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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1358488
審判番号 不服2019-2776  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-28 
確定日 2020-01-09 
事件の表示 特願2017-113602「撮像装置、情報取得システム、情報検索サーバ、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月 2日出願公開、特開2017-200208〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、2011年(平成23年)2月7日(優先権主張2010年2月8日、日本国)を国際出願日とする出願である特願2011-552853号の一部を平成28年5月12日に新たな特許出願とした特願2016-95985号の一部を、更に平成29年6月8日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成30年 2月19日:手続補正
平成30年 3月28日:拒絶理由の通知
平成30年 6月 1日:手続補正・意見書
平成30年11月28日:拒絶査定
平成30年12月 4日:拒絶査定の謄本の送達
平成31年 2月28日:拒絶査定不服審判の請求
平成31年 2月28日:手続補正

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。
なお、平成30年6月1日付け手続補正においては、請求項22は補正されていない。

[査定の理由]
平成30年2月19日付け手続補正書でした補正(請求項22)は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第2 補正却下の決定
平成31年2月28日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成31年2月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成31年2月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正を含む補正である。

本件補正のうち、特許請求の範囲についてする補正は、
(補正前の請求項1?24)
「 【請求項1】
被写体を撮像する撮像部と、
前記被写体の画像データに基づいて前記被写体に関する情報を取得し、前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを表示部に表示する制御部と、
ユーザアクションに基づきホールド制御信号を前記制御部に出力するホールド制御部と、を備え、
前記表示部に表示される前記被写体に関する情報は、少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトを含み、
前記制御部は、前記ホールド制御信号を受信した場合、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記被写体の画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記ユーザアクションの完了後にも前記表示部に表示させる、
撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザアクションの時と前記ユーザアクションの完了後との間で、前記表示部に表示されている前記拡張現実の数が同じであるように、前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に表示する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部に対する前記被写体に関する情報の表示及び非表示を切り替え可能である請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被写体を撮像中において前記ホールド制御信号を受信した場合に、ホールドした前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に表示する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ホールド制御信号に基づいてホールドした前記被写体に関する情報と前記被写体の画像データとを他端末へ送信する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ホールド制御信号を受信した場合に、前記被写体に関する情報を得たい方向に撮像方向を向けていない状態において、ホールドさせた前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に表示する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記ホールド制御部は、前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とホールドするタイミングを検出する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記ホールド制御部は、前記撮像装置に対するモーション又は前記撮像装置のモーションによって出力される信号を検出し、前記ホールド制御信号を前記制御部に出力する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御部は、ホールドさせた前記被写体の画像データに対する新たな前記被写体に関する情報を送信可能である請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
ホールドした前記被写体の画像データに対応する前記被写体までの経路を案内するナビゲーション部を備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを記憶する記憶部を備える請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項12】
緯度経度情報を検出する緯度経度検出部と、
建造物を撮像している方位角を検出する方位角検出部と、
前記緯度経度情報における前記方位角の方向の緯度経度範囲に位置する建造物に関するAR情報を、当該緯度経度情報及び当該方位角により取得し、表示部に表示する制御部と、
前記AR情報を記憶部に記憶させるユーザアクションを検知すると、前記AR情報と前記建造物の画像データとを記憶部に記憶させるホールド制御信号を、前記制御部に対して出力するホールド制御部と、
を備え、
前記表示部に表示される前記AR情報は、少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトを含み、
前記制御部は、前記ホールド制御信号を受信した場合、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記ユーザアクションの完了後にも前記表示部に表示させる、
撮像装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記ホールド制御部から前記ホールド制御信号が入力されると、当該ホールド制御信号が入力された際に、前記画像データを撮像していた自身の位置の前記緯度経度情報及び前記方位角を、前記画像データを識別する画像識別情報を付加して前記記憶部に記憶させる請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記ホールド制御部から前記ホールド制御信号が入力されると、当該ホールド制御信号が入力された際に、前記表示部に表示していた前記画像データ及び当該画像データに対応する前記AR情報を、当該画像データを識別する画像識別情報を付加して前記記憶部に記憶させる請求項12記載の撮像装置。
【請求項15】
前記記憶部は、前記画像データ毎に
前記画像データを識別する画像識別情報、画像データ内の建造物を識別する建造物識別情報、当該建造物識別情報の示す建造物の建造物情報、当該画像識別情報に付加されたユーザIDとから構成されている
請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記記憶部から前記AR情報及び前記画像データを読み出して前記表示部に表示させる、
請求項12から請求項15のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記制御部は、撮像状態において付加された前記AR情報を情報検索システムへ送信する請求項12から請求項16のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項18】
撮像装置と情報検索システムとを備え、
前記撮像装置は、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の撮像装置である、
情報取得システム。
【請求項19】
建造物と前記建造物に関するAR情報とを対応させた建造物テーブルが記憶されたデータベースと、
前記AR情報を受信し、前記建造物の画像データと前記AR情報とを表示部に表示する制御部と、ユーザアクションに基づきホールド制御信号を前記制御部に出力するホールド制御部と、を備え、前記表示部に表示される前記AR情報は、少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトを含み、前記制御部は、前記ホールド制御信号を受信した場合、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記建造物の画像データと前記拡張現実のオブジェクトとを前記ユーザアクションの完了後にも前記表示部に表示させる、撮像装置から送信された前記撮像装置の位置の緯度経度情報と前記画像データを撮像している方位角とにより、当該緯度経度情報における当該方位角の方向の緯度経度範囲に位置する建造物に関する前記AR情報を前記建造物テーブルから読み出し、読み出した前記AR情報を前記撮像装置に送信する、
情報検索サーバ。
【請求項20】
前記建造物に対する新たな前記AR情報を前記データベースに書き込み可能である請求項19に記載の情報検索サーバ。
【請求項21】
少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトを含む被写体に関する情報を記憶するデータベースと、
前記被写体の画像データに基づいて前記被写体に関する情報を受信し、前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを表示部に表示させる制御部と、ユーザアクションに基づきホールド制御信号を前記制御部に出力するホールド制御部と、を備え、前記制御部は、前記ホールド制御信号を受信した場合、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記被写体の画像データと前記拡張現実のオブジェクトとを前記ユーザアクションの完了後にも前記表示部に表示させる、撮像装置から送信された前記被写体の画像データにより、前記被写体に関する情報を前記データベースから取得して前記被写体に関する情報を前記撮像装置に送信する、
情報検索サーバ。
【請求項22】
表示部と、
被写体を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した前記被写体の画像データに基づいて前記被写体に関する情報を取得して、前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に表示する制御部と、
前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部にホールドするホールド制御信号を前記制御部に出力するホールド制御部と、
を備える撮像装置。
【請求項23】
撮像装置の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、
被写体の画像データを入力するステップと、
前記被写体の画像データに基づいて、少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトを含む前記被写体に関する情報を取得するステップと、
前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを表示部に表示するステップと、
ユーザアクションに基づき前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とをホールドするホールド制御信号を制御部に出力するステップと、
前記ホールド制御信号を受信した場合、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記被写体の画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記ユーザアクションの完了後にも前記表示部に表示させるステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項24】
撮像装置の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、
緯度経度情報を入力するステップと、
建造物を撮像している方位角を入力するステップと、
前記緯度経度情報における前記方位角の方向の緯度経度範囲に位置する建造物に関するAR情報を、当該緯度経度情報及び当該方位角により取得し、表示部に表示するステップと、
前記AR情報を記憶部に記憶させるユーザアクションを検知すると、前記AR情報と前記建造物の画像データとを前記記憶部に記憶させるホールド制御信号を、制御部に対して出力するステップと、
前記ホールド制御信号を受信した場合、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記画像データと少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記ユーザアクションの完了後にも前記表示部に表示させるステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。」

を、次のとおり補正後の請求項1?23に補正するものである(下線は補正箇所である。)。

(補正後の請求項1?23)
「 【請求項1】
被写体を撮像する撮像部と、
前記被写体の画像データに基づいて前記被写体に関する情報を取得し、前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを表示部に表示する制御部と、
前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に表示中におけるユーザアクションに基づきホールド制御信号を前記制御部に出力するホールド制御部と、を備え、
前記表示部に表示される前記被写体に関する情報は、少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトを含み、
前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記被写体の画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部によりホールドさせるとともに前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記被写体の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる信号である、
撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザアクションの時と前記ユーザアクションの完了後との間で、前記表示部に表示されている前記拡張現実の数が同じであるように、前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に表示する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部に対する前記被写体に関する情報の表示及び非表示を切り替え可能である請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記被写体を撮像中において前記ホールド制御信号を受信した場合に、前記ホールドした前記被写体の画像データと前記ホールドした前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記表示部に表示する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ホールド制御信号に基づいて前記ホールドした前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトと前記ホールドした前記被写体の画像データとを他端末へ送信する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ホールド制御信号を受信した場合に、前記被写体に関する情報を得たい方向に撮像方向を向けていない状態において、前記ホールドさせた前記被写体の画像データと前記ホールドさせた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記表示部に表示する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記ホールド制御部は、前記被写体の画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとホールドするタイミングを検出する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記ホールド制御部は、前記撮像装置に対するモーション又は前記撮像装置のモーションによって出力される信号を検出し、前記ホールド制御信号を前記制御部に出力する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記ホールドさせた前記被写体の画像データに対する新たな前記被写体に関する情報を送信可能である請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記ホールドした前記被写体の画像データに対応する前記被写体までの経路を案内するナビゲーション部を備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを記憶する記憶部を備える請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項12】
緯度経度情報を検出する緯度経度検出部と、
建造物を撮像している方位角を検出する方位角検出部と、
前記緯度経度情報における前記方位角の方向の緯度経度範囲に位置する建造物に関するAR情報を、当該緯度経度情報及び当該方位角により取得し、表示部に表示する制御部と、
前記AR情報を記憶部に記憶させるユーザアクションを検知すると、前記AR情報と前記建造物の画像データとを記憶部に記憶させるホールド制御信号を、前記制御部に対して出力するホールド制御部と、
を備え、
前記表示部に表示される前記AR情報は、少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトを含み、
前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションを検知すると、前記AR情報と前記建造物の画像データとを前記記憶部に記憶させ、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記建造物の画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部によりホールドさせるとともに前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記建造物の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる信号である、
撮像装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記ホールド制御部から前記ホールド制御信号が入力されると、当該ホールド制御信号が入力された際に、前記画像データを撮像していた自身の位置の前記緯度経度情報及び前記方位角を、前記画像データを識別する画像識別情報を付加して前記記憶部に記憶させる請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記ホールド制御部から前記ホールド制御信号が入力されると、当該ホールド制御信号が入力された際に、前記表示部に表示していた前記画像データ及び当該画像データに対応する前記AR情報を、当該画像データを識別する画像識別情報を付加して前記記憶部に記憶させる請求項12記載の撮像装置。
【請求項15】
前記記憶部は、前記画像データ毎に
前記画像データを識別する画像識別情報、前記画像データ内の建造物を識別する建造物識別情報、当該建造物識別情報の示す建造物の建造物情報、当該画像識別情報に付加されたユーザIDとから構成されている
請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記記憶部から前記AR情報及び前記画像データを読み出して前記表示部に表示させる、
請求項12から請求項15のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記制御部は、撮像状態において付加された前記AR情報を情報検索システムへ送信する請求項12から請求項16のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項18】
撮像装置と情報検索システムとを備え、
前記撮像装置は、請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の撮像装置である、
情報取得システム。
【請求項19】
建造物と前記建造物に関する少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトを含むAR情報とを対応させた建造物テーブルが記憶されたデータベースを備え、
前記AR情報を受信し、前記建造物の画像データと前記AR情報とを表示部に表示する制御部と、ユーザアクションに基づきホールド制御信号を前記制御部に出力するホールド制御部と、を備える、撮像装置から送信された前記撮像装置の位置の緯度経度情報と前記画像データを撮像している方位角とにより、当該緯度経度情報における当該方位角の方向の緯度経度範囲に位置する建造物に関する前記AR情報を前記建造物テーブルから読み出し、読み出した前記AR情報を前記撮像装置に送信し、
前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションを検知すると、前記AR情報と前記建造物の画像データとを前記データベースに記憶させ、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記建造物の画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部によりホールドさせるとともに前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記建造物の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる信号である、
情報検索サーバ。
【請求項20】
前記建造物に対する新たな前記AR情報を前記データベースに書き込み可能である請求項19に記載の情報検索サーバ。
【請求項21】
少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトを含む被写体に関する情報を記憶するデータベースを備え、
前記被写体の画像データに基づいて前記被写体に関する情報を受信し、前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを表示部に表示させる制御部と、前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に表示中におけるユーザアクションに基づきホールド制御信号を前記制御部に出力するホールド制御部と、を備える、撮像装置から送信された前記被写体の画像データにより、前記被写体に関する情報を前記データベースから取得して前記被写体に関する情報を前記撮像装置に送信し、
前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記被写体の画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部によりホールドさせるとともに前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記被写体の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる信号である、
情報検索サーバ。
【請求項22】
撮像装置の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、
被写体の画像データを入力するステップと、
前記被写体の画像データに基づいて前記被写体に関する情報を取得するステップと、
前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを表示部に表示するステップと、
前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に表示中におけるユーザアクションに基づきホールド制御信号を制御部に出力するステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記表示部に表示される前記被写体に関する情報は、少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトを含み、
前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記被写体の画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部によりホールドさせるとともに前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記被写体の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる信号である、
プログラム。
【請求項23】
撮像装置の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、
緯度経度情報を入力するステップと、
建造物を撮像している方位角を入力するステップと、
前記緯度経度情報における前記方位角の方向の緯度経度範囲に位置する建造物に関するAR情報を、当該緯度経度情報及び当該方位角により取得し、表示部に表示するステップと、
前記AR情報を記憶部に記憶させるユーザアクションを検知すると、前記AR情報と前記建造物の画像データとを前記記憶部に記憶させるホールド制御信号を、制御部に対して出力するステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションを検知すると、前記AR情報と前記建造物の画像データとを前記記憶部に記憶させ、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記建造物の画像データと前記AR情報とを前記制御部によりホールドさせるとともに前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記建造物の画像データと前記ホールドされた前記AR情報とを前記制御部により前記表示部に表示させる信号である、
プログラム。 」

2 新規事項
(1)補正後の請求項1における「前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記被写体の画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部によりホールドさせるとともに前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記被写体の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる信号である」ことは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」ともいう。また、以下、願書に最初に添付した明細書を「当初明細書」ともいう。)に記載された事項の範囲内においてされたものとは認められない。
詳細は、以下のとおりである。

(2)補正後の請求項1を分説すると次のとおりである。以下各構成要件を「構成要件A」?「構成要件F」という。

「 【請求項1】
(A)被写体を撮像する撮像部と、
(B)前記被写体の画像データに基づいて前記被写体に関する情報を取得し、前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを表示部に表示する制御部と、
(C)前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に表示中におけるユーザアクションに基づきホールド制御信号を前記制御部に出力するホールド制御部と、を備え、
(D)前記表示部に表示される前記被写体に関する情報は、少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトを含み、
(E)前記ホールド制御信号とは、
(E-1)前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記被写体の画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部によりホールドさせるとともに
(E-2)前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記被写体の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる
(E)信号である、
(F)撮像装置。」

(3)請求人は、請求項1の補正の根拠として、当初明細書の段落【0071】?【0078】の記載等を挙げる(審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」の「(A)補正の根拠の明示」「(A-1):請求項1について」)。

(4)当初明細書の段落【0071】?【0078】及び【0079】の記載は次のとおりである。

「【0071】
これにより、制御部11は、デジタルカメラ1の緯度経度情報に基づく座標値に対し、AR情報に含まれる緯度経度情報の示す緯度経度情報に基づく座標値に合わせ、画像データ(スルー画像)にこのAR情報のタグ(拡張現実のオブジェクト)の画像を重ね合わせて合成し、表示部17に図10に示す状態にて表示する。
また、制御部11は、ホールド制御部31からホールド制御信号を受信すると、ホールドされた際の緯度経度情報、方位情報及び画角情報と、AR情報取得要求にて情報検索システム2から送信されるAR情報及びこのAR情報の建造物を識別する建造物識別情報とを、ホールドした際の画像データの画像識別情報毎に、AR情報記憶部30に対して記録する処理を行う。
【0072】
図11は、図9におけるAR情報記憶部30に記憶されるAR情報テーブルの構成を示す図である。AR情報テーブルは、画像識別情報毎にAR情報記憶部30に記憶されている。
制御部11は、上述したように画像識別情報毎に生成され、建造物識別情報(建造物のAR情報が記憶されている場所を示すURL)と、この建造物のAR情報(緯度経度情報を含む)と、ホールド制御信号が入力されてホールドされた際のデジタルカメラ1自身の緯度経度情報、方位情報及び画角情報とを、AR情報記憶部30に対してAR情報テーブルとして書き込み記憶する。
また、制御部11は、ホールド制御信号が入力されると、その時点において撮像部13の撮像素子に結像されている画像データを、この画像データに付与した画像識別情報に対応させて記憶部15に書き込んで記憶させる。
【0073】
ここで、AR情報のホールドを指示するための入力のアクションとして、ホールド制御部31は、例えば、デジタルカメラ1の筐体に設けられたAR情報取得ボタンARB1が押下によるスイッチからの信号を検出する検出手段、あるいは表示部17に表示されたAR情報取得を示すアイコン(AR情報取得アイコンARI1)がタッチされたことをタッチセンサが検出する検出手段、などを有している。
そして、ホールド制御部31は、AR情報取得ボタンが押下された場合、あるいはAR情報取得を示すアイコンがタッチされた場合、画像データとAR情報とを記録する信号が入力されたことを検出し、制御部1に対してホールド制御を行うホールド制御信号を出力する。このように、ホールド制御部31は、ユーザのデジタルカメラ1に対するモーション(アクション、操作、動作)によって、画像データとAR情報とを記録する信号が入力されたことを検出し、制御部1に対してホールド制御を行うホールド制御信号を出力する。
【0074】
また、ホールド制御部31は、例えば、AR情報をホールドするアクションとして、加速度センサにより急激にデジタルカメラ1が移動(画面を見やすいようにデジタルカメラ1を下に向けた、振ったなどの動作)させられたことを検出して、この検出タイミングをホールドのタイミングとするように構成しても良い。
上記加速度センサを用いた加速度検出において、ホールド制御部31は、予め設定された閾値以上の加速度データが加速度センサから供給されると、ホールド指示の制御信号として、ホールド制御信号を制御部11に対して出力する。このように、ホールド制御部31は、端末(例、デジタルカメラ1)のモーションによって、画像データとAR情報とを記録する信号が入力されたことを検出し、制御部1に対してホールド制御を行うホールド制御信号を出力する。
【0075】
また、ホールド制御部31は、例えば、AR情報をホールドするアクションとして、画像の特徴点を検出してこの特徴点が予め設定した距離を、予め設定した検出範囲の時間内に移動したことにより検出したりあるいは、撮像素子の出力する画像データのコントラストが予め設定した差分を超えて変化したことにより、画像データにおける画像パターンの変化を検出して、この検出タイミングをホールドのタイミングとするように構成しても良い。
上記画像パターンの変化の検出において、ホールド制御部31は、予め設定された閾値以上の画像パターンの変化を検出すると、ホールド制御を行う制御信号として、ホールド制御信号を制御部11に対して出力する。
【0076】
また、ホールド制御部31は、例えば、AR情報をホールドするアクションとして、仰角センサを用いて急激にデジタルカメラ1の角度が変化(画面を見やすいように下に向けた、振ったなどの動作により移動)させられたことを検出して、この検出タイミングをホールドのタイミングとするように構成しても良い。
上記仰角センサを用いた仰角情報の検出において、ホールド制御部31は、予め設定された閾値以上の仰角変化が仰角センサから供給されると、ホールド制御を行う制御信号として、ホールド制御信号を制御部11に対して出力する。このように、ホールド制御部31は、端末(例、デジタルカメラ1)のモーションによって、画像データとAR情報とを記録する信号が入力されたことを検出し、制御部11に対してホールド制御を行うホールド制御信号を出力する。
【0077】
また、制御部11は、上述した加速度センサ、画像パターンの変化及び仰角センサを用いたホールドを指示するアクションの場合、ホールド制御信号を受信した際の画像データに対応するAR情報を取得するため、AR情報取得要求毎に得られる画像データ及びこの画像データに対応する建造物識別情報と、この建造物のAR情報、緯度経度情報、方位情報及び画角情報とを、所定の時間内、例えば1秒間、AR情報記憶部30のバッファ部に記憶させる必要がある。
このため、制御部11は、AR情報取得要求に対応した、画像データ及びこの画像データに対応する建造物識別情報と、この建造物のAR情報、緯度経度情報、方位情報及び画角情報とを、所定の時間内、例えば1秒間、AR情報記憶部30のバッファ部に書き込み記憶させる(キャッシュする)。
【0078】
そして、制御部11は、ホールド制御信号が入力されると、ホールド制御信号を受信する直前、あるいは予め設定している時間前のAR情報取得要求の際に、情報検索システム2から得られてバッファ部に記憶されている、画像識別情報に対応したAR情報取得要求毎に得られる画像データ及びこの画像データに対応する建造物識別情報と、この建造物のAR情報、緯度経度情報、方位情報及び画角情報とを、AR情報記憶部30に対し、時刻情報を付加したAR情報テーブルとして書き込んで記憶する。
また、制御部11は、画像データを記憶部15に、この画像識別情報とともに書き込んで記憶させる。
また、制御部11及びホールド制御部31は、AR表示を非表示とする非表示モードに設定されていても、AR情報の取得あるいはAR情報のホールド処理を行うように構成しても良い。」

「【0079】
上述した処理により、制御部11は、ホールドさせた画像のAR情報を表示する場合に、デジタルカメラ1の筐体に設けられているAR表示確認のボタン(AR切り替えボタンARB2)の押下に基づく指示信号、あるいは表示部17に表示されているAR表示確認のアイコン(AR切り替えボタンARI2)のタッチに基づく指示信号により、AR情報記憶部30に記憶されているAR情報テーブルからの時刻情報と内部の時計の時刻とを比較し、AR情報記憶部15から最新の時刻のAR情報テーブルを選択して読み出し、情報検索システム2から送信された際と同様に、表示部17に画像データをAR情報のタグとともに表示する。なお、制御部11は、上記最新の時刻のAR情報テーブルを定期的に情報検索サーバ21から取得してもよいし、上記最新の時刻のAR情報テーブルを上記指示信号に基づき情報検索サーバ21から取得してもよい。また、制御部11は、AR情報取得モードの場合、ホールドさせた時のホールド制御信号を受信することによって、ホールドさせた画像のAR情報を表示させるようにしてもよい。」

(5)当初明細書の段落【0073】?【0078】には、ホールド制御部31は、「アクション」を検出してAR情報をホールドする「ホールド制御信号」を出力することが記載されている。
そして、当初明細書の段落【0071】には、「制御部11は、ホールド制御部31からホールド制御信号を受信すると、ホールドされた際の緯度経度情報、方位情報及び画角情報と、AR情報取得要求にて情報検索システム2から送信されるAR情報及びこのAR情報の建造物を識別する建造物識別情報とを、ホールドした際の画像データの画像識別情報毎に、AR情報記憶部30に対して記録する処理を行う」こと、及び当初明細書の段落【0072】には、「制御部11は、ホールド制御信号が入力されると、その時点において撮像部13の撮像素子に結像されている画像データを、この画像データに付与した画像識別情報に対応させて記憶部15に書き込んで記憶させる」ことが記載されている。
当初明細書の段落【0071】及び【0072】の当該記載によれば、当初明細書は、構成要件E及びE-1、すなわち、「前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションの時に前記表示部に表示されている前記被写体の画像データと前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部によりホールドさせる信号」であることを開示しているといえる。
しかしながら、構成要件E及びE-2、すなわち「前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記被写体の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる信号」であることは、当初明細書の段落【0071】?【0078】には記載されているとはいえない。

(6)当初明細書の段落【0079】には、制御部11は、指示信号により、ホールドさせた画像のAR情報を表示することが記載されている。
ここで、当初明細書の段落【0079】の「また、制御部11は、AR情報取得モードの場合、ホールドさせた時のホールド制御信号を受信することによって、ホールドさせた画像のAR情報を表示させるようにしてもよい。」の記載は、ホールドさせた画像のAR情報を表示させることをいえるものの、ホールドさせた画像とホールドさせた画像のAR情報を表示させることとはいえない。
さらに、当初明細書の段落【0079】の「ホールドさせた時のホールド制御信号」の「ホールドさせた時」は、過去にホールドした時のことを意味していると認められ、当初明細書の段落【0079】の「ホールドさせた時のホールド制御信号を受信することによって」は、「ホールドさせた時のホールド制御信号」を受信するタイミングは明確でないものの、「前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも」というタイミングを意味しているものとはいえない。
したがって、構成要件E及びE-2すなわち「前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記被写体の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる信号」であることは、当初明細書の段落【0079】にも記載されていない。

(7)当初明細書の段落【0071】?【0079】以外の当初明細書等をみても、構成要件E及びE-2すなわち「前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記被写体の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる信号」であることが記載されているとは認められない。

そして、「前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記被写体の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる信号」であることが、当初明細書等から自明であるとは認められない。

(8)よって、本件補正により追加された「前記ホールド制御信号とは、前記ユーザアクションに基づいて前記ホールド制御信号が出力された後にも前記ホールドされた前記被写体の画像データと前記ホールドされた前記少なくとも1つの拡張現実のオブジェクトとを前記制御部により前記表示部に表示させる信号」であること(構成E及びE-2)は、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反している。

3 まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成31年2月28日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?24に係る発明は、平成30年6月1日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?24に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項22に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
当該請求項22は、平成30年6月1日付け手続補正により補正がなされておらず、平成30年2月19日付け手続補正による請求項22と同じである。
そして、平成30年2月19日付け手続補正は、平成30年3月28日付け拒絶理由において、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないとされ、上記第1の2のとおり平成30年11月28日付けで拒絶査定されたものである。

(本願発明)
「表示部と、
被写体を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した前記被写体の画像データに基づいて前記被写体に関する情報を取得して、前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に表示する制御部と、
前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部にホールドするホールド制御信号を前記制御部に出力するホールド制御部と、
を備える撮像装置。」

なお、下線は、平成30年2月19日付け手続補正により補正された箇所である。

2 新規事項
(1)「ホールド」に関し、当初明細書の段落【0064】には、次の記載がある。

「ホールド制御部31は、AR情報のホールドを要求するアクションを検出する。換言すると、ホールド制御部31は、撮像部13がCCD等の素子に結像して表示部17に表示されている画像データと、この画像データ内にある(画像の画角内にある)AR情報とをAR情報記憶部30に記憶させるホールドのタイミングを検出する。なお、AR情報記憶部30は、情報検索システム2に設ける構成としてもよい。」

また、当初明細書等の図9は次のとおりである。
「【図9】



(2)当該記載から、「ホールド」とは、表示部に表示されている画像データと、この画像データ内にある(画像の画角内にある)AR情報とをAR情報記憶部に記憶させることを意味していると解される。ここで、AR情報記憶部は、表示部とは異なる構成である(図9参照)。
一方、「前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部にホールドする」ことは、当初明細書等には記載されていない。
当初明細書の段落【0064】の記載を参酌すると、「前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部にホールドする」ことは、「前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に」記憶することと解される。

そこで、「前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に」記憶することが、当初明細書等に記載されているか検討するに、「前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部に」記憶することが、当初明細書等に記載されているとは認められない。

(3)請求人は、平成30年6月1日付け意見書の3.(1)において、「例えば、段落【0076】には、ホールド制御部31が、端末のモーションによって画像データとAR情報とを記録する信号が入力されたことを検出し、制御部11に対してホールド制御を行うホールド制御信号を出力することについて記載されています。また、段落【0076】に記載された「画像データとAR情報とを記録する信号」は、例えば、VRAM(Video Random Access Memory)に画像データとAR情報とを記録させる信号を含みます。そして、この場合、ホールド制御信号は、VRAMに記憶された画像データとAR情報とが表示された表示部17に、当該画像データとAR情報とを表示させたまま保持させる信号です。ホールド制御信号がこのように解釈されることは、本願の出願当初の明細書における「ホールド」又は「ホールドする」と記載された全ての箇所(例えば、段落【0075】、段落【0079】等)を矛盾なく説明できることからも自明であると思料します。」と主張している。
しかしながら、VRAMは、一般に表示部に表示するためのデータを記憶するものであって、ホールド制御信号により、VRAMに記憶された画像データとAR情報とを表示させたまま保持させるものではない。また、ホールド制御信号により、VRAMに記憶された画像データとAR情報とを表示させたまま保持させることは、当初明細書の段落【0076】には記載されておらず、当初明細書の段落【0076】以外の当初明細書等にも記載されていない。
また、ホールド制御信号により、VRAMに記憶された画像データとAR情報とを表示させたまま保持させることが自明のこととも認めらない。
したがって、請求人の主張は採用できない。

(4)よって、平成30年2月19日付け手続補正により追加され、平成30年6月1日付け手続補正よりそのまま補正されなかった請求項22における「前記被写体の画像データと前記被写体に関する情報とを前記表示部にホールドするホールド制御信号」は、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

したがって、平成30年6月1日付け手続補正及び平成30年2月19日付け手続補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反している。

3 むすび
以上のとおり、本願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないため、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-08 
結審通知日 2019-11-12 
審決日 2019-11-25 
出願番号 特願2017-113602(P2017-113602)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (H04N)
P 1 8・ 55- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤原 敬利  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 小池 正彦
渡辺 努
発明の名称 撮像装置、情報取得システム、情報検索サーバ、及びプログラム  
代理人 小林 淳一  
代理人 西澤 和純  
代理人 大浪 一徳  

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