り換えた場合,室内温度及び室内湿度が,高温ゾーン,モニタリングゾーン及び待機ゾーンの各ゾーンにある場合で運転動作が異なる。そこで,強制運転モードに切り換えられた後の各ゾーンでの運転動作について説明する。
【0085】
室内温度及び室内湿度が高温ゾーンにある場合には,室内温度や室内湿度を低下させる必要があるため,冷房運転(強制運転)が開始される。空気調和機1において強制運転モードでの冷房運転は,設定温度28℃の冷房運転である。そして,室内温度が設定温度よりも1度以上低下したとき(室内温度が27度以下になったとき)に,冷房運転がサーモオフ状態となる。ここで,サーモオフ状態は,圧縮機が停止され,室内ファン16が駆動された状態である。空気調和機1では,冷房運転がサーモオフ状態である場合,冷房運転よりも低風量にすると共に,上下フラップ17を可動範囲の上端近くに配置して吹き出し方向を上方向に変更する。」
・「【0088】
このように,本実施形態では,強制運転モードにおいて,室内温度及び室内湿度が高温ゾーンにある場合に,冷房運転(強制運転)が開始される。また,冷房運転を開始した後,サーモオフ状態が所定時間継続すると,冷房運転が停止される。
【0089】
次に,空気調和機1の強制運転モードにおける制御について,図5を参照しつつ説明する。
【0090】
まず,空気調和機1の運転停止時において,コントローラ30のモード切換部50(図3(b)参照)によって,強制運転モードに切り換えられる(ステップS1)。ここでは,強制運転モードに切り換えられたときの室内温度及び室内湿度が待機ゾーン(図4参照)にある場合について説明する。
【0091】
強制運転モードにおいて,室内温度センサ21で検出された室内温度及び室内湿度センサ22で検出された室内湿度が,モニタリングゾーンにあるかを判断する(ステップS2)。室内温度及び室内湿度が待機ゾーンから高温ゾーンに変化する場合には,待機ゾーンからモニタリングゾーンに変化した後で,高温ゾーンに変化すると考えられる。したがって,ステップS2では,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにあるかに基づいて,室内温度及び室内湿度が,冷房運転を開始する必要のある高温ゾーンに近付いたかを判断する。
【0092】
そして,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにあると判断した場合には(ステップS2:YES),室内ファン16を駆動して,送風運転を開始する(ステップS3)。室内温度及び室内湿度が高温ゾーンの近くのモニタリングゾーンにある場合,送風運転を開始することで,室内機2の内部に空気が流れるので,室内温度及び室内湿度が適正に検出できる。
【0093】
一方,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにないと判断した場合には(ステップS2:NO),室内温度及び室内湿度が待機ゾーンにあるので,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにあるかの判断を継続する(ステップS2)。
【0094】
そして,ステップS3で送風運転を開始した後,室内温度センサ21で検出された室内温度及び室内湿度センサ22で検出された室内湿度が,モニタリングゾーンにあるかを判断する(ステップS4)。室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにあると判断した場合には(ステップS4:YES),室内温度及び室内湿度が高温ゾーンの近くのモニタリングゾーンにあるので,室内温度及び室内湿度が適正に検出できるように,送風運転を継続する(ステップS3)。
【0095】
一方,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにないと判断した場合には(ステップS4:NO),送風運転を開始した後で,室内温度及び室内湿度が待機ゾーンまたは高温ゾーンに変化したと考えられる。したがって,室内温度及び室内湿度が待機ゾーンにあるかを判断する(ステップS5)。そして,室内温度及び室内湿度が待機ゾーンにあると判断した場合には(ステップS4:YES),室内温度及び室内湿度が高温ゾーンに近いモニタリングゾーンから,待機ゾーンに変化したので,送風運転を停止する(ステップS6)。その後,ステップS2に移行して,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンにあるかを判断する。一方,室内温度及び室内湿度が待機ゾーンにないと判断した場合には(ステップS5:NO),室内温度及び室内湿度が高温ゾーンにあって,室内温度及び室内湿度を低下させる必要があるので,冷房運転を開始する(ステップS7)。
【0096】
冷房運転を開始した後,室内温度センサ21で検出された室内温度と設定温度に基づいて,冷房運転がサーモオフ状態かを判断する(ステップS8)。空気調和機1では,冷房運転が設定温度28℃であって,室内温度が27℃以下になったときにサーモオフ状態となる。したがって,ステップS8では,室内温度が27℃以下であるかに基づいて,冷房運転がサーモオフ状態かを判断する。そして,サーモオフ状態でないと判断した場合には(ステップS8:NO),室内温度が27℃より高いので,ステップS7に移行して,冷房運転を継続する。
【0097】
一方,冷房運転がサーモオフ状態であると判断した場合には(ステップS8:YES),サーモオフ状態において,室内温度センサ21で検出された室内温度が設定温度より高い温度まで変化したかを判断する(ステップS9)。室内温度が設定温度より高い温度まで変化したと判断した場合には(ステップS9:YES),ステップS7に移行して,冷房運転を開始する。室内温度が設定温度より高い温度まで変化してないと判断した場合には(ステップS9:NO),サーモオフ状態が継続される。
【0098】
そして,サーモオフ状態が継続された場合,所定時間が経過したかを判断する(ステップS10)。サーモオフ状態で所定時間が経過したと判断した場合には(ステップS10:YES),冷房運転を停止する(ステップS11)。空気調和機1では,サーモオフ状態で所定時間が経過した後で冷房運転を停止するので,冷房運転を停止したときに,室内温度及び室内湿度が上昇した場合でも,直ぐに冷房運転が開始されるのを防止できる。」
・「【0125】
また,本実施形態の空気調和機1では,室内ファン16が駆動された後に,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンに所定時間ある場合に,冷房運転が自動的に開始される。したがって,室内温度及び室内湿度が,冷房運転が必要となる前に冷房運転を開始して,室内温度及び室内湿度を低下させることができる。」

2 引用例1に基づく検討
(1) 本件発明1について
ア 対比
(ア) 本件発明1と引用例1発明とを,その有する機能に照らして対比すると,引用例1発明の「室内の温度を測定する手段」,「電子機器制御装置29」,「空調機19」は,それぞれ,本件発明1の「室温を検出する室温検出手段」,「空調側制御手段」,「空気調和装置」に相当する。
(イ) 引用例1発明の「通信ネットN」,「携帯端末14」は,それぞれ,本件発明1の「通信網」,「外部携帯情報端末」に相当し,「携帯端末14」が制御手段を有することが明らかであるから,引用例1発明は,本件発明1と同様に,「前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備える」ものである。
(ウ) 引用例1発明が「前記電子機器制御装置29ごとに付けられた電子機器識別番号と,前記携帯端末14を特定するユーザー情報が,管理サーバー13のユーザーデータベース20に,ユーザーファイルにしてユーザーごとに保存されて(いる)」点は,その技術的な意味合いに照らせば,本件発明1の「前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられて(いる)」点に相当する。
(エ) 引用例1発明は「室温が50℃を超えたとき」に「前記通信ネットNを経由して前記携帯端末14に着信音やフラッシング画面などにより,緊急状態であることを通知する機能」を備えるものであるところ,当該機能は,本件発明1の「第1の機能」と,「前記室温検出手段で検出された室温」が「所定温度以上であるとき,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する」機能との限りにおいて一致する。
(オ) 引用例1発明の「空調機の遠隔制御システム」は,本件発明1の「空気調和システム」に相当する。
(カ) そうすると,本件発明1と引用例1発明とは,以下の点で一致し,相違するものと認められる。
(一致点)
「室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と,前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備えると共に,前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており,
前記室温検出手段で検出された室温が所定温度以上であるとき,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する機能を備える,
空気調和システム。」
(相違点1)
本件発明1は,「報知する機能」に関し,「前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるとき」報知する「第1の機能」を備え,「前記第1の機能は,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない」のに対し,引用例1発明においては「室温が50℃を超えたときを緊急条件として前記ユーザーファイルに登録しておき,空調機19からの室温のデータ情報が前記ユーザーファイルの緊急条件と一致する」と通知する機能を備えるもので,当該機能が,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,室内の温度が50℃を超えても,前回の通知から所定時間が経過するまで,前記通信ネットNを経由して前記携帯端末14から再度の報知を行わないものであるかは明らかでない点。
イ 判断
相違点1についてみるに,引用例1の記載によれば,引用例1発明は当該機能により,「ユーザーは,外出先からも,暖房器具のつけっぱなしなどの緊急状態がないかを確認することができ,家屋Kの安全性の管理をすることができる。」(【0031】)といった効果を奏するものであるところ,引用例1には,当該室温の室内にいることによる熱中症に関する記載,示唆は特にないから,引用例1発明において,室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるときに,外部携帯情報端末から報知することについて,特段動機付けがない。
また,引用例2には,遠隔監視装置10が,GHP空気調和装置20が動作不調であると判定したときに,オペレータの業務が煩雑になることを防止するために,動作不調コードを含む運転データD1を判定したときではなく,定期的に送るタイミング以外には送信しない点(【0046】)が記載されているが,熱中症のリスクに着目したものではないから,引用例1発明において,相違点1に係る構成とする動機付けがあるものとは認められない。
さらに,他の引用例(引用例3?20),証拠(平成31年2月7日付け意見書(申立人虎ノ門事務所)添付参考資料1(特開2008-146431号公報,参考資料2(特開2005-50067号公報),参考資料3(特開2013-68350号公報))をみても,引用例1発明において,相違点1に係る構成とする動機付けがあるものとは認められない。
そして,本件発明1は,相違点1に係る構成を有することにより,「室内にいる人が熱中症になる等の重大な事故を回避できる」(本件訂正明細書【0008】)といった顕著な効果を奏する上,熱中症の危険性の速やかな報知と,外部携帯情報端末の報知機能の頻繁な動作の抑制を両立させることができる(令和元年7月16日付け意見書(特許権者)4頁)といった効果も期待できるものである。
そうすると,引用例1発明において,相違点1に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから,本件発明1は,引用例1発明及び引用例2?20に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

(2) 本件発明2について
ア 対比
(ア) 本件発明2と引用例1発明とを,その有する機能に照らして対比すると,引用例1発明の「室内の温度を測定する手段」,「電子機器制御装置29」,「空調機19」は,それぞれ,本件発明2の「室温を検出する室温検出手段」,「空調側制御手段」,「空気調和装置」に相当する。
(イ) 引用例1発明の「通信ネットN」,「携帯端末14」は,それぞれ,本件発明2の「通信網」,「外部携帯情報端末」に相当し,「携帯端末14」が制御手段を有することが明らかであるから,引用例1発明は,本件発明2と同様に,「前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備える」ものである。
(ウ) 引用例1発明が「前記電子機器制御装置29ごとに付けられた電子機器識別番号と,前記携帯端末14を特定するユーザー情報が,管理サーバー13のユーザーデータベース20に,ユーザーファイルにしてユーザーごとに保存されて(いる)」点は,その技術的な意味合いに照らせば,本件発明2の「前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられて(いる)」点に相当する。
(エ) 引用例1発明は「室温が50℃を超えたとき」に「前記通信ネットNを経由して前記携帯端末14に着信音やフラッシング画面などにより,緊急状態であることを通知する機能」を備えるものであるところ,当該機能は,本件発明2の「第1の機能」と,「前記室温検出手段で検出された室温」が「所定温度以上である」場合に,「前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する」機能との限りにおいて一致する。
(オ) 引用例1発明の「空調機の遠隔制御システム」は,本件発明2の「空気調和システム」に相当する。
(カ) そうすると,本件発明2と引用例1発明とは,以下の点で一致し,相違するものと認められる。
(一致点)
「室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と,前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備えると共に,前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており,
前記室温検出手段で検出された室温が所定温度以上である場合に,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する機能を備える,
空気調和システム。」
(相違点2)
本件発明2は,「報知する機能」に関し,「前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上である状態が所定時間継続したとき」報知する「第1の機能」を備え,「前記第1の機能は,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,前記室温検出手段で検出された室温が所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない」のに対し,引用例1発明においては「室温が50℃を超えたときを緊急条件として前記ユーザーファイルに登録しておき,空調機19からの室温のデータ情報が前記ユーザーファイルの緊急条件と一致する」と通知する機能を備えるもので,当該機能が,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,室内の温度が50℃を超えても,前回の通知から所定時間が経過するまで,前記通信ネットNを経由して前記携帯端末14から再度の報知を行わないものであるかは明らかでない点。
イ 判断
相違点2についてみるに,既に述べたとおり(前記(1)イ),引用例1発明において,室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるときに,外部携帯情報端末から報知することについて,特段動機付けがない。
引用例3には,室内機の設定温度に対して室内機の設置箇所の室内温度が所定時間以上乖離する異常が発生した場合,監視装置から遠隔管理装置に,設定温度から室内温度が乖離する異常を示す異常識別情報及び異常情報とともに,異常が発生している室内機の個体識別情報と,室内機の設置箇所の室内温度の調節に係わる全ての室内機を含むグループの識別情報と,それらに係わる過去の運転データとを送信する点が記載されているが(【0022】),熱中症のリスクに着目したものではない。
また,引用例2に記載された事項も同様であるから(前記(1)イ),引用例1発明において,相違点2に係る構成とすることの動機付けがあるものとは認められない。
さらに,他の引用例,証拠をみても,引用例1発明において,相違点2に係る構成とする動機付けがあるものとは認められない。
そして,本件発明2は,相違点2に係る構成を有することにより,前記効果を奏するものである(前記(1)イ)。
そうすると,引用例1発明において,相違点2に係る本件発明2の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから,本件発明2は,引用例1発明及び引用例2?20に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

(3) 本件発明3?6について
本件発明3?6は,本件発明1又は本件発明2を特定するための事項を全て含むものであるから,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明3?6は,本件発明1又は本件発明2と同様の理由により,引用例1発明及び引用例2?20に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

3 引用例6に基づく検討
(1) 本件発明1について
ア 対比
(ア) 本件発明1と引用例6発明とを,その有する機能に照らして対比すると,引用例6発明の「室内温度センサb-2」,「空調制御部10」,「室内空気調和機B」は,それぞれ,本件発明1の「室温を検出する室温検出手段」,「空調側制御手段」,「空気調和装置」に相当する。
(イ) 引用例6発明の「通信回線」は,本件発明1の「通信網」に相当し,引用例6発明の「集中管理制御用コントローラA3」は,本件発明1の「外部携帯情報端末」と,「外部情報端末」である点で共通する。
そして,引用例6発明の「集中管理制御用コントローラA3」が制御手段を有することは明らかであるから,引用例6発明は,本件発明1と,「前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する」外部情報端末を備えるとの限りにおいて一致する。
(ウ) 引用例6発明は「室内温度が高温側閾値以上の場合」に,「集中管理制御用コントローラA3に警告情報10aが伝送され,集中管理制御用コントローラA3にどの部屋に設置された室内空気調和機Bで異常高温(室内の人が熱中症になるおそれがある温度)が検出されているのかを表示する機能」を備えるものであるところ,当該機能は,本件発明1の「第1の機能」と,「前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるとき,前記通信網を経由して」前記外部情報端末から報知する機能との限りにおいて一致する。
(エ) 引用例6発明の「空気調和機に係るシステム」は,本件発明1の「空気調和システム」に相当する。
(オ) そうすると,本件発明1と引用例6発明とは,以下の点で一致し,相違するものと認められる。
(一致点)
「室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と,前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部情報端末とを備え,
前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるとき,前記通信網を経由して前記外部情報端末から報知する機能を備える,
空気調和システム。」
(相違点3)
本件発明1は「外部携帯情報端末」を備えるのに対し,引用例6発明は「集中管理制御用コントローラA3」を備える点。
(相違点4)
本件発明1は,「前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられて(いる)」ものであるのに対し,引用例6発明においてはその点が明らかでない点。
(相違点5)
本件発明1は,「報知する機能」に関し,「前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるとき,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する第1の機能」を備え,「前記第1の機能は,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない」のに対し,引用例6発明においては,「室内温度が高温側閾値以上の場合,集中管理制御用コントローラA3」に表示する機能を有するもので,当該機能が,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,検出された室内温度が高温閾値以上であっても,前回の表示から所定時間が経過するまで,通信網を経由して集中管理制御用コントローラA3から再度の表示を行わないものであるかは明らかでない点。
イ 判断
(ア) 相違点3について
引用例6には,インターネットを介して接続された遠隔地にある携帯電話のような通信機器による遠隔制御について開示されているから(実施の形態8,9(【0050】?【0055】,図11)),引用例6発明について,「集中管理制御用コントローラA3」を外部携帯情報端末とし,そのような遠隔制御に係るシステムとして実現したものは,引用例6に記載されているに等しい事項といえる上,そのようにすることは当業者が適宜になし得ることである。
(イ) 相違点4について
引用例6発明は,室内温度が高温側閾値以上の場合,集中管理制御用コントローラA3に警告情報10aが伝送され,集中管理制御用コントローラA3にどの部屋に設置された室内空気調和機Bで異常温度が検出されているのかを表示するところ,そのために,複数の室内空気調和機Bの各々を個別に識別して集中管理制御用コントローラA3と関連付けなければならないのは明らかであるから,IDコードを割り付ける点は,引用例6に記載されているに等しい事項である。
また,一般に通信ネットワーク分野においてネットワーク上で通信相手を識別するためにアドレスやIDを用いることは周知の技術である。
そして,外部情報端末で複数の空気調和装置の各々を独立して操作したり,外部情報端末と空気調和装置で双方向通信を行ったり,これらを実現するために外部情報端末と空気調和装置を互いに識別するための識別情報を用いることは周知の技術である(引用例7?9,16)。
そうすると,引用例6発明に周知の技術を適用し,相違点4に係る本件発明1の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものと認められる。
(ウ) 相違点5について
a 引用例6には,インターネットを介して接続された遠隔地にある携帯電話のような通信機器による遠隔制御について開示されているが(前記(ア)),熱中症の危険性の速やかな報知と,外部携帯情報端末の報知機能の頻繁な動作の抑制の両立を示唆する記載は特段ない。
b 引用例10には,設備14(例えば空調設備)の異常信号(設備14が,例えば故障のように,正常でない状態であることを示す信号)が連続して繰り返して発生して検出され続ける間は,監視装置20の発報部が,所定時間T1(例えば5分)の間隔をあけて,監視センタ16に対して異常情報の発報動作を繰り返し,監視センタ16において異常情報の多発状況が検出されると,監視センタ16が監視装置20に対して発報間隔をT1からT2(例えば30分)に変更する点,変更することで発報に伴う通信コストの減少,監視センタ16の負荷の低減を図る点が記載されている(前記1(10))。
引用例11には,医監装置1が,監視間隔(例えば10秒)ごとに医療機器105を監視し,医療機器105の異常を検知するとナースコールを通知するとともに,監視タイマA(例えば15秒)が設定され,ナースコールの通知に対する確認ボタン204が入力されなかった場合に,監視タイマAが満了した時点で再度ナースコールをするとともに監視タイマC(例えば10秒)を作動させ,同様の監視動作を続け,確認ボタン204が入力されると監視タイマB(例えば20秒)を作動させ,異常を検知しても異常に対する処置が実行されると判断しナースコールを再度通知しない点が記載されている(前記1(11))。
引用例12には,集線装置40において,エラー通知プログラムによりエラー有りと判定された場合に,被通知端末20にエラー通知を行った後,10秒以内に同被通知端末20からACKが返送されなければ再度通知し,ACKが返送されれば10分間通知しないようにする点が記載されている(前記1(12))。
このように,異常を検出して報知した後,何らかのトリガを受けて報知頻度を変更する構成は,周知の技術である。
しかし,当該周知の技術は,相違点5に係る「前記第1の機能は,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない」との構成であるとは認められない(なお,この点に関し,本件訂正明細書には「尚,ステップS41で室内に人物がいることを検出し,ステップS42で熱中症の危険性があると判断し,ステップ43で所定時間が経過した場合であっても,外部情報端末42に注意喚起情報を送信した後は,所定時間経過するまでは,外部情報端末42に再度の注意喚起情報を送信しない。」(【0052】)との記載があるのみである。)。
そうすると,引用例6発明に周知の技術を適用したとしても,相違点5に係る構成となるものとは認められない。
c 引用例10?12に記載された事項に関し,報知頻度を変更する前の機能について,所定のタイミングごとに検出し,報知していると解する余地もあるが,検出と報知のタイミングの関係の技術的な意味合いについて特段記載もないから,引用例10?12に記載された事項から,相違点5に係る,所定のタイミングごとに繰り返して実行される機能により,当該所定のタイミングにおいて所定の条件を満たすことが検出されたとしても,前回の報知から所定時間が経過するまで再度の報知を行わないといった技術的思想が,当然に導かれるものとは認められない。
引用例10に記載されたものが異常高温(室内の人が熱中症になるおそれがある温度)に着目したものではないこと,引用例11,12に記載されたものが引用例6発明と技術分野が異なることも踏まえると,引用例6発明において,引用例10?12に記載された事項を考慮しても,相違点5に係る構成とする動機は特に認められない。
また,引用例19には,空気調和システムにおいて,室内温度が所定値(例えば32℃)以上であることを空気調和機1の検出器35が測定した場合,熱中症発症のおそれがあることを告知すること,所定時間ごと(例えば5分ごと)に音を鳴らすことにより告知すること,携帯情報端末に音や振動で告知をすることが記載されているが(【0046】?【0049】,【0078】),測定と告知のタイミングの関係やその技術的意味合いについて特段記載もない。
さらに,引用例2には,前記の事項が記載されているが(前記2(1)イ),熱中症のリスクに着目したものではない。
他の引用例,証拠をみても,引用例6発明において,相違点5に係る構成とする動機付けがあるものとは認められない。
そして,本件発明1は,前記効果を奏するものである(前記2(1)イ)。
そうすると,引用例6発明において,相違点5に係る本件発明2の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから,本件発明1は,引用例6発明及び引用例2?20に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

(2) 本件発明2について
ア 対比
(ア) 本件発明2と引用例6発明とを,その有する機能に照らして対比すると,引用例6発明の「室内温度センサb-2」,「空調制御部10」,「室内空気調和機B」は,それぞれ,本件発明2の「室温を検出する室温検出手段」,「空調側制御手段」,「空気調和装置」に相当する。
(イ) 引用例6発明の「通信回線」は,本件発明1の「通信網」に相当し,引用例6発明の「集中管理制御用コントローラA3」は,本件発明1の「外部携帯情報端末」と,「外部情報端末」である点で共通する。
そして,引用例6発明の「集中管理制御用コントローラA3」が制御手段を有することは明らかであるから,引用例6発明は,本件発明1と,「前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する」外部情報端末を備えるとの限りにおいて一致する。
(ウ) 引用例6発明は「室内温度が高温側閾値以上の場合」に,「集中管理制御用コントローラA3に警告情報10aが伝送され,集中管理制御用コントローラA3にどの部屋に設置された室内空気調和機Bで異常高温(室内の人が熱中症になるおそれがある温度)が検出されているのかを表示する機能」を備えるものであるところ,当該機能は,本件発明2の「第1の機能」と,「前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上である」場合に,「前記通信網を経由して」前記外部情報端末から報知する機能との限りにおいて一致する。
(エ) 引用例6発明の「空気調和機に係るシステム」は,本件発明2の「空気調和システム」に相当する。
(オ) そうすると,本件発明2と引用例6発明とは,以下の点で一致し,相違するものと認められる。
(一致点)
「室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と,前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部情報端末とを備え,
前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上である場合に,前記通信網を経由して前記外部情報端末から報知する機能とを備える,
空気調和システム。」
(相違点6)
本件発明2は「外部携帯情報端末」を備えるのに対し,引用例6発明は「集中管理制御用コントローラA3」を備える点。
(相違点7)
本件発明2は,「前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられて(いる)」ものであるのに対し,引用例6発明においてはその点が明らかでない点。
(相違点8)
本件発明2は,「報知する機能」に関し,「前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上である状態が所定時間継続したとき,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する第1の機能」を備え,「前記第1の機能は,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても,前回の報知から所定時間が経過するまで,前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない」のに対し,引用例6発明においては,「室内温度が高温側閾値以上の場合,集中管理制御用コントローラA3」に表示する機能を有するもので,室内温度が高温側閾値以上の状態が所定時間継続したときに表示するか否かや,当該機能が,所定のタイミングごとに繰り返して実行され,且つ,検出された室内温度が高温閾値以上であっても,前回の表示から所定時間が経過するまで,通信網を経由して集中管理制御用コントローラA3から再度の表示を行わないものであるかは明らかでない点。
イ 判断
(ア) 相違点6について
相違点6は,実質的に本件発明1に係る前記相違点3と同じであるから,同様の理由により,引用例6に記載されているに等しい事項といえる上,そのようにすることは当業者が適宜になし得ることである。
(イ) 相違点7について
相違点7は,実質的に本件発明1に係る前記相違点4と同じであるから,同様の理由により,引用例6発明において,周知の技術を適用し,相違点7に係る本件発明2の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものと認められる。
(ウ) 相違点8について
a 引用例13,20には,空気調和機において,室内温度及び室内湿度がモニタリングゾーンに所定時間ある場合に,運転開始を促す報知が行われる構成が記載され(引用例13【0118】,引用例20【0125】),引用例14には,「室内環境注意状態」が5分以上継続した場合に強制制御を構成が記載されており(【特許請求の範囲】,【0039】?【0048】),このような構成は,制御の安定性を確保するなどのための周知の技術である。
そうすると,引用例6発明に周知の技術を適用し,室内温度が高温側閾値以上の状態が所定時間継続したときに表示することは,当業者が容易に想到できたものと認められる。
b しかし,相違点8のうち,その余の事項については,実質的に本件発明1に係る前記相違点5と同じであるから,同様の理由により,引用例6発明において,相違点8に係る本件発明2の構成とすることは,当業者が容易に想到できたものとは認められない。
ウ 以上のとおりであるから,本件発明2は,引用例6発明及び引用例2?20に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

(3) 本件発明3?6について
本件発明3?6は,本件発明1又は本件発明2を特定するための事項を全て含むものであるから,その余の事項を検討するまでもなく,本件発明3?6は,本件発明1又は本件発明2と同様の理由により,引用例6発明及び引用例2?20に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

第6 取消理由として採用しなかった異議申立理由について
申立人虎ノ門事務所は,請求項1,2に記載された「前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており」なる事項が明確でないとして,
・IDコードと第1の機能との対応関係が不明で,a)IDコードが割り付けられることによって,どのようにして第1の機能が実行されるのか,b)相互に対応したIDコードが割り付けられることが,第1の機能で行われる報知する動作にいかにして寄与しているのか明確でない,
・相互に対応しているのが「空調側制御手段と端末側制御手段と」であるのか,「空調側制御手段及び端末側制御手段とIDコードと」であるのか明確でない,
・「IDコードが割り付けられており」とは具体的でなく明確でない,
などと主張し,請求項1?6に係る発明は明確でないと主張している(特許異議申立書3(4)(4-2))。
しかしながら,当該事項は,空調側制御手段を備えた空気調和装置と,端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とが相互に通信可能なように,IDコードによって,空調側制御手段と端末側制御手段とが相互に対応付けられていることを意味し,このことにより,「第1の機能」によって,「前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるとき」又は「…所定温度以上である状態が所定時間継続したとき」,「前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する」ことができることは,技術常識を踏まえれば,十分に理解できるものである。
よって,上記主張を根拠に,請求項1?6に係る発明は明確でないとは認められない。

第7 むすび
以上のとおり,本件の請求項1?6に係る特許は,特許法29条2項の規定に違反してされたものとは認められず,同法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものとは認められないから,前記取消理由及び前記特許異議申立ての理由により取り消すことはできない。
また,他に本件の請求項1?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
空気調和システム
【技術分野】
【0001】
本発明は居室内の空気を調和する空気調和システムに係り、特に外部情報端末と組み合わされて空気調和装置を制御する空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭或いは事務所等の居室の温度や湿度を調整するために、その居室内には空気調和装置の室内機が備えられ、室外に室外機が備えられている。室外に設けた室外機によって冷却された冷媒、或いは加熱された冷媒を室内機に誘導し、室内機内の熱交換器で室内空気と熱交換することによって居室内を冷房、或いは暖房するようにしている。更にはこれらの冷房機能、暖房機能に加えて居室内の湿度を調整する除湿機能も併せ備えるようにしている。
【0003】
そして、最近ではスマートフォンやタブレットPCなどの外部情報端末が普及し、これらの外部情報端末と通信を行って空気調和装置の運転制御等を行う空気調和システムが普及しつつある。例えば、特開2009-133549号公報(特許文献1)には、人手を要することなく既設の空気調和機の制御プログラムを更新したり、また、これに加えて空気調和装置に備え付けられている専用のリモートコントローラ以外の外部情報端末により空気調和装置を操作することが示されている。
【0004】
特許文献1によれば、空調システムの室内機と通信可能な通信アダプタを外部情報端末であるパソコンに接続して、GUIソフトウエアをパソコンにダウンロードし、GUIソフトウエアを用いてインターネットを介してサービスセンターのコンピュータにアクセスし、室内機の最新の制御プログラムをダウンロードし、通信アダプタを介して室内機の制御プログラムを更新することができる。また、GUIソフトウエアのアイコンを用いて、通信アダプタを介して空調システムの操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-133549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近は地球温暖化現象によって外気温度が高くなる傾向にあり、特に夏季では外気温度が高い状態が長く継続する傾向にある。このため夏季においては室内に居住している人が熱中症になる恐れがある温度(異常高温)まで、室内温度が上昇することがある。
【0007】
特に高齢者、介護を要する人物、幼児等(以下、代表して「高齢者等」という)は体調の自己判断機能が比較的低い場合が多く、室内が異常高温のときに熱中症などの症状に気付くのが遅れ体調を崩す恐れがある。この場合、高齢者等以外の家人が住居にいてこれに気付けば重大な事故を回避できるが、高齢者等の面倒をみる家人が外出して不在の場合は重大な事故に繋がる恐れがある。
【0008】
本発明の目的は、例えば室内にいる人が熱中症になる等の重大な事故を回避できる空気調和システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と、空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備えると共に、空調側制御手段と端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており、室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるとき、通信網を経由して外部携帯情報端末から報知する第1の機能を備え、第1の機能は、所定のタイミングごとに繰り返して実行され、且つ、室温検出手段で検出された室温が所定温度以上であっても、前回の報知から所定時間が経過するまで、通信網を経由して外部携帯情報端末から再度の報知を行わない、ところにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば室内にいる人が熱中症になる等の重大な事故を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が適用される空気調和システムの構成を示す構成図である。
【図2】室内機の側断面図である。
【図3】本発明の実施形態になる空気調和システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態になる注意喚起情報を送信するモードを実施する制御フローを示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第2の実施形態になる注意喚起情報を送信するモードを実施する制御フローを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0013】
図1に示すように空気調和装置は室内機10と室外機12から構成され、室内機10は家庭や事務所の居室に設けられ、居室内を冷房、或いは暖房したりして居室内の空気を空調するものである。また、室内機10に送る冷媒を冷却、或いは加熱する室外機12は室内機10と通信ケーブル、給電ケーブル(図示せず)を介して互いに接続されており、これらのケーブルによって制御情報を送受信し、また電力を供給するようになっている。
【0014】
リモートコントローラ14は操作者によって操作され、室内機10のリモートコントローラ送受信部16に対して信号を送信する。この送受信される信号の内容は、運転要求、設定温度の変更、タイマ、運転モードの変更、停止要求等の指令である。空気調和装置は、これらの信号に基づいて、冷房モード、暖房モード、除湿モードなどの空調運転モード
を実行する。また、これとは別に室内機10のリモートコントローラ送受信部16から、室温情報、湿度情報、電気代情報などの状態情報をリモートコントローラ14に送信する構成も採用することができる。
【0015】
また、室内機10の前面パネル34の左右方向で見て中央付近の下部には、室内環境検出手段46が設置されている。この、室内環境検出手段46は、撮像手段及び人体を検出可能な画像処理ソフトウエアを用いた画像処理手段や、フレネルレンズ及び赤外線センサによって構成される活動量検出センサ、空調室内の明るさを検出する照度センサなどが設けられる。これらのセンサは空気調和装置が有する機能モードの仕様に合わせて備えられていれば良いものである。
【0016】
尚、一度に室内空間全体を撮影できない視野角の撮像手段を用いる場合、撮像手段を左右方向に駆動可能な構成にしてもよい。
【0017】
撮像手段は室内機10が設置される室内を撮像する。撮像手段は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラであり、前面パネル34の左右方向中央の下部に設置されている(図1参照)。また、カメラは、レンズの光軸が水平線に対して所定角度だけ下方を向くように設置され、室内機10が設置されている室内を適切に撮像できるようになっている。
【0018】
駆動手段はカメラを左右方向に駆動し、カメラで撮像される室内のエリアを変える。例えば、カメラは駆動手段であるステッピングモータの軸と接続され、モータの運転により所定の角度の範囲内で往復する。
【0019】
この場合、モータは、所定の角度の範囲内を複数に分割したエリア毎に撮像のため停止し、撮像後は次のエリアへカメラを向けるために運転を再開する。なお、カメラの駆動の速さに比較して撮像に要する時間が十分に短い場合、ステッピングモータは連続して運転してもよい。
【0020】
駆動手段は、空気調和機の運転中は1分ごとに室内の左エリア、中央エリア及び右エリアを撮像できる位置にカメラを向ける。これにより、視野角の狭く安価なカメラを使用しても、室内を広範囲に撮像することが可能となる。
【0021】
尚、カメラの代わりに、焦電型赤外線センサによって室内に人物がいるかどうか判断してもよい。又、室内の明るさに係らず、カメラの代わりにサーモパイルによって室内に人物があるかどうか判断してもよい。但し、猫や犬を人物と誤検出することを避けるために、カメラによって人物を検出することが望ましい。又、検出精度を高めるために、カメラと、焦電型赤外線センサ若しくはサーモパイルの両方を用いて人物を検出してもよい。
【0022】
図2は室内機10の側断面を示しており、筐体ベース22は、熱交換器24、送風ファン26、フィルタ28などの内部構造体を収容している。熱交換器24は複数本の伝熱管24aを有し、送風ファン26により室内機10内に取り込まれた空気を、伝熱管24aを通流する冷媒と熱交換させ、空気を加熱又は冷却するように構成されている。尚、伝熱管24aは冷媒配管(図示せず)に連通し、周知の冷媒サイクル(図示せず)の一部を構成している。
【0023】
左右風向板30は、室内機10に設けた運転制御手段(図示せず)からの指示に従い、下部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして左右風向板用モータ(図示せず)により回動される。上下風向板32は運転制御手段からの指示に従い、両端部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして上下風向板用モータ(図示せず)により回動される。
【0024】
前面パネル34は室内機10の前面を覆うように設置されており、下端を軸として前面パネル用モータ(図示せず)により回動可能な構成となっている。ちなみに、前面パネル34を下端に固定されるものとして構成しても良い。
【0025】
図2に示す送風ファン26が回転することによって、空気吸込み口36及びフィルタ28を介して室内空気を取り込み、熱交換器24で熱交換された空気が吹出し風路に導かれる。さらに、吹出し風路に導かれた空気は、左右風向板30及び上下風向板32によって風向きを調整され、空気吹出し口38から外部に送り出されて室内を空調する。
【0026】
尚、空気調和装置は壁掛け式の室内機10だけでなく、天井埋め込み式の室内機、または、室外機1台に対し、複数台の室内機が接続される構成となっているもであっても良いものである。
【0027】
図3は、室内機10が備える空気調和装置側制御手段(以下、空調側制御手段という)40を含む空気調和装置、及びスマートフォンやタブレットPC等の外部情報端末42を含む空気調和システムの構成を示すブロック図である。空気調和装置の負荷44は、例えば、室内機10が備える室内ファンモータ(図示せず)、室外機12が備える圧縮機モータ(図示せず)、左右風向板30に設置される左右風向板用モータ(図示せず)を含んでいる。これらの負荷44は、制御手段40からの制御駆動信号に従って駆動される。
【0028】
室内機10の空調側制御手段40には、室内機10に内蔵されている室温センサ、湿度センサ、その他の上述した各種センサ等からなる室内環境検出手段46の検出信号が入力されている。空調側制御手段40は、設定された空調運転モード毎に室外機12と通信を行って圧縮機等の運転制御や、風速や風向、空調出力の管理等の空気調和装置全体の運転制御を駆動制御部48にて管理する。駆動制御部48はマイクロコンピュータ、ROM、入出力LSI等から構成されている。
【0029】
尚、本実施例においては駆動制御部48に設けられている記憶手段とは別に記憶手段50を備えており、この記憶手段50には必要に応じて各種の情報、例えば現在の室内環境検出手段46の検出情報、前回の空調運転で実行した運転情報や設定情報、及びその時の室内環境検出手段46の検出情報等が記憶されるようになっている。
【0030】
また、室内環境検出手段42として在室者検出手段を備えても良く、例えば前述の空調室内の環境を検出するセンサとして、居室内の輻射熱を測るサーモパイルや、光源識別を行い空調室内の生活シーンを判定する光源識別センサ、居室内の環境音のパターン認識から居室内の生活シーンを判定する音センサ、カメラによって居室内を撮影して顔認識、身体認識を行うことで在室者を検出する画像認識センサ等を使用しても良いものである。尚、空気調和運転の詳細な運転制御は良く知られたものであり、敢えてここでは説明しないが、本実施例を適用する空気調和装置毎に適した運転制御を行って良いものである。
【0031】
空調側制御手段40はリモートコントローラ14とは別に、音声認識手段を備えた外部情報端末42、例えばスマートフォンやタブレットPCとインターネット等の通信網ITを介して情報通信が可能な構成であり、外部情報端末42を通して空気調和装置の操作者からの運転制御情報を受信した場合、受信した運転制御情報に応じて空調運転やデータの通信等を行う構成となっている。この通信方式については、赤外線通信、無線LANやJIGBEE、特定小電力無線による電波通信、FM電波やAM電波による通信等のいずれかの通信方式を使用することができる。
【0032】
空気調和装置の操作者からは、リモートコントローラ14、及び外部情報端末42を介して空気調和装置の室内機10の空調側制御手段40へ運転制御情報を送信することが可能な構成となっている。リモートコントローラ14による運転制御情報については本実施例と関連性が少ないので説明は省略する。
【0033】
操作者から外部情報端末42への入力は、キー52を用いたキー操作による手入力と、外部情報端末42に備えられているマイク54と音声認識手段(音声認識ソフトウエアによる)56による音声発話による入力とが可能な構成となっている。また、外部情報端末42は、音声による報知を行うためのスピーカ58、及び液晶ディスプレイ等よりなる表示部60を備えることにより、操作者へ種々の情報を報知することができるようになっている。
【0034】
外部情報端末42は内部に外部情報端末側制御手段(以下、端末側制御手段という)62を備えており、キー52、マイク54及び音声認識手段56からの入力情報が入力され、これらの入力情報は端末側制御手段62に備えられた演算装置66によって演算されて所定の制御信号に変換されるものである。この所定の制御信号は本実施例では空気調和装置の負荷の駆動を指示する制御信号である。また、演算装置66はマイクロコンピュータ、ROM、入出力LSI等から構成されている。
【0035】
端末側制御手段62は、音声合成手段(音声合成ソフトウエアによる)64を備え、制御信号に対応した運転情報をスピーカ58に送って音声による報知を行うことができる。また音声とは別に表示部60によって文字データによって運転情報を報知することができるようになっている。更に、端末側制御手段62は室内機10の空調側制御手段40から送られてくる報知信号を音声合成手段64に送って音声データに変換したり、表示データに変換する機能を備えている。したがって、これによって、後述する注意喚情報がスピーカ58や表示部60で報知されることになる。
【0036】
次に、本発明の具体的な実施例について以下図面に基づき説明するが、以下の実施例は代表的な例を示しているものであって、これ以外の実施例も本発明の技術的な概念に含まれるものである。
【実施例1】
【0037】
以下、本発明の第1の実施形態について図4に示すフローチャートに基づき説明する。図4のフローチャートは本実施例の基本的な制御フローを示しており、この制御フローは空調側制御手段40によって実行される。制御フローは所定の時間間隔、本実施例では例えば100ms毎の起動タイミングの到来によって起動されるものであり、以下処理ステップ毎にその機能を説明する。尚、図4に示す注意喚起情報を送信するモードを実行するかは選択可能であり、例えば、外部情報端末42を操作することで、注意喚起情報を送信するモードのオンオフを切換え可能としてもよい。
【0038】
≪ステップS40≫
このステップS40では現在の空気調和装置の運転状態を判別している。空気調和装置が運転されていれば基本的には室内は空調されているものと判断されるので、室内が熱中症を発症する異常な温度にならず危険性は少ないと判断される。したがって、以下の外部情報端末42に注意喚起情報を送信する処理ステップの実行を省略してエンドに抜けるものである。そして、この後に所定の起動タイミングが到来すると同じ動作を繰り返すものである。一方、ステップS40で空気調和装置による空調運転がなされていないと判断されるとステップS41に進み、外部情報端末42に注意喚起情報を送信する処理ステップを実行することになる。
【0039】
≪ステップS41≫
ステップS40で空調運転がなされていないと判断されると、このステップS41で室内に人物がいるかどうかの判断を実行する。室内に人物がいるかどうかは室内環境検出手段46によって検出することができるものであり、室内が明るい場合はカメラを使用して画像認識を行い人物の存在を検出することができる。一方、室内が暗い場合はサーモパイルを使用して熱源認識を行い人物の存在を検出することができる。このような方法によって室内に人物が存在していないと判断されると、熱中症を発症する人物自体がいないので外部情報端末42に注意喚起情報を送信する処理ステップの実行を省略してエンドに抜けるものである。
【0040】
尚、空調運転がなされていない場合は、カメラは左右方向中央に位置し、5分ごとに1回左右方向に駆動する。すなわち、空気調和機の運転停止時は空気調和機の運転中に比べてカメラの駆動回数を減らしている。このような方法によれば、駆動手段の寿命を延ばすことができる。
【0041】
ステップS41で室内に人物が存在すると判断されるとステップS42に進み、外部情報端末42に注意喚起情報を送信する処理ステップを継続することになる。
【0042】
≪ステップS42A≫、≪ステップS42B≫
ステップS41で室内に人物が存在していると判断されると、このステップS42で室内の温度が所定の温度を越えているかどうかの判断を実行する。室内の温度は室内環境検出手段46の一つである温度センサによって測定することができる。室内の温度は所定のタイミングで逐次検出され、空調側制御手段40の記憶手段50に記憶されている。したがって、本実施例の制御フローの起動タイミングに合わせて記憶手段50から室内温度が読み取られ、読み取られた室内温度が所定の温度より高いか、或いは低いかを判断することができる。焦電型センサもしくはサーモパイルを備えた場合は、室内の温度と同時に室内表面温度も読み取り、所定の温度より高いか、或いは低いかを判断することもできる。
【0043】
ここで、比較の基準となる所定の温度は、熱中症を発症する危険性が高い温度に設定されており、これは予め記憶手段50、或いは駆動制御部48の記憶部に記憶されている。更には、熱中症は温度と湿度に相関性を有しているので、湿度に応じて所定の温度を設定することも可能である。つまり、湿度が高いと比較の基準となる所定の温度が低くなり、湿度が低いと比較の基準となる所定の温度が高くなるような特性を持つ温度テーブルを準備してステップS42の処理ステップに使用することができる。
【0044】
このためには、室内環境検出手段46の一つである湿度センサによって室内の湿度を測定し、この湿度に対応して温度テーブルから所定の温度を読み出し、ステップS42で室内の温度が所定の温度を越えているかどうかの判断を実行すれば良いことになる。
【0045】
尚、一定時間連続して高温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると考えられるため、一定時間における室内の温度の平均値を所定の温度と比較してもよく、一定時間連続して室内の温度が所定の温度を超えているどうかを判断の基準にしてもよい。
【0046】
又、このステップS42では室内温度を基準に熱中症の危険性を判断しているが、熱中症は温度の急激な上昇も関係しているので、ステップS42Aのような室内温度を基準にするのではなく、これに代えてステップS42Bにあるように室内温度の温度上昇度合い(=上昇率)を判断基準とすることも可能である。この場合は、記憶手段50に記憶された温度を所定時間経過する毎に読み出し、前回の温度と今回の温度の温度差を求め、この温度差と基準となる熱中症を発症する危険性がある所定の温度差を比較することで、熱中症を発症する危険性を判断することができるようになる。
【0047】
ステップS42A、或いはステップS42Bで熱中症を発症する危険性が高いと判断されると次にステップS43に進むことになる。
【0048】
ここで、ステップS42A、S42Bにおいては熱中症を発症する危険性を温度というパラメータを使用して判断しているが、日射センサによって日射量を検出して熱中症を発症する危険性を判断しても良いし、更には室内の温度と組み合わせて判断するようにしても良い。例えば、日射量が多ければ室温は次第に上昇してくるので日射量を補正パラメータとして用いることは有効である。実際には比較の基準となる所定温度を日射量が多いほど低くなるように補正し、また日射量が少なくなってくると所定温度を高くなるように補正することができる。また、外気温、もしくは室温と外気温を組み合わせて判断することもできる。通常、室内に冷熱源は無く、室温は外気温より高くなることから、外気温で所定の温度を定めておけば、熱中症を発症する危険性を判断することができる。
【0049】
更には、熱中症にかかりやすい時間帯は、統計的に午前中では10時頃、午後では13時から14時頃に発症件数が多くなっている。したがって、この時間的な要素も組み合わせ、比較の基準となる所定温度を上述した時間帯では低くなるように補正して熱中症を発
症する危険性を判断することも有効である。
【0050】
≪ステップS43≫
ステップ43では、室内温度の高い状態が所定時間継続しているかどうかを判断している。ステップS42A、或いはステップS42Bでは室内温度が所定温度以上か、或いは温度変化が所定温度差以上かを判断しているだけなので、熱中症を発症する危険性の判断としては十分でない部分もある。つまり、人間の体温は視床下部にある体温中枢によって一定に保たれるように制御されているといわれており、高温・多湿の環境の中で水分の補給を行わず、長時間に亘って活動を続けると体温の上昇と脱水・循環不全を生じるようになる。このため、熱中症を発症する危険性の判断の確度を上げるため、室内温度が所定温度以上、或いは温度変化が所定温度差以上の状態が所定時間継続しているかどうかを判断している。もちろん、安全性を高く見積もってステップS42A、或いはステップS42Bで直ちに熱中症の危険性があると判断しても良いことは言うまでもない。
【0051】
したがって、ステップ43で所定時間が経過していないと判断されると、以下の外部情報端末42に注意喚起情報を送信する処理ステップの実行を省略してエンドに抜けるものである。この後、所定の起動タイミングが到来すると同じ動作を繰り返すものである。一方、ステップS43で所定時間が経過したと判断されるとステップS44に進み、外部情報端末42に注意喚起情報を送信する処理ステップを実行することになる。
【0052】
尚、ステップS41で室内に人物がいることを検出し、ステップS42で熱中症の危険性があると判断し、ステップ43で所定時間が経過した場合であっても、外部情報端末42に注意喚起情報を送信した後は、所定時間経過するまでは、外部情報端末42に再度の注意喚起情報を送信しない。
【0053】
≪ステップS44≫
ステップS44では、空調側制御手段40は室内環境が熱中症を発症する危険性が高いと判断して自身が備えている通信手段を起動して、通信網ITを経由して外部情報端末42と通信を開始する。この通信によって外出していた家人の外部情報端末42には、高齢者等が居住している室内が熱中症を発症する危険性が高い環境にある旨の注意喚起情報が送られ、この注意喚起情報は上述したようにスピーカ58によって音声で報知されるか、或いは表示部60によって文字データで報知されることになる。この報知を受け取った家人は急いで帰宅するか、或いは隣人、知人、行政部門に連絡を取って、この状況に対応することができるようになる。
【0054】
更に、本実施例において外部情報端末に送られる情報は少なくとも2回に亘って行われ、1回目は室内温度が熱中症を発症する危険性が高いという注意喚起情報であり、これは必ず送信されるものである。2回目は必要によって実施されるものであって、室内環境を改善するために空調運転が開始されたか、或いは現状のままかの空気調和装置の動作情報である。これによって、空調運転が開始されれば家人は安心感を与えられ、逆に現状のままだと必要な対応がとられていないと判断されて家人はその緊急性を認識することができる。これによって必要な対応をとることが可能となる。なお、外部情報端末に送られる情報は1回のみ通知するようにしてもよい。
【0055】
ここで、室内機10の空調側制御手段40と外部情報端末42とは対応付けられており、相互に通信が可能となっている。この場合は、室内機10の空調側制御手段40と外部情報端末42の端末側制御手段62とは相互に対応したIDコードが割り付けられており、室外機10の空調側制御手段40が通信を開始する状態になると、自動的に外部情報端末42と接続されて呼び出される構成となっている。また、外部情報端末42を複数の家人が有している場合は、室内機10の空調側制御手段42の記憶手段50にこれらのIDコードを記憶させておき、複数の外部情報端末42に同時に、或いは優先度を付けて送信することもできる。
【0056】
以上に説明した実施例1によれば、室内に人物がいる状態で、室内の温度が所定の温度(異常温度)より高くなる、或いは室内温度の上昇度合いが所定の上昇度合いを越えていると熱中症を発症する危険性が大きいと判断して、空気調和装置に対応付けされた外部情報端末に注意喚起情報を送信して報知することができる。
【0057】
この結果、室内が熱中症を引き起こすような異常な環境になった場合、家人が有している外部情報端末に室内が異常な環境になっているという注意喚起情報を送信して報知するので、例えば家人が外出している場合であってもこの注意喚起情報によって必要な対応が可能となり重大な事故を回避できるという効果を奏することができる。
【0058】
尚、実施例1ではステップS40で空調運転を実行していない場合に注意喚起情報を外部情報端末に送信する処理ステップを実行するようにしているが、ステップS40を省略することも可能であって、空調運転中であっても何らかの原因で室内環境が熱中症を発症する環境に陥った場合でも対応できるようにすることができる。
【0059】
本実施例では、ステップS41で室内に人物がいることを検出し、ステップS42で熱中症の危険性があると判断した場合に注意喚起情報を外部情報端末に送信する処理ステップを実行するようにしているが、ステップS42を省略し、ステップS41で室内に人物がいることを検出した場合に、ステップS44で外部情報端末42に注意喚起情報を送信してもよい。人によって熱中症になる温度は異なるため、このような方法によれば、熱中症になるリスクをさらに軽減することができる。
【0060】
又、先にステップS42で熱中症の危険性があるか否か判断し、熱中症の危険性があると判断されて初めて、ステップS41で駆動手段によってカメラを駆動し、室内に人物がいるか検出するようにしてもよい。このような方法によれば、駆動手段の寿命を延ばすことができる。
【実施例2】
【0061】
次に本発明の第2の実施形態について図5に示すフローチャートに基づき説明する。図5のフローチャートは図4に示す基本的な制御フローを基礎にしており、ステップS40からステップS44までは共通した処理ステップを使用しているものである。したがって、ステップS40からステップS44までの処理については重複するので詳細な説明は省略する。
【0062】
以下、新たに追加された処理ステップ毎にその機能を説明するが、実施例1では注意喚起情報を外部端末42に送信する場合を説明したが、実施例2では注意喚起情報を送信した後の処理を新たに追加したものである。
【0063】
≪ステップS50≫
ステップS44で注意喚起情報を外部情報端末42に送信した後に、引き続いてステップS50が実行される。現在の状況では空調運転がなされていないので、このステップS50は、熱中症を発症する環境を早期に改善するために空調運転を開始する処理ステップである。これによって、温度が上昇した室内は室内機10からの冷風によって冷やされ、熱中症を発症する危険性を軽減することができる。このステップS50は室内機10の空調側制御手段40によって自動的に行う場合と、外部情報端末42からの命令指示によって行われる場合とがある。
【0064】
室内機10の空調側制御手段40で空調運転を開始する場合は、空調側制御手段40自身の空調制御アプリケーションに、外部情報端末42に注意喚起情報を送ったという情報を受け取ると空調運転を開始する処理ステップを設定しておけば、空調制御アプリケーションは注意喚起情報を送ったという情報を受け取ると空調運転を開始することができるようになる。
【0065】
また、外部情報端末42からの命令指示で空調運転を開始する場合は、注意喚起情報を受け取った家人によって、外部情報端末42から空調運転を開始する命令指示が室内機10の空調側制御手段40に送られてくると、室内機10の空調側制御手段40は空調運転の制御アプリケーションを起動して同様に空調運転を開始することができるようになる。
【0066】
ここで、空調運転は、直前の空調運転停止時における運転モード、設定温度等を設定値として開始される。このような設定値を採用することで、使用者に適した運転を実行できる可能性が高い。
なお、空調運転は室内環境を早期に改善するために最初は急冷モードで行われ、その後、室内温度が低下するにつれて徐々にその冷房能力を下げていく空調運転を行うようにしてもよい。ただ、この場合、室内に居住している人物の体調等によって空調運転のモードは予め設定可能である。例えば、急速に体を冷やすと心臓への負担が大きくなるので、心臓病を罹患している人物が居住している場合は弱冷房モードに設定して急速に体が冷えないような設定が可能である。
【0067】
更に、空調運転を開始すると室内に居住している人物は突然空調運転が行われるため不審に思うことがあるので、室内機10に設けた表示部、或いはスピーカによって室内の温度が高いので空調運転を開始した旨の報知を行って不審感を払拭するようにしている。また、外部情報端末42の命令指示による空調運転の場合は、室内機10に設けた表示部、或いはスピーカから家人から空調運転の開始が指示されたことを報知するようにしている。
【0068】
外部情報端末42はIDコード割り付けられているので、このIDコードと家人の氏名を対応付けて空調側制御手段40の記憶手段50に記憶させておけば、家人の氏名を報知し、この家人によって空調運転が開始されたことを報知することができる。これによって、室内に居住している高齢者等は安心感を得ることができる。更に、同時に外部情報端末42に空調運転を開始した旨の報知を行って、外出している家人に確認報知と安心感を与えるようにしている。
【0069】
尚、ステップS50で室内機10の空調側制御手段40で自動的に空調運転を開始する場合は次のような制御動作を組み合わせることができる。つまり、室内環境が熱中症を発症する危険性が高いので空調運転を開始するように促す音声通知を所定回数行い、この結果で空調運転が開始されなかった場合は自動的に空調運転を開始するようにするものである。
【0070】
これによると、音声報知によって高齢者等が熱中症を発症する環境にあることを自覚して必要な対応を取ることができるようになる。また、音声報知によっても自身で空調運転を行うことができない場合は自動的に空調運転が開始されるので、熱中症を発症する危険性を軽減できるようになる。
【0071】
又、空調運転が開始され、カメラを駆動しない運転モードが実行されると、カメラの駆動を停止する。このような方法によれば、使用者の操作によって空調運転が開始される場合と、本実施例における処理によって空調運転が開始される場合とで処理を変える必要がない。
【0072】
そして、空調運転を行っている過程で、本実施例では次のステップS51を実行するように処理ステップが設定されている。
【0073】
≪ステップS51≫
ステップS51では空調運転を継続するかどうかの判断を行っている。この判断の目的、方法は種々あり代表的な例を以下に説明する。したがって、必要とする目的によって適切な処理ステップを設定すれば良いものである。もちろん,これらの処理ステップを組み合わせて空調運転を継続するかどうかの判断を行うことができるのはいうまでもない。
【0074】
例えば、ステップS41と同じ処理を実行して室内に人物がいるかどうかの判断を行うことができる。この判断を行う理由は、空調運転によって室内環境を改善している途中で室内から人物が退出した場合は、無駄な空調運転となる恐れがあるためである。本実施例では、カメラを使用して画像認識を行い人物の存在を検出する、或いはサーモパイルを使用して熱源認識を行い人物の存在を検出することができ、これによって室内に人物の存在を確認しないと空調運転を停止しても良いと判断する。
【0075】
また、室内環境が改善されて室内温度が所定の下限温度まで下がると熱中症を発症する危険性が少なくなるので、空調運転を停止しても問題が無いと考えられる。したがって、室内環境検出手段46である温度センサによって検出された温度と、熱中症の発症を回避できるような所定の室内温度とを比較し、室内温度が十分下がったと判断されると空調運転を停止しても良いと判断する。
【0076】
また、空調運転が開始された時点からの経過時間を計測し、所定時間を経過すると室内温度が充分下がったと見做すことができ、よって熱中症を発症する危険性が少なくなるので空調運転を停止しても問題が無いと考えられる。したがって、空調運転を開始してから所定時間が経過すると空調運転を停止しても良いと判断する。
【0077】
更に、室内機10の空調側制御手段40は外気温度を測定しているので、外気温度が所定の温度以下に下がってくると熱中症を発症する危険性が少なくなるので空調運転を停止しても問題が無いと考えられる。したがって、室外機12に設けた温度センサによって検出された温度と、熱中症の発症を回避できるような所定の室外温度とを比較し、室外温度が十分下がったと判断されると空調運転を停止しても良いと判断する。
【0078】
このステップS51で空調運転を継続すると判断されるとエンドに抜けて次回の起動タイミングの到来を待つことになる。一方、ステップS51で空調運転を継続しない、つまり空調運転を停止すると判断されるとステップS52に進むことになる。
【0079】
≪ステップS51≫
ステップS51で空調運転の継続をしないと判断されると、ステップS52では空調運転を停止する処理を実行する。そして、これに対応して空調運転が停止されたことを室内機10のスピーカや表示装置に報知することで、熱中症を発症する危険性が軽減されたことを高齢者等に知らせ安心感を与えるようにしている。同時に、外部情報端末42にも空調運転を停止したことを報知して家人に確認報知を行うようにしている。更に好ましくは空調運転を停止した理由を併せて報知することで安心感を与えるようにしている。
【0080】
ステップS51で空調運転の停止と、停止になったことを室内機10、外部情報端末42に報知すると、この処理ステップは終了してエンドに抜け、次の起動タイミングの到来を待つことになる。
【0081】
尚、ステップS43で所定時間を経過したか判断し、ステップS44で外部情報端末に注意喚起情報を送信した後に、ステップS50で空調運転を開始するようにしているが、ステップS40、ステップS42、ステップS43及びステップS44は必要に応じてそれぞれ省略してもよい。すなわち、ステップS41で室内に人物がいることを検出した場合にステップS50で空調運転を開始するようにしてもよい。
【0082】
最後に、以上に述べた実施例ではリモートコントローラ14による操作が行われない場合を示したが、リモートコントローラ14による操作が行われた場合は、リモートコントローラ14の操作指示を優先して実行するものである。
【0083】
以上述べた通り、本発明は室内に人物がいる状態で、室内の環境が熱中症を発症する危険性が大きいと判断されると、空気調和装置に対応付けされた外部情報端末に注意喚起情報を送信して報知するようにしたものである。
【0084】
これによれば、室内が熱中症を引き起こすような異常な環境になった場合に、家人が有している外部情報端末に室内が異常な環境になっているという注意喚起情報を送信して報知するので、例えば家人が外出している場合であってもこの注意喚起情報によって必要な対応をとることが可能となり、重大な事故を回避できるという効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0085】
10…室内機、12…室外機、14…リモコン、22…筺体ベース、24…熱交換器、30…左右風向板、32…上下風向板、34…前面パネル、40…室内機の制御手段、42…外部情報端末、44…負荷、46…室内環境検出手段、48…駆動制御部、50…記憶手段、54…マイク、56…音声認識手段、58…スピーカ、60…表示部、62…外部情報端末の制御手段、64…音声合成手段、66…演算装置。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と、前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備えると共に、前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており、
前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上であるとき、前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する第1の機能を備え、
前記第1の機能は、所定のタイミングごとに繰り返して実行され、且つ、前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても、前回の報知から所定時間が経過するまで、前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項2】
室温を検出する室温検出手段を有する空調側制御手段を備えた空気調和装置と、前記空調側制御手段に通信網を介して接続された端末側制御手段を有する外部携帯情報端末とを備えると共に、前記空調側制御手段と前記端末側制御手段は相互に対応したIDコードが割り付けられており、
前記室温検出手段で検出された室温が当該室温の室内にいると熱中症になるリスクが高くなると判断される所定温度以上である状態が所定時間継続したとき、前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する第1の機能を備え、
前記第1の機能は、所定のタイミングごとに繰り返して実行され、且つ、前記室温検出手段で検出された室温が前記所定温度以上であっても、前回の報知から所定時間が経過するまで、前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から再度の報知を行わない
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の空気調和システムにおいて、
前記外部携帯情報端末からの指示によって前記空気調和装置の空調運転を開始する第2の機能を備えた
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項4】
請求項3に記載の空気調和システムにおいて、
前記第2の機能によって空調運転が開始されたとき、前記空気調和装置の室内機に設けられた報知手段から報知する第3の機能を備えた
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気調和システムにおいて、
空調運転を開始した後に前記室温検出手段で検出された室温が所定温度以下になると、空調運転を停止すると共に、室内機に設けられた報知手段、又は、前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する
ことを特徴とする空気調和システム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気調和システムにおいて、
空調運転を開始してから所定時間が経過すると、空調運転を停止すると共に、室内機に設けられた報知手段、又は、前記通信網を経由して前記外部携帯情報端末から報知する
ことを特徴とする空気調和システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-09-27 
出願番号 特願2013-239834(P2013-239834)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (F24F)
P 1 651・ 121- YAA (F24F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 河野 俊二  
特許庁審判長 松下 聡
特許庁審判官 窪田 治彦
大屋 静男
登録日 2017-12-22 
登録番号 特許第6261295号(P6261295)
権利者 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
発明の名称 空気調和システム  
代理人 ポレール特許業務法人  
代理人 ポレール特許業務法人  
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