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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01R
管理番号 1358422
審判番号 不服2019-4920  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-12 
確定日 2020-01-21 
事件の表示 特願2017-116034「電気コネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月25日出願公開、特開2018- 14318、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯及び本願発明
本願は、平成29年6月13日(パリ条約による優先権主張 2016年 7月22日 (CN)中華人民共和国)の出願であって、平成30年4月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月31日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成31年4月12日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
そして、本願の請求項1?8に係る発明(以下、「本願発明1?8」という。)は、平成30年7月31日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本願発明1は次のとおりのものである。
「【請求項1】
少なくとも1つのピンが設けられた第1のハウジングと、
該第1のハウジングに着脱可能に組み合わされる第2のハウジングと、を備え、該第2のハウジングには、
前記少なくとも1つのピンの位置に対応するとともに前記少なくとも1つのピンを隙間嵌めで受け入れるために使用される少なくとも1つのピン受入孔と、
ロック解除可能な掛け金であって、前記第1のハウジングと掛止される前記掛け金と、が設けられている、電気コネクタであって、
前記第1のハウジングにはロック部品が設けられ、前記第2のハウジングには、前記ロック部品に対応するロック部品受入部が設けられ、該ロック部品受入部は、前記ロック部品を受け入れるために使用されるが該ロック部品とロックされない、電気コネクタ。」

なお、本願発明2?8は、本願発明1を減縮した発明である。

2.原査定の概要
原査定は、本願発明1?8は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2?5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

引用文献1:実願昭58-43357号(実開昭59-149389号)のマイクロフィルム
引用文献2:国際公開第2009/050781号
引用文献3:特開2013-254696号公報
引用文献4:実願平4-75880号(実開平6-36239号)のCD-ROM
引用文献5:特開2008-091117号公報

3.引用文献
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。以下同様。
「本考案はプリント配線板用コネクタの改良に関するものである。
従来のプリント配線板用コネクタは手指によって着脱するため,プリント配線板に実装するとき,周囲の部品配置に制約を受けたり,かつ周囲に充分なスペースがない位置に配置するとハウジングアッセンブリをポストアッセンブリから抜去する際,ペンチ等の工具でつかんで引き抜いたり,ハウジングアッセンブリに取りついている線材を持って引き抜くためにハウジングアッセンブリに損傷を与えたり線材の抜け,断線等が発生する危険があった。
本考案はこれらの欠点を除去するため,ハウジングアッセンブリに専用工具用ガイド部を設けることにより,着脱を容易にし,かつ,コネクタ周囲の部品配置に制約を受けないことを特徴とする。また,本考案の他の目的は,工具用ガイド部をポストアッセンブリと,ハウジングアッセンブリの固定用として使用できることにある。
第1図?第4図は本考案の一実施例であり,以下その説明する。
ポストアッセンブリ1はハウジングアッセンブリ2を挿入するときのガイドと,ハウジングアッセンブリ2との抜け止めを兼ねたガイドポスト3,及び4がついている。抜け止め用にガイドポスト3,4は凸部を有する。さらにガイドポスト3と4はハウジングアッセンブリ2の逆挿入防止のために,幅が異なっている。
ハウジングアッセンブリ2は,ガイドポスト3,4に対応したガイド溝5,6と,工具挿入穴兼用のストッパ穴7,8がついている。
ポストアッセンブリ1にハウジングアッセンブリ2が挿入された状態ではガイドポスト3の凸部はストッパ穴7に,ガイドポスト4の凸部はストッパ穴8にひっかかり抜けることはない。専用工具9を使用してハウジングアッセンブリ2を抜くときは工具9をストッパ穴7及び8に入れ,ひろげて,ガイドポスト3及び4をストッパ穴7及び8からはずしてそのまま上に引き抜く。」(明細書1頁下から2行?3頁下から4行)

第1図から、ポストアッセンブリ1には複数のピンが設けられていることを看取できる。
また、ストッパ穴7、8は、ポストアッセンブリ2のガイドポスト3、4の凸部がひっかかった状態とそのひっかかりを解除した状態とになるものと認められる。

以上の記載事項、図示内容及び認定事項からみて、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明〕
「複数のピンが設けられたポストアッセンブリ1と、
ポストアッセンッブリ1に着脱可能に組み合わされるハウジングアッセンブリ2と、を備え、該ハウジングアッセンブリ2には、
前記複数のピンを受け入れる受入部と、
ポストアッセンブリ1のガイドポスト3、4の凸部がひっかかった状態とそのひっかかりを解除した状態とになるストッパ穴7、8と、が設けられている、プリント配線板用コネクタ。」

(2)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0001] 本発明は、ハーネスの一端に設けられるコネクタに装着され、コネクタの端子を保護するコネクタ端子保護キャップおよびそれを備えたハーネスアッセンブリに関するものである。
[0002] 車載用空気調和装置の電動圧縮機には、車両に搭載されているバッテリー等の電源から電動圧縮機の電動モータに電力を供給するための電源ケーブル(ハーネス)が接続されることとなる。このハーネスの一端には、電源側との接続に用いられるプラス側およびマイナス側端子を備えたコネクタが設けられる。ハーネスは、電動圧縮機側の構成部品として、電動圧縮機の製造ラインにおいて電動圧縮機に取り付けられ、車両の組み立て現場へと搬送あるいは輸送された後、車両に組み付けられる。この電動圧縮機の搬送あるいは輸送の間に、ハーネスのコネクタ端子にゴミや塵埃、水滴等が付着したり、コネクタ端子が他の部材と接触して損傷したりするおそれがある。これを防止するため、コネクタに端子を保護するコネクタ端子保護キャップを取り付け、搬送あるいは輸送に供している。」

「[0033] コネクタ端子保護キャップ30は、図3?図10に示されるように、コネクタ本体21の突出部21Bの外周に嵌合される一端が開口された断面長円形状の嵌合部32と、嵌合部32から連続的に筒状に形成され、コネクタ端子22A,22Bの外周を覆うキャップ状筒部33とを一体に成形して構成されるキャップ本体31を有する。キャップ状筒部33は、複数のコネクタ端子22A,22Bを互いの干渉を避けて個別に外周を覆って保護できるように、仕切り34により2つのキャップ状筒部33A,33Bに分割されている。
[0034] キャップ本体31の嵌合部32の外周には、互に対向する位置にコネクタ本体21のフランジ部21Aに係止してコネクタ端子保護キャップ30をコネクタ20に取り付けるための一対の爪部材35,36が一体に設けられる。爪部材35は、コネクタ本体21のフランジ部21Aに引っ掛けられる突起爪35Aを有する爪部35Bと、指により押圧される押圧操作部35Cとが同一面状に一体的に設けられ、連結部35Dを介して嵌合部32の外周に一体に成形される。押圧操作部35Cの周縁部位には、爪部35Bの背面まで延びる剛性アップ用の立ち上げリブ35Eが一体に成形される。この爪部材35は、押圧操作部35Cの指による操作量がほぼ比例的に爪部35Bに伝達され、爪部35Bの移動量となるように構成されている。
[0035] 一方、爪部材36は、コネクタ本体21のフランジ部21Aに引っ掛けられる突起爪36Aを有する爪部36Bと、指によって押圧される押圧操作部36Cとが押圧操作部36Cを外側に配してステップ状に一体的に設けられ、連結部36Dを介して嵌合部32の外周に一体に成形される。押圧操作部36Cの周縁部位には、剛性アップ用の立ち上げリブ36Eが一体に成形される。また、爪部材36のステップ状部分には、爪部36Bの背面に伸びる剛性アップ用の背面リブ36Fと、押圧操作部36Cの背面に伸びる剛性アップ用の背面リブ36Gとが設けられる。
[0036] この爪部材36は、ステップ状部分に背面リブ36Fおよび36Gが設けられることにより、爪部材35よりも剛性が高くされている。また、爪部36Bと押圧操作部36Cとがステップ状になっていることから、押圧操作部36Cの指による操作量よりも爪部35Bの移動量の方が小さくなるように構成されている。これによって、爪部材35よりも爪部材36の方が係合、離脱され難くされている。
[0037] また、爪部材35の連結部35Dは、爪部材36の連結部36Dよりも高さが高くされており、この連結部35Dには、少なくとも1個のガイド孔37が設けられる。このガイド孔37は、コネクタ本体21に設けられているピン24に嵌合されることにより、コネクタ端子保護キャップ30の取り付け位置を位置決めするものである。ガイド孔37には、その内周面に円周等間隔で4個の突起37Aが設けられており、ガイド孔37は十字形状孔とされている。
[0038] 以上の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
ハーネスアッセンブリ10は、圧縮機の製造ラインにおいて、電動圧縮機1に一体に組み込まれるインバータ装置の電源入力端子に一端側10Aの端子12A,12Bを接続することにより組み付けられる。このハーネスアッセンブリ10の他端側10Bに設けられているコネクタ20には、コネクタ端子22A,22Bを保護するために、コネクタ端子保護キャップ30が取り付けられる。
[0039] 電動圧縮機1は、この状態で圧縮機工場から出荷され、車両の組み立て現場へと搬送あるいは輸送される。この搬送あるいは輸送の間に、ハーネスアッセンブリ10のコネクタ端子22A,22Bにゴミや塵埃、水滴等が付着したり、端子22A,22Bが他の部材と接触して損傷したりすることがないように、コネクタ20に取り付けられたコネクタ端子保護キャップ30がコネクタ端子22A,22Bを保護する。」

(3)引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0002】
図8は、下記特許文献1に開示されたコネクタを示している。
このコネクタ100は、端子金具110と、該端子金具110を収容保持するハウジング120と、を備えている。
【0003】
端子金具110は、雌型の端子金具で、・・・(中略)・・・
【0004】
ハウジング120は、端子金具110が挿入される端子収容孔121と、端子係止ランス122と、を備える。
・・・(中略)・・・
【0008】
ところが、上記のコネクタ100の場合、一般的に、端子収容孔121への端子金具110の挿入を容易にするため、端子収容孔121と端子金具110との嵌合が隙間嵌めとなるように、端子収容孔121の内寸は、端子金具110の外寸よりも大きく設定されている。・・・(後略)・・・」

(4)引用文献4に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0009】
【実施例】
以下、図面にもとづいて本考案の実施例を説明する。
図1は、本考案の一実施例にかかるターミナル保護カバーの装着状態を示す斜視図である。
【0010】
同図において、硬質の樹脂にて一体的に形成された雄コネクタ10は、帯板状の複数の雄ターミナル21を一定方向に配向して所定位置に保持する基部11と、雄ターミナル21の周囲を取り囲むようにして角形の筒状に形成された筒部12とから構成されている。
ターミナル保護カバー30は、軟質の樹脂にて形成されており、一面には脱着用のつまみ31が形成されている。ターミナル保護カバー30における上記雄コネクタ10との接続面(図示A矢印方向の面)側には、上記筒部12の開口部分における壁材が挿入されて緩嵌合可能な環状の溝部32が形成されている。当該溝部32より内側の部分は筒部12の内部スペースと略同一形状となるように突出して形成された検知凸部33となっており、当該検知凸部33には雄ターミナル21が挿入可能なターミナル検出孔34が形成されている。同ターミナル検出孔34は、筒部12内の雄ターミナル21の正規位置に対応して挿入方向と平行に形成されており、開口部分は図2に示すように左右幅及び上下幅が雄ターミナル21における許容屈曲範囲となるように大きめに形成してある。」

(5)引用文献5に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0024】
コネクタ20は、電線21を接続された2つの端子(図示せず)をコネクタハウジング22内に収容し、前面の端子嵌合部24に相手側コネクタや電装品のコネクタ嵌合部が嵌合される。コネクタハウジング22の上部には相手側コネクタや電装品のコネクタ嵌合部に係止されて嵌合状態をロックされるロックアーム26が設けられている。」

「【0027】
プラスチック樹脂製の保護カバー40は、コネクタ20のほぼ全体を包囲して収容する中空角柱形状であり、コネクタ被冠装着側にはコネクタ20のロックアーム保護リブ36に対応して二対の可撓アーム42,43が設けられている。可撓アーム42,43は保護カバー側壁44から片持ち式にコネクタ方向に延び、上方の可撓アーム42には互いに対向する係止突起46(図4、図6参照)が先端部内側に設けられている。
【0028】
対向する係止突起46の間隔W1は、対向するロックアーム保護リブ36の外幅W2よりもわずかに狭く設定されており、ロックアーム保護リブ36が係止突起46を乗り越えることにより係止され、コネクタ20への保護カバー40の被冠装着が完了する。そして、ロックアーム保護リブ36が係止突起46を乗り越え易いように、図6(a)に示すように、係止突起46は横断面が三角形状に形成され、コネクタ側及び反コネクタ側がテーパ面に形成されている。」

4.対比・判断
(1)本願発明1
本願発明1と引用発明とを対比する。
後者の「複数のピン」は、前者の「少なくとも1つのピン」に相当し、後者の「ポストアッセンブリ1」は、前者の「第1のハウジング」に相当する。
後者の「ハウジングアッセンブリ2」は、前者の「第2のハウジング」に相当する。
後者の「複数のピンを受け入れる受入部」は、前者の「少なくとも1つのピンの位置に対応するとともに少なくとも1つのピンを隙間嵌めで受け入れるために使用される少なくとも1つのピン受入孔」と、「少なくとも1つのピンの位置に対応するとともに少なくとも1つのピンを受け入れるために使用される少なくとも1つのピン受入部」である限りにおいて一致する。
後者の「ひっかかった状態とそのひっかかりを解除した状態とになる」ことは、前者の「ロック解除可能」であることに相当し、後者の「ストッパ穴7、8」は、ポストアッセンブリ1を一部であるガイドポスト3、4を掛止し、その掛止を解除可能すなわちロック解除可能な構造であるので、前者の「ロック解除可能な掛け金であって、第1のハウジングと掛止される掛け金」と、「ロック解除可能な、第1のハウジングとの間の掛止構造」である限りにおいて一致する。
後者の「プリント配線板用コネクタ」は、前者の「電気コネクタ」に相当する。
そうすると、両者は、一致点、相違点は、次のとおりである。
〔一致点〕
「少なくとも1つのピンが設けられた第1のハウジングと、
該第1のハウジングに着脱可能に組み合わされる第2のハウジングと、を備え、該第2のハウジングには、
前記少なくとも1つのピンの位置に対応するとともに前記少なくとも1つのピンを受け入れるために使用される少なくとも1つのピン受入部と、
ロック解除可能な、前記第1のハウジングとの間の掛止構造と、が設けられている、電気コネクタ。」
〔相違点1〕
第2のハウジングの「ピン受入部」に関して、本願発明1は、第1のハウジングの少なくとも1つのピンを「隙間嵌めで」受け入れる「受入孔」であるのに対して、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
〔相違点2〕
第2のハウジングの「ロック解除可能な、第1のハウジングとの間の掛止構造」に関して、本願発明1は、「第1のハウジングと掛止される掛け金」であるのに対して、引用発明は、ポストアッセンブリ1のガイドポスト3、4の凸部がひっかかるストッパ穴7、8である点。
〔相違点3〕
本願発明1は、「第1のハウジングにはロック部品が設けられ、第2のハウジングには、ロック部品に対応するロック部品受入部が設けられ、該ロック部品受入部は、ロック部品を受け入れるために使用されるが該ロック部品とロックされない」との構成を備えているのに対して、引用発明は、そのような構成を備えていない点。

事案に鑑み、相違点1及び3について、以下検討する。
〔相違点1について〕
引用文献1には、「本考案はプリント配線板用コネクタの改良に関するものである。」(上記3.(1)参照。)と記載されており、また、第2図から、ハウジングアッセンブリ2は、ポストアッセンブリ1のピンに対応した位置に配線が接続されていることを看取できる。
引用文献1の上記記載事項及び図示内容からみて、引用発明のポストアッセンブリ1とハウジングアッセンブリ2とは組み合わされてプリント配線板用コネクタを形成し、両アッセンブリの間で電気的導通をはかるものと認められ、ポストアッセンブリ1のピンと、ハウジングアッセンブリ2の当該ピンを受け入れる受入部との間で電気的に接続されるものと認められる。
そうすると、引用発明は、ハウジングアッセンブリ2のピンを受け入れる受入部において、ポストアッセンブリ1のピンと接触することを前提としているといえ、ハウジングアッセンブリ2のピンを受け入れる受入部を、ポストアッセンブリ1のピンを隙間嵌めで受け入れるようにすることは、阻害要因があるといえる。
また、引用文献3には、コネクタ100の端子収容孔121に端子金具110が隙間嵌めされることが記載され(上記3.(3)参照。)、引用文献4には、ターミナル保護カバー30に形成されたターミナル検出孔34の開口部分が、左右幅及び上下幅とも雄ターミナル21より大きめに形成されていること、すなわちターミナル検出孔34が雄ターミナル21を隙間嵌めで受け入れること、が記載されており(上記3.(4)参照。)、両文献の記載から隙間嵌めが本願出願前に周知の技術であることが示されるとしても、引用発明のような電気的に接続される箇所であるピンとピンの受入部との間に隙間嵌めを適用することは、記載も示唆もされていない。
さらに、引用文献2及び5にも、引用発明のような電気的に接続される箇所であるピンとピンの受入部との間に隙間嵌めを適用することは、記載も示唆もされていない。
よって、引用発明を相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
〔相違点3について〕
引用発明は、ポストアッセンブリ1のガイドポスト3、4の凸部が、ハウジングアッセンブリ2のストッパ穴7、8にひっかかることで、両アッセンブリは組み合わされるものであり、両アッセンブリが組み合わされた状態にあって、両アッセンブリの掛止あるいはロックに寄与しないロック部品とその受入部をさらに付加することは、引用文献1に記載も示唆もなく、動機付けはない。
また、引用文献2には、コネクタ端子保護キャップ30に、コネクタ20に取り付けるための一対の爪部材35、36と、コネクタ本体21に設けられているピン24に嵌合されるガイド孔37とが設けられることが記載され(上記3.(2)参照。)、引用文献5には、保護カバー40が、コネクタ20のロックアーム保護リブ36に係止する可撓アーム42、43を有するとともに、コネクタ20の相手側コネクタにロックされるロックアーム26を含むコネクタ20全体を包囲して収容することが記載されている(上記3.(5)参照。)。
しかしながら、引用文献2に記載されたコネクタ保護キャップ30とコネクタ20、及び、引用文献5の保護カバー40とコネクタ20とは、引用発明の2つのアッセンブリのように、組み合わされて電気的に接続されることを意図したものとは技術的に異なるものであることから、引用発明の2つのアッセンブリに、引用文献2に記載のコネクタ保護キャップ30とコネクタ20の構造に関する事項、及び、引用文献5に記載の保護カバー40とコネクタ20の構造に関する事項を適用する動機付けはないといえる。
さらに、引用文献3及び4には、引用発明のような電気的に接続されることを意図した2つのアッセンブリに、両アッセンブリの掛止あるいはロックに寄与しないロック部品とその受入部をさらに付加することは、記載も示唆もされていない。
よって、引用発明を相違点3に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

以上から、引用発明を、相違点1及び3に係る本願発明1の構成とすることは、引用文献2?5に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
また、他に引用発明を、相違点1及び3に係る本願発明1の構成としうる証拠もない。

そして、本願発明1は、相違点1及び3に係る構成により、「ピン受入孔12とピン32との間の状態は隙間嵌めになっている。すなわち、第2のハウジング11が第1のハウジング31に組み合わされた場合、ピン受入孔12およびピン32の間のサイズの差異のために、ピン受入孔12およびピン32の間の嵌め合いが極めて緩やかであり、このことで圧搾によって各ピン32が変形されないことを保証する。」(本願明細書の段落【0021】参照。)、「ロック部品受入部13はロック部品33とロックされないので、第2のハウジング11は第1のハウジング31に容易に組み合わされかつ第1のハウジング31から容易に外されることができ、ロック部品33はこの工程において破損されない。」(同じく段落【0028】を参照。)との作用効果を奏するものであり、当該作用効果は引用発明及び引用文献2?5に記載された事項から当業者が予測しうる範囲のものとはいえない。

したがって、相違点2について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2?5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本願発明2?8
本願発明2?8は、本願発明1の発明特定事項を全て含み減縮した発明であるので、本願発明1と同様の理由で、引用発明及び引用文献2?5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明1?8は、引用発明及び引用文献2?5に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-01-07 
出願番号 特願2017-116034(P2017-116034)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山田 由希子藤井 眞吾  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 平田 信勝
小関 峰夫
発明の名称 電気コネクタ  
代理人 青木 俊明  
代理人 川合 誠  
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