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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
管理番号 1358271
審判番号 不服2018-15751  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-28 
確定日 2019-12-26 
事件の表示 特願2013-215048「共焦点内視鏡システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月23日出願公開、特開2015- 77199〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年10月15日の出願であって、平成29年6月7日付けで拒絶理由が通知され、同年8月9日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成30年1月23日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年3月28日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年8月22日付けで拒絶査定されたところ、同年11月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において令和元年8月5日付けで拒絶理由が通知され、同年10月2日付けで手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされるとともに、意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下、「本願発明1」という。)は、以下のとおりである。

「 【請求項1】
各々光軸方向に沿って進退自在に構成される、対物光学系と、当該対物光学系の焦点位置に配設され二次光源及びピンホールとして機能する、前記対物光学系に対する相対的な位置が固定される光ファイバの端面と、を有し、被写体からの光を受光する共焦点光学ユニットと、
前記光ファイバの光軸上の位置を取得する位置取得手段と、
前記共焦点光学ユニットからの光に基づき得られた画像データの歪みを前記位置に基づき補正する処理部と、
外部から操作される操作部を介して入力された命令を前記処理部に伝達する指令部と、を備え、
前記指令部は、前記光ファイバの光軸方向への移動が開始されてから前記処理部が前記画像データに対して前記光ファイバの現在の位置に基づく補正を終了するまでの間、前記光ファイバの現在の位置に基づく補正がされていない画像データに対応する画像を表示しないことを特徴とする共焦点内視鏡システム。」

第3 拒絶の理由
令和元年8月5日付けで当審が通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。
1.(新規性)本件出願の請求項1?6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2(進歩性)本件出願の請求項1?6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2012-143265号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
引用文献1には、「マルチスライス/スラブ磁気共鳴信号を同時に取得する制御方法、成像方法およびシステム」について図面とともに次の事項が記載されている。なお、以下の摘記において、「2」の引用発明の認定に関連する箇所に下線を付与した。

(1-ア)「【0001】
この発明は、走査型内視鏡システムの製品固有の特性に起因する走査誤差量を簡易に計算するのに好適なキャリブレーション装置、及びキャリブレーション方法に関する。」

(1-イ)「【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、走査型内視鏡システムの製品固有の特性が原因で発生する走査誤差量を簡易に計算することができるキャリブレーション装置及びキャリブレーション方法を提供することである。」

(1-ウ)「【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の走査型内視鏡システムについて説明する。
【0021】
本実施形態の走査型内視鏡システムは、共焦点顕微鏡の原理を応用して設計された走査型共焦点内視鏡システムであり、高倍率かつ高解像度の被写体を観察するのに好適に構成されている。図1は、本発明の実施形態の走査型共焦点内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、走査型共焦点内視鏡システム1は、システム本体100、共焦点プローブ200、モニタ300を有している。走査型共焦点内視鏡システム1を用いた共焦点観察は、可撓性を有する管状の共焦点プローブ200の先端面を被写体に当て付けた状態で行う。
【0022】
システム本体100は、光源102、光分波合波器(フォトカップラ)104、ダンパ106、CPU108、CPUメモリ110、光ファイバ112、受光器114、映像信号処理回路116、画像メモリ118、映像信号出力回路120を有している。共焦点プローブ200は、光ファイバ202、共焦点光学ユニット204、サブCPU206、サブメモリ208、走査ドライバ210を有している。
【0023】
光源102は、CPU108の駆動制御に従い、患者の体腔内に投与された薬剤を励起する励起光を射出する。励起光は、光分波合波器104に入射する。光分波合波器104のポートの一つには、光コネクタ152が結合している。光分波合波器104の不要ポートには、光源102から射出された励起光を無反射終端するダンパ106が結合している。前者のポートに入射した励起光は、光コネクタ152を通過して共焦点プローブ200内に配置された光学系に入射する。
【0024】
光ファイバ202の基端は、光コネクタ152を通じて光分波合波器104と結合している。光ファイバ202の先端は、共焦点プローブ200の先端部に組み込まれた共焦点光学ユニット204内に収められている。光分波合波器104を射出した励起光は、光コネクタ152を通過して光ファイバ202の基端に入射後、光ファイバ202を伝送して光ファイバ202の先端から射出される。
【0025】
図2(a)は、共焦点光学ユニット204の構成を概略的に示す図である。以下、共焦点光学ユニット204を説明する便宜上、共焦点光学ユニット204の長手方向をZ方向と定義し、Z方向に直交しかつ互いに直交する二方向をX方向、Y方向と定義する。図2(a)に示されるように、共焦点光学ユニット204は、各種構成部品を収容する金属製の外筒204Aを有している。外筒204Aは、外筒204Aの内壁面形状に対応する外壁面形状を持つ内筒204Bを同軸(Z方向)にスライド自在に保持している。光ファイバ202の先端(以下、符号「202a」を付す。)は、外筒204A、内筒204Bの各基端面に形成された開口を通じて内筒204Bに収容支持されており、走査型共焦点内視鏡システム1の二次的な点光源として機能する。点光源である先端202aの位置は、CPU108による制御に従って周期的に変化する。」

(1-エ)「【0028】
走査ドライバ210は、交流電圧Xを二軸アクチュエータ204CのX軸用電極間に印加して圧電体をX方向に共振させると共に、交流電圧Xと同一周波数であって位相が直交する交流電圧YをY軸用電極間に印加して圧電体をY方向に共振させる。交流電圧X、Yはそれぞれ、振幅が時間に比例して線形に増加して、時間(X)、(Y)をかけて実効値(X)、(Y)に達する電圧として定義される。光ファイバ202の先端202aは、二軸アクチュエータ204CによるX方向、Y方向への運動エネルギーが合成されることにより、X-Y平面に近似する面(以下、「XY近似面」と記す。)上において中心軸AXを中心に渦巻状のパターンを描くように回転する。先端202aの回転軌跡は、印加電圧に比例して大きくなり、実効値(X)、(Y)の交流電圧が印加された時点で最も大きい径を有する円の軌跡を描く。
【0029】
励起光はパルス光(又は連続光)であり、二軸アクチュエータ204Cへの交流電圧の印加開始直後から印加停止までの期間中、光ファイバ202の先端202aから射出される。以下、説明の便宜上、この期間を「サンプリング期間」と記す。サンプリング期間が経過して二軸アクチュエータ204Cへの交流電圧の印加が停止すると、光ファイバ202の振動が減衰する。XY近似面上における先端202aの円運動は、光ファイバ202の振動の減衰に伴って収束し、所定時間後に中心軸AX上で停止する。以下、説明の便宜上、サンプリング期間が終了してから先端202aが中心軸AX上に停止するまでの期間(より正確には、中心軸AX上での停止を保証するため、停止までに要する計算上の時間より僅かに長い期間)を「制動期間」と記す。一フレームに対応する期間は、一つのサンプリング期間と一つの制動期間で構成される。制動期間を短縮するため、制動期間の初期段階に二軸アクチュエータ204Cに逆相電圧を印加して制動トルクを積極的に加えてもよい。
【0030】
光ファイバ202の先端202aの前方には、対物光学系204Dが設置されている。対物光学系204Dは、複数枚の光学レンズで構成されており、図示省略されたレンズ枠を介して外筒204Aに保持されている。レンズ枠は、外筒204Aの内部において、内筒204Bと相対的に固定され支持されている。そのため、レンズ枠に保持された光学レンズ群は、外筒204Aの内部を内筒204Bと一体となってZ方向にスライドする。
【0031】
内筒204Bの基端面と外筒204Aの内壁面との間には、圧縮コイルばね204E及び形状記憶合金204Fが取り付けられている。圧縮コイルばね204Eは、自然長からZ方向に初期的に圧縮狭持されている。形状記憶合金204Fは、Z方向に長尺な棒形状を持ち、常温下で外力が加わると変形して、一定温度以上に加熱されると形状記憶効果で所定の形状に復元する性質を有している。形状記憶合金204Fは、形状記憶効果による復元力が圧縮コイルばね204Eの復元力より大きくなるように設計されている。走査ドライバ210は、サブCPU206が指定した設定値に応じたドライブ信号を生成して、形状記憶合金204Fを通電し加熱して伸縮量を制御する。形状記憶合金204Fは、伸縮量に応じて内筒204Bを光ファイバ202ごとZ方向に進退させる。
【0032】
光ファイバ202の先端202aを射出した励起光は、対物光学系204Dを透過して被写体の表面又は表層でスポットを形成する。スポット形成位置は、点光源である先端202aの進退に応じてZ方向に変位する。すなわち、共焦点光学ユニット204は、二軸アクチュエータ204Cによる先端202aのXY近似面上の周期的な円運動とZ方向の進退を併せることで、被写体を三次元走査する。
【0033】
光ファイバ202の先端202aは、対物光学系204Dの前側焦点位置に配置されているため、共焦点ピンホールとして機能する。先端202aには、励起光により励起された被写体の散乱成分(蛍光)のうち先端202aと光学的に共役な集光点からの蛍光のみが入射する。蛍光は、光ファイバ202を伝送後、光コネクタ152を通過して光分波合波器104に入射する。光分波合波器104は、入射した蛍光を光源102から射出される励起光と分離して光ファイバ112に導く。蛍光は、光ファイバ112を伝送して受光器114で検出される。受光器114は、微弱な光を低ノイズで検出するため、例えば光電子増倍管等の高感度光検出器としてもよい。
【0034】
検出信号は、映像信号処理回路116に入力する。映像信号処理回路116は、CPU108の制御下で動作して、検出信号を一定のレートでサンプルホールド及びAD変換してデジタル検出信号を得る。ここで、サンプリング期間中の光ファイバ202の先端202aの位置(軌跡)が決まると、当該位置に対応する観察領域(走査領域)中のスポット形成位置、当該スポット形成位置からの戻り光を検出してデジタル検出信号を得る信号取得タイミングがほぼ一義的に決まる。CPUメモリ110には、決定された信号取得タイミングと画素位置(画素アドレス)とを関連付けたリマップテーブルが格納されている。なお、戻り光を検出するタイミングと信号取得タイミングは実質的に同じである。
【0035】
ところで、走査型共焦点内視鏡システム1には、製品個体差に依存する固有の特性(以下、「製品固有特性」と記す。)が含まれている。この種の製品固有特性には、例えば光ファイバ202の共振周波数、振幅、中心軸AXに対する傾き、二軸アクチュエータ204Cへの印加電圧値、印加電圧の位相差等が挙げられる。走査軌跡は、製品固有特性を主原因としてスポット形成位置がばらつくため、理想的な軌跡に対してずれる。一律に決められたリマップデータでは、スポット形成位置のばらつきによる画素配置誤差が残存するため、生成画像が製品固有特性に依存して歪む。本実施形態では、ヒストグラムデータ(後述)を基に製品固有特性を推定することができる。生成画像の歪みを抑制するため、ヒストグラムデータを用いてリマップデータの補正値が計算されて、CPUメモリ110又はサブメモリ208に記憶されている。
【0036】
映像信号処理回路116は、補正値により補正されたリマップデータを参照して、各デジタル検出信号により表現される点像の画素アドレスへの割り当てを信号取得タイミングに応じて行う。以下、説明の便宜上、上記の割り当て作業をリマッピングと記す。映像信号処理回路116は、リマッピング結果に従って、各点像の空間的配列によって構成される画像の信号を画像メモリ118にフレーム単位でバッファリングする。バッファリングされた信号は、所定のタイミングで画像メモリ118から映像信号出力回路120に掃き出されて、NTSC(National Television System Committee)やPAL(Phase Alternating Line)等の所定の規格に準拠した映像信号に変換されてモニタ300に出力される。モニタ300の表示画面には、高倍率かつ高解像度の被写体の三次元共焦点画像が表示される。」

(1-オ)「【0052】
本実施形態によれば、ヒストグラムデータを利用して複合的な製品固有特性を校正治具400単独で簡易に測定することができ、リマップデータの補正値が容易に求められる。
【0053】
ここで、走査軌跡は、光ファイバ202のZ方向位置に応じて変化する。このような走査軌跡の変化も製品固有特性に依存して製品ごとに異なる。例えば図4の例に対して光ファイバ202をZ方向に所定量繰り出した場合を考える。この場合、スポット形成位置は、図8(a)に示されるように、走査領域中心により一層集中する。そのため、ヒストグラムデータは、図8(b)に示されるように、走査領域中心ほどより一層高く、走査領域周辺ほどより一層低い分布をとる。このように、校正治具400を用いて、Z方向位置ごとのヒストグラムデータを採取することができる。採取した各ヒストグラムデータを用いて、例えばZ方向位置ごとのリマップデータの補正値が求められる。Z方向位置ごとに適切な補正値を適用することができるため、リマップデータが精度良く補正されて画質が向上する。」

(1-カ)



2 引用発明について
(2-ア)上記(1-ウ)の「走査型共焦点内視鏡システム1」が外部から操作するためのインターフェースを備えることは技術常識であり、そのインターフェースへの入力が「走査型共焦点内視鏡システム1」の「システム本体100」の備える「CPU108」の制御により実行されることも技術常識である。

(2-イ)上記(1-ア)?(1-オ)及び(2-ア)の記載を踏まえれば、上記引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、参考のため、引用発明の認定に使用した引用文献等の段落番号等を、括弧内に付記してある。
「a) システム本体100、共焦点プローブ200、モニタ300を有している走査型共焦点内視鏡システム1であって、(【0021】)
b) システム本体100は、光源102、光分波合波器(フォトカップラ)104、ダンパ106、CPU108、CPUメモリ110、光ファイバ112、受光器114、映像信号処理回路116、画像メモリ118、映像信号出力回路120を有し、(【0022】)
c) 外部から操作するためのインターフェースを備え、その操作はCPU108の制御により実行され、(2-ア)
d) 共焦点プローブ200は、光ファイバ202、共焦点光学ユニット204、サブCPU206、サブメモリ208、走査ドライバ210を有し、(【0022】)
e) 光ファイバ202の基端は、光コネクタ152を通じて光分波合波器104と結合し、光ファイバ202の先端は、共焦点プローブ200の先端部に組み込まれた共焦点光学ユニット204内に収められ、(【0024】)
f) 共焦点光学ユニット204の長手方向をZ方向と定義し、Z方向に直交しかつ互いに直交する二方向をX方向、Y方向と定義すると、(【0025】)
g) 光ファイバ202の先端(以下、符号「202a」を付す。)は、外筒204A、内筒204Bの各基端面に形成された開口を通じて内筒204Bに収容支持されており、走査型共焦点内視鏡システム1の二次的な点光源として機能し、(【0025】)
h) 励起光はパルス光(又は連続光)であり、二軸アクチュエータ204Cへの交流電圧の印加開始直後から印加停止までの期間中、光ファイバ202の先端202aから射出され(以下、説明の便宜上、この期間を「サンプリング期間」と記す。)、(【0029】)
i) サンプリング期間が経過して二軸アクチュエータ204Cへの交流電圧の印加が停止すると、光ファイバ202の振動が減衰し、XY近似面上における先端202aの円運動は、光ファイバ202の振動の減衰に伴って収束し、所定時間後に中心軸AX上で停止し、(以下、説明の便宜上、サンプリング期間が終了してから先端202aが中心軸AX上に停止するまでの期間を「制動期間」と記す。)一フレームに対応する期間は、一つのサンプリング期間と一つの制動期間で構成され、(【0029】)
j) 光ファイバ202の先端202aの前方には、対物光学系204Dが設置され、
k) 対物光学系204Dは、複数枚の光学レンズで構成され、レンズ枠を介して外筒204Aに保持され、レンズ枠は、外筒204Aの内部において、内筒204Bと相対的に固定され支持されているため、レンズ枠に保持された光学レンズ群は、外筒204Aの内部を内筒204Bと一体となってZ方向にスライドし、(【0030】)
k′) 走査ドライバ210は、サブCPU206が指定した設定値に応じたドライブ信号を生成して、形状記憶合金204Fを通電し加熱して伸縮量を制御し、形状記憶合金204Fは、伸縮量に応じて内筒204Bを光ファイバ202ごとZ方向に進退させ、(【0031】)
l) 光ファイバ202の先端202aを射出した励起光は、対物光学系204Dを透過して被写体の表面又は表層でスポットを形成し、スポット形成位置は、点光源である先端202aの進退に応じてZ方向に変位し、二軸アクチュエータ204Cによる先端202aのXY近似面上の周期的な円運動とZ方向の進退を併せることで、被写体を三次元走査するもので、(【0032】)
m) 光ファイバ202の先端202aは、対物光学系204Dの前側焦点位置に配置されているため、共焦点ピンホールとして機能し、先端202aには、励起光により励起された被写体の散乱成分(蛍光)のうち先端202aと光学的に共役な集光点からの蛍光のみが入射し、光ファイバ202を伝送後、光コネクタ152を通過して光分波合波器104に入射し、光分波合波器104は、入射した蛍光を光源102から射出される励起光と分離して光ファイバ112に導き、受光器114で検出信号が検出され、(【0033】)
n) 検出信号は、映像信号処理回路116に入力し、映像信号処理回路116は、CPU108の制御下で動作して、検出信号を一定のレートでサンプルホールド及びAD変換してデジタル検出信号を得、(【0034】)
o) CPUメモリ110には、決定された信号取得タイミングと画素位置(画素アドレス)とを関連付けたリマップテーブルが格納されており、(【0034】)
p) 映像信号処理回路116は、補正値により補正されたリマップデータを参照して、各デジタル検出信号により表現される点像の画素アドレスへの割り当てを信号取得タイミングに応じて行い(以下、説明の便宜上、上記の割り当て作業をリマッピングと記す。)、(【0036】)
q) リマッピング結果に従って、各点像の空間的配列によって構成される画像の信号を画像メモリ118にフレーム単位でバッファリングし、(【0036】)
r) バッファリングされた信号は、所定のタイミングで画像メモリ118から映像信号出力回路120に掃き出されて、NTSC等の所定の規格に準拠した映像信号に変換されてモニタ300に出力され、モニタ300の表示画面には、高倍率かつ高解像度の被写体の三次元共焦点画像が表示され、(【0036】)
s) さらに、光ファイバ202のZ方向位置ごとのリマップデータの補正値が求められ、Z方向位置ごとに適切な補正値を適用したリマップデータを用いる、(【0053】)
t) 走査型共焦点内視鏡システム1。」

第5 対比
1 本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「k) 対物光学系204Dは、複数枚の光学レンズで構成され、レンズ枠を介して外筒204Aに保持され、レンズ枠は、外筒204Aの内部において、内筒204Bと相対的に固定され支持されているため、レンズ枠に保持された光学レンズ群は、外筒204Aの内部を内筒204Bと一体となってZ方向にスライド」するので、引用発明の「対物光学系204D」は、本願発明1の「光軸方向に沿って進退自在に構成される、対物光学系」に相当する。

イ 引用発明の「l) 光ファイバ202の先端202aを射出した励起光は、対物光学系204Dを透過して被写体の表面又は表層でスポットを形成し、スポット形成位置は、点光源である先端202aの進退に応じてZ方向に変位し」、「m) 光ファイバ202の先端202aは、対物光学系204Dの前側焦点位置に配置されているため、共焦点ピンホールとして機能し、先端202aには、励起光により励起された被写体の散乱成分(蛍光)のうち先端202aと光学的に共役な集光点からの蛍光のみが入射」するから、引用発明の「光ファイバ202の先端202a」は、本願発明1の「光軸方向に沿って進退自在に構成される、」「当該対物光学系の焦点位置に配設され二次光源及びピンホールとして機能する、前記対物光学系に対する相対的な位置が固定される光ファイバの端面」であって「被写体からの光を受光する」部分に相当する。

ウ 引用発明の「d) 共焦点プローブ200は、光ファイバ202、共焦点光学ユニット204」「を有」するので、上記(1)(2)に照らせば、引用発明の「共焦点プローブ200」は、本願発明1の「各々光軸方向に沿って進退自在に構成される、対物光学系と、当該対物光学系の焦点位置に配設され二次光源及びピンホールとして機能する、前記対物光学系に対する相対的な位置が固定される光ファイバの端面と、を有し、被写体からの光を受光する共焦点光学ユニット」に相当する。

エ 引用発明の「l) 光ファイバ202の先端202aを射出した励起光は、対物光学系204Dを透過して被写体の表面又は表層でスポットを形成し」、
「m) 光ファイバ202の」「先端202aには、励起光により励起された被写体の散乱成分(蛍光)のうち先端202aと光学的に共役な集光点からの蛍光のみが入射し、」「受光器114で検出信号が検出され」、
「n) 検出信号は、映像信号処理回路116に入力し、」「デジタル検出信号を得」、
「p) 映像信号処理回路116は、補正値により補正されたリマップデータを参照して、各デジタル検出信号により表現される点像の画素アドレスへの割り当てを信号取得タイミングに応じて行い」、
「q) リマッピング結果に従って、各点像の空間的配列によって構成される画像の信号を画像メモリ118にフレーム単位でバッファリング」することにおいて、
「s) 」「Z方向位置ごとに適切な補正値を適用したリマップデータを用いる」ことは、共焦点プローブ200からの光が基になって得られた蛍光からデジタル検出信号を得、Z方向位置ごとの補正値による補正を加味したリマップデータを用いて映像信号処理回路116が、各点像の画素アドレスへの割り当てをすることによって、画像の歪みを補正することである。
してみると、引用発明の「映像信号処理回路116」は、本願発明1の「共焦点光学ユニットからの光に基づき得られた画像データの歪みを前記位置に基づき補正する処理部」に相当するといえる。

オ 引用発明の「c) 外部から操作するためのインターフェースを備え、その操作はCPU108の制御により実行され」ることは、外部から操作するためのインターフェースを備え、その操作はCPU108へ伝えられ、CPU108の制御により実行されるのであるから、引用発明の「c) 外部から操作するためのインターフェースを備え、その操作」を「実行」する「CPU108」は、本願発明1の「外部から操作される操作部を介して入力された命令を前記処理部に伝達する指令部」に相当する。

カ 引用発明の「m)n)o)p)q)s)」の記載から、引用発明の「検出信号」の入力から「モニタ300の表示画面」に表示されるまでのフローは、以下のとおりとなる。

1「n) 検出信号は、映像信号処理回路116に入力」する。
2「n)」「映像信号処理回路116は、CPU108の制御下で動作して、検出信号を一定のレートでサンプルホールド及びAD変換してデジタル検出信号を得」る。
3「o)s)p) 映像信号処理回路116は、CPUメモリ110に格納された、Z方向位置ごとに適切な補正値を適用したリマップデータを参照して、各デジタル検出信号により表現される点像の画素アドレスへの割り当てを信号取得タイミングに応じて行う(リマッピング)。
4「q) リマッピング結果に従って、各点像の空間的配列によって構成される画像の信号を画像メモリ118にフレーム単位でバッファリング」する。
5「r) バッファリングされた信号は、所定のタイミングで画像メモリ118から映像信号出力回路120に掃き出されて、NTSC等の所定の規格に準拠した映像信号に変換されてモニタ300に出力され、モニタ300の表示画面には、高倍率かつ高解像度の被写体の三次元共焦点画像が表示され」る。

以上より、Z方向位置ごとに適切な補正値を適用したリマップデータを参照して、リマッピングされた画像の信号(以下、「補正された画像の信号」という。)はフレーム単位で処理されモニタ300の表示画面に表示されるから、補正がされていない画像の信号に対応する画像が表示されることはない。
また、補正された画像の信号が1フレーム分作成終了しなければ、表示されないから、画像を取得するZ方向位置へ移動開始してから、補正された画像の信号が1フレーム分作成終了するまでの間に、そのZ方向位置での補正がされていない画像の信号に対応する画像が表示されることはない。

以上より、上記オ及び「映像信号処理回路116は、CPU108の制御下で動作」することを踏まえれば、引用発明の「CPU108」は、本願発明1の「前記光ファイバの光軸方向への移動が開始されてから前記処理部が前記画像データに対して前記光ファイバの現在の位置に基づく補正を終了するまでの間、前記光ファイバの現在の位置に基づく補正がされていない画像データに対応する画像を表示しない」「前記指令部」に相当する。

キ よって、本願発明1と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

(一致点)
「各々光軸方向に沿って進退自在に構成される、対物光学系と、当該対物光学系の焦点位置に配設され二次光源及びピンホールとして機能する、前記対物光学系に対する相対的な位置が固定される光ファイバの端面と、を有し、被写体からの光を受光する共焦点光学ユニットと、
前記共焦点光学ユニットからの光に基づき得られた画像データの歪みを前記位置に基づき補正する処理部と、
外部から操作される操作部を介して入力された命令を前記処理部に伝達する指令部と、を備え、
前記指令部は、前記光ファイバの光軸方向への移動が開始されてから前記処理部が前記画像データに対して前記光ファイバの現在の位置に基づく補正を終了するまでの間、前記光ファイバの現在の位置に基づく補正がされていない画像データに対応する画像を表示しないことを特徴とする共焦点内視鏡システム。」
の発明である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明1は、「光ファイバの光軸上の位置を取得する位置取得手段」を備えるのに対して、引用発明は、該位置取得手段を備えるとの特定がない点。

第6 判断
1 相違点について
引用発明は、「s)」「光ファイバ202のZ方向位置ごとのリマップデータの補正値が求められ、Z方向位置ごとに適切な補正値を適用したリマップデータを用いる」構成を有している。
ここで、「Z方向位置ごとに適切な補正値を適用」するには、Z方向位置が把握されていることが前提であるから、引用発明は、Z方向位置を取得する位置取得手段を備えているものである。つまり、引用発明は相違点に係る本願発明1の構成を備えているものである。
したがって、上記相違点は、実質的な相違点ではない。
仮に、上記相違点が、実質的な相違点であるとしても、引用発明は「高倍率かつ高解像度の被写体の三次元共焦点画像」を取得する発明であるから、Z軸方向である光ファイバの光軸上の位置を取得する位置取得手段を設けることは、当業者が容易に想到するものといえる。

したがって、本願発明1と引用発明には、相違点がなく、本願発明1は、引用発明である。または、本願発明1は引用発明から、当業者が容易に想到し得たものである。

2 請求人の主張について
請求人は、令和元年10月2日付け意見書で、「補正パラメータの補正(変更)には時間が掛かるため、引用文献1の共焦点内視鏡では、光ファイバが移動した直後において、画像補正は移動前の補正パラメータで行われ、適正な補正パラメータによる画像補正は行われていませんでした。
・・・
本願発明では、「前記光ファイバの光軸方向への移動が開始されてから前記処理部が前記画像データに対して前記光ファイバの現在の位置に基づく補正を終了するまでの間、前記光ファイバの現在の位置に基づく補正がされていない画像データに対応する画像を表示しない」ことで歪みの無い画像のみが表示される構成として、誤診断の発生を防止しています。
引用文献1は、上記構成は備えておらず、前述しましたように、光ファイバを光軸方向に移動した直後には歪みのある画像を表示してしまいます。」と主張する。
しかしながら、上記のとおり引用発明は、引用文献1に記載された事項に基づいて認定されるものであり、請求人が主張するような記載は引用文献1には見出せないから、請求人の主張はその根拠を欠くものであり、採用することはできない。

第7 まとめ
以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。または、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その他の請求項について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-10-28 
結審通知日 2019-10-29 
審決日 2019-11-11 
出願番号 特願2013-215048(P2013-215048)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61B)
P 1 8・ 113- WZ (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原 俊文  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 東松 修太郎
信田 昌男
発明の名称 共焦点内視鏡システム  
代理人 松浦 孝  
代理人 小倉 洋樹  
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