• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
管理番号 1357714
異議申立番号 異議2019-700264  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-01-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-04-05 
確定日 2019-12-17 
異議申立件数
事件の表示 特許第6404423号発明「肺癌におけるROSキナーゼ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6404423号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6404423号の請求項1?9に係る特許についての出願は、平成24年5月23日(パリ条約による優先権主張 2011年5月23日 米国)を国際出願日とする特願2014-512072号の一部を新たな特許出願として平成29年9月11日に出願されたものであって、平成29年11月22日に手続補正書が提出され、平成30年9月21日にその特許権の設定登録がされ、平成30年10月10日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成31年4月5日に特許異議申立人浜俊彦により特許異議の申立てがされ、当審は、令和1年7月23日付けで取消理由を通知した。それに対し、特許権者は、令和1年10月28日に意見書を提出した。

第2 本件発明
本件特許の請求項1?9に係る発明(以下、順に「本件発明1」、「本件発明2」等といい、併せて「本件発明」ともいう。)は、次のとおりのものである。

【請求項1】
ヒト非小細胞肺癌腫(NSCLC)患者由来の生物学的サンプル中のFIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する方法。

【請求項2】
前記生物学的サンプルが、肺生検、気管支肺胞洗浄、腫瘍摘出、微細針吸引または胸水貯留から選択される、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記検出が、前記FIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに特異的に結合する蛍光標識された核酸プローブを利用して蛍光in-situハイブリダイゼーション(FISH)アッセイを行う工程、および前記FIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが前記FISHアッセイで検出された蛍光シグナルに基づいて前記生物学的サンプルに存在するか否かを決定する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
前記プローブの1つが前記FIG-ROS融合ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドのFIG部分にハイブリダイズし、そして前記プローブのもう1つが前記FIG-ROS融合ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドのROS部分にハイブリダイズする、請求項3に記載の方法。

【請求項5】
前記検出が、前記FIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも1つのフラグメントを増幅するプライマー対を使用してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行う工程を含み、前記フラグメントが融合接合部を包含し、前記サンプル中の前記FIG-ROS融合ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドの存在が、前記PCR反応からの増幅産物の検出に基づき決定される、請求項1または2に記載の方法。

【請求項6】
前記PCRがRT-PCRであり、鋳型として前記サンプル中のmRNAを利用する、請求項5に記載の方法。

【請求項7】
前記検出が核酸配列決定を含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項8】
ヒトNSCLC患者の処置において使用するための薬剤の調製におけるROS阻害性治療剤の使用であって、前記患者由来の生物学的サンプル中でFIG-ROS融合ポリペプチドの存在が検出された、上記使用。

【請求項9】
治療剤は、PF-02341066、NVT TAE-684またはAP26113である、請求項8に記載の使用。

第3 当審が通知した取消理由の概要
当審において、本件発明1?9に対して、令和1年7月23日付けで通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

1 取消理由1(甲第2号証を主引用例とする進歩性欠如)
本件発明1?9は、甲第2号証に記載された発明、並びに甲第4号証及び甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

2 取消理由2(甲第3号証を主引用例とする進歩性欠如)
本件発明1?9は、甲第3号証、並びに甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

3 引用文献等一覧
上記甲第2?5号証(以下、順に「甲2」、「甲3」等ともいう。)は、次のとおりのものである。
甲第2号証:国際公開第2010/093928号
甲第3号証:Cell, 2007, Vol.131, No.6, p
p.1190-1203
甲第4号証:Plos One, 2011.01, Vol.6, No
.1, e15640
甲第5号証:Genes, Chromosomes and Cance
r, 2003, Vol.37, No.1, pp.58
-71

第4 取消理由についての当審の判断
1 甲2?5の記載事項
(1)甲2(国際公開第2010/093928号)
甲2は、本件優先日前に頒布された、「ヒト癌における変異ROS発現」と題する発明を公開する国際公開公報であって、次の事項が記載されている。なお、原文は英語であるため、その翻訳文として、その日本語公表公報である特表2012-517245号公報の記載から段落番号を含めて摘記する。

甲2-1 「【0258】
実施例1
全体的なホスホペプチドプロファイリングによる肝臓癌患者におけるROSキナーゼ活性の同定
最近記載された、複雑な混合物から修飾ペプチドを単離して質量分析で特性化するための強力な技術(「IAP」技術、米国特許公開第20030044848号、Rush et al, “Immunoaffinity Isolation of Modified Peptides from Complex Mixtures”を参照)を用いて、患者XY3-78Tおよび090665LCを含む数人のヒト肝臓癌患者におけるキナーゼ活性化の全体的なリン酸化反応プロファイルを調べた。リン酸化チロシン特異的抗体(CELL SIGNALING TECHNOLOGY,INC.(マサチューセッツ州ベバリー)、2003/04カタログ番号9411)を用いてIAP技術を実施し、23人のヒト患者から採取した肝臓細胞および類腫瘍組織の抽出物からホスホチロシンを含むペプチドを単離し、次いで、その特性化を行った。
・・・
【0270】
前記IAP分析は、多くのチロシンリン酸化タンパク質を同定し、そのほとんどは新規である(データは不掲載)。23人の肝臓癌患者のうち、3人は胆管肝臓癌を有していた。胆管肝臓癌の2人の患者、すなわち患者XY3-78Tおよび090665LCは、チロシンリン酸化ROSキナーゼを含むことが判明した肝臓癌試料を有し、これは、腫瘍に隣接する組織におけるMS分析によって検出されず、残りの21人の患者試料のいずれにおいても検出されなかった。
【0271】
実施例2
FIG-ROS融合遺伝子の単離および配列決定
2つの肝臓癌患者試料において検出されたROSキナーゼの活性化形態が存在するならば、キメラROS転写物が存在するかどうかを判定するために、ROSのキナーゼドメインをコード化する配列に関してcDNA末端の5’高速増幅を行った。
【0272】
相補的DNA末端の高速増幅
RNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用して、ヒト腫瘍試料からRNAを抽出した。DNeasy Tissue Kit(Qiagen)を使用して、DNAを抽出した。cDNA末端の高速増幅を、cDNA合成用にプライマーROS-GSP1ならびにネステッドPCR反応用にROS-GSP2およびROS-GSP3.1を用い、5’RACEシステム(Invitrogen)を使用して実施し、続いてPCR産物のクローニングおよび配列決定を行った。
5’RACEシステムに関して、以下のプライマーを使用した:
・・・
【0273】
PCR産物の配列決定によって、XY3-78Tおよび090665LCの患者試料におけるROSキナーゼは、キメラROS転写物の実際の生成物であること、すなわちROS転写物の一部とFIG遺伝子の転写物の一部との融合物であることが明らかになった。配列分析により、患者XY3-78Tおよび090665LCの両方ともFIGのN末端に対するROSのC末端の融合から生じる融合タンパク質を含む肝臓癌細胞を有していたことが明らかになった(図2、パネルBおよびCを参照)。両試料におけるFIG-ROS融合はインフレームであった。患者XY3-78Tでは、短い方の融合タンパク質、すなわちFIG-ROS(S)は、ROSの最後の421アミノ酸に対するFIGの最初の209アミノ酸の融合から生じた。患者090665LCにおいて、長い方の融合タンパク質、すなわちFIG-ROS(L)は、ROSの最後の466アミノ酸に対するFIGの最初の412アミノ酸の融合から生じた。」

甲2-2 「【0275】
実施例3
PCRアッセイを用いたヒト癌試料における変異ROSキナーゼ発現の検出
ヒト癌試料における本発明の変異ROSキナーゼおよび/またはFIG-ROS融合タンパク質(例えば、FIG-ROS(S)またはFIG-ROS(S))の存在は、cDNAまたはゲノム逆転写酵素(RT)および/またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて検出した。・・・
【0276】
PCRアッセイ
FIG-ROS融合が起こったことを確認するために、患者XY3-78Tおよび090665LCの肝臓癌細胞試料から抽出されたRNAに関してRT-PCRを実施した。RT-PCRのために、Superscript(商標)III第1鎖合成システム(Invitrogen)とオリゴ(dT)20を使用して2.5ugの全RNAから第1鎖cDNAを合成した。次いで、プライマー対FIG-F2およびROS-GSP3.1を使用して、FIG-ROS融合遺伝子を増幅した。これらの配列は次のとおりである:・・・
【0277】
図3に示すように、患者XY3-78Tの肝臓癌細胞試料は、FIG-ROS(S)融合ポリペプチドをコード化すると予想されるmRNAを含んでいた。患者090665LCから得られた肝臓癌細胞試料は、FIG-ROS(L)融合ポリペプチドをコード化すると予想されるmRNAを含んでいた。対照として、FIG-ROS(S)転座を含むことが知られているヒトグリア芽種であるU118MG細胞系から単離されたRNAに関してRT-PCRを実施した。U118MG細胞をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(バージニア州マナッサス)から購入し、10%FBSを含むDEEM中で成長させた。
・・・
【0283】
ゲノムPCRのために、DNeasy Tissue Kit(Qiagen)を用いて細胞試料からDNAを抽出した。XY3-78Tについてはプライマー対FIG-F3およびROS-GSP3.1を用いてLongRange PCRキット(Qiagen)を使用して、融合遺伝子のPCR増幅を実施した。
・・・
【0284】
090665LCおよびU118MGに関してはプライマー対FIG-F7およびROS-GSP4.1を用いてLongRange PCRキット(Qiagen)を使用して、融合遺伝子のPCR増幅を実施した。
・・・
【0285】
図5に示すように、患者XY3-78Tおよび090665LCの肝臓癌試料のゲノムにおいてFIG-ROS転座が起こった。U118MG細胞系は患者090665LCの細胞と同じFIG-ROS(L)融合ポリペプチドを発現するが、これら2つの試料間でFIGおよびROS遺伝子における正確なゲノム切断点は異なっている。切断点は次のとおりであることが判明した:・・・
【0287】
このアッセイを用いて本発明の変異ROSキナーゼおよび/またはFIG-ROS融合タンパク質(例えば、他の生物学的組織試料におけるヒト癌試料中のFIG-ROS(S)またはFIG-ROS(S))の存在を検出することができる(たとえば、腫瘍試料は、肝臓、膵臓、腎臓、または精巣癌を有する患者から得ることができる)。このような分析により、切断型ROSキナーゼ(および/またはFIG-ROS融合タンパク質)の発現により特徴づけられる癌を有する患者が特定され、この患者はROS阻害剤を用いた治療に反応する可能性が高い。」

甲2-3 「【0192】
いくつかの実施形態において、生体試料は循環腫瘍細胞を含む。循環腫瘍細胞(「CTC」)は、商標Vita-Assay(商標)、Vita-Cap(商標)、およびCellSearch(登録商標)(Vitatex、LLC(Johnson and Johnson corporaion)から市販されている)で販売されているキットおよび試薬を用いて精製することができる。CTCを単離するための他の方法が記載されている(たとえば、PCT公開第WO/2002/020825号、Cristofanilli et al, New Engl. J. of Med. 351(8):781-791(2004)、およびAdams et al., J. Amer. Chem. Soc. 130(27):8633-8641(July 2008)を参照)。特定の実施形態では、循環腫瘍細胞(「CTC」)は、肺から単離することができるか、または肺に由来すると特定することができる。
【0193】
したがって、本発明は、CTCを単離し、次いでCTCをスクリーニングするための方法、CTCにおける本発明の変異ROSポリペプチドまたはポリヌクレオチド(例えば、FIG-ROS融合ポリペプチドもしくはポリヌクレオチド)の存在を同定するための1以上のアッセイ様式を提供する。いくつかの非限定的アッセイ様式としては、ウェスタンブロッティング分析、フローサイトメトリー(FC)、免疫組織化学(IHC)、免疫蛍光(IF)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられる。本発明の変異ROSポリペプチドまたはポリヌクレオチド(例えば、FIG-ROS融合ポリペプチドまたはポリヌクレオチド)を含むと特定された患者からのCTCは、患者由来の癌(例えば、非小細胞肺癌などの肺癌)が少なくとも1つのROSキナーゼ阻害治療薬を含む組成物に反応する可能性があることを示す。」

(2)甲3(Cell, 2007, Vol.131, No.6, pp.1190-1203)
甲3は、本件優先日前に頒布された、「ホスホチロシンシグナル伝達の世界規模調査は肺癌における発癌性キナーゼを同定する」と題する学術論文であって、次の事項が記載されている。なお、原文は英語のため、異議申立書に添付された抄訳及び当審による翻訳文を示す。

甲3-1 「NSCLC細胞株及び腫瘍におけるALK及びROS融合タンパク質
ALKの高レベルのリン酸化が図3Aの上左隅の患者群及びH2228細胞株(図2E、図4A及び表1)において観察された。また、ROSの高レベルのリン酸化が1つの腫瘍サンプル及び細胞株HCC78細胞株において観察された(図4B及び表1)。リン酸化のランクは、これらのサンプルにおいて、ALK及びROSを最上位の近傍あるいは最上位に配置する(表1及びS3)。ALK及びROSのタンパク質の発現はNSCLC細胞株の間で制限されており、予測された分子量よりも小さかった(図S3A及び図S3B)。発現されたRNA転写物を調査するためにRT-PCRとDNAシークエンスが実施された。H2228細胞株及び3つの異なる腫瘍試料由来のRNA転写物の5’RACE分析は、微小管関連タンパク質であるEML4へのALKの融合を示した(図4C参照)。・・・
HCC78細胞の同様の分析は、膜貫通型溶質担体タンパク質SLC34A2へのROSの融合を示す。最初の膜貫通領域の直後で終わるSLC34A2のN末端領域は、ROSの膜貫通領域のN末端に融合され、2つの膜貫通ドメインを有する切断型融合タンパク質を産生する。この融合タンパク質の2つの形態がHCC78細胞において観察され、これは同じ転座事象から産生された異なるスプライシング産物を表す可能性が高い(図4E参照)。第二のROS融合はc-ROS陽性NSCLC腫瘍において同定された。図4Fに示される様に、c-ROSは、MIF免疫サイトカインに対して高い親和性を有するII型膜貫通タンパク質であるCD74のN末端半分に融合される(Lengら、2003)。CD74のN末端領域は、SLC34A2-ROS融合の正確な部位でROSに融合され(図4E参照)、SLC34A2融合にみられる様に、2つの膜貫通ドメインを有する融合タンパク質を奇妙にも作り出す。哺乳動物細胞におけるタグ付きSLC34A2-ROS融合タンパク質の発現は、膜画分に局在する構成的キナーゼ活性を示した(図S3E及びS3F参照)。我々はALK及びROSのキナーゼドメイン配列決定したが、変異は見つからなかった。」(第1196頁左欄第4?第1197頁左欄第19行)

甲3-2 「


図4 細胞株及び患者におけるALK及びROS融合の同定
・・・
(E)SLC34A2、ROS及びSLC34A2-ROS融合タンパク質の概略図。矢印は染色体切断点を示す。
(F)CD74、ROS及びCD74-ROS融合タンパク質の概略図。矢印は染色体切断点を示す。
」(図4E、図4F、図の説明)

(3)甲4(Plos One, 2011.01, Vol.6, No.1, e15640)
甲4は、本件優先日前に頒布された、「チロシンキナーゼシグナル伝達の調査はヒト胆管癌におけるROSキナーゼ融合を明らかにする」と題する学術論文であって、次の事項が記載されている。なお、原文は英語のため、異議申立書に添付された抄訳及び当審による翻訳文を示す。

甲4-1 「胆管癌(bile duct cancer)としても知られる胆管癌(Cholangiocarcinoma)は、生存期間の中央値が2年未満である、2番目に一般的な原発性肝癌である。この病気の発症の根底にある分子メカニズムは明らかではない。胆管癌で活性化されたチロシンキナーゼシグナル伝達を調査するために、質量分析と組み合わせた免疫親和性プロファイリングを採用して、原発性胆管癌患者の約750種類のタンパク質から1,000を超えるチロシンリン酸化部位を特定すると共に、DDR1、EPHA2、EGFR、ROSチロシンキナーゼを特定した。さらに、8.7%(23人中2人)の胆管癌患者におけるROSキナーゼ融合の存在を確認した。3T3細胞におけるROS融合の発現は、in vitro及びin vivoの両方で形質転換能を付与し、そしてそのキナーゼ阻害剤に反応する。本研究者らのデータは、ROSキナーゼが胆管癌の治療標的及び診断分子マーカーの有望な候補であることを実証する。胆管癌におけるROSチロシンキナーゼ融合の同定は、肺癌及び神経膠芽腫における他のROSキナーゼ融合の存在とともに、癌における活性化ROSキナーゼについてのより広範なスクリーニングが保証されることを示唆する。」(要約)

(4)甲5(Genes, Chromosomes and Cancer, 2003, Vol.37, No.1, pp.58-71)
甲5は、本件優先日前に頒布された、「間質性del(6)(q21q21)を有する神経膠芽腫における受容体チロシンキナーゼROSへのFIGの融合」と題する学術論文であって、次の事項が記載されている。なお、原文は英語のため、異議申立書に添付された抄訳及び当審による翻訳文を示す。

甲5-1 「膜貫通癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼ(RTK)ROSは、中枢神経系の新生物において異常に発現されるオーファン受容体である。本稿において、ヒト膠芽腫(GBM)のFIG(膠芽腫で融合)と呼ばれるタンパク質のアミノ末端部分へのカルボキシ末端キナーゼドメインの融合を我々は報告する。正常及びU118MG GBM細胞におけるFIG及びROS遺伝子の両方を特徴付けることによって、6p21上の240キロベースの染色体内ホモ接合性欠失が、FIG-ROS遺伝子座の形成に関与していることを我々は決定した。FIG-ROS転写物は、7つのFIGエクソン及び9つのROS由来エクソンによってコードされている。我々はまた、FIG-ROS遺伝子座が構成的に活性なキナーゼ活性を有するインフレーム融合タンパク質をコードすることを示し、これはFIG-ROSが癌遺伝子として作用し得ることを示唆している。これは染色体内欠失から生じる融合RTKタンパク質の最初の例であり、そしてそれはヒト星状細胞腫から単離された最初の融合RTKタンパク質を表す。」(要約)

2 取消理由1(甲2を主引用例とする進歩性欠如)についての判断
(1)甲2に記載された発明
上記甲2-2は、「PCRアッセイを用いたヒト癌試料における変異ROSキナーゼ発現の検出」の実験結果を記載した項であり、要するに、患者由来の肝臓癌細胞試料であるXY3-78T及び090665LCについて、FIG-ROS融合の存在を確認するために、当該試料から抽出されたRNAに関して逆転写酵素によってcDNAを合成し、FIG-ROS融合遺伝子を増幅したこと、また、XY3-78T及び090665LCは、それぞれFIG-ROS(S)融合ポリペプチドをコードするmRNA及びFIG-ROS(L)融合ポリペプチドをコードするmRNAを含んでいたことが記載されている。そして、XY3-78T及び090665LCが上記mRNAを含んでいたということは、XY3-78T及び090665LCから上記mRNAの存在を検出したということに他ならないから、上記甲2-2には、上記患者由来の試料において、上記mRNAの存在を検出する方法が記載されていることは明らかである。
そうすると、上記甲2-2の記載から、甲2には以下の発明が記載されていると認められる。
「肝臓癌患者由来の細胞試料におけるFIG-ROS(S)融合ポリペプチドまたはFIG-ROS(L)融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのmRNAの存在を検出する方法。」(以下、甲2発明という。)

(2)対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
甲2発明における、「患者由来の細胞試料」、「FIG-ROS(S)融合ポリペプチドまたはFIG-ROS(L)融合ポリペプチド」及び「mRNA」は、それぞれ、本件発明1の「患者由来の生物学的サンプル」、「FIG-ROS融合ポリペプチド」及び「ポリヌクレオチド」に相当する。
そうすると、両者は、「患者由来の生物学的サンプル中のFIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する方法。」で一致し、以下の点で相違する。

相違点:
本件発明1は、生物学的サンプルが、「ヒト非小細胞肺癌腫(NSCLC)患者由来」であるのに対し、甲2発明は、「肝臓癌患者由来」である点。

(3)判断
上記相違点に係る構成が当業者が容易に想到し得たものであるというためには、当業者が、ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)患者由来の生物学的サンプルからも甲2発明の肝臓癌患者由来の細胞試料と同様にFIG-ROS融合が見出されることを推認できる必要がある。以下、この観点から検討する。

ア 甲2-3の記載について
上記甲2-3には、非小細胞肺癌(NSCLC)等の肺癌を含む癌患者由来の循環腫瘍細胞(CTC)について、FIG-ROS融合ポリペプチドまたはヌクレオチドが検出された場合には、当該患者はROSキナーゼ阻害治療薬が有効である可能性があるという示唆を含む一応の記載がある。しかしながら、上記甲2-3の記載は、仮定に基づく可能性を示すものに過ぎず、事実として、NSCLC患者由来の生物学的サンプルから実際にFIG-ROS融合が見出されたという根拠はなく、また、甲2発明の肝臓癌患者由来の細胞試料と同様にFIG-ROS融合が見出され得ることを具体的な根拠をもって示唆するものでもない。

イ FIG-ROS融合がみられる腫瘍について
本件優先日当時、FIG-ROS融合は、上記甲2-1及び上記甲4-1に記載されている様に、肝臓癌(胆管癌)の一部において見つかったことが知られていたものの、他の腫瘍組織においてFIG-ROS融合が存在することは知られていなかった。甲5には、グリア芽腫細胞株においてFIG-ROS融合ポリペプチドの発現が見られたことが記載されているものの(甲5-1)、グリア芽腫患者の組織において、FIG-ROS融合ポリペプチドが発現したことは記載されておらず、また細胞株においてある変異がみられたとしても、患者由来の組織において同変異が存在するとは必ずしもいえないことが本件優先日当時の技術常識であったと認められるから、グリア芽腫患者由来の組織においてFIG-ROS融合が見つかっていたとはいえない。つまり、FIG-ROS融合は、本件優先日当時、肝臓癌(胆管癌)の一部に見つかったことが知られていたのみであり、種々の腫瘍についても見つかるといった公知の事実はなかったといえる。

ウ FIG-ROS融合の頻度について
上記甲2-1及び上記甲4-1には、23例の肝臓癌(胆管癌)患者由来のサンプル中、2例(約8.7%)においてFIG-ROS融合ポリペプチドの存在が確認されたことが示されている。一方、甲3は、非小細胞肺癌(NSCLC)患者におけるROS融合ポリペプチドの探索を目的とする実験の結果を示す学術論文であり、当該結果には、150の患者由来のサンプルからCD74-ROS融合ポリペプチドの存在が1例、41のNSCLC細胞株からSLC34A2-ROS融合ポリペプチドの存在が1例確認できたことは示されているものの、当該実験は、ROS融合ポリペプチドを網羅的に同定しており、FIG-ROS融合ポリペプチドの存在についても確認され得る実験であったにも関わらず、FIG-ROS融合ポリペプチドの存在を確認できたことは何ら示されていない。つまり、本件優先日当時、NSCLC患者において、FIG-ROS融合は検出されておらず、FIG-ROS融合の頻度は極めて低いものであったことが認められる。
一方、本件特許の発明の詳細な説明には、556例の非小細胞肺癌(NSCLC)患者由来のサンプルから、1例(約0.18%)のサンプルにおいてFIG-ROS融合の存在を確認したことが記載されており(実施例9?11)、本件特許は、甲2及び甲3にて示された実験よりも解析の規模を著しく拡大することで、初めてNSCLC患者において極めて頻度の低いFIG-ROS融合を見出したものと認められる。
なお、上述のNSCLC患者におけるFIG-ROS融合の頻度が極めて低いことは、特許権者による令和1年10月28日付けで提出された意見書に添付された、本件優先日後に頒布された学術文献である乙第10号証(The Oncologist, 2013, Vol.18, pp.865-875)において、NSCLC由来のサンプルで確認されたROS1(ROSと同義である。)融合ポリペプチドにおけるROS1と融合する対象ポリペプチドの頻度として、CD74及びSLC34A2がそれぞれ42%及び12%であるのに対し、FIGは3%でしかないことが示されている(図1B及び表1)ことによっても裏付けられているといえる。

エ FIG-ROS融合の存在の確認手段について
甲2には、肝臓癌患者におけるFIG-ROS融合の存在について、ホスホペプチドプロファイリングによって肝臓癌患者由来の細胞試料におけるROSキナーゼ活性の同定を行った後、RT-PCRを実施することで、FIG-ROS融合の存在を確認したことが記載されている(甲2-1)。
一方、本件特許の発明の詳細な説明には、NSCLC患者におけるFIG-ROS融合の存在について、免疫組織化学(IHC)によってNSCLC患者由来の生物学的サンプルにおけるROSキナーゼ・タンパク質を検出し、そのサンプルについて、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)アッセイを行うことで、FIG-ROS融合の存在を確認したことが記載されており(実施例9?11)、甲2に記載された方法とは異なる方法によって、NSCLC患者からFIG-ROS融合の存在を見出したものと認められる。そうすると、甲2に記載された肝臓癌患者由来の細胞試料からFIG-ROS融合の存在を確認した手法を、そのままNSCLC患者由来の生物学的サンプルに適用したとしても、FIG-ROS融合の存在を見出せることが必ずしも蓋然性が高いとはいえない。

上記ア?エの検討事項を総合すると、本件優先日当時、当業者がNSCLC患者からFIG-ROS融合の存在を根拠をもって推認する手がかりがあったとはいえず(ア及びイ)、また、NSCLC患者におけるFIG-ROS融合の存在を見出すことが容易であったともいえる事情もない(ウ及びエ)。
そうすると、甲2発明において、肝臓癌患者由来の細胞試料に代えてNSCLC患者由来の生物学的サンプルを用いることが当業者にとって容易に想到し得たものとはいえない。

(4)小括
本件発明1は、甲2発明及び甲2?5の記載並びに本件優先日当時の技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件発明2?7は本件発明1を引用するものであり、本件発明8及び9は甲2発明との対比において上記相違点と同様の相違点を含むものであるから、本件発明2?9も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、上記取消理由1によっては本件発明に係る特許を取り消すことはできない。

3 取消理由2(甲3を主引用例とする進歩性欠如)についての判断
(1)甲3に記載された発明
上記甲3-1は、「NSCLC細胞株及び腫瘍におけるALK及びROS融合タンパク質」に関する実験結果を記載した項であり、要するに、発現されたRNA転写物を調査するためにRT-PCRとDNAシークエンスが実施され、NSCLC細胞株であるH2228細胞株及び3つの異なるNSCLC腫瘍サンプル由来のRNA転写物の5’RACE分析によって、EML4-ALK融合タンパク質が同定されたこと、また、NSCLC細胞株であるHCC78細胞株の同様の分析によって、SLC34A2-ROS融合タンパク質が同定されたこと、c-ROS陽性NSCLC腫瘍においてCD74のN末端半分に融合された第二のROS融合タンパク質が同定されたことが記載されている。そして、上記HCC78細胞株の上記分析は、先のH2228細胞株及びNSCLC腫瘍サンプルにおける分析と同様の分析であるから、RT-PCRとDNAシークエンスを伴うRNA転写物の5’RACE分析により行われたものと認められる。また、c-ROS陽性NSCLC腫瘍における分析については、上記甲3-2に明示的な記載はないものの、当該分析の結果がHCC78細胞株におけるROS融合の分析の結果と同列に記載されていることから、HCC78細胞株における分析と同様、すなわち、先のH2228細胞株及びNSCLC腫瘍サンプルにおける分析と同様の分析であると認められ、よってRT-PCRとDNAシークエンスを伴うRNA転写物の5’RACE分析により行われたものといえる。そして、RT-PCRとDNAシークエンスを伴うRNA転写物の5’RACE分析は、一般に、試料から抽出されたmRNAを鋳型として逆転写酵素によってcDNAを合成し、目的のcDNAに相補的に結合するプライマーを用いたPCR法によって当該cDNAを増幅し、シークエンスによって当該cDNAの配列を調べる手法を含む分析であり、上記甲3-1に記載の実験は、上記分析によってROS融合タンパク質を同定したものであるから、上記分析によってROS融合タンパク質をコードするcDNAを検出し、当該cDNAの配列を調べることでROS融合タンパク質を同定したことは明らかである。つまり、上記分析にROS融合タンパク質をコードするcDNAを検出する方法が含まれることは自明である。
また、上記甲3-2は上記甲3-1の実験結果の図を示すものであり、上記実験結果の図には、上記c-ROS陽性NSCLC腫瘍であるNSCLC患者由来のCS042からCD74-ROS融合タンパク質が同定されたことが示されている。
そうすると、上記甲3-1及び甲3-2の記載から、甲3には、以下の発明が記載されていると認められる。
「c-ROS陽性NSCLC腫瘍患者由来の腫瘍サンプル中のCD74-ROS融合タンパク質をコードするcDNAを検出する方法。」(以下、甲3発明という。)

(2)対比
本件発明1と甲3発明とを対比する。
甲3発明における「c-ROS陽性NSCLC腫瘍患者由来の腫瘍サンプル」は本件発明1の「ヒト非小細胞肺癌腫(NSCLC)患者由来の生物学的サンプル」に相当する。また、甲3発明における「ROS融合タンパク質」及び「cDNAを検出する」は、それぞれ、本件発明1における「ROS融合ポリペプチド」及び「ヌクレオチドの存在を検出する」に相当する。
そうすると、両者は、「ヒト非小細胞肺癌腫(NSCLC)患者由来の生物学的サンプル中のROS融合ポリペプチドをコードするヌクレオチドの存在を検出する方法」で一致し、以下の点で相違する。

相違点:
本件発明1は、「ROS融合ポリペプチド」が「FIG-ROS融合ポリペプチド」であるのに対し、甲3発明は、「CD74-ROS融合ポリペプチド」である点。

(3)判断
上記相違点に係る発明が当業者が容易に想到し得たものであるというためには、当業者が、c-ROS陽性NSCLC腫瘍患者由来の腫瘍サンプルから、CD74-ROS融合のみならず、FIG-ROS融合が見出されることを推認できる必要がある。以下、この観点から検討する。
上記2(3)で検討したとおり、本件優先日当時、FIG-ROS融合の存在は、肝臓癌(胆管癌)の一部にみられたことが知られていたのみであり、種々の腫瘍についても存在するといった公知の事実もなく、また、NSCLC患者におけるFIG-ROS融合の頻度は極めて低いことから、当該患者由来の生物学的サンプル中において実際にFIG-ROS融合の存在を見出すことは、当業者にとって容易であったとはいえない事情があった。
加えて、CD74-ROS融合ポリペプチドは、異なる染色体間の転座の結果生成される融合ポリペプチドであるが(甲3-1、甲3-2)、FIG-ROS融合ポリペプチドは、染色体内の欠失によって生成される融合ポリペプチドであり(本件特許の発明の詳細な説明における段落[0271])、染色体間の転座と同一染色体内の欠失とが同種の変異ともいえないことから、甲3に記載されたCD74-ROS融合ポリペプチドの同定が、直ちにFIG-ROS融合の存在を示唆するとはいえないものと認められる。
そうすると、甲2?5の記載及び本件優先日当時の技術常識に基づいて、c-ROS陽性NSCLC腫瘍患者由来の腫瘍サンプル中においてFIG-ROS融合の存在を見出すことは、当業者にとって容易に想到し得たこととはいえないから、甲3発明において、CD74-ROS融合ポリペプチドをFIG-ROS融合ポリペプチドに変更し、当該ROS融合ポリペプチドをコードするヌクレオチドの存在を検出する方法することは、当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。

(4)小括
本件発明1は、甲3発明及び甲2?5の記載並びに本件優先日当時の技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件発明2?7は本件発明1を引用するものであり、本件発明8及び9は甲3発明との対比において上記相違点と同様の相違点を含むものであるから、本件発明2?9も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、上記取消理由2によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。

第5 取消理由で採用しなかった特許異議申立理由についての判断
1 申立理由1(明確性要件違反)について
(1)申立理由1の具体的な内容
本件発明1及び2について、本件発明1及び2は方法発明であるにも関わらず、具体的な工程が一切特定されていないため、どのようにしてFIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出するのか不明確であるから、本件発明1及び2に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、よって同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)判断
本件出願日当時において、あるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する方法として、例えば当該ポリヌクレオチドに特異的に結合する試薬(例えば、FISHプローブ、サザン・ブロッティング・プローブ、またはノーザン・ブロッティング・プローブ等)等を用いて上記ポリヌクレオチドの存在を検出する方法は既に慣用技術であったといえる。
そうすると、本件発明1及び2に具体的な工程が特定されていないとしても、どのようにしてFIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出するのかが不明とまではいえないから、本件発明1及び2が不明確であるとはいえず、特許法第36条第6項第2号に規定する要件に違反したものとすることはできない。

(3)小括
上記申立理由1によっても本件発明1及び2に係る特許を取り消すことはできない。

2 申立理由2(サポート要件違反)
(1)申立理由2の具体的な内容
本件発明1、2、4、6及び7に係る特許は、以下のア?エの理由から、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、よって同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

ア 本件発明1、2について
本件発明1及び2は方法発明であるにも関わらず、具体的な工程が一切特定されていない。一方、発明の詳細な説明には、ROSキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに特異的に結合する試薬を利用して、FIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する方法のみ記載されている(段落[0132])。したがって、本件発明1及び2は、発明の詳細な説明に記載された発明の課題を解決する手段が反映されていないから、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えている。

イ 本件発明4について
本件発明4に特定されている、FIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのFIG部分にハイブリダイズするプローブと、ROS部分にハイブリダイズするプローブの2種類のFISHプローブを利用してFIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出することは発明の詳細な説明に記載されていないため、本件発明4は発明の詳細な説明に記載された発明ではない。

ウ 本件発明6について
本件発明6に特定されている、サンプル中のmRNAを鋳型としてRT-PCRを行いFIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出することは発明の詳細な説明に記載されていないため、本件発明6は発明の詳細な説明に記載された発明ではない。

エ 本件発明7について
本件発明7に特定されている、核酸配列決定を行いFIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出することは発明の詳細な説明に記載されていないため、本件発明7は発明の詳細な説明に記載された発明ではない。

(2)判断
ア 本件発明1、2について
本件発明1、2の解決しようとする課題は、発明の詳細な説明における、「残念なことに、肺癌は、初期段階で診断されない場合が多く、化学療法または放射線療法と併用した場合でさえ、手術に完全に応答しない場合が多い。例えば、NSCLCは、米国における癌死亡の主要原因であり、全ての肺癌の約87%を占める。・・・3つの別個のサブタイプを含むNSCLCは、転移した後になってやっと検出される場合が多く、従って、死亡率は診断の2年以内に75%である。」(段落[0007])及び「従って、初期段階で肺癌を同定する新規方法、および肺癌を処置するための新規方法(および新規試薬)を発見することは、有用である。」(段落[0009])の記載から、初期段階で肺癌を同定する新規方法及び肺癌を処置するための新規方法のいずれかを提供することであると認められる。
そして、発明の詳細な説明における実施例9?11には、肺癌の一種であるNSCLCの患者サンプルからFIG-ROS融合物の存在が確認されたことが示され、「これらのデータは、NSCLCにおいて第6染色体上の染色体内欠失としてFIG-ROS融合物を示した最初であった」(段落[0272])ことが記載されており、また、実施例13?15には、FIG-ROS融合ポリペプチドを発現するBaF3細胞に、ALKキナーゼ阻害剤を投与した結果、アポトーシスが誘導されたことが示され、「切断型ROSキナーゼ(・・・ROS融合タンパク質、例えばFIG-ROS・・・)の発現を特徴とする癌を有する患者を同定し、この患者は、ROS阻害性治療剤を使用する処置の候補である」(段落[0280])ことが記載されている。以上の記載から、「ヒト非小細胞肺癌腫(NSCLC)患者由来の生物学的サンプル中のFIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する」ことで、ROS阻害性治療剤を使用するなど新たな処置を可能とし、その点で肺癌を処置するための新規の方法を提供しているといえるから、本件発明1及び2は、その特定事項において具体的な工程が含まれていなくとも、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載されていると認められる。
したがって、本件発明1及び2は、発明の詳細な説明に記載された範囲を超えているとはいえない。

イ 本件発明4について
発明の詳細な説明における実施例11(段落[0270]?段落[0272])及び図15には、以下の記載がある。なお、下線は当審によって付与されたものである。

「〔実施例11〕
肺腫瘍749由来のFIG-ROS(S)融合遺伝子の単離および配列決定
・・・
この腫瘍749のFISHパターンが何であるかを決定するために、第3の遠位プローブRP11-213A17をInvitrogenから得て、この腫瘍におけるROS変異がFIG-ROS融合に起因し得るか否かをさらに調査した。FIG遺伝子とROS遺伝子との融合物は、神経膠芽腫、胆管細胞癌および肝臓癌において記載されている・・・が、この融合物は、肺では以前には記載されていなかった。FIG遺伝子とROS遺伝子との融合は、転座も逆位も生じないが、第6染色体上の240キロベースの染色体内欠失から生じるので、新たなセットのFISHプローブを設計した。
・・・肺ID749が実際にFIG-ROS陽性であるか否かを決定するために、別のFISHプローブ・セットを設計した(図15)。・・・プローブ・セット2は、ROS上に位置する179P9およびFIG遺伝子上に位置する213A7を含んだ、従って、このプローブ・セットでは、U118MGは、オレンジ色および緑色の両方のシグナルを示す(図16Dを参照のこと)。」(段落[0270]?段落[0272])



」(図15)

上記プローブ・セット2は、ROS遺伝子部分及びFIG遺伝子部分に対応するプローブからなるから、発明の詳細な説明には、FIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出するFISHアッセイにて利用される核酸プローブについて、FIG部分及びROS部分にハイブリダイズするものが記載されていることは明らかである。また、本件優先日当時において、FISHアッセイにて利用される核酸プローブとして、検出したいヌクレオチドの特徴的な部分にハイブリダイズするものを用いることは技術常識であり、FIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する場合にFIG-ROS融合の特徴的な部分であるFIG部分及びROS部分にハイブリダイズするプローブを選択することは上記技術常識からみて自明の事項である。よって、発明の詳細な説明には、FIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出するFISHアッセイにて利用される核酸プローブについて、「前記プローブの1つが前記FIG-ROS融合ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドのFIG部分にハイブリダイズし、そして前記プローブのもう1つが前記FIG-ROS融合ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドのROS部分にハイブリダイズする」ものであることが記載されていると認められる。
したがって、本件発明4は発明の詳細な説明に記載された発明である。

ウ 本件発明6について
発明の詳細な説明における実施例13(段落[0278]?段落[0279])には、以下の記載がある。なお、下線は当審によって付与されたものである。

「〔実施例13〕
PCRアッセイを使用した、ヒト肺癌サンプルにおけるROSキナーゼ発現の検出
ヒト肺癌サンプル中の異常に発現された全長ROSタンパク質またはROS融合タンパク質(例えば、SLC34A2-ROS融合タンパク質のうち1つ、CD74-ROS融合タンパク質、またはFIG-ROS融合タンパク質のうち1つ)の存在は、以前に記載されたゲノム・ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または逆転写(RT)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のいずれかを使用して検出され得る。・・・
簡潔に例として述べると、腫瘍または胸水貯留サンプルは、標準的な技術を使用してNSCLCを有する患者から得られ得る。切断型ROSキナーゼ、SLC34A2-ROS融合タンパク質、CD74-ROSまたはFIG-ROSに対するPCRプローブを構築した。RNeasy Mini Kit(Qiagen)が、腫瘍または胸水貯留サンプルからRNAを抽出するために使用され得る。DNAは、DNeasy Tissue Kit(Qiagen)を使用して抽出され得る。RT-PCRについて、第1鎖cDNAは、例えばSuperScript(商標)III第1鎖合成系(Invitrogen)をオリゴ(dT)20と共に使用して、例えば2.5mgの総RNAから合成した。次いで、ROS遺伝子またはROS融合遺伝子(例えば、SLC34A2-ROS、CD74-ROSまたはFIG-ROS)を、SLC34A2-F1およびROS-P3などのプライマー対を使用して増幅した(上記実施例5を参照のこと)。ゲノムPCRについて、融合遺伝子の増幅は、SLC34A2-F1およびROS-R1、またはSLC34A2-F1およびROS-R2などのプライマー対と共に、Platinum Taq DNAポリメラーゼ高忠実度(Invitrogen)を使用して実施され得る。」(段落[0278]?段落[0279])

以上の記載から、FIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在の検出方法として、RT-PCRが用いられ、NSCLC患者から得られるサンプルより抽出したRNAからcDNAを合成すること、すなわち鋳型としてサンプル中のmRNAを利用することが記載されていると認められるし、本件優先日当時において、所望のポリヌクレオチドの存在の検出に用いられるRT-PCRにおいて、鋳型としてサンプル中のmRNAを利用することは技術常識である。よって、発明の詳細な説明には、上記検出に用いられるPCRとして、「前記PCRがRT-PCRであり、鋳型として前記サンプル中のmRNAを利用する」ことが記載されているものと認められる。
したがって、本件発明6は発明の詳細な説明に記載された発明である。

エ 本件発明7について
発明の詳細な説明における実施例12(段落[0273]?段落[0277])には、以下の記載がある。なお、下線は当審によって付与されたものである。

「〔実施例12〕
肺腫瘍749由来のFIG-ROS(S)融合遺伝子の単離および配列決定
腫瘍749(これは、ホルマリン固定したパラフィン包埋腫瘍であった)由来のROS融合物を単離および配列決定するために、以下のプロトコルを使用した。・・・
FFPE腫瘍サンプルからのRT-PCR:3×10μmの切片由来のRNAを、標準的なプロトコル(RNeasy FFPE Kit、Qiagen)に従って抽出した。第1鎖cDNAを、SuperScript III第1鎖合成系(Invitrogen)を遺伝子特異的プライマーと共に使用して、500ngの総RNAから合成した。次いで、FIG-ROS融合cDNAを、短いアイソフォームについてPCRプライマー対FIG-F3およびROS-GSP3.1を使用し、長いアイソフォームについてPCRプライマー対FIG-F7およびROS-GSP3.2を使用して、増幅した。GAPDHプライマーは、Qiagen(Valencia、CA)から購入した。
・・・
FIGのためのプライマーは、腫瘍749において観察されたFISHパターンおよびFIG-ROS融合物に関する公開された情報に基づいて選択したので、腫瘍749は、FIG-ROS融合物であることが予測された。
・・・
予測されるように、腫瘍749におけるROS融合タンパク質は実際に、FIG-ROS融合物、具体的には、以前に記載されたFIG-ROS(S)融合物であった(PCT公開番号WO2010/0923828を参照のこと)。図17は、腫瘍749由来のFFPEブロック由来の配列(「sbjct」のライン)の、PCT公開番号WO2010/0923828に記載されたFIG-ROS(S)由来の配列(「query」のライン)のアラインメントを示す。・・・
FIG-ROS(S)のアミノ酸配列は配列番号:58中に示され、FIG-ROS(S)のヌクレオチド配列は配列番号:57中に示される。
・・・FIG-ROS(L)のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号56および配列番号55に示される。さらに、FIG遺伝子およびROS遺伝子の遺伝子構造の分析に基づいて、第3のFIG-ROSバリアント(即ち、FIG-ROS(XL))が提案されている(PCT公開番号WO2010/0923828を参照のこと)。FIG-ROS(XL)のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号60および配列番号59に示される。NSCLCにおけるFIG-ROS(S)のこの知見を考慮すると、FIG-ROS融合タンパク質の他のバリアントもまた、NSCLCにおいて見出され得る。」(段落[0273]?段落[0278])

以上の記載から、FIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、配列決定によって検出したことが記載されていると認められるし、本件優先日当時において、所望のポリヌクレオチドの存在を配列決定によって検出することは慣用技術に過ぎないから、発明の詳細な説明には、上記検出として「前記検出が核酸配列決定を含む」ことが記載されているものと認められる。
したがって、本件発明7は発明の詳細な説明に記載された発明である。

(3)小括
上記申立理由2によっても本件発明1、2、4、6及び7に係る特許を取り消すことはできない。

3 申立理由3(実施可能要件違反)について
(1)申立理由3の具体的な内容
本件発明1及び2は、方法発明であるにも関わらず、具体的な工程が一切特定されていない。一方、発明の詳細な説明には、ROSキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに特異的に結合する試薬を利用して、FIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する方法のみ記載されており、それ以外の手段を用いてFIG-ROS融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する方法は記載されていない。したがって、「ROSキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに特異的に結合する試薬を利用」する以外の手段に関して、発明の詳細な説明は、本件発明1及び2を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないから、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、よって同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)判断
上記1(2)で述べたとおり、本件優先日当時において、あるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在の検出方法として、例えば当該ポリヌクレオチドに特異的に結合する試薬(例えば、FISHプローブ、サザン・ブロッティング・プローブ、またはノーザン・ブロッティング・プローブ等)を用いる検出方法は慣用技術であったといえる。
そして、本件発明1及び2の実施に際して、当業者であれば通常上記慣用技術の採用を想定するものと認められるところ、発明の詳細な説明には、本件発明1及び2を実施するにあたり、上記想定のとおり、上記慣用技術を採用できることが記載され、具体的にFISHプローブを用いる等の慣用手段によって実施できたことについても記載されている。そして、発明の詳細な説明に上記慣用技術以外の方法の記載がないことで本件発明1及び2の一部の態様を実施できないといった特段の事情もなく、発明の詳細な説明の記載及び本件出願時当時の技術常識に基づいて本件発明1及び2を当業者が実施できないという具体的な理由も見当たらない。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、本件発明1及び2を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものであるというべきである。

(3)小括
上記申立理由3によっても本件特許を取り消すことはできない。

4 申立理由4(新規事項の追加)について
(1)申立理由4の具体的な内容
本件発明1?9は、平成29年11月22日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された発明である。
しかしながら、本件発明1、4、6及び7は、上記2(1)ア?エのとおり、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、本件特許の出願当初の明細書における発明の詳細な説明に記載されたものでもないから、平成29年11月22日付け手続補正書による補正は、出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないため、本件特許は同法第113条第1号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)判断
上記2(2)ア?エで述べたとおり、平成29年11月22日付け手続補正書により補正された発明である本件発明1、4、6及び7は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、そして、上記2(2)ア?エで述べた発明の詳細な説明の記載事項は、出願当初の明細書等において記載された事項である。
よって、平成29年11月22日付け手続補正書による補正は、出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(3)小括
上記申立理由4によっても本件特許を取り消すことはできない。

5 申立理由5(甲第1号証を主引用例とする新規性欠如、進歩性欠如)について
(1)申立理由5の具体的な内容
上記4(1)のとおり、平成29年11月22日付け手続補正書による補正は、出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。そして、当該補正によって追加された事項は、本件特許の原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内でもないから、本件特許に係る出願は分割要件を満たしておらず、特許法第44条第2項の規定は適用されない。したがって、本件特許に係る出願は原出願の時にしたものとはみなされず、よって、現実の出願日である平成29年9月11日に出願したものとして取り扱われるべきである。
一方、甲第1号証(以下、甲1という。)は、本件特許に係る出願の出願日前の平成26年7月17日に公表された特表2014-517297号公報であり、本件特許の原出願である特願2014-512072号の公表特許公報である。
そうすると、甲1は本件特許に係る出願の出願日前に頒布された刊行物であり、そして、本件発明1?3、5、8及び9は甲1に記載された発明と実質的な相違点はないから、本件発明1?3、5、8及び9は、甲1に記載された発明であるか、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。
また、本件発明4、6及び7は、甲1に記載された発明及び周知技術に基づき当業者が容易になし得たものである。
したがって、本件発明1?3、5、8及び9は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができず、また本件発明1?9は、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)判断
上記4(2)で述べたとおり、平成29年11月22日付け手続補正書による補正は、出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。そして、当該補正は本件特許の原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内でもあるから、本件特許に係る出願は分割要件を満たしており、特許法第44条第2項の規定が適用され、原出願の時(平成24年5月23日)にしたものとみなされる。そして、特許法第29条第1項第3号の判断の基準日は、原出願の優先日である平成23年5月23日である。
そうすると、甲1は本件優先日前に頒布された刊行物ではないから、上記申立理由5は理由がない。

(3)小括
上記申立理由5によっても本件発明に係る特許を取り消すことはできない。

6 申立理由6(甲2を引用例とする新規性欠如)について
(1)申立理由6の具体的な内容
本件発明1?3、8及び9は、甲2に記載された発明と実質的な相違点はないから、本件発明1?3、8及び9は、甲2に記載された発明である。
したがって、本件発明1?3、8及び9は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないから、本件発明1?3、8及び9に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)判断
上記「第4 取消理由についての当審の判断」における「2 取消理由1(甲2を主引用例とする進歩性欠如)についての判断」で述べたとおり、本件発明1は、甲2に記載された発明(甲2発明)と相違点を有するものであるから、甲2発明と同一ではない。
また、本件発明2及び3は、本件発明1を引用するものであるから、甲2発明と同一でないことは明らかであるし、本件発明8及び9も、甲2発明との対比において上記相違点と同様の相違点を含むものであるから、本件発明8及び9も、同様の理由により、甲2発明と同一ではない。
よって、本件発明1?3、8及び9は、甲2に記載された発明であるとはいえない。

(3)小括
上記申立理由6によっても本件発明に係る特許を取り消すことはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-12-06 
出願番号 特願2017-173626(P2017-173626)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G01N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 草川 貴史  
特許庁審判長 長井 啓子
特許庁審判官 常見 優
小暮 道明
登録日 2018-09-21 
登録番号 特許第6404423号(P6404423)
権利者 セル・シグナリング・テクノロジー・インコーポレイテツド
発明の名称 肺癌におけるROSキナーゼ  
代理人 大木 信人  
代理人 梅田 慎介  
代理人 今野 智介  
代理人 松任谷 優子  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ