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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 G07B 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G07B 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 G07B |
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管理番号 | 1357624 |
異議申立番号 | 異議2019-700028 |
総通号数 | 241 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-01-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-01-18 |
確定日 | 2019-10-15 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6358135号発明「通行管理システム、携帯装置、ゲート装置、進入通知プログラム、通行管理プログラム、及び、通行管理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6358135号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項5、〔7-9〕、10、11について訂正することを認める。 特許第6358135号の請求項7及び11に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6358135号の請求項1?12に係る特許についての出願は、平成27年3月11日に出願され、平成30年6月29日にその特許権の設定登録がされ、同年7月18日に特許掲載公報が発行された。 その後、その請求項7及び11に係る特許について、平成31年1月18日に特許異議申立人田中貞嗣及び小山卓志(以下「特許異議申立人」という。)より特許異議の申立てがされ、同年4月24日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和1年7月8日に訂正請求書及び意見書が提出され、同年7月23日付けで訂正請求があった旨が通知されたが(特許法第120条の5第5項)、これに対する特許異議申立人の応答はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和1年7月8日付けの訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許第6358135号(以下「本件特許」という。)の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項5、〔7-9〕、10、11について訂正することを請求するものであり、その内容は以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項5に「料金を算出して清算する料金精算装置」とあるのを、「料金を算出して精算する料金精算装置」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7に 「管理対象とする通路に設けられるゲート装置であって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する放出手段、および、 前記通路を通行する通行者が携帯する携帯装置から進入通知情報を取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を実行する通路側処理手段、を備える、 ゲート装置。」とあるのを、 「管理対象とする通路に設けられ、ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいてゲート装置の前記通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信するゲート装置であって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された前記第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、前記基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する放出手段、および、 前記通路を通行する通行者が携帯する前記携帯装置から、前記放出手段の前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記進入通知情報を近距離無線通信により取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を実行する通路側処理手段、を備える、 ゲート装置。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項10に 「コンピュータにインストールされて、管理対象とする通路に設けられるゲート装置に進入通知情報を通知する通知プログラムであって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、一定の送信エネルギー量で間欠的に放出された2つの基準信号を受信した受信エネルギー量に基づいて、前記通路の前記通行方向における所定の進入位置に進入した状況か否かを判断する進入判定ステップと、 前記進入位置に進入したと判定した場合に、前記ゲート装置に進入通知情報を通知する通知ステップと、を実行する、 通知プログラム。」とあるのを、 「コンピュータにインストールされて、管理対象とする通路に設けられるゲート装置に進入通知情報を通知する進入通知プログラムであって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、一定の送信エネルギー量で間欠的に放出された2つの基準信号を受信した受信エネルギー量に基づいて、前記通路の前記通行方向における所定の進入位置に進入した状況か否かを判断する進入判定ステップと、 前記進入位置に進入したと判定した場合に、前記ゲート装置に進入通知情報を通知する通知ステップと、を実行する、 進入通知プログラム。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項11に 「コンピュータにインストールされて、管理対象とする通路の通行方向における所定の進入位置に進入した通行者への処理を実行する通行管理プログラムであって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出させる放出ステップと、 前記通路を通行する通行者に携帯される携帯装置が通知する進入通知情報を取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を行う通行管理ステップと、 を実行する通行管理プログラム。」とあるのを、 「管理対象とする通路に設けられ、ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいて前記ゲート装置の通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信する前記ゲート装置の、メモリとCPUを備えた制御部にインストールされて、管理対象とする前記通路の通行方向における所定の前記進入位置に進入した通行者への処理を実行する通行管理プログラムであって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのそれぞれから、前記基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出させる放出ステップと、 前記通路を通行する通行者に携帯される前記携帯装置から、前記放出ステップにおいて前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記進入通知情報を近距離無線通信により取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を行う通行管理ステップと、 を実行する通行管理プログラム。」に訂正する。 (5)訂正事項5 願書に添付した明細書の段落【0018】に「料金を清算する料金精算装置」とあるのを、「料金を精算する料金精算装置」に訂正する。 (6)訂正事項6 願書に添付した明細書の段落【0051】に「料金清算情報」とあるのを、「料金精算情報」に訂正する。 (7)一群の請求項 本件訂正は、一群の請求項5、〔7-9〕、10、11に対して請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1、3、5及び6について 訂正事項1、5及び6による訂正は、訂正前の請求項5、明細書の段落【0018】及び明細書の段落【0051】のそれぞれに、「料金を算出して清算する料金精算装置」、「料金を清算する料金精算装置」及び「料金清算情報」とあるのを、明細書の段落【0018】及び【0051】等の「精算」という記載を根拠に、それぞれ、「料金を算出して精算する料金精算装置」、「料金を精算する料金精算装置」及び「料金精算情報」に訂正するものであり、いずれも、誤記の訂正を目的とするものである。 訂正事項3による訂正は、訂正前の請求項10の二箇所に「通知プログラム」とあるのを、発明の名称の「・・・進入通知プログラム・・・」及び明細書の段落【0030】、【0040】の「進入通知プログラム」という記載を根拠に、それぞれ「進入通知プログラム」に訂正するものであり、いずれも、誤記の訂正を目的とするものである。 そして、訂正事項1、3、5及び6は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、訂正事項1、3、5及び6は、上述したとおり誤記を訂正するものであり、訂正事項1により訂正された請求項5及び訂正事項3により訂正された請求項10は、いずれも発明特定事項が、訂正前と訂正後で実質的に異なるものではなく、独立特許要件を満たすことは明らかである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項7に記載した発明を特定するために必要な事項である「管理対象とする通路に設けられるゲート装置」について、本件の特許請求の範囲の請求項1及び明細書の段落【0024】?【0040】の記載(以下これらの記載を「進入通知情報の発行及び取得に関する記載」という。)、特に、請求項1の「前記携帯装置は、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとから受信した2つの基準信号の受信エネルギー量に基づいて、前記通路の前記通行方向における所定の進入位置に進入した状況か否かを判断し、前記進入位置に進入したと判定した場合に、前記ゲート装置に進入通知情報を通知する携帯側処理手段、を備え、」、段落【0031】の「ゲート装置12は、制御部31と近距離無線通信部32と扉制御部33とを備えている。制御部31は、CPUやROM、RAM等の機能の総体としての機能ブロックである。近距離無線通信部32は、近距離無線通信を行う通信部である。」、及び、段落【0037】の「そして、携帯装置11の携帯側処理手段23は、受信エネルギー量E1,E2がいずれも閾値を超えたとき、すなわち、自装置が通路14における所定の進入位置15に到達したと判定したとき、進入通知情報を発行し、その進入通知情報を、情報送受手段24を介してゲート装置12に通知する(S17)。このステップS17が、この発明で言う通知ステップに相当する。」という記載を根拠に、「ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいてゲート装置の前記通路の通行方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信する」という事項を付加し、「管理対象とする通路に設けられ、ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいてゲート装置の前記通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信するゲート装置」に限定するものである。 さらに、訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項7に記載した発明を特定するために必要な事項である「入通知情報を取得し、」について、上記の進入通知情報の発行及び取得に関する記載を根拠に、「進入通知情報」及び「取得」のそれぞれに、「前記放出手段の前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された」及び「近距離無線通信により」という事項を付加し、「前記放出手段の前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記進入通知情報を近距離無線通信により取得し、」に限定するものである。 また、訂正事項2による上記の各訂正は、訂正前の請求項7に記載した発明を特定するために必要な事項である「基準信号」、「進入位置」、「進入通知情報」、「取得」、「放出」、「放出手段」及び「通路側処理手段」について、これらの具体的構成及び相互関係を明確に特定するものである。 したがって、訂正事項2による訂正は、本件の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載された事項の範囲内において、「管理対象とする通路に設けられるゲート装置」及び「入通知情報を取得し、」を限定したものであり、また、発明を特定するために必要な事項の具体的構成及び相互関係を明確にしたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、かつ、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)訂正事項4について 訂正事項4による訂正は、訂正前の請求項11に記載した発明を特定するために必要な事項である「コンピュータにインストール」について、上記の進入通知情報の発行及び取得に関する記載を根拠に、「コンピュータ」に代えて、実質的にコンピュータの構成を限定した「管理対象とする通路に設けられ、ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいて前記ゲート装置の通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信する前記ゲート装置の、メモリとCPUを備えた制御部」という事項を採用し、「管理対象とする通路に設けられ、ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいて前記ゲート装置の通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信する前記ゲート装置の、メモリとCPUを備えた制御部にインストール」に限定するものである。 さらに、訂正事項4による訂正は、訂正前の請求項11に記載した発明を特定するために必要な事項である「携帯装置が通知する進入通知情報を取得し、」について、上記の進入通知情報の発行及び取得に関する記載を根拠に、「進入通知情報」及び「取得」のそれぞれに、「前記放出ステップにおいて前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された」及び「近距離無線通信により」という事項を付加し、「前記携帯装置から、前記放出ステップにおいて前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記進入通知情報を近距離無線通信により取得し、」に限定するものである。 また、訂正事項4による上記の各訂正は、訂正前の請求項11に記載した発明を特定するために必要な事項である「基準信号」、「進入位置」、「進入通知情報」、「取得」、「放出」、「放出ステップ」及び「通行管理ステップ」について、これらの具体的構成及び相互関係を明確に特定するものである。 したがって、訂正事項4による訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内において、「コンピュータにインストール」及び「携帯装置が通知する進入通知情報を取得し、」を限定したものであり、また、発明を特定するために必要な事項の具体的構成及び相互関係を明確にしたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、かつ、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、同第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするもの、及び、同第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので(訂正事項1、3、5及び6については第7項の規定にも適合するので)、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項5、〔7-9〕、10、11について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項5、7、10及び11に係る発明(以下それぞれ「本件発明5、7、10及び11」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項5、7、10及び11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項5】 前記ゲート装置として、 前記通路側処理手段で前記進入通知情報を取得すると、前記携帯装置の識別情報をひも 付けして入場情報を発行する入場側ゲート装置と、 前記通路側処理手段で前記進入通知情報を取得すると、前記携帯装置の識別情報をひも付けして出場情報を発行する出場側ゲート装置と、を備え、 更に、前記入場情報と前記出場情報とを取得し、前記携帯装置の識別情報ごとに料金を算出して精算する料金精算装置、を備える、 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通行管理システム。」 「【請求項7】 管理対象とする通路に設けられ、ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいてゲート装置の前記通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信するゲート装置であって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのそれぞれから、前記基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する放出手段、および、 前記通路を通行する通行者が携帯する前記携帯装置から、前記放出手段の前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記進入通知情報を近距離無線通信により取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を実行する通路側処理手段、を備える、 ゲート装置。」 「【請求項10】 コンピュータにインストールされて、管理対象とする通路に設けられるゲート装置に進入通知情報を通知する進入通知プログラムであって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、一定の送信エネルギー量で間欠的に放出された2つの基準信号を受信した受信エネルギー量に基づいて、前記通路の前記通行方向における所定の進入位置に進入した状況か否かを判断する進入判定ステップと、 前記進入位置に進入したと判定した場合に、前記ゲート装置に進入通知情報を通知する通知ステップと、を実行する、 進入通知プログラム。」 「【請求項11】 管理対象とする通路に設けられ、ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいて前記ゲート装置の通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信する前記ゲート装置の、メモリとCPUを備えた制御部にインストールされて、管理対象とする前記通路の通行方向における所定の前記進入位置に進入した通行者への処理を実行する通行管理プログラムであって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのそれぞれから、前記基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出させる放出ステップと、 前記通路を通行する通行者に携帯される前記携帯装置から、前記放出ステップにおいて前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記進入通知情報を近距離無線通信により取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を行う通行管理ステップと、 を実行する通行管理プログラム。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 本件訂正前の請求項7及び11に係る特許に対して、当審が平成31年4月24日付けの取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 なお、当該取消理由通知において特許異議申立理由は全て採用した。 1-1 取消理由1(特許法第29条第1項第3号:新規性) 本件特許の請求項7及び11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当する。よって、その請求項7及び11に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである(特許異議申立書10頁15行?11頁17行、13頁18行?14頁24行、及び、16頁1?23行等も参照。)。 1-2 取消理由2(特許法第29条第2項:進歩性) 本件特許の請求項7及び11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。よって、本件特許の請求項7及び11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである(特許異議申立書11頁18行?13頁16行、14頁25行?15頁29行、及び、16頁24行?21頁2行等も参照。)。 刊行物等 1:特開2015-118524号公報 2:特開2006-163587号公報 3:特開2014-96180号公報 4:特開2004-70487号公報 これらの刊行物等1?4(以下それぞれ「引用文献1」?「引用文献4」という。)は、特許異議申立人が提出した甲第1?4号証である。 1-3 取消理由3(特許法第36条第6項第2号:明確性) 本件特許の請求項7及び11に係る発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。よって、その請求項7及び11に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消すべきものである(特許異議申立書8頁11行?10頁12行等も参照。)。 1-4 取消理由4(特許法第36条第6項第1号:サポート要件) 本件特許の請求項7及び11に係る発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。よって、その請求項7及び11に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消すべきものである。 2 当審の判断 2-1 取消理由1及び取消理由2について 2-1-1 引用文献に記載された事項及び発明 (1)引用文献1について 引用文献1は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物ではないから、上記の取消理由通知で認定した引用文献1に記載された事項(引用発明1等)は、取消理由1及び取消理由2において、採用できない。 (2)引用文献2について ア 引用文献2に記載された事項 引用文献2には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同様である。)。 (2a) 「【0001】 本発明は、人の入場が規制される管理区域への入場または管理区域からの退場をカードなどの通行媒体によって管理する通行管理装置に関する。」 (2b) 「【0007】 本発明の課題とするところは、通行する人数を入力する操作部を設けることなく、人の管理区域への入場または管理区域からの退場を通行媒体によって管理しつつ、1つの通行媒体で複数の人が通行することのできる通行管理装置を提供することにある。」 (2c) 「【0016】 以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。図1は本発明に係る通行管理装置の平面図である。図2(a)は通行管理装置の側面図、図2(b)は通行管理装置の正面図である。図3は通行管理装置の電気的構成を示すブロック図である。図4は通行管理装置で用いられるカードリーダの電気的構成を示すブロック図である。通行管理装置は、外来者や部外者など(以下、これらを総称して外来者という)の入場が規制される管理区域51の出入口に設置されている。また、管理区域51は外来者が自由に入場できる非管理区域52から隔壁53で仕切られている。 【0017】 通行管理装置は平行に配された一対の本体2a,2bで構成され、本体2a、2bには、それぞれカードリーダ21a、21bが設けられている。管理区域51に入場するとき、または管理区域51から退場するときに、非接触型の通行媒体である有効な(正規の)カード1をカードリーダ21a,21bに読み取らせた者(以下、通行可能者という)は、通行管理装置の通路50を通行することができる。尚、図1では、カードリーダのアンテナコイル(アンテナ)の上面カバーをカードリーダ21a,21bとして示している。このカード1には、通行管理装置で使用されるカードであることを示すカード固有情報、カード利用者を特定するカード番号など(以下では、これらを総称してカード情報とよぶ)が記録されている。カード番号なども含めて有効カードであるか否かを判定するようにしてもよいが、ここでは正しいカード固有情報が記録されたカード1を有効カードとして扱う。 【0018】 カードリーダ21a、21bの前方には、それぞれカード表示部22a、22bが設けられている。カード表示部22aおよび22bには、それぞれカードリーダ21aおよび21bで読み取られたカード1の有効・無効などに従って、図8(a)に示す通行可を表すメッセージ(以下、OKメッセージという)または図8(b)に示す通行否を表すメッセージ(以下、NGメッセージという)が表示される。また、本体2の正面には通行可否表示部27が設けられており、通路50の通行の可否を示すシンボル(例えば、「○」および「×」)が表示される。本実施形態では、通路50は双方向に通行可能であるので、本体2a,2bの通行可否表示部27の双方に、通行可であることを示すシンボル「○」が表示される。」 (2d) 「【0021】 図3を参照して通行管理装置の電気的構成について説明する。制御部20は、いずれかの本体2内に設けられており、CPU20a、メモリー20bなどから構成される。制御部20は、カードリーダ21からのカード情報および通行検出センサ25,26の検出信号をメモリー20bに格納すると共に、これらのカード情報および検出信号に基づき、カード表示部22および扉開閉駆動部28を制御する。扉開閉駆動部28は、制御部20からの信号に従って不図示の扉開閉機構を駆動し、これにより扉23,24を開閉する。つまり、制御部20は扉23,24の開閉を制御する。また、制御部20は、通行管理装置の動作モードに従って通行可否表示部27に上述の通行の可否を表すシンボルを表示する。 【0022】 本発明で使用されるカードリーダ21自体は公知のものであり、カードリーダ21のアンテナコイルを介して非接触型のカード1に記録されたカード情報を読み取る。ここで、カード1からカード情報を読み取る方法について簡単に説明する。非接触型のカード1はアンテナコイルとアンテナコイルに接続されたICチップとを備え、ICチップは送信回路、受信回路、制御回路、カード情報が記録されたメモリーなどを内蔵している。一方、カードリーダ21は、図4に示すように、アンテナコイル215、アンテナコイル215に接続された送信回路213および受信回路214、CPU210、メモリー211、ならびに制御部20に対する通信インタフェイスであるI/F回路212を備える。そして、カード1がカードリーダ21の動作磁界範囲(通信可能領域)にかざされると、一方のアンテナコイルに流れる電流を変化させることによって生じる磁界の変動を、他方のアンテナコイルで検出することにより、カード1とカードリーダ21との間で通信が行われる。 【0023】 この通信では、カードリーダ21はコマンドを送信し、コマンドを受信したカード1はカード情報を送信する。また、カードリーダ21は読み取ったカード情報をメモリー211に保存する。CPU210は、通行管理装置の制御部20からカード情報の送信指示を受信すると、メモリー211に保存されているカード情報を制御部20に送信する。カード情報がメモリー211に保存されていない場合は、カード情報がない旨を送信する。 ・・・ 【0027】 カード読み取り処理では、カード1のカード情報を読み取るためにカード1に対してコマンドを送信する(S11)。このコマンドによりアンテナコイル215を流れる電流が変化し、結果的にアンテナコイル215を貫く磁界が変動する。コマンドを送信したことによって、カードリーダ21の通信可能領域にかざされたカード1からカード情報を受信した場合は(S12:YES)、カード検出フラグが0であるか否かを調べる(S13)。カード検出フラグが0である場合(S13:YES)、すなわちカード1が通信可能領域にかざされてから最初に読み取られた場合は、カード検出フラグに1を設定し(S14)、受信したカード情報をメモリー211に領域が確保された送信バッファに書き込み(S15)、メイン処理に戻る。」 (2e) 図1?4は、以下のとおりである。 イ 引用文献2に記載された発明 (ア) 摘記(2c)の段落【0017】に記載の「本体2a、2bには、それぞれカードリーダ21a、21bが設けられている。」ことに関して、「通路50は双方向に通行可能である」(摘記(2c)の段落【0018】)こと、及び、図1を併せて参照すると、一対の本体2a、2bは、通路50の通行方向において異なる位置に配置されそれぞれカードリーダ21が設けられていることが明らかである。 (イ) 摘記(2d)の段落【0022】を参照すると、「カードリーダ21」と「カード1」は、それぞれ「アンテナコイル」を「備え」ているから、「一方のアンテナコイルに流れる電流を変化させることによって生じる磁界の変動を、他方のアンテナコイルで検出する」ことは、カードリーダ21が備えるアンテナコイルとカード1が備えるアンテナコイルのうち、一方のアンテナコイルに流れる電流を変化させることによって生じる磁界の変動を、他方のアンテナコイルで検出することが、明らかである。 (ウ) 上記(ア)、(イ)、摘記(2a)?(2d)及び図1?4(摘記(2e))から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明2] 「非接触型の通行媒体である有効なカード1をカードリーダ21に読み取らせた者が通行管理装置の通路50を通行することができる、平行に配された一対の本体2a,2bで構成される、通行管理装置であって、 一対の本体2a、2bは、通路50の通行方向において異なる位置に配置されそれぞれカードリーダ21が設けられ、カード1がカードリーダ21の動作磁界範囲(通信可能領域)にかざされると、カードリーダ21が備えるアンテナコイルとカード1が備えるアンテナコイルのうち、一方のアンテナコイルに流れる電流を変化させることによって生じる磁界の変動を、他方のアンテナコイルで検出することにより、カード1とカードリーダ21との間で通信が行われ、 制御部20は、いずれかの本体2a,2b内に設けられ、カードリーダ21からのカード1に記録されたカード情報および通行検出センサ25,26の検出信号をメモリー20bに格納すると共に、これらのカード情報および検出信号に基づき、カード表示部22および扉開閉駆動部28を制御する、 通行管理装置。」 (3)引用文献3について ア 引用文献3に記載された事項 引用文献3には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (3a) 「【0001】 本発明は、交通手段に乗り降りするための施設に設置の自動改札機と通信可能な通信装置を用いてその施設を設けた交通機関を利用する利用者から料金を徴収するための技術に関する。」 (3b) 「【0024】 改札機200の制御部202は、例えばリーダ/ライタ203を常時、間欠的に駆動させることにより、通信待ちの状態とさせている。このため、利用者が指定箇所にICカード300を移動させると、電力生成回路304が電力を生成して各部への供給を開始する。それにより、CPU302は通信制御部301を制御して自動改札機200との間で通信を開始し、メモリ303に格納されている定期券情報や金額情報を自動改札機200に送信する。」 (4)引用文献4について ア 引用文献4に記載された事項 引用文献4には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (4a) 「【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は、通路における利用者の通行を制限する自動改札機に関する。」 (4b) 「【0011】 この発明の目的は、通路を通行する際の利便性を向上させるとともに、通路内における利用者の動きと、手荷物の動きを区別して検出することで誤動作の発生確率を抑えた自動改札機を提供することにある。」 (4c) 「【0028】 図1はこの発明の実施形態である自動改札機の構成を示すブロック図であり、図2はこの実施形態の自動改札機の外観を示す図であり、図3は同自動改札機の通路側の側面図である。自動改札機1は、図2に示すように、2つの改札ユニットA、Bを対向させて配置し、改札ユニットA、B間に通路を形成している。自動改札機1は、本体の動作を制御する制御部2と、通路内に位置する通信機器との通信を制御する通信部3と、通路の通行を制限する扉を開閉する扉駆動部4と、利用者に対して通路の通行可否等を表示する表示部5と、を備えている。 【0029】 通信部3には、4つの送信アンテナ11a?11dと、4つの受信アンテナ12a?12dが設けられている。4つの送信アンテナ11a?11dは、改札ユニットAの側面に設けられたシールド板13に略等間隔に配置されている(図3(A)参照)。送信アンテナ11a?11dは、通路に沿って並べられている。一方、4つの受信アンテナ12a?12dは、改札ユニットBの側面に設けられたシールド板14に略等間隔に配置されている(図3(B)参照)。受信アンテナ12a?12dは、通路に沿って並べられている。送信アンテナ11aと受信アンテナ12aとは通路を挟んで対向している。同様に、送信アンテナ11bと受信アンテナ12b、送信アンテナ11cと受信アンテナ12c、送信アンテナ11dと受信アンテナ12d、が通路を挟んで対向している。送信アンテナ11a?11dと受信アンテナ12a?12dとは、パッチアンテナである。また、送信アンテナ11a?11d、および受信アンテナ12a?12dは指向性を有し、各送信アンテナ11a?11dから送信される電波の送信エリアについては重なっていない(図4参照)。」 (4d) 「【0036】 以下、この発明の実施形態である自動改札機1の動作について説明する。 【0037】 図5は、この発明の実施形態である自動改札機の動作を示すフローチャートである。図6、および図7は通路において通信機器を所持している利用者の通行を示す図であり、図8、および図9は通路において通信機器を所持していない利用者の通行を示す図である。 【0038】 自動改札機1は、通信部3が4つの送信アンテナ11a?11dから応答要求信号を所定時間間隔、例えば数十ms間隔、で繰り返し送信している。この応答要求信号は、自動改札機1の通路を通行する利用者が所持している通信機器10に対して応答を要求するコマンドである。通信機器10には、自動改札機1の通路における利用者の通行可否を判定するための、乗車券情報が記憶されている。 【0039】 なお、通常時、自動改札機1の扉21、22は開されており、利用者が通路に進入できる状態である。 【0040】 自動改札機1は、通路の前後(扉21、22側)に設けられている2つの受信アンテナ12a、12dにおいて、受信されている上記応答要求信号の受信レベルが予め定められている閾値以下であるかどうかを監視している(s1、s2)。自動改札機1は、通路内に利用者がいない場合、図6(A)や、図8(A)に示すように、送信アンテナ11a?11dから送信されている応答要求信号が受信アンテナ12a?12dで受信されている。送信アンテナ11a?11dから送信された応答要求信号は、上述したように通路外に殆ど漏れていない。このため、通路外にいる利用者が所持している通信機器10において、送信アンテナ11a?11dから送信された応答要求信号が受信されることはない。したがって、通路外に位置する通信機器10が自動改札機1に対して応答信号を返すことはない。 【0041】 送信アンテナ11a?11dから送信される電波は、物体に吸収されやすい周波数(2.4GHz)であり、通路を挟んで対向している送信アンテナ11a?11dと受信アンテナ12a?12dとの間、すなわち通路に利用者や利用者のカバン等、物体が位置すると、受信アンテナ12a?12dにおける受信レベルが低下する。上記閾値は、対向している送信アンテナ11a?11dと受信アンテナ12a?12dとの間に物体(利用者を含む)が位置しているかどうかを検出できる大きさに設定されている。また、応答要求信号を所定時間間隔(数十ms間隔)で送信しているので、利用者や利用者のカバン等の通過を略確実に検出できる。 【0042】 図6(B)または図8(B)に示すように扉21側から利用者が通路に進入し、該利用者が扉21側に配置された送信アンテナ11a、受信アンテナ12a間に達すると、受信アンテナ12aにおける応答要求信号の受信レベルが閾値以下に低下する。反対に、図示していない扉22側から利用者が通路に進入し、該利用者が扉22側に配置された送信アンテナ11d、受信アンテナ12d間に達すると、受信アンテナ12dにおける応答要求信号の受信レベルが閾値以下に低下する。自動改札機1は、s1、s2で、受信アンテナ12a、12dにおける応答要求信号の受信レベルが閾値以下であるかどうかを監視することにより、利用者が通路に進入したかどうかを検出している。 【0043】 自動改札機1は、受信アンテナ12aにおける応答要求信号の受信レベルが閾値以下になったことを検出すると、扉21側から利用者が通路に進入したと判定する(s3)。例えば、駅構内に入場する利用者が通路に進入したと判定する。反対に、自動改札機1は、受信アンテナ12dにおける応答要求信号の受信レベルが閾値以下になったことを検出すると、扉22側から利用者が通路に進入したと判定する(s4)。例えば、駅構内から退場する利用者が通路に進入したと判定する。 【0044】 ここで、通路に進入した利用者が通信機器10を所持している場合、通信機器10において送信アンテナ11a(または11d)から送信された応答要求信号が受信される。通信機器10は、応答要求信号を受信すると、応答信号を返す。この応答信号には通信機器10に記憶されている乗車券情報だけでなく、応答要求信号に含まれていた自動改札機1の識別コードが含まれている。 【0045】 自動改札機1は、s3またはs4で利用者が通路に進入したことを検出すると、いずれかの受信アンテナ12a?12dにおいて通信機器10からの応答信号を受信したかどうかを判定する(s5)。s5では、通路に進入した利用者が、通信機器10を所持しているかどうかを判定している。 【0046】 ここで、自動改札機1から送信される応答要求信号は、図10(A)に示すように所定時間間隔で出力されており、且つ応答要求信号を受信した通信機器10が図10(B)に示すように自動改札機1から応答要求信号が送信されていないときに応答信号を送信するので、上記応答要求信号と前記応答信号とが衝突することはなく、受信アンテナ12において応答信号を適正に受信することができる。 【0047】 なお、通信機器10から送信される応答信号は、無指向性であり、且つ送信レベルも比較的大きいことから反射波があるので、全ての受信アンテナ12a?12dにおいて受信される。また、隣接する他の自動改札機1の受信アンテナ12a?12dで受信される可能性もあるが、この応答信号には自動改札機1の識別コードが含まれているので、自動改札機1は他の自動改札機1に対する応答信号を受信しても、これを無視できる。 【0048】 自動改札機1は、s5で応答信号を受信したと判定すると、受信した応答信号に含まれている乗車券情報を用いて、通路に進入した利用者について、通路の通行可否を判定する(s6)。自動改札機1は、s6で通行可であると判定すると、扉21、22を開状態に保持し(s7)、通路内における利用者、および該利用者の荷物(カバンや連れている幼児)の動きを、通路から出るまで監視し(s8、s9)、s1に戻る。」 (4e) 「【0063】 なお、この発明は駅の改札口だけでなく、遊園地や駐車場等の入り口に設置される自動改札機にも適用できる。 【0064】 また、上記実施形態では、送信アンテナ11a?11d、および受信アンテナ12a?12dを通路に沿って4つ並べた例を示したが、5つ以上であってもよしい、2つまたは3つであってもよい。」 (4f) 図1?12は、以下のとおりである。 イ 引用文献4に記載された発明 (ア) 摘記(4d)の段落【0038】に記載の「自動改札機1は、通信部3が4つの送信アンテナ11a?11dから応答要求信号を所定時間間隔、例えば数十ms間隔、で繰り返し送信している。」ことに関し、摘記(4d)の段落【0046】及び図10の記載を参照すると、当該応答要求信号は、一定の送信エネルギー量で、所定時間間隔、で繰り返し送信されていることが、明らかである。 (イ) 摘記(4d)の段落【0048】に記載の「自動改札機1は、s5で応答信号を受信したと判定すると、受信した応答信号に含まれている乗車券情報を用いて、通路に進入した利用者について、通路の通行可否を判定する(s6)。自動改札機1は、s6で通行可であると判定すると、扉21、22を開状態に保持し(s7)」という自動改札機1が実行する制御は、「自動改札機1」の「本体の動作を制御する制御部2」及び「扉駆動部4」により制御されることが、明らかである。 (ウ) 上記(ア)、(イ)、摘記(4a)?(4d)及び図1?12(摘記(4f))から、引用文献4には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明4] 「通路を形成している、通路における利用者の通行を制限する自動改札機1であって、 略等間隔に配置され通路に沿って並べられている4つの送信アンテナ11a?11dから、応答要求信号を一定の送信エネルギー量で所定時間間隔、例えば数十ms間隔、で繰り返し送信している、通信部3と、 通路に進入した利用者が所持している通信機器10が応答要求信号を受信すると返す応答信号を受信したと判定すると、受信した応答信号に含まれている乗車券情報を用いて、通路に進入した利用者について、通路の通行可否を判定し、通行可であると判定すると、扉21、22を開状態に保持する、本体の動作を制御する制御部2及び扉駆動部4と、を備えている、 自動改札機1。」 2-1-2 対比・判断 (1)本件発明7について (1-1)本件発明7と引用発明2との対比・判断 ア 対比 本件発明7と引用発明2とを対比する。 (ア) a 引用発明2の「通行管理装置」は、「非接触型の通行媒体である有効なカード1をカードリーダ21に読み取らせた者が通行管理装置の通路50を通行することができる」ものであるから、引用発明2の「通行管理装置」は、ゲート機能を備えているといえる(扉開閉駆動部28も参照。)。 b 引用発明2の「通行管理装置」は、「平行に配された一対の本体2a,2bで構成され」、「一対の本体2a、2bは、通路50の通行方向において異なる位置に配置されそれぞれカードリーダ21が設けられ」、「非接触型の通行媒体である有効なカード1をカードリーダ21に読み取らせた者が通行管理装置の通路50を通行することができる」ことから、引用発明2の「平行に配された一対の本体2a,2bで構成される、通行管理装置」は、管理対象とする「通路50」を構成すること、すなわち、管理対象とする「通路50」に設けられていることが明らかである。 c したがって、引用発明2の「非接触型の通行媒体である有効なカード1をカードリーダ21に読み取らせた者が通行管理装置の通路50を通行することができる、平行に配された一対の本体2a,2bで構成される、通行管理装置」と、本件発明7の「管理対象とする通路に設けられ、ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいてゲート装置の前記通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信するゲート装置」とは、「管理対象とする通路に設けられ」る「ゲート装置」の限りで共通している。 (イ) a 引用発明2において、「一対の本体2a、2bは、通路50の通行方向において異なる位置に配置されそれぞれカードリーダ21が設けられ、カード1がカードリーダ21の動作磁界範囲(通信可能領域)にかざされると、カードリーダ21が備えるアンテナコイルとカード1が備えるアンテナコイルのうち、一方のアンテナコイルに流れる電流を変化させることによって生じる磁界の変動を、他方のアンテナコイルで検出することにより、カード1とカードリーダ21との間で通信が行われ」ることから、「一対の本体2a、2b」の各「カードリーダ21が備えるアンテナコイル」は、各「カードリーダ21が設けられ」る位置、すなわち、「通路50の通行方向において異なる位置」に、それぞれ設けられていることが明らかである。 b 引用発明2の各「通路50の通行方向において異なる位置」に、それぞれ設けられている「アンテナコイル」(上記a)は、本件発明7の「通路の通行方向において異なる位置に配置された」「第1のアンテナと」「第2のアンテナ」に相当する。 c 引用発明2の「カードリーダ21の動作磁界範囲(通信可能領域)」は、「カード1がカードリーダ21の動作磁界範囲(通信可能領域)にかざされ」た場合に、「カードリーダ21」と「カード1」とが確実に通信できるように、所定の通信可能領域となっているといえる。 そして、「カードリーダ21が備えるアンテナコイル」に流れる電流は、この所定の通信可能領域に対応するように一定であり、電流が一定であるから、「カードリーダ21が備えるアンテナコイル」は、基準信号を一定の送信エネルギー量で放出し、「カードリーダ21の」所定の「動作磁界範囲(通信可能領域)」を作り出し、この通信可能領域にカード1をかざすから通行できるといえる。 そうすると、引用発明2の「カード1がカードリーダ21の動作磁界範囲(通信可能領域)にかざされると、カードリーダ21が備えるアンテナコイルとカード1が備えるアンテナコイルのうち、一方のアンテナコイルに流れる電流を変化させることによって生じる磁界の変動を、他方のアンテナコイルで検出することにより、カード1とカードリーダ21との間で通信が行われ」る構成と、本件発明7の「前記基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する放出手段」の構成とは、「基準信号を一定の送信エネルギー量で」「放出する放出手段」の構成の限りで共通している。 d したがって、上記b及びcを踏まえると、引用発明2の「一対の本体2a、2bは、通路50の通行方向において異なる位置に配置されそれぞれカードリーダ21が設けられ、カード1がカードリーダ21の動作磁界範囲(通信可能領域)にかざされると、カードリーダ21が備えるアンテナコイルとカード1が備えるアンテナコイルのうち、一方のアンテナコイルに流れる電流を変化させることによって生じる磁界の変動を、他方のアンテナコイルで検出することにより、カード1とカードリーダ21との間で通信が行われ」る構成と、本件発明7の「前記通路の通行方向において異なる位置に配置された前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのそれぞれから、前記基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する放出手段」の構成とは、 「前記通路の通行方向において異なる位置に配置された」「第1のアンテナと」「第2のアンテナとのそれぞれから、」「基準信号を一定の送信エネルギー量で」「放出する放出手段」の構成の限りで共通している。 (ウ) a 引用発明2において、「非接触型の通行媒体である有効なカード1をカードリーダ21に読み取らせた者が通行管理装置の通路50を通行することができる」ことを踏まえると、引用発明2の「カードリーダ21からのカード1に記録されたカード情報」の「カード1」は、本件発明7の「通路を通行する通行者が携帯する」「携帯装置」に相当し、引用発明2の「カードリーダ21からのカード1に記録されたカード情報」は、本件発明7の「進入通知情報」に相当する。 b 上記aを踏まえると、引用発明2の「カードリーダ21からのカード1に記録されたカード情報」「をメモリー20bに格納する」構成は、本件発明7の「通路を通行する通行者が携帯する」「携帯装置から」「進入通知情報を」「取得」する構成に相当し、引用発明2の「これらのカード情報」「に基づ」く構成は、本件発明7の「取得した前記進入通知情報に基づ」く構成に相当する。 c 引用発明2の「扉開閉駆動部28を制御する」構成は、「扉」の「開閉」を制御して、「通路50を通行する」「者」への処理を実行する構成、すなわち、進入位置に進入した通行者への処理を実行する構成といえるから、引用発明2の「扉開閉駆動部28を制御する」構成は、本件発明7の「進入位置に進入した通行者への処理を実行する」構成に相当する。 d 引用発明2の「制御部20」が、上記b及びcの各構成に係る処理を実施していることと、上記(ア)bを踏まえると、引用発明2の「いずれかの本体2a,2b内に設けられ」る「制御部20」は、本件発明7の「通路側処理手段」に相当する。 したがって、引用発明2の「制御部20は、いずれかの本体2a,2b内に設けられ、カードリーダ21からのカード1に記録されたカード情報および通行検出センサ25,26の検出信号をメモリー20bに格納すると共に、これらのカード情報および検出信号に基づき、カード表示部22および扉開閉駆動部28を制御する」構成と、本件発明7の「前記通路を通行する通行者が携帯する前記携帯装置から、前記放出手段の前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記進入通知情報を近距離無線通信により取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を実行する通路側処理手段」の構成とは、「通路を通行する通行者が携帯する」「携帯装置から」「進入通知情報を」「取得し、」「取得した前記進入通知情報に基づいて、」「進入位置に進入した通行者への処理を実行する通路側処理手段」の構成の限りで共通している。 以上から、本件発明7と引用発明2との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「管理対象とする通路に設けられるゲート装置であって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、基準信号を一定の送信エネルギー量で放出する放出手段、および、 前記通路を通行する通行者が携帯する携帯装置から進入通知情報を取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、進入位置に進入した通行者への処理を実行する通路側処理手段、を備える、 ゲート装置。」 <相違点1> 「管理対象とする通路に設けられるゲート装置」に関して、本件発明7は、管理対象とする通路に設けられ、「ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいてゲート装置の前記通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信する」ゲート装置であるのに対して、引用発明2は、そのように特定されていない点。 <相違点2> 「基準信号を」「放出する」ことに関して、本件発明7は、基準信号を「間欠的に」放出するのに対して、引用発明2は、そのように特定されていない点。 <相違点3> 「携帯装置から、進入通知情報を取得」することに関して、本件発明7は、携帯装置から、「前記放出手段の前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記」進入通知情報を「近距離無線通信により」取得するのに対して、引用発明2は、そのように特定されていない点。 イ 判断 相違点1について、以下、検討する。 (ア) 引用文献3(摘記(3b)の段落【0024】)には、「改札機200の制御部202は、例えばリーダ/ライタ203を常時、間欠的に駆動させることにより、通信待ちの状態とさせている。」と記載され、引用文献4(摘記(4d)の段落【0044】及び【0048】)には、「通信機器10は、応答要求信号を受信すると、応答信号を返す。」及び「自動改札機1は、s5で応答信号を受信したと判定すると、受信した応答信号に含まれている乗車券情報を用いて、通路に進入した利用者について、通路の通行可否を判定する(s6)。」と記載されている。 しかしながら、ゲート装置が、「ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいてゲート装置の前記通路の通行方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信する」構成、すなわち、上記相違点1に係る本件発明7の構成は、引用文献3及び4にも、記載も示唆もされていない。 (イ) そうすると、引用発明2及び引用文献3?4に記載された技術事項に基いて、上記相違点1に係る本件発明7の構成を想到することは、当業者であっても容易になし得たとはいえない。 (ウ) したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、引用発明2及び引用文献3?4に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (1-2)本件発明7と引用発明4との対比・判断 ア 対比 本件発明7と引用発明4とを対比する。 (ア) a 引用発明4の「自動改札機1」は、「通路を形成している」から、通路に設けられるといえる。 b 引用発明4の「通路」は、「利用者の通行を制限する」「通路」であるから、管理対象とする通路であるといえる。 c したがって、引用発明4の「通路を形成している、通路における利用者の通行を制限する自動改札機1」と、本件発明7の「管理対象とする通路に設けられ、ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいてゲート装置の前記通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信するゲート装置」とは、「管理対象とする通路に設けられ」る「ゲート装置」の限りで共通している。 (イ) a 引用発明4の「略等間隔に配置され通路に沿って並べられている」「4つの送信アンテナ11a?11d」のうちの2つの送信アンテナ(例えば、送信アンテナ11aと送信アンテナ11d)は、本件発明7の「通路の通行方向において異なる位置に配置された」「第1のアンテナと」「第2のアンテナ」に相当する。 b 引用発明4の「応答要求信号」は、本件発明7の「基準信号」に相当する。 c 引用発明4の「応答要求信号を一定の送信エネルギー量で所定時間間隔、例えば数十ms間隔、で繰り返し送信している」構成は、本件発明7の「基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する」構成に相当する。 d したがって、引用発明4の「略等間隔に配置され通路に沿って並べられている4つの送信アンテナ11a?11dから、応答要求信号を一定の送信エネルギー量で所定時間間隔、例えば数十ms間隔、で繰り返し送信している、通信部3」は、本件発明7の「通路の通行方向において異なる位置に配置された」「第1のアンテナと」「第2のアンテナとのそれぞれから、」「基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する放出手段」に相当する。 (ウ) a 引用発明4の「通路に進入した利用者が所持している通信機器10」及び「応答要求信号を受信すると返す応答信号」は、それぞれ、本件発明7の「通路を通行する通行者が携帯する」「携帯装置」及び「進入通知情報」に相当する。 このことを踏まえると、引用発明4の「通路に進入した利用者が所持している通信機器10が応答要求信号を受信すると返す応答信号を受信したと判定する」構成は、本件発明7の「通路を通行する通行者が携帯する」「携帯装置から」「進入通知情報を」「取得」する構成に相当する。 b 上記aを踏まえると、引用発明4の「受信した応答信号に含まれている乗車券情報を用い」る構成は、本件発明7の「取得した前記進入通知情報に基づ」く構成に相当する。 c 引用発明4の「通路に進入した利用者」は、本件発明7の「進入位置に進入した通行者」に相当する。 このことを踏まえると、引用発明4の「通路に進入した利用者について、通路の通行可否を判定し、通行可であると判定すると、扉21、22を開状態に保持する」構成は、本件発明7の「進入位置に進入した通行者への処理を実行する」構成に相当する。 d したがって、引用発明4の「通路に進入した利用者が所持している通信機器10が応答要求信号を受信すると返す応答信号を受信したと判定すると、受信した応答信号に含まれている乗車券情報を用いて、通路に進入した利用者について、通路の通行可否を判定し、通行可であると判定すると、扉21、22を開状態に保持する、本体の動作を制御する制御部2及び扉駆動部4」の構成と、本件発明7の「前記通路を通行する通行者が携帯する前記携帯装置から、前記放出手段の前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記進入通知情報を近距離無線通信により取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を実行する通路側処理手段」の構成とは、「前記通路を通行する通行者が携帯する」「携帯装置から」「進入通知情報を」「取得し、」「取得した前記進入通知情報に基づいて、」「進入位置に進入した通行者への処理を実行する通路側処理手段」の構成の限りで共通している。 以上から、本件発明7と引用発明4との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「管理対象とする通路に設けられるゲート装置であって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する放出手段、および、 前記通路を通行する通行者が携帯する携帯装置から進入通知情報を取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、進入位置に進入した通行者への処理を実行する通路側処理手段、を備える、 ゲート装置。」 <相違点1> 「管理対象とする通路に設けられるゲート装置」に関して、本件発明7は、管理対象とする通路に設けられ、「ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいてゲート装置の前記通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信する」ゲート装置であるのに対して、引用発明4は、そのように特定されていない点。 <相違点2> 「携帯装置から、進入通知情報を取得」することに関して、本件発明7は、携帯装置から、「前記放出手段の前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記」進入通知情報を「近距離無線通信により」取得するのに対して、引用発明4は、そのように特定されていない点。 イ 判断 相違点1について、以下、検討する。 (ア) 引用文献2(摘記(2d)の段落【0022】)には、「カード1がカードリーダ21の動作磁界範囲(通信可能領域)にかざされると、一方のアンテナコイルに流れる電流を変化させることによって生じる磁界の変動を、他方のアンテナコイルで検出することにより、カード1とカードリーダ21との間で通信が行われる。」と記載され、引用文献3(摘記(3b)の段落【0024】)には、「改札機200の制御部202は、例えばリーダ/ライタ203を常時、間欠的に駆動させることにより、通信待ちの状態とさせている。」と記載されている。 しかしながら、ゲート装置が、「ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいてゲート装置の前記通路の通行方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信する」構成、すなわち、上記相違点1に係る本件発明7の構成は、引用文献2?3にも、記載も示唆もされていない。 (イ) そうすると、引用発明4及び引用文献2?3に記載された技術事項に基いて、上記相違点1に係る本件発明7の構成を想到することは、当業者であっても容易になし得たとはいえない。 (ウ) したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、引用発明4及び引用文献2?3に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (2)本件発明11について 本件発明11は、本件発明7のゲート装置の発明を、通行管理プログラムの発明としたものであって、実質的に本件発明7と同様の構成を備えているものである。 したがって、本件発明11と、引用発明2又は引用発明4との対比・判断は、それぞれ、本件発明7と、引用発明2又は引用発明4との対比・判断(上記(1))と同様であり、本件発明11は、引用発明2及び引用文献3?4に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないし、引用発明4及び引用文献2?3に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (3)小括 上記(1)及び(2)のとおり、本件訂正により訂正された本件発明7及び11のそれぞれと、引用発明2又は引用発明4とを対比すると、相違点が存在するから、本件発明7及び11は、いずれも、引用発明2又は引用発明4であるとはいえず、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえないし、本件発明7及び11は、いずれも、引用文献2ないし4に記載された発明及び技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、本件請求項7及び11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 したがって、上記「1 1-1」の取消理由1及び上記「1 1-2」の取消理由2は解消された。 2-2 取消理由3及び取消理由4について 本件訂正により、本件発明7及び11の記載は、本件の明細書の段落【0035】?【0039】及び特許請求の範囲の請求項1の記載等を根拠として、「基準信号」、「進入位置」、「進入通知情報」、「取得」、「放出」、「放出手段」及び「通路側処理手段」について、また、「基準信号」、「進入位置」、「進入通知情報」、「取得」、「放出」、「放出ステップ」及び「通行管理ステップ」について、これらの具体的構成及び相互関係が明確に特定された(上記「第2 2(2)」及び「(3)」参照。)。 したがって、本件発明7及び11は、明確であり、かつ、発明の詳細な説明に記載されているから、特許法第36条第6項第1号及び第2号に適合するものであり、その請求項7及び11に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしている。 しがって、上記「1 1-3」の取消理由3及び上記「1 1-4」の取消理由4は解消された。 第5 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項7及び11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項7及び11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 通行管理システム、携帯装置、ゲート装置、進入通知プログラム、通行管理プログラム、及び、通行管理方法 【技術分野】 【0001】 この発明は、通行者が携帯する携帯装置からの情報に基づいて、通路の通行を管理する技術に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、駅や、遊園地、イベント会場等の施設への入退場を管理する通行管理システムでは、ゲート装置と携帯装置との近接無線通信を用いて通行者の通行を管理することがあった。具体的には、通行者がゲート装置の入り口に設けられたアンテナに携帯装置をかざすことで、ゲート装置が、携帯装置から所定の情報を読み取る。ゲート装置は、読み取った情報に基づいて、扉の開閉や、入退場の記録などの所定の通行管理を行っていた。 【0003】 上記の近接無線通信を用いる通行管理システムでは、通行者が携帯装置をアンテナにかざす手間が必要である。そこで、通行者が携帯装置をかざす手間を省くために、通路に重なるような広い通信帯域を有する近距離無線通信を用いた通行管理システムが提案されている(例えば特許文献1参照。)。 【0004】 特許文献1に開示された通行管理システムは、近距離無線通信が可能な携帯装置と、携帯ネットワークに接続されるセンタ装置と、を用いる。携帯装置は、通行者が通路に進入するよりも前に、携帯ネットワークを介してセンタ装置に携帯装置の識別情報を通知する。センタ装置は、取得した進入通知情報に基づいて通行可否を判定し、通行許可する携帯装置の識別情報をゲート装置に通知する。ゲート装置は、近距離無線通信を介して携帯装置の識別情報を取得し、取得した識別情報がセンタ装置で通行許可されたものかどうかに応じて所定の通行管理を行う。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】 特開2003-196686号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 一般に近距離無線通信の通信領域は、人体や周辺装置の影響を受けて大きく変動する。このため、近距離無線通信の通信領域を、数十センチメートル単位に設定すると、人体や周辺装置の影響を受けて電波が微弱になり、携帯装置とゲート装置の通信が不能になることがあった。したがって、近距離無線通信を用いる通行管理システムでは、携帯装置とゲート装置の通信を確実に行うために、近距離無線通信の電波強度をある程度以上に確保する必要があった。 【0007】 しかしながら、近距離無線通信の電波強度をある程度以上に確保すると、逆に、アンテナの通信領域を対象とする通路だけに限定することが困難になってしまう。このため、例えば、複数のゲート装置が隣接して配置される場合には、アンテナの通信領域が隣接する通路にまで到達してしまい、隣接する通路にある携帯装置を、対象とする通路を通行する通行者のものとして誤った通行管理が行われる恐れがあった。 【0008】 このように、従来の通行管理システムでは、通行者が携帯装置をアンテナにかざさずに通路を通行する場合に、通路に進入した通行者が携帯装置を携帯していることをゲート装置で把握することができなかった。 【0009】 そこで、本発明の目的は、通行者が携帯装置をアンテナにかざさずに通路を通行しても、ゲート装置で、通路に進入した通行者が携帯装置を携帯することを把握して適切な処理を行うことを可能にする技術を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 この発明に係る通行管理システムは、以下の携帯装置とゲート装置とを備える。この発明に係る携帯装置は、管理対象の通路の通行者に携帯される。この発明に係るゲート装置は、管理対象の通路に設けられる。 【0011】 また、ゲート装置は、前記通路の通行方向においてに異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する。また、携帯装置は、第1のアンテナと第2のアンテナとから受信した2つの基準信号の受信エネルギー量に基づいて、通行者が通路の通行方向における所定の進入位置に進入した状況か否かを判断し、通行者が進入位置に進入したと判定した場合に、ゲート装置に進入通知情報を通知する。ゲート装置は、携帯装置から取得する進入通知情報に基づいて、進入位置に進入した通行者への処理を実行する。 【0012】 携帯装置で検出される基準信号の受信エネルギー量はアンテナとの距離に応じて変化する。そこで、上記構成では、2つのアンテナを通行方向の異なる位置に配置する。これにより、携帯装置では、2つのアンテナそれぞれまでの距離から、通路方向での自装置の位置を把握することが可能になる。また、携帯装置では、2つの基準信号の受信エネルギー量から把握される所定の進入位置に進入したタイミングでゲート装置に進入通知情報を通知する。これにより、ゲート装置では、進入位置に進入した通行者が携帯装置を携帯するか否かを把握することができ、通行者に対して適切な処理を行うことができる。 【0013】 また、携帯装置では、第1のアンテナと第2のアンテナとから受信する2つの基準信号の受信エネルギー量がともに閾値を超えたとき、通行者が進入位置に進入したと判定してもよい。 【0014】 これにより簡易な処理で、通行者の進入位置への進入を把握することができる。 【0015】 また、携帯装置では、通路を挟む両側それぞれに設けられた第1のアンテナおよび第2のアンテナから放出される各アンテナの基準信号のうち受信エネルギー量が高いものを用いて、通行者が進入位置に進入した状況か否かを判断することが好ましい。 【0016】 これにより、通行者が通行方向に対する左右どちら側に携帯装置を携帯していて、いずれか片側のアンテナからの基準信号が人体等の影響で大きく減衰したり迂回したりしても、他方の側のアンテナからの基準信号はそのような影響を受けずに携帯装置に到達する。したがって、携帯装置でより確実に通路方向での自装置の位置を把握することができる。 【0017】 また、携帯装置の識別情報が登録された登録装置を更に備え、携帯装置では、携帯装置の識別情報を含む進入通知情報をゲート装置に通知し、ゲート装置では、進入通知情報に含まれる識別情報が登録装置で登録されているか否かに基づいて、通路の通行を許可するか禁止するかを判定し、この判定に基づいて通行者への処理を行うことが好ましい。これにより、ゲート装置では、識別情報の確認だけで通路の通行を許可するか禁止するか判定でき、通行可否の判定に要する処理時間を低減できる。 【0018】 また、ゲート装置として、進入通知情報を取得すると携帯装置の識別情報をひも付けして入場情報を発行する入場側ゲート装置と、進入通知情報を取得すると携帯装置の識別情報をひも付けして出場情報を発行する出場側ゲート装置と、を備え、入場情報と出場情報とを取得し、携帯装置の識別情報ごとに料金を精算する料金精算装置を更に備えるようにしてもよい。これにより、携帯装置をアンテナにかざさずに、通行者が通路を通過するだけで、携帯装置とゲート装置とで無線通信を行って料金の精算を行う所謂ポストペイ方式での通行管理を実現することができる。このため、システム全体としてプリペイド処理のための各種設備が不要となりシステム省力化を図ることができる。 【発明の効果】 【0019】 この発明によれば、通行者が携帯装置をアンテナにかざさずに通路を通行しても、ゲート装置で、通路に進入した通行者が携帯装置を携帯することを把握して適切な処理を行うことができる。 【図面の簡単な説明】 【0020】 【図1】通行管理システムの概略構成を示す模式図である。 【図2】基準信号のエネルギー量について説明する図である。 【図3】通行管理システムにおけるゲート装置と携帯装置とのブロック図である。 【図4】ゲート装置と携帯装置とのフローチャートを説明する模式図である。 【図5】通行管理システムで駅務管理システムを構築する例を示すブロック図である。 【図6】携帯端末を携帯する通行者が自動改札機の通路に進入しようとする状況を示す模式図である。 【図7】基準信号のエネルギー量について説明する図である。 【図8】携帯端末の位置とアンテナの配置とに応じた距離判別の例を示す模式図である。 【図9】携帯端末の位置とアンテナの配置とに応じた距離判別の例を示す模式図である。 【発明を実施するための形態】 【0021】 まず、本発明に係る通行管理システムの概略構成について説明する。 【0022】 図1は、本発明の第1の実施形態に係る通行管理システム1を示す模式図である。 【0023】 通行管理システム1は、携帯装置11と、ゲート装置12と、を備えている。携帯装置11は、管理対象とする通路14を通行しようとする通行者13が携帯するものである。ゲート装置12は、管理対象とする通路14に近接して設けられ、通行者13の通行を管理する。携帯装置11は、通路14での通行者13の通行に伴って、通路14の近傍の所定位置(進入位置15)に到達したと判定したときに、進入通知情報をゲート装置12に通知する。進入通知情報は、ここでは、通行者の通行可否の判断に用いられる情報を含むものである。ゲート装置12は、携帯装置11から通知される進入通知情報に基づいて、通行者13の通行可否を判定し、通行可否の判定結果に基づいて通路14に設けられた扉18の開閉制御を行う。 【0024】 携帯装置11による進入位置15に到達したか否かの判定は、通路14に設けられたアンテナ16,17が放出する基準信号に基づいて行う。アンテナ16,17は、通路14に近接して設けられ、通路14における通行者13の進行方向において互いに異なる位置に配置されている。アンテナ16,17は、それぞれ、少なくとも水平方向に広がって通路14で互いに重なる通信領域20を有している。 【0025】 図2(A)は、アンテナ16,17から放出される基準信号の送信エネルギー量を重ねて示す時間波形図である。アンテナ16,17から通信領域20に放出される基準信号は、一定の送信エネルギー量と一定の周期を有するパルス波信号であり、互いに一定の時間間隔で時分割して放出される。なお、基準信号は数ビットから十数ビット程度の情報を有するように、振幅変調以外の適宜の変調方式で変調されていてもよい。 【0026】 図2(B)は、通信領域20における基準信号のエネルギー量の距離に応じた変化を示す図である。アンテナ16,17から放出された基準信号のエネルギー量は、アンテナ16,17からの距離の2乗に反比例するように減衰する。 【0027】 図1中の下方には、アンテナ16から放出された基準信号の携帯装置11で受信することができる受信エネルギー量E1と、アンテナ17から放出された基準信号の携帯装置11で受信することができる受信エネルギー量E2と、を示している。受信エネルギー量E1,E2は、通路14に沿った方向での位置によって変化する。受信エネルギー量E1,E2は、それぞれの基準信号を放出したアンテナ16,17に近い位置ほど大きく、アンテナ16,17から遠い位置ほど小さい。したがって、アンテナ16,17それぞれの通信領域20が重なっていると、通行者13が通路14へ進入していくのに伴って、受信エネルギー量E1,E2がともに増加していくことになる。 【0028】 そこで、本実施形態においては、受信エネルギー量E1,E2に対して閾値を設定し、受信エネルギー量E1,E2がともに閾値を超える位置を、進入位置15として、携帯装置11で把握する。 【0029】 図3(A)は、携帯装置11のブロック図である。携帯装置11は、制御部21と近距離無線通信部22とを備えている。制御部21は、CPUやROM、RAM等の機能の総体としての機能ブロックである。近距離無線通信部22は、近距離無線通信を行う通信部である。なお、携帯装置11は、その他にも、例えば表示部やタッチパネル、携帯電話通信部などの構成を更に備えていてもよい。 【0030】 制御部21は、本発明の進入通知プログラムがインストールされ、進入通知プログラムのプロセスがメモリとCPUとによって実行されている。これにより、本発明の進入通知プログラムは、制御部21を携帯側処理手段23として機能させ、近距離無線通信部22を情報送受手段24および基準信号検出手段25として機能させる。 【0031】 図3(B)は、ゲート装置12のブロック図である。ゲート装置12は、制御部31と近距離無線通信部32と扉制御部33とを備えている。制御部31は、CPUやROM、RAM等の機能の総体としての機能ブロックである。近距離無線通信部32は、近距離無線通信を行う通信部である。扉制御部33は、ゲート装置12の通路14(図1参照)に設けられた扉18(図1参照)を開閉するように制御する。なお、ゲート装置12は、その他にも、例えば、上位装置との通信用の専用回線通信部や、通行者を検出するセンサなどの構成を更に備えていてもよい。 【0032】 制御部31は、本発明の通行管理プログラムがインストールされ、通行管理プログラムのプロセスがメモリとCPUとによって実行されている。これにより、本発明の通行管理プログラムは、制御部31を通路側処理手段34として機能させた、近距離無線通信部32を情報送受手段35および基準信号放出手段36として機能させる。 【0033】 図4(A)は、ゲート装置12における各部の概略の処理フローを示す図である。図4(B)は、携帯装置11における各部の概略の処理フローを示す図である。 【0034】 ゲート装置12の基準信号放出手段36は、基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に、アンテナ16を介して通信領域20に放出する(S11)。また、基準信号放出手段36は、基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に、アンテナ17を介して通信領域20に放出する(S12)。これらのステップS11およびステップS12が、この発明で言う放出ステップに相当する。 【0035】 携帯装置11の基準信号検出手段25は、アンテナ16から放出された基準信号を受信し、基準信号の受信エネルギー量E1を検出してメモリに記憶する(S13)。また、基準信号検出手段25は、アンテナ17から放出された基準信号を受信し、基準信号の受信エネルギー量E2を検出してメモリに記憶する(S14)。 【0036】 そして、携帯装置11の携帯側処理手段23は、メモリに記憶した受信エネルギー量E1,E2を閾値と比較することで(S15,S16)、自装置が通路14における所定の進入位置15に到達することを把握する(S15,S16:YES)。これらのステップS15およびステップS16が、この発明で言う進入判定ステップに相当する。 【0037】 そして、携帯装置11の携帯側処理手段23は、受信エネルギー量E1,E2がいずれも閾値を超えたとき、すなわち、自装置が通路14における所定の進入位置15に到達したと判定したとき、進入通知情報を発行し、その進入通知情報を、情報送受手段24を介してゲート装置12に通知する(S17)。このステップS17が、この発明で言う通知ステップに相当する。 【0038】 これにより、ゲート装置12の通路側処理手段34は、携帯装置11が進入位置15に到達するタイミングで、情報送受手段35を介して携帯装置11から進入通知情報を取得する(S18:YES)。通路側処理手段34は、進入通知情報を取得すると、取得した進入通知情報に基づいて、携帯装置11を携帯する通行者に対する通行可否を判定し(S19)、扉制御部33を介して扉18を開閉制御する。具体的には、通路側処理手段34は、通行を許可すると判定したときには、扉制御部33を介して扉18を開制御し、通行を禁止すると判定したときには、扉制御部33を介して扉18を閉制御する。このステップS19が、この発明で言う通行管理ステップに相当する。 【0039】 したがって、この通行管理システム1は、通行者13が携帯装置11を携帯したまま通路14を通行するだけで、携帯装置11をアンテナ16にかざさなくても、通路14における進入位置15に通行者が進入するタイミングで、ゲート装置12に進入通知信号を通知することができ、ゲート装置12では、通行者13に対する処理を適切なタイミングで行うことができる。 【0040】 以上に説明したように、本発明の通行管理システム、ゲート装置、携帯装置、進入通知プログラム、通行管理プログラム、および、通行管理方法は実施することができる。なお、ここでは、携帯側処理として、携帯装置からゲート装置に進入通知情報の通知だけを行う場合を例に示したが、携帯側処理は、それ以外の処理も行ってもよい。例えば、携帯側処理は、基準信号に含まれる情報、例えば、アンテナの識別情報や通路装置の識別情報などを記憶したり、携帯電話回線などを介して他の装置にその情報を通知したりすることもできる。また、ここでは、通路側処理として、ゲート装置で通行可否の判定と扉の開閉制御とを行う場合を例に示したが、通路側処理は、それ以外の処理であってもよい。例えば、通路側処理は、例えば、携帯装置の識別情報などをゲート装置に記録したり、ゲート装置の専用回線などを介して他の装置にその情報を通知したりすることもできる。 【0041】 次に、通行管理システムとして駅務管理システムを構築する場合について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る駅務管理システム101のブロック図である。 【0042】 駅務管理システム101は、携帯端末111と、自動改札機112と、自動改札機113と、携帯登録装置104と、駅務管理上位装置105と、精算装置106と、で構成されている。携帯端末111は、予め当該システムの利用登録を行った旅客が携帯するものである。自動改札機112は、旅客の入場駅施設102に設けられたものである。自動改札機113は、旅客の出場駅施設103に設けられたものである。携帯登録装置104は、各駅施設または駅務管理上位施設に設けられたものである。駅務管理上位装置105は、駅務管理上位施設に設けられたものである。精算装置106は、銀行口座等を管理する外部施設に設けられたものである。ここでは、駅務管理システム101が、この発明で言う通行管理システムに相当する。携帯端末111が、この発明で言う携帯装置に相当する。自動改札機112,113が、この発明で言うゲート装置に相当する。駅務管理上位装置105と精算装置106とが、この発明で言う料金精算装置を構成する。駅務管理上位装置105と携帯登録装置104が、この発明で言う登録装置に相当する。 【0043】 携帯端末111は、自装置に固有の端末識別情報を保持している。該端末識別情報は携帯端末111の製造時や、携帯端末111の当該システムへの利用登録時などに発行されたものである。携帯登録装置104は、自動改札機112および自動改札機113で通行許可対象とする携帯端末111の端末識別情報を登録情報として保持している。該登録情報は、携帯端末111の当該システムの利用登録時などに、携帯端末111や駅務管理上位装置105から登録されたものである。 【0044】 なお、端末識別情報および登録情報には、セキュリティー認証コードがひも付けされていてもよい。この場合には、携帯端末111が自動改札機112および自動改札機113で通行許可を受ける際に、セキュリティー認証コードの送受を行って、携帯端末111が登録を受けた真正の端末識別情報に対応するものかどうかを判定するようにするとよい。また、登録情報は、利用可能な駅施設や期間などの所定の条件情報がひも付けされたものであってもよい。この場合には、条件情報を用いて、端末識別情報の登録を解除したり、通行許可の対象とする駅施設を制限したりするとよい。 【0045】 自動改札機112は、入場駅施設102に入場しようとする旅客(通行者)の通行を管理するものがあり、この発明で言う入場側ゲート装置に相当する。自動改札機113は、出場駅施設103から出場しようとする旅客(通行者)の通行を管理するものであり、この発明で言う出場側ゲート装置に相当する。 【0046】 自動改札機112,113は、近距離無線通信によって第1の実施形態と同様の基準信号を繰り返し放出するように構成されている。ただし、本実施形態では、自動改札機112,113は、第1の実施形態よりも多くのアンテナから基準信号を放出するように構成されている。自動改札機112,113の詳細な構成については後述する。 【0047】 携帯端末111は、近距離無線通信によって第1の実施形態と同様の受信エネルギー量を検出するように構成されている。そして、携帯端末111は、受信エネルギー量に基づいて、自装置が自動改札機112,113に進入した状態か否かを把握する。そして携帯端末111は、自装置が自動改札機112,113に進入した状態になったと判定したときに、近距離無線通信によって進入通知情報を自動改札機112,113に通知する。ここでは、進入通知情報は、携帯端末111の端末識別情報を含むものである。なお、進入通知情報は、その他の各種情報、例えば、検出した受信エネルギー量(把握した進入位置)に関する情報や、携帯端末111の電池状態などの端末状態情報、前回に自動改札機を通過したときの時刻や駅などの過去情報、今回の自動改札機に進入したときの時刻などの利用情報、などを含んでもよい。また、進入通知情報は暗号鍵方式で暗号化して携帯端末111から送信し、自動改札機112,113側で復号化して利用することが好ましい。 【0048】 自動改札機112,113は、携帯端末111が通知する進入通知情報を近距離無線通信によって取得すると、進入通知情報に含まれる端末識別情報が、登録情報に含まれる端末識別情報と一致するか否かを判定する。登録情報は、自動改札機112,113が進入通知情報を取得した直後、または、予め、携帯登録装置104から取得しておく。自動改札機112,113は、進入通知情報と登録情報とで端末識別情報が一致するとき、携帯端末111を携帯する通行者の通行を許可し、進入通知情報と登録情報との端末識別情報が一致しないとき、携帯端末111を携帯する通行者の通行を禁止する。そして、自動改札機112,113は、通路に設けられた扉を開閉制御する。 【0049】 なお、自動改札機112,113における通行可否の判定では、端末識別情報だけでなく、進入通知情報に含まれるその他の情報も条件にして、通行可否を判定するようにしてもよい。例えば、携帯端末111の電池状態などに基づいて、旅客の移動中に携帯端末111が使用不能になる恐れがある場合には、その旅客の通行を禁止し、通行券などを別途用意して通行するように通行者に促すとよい。また、時刻情報に基づいて、営業時間外の通行を禁止したり、入退場時間に異常があることを検出したりするようにしてもよい。 【0050】 また、自動改札機112は、通行を許可すると判定した後に、入場情報を発行して、駅務管理上位装置105に通知する。自動改札機113は、通行を許可すると判定した後に、出場情報を発行して、駅務管理上位装置105に通知する。入場情報および出場情報は、携帯端末111の端末識別情報や、駅施設の識別情報、時刻情報、等を含むものである。 【0051】 駅務管理上位装置105は、自動改札機112,113から入場情報と出場情報とを取得すると、入場情報と出場情報とに含まれる端末識別情報が一致するものを検出し、それらの入場情報と出場情報とに含まれる駅施設の識別情報の組み合わせから、運賃(料金)を算出する。そして、駅務管理上位装置105は、端末識別情報に基づいて利用者口座を特定し、該当する利用者口座からの運賃の精算を依頼する料金精算情報を精算装置106に通知し、いわゆるポストペイ方式で運賃を精算する。 【0052】 このような概略構成を有する駅務管理システム101では、通行者が自動改札機112,113の通路を通行する際に、自動改札機112,113に携帯端末111をかざさずに、通路を通行することができる。そして、その際に、自動改札機112,113と携帯端末111との近距離無線通信によって携帯端末111が通知する進入通知情報に応じた適切なタイミングで通行者の通行を管理する各種の処理を行うことができる。 【0053】 以下、自動改札機112,113のより詳細な構成と、携帯端末111でのより具体的な進入位置の判定の仕組みとについて説明する。 【0054】 図6は、入場駅施設102に入場しようとする旅客が自動改札機112に進入しようとする状況を示す模式図である。 【0055】 入場駅施設102に入場しようとする旅客(通行者114)は、携帯端末111を携帯している。自動改札機112は、通路115を管理している。通路115は、通行者114から見て、入口116と出口117とを有している。通路115の両側には、自動改札機112と自動改札機112’とが設けられている。自動改札機112と自動改札機112’とは同じ構成である。自動改札機112’は、通路115に隣接する別の通路を管理するものである。 【0056】 自動改札機112は、アンテナ121,122が付設されている。また、自動改札機112’は、アンテナ121’,122’が付設されている。アンテナ121’,122’は、アンテナ121,122と同期して動作するように、それぞれが設定もしくは、自動改札機112に接続されている。 【0057】 アンテナ121は、自動改札機112の天面の入口116側に配置していている。アンテナ122は、自動改札機112の天面の出口117側に配置している。アンテナ121’は、自動改札機112’の天面の入口116側に配置している。アンテナ122’は、自動改札機112’の天面の出口117側に配置している。すなわち、アンテナ121,122とアンテナ121’,122’と、通路115を挟む両側にそれぞれ配置されている。また、アンテナ121,122は、通路115の通行方向において互いに異なる位置に配置されている。アンテナ121’,122’も同様に、通路115の通行方向において互いに異なる位置に配置されている。 【0058】 アンテナ121,122,121’,122’は、近距離無線通信により基準信号を放出するアンテナであり、それぞれ少なくとも水平方向に広がって通路14で互いに重なる通信領域120を有している。アンテナ121,122,121’,122’は、各々の通信領域120に基準信号を放出する。 【0059】 図7(A)は、アンテナ121,122,121’,122’それぞれが放出する基準信号の送信エネルギー量を重ね合わせた時間波形図である。アンテナ121,122,121’,122’それぞれが放出する基準信号は、互いに同一の一定の送信エネルギー量を有する。また、アンテナ121,122,121’,122’それぞれが放出する基準信号は、互いに同一の一定の繰り返し周期を有し、各々が一定の時間間隔で時分割して放出される。 【0060】 図6に示すように、携帯端末111を鞄やポケットの中に携帯する通行者114が通路115に進入しようとすると、携帯端末111は、アンテナ121,122,121’,122’の各々から放出された基準信号を受信する。 【0061】 図7(B)は、アンテナ121,122,121’,122’それぞれと携帯端末111との距離に応じた、携帯端末111で検出される基準信号の受信エネルギー量を示す図である。携帯端末111で検出される受信エネルギー量は、アンテナ121,122,121’,122’との距離が離れるに従って減少し、距離が近づくに従って増加する 本実施形態においては、携帯端末111で、受信エネルギー量を第1閾値および第2閾値と比較することにより、受信エネルギー量を3段階程度に分類する距離判別の処理を行う。この距離判別により、携帯端末111は、基準信号を放出したアンテナから自装置までの距離を、例えば、近接判定、近距離判定、遠距離判定の3分類のいずれにあたるかを判定する。近接判定は、例えば0.1?0.5メートルの距離の場合である。近距離判定は、例えば0.5?1.4メートルの距離の場合である。遠距離判定は、例えば1.4?3.0メートルの距離の場合である。 【0062】 携帯端末111は、上記した距離判別を、アンテナ121,122,121’,122’それぞれから時分割して放出された基準信号を受信するたびに実行し、その時々の携帯端末111の各アンテナ121,122,121’,122’までの距離を把握する。そして、把握した各距離の組み合わせが所定のものになるときに、図6に示す進入位置118に自装置が到達したと判定し、進入通知情報を自動改札機112に通知する。 【0063】 図8は、携帯端末111が通路115に露出したような状態で通路115を通過する場合の、アンテナ121,122,121’,122’それぞれに対する距離判別の結果を例示する模式図である。ここでは、通路115の進行方向の前方から後方にかけて領域A1?A9が順に並んでいるものとする。図8中の表には、距離判別の結果を凡例で示している。なお、領域A5に2つの凡例を並べて示す状況は、人体の影響や周辺環境の状況によって近距離判定と遠距離判定との間で距離判別が変化するような状況を示している。 【0064】 図8に示すように、この場合には、左右に対向するアンテナ121とアンテナ121’との判定結果は一致する。また、アンテナ122とアンテナ122’についても同様に一致する。そして、通路115に沿って並ぶアンテナ121とアンテナ122との間や、アンテナ121’とアンテナ122’との間で、距離判別の結果が相違するものになる。 【0065】 図8に示す凡例では、前方のアンテナ121から外側の領域A1?A3では、後方のアンテナ122が遠距離判定になり、後方のアンテナ122から外側に離れた領域A7?A9では、前方のアンテナ121が遠距離判定になっている。そして、前後のアンテナ121とアンテナ122とに挟まれる領域A4?A6では、アンテナ121とアンテナ122とのいずれも近接判定または近距離判定になっている。このため、この場合には、通路に沿って並ぶアンテナ121とアンテナ122との組(またはアンテナ121’とアンテナ122’との組)での距離判別の結果が、近距離判定または近接判定になるタイミング、すなわち、アンテナ121とアンテナ122との基準信号の受信エネルギー量がいずれも第1閾値を超えるタイミングで、携帯端末111が進入通知情報を自動改札機112に通知するようにすれば、通行者が領域A4に進入するタイミングで、自動改札機112に通路側処理を実行させることができる。 【0066】 その他にも、例えば、アンテナ121とアンテナ122とに対する距離判別の結果がいずれも近接判定になるようなタイミング、すなわち、アンテナ121とアンテナ122との基準信号の受信エネルギー量がいずれも第2閾値を超えるタイミングで、携帯端末111が進入通知情報を自動改札機112に通知するようにしてもよい。上記した凡例では、領域A5では、人体の影響や周辺環境の状況によって近距離判定と遠距離判定との間で距離判別が変化するような状況になっているが、第2閾値を下げたり、アンテナ121とアンテナ122との間隔を狭めたりすれば、通行者が領域A5に進入するタイミングで、自動改札機112に通路側処理を実行させることができる。 【0067】 図9は、通行者に対して携帯端末111が通行方向の右側に携帯され、通行者の人体と近接している場合を示す模式図である。 【0068】 この場合には、左右に対向するアンテナ121とアンテナ121’との判定結果は、携帯端末111が接近する側では近距離判定または近接判定となる領域が広くなり、携帯端末111が遠のく側では近距離判定または近接判定となる領域が狭くなる。また、アンテナ122とアンテナ122’についても同様である。したがって、本実施形態のように、通路115の両側それぞれにアンテナの組を配置することで、人体等の影響で基準信号のエネルギーが減衰したり伝搬経路が迂回したりして、いずれか一方側のアンテナの組からの電波強度が弱くなっても、他方側のアンテナの組からの電波強度を十分に強くなる。したがって、携帯端末111では、アンテナ121,122の組と、アンテナ121’,122’の組とのうち、より基準信号の受信エネルギー量が大きい組を選択して距離判別の処理を行うことで、人体等の影響を抑制して、携帯端末111の進入位置をより確実に把握することができる。 【0069】 以上に説明した自動改札機では、各アンテナに対する距離判別の結果を3つに分類する場合について説明したが、より多くの分類を用いたり、2つの分類のみを用いたりしてもよい。距離判別の分類の数を少なくすれば、携帯電話での距離判別の処理負荷を小さくすることができ、即応性の高い携帯側処理を行うことができる。また、距離判別の分類の数を多くすれば、進入位置として把握することが可能な位置をより多くすることができる。 【0070】 以上の説明では、本発明を駅務管理システムに適用した場合を例にして説明したが、その他の施設、例えばテーマパークやイベント会場等の施設への入退場を管理するシステム等、他のシステムにも本発明は適用することができる。 【符号の説明】 【0071】 1…通行管理システム 11…携帯装置 12…ゲート装置 13,114…通行者 14,115…通路 15,118…進入位置 16,17,121,122,121’,122’…アンテナ 20,120…通信領域 18…扉 21,31…制御部 22,32…近距離無線通信部 23…携帯側処理手段 24,35…情報送受手段 25…基準信号検出手段 33…扉制御部 34…通路側処理手段 36…基準信号放出手段 101…駅務管理システム 102…入場駅施設 103…出場駅施設 104…携帯登録装置 105…駅務管理上位装置 106…精算装置 111…携帯端末 112,113,112’…自動改札機 116…入口 117…出口 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 管理対象の通路の通行者に携帯される携帯装置と、前記通路に設けられるゲート装置と、を備える通行管理システムであって、 前記ゲート装置は、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する放出手段、を備え、 前記携帯装置は、 前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとから受信した2つの基準信号の受信エネルギー量に基づいて、前記通路の前記通行方向における所定の進入位置に進入した状況か否かを判断し、前記進入位置に進入したと判定した場合に、前記ゲート装置に進入通知情報を通知する携帯側処理手段、を備え、 前記ゲート装置は、前記携帯装置から取得する前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を実行する通路側処理手段、を更に備える、 通行管理システム。 【請求項2】 前記携帯側処理手段は、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとから受信する2つの基準信号の受信エネルギー量がともに閾値を超えたとき、前記通行者が前記進入位置に進入したと判定する、 請求項1に記載の通行管理システム。 【請求項3】 前記携帯側処理手段は、前記通路を挟む両側それぞれに設けられた前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナから放出される各アンテナの基準信号のうち受信エネルギー量が高いものを用いて、前記通行者が前記進入位置に進入した状況か否かを判断する、 請求項1または請求項2に記載の通行管理システム。 【請求項4】 前記携帯装置の識別情報が登録された登録装置を更に備え、 前記携帯側処理手段は、前記携帯装置の識別情報を含む進入通知情報を前記ゲート装置に通知し、 前記通路側処理手段は、前記進入通知情報に含まれる識別情報が前記登録装置で登録されているか否かに基づいて、前記通行者の通行を許可するか禁止するかを判定し、この判定に基づいて前記処理を行う、 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の通行管理システム。 【請求項5】 前記ゲート装置として、 前記通路側処理手段で前記進入通知情報を取得すると、前記携帯装置の識別情報をひも付けして入場情報を発行する入場側ゲート装置と、 前記通路側処理手段で前記進入通知情報を取得すると、前記携帯装置の識別情報をひも付けして出場情報を発行する出場側ゲート装置と、を備え、 更に、前記入場情報と前記出場情報とを取得し、前記携帯装置の識別情報ごとに料金を算出して精算する料金精算装置、を備える、 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通行管理システム。 【請求項6】 管理対象とする通路の通行者に携帯される携帯装置であって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、一定の送信エネルギー量で間欠的に放出された2つの基準信号を受信した受信エネルギー量に基づいて、前記通路の前記通行方向における所定の進入位置に進入した状況か否かを判断し、前記進入位置に進入したと判定した場合に、前記通路に設けられるゲート装置に進入通知情報を通知する携帯側処理手段、を備える、 携帯装置。 【請求項7】 管理対象とする通路に設けられ、ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいてゲート装置の前記通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信するゲート装置であって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのそれぞれから、前記基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する放出手段、および、 前記通路を通行する通行者が携帯する前記携帯装置から、前記放出手段の前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記進入通知情報を近距離無線通信により取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を実行する通路側処理手段、を備える、 ゲート装置。 【請求項8】 前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナを、前記通路を挟む両側それぞれに設けた、請求項7に記載のゲート装置。 【請求項9】 前記放出手段は、各アンテナから、それぞれ一定の時間間隔で時分割して前記基準信号を放出する、請求項8に記載のゲート装置。 【請求項10】 コンピュータにインストールされて、管理対象とする通路に設けられるゲート装置に進入通知情報を通知する進入通知プログラムであって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、一定の送信エネルギー量で間欠的に放出された2つの基準信号を受信した受信エネルギー量に基づいて、前記通路の前記通行方向における所定の進入位置に進入した状況か否かを判断する進入判定ステップと、 前記進入位置に進入したと判定した場合に、前記ゲート装置に進入通知情報を通知する通知ステップと、を実行する、 進入通知プログラム。 【請求項11】 管理対象とする通路に設けられ、ゲート装置の第1のアンテナと第2のアンテナから受信した基準信号の受信エネルギー量に基づいて前記ゲート装置の通路の進入方向における所定の進入位置に到達したと判定したときに進入通知情報を発行する携帯装置と近距離無線通信する前記ゲート装置の、メモリとCPUを備えた制御部にインストールされて、管理対象とする前記通路の通行方向における所定の前記進入位置に進入した通行者への処理を実行する通行管理プログラムであって、 前記通路の通行方向において異なる位置に配置された前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとのそれぞれから、前記基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出させる放出ステップと、 前記通路を通行する通行者に携帯される前記携帯装置から、前記放出ステップにおいて前記第1のアンテナと前記第2のアンテナが放出した前記基準信号によって判定されて発行された前記進入通知情報を近距離無線通信により取得し、取得した前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を行う通行管理ステップと、 を実行する通行管理プログラム。 【請求項12】 管理対象の通路の通行者に携帯される携帯装置から、前記通路に設けられるゲート装置に進入通知情報を通知し、前記ゲート装置で、取得した前記進入通知情報に基づいて、前記通路の通行方向における所定の進入位置に進入した通行者への処理を行う通行管理方法であって、 前記通路の通行方向において互いに異なる位置に配置された第1のアンテナと第2のアンテナとのそれぞれから、基準信号を一定の送信エネルギー量で間欠的に放出する放出ステップと、 前記携帯装置で、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとから受信した2つの基準信号の受信エネルギー量に基づいて、前記進入位置に進入した状況か否かを判断する進入判定ステップと、 前記携帯装置で、前記進入位置に進入したと判定した場合に、前記ゲート装置に前記進入通知情報を通知する通知ステップと、 前記ゲート装置で、前記携帯装置から取得した前記進入通知情報に基づいて、前記進入位置に進入した通行者への処理を行う通行管理ステップと、 を実行する通行管理方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-10-03 |
出願番号 | 特願2015-48515(P2015-48515) |
審決分類 |
P
1
652・
537-
YAA
(G07B)
P 1 652・ 113- YAA (G07B) P 1 652・ 121- YAA (G07B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 毛利 太郎 |
特許庁審判長 |
中川 真一 |
特許庁審判官 |
出口 昌哉 一ノ瀬 覚 |
登録日 | 2018-06-29 |
登録番号 | 特許第6358135号(P6358135) |
権利者 | オムロン株式会社 |
発明の名称 | 通行管理システム、携帯装置、ゲート装置、進入通知プログラム、通行管理プログラム、及び、通行管理方法 |
代理人 | 特許業務法人 楓国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人楓国際特許事務所 |