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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G09F
管理番号 1357095
審判番号 訂正2019-390094  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2019-08-09 
確定日 2019-11-14 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6387555号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6387555号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項13、17について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6387555号に係る出願は、平成25年6月5日に出願した特願2013-119220号の一部を平成29年7月14日に特願2017-137694号として新たに特許出願したものであって、平成30年8月24日に特許権の設定の登録がなされ、令和元年8月9日に本件訂正審判の請求がなされたものである。

第2 請求の趣旨と訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6387555号の明細書、特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項13、17について訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は、次のとおりである。
1 訂正事項1
特許第6387555号の特許請求の範囲の請求項13に「前記表示モード制御層により形成される画像と、前記表示画像とは互いに独立している」と記載されているのを、「前記表示モード制御層により形成される画像と、前記表示層により形成される表示画像とは互いに独立している」に訂正する。

2 訂正事項2
特許第6387555号の特許請求の範囲の請求項17に「前記表示モード制御層により形成される画像と、前記表示画像とは互いに独立している」と記載されているのを、「前記表示モード制御層により形成される画像と、前記表示層により形成される表示画像とは互いに独立している」に訂正する。

3 訂正事項3
特許第6387555号の明細書の段落【0007】に「本技術の第2の表示装置は、対向配置された一対の第1基板および第2基板と、第1基板および第2基板の間に設けられた表示層と、表示層および第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、表示モード制御層は、同一基板上に形成される第1電極および第2電極を有し、第1電極および第2電極のうちの一方または両方が、1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示面側から入射する光の反射率調整機能を有し、表示モード制御層により形成される画像と、表示画像とは互いに独立しているものである。」と記載されているのを、「本技術の第2の表示装置は、対向配置された一対の第1基板および第2基板と、第1基板および第2基板の間に設けられた表示層と、表示層および第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、表示モード制御層は、同一基板上に形成される第1電極および第2電極を有し、第1電極および第2電極のうちの一方または両方が、1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示面側から入射する光の反射率調整機能を有し、表示モード制御層により形成される画像と、表示層により形成される表示画像とは互いに独立しているものである。」に訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正事項1
(1)訂正の目的
訂正前の請求項13には「前記表示画像」と記載されているが、該記載以前に「表示画像」は記載されていないため、「前記表示画像」は不明りょうな記載であった。これに対して、訂正後の請求項13において「前記表示層により形成される表示画像」とすることにより、訂正前の請求項13の「前記表示画像」という不明りょうな記載を是正している。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
願書に添付した明細書における発明の詳細な説明には、下記の事項が記載されている。(下線は当審による。)
「【0014】
本実施の形態では、発光素子20R,20G,20Bが設けられた表示層20を封止する駆動基板10および対向基板40の、対向基板40と表示層20との間に表示モード切替層30が設けられている。この表示モード切替層30は、例えば、鏡表示および黒表示の切り替え機能を有するものであり、各画素2(2R,2G,2B)にそれぞれ対応する位置に開口Pを有する。即ち、表示モード切替層30は、図2に示したように各画素2の間、具体的には隔壁22に略対向する位置に各画素2をそれぞれ囲むように格子状に配設され、この格子部分が鏡状態または黒状態(ブラックマトリックス状態)に変化する。」
「【0049】
これに対して本実施の形態では、表示層20と対向基板40との間に、EC素子30Aによって構成されると共に、発光素子20R,20G,20B上に開口Pを有する表示モード切替層30が設けられている。・・・このとき、発光素子20R,20G,20Bが駆動して表示面に画像を表示している場合には、EC層32は一般的な表示装置に設けられているBMとして機能するため、映り込みのない画像表示(ディスプレイモード)が可能となる。」
「【0050】
表1は、表示モード切替層30および発光素子20R,20G,20Bをそれぞれオン状態およびオフ状態とした際の表示装置1Aの表示モードをまとめたものである。本実施の形態の表示装置1Aは、鏡として機能するミラーモード、一般的な表示装置として機能するディスプレイモードおよびミラーモードとディスプレイモードとを組み合わせた、即ち鏡像と表示画像とを重ねて使用することができる3つのモードを使い分けることが可能となる。このような表示モードの切り替えは、例えばリモートコントローラ等からの入力信号をトリガとしてソフト的に自動で行うことができる。」
上記事項より、願書に添付した明細書における発明の詳細な説明には、表示層20に設けられた発光素子20R,20G,20Bが駆動して表示面に画像を表示して画像表示(ディスプレイモード)を可能とするという事項(【0014】、【0049】)、及び、表示装置として機能するディスプレイモードでは表示画像を使用するという事項(【0050】)が記載されていると認められるから、願書に添付した明細書における発明の詳細な説明には、表示層20により表示画像が形成されることが記載されているといえる。
そうすると、訂正事項1は、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項及び第6項の規定を満たすものである。

2 訂正事項2
訂正事項2の訂正内容は、訂正事項1と同様の内容であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、同条第5項及び第6項の規定を満たすものである。

3 訂正事項3
訂正事項3は、訂正事項1、2に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合を図るためのものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、同条第5項及び第6項の規定を満たすものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定を満たすものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
表示装置および電子機器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示モードを切り替えることが可能な表示装置およびこれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鏡と表示デバイスとを組み合わせた表示装置(所謂、鏡ディスプレイ)は様々な分野で用いられており、例えば、自動車のバックミラーやインテリアディスプレイとして使用されている。このような鏡ディスプレイは、例えば人物が近付いた際に、画像と共に文字情報等を重ねて表示できる(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
このような鏡ディスプレイは、例えば、液晶等の表示デバイスの手前に鏡として機能するハーフミラーシート等を貼り合わせることによって構成されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開平10-138832号公報
【特許文献2】 特開2005-260545号公報
【特許文献3】 特開2010-70889号公報
【特許文献4】 特開2005-332616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表示デバイスの手前にハーフミラーシートを配置した鏡ディスプレイでは、ハーフミラーシートの透過率の低さから輝度が低下するという問題があった。これに対して、表示デバイスとして有機エレクトロルミネセンス(EL;Electro Luminescence)素子を用い、この有機EL素子と透明基板との間に反射膜を設けた表示装置が開示されている(例えば、特許文献4参照)。この表示装置では、輝度の低下は改善されるものの、反射膜によって形成される鏡面に映り込みが生じ、画像が見にくくなる。このように、従来の鏡ディスプレイでは十分な視認性が得られないという問題があった。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高い視認性を有する表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の表示装置は、対向配置された一対の第1基板および第2基板と、第1基板および第2基板の間に設けられた表示層と、表示層および第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示層により形成される表示画像と独立な、第1基板または第2基板の外側から入射する光の透過率の調整機能を有するものである。
本技術の第2の表示装置は、対向配置された一対の第1基板および第2基板と、第1基板および第2基板の間に設けられた表示層と、表示層および第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、表示モード制御層は、同一基板上に形成される第1電極および第2電極を有し、第1電極および第2電極のうちの一方または両方が、1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示面側から入射する光の反射率調整機能を有し、表示モード制御層により形成される画像と、表示層により形成される表示画像とは互いに独立しているものである。
本技術の第3の表示装置は、対向配置された一対の第1基板および第2基板と、第1基板および第2基板の間に設けられた表示層と、表示層および第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、背景から入射する光の透過率調整機能を有するものである。
本技術の第4の表示装置は、対向配置された一対の第1基板および第2基板と、第1基板および第2基板の間に設けられた表示層と、表示層および第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示層により形成される表示画像と独立な、第1基板または第2基板の外側から入射する光の反射率の調整機能を有し、表示モード制御層により形成される画像と、表示画像とは互いに独立しているものである。
本技術の第5の表示装置は、対向配置された一対の第1基板および第2基板と、第1基板および第2基板の間に設けられた表示層と、表示層および第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示層により形成される表示画像と独立な、第1基板または第2基板の外側から入射する光の反射率または透過率の調整機能を有し、第1電極は、第1の方向に延在する第1サブ電極を複数有するものである。
本技術の第6の表示装置は、対向配置された一対の第1基板および第2基板と、第1基板および第2基板の間に設けられた表示層と、表示層および第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示層により形成される表示画像と独立な、第1基板または第2基板の外側から入射する光の反射率または透過率の調整機能を有し、表示モード制御層はエレクトロクロミック素子によって構成されているものである。
本技術の第7の表示装置は、対向配置された一対の第1基板および第2基板と、第1基板および第2基板の間に設けられた表示層と、表示層および第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示層により形成される表示画像と独立な、第1基板または第2基板の外側から入射する光の反射率または透過率の調整機能を有し、表示層は液晶層によって構成されているものである。
【0008】
本技術の第1,第2,第3,第4の電子機器は、各々上記第1,第2,第3,第4の表示装置を備えたものである。
【0009】
本技術の第1?第7の表示装置および第1?第4の電子機器では、表示層と第2基板との間に表示モード制御層を設けることにより、必要に応じて表示モードを制御できると共に、画像表示時には表示層から射出される光を取り出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本技術の第1?第7の表示装置および第1?第4の電子機器によれば、表示層と第2基板との間に表示モード制御層を設けるようにしたので、表示モードの制御、例えば鏡表示と黒表示(画像表示)とを必要に応じて切り換えることが可能となる。また、表示モード制御層の各画素に対応する位置に開口を設けるようにしたので、表示層から射出される光の利用効率が向上する。即ち、画像の映り込みや輝度の低下が抑制された高い視認性を有する表示装置およびこれを備えた電子機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した表示装置における表示モード切替層の構成(開口パターン)の一例を表す平面図である。
【図3】図2に示した表示モード切替層の構成を表す断面図である。
【図4A】図2に示した表示モード切替層の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【図4B】図4Aに続く工程を表す断面図である。
【図4C】図4Bに続く工程を表す断面図である。
【図5A】図4Cに続く工程を表す断面図である。
【図5B】図5Aに続く工程を表す断面図である。
【図5C】図5Bに続く工程を表す断面図である。
【図6A】図2に示した表示モード切替層の表示モードを説明する断面図である。
【図6B】図2に示した表示モード切替層の表示モードを説明する断面図である。
【図7】図1に示した表示装置の全体構成を表す平面図である。
【図8】図7に示した画素駆動回路の一例を表す図である。
【図9】表示モード切替層に印加する印加電圧の一波形例を表す図である。
【図10】本開示の実験例1,2における反射率と電圧との関係を表す特性図である。
【図11】本開示の表示モード切替層の開口パターンの他の例を表す平面図である。
【図12】本開示の第2の実施の形態に係る表示装置の断面図である。
【図13】図2に示した表示装置における表示モード切替層の構成を表す断面図である。
【図14】本開示の実験例3における透過率と電圧との関係を表す特性図である。
【図15】本開示の第3の実施の形態に係る表示装置の断面図である。
【図16】図15に示した表示モード切替層の構成を表す断面図である。
【図17A】図16に示した表示モード切替層の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【図17B】図17Aに続く工程を表す断面図である。
【図17C】図17Bに続く工程を表す断面図である。
【図18A】図17Cに続く工程を表す断面図である。
【図18B】図18Aに続く工程を表す断面図である。
【図18C】図18Bに続く工程を表す断面図である。
【図19】本開示の変形例1に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図20】本開示の変形例2に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図21】図21に示した表示装置の全体構成を表す平面図である。
【図22】本開示の第4の実施の形態に係る表示装置の構成を表す断面図である。
【図23A】図22に示した表示装置における表示モード切替層の表示モードを説明するための断面図である。
【図23B】図22に示した表示装置における表示モード切替層の表示モードを説明するダための断面図である。
【図24】本開示の変形例3に係る表示モード切替層の構成を表す断面図である。
【図25】表示モードの部分的切り替えが可能な表示装置の全体構成を表す平面図である。
【図26】本開示の変形例4に係る表示モード切替層の構成を表す平面図である。
【図27A】図26に示した第1電極の配設の一例を表す模式図である。
【図27B】図26に示した第2電極の配設の一例を表す模式図である。
【図28A】上記実施の形態等の表示装置の適用例1の表側の外観を表す斜視図である。
【図28B】上記実施の形態等の表示装置の適用例1の裏側の外観を表す斜視図である。
【図29】適用例2の外観を表す斜視図である。
【図30A】適用例3の表側から見た外観を表す斜視図である。
【図30B】適用例3の裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図31】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図32】適用例5の外観を表す斜視図である。
【図33A】適用例6の閉じた状態の正面図、左側面図、右側面図、上面図および下面図である。
【図33B】適用例6の開いた状態の正面図および側面図である。
【図34】適用例7の外観を表す模式図である。
【図35A】適用例8の透明ディスプレイモード時の外観を表す模式図である。
【図35B】適用例8のディスプレイモード時の外観を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(表示層として有機層を用い、鏡表示および黒表示に切り替え可能な表示モード切替層を備えた例)
1-1.基本構成
1-2.表示装置の全体構成
1-3.製造方法
1-4.作用・効果
2.第2の実施の形態(透過表示および黒表示に切り替え可能な表示装置)
3.第3の実施の形態(透過表示および鏡表示に切り替え可能な表示装置)
4.変形例
変形例1(カラーフィルタを備えた例)
変形例2(表示層として液晶層を備えた例)
5.第4の実施の形態(表示モード切替層をBM層の前面に備えた表示装置)
6.変形例
変形例3(表示モード切替層の第2電極を画素ごとに切り離して設けた例)
変形例4(表示モード切替層の第1電極および第2電極を互いに交差するように配設した例)
7.適用例(電子機器の例)
【0013】
<1.実施の形態>
(1-1.基本構成)
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る表示装置(表示装置1A)の断面構成を表したものである。この表示装置1Aは、例えば鏡ディスプレイやモバイル機器等として用いられるものであり、基板(駆動基板10)の上に表示領域110Aが設けられている(図7参照)。この表示領域110A内には、例えば副画素として赤色画素2R,緑色画素2G,青色画素2Bを含む複数の画素2がマトリックス状に配置されている(図2参照)。各画素2(2R,2G,2B)はそれぞれ対応する、例えば赤色の単色光を発生する赤色発光素子20Rと、緑色の単色光を発生する緑色発光素子20Gと、青色の単色光を発生する青色発光素子20Bとを有している。発光素子20R,20G,20Bは、例えば後述する有機EL素子のほか、無機EL素子,半導体レーザ,LED(Light Emitting Diode)等により構成されている。なお、図1等の各図は模式図であり、各層の膜厚等の形状は実際の形状とは必ずしも一致しない。
【0014】
本実施の形態では、発光素子20R,20G,20Bが設けられた表示層20を封止する駆動基板10および対向基板40の、対向基板40と表示層20との間に表示モード切替層30が設けられている。この表示モード切替層30は、例えば、鏡表示および黒表示の切り替え機能を有するものであり、各画素2(2R,2G,2B)にそれぞれ対応する位置に開口Pを有する。即ち、表示モード切替層30は、図2に示したように各画素2の間、具体的には隔壁22に略対向する位置に各画素2をそれぞれ囲むように格子状に配設され、この格子部分が鏡状態または黒状態(ブラックマトリックス状態)に変化する。
【0015】
表示モード切替層30は、上記のように、表示装置1Aの表示モードを、例えば鏡表示(ミラーモード)および黒表示(ディスプレイモード)に切り替えるためのものである。表示モード切替層30は、必要に応じて任意に表示モードを切り替えられるもので、例えば電圧を印加することによって光物性が可逆的に変化する材料によって構成されている。このような材料としては、例えば、酸化還元方式によって発色が変化するエレクトロクロミック(EC)材料、あるいは有機樹脂等が挙げられる。本実施の形態では、表示モード切替層30がEC材料を含むEC素子30Aによって構成されている場合を例に挙げて説明する。
【0016】
図3は、表示モード切替層30の断面構成を表したものである。表示モード切替層30は、対向基板40上に設けられたEC素子30Aであり、対向基板40側から第2電極31,EC層32,第1電極33の順に積層された構成を有する。
【0017】
第2電極31は、光透過性を有する導電材料(所謂、透明導電材料)よりなる。透明導電材料としては、例えばインジウムとスズの酸化物(ITO),インジウム亜鉛オキシド(IZO),酸化亜鉛(ZnO),インジウムスズ亜鉛オキシド(InSnZnO(α-ITZO)),酸化亜鉛(ZnO)とアルミニウム(Al)との合金等が挙げられる。第2電極31は、これら材料の単層膜あるいはこれらのうちの2種以上を含む積層膜として形成される。この他,カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェン等を用いてもよい。第2電極31の積層方向の膜厚(以下、単に厚みと言う)は、例えばITOであれば0.2?1umである。
【0018】
EC層32は、上述したように電圧を印加することによって光物性が可逆的、ここでは透明および黒色に変化するEC材料が用いられる。EC層32の厚みは、表示モード切替層としての性能および表示装置1Aの視野角依存性を考慮して、例えば0.5?2um程度とすることが好ましい。EC層32の具体的な構成例としては、例えば、第2電極31側からイオン保持層32A,イオン伝導層32Bおよび発色層32Cの順に積層された構成を有する(図6A参照)。
【0019】
イオン保持層32Aは、例えば、酸化ニッケル(NiO),イリジウムオキシド(α-IrO),イリジウムスズオキシド(IrSnO),酸化タングステン(WO_(3)),ポリアニリン,銅グリッド(Cu grid)またはレドックス重合体等によって構成されている。イオン保持層32Aの厚みは、例えば0.1?0.5um程度であることが好ましい。
【0020】
イオン伝導層32Bは、例えば、酸化タンタル(Ta_(2)O_(5)),ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA),ポリ2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(Poly-AMPS),ポリエチレングリコールの共重合体(a-PEO)またはSiO_(2)/Metal等によって構成されている。イオン伝導層32Bの厚みは、発色層32Cへのイオン供給能力および表示装置1Aの視野角依存性を考慮して、例えば0.1?1umであることが好ましい。
【0021】
発色層32Cは、ここでは電圧の印加によって透明から黒色に変化するエレクトロクロミック材料、例えば、WO_(3),ビオロゲン(GENETEX;商標)等によって構成されている。発色層32Cの厚みとしては、例えば、0.1?1μm程度であることが好ましい。これにより表示モード切替層30は、表示装置1Aの表示をミラーモードからディスプレイモードへ切り替える。具体的には、第1電極33の鏡面を十分に遮蔽して、所謂ブラックマトリックス(BM)として機能するようになる。
【0022】
第1電極33は、本実施の形態におけるミラーモードを構成するものであり、できるだけ高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。下部電極の材料としては、例えば、アルミニウム(Al),クロム(Cr),金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),銅(Cu),タングステン(W)あるいは銀(Ag)等の金属元素の単体または合金が挙げられる。第1電極33の厚みは、鏡としての反射率を十分に得られる厚さであればよく、例えば0.1?1μm程度であることが好ましい。
【0023】
なお、ミラーモードを構成する第1電極33の裏面、即ち、表示層20側には、図3に示したように遮光膜34を形成してもよい。遮光膜34を形成することにより、発光素子20R,20G,20Bから射出される光が第1電極33によって反射されることによる副画素2R,2G,2B間における混色が抑制される。遮光膜34は、例えば黒色の着色剤を混入した光学濃度が1以上の黒色の樹脂膜、または薄膜の干渉を利用した薄膜フィルタにより構成されている。このうち黒色の樹脂膜により構成するようにすれば、安価で容易に形成することができるので好ましい。薄膜フィルタは、例えば、金属,金属窒化物あるいは金属酸化物よりなる薄膜を1層以上積層し、薄膜の干渉を利用して光を減衰させるものである。薄膜フィルタとしては、具体的には、Crと酸化クロム(III)(Cr_(2)O_(3))とを交互に積層したものが挙げられる。なお、遮光膜34は、第1電極33の裏面を覆うことで十分効果はあるが、裏面だけでなく側面まで覆うようにすることにより、副画素2R,2G,2B間における混色の発生をより低減することが可能となる。
【0024】
なお、遮光膜34は必ずしも必要ではなく、発光層23Cとカラーフィルタ(ここでは表示モード切替層30)とのギャップ、開口Pの大きさおよび開口ピッチとの関係によって多重反射の影響が他の画素2R,2G,2Bに影響を与えない場合には省略しても構わない。これにより、光源(ここでは発光素子20R,20G,20B)からの光をより有効に利用することができる。
【0025】
また、上記遮光膜34の代わりに第1電極33の裏面をAR(Anti Reflect)処理してもよい。これにより、遮光膜34を形成した場合と同様に、第1電極33の裏面に対する光の反射が低減され、副画素2R,2G,2B間における混色を防止することができる。
【0026】
このような表示モード切替層30は、例えば次のようにして製造することができる。まず、図4Aに示したように対向基板40上に、例えばITO膜を、例えばスパッタ法等の蒸着法により成膜したのち、例えばフォトリソグラフィー法を用いて所望の形状(ここでは格子状)にパターニングして第2電極31を形成する。続いて、図4Bに示したように、対向基板40および第2電極31上にスパッタを用いてNiO膜を成膜したのち、ドライエッチングを用いてパターニングして第2電極31上にイオン保持層32Aを形成する。
【0027】
次に、図4Cに示したように、対向基板40およびイオン保持層32A上に、例えばスパッタ法によりTa_(2)O_(5)膜(32B1)を成膜したのち、このTa_(2)O_(5)膜上に、WO_(3)膜(32C1)を成膜する。続いて、これらTa_(2)O_(5)膜(32B1)およびWO_(3)膜(32C1)を、例えばCF_(4)等のガスを用いたドライエッチング法によってパターニングすることにより、イオン伝導層32Bおよび発色層32Cを形成する。
【0028】
次に、図5Aに示したように、発色層32C上から対向基板40にかけて、例えばスパッタ法により、例えばAl膜(33A)を成膜する。続いて、図5Bに示したように、Al膜(33A)上に、例えばブラックマトリックス用のレジストRを塗布したのち、露光および現像を行い所定の形状にパターニングする。最後に、図5Cに示したように、Al膜(33A)を、例えばCl_(2)等のガスを用いたドライエッチングを行い第1電極33を形成することにより、表示モード切替層30が完成する。なお、レジストRは第1電極33上にそのまま残すことにより遮光膜34として用いることができる。
【0029】
図6Aおよび図6Bは、表示モード切替層30の変化を模式的に表したものである。EC層32(32A,32B,32C)は、それぞれ、NiO(イオン保持層21A),Ta_(2)O_(3)(イオン伝導層32B)およびWO_(3)(発色層32C)によって構成されているものとする。このような構成の表示モード切替層30では、発色層32C中のWO_(3)は、例えば第1電極33にプラス(+)電圧を、第2電極31にマイナス(-)電圧を印加した状態では図6Aに示したように無色(WO_(3))の状態で存在する。このため、表示装置1Aとしては、第1電極33を構成する金属膜(例えばAl)が視認できる状態、即ちミラーモードとなる。これに対して、各電極への印加電圧を逆、即ち第1電極33にマイナス(-)電圧を、第2電極31にプラス(+)電圧を印加すると、イオン保持層32Aに含まれるイオン(H^(+))がイオン伝導層32Bを介して発色層32Cに供給され、発色層32C中のWO_(3)が還元されてH_(x)WO_(3)となる。これにより、図6Bに示したように発色層32Cは黒色(H_(x)WO_(3))となる。黒色に変化した表示モード切替層30は、所謂ブラックマトリックス(BM)として機能するため、表示装置1Aは通常の表示装置として機能するディスプレイモードとなる。即ち、表示領域110Aへの対象物の映り込みのない画像表示が可能となる。
【0030】
(1-2.表示装置の全体構成)
図7は、表示装置1Aの全体構成を表したものである。この表示装置1Aは、上述したように駆動基板10の上に表示領域110Aが設けられており、この表示領域110A内にR(赤),G(緑),B(青)のいずれかの色光が上面(基板11と反対側の面)側から出射される表示デバイス、ここでは複数の有機EL素子(赤色発光素子20R,緑色発光素子20G,青色発光素子20B)が設けられた上面発光型(所謂トップエミッション型)の表示装置である。表示領域110Aの周辺(外縁側,外周側)に位置する周辺領域110Bには、映像表示用のドライバである信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が配設されている。
【0031】
表示領域110A内には、画素駆動回路140が設けられている。図8は、この画素駆動回路140の一例(赤色画素2R,緑色画素2G,青色画素2Bの画素回路の一例)を表したものである。画素駆動回路140は、後述する下部電極21の下層に形成されたアクティブ型の駆動回路である。この画素駆動回路140は、駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2と、これらトランジスタTr1,Tr2の間のキャパシタ(保持容量)Csとを有している。画素駆動回路140はまた、第1の電源ライン(Vcc)および第2の電源ライン(GND)の間において、駆動トランジスタTr1に直列に接続された発光素子20を有している。即ち、赤色画素2R,緑色画素2G,青色画素2B内にはそれぞれ、対応する発光素子(赤色発光素子20R,緑色発光素子20G,青色発光素子20Bのいずれか)が設けられている。駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2は、一般的な薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)により構成され、その構成は例えば逆スタガ構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガ構造(トップゲート型)でもよく、特に限定されない。
【0032】
画素駆動回路140において、列方向には信号線120Aが複数配設され、行方向には走査線130Aが複数配設されている。各信号線120Aと各走査線130Aとの交差点が、赤色画素2R,緑色画素2G,青色画素2Bのいずれか1つに対応している。各信号線120Aは、信号線駆動回路120に接続され、この信号線駆動回路120から信号線120Aを介して書き込みトランジスタTr2のソース電極に画像信号が供給されるようになっている。各走査線130Aは走査線駆動回路130に接続され、この走査線駆動回路130から走査線130Aを介して書き込みトランジスタTr2のゲート電極に走査信号が順次供給されるようになっている。
【0033】
発光素子20R,20G,20Bは、図1に示したように、それぞれ、上述した画素駆動回路140の駆動トランジスタTr1、平坦化絶縁膜(図示せず)が設けられた駆動基板10の側から、陽極としての下部電極21、隔壁22、発光層23Cを含む有機層23、および陰極としての上部電極24がこの順に積層されている。駆動トランジスタTr1は、平坦化絶縁膜に設けられた接続孔(図示せず)を介して下部電極21に電気的に接続されている。
【0034】
このような発光素子20R,20G,20Bは、平坦化層25により被覆されている。更にこの平坦化層25上には、例えば接着層(図示せず)を介して、上述した表示モード切替層30が設けられた対向基板40が、表示モード切替層30側から張り合わされている。なお、表示モード切替層30の開口Pは副画素画2R,2G,2B、即ち、発光素子20R,20G,20B上にそれぞれ設けられており、表示モード切替層30は隔壁22と対向する位置に設けられている。
【0035】
下部電極21は、反射層としての機能も兼ねており、できるだけ高い反射率を有するようにすることが発光効率を高める上で望ましい。特に、下部電極21が陽極として使われる場合には、下部電極21は正孔注入性の高い材料により構成されていることが望ましい。このような下部電極21としては、例えば、積層方向の厚みが100nm以上1000nm以下であり、Cr,Au,Pt,Ni,Cu,WあるいはAg等の金属元素の単体または合金が挙げられる。下部電極21の表面には、ITO等の透明導電膜が設けられていてもよい。なお、Al合金のように、反射率が高くても、表面の酸化皮膜の存在や、仕事関数が大きくないことによる正孔注入障壁が問題となる材料においても、適切な正孔注入層を設けることによって下部電極21として使用することが可能である。
【0036】
隔壁22は、下部電極21と上部電極24との絶縁性を確保すると共に発光領域を所望の形状にするためのものである。更に、後述する製造工程において、例えばインクジェットまたはノズルコート方式による塗布を行う際の仕切りとしての機能も有している。隔壁22は、例えば、SiO_(2)等の無機絶縁材料よりなる下部隔壁に、ポジ型感光性ポリベンゾオキサゾール,ポジ型感光性ポリイミド等の感光性樹脂よりなる上部隔壁が形成された構成を有する。隔壁22には、発光領域に対応する開口が設けられている。なお、有機層23ないし上部電極24は、開口だけでなく隔壁22の上にも設けられていてもよいが、発光が生じるのは隔壁22の開口だけである。
【0037】
有機層23は、例えば、下部電極21の側から順に、正孔注入層23A,正孔輸送層23B,発光層23C,電子輸送層23Dおよび電子注入層23Eを積層した構成を有する。これらのうち発光層23C以外の層は必要に応じて設ければよい。有機層23は、発光素子20R,20G,20Bの発光色によってそれぞれ構成が異なっていてもよい。正孔注入層23Aは、正孔注入効率を高めるためのものであると共に、リークを防止するためのバッファ層である。正孔輸送層23Bは、発光層23Cへの正孔輸送効率を高めるためのものである。発光層23Cは、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものである。電子輸送層23Dは、発光層23Cへの電子輸送効率を高めるためのものである。電子注入層23Eは、電子注入効率を高めるためのものである。
【0038】
発光素子20Rの正孔注入層23Aは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、例えばヘキサアザトリフェニレン誘導体により構成されている。発光素子20Rの正孔輸送層23Bは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、ビス[(N-ナフチル)-N-フェニル]ベンジジン(α-NPD)により構成されている。発光素子20Rの発光層23Cは、例えば、厚みが10nm以上100nm以下であり、8-キノリノールアルミニウム錯体(Alq3)に2,6-ビス[4-[N-(4-メトキシフェニル)-N-フェニル]アミノスチリル]ナフタレン-1,5-ジカルボニトリル(BSN-BCN)を40体積%混合したものにより構成されている。発光素子20Rの電子輸送層23Dは、例えば、厚みが5nm以上300nm以下であり、Alq3により構成されている。発光素子20Rの電子注入層23Eは、例えば、厚みが0.3nm程度であり、LiF,Li_(2)O等により構成されている。
【0039】
上部電極24は、例えば、厚みが10nm程度であり、Al,マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca)またはナトリウム(Na)の合金により構成されている。中でも、Mg-Ag合金は、薄膜での導電性と吸収の小ささとを兼ね備えているので好ましい。Mg-Ag合金におけるMgとAgとの比率は特に限定されないが、膜厚比でMg:Ag=20:1?1:1の範囲であることが望ましい。また、上部電極24の材料は、アルミニウム(Al)とリチウム(Li)との合金(Al-Li合金)でもよい。
【0040】
上部電極24は、また、半透過性反射層としての機能を兼ねていてもよい。上部電極24が半透過性反射層としての機能を備えている場合には、発光素子20Rは共振器構造を有し、この共振器構造により発光層23Cで発生した光を下部電極21と上部電極24との間で共振させるようになっている。この共振器構造は、下部電極21と有機層23との界面を反射面、中間層(図示せず)と電子注入層23Eとの界面を半透過反射面とし、有機層23を共振部として、発光層23Cで発生した光を共振させて半透過反射面の側から取り出すものである。このように共振器構造を有するようにすれば、発光層23Cで発生した光が多重干渉を起こし、半透過反射面の側から取り出される光のスペクトルの半値幅が減少し、ピーク強度を高めることができる。即ち、正面方向における光射出強度を高め、発光の色純度を向上させることができる。
【0041】
平坦化層25は、窒化ケイ素(SiN_(x)),酸化ケイ素(SiO_(x))または金属酸化物等により構成されている。接着層は、例えば熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂により構成されている。
【0042】
対向基板40は、接着層と共に、発光素子20R,20G,20Bを封止するものである。対向基板40は、本実施の形態のように、光を対向基板40側から取り出すトップエミッション型では、各発光素子20R,20G,20Bから射出された光に対して透明なガラス等の材料により構成されている。本実施の形態では、対向基板40には上述した表示モード切替層30が設けられている。なお、光を駆動基板10側から取り出す下面発光型(所謂、ボトムエミッション型)では、対向基板40の可視光に対する透過性は問わない。
【0043】
(1-3.製造方法)
この表示装置1Aは、例えば以下のようにして製造することができる。まず、ガラス等の基板上に画素駆動回140,信号線駆動回路120および走査線駆動回路130等を配設して駆動基板10を形成する。次いで、例えばスパッタ法により、例えばAl合金等の金属膜を成膜したのち、ウエットエッチング等により金属膜を選択的に除去して発光素子20R,20G,20Bごとに分離された下部電極21を形成する。次に、駆動基板10の全面にわたり感光性樹脂を塗布したのち、フォトリソグラフィ法を用いて発光領域に対応する開口部を設け、焼成することにより隔壁22を形成する。
【0044】
続いて、例えばスピンコート法や液滴法等の塗布法により、下部電極21および隔壁22上に上述した厚みおよび材料よりなる正孔注入層23Aおよび正孔輸送層23Bを成膜する。次に、スピンコート法やインクジェット方式等の液滴吐出法等によってそれぞれ対応する位置に赤色発光層23CR,緑色発光層23CGおよび青色発光層23CBを形成する。続いて、例えばスピンコート法や液滴法等の塗布法により、正孔輸送層23Bおよび各発光層23C上に上述した厚みおよび材料よりなる電子輸送層23Dおよび電子注入層23Eを成膜する。次に、例えば蒸着法により電子注入層23E上の全面に例えばITO膜を成膜し、上部電極24とする。これにより、発光素子20R,20G,20Bが形成される。
【0045】
続いて、例えばCVD法またはスパッタ法により、発光素子20R,20G,20Bの上に上述した材料よりなる平坦化層25を形成する。次に、平坦化層25上に、接着層を介して、表示モード切替層30を配設した対向基板40を貼り合わせる。以上により、図1に示した表示装置1Aが完成する。
【0046】
この表示装置1Aでは、各画素2に対して走査線駆動回路130から書き込みトランジスタTr2のゲート電極を介して走査信号が供給されると共に、信号線駆動回路120から画像信号が書き込みトランジスタTr2を介して保持容量Csに保持される。即ち、この保持容量Csに保持された信号に応じて駆動トランジスタTr1がオンオフ制御され、これにより、発光素子20R,20G,20Bに駆動電流Idが注入されることにより、正孔と電子とが再結合して発光が起こる。この光は、例えば、下部電極21と上部電極24との間で多重反射し、または、下部電極21における反射光と発光層23Cで発生した光とが干渉により強め合い、上部電極24および対向基板40を透過して取り出される。
【0047】
(1-4.作用・効果)
鏡ディスプレイとしては、表示デバイスの手前、具体的には、例えば、本実施の形態における対向基板40等のガラス基板の前面(表示面側)にハーフミラーシートを配置した構成が考えられる。しかしながら、ハーフミラーシートは反射率が低く、鏡としての十分な機能は得られない。また、表示面の全面に配置しているため、表示された画像はハーフミラーシートによって遮蔽されて不鮮明になると共に、輝度が低下するという問題が考えられる。この輝度の低下は発光素子の発光強度を向上させることによって改善されるが、消費電力が増大するという問題が生じる。
【0048】
一方、表示デバイスの内部、例えばガラス基板と、このガラス基板上に設けられたカラーフィルタおよびブラックマトリックスを有する層との間に反射率の高い金属膜をガラス基板の全面に配置する構成の表示装置が考えられる。しかしながら、このような表示装置では、表示面(表示領域)が常に鏡状態であるため鏡への映り込みが生じ、画像が見にくくなるという問題が考えられる。
【0049】
これに対して本実施の形態では、表示層20と対向基板40との間に、EC素子30Aによって構成されると共に、発光素子20R,20G,20B上に開口Pを有する表示モード切替層30が設けられている。EC素子30Aは、透明導電材料によって形成された第2電極31とAl等の反射率の高い金属材料によって形成された第1電極33との間に、電圧の印加によって透明および黒色に可逆的に発色するEC材料を含むEC層32が封止された構成を有する。なお、表示モード切替層30の各層31,32,33は、表示面側、即ち対向基板40側から第2電極31,EC層32および第1電極33の順に積層されている。これにより、EC層32が透明状態の場合には、表示装置1Aの表示モードは、反射率の高い金属材料によって形成された第1電極33が透けて見える、所謂鏡表示(ミラーモード)となる。一方、EC層32が黒色を呈している場合には、第1電極33はEC材料によって遮蔽された状態となる。このとき、発光素子20R,20G,20Bが駆動して表示面に画像を表示している場合には、EC層32は一般的な表示装置に設けられているBMとして機能するため、映り込みのない画像表示(ディスプレイモード)が可能となる。
【0050】
表1は、表示モード切替層30および発光素子20R,20G,20Bをそれぞれオン状態およびオフ状態とした際の表示装置1Aの表示モードをまとめたものである。本実施の形態の表示装置1Aは、鏡として機能するミラーモード、一般的な表示装置として機能するディスプレイモードおよびミラーモードとディスプレイモードとを組み合わせた、即ち鏡像と表示画像とを重ねて使用することができる3つのモードを使い分けることが可能となる。このような表示モードの切り替えは、例えばリモートコントローラ等からの入力信号をトリガとしてソフト的に自動で行うことができる。
【0051】
【表1】

【0052】
図9は、表示モード切替層30を駆動する際の一波形例を表したものである。表示装置1Aを鏡ディスプレイとして用いる場合には、素早いミラーモードとディプレイモードとの切り替えが求められる。これを実現するためには、まず、例えば1?10V程度の高い電圧(第2電極31にプラス(+)電圧、第1電極33にマイナス(-)電圧)を、例えば1?20秒程度印加する。これにより、発色層32C中の、例えばWO_(3)はHWO_(3)に還元され黒色を呈し、表示装置1Aはミラーモードからディスプレイモードへ切り替わる。ディスプレイモードへ切り替わった後は、EC層32の黒色表示を維持するために、定期的(例えば10秒以下程度の間隔)に例えば1?5V程度の低い電圧を印加すればよい。ディスプレイモードからミラーモードへ切り替える場合には、上記電圧とは逆の電圧(第2電極31にマイナス(-)電圧、第1電極33にプラス(+)電圧)を、例えば10秒程度印加すればよい。これにより、発色層32C中のHWO_(3)はWO_(3)に酸化されて無色(透明)となり第1電極33の鏡面が視認できるようになる。
【0053】
なお、ディスプレイモードから切り替えたミラーモードは電圧を印加することなく維持される。また、上記した電圧値は一例であり、デバイス構造によって適宜変化する。更に、応答速度も表示パネルの大きさによって変化する。
【0054】
図10は、表示モード切替層30の発光素子20R,20G,20B上に開口Pを形成しない場合(開口無;実験例1)および開口Pを形成した場合(開口有;実験例2)における表示面の反射率の変化を表したものである。実験例2は、開口Pを設けない実験例1よりも開口Pを設けることによってミラーモードにおける表示面の最高反射率は低い(60%程度)が、発光素子20の発光光を開口Pから取り出すことができる。従って、実験例1よりも劣化のない、より鮮明な画像を表示することができる。また、実験例1,2共に、表示モード切替層30(開口有)や後述する表示モード切替層90(開口無)は、印加電圧の大きさによって反射率を調整できる反射率調整機能を有することがわかる。
【0055】
以上のことから、本実施の形態における表示装置1Aでは、表示層20と対向基板40との間に表示モード切替層30を設けるようにした。この表示モード切替層30は、光物性が可逆的に変化する材料を用いて構成されているため、表示装置1Aを必要に応じて任意に、鏡として十分な機能を有するミラーモードおよび画像の映り込みのないディスプレイモードに切り替えることが可能となる。また、表示モード切替層30に発光素子20R,20G,20Bに対応する位置に開口Pを設けるようにしたので、輝度の低下が抑制されると共に、精細且つ鮮明な画像の表示が可能となる。即ち、高い視認性を有する表示装置およびこれを備えた電子機器を提供することが可能となる。
【0056】
なお、本実施の形態では表示モード切替層30を副画素2R,2G,2Bごとに開口を有する格子状にパターニング(格子パターン)したが、これに限らない。例えば、開口ピッチや各発光素子20R,20G,20Bからの発光光の周波数によってモアレが生じる場合には、例えば図11に示したように、格子パターンを隣り合う2つの副画素(例えば、赤色画素2Rおよび緑色画素2G、緑色画素2Gおよび青色画素2B等)ごとに開口Pを設けるようにしてもよい。
【0057】
また、本実施の形態では発光素子としてそれぞれ赤色発光光、緑色発光光または青色発光光を射出する発光素子20R,20G,20Bを形成するようにしたので、色域の広い表示装置を構成することができる。また、カラーフィルタが不要であるため、より高い輝度が得られる。
【0058】
以下、第2?4の実施の形態および変形例1?4について説明する。上記第1の実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0059】
<2.第2の実施の形態>
図12は、本開示の第2の実施の形態に係る表示装置1Bの断面構成を表したものである。この表示装置1Bは、上記第1の実施の形態と同様に表示層20と対向基板40との間に表示モード切替層50が設けられている。但し、本実施の形態では、表示モード切替層50は透過表示(透明ディスプレイモード)および黒表示(ディスプレイモード)に切り替えられるものであり、この点が上記実施の形態とは異なる。
【0060】
表示モード切替層50は、上記のように、表示装置1Bの表示モードを透明ディスプレイモードおよびディスプレイモードに切り替えるものであり、図13に示したように、上記第1の実施の形態と同様の積層構造を有するEC素子50Aによって構成されている。但し、本実施の形態では第1電極53は、第2電極51と同様に透明導電材料によって形成されている。具体的には、例えばITO,IZO,ZnO,InSnZnO(α-ITZO),ZnOとAlとの合金等が挙げられ、これら導電材料の単層膜あるいはこれらのうちの2種以上を含む積層膜によって構成されている。この他,CNTやグラフェン等を用いてもよい。なお、EC層52は第1の実施の形態と同様の構成および材料を用いて形成することができる。
【0061】
図14は、本実施の形態の表示モード切替層50(実験例3)の各電圧における光吸収特性(透過率)を表したものである。図14から印加電圧の大きさを変えることによってEC層の透過率が変化することがわかる。即ち、例えば図9に示したように第1電極53および第2電極51にそれぞれマイナス(-)電圧またはプラス(+)電圧を印加することによって透明ディスプレイモードおよびディスプレイモード(不透明ディスプレイモード)への切り替えが可能であることがわかる。
【0062】
以上のように本実施の形態では、表示モード切替層50の第1電極53および第2電極51を共に透明導電材料を用いて形成するようにしたので、表示装置1Bの表示モードを必要に応じて透明ディスプレイモードおよびディスプレイモードに切り替えることが可能となる。
【0063】
また、図14からわかるように表示モード切替層50は第1電極53および第2電極51への印加電圧を変化させることによって表示モード切替層50の透過率を調整することができる。即ち、利用環境に適した透過率に調整することができる、多段階あるいは無段階に透過率を調整可能な調光機能(透過率調整機能)を有する表示装置を提供することができる。
<3.第3の実施の形態>
図15は、本開示の第3の実施の形態に係る表示装置1Cの断面構成を表したものである。この表示装置1Cは、上記第1,第2の実施の形態と同様に表示層20と対向基板40との間に表示モード切替層60が設けられている。但し、本実施の形態では、表示モード切替層60は鏡表示(ミラーモード)と黒表示(ディスプレイモード)とに切り替えられるものであり、この点が上記実施の形態とは異なる。
【0064】
表示モード切替層60は、上記のように、表示装置1Cの表示モードを、ミラーモードとディスプレイモードとに切り替えるものであり、図16に示したように、第1電極63および第2電極61の間にEC層62が設けられた構成を有する。但し、本実施の形態ではEC素子60Aは、第2電極61がイットリウムやランタン等の希土類金属またはMg-Ni合金等の水素を吸蔵することによって金属光沢から透明に変化する材料によって構成されている。
【0065】
図17A?図18Cは表示モード切替層60の製造工程の一例を表したものである。まず、図17Aに示したように、対向基板40上に、例えばMg-Ni合金膜を、例えばスパッタ法等の蒸着法により、例えば40nm?100nmの厚みに成膜する。MgおよびNiはそれぞれ別々のターゲットを用いてもよいし、Mg-Ni合金ターゲットを用いても構わない。続いて、Pd膜を同様の方法を用いて、例えば1nm?6nmの厚みに成膜する。次に、Pd膜上にフォトレジストをスピンコータやロールコータ等を用いて塗布およびベークしたのち、ガラスマスクを用いて露光を行いフォトレジストをパターニングする。続いて、CF4等のガスを用いたドライエッチング法によってMg-Ni膜およびPd膜をパターニングしたのち、例えば灰化処理を行うことによりレジストを除去して第2電極61および触媒層65を形成する。
【0066】
次に、図17Bに示したように、対向基板40および触媒層65上に、例えばスパッタ法によりTa_(2)O_(5)膜(66A)を、例えば50nm以上500nm以下の厚みに成膜したのち、このTa_(2)O_(5)膜上に、水素を加えながらWO_(3)膜(67A)を、例えば150nm以上500nm以下の厚みに成膜する。続いて、図17Cに示したように、これらTa_(2)O_(5)膜(66A)およびWO_(3)膜(67A)を、例えばCF_(4)等のガスを用いたドライエッチング法によってパターニングすることにより、イオン伝導層66およびイオン貯蔵層67を形成する。
【0067】
次に、図18Aに示したように、イオン貯蔵層67から対向基板40にかけて、例えばスパッタ法により、例えばITO膜63Aを50nm以上200nm以下の厚みに成膜したのち、このITO膜63A上にブラックマトリックス用のレジストRを塗布する。続いて、図18Bに示したように、レジストRを露光および現像を行い所定の形状にパターニングする。最後に、図18Cに示したように、ITO膜63Aを、例えばCF_(4)等のガスを用いたドライエッチングを行い第1電極63を形成することにより、表示モード切替層60が完成する。なお、レジストRは第1電極63上にそのまま残すことにより遮光膜64として用いることができる。この遮光膜64は、上記実施の形態と同様に発光層23Cから射出される光の反射を抑えると共に、第2電極61が透明な状態、即ち表示装置1Cがディスプレイモードのときに黒色を表現するものである。なお、表2は本実施の形態における表示装置1Cの表示モード切替層60および発光素子20R,20G,20Bをそれぞれオン状態およびオフ状態とした際の表示モードをまとめたものである。
【0068】
【表2】

【0069】
以上のように本実施の形態では、表示モード切替層60の第2電極61を金属光沢から透明に可逆的に変化する材料を用いて形成するようにしたので、表示装置1Cを必要に応じてミラーモードとディスプレイモードとに切り替えることが可能となる。
【0070】
<4.変形例>
(変形例1)
図19は、本開示の第1?第3の実施の形態の変形例に係る表示装置1Dの断面構成を表したものである。この表示装置1Dは、上記第1の実施の形態等と同様に表示層20と対向基板40との間に表示モード切替層70が設けられている。但し、本変形例では、各副画素2R,2G、2Bに設けられた発光素子は白色光を発する白色発光素子20Wであり、表示モード切替層70に設けられている開口Pにはそれぞれ対応するカラーフィルタ75(75R,75G,75B)が配設されている。
【0071】
発光素子20Wは、上記発光素子20R,20G,20Bと同様の積層構造によって形成できるがこれに限らない。例えば、所謂スタック構造、具体的には、上記積層構造上に電荷発生層(図示せず)を形成し、この電荷発生層上に、正孔注入層23A’、正孔輸送層23B’、発光層23C’、電子輸送層23D’および電子注入層23E’を積層した構成としてもよい。なお、電荷発生層上の正孔注入層23A’,正孔輸送層23B’,電子輸送層23D’および電子注入層23E’は電荷発生層の下層に設けられた各層と同じ材料を用いてもよいし、異なる材料によって形成してもよい。また、発光層23C,23C’は必ずしも単層ではなく、異なる色光を発する発光層を2層以上積層させてもよい。具体的には、例えば発光層23Cを青色発光層、発光層23C’を黄色発光層としてもよい。あるいは発光層23Cを青色発光層、発光層23C’を赤色発光層と緑色発光層との2層構造としてもよい。
【0072】
表示モード切替層70は、上記第1?第3の実施の形態と同様にEC素子30A,50A,60Aを用いて構成することができる。但し、上記実施の形態において用いたEC材料のように酸化還元反応によって光物性が変化する材料は水分によってその性能が低下する。このため、表示モード切替層70とカラーフィルタ75R,75G,75Bとの間には、それぞれ保護膜76を設けることが好ましい。
【0073】
保護膜76の材料としては、例えばSiN_(x),SiO_(2)等が挙げられる。この保護膜は、例えば、スパッタやCVD等を用いて形成される。具体的には、例えば図5Cに示したように第1電極33を形成し、レジストRを除去したのち、再度表示モード切替層30(ここでは70)の間にレジストを塗布する。この後、露光および現像を行い、所定の形状にパターニングする。
【0074】
本変形例における表示装置1Dでは、発光素子として副各画素2R,2G,2Bに白色発光素子20Wを形成し、表示モード切替層70の開口Pに各画素2R,2G,2Bに対応するカラーフィルタ75R,75G,75Bを配設するようにした。これにより、上記第1の実施の形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0075】
まず、各副画素2R,2G,2Bにおいて共通の構成を有する発光素子(白色発光素子20W)を設けるようにしたので、各画素2R,2G,2Bに対応する発光層の塗り分け工程が省略される。これにより、製造工程を簡略化することができると共に、表示パネルを大型化することが可能となる。また、白色光を用いることにより高い輝度を有する表示装置を提供することができる。
【0076】
更に、カラーフィルタ75R,75G,75Bを配設するようにしたので、高精細な表示装置1Dを構成することが可能となる。
【0077】
(変形例2)
図20は、本開示の第1?第3の実施の形態および変形例1,2に係る表示装置1Eの断面構成を表したものである。この表示装置1Eは表示層80に液晶層84を含む液晶素子を用いた点が上記第1?第3の実施の形態および変形例1,2とは異なる。なお、本変形例における表示モード切替層70は表示層80と対向基板40との間に配設され、上記変形例1と同様に開口Pに各色のカラーフィルタ75R,75G,75Bのいずれかが設けられている。
【0078】
図21は、表示装置1Eの全体構成を表したものである。この表示装置1Eは、例えば液晶表示パネル210、バックライト265、バックライト駆動部263およびタイミング制御部264等を備え、外部から入力される映像信号Dinに基づいて映像表示を行うものである。液晶表示パネル210には、例えば、有効画素領域としての表示領域210Aと、表示領域210Aを表示駆動するための周辺回路部(信号線駆動回路261および走査線駆動回路262)が形成されている。表示領域210Aには、上記表示装置1Aと同様に例えばマトリックス状に複数の画素2(例えば2R(赤),2G(緑),2B(青)の副画素)が配置されている。信号線駆動回路261および走査線駆動回路262等を含む周辺回路部は、後述の駆動基板10の表示領域210Aの周辺部(周辺領域210B)に形成されている。
【0079】
タイミング制御部264は、信号線駆動回路261、走査線駆動回路262およびバックライト駆動部263の駆動タイミングを制御すると共に、映像信号Dinを信号線駆動回路261へ供給するものである。走査線駆動回路262は、タイミング制御部264によるタイミング制御に従って、各画素を線順次駆動するものである。信号線駆動回路61は、各画素へそれぞれ、タイミング制御部264から供給される映像信号Dinに基づく映像電圧を供給するものである。具体的には、映像信号Dinに対してD/A(デジタル/アナログ)変換を施すことにより、アナログ信号である映像信号を生成し、各画素へ出力する。
【0080】
バックライト265は、液晶表示パネル210へ向けて光を照射する光源であり、例えばLED(Light Emitting Diode)やCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)等を複数含むものである。このバックライト265は、バックライト駆動部263によって駆動され、点灯状態および消灯状態が制御されるようになっている。
【0081】
表示装置1Eは、対向配置された駆動基板10と対向基板40との間に、液晶層84が封止されたものである。駆動基板10の表示領域210Aには、複数の画素電極81が例えば2次元アレイ状に設けられている。対向基板40の画素電極81との対向面には、対向電極86が設けられている。駆動基板10の液晶層84側の面には、配向膜83が形成されており、対向基板40の液晶層84側の面(対向電極86の表面)には、配向膜85が形成されている。
【0082】
なお、図示はしないが、画素電極81の駆動基板10側および対向電極86の対向基板40側にはそれぞれ、偏光板が形成されている。また、液晶表示パネル210の周縁部にはシール層が形成されており、このシール層により液晶層84が駆動基板10および対向基板40間に封止されている。このように偏光板が液晶パネルの中に配置されている場合には、本変形例のような表示モード切替層70の構成、即ち表示モードの切り替えを行う例えばEC素子70Aとカラーフィルタ75とを同層に配設された構成をとることができる。
【0083】
駆動基板10は、例えばガラス基板よりなり、例えば矩形状の面形状(表示画面に平行な面形状)を有する。この駆動基板10には、表示領域210Aおよび、その周辺領域210Bに、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)、保持容量素子(図示せず)および配線等が配設されている。表示領域210Aでは、各画素電極81が上記TFTに接続されており、このTFTを介して画素電極81に映像信号Dinに対応する映像電圧が供給されるようになっている。
【0084】
画素電極81は、画素毎に設けられ、例えば、透明導電材料よりなる。透明導電材料としては、例えばITO、IZO、ZnO、あるいはIGZO(インジウム,ガリウム,亜鉛含有酸化物)と呼ばれる酸化物半導体が用いられる。
【0085】
対向基板40は、例えばガラス基板よりなる。この対向基板40には、開口Pにカラーフィルタ75R,75G,75Bを有する表示モード切替層70が設けられ、これらが例えばオーバーコート膜によって覆われている。このオーバーコート膜上に対向電極86が設けられている。
【0086】
対向電極86は、例えば各画素2(2R,2G,2B)に共通の電極となっており、画素電極81と共に液晶層84へ映像電圧を供給するものである。この対向電極86は、上記画素電極81と同様、例えば上述したような透明導電材料によって構成されている。
【0087】
液晶層84は、画素電極81および対向電極86を通じて供給される電圧に応じて、そこを透過する光の透過率を制御する機能を有する。この液晶層84には、例えばVA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モード、ECB(Electrically controlled birefringence)モード、FFS(Fringe Field Switching)モードあるいはIPS(In Plane Switching)モード等により表示駆動される液晶を含むものである。このように液晶層84の液晶材料は特に限定されないが、後述の配向膜83,85のように無機配向膜を用いて配向制御が行われる場合に特に有効である。
【0088】
配向膜83,85は、液晶層84の配向制御を行うためのものであり、例えばシリコン酸化物(SiO_(2))等の無機配向膜よりなる。配向膜83,85の厚みは、例えば120nm?360nm程度である。これらの配向膜83,85はそれぞれ、例えば蒸着法により成膜されるものである。
【0089】
保護膜82は、画素電極81の腐食を抑制するために形成されるものである。この保護膜82は、例えばシリコン酸化膜(SiO_(2))あるいはシリコン窒化膜(SiN)等の、配向膜83よりも化学的に安定な無機膜であり、厚みは例えば30nm?70nmである。この保護膜82は、少なくとも表示領域210Aを覆って形成されており、例えばCVD(Chemical Vapor Depositiオン:化学気相成長)法あるいはスパッタ法等の、蒸着法よりも化学的に安定な手法により成膜されたものである。ここで、配向膜83は、上記のように蒸着法により成膜された無機膜であることから、膜中に欠陥(未結合手、空孔)等を生じ易く、またSiとOの組成比も一定ではない場合が多い。このため、配向膜83は化学的に活性となり易く、配向膜83と画素電極81とが接触する場合には、配向膜83(例えばSiO_(2))の還元等によって画素電極81(例えばITO)が腐食してしまう。このような配向膜83と画素電極81との間に、配向膜83よりも化学的な安定な保護膜82が形成されることにより、上記のような画素電極81の腐食が抑制される。
【0090】
以上のように本開示の表示装置1Eの表示デバイスは、上記発光素子20R,20G,20Gとして説明した有機EL素子以外に液晶素子を用いることができる。なお、本変形例では表示モード切替層として上記変形例1において説明した表示モード切替層70を用いたが、これに限らない。例えば、表示モード切替層70を構成するEC素子は、上記第1?第3の実施の形態において説明したEC素子30A(鏡表示と黒表示),EC素子50A(透過表示と黒表示),EC素子60A(鏡表示と透過表示)を適用することができる。
【0091】
また、本変形例の表示装置1Eの光源としてバックライト265を用いたが、例えば表示装置1Eを透明ディスプレイとして構成する場合には、エッジライトとしてもよい。あるいは、省略しても構わない。
【0092】
<5.第4の実施の形態>
図22は、本開示の第4の実施の形態に係る表示装置1Fの断面構成を表したものである。この表示装置1Fは、上記変形例2と同様に表示層80は液晶層84を含む液晶素子によって構成されている。本実施の形態では、表示層80上にはカラーフィルタ層87(87R,87G,87B)が設けられており、このカラーフィルタ層87を介して表示層80と対向基板40との間に表示モード切替層90が配設されている。
【0093】
表示モード切替層90は、例えば対向基板40側に設けられており、この対向基板40の全面に一様に形成されている。この表示モード切替層90は、上述した酸化還元方式のEC素子(30A,50A,60A)の他に、電気泳動法式のEC素子(100A)を用いることができる。本実施の形態では、表示モード切替層90がこの電気泳動法式のEC素子100Aによって構成されている場合を例に挙げて説明する。
【0094】
図23Aおよび図23Bは、表示モード切替層90の電圧印加前(図23A)および電圧印加後(図23B)の変化を模式的に表したものである。EC層92は電気泳動層であり、例えばAgおよびCuを電離させたゲル状溶液(例えば、ジメチルスルホキシドにポリビニルブチラールを溶解したもの)を第1電極93と第2電極91との間に充填することにより形成される。このような構成の表示モード切替層90では、例えば第2電極91に負の電圧(例えば1.5?4V程度)を印加することによって、図23Bに示したように第2電極91側に、例えばAgイオンがAgとして析出して金属膜92Aが形成される。これにより、表示モードがミラーモードに切り替わる。これに対して、第2電極91側に正の電圧(例えば0.5?1V程度)を印加することによって金属膜92Aを形成していたAgがイオン化して表示モードが切り替わる。このとき、第1電極93をITO等の光透過性を有する導電材料を用いて形成している場合には透明ディスプレイモードとなる。また、上記カラーフィルタ層87の各カラーフィルタ87R,87G,87Bの間にそれぞれブラックマトリックス層を設けた場合には、通常のディスプレイモードとなる。
【0095】
なお、本実施の形態では表示デバイスとして液晶素子を用いたが、上記第1?第3の実施の形態および変形例1,2の表示装置1A?1Eで用いた有機EL素子(発光素子20R,20G,20G)を用いてもよい。あるいは、無機EL素子,半導体レーザ,LED(Light Emitting Diode)等により構成してもよい。
【0096】
<6.変形例>
(変形例3)
図24は、本開示の第4の実施の形態に係る表示装置1Fを構成する表示モード切替層90の断面構成の他の例を表したもの(表示モード切替層90A)である。この表示モード切替層90Aは第2電極91を各画素2を構成する副画素2R,2G,2Bごとに分割、即ち格子状マトリックスにパターン形成した点が上記第4の実施の形態とは異なる。このように第2電極91を副画素2R,2G,2Bごとに形成することにより、表示装置1Fの表示領域210Aを各副画素2R,2G,2Bごとに表示モードの切り替えが可能となる。
【0097】
なお、このような表示領域の部分的な表示モードの切り替えは上記第4の実施の形態および変形例3に示した表示装置1Fだけでなく、上記第1?第3の実施の形態および変形例1?3における表示装置1A?1Eにも適用できる。
【0098】
図25は、表示装置1A?1Eの各駆動回路120,130および各画素2R,2G,2Bが設けられた駆動基板10および表示モード切替層30(,50,60,70)の全体構成を模式的に表したものである。表示モード切替層30(,50,60,70)は、列方向および行方向にそれぞれ複数の制御線150Aおよび制御線160Aが配設されている。制御線150Aと制御線160Aとは赤色画素2R,緑色画素2G,青色画素2Bのいずれか1つ、あるいは表示領域110A内の所定の位置において交差している。各制御線150Aおよび制御線160Aはそれぞれ切替制御回路150,160に接続されている。切替制御回路150,160には、駆動基板10上の信号線駆動回路120および走査線駆動回路130に供給される画像信号と共に、タイミング制御部164から表示モード切替層30(,50,60,70)の表示モードの切り替えを制御する制御信号が供給されるようになっている。これにより、例えば図25に示したように、表示モード切替層30(,50,60,70)の所定の領域をミラーモードとディスプレイモード(あるいは、ディスプレイモードと透明ディスプレイモード、ミラーモードと透明ディスプレイモード)とに分割表示することができる。
【0099】
(変形例4)
図26は、本開示の第1の実施の形態に係る表示装置1Aを構成する表示モード切替層30の平面構成の他の例を表したもの(表示モード切替層30A)である。この表示モード切替層30Aは、例えば第1電極33が列方向(Y軸方向)に、第2電極が行方向(X軸方向)延在するように設けられている点が上記第1の実施の形態とは異なる。このように、第1電極33および第2電極31を同じパターン(例えば格子状)に形成するのではなく、第1電極33および第2電極31が互いに交差するように配設することにより、表示モードの切り替えを第1電極33と第2電極31との交点で行うことが可能となる。即ち、上記変形例3と同様に、表示装置1Aの表示領域110Aを各副画素2R,2G,2Bごとに表示モードを切り替えることが可能となる。
【0100】
なお、図26のように第1電極33および第2電極31を単純に直線形状にパターニングした場合には交点の面積が小さく、鏡(あるいはBM)としての十分な特性を得ることは難しい。このため、例えば図27Aおよび図27Bに示したように、Y軸方向に延在する第1電極33の一部にX軸方向に突出する凸部33Aを、X軸方向に延在する第2電極31の一部にY軸方向に突出する凸部31Aをそれぞれ形成してもよい。このとき各凸部33A,31Aは、第1電極33および第2電極31の交点に形成することが好ましい。これにより、表示モードを切り替えられる面積を大きくすることができ、鏡(あるいはBM)としての十分な特性を得ることが可能となる。
【0101】
なお、このような表示領域の部分的な表示モードの切り替えは上記第1の実施の形態に示した表示装置1Aだけでなく、上記第2?第4の実施の形態および変形例1,2における表示装置1B?1Eにも適用できる。
【0102】
<7.適用例>
上記第1?第4の実施の形態および変形例1?4において説明した表示装置1A?1Fは、例えば次に示したような、画像(あるいは映像)表示を行う、あらゆる分野の電子機器に搭載することもできる。
【0103】
(適用例1)
図28A、図28Bは、スマートフォンの外観を表している。このスマートフォンは、例えば、表示部310(表示装置1A)および非表示部(筐体)320と、操作部330とを備えている。操作部330は、非表示部320の前面に設けられていてもよいし、上面に設けられていてもよい。
【0104】
(適用例2)
図29はテレビジョン装置の外観構成を表している。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル410およびフィルターガラス420を含む映像表示画面部400(表示装置1A)を備えている。
【0105】
(適用例3)
図30A、30Bは、デジタルスチルカメラの外観構成を表しており、それぞれ前面および後面を示している。このデジタルスチルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部510と、表示部520(表示装置1A)と、メニュースイッチ530と、シャッターボタン540とを備えている。
【0106】
(適用例4)
図31は、ノート型のパーソナルコンピュータの外観構成を表している。このパーソナルコンピュータは、例えば、本体610と、文字等の入力操作用のキーボード620と、画像を表示する表示部630(表示装置1A)とを備えている。
【0107】
(適用例5)
図32は、ビデオカメラの外観構成を表している。このビデオカメラは、例えば、本体部710と、その本体部710の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ520と、撮影時のスタート/ストップスイッチ730と、表示部740(表示装置1A)とを備えている。
【0108】
(適用例6)
図33A,33Bは、携帯電話機の外観構成を表している。図33Aは、それぞれ携帯電話機を閉じた状態の正面、左側面、右側面、上面および下面を示している。図33Bは、それぞれ携帯電話機を開いた状態の正面および側面を示している。この携帯電話機は、例えば、上側筐体810と下側筐体820とが連結部(ヒンジ部)830により連結されたものであり、ディスプレイ840(表示装置1A?1H)と、サブディスプレイ850と、ピクチャーライト860と、カメラ870とを備えている。
【0109】
(適用例7)
図34は姿鏡ディスプレイの外観構成を表している。この姿鏡ディスプレイは、例えば鏡部900と、その鏡部900の周辺に配置された被写体の位置を把握するためのカメラ910と、姿鏡ディスプレイの利用環境を判定して表示画像の輝度等を調整する照度センサ920とを備えている。このような姿鏡ディスプレイでは、鏡部900をミラーモードとディスプレイモードを組み合わせることで、例えば鏡部900に映っている人物に衣服等の画像を重ねて表示することができる。
【0110】
なお、表示する画像位置はカメラ画像の位置からを決定される。このとき、映っている人物に自動的にフォーカスを合わせる場合には画枠に変化が生じるが、予めフォーカスのステップ値に対して鏡部900の画枠位置を記憶させることにより解消される。また、鏡像に画像を重ねる場合には、両目視差の関係から両方に焦点を合わせることは難しい。そのため、表示画像には遠近法や運動視差等を利用するが、オートフォーカスのステップ値によって対象物までの距離を把握し、どの程度の調整を行うかを割り出すことができるようになる。このように、対象物との距離を測るために超音センサ等を配置してもよい。
【0111】
また、例えば鏡部900の外周部を自動的に全白表示とすることにより照明の代わりとすることができる。これにより、暗所でも鏡として使用することができる。
【0112】
(適用例8)
図35A,35Bは、モバイルディスプレイの外観を表している。このモバイルディスプレイは、例えば表示部1010(表示装置1B)および非表示部(筐体)1020と、操作部1030とを備えている。このモバイルディスプレイでは、上記第2の実施の形態の表示装置1Bを用いることにより、透明ディスプレイモード(図35A)およびディスプレイモード(図35B)を切り替えることができる。また、表示部1010の背景を透過しつつ、画像や文字情報を表示することもできる。
【0113】
以上、第1?第4の実施の形態および変形例1?4を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記第1?第3の実施の形態および変形例1ではトップエミッション型の表示装置を例に説明したが、これに限らず、本開示はボトムエミッション型の表示装置にも適用可能である。
【0114】
また、上記実施の形態等において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件等は限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。更に、上記実施の形態等において説明した各層は必ずしも全て設ける必要はなく、適宜省略してもよい。また、上記実施の形態等において説明した層以外の層を追加しても構わない。
【0115】
更にまた、上記実施の形態等では画素を構成する副画素を赤画素、緑画素、青画素の3種類の場合を例に説明したが、これら3種の副画素に加えて、白画素、あるいは黄画素を追加しても構わない。
【0116】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、前記表示層により形成される表示画像と独立な、前記第1基板または前記第2基板の外側から入射する光の反射率または透過率の調整機能を有する
表示装置。
(2)
前記表示モード制御層は、前記第1電極および第2電極を有する、前記(1)に記載の表示装置。
(3)
前記表示モード制御層は、電圧の印加によって制御される、前記(1)または(2)に記載の表示装置。
(4)
前記表示モード制御層は、1または複数の画素を含む画素領域ごとに制御される、前記(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の表示装置。
(5)
前記表示モード制御層は、表示面側から入射する光の反射率調整機能を有する、前記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の表示装置。
(6)
前記表示モード制御層は、背景から入射する光の透過率調整機能を有する、前記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の表示装置。
(7)
前記表示モード制御層は、黒と鏡、黒と透過、鏡と透過のいずれかの表示モードに切り替えられる、前記(1)ないし(6)のいずれか1つに記載の表示装置。
(8)
前記第1電極は、それぞれが第1の方向に延在する複数の第1サブ電極を有する、前記(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の表示装置。
(9)
前記表示モード制御層は、前記第1電極および第2電極を有すると共に、前記第2電極は、それぞれが第2の方向に延在する複数の第2サブ電極を有し、前記複数の第1サブ電極および前記複数の第2サブ電極は交点を有する、前記(8)に記載の表示装置。
(10)
前記表示モード制御層はエレクトロクロミック素子によって構成されている、前記(1)ないし(9)のいずれか1つに記載の表示装置。
(11)
前記表示層は液晶層によって構成されている、前記(1)ないし(10)のいずれか1つに記載の表示装置。
(12)
前記表示層は発光層を含む有機層によって構成されている、前記(1)ないし(10)のいずれか1つに記載の表示装置。
(13)
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、同一基板上に形成される第1電極および第2電極を有し、
前記第1電極および前記第2電極のうちの一方または両方が、1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示面側から入射する光の反射率調整機能を有する
表示装置。
(14)
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、背景から入射する光の透過率調整機能を有する
表示装置。
(15)
表示装置を備え、
前記表示装置は、
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、前記表示層により形成される表示画像と独立な、前記第1基板または前記第2基板の外側から入射する光の反射率または透過率の調整機能を有する
電子機器。
(16)
表示装置を備え、
前記表示装置は、
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、同一基板上に形成される第1電極および第2電極を有し、
前記第1電極および前記第2電極のうちの一方または両方が、1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示面側から入射する光の反射率調整機能を有する
電子機器。
(17)
表示装置を備え、
前記表示装置は、
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、背景から入射する光の透過率調整機能を有する
電子機器。
【符号の説明】
【0117】
1A?1F…表示装置、2…画素、20R,20G,20B…発光素子、10…駆動基板、20,80…表示層、21…下部電極、22…隔壁、23…有機層、24…上部電極、25…平坦化層、30,50,60,70,90…表示モード切替層。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、前記表示層により形成される表示画像と独立な、前記第1基板または前記第2基板の外側から入射する光の透過率の調整機能を有する
表示装置。
【請求項2】
前記表示モード制御層は、黒と透過、鏡と透過のいずれかの表示モードに切り替えられる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、前記表示層により形成される表示画像と独立な、前記第1基板または前記第2基板の外側から入射する光の反射率の調整機能を有し、
前記表示モード制御層により形成される画像と、前記表示画像とは互いに独立している
表示装置。
【請求項4】
前記表示モード制御層は、黒と鏡、鏡と透過のいずれかの表示モードに切り替えられる、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示モード制御層は、前記第1電極および第2電極を有する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示モード制御層は、電圧の印加によって制御される、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示モード制御層は、1または複数の画素を含む画素領域ごとに制御される、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、前記表示層により形成される表示画像と独立な、前記第1基板または前記第2基板の外側から入射する光の反射率または透過率の調整機能を有し、
前記第1電極は、第1の方向に延在する第1サブ電極を複数有する
表示装置。
【請求項9】
前記表示モード制御層は、前記第1電極および第2電極を有すると共に、前記第2電極は、第2の方向に延在する第2サブ電極を複数有し、前記複数の第1サブ電極および前記複数の第2サブ電極は交点を有する、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、前記表示層により形成される表示画像と独立な、前記第1基板または前記第2基板の外側から入射する光の反射率または透過率の調整機能を有し、
前記表示モード制御層はエレクトロクロミック素子によって構成されている
表示装置。
【請求項11】
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、前記表示層により形成される表示画像と独立な、前記第1基板または前記第2基板の外側から入射する光の反射率または透過率の調整機能を有し、
前記表示層は液晶層によって構成されている
表示装置。
【請求項12】
前記表示層は発光層を含む有機層によって構成されている、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、同一基板上に形成される第1電極および第2電極を有し、
前記第1電極および前記第2電極のうちの一方または両方が、1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示面側から入射する光の反射率調整機能を有し、
前記表示モード制御層により形成される画像と、前記表示層により形成される表示画像とは互いに独立している
表示装置。
【請求項14】
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、背景から入射する光の透過率調整機能を有する
表示装置。
【請求項15】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、前記表示層により形成される表示画像と独立な、前記第1基板または前記第2基板の外側から入射する光の透過率の調整機能を有する
電子機器。
【請求項16】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、前記表示層により形成される表示画像と独立な、前記第1基板または前記第2基板の外側から入射する光の反射率の調整機能を有し、
前記表示モード制御層により形成される画像と、前記表示画像とは互いに独立している
電子機器。
【請求項17】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、同一基板上に形成される第1電極および第2電極を有し、
前記第1電極および前記第2電極のうちの一方または両方が、1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、表示面側から入射する光の反射率調整機能を有し、
前記表示モード制御層により形成される画像と、前記表示層により形成される表示画像とは互いに独立している
電子機器。
【請求項18】
表示装置を備え、
前記表示装置は、
対向配置された一対の第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた表示層と、
前記表示層および前記第2基板との間に配設された表示モード制御層とを備え、
前記表示モード制御層は、第1電極を有すると共に、前記第1電極は1または複数の画素に対応する領域に開口を有し、かつ、背景から入射する光の透過率調整機能を有する
電子機器。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-10-16 
結審通知日 2019-10-21 
審決日 2019-11-05 
出願番号 特願2017-137694(P2017-137694)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (G09F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村川 雄一  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 梶田 真也
濱野 隆
登録日 2018-08-24 
登録番号 特許第6387555号(P6387555)
発明の名称 表示装置および電子機器  
代理人 特許業務法人つばさ国際特許事務所  
代理人 特許業務法人つばさ国際特許事務所  

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