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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1358490
審判番号 不服2019-5477  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-24 
確定日 2020-01-09 
事件の表示 特願2016-202448号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年4月19日出願公開、特開2018-61745号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成28年10月14日の出願であって、平成30年8月16日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月24日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年1月30日付けで拒絶査定(謄本の送達日:同年2月5日。以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年4月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成31年4月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成31年4月24日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、平成30年10月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
変動表示を行ない、遊技者に所定の価値を付与する有利状態に制御可能な遊技機であって、
未だ開始されていない変動表示に関する情報を保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
未だ開始されていない変動表示について前記有利状態に制御されるか否かを判定する先読み判定手段と、
前記有利状態において、付与する価値を段階的に報知する付与価値報知を実行可能な付与価値報知実行手段と、
遊技者による動作を検出可能な動作検出手段とを備え、
前記付与価値報知実行手段は、
前記付与価値報知において、前記動作検出手段による検出結果に基づいて、前記有利状態の終了後に前記有利状態に制御されることを報知する先読み報知と、遊技者が獲得可能な遊技媒体の数に関する報知である獲得報知との少なくとも一方を実行可能であって、
前記動作検出手段により検出される回数が多いときの方が少ないときよりも前記先読み報知を実行しやすい、遊技機。」は、

平成31年4月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
変動表示を行ない、遊技者に所定の価値を付与する有利状態に制御可能な遊技機であって、
未だ開始されていない変動表示に関する情報を保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
未だ開始されていない変動表示について前記有利状態に制御されるか否かを判定する先読み判定手段と、
前記有利状態において、付与する価値を段階的に報知する付与価値報知を実行可能な付与価値報知実行手段と、
遊技者による動作を検出可能な動作検出手段と、を備え、
前記付与価値報知実行手段は、
前記付与価値報知において、前記動作検出手段による検出結果に基づいて、前記有利状態の終了後に前記有利状態に制御されることを報知する先読み報知と、遊技者が獲得可能な遊技媒体の数に関する報知である獲得報知との少なくとも一方を実行可能であって、
前記動作検出手段により検出される回数が多いときの方が少ないときよりも前記先読み報知を実行しやすく、
前記有利状態に制御される保留記憶情報の数に応じて異なる割合で選択される複数種類の報知態様のいずれかの報知態様で先読み報知を実行する、遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した)。

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「付与価値報知実行手段」について、「有利状態に制御される保留記憶情報の数に応じて異なる割合で選択される複数種類の報知態様のいずれかの報知態様で先読み報知を実行する」ものに限定することを含むものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0286】?【0287】、【0319】?【0322】、【0333】及び図23等の記載からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記「1 補正の内容」において示した次のとおりのものである(記号A?F3は、分説するため当審にて付した)。

「A 変動表示を行ない、遊技者に所定の価値を付与する有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始されていない変動表示に関する情報を保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
C 未だ開始されていない変動表示について前記有利状態に制御されるか否かを判定する先読み判定手段と、
D 前記有利状態において、付与する価値を段階的に報知する付与価値報知を実行可能な付与価値報知実行手段と、
E 遊技者による動作を検出可能な動作検出手段と、を備え、
F 前記付与価値報知実行手段は、
F1 前記付与価値報知において、前記動作検出手段による検出結果に基づいて、前記有利状態の終了後に前記有利状態に制御されることを報知する先読み報知と、遊技者が獲得可能な遊技媒体の数に関する報知である獲得報知との少なくとも一方を実行可能であって、
F2 前記動作検出手段により検出される回数が多いときの方が少ないときよりも前記先読み報知を実行しやすく、
F3 前記有利状態に制御される保留記憶情報の数に応じて異なる割合で選択される複数種類の報知態様のいずれかの報知態様で先読み報知を実行する、遊技機。」

(2)引用文献1に記載された事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2015-33489号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した)。

ア 「【0001】
本発明は、始動領域への遊技球の進入により大役抽選が行われる遊技機に関する。・・・
【0007】
本発明は、短期間のうちに2回の大当たりに当選する場合の演出効果を向上し、遊技の興趣を向上することができる遊技機の提供を目的とする。」

イ 「【0023】
さらに、遊技領域116には、遊技球が入球可能な第1大入賞口126および第2大入賞口128が設けられている。この第1大入賞口126および第2大入賞口128には、それぞれ開閉扉126b、128bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉126b、128bが第1大入賞口126および第2大入賞口128を閉鎖して、第1大入賞口126および第2大入賞口128への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の大役遊技が実行されると、開閉扉126b、128bが開放されて、第1大入賞口126または第2大入賞口128への遊技球の入球が可能となる。そして、第1大入賞口126または第2大入賞口128に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。」

ウ 「【0027】
そして、遊技盤108には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、演出表示装置200、可動装置からなる演出役物装置202、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置204、スピーカからなる音声出力装置206、遊技者の操作を受け付ける演出操作装置208、第1大入賞口126に入球した遊技球を用いて演出を行うための排出球貯留装置210が設けられている。
【0028】
演出表示装置200は、画像を表示する例えば液晶表示部等の演出表示部200aを備えており、この演出表示部200aを、遊技盤108の略中央部分において、遊技機100の正面側から視認可能に配置している。この演出表示部200aには、図示のように演出図柄230a、230b、230cが変動表示され、これら各演出図柄230a、230b、230cの停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。」

エ 「【0040】
主制御基板300は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板300は、メインCPU300a、メインROM300b、メインRAM300cを備えている。・・・」

オ 「【0051】
副制御基板330は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この副制御基板330は、サブCPU330a、サブROM330b、サブRAM330cを備えており、主制御基板300に対して、当該主制御基板300から副制御基板330への一方向に通信可能に接続されている。・・・」

カ 「【0053】
電飾制御基板350は、副制御基板330から送信されたコマンドに基づいて、音声出力装置206から音声を出力させる音声出力制御を行う。また、電飾制御基板350は、副制御基板330から送信されるコマンドに基づいて、演出役物装置202を可動したり演出照明装置204を点灯制御したりする。さらには、演出操作装置208が押下操作されたことを検出する演出操作装置検出スイッチ208sから操作検出信号が入力された際に、所定のコマンドを副制御基板330に送信する。また、電飾制御基板350は、副制御基板330からの指令を受けて、排出球貯留ソレノイド216cの通電制御を行う。」

キ 「【0059】
遊技者が操作ハンドル112を操作して遊技領域116に遊技球を発射させるとともに、遊技領域116を流下する遊技球が第1始動口120または第2始動口122に入球すると、遊技者に遊技利益を付与するか否かの抽選(以下、「大役抽選」という)が行われる。この大役抽選において、大当たりに当選すると、第1大入賞口126または第2大入賞口128が開放され、当該第1大入賞口126または第2大入賞口128への遊技球の入球が可能となる大役遊技が実行されるとともに、当該大役遊技の終了後の遊技状態が、上記のいずれかの遊技状態に設定される。以下では、大役抽選方法について説明する。
【0060】
なお、詳しくは後述するが、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、大役抽選に係る種々の乱数値(大当たり決定乱数、当たり図柄乱数、リーチグループ決定乱数、リーチモード決定乱数、変動パターン乱数)が取得されるとともに、これら各乱数値がメインRAM300cの特図保留記憶領域に記憶される。以下では、第1始動口120に遊技球が入球して特図保留記憶領域に記憶された種々の乱数を総称して特1保留とよび、第2始動口122に遊技球が入球して特図保留記憶領域に記憶された種々の乱数を総称して特2保留とよぶ。
【0061】
メインRAM300cの特図保留記憶領域は、第1特図保留記憶領域と第2特図保留記憶領域とを備えている。第1特図保留記憶領域および第2特図保留記憶領域は、それぞれ4つの記憶部(第1?第4記憶部)を有している。そして、第1始動口120に遊技球が入球すると、特1保留を第1特図保留記憶領域の第1記憶部から順に記憶し、第2始動口122に遊技球が入球すると、特2保留を第2特図保留記憶領域の第1記憶部から順に記憶する。」

ク 「【0209】
図25は、主制御基板300における取得時演出判定処理(ステップS536)を説明するフローチャートである。
【0210】
(ステップS536-1)
メインCPU300aは、現在の遊技状態が時短遊技状態であるかを判定する。その結果、時短遊技状態であると判定した場合にはステップS536-3に処理を移し、時短遊技状態ではないと判定した場合には当該取得時演出判定処理を終了する。
【0211】
(ステップS536-3)
メインCPU300aは、セットされた特別図柄識別値が「01H」であるか、すなわち、新たに対象記憶部に記憶された保留は特2保留であるかを判定する。その結果、特別図柄識別値が「01H」である(特2保留が記憶された)と判定した場合にはステップS536-5に処理を移し、特別図柄識別値は「01H」ではない(特1保留が記憶された)と判定した場合には当該取得時演出判定処理を終了する。
【0212】
(ステップS536-5)
メインCPU300aは、低確率遊技状態であるか高確率遊技状態であるかを識別する確率状態識別カウンタのカウンタ値、すなわち、現在、低確率遊技状態であるか高確率遊技状態であるかを確認する。
【0213】
(ステップS536-7)
メインCPU300aは、確率状態識別カウンタのカウンタ値に基づいて、対応する大当たり決定乱数判定テーブルを選択する。具体的には、確率状態識別カウンタのカウンタ値が、低確率遊技状態を示す値であれば、低確時大当たり決定乱数判定テーブル(図6(a)参照)を選択し、高確率遊技状態を示す値であれば、高確時大当たり決定乱数判定テーブル(図6(b)参照)を選択する。そして、選択したテーブルと、上記ステップS535-13で対象記憶部に記憶した大当たり決定乱数とに基づいて、大当たりまたはハズレのいずれかを仮判定する特別図柄当たり仮判定処理を行う。・・・
【0224】
上記ステップS536-5?上記ステップS536-27の処理によれば、遊技状態が時短遊技状態に設定されている場合には、新たに記憶された特2保留について、当該特2保留が読み出された際に大当たりに当選するか否かが、当該特2保留の記憶時点で判定される。・・・」

ケ 「【0234】
図28は、主制御基板300における特別図柄変動待ち処理を説明するフローチャートである。この特別図柄変動待ち処理は、特別遊技管理フェーズが「00H」であった場合に実行される。・・・
【0238】
(ステップS610-7)
メインCPU300aは、第2特図保留記憶領域の第1記憶部?第4記憶部に記憶されている特2保留、または、第1特図保留記憶領域の第1記憶部?第4記憶部に記憶されている特1保留を、1つ序数の小さい記憶部にブロック転送する。具体的には、上記ステップS610-1において、特別図柄2保留球数が「1」以上であると判定した場合には、第2特図保留記憶領域の第2記憶部?第4記憶部に記憶されている特2保留を、第1記憶部?第3記憶部に転送する。また、メインRAM300cには、処理対象となる第0記憶部が設けられており、第1記憶部に記憶されている特2保留を、第0記憶部にブロック転送する。また、上記ステップS610-3において、特別図柄1保留球数が「1」以上であると判定した場合には、第1特図保留記憶領域の第2記憶部?第4記憶部に記憶されている特1保留を、第1記憶部?第3記憶部に転送するとともに、第1記憶部に記憶されている特1保留を、第0記憶部にブロック転送する。・・・
【0239】
(ステップS610-9)
メインCPU300aは、第0記憶部に転送された大当たり決定乱数、保留種別、高確率遊技状態であるか低確率遊技状態であるかを識別する特別図柄確率状態フラグをロードし、対応する大当たり決定乱数判定テーブルを選択して大役抽選を行い、その抽選結果を記憶する特別図柄当たり判定処理を実行する。・・・」

コ 「【0423】
図51の(1)で示す低確率遊技状態および非時短遊技状態において大当たりに当選し、大役遊技の終了後、遊技状態が高確率遊技状態および時短遊技状態に設定される場合には、図中(3)で示す大役遊技中に、演出モード選択演出が実行される。この演出モード選択演出は、低確率遊技状態および非時短遊技状態から、高確率遊技状態および時短遊技状態に移行する際に必ず実行されるものであり、遊技者が演出操作装置208を操作することで、第1演出モードおよび第2演出モードのいずれかを選択可能となっている。・・・
【0430】
詳しくは後述するが、本実施形態では、第1演出モードおよび第2演出モードのいずれが選択された場合にも、1回の大役遊技によって獲得可能な賞球数にかかる情報(以下、「獲得可能数情報」と呼ぶ)を報知する獲得数報知演出が実行される。獲得可能数情報とは、これから実行される、あるいは、現在実行中の大役遊技によって獲得可能な賞球数の一部または全部について、直接的に数値=賞球数で示す情報や、何回のラウンド遊技が実行されるといった具合に間接的に示す情報である。つまり、獲得数報知演出により、どの程度の賞球を獲得することができるかが遊技者に報知される。
【0431】
そして、遊技者が第1演出モードを選択した場合には、以後、大当たりに当選した際に、当該大当たり抽選結果を報知する変動演出中に獲得数報知演出が実行される。これに対して、遊技者が第2演出モードを選択した場合には、以後、大当たりに当選した際に、当該大当たり抽選結果を報知する変動演出では、大当たりに当選したことのみが報知され、その後に実行される大役遊技中に獲得数報知演出が実行される。このように、遊技者は、演出モードの選択を通じて、獲得可能な賞球数の報知タイミングを選択することとなる。」

サ 「【0477】
本実施形態では、第2演出モード専用の大役演出として、演出表示部200aに表示される画像や音声出力装置206から出力される音声を異にする3つの演出タイプが用意されている。第2演出モードに設定された状態で、大当たり演出1に続いて実行される大役演出では、まず、図63(a)に示すように、大役遊技のオープニング中に、遊技者に演出タイプを選択させる画像が表示される。ここでは、3つの演出タイプを、それぞれAタイプ、Bタイプ、Cタイプとし、操作有効時間内に遊技者が演出操作装置208を押下操作することで、いずれかの演出タイプを選択することが可能となっている。
【0478】
そして、演出タイプとしてAタイプが選択された後、1回目のラウンド遊技が開始されると、図63(b)に示すように、演出表示部200aの上部中央に、現在のラウンド遊技の回数が表示されるとともに、演出表示部200aの上部右端に、4回目のラウンド遊技が終了するまでに獲得可能な賞球数を分母とし、この大役遊技中に既に払い出された(獲得した)遊技球数を分子とする賞球情報が表示される。なお、本実施形態では、1回のラウンド遊技において、第1大入賞口126または第2大入賞口128に規定数の遊技球が入球した場合に払い出される賞球数を150個としている。したがって、4回目のラウンド遊技が終了するまでに獲得可能な賞球数は600個となる。また、1個の遊技球の入球に対して、払い出される賞球数は15個であることから、賞球情報の分子に表示される数値は、15ずつ増加する。
【0479】
そして、4回目のラウンド遊技中には、第2演出モード用、かつ、Aタイプ用の獲得数報知演出が実行される。具体的には、4回目のラウンド遊技が開始すると、図63(c)に示すように、演出操作装置208の押下操作を要求する画像が表示されるとともに、操作有効時間内に演出操作装置208が押下操作されると、図63(d)に示すように、演出表示部200aに、上乗せ数として「+300」と表示される。その後、図63(e)に示すように、表示された上乗せ数が、賞球情報の分母に加算表示される。・・・
【0481】
このように、図63(c)?(e)に示す演出が、第2演出モード用、かつ、Aタイプ用の獲得数報知演出となり、上乗せ数の表示や、賞球情報の分母への上乗せ数の加算表示が、現在実行中の大役遊技によって獲得可能な賞球数の一部を直接的に示す獲得可能数情報となる。この獲得数報知演出は、図63(f)?(h)に示すように、6回目のラウンド遊技中、図63(i)、(j)および図64(a)に示すように、8回目のラウンド遊技中、図64(b)?(d)に示すように、10回目のラウンド遊技中に実行される。そして、15回のラウンド遊技が終了すると、図64(e)に示すように、エンディング中に、本大役遊技で獲得した獲得賞球数が演出表示部200aに表示され、大役演出が終了となる。」

シ 「【0493】
また、本実施形態の遊技機100においては、第1演出モードまたは第2演出モードにおいて、メインRAM300cに記憶されている保留の中に、大役抽選で大当たりの抽選結果が導出されることとなる特定保留情報が含まれていることを示唆、報知する先読み演出が実行される。より詳細には、主制御基板300における取得時演出判定処理(図25)により、メインRAM300cに記憶された保留が読み出された際に導出される大役抽選の結果を少なくとも示す事前判定情報(特別図柄の種別にかかる情報)が、当該保留が読み出されるよりも前に導出される。この取得時演出判定処理によって導出された事前判定情報に基づき、メインRAM300cに記憶された保留の中に特定保留情報が含まれていることを報知する先読み演出の実行可否、および、先読み演出を実行する場合における先読み演出の実行態様が決定される。本実施形態では、実行態様および開始時期を異にする第1先読み演出、第2先読み演出、第3先読み演出の3つの先読み演出が実行される。・・・
【0495】
第1先読み演出、第2先読み演出、第3先読み演出には、それぞれ異なる実行条件が設定されており、それぞれの実行条件が満たされた場合に、対象となる先読み演出が実行可能となる。ただし、先読み演出の実行条件が満たされた場合には、当該先読み演出を実行するか否か、また、先読み演出の開始時期が抽選により決定される。したがって、先読み演出の実行条件が満たされたとしても、先読み演出が実行されない場合もある。
【0496】
各先読み演出には、図67(a)に示すように、1回目の大当たり図柄と2回目の大当たり図柄との関係が実行条件として規定されている。具体的には、1回目の大当たり図柄が特別図柄Bである場合には、メインRAM300cに、2回目の大当たりをもたらす特定保留情報として、特別図柄Bが決定されることとなる保留がさらに記憶されていると、第1先読み演出または第2先読み演出が実行可能となる。・・・
【0497】
また、1回目の大当たり図柄が特別図柄C、D、E、Fである場合には、メインRAM300cに、2回目の大当たりをもたらす特定保留情報として、特別図柄Bが決定されることとなる保留がさらに記憶されていると、第2先読み演出が実行可能となる。・・・
【0499】
また、特別図柄B、C、D、E、Fが決定された場合には、それぞれ15、10、8、6、4R大役遊技が1回目の大役遊技として実行される。したがって、1回目の大役遊技の終了後、即座に、2回目の大役遊技として15R大役遊技が実行されることが、第2先読み演出の実行条件として規定されていると言える。つまり、第2先読み演出は、1回目の大役遊技の種別に拘わらず、2回目の大役遊技が15R大役遊技である場合に実行されることとなる。」

ス 「【0520】
図70は、第2演出モードにおいて、演出タイプとしてAタイプが選択された場合の第2先読み演出の一例を説明する図である。第2演出モードにおける第2先読み演出は、1回目の大役遊技中に実行される大役演出として、より詳細には、1回目の大役遊技中に実行される獲得数報知演出として実行される。なお、ここでは、1回目の大役遊技として15R大役遊技が実行される場合について説明する。図70(a)に示すように、大役演出の演出タイプとしてAタイプが選択されると、上記したように、4、6、8、10回目のラウンド遊技中に獲得数報知演出が実行される。このとき、図70(b)に示すように、10回目のラウンド遊技中に獲得数報知演出が開始され、演出操作装置208の押下操作が要求される。ここまでは、第2先読み演出の実行可否に拘わらず、演出の進展内容は同じであるが、第2先読み演出が実行される場合には、遊技者による演出操作装置208の押下操作により、図70(c)に示すように、演出表示部200aに、獲得可能な賞球数として「+750」と表示されるとともに、「限界突破」と表示される。・・・
【0525】
なお、演出モードが第2演出モードに設定されている場合において、第2先読み演出の実行条件が全て満たされると、その開始時期が、獲得数報知演出の実行時に抽選によって決定される。具体的には、演出タイプがAタイプである場合には、獲得数報知演出が1回もしくは複数回行われる。この獲得数報知演出中に遊技者が演出操作装置208を押下操作したときに、第2先読み演出を開始するか、すなわち、「限界突破」の表示を行うか否かを抽選により決定する。この抽選により、第2先読み演出の開始が決定されると、その時点で「限界突破」と表示され、この抽選に漏れた場合には、第2先読み演出の開始が、当該1回目の大役遊技中における次回以降の獲得数報知演出まで持ち越される。こうして第2先読み演出の開始が持ち越された結果、獲得数報知演出中に第2先読み演出が開始されなかった場合には、例えば、1回目の大役遊技の最後のラウンド遊技中等、予め設定されたタイミングで第2先読み演出が強制発動される。
【0526】
また、演出タイプがBタイプである場合には、4回目のラウンド遊技中に第2大入賞口128に遊技球が入球するたびに、演出表示部200aに表示する上乗せ数の抽選が行われるとともに、第2先読み演出を開始するか否かの抽選が行われる。この抽選に漏れた結果、4回目のラウンド遊技中に第2先読み演出が開始されなかった場合にも、1回目の大役遊技の最後のラウンド遊技中等、予め設定されたタイミングで第2先読み演出が強制発動される。演出タイプがCタイプである場合も同様に、第2先読み演出を開始するか否かの抽選が、獲得数報知演出中における演出操作装置208の押下操作時に抽選により決定され、抽選に漏れた場合には、第2先読み演出が所定のタイミングで強制発動することと
なる。
【0527】
ここでは、獲得数報知演出の実行時に、第2先読み演出の実行可否、および、開始時期を決定することとしたが、第2先読み演出の実行条件の判断時に、第2先読み演出の実行タイミングを決定してもよい。また、第2先読み演出を開始するか否かの抽選に漏れた場合には、強制発動させることなく、第2先読み演出を実行しないとしてもよい。」

セ 「【0547】
(ステップS1500)
サブCPU330aは、獲得数報知演出を実行するための処理を行う。この処理は、後述する変動中タイムスケジュール管理処理および大入賞口開放指定コマンド受信処理において、獲得数報知演出準備処理が行われたことを契機として実行される。ここでは、演出操作装置208の操作有効時間を管理したり、操作有効時間内に演出操作装置検出スイッチ208sまたは第2大入賞口検出スイッチ128sから検出信号が入力されたりすると、演出表示部200aに、予め決定された上乗せ数を表示するためのコマンドを送信バッファにセットする等、獲得数報知演出を実行するための種々の処理が実行される。」

上記ア?セの記載事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?f3は、本件補正発明のA?F3に対応させて付与した)。

「a 遊技球が第1始動口120または第2始動口122に入球すると大役抽選が行われ、大役抽選において大当たりに当選すると、第1大入賞口126または第2大入賞口128への遊技球の入球が可能となる大役遊技が実行され(【0059】)、第1大入賞口126または第2大入賞口128に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される(【0023】)、遊技機であって(【0001】)、
遊技盤108には、演出表示装置200が設けられ、演出表示装置200の演出表示部200aには、演出図柄230a、230b、230cが変動表示され、各演出図柄230a、230b、230cの停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知され(【0027】?【0028】)、
b 遊技の基本動作を制御する主制御基板300は、メインCPU300a、メインRAM300cを備え(【0040】)、
第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、大役抽選に係る種々の乱数値として大当たり決定乱数等が取得され、各乱数値がメインRAM300cの特図保留記憶領域に記憶され、第1始動口120に遊技球が入球して記憶された種々の乱数を特1保留とよび、第2始動口122に遊技球が入球して記憶された種々の乱数を特2保留とよび(【0060】)、
メインRAM300cの特図保留記憶領域は、第1特図保留記憶領域と第2特図保留記憶領域とを備え、第1特図保留記憶領域および第2特図保留記憶領域は、それぞれ第1?第4記憶部を有し、第1始動口120に遊技球が入球すると、特1保留を第1特図保留記憶領域の第1記憶部から順に記憶し、第2始動口122に遊技球が入球すると、特2保留を第2特図保留記憶領域の第1記憶部から順に記憶し(【0061】)、メインRAM300cには、処理対象となる第0記憶部が設けられており(【0238】)、
特別図柄変動待ち処理において(【0234】)、メインCPU300aは、第2特図保留記憶領域の第1記憶部?第4記憶部に記憶されている特2保留、または、第1特図保留記憶領域の第1記憶部?第4記憶部に記憶されている特1保留を、1つ序数の小さい記憶部にブロック転送し(【0238】)、第0記憶部に転送された大当たり決定乱数をロードして大役抽選を行い(【0239】)、
c 取得時演出判定処理において、メインCPU300aは、現在の遊技状態が時短遊技状態であると判定した場合には、新たに対象記憶部に記憶された保留は特2保留であるかを判定し、特2保留が記憶されたと判定した場合には、確率状態識別カウンタのカウンタ値を確認し、確率状態識別カウンタのカウンタ値に基づいて、対応する大当たり決定乱数判定テーブルを選択し、選択したテーブルと、対象記憶部に記憶した大当たり決定乱数とに基づいて、大当たりまたはハズレのいずれかを仮判定する特別図柄当たり仮判定処理を行うことにより(【0209】?【0213】)、新たに記憶された特2保留について、当該特2保留が読み出された際に大当たりに当選するか否かが、当該特2保留の記憶時点で判定され(【0224】)、
e 遊技盤108には、遊技者の操作を受け付ける演出操作装置208が設けられ(【0027】)、演出操作装置208が押下操作されたことを検出する演出操作装置検出スイッチ208sを備え(【0053】)、
d 遊技者が演出操作装置208を操作することで、第1演出モードおよび第2演出モードのいずれかを選択可能となっており(【0423】)、第1演出モードおよび第2演出モードのいずれが選択された場合にも、1回の大役遊技によって獲得可能な賞球数にかかる獲得可能数情報を報知する獲得数報知演出が実行され(【0430】)、遊技者が第2演出モードを選択した場合には、大当たりに当選した際に、その後に実行される大役遊技中に獲得数報知演出が実行され(【0431】)、
第2演出モードに設定された状態で実行される大役演出では、大役遊技のオープニング中に、遊技者が演出操作装置208を押下操作することで、いずれかの演出タイプを選択することが可能となっており(【0477】)、演出タイプとしてAタイプが選択され、1回目のラウンド遊技が開始されると、演出表示部200aに、4回目のラウンド遊技が終了するまでに獲得可能な賞球数を分母とし、この大役遊技中に既に払い出された遊技球数を分子とする賞球情報が表示され(【0478】)、4回目のラウンド遊技中には、演出操作装置208の押下操作を要求する画像が表示され、演出操作装置208が押下操作されると、演出表示部200aに上乗せ数として「+300」と表示され、その後、表示された上乗せ数が賞球情報の分母に加算表示され(【0479】)、上乗せ数の表示や、賞球情報の分母への上乗せ数の加算表示が、現在実行中の大役遊技によって獲得可能な賞球数の一部を直接的に示す獲得可能数情報となり、この獲得数報知演出は、6回目のラウンド遊技中、8回目のラウンド遊技中、10回目のラウンド遊技中に実行され(【0481】)、
遊技中や待機中等の各演出を制御する副制御基板330は、サブCPU330aを備え(【0051】)、サブCPU330aは、獲得数報知演出を実行するための処理を行い(【0547】)、
f、f1 第1演出モードまたは第2演出モードにおいて、メインRAM300cに記憶されている保留の中に、大役抽選で大当たりの抽選結果が導出されることとなる特定保留情報が含まれていることを示唆、報知する先読み演出として、実行態様および開始時期を異にする第1先読み演出、第2先読み演出、第3先読み演出の3つの先読み演出が実行され(【0493】)、第1先読み演出、第2先読み演出、第3先読み演出には、それぞれ異なる実行条件が設定されており(【0495】)、
1回目の大当たり図柄が特別図柄B、C、D、E、Fである場合には、メインRAM300cに、2回目の大当たりをもたらす特定保留情報として、特別図柄Bが決定されることとなる保留がさらに記憶されていると、第2先読み演出が実行可能となり(【0496】?【0497】)、1回目の大役遊技の終了後、即座に、2回目の大役遊技として15R大役遊技が実行されることが、第2先読み演出の実行条件として規定されており(【0499】)、
第2演出モードにおける第2先読み演出は、1回目の大役遊技中に実行される獲得数報知演出として実行され、大役演出の演出タイプとしてAタイプが選択されると、4、6、8、10回目のラウンド遊技中に獲得数報知演出が実行され、第2先読み演出が実行される場合には、遊技者による演出操作装置208の押下操作により、演出表示部200aに、獲得可能な賞球数が表示されるとともに、「限界突破」と表示され(【0520】)、
f2 演出モードが第2演出モードに設定されている場合において、演出タイプがAタイプである場合には、第2先読み演出の実行条件が全て満たされると、複数回行われる獲得数報知演出中に遊技者が演出操作装置208を押下操作したときに、第2先読み演出を開始するか否かを抽選により決定し、第2先読み演出の開始が決定されると、その時点で「限界突破」と表示され、この抽選に漏れた場合には、第2先読み演出の開始が、当該1回目の大役遊技中における次回以降の獲得数報知演出まで持ち越され、第2先読み演出の開始が持ち越された結果、獲得数報知演出中に第2先読み演出が開始されなかった場合には、強制発動させることなく、第2先読み演出を実行しない(【0525】、【0527】)、
f3 遊技機(【0001】)。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。

(a)引用発明の構成aの「演出図柄230a、230b、230c」の「変動表示」は、本件補正発明の構成Aの「変動表示」に相当し、以下同様に、「第1大入賞口126または第2大入賞口128に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される」ことは、「遊技者に所定の価値を付与する」ことに、「第1大入賞口126または第2大入賞口128への遊技球の入球が可能となる大役遊技が実行され」ることは、「遊技者に所定の価値を付与する有利状態に制御可能な」ことに、「遊技機」は「遊技機」に、それぞれ相当する。
してみると、引用発明の構成aは、本件補正発明の構成Aに相当するものである。

(b)引用発明の構成bの「大当たり決定乱数等」の「大役抽選に係る種々の乱数値」である「特1保留」及び「特2保留」は、本件補正発明の構成Bの「保留記憶情報」に相当し、同様に、「メインRAM300cの特図保留記憶領域」の「第1特図保留記憶領域」及び「第2特図保留記憶領域」は、「保留記憶手段」に相当する。
そして、引用発明の構成bにおける「特1保留」及び「特2保留」は、「第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、」「第1特図保留記憶領域」または「第2特図保留記憶領域」の「第1?第4記憶部」に「第1記憶部から順に記憶」され、「特別図柄変動待ち処理において」、「1つ序数の小さい記憶部にブロック転送」され、「処理対象となる」「第0記憶部に転送された」ときに、「メインCPU300aは、」「転送された大当たり決定乱数をロードして大役抽選を行」うのであり、大役抽選が行われると、「演出表示装置200の演出表示部200a」において、「演出図柄230a、230b、230cが変動表示され、各演出図柄230a、230b、230cの停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知され」る(構成a)のであるから、「特1保留」及び「特2保留」が、「第1特図保留記憶領域」または「第2特図保留記憶領域」の「第1?第4記憶部」に「記憶」されている時点では、当該「特1保留」及び「特2保留」に基づく大役抽選の結果を報知する演出図柄230a、230b、230cの変動表示は、未だ開始されていないものと認められる。
よって、引用発明の構成bの「特1保留」及び「特2保留」は、本件補正発明の構成Bの「未だ開始されていない変動表示に関する情報」に相当するものといえる。
してみると、引用発明の構成bは、本件補正発明の構成Bに相当するものである。

(c)引用発明の構成cの「新たに記憶された特2保留について、当該特2保留が読み出された際に大当たりに当選するか否かが、当該特2保留の記憶時点で判定され」る「取得時演出判定処理」は、本件補正発明の構成Cの「未だ開始されていない変動表示について前記有利状態に制御されるか否かを判定する」ことに相当し、同様に、「取得時演出判定処理」を実行する「メインCPU300a」は、「先読み判定手段」に相当する。
してみると、引用発明の構成cは、本件補正発明の構成Cに相当するものである。

(d)引用発明の構成dの「獲得数報知演出」は、「大役遊技中」の「4回目のラウンド遊技中」、「6回目のラウンド遊技中、8回目のラウンド遊技中、10回目のラウンド遊技中に」、「現在実行中の大役遊技によって獲得可能な賞球数の一部を直接的に示す獲得可能数情報とな」る「上乗せ数の表示」と「賞球情報の分母への上乗せ数の加算表示」とを実行するものであるから、本件補正発明の構成Dの「付与する価値を段階的に報知する付与価値報知」に相当する。
また、引用発明の構成dの「大役遊技中」が、本件補正発明の構成Dの「前記有利状態」に相当することは、上記(a)にて説示したとおりであり、引用発明の構成dの「獲得数報知演出」が「大役遊技中」に実行されることは、本件補正発明の構成Dの「前記有利状態において、」「付与価値報知を実行可能な」ことに相当する。
そして、引用発明の構成dの「獲得数報知演出を実行するための処理を行」う「サブCPU330a」は、本件補正発明の構成Dの「付与価値報知実行手段」に相当する。
してみると、引用発明の構成dは、本件補正発明の構成Dに相当するものである。

(e)引用発明の構成eの「遊技者の操作を受け付ける演出操作装置208」「が押下操作されたことを検出する演出操作装置検出スイッチ208s」は、本件補正発明の構成Eの「遊技者による動作を検出可能な動作検出手段」に相当する。
してみると、引用発明の構成eは、本件補正発明の構成Eに相当するものである。

(f、f1)引用発明の構成f、f1の「大役遊技中に実行される獲得数報知演出」において、「演出表示部200aに、獲得可能な賞球数が表示される」ことは、本件補正発明における構成F、F1の「遊技者が獲得可能な遊技媒体の数に関する報知である獲得報知」に相当する。
また、引用発明の構成f、f1の「第2演出モードにおいて」「実行され」る「第2先読み演出」は、「メインRAM300cに記憶されている保留の中に、大役抽選で大当たりの抽選結果が導出されることとなる特定保留情報が含まれていることを」「報知する」ものであり、「1回目の大役遊技の終了後、即座に、2回目の大役遊技として15R大役遊技が実行されることが、」「実行条件として規定され」たものであるから、「第2演出モードにおける第2先読み演出」として、「演出表示部200aに」「「限界突破」と表示され」ることは、本件補正発明における構成F、F1の「前記有利状態の終了後に前記有利状態に制御されることを報知する先読み報知」に相当する。
そして、引用発明の構成f、f1の「第2演出モードにおける第2先読み演出は、1回目の大役遊技中に実行される獲得数報知演出として実行され、」「第2先読み演出が実行される場合には、遊技者による演出操作装置208の押下操作により、演出表示部200aに、獲得可能な賞球数が表示されるとともに、「限界突破」と表示され」ることは、本件補正発明における構成F、F1の「前記付与価値報知において、前記動作検出手段による検出結果に基づいて、」「先読み報知と、」「獲得報知との少なくとも一方を実行可能」であることに相当する。
してみると、引用発明の構成f、f1の「第2演出モードにおける第2先読み演出」は、本件補正発明の構成F、F1に相当するものである。

(f2)引用発明の構成f2では、「演出モードが第2演出モードに設定されている場合において、演出タイプがAタイプである場合には、第2先読み演出の実行条件が全て満たされると、複数回行われる獲得数報知演出中に遊技者が演出操作装置208を押下操作したときに、第2先読み演出を開始するか否かを抽選により決定し、第2先読み演出の開始が決定されると、その時点で「限界突破」と表示され、この抽選に漏れた場合には、第2先読み演出の開始が、当該1回目の大役遊技中における次回以降の獲得数報知演出まで持ち越され」るのであるから、「第2先読み演出を開始するか否かを」「決定」する「抽選」は、「複数回行われる獲得数報知演出中に遊技者が演出操作装置208を押下操作した」回数だけ実行され得るものであると認められる。
そうすると、引用発明の構成f2では、「複数回行われる獲得数報知演出中に遊技者が演出操作装置208を押下操作した」回数が多くなるほど、「第2先読み演出を開始するか否かを」「決定」する「抽選」の実行回数が多くなり、該「抽選」によって「第2先読み演出の開始が決定される」可能性が大きくなるものと認められる。
ここで、引用発明において、第2先読み演出の開始が持ち越された結果、獲得数報知演出中に第2先読み演出が開始されなかった場合に、第2先読み演出を強制発動させる場合には、第2先読み演出を開始するか否かを決定する抽選の実行回数に関わらず、最終的には第2先読み演出が強制発動されるため、第2先読み演出が実行される可能性は常に100%となり、第2先読み演出を開始するか否かを決定する抽選の実行回数、すなわち、獲得数報知演出中に遊技者が演出操作装置208を押下操作した回数に依存しないこととなる。
しかし、引用発明の構成f2は、「第2先読み演出の開始が持ち越された結果、獲得数報知演出中に第2先読み演出が開始されなかった場合には、強制発動させることなく、第2先読み演出を実行しない」のであり、第2先読み演出を開始するか否かを決定する抽選において、第2先読み演出の開始が決定されない限り、第2先読み演出を実行しないものであるから、第2先読み演出を開始するか否かを決定する抽選の実行回数が多くなるほど、すなわち、獲得数報知演出中に遊技者が演出操作装置208を押下操作した回数が多くなるほど、第2先読み演出の開始が決定されやすくなるものと認められる。
してみると、引用発明の構成f2は、本件補正発明における構成F2の「前記動作検出手段により検出される回数が多いときの方が少ないときよりも前記先読み報知を実行しやす」いことに相当する構成を具備している。
よって、引用発明の構成f2は、本件補正発明の構成F2に相当するものである。

(f3)引用発明の構成f3の「遊技機」は、本件補正発明の構成F3の「遊技機」に相当する。
してみると、引用発明の構成f3は、「遊技機」である点で、本件補正発明の構成F3と共通する。

上記(a)?(f3)によれば、本件補正発明と引用発明とは、
「A 変動表示を行ない、遊技者に所定の価値を付与する有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始されていない変動表示に関する情報を保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
C 未だ開始されていない変動表示について前記有利状態に制御されるか否かを判定する先読み判定手段と、
D 前記有利状態において、付与する価値を段階的に報知する付与価値報知を実行可能な付与価値報知実行手段と、
E 遊技者による動作を検出可能な動作検出手段と、を備え、
F 前記付与価値報知実行手段は、
F1 前記付与価値報知において、前記動作検出手段による検出結果に基づいて、前記有利状態の終了後に前記有利状態に制御されることを報知する先読み報知と、遊技者が獲得可能な遊技媒体の数に関する報知である獲得報知との少なくとも一方を実行可能であって、
F2 前記動作検出手段により検出される回数が多いときの方が少ないときよりも前記先読み報知を実行しやすい、
F3’ 遊技機。」
の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点](構成F3に関して)
有利状態の終了後に有利状態に制御されることを報知する先読み報知について、本件補正発明が、有利状態に制御される保留記憶情報の数に応じて異なる割合で選択される複数種類の報知態様のいずれかの報知態様で実行するのに対して、引用発明は、そのような構成を備えていない点。

(4)当審合議体の判断
ア 相違点について
遊技機の技術分野において、興趣向上のため、大当り遊技の実行中に、記憶されている保留記憶の中に大当りとなる保留記憶が存在することを報知する演出を実行するとともに、大当たりとなる保留記憶の数に応じて異なる割合で選択される複数種類の報知態様で上記演出を実行するように構成すること、すなわち、上記相違点にかかる本件補正発明の構成は、例えば、以下の(ア)?(ウ)に示す各引用文献に記載されているように、本願出願前において周知の技術事項であった。

(ア)特開2016-67442号公報には、以下のとおり記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ)。

「【0003】
一方、近年では、当否判定が実行される以前に、未消化の作動保留球に対して事前判定を行い、この事前判定結果に基づき所定の予告情報を遊技者に対して予告的に報知する演出が知られている。その一つとして、特別遊技中に待機されている作動保留球内に次回の大当りとなるものが含まれていることを報知する、いわゆる保留内連荘演出と称されるものがある・・・
【0005】
このような構成を採用するぱちんこ遊技機は、従来機種として既に多数存在しているため、従来機種との差別化を図るには、いわゆる保留内連荘演出による遊技の興趣性の向上が求められる。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、遊技の興趣性の向上を図ることのできるぱちんこ遊技機を提供することを目的とする。」

「【0103】
まず、「保留内連荘」とは、或る先行の作動保留球が消化された当否判定結果として大当りとなる場合、当該作動保留球に係る当否判定が許可されてから特別遊技の終了時までの特定期間内における所定タイミングにおいて存在する一以上の後続の作動保留球内に、大当りとなることが予定される作動保留球(「特定保留」とも称する)が存在することをいう。」

「【0105】
続いて、「保留内連荘演出」とは、保留内連荘であることを示唆又は報知するための演出である。この保留内連荘演出には、図柄変動中に発生する第1の保留内連荘演出(「保留内連荘演出A」と称する)と、特別遊技中に発生する第2の保留内連荘演出(「保留内連荘演出B」と称する)とが含まれる。」

「【0107】
・・・なお、保留内連荘演出Aと同様に、保留内連荘演出Bが発生した場合、保留内連荘が確定的となる構成を採用してもよい。」

「【0113】
図8(B)に示すように、保留内連荘演出Bの演出パターンテーブルには、複数種の演出パターンPB1?PB9が定められている。・・・演出パターンPB2?PB7が選択された場合には、ラウンド演出中に、保留内連荘演出以外のいかなる場面でも現出することのない特殊な演出画像「BX2」が表示される。図9(D)に示すように、演出画像BX2としては、例えば、画面内に奥義書を模した画像が一つ登場する演出が該当する。演出パターンPB8が選択された場合には、ラウンド演出中に、保留内連荘演出以外のいかなる場面でも現出することのない特殊な演出画像「BX3」が表示される。図9(E)に示すように、演出画像BX3としては、例えば、画面内に奥義書を模した画像が二つ登場する演出が該当する。なお、この演出パターンPB8は、後続の作動保留球内に特定保留が複数存在する場合に選択され得る。・・・
【0114】
・・・また、ラウンド演出中に発生する保留内連荘演出Bとして選択される演出パターンPB2?PB7は、特定保留が1個含まれている場合又は特定保留が含まれない場合に選択され得るものであるため、これに対応する演出画像BX2は、後続の作動保留球内に一の特定保留が含まれる可能性のみを報知し得るものであるのに対して、演出パターンPB8は、特定保留が複数個含まれる場合又は特定保留が含まれない場合に選択され得るものであるため、これに対応する演出画像「BX3」は、後続の作動保留球内に複数の特定保留が含まれている可能性を報知し得るものである。つまり、後続の作動保留球内に含まれる特定保留の個数が、奥義書の個数と対応したかたちで遊技者に対して示唆される。」

(イ)特開2011-30651号公報には、以下のとおり記載されている。

「【0018】
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

「【0418】
次に、大当り中演出の演出態様の具体例について説明する。・・・
【0419】
・・・次いで、第4ラウンドが終了して第5ラウンドが開始されるまでのラウンドインターバルにおいて、その時点で入賞時判定結果13?20フラグがセットされている数、つまり第2保留記憶バッファに記憶されている保留記憶のうち大当りとなる保留記憶(以下、保留当りと言う)数を判定する保留当り判定処理(ステップS977)を実行する。
【0420】
次いで、第5ラウンドが開始されると(図57(c)(g)参照)、「福引チャンス/金の玉が出たら大チャンス!!」なるメッセージを表示するとともに(図57(d)参照)、福引抽選器と操作スイッチ50aを示す画像を表示し(図57(e)参照)、操作スイッチ50aを操作するか否かを選択させる選択演出(操作指示演出)を実行する。そして、選択演出の実行を開始してから所定の有効操作期間内に操作スイッチ50aが検出された場合、保留当り判定処理にて判定された数量に応じて、第1特別演出、第2特別演出、第3特別演出のうちからいずれかの演出パターンが選択される。
【0421】
具体的には、前述した保留当り判定処理において、ステップS991において入賞時判定結果13?20フラグのいずれもセットされていない、つまり保留当りが記憶されていない場合には第1特別演出が選択され、また、ステップS991において入賞時判定結果13?20フラグのうちいずれかのフラグが1以上セットされている、つまり保留当りが1以上記憶されている場合には第2特別演出が選択され、また、ステップS991において入賞時判定結果13?20フラグのうちいずれかのフラグが2以上セットされている、つまり保留当りが2以上記憶されている場合には第2特別演出または第3特別演出のいずれかが選択され、これら選択された演出パターンにもとづいて特別演出を実行する。
【0422】
第1特別演出は、福引抽選器から「残念」の文字が描かれた玉が飛び出るとともに(図58(c)参照)、第6ラウンドにおいてキャラクタが泣いている画像が表示され、保留当りが記憶されていないことが報知される(図58(g)参照)。
【0423】
第2特別演出は、福引抽選器から「ラッキー」の文字が描かれた玉が飛び出るとともに(図58(b)参照)、第6ラウンドにおいて、キャラクタが片手で「ピース」している画像が表示され、保留当りが1以上記憶されていることが報知される(図58(f)参照)。
【0424】
第3特別演出は、福引抽選器から「超ラッキー」の文字が描かれた玉が飛び出るとともに(図58(a)参照)、第6ラウンドにおいて、キャラクタが両手で「ピース」している画像が表示され、保留当りが第2特別演出よりも多い2以上記憶されていることが報知される(図58(e)参照)。」

(ウ)特開2012-176033号公報には、以下のとおり記載されている。

「【0007】
本発明は、上記従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、当り遊技用の遊技演出に対する興趣を向上できる遊技機を提供することにある。」

「【0124】
前記特別演出実行条件が成立した場合、演出制御用CPU31aは、保留中の特図変動ゲームに含まれる大当りの特図変動ゲームの回数を、大当りの種類毎に区分して計数する。具体的に言えば、演出制御用CPU31aは、演出制御用RAM31cにおいて保留記憶数「1」?「4」に対応付けられた記憶領域に記憶されている先読みコマンド[E1xxH]の個数を計数し、16R大当り遊技(大当りA)の個数(回数)とする。同様に、演出制御用CPU31aは、演出制御用RAM31cにおいて保留記憶数「1」?「4」に対応付けられた記憶領域に記憶されている先読みコマンド[E2xxH],[E3xxH]の個数を計数し、8R大当り遊技(大当りB,C)の個数(回数)とする。したがって、本実施形態の演出制御用CPU31aは、大当り遊技において実行が保留されている特図変動ゲームの中に大当りの特図変動ゲームが含まれている場合、その大当りの特図変動ゲームの実行時に大当り判定で肯定判定されることに伴って決定される大当りの種類をさらに判定していると把握できる。・・・
【0126】
図11に示すように、特別演出振分用テーブルTEには、大当りA(16R大当り遊技)の個数、及び大当りB,C(8R大当り遊技)の個数の組み合わせ毎に区分して、特別演出の演出内容を特定可能な演出パターンET1?ET5が対応付けられている。演出パターンET1では、特別演出の非実行が特定されているとともに、演出パターンET2では、特殊演出を伴わない(エフェクトなしの)桜回転演出の実行が特定されている。演出パターンET3では、特殊演出を伴わない(エフェクトなしの)星落下演出の実行が特定されているとともに、演出パターンET4には、特殊演出を伴う(エフェクトありの)桜回転演出の実行が特定されている。また、演出パターンET5では、特殊演出を伴う(エフェクトありの)星落下演出の実行が特定されている。
【0127】
そして、特別演出振分用テーブルTEでは、大当りの個数の組み合わせ毎に区分して、各演出パターンET1?ET5に対し、演出振分用乱数の値がこの演出振分用乱数の値の取り得る数値(0?250の全251通りの整数値)の中から所定個数ずつ振り分けられている。このような特別演出振分用テーブルTEによれば、大当りA(16R大当り遊技)の個数、及び大当りB,C(8R大当り遊技)の個数の組み合わせに応じて、演出パターンET1?ET5の何れかが決定される。例えば、大当りA(16R大当り遊技)が1個であり、大当りB,C(8R大当り遊技)が1個である場合、251分の71の確率で演出パターンET1が、251分の150の確率で演出パターンET2が、251分の30の確率で演出パターンET4が決定され得る。
【0128】
特別演出振分用テーブルTEにおける演出振分用乱数の値の振分態様によれば、大当り(大当り遊技)の合計個数が1個の場合、演出パターンET1のみが決定され得る。その一方で、特別演出振分用テーブルTEによれば、大当り(大当り遊技)の合計個数が2個以上である場合に、演出パターンET2?ET5の何れかが決定され得る。したがって、本実施形態において特別演出は、何れも保留中の特図変動ゲームに大当りA?Cの何れかとなる特図変動ゲームが2個以上、含まれていることを認識できる遊技演出として位置付けられる。特に、演出パターンET3,ET5は、大当り(大当り遊技)の合計個数が3個以上である場合にのみ決定され得る。したがって、本実施形態において星落下演出は、保留中の特図変動ゲームに大当りA?Cの何れかとなる特図変動ゲームが3個以上、含まれていることを認識できる遊技演出として位置付けられる。」

引用発明と上記周知の技術事項とは、大当り遊技の実行中に、記憶されている保留記憶の中に大当りとなる保留記憶が存在することを報知する演出を実行する遊技機である点で共通しており、短期間のうちに複数回の大当たりに当選する場合の演出効果を向上し、遊技の興趣を向上するという同一の課題を解決しようとするものである。
また、大当り遊技の実行中に、記憶されている保留記憶の中に大当りとなる保留記憶が複数存在するという事象は、引用発明においても起こり得るものである(引用文献1の【0060】?【0066】、【0494】を参照)。
してみると、引用発明において、大当り遊技の実行中に記憶されている保留記憶の中に大当りとなる保留記憶が複数存在する場合の演出効果を向上し、さらなる興趣向上を図るために、上記周知の技術事項を適用し、有利状態の終了後に有利状態に制御されることを報知する先読み報知を、有利状態に制御される保留記憶情報の数に応じて異なる割合で選択される複数種類の報知態様のいずれかの報知態様で実行するようにして、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

イ 効果について
本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明及び上記周知の技術事項から予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ 請求人の主張について
請求人は、平成31年4月24日付け審判請求書において、次のとおり主張する。

「しかしながら、引用文献1には、第2先読み演出の演出態様が複数種類あって、有利状態に制御される保留記憶情報の数に応じて異なる割合で選択されることについて何ら開示も示唆もなされていないと思料致します。
たとえば、引用文献1の段落番号[0635]には、先読み演出の実行態様が大役遊技の種別や保留が記憶された時期によって決定されることが開示されておりますが、有利状態に制御される保留記憶情報の数に応じて異なる割合で選択される複数種類の実行態様のいずれかの実行態様で先読み演出が実行されることについて開示も示唆もなされていないと思料致します。
そのため、本願発明は、上述の構成F-3を有する点で、引用文献1と明確に相違していると思料致します。
さらに、本願発明は、上述の構成F-3によって、報知態様により有利状態に制御される期待度が異なるので、いずれの報知態様で先読み報知がされるかに注目させることができるため、演出の面白みをさらに向上させることができ、遊技の興趣をさらに向上させることができるという有利な効果を奏します。
したがいまして、引用文献1には、少なくとも構成F-3について何ら開示も示唆もなされておらず、引用文献1に基づいて当業者が本願発明に容易に想到し得たことの論理付けはできません。」(【本願発明が特許されるべき理由】の(3)引用文献との対比)

そこで、請求人の上記主張について検討する。
上記「ア 相違点について」において説示したとおり、請求人が「構成F-3」とする「有利状態に制御される保留記憶情報の数に応じて異なる割合で選択される複数種類の実行態様のいずれかの実行態様で先読み演出が実行されること」は、本願出願前において周知の技術事項であり、引用発明に当該周知の技術事項を適用して、請求人が「構成F-3」とする本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、上記「イ 効果について」において説示したとおり、本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明及び上記周知の技術事項から予測し得る範囲内のものにすぎない。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(5)小括
よって、本件補正発明は、引用発明、及び、周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
上記1?3より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年10月24日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものであると認める(記号A?F3’は、分説するため当審にて付した)。

「A 変動表示を行ない、遊技者に所定の価値を付与する有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始されていない変動表示に関する情報を保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
C 未だ開始されていない変動表示について前記有利状態に制御されるか否かを判定する先読み判定手段と、
D 前記有利状態において、付与する価値を段階的に報知する付与価値報知を実行可能な付与価値報知実行手段と、
E 遊技者による動作を検出可能な動作検出手段とを備え、
F 前記付与価値報知実行手段は、
F1 前記付与価値報知において、前記動作検出手段による検出結果に基づいて、前記有利状態の終了後に前記有利状態に制御されることを報知する先読み報知と、遊技者が獲得可能な遊技媒体の数に関する報知である獲得報知との少なくとも一方を実行可能であって、
F2’ 前記動作検出手段により検出される回数が多いときの方が少ないときよりも前記先読み報知を実行しやすい、
F3’ 遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、との理由を含むものである。

1.特開2015-33489号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明の認定については、上記「第2 3(2)引用文献1に記載された事項及び引用発明」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明の構成A?F1は、上記「第2 3(1)本件補正発明」で検討した本件補正発明の構成A?F1と同じであり、本願発明の構成F2’は、上記本件補正発明の構成F2と実質的に同じであるから、前記「第2 3(3)対比」にて説示したとおり、引用発明の構成a?f2は、本願発明の構成A?F2’に相当する。
また、引用発明の構成f3の「遊技機」は、本願発明の構成F3’の「遊技機」に相当する。
してみると、本願発明と引用発明との間に相違点はなく、本願発明は、引用発明である。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-08 
結審通知日 2019-11-12 
審決日 2019-11-26 
出願番号 特願2016-202448(P2016-202448)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 眞壁 隆一  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 木村 隆一
田邉 英治
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

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