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審決分類 |
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する A61M 審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する A61M 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A61M 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A61M 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する A61M 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A61M |
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管理番号 | 1357085 |
審判番号 | 訂正2019-390100 |
総通号数 | 241 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-01-31 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2019-08-23 |
確定日 | 2019-10-28 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6553218号に関する訂正審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6553218号の明細書,特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書,特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許6553218号(以下,「本件特許」という。)は,平成25年8月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年8月20日,米国)を国際出願日とする特願2015-528583号の一部を平成30年2月8日に新たな特許出願とした特願2018-20754号の請求項1?19に係る発明について,令和1年7月12日に特許権の設定登録がされたものであり,その後,令和1年8月23日付けで本件訂正審判の請求がされたものである。 第2 請求の趣旨及び訂正事項 1 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は「特許第6553218号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。 2 訂正事項 本件訂正審判の請求に係る訂正(以下,「本件訂正」という。)の内容は,以下の訂正事項1?9のとおりである。なお,下線は訂正箇所を示す。 (1)訂正事項1 請求項1の「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む基端端部を備え、」という記載を,「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む末端端部を備え、」という記載に訂正する。 (2)訂正事項2 請求項1の「前記筒の前記内面と密に流体接触するストッパ」という記載を,「前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパ」という記載に訂正する。 (3)訂正事項3 請求項18の「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山、または、締まり嵌めと係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山によって前記VADと係合する」という記載を,「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山と係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山、または、締まり嵌めによって前記VADと係合する」という記載に訂正する。 (4)訂正事項4 請求項19の「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む基端端部を備え、」という記載を,「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む末端端部を備え、」という記載に訂正する。 (5)訂正事項5 請求項19の「前記筒の前記内面と密に流体接触するストッパ」という記載を,「前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパ」という記載に訂正する。 (6)訂正事項6 請求項19の「前記チャンバと流体連通する通路を備えるキャップであって、該キャップを該通路が通っており、半径方向内向きに付勢されていて且つ基端面および末端面を有しているバルブシート、血管アクセス装置(VAD)と解放可能に接続可能な、少なくとも1つの凹部を含む末端端部上のルアーコネクター、および、前記筒に解放可能に取り付け可能な基端端部を含むキャップと、」という記載を,「前記チャンバと流体連通する通路を備えるキャップであって、該キャップを該通路が通っており、半径方向内向きに付勢されていて且つ基端面および末端面を有しているバルブシート、血管アクセス装置(VAD)と解放可能に接続可能な、末端端部上のルアーコネクター、および、前記筒に解放可能に取り付け可能な、少なくとも1つの凹部を含む基端端部を含むキャップと、」という記載に訂正する。 (7)訂正事項7 明細書の段落【0010】の「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む基端端部を備え、」という記載を,「前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、(中略)ストッパを含む末端端部を備え、」という記載に訂正する。 (8)訂正事項8 明細書の段落【0010】の「前記筒の前記内面と密に流体接触するストッパ」という記載を,「前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパ」という記載に訂正する。 (9)訂正事項9 明細書の段落【0022】の「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山、または、締まり嵌めと係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山によって前記VADと係合する」という記載を,「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山と係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山、または、締まり嵌めによって前記VADと係合する」という記載に訂正する。 第3 当審の判断 1 訂正の目的の適否,新規事項の有無,特許請求の範囲の拡張・変更の存否について (1)訂正事項1,4,7について 本件訂正前の請求項1のプランジャーロッドが「ストッパを含む基端端部を備え」るとの記載は,一般にストッパはプランジャーロッドの末端端部に設けられるものであるという技術常識と相容れないものとなっている。また,本件訂正前の請求項1の「前記ストッパの前記筒に対しての末端移動によって前記筒から流体を押し出す」との記載からも,ストッパがプランジャーロッドの末端端部に含まれると解するのが自然である。 さらに,本件訂正前の明細書の段落【0036】には「プランジャーロッド120の末端端部123に位置するストッパ150を含む。」と記載されており,また【図1】にも,プランジャーロッドの「末端」側の端部にストッパを設けることが図示されている。 よって,本件訂正前の請求項1の「ストッパを含む基端端部」との記載は「ストッパを含む末端端部」との記載の誤記であることが明らかである。 本件訂正前の請求項19の「ストッパを含む基端端部」との記載,訂正前の明細書の段落【0010】の「ストッパを含む基端端部」との記載についても同様に,「ストッパを含む末端端部」との記載の誤記であることが明らかである。 そうすると,訂正事項1,4,7に係る本件訂正は,明かな誤記を訂正するものであるから,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。 そして,ストッパがプランジャーロッドの末端端部に含まれることは本件特許の願書に最初に添付した明細書の段落【0036】及び【図1】に記載されているから,訂正事項1,4,7に係る本件訂正は,本件特許の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法第126条第5項括弧書の規定に適合し,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第126条第6項の規定にも適合する。 (2)訂正事項2,5,8について 本件訂正前の請求項1の「前記筒の前記内面と密に流体接触するストッパ」との記載は,筒の内面とストッパとが「密に流体接触」するというのがどのような接触を指すのか不明であることから,技術的に不明りょうである。 一方で,本件訂正後の請求項1の「前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパ」との記載は,どのような接触を指すのか明りょうであるし,ストッパが筒の内面と密に接触するという技術常識,及び密に接触すれば流体漏れがないという技術常識とも整合する。 また,本件訂正前の明細書の段落【0036】には「ストッパ150が筒110の内面112と流体漏れなく接触するように,(中略)位置決めされている。」との記載があり,本件訂正後の請求項1の「前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパ」との記載は,明細書の記載とも符合するものであって,この点からも明りょうである。 よって,訂正事項2に係る本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また,訂正事項5及び8に係る本件訂正も同様に,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 そして,訂正事項2,5,8に係る本件訂正は,明りょうでない記載について本来の意を明らかにするものであって実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第126条第6項の規定に適合し,また,本件特許の願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであるから,特許法第126条第5項の規定にも適合する。 (3)訂正事項3,9について 本件訂正前の請求項18の「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山、または、締まり嵌めと係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山によって前記VADと係合する、」との記載は,一部材である「ねじ山」が係合の一形態である「締まり嵌め」と「係合する」との記載となっており,日本語としてその意味するところが不明である。 一方で,本件訂正後の請求項18の「前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山と係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山、または、締まり嵌めによって前記VADと係合する」との記載は,一部材である「ねじ山」と一部材である「ねじ山」とが「係合する」ものとなっており,明りょうである。 よって,訂正事項3に係る本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 また,訂正事項9に係る本件訂正も同様に,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。 そして,訂正事項3,9に係る本件訂正は,明りょうでない記載について本来の意を明らかにするものであって実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第126条第6項の規定に適合し,また,本件特許の願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであるから,特許法第126条第5項の規定にも適合する。 (4)訂正事項6について 本件訂正前の請求項19には「…血管アクセス装置(VAD)と解放可能に接続可能な、少なくとも1つの凹部を含む末端端部上のルアーコネクター、および、前記筒に解放可能に取り付け可能な基端端部を含むキャップ」との記載があるが,同じ請求項19の,バルブの側壁が有する少なくとも1つの突起が「前記キャップ内の前記少なくとも1つの凹部と協働的に係合する」との記載と併せてみれば,「少なくとも1つの凹部を含む」のは,「ルアーコネクター」ではなく「基端端部」であることが明らかである。 そうすると,訂正事項6に係る本件訂正は,誤記を訂正するものであるから,特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。 そして,本件特許の願書に最初に添付した明細書の段落【0066】の「いくつかの実施形態では、図7および15に示したように、バルブ140の末端端部142は、バルブの開放位置と閉鎖位置の間の自然発生的な移動を妨げる突起145を含む。いくつかの実施形態におけるキャップ130は、突起145と係合しおよびバルブ140の自然発生的な移動に対し均一なより大きな障害を与えるための、1つ以上の相補的な凹部138を有することができる。図7に示した実施形態では、キャップ130は2つの凹部138を含み、1つはバルブ140が開放位置にあるときに突起145を支持するように位置決めされ(図7)、1つはバルブ140が閉鎖位置にあるときに突起145を支持するように位置決めされる(図15)。」との記載,【図7】の記載及び【図15】の記載を総合すると,訂正事項6に係る本件訂正は,本件特許の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであって,特許法第126条第5項括弧書の規定に適合し,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないから,特許法第126条第6項の規定にも適合する。 2 独立特許要件 訂正事項1,4,6及び7に係る本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?19に記載されている事項により特定される発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである理由は見いだせないから,本件訂正は,特許法第126条第7項の規定に適合する。 第4 むすび 以上のとおりであるから,本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであって,かつ,同条第5項?7項の規定に適合する。 よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 血液逆流を防止するための装置および使用の方法 【技術分野】 【0001】 本発明の実施形態は、一般に、血管アクセス装置(VAD)における血液逆流を防止するための装置および方法に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、血流感染(CRBSI)、および、IVコネクターのクリーニング、逆流防止、コネクターキャッピング技術のうち1つまたはそれよりも多くを含む静脈内(IV)ライン開通性メンテナンスに関するリスクを低減するための技術に向けられている。 【背景技術】 【0002】 カテーテル関連血流感染症防止のための現在の技術および手順は、実際的でなく、実行するのが困難で面倒である。現在のIVカテーテル開通性のメンテナンス手順の一部は、予め充填された生理食塩水(0.9%のNaCl)注射器を用いて静脈ラインをフラッシュすることを必要とする。容積式コネクターが使用されない場合、血液が戻ってカテーテル内に逆流させ、そして、静脈ラインを閉塞しおよびカテーテル内腔を遮断する血栓を形成することがある。また、カテーテルにアクセスして静脈ラインをフラッシュした後、カテーテルコネクターを保護するように設計されている自動的なカテーテルコネクターキャップシステムは存在しない。 【0003】 現在、コネクターが利用されない場合、入口面は環境に暴露される。このことにより、微生物が露出したコネクター入口面を埋めてフラッシングの間に静脈ラインに入ることを可能にし、血液逆流によってカテーテル内腔の内側に血栓形成を引き起こすことがあり、コネクター入口表面からの微生物がカテーテル内腔の内側に血栓を作って患者に感染することがあり、および、血栓が静脈ラインを閉塞して、そのラインを使用することを困難にすることがある。一部の患者では、カテーテル内腔から外れた血栓がさらなる合併症を引き起こす可能性がある。推奨される実務では、すべての他の工程のほとんど後にコネクターをクリーニングすることを提案している。このことはIVのメンテナンス処理を非常に煩雑にし、それはほとんど実施されていない。 【0004】 容積式バルブ(コネクター)の1つの目的は、血液のカテーテルへの逆流を防止することである。IVデバイスがバルブ/コネクターの入口ポートに接続されていない場合、カテーテルの先端で血液逆流が発生し得る。容積式バルブは、血液の逆流による血栓症または血栓形成からカテーテルの閉塞を防止するために使用される。一部の容積式バルブメーカーは、生理食塩水だけのフラッシング(すなわち、バルブが逆流を防ぐので、ヘパリンロックフラッシュが必要でない)を推奨している。容積式バルブを通って血液が引かれたとき、血中タンパク質がバルブの部分に付着し、微生物が移植されることがあり得る。バルブの入口ポート面は、微生物の潜在的な供給源である。容積式バルブは、複雑な機能を備えた機械的な部分を有している。したがって、バルブの内部部品をフラッシング処理によってクリーニングすることは困難である。FDAは、容積式バルブに関連するCRBSIのリスクに関する懸念を提起し、リスクに対処するための調査を命じている。http://www.fda.gov/MedicalDevices/Safety/AlertsandNotices/ucm220459.htmを参照のこと。 【0005】 さらに、皮膚からの微生物がコネクターの保護されていない入口ポート面を埋めることがある。コネクター入口面からの微生物がIV溶液と一緒に(例えばフラッシング中に)血流中に注入されることがある。現在の手順のさらなる問題は、限定ではないが、カテーテル内部の微生物によって移植される血栓、不十分なまたは不都合なコネクタークリーニング慣行、および、複雑な容積式バルブ/コネクターの部分を含む。 【0006】 現在の静脈ラインのメンテナンスおよびIV薬物送達実務には問題がいくつかある。カテーテル挿入患者が治療センターから出されるとき、コネクターの入口ポートは環境に露出されており、微生物が埋められるまたは移稙されることがある。コネクター汚染の可能性は治療センターの外に存在する。臨床医は、彼らの両手でコネクターをきれいにする必要がある。臨床医はまた、彼らの両手でフラッシュシリンジのふたを取り、そして、それを静脈ラインコネクターに接続する必要がある。これは、コネクターをクリーニングした後に、臨床医がフラッシュシリンジを手に取るためにコネクターを皮膚上に戻すことがある(すなわち、フラッシュシリンジのふたを取ってそれをコネクターに接続するために2つの手が必要である)ことを意味する。 【0007】 現在の静脈ラインのメンテナンスおよびIV薬物送達実務には多くの問題がある。コネクターを汚染する可能性もまた、静脈ラインをフラッシュすることと治療を投与することの間の期間中に、存在する。容積式バルブが使用されない限り、血液逆流は防止されない。 【0008】 したがって、当技術においては、コネクター入口表面を汚染から保護し、フラッシュシリンジのルアー先端を汚染から保護してカテーテル内腔の内部での血栓形成を回避するために逆流を防止し、コネクターのクリーニング工程を臨床医にとって便利で、一貫性があり、直感で理解できるものにし、および/または、コネクターおよびカテーテルを適切にフラッシュする装置および方法に対する必要性がある。 【発明の概要】 【0009】 一またはそれよりも多い実施態様は、血液逆流を防止し、および、IVカテーテルコネクターを静脈ラインのフラッシュ後にキャップするように設計することのできるシステム、装置および方法に向けられている。 【0010】 本発明の実施形態は、筒、細長いプランジャーロッド、キャップ、および、バルブを備えたフラッシュシリンジアセンブリに向けられている。前記筒は、流体を保持するチャンバを画定する内面、および、外面を有する側壁と、開いた基端端部と、前記チャンバと流体連通する開口を有する末端壁であって該末端壁を該開口が通っている末端壁を含む末端端部とを含む。前記細長いプランジャーロッドは、前記筒内に配置されている。該プランジャーロッドは、スライド可能に位置決めされた、前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパを含む末端端部を備え、そのために、前記ストッパの前記筒に対しての末端移動によって前記筒から流体を押し出す。前記キャップは前記チャンバと流体連通する通路を備え、該キャップを該通路が通っている。前記キャップは、血管アクセス装置(VAD)と解放可能に接続可能な、末端端部上のルアーコネクター、および、前記筒に解放可能に取り付け可能な基端端部を含む。前記バルブは、前記筒の前記末端端部および前記キャップの前記基端端部に隣接して位置決めされている。前記バルブは、前記チャンバと前記VADの間の流体の流れを可能にする開放位置と血管から前記VADへの流体の流れを防止する閉鎖位置との間を移動可能である。 【0011】 いくつかの実施形態では、前記バルブは、基端面およびそこから末端に延びる側壁を有するプラグを含む。該側壁は、前記チャンバと前記VADの間の流体連通を可能にする複数の開口を含む。前記プラグが前記開放位置にあるときは、前記チャンバと前記キャップの間に前記複数の開口を通じた流体連通が存在し、および、前記プラグが前記閉鎖位置に向かって末端に移動したときに、前記チャンバが前記VADから分離される。 【0012】 いくつかの実施形態では、前記プラグは可撓性である。一またはそれよりも多くの実施態様では、前記プラグはエラストマー材料から作られている。 【0013】 いくつかの実施形態では、前記バルブは該バルブの中心から末端方向に延びるバルブステムを含む。該バルブステムは、基端直径および該基端直径よりも大きい末端直径を備え、さらに、前記キャップは、前記バルブステムに対して全面的な接触にあるときに流体漏れのない密封を形成するバルブシートを備える。一またはそれよりも多くの実施態様では、前記ストッパに末端に向かう力が加えられたときに、前記バルブステムは前記バルブシートと全面的には接触しておらず、前記ストッパに基端に向かう力が加えられたときまたは力が加えられないときに、前記バルブステムは前記バルブシートと全面的に接触して、前記チャンバを前記VADから分離する流体漏れのない密封を形成する。 【0014】 いくつかの実施形態では、前記バルブは、基端面およびそこから末端に延びる側壁を備え、前記基端面は前記チャンバと前記キャップの間の流体連通を可能にする複数の開口を備え、前記バルブの中心からバルブステムが末端方向に延びており、該バルブステムは基端直径および該基端直径よりも大きい末端直径を有しており、さらに、前記キャップは、前記バルブステムに対して全面的な接触にあるときに流体漏れのない密封を形成するバルブシートを備える。一またはそれよりも多くの実施態様では、前記ストッパに末端に向かう力が加えられたときに、前記バルブステムは前記バルブシートと全面的には接触しておらず、前記ストッパに基端に向かう力が加えられたときまたは力が加えられないときに、前記バルブステムは前記バルブシートと全面的に接触して、前記チャンバを前記VADから分離する流体漏れのない密封を形成する。いくつかの実施形態では、前記バルブの前記側壁は、前記チャンバと前記キャップの間の流体連通を可能にする複数の開口を含む。 【0015】 いくつかの実施形態では、前記バルブは、基端面およびそこから末端に延びる側壁を備える。前記基端面および前記側壁のうち1つまたはそれよりも多くにおける複数の開口が前記チャンバと前記キャップの間の流体連通を可能にする。バルブステムが前記バルブの中心から末端方向に延びており、前記バルブステムは、基端直径を持つ基端端部および該基端直径よりも大きい末端直径を持つ末端端部を有している。前記キャップはさらに、前記通路内に、半径方向内向きに付勢されるバルブシートを備えている。該バルブシートは基端面および末端面を有し、前記バルブステムの前記末端が初期位置にあって、前記バルブシートの前記基端面に当接して流体の末端の移動に対する密封を形成し、および、前記バルブの前記複数の開口は遮られない。 【0016】 いくつかの実施形態では、前記バルブが前記初期位置にあるとき、前記プランジャーに対する基端に向かう力によって、前記バルブステムの前記末端を前記バルブシートの末端側へ通過させて前記バルブを前記開放位置へ移動させ、前記キャップと前記チャンバの間の流体連通であって前記バルブの前記複数の開口を介する流体連通を可能にする。1つまたは複数の実施形態では、前記プランジャーに対する基端方向の後続の力によって、前記バルブステムの前記末端を前記バルブシートの基端側から前記バルブシートの末端側へ通過させて前記バルブを前記開放位置へ移動させ、前記キャップと前記チャンバの間の流体連通であって前記バルブの前記複数の開口を介する流体連通を可能にする。いくつかの実施形態では、前記ストッパに末端に向かう力が加えられたときに、前記バルブステムは前記バルブシートと全面的には接触しておらず、前記ストッパに基端に向かう力が加えられたときまたは力が加えられないときに、前記バルブステムの前記基端側が前記バルブシートの前記末端と全面的に接触して、前記チャンバを静脈ラインから分離する流体漏れのない密封を形成する。 【0017】 いくつかの実施形態では、フラッシュシリンジアセンブリは、スリーブおよび殺菌システムを含む。前記スリーブは、前記筒と同軸であり、末端および基端、および、内面および外面を有しており、前記筒に対して末端から基端へスライドする。前記殺菌システムは、ハブに収容された殺菌剤を含んでおり、前記スリーブの基端移動の際に解放される。 【0018】 いくつかの実施形態では、前記スリーブがさらに、前記筒の内容物への可視性を提供するための1つまたはそれよりも多い切り欠きを備える。一またはそれよりも多くの実施態様では、前記筒の前記外面がさらに、2つの環状位置決めリッジ、末端の環状の位置決めリッジ、および、基端の環状の位置決めリッジを含む。いくつかの実施形態では、前記筒の前記内面がさらに、前記筒の前記外面上で前記環状位置決めリッジと係合することで前記スリーブの前記筒に対する位置を制御するための2つの環状位置決め溝を含む。 【0019】 いくつかの実施形態では、前記スリーブの前記末端は締まり嵌めによって前記殺菌システムに接続されている。 【0020】 一またはそれよりも多くの実施形態では、前記殺菌システムがさらに、使用前に前記殺菌システムを保護するための取り外し可能なカバー、および、殺菌剤搬送媒体を含む。 【0021】 いくつかの実施形態では、前記ストッパは、熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性材料、および、これらの組合せからなるリストから選択された材料からなる。 【0022】 一またはそれよりも多くの実施態様では、前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山と係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山、または、締まり嵌めによって前記VADと係合する。 【図面の簡単な説明】 【0023】 上で言及した本発明の特徴が達成される方法を詳細に理解できるように、上に簡潔に要約した本発明のより具体的な説明が、添付図面に表した本発明の実施形態を参照することで得られよう。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態のみを示したものであり、したがって、その範囲を限定するものとみなすべきでなく、本発明は他の均等の有効な実施形態を許容することができることに留意すべきである。 【図1】本発明の1つまたは複数の実施形態に係るシリンジアセンブリの分解概略図である。 【図2】本発明の1つまたは複数の実施形態によるプランジャーロッドを示す図である。 【図3】本発明の1つまたは複数の実施形態によるキャップの末端図を示す。 【図4】本発明の1つまたは複数の実施形態によるキャップの基端図を示す。 【図5】本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの概略図である。 【図6】図1のシリンジアセンブリの断面図を示す。 【図7】図1のシリンジアセンブリの末端端部の拡大断面図を示す。 【図8】キャップが取り外された状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの概略図である。 【図9】本発明の1つまたは複数の実施形態による、キャップが取り外された状態のシリンジアセンブリおよび未接続の血管アクセス装置の側面図を示す。 【図10】血管アクセス装置が接続された状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態による図9のシリンジアセンブリの側面図を示す。 【図11】血管アクセス装置およびハブが取り外された状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの分解側面図である。 【図12】血管アクセス装置が取り付けられた状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの側面図を示す。 【図13】図12のシリンジアセンブリの、プランジャーが基端位置にある状態の断面図を示す。 【図14】図12のシリンジアセンブリの、プランジャーが末端位置にある状態の断面図を示す。 【図15】図14のシリンジアセンブリの末端端部の拡大断面図を示す。 【図16】血管アクセス装置が接続されおよびプランジャーロッドが末端位置にある状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの側面図を示す。 【図17】図16のシリンジアセンブリの断面図を示す。 【図18】血管アクセス装置およびキャップが取り外された状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの側面図を示す。 【図19】図18のシリンジアセンブリの断面図を示す。 【図20】本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの分解側面図である。 【図21】本発明の1つまたは複数の実施形態による注射筒を示す図である。 【図22】本発明の1つまたは複数の実施形態によるバルブの末端図を示す。 【図23】本発明の1つまたは複数の実施形態によるバルブステムを示す図である。 【図24】本発明の1つまたは複数の実施形態によるバルブの末端図を示す。 【図25】本発明の1つまたは複数の実施形態によるバルブの基端図を示す。 【図26】キャップおよび血管アクセス装置が取り付けられた状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの拡大断面図である。 【図27】プランジャーロッドが基端位置にある状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの側面図を示す。 【図28】図27のシリンジアセンブリの断面図を示す。 【図29】血管アクセス装置が取り付けられていない状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの分解側面図である。 【図30】血管アクセス装置が取り付けられた状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態による図29のシリンジアセンブリの側面図を示す。 【図31】プランジャーロッドが基端位置にある状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの断面図を示す。 【図32】図31のシリンジアセンブリの末端端部の拡大断面図を示す。 【図33】プランジャーロッドが基端位置にある状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの側断面図を示す。 【図34】図33のシリンジアセンブリの末端端部の拡大断面図を示す。 【図35】プランジャーが基端に引かれた状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態による、図33のシリンジアセンブリの側断面図を示す。 【図36】図35のシリンジアセンブリの末端端部の拡大断面図を示す。 【図37】血管アクセス装置、キャップ、およびバルブが取り外された状態の、本発明の1つまたは複数の実施形態によるシリンジアセンブリの側面図を示す。 【図38】図37のシリンジアセンブリの断面図を示す。 【図39】図38の血管アクセス装置およびバルブの拡大断面図を示す。 【図40】本発明の1つまたは複数の実施形態によるキャップおよびバルブの基端図を示す。 【発明を実施するための形態】 【0024】 本発明の実施形態は、バルブおよびプラグを持ち、血液逆流の防止、カテーテル容積式コネクターの必要性の排除、および、IVコネクターのIVコネクターキャッピングによる保護のうち1つまたはそれよりも多くを可能にするシリンジアセンブリに向けられている。 【0025】 本発明の実施形態は、バルブおよびプラグを持ち、血液逆流の防止、カテーテル容積式コネクターの必要性の排除、および、IVコネクターのIVコネクターキャッピングによる保護のうち1つまたはそれよりも多くを可能にするシリンジアセンブリに向けられている。 【0026】 装置はIVカテーテル内腔への血液の逆流を防止することができ、カテーテルクリーニング手順の後で、IVカテーテル容積式コネクターまたはバルブの必要性を排除し、および/または、IVコネクターをキャップすることによって該IVコネクターを汚染から保護する。これらのシステムは、カテーテルの滞留時間を延長するため、Cathflo(登録商標)(t-PA、アルテプラーゼ)の使用を削減するため、および、IVコネクターをキャップしてコネクター入口ポートの細菌形成のリスクを低減するため潜在力を有する。一またはそれよりも多くの実施形態は、コネクターを殺菌/クリーニングし、静脈ラインをフラッシュし、逆流を防止し、コネクター入口ポート面をキャップ/密封する(例えば、微生物が静脈ラインに入るまたはコネクター入口ポート面を埋めることを防止するため)ためのシステムに向けられている。 【0027】 第1の態様では、ユーザーは、ルアーキャップをカテーテル(または血管アクセス装置の)コネクターに接続し、ラインをフラッシュする。VADラインをフラッシュする臨床医は、フラッシュシリンジアセンブリのプランジャーロッドを押圧して、ストッパをバルブ(またはプラグ)に向かって動かして、注射器内の流体(充填済みでもユーザーが充填したものでもよい)を移動させる。フラッシング処理を完了すると臨床医は、ルアーキャップの末端端部にプラグを押し込む。プラグはストッパ/プランジャーによってルアーキャップに押し込まれる。このステップでは、ルアーキャップの内腔を密封し、逆流を防止する。プラグが流体を静脈ライン(またはVAD)の方向に変位させるので、血液のカテーテル(またはVAD)への逆流は防止される。ルアーキャップの内腔がプラグで密封された後、ユーザーは、筒、ストッパ、および、プランジャーロッドアセンブリを回して、ルアーキャップおよびプラグアセンブリから外す。この時点で、ルアーキャップおよびプラグアセンブリは、カテーテル(またはVAD)コネクターをキャップしている。筒、ストッパ、および、プランジャーロッドアセンブリは廃棄できる。 【0028】 第2の態様では、流体のみを静脈ライン(またはVAD)の方向に流すことができる。流れがないときは、一方向弁は閉鎖位置にある。臨床医が、フラッシュシリンジをIV(またはVAD)コネクターに接続した後、プランジャーロッドを押圧すると、一方向弁を開けて流体が流れることを可能にする原因となる。臨床医がプランジャーロッドを押圧すると、システム内の圧力がバルブステムを退避させ、および、流体が流路を通って流れて、静脈ライン(またはVAD)に入る。臨床医がプランジャーロッドの押圧を止めると、ストッパは適切な位置でロックし、および、筒内に液体を逆流させない。同時に、バルブは、IV(またはVAD)ライン方向に液体を移動させるのを止め、血液の逆流を防止する。ストッパが動くことを停止すると、バルブは開放位置から閉鎖位置に移動する。ストッパは所定の位置にロックして、筒への逆流を防止することができる。バルブにおける弾性流路および/または「スプリング」は、バルブステムを引き戻し、バルブを閉じる。フラッシング手順が完了すると、ユーザーは、筒、ストッパ、および、プランジャーロッドアセンブリを回して、ルアーキャップ/一方向弁アセンブリから外す。カテーテル(またはVAD)コネクターにキャップをし、ルアーキャップ/一方向弁アセンブリによって密封する。 【0029】 第3の態様は、第1の態様および第2の態様の組み合わせである。弾性「スプリング」流路もプラグとして機能する。流体は、IV(またはVAD)ラインの方向に流れることができるだけである。流れがないときは、一方向弁は閉鎖位置にある。臨床医が、フラッシュシリンジをIV(またはVAD)コネクターに接続した後、プランジャーロッドを押圧すると、一方向弁を開けて流体が流れることを可能にする原因となる。臨床医がプランジャーロッドを押圧すると、システム内の圧力がバルブステムを退避させ、および、流体がバルブの流路を通って流れて、静脈ライン(またはVAD)に入る。臨床医がプランジャーロッドの押圧を止めると、ストッパは適切な位置でロックし、および、筒内に液体を逆流させない。同時に、バルブは、IV(またはVAD)ライン方向に液体を移動させるのを止め、血液の逆流を防止する。弾性流路および/または「スプリング」は、バルブステムを引き戻し、バルブを閉じる。フラッシング処理を完了すると臨床医は、弾性流路/プラグを一方向弁/ルアーキャップの末端端部に押し込み、プラグは、ストッパ/プランジャーロッドによって密封位置に押し込まれる。このステップでは、一方向弁/ルアーキャップの内腔を密封し、逆流を防止する。プラグが流体を静脈ライン(またはVAD)の方向に変位させるので、血液のカテーテル(またはVAD)への逆流は防止される。臨床医がプランジャーロッドの親指押圧部を押圧して、プラグをルアーキャップに挿入する。フラッシング手順が完了すると、ユーザーは、筒、ストッパ、および、プランジャーロッドアセンブリを回して、ルアーキャップ/一方向弁アセンブリから外す。カテーテル(またはVAD)コネクターにキャップをし、ルアーキャップ/一方向弁アセンブリによって密封する。 【0030】 第4の態様は、一方向弁に変換する二方弁システムに向けられている。この種の態様は、血液を採取してカテーテルの開存性を確認する必要性に対処する。当初は、バルブシステムは、採血を可能にするための二方弁である。しかしながら、フラッシングがいったん開始すると、バルブは一方向弁システムに変化して血液逆流を防止する。これはまた、独立した装置としても、現行のフラッシュシリンジまたは他の任意のIV治療装置への「アドオン」またはアクセサリとしても設計することができる。バルブステムの初期位置はバルブシートの背後にある。開存性を確認するために臨床医がプランジャーロッドを引っ張ると、システムの圧力がバルブステムをバルブシートの背面から外し、流体がフラッシュシリンジに向かって(すなわち、注射筒内に)流れる。臨床医がプランジャーロッドを引っ張るのを止めると、バルブステムはその初期位置(すなわち、バルブシートの背後)に戻る。別の言い方をすれば、ストック部屋のプランジャーロッドが静的状態にあるときは、バルブステムはそのデフォルト位置に戻る。臨床医がIVカテーテルをフラッシュするためにプランジャーロッドを押圧すると、注射器内の圧力によりバルブシートを横切って移動するようにバルブステムを強制し、流れがIVカテーテルの方向になる。臨床医がプランジャーロッドの押圧を止めると、ストッパは適切な位置でロックし、および、液体を筒に逆流させることはできなくなる。同時に、バルブは、IVライン方向に液体を移動させるのを止め、それが血液の逆流を防止する。バルブステムとバルブシートとの間の干渉は、バルブステムがその元の位置すなわちデフォルト位置(すなわち、バルブシートの背後)に戻ることを許容しない。したがって、バルブステムがバルブシートに着座してバルブを閉じる(すなわち、バルブは閉鎖位置にある)。フラッシング手順が完了すると、ユーザーは、筒、ストッパ、および、プランジャーロッドアセンブリを回して、ルアーキャップ/一方向弁アセンブリから外す。カテーテル(またはVAD)コネクターにキャップをし、ルアーキャップ/一方向弁アセンブリによって密封する。 【0031】 一またはそれよりも多くの実施態様において、バルブは、IVカテーテル内への血液の逆流を防ぐプラグシステムとして動作する。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、用語「バルブ」は、例えば、流体の流れの方向およびバルブの位置に応じて、流体の流れを可能にするかまたは流体の流れを遮断することができる構成要素について記述するために使用される。シリンジアセンブリは、ルアーキャップの先端に差し込むプラグを利用する。プラグはルアーキャップの末端端部に配置され、それは、フラッシュシリンジからカテーテルへの流体輸送を可能にすることができる流路を有している。いくつかの実施形態において、一方向弁システムは、IVカテーテルへの血液逆流を防止するために使用される。一方向弁は、実質的にIVカテーテルの方向だけの流れを可能にする。いくつかの実施形態では、二方弁システムは一方向弁に変換する。この種の実施形態は、フラッシング手順の最初の工程では二方弁であるバルブ機構を有している。二方弁は、採血(すなわち、IVライン開放度を確認するため)を可能にすることができ、フラッシングの開始時に、二方弁は一方向弁(すなわち、血液の逆流を防ぐため)に変わる。 【0032】 図1?19はプラグ状バルブを組み込んだ本発明の一実施例を示す。当業者は、図示のシリンジアセンブリは単なる一実施形態であること、および、シリンジアセンブリが種々の構造および構成要素を有することができることを理解できよう。従って、本発明の1つまたは複数の実施形態は、筒110、細長いプランジャーロッド120、キャップ130、および、バルブ140を含むシリンジアセンブリ100をフラッシュすることに向けられている。 【0033】 筒110は、流体を保持するためのチャンバ114を画定する内面112および外面113を有する側壁111、開放基端端部115、および、末端端部116を有している。末端端部116は、そこを通り、チャンバ114と流体連通する開口118(図7に示されている)を持った末端壁117を含み、チャンバ114内の流体が開口118を通ってチャンバから出ることを可能にする。 【0034】 筒110の外面113は、得られるシリンジアセンブリ100の所望の摩擦品質に応じ、滑らかであってもテクスチャーがあってもよい。例えば、テクスチャーのある外面113は、滑らかな面よりも安定で安全なグリップをユーザーに提供することができる。さらに、外面113の粗さ又は摩擦感は、注射筒110に用いられる材料の化学組成によって修正することができる。 【0035】 筒110はまた、筒110から末端に延びる先端119を含んでもよい。先端119は、筒110の残りの部分の外径と異なるまたは同じ外径を有することができる。例えば、図に示すように、先端119の外径は、先端119の基端にある筒状部分よりも小さい外径を有する。筒110の先端119は、先端119を同心円状に囲んで、ルアースリップ接続部(図示せず)またはロッキングルアータイプのカラーを含むことができる。図示の先端119は、ルアーロックタイプのコネクターであり、例えば、図7において見ることができる。 【0036】 細長いプランジャーロッド120が筒110内に配置されている。図2は、1つまたは複数の実施形態によるプランジャーロッド120の等角図を示す。プランジャーロッド120は、基端端部122および末端端部123を有する細長い本体部分121を含む。図1に表されたプランジャーロッド120は、プランジャーロッド120の末端端部123に位置するストッパ150を含む。ストッパ150の形状および大きさは、例えば、筒110およびプランジャーロッド120の形状および大きさに応じた、どのような適切な形状または大きさであってもよい。ストッパ150が筒110の内面112と流体漏れなく接触するように、および、筒110に対して末端へのプランジャーロッド120の動きが原因でストッパ150に筒110から流体を押し出させるように、ストッパ150は筒110内にスライド可能に位置決めされている。図2に表されたプランジャーロッド120は、プランジャーロッド120の末端端部123にコネクター128を含む。図示されたコネクター128はねじ山129を含み、これには、ストッパ150又は他の構成要素を、ストッパ150のねじ山との協働する相互作用によって取り付けることができる。当業者は、ねじ山129に加えて、コネクター128の他のタイプが存在することを理解できよう。例えば、コネクターは、コネクター128の外面の周りに1つまたは複数の軸方向に離間したリングを含むことができる。離間したリングはストッパ150の1つ以上の溝と協働して相互に作用し、ストッパ150をプランジャーロッド120の末端端部123に固定する。 【0037】 ストッパ150は、細長いプランジャーロッド120の末端端部123に、どのような適切な手段によって接続してもよい。いくつかの実施形態では、ストッパ150は、相補的なねじ山と圧入接続の相互作用などの機械的接続によって接続される。ストッパ150は、単一の部品とすることも、複数の部品をすることもできる。いくつかの実施形態では、ストッパ150は、ストッパ本体151および着脱式ストッパ先端152を有する複数の部品である。一またはそれよりも多くの実施態様においては、ストッパ150は、円錐形状の末端面を含み、筒110は、末端壁117に円錐形状の内面を含む。当業者は、円錐形状がまた円錐台形の形状を含むことができることを理解できよう。いくつかの実施形態において、ストッパ150は、チャンバ114の内容物を筒110の末端端部116を通してストッパ150が放出するのに有効であるように、筒110の末端端部の形状に対し相補的な形状を含む。ストッパ150は、チャンバ114に流体を引き込みおよびチャンバ114から流体を引き出すために、流体漏れなく筒110の内面112と係合した状態でスライド可能に位置決めすることができる。シリンジアセンブリが製造業者から前もって充填されている場合は、ストッパ150は、流体を筒110内に引き込むために用いられる、またはことができる必要はない。 【0038】 ストッパ150は、筒110の内面112に対する密封を提供するのに適した任意の材料で作ることができる。例えば、ストッパ150は、熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴムまたは熱可塑性材料、およびこれらの組み合わせで作ることができる。ストッパ150は、一体的に形成されてもよいし、または、一緒に結合された同一のまたは異なる材料からなる別個の構成要素で構成されてもよい。プランジャーロッド120は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のストッパ150よりも硬い材料で作られてもよい。材料を、使用される手順に適合するように選択すべきである。 【0039】 プランジャーロッド120の細長い本体部分121は、基端端部122から末端端部123へ延びる軸方向長さを有する。本体部分121は単一の梁または特徴を含んでいてもよく、これは、円筒形または他の形状を有することができる。図示のように、本体部分121は、垂直に交差する2つの梁125、124によって形成されている。梁は、プラス形状すなわち十字形の断面を有することができる。図示の実施形態では、2つの交差梁124、125が交差して、筒110の内面112に面しおよび軸方向長さに沿ってプランジャーロッド120の基端端部122から末端端部123へ延在する4つの象限の輪郭を描く外面を形成する。図面は十字形断面を有するプランジャーロッドの実施形態を示しているが、プランジャーロッドの形状および/または断面がどのような適切な形状または断面であってもよいこと、および、本発明の実施形態は図面に示した形状に限定されないことを、当業者は理解できよう。 【0040】 プランジャーロッド120はまた、親指押圧部126を細長い本体部分121の基端端部122に含むことができる。親指押圧部126の形状は、フラッシュシリンジアセンブリ100の所望の用途に応じて変えることができる。図面に示された親指押圧部126は円形であるが、これは一つの可能な形状の単に代表であることを当業者は理解できよう。他の形状として、これらに限定されないが、正方形、長方形、三角形、楕円形、五角形、六角形、十字形を含む。いくつかの実施形態における親指押圧部126の形状は、プランジャーロッド120の細長い本体部分121、筒110、または他の構成要素の形状と実質的に一致する。 【0041】 いくつかの実施形態では、親指押圧部は、その上に複数のリッジ127を有している。リッジ127は、筒110に対して末端方向にユーザーがプランジャーロッド120を押圧する能力を、増大した摩擦係数を有する表面を提供することにより向上させることができる。リッジ127の形状またはリッジパターンは、プランジャーロッド120の所望の用途に応じて変更することができる。例えば、リッジ127は、設計において一連の平行線または湾曲した線とすることができる。一またはそれよりも多くの実施態様においては、リッジ127は、ロゴを形成するように成形されている。リッジ127はプランジャーロッド120と一体的に形成してもよく、または、プランジャーロッドに取り付けられた別々の部品であってもよい。リッジ127の表面をプランジャーロッドとは異なってテクスチャー加工してもよく、または、同じであってもよい。テクスチャー面を有するリッジ127は、滑らかなリッジよりも大幅な摩擦係数の増大をもたらすことができる。 【0042】 様々な実施形態のキャップ130は、基端端部132、末端端部133、および、末端端部133から末端方向に延びる先端136を有する本体131を含む。図20および図21は、1つまたは複数の実施形態によるキャップ130の基端図および末端図をそれぞれ示す。組立時には、キャップ130の基端端部132は筒110の末端端部116に隣接している。キャップ130は、先端およびキャップ130の本体を通って延びる通路134を備えている。通路は、筒110のチャンバ114とキャップ130の末端端部133に接続された装置との間の流体連通を可能にする。これにより、チャンバ114内の流体が、筒110の末端端部を通り、そして、キャップ130を末端端部133から基端端部132へ通って放出されることが可能になる。キャップ130の断面形状は、これらに限定されないが、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、対称または非対称多角形を含む、どのような適切な形状であってもよい。キャップ130の形状は、快適な手触りをユーザーに提供すること、および、ユーザーが簡単に筒110にキャップを接続したり外したりすることを可能にする強化された把持能力を提供することができる。 【0043】 図3に示すように、キャップ130は、ルアーコネクター135を末端端部133上に含む。ルアーコネクター135は、キャップ130、および任意の接続された筒110が、血管アクセス装置(VAD)に解放可能に接続できるようにする。図3に示されたルアーコネクター135は、ねじ山を備えたルアーロックタイプのコネクターである。しかしながら、ルアーコネクターを、ねじ山なしのルアースリップタイプのコネクターとすることもできる。 【0044】 さらに、キャップ130の基端端部132は、適切なコネクター137を介して解放可能に筒110に取り付け可能である。適切なコネクター137はルアースリップタイプおよびルアーロックタイプのコネクターを含むが、これらに限定されない。図4は、いくつかの実施形態に従ったキャップ130の基端端部132を示している。図4に表されたコネクター137はルアーロックタイプのコネクターである。 【0045】 バルブ140は、筒110の末端端部116およびキャップ130の基端端部132に隣接して位置決めされる。バルブ140は、基端面141、末端面142、および、側壁144を有する。使用において、バルブ140の基端面141が筒110の末端端部116に隣接して位置決めされ、および、末端面142がキャップ130の基端端部132に隣接して位置決めされるように、バルブ140は、筒110とキャップ130の間に位置決めされる。バルブ140は、開放位置と閉鎖位置の間で移動可能である。開放位置では、バルブ140は、チャンバ114と取り付けられた装置との間を流体が流れることを可能にする。閉鎖位置では、バルブ140は、静脈ラインのフラッシングが完了したときに、取り付けられた装置または血管から筒への流体の流れを阻止する。 【0046】 いくつかの実施形態では、フラッシュシリンジ100は、スリーブ160および殺菌システム170を含む。スリーブ160は、筒110と同軸であり、基端端部161、末端端部162、内面163、および、外面164を有する。スリーブ160は、筒110に対して末端位置から基端位置へスライドすることができる。いくつかの実施形態のスリーブは、フラッシュシリンジアセンブリ100の使用前にキャップ130をカバーしている。フラッシュシリンジアセンブリ100は、既に配備されたまたは別個のコンポーネントとしてのスリーブ160と一緒に包装され得る。スリーブを使用して、後述する殺菌剤担持体175を離脱させること、および/または、血管アクセス装置の接続のフラッシングが完了するまでキャップ130をカバーすることができる。 【0047】 スリーブ160の形状は、装置の使用に応じて変更し得る。例えば、図示のように、スリーブ160は、筒110と同様の円形であり、筒110の周りに適合するような大きさに作られている。スリーブ160は、筒110およびその中の内容物の可視性を可能にする1つ以上の切り欠き165を有している。スリーブは、限定ではなく、1つ、2つ、3つの切り欠きを含む任意の数の切欠部165を有することができる。例えば、スリーブ160は、2つの切り欠き165をスリーブ160の両側に有することができる。 【0048】 スリーブ160の末端端部162は、いくつかの実施形態では、殺菌システム170に取り付けるために使用することができるねじ部166を有している。ねじ部166が示されているが、当業者は、他の取り付け機構を使用することができることを理解できよう。 【0049】 殺菌システム170は殺菌剤担持体175およびハブ180を含む。ハブ180は、基端面181および末端面182を有しており、カバー185内に嵌合するような大きさに作られている。ハブ180は、例えば、熱可塑性材料を含む、任意の適切な材料から作ることができる。ハブ180の末端面182は、実質的に平坦であってよく、または凹部を有することができる。 【0050】 殺菌剤担持体175は、血管アクセス装置に殺菌剤を搬送および提供することが可能な、どのような適切な材料であってもよい。殺菌剤担持体175は、限定はされないが医療グレードの接着剤またはテープを含む任意の適切な手段によって、ハブ180の末端面182に接着することができる。一またはそれよりも多くの実施態様において、殺菌剤担持体175は、ハブ180の末端面182の凹部内に嵌合するような大きさに作られ、および、接着剤または摩擦嵌めのどちらかによってそこに固定することができる。 【0051】 殺菌剤は、血管アクセス装置との接続をクリーニングすることができる任意の適切な組成であってよい。一またはそれよりも多くの実施態様において、殺菌剤担持体175は殺菌剤を含む溶液で飽和し、または湿っている。いくつかの実施形態において、殺菌剤は、アルコール、防腐ゲルなどの1つ以上の消毒物質を含む。 【0052】 いくつかの実施形態では、殺菌システム170はさらに、取り外し可能なカバー185を含む。取り外し可能なカバー185は、殺菌剤担持体175を含む殺菌システムを使用前に保護することができる。取り外し可能なカバー185は、1つまたは複数の摩擦嵌めまたは相補的なねじ山(retreads)の係合のいずれかによってスリーブ160とともにハブ180に接続することができる。 【0053】 殺菌システム170は、多くの構成においてフラッシュシリンジアセンブリ100の末端端部上に組み立てることができる。一またはそれよりも多くの実施形態では、殺菌システム170は、殺菌剤担持体175がハブ180の末端面182の凹部内に嵌合されるように配置される。ハブ180の基端面181は、キャップ130の末端面133に隣接して位置決めされ、および、スリーブ160の末端端部162の内面との、相補的なねじ山または締まり嵌めのいずれかによる係合によって、所定位置に保持される。カバー185は、殺菌剤担持体175およびハブ180を覆って位置決めされ、スリーブ160の末端端部162に、相補的なねじ山または締まり嵌めのうちの1つ以上によって取り付けられている。一またはそれよりも多くの実施形態では、殺菌システム170は、スリーブ160の末端端部162に、締まり嵌め(または摩擦嵌め)によって取り付けられる。いくつかの実施形態では、殺菌システム170は、スリーブ160の末端端部162に、相補的なねじ山の係合により取り付けられている。 【0054】 一またはそれよりも多くの実施態様において、筒110の外面113は少なくとも1つの環状リッジ167を含む。環状リッジ167は、スリーブ160の筒110に対する自然発生的な動きへの妨害を提供するような大きさに作られている。この文は、例えば、スリーブ160の内面163上の相補的な特徴との間の締まり嵌めまたは協働的な相互作用によって提供され得る。いくつかの実施形態では、筒110の外面113は、図1?8に示すように、少なくとも2つの環状リッジ167、168を含む。図1を参照すると、環状位置決めリッジは、末端環状位置決めリッジ167および基端環状位置決めリッジ168を含む。また図1に示すように、スリーブ160は少なくとも1つの環状位置決め溝169を含む。少なくとも1つの環状位置決め溝169は、筒110の外面113上の少なくとも1つの環状位置決めリッジ167、168と係合することでスリーブ160の筒110に対する位置を制御するのを助けるような大きさに作られおよび位置決めされる。 【0055】 いくつかの実施形態では、スリーブ160は、少なくとも一つのハンドル171をスリーブ160の基端端部161に隣接して備える。少なくとも一つのハンドル171は、ユーザーがスリーブ160の筒110に対する動きを助けるために把持できる領域を備える。 【0056】 フラッシュシリンジアセンブリ100のいくつかの実施形態はガスケット190をさらに含む。ガスケット190は、キャップ130と筒110の末端壁117との間の、先端119を含む、筒110の末端部分の周りにフィットする大きさにすることができる。ガスケット190は、限定はされないが、弾力性のあるゴムまたはプラスチックを含む任意の適切な材料で作ることができる。ガスケット190は、筒110とスリーブ160の間に密封を形成するのに役立ち、および、環状位置決めリッジ167、168での筒110の外径と実質的に等しい外径を有していてもよい。いくつかの実施形態では、筒110とスリーブ160の間に、ガスケット190を必要とせずに締まり嵌めがある。 【0057】 図5および図6は、初期状態のフラッシュシリンジアセンブリ100の実施形態を示している。プランジャーロッド120は、ストッパ150が筒110の基端端部115に隣接するように位置決めされる。この位置では、チャンバ114は最大有効容積を有するが、薬剤で満杯または空のどちらでもあり得る。当業者は、フラッシュシリンジアセンブリ100は逆の方法で動作させることができ、それによって、初期状態では、キャビティ容積が最小となるようにプランジャーロッド120が最末端の位置に位置決めされることを理解できよう。さらに、プランジャーロッド120は、最初に最基端位置と最末端位置の間の任意の点に位置決めすることができ、充填済み薬剤の様々な用途および容量を可能にする。 【0058】 初期状態では、殺菌システム170はスリーブ160の末端端部162に接続されており、そのために、殺菌剤担持体175がハブ180の末端に位置決めされた状態でハブ180がスリーブに接続され、および、ハブ180と殺菌剤担持体175の両方をカバー185で覆っている。図7は、初期状態の、殺菌システム170を持つフラッシュシリンジアセンブリ100の末端端部の拡大図を示す。他の接続タイプを使用することができるが、図に示す実施形態は、スリーブ160の外側およびハブ180の内面のねじ山の協働の相互作用によってスリーブ160に接続された殺菌システム170を有している。 【0059】 図8に示すように、カバー185の除去により、殺菌剤担持体175を使用のために露出させる。ハブ180およびハブ180の末端面182はスリーブ160の末端端部162からわずかに突出することがわかる。図9および図10に示すように殺菌剤担持体175が露出した状態で、ユーザーは血管アクセス装置199への接続を、殺菌剤担持体175をVAD199に接触させることにより、クリーニングすることができる。 【0060】 血管アクセス装置199をクリーニングした後、ユーザーは、筒110に対して基端に向かう力をスリーブ160に加える。基端に向かう力は、スリーブ160上のハンドル171の助けでスリーブ160に印加することができる。この基端に向かう力が筒110に対して基端にスリーブ160をスライドさせ、そのために、スリーブは、末端位置決めリッジ167が配置されている末端位置から基端位置決めリッジ168が配置されている基端位置へスライドする。スリーブ160の筒110に対する基端移動は、筒110のスリーブ160に対する末端移動と等価である。筒110のスリーブに対するこの末端移動は、キャップ130の先端がハブ180の基端面181を押圧して、スリーブ160の末端端部162から強制的にハブ180を離脱させる原因となる。示されている実施形態では、末端に向かうハブ180への圧力によってねじり動作を必要とせずにハブ180をスリーブ160から押し出させることができるように、ハブ180が締まり嵌めによってスリーブ160の末端端部162に接続されている。図11は、血管アクセス装置199をクリーニングした後のフラッシュシリンジアセンブリ100およびハブ180の離脱を示す。キャップ130の末端端部がスリーブ160の末端端部162から延びていることが分かる。 【0061】 殺菌システム170がシリンジアセンブリの末端端部から取り外された後、その時点でクリーンな血管アクセス装置199を、キャップ130の末端端部133に取り付けることができる。図12および図13は、殺菌システム170を取り外してVAD199をキャップ130に取り付けた後のフラッシュシリンジアセンブリを示す。ストッパ150およびプランジャーロッド120が、筒110の長さに沿った途中のある点に示されている。これは、チャンバ114内の薬剤の一部がキャップ130を通って血管アクセス装置199にそこで排出される、フラッシュシリンジアセンブリを表している。 【0062】 図14および図15は、最末端位置におけるプランジャーロッド120およびストッパ150を示す。ここでは、ストッパ150が末端に向かう力をバルブ140に印加して、バルブを強制的に開放位置から閉鎖位置へ移動させている。 【0063】 図7および15に示す拡張したビューを参照すると、バルブ140は基端開放位置(図7)から末端閉鎖位置(図12)へ移動し得ることが分かる。図7では、遮るものがない複数の開口143がバルブ140内に存在し、チャンバ114とキャップ130の間の流体連通を可能にしている。図15において、バルブ140が閉鎖位置に移動した後、開口143が閉塞されて、複数のチャンバ114とキャップ130の間の流体連通を妨げる。 【0064】 1つまたは複数の実施形態では、図7に示すように、バルブ140は、基端面141と、そこから末端に延びる側壁144とを有するプラグを備える。側壁144は、チャンバ144およびキャップ130(および、IVラインなどの、任意の接続された装置)の間の流体連通を可能にする複数の開口143を備える。図1?19の実施形態に示されているプラグ140は複数の開口143を有しており、これらは、遮断されていないとき、筒110のチャンバ114とキャップ130の間の流体連通を可能にする。遮断されたとき、複数の開口143は、チャンバ114とキャップ130の間の流体連通を実質的に防止する。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられるように、「実質的に防止する」という用語は、流体連通がほぼ完全に、または完全に遮断されることを意味する。流体の流れが完全に停止されることが意図されるものの、当業者は、意図されない流れまたは潜在的な流れのいくらか少量が依然、残ってもよいことを理解できよう。 【0065】 図7を参照すると、バルブ140が、この場合にはプラグが基端位置に複数の開口143とともに示されており、チャンバ114とキャップ130との間の流体連通を可能にしている。これは、バルブ140の初期位置であってもよい。使用において、プランジャーロッド120が末端に移動して、そのために、ストッパ150がチャンバ114内の流体を強制してバルブ140の複数の開口143を通って筒110の末端端部から出させる。ストッパ150がバルブ140の基端面141と接触し、および、プランジャーロッド120のさらなる末端移動が、バルブ140を強制して末端位置へ移動させる。末端位置では、図15に示すように、バルブ140がキャップ130に圧入され、および、複数の開口143が遮断されて、チャンバ114とキャップ130の間のさらなる流体連通を妨げる。 【0066】 いくつかの実施形態では、図7および15に示したように、バルブ140の末端端部142は、バルブの開放位置と閉鎖位置の間の自然発生的な移動を妨げる突起145を含む。いくつかの実施形態におけるキャップ130は、突起145と係合しおよびバルブ140の自然発生的な移動に対し均一なより大きな障害を与えるための、1つ以上の相補的な凹部138を有することができる。図7に示した実施形態では、キャップ130は2つの凹部138を含み、1つはバルブ140が開放位置にあるときに突起145を支持するように位置決めされ(図7)、1つはバルブ140が閉鎖位置にあるときに突起145を支持するように位置決めされる(図15)。 【0067】 フラッシュシリンジが使用され、バルブが末端閉鎖位置に移動された後、キャップ130およびバルブ140は、筒110の末端端部から解放されて、血管アクセス装置に取り付けられたままにすることができる。これは、血管アクセス装置199のキャップをとって汚染を防止しおよび将来のクリーニングの必要性を最小限にするのに有効である。VAD199をキャッピングすることもまた、VAD199を通る血液の逆流を防ぐ助けになる。図13および図14は、チャンバ114が空になっていて、プランジャーロッド120およびストッパ150がバルブ140を閉鎖位置へ押圧しているフラッシュシリンジアセンブリ100を示す。ここで、キャップ130全体がスリーブ160の末端端部162から露出するように、スリーブ160が筒110に対して基端に移動していることが分かる。図15および16に示すように、キャップ130およびバルブ140は筒110の末端端部から離脱していて、および、血管アクセス装置199に接続されたままでADを取り外し可能に密封している。 【0068】 バルブ140、またはプラグは、任意の適切な材料から作ることができる。いくつかの実施形態では、バルブは、基端開放位置から末端閉鎖位置への移動の間のバルブの撓みを最小にするように硬質材料から作られる。いくつかの実施形態では、バルブは可撓性材料で作られる。一またはそれよりも多くの実施態様において、バルブは柔軟なプラグである。いくつかの実施形態では、バルブはエラストマー材料を含む材料から作られる。 【0069】 図20は、一方向弁を含む、本発明の別の実施形態の分解図を示す。説明を簡単にするため、同様の構成要素には同様の参照番号を用いる。例えば、図20の実施形態に示したプランジャーロッド120は、図1の実施形態に示されるプランジャーロッド120と同じである。 【0070】 図20に示す実施形態は、図1の実施形態のスリーブ160および殺菌システム170を含まない。図20および21を参照すると、筒210は、流体を保持するためのチャンバ114を画定する内面112および外面113を有する側壁111、開放基端端部115、および、末端端部116が在る点で、図1のそれと同様である。末端端部216は、そこを通ってチャンバ214と流体連通する開口218を持った末端壁217を含み、チャンバ214内の流体が開口218を通ってチャンバから出ることを可能にしている。 【0071】 筒210はまた、筒210から末端に延びる先端219を含んでもよい。先端219は、筒210の残りの部分の外径と異なる外径または同じ外径を有することができる。例えば、図20および図21に示すように、先端219は、先端219の基端にある筒状部分よりも小さい外径を有する。筒210の先端219はまた、ルアースリップ接続部(図示せず)またはロッキングルアータイプのカラーを、先端219を同心円状に囲んでまたは先端219の内側部分内に含むことができる。図示される先端219は、ねじ山275を先端219の内面に持つアーロックタイプの接続を有する。図26に示すように、クロージャ270上のねじ山275は、キャップ130の基端端部132のねじ山と協働して相互に作用する。 【0072】 図20の実施形態ではハンドル171を持ったスリーブ160が存在しないことから、筒210は、基端端部215に隣接してハンドル271を含む。ハンドル271は、筒210の基端端部215の外側について部分的にまたは全体的に延びる単一のハンドルであってよい。いくつかの実施形態において、ハンドル271は複数の部品であり、それぞれが筒210の外面の周りに部分的に延在する。図21に示すように、ハンドル271の形状は、筒210の外面の周りで異なる部分において変化することができる。 【0073】 図22は、本発明の1つまたは複数の実施形態によるバルブ240を示す。このバルブ240はまた、図1の実施形態に示されるように、プラグとすることができる。図22は、バルブ240の末端端部242の斜視図である。このバルブ240は、そこから末端方向に延びる側壁244を持った基端面241を含む。複数の開口243は、側壁244の周りに放射状に離間されている。示された開口243はバルブ240の末端端部242で開いており、バルブ240の末端端部242の連続性を遮断する。いくつかの実施形態では、バルブ240の末端端部242が遮断されないように、開口243は側壁244の内側にある。バルブの末端端部242の中心部分は円錐台形状の突起247を有している。この突起247は、質量、安定性および剛性を、バルブ240の動作に干渉することなく、バルブ240に提供することができる。突起247の形状は、任意の適切な形状とすることができ、キャップ130の凹部と協働的に相互作用して血管アクセス装置の差込み(plug)を助けるように設計することができる。図22に示す突起247は、末端端部における六角形上部に移行する円形基部(基端面241に最も近い)を有している。これは、突起247の単なる一つの可能な形状であり、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。 【0074】 バルブ240は、開口246を突起247の末端端部の中央に含む。いくつかの実施形態の開口246は、バルブステム260(後述する)の基端端部に適合するような大きさに作られる。この開口246は、概ね真っ直ぐな側壁を有する円筒形であってよく、または前方にテーパー状(例えば、開口の末端端部の直径が基端端部の直径よりも大きい)であってよく、または、テーパー状(例えば、開口の基端端部の直径が開口の末端端部の直径よりも大きい)であってよい。いくつかの実施形態では、開口は、バルブステム260の基端端部の部分と協働的に相互作用してバルブステムを適当な位置に固定するように構成された、一般的に逆のテーパー形状を有している。 【0075】 図23は、本発明の1つまたは複数の実施の形態に係るバルブステム260を示している。バルブステム260は、基端端部261および末端端部262を含む。いくつかの実施形態では、バルブステムの基端端部261は、バルブ240上の突起247の末端端部における開口246と協働的に相互作用するように構成されたテーパー部263を含む。バルブステム260の末端端部は、バルブステム260の末端端部262に向かって増加するテーパー部直径を有するテーパー部264を含む。バルブステム260は、基端直径と、該基端直径よりも大きい末端直径を有する。いくつかの実施形態のテーパー部264は、キャップ130の内面上のバルブシートと協働的に相互作用して、バルブシートにバルブステム260が全面的に接触しているときに流体漏れのない密封を形成するような大きさおよび形状とされている。 【0076】 図24および図25は、本発明の1つまたは複数の実施形態によるバルブ240の代替の実施形態を示している。図24はバルブ240との末端斜視図を示し、図25はバルブ240の基端斜視図を示している。図示の実施形態では、基端面241は複数の開口248を備え、筒210内のチャンバ214とキャップ130の間の流体連通を可能にする。図24を参照すると、開口248は、開口248を通る流れが突起247によって妨害されないように、突起247の長さに沿って一連のチャネル249として延びている。開口248とチャネル249の形状は、独立して、任意の好適な形状であってもよい。例えば、図24および25に示すように、開口248は、六角形形状をバルブ240の基端面241に有し、および、円形形状をチャネル249の長さに沿って有する。当業者は、図示された開口248とチャネル249の形状は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことを理解できよう。 【0077】 本発明のいくつかの実施形態は、基端端部274および末端端部272を有するクロージャ270をさらに備える。クロージャ270の基端端部274は、キャップ130の末端端部133と協働的に相互作用することができるコネクター273を有している。例えば、キャップ130がネジ式コネクターを有する場合、そのとき、クロージャ270の基端端部274は、ねじ山275を持った嵌合ねじ型コネクター273を有し得る。キャップ130がルアースリップタイプ接続のためのテーパーコネクターを有する場合、そのとき、クロージャ270は、同様にテーパー状のコネクター273を、図に示されるねじ山275の代わりに有し得る。図示されたねじ山275は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことを当業者は理解するであろう。 【0078】 図26?40を参照し、1つまたは複数の実施形態によるフラッシュシリンジアセンブリ200の動作について説明する。図26は初期位置におけるフラッシュシリンジアセンブリ200の末端端部の拡大図を示し、図27および28は、初期位置におけるフラッシュシリンジアセンブリ200の側面図および断面側面図をそれぞれ示す。図26から40に示す実施形態は、バルブ240およびバルブステム260を含む。示されたバルブ240は、複数の開口248が基端面241に存在し、および、複数のチャネル249がバルブ240の突起247に存在する点で、図24?25に示すバルブに類似している。図示されたバルブ240を、図22に示す、複数の開口を欠いているバルブ240で置換できることが理解されるであろう。 【0079】 再び図26を参照すると、初めに、クロージャ270は、キャップを密封し、および、装置の汚染を防止するように、フラッシュシリンジアセンブリの末端端部に位置決めされている。クロージャ270のコネクター273が、キャップ130上の相補的なねじ山231と一致するねじ山付きで示されている。バルブステム260は、相補的にテーパー状の面でバルブ240に接続されていることがわかる。この形状は、バルブステム260の基端端部がバルブ240の開口246内に挿入されることを可能にするが、バルブステム260がバルブ240から容易に外れることを防止する。バルブステム260の末端端部は、キャップ130の内面232上に位置するバルブシート233上の基端傾斜234に当接する。バルブシート233は基端傾斜234および末端傾斜235を含み、キャップ130の内面232の内側にリングを形成する。示されたバルブシート233はまた、基端傾斜234と末端傾斜235を接続する、オプションの中央部分236を含む。 【0080】 図29に示すように、クロージャ270がフラッシュシリンジアセンブリ200の末端端部から取り外されて、キャップ130の先端136が露出する。図30および31を参照すると、この時点で血管アクセス装置199を、示されている実施形態においては、協働するねじ山または他の接続タイプによってキャップ130に接続することができる。 【0081】 図32に示すように、プランジャーロッドを基端方向に引くことは、バルブステム260を基端方向に屈曲させまたは圧縮する原因になる。このためにバルブステム260とバルブシート233の間にギャップを作り、ギャップは、血管アクセス装置199からキャップ130を通ってチャンバ214に向かう、流体の流れを可能にする。バルブが基端面241に孔を有していない場合、そのときは、側壁244における複数の開口を通って流体が流れる。孔が基端面241に存在する場合、流体は、基端面241における孔および側壁244における開口の一方または両方を通って流れることができる。開口が側壁244に存在しない場合、そのときは、流体は基端面241の孔を通って流れることができる。 【0082】 図33および34に示す別の実施形態では、バルブステム260は、バルブシート233の基端側からバルブシート233の先端側に延びるように位置決めされる。バルブステム260の末端端部262は、より大きな直径の端部であり、バルブステム260の基端への移動がバルブシート233に対する流体漏れのない密封をバルブステム260に形成させるように、バルブシート233の末端側にある。一またはそれよりも多くの実施態様では、ストッパ150に末端に向かう力が印加されているとき(プランジャーロッド120の移動を介してもよい)、バルブステム260は、バルブシート233と全面的には接触していない。これは、図34に見られる。流体は、チャンバ214からバルブ240の基端面241内の開口248を通って(開口248が存在する場合)チャネル249(存在する場合)に沿ってバルブステム260の周りを流れることができ、バルブステム260とバルブシート233の間を血管アクセス装置に向かって通過する。 【0083】 ストッパに基端に向かう力が印加される(プランジャーロッド120の移動を介してもよい)かまたは力が全く印加されない場合、バルブステム260はバルブシート233と全面的に接触して、チャンバをキャップ130および血管アクセス装置199から分離する、流体漏れのない密封を形成する。これは、図35,36に見ることができる。図36の拡大図を参照すると、バルブステム260がバルブシート233の末端傾斜235に当接して、流体漏れのない密封を形成する。 【0084】 いくつかの実施形態において、キャップ130は、バルブシート233を通路134内に備える。バルブシート233は半径方向内向きに付勢され、および、基端傾斜面と末端傾斜面を有している。初期位置において、バルブステム260の末端端部262はバルブシートの基端傾斜面と接触し、末端流体移動に対する密封を形成し、および、バルブ240の複数の開口248は遮られない。 【0085】 一またはそれよりも多くの実施形態では、バルブ240が初期位置にあるとき、プランジャーに対し基端に向かう力がバルブステム260の末端端部262をバルブシート233の基端面234から移動させ、流体が血管アクセス装置199からキャップ130に向けて流れ、次いでチャンバ214へ流入することを可能にする。いくつかの実施形態では、プランジャーロッド120に対する末端方向の後続の力が、バルブステム260の末端端部262をバルブシート233の先端側からバルブシート233の基端側へ通過させる。これは、バルブ240を、キャップとチャンバの間の流体連通であって該バルブの複数の開口を通る流体連通を可能にする開放位置から、キャップとチャンバの間の流体連通を防止する閉鎖位置へ移動させる。 【0086】 いくつかの実施形態では、ストッパ150に末端に向かう力が加えられたとき、バルブステム260はバルブシート233と全面的には接触していない。ストッパ150に基端に向かう力が加えられたときまたは力が加えられないときは、バルブステム260の末端端部262がバルブシート233の末端傾斜235と全面的に接触して、チャンバを血管アクセス装置199から分離する流体漏れのない密封を形成する。 【0087】 図37?39を参照すると、バルブ240が閉鎖位置に移動した後は、キャップ130と血管アクセス装置199は分離されている。キャップ130、バルブ240、および、バルブステム260が血管アクセス装置199に取り付けられたまま、筒210をキャップ130から取り外すことができ、それによってVADを汚染から密封する。図39から、基端面241の開口248は遮断されていないことがわかる。しかしながら、バルブステム260によって形成された流体漏れのない密封であって、バルブシート233と接触する流体漏れのない密封により、流体が血管アクセス装置から移動すること(すなわち、逆流)、すなわち血管アクセス装置199の汚染を防止する。 【0088】 図40は、キャップ130、バルブ240、および、バルブステム260の組み合わせの、閉鎖位置における別の実施形態を示す。バルブ240の側壁244の複数の開口243が部分的に遮断されていないことがわかる。図示しないが、装置を閉じて逆流および汚染を防止するために、バルブステム260は、図39と同様に、キャップ130の通路内でバルブシート233と接触する。 【0089】 本発明を、本明細書の特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途の単なる例示であることを理解すべきである。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変形を本発明の方法および装置に対して行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にある変更および変形を含むことが意図される。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 フラッシュシリンジアセンブリであって、 流体を保持するチャンバを画定する内面、および、外面を有する側壁と、開いた基端端部と、前記チャンバと流体連通する開口を有する末端壁であって該末端壁を該開口が通っている末端壁を含む末端端部とを含む筒と、 前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、スライド可能に位置決めされた、前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパを含む末端端部を備え、そのために、前記ストッパの前記筒に対しての末端移動によって前記筒から流体を押し出す、細長いプランジャーロッドと、 前記チャンバと流体連通する通路を備えるキャップであって、該キャップを該通路が通っており、血管アクセス装置(VAD)と解放可能に接続可能な、末端端部上のルアーコネクター、前記筒に解放可能に取り付け可能な基端端部、および、少なくとも1つの凹部を含むキャップと、 前記筒の前記末端端部に隣接して位置決めされ且つ前記キャップの前記基端端部と接触するバルブであって、基端面、および、そこから末端に延びる側壁であって、前記キャップ内の前記少なくとも1つの凹部と協働的に係合する大きさの少なくとも1つの突起を持った側壁を有しており、前記側壁および前記基端面の一方または両方が前記チャンバと前記VADの間の流体連通を可能にする複数の開口を備えたバルブと を備え、 前記バルブの全体は、前記チャンバと前記VADの間の前記複数の開口を通じた流体連通を可能にする基端の開放位置から、血管と前記VADの間の流体連通を防止する末端の閉鎖位置へ、前記ストッパによって印加された末端に向かう力によって、前記筒の長手方向に移動可能であり、前記閉鎖位置において、前記バルブ上の前記少なくとも1つの突起は、前記閉鎖位置から前記開放位置への前記バルブの自然発生的な移動に障害を与えるように、前記キャップ内の前記少なくとも1つの凹部と係合するフラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項2】 請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記キャップは、前記バルブ上の前記少なくとも1つの突起と協働的に係合する大きさの2つの凹部を有しており、前記2つの凹部は、前記バルブが前記開放位置にあるときに前記突起と係合するように位置決めされた凹部および前記バルブが前記閉鎖位置にあるときに前記突起と係合するように位置決めされた凹部である、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項3】 請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記バルブは可撓性である、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項4】 請求項3に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記バルブはエラストマー材料から作られている、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項5】 請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記バルブは、該バルブの中心から末端方向に延びるバルブステムをさらに含み、該バルブステムは、基端直径および該基端直径よりも大きい末端直径を備え、さらに、前記キャップは、前記バルブステムに対して全面的な接触にあるときに流体漏れのない密封を形成するバルブシートを備える、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項6】 請求項5に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記ストッパに末端に向かう力が加えられたときに、前記バルブステムは前記バルブシートと全面的には接触しておらず、前記ストッパに基端に向かう力が加えられたときまたは力が加えられないときに、前記バルブステムが前記バルブシートと全面的に接触して、前記チャンバを前記VADから分離する流体漏れのない密封を形成する、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項7】 請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記バルブの前記基端面は前記チャンバと前記キャップの間の流体連通を可能にする複数の開口を備え、前記バルブの中心からバルブステムが末端方向に延びており、該バルブステムは基端直径および該基端直径よりも大きい末端直径を有しており、および、前記キャップは、バルブシートであって、該バルブシートに対して前記バルブステムが全面的に接触しているときに流体漏れのない密封を形成するバルブシートをさらに備える、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項8】 請求項7に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記ストッパに末端に向かう力が加えられたときに、前記バルブステムは前記バルブシートと全面的には接触しておらず、前記ストッパに基端に向かう力が加えられたときまたは力が加えられないときに、前記バルブステムが前記バルブシートと全面的に接触して、前記チャンバを前記VADから分離する流体漏れのない密封を形成する、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項9】 請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記バルブの中心から末端方向に延びるバルブステムであって、基端直径を持つ基端端部および該基端直径よりも大きい末端直径を持つ末端端部を有するバルブステムをさらに備え、 前記キャップは、前記通路内に、半径方向内向きに付勢されるバルブシートを備え、該バルブシートは基端面および末端面を有し、前記バルブステムの前記末端端部が初期位置にあって、前記バルブシートの前記基端面に当接して流体の末端の移動に対する密封を形成し、および、前記バルブの前記複数の開口は遮られない、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項10】 請求項9に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記バルブが前記初期位置にあるとき、前記バルブは二方弁であるバルブ機能を有し、プランジャーに対する基端に向かう力によって、前記バルブステムの前記末端端部を前記バルブシートの前記基端面から基端方向へ移動させ、流体が血管から前記キャップへ流れ、次いで前記チャンバに入ることを可能にする、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項11】 請求項10に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記プランジャーに対する末端に向かう後続の力によって、前記バルブステムの前記末端端部を前記バルブシートの基端側から前記バルブシートの末端側へ通過させ、前記キャップと前記チャンバの間の流体連通であって前記バルブの前記複数の開口を介する流体連通を可能にする、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項12】 請求項11に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記ストッパに末端に向かう力が加えられたときに、前記バルブステムは前記バルブシートと全面的には接触しておらず、前記ストッパに基端に向かう力が加えられたときまたは力が加えられないときに、前記バルブステムの基端側がバルブシートの末端端部と全面的に接触して、前記チャンバを前記VADから分離する流体漏れのない密封を形成する、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項13】 請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記筒と同軸であり、末端端部および基端端部、および、内面および外面を有するスリーブと、 前記スリーブの前記末端端部に接続されており、末端面および前記キャップの前記末端端部に隣接する基端面を有するハブと、 前記ハブの前記末端面と接触する殺菌剤を含む殺菌システムと をさらに備え、 前記スリーブは、前記ハブの前記末端面が前記キャップの前記末端端部を隠す末端位置から、前記スリーブの基端移動の際に前記殺菌システムが前記キャップの前記末端端部との接触によって解放される基端位置へスライドする、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項14】 請求項13に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記スリーブがさらに、前記筒の内容物への可視性を提供するための1つまたはそれよりも多い切り欠きを備える、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項15】 請求項14に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記筒の前記外面がさらに、2つの環状位置決めリッジを含み、前記2つの環状位置決めリッジは、末端の環状の位置決めリッジ、および、基端の環状の位置決めリッジであり、 前記スリーブの前記内面がさらに、前記筒の前記外面上の前記2つの環状位置決めリッジと係合することで前記スリーブの前記筒に対する位置を制御するための2つの環状位置決め溝を含むフラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項16】 請求項13に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記スリーブの前記末端は締まり嵌めによって前記殺菌システムに接続されている、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項17】 請求項16に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記殺菌システムがさらに、使用前に前記殺菌システムを保護するための取り外し可能なカバー、および、前記血管アクセス装置に前記殺菌剤を搬送および提供することが可能な材料からなる殺菌剤担持体を含む、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項18】 請求項1に記載のフラッシュシリンジアセンブリにおいて、 前記キャップは、前記VADの相補的なねじ山と係合する、1つまたはそれよりも多いねじ山、または、締まり嵌めによって前記VADと係合する、フラッシュシリンジアセンブリ。 【請求項19】 フラッシュシリンジアセンブリであって、 流体を保持するチャンバを画定する内面、および、外面を有する側壁と、開いた基端端部と、前記チャンバと流体連通する開口を有する末端壁であって該末端壁を該開口が通っている末端壁を含む末端端部とを含む筒と、 前記筒内に配置された細長いプランジャーロッドであって、スライド可能に位置決めされた、前記筒の前記内面と流体漏れなく接触するストッパを含む末端端部を備え、そのために、前記ストッパの前記筒に対しての末端移動によって前記筒から流体を押し出す、細長いプランジャーロッドと、 前記チャンバと流体連通する通路を備えるキャップであって、該キャップを該通路が通っており、半径方向内向きに付勢されていて且つ基端面および末端面を有しているバルブシート、血管アクセス装置(VAD)と解放可能に接続可能な、末端端部上のルアーコネクター、および、前記筒に解放可能に取り付け可能な、少なくとも1つの凹部を含む基端端部を含むキャップと、 前記筒の前記末端端部に隣接して位置決めされ且つ前記キャップの前記基端端部と接触するバルブであって、基端面、および、そこから末端に延びる側壁であって、少なくとも1つの突起を該側壁の末端端部に持った側壁を有しており、前記側壁および前記基端面の一方または両方が前記チャンバと前記VADの間の流体連通を可能にする複数の開口を備えるバルブと、 前記バルブの中心から末端方向に延びるバルブステムであって、基端直径および該基端直径よりも大きい末端直径を備え、さらに、前記キャップに含まれる前記バルブシートが、前記バルブステムに対して全面的な接触にあるときに流体漏れのない密封を形成する、バルブステムと を備え、 前記バルブの全体は、前記チャンバと前記VADの間の前記複数の開口を通じた流体連通を可能にする基端の開放位置から、血管と前記VADの間の流体連通を防止する末端の閉鎖位置へ、前記ストッパによって印加された末端に向かう力によって、前記筒の長手方向に移動可能であり、 前記ストッパに末端に向かう力が加えられたときに、前記バルブステムは前記バルブシートと全面的には接触しておらず、および前記ストッパに基端に向かう力が加えられたときまたは力が加えられないときに、前記バルブステムが前記バルブシートと全面的に接触して、前記チャンバを前記VADから分離する流体漏れのない密封を形成し、前記ストッパが前記バルブの前記基端面と接触したときに、前記ストッパへの末端に向かうさらなる力が、前記開放位置から前記閉鎖位置へ前記バルブを移動させ、前記閉鎖位置において、前記複数の開口は閉塞され、且つ前記少なくとも1つの突起は、前記閉鎖位置から前記開放位置への前記バルブの自然発生的な移動に障害を与えるように、前記キャップ内の前記少なくとも1つの凹部と協働的に係合する、フラッシュシリンジアセンブリ。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2019-10-03 |
結審通知日 | 2019-10-07 |
審決日 | 2019-10-18 |
出願番号 | 特願2018-20754(P2018-20754) |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(A61M)
P 1 41・ 854- Y (A61M) P 1 41・ 853- Y (A61M) P 1 41・ 855- Y (A61M) P 1 41・ 856- Y (A61M) P 1 41・ 841- Y (A61M) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 杉▲崎▼ 覚 |
特許庁審判長 |
千壽 哲郎 |
特許庁審判官 |
関谷 一夫 寺川 ゆりか |
登録日 | 2019-07-12 |
登録番号 | 特許第6553218号(P6553218) |
発明の名称 | 血液逆流を防止するための装置および使用の方法 |
代理人 | 特許業務法人谷・阿部特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |