ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H04N |
---|---|
管理番号 | 1358226 |
審判番号 | 不服2018-15172 |
総通号数 | 242 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-11-15 |
確定日 | 2019-12-19 |
事件の表示 | 特願2014-156288「通信システム、サーバ、サーバの制御方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月10日出願公開、特開2016- 34084〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年7月31日の出願であって、平成30年3月22日付けで拒絶理由が通知され、平成30年5月28日付けで手続補正がされ、平成30年6月6日付けで拒絶理由が通知され、平成30年8月10日付けで手続補正がされ、平成30年8月24日に平成30年8月10日付け手続補正が却下され、同日付けで拒絶査定がされ、これを不服として平成30年11月15日に本件審判請求がされ、同時に手続補正がされたものである。 第2 平成30年11月15日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成30年11月15日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成30年11月15日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である、 「第1の通信装置、第2の通信装置およびサーバが通信可能に接続された通信システム」、及び、 「他の設定項目が連動しない前記第1の設定項目の変更が前記第2の通信装置においても適用されるように、且つ、他の設定項目が連動する前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう手段」 を、それぞれ、 「第1の通信装置および第2の通信装置の設定をサーバで管理する通信システム」、 及び、 「前記第1の設定項目が他の設定項目に連動しない設定項目であることに少なくとも基づいて前記第1の設定項目の変更が前記第2の通信装置においても適用されるように、且つ、前記第2の設定項目が他の設定項目に連動する設定項目であることに少なくとも基づいて前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう手段」 と限定する補正事項を含むものである(下線は、補正により付加された部分を示すために当審により付したものである。)。 2.補正の適否 (1)目的 請求項1に係る上記補正事項は、補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定したものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて以下に検討する。 (2)独立特許要件 ア.本願補正発明 本願補正発明は、平成30年11月15日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、本願補正発明の各構成の符号は当審において付与したものであり、以下、構成A?構成Dと称する。 [本願補正発明] (A)第1の通信装置および第2の通信装置の設定をサーバで管理する通信システムであって、 (B)前記第1の通信装置において、第1の設定項目および第2の設定項目の設定変更指示を受け付ける手段と、 (C)前記第1の通信装置において、前記第1の設定項目の変更および前記第2の設定項目の変更を適用し、且つ、前記第2の設定項目の変更に連動して他の設定項目の変更を適用する手段と、 (D)前記第1の設定項目が他の設定項目に連動しない設定項目であることに少なくとも基づいて前記第1の設定項目の変更が前記第2の通信装置においても適用されるように、且つ、前記第2の設定項目が他の設定項目に連動する設定項目であることに少なくとも基づいて前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう手段と、 (A)を有することを特徴とする通信システム。 イ.発明の詳細な説明の記載事項 本願明細書の発明の詳細な説明には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、情報処理装置と、情報処理装置とネットワークを通じて接続される設定値管理サーバとの間で設定値を同期する技術に関する。 【背景技術】 【0002】 複合機等の情報処理装置には、動作を切り替える設定値(コンフィギュレーションデータ)を記憶しているものが存在する。このような情報処理装置を複数台使用する環境では、各情報処理装置の設定値を個別に管理する必要があった。 この管理の手間を省くため、設定値を、ネットワーク接続されたサーバ等の他の情報処理装置(以下、サーバ)に保存して、情報処理装置毎に個別の設定値や、全ての情報処理装置で共通に使用する設定値を管理する技術がある。 また、サーバで一元管理している設定値を各情報処理装置に設定する様々な技術が存在する。 【0003】 例えば、サーバで管理している設定値を、ネットワークを介して参照可能な場所に配置し、各情報処理装置がその設定値を参照することで設定値を管理する技術が存在する。他にも情報処理装置で設定値が変更された際に、変更内容をサーバに通知することで、サーバ側で情報処理装置側の設定値の変更を同期する技術が存在する(特許文献1)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2013-1044号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかし、上記従来の技術で情報処理装置の各設定値を管理する場合、該各設定値は情報処理装置かサーバのどちらか一方でしか変更できないため、設定値に応じて変更する場所を切り替える必要があり煩雑であった。 なお、各設定値を情報処理装置とサーバの双方で変更できるようにすると、どちらか一方で設定値を変更していた場合には起こり得なかった設定値の変更が行われ、各設定値が不整合状態になる可能性があった。 【0006】 本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、情報処理装置の設定値を管理装置で一元管理しながら、情報処理装置と管理装置のどちらでも変更することができるようにしつつ、設定値が不整合となる状態の発生を防止することができる仕組みを提供することである。」 「【0011】 図1は、本発明の一実施例を示す設定値同期システムの全体構成を例示するシステム構成図である。 図1に示すように、本発明の設定値同期システムでは、設定値管理サーバ110と、複数の複合機120,121が、LANやインターネット等のネットワーク100を介して接続されている。 【0012】 設定値管理サーバ110は、複合機120や複合機121の設定値を、仮想デバイス設定として管理している。設定値管理サーバ110は、仮想デバイス設定に変更があった場合、複合機120、複合機121からネットワーク100を介して変更差分取得要求を受け付けた際に、その複合機に対して、その複合機内の設定値との差分を通知する。また、設定値管理サーバ110は、複合機120、複合機121から設定値の変更情報を受信した場合には、該変更情報に基づいて自身が管理する仮想デバイス設定の値を変更する。 【0013】 複合機120は、複数種類の機能、例えばコピーやFAX等を実現する画像形成装置等の情報処理装置であり、内部にそれらの機能を実行するときに利用する設定値を記憶している。複合機120は、自身の設定値に変更があった場合は、設定値管理サーバ110にネットワーク100を介して変更情報を通知する。また、複合機120は、設定値管理サーバ110に仮想デバイス設定の変更差分取得要求を送信して設定値管理サーバ110から自身の設定値との差分を取得し、該取得した差分で自身の設定値の値を変更する。 【0014】 なお、ここでは、自身の設定値を設定値管理サーバ110と同期する情報処理装置として、複合機(MFP;MultiFunction Peripheral)を用いて説明する。しかし、設定値管理サーバ110と同期する情報処理装置は、自身の機能の実行時に利用する設定値を記憶し、ネットワークを介して設定値管理サーバ110と通信可能な機器であればどのような機器であってもよい。例えば、パーソナルコンピュータやネットワーク家電等であってもよい。 【0015】 なお、設定値によっては、複合機120、複合機121間のような複数の複合機間で値の同期を行うものも存在する。それらの設定値に関しては、設定値管理サーバ110上の仮想デバイス設定に変更があった場合は、複合機120、複合機121両方に設定値の変更情報が通知される。また、複合機120、複合機121どちらかの設定値に変更があった場合は、初めに、設定値管理サーバ110に変更情報が通知され、その後、設定値管理サーバ110経由で他方の複合機にも変更情報が通知される。なお、複合機等の情報処理装置は、3つ以上であってもよい。 【0016】 以上示したように、本実施例の設定値同期システムは、複数の情報処理装置と、前記複数の情報処理装置の動作を決定する複数の設定値を管理する管理装置とがネットワークを介して通信可能な設定値の管理システムである。 なお、設定値管理サーバ110、複合機120,121についての詳細な説明は後述する。その際、複合機120を例に説明するが、複合機121も複合機120と同様の構成を有するものとする。」 「【0088】 図7Aは、実施例1における、仮想設定更新部309が、更新する設定の設定値識別子と値を受け付けて実行する仮想設定更新処理を例示するフローチャートである。図7Aのフローチャートの各ステップは、設定値管理サーバ110が備えるCPU201がROM202等のメモリに格納されたプログラムをRAM203に展開して実行することによって処理される。なお、このフローチャートの処理は、仮想設定更新部309が、設定更新要求を受け付けてから、仮想デバイスDB413を更新するまでの処理を記載したものである。また、このフローチャートは、仮想設定更新部309が、変更すべき設定値の設定値識別子と値を受け付けた時点から処理を開始する。 【0089】 ステップS701において、仮想設定更新部309は、デバイス通信部310、共通設定更新部306、又は設定編集部311等から受け付けた設定値識別子に対応付いたメタデータを、設定値情報取得部303から取得し、S702に処理を移行する。 S702では、仮想設定更新部309は、仮想設定保持部308を介して対象の仮想デバイスDB413の構成情報DB415から、対応する複合機のデバイス構成情報を取得し、該取得したデバイス構成情報、及び、設定値の変更後の値が上記S701で取得したメタデータの条件を満たしているか否かを判定する。なお、ここでは、デバイス構成情報が上記メタデータの「条件」及び「機種/バージョン」を満たし、且つ、更新する設定値の値が「値域」を満たしている場合に、条件を満たしていると判定するものとする。 【0090】 そして、上記S702において、上記取得したデバイス構成情報及び変更する設定値の値が上記S701で取得したメタデータの条件を満たしていないと判定した場合(S702でNoの場合)、仮想設定更新部309は、S703へ処理を移行する。S703では、仮想設定更新部309は、上記受け付けた更新する設定値の値を初期値に変更し、S704に処理を移行する。 【0091】 一方、上記S702において、上記取得したデバイス構成情報及び変更する設定値の値が上記S701で取得したメタデータの条件を満たしていると判定した場合(S702でYesの場合)、仮想設定更新部309は、そのままS704へ処理を移行する。 【0092】 S704では、仮想設定更新部309は、上記S701で取得したメタデータから、上記受け付けた更新する設定値に連動する設定値があるか(即ち、更新する設定値は連動仕様の元設定値か)否かを判定する。 【0093】 そして、上記受け付けた更新する設定値に連動する設定値があると判定した場合(S704でYesの場合)、仮想設定更新部309は、S705へ処理を移行する。 S705では、仮想設定更新部309は、連動判定更新処理を実行する。連動判定更新処理の詳細は図7Bを用いて後述する。そして、該連動判定更新処理が終了したら、仮想設定更新部309は、S709に処理を移行する。 【0094】 一方、上記S704において、上記受け付けた更新する設定値に連動する設定値がないと判定した場合(S704でNoの場合)、仮想設定更新部309は、S706へ処理を移行する。 【0095】 S706では、仮想設定更新部309は、上記S701で取得したメタデータから、上記受け付けた更新する設定値が他の設定値に連動するか(即ち、更新する設定値は連動仕様の連動設定値か)否かを判定する。 【0096】 そして、上記受け付けた更新する設定値が他の設定値に連動すると判定した場合(S706でYesの場合)、S707へ処理を移行する。 S707では、仮想設定更新部309は、連動影響更新処理を実行する。連動影響更新処理の詳細は図7Cを用いて後述する。そして、該連動判定更新処理が終了したら、仮想設定更新部309は、S709に処理を移行する。 【0097】 一方、上記S706において、上記受け付けた更新する設定値が他の設定値に連動しないと判定した場合(S706でNoの場合)、仮想設定更新部309は、S708へ処理を移行する。 S708では、仮想設定更新部309は、仮想設定保持部308を用いて、上記受け付けた更新する設定の値で、対象の仮想デバイスDB413の仮想設定DB414を更新する。そして、該仮想設定DB414の更新を終えたら、仮想設定更新部309は、S709に処理を移行する。 【0098】 S709では、仮想設定更新部309は、上記S703での初期値変更した設定値以外で本フローチャートの処理で更新した設定値の中に、共通設定DB411に未反映の設定値があるか否かを判定する。 【0099】 そして、未反映の項目があると判定した場合(S709でYesの場合)、仮想設定更新部309は、S710へ処理を移行する。S710では、仮想設定更新部309は、上記S709で判定した未反映の設定値の設定値識別子と値を共通設定更新部306に通知し、設定の更新処理を実行する。そして、全ての未反映の設定値を通知したら、仮想設定更新部309は、本フローチャートの処理を終了する。 【0100】 一方、上記S709において、未反映の項目がないと判定した場合(S709でNoの場合)、仮想設定更新部309は、本フローチャートの処理を終了する。 【0101】 図7Bは、設定値管理サーバ110において仮想設定更新部309が実行する連動判定更新処理を例示するフローチャートである。図7Bのフローチャートの各ステップは、設定値管理サーバ110が備えるCPU201がROM202等のメモリに格納されたプログラムをRAM203に展開して実行することによって処理される。なお、図7Bのフローチャートは、仮想設定更新部309が、連動判定更新処理を開始し、連動する設定を登録するまでの処理を記載したものである。また、このフローチャートは仮想設定更新部309が、連動判定更新処理を実行した時点から処理を開始する。 【0102】 ステップS711において、仮想設定更新部309は、図7AのS701で受け付けた更新する設定値に連動して変更する各設定値のメタデータを設定値情報取得部303より取得し、仮想設定保持部308を介して対象の仮想デバイスDB413の構成情報DB415から仮想デバイス構成情報を取得する。そして、仮想設定更新部309は、該取得したデバイス構成情報、及び、連動して変更する各設定値の変更後の値が上記取得した連動して変更する各設定値のメタデータの条件を満たしているか否かを判定する。なお、ここでは、デバイス構成情報が上記各メタデータの「条件」及び「機種/バージョン」をそれぞれ満たし、且つ、連動して変更する各設定値の変更後の値が「値域」をそれぞれ満たしている場合に、条件を満たしていると判定するものとする。 【0103】 そして、上記S711において、条件を満たしていない設定値が存在すると判定した場合(S711でNoの場合)、仮想設定更新部309は、S712に処理を移行する。 S712では、仮想設定更新部309は、上記S711で条件を満たしていないと判定した連動する設定値の値(連動値)を一時的に初期値に変更し、S713に処理を移行する。 一方、上記S711において、全ての設定値が条件を満たしていると判定した場合(S711でYesの場合)、仮想設定更新部309は、S713に処理を移行する。 【0104】 S713では、仮想設定更新部309は、上記受け付けた更新する設定値と、その設定値に連動する設定値の設定タイプが全て同じ設定タイプであるか否かを判定する。 そして、全て同じ設定タイプであると判定した場合(S713でYesの場合)、仮想設定更新部309は、S714に処理を移行する。 【0105】 S714では、仮想設定更新部309は、上記受け付けた更新する設定値の値と、その設定に連動する設定値の値を、仮想設定保持部308を介して、対象の仮想デバイスDB413に登録し、本フローチャートの処理を終了する。連動する設定値(元設定値および連動設定値)の設定タイプが全て同一の場合、連動仕様を基準にし(優先し)、連動する設定値を変更することにより、対象の仮想デバイスDB413を整合した状態で設定値を更新することができる。 【0106】 一方、上記S713において、上記受け付けた更新する設定値と、その設定値に連動する設定値の中に、異なる設定タイプの設定値があると判定した場合(S713でNoの場合)、仮想設定更新部309は、S715に処理を移行する。 S715では、仮想設定更新部309は、上記受け付けた更新する設定の設定タイプが"共通"であるか否かを判定する。 【0107】 そして、上記受け付けた更新する設定の設定タイプが"共通"であると判定した場合(S715でYesの場合)、仮想設定更新部309は、S714に処理を移行する。上記S715でYesの場合とは、連動仕様の元設定値の設定タイプが"共通"で、連動仕様の連動設定値に設定タイプが"個別"のものが含まれている場合に対応する。この場合には、連動仕様を基準にし(優先し)、連動する設定値を変更することにより、仮想デバイスDB413を整合した状態で設定値を更新することができる。 【0108】 一方、上記受け付けた更新する設定の設定タイプが"個別"であると判定した場合(S715でNoの場合)、仮想設定更新部309は、S716に処理を移行する。 S716では、仮想設定更新部309は、上記受け付けた更新する設定とその設定に連動する設定の全ての値を更新した場合に、更新後の値が対象の仮想デバイスDB413内において不整合状態となるか否かを図7AのS701で取得したメタデータを用いて判定する。 【0109】 そして、対象の仮想デバイスDB413内において不整合状態にならないと判定した場合(S716でNoの場合)、仮想設定更新部309は、S717に処理を移行する。 S717では、仮想設定更新部309は、上記受け付けた更新する設定値の値と、その設定に連動する設定値のうち設定タイプが"個別"となる設定値の値とを、仮想設定保持部308を通して、対象の仮想デバイスDB413に登録し、本フローチャートの処理を終了する。上記S716でYesの場合とは、連動仕様の元設定値の設定タイプが"個別"で、連動設定値に設定タイプが"共通"のものが含まれており、且つ、対象の仮想デバイスDB413内において不整合状態にならない場合に対応する。この場合には、設定タイプが"個別"である元設定値に連動させて、設定タイプが"共通"の連動設定値を変更してしまうと、他の仮想デバイスDB413内で不整合状態になる可能性がある。このため、上記S717では、連動仕様の連動設定値のうち設定タイプが"個別"となる設定値のみ変更することにより、仮想デバイスDB413を整合した状態で設定値を更新することができる。なお、この場合、更新した設定値に連動して連動値を登録しなかった"共通"の設定値の情報を、設定編集部311を用いて設定の編集を指示したユーザ又は管理者等に通知するようにしてもよい。 【0110】 一方、上記S716において、対象の仮想デバイスDB413内において不整合状態になると判定した場合(S716でYesの場合)、仮想設定更新部309は、S718に処理を移行する。 S718では、仮想設定更新部309は、受け付けた更新する設定を、対象の仮想デバイスDB413に更新せず、キャンセルし、本フローチャートの処理を終了する。上記S716でNoの場合とは、連動仕様の元設定値の設定タイプが"個別"で、連動設定値に設定タイプが"共通"のものが含まれており、且つ、対象の仮想デバイスDB413内において不整合状態になる場合に対応する。よって、この場合には、対象の仮想デバイスDB413への設定の値の登録は行わないことにより、仮想デバイスDB413で不整合な状態が発生することを防止することができる。なお、キャンセルの際、設定編集部311を用いて設定値の編集を指示したユーザ又は管理者等に、その旨を通知するようにしてもよい。 【0111】 図7Cは、設定値管理サーバ110の仮想設定更新部309が実行する連動影響更新処理を例示するフローチャートである。図7Cのフローチャートの各ステップは、設定値管理サーバ110が備えるCPU201がROM202等のメモリに格納されたプログラムをRAM203に展開して実行することによって処理される。図7Cのフローチャートは、仮想設定更新部309が、連動影響更新処理を開始し、受け付けた更新する設定を登録するまでの処理を記載したものである。このフローチャートは、仮想設定更新部309が、連動判定影響処理を実行した時点から処理を開始する。 【0112】 ステップS721において、仮想設定更新部309は、図7AのS701で受け付けた更新する設定値を更新した場合に、対象の仮想デバイスDB413において、更新後の設定値が不整合な状態となるか否かを図7AのS701で取得したメタデータを元に判定する。 【0113】 そして、対象の仮想デバイスDB413において不整合な状態とならないと判定した場合(S721でNoの場合)、仮想設定更新部309は、S722に処理を移行する。 S722では、仮想設定更新部309は、上記受け付けた更新する設定値の値を、仮想設定保持部308を通して、対象の仮想デバイスDB413の仮想設定DB414に登録し、本フローチャートの処理を終了する。 【0114】 一方、上記S721において、対象の仮想デバイスDB413において不整合な状態となると判定した場合(S721でYesの場合)、仮想設定更新部309は、S723に理を移行する。 S723では、仮想設定更新部309は、上記受け付けた更新する設定値の設定タイプが"個別"であるか否かを判定する。 【0115】 そして、上記受け付けた更新する設定値の設定タイプが"共通"であると判定した場合(S723でNoの場合)、仮想設定更新部309は、S724に処理を移行する。 S724では、仮想設定更新部309は、上記受け付けた更新する設定値を連動仕様により変更してくる他の設定値(連動仕様の元設定値)に設定タイプが"共通"であるものが含まれているか否かを判定する。 【0116】 そして、連動設定値の設定タイプが全て"個別"であると判定した場合(S724でNoの場合)、仮想設定更新部309は、S725に処理を移行する。 S725で、仮想設定更新部309は、受け付けた更新する設定値の値で対象の仮想デバイスDB413を更新しないが、処理結果を「更新が成功した」として、本フローチャートの処理を終了する。 【0117】 一方、連動設定値に設定タイプが"共通"である設定値が含まれていると判定した場合(S724でYesの場合)、仮想設定更新部309は、S726に処理を移行する。 また、上記S723において、上記受け付けた更新する設定値の設定タイプが"個別"であると判定した場合(S723でYesの場合)にも、仮想設定更新部309は、S726に処理を移行する。 【0118】 S726では、仮想設定更新部309は、上記受け付けた更新する設定値の値で対象の仮想デバイスDB413を更新せず、変更内容をキャンセルして、本フローチャートの処理を終了する。なお、キャンセルの際、管理者等にその旨を通知するようにしてもよい。 【0119】 なお、図6のS606から図7Aの仮想設定更新処理が呼び出された場合、上記S725で処理結果を「更新が成功した」とした場合には、仮想設定更新部309は、未更新の仮想デバイスがなくなるまでS604?S606のループを継続する。一方、上記S726で「変更内容をキャンセル」した場合には、仮想設定更新部309は、その時点でS604?S606のループを抜けて処理を終了するものとする。 【0120】 以上説明したように、実施例1によれば、ユーザは、設定値の変更場所(各複合機/設定値管理サーバ)や、設定値の設定タイプがどのように設定されているか("共通"/"個別")を考慮することなく、複合機の設定値を、整合性を保った状態で更新することができる。」 ウ.判断 本願補正発明の構成Dの後半部分の「前記第2の設定項目が他の設定項目に連動する設定項目であることに少なくとも基づいて前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう」について、発明の詳細な説明との対応関係を検討する。 発明の詳細な説明の【0093】、【0096】に記載された、受け付けた更新する設定値に連動する設定値があると判定した場合(図7AのS704でYesの場合)、連動判定更新処理(図7B)を実行すること、受け付けた更新する設定値が他の設定値に連動すると判定した場合(図7AのS706でYesの場合)、連動影響更新処理(図7C)を実行することが、上記構成Dの後半部分のうち「前記第2の設定項目が他の設定項目に連動する設定項目であることに少なくとも基づいて」「処理をおこなう」ことに対応しているといえる。 そこで、これらの連動判定更新処理(図7B)、連動影響更新処理(図7C)を実行することが、上記構成Dの後半部分のうちの「前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう」ことといえるか否かについて以下に検討する。 (ア)まず、連動判定更新処理(図7B)を実行することについて検討する。 連動判定更新処理(図7B)は、受け付けた更新する設定値に連動する設定値がある場合の処理であり、【0104】-【0110】の記載によれば、受け付けた更新する設定値とそれに連動する設定値との設定タイプ("共通"か"個別")は、次の[1]?[4]の4通りの場合があり、それぞれの場合の処理は次のようになる。 設定タイプの場合分け [1]受け付けた更新する設定値が"共通"、それに連動する設定値も"共通" [2]受け付けた更新する設定値が"個別"、それに連動する設定値も"個別" [3]受け付けた更新する設定値が"共通"、それに連動する設定値が"個別"を含む [4]受け付けた更新する設定値が"個別"、それに連動する設定値が"共通"を含む それぞれの場合の処理 [1][2][3]の場合は、処理は図7BのS714に移行し、受け付けた更新する設定値の値と、その設定に連動する設定値の値を、仮想設定保持部308を介して、対象の仮想デバイスDB413に登録される(【0105】)。 [4]の場合は、設定更新後に不整合状態にならないと判定した場合には、処理は図7BのS716からS717に移行し、"個別"の設定値が登録され、設定更新後に不整合状態になると判定した場合には、処理は図7BのS716からS718に移行し、設定値は更新せずにキャンセルされる(【0109】、【0110】)。 いずれの場合も、"共通"である設定値の登録がされれば、複数の複合機に対して登録される(すなわち、同期される)が、上記[1]?[4]のどの場合であるかや設定更新後に不整合状態になるか否かの判定により、複数の複合機に対する登録(同期)が行われるか否かは変わり得るのであるから、連動判定更新処理(図7B)を実行することが、上記構成Dの後半部分のうちの「前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう」こととはいえない。 (イ)次に、連動影響更新処理(図7C)を実行することについて検討する。 連動影響更新処理(図7C)は、受け付けた更新する設定値が他の設定値に連動すると判定した場合の処理であり、【0112】-【0120】の記載によれば、設定更新後に不整合状態にならないと判定した場合には、処理は図7CのS721からS722に移行し、受け付けた設定値の値を登録し、設定更新後に不整合状態になると判定した場合には、処理は図7CのS721からS723、S724、S725、S726に移行し、いずれにしても設定値は更新しない(【0116】、【0118】)。 この場合も、"共通"である設定値の登録がされれば、複数の複合機に対して登録される(すなわち、同期される)が、設定更新後に不整合状態になるか否かの判定により、複数の複合機に対する登録(同期)が行われるか否かは変わり得るのであるから、連動影響更新処理(図7C)を実行することが、上記構成Dの後半部分のうちの「前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう」こととはいえない。 (ウ)以上により、発明の詳細な説明に記載された、連動判定更新処理(図7B)、連動影響更新処理(図7C)を実行することが、上記構成Dの後半部分のうちの「前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう」こととはいえない。 また、発明の詳細な説明のその他の部分にも「前記第2の設定項目が他の設定項目に連動する設定項目であることに少なくとも基づいて前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう」ことについて記載されていない。 したがって、当該事項を含む本願補正発明は、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。 エ.独立特許要件のまとめ 以上のとおり、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3)補正の適否のまとめ よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成30年11月15日付け手続補正は、上述のとおり却下されたので、本願の請求項1-20に係る発明は、平成30年5月28日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。なお、本願発明の各構成の符号は当審において付与したものであり、以下、構成a?構成dと称する。 [本願発明] (a)第1の通信装置、第2の通信装置およびサーバが通信可能に接続された通信システムであって、 (b)前記第1の通信装置において、第1の設定項目および第2の設定項目の設定変更指示を受け付ける手段と、 (c)前記第1の通信装置において、前記第1の設定項目の変更および前記第2の設定項目の変更を適用し、且つ、前記第2の設定項目の変更に連動して他の設定項目の変更を適用する手段と、 (d)他の設定項目が連動しない前記第1の設定項目の変更が前記第2の通信装置においても適用されるように、且つ、他の設定項目が連動する前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう手段と、 (a)を有することを特徴とする通信システム。 2.発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載事項は、上記「第2 2.(2)イ.」に記載したとおりである。 3.判断 本願発明は、上述した本願補正発明の「前記第2の設定項目が他の設定項目に連動する設定項目であることに少なくとも基づいて前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう」との発明特定事項と同様の「他の設定項目が連動する前記第2の設定項目の変更が前記第2の通信装置において適用されないように同期処理をおこなう」との発明特定事項を構成dに含んでおり、この発明特定事項は、本願補正発明に対する判断と同様の判断により、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。 したがって、当該事項を含む本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえない。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-10-21 |
結審通知日 | 2019-10-24 |
審決日 | 2019-11-06 |
出願番号 | 特願2014-156288(P2014-156288) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
Z
(H04N)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 梅本 達雄、花田 尚樹 |
特許庁審判長 |
鳥居 稔 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 渡辺 努 |
発明の名称 | 通信システム、サーバ、サーバの制御方法及びプログラム |
代理人 | 特許業務法人ひのき国際特許事務所 |