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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1357291
審判番号 不服2018-10620  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-03 
確定日 2019-11-20 
事件の表示 特願2016- 82308「デコリン組成物およびその使用」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月27日出願公開、特開2016-185952〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年3月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年3月14日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2013-558110号の一部を平成28年4月15日に新たな特許出願としたものであって、平成29年5月25日付けの拒絶理由に対し、平成29年11月2日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成30年3月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年8月3日に審判の請求がなされたものである。


第2 本願発明
本願請求項1?3に係る発明は、平成29年11月2日になされた手続補正により補正された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」ともいう。)は、次のとおりのものと認められる。

「 【請求項1】
デコリンコアタンパク質の4位に変異を含む精製されたデコリンコアタンパク質を含む組成物であって、
前記デコリンコアタンパク質がGAG化されておらず、前記組成物中にデコリンコアタンパク質1mgあたり5ng未満の残留宿主細胞タンパク質およびデコリンコアタンパク質1mgあたり5pg未満の残留宿主細胞DNAを含む組成物。」


第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1、4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


引用文献1.特表平7-504886号公報
引用文献4.米国特許出願公開第2003/0124152号明細書


第4 当審の判断

1 引用文献等の記載

(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である引用文献1には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審にて付したものである。

ア 「請求の範囲
1.デコリンあるいはデコリンの機能的等価物を創傷に投与することを包含する、はん痕形成を予防あるいは緩和する方法。
・・・
5.デコリンあるいはその機能的等価物と、薬学的に許容可能な担体とを含有する、薬剤組成物。」(第2頁左上欄第1?12行)

イ 「本発明は、さらに、創傷にデコリンまたはデコリンの機能的等価物を投与することによって、はん痕形成を予防または緩和する方法に関する。この方法は、熱傷、外傷または手術から生じる皮膚創傷に特に有用である。さらに、本発明は、デコリンまたはデコリンの機能的等価物と、このような方法に有用な薬学的に許容可能な担体とを含有する薬剤組成物を含む。最後に、デコリンを投与することによる病理症状を予防または抑制する方法もまた提供される。」(第3頁右下欄第18行?第4頁左上欄第1行)

ウ 「本明細書で用いられるように、「デコリン」は、KrusiusおよびRuoslahti(前出)においてデコリンに属する構造的特徴を実質的に有するプロテオグリカンを称している。ヒト線維芽細胞デコリンは、KrusiusおよびRuoslahti(前出)に示されるアミノ酸配列を実質的に有している。「デコリン」は、未変性の組成物と、機能的特徴を実質的に保持する改変物との両方を称している。デコリンコアタンパク質は、実質的にグリコサミノグリカンとは置換を行わないデコリンを称し、デコリンの定義内に含まれる。デコリンは、変異あるいは他の手段(例えば、グリコサミノグリカン鎖をコアタンパク質に付着させることのできない細胞において、組換デコリンを生成すること)によって、グリコサミノグリカンを取り除く。」(第6頁左下欄第18行?同頁右下欄第5行)

エ 「実施例1
組換デコリンおよびデコリンコアタンパク質の発現および精製
発現系
KrusiusおよびRuoslahti,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:7683(1986)(この開示内容は、本明細書に参考として援用されている)に記載された全長1.8KbのデコリンcDNAを、デコリン発現ベクターの構築に用いた。デコリンコアタンパク質の発現に対して、cDNAは変異を生じ、その結果、セリンをコードする4番目のコドン、TCTが、トレニオンをコードするACTまたはアラニンをコードするGCTに変化した。これは、Kunkel,Proc.Natl.Acad.Sci USA 82:488(1985)(この開示内容は、本明細書に参考として援用されている)の方法に従って、部位特異的変異誘発によって作製する。適切な変異の存在は、DNA配列決定によって確認される。」(第8頁右上欄第14行?同頁左下欄第6行)

オ 「アラニン変異cDNA構築物が、同様の方法で発現されて分析される場合、コアタンパク質のみを得、デコリンのプロテオグリカン型は得られない。」(第9頁右下欄第15?17行)

カ 「培養に使用した後の(spent)培地からのデコリンおよびデコリンコアタンパク質の精製
・・・
pSV2-デコリン/CPベクター、または、アラニン変性cDNAを含有するベクターでトランスフェクトされ、そして上記のように増殖されたクローン細胞系から、コアタンパク質を精製した。これらの細胞を、上記のように集密まで増殖する。集密した時点で、この細胞単層を無血清培地で4度洗浄し、そして2mMのグルタミンで補足されたαMEM中で2時間インキュベートする。この培養に使用した後の培地を捨てる。細胞を次いで2mMのグルタミンで補足されたαMEMで24時間インキュベートし、そしてこの培養に使用した後の培地を集め、即座に0.5mMのフェニルメチルスルフォニルフルオライド、1μg/mlのペプスタチン、0.04mg/mlのアプロチニンおよび5mMのEDTAで処理し、無血清の培養に使用した後の培地とする。この培養に使用した後の培地を、最初にゼラチン-セファロースに通し、次いでその素通り画分を、0.1MのNaClを含有するpH7.4、50mMのTris/HCl中で前もって平衡化した、CM-セファロースFast Flow(Pharmacia Fine Chemicals,Piscataway,NJ)にバッチ吸着させる。4℃で終夜インキュベートした後、そのスラリーをカラムに注ぎ、前もって平衡化した緩衝液で十分に洗浄し、pH7.4、50mMのTris/HCl中で、0.1M-1Mの直線グラジエントのNaClで溶出する。このデコリンを含有する画分をプールし、50mMのNH_(4)HCO_(3)で透析し、そして凍結乾燥する。この凍結乾燥された材料を、8Mの尿素を含有するpH7.4、50mMのTrisに溶解し、Sephacryl S-200カラム(1.5×110cm)にかける。SDS-ポリアクリルアミドの電気泳動によって表されるようなデコリンコアタンパク質を含有する画分を集め、精製デコリンコアタンパク質を定義する。」(第10頁左上欄第1行?同頁左下欄第11行)

(2)引用文献4の記載
原査定の拒絶の理由で引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である引用文献4には、次の事項が記載されている。英語で記載されているので、当審による翻訳文で示す。なお、下線は当審にて付したものである。

ア 「[0062] 5. デコリンの発現
[0063] インビトロで、例えば、大腸菌(E.coli)、昆虫細胞、酵母、哺乳動物細胞または他の発現系中で、デコリンを発現するいくつかの方法がある。
[0064] 原核生物系、すなわち大腸菌(E.coli)は、翻訳後修飾、グリコシル化などを行うことができない。しかし、デコリンは高度にグリコシル化されていないため(Krusius and Ruosslahti, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:7683, 1986)、デコリンにとって問題とはならないであろう。大腸菌由来のヒトのデコリンは、コラーゲンおよびフィブロネクチンに対する結合機能を維持することが報告されている(Hering et al., Anal. Biochem. 240:98, 1996)。デコリンはまた、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)21のような昆虫細胞、またはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)およびピキア・パストリス(Pichia pastoris)などの酵母宿主において発現されるかもしれない。それは、通常、様々な翻訳後修飾を行う能力を与える。また、COS-7、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa及びBHK細胞のような哺乳動物細胞株も同様に、デコリンを発現するために使用することができる。哺乳動物細胞中で産生されたデコリンは、通常可溶性であり、グリコシル化されており、真正のN末端を有する。
[0065] 選択された発現系および宿主に依存して、均質なデコリンは、タンパク質精製の従来のクロマトグラフィーの、様々に組み合わせた、いくつかの精製工程によって得ることができる。この様な従来のクロマトグラフィーには、免疫親和性クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)が含まれる。発現系が増殖培地中にデコリンを分泌する場合、該タンパク質は培地から直接精製することができる。デコリンが分泌されない場合、それは細胞溶解物から単離される。細胞破壊は、いずれかの従来の方法により行われ、それらは凍結-解凍サイクル、超音波処理、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用を含まれる。」


2 判断

(1)引用発明の認定

上記1(1)によれば、引用文献1には、デコリンコアタンパク質が実質的にグリコサミノグリカンを含まず、デコリンにおける変異によってグリコサミノグリカンを取り除くとの記載((1)ウ)と、そのデコリンコアタンパク質の発現系における具体例として、セリンをコードする4番目のコドンが、トレオニンまたはアラニンをコードするコドンに変化したcDNAを用いた実施例の記載((1)エ、オ)から、以下の発明が記載されているものと認められる。

「デコリンコアタンパク質の4番目のセリンがトレオニンまたはアラニンに変異し、グリコサミノグリカンを含まず、培地から精製されたデコリンコアタンパク質を含む、組成物。」(以下、「引用発明」という。)

(2)対比

本願発明と引用発明とを対比する。

まず、「グリコサミノグリカン」は、本願明細書の段落[0016]等の記載にもあるとおり、「GAG」と表記される用語であることから、引用発明のデコリンコアタンパク質が「グリコサミノグリカンを含まず」は、本願発明の「デコリンコアタンパク質がGAG化されておらず」に相当すると認められる。

したがって、両者は、「デコリンコアタンパク質の4位に変異を含む精製されたデコリンコアタンパク質を含む組成物であって、前記デコリンコアタンパク質がGAG化されていない、組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)

本願発明は、「前記組成物中にデコリンコアタンパク質1mgあたり5ng未満の残留宿主細胞タンパク質およびデコリンコアタンパク質1mgあたり5pg未満の残留宿主細胞DNAを含む」のに対して、引用発明はその様な特定を有しない点。

(3)判断

引用発明は、創傷におけるはん痕を予防または緩和し、熱傷、外傷または手術から生じる皮膚創傷に特に有用な薬剤組成物を提供することを目的とするものである(上記1(1)ア、イ)。
ところで、タンパク質に基づく薬学的製品において、安全性を確実にするため、残留宿主細胞タンパク質及びDNAを含めた不純物を実質に含まないことが厳しく求められており(例えば、特表2005-524092号の段落[0082]、特表2008-535913号の段落[0003]を参照。)、可能な限り、不純物である残留宿主細胞タンパク質及びDNAを少なくした薬学的組成物を提供することは、本願優先日前において周知の課題であったといえる。そして、組成物中に含まれる不純物である残留宿主細胞タンパク質及びDNAの量を確実に取り除くために、複数の精製手段を組み合わせて精製を行うことは、例えば、特表2005-524092号、特表2008-535913号及び特表平10-506924号のそれぞれ特許請求の範囲に記載されている様に本願優先日前において常套手段であり、周知の精製手段を複数組み合わせることで、組成物中の残留宿主細胞タンパク質及びDNAの量が大幅に減少することは自明である(例えば、特表2005-524092号の表3、表7及び表11、並びに特表2008-535913号の実施例の段落[0098]及び表3を参照)。そして、実際に、周知の精製手段を3工程以上組み合わせて、組成物中の残留宿主細胞タンパク質の量を、標的タンパク質1mgあたり、2.2ngあるいは2未満の範囲とすることや、組成物中の残留宿主細胞タンパク質及び残留宿主細胞DNAの量を、標的タンパク質1mgあたり、それぞれ0.6ng未満及び0.006ng未満とすることも知られており(特表2005-524092号の表3、表7及び表11)、本願優先日当時、一般に、本願発明で特定される程度の量まで不純物を除去することが達成できる技術水準にあったと認められる。
その上、引用文献4に記載されたように、タンパク質発現を利用して製造されたデコリンの精製においても、イムノアフィニティークロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等、様々な精製手段を組み合わせて精製を行うことが、本願優先日前において知られていた(上記1(2)ア)。
してみると、引用発明において、デコリンコアタンパク質の精製にあたり、実質的に残留宿主細胞タンパク質及びDNAが存在しないようするため、既存の精製方法を複数組み合わせて可能な限り残留宿主細胞タンパク質及びDNAを除去し、デコリンコアタンパク質1mgあたり5ng未満の残留宿主細胞タンパク質およびデコリンコアタンパク質1mgあたり5pg未満の残留宿主細胞DNAとする範囲を満足する範囲とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(4)審判請求人の主張について

平成30年8月3日付け審判請求書における審判請求人の主張及び平成31年4月1日付け上申書に示された実験データについて、以下検討する。

ア 審判請求人は、上記審判請求書において、2010年に公開された論文(Jarvinen and Ruoslahti, PNAS, vol. 107, no. 50, pp. 21671-21676, December 14, 2010)において、「動物モデルの肯定的な結果(8-12、15-18)にもかかわらず、デコリンは臨床に達していない。1つの理由は、タンパク質治療剤として、デコリンは製造が比較的困難であることにある。」(第21671頁左欄下から第6?4行)と記載されていることを挙げ、従来、デコリンの臨床的な使用は、デコリンの発現および精製の困難性により妨げられていたが、本願発明は、デコリンの発現および精製において改善された系を提供することで、本願請求項1に規定された純度(デコリンコアタンパク質1mgあたり5ng未満の残留宿主細胞タンパク質およびデコリンコアタンパク質1mgあたり5pg未満の残留宿主細胞DNA)を達成することができたものであり、一方引用文献1には、本願発明で用いられたレトロウイルスベクター発現系を用いてデコリンを生産したことは何ら開示も示唆もされていないから、本願発明は、引用文献に記載の発明に基づいて容易に発明をすることができた発明ではない旨主張する。

そこで、上記主張について検討すると、まず審判請求人が提示した上記論文から引用した「デコリンは製造が比較的困難であることにある」という記載事項については、「デコリン」が通常用いられる技術用語とは異なる解釈をしなければならない特段の事情もないことに鑑みれば、通常のデコリン、すなわちグリコサミノグリカン(GAG)鎖を有するデコリンに関する技術的な背景について述べたものと解するのが自然である。
一方、引用発明におけるデコリンコアタンパク質は、GAG鎖を有しないデコリンコアタンパク質である。そして、GAG鎖を有しないデコリンコアタンパク質とGAG鎖を有するデコリンとでは、その化学的構造が大きく異なり、例えば、上記論文の図1におけるゲル電気泳動分析結果の図において、GAG鎖を有しないデコリンコアタンパク質のバンドはシャープであるのに対しGAG鎖を有するデコリンのバンドはスメアとなることが示されている様に、精製に関係する化学的・物理的特性も大きく異なることから、GAG鎖を有しないデコリンコアタンパク質における技術的な課題とGAG鎖を有する通常のデコリンの技術的な課題とを同視することはできない。よって、上記論文に記載された課題を、引用発明における精製の困難性における課題として参酌することはできない。
また、引用文献1には、引用発明における具体的なデコリンコアタンパク質の発現に関して、プラスミドベクターを利用したことが記載されているものの、本願優先日時において、プラスミドベクターの使用が標的タンパク質の精製を困難とするといった技術常識が存在したとはいえず、審判請求人が述べる様に、遺伝子の導入手段としてプラスミドベクターを用いた場合とレトロウイルスベクターを用いた場合とで標的タンパク質の発現量の多寡に多小の違いがあったとしても、プラスミドベクターによる遺伝子導入による標的タンパク質の発現量の程度が、本願発明で特定する程度の純度を達成できないことの根拠となる合理的な理由も見当たらない。そして、一般にタンパク質の発現量は、プロモーターの選択や導入する遺伝子のコピー数等に応じて調整可能なものであるし、宿主細胞中のタンパク質の発現量が少ない場合があったとしても、例えば最終的に取得したい標的タンパク質の量を考慮して出発材料の量を調整することで十分なタンパク質の量を精製の工程に供することは当業者が当然に行うことであるから、プラスミドベクターを用いたことが引用発明における純度の高度化を妨げる要因になるとはいえない。
そして、宿主細胞からの標的タンパク質の精製についても、上記2(3)で述べたとおり、本願優先日前における周知の技術によって、残留宿主細胞タンパク質の量及びDNAの量を本願発明で規定する程度とすることが十分に可能であったといえる。この様な事情に鑑みれば、引用発明において、本願優先日時における周知の技術に基づき、本願発明にて特定される程度の純度、すなわち、デコリンコアタンパク質1mgあたり5ng未満の残留宿主細胞タンパク質及びデコリンコアタンパク質1mgあたり5pg未満の残留宿主細胞DNAとなる純度を達成できたと認められる。

したがって、上記主張アを採用することはできない。

イ 審判請求人は、上記上申書において、本願明細書の実施例2で得られたデコリンコアタンパク質を含む組成物に相当する「製品A」及び「製品B」が本願発明で特定する純度を満足することを示す実験データを提出すると共に、上記審判請求書において、本願実施例2において提供される詳細なデータおよび方法を検討した当業者であれば、本願発明で特定する純度を達成できることが理解できる旨主張する。

そこで上記主張イについて検討すると、本願明細書の実施例2で得られたデコリンコアタンパク質を含む組成物が本願発明で特定する残留宿主細胞タンパク質の量及び残留宿主細胞DNAの量を達成していたとしても、この様な事情は、上記2(3)で述べた判断の論理に影響を及ぼすものではなく、本願発明が引用文献1、4に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものという結論を左右するものではない。


第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1、4に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-06-13 
結審通知日 2019-06-18 
審決日 2019-07-11 
出願番号 特願2016-82308(P2016-82308)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植原 克典  
特許庁審判長 長井 啓子
特許庁審判官 常見 優
田村 聖子
発明の名称 デコリン組成物およびその使用  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  
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