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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1357571
審判番号 不服2018-11681  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-30 
確定日 2019-12-04 
事件の表示 特願2016-542935「光電池モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 2日国際公開、WO2015/096492、平成29年 1月 5日国内公表、特表2017-500751〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年8月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年12月27日、中国)を国際出願日とする出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

平成28年 7月15日:国際出願翻訳文提出書の提出
同年 7月15日:出願審査請求書・手続補正書の提出
平成29年 5月26日:拒絶理由通知(5月30日発送)
同年 8月30日:手続補正書・意見書の提出
同年12月 5日:拒絶理由通知(12月12日発送)
平成30年 3月 9日:手続補正書・意見書の提出
同年 4月24日;拒絶査定(5月8日送達)
同年 8月30日:審判請求書・手続補正書の提出
平成31年 3月18日:拒絶理由通知(3月19日発送)
令和 元年 6月18日:手続補正書・意見書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和元年6月18日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により補正された請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「光電池モジュールであって、
順に積み重ねられて設けられる透光上端蓋板と、第1封入層と、電池片パック層と、第2封入層と、バックプレートと、を備え、
前記透光上端蓋板及び前記バックプレートの外縁は、第1封入層と、電池片パック層と、第2封入層と、の外縁を超えており、
前記透光上端蓋板とバックプレートとの間には、端部密封体が更に設けられており、
前記端部密封体は、第1封入層と、電池片パック層と、第2封入層との外周に位置し、
前記透光上端蓋板及び前記バックプレートは、いずれもガラス板であり、
前記第1封入層及び第2封入層は、透明なシリコーン層またはポリオレフィン層であり、
前記光電池モジュールの周辺は、フレームにより更に封入され、
前記フレームは、フレーム構造に形成され、且つ前記フレームの横断面は、U型溝を有し、前記U型溝の溝口の幅は、前記光電池モジュールの外縁を覆うように、前記光電池モジュールの厚さより広く、
前記光電池モジュールは、端子箱を更に備え、前記電池片パック層は、前記透光上端蓋板と前記バックプレートとの間からバスバーを引き出し、電池片のエネルギーを引き出すように、前記端子箱と前記バスバーとは、電気接続され、
前記端子箱は、ケースと、少なくとも二つの隔板と、導電体と、ダイオードと、コネクタと、を備え、前記ケース内には、チャンバを有し、前記チャンバの側壁には、複数のリード線口を有し、前記バスバーは、前記リード線口を貫いて前記チャンバ内に入り、前記チャンバを少なくとも三つのサブチャンバに分けるように、少なくとも二つの隔板が前記チャンバ内に設けられ、前記リード線口は、少なくとも三つのサブチャンバのうち、最外端の二つのサブチャンバの側壁に設けられ、前記ダイオードは、少なくとも三つのサブチャンバのうち、中間のサブチャンバ内に設けられることを特徴とする光電池モジュール。」(下線は、当審で付したものである。以下同じ。)

第3 刊行物
1 刊行物の記載
(1)平成31年3月18日付けの拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)に引用した「特開2011-11941号公報」(以下「引用文献」という。平成23年1月20日公開)には、図とともに、以下の記載がある。

ア 「【請求項5】
中間膜によって板ガラスを被保護部材に接着、積層したガラス積層体本体と、
該ガラス積層体本体の辺縁に取り付けられる縁部材とを有し、
前記ガラス積層体本体には、中間膜の前記縁部材側にシール材収容凹部が形成され、該シール材収容凹部内に充填されるシール材により中間膜の前記縁部材側への露出を防止して縁部材が接着剤により取り付けられるガラス積層体。」

イ 「【0023】
この発明においてガラス積層体本体15の辺縁には、接着剤8により縁部材7が取り付けられ、ガラス積層体本体15の中間膜3の上記接着剤8側への露出がシール材5により防止される。被保護部材14は光透過性や適宜の強度を備えた板ガラス2を利用して保護されるもの、例えば太陽電池セルとして構成することが可能で、この場合には、板ガラス2の反対面、すなわち裏面側に適宜の支持基材が配置され、この支持基材と板ガラス2とを太陽電池セルを間に挟んで中間膜3により接着、積層した太陽電池モジュールとして構成することができる。この場合中間膜3の劣化防防止により、太陽電池セルへの太陽光の入射量を良好に維持することができる。縁部材7は、ガラス積層体本体15の辺縁を保護するものや、所望の物や場所に取り付けるときの取り付け基部などとして機能することができる。この縁部材7は、強度の高い材料、例えば金属材料により形成することができる。」

ウ 「【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に本発明に係る合わせガラス6を示す。この実施の形態において、合わせガラス6は、図1(a)に示すように、2枚の強化ガラスからなる板ガラス2、2と、これらの板ガラス2、2間に介装されて板ガラス2、2同士を接着する中間膜3とを有して構成される。中間膜3は、この実施の形態においてはポリプロピレン樹脂により形成される。
【0027】
……
【0028】
…この実施の形態においては、このようなシール材5として主剤を合成物とする反応型接着剤であって耐久性や耐候性に優れた反応接着シリコーンゴムが使用される。この反応接着シリコーンゴムは、上述したような中間膜等の化学的な安定性を阻害しないものとして発明者の実験により確認されたものである。
【0029】
……
【0038】
縁部材7は、合わせガラス6の辺縁の長さと同じ程度の長さを備え、ステンレス等の適宜の金属の板材を断面コ字形状に折り曲げて形成される。この縁部材7は、合わせガラス6の各辺縁に被さるようして装着され、その4個が矩形の合わせガラス6の各辺縁を枠状に囲むように装着されて合わせガラス6の周縁部を保護する。縁部材7の取り付けには、一般に構造用シール8と呼ばれるもの、すなわち、一般のシール材に比べて長時間大きな荷重がかかっても接着特性の低下が少なく、信頼性の高い適宜の汎用性の高いものが使用され、具体的には、適宜の弾性を備えたシリコーン系の接着剤であって少なくとも上述したシール材5とは異なる組成のものが使用される。上記構造用シール8は合わせガラス6と縁部材7の隙間、すなわち合わせガラス6の辺縁周辺に充填され、上述したシール材5により中間膜3との接触が禁止される。
【0039】
……
【0054】
図5に上述したような板ガラス2と中間膜3を用いて形成される太陽電池モジュールを示す。太陽電池モジュールは、図5(a)に示すように、モジュール本体(ガラス積層体本体15)の辺縁に縁部材7を装着して形成される。
【0055】
上記モジュール本体15は、強化ガラスからなる板ガラス2の複数で太陽電池セル(被保護部材14)を挟むようにして形成され、太陽電池セル14と同様に板ガラス2、2間に介装される中間膜3により板ガラス2、2同士が接着され、また、この中間膜3を封止材として機能させて太陽電池セル14の外部への露出が防止される。各板ガラス2は、上述同様、周縁に凹部形成用面取り1を備え、中間膜3による接着状態で周縁にシール材収容凹部4が形成され、シール材5が充填される。縁部材7は、上述同様例えばステンレスの板材により形成される。
【0056】
また、太陽電池セル14のリード線42は、中間膜3、シール材5、構造用シール8内を通って外部に引き出され、図外の充電用バッテリ等に接続されて太陽光発電した電気を蓄電できるようにされる。さらに、以上の太陽電池モジュールは複数がリード線42を介して直列接続され、この接続に際して縁部材7はリード線42を隠すものとしても機能する。
【0057】
図5(b)は上述したモジュール本体15の製造作業を示すもので、この実施の形態においては太陽電池セル14の表裏面にそれぞれ中間膜3を介装して板ガラス2同士を接着した後、リード線42を跨ぐようにしてシール材5がそれぞれシール材収容凹部4に充填される。リード線42は図示しないシリコン性のチューブによりシール材5との接触を防止される。
【0058】
……
【0059】
なお、以上の実施の形態においては、中間膜3としてポリプロピレン樹脂を用いる場合を示したが、例えばこの種のものとして多用されているポリビニルブチラール樹脂やエチレン-酢酸ビニル共重合樹脂を用いることも可能で、この場合にはこれらに対する相性を考慮してシール材5の材料を決定すればよい。また、板ガラス2として網入りガラスを用いて強度を高めることも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 凹部形成用面取り
2 板ガラス
3 中間膜
4 シール材収容凹部
5 シール材
6 合わせガラス
7 縁部材
8 接着剤
9 建築物
10 開口部
11 ガイドレール
12 被ガイド桟
13 支持杆
14 太陽電池セル
15 太陽電池モジュール本体 」

エ 図5は、以下のものである。


(2)引用文献に記載された発明
ア 上記(1)ア及びイの記載からして、引用文献には、
「中間膜によって板ガラスを太陽電池セルに接着、積層したガラス積層体本体と、
該ガラス積層体本体の辺縁に取り付けられる金属材料により形成された縁部材とを有し、
前記ガラス積層体本体には、中間膜の前記縁部材側にシール材収容凹部が形成され、該シール材収容凹部内に充填されるシール材により中間膜の前記縁部材側への露出を防止して縁部材が接着剤により取り付けられるガラス積層体。」が記載されているものと認められる。

イ 上記(1)ウの記載を踏まえて、図5を見ると、以下のことが理解できる。
(ア)上記アの「ガラス積層体」は、「太陽電池モジュール」であること。

(イ)上記アの「中間膜」は、例えば、「ポリプロピレン樹脂膜」であること。

(ウ)上記アの「シール材」は、例えば、「反応接着シリコーンゴム」であること。

(エ)上記アの「縁部材」は、例えば、ステンレスの板材を断面コ字形状に折り曲げて形成されるものであること。

(オ)上記アの「接着剤」は、例えば、シリコーン系の接着剤であること。

ウ 上記ア及びイの検討を踏まえて、図5を見ると、「太陽電池モジュール」は、具体的には、
「表面側の板ガラス2と、
表面側のポリプロピレン樹脂膜3と、
太陽電池セル14と、
背面側のポリプロピレン樹脂膜3、
背面側の板ガラス2と、
ステンレスの板材を断面コ字形状に折り曲げて形成された縁部材7と、を備え、
前記表面側の板ガラス2及び前記背面側の板ガラス2の外縁は、前記表面側のポリプロピレン樹脂膜3、前記太陽電池セル14、及び前記背面側のポリプロピレン樹脂膜3の外縁を超えており、
前記表面側の板ガラス2と前記背面側の板ガラス2との間には、反応接着シリコーンゴムのシール材5が設けられ、
前記シール材5は、前記表面側のポリプロピレン樹脂膜3と、前記太陽電池セル14と、前記背面側のポリプロピレン樹脂膜3との外周に位置し、
前記縁部材7は、前記表面側の板ガラス2及び前記背面側の板ガラス2の外縁を覆うようにシリコーン系の接着剤8により取り付けられている、太陽電池モジュール。」であることが理解できる。

エ 上記(1)ウの【0056】における「太陽電池セル14のリード線42は、中間膜3、シール材5、構造用シール8内を通って外部に引き出され、図外の充電用バッテリ等に接続されて太陽光発電した電気を蓄電できるようにされる。」との記載によれば、
上記「太陽電池セル14のリード線42」は、表面側の板ガラス2と背面側の板ガラス2との間から外部に引き出されることから、「太陽電池モジュール」は、リード線42を介して安全に(漏電などをしないように)電気が取り出せるように、「端子箱」を備えることは、当業者にとって明らかである。

必要ならば、当審拒絶理由で「周知技術2」として引用した特開2008-258269号公報(図5) 、特開2001-98856号公報(図2)及び特開平8-167730号公報(図3)を参照。
あるいは、下記の文献を参照。
特開2011-19295号公報の図2
特開2010-272642号公報の図1
特開2003-158285号公報の図8
特開平11-354822号公報の図11ないし図14
特開平7-115218号公報の図1
特開平5-343724号公報の図13
実願昭59-67930号(実開昭60-179053号)のマイクロ
フィルムの第1図
国際公開第2011/016636号の図18

ちなみに、特開2008-258269号公報の図5は、以下のものである。


3 太陽電池セル
4 配線
6 枠状スペーサ部材
7 端子ボックス部
8 端子ボックス
9 接続ケーブル

オ 上記アないしエを総合すると、引用文献には、図5に示された実施例に関する次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「太陽電池モジュールであって、
表面側の板ガラス2と、
表面側のポリプロピレン樹脂膜3と、
太陽電池セル14と、
背面側のポリプロピレン樹脂膜3と、
背面側の板ガラス2と、
ステンレスの板材を断面コ字形状に折り曲げて形成された縁部材7と、を備え、
前記表面側の板ガラス2及び前記背面側の板ガラス2の外縁は、前記表面側のポリプロピレン樹脂膜3、前記太陽電池セル14、及び前記背面側のポリプロピレン樹脂膜3の外縁を超えており、
前記表面側の板ガラス2と前記背面側の板ガラス2との間には、反応接着シリコーンゴムのシール材5が設けられ、
前記シール材5は、前記表面側のポリプロピレン樹脂膜3と、前記太陽電池セル14と、前記背面側のポリプロピレン樹脂膜3との外周に位置し、
前記縁部材7は、前記表面側の板ガラス2及び前記背面側の板ガラス2の外縁を覆うようにシリコーン系の接着剤8により取り付けられ、
前記太陽電池モジュールは、端子箱を更に備え、前記太陽電池セル14のリード線42は、表面側の板ガラス2と背面側の板ガラス2との間から引き出され、前記端子箱と前記リード線42は、電気接続されている、太陽電池モジュール。」

第4 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明を対比すると、以下のことがいえる。
ア(ア)引用発明の「表面側の板ガラス2」は、本願発明の「透光上端蓋板」に、相当する。
以下、同様に、
「表面側のポリプロピレン樹脂膜3」は、「第1封入層」に、
「太陽電池セル14」は、「電池片パック層」に、
「背面側のポリプロピレン樹脂膜3」は、「第2封入層」に、
「背面側の板ガラス2」は、「バックプレート」に、相当する。

(イ)引用発明の「(表面側の板ガラス2と背面側の板ガラス2との間に設けられた)反応接着シリコーンゴムのシール材5」は、本願発明の「(透光上端蓋板とバックプレートとの間に設けられた)端部密封体」に、相当する。
(ウ)本願明細書の「【0017】
本発明に係る光電池モジュールは、本体1と、端部密封体3と、を備える。
【0018】
図1に示すように、本体1は、順に積み重ねて設けられる透光上端蓋板11と、第1ポリオレフィン封入層12と、電池片パック層13と、第2ポリオレフィン封入層14と、及びバックプレート15と、を備え、…。」との記載によれば、
引用発明の「表面側の板ガラス2と、表面側のポリプロピレン樹脂膜3と、 太陽電池セル14と、背面側のポリプロピレン樹脂膜3と、背面側の板ガラス2」を合わせたものが「本体」に、引用発明の「反応接着シリコーンゴムのシール材5」が「端部密封体3」に相当するから、引用発明の「太陽電池モジュール」は、「光電池モジュール」であるといえる。

(エ)よって、本願発明と引用発明とは、
「光電池モジュールであって、
順に積み重ねられて設けられる透光上端蓋板と、第1封入層と、電池片パック層と、第2封入層と、バックプレートと、を備える」点で一致する。

イ(ア)引用発明の「ステンレスの板材を断面コ字形状に折り曲げて形成された縁部材」及び「ポリプロピレン樹脂膜3」は、本願発明の「フレーム」及び「ポリオレフィン層」に相当する。

(イ)引用発明の「表面側の板ガラス2及び背面側の板ガラス2の外縁は、表面側のポリプロピレン樹脂膜3、太陽電池セル14、及び背面側のポリプロピレン樹脂膜3の外縁を超えており」は、本願発明の「透光上端蓋板及びバックプレートの外縁は、第1封入層と、電池片パック層と、第2封入層と、の外縁を超えている」に相当する。

(ウ)よって、本願発明と引用発明とは、「透光上端蓋板及びバックプレートの外縁は、第1封入層と、電池片パック層と、第2封入層と、の外縁を超えており、
前記透光上端蓋板とバックプレートとの間には、端部密封体が更に設けられており、
前記端部密封体は、第1封入層と、電池片パック層と、第2封入層との外周に位置し、
前記透光上端蓋板及び前記バックプレートは、いずれもガラス板であり、
前記第1封入層及び第2封入層は、透明なシリコーン層またはポリオレフィン層であり、
前記光電池モジュールの周辺は、フレームにより更に封入されている」点で一致する。

ウ 引用発明の「ステンレスの板材を断面コ字形状に折り曲げて形成された縁部材7」は、「表面側の板ガラス2及び背面側の板ガラス2の外縁を覆うようにシリコーン系の接着剤8により取り付けられ」ているから、本願発明の「フレーム」に相当し、「断面コ字形状」であるから、その内側の溝の幅は、「表面側の板ガラス2」、「表面側のポリプロピレン樹脂膜3」、「太陽電池セル14」、「背面側のポリプロピレン樹脂膜3」及び「背面側の板ガラス2」を積層した厚みより広いことは明らかであるから、本願発明と引用発明とは、「フレームの横断面は、U型溝を有し、前記U型溝の溝口の幅は、光電池モジュールの外縁を覆うように、前記光電池モジュールの厚さより広くなっている」点で一致する。

エ(ア)引用発明の「太陽電池セル14のリード線42」は、「太陽電池セル14」の「バスバー自体」又は「バスバーと電気的に接続した配線」であることは、当業者にとって明らかである。

(イ)よって、本願発明と引用発明とは、「光電池モジュールは、端子箱を更に備え、電池片パック層は、透光上端蓋板とバックプレートとの間から配線を引き出し、電池片のエネルギーを引き出すように、前記端子箱と前記配線とは、電気接続されている」点で一致する。

(2)上記(1)から、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。
<一致点>
「光電池モジュールであって、
順に積み重ねられて設けられる透光上端蓋板と、第1封入層と、電池片パック層と、第2封入層と、バックプレートと、を備え、
前記透光上端蓋板及び前記バックプレートの外縁は、第1封入層と、電池片パック層と、第2封入層と、の外縁を超えており、
前記透光上端蓋板とバックプレートとの間には、端部密封体が更に設けられており、
前記端部密封体は、第1封入層と、電池片パック層と、第2封入層との外周に位置し、
前記透光上端蓋板及び前記バックプレートは、いずれもガラス板であり、
前記第1封入層及び第2封入層は、透明なシリコーン層またはポリオレフィン層であり、
前記光電池モジュールの周辺は、フレームにより更に封入され、
前記フレームは、フレーム構造に形成され、且つ前記フレームの横断面は、U型溝を有し、前記U型溝の溝口の幅は、前記光電池モジュールの外縁を覆うように、前記光電池モジュールの厚さより広く、
前記光電池モジュールは、端子箱を更に備え、前記電池片パック層は、前記透光上端蓋板と前記バックプレートとの間から配線を引き出し、電池片のエネルギーを引き出すように、前記端子箱と前記配線とは、電気接続されている、光電池モジュール。」

(3)一方、両者は、以下の点で相違する。
<相違点1>
配線に関して、
本願発明は、「バスバー」であるのに対して、
引用発明は、リード線42が「バスバー」であるか否か不明である点。

<相違点2>
端子箱に関して、
本願発明は、「ケースと、少なくとも二つの隔板と、導電体と、ダイオードと、コネクタと、を備え、前記ケース内には、チャンバを有し、前記チャンバの側壁には、複数のリード線口を有し、前記バスバーは、前記リード線口を貫いて前記チャンバ内に入り、前記チャンバを少なくとも三つのサブチャンバに分けるように、少なくとも二つの隔板が前記チャンバ内に設けられ、前記リード線口は、少なくとも三つのサブチャンバのうち、最外端の二つのサブチャンバの側壁に設けられ、前記ダイオードは、少なくとも三つのサブチャンバのうち、中間のサブチャンバ内に設けられる」のに対して、
引用発明は、具体的な構造が不明である点。

2 判断
(1)上記<相違点1>及び<相違点2>について、まとめて検討する。
ア まず、本願発明において、上記<相違点2>に係る構成を採用する技術的意義について、本願明細書の記載を参酌して検討する。

(ア)本願明細書には、以下の記載がある。
「【0033】
従って、本発明に係る実施例の端子箱4は、隔板42aを介して、チャンバ410を複数のサブチャンバに分け、且つダイオード44aは、真ん中のサブチャンバ内に設けられ、バスバー131を溶接する際、ダイオード44aにおける溶接箇所は溶けなく、ダイオードの溶接脱落を避ける。また、ダイオード44aが失効する或いは端子箱4が失効する際、バスバー131を溶接するだけで、或いはバスバー131をリード線口411から取り出すだけで端子箱を取ることができ、操作が簡便で時間を節約でき、発電所のメンテナンスが便利であり、モジュールの寿命が延長できる。更に選択的には、本実施例に係るデュアルガラス光電池のモジュールは、チップ型薄片ダイオード9を更に備えている。薄片ダイオード9は、バスバー131に溶接され、且つ透光上端蓋板11とバックプレート15との間に積層され、ホットスポット効果が発生する際、電池片が焼けてしまうことを防ぎ、且つ日照のない場合、電流の逆流を防ぐようにする。」

「【0043】
具体的には、端子箱4は、ケース41bと、導電片42bと、コネクタ部材43bと、を備え、ケース41b内には、チャンバ410bを有し、チャンバ410bの側壁には、リード線口411b(図5に示すように)を有し、選択的には、リード線口11は、矩形孔である。導電片42bは、チャンバ410b内に設けられ、そのうち、バスバー131は、リード線口411bを貫いて、チャンバ410b内に伸び込み、且つ導電片42bに接続され、コネクタ部材43bは、ケース41bの外に位置し、且つケーブル44bを介して導電体に接続される。選択的には、バスバー131と導電片42bとは、溶接接続或いは係合接続される。」

(イ)上記(ア)の記載からして、上記技術的意義は、
端子箱の内部を三個のサブチャンバに分け、ダイオードを中央のサブチャンバ内に設け、バスバーを左右のサブチャンバ内で溶接接続或いは係合接続することで、ダイオードの溶接脱落を避けるとともに、電流の逆流等を防ぐことにあるものと解される。

イ ところで、「太陽電池モジュール」から「端子箱」を用いて、安全に(漏電などをしないように)電気が取り出せるようにするためには、「太陽電池セル14のリード線42」が短絡したりしないように、ダイオード等を組込む必要があるところ、内部を隔板により三個に区分けし、中央の区画内にダイオードを配置し、左右の区画内で配線を接続するようにしたものは、例えば、下記の文献に記載されているように、本願の優先日時点で周知である(以下「周知技術」という。)。

特表2012-507845号公報の図1ないし図4
特開2011-192986号公報の図1ないし図5
特開2002-141537号公報の図3
登録実用新案第3168519号公報の図5及び図6
国際公開第2012/050298号の図2

ウ してみると、引用発明の「端子箱」として、上記周知技術の「端子箱」を採用することは、当業者が適宜なし得た設計事項である。
その際、引用発明の「太陽電池セル14のリード線42」を「バスバー」とすることに何ら困難性は認められない。

エ よって、引用発明において、上記<相違点1>及び<相違点2>に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が上記周知技術に基いて容易になし得たことである。

(3)効果
本願発明の奏する効果は、当業者が引用発明の奏する効果及び上記周知技術の奏する効果から予測し得ることである。

3 令和元年6月18日に提出の意見書における主張について
(1)請求人は、意見書において、以下のように主張することから、この点について検討する。

ア 「一方、補正後の請求項1に記載の光電池モジュールは、端子箱を備え、この端子箱内にチャンバを設け、i)チャンバを少なくとも三つのサブチャンバに分けるように、少なくとも二つの隔板がチャンバ内に設けられ、ii)リード線口は、少なくとも三つのサブチャンバのうち、最外端の二つのサブチャンバの側壁に設けられ、iii)ダイオードは、少なくとも三つのサブチャンバのうち、中間のサブチャンバ内に設けられる、という特徴を有します。
引用文献1-15のいずれにも、端子箱について開示されておらず、特徴i)ii)iii)も記載されていません。また、引用文献1-15には、端子箱が開示されていないため、引用文献1-15に基づいて、補正後の請求項1に記載の光電池モジュールが有する特徴i)ii)iii)に想到することは困難です。」(第4頁上段)

請求人は、当審拒絶理由において、請求項1ないし請求項7に係る発明に対して引用した周知文献(引用文献2ないし15)には、本願発明の「特徴i)ii)iii)」に関する構成が開示されていない旨主張するが、本件補正前には、端子箱に関する構成は、請求項8及び請求項9に記載されており、請求項1ないし請求項7に係る発明に対して引用した周知文献に、その具体的な構造に関する記載がなかったというだけのことである。

イ 「引用文献16は、端子ボックス8が設けられている太陽電池モジュール1Aを開示していますが、……端子ボックス8の内部では、端子が接続ケーブル9に直接接続されており、端子ボックス8の内部を三つのサブチャンバに分けることは困難です。
……
引用文献17は、太陽電池素子6に接続された出力端子9と端子ボックス5の内部で結線部19にて半田付けや圧着端子等によって出力端子9に接続された出力ケーブル10とを開示していますが、……出力端子9は、この端子ボックス5の内部で出力ケーブル10に直接接続されており、端子ボック
ス5の内部を三つのサブチャンバに分けることは困難です。
……
引用文献18は、枠部材21の外側に設けられた外部端子部25と、枠部材21の内側に設けられた電極端子部26と、を有する端子部材24を開示していますが、……端子部材24は、太陽電池1の出力を外部に導出するのみのものです。このため、引用文献18の記載に基づいて、端子箱内にチャ
ンバを設け、i)チャンバを少なくとも三つのサブチャンバに分けるように、少なくとも二つの隔板がチャンバ内に設けられ、という特徴を得ることはできません。」(第4頁中段ないし第5頁中段)

(ア)請求人は 当審拒絶理由において、本件補正前の請求項8及び請求項9に係る発明に対して引用した周知文献(引用文献16ないし18)に記載された端子構造からでは、本願発明の「特徴i)ii)iii)」に関する構成を導くことはできない旨主張する。

(イ)本件補正前の請求項8及び請求項9の記載は、以下のとおりである。

「【請求項8】
前記光電池モジュールは、端子箱を更に備え、前記電池片パック層は、前記透光上端蓋板と前記バックプレートとの間からバスバーを引き出し、電池片のエネルギーを引き出すように、前記端子箱と前記バスバーとは、電気接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光電池モジュール。
【請求項9】
前記透光上端蓋板及び前記バックプレートは、矩形形状に形成され、前記端子箱は三つであり、且つ相互に間隔を置いて前記矩形の一つの短い辺に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の光電池モジュール。」

本件補正前の請求項8には「端子箱とバスバーとは、電気接続されている」との特定があるだけで、端子箱内部の構造やバスバーがどのような部材にどのようにして電気接続しているのかは特定されていない。
つまり、上記「特徴i)ii)iii)」に関する構成は、本件補正により初めて追加されたものであるから、結局、請求人の主張は、提示した周知文献に、上記「特徴i)ii)iii)」に関する記載がなかったというだけのことである。

(ウ)ところで、端子箱の構造は、光電池モジュールが家庭用であるのか、大規模発電用であるのかなど、必要とする光電池モジュールの数(面積)、最大出力、各光電池モジュールからどのようにして集電するのかなどを考慮して決めるべきことであるから、ダイオードだけではなく、SPD(避雷器)なども要求される安全性に応じて適宜採用し得るものである。
そして、上記「2(1)」で指摘したように、「内部を隔板により三個に区分けし、中央の区画内にダイオードを配置し、左右の区画内で配線を接続するようにした端子箱は、本願の優先日時点で周知であり、引用発明において、その適用を妨げる特段の事情は認められない。

(2)よって、請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。

4 まとめ
本願発明は、当業者が引用発明及び上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明及上記周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-07-08 
結審通知日 2019-07-09 
審決日 2019-07-22 
出願番号 特願2016-542935(P2016-542935)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹村 真一郎嵯峨根 多美  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 星野 浩一
野村 伸雄
発明の名称 光電池モジュール  
代理人 美恵 英樹  
代理人 木村 満  
代理人 桜田 圭  
代理人 森川 泰司  

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