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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G07G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G07G
管理番号 1358262
審判番号 不服2018-11780  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-03 
確定日 2019-12-26 
事件の表示 特願2016-509948号「情報処理装置、画像処理方法とプログラム、ならびに、POS端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月 1日国際公開、WO2015/145977〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年2月26日(優先権主張 2014年3月27日、日本国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 9月13日 :手続補正書、上申書の提出
平成29年 5月17日付け:拒絶理由通知書
同年 7月21日 :意見書、手続補正書の提出
同年12月14日付け:(最後)拒絶理由通知書
平成30年 2月23日 :意見書、手続補正書の提出
同年 5月30日付け:平成30年2月23日の手続補正につ
いての補正の却下の決定、拒絶査定(以下「
原査定」という。)
同年 9月 3日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成30年9月3日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年9月3日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項7の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項7】
撮像された画像内に物体の少なくとも一部があるか否かを判定する判定手段と、
前記画像内に前記物体の少なくとも一部がある場合、前記画像と商品画像データベースとを照合する照合手段と、
前記照合手段により、前記画像と前記商品画像データベースから前記物体がどの商品であるかを特定できない場合、表示手段に表示されている前記画像が変わるように誘導する表示を、前記表示手段で表示するように制御する制御手段と、
を備える情報処理装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成29年7月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項7の記載は次のとおりである。なお、平成30年2月23日の手続補正は、原審において、平成30年5月30日付けで、決定をもって却下されている。
「【請求項7】
撮像された画像内に物体の少なくとも一部があるか否かを判定する判定手段と、
前記画像内に前記物体の少なくとも一部がある場合、前記画像と商品画像データベースとを照合する照合手段と、
前記照合された結果、前記物体がどの商品であるかを特定できない場合、表示手段に表示されている前記画像が変わるように誘導する表示を、前記表示手段で表示するように制御する制御手段と、
を備える情報処理装置。」

2.補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項7に記載された発明を特定するために必要な事項である「制御手段」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項7に記載された発明と補正後の請求項7に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項7に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項等
ア.引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2014-52810号公報(平成26年3月20日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付した。)
「【請求項1】
撮像手段が撮像した画像を取り込む取込手段と、
前記撮像画像に含まれる商品の特徴量を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した特徴量と、基準となる各基準商品の特徴量とを比較し、両特徴量の関係を示す値が所定値以上の基準商品を、前記商品の候補として認識する認識手段と、
前記認識手段が候補と認識した基準商品について、異なる形態で販売される異種販売商品が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記異種販売商品が存在すると判定された場合、前記認識手段が候補と認識した基準商品と当該基準商品の異種販売商品とに関する情報を選択可能に出力する出力手段と、
を備える情報処理装置。」

「【請求項5】
前記出力手段は、前記異種販売商品が存在すると判定された場合、当該異種販売商品の販売形態を識別することが可能な部位の撮像を促す情報を出力する請求項1?4の何れか一項に記載の情報処理装置。」

「【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を撮像した画像データから当該商品の形状等の特徴量を取得し、この取得した特徴量に基づいて、商品の候補を判別(認識)する技術が提案されている。」

「【0007】
図1は、チェックアウトシステム1の外観構成を示す斜視図である。図1に示すように、チェックアウトシステム1は、POS端末11と、情報処理装置としての商品読取装置101とを備える。」

「【0019】
POS端末11のCPU61には、HDD(Hard Disk Drive)64が接続されている。HDD64には、各種プログラムや各種ファイルが記憶されている。HDD64に記憶されているプログラムは、POS端末11の起動時に、その全部又は一部がRAM63にコピーされてCPU61により実行される。
【0020】
また、HDD64には、PLUファイルF1等のデータファイルが記憶されている。なお、PLUファイルF1は、後述する接続インターフェース65を介し、商品読取装置101から読み出し(参照)可能に保持されているものとする。
【0021】
PLUファイルF1は、店舗内で販売される商品Gと、その商品Gの売上登録等に関する情報と、の関連付けが設定されたデータファイルである。
【0022】
図3は、PLUファイルF1のデータ構成の一例を模式的に示す図である。同図に示すように、PLUファイルF1には、商品G毎に、ユニークに割り当てられた商品IDと、商品が属する商品分類、商品名、単価等の商品に関する情報と、その商品を撮像した商品画像と、その商品について販売形態の異なる他の商品が存在するか否かを示す異種販売情報と、が関連付けて登録されている。また、PLUファイルF1には、予め商品G毎に、その商品の特徴量が関連付けられて登録されている。
【0023】
商品画像は、商品Gの各々を基準商品として撮像した基準画像である。商品画像は、後述する商品候補の提示の際に、その商品候補を表す画像として提示される。商品画像には、その販売形態を表す画像を用いることが好ましく、例えば、カットされた状態で販売される商品(青果等)については、そのカット面を撮像した商品画像を用いることが好ましい。
【0024】
また、同一の商品Gについて、複数の販売形態が存在する場合、基準となる販売形態の商品に対し、他の販売形態の商品IDが異種販売情報として付加されている。例えば、図3では、同一の商品“白菜”について、1株単位で販売される商品ID“XXXXXXX2”の商品“白菜”に対し、1/2に加工(カット)した状態で販売される商品“白菜(1/2カット)”の商品ID“XXXXXXX3”が、異種販売情報として登録されている。以下では、PLUファイルF1に登録されている商品を登録商品という。また、異種販売情報で示される登録商品を異種販売商品という。
【0025】
また、各商品Gの撮像画像(例えば、商品画像)から予め抽出された、その商品Gの特徴量が、対応する商品IDに関連付けて登録されている。ここで、特徴量とは、商品G表面の色合いや模様、凹凸状況、形状等、商品Gの特徴を表した情報である。」

「【0037】
画像取込部1611は、撮像部164に撮像オン信号を出力して撮像部164に撮像動作を開始させる。画像取込部1611は、撮像動作開始後に撮像部164が撮像してRAM163に保存された撮像画像を順次取り込む。画像取込部1611による撮像画像の取り込みは、RAM163に保存された順に行われる。
【0038】
商品検出部1612は、画像取込部1611により取り込まれた撮像画像に含まれる商品Gの全部または一部の輪郭線を、公知のパターンマッチング技術等を用いて検出する。次いで、前回の撮像画像(フレーム画像)から抽出された輪郭線と、今回のフレーム画像から抽出された輪郭線とを比較し、変化のあった部分、すなわち、読取窓103に向けられた商品Gの写り込み領域を検出する。
【0039】
商品Gを検出する別の方法としては、撮像画像から肌色領域が検出されたか否かを判定し、肌色領域が検出された場合、つまり店員の手の写り込みが検出された場合は、この肌色領域の近傍において上述した輪郭線の検出を行うことで、店員の手が把持していると想定される商品Gの輪郭抽出を試みる。この時、手の形状を示す輪郭と、手の輪郭の近傍にそれ以外の物体の輪郭とが検出された場合には、この物体の輪郭から商品Gの写り込み領域を検出する。
【0040】
特徴量抽出部1613は、画像取込部1611により取り込まれた撮像画像のうち、商品検出部1612で検出された商品Gの写り込み領域から、当該領域の表面の状態(表面の色合い、模様、凸凹状況、形状等)を、商品Gの特徴量として抽出する。
【0041】
類似度判定部1614は、特徴量抽出部1613で抽出された特徴量と、POS端末11のPLUファイルF1に登録された各登録商品の特徴量とを比較することで、両特徴量の関係を示す類似度を算出する。また、類似度判定部1614は、算出した類似度が所定の閾値以上となった登録商品(商品ID)を、撮像部164で撮像された商品Gの候補として認識する。ここで、類似度は、商品Gの特徴量とPLUファイルF1に登録された各登録商品の特徴量とを比較し、両特徴量がどの程度類似しているかを示す値(類似度)であればよい。なお、類似度の概念は、この例に限らず、PLUファイルF1に登録された各登録商品の特徴量との一致度を示す値や、商品Gの特徴量とPLUファイルF1に登録された各登録商品の特徴量とがどの程度相関するかを示す値であってもよい。」

「【0045】
商品候補提示部1615は、類似度判定部1614で候補として認識された登録商品に関する情報を、商品候補として表示デバイス106に表示させる。
【0046】
具体的に、商品候補提示部1615は、候補として認識された登録商品に異種販売情報が付加されているか否かを判定する。ここで、異種販売情報が付加されている場合には、候補として認識された登録商品とともに、異種販売情報として登録された登録商品のレコードをPOS端末11のPLUファイルF1から読み出し、表示デバイス106に表示させる。また、異種販売情報が登録されていない場合には、候補として認識された登録商品のレコードをPOS端末11のPLUファイルF1から読み出し、表示デバイス106に表示させる。
【0047】
図5は、商品候補の表示例を示す図である。図5に示すように、表示デバイス106の表示画面のうち、商品候補提示領域A11には、類似度の高い登録商品の順に、その商品候補のレコードに含まれた商品画像G1、G2が商品名とともに表示される。これら商品画像G1、G2は、タッチパネル105に対するタッチ操作に応じて選択可能に構成されている。また、商品候補提示領域A11の下部には、商品リストから商品を選択するための選択ボタンB11が設けられており、商品リストから選択された商品は後述する確定商品として処理される。また、領域A12には、撮像部164で撮像された撮像画像が表示される。
【0048】
ところで、撮像部164により商品Gの撮像方向によっては、その商品Gの販売形態を撮像画像で識別することが困難な場合がある。例えば、図5に示すように、白菜の葉面(非カット面)が撮像された場合には、1株単位で販売されている商品か、1/2カットの状態で販売されている商品かを撮像画像から判別することは困難である。この場合、例えば、1/2カットの状態で販売されている商品を撮像部164に向けたとしても、1株単位で販売されている商品と認識されてしまうため、認識率が低下するという問題があった。
【0049】
そこで、本実施形態では、類似度判定部1614で候補と認識された登録商品に異種販売情報が付加されている場合、つまり異種販売商品が存在する場合、候補とされた商品とその異種販売商品とのレコードを商品候補としてそれぞれ表示する。これにより、商品Gの撮像が、その商品Gの販売形態を識別することが困難な方向から行われた場合であっても、その商品Gが、候補と認識された登録商品か、当該登録商品の異種販売商品かをオペレータに選択させることができるため、利便性を向上させることができる。
【0050】
なお、商品候補の表示例は、図5に限定されるものではない。例えば、候補として認識された登録商品に異種販売情報が存在する場合、図6に示したように、当該異種販売商品の販売形態を識別することが可能な部位(例えば、カット面等)の撮像を促す情報(図中M1参照)を、表示デバイス106に表示させる形態としてもよい。これにより、例えば、カット面を有する商品Gについて、非カット面が撮像されている場合であっても、カット面を撮像することをオペレータに指示することができるため、商品Gの認識率向上を図ることができる。」

(イ)上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a.【請求項1】の「基準となる各基準商品の特徴量」は、段落【0022】の「PLUファイルF1には、商品G毎に、・・・、その商品を撮像した商品画像と、・・・が関連付けて登録されている。また、PLUファイルF1には、予め商品G毎に、その商品の特徴量が関連付けられて登録されている。」との記載、及び段落【0023】の「商品画像は、商品Gの各々を基準商品として撮像した基準画像である。」との記載によれば、POS端末のPLUファイルに登録されたものであること。
b.【請求項5】に記載された「前記出力手段は、前記異種販売商品が存在すると判定された場合、当該異種販売商品の販売形態を識別することが可能な部位の撮像を促す情報を出力する」構成は、段落【0050】の「候補として認識された登録商品に異種販売情報が存在する場合、図6に示したように、当該異種販売商品の販売形態を識別することが可能な部位(例えば、カット面等)の撮像を促す情報(図中M1参照)を、表示デバイス106に表示させる形態としてもよい。これにより、例えば、カット面を有する商品Gについて、非カット面が撮像されている場合であっても、カット面を撮像することをオペレータに指示することができるため、商品Gの認識率向上を図ることができる。」との記載によれば、「前記出力手段は、前記異種販売商品が存在すると判定された場合、当該異種販売商品の販売形態を識別することが可能な部位の撮像を促す情報を表示デバイスに表示させ、商品の認識率向上を図るもの」であること。

(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「撮像手段が撮像した画像を取り込む取込手段と、
前記撮像画像に含まれる商品の特徴量を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した特徴量と、POS端末のPLUファイルに登録された基準となる各基準商品の特徴量とを比較し、両特徴量の関係を示す値が所定値以上の基準商品を、前記商品の候補として認識する認識手段と、
前記認識手段が候補と認識した基準商品について、異なる形態で販売される異種販売商品が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記異種販売商品が存在すると判定された場合、前記認識手段が候補と認識した基準商品と当該基準商品の異種販売商品とに関する情報を選択可能に出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記異種販売商品が存在すると判定された場合、当該異種販売商品の販売形態を識別することが可能な部位の撮像を促す情報を表示デバイスに表示させ、商品の認識率向上を図る、
情報処理装置。」

(3)引用発明との対比
ア.本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「撮像手段が撮像した画像」は、前者の「撮像された画像」に相当する。

(イ)引用文献1には「前記抽出手段が抽出した特徴量」に関し、段落【0040】には「特徴量抽出部1613は、画像取込部1611により取り込まれた撮像画像のうち、商品検出部1612で検出された商品Gの写り込み領域から、当該領域の表面の状態(表面の色合い、模様、凸凹状況、形状等)を、商品Gの特徴量として抽出する」と記載されている。また、「POS端末のPLUファイルに登録された基準となる各基準商品の特徴量」に関し、段落【0025】には「各商品Gの撮像画像(例えば、商品画像)から予め抽出された、その商品Gの特徴量が、対応する商品IDに関連付けて登録されている。ここで、特徴量とは、商品G表面の色合いや模様、凹凸状況、形状等、商品Gの特徴を表した情報である。」と記載されている。
他方、本件補正発明の「商品画像データベース」に関し、本件明細書の段落【0035】には「商品画像のデータベースは、各商品の商品画像の特徴である形状、色の情報である。」と記載されているから、当該「商品画像データベース」と照合する「前記画像」も形状、色の情報といえる。
そうすると、引用発明の「前記抽出手段が抽出した特徴量」は、実質的に本件補正発明の「前記画像と商品画像データベースとを照合する照合手段」における「前記画像」に相当する。

(ウ)引用文献1の段落【0022】には「PLUファイルF1には、商品G毎に、ユニークに割り当てられた商品IDと、商品が属する商品分類、商品名、単価等の商品に関する情報と、その商品を撮像した商品画像と、その商品について販売形態の異なる他の商品が存在するか否かを示す異種販売情報と、が関連付けて登録されている。また、PLUファイルF1には、予め商品G毎に、その商品の特徴量が関連付けられて登録されている。」と記載され、【図3】の「PLUファイルのデータ構成」には、「商品名」「白菜」及び「商品名」「白菜(1/2カット)」のそれぞれについて、「商品画像」が登録されていることが示されているから、引用発明の「PLUファイル」には、「白菜」として例示されている「POS端末のPLUファイルに登録された基準となる各基準商品」及び「白菜(1/2カット)」として例示されている「前記認識手段が候補と認識した基準商品について、異なる形態で販売される異種販売商品」の「商品画像」が登録されているといえる。
そうすると、引用発明の「基準となる各基準商品」及び「前記認識手段が候補と認識した基準商品について、異なる形態で販売される異種販売商品」の「商品画像」を登録した「POS端末のPLUファイル」は、本件補正発明の「商品画像データベース」に相当する。

(エ)引用文献1の段落【0045】の「商品候補提示部1615は、類似度判定部1614で候補として認識された登録商品に関する情報を、商品候補として表示デバイス106に表示させる」との記載、及び段落【0046】の「具体的に、商品候補提示部1615は、候補として認識された登録商品に異種販売情報が付加されているか否かを判定する。ここで、異種販売情報が付加されている場合には、候補として認識された登録商品とともに、異種販売情報として登録された登録商品のレコードをPOS端末11のPLUファイルF1から読み出し、表示デバイス106に表示させる。」との記載から、上記「類似度判定部1614」及び「商品候補提示部1615」に対応する引用発明の「認識手段」及び「判定手段」は、引用発明の「POS端末のPLUファイルに登録された基準となる各基準商品」(白菜)及び「異種販売商品」(白菜(1/2カット))を照合の対象していること、撮像画像内に商品の少なくとも一部がある場合に引用発明の「認識手段」、「判定手段」及び「出力手段」が機能することは明らかであるから、引用発明の「前記抽出手段が抽出した特徴量と、基準となる各基準商品の特徴量とを比較し、両特徴量の関係を示す値が所定値以上の基準商品を、前記商品の候補として認識する認識手段と、前記認識手段が候補と認識した基準商品について、異なる形態で販売される異種販売商品が存在するか否かを判定する判定手段と、前記異種販売商品が存在すると判定された場合、前記認識手段が候補と認識した基準商品と当該基準商品の異種販売商品とに関する情報を選択可能に出力する出力手段と、を備え」たものは、本件補正発明の「前記画像内に前記物体の少なくとも一部がある場合、前記画像と商品画像データベースとを照合する照合手段」に相当する。

(オ)上記(ア)?(エ)から、引用発明の「撮像手段が撮像した画像を取り込む取込手段と、前記撮像画像に含まれる商品の特徴量を抽出する抽出手段と、前記抽出手段が抽出した特徴量と、POS端末のPLUファイルに登録された基準となる各基準商品の特徴量とを比較し、両特徴量の関係を示す値が所定値以上の基準商品を、前記商品の候補として認識する認識手段と、前記認識手段が候補と認識した基準商品について、異なる形態で販売される異種販売商品が存在するか否かを判定する判定手段と、前記異種販売商品が存在すると判定された場合、前記認識手段が候補と認識した基準商品と当該基準商品の異種販売商品とに関する情報を選択可能に出力する出力手段と、を備え」る構成と、本件補正発明の「撮像された画像内に物体の少なくとも一部があるか否かを判定する判定手段と、前記画像内に前記物体の少なくとも一部がある場合、前記画像と商品画像データベースとを照合する照合手段と、」「を備える」構成とは、「撮像された画像内に前記物体の少なくとも一部がある場合、前記画像と商品画像データベースとを照合する照合手段と、」「を備える」構成において共通する。

(カ)引用発明の「出力手段」が「前記異種販売商品が存在すると判定された場合、前記認識手段が候補と認識した基準商品と当該基準商品の異種販売商品とに関する情報を選択可能に出力する」場合は、PLUファイルに登録された商品のうち「基準商品」(白菜)と「異種販売商品」(白菜(1/2カット))とに絞られるものではあるが、どの商品であるかを特定できていない場合といえるから、本件補正発明の「前記照合手段により、前記画像と前記商品画像データベースから前記物体がどの商品であるかを特定できない場合」に相当する。また、引用発明の「商品の認識率向上を図る」ために「表示デバイスに表示」する「当該異種販売商品の販売形態を識別することが可能な部位の撮像を促す情報」は、本件補正発明の「表示手段に表示されている前記画像が変わるように誘導する表示」に相当する。
そうすると、引用発明の「前記出力手段は、前記異種販売商品が存在すると判定された場合、当該異種販売商品の販売形態を識別することが可能な部位の撮像を促す情報を表示デバイスに表示させ、商品の認識率向上を図る」構成は、本件補正発明の「前記照合手段により、前記画像と前記商品画像データベースから前記物体がどの商品であるかを特定できない場合、表示手段に表示されている前記画像が変わるように誘導する表示を、前記表示手段で表示するように制御する制御手段」を備える構成に相当する。

(キ)引用発明の「情報処理装置」は、本件補正発明の「情報処理装置」に相当する。

イ.以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「撮像された画像内に前記物体の少なくとも一部がある場合、前記画像と商品画像データベースとを照合する照合手段と、
前記照合手段により、前記画像と前記商品画像データベースから前記物体がどの商品であるかを特定できない場合、表示手段に表示されている前記画像が変わるように誘導する表示を、前記表示手段で表示するように制御する制御手段と、
を備える情報処理装置。」

【相違点】
本件補正発明は、「撮像された画像内に物体の少なくとも一部があるか否かを判定する判定手段」を備えるのに対し、
引用発明は、「撮像手段が撮像した画像を取り込む取込手段と、前記撮像画像に含まれる商品の特徴量を抽出する抽出手段と」を備える構成であるが、商品の少なくとも一部があるか否かを判定する判定手段を備えることが特定されていない点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア.引用発明の「前記撮像画像に含まれる商品の特徴量を抽出する抽出手段」の具体例として、引用文献1の段落【0039】には「撮像画像から肌色領域が検出されたか否かを判定し、肌色領域が検出された場合、つまり店員の手の写り込みが検出された場合は、この肌色領域の近傍において上述した輪郭線の検出を行うことで、店員の手が把持していると想定される商品Gの輪郭抽出を試みる。」ことが記載されている。(以下「引用文献1に記載された具体例」という。)
引用発明の「前記撮像画像に含まれる商品の特徴量を抽出する抽出手段」は、撮像画像に商品が含まれていなければ、商品の特徴量を抽出することはできないものであり、撮像画像に商品が含まれているからこそ商品の特徴量を抽出することができるものであるから、撮像画像に商品が含まれていることを前提としているといえる。また、引用発明の「抽出手段」として引用文献1に記載された具体例を採用した場合に、肌色領域(店員の手)が検出されたか否かを判定することは、店員の手が把持していると想定される商品Gの輪郭抽出を試みるためのものであり、商品の少なくとも一部が存在するか否かに繋がることであるから、引用発明の「抽出手段」において、引用文献1に記載された具体例を参考にしながら、撮像画像内に商品の少なくとも一部があるか否かを判定する判定手段を備えることは、当業者であれば適宜になし得ることである。
よって、引用発明において、上記相違点に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ.そして、この相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ.したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成29年7月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項7に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項7に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1.(2)に記載のとおりのものである。

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、【理由1】(新規性)と【理由2】(進歩性)があるところ、【理由2】は次のとおりである。
この出願の請求項1、2、7?9に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、請求項3?5に係る発明は、下記の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2014-52810号公報
引用文献2:特開2011-165139号公報

3.引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の[理由]2.(2)に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2.で検討した本件補正発明から、「制御手段」に係る限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2.(3)、(4)に記載したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-10-24 
結審通知日 2019-10-29 
審決日 2019-11-11 
出願番号 特願2016-509948(P2016-509948)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G07G)
P 1 8・ 121- Z (G07G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 毛利 太郎小島 哲次  
特許庁審判長 藤井 昇
特許庁審判官 島田 信一
岡▲さき▼ 潤
発明の名称 情報処理装置、画像処理方法とプログラム、ならびに、POS端末装置  
代理人 机 昌彦  
代理人 下坂 直樹  
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