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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A23F
管理番号 1357306
審判番号 不服2019-3285  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-08 
確定日 2019-12-16 
事件の表示 特願2016-217837「高濃度イヌリン含有茶飲料」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月12日出願公開、特開2017-184719、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)11月8日(優先権主張平成28年3月31日)の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
平成29年 4月 3日 :手続補正書の提出
平成30年 2月21日 :手続補正書の提出
同年 3月26日付け:拒絶理由通知
同年 6月21日 :意見書、手続補正書の提出
同年 7月27日付け:拒絶理由通知
同年11月30日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月 7日付け:拒絶査定
平成31年 3月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 4月 4日付け:前置報告

第2 原査定の概要
原査定(平成30年12月7日付け)の概要は次のとおりである。

1 この出願の請求項1-6に係る発明は、その出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献等10に示された発明、引用文献等8に示された技術的事項及び日本国内又は外国において頒布された引用文献等9、11?13に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2 この出願の請求項1、3?4、6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された引用文献等7に記載された発明、引用文献等3、11?13に記載された技術的事項及び電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献等8、10に示された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
3.特開2007-209268号公報
7.国際公開第2009/035047号
8.健康食品査験登記許可資料摘要 許可番号:衛署健食字第A00177号,2010年 4月16日,https://consumer.fda.gov.tw/Food/InfoHealthFood.aspx?nodeID=162
9.府食第203号 「特定保健用食品許可申請食品に係る食品健康影響評価に関する審議結果について」,2005年
10.健康食品査験登記許可資料摘要 許可番号:衛署健食字第A00145号,2008年12月30日,https://consumer.fda.gov.tw/Food/InfoHealthFood.aspx?nodeID=162
11.特開2015-163049号公報(新たに引用された文献;周知技術を示す文献)
12.特開2014-195419号公報(新たに引用された文献;周知技術を示す文献)
13.特開2014-140351号公報(新たに引用された文献;周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明5」という。)は、平成31年3月8日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められ、次のとおりのものである。
「【請求項1】
容器詰ウーロン茶飲料であって、
イヌリンの含有量が1.3?4g/100mlであり、
カテキンの含有量が100?400ppmであり、
茶重合ポリフェノールの含有量が70?600ppmであり、
香料を添加していない、前記飲料。
【請求項2】
500ml以上の容器詰飲料である、請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
殺菌された容器詰製品である、請求項1または2に記載の飲料。
【請求項4】
甘味料を添加していない飲料である、請求項1?3のいずれか一項に記載の飲料。
【請求項5】
酸味料を添加していない飲料である、請求項1?4のいずれか一項に記載の飲料。」

第4 引用文献等の開示事項、引用発明等
1 引用発明について
(1)引用文献等10について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献等10には、次の事項が開示されている。(なお、原文は中国語で記されているので、当審による和訳で示す。)

「健康食品検査登録許可資料概要
許可証番号:衛署健食第A00145号

1.品名:御茶園毎朝健康金纖烏龍
(原品名:御茶園毎朝健康烏龍)
・・・・・・
4.原料成分:水、烏龍茶、イヌリン、烏龍茶香料(烏龍茶抽出液、香料を含む)、ビタミンC(酸化防止剤)、重炭酸ナトリウム(重曹)。

5.外観と包装:
4.1.ペットボトル入り液体飲料、茶は黄褐色
4.2.内容量:350ml、650ml、900ml。

6.保健効能成分含量:
カテキン(catechins) 50?75 mg/100ml
イヌリン(inulin) 0.9?1.2 g/100ml
・・・・・・」

上記開示事項から、引用文献等10には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されているといえる。
「ペットボトル入り烏龍茶飲料であって、
イヌリンの含有量が0.9?1.2g/100mlであり、
カテキンの含有量が50?75mg/100mlであり、
香料を添加している、前記飲料。」

(2)引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7には次の事項が記載されている。

「[0047]
・・・・・・
<製造例1(烏龍茶重合ポリフェノール(重合カテキン)の製造)>
温水(95℃)に0.15重量%の重曹を添加した7800kgの重曹液を用いて、600kgのウーロン茶葉に抽出処理を施し、ウーロン茶抽出液約7000kgを得た。この抽出液の液温を60-65℃に保持しながら、400kgの粒状活性炭(クラレ社製GW-H32/60)に通液して非重合カテキン、カフェインを除去した。この通過液(活性炭処理後の液)を減圧濃縮し、Brix11の重合カテキン含有ウーロン茶濃縮エキス(以下、エキスA)約900kgを得た。得られたエキスA中の重合カテキン、非重合カテキン及びカフェイン濃度を、下記条件のHPLCで測定した。その結果、重量基準として重合カテキン12000ppm、非重合カテキン800ppm、カフェイン20ppmであった。」

「[0085]
・・・・・・
<参考例 非重合カテキンとカフェイン濃度の検証>
アスパルテーム0.05重量%(甘味度10)、クエン酸0.0045重量%、無水クエン酸0.0055重量%の水溶液に、表12に示す配合で、製造例1で得られたエキスA又は製造例2で得られたエキスBと、烏龍茶の凍結乾燥物又は製造例2の紅茶抽出液(Brix2)をそれぞれ添加して、種々の濃度(表12)で非重合カテキン及びカフェインを含有する飲料を調製した(重合カテキン濃度は重量基準として300ppm)(表12中「紅茶」はエキスBと紅茶抽出液を添加したもの、「烏龍茶」はエキスAと烏龍茶の凍結乾燥物を添加したものを示す)。」

「[0087]
[表12]



以上の記載事項から、引用文献7には一例として次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。
「重合カテキン含有ウーロン茶濃縮エキスと烏龍茶の凍結乾燥物を添加した飲料であって、
非重合カテキンの含有量が148.2ppmであり、
茶重合ポリフェノールの含有量が300ppmであり、
香料を添加していない、前記飲料。」

2 引用文献等3、8?9、11?13について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、イヌリンは苦みや渋味といった嫌味ととれる風味を軽減することが記載されている。
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献等8には、イヌリン含有量が1.8?2.2g/100ml、カテキン含有量が60?90mg/100mlである、緑茶成分を含有する「烏龍茶含有茶飲料」が開示されている。
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献9(「3.安全性に係る試験等の概略」の「・食経験」)には、一般に市販されているウーロン茶中のOTPP(ウーロン茶重合ポリフェノール)含有量は約30mg/250mlとされていることが記載されている。
原査定で周知技術を示す文献として新たに引用された上記引用文献11(【0040】)、引用文献12(【0019】)、引用文献13(【0041】)には、茶飲料等の飲料において香料が任意成分であることが記載されている。

第5 対比・判断
1 引用発明1との対比・判断
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「ペットボトル入り」は本願発明1の「容器詰」に相当し、引用発明1の「烏龍茶」は本願発明1の「ウーロン茶」に相当する。また、引用文献9によると、一般に市販されているウーロン茶中のウーロン茶重合ポリフェノール含有量は約30mg/250mlであるから、引用発明1の烏龍茶飲料中のウーロン茶重合ポリフェノール含有量は約30mg/250mlと認められ、当該「ウーロン茶重合ポリフェノール」は本願発明1の「茶重合ポリフェノール」に相当し、「約30mg/250ml」は「約120ppm」と換算されるから本願発明1の「70?600ppm」に相当する。
そうすると、本願発明1と引用発明1とは、
「容器詰めウーロン茶飲料であって、
イヌリンを含有し、
カテキンを含有し、
茶重合ポリフェノールの含有量が70?600ppmである、前記飲料。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
(相違点1)イヌリンの含有量について、本願発明1は1.3?4g/100mlであるのに対し、引用発明1は0.9?1.2g/100mlである点。
(相違点2)カテキンの含有量について、本願発明1は100?400ppmであるのに対し、引用発明1は50?75mg/100mlである点。
(相違点3)本願発明1は香料を添加していないのに対し、引用発明1は香料を添加している点。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点1及び相違点2について
引用文献等10には、引用発明1の烏龍茶飲料におけるイヌリンの含有量を1.3?4g/100mlとすることを示唆する開示も、カテキンの含有量を100?400ppmとすることを示唆する開示もない。
また、引用文献等8に開示された茶飲料は、イヌリンの含有量において本願発明1の「1.3?4g/100ml」と一部重複するものの、引用文献等8には、(緑茶成分を含まない)烏龍茶飲料については何ら開示されていない。そうすると、引用文献等8に接した当業者であっても、引用発明1の烏龍茶飲料におけるイヌリンの含有量を1.3?4g/100mlとすると共に、カテキンの含有量を100?400ppmとすることを容易に想到し得たものとは認められない
よって、相違点1及び相違点2は当業者が容易に想到し得たものではない。

(イ)相違点3について
引用文献等10には、引用発明1の烏龍茶飲料における香料を除くことを示唆する開示はない。
また、引用文献11?13及び国際公開第2011/126005号のいずれの記載を検討しても、烏龍茶飲料において香料を含有しないことが技術常識であったとは認められない。
よって、相違点3は当業者が容易に想到し得たものとは認められない。

ウ 小括
以上のとおり、相違点1?3は当業者が容易に想到し得たものとは認められないので、本願発明1は、引用発明1、引用文献等8、10に示された技術的事項、引用文献9、11?13及び国際公開第2011/126005号に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。

(2)本願発明2?5について
本願発明2?5はいずれも、本願発明1の発明特定事項を、その発明特定事項とするものであるから、本願発明1と同様の理由により当業者が容易に発明することができたものではない。

2 引用発明2との対比・判断
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明2とを対比する。
引用発明2の「重合カテキン含有ウーロン茶濃縮エキスと烏龍茶の凍結乾燥物を添加した飲料」は本願発明1の「茶飲料」に相当し、引用発明2の「非重合カテキン」は本願発明1の「カテキン」に相当する。また、引用発明2の「148.2ppm」は本願発明1の「100?400ppm」に相当し、引用発明2の「300ppm」は本願発明1の「70?600ppm」に相当する。
そうすると、本願発明1と引用発明2とは、
「茶飲料であって、
カテキンの含有量が100?400ppmであり、
茶重合ポリフェノールの含有量が70?600ppmであり、
香料を添加していない、前記飲料。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
(相違点1)本願発明1は容器詰であるのに対し、引用発明2は容器詰の特定がない点。
(相違点2)本願発明1はウーロン茶飲料であるのに対し、引用発明2はウーロン茶の特定がない点。
(相違点3)本願発明1はイヌリンの含有量が1.3?4g/100mlであるのに対し、引用発明2はイヌリンの含有量について記載がない点。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点2及び相違点3について
引用文献7には、引用発明2の茶飲料をウーロン茶に特定することを示唆する記載はないし、引用発明2の茶飲料におけるイヌリンの含有量を1.3?4g/100mlとすることを示唆する記載もない。
また、引用文献3の記載及び引用文献等8、10?13の開示を検討しても、引用発明2の茶飲料をウーロン茶に特定すると共に、イヌリンの含有量を1.3?4g/100mlとすることを容易に想到し得たものとは認められない
よって、相違点2及び相違点3は当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ 小括
以上のとおり、相違点2及び相違点3は当業者が容易に想到し得たものとは認められないので、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明2、引用文献3、7、11?13に記載された技術的事項及び引用文献等8、10に示された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものではない。

(2)本願発明2?5について
本願発明2?5はいずれも、本願発明1の発明特定事項を、その発明特定事項とするものであるから、本願発明1と同様の理由により当業者が容易に発明することができたものではない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-12-04 
出願番号 特願2016-217837(P2016-217837)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A23F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤井 美穂北村 悠美子  
特許庁審判長 村上 騎見高
特許庁審判官 櫛引 智子
関 美祝
発明の名称 高濃度イヌリン含有茶飲料  
代理人 山本 修  
代理人 小野 新次郎  
代理人 中西 基晴  
代理人 宮前 徹  
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