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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 E04F
管理番号 1357158
審判番号 不服2019-2638  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-27 
確定日 2019-12-03 
事件の表示 特願2014-208280「浴室」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月16日出願公開、特開2016- 79557、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年10月9日の出願であって、平成30年4月25日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年11月21日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成31年2月27日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成30年11月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

<原査定の概要>
本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献1、2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2002-138623号公報
2.特開2008-006339号公報


第3 本願発明
本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成26年10月9日の出願の願書に添付された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
壁部と、前記壁部の上縁部に接続される天井部と、を備え、
前記天井部は、前記壁部の上縁部に沿って設けられる照明装置を有し、
前記壁部の表面には、前記照明装置から離れる程、色の明度が低くなるグラデーション部が設けられることを特徴とする浴室。」

なお、本願発明2-4は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであり、本願発明1を減縮した発明である。


第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特にユニットバス等の天井装置であって、天井載置枠上に照明器具を装着して下方に明かりを照射するための天井装置に関する。」

(2)「【0019】Bはこの天井載置枠Aを壁部材に固着するとともにこの天井載置枠A内に一枚物の天井カバー材本体4を下方から上方に挿入して載置する天井カバー材である。天井カバー材Bは図3及び図4に示したように、略L字状の垂直片5及び水平片6からなるカバー部材7に外接し、このカバー部材7の垂直片5の内方に向かって固着された釘やビス等を所定位置に位置決めして固着した棒状の摺動部8を設け、このカバー部材7の摺動部8に天井カバー材本体4の垂直部9に設けられている開口孔10を遊嵌させ、天井カバー材本体4が長手方向に沿った水平方向に摺動可能となっている。」

(3)「【0021】又、天井カバー材本体4は透明又は半透明のアクリル樹脂等の樹脂系、紙等の有機繊維質系、アルミニウム等の薄板の金属板等が用いられ、天井載置枠Aの上方に箱状の照明器具カバー12を固着し、この照明器具カバー12内に照明器具13を設ければこの透明又は半透明の天井カバー材本体4を介し、下方に照明光を照射することができる。したがって、浴室等の天井として有効な照射をするのである。」

(4)「【0022】図5は図1のZ-Z断面であり、図6は図1のY-Y断面であり、図7は浴室内を示す概略の上方から見た平面図であって、以下に天井載置枠Aと天井カバー材Bとの取付け状態について説明する。」

(5)「【0023】矩形状をした浴室等の四周に壁パネル14a,14b,14c,14dが垂直状態に配設され、この壁パネル14aが入口となる。壁パネル14b,14dの上端に外方に水平部15が向くようにL型枠16a,16b,16c,16dがビスや釘等により固着さる。さらに、このL型枠16a,16b,16c,16dの内面側に三方枠に形成されている天井載置枠Aの外側面をビス17で固着される。又、壁パネル14のない部分に天井材18を連接するには天井載置枠Aの外方にL型金具等の吊り金具19を用いてシステム的に天井面を構成する。この吊り金具19はビスにより天井載置枠Aの天井載置材3に固着される。」

(6)「【0026】そして、この三方枠に形成されている天井載置枠A内に天井カバー材Bの長手方向を傾斜させながら下方から上方に挿入し、天井載置枠Aの水平片2に天井カバー材本体4の側端縁が載置される。このとき、天井載置枠Aの水平片2に天井カバー材本体4の側端縁が三方に載置されているが、下面から見て隙間が発生しないようにカバー部材7の摺動部8を介して天井カバー材本体4を長手方向に沿った水平方向に摺動させながら位置調整を行うものである。」

(7)上記(4)ないし(6)に摘記した事項を踏まえると、図1及び図1のZ-Z断面である図5からは、天井カバー材本体4が、壁パネル14aの上縁部に沿って設けられた点が看て取れる。

(8)上記(1)ないし(7)を総合すると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「矩形状をした浴室の四周に壁パネル14a,14b,14c,14dが配設され、壁パネル14b,14dの上端にL型枠16a,16b,16c,16dが固着され、L型枠16a,16b,16c,16dの内面側に天井載置枠Aの外側面が固着され、天井載置枠Aの水平片2に天井カバー材本体4の側端縁が載置され、天井カバー材本体4が、壁パネル14aの上縁部に沿って設けられ、天井載置枠Aの上方に照明器具カバー12が固着され、この照明器具カバー12内に照明器具13が設けられ、天井カバー材本体4を介し、下方に照明光を照射する浴室。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0011】
図1には浴室の壁材等に用いる建築用パネル1の化粧塗装ラインのフローコーター塗装ラインを示す。フローコーター塗装ラインは、建築用パネル1を搬送するコンベア装置8が設置されると共に、建築用パネル1の搬送路上に塗料3aを膜状に流下させるフローコーター塗装部2が設置される。コンベア装置8は搬送スピード制御部9が接続されており、建築用パネル1の搬送スピードを制御可能にしてある。フローコーター塗装部2は平面視で該建築用パネル1の搬送路の搬送方向に垂直な膜状に塗料3aを流下させて、搬送路に搬送された建築用パネル1に塗料3aを垂らすようにして供給、塗布できるようにされており、そしてこのフローコーター塗装部2が供給(流下)する塗料3aは単位時間当たりで一定量としてある。」

(2)「【0012】
このフローコーター塗装ラインで行うフローコーター塗装によって、建築用パネル1の化粧塗装層4にグラデーション模様を現出させるのであるが、これは、コンベア装置8の出力スピードを搬送スピード制御部9によって制御し、つまり、フローコーター塗装部2を通過する際のパネル基材1aの搬送スピードを連続的に変化させることで、フローコーター塗装部2によるパネル基材1aの単位面積当たりの塗料3aの塗布量を連続的に変化させ、これによってフローコーター塗装層3の塗装厚みを連続的に変化させて形成し、上記フローコーター塗装層3の連続した塗装厚みの変化に応じたグラデーション模様を化粧塗装層4に現出させるようにしている。図1では、フローコーター塗装部2を通過する際のパネル基材1aの搬送スピードを連続的に上げた場合を示しており、これによると、パネル基材1aの表面には搬送先端側ほど厚み寸法の厚いフローコーター塗装層3が形成されるのである。無論、フローコーター塗装部2を通過する際のパネル基材1aの搬送スピードを連続的に下げて、パネル基材1aの表面には搬送先端側ほど厚み寸法の薄いフローコーター塗装層3が形成させてもよく、また、フローコーター塗装部2を通過する際のパネル基材1aの搬送スピードを連続的に上げ下げして、搬送方向で連続的に厚さが変化するようなフローコーター塗装層3を形成させてもよいのは、言うまでもない。」

(3)「【0015】
また、図3には建築用パネル1の化粧塗装の他例を示す。本例の建築用パネル1の化粧塗装は、まずパネル基材1aの上に下地塗装を施し、次いでこの下地塗装層5の上に上記のような厚みが連続的に変化するフローコーター塗装層3を得るためのフローコーター塗装を施すことで、行われている。ここで、本例では、フローコーター塗装の塗料3aに比較的隠蔽性の低い塗料を用いている。したがって、フローコーター塗装層3の塗装厚みが厚い部位では隠蔽性が高くなると共に、フローコーター塗装層3の塗装厚みが薄い部位では隠蔽性が低く、フローコーター塗装層3の塗装厚みに応じた下地塗装層5の透け具合によってグラデーション模様を現出できたものである。つまり、下地塗装層5は着色層6となり、その塗料としてはアクリルウレタン塗料が好適に用いられる。なお、本例のフローコーター塗装層3はいわゆる外皮層7(オーバーコート層)であるため、上記比較的隠蔽性の低い塗料という条件も鑑みて、UV硬化型アクリルクリア塗料もしくはUV硬化型アクリルカラー塗料を用いると、建築パネルの化粧塗装に良好な耐候性を備えることができて好ましい。」

(4)上記(3)に摘記した段落【0015】の記載を踏まえると、図3からは、建築用パネル1のグラデーション模様が、建築用パネル1の一方の縁から離れるほど色の明度が低くなる点が看て取れる。

(5)したがって、上記引用文献2には、「浴室の壁材等に用いる建築用パネル1において、建築用パネル1の化粧塗装層4に現出させるグラデーション模様が、建築用パネル1の一方の縁から離れる程、色の明度が低くなる」という技術的事項が記載されていると認められる。


第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「矩形状をした浴室の四周」に「配設され」た「壁パネル14a,14b,14c,14d」は、本願発明1における「壁部」に相当する。

イ 引用発明における、「照明器具カバー12」「内」に「設けられ」る「照明器具13」は、「天井カバー材本体4」を「介し」て、「下方に照明光を照射する」ものであるから、前記「照明器具カバー12」、前記「照明器具13」及び前記「天井カバー材本体4」とは、あわせて、本願発明1の「照明装置」に相当する。

ウ 引用発明における、「壁パネル14b,14d」(壁部)の「上端」に「固着され」た「L型枠16a,16b,16c,16d」と、「L型枠16a,16b,16c,16dの内面側」に「外側面が固着され」た「天井載置枠A」と、上記イで説明した、「照明器具カバー12」、「照明器具13」及び「天井カバー材本体4」(あわせて「照明装置」)とは、あわせて、本願発明1における、「壁部」の「上縁部」に「接続」される「天井部」に相当し、当該「天井部」が「照明装置を有し」た点で、引用発明と本願発明1は共通する。

エ 引用発明は、天井カバー材本体4(照明装置)が、壁パネル14a(壁部)の上縁部に沿って設けられたものであるから、本願発明1とは、「照明装置」が「壁部の上縁部位沿って設けられる」点で共通する。

オ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「壁部と、前記壁部の上縁部に接続される天井部と、を備え、
前記天井部は、前記壁部の上縁部に沿って設けられる照明装置を有した浴室。」

(相違点)
本願発明1は、「前記壁部の表面」に、「(壁部の上縁部に沿って設けられる)照明装置から離れる程、色の明度が低くなるグラデーション部が設けられ」た構成を備えているが、引用発明は、当該構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
上記(1)オに挙げた相違点について検討する。
上記「第4 引用文献、引用発明等」の「2.引用文献2について」に記載したとおり、引用文献2には、「浴室の壁材等に用いる建築用パネル1において、建築用パネル1の化粧塗装層4に現出させるグラデーション模様が、建築用パネル1の一方の縁から離れる程、色の明度が低くなる」という技術的事項が記載されている。ここで、引用文献2に記載された技術的事項における、「浴室の壁材等に用いる建築用パネル1」、「グラデーション模様」を「現出させ」る「化粧塗装層4」は、それぞれ、本願発明1における、「浴室」の「壁部」、「壁部の表面」の「グラデーション部」に相当し、さらに、引用文献2に記載された技術的事項と本願発明1とは、「化粧塗装層4」(グラデーション部)のグラデーションが、「色の明度」についてのものである点で共通する。
しかし、引用文献2に記載された技術事項における色の明度は、上記したように「建築用パネル1の一方の縁から離れる程」低くなるに過ぎず、本願発明1の色の明度のように、「照明装置」の位置や向きを考慮して、「(壁部の上縁部に沿って設けられる)照明装置から離れる程」低くなるようにしたものではない。
そして、本願発明1は、上記した相違点に係る構成を備えることにより、「グラデーション部により、上方から降り注がれる自然光を浴びているような感覚を浴室内にいながら得ることができる」(段落【0008】)という、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から当業者が予測し得ない効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

なお、原査定では、出願人の主張に対する説示において「奏される効果も予測の範囲内である。」との判断を示しているが、本願発明1が、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から当業者が予測し得ない効果を奏するものであることは上記に示したとおりである。

2.本願発明2ないし4について
本願発明2ないし4も、本願発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-4は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-11-18 
出願番号 特願2014-208280(P2014-208280)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (E04F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西村 隆  
特許庁審判長 秋田 将行
特許庁審判官 小林 俊久
住田 秀弘
発明の名称 浴室  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  
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