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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1358361
審判番号 不服2019-6478  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-17 
確定日 2020-01-21 
事件の表示 特願2015-150941「内視鏡光源装置、内視鏡システム、及び内視鏡光源装置の作動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月12日出願公開、特開2016-144624、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月30日(国内優先権主張 平成27年1月29日)の出願であって、平成30年2月2日付けで拒絶理由が通知され、同年4月6日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年8月6日付けで拒絶理由が通知され、同年10月9日付けで意見書が提出され、平成31年2月7日付けで拒絶査定されたところ、令和元年5月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成31年2月7日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

理由3.(進歩性) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由3(進歩性)について
・請求項 1?15
・引用文献等 1?7

<引用文献等一覧>
1.国際公開第2015/005277号
2.特開2011-10998号公報
3.特開2001-201697号公報
4.特開2013-111177号公報
5.特開2011-36361号公報
6.特開2008-181933号公報
7.国際公開第2012/161028号

第3 本願発明
本願の請求項1-15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明15」という。)は、令和元年5月17日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
互いに異なる色の光を独立して発光する複数の光源を有し、前記複数の光源が発光する光を重ね合わせた第1多色スペクトルを有する第1多色スペクトル光を発する光源部と、
前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値を、白色光源が発光する白色光である連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値に一致させ、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させるように前記複数の光源の光量をそれぞれ制御する光源制御部と、
前記複数の光源が発する光の光量をそれぞれ検出する光量検出部と、
を備え、
前記光源制御部は、前記光量検出部による検出結果を用いて、前記複数の光源のうち、前記第1多色スペクトル光を形成する光量の指定値に対して、光量の不足が最も大きい最劣化光源の光量に合わせて、残りの光源の光量を設定する内視鏡光源装置。
【請求項2】
前記白色光は、キセノンランプが発する光である請求項1に記載の内視鏡光源装置。
【請求項3】
前記第1波長帯域は、紫色波長帯域及び青色波長帯域を合わせた波長帯域であり、前記第2波長帯域は、緑色波長帯域である請求項1または2に記載の内視鏡光源装置。
【請求項4】
前記複数の光源は、紫色光を発する紫色光源と、青色光を発する青色光源とを含み、
前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域は、前記紫色光及び前記青色光を含む波長帯域である請求項1?3のいずれか1項に記載の内視鏡光源装置。
【請求項5】
前記光源制御部は、前記第1波長帯域及び前記第2波長帯域に加えて、さらに、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域及び前記第2波長帯域とは異なる第3波長帯域の光量積分値と、前記連続スペクトル光の前記第3波長帯域の光量積分値とを一致させる請求項1?4のいずれか1項に記載の内視鏡光源装置。
【請求項6】
前記第3波長帯域は、赤色波長帯域である請求項5に記載の内視鏡光源装置。
【請求項7】
前記光源部は、前記複数の光源によって、前記第1多色スペクトル光及び前記連続スペクトル光とは分光スペクトルが異なる第2多色スペクトルを有する第2多色スペクトル光
を発し、
前記光源制御部は、前記第2多色スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値よりも大きくし、かつ、前記第2多色スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させる請求項1?6のいずれか1項に記載の内視鏡光源装置。
【請求項8】
前記光量検出部は、前記複数の光源が発光している間、前記複数の光源が発光する光の光量の検出を繰り返し行う請求項1?7のいずれか1項に記載の内視鏡光源装置。
【請求項9】
前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値が前記連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値に一致し、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値が、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致しているか否かを検証する検証部を備える請求項1?8のいずれか1項に記載の内視鏡光源装置

【請求項10】
前記光源制御部は、前記検証部による検証結果を用いて前記複数の光源を制御する請求項9に記載の内視鏡光源装置。
【請求項11】
互いに異なる色の光を独立して発光する複数の光源を有し、前記複数の光源が発光する光を重ね合わせた第1多色スペクトルを有する第1多色スペクトル光を発する光源部と、
前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値を、白色光源が発光する白色光である連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値と一致させ、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させるように前記複数の光源の光量をそれぞれ制御する光源制御部と、
前記複数の光源が発する光の光量をそれぞれ検出する光量検出部と、
を備え、
前記光源制御部は、前記光量検出部による検出結果を用いて、前記複数の光源のうち、前記第1多色スペクトル光を形成する光量の指定値に対して、光量の不足が最も大きい最劣化光源の光量に合わせて、残りの光源の光量を設定する内視鏡システム。
【請求項12】
前記光源部は、前記複数の光源によって、前記第1多色スペクトル光及び前記連続スペクトル光とは分光スペクトルが異なる第2多色スペクトルを有する第2多色スペクトル光を発し、
前記光源制御部は、前記第2多色スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値よりも大きくし、かつ、前記第2多色スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させる請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
接続された内視鏡の機種を検出し、検出結果を前記光源制御部に入力する内視鏡機種検出部を備え、
前記光源制御部は、前記内視鏡機種検出部によって検出された前記内視鏡の機種によって、前記光源部が発する光を、前記第1多色スペクトル光と前記第2多色スペクトル光とで切り替える請求項12に記載の内視鏡システム。
【請求項14】
前記光源制御部は、前記内視鏡の機種が、前記連続スペクトル光で使用する機種である場合に、前記光源部が発する光を前記第1多色スペクトル光にし、かつ、前記内視鏡の機種が、前記連続スペクトル光で使用する機種でない場合に、前記光源部が発する光を前記第2多色スペクトル光にする請求項13に記載の内視鏡システム。
【請求項15】
互いに異なる色の光を独立して発光する複数の光源を有し、前記複数の光源が発光する光を重ね合わせた第1多色スペクトルを有する第1多色スペクトル光を発する光源部と、前記複数の光源が発する光の光量をそれぞれ検出する光量検出部と、を有する内視鏡光源装置の作動方法において、
光源制御部が、前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値を、白色光源が発光する白色光である連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値と一致させ、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させるように前記複数の光源の光量をそれぞれ制御して、前記第1多色スペクトル光を発光させるステップと、 前記光源制御部が、前記光量検出部による検出結果を用いて、前記複数の光源のうち、前記第1多色スペクトル光を形成する光量の指定値に対して、光量の不足が最も大きい最劣化光源の光量に合わせて、残りの光源の光量を設定するステップと、
を備える内視鏡光源装置の作動方法。」

第4 引用文献・引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由とともに引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。以下同様。)

「[0009]
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る光源装置を示すブロック図である。本実施の形態は、光源装置を内視鏡、ビデオプロセッサ及びモニタを有する内視鏡システムに適用したものである。
[0010]
内視鏡システム1は、内視鏡10、ビデオプロセッサ20、モニタ30及び光源装置40によって構成される。内視鏡10は、先端側に、管腔内等に挿入可能な細長の挿入部11を有しており、基端側は、コネクタ12によって光源装置40に着脱自在に接続されるようになっている。
[0011]
また、内視鏡10はケーブル17及びコネクタ18によってビデオプロセッサ20に着脱自在に接続されるようになっている。このように、光源装置40及びビデオプロセッサ20には、異なる種別の内視鏡を装着することができるようになっている。
[0012]
挿入部11の先端には、管腔内等の被写体の映像を撮像するための撮像素子13及び光源装置40からの光を被写体に照射するためのレンズ14が配設されている。レンズ14によって、光源装置40からライトガイド15を介して伝送された照明光が被写体に照射される。撮像素子13は、CCDやCMOSセンサ等によって構成されており、被写体からの戻り光が撮像面に入射され、入射した被写体光学像を光電変換し、蓄積した電荷に基づく撮像出力を順次出力する。
[0013]
撮像素子13は、ビデオプロセッサ20から同期信号を含む駆動信号が供給されて動作し、撮像出力を信号線16を介してビデオプロセッサ20に供給する。
[0014]
なお、撮像素子13は、所定の分光感度特性を有する。内視鏡は主に撮像素子の分光感度特性の影響によって、撮像画像の特性が内視鏡毎に変化する。内視鏡10には、このような内視鏡毎の分光感度特性の情報を含むスコープ情報を記憶した記憶部19が設けられている。内視鏡10をコネクタ12によって光源装置40に接続することで、光源装置40においてスコープ情報を取得することができるようになっている。
[0015]
ビデオプロセッサ20は、撮像出力に対して所定の信号処理を施してモニタ30に表示可能な映像信号を生成する。ビデオプロセッサ20からの映像信号は、ケーブル21を介してモニタ30に供給される。こうして、モニタ30の表示画面上において、撮像出力に基づく内視鏡画像が表示可能である。
[0016]
また、ビデオプロセッサ20は、撮像画像の明るさが目標の明るさとなるように、光源装置40を制御することができるようになっている。ビデオプロセッサ20は、撮像画像から得られる明るさと目標明るさとの比率の情報を明るさ制御情報として光源装置40に出力するようになっている。明るさ制御情報はケーブル22を介して光源装置40の制御部41に供給される。
[0017]
光源装置40は、赤色光を発生するLED(R-LED)42、緑色光を発生するLED(G-LED)43、青色光を発生するLED(B-LED)44及び紫色光を発生するLED(V-LED)45を有している。なお、本実施の形態においては、4色の光を発生するLEDを採用する例について説明するが、色の種類及び色数は本実施の形態に限定されるものではない。本実施の形態では、複数種類のLEDを用いればよく、例えば図1に琥珀色(アンバー)光を発生するLEDを追加してもよい。
[0018]
各LED42?45の出射光の光軸上にはそれぞれレンズ42a?45aが配置されている。各レンズ42a?45aは、それぞれLED42?45の出射光を略平行光に変換して出射する。R-LED42からの光を出射するレンズ42aの光軸上には、光路部を構成するダイクロイックフィルタ47?49が配置されている。ダイクロイックフィルタ47には、レンズ43aを介してG-LED43からの光も入射される。また、ダイクロイックフィルタ48には、レンズ44aを介してB-LED44からの光も入射され、ダイクロイックフィルタ49には、レンズ45aを介してV-LED45からの光も入射される。
[0019]
ダイクロイックフィルタ47は、G-LED43からの光を反射して、R-LED42からの光を透過させる。ダイクロイックフィルタ48は、B-LED44からの光を反射して、ダイクロイックフィルタ47の透過光を透過させる。ダイクロイックフィルタ49は、V-LED45からの光を反射して、ダイクロイックフィルタ48の透過光を透過させる。
[0020]
こうして、LED42?45の光がダイクロイックフィルタ47?49によって合成される。ダイクロイックフィルタ49からの合成光は、レンズ50を介してライトガイド15に入射するようになっている。なお、ダイクロイックフィルタ47?49の特性を適宜設定することによって、LED42?45の配置順を変更することも可能であるが、LED42?45を出射光の波長帯域順に配置した方がダイクロイックフィルタの特性の設定が容易である。
[0021]
各LED42?45は、LED駆動部46によって駆動されて点灯する。LED駆動部46は、制御部41に制御されて、各LEDを駆動するための駆動信号であるPWMパルスを発生するようになっている。なお、各LED42?45は、LED駆動部46からのPWMパルスのデューティ比及び電流量に応じた発光量で発光するようになっている。制御部41は、各LED42?45を制御するための調光情報をLED駆動部46に出力することで、PWMパルスのデューティ比及び電流レベルを制御して、各LED42?45を調光制御する。
[0022]
制御部41は、各LED42?45の発光量が、所定のカラーバランスを維持できるように、調光情報を発生する。各LED42?45のカラーバランスは、内視鏡10の分光感度特性によって決定する必要がある。光源装置40に設けられた読み取り部51は、内視鏡10がコネクタ12によって光源装置40に接続されると、記憶部19に記録されたスコープ情報を読み出して制御部41に出力するようになっている。制御部41は、スコープ情報に基づいて、各LED42?45の発光量の比(光量比)を決定し、この光量比を維持するように各LED42?45の発光量を制御するようになっている。
[0023]
なお、記憶部19には、撮像素子の分光感度特性の情報を保持するものとして説明したが、記憶部19に、分光感度特性に基づくLED42?45の出射光量比率の情報を記憶させるようにしてもよい。
[0024]
なお、最適なカラーバランスを得るためには、制御部41に、内視鏡10の分光感度特性の情報を入力すればよく、必ずしも記憶部19や読み取り部51を設ける必要は無い。光源装置40には、操作パネル52が設けられており、操作パネル52はユーザ操作に基づく信号を制御部41に出力することができる。この操作パネル52を用いることで、内視鏡10の分光感度特性に関する情報を入力することも可能である。また、操作パネル52には、図示しない表示部が設けられており、現在の設定値等を表示することができるようになっている。
[0025]
制御部41は、ビデオプロセッサ20からの明るさ制御情報に基づいて、最適なカラーバランスが得られる光量比を維持しながら、各LED42?45の光量を制御する。例えば、制御部41は、明るさ制御情報に応じて設定すべきG-LED43の光量値に対応する調光情報を求め、他のLED42,44,45については、スコープ情報に基づく光量比となるように調光情報を求める。メモリ部53には、明るさ制御情報に応じて設定すべきG-LED43の光量値に対応する調光情報を記述したテーブルが記憶されており、制御部41は、明るさ制御情報に基づいてメモリ部53に記憶された調光情報を読み出すことで、G-LED43を制御するための調光情報を取得することができる。
[0026]
図2はメモリ部53に格納されている情報の一例を説明するためのグラフである。図2(a)は横軸に明るさ制御情報に対応するLED制御値をとり縦軸にデューティ比をとってG-LED43に対するPWM制御を示し、図2(b)は横軸に明るさ制御情報に対応するLED制御値をとり縦軸に電流値をとってG-LED43に対する電流制御を示している。
[0027]
図2に示すように、制御部41は、G-LED43の最低光量に対応するLED制御値を“1”とし、最大光量に対応するLED制御値を“65535”として、G-LED43の光量を65536段階に制御可能である。制御部41は、G-LED43用のPWMパルスのデューティ比については、0.1%(パルス幅16.68μ秒)から100%(パルス幅16.68m秒)の間で制御可能であり、PWMパルスの電流値について最小の1Aから最大の20Aの間で制御可能である。
[0028]
図2(a),(b)に示すように、制御部41は、G-LED43について、デューティ比が100%に到達するまでは、電流値を最低の1Aに設定したまま、デューティ比を変化させることによって最も暗いLED制御値“1”からLED制御値“TH”までの調光制御を行う。また、制御部41は、PWMパルスのデューティ比が100%に到達すると、LED制御値“TH”から最も明るいLED制御値“65535”までの調光制御は、デューティ比100%の状態で電流値を最小の1Aから最大の20Aまで変化させることにより行う。
[0029]
制御部41は、ビデオプロセッサ20から明るさ制御情報が入力されると、入力された明るさ制御情報に基づくLED制御値に対応するデューティ比及び電流値を図2に対応するテーブルから読み出して、読み出したデューティ比及び電流値を指定するための調光情報を、G-LED43を制御するための調光情報として生成する。
[0030]
本実施の形態においては、制御部41は、G-LED43に設定する電流値と、スコープ情報に基づく比率とによって、他のLED42,44,45に設定する電流値を求める。また、制御部41は、LED42,44,45にはLED43と同じデューティ比を設定する。こうして、制御部は、他のLED42,44,45に設定する調光情報を求める。制御部41は、LED42?45を制御するために求めた調光情報をLED駆動部46に出力する。
[0031]
このように、本実施の形態においては、制御部41は、最も暗い光量からデューティ比100%となる所定の光量までは、電流量を一定にした状態で、PWMパルスのデューティ比を変化させるPWM制御によって明るさを調整し、デューティ比が100%となる所定の光量から最大光量までは、デューティ比を100%に維持した状態で、LED電流を変化させる電流制御によって明るさを調整する。
[0032]
また、本実施の形態においては、全てのLED42?45について、PWMパルスのパルス期間、即ち、デューティ比及びLED電流を供給する期間を同一にする。これにより、全てのLED42?45が同時に点灯することになり、動きの速い被写体の撮像時においても、カラーバランスの変化によって画質が低下することを防止することができる。また、各LED42?45相互間でPWM駆動のパルス幅が同一であるので、各LED42?45間の光量比は電流量の比のみによって制御することができ、調光制御が容易である。
[0033]
なお、制御部41は、LED42?45のうちの1つのLED43を基準にして、明るさ制御情報に基づいてLED43の調光制御のための電流値を求め、他のLED42,44,45については、基準となるLED43の電流値とスコープ情報に基づく比によって電流値を求める例を説明したが、基準とするLEDをLED43以外の他のLEDに設定してもよい。また、基準とするLEDを用いることなく、図2と同様の情報をスコープ情報に基づく比率で全てのLEDについて求めておき、明るさ制御情報に基づいて各LEDの制御値を直接読み出すようにしてもよい。
[0034]
なお、本明細書中において記載したパルスの電流値、デューティ比及びパルス長等の数値は一例であり、適宜変更可能である。
[0035]
次に、このように構成された実施の形態の動作について図3及び図4を参照して説明する。図3は第1の実施の形態の調光制御を説明するためのフローチャートである。また、図4は各LED42?45に供給される駆動パルスを説明するための説明図である。
[0036]
内視鏡10がコネクタ12によって光源装置40に接続されると、読み取り部51は、内視鏡10の記憶部19に記憶されているスコープ情報を読み出して制御部41に出力する。これにより、制御部41はスコープ情報を取得する(ステップS1)。制御部41は、ステップS2において、ビデオプロセッサ20からの明るさ制御情報を取得する。制御部41は、明るさ制御情報に基づいてメモリ部53にアクセスし、基準となるLEDであるG-LED43を制御するための制御値(電流値及びデューティ比)を取得する(ステップS3)。制御部41は、LED43の電流値を基準として、スコープ情報に基づく光量比で、他のLED42,44,45の電流値を算出する(ステップS4)。
[0037]
制御部41は、各LED42?45について求めた電流値及びデューティ比を指定するための調光情報を生成して(ステップS5)、LED駆動部46に出力する(ステップS6)。LED駆動部46は、調光情報に基づくデューティ比及び電流値のPWMパルスを発生して、各LED42?45に供給する。これにより、LED42?45は調光情報に基づく光量の光を発生する。LED42?45の出射光は、ダイクロイックフィルタ47?49によって合成され、照明光としてレンズ50を介してライトガイド15に入射する。ライトガイド15を伝送された照明光は、レンズ14から被写体に照射される。
[0038]
撮像素子13は、被写体からの反射光を受光して光電変換し、撮像画像を得る。この撮像画像は信号線16を介してビデオプロセッサ20に供給される。ビデオプロセッサ20は、撮像画像に所定の信号処理を施して映像信号を生成し、ケーブル21を介してモニタ30に供給する。こうして、モニタ30の表示画面上に内視鏡画像が表示される。
[0039]
また、ビデオプロセッサ20は、撮像画像の明るさと目標明るさとの比較によって明るさ制御情報を発生する。例えば、ビデオプロセッサ20は、1フィールド毎に明るさ制御情報を発生して、光源装置40の制御部41に出力する。
[0040]
こうして、制御部41は、例えば1フィールド毎に明るさ制御情報に基づいて調光情報を発生し、LED42?45からの出射光の合成光による照明光の光量が目標明るさに到達するように制御を行う。
[0041]
図4は横軸に時間をとり各フィールド毎に各LED42?45に供給されるPWMパルスの一例を示している。図4のRed、Green、Blue、Violetは、それぞれLED42?45に供給されるPWMパルスを示している。図4の斜線部は、LED電流が供給される期間を示しており、斜線部の高さは電流量を示している。図4に示すように、全てのLED42?45は相互に共通の期間に電流が供給されて点灯する。また、斜線部の高さは、スコープ情報に基づく光量比に対応している。
[0042]
暗い状態からデューティ比100%に到達するまでの調光制御は、デューティ比の制御によって行われる。デューティ比が100%に到達すると、更に明るくする場合には電流制御によって調光が行われる。
[0043]
このように本実施の形態においては、複数(図1では4つ)のLEDからの出射光を合成して照明光を得ており、内視鏡の分光感度特性に対応した照明光を簡単に得ることができると共に、照明光として十分な明るさを得ることができる。また、各LEDをPWM制御すると共に電流制御しており、比較的広い調光レンジを確保必要がある場合でも、電流量の上限を比較的低く設定することができ、長寿命化を可能にすることができる。また、各LEDを共通のデューティ比のPWMパルスによって点灯制御しており、均質な照明を得ることができる。また、各LED間の光量比は電流量によって制御しており、比較的簡単に各LED間の光量比を一定にしながら明るさ制御が可能である。各LEDの光量比は、内視鏡の分光感度特性に基づいて設定しており、接続された内視鏡に最適なカラーバランスを維持しながら所望の明るさの照明光を得ることができる。
[0044]
(第2の実施の形態)
図5は本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。図5において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。第1の実施の形態においては、各LED42?45の光量は電流値に比例するものとして説明した。しかし、実際には、LEDは温度特性を有し、同一LED電流値であっても温度によって光量が変化する。LEDは、発光に伴って温度上昇する特性を有しているので、照明光量を正確に制御するためには、温度特性を考慮する必要がある。本実施の形態は、このような温度特性に拘わらず、カラーバランスを維持しながら調光制御することを可能にしたものである。
[0045]
図6は横軸にLED温度をとり縦軸に光量をとって、所定の一定電流値でLEDを駆動した場合の光量の変化を示すグラフである。図6ではR,G,B,Vによって、LED42?45の特性を示している。図6に示すように、各LEDを所定の電流値で駆動しても、各LEDの発光量はLED温度の変化に伴って変化する。しかも、LEDの種類毎に変化特性は異なる。
[0046]
そこで、温度を計測して図6の特性に応じて各LEDの駆動電流を制御する方法も考えられるが、光源装置内ではLEDは比較的近接配置されており、各LED単体による温度変化を計測することは困難である。そこで、本実施の形態においては、各LEDの光量を求めることで、電流値を制御するようになっている。
[0047]
図5の内視鏡システム60は、光センサ42b?45bを備えた光源装置61を採用した点が図1の実施の形態と異なる。光センサ42b?45bは、それぞれ各LED42?45の出射光を検出可能な位置に配置されて、各LED42?45の発光量を検知して検知結果を制御部41に出力する。なお、光センサ42b?45bは、各LED42?45からレンズ42a?45aに至る光路上以外の位置に配置される。
[0048]
制御部41は、第1の実施の形態と同様に、明るさ制御情報に基づいてメモリ部53の情報を読み出し、G-LED43の電流値及びデューティ比を求める。本実施の形態においては、制御部41は、内視鏡10のスコープ情報に基づく光量比を、光センサ42b?45bの検知結果に基づいて補正することで、温度特性に変わらず最適な光量比を得るようになっている。
[0049]
次にこのように構成された実施の形態の動作について図7を参照して説明する。図7は第2の実施の形態における調光制御を説明するためのフローチャートである。図7において図3と同一の手順には同一符号を付して説明を省略する。
[0050]
本実施の形態においても、基準となるLEDの電流値及びデューティ比を明るさ制御情報に基づいて制御する点は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態においては、上述のような温度変化等の環境条件の変化によって各LEDからの出射光量が変動してカラーバランスが崩れてしまうことを防止するために、各LED42?45から実際に出射される光量を、記憶部19にスコープ情報として記憶された分光感度特性情報に基づいて設定される出射光量比に一致させるように、光センサ42b?45bにより各LED42?45からの実際の出射光量をモニタリングし、その結果に応じて各LEDに供給する駆動信号の電流値を補正する。
[0051]
光センサ42b?45bは、それぞれLED42?45の光量を検知して検知結果を制御部41に出力している。図7のステップS11においては、制御部41は、光センサ42b?45bの検知結果を取得する。制御部41は、基準となるLEDについて、明るさ制御情報に基づいて制御値(電流値及びデューティ比)を求める(ステップS3)。例えば、制御部41は、ステップS3において、G-LED43の電流値及びデューティ比を求める。
[0052]
次に、制御部41は、ステップS12において、スコープ情報に基づく基準LEDと他の各LEDとの光量比と、光センサ42b?45bによって実際に求めた基準LEDと他の各LEDとの光量比と、前回の制御値と、に基づいて他のLEDに供給する電流値の制御値を他の各LED毎に求める。
[0053]
すなわち、他のLED42,44,45の駆動パルスのデューティ比をステップ3において設定されたG-LED43のデューティ比に一致させ、電流値を、スコープ情報に基づく光量比と、光センサ42b?45bによって実際に求めた光量比とが一致するように、制御周期で増減させる。
[0054]
例えば、スコープ情報に基づく光量比に応じたR-LED42の光量に対して、実際のR-LED42の光量が小さかった場合には、G-LED43のLED電流に対するR-LED43のLED電流の比率が前回の制御時よりも大きくなるように、R-LED43の電流値が設定される。制御部41がスコープ情報及び前回の制御値を用いて、R-LED42の電流値を求めることで、R-LED42の光量比はスコープ情報に基づく光量比に一致することになる。
[0055]
これにより、各LED42?45のLED電流値は、実際の光量比が、スコープ情報に基づく光量比に一致するように制御されることになる。
[0056]
なお、例えば、制御部41は、調光情報の出力毎に他のLED42,44,45の電流値の補正量を算出してもよい。
[0057]
制御部41は求めた電流値及びデューティ比に応じた調光情報を生成して、LED駆動部46に出力する。LED46は、入力された調光情報に基づいて各LED42?45を点灯制御する。スコープ情報と実際の光量に応じた補正量とによって各LEDの電流値が算出されており、各LED42?45の実際の光量はスコープ情報に基づく光量比に一致するようになる。
[0058]
このように本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。また、明るさ制御情報に基づいて基準となるLEDの明るさを制御することで照明光の明るさを制御すると共に、実際の光量を計測し、実際の光量比がスコープ情報に基づく光量比に一致するように各LEDの電流値を制御しており、温度特性に拘わらず、接続された内視鏡に最適なカラーバランスを維持しながら所望の明るさの照明光を得ることができる。」

引用文献1の[図5]には、次の図面が記載されている。


これらの記載を総合すると、上記引用文献1には、「第2の実施形態」として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。(なお、参考情報として、根拠となる段落番号を括弧書きで記載した。)

「(A)内視鏡10、ビデオプロセッサ20、モニタ30及び光センサ42b?45bを備えた光源装置61によって構成された内視鏡システム60であって、([0044]、[0047]、[0010]、[図5])
(B)光源装置61は、赤色光を発生するLED(R-LED)42、緑色光を発生するLED(G-LED)43、青色光を発生するLED(B-LED)44及び紫色光を発生するLED(V-LED)45を有し、([0044]、[0047]、[0017]、[図5])
(C)LED42?45の光がダイクロイックフィルタ47?49によって合成され、([0044]、[0047]、[0020]、[図5])
(D)光センサ42b?45bは、それぞれ各LED42?45の出射光を検出可能な位置に配置されて、各LED42?45の発光量を検知して検知結果を制御部41に出力し、([0047]、[図5])
(E)制御部41は、基準となるLEDについて、明るさ制御情報に基づいて制御値(電流値及びデューティ比)を求め、スコープ情報に基づく基準LEDと他の各LEDとの光量比と、光センサ42b?45bによって実際に求めた基準LEDと他の各LEDとの光量比と、前回の制御値と、に基づいて他のLEDに供給する電流値の制御値を他の各LED毎に求め、([0051]、[0052])
(F)制御部41は求めた電流値及びデューティ比に応じた調光情報を生成して、LED駆動部46に出力し、LED46は、入力された調光情報に基づいて各LED42?45を点灯制御し、各LED42?45の実際の光量はスコープ情報に基づく光量比に一致する、([0057])
内視鏡システム。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由とともに引用された引用文献2には、内視鏡11と、この内視鏡11が接続される制御装置13とを有し、制御装置13には、画像情報等を表示する表示部15と、入力操作を受け付ける入力部17が接続されており、内視鏡11は、内視鏡挿入部19の先端から照明光を出射する照明光学系と、被観察領域を撮像する撮像素子を含む撮像光学系とを有する電子内視鏡であって(同文献の【0011】)、 制御装置13は、内視鏡先端部35の照射口37A,37Bに供給する照明光を発生する光源装置41を備えており、(同文献の【0015】)、光源装置41は、中心波長445nmの青色レーザ光源(第1の光源)51と、中心波長405nmの紫色レーザ光源(第2の光源)53とを発光源として備えており、青色レーザ光と紫光レーザ光の光量比の設定は、キー情報となる術者名と、術者の好みの光量比とを関係付けた光量比情報を、記憶部83等に光量比テーブルとして予め登録しておき、入力部17から術者名に対応する情報が入力されると、制御部67は、記憶部83の光量比テーブルを参照して所望の光量比を自動的に設定することにより、内視鏡の術者の嗜好に応じた光量比に設定できる(同文献の【0059】-【0060】)、電子内視鏡が開示されている。

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由とともに引用された引用文献3には、電子内視鏡2とプロセッサ3と光源装置4で構成される電子内視鏡装置1であって(同文献の【0008】)、光源装置4には、照明光を発生するランプ11が収容されており、ランプ11は、放電管であるメタルハライドランプにより発光し(同文献の【0009】)、光源装置4には、ランプ11の平行光をライトガイド8に集光させるために、レンズ12が設けられており、このレンズ12とランプ11との間に、赤外線遮断フィルタ13と、液晶パネル14とが設けられ(同文献の【0010】)、液晶パネル14には、液晶の画素毎にマイクロカラーフィルタがR,G,Bのような配列で設けられており(同文献の【0012】)、光源装置4の操作パネル17には、キセノン(Xe)、ハロゲン(Ha)、バリアブル(Vr)の3つのモード設定が設けられ、設定に応じて液晶パネル14の制御がされ、例えばキセノンが選択されれば、キセノン光と同等の色バランスになる(同文献の【0016】)、電子内視鏡装置が開示されている。すなわち、引用文献3には、「照明光を発生するメタルハライドランプ11、レンズ12、赤外線遮断フィルタ13及び液晶パネル14が設けられ、液晶パネル14には液晶の画素毎にマイクロカラーフィルタがR,G,Bのような配列で設けられており、設定に応じて液晶パネル14の制御がされることにより、キセノンが選択されればキセノン光と同等の色バランスになる、電子内視鏡の光源装置」が開示されているといえる。

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由とともに引用された引用文献4には、被検体内に挿入される内視鏡に対して光を供給する内視鏡用光源装置において(同文献の【0010】)、第1特殊光観察モードに設定されている場合に、第1青色光、緑色蛍光、赤色光が発光され、第1青色光のピーク強度は、他の緑色蛍光、赤色光のピーク強度よりも大きくなるように発光されるとともに、体内の血管と粘膜のコントラスト比が「1.6」以上となる第1光量比で発光される(同文献の【0044】、【図6B】を参照)、内視鏡用光源装置が開示されている。

5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由とともに引用された引用文献5には、内視鏡装置において、内視鏡11が制御装置13にコネクタ部25Bを介して接続された際に、制御部67が内視鏡11の本体側記憶部131から個体識別情報を読み取ることで、制御部67は接続された内視鏡11を認識し(同文献の【0059】)、制御部67は、接続された内視鏡11の個体識別情報に応じた照明光の色調に設定することにより(同文献の【0060】)、内視鏡の機種に応じて照明光の色調を変更する(同文献の【0057】)、内視鏡装置(同文献の【0009】)、が開示されている。

6 引用文献6について
原査定の拒絶の理由とともに引用された引用文献6には、複数のレーザ光源装置と、該レーザ光源装置から射出された光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、該光変調装置により形成された画像を投射する投射装置と、を備えた画像表示装置であって、前記レーザ光源装置のいずれかの劣化が検出された際に、劣化が検出されていない前記レーザ光源装置は、劣化が検出されたレーザ光源装置のうち、最も大きな劣化が検出されたレーザ光源装置の光量に対応するように、投入電流又は投入電圧が調整されることにより、ホワイトバランスを維持することができること(同文献の【0019】-【0020】)、が開示されている。

7 引用文献7について
原査定の拒絶の理由とともに引用された引用文献7には、内視鏡システムの光源装置3であって(同文献の[0013])、白色LED31と紫LED37との劣化率の差が5%以上になった場合、色バランスを一定に保つための劣化補正処理を実行し、光源装置3の制御部24は、この色バランスを一定に保つための劣化補正処理において、白色LED31の劣化率を紫LED37の劣化率に合わせるように補正する(同文献の[0066])、光源装置が開示されている。

第5 本願発明1について
1 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のとおりである。

(1)引用発明の「赤色光を発生するLED(R-LED)42、緑色光を発生するLED(G-LED)43、青色光を発生するLED(B-LED)44及び紫色光を発生するLED(V-LED)45」は本願発明1の「互いに異なる色の光を独立して発光する複数の光源」に相当する。また、引用発明の「ダイクロイックフィルタ47?49によって合成され」た「LED42?45の光」は本願発明1の「前記複数の光源が発光する光を重ね合わせた第1多色スペクトルを有する第1多色スペクトル光」に相当する。よって、引用発明の「赤色光を発生するLED(R-LED)42、緑色光を発生するLED(G-LED)43、青色光を発生するLED(B-LED)44及び紫色光を発生するLED(V-LED)45を有し、LED42?45の光がダイクロイックフィルタ47?49によって合成され」た「光源装置」は、本願発明1の「互いに異なる色の光を独立して発光する複数の光源を有し、前記複数の光源が発光する光を重ね合わせた第1多色スペクトルを有する第1多色スペクトル光を発する光源部」に相当する。

(2)引用発明の「制御部41」は本願発明1の「光源制御部」に相当し、
引用発明の「基準となるLEDについて、明るさ制御情報に基づいて制御値(電流値及びデューティ比)を求め、スコープ情報に基づく基準LEDと他の各LEDとの光量比と、光センサ42b?45bによって実際に求めた基準LEDと他の各LEDとの光量比と、前回の制御値と、に基づいて他のLEDに供給する電流値の制御値を他の各LED毎に求め」ることは、本願発明1の「前記複数の光源の光量をそれぞれ制御する」ことに相当する。したがって、引用発明の「基準となるLEDについて、明るさ制御情報に基づいて制御値(電流値及びデューティ比)を求め、スコープ情報に基づく基準LEDと他の各LEDとの光量比と、光センサ42b?45bによって実際に求めた基準LEDと他の各LEDとの光量比と、前回の制御値と、に基づいて他のLEDに供給する電流値の制御値を他の各LED毎に求め 」る「制御部41」と、本願発明1の「前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値を、白色光源が発光する白色光である連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値に一致させ、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させるように前記複数の光源の光量をそれぞれ制御する光源制御部」とは、「前記複数の光源の光量をそれぞれ制御する光源制御部」である点で共通する。

(3)引用発明の「各LED42?45の発光量を検知して検知結果を制御部41に出力」する「光センサ42b?45b」は本願発明1の「前記複数の光源が発する光の光量をそれぞれ検出する光量検出部」に相当する。

(4)引用発明の「光センサ42b?45bによって実際に求めた基準LEDと他の各LEDとの光量比」は、本願発明1の「前記光量検出部による検出結果」に相当する。また、引用発明の「他のLEDに供給する電流値の制御値を他の各LED毎に求め、求めた電流値及びデューティー比に応じた調光情報を生成」することは、本願発明1の「残りの光源の光量を設定する」ことに相当する。したがって、引用発明の「基準となるLEDについて、明るさ制御情報に基づいて制御値(電流値及びデューティ比)を求め、スコープ情報に基づく基準LEDと他の各LEDとの光量比と、光センサ42b?45bによって実際に求めた基準LEDと他の各LEDとの光量比と、前回の制御値と、に基づいて他のLEDに供給する電流値の制御値を他の各LED毎に求め」る「制御部」と本願発明1の「前記光量検出部による検出結果を用いて、前記複数の光源のうち、前記第1多色スペクトル光を形成する光量の指定値に対して、光量の不足が最も大きい最劣化光源の光量に合わせて、残りの光源の光量を設定する」「光源制御部」とは、「前記光量検出部による検出結果を用いて」「前記複数の光源のうち、基準となる光源の光量に合わせて、残りの光源の光量を設定する」「光源制御部」である点で共通する。

(5)すると、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致する。

「 互いに異なる色の光を独立して発光する複数の光源を有し、前記複数の光源が発光する光を重ね合わせた第1多色スペクトルを有する第1多色スペクトル光を発する光源部と、
前記複数の光源の光量をそれぞれ制御する光源制御部と、
前記複数の光源が発する光の光量をそれぞれ検出する光量検出部と、
を備え、
前記光源制御部は、前記光量検出部による検出結果を用いて、前記複数の光源のうち、基準となる光源の光量に合わせて、残りの光源の光量を設定する、
内視鏡光源装置。」

また、本願発明1と引用発明とは、以下の2点で相違する。

(相違点1)
「光源制御部」が「複数の光源の光量をそれぞれ制御する」方法が、本願発明1では、「前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値を、白色光源が発光する白色光である連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値に一致させ、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させるように」制御されるのに対して、引用発明では、「スコープ情報に基づいて」制御される点。

(相違点2)
「残りの光源の光量を設定する」ための「基準となる光源」が、本願発明1は「前記第1多色スペクトル光を形成する光量の指定値に対して、光量の不足が最も大きい最劣化光源」であるのに対して、引用発明では、基準となる光源の特定はされていない点。

2 判断
相違点1について検討する。
引用文献3には、電子内視鏡の光源装置において、「照明光を発生するメタルハライドランプ11、レンズ12、赤外線遮断フィルタ13及び液晶パネル14が設けられ、液晶パネル14には液晶の画素毎にマイクロカラーフィルタがR,G,Bのような配列で設けられており、設定に応じて液晶パネル14の制御がされることにより、キセノンが選択されればキセノン光と同等の色バランスになる」ことが開示されているが、同文献には「前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値を、白色光源が発光する白色光である連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値に一致させ、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させるように、前記複数の光源の光量をそれぞれ制御する」ことは開示されていない。
また、「前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値を、白色光源が発光する白色光である連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値に一致させ、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させるように、前記複数の光源の光量をそれぞれ制御する光源制御部」は、引用文献2、4-7のいずれにも記載されていない。したがって、相違点1に係る技術事項は、引用文献2-7に開示された技術事項から当業者が容易に想到し得たものではない。
よって、相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-7に開示された技術事項に基づいて容易に想到し得た発明ではない。

第6 本願発明2-10について
本願発明2-10も、本願発明1の「前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値を、白色光源が発光する白色光である連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値に一致させ、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させるように、前記複数の光源の光量をそれぞれ制御する」「光源制御部」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-7に開示された技術事項に基づいて容易に想到し得た発明ではない。

第7 本願発明11-14について
本願発明11、12は、各々、本願発明1、7に対応する内視鏡システムの発明であり、本願発明1の「前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値を、白色光源が発光する白色光である連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値に一致させ、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させるように、前記複数の光
源の光量をそれぞれ制御する」「光源制御部」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-7に開示された技術事項に基づいて容易に想到し得た発明ではない。
本願発明13-14も、内視鏡システムの発明であり、本願発明1の「前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値を、白色光源が発光する白色光である連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値に一致させ、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させるように、前記複数の光源の光量をそれぞれ制御する」「光源制御部」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-7に開示された技術事項に基づいて容易に想到し得た発明ではない。

第8 本願発明15について
本願発明15は、本願発明1に対応する内視鏡光源装置の作動方法の発明であり、本願発明1の「前記第1多色スペクトル光の第1波長帯域の光量積分値を、白色光源が発光する白色光である連続スペクトル光の前記第1波長帯域の光量積分値に一致させ、かつ、前記第1多色スペクトル光の前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の光量積分値を、前記連続スペクトル光の前記第2波長帯域の光量積分値と一致させるように、前記複数の光源の光量をそれぞれ制御する」「光源制御部」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-7に開示された技術事項に基づいて容易に想到し得た発明ではない。

第9 結び
以上のとおりであるから、原査定の理由3によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-01-06 
出願番号 特願2015-150941(P2015-150941)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山口 裕之  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 東松 修太郎
福島 浩司
発明の名称 内視鏡光源装置、内視鏡システム、及び内視鏡光源装置の作動方法  
代理人 特許業務法人小林国際特許事務所  

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