• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1358542
審判番号 不服2018-14861  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-07 
確定日 2020-01-06 
事件の表示 特願2017-194219号「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月28日出願公開、特開2017-225869号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月10日に出願した特願2015-138834号の一部を平成29年10月4日に新たな特許出願(特願2017-194219号)としたものであって、平成30年1月9日付けで拒絶の理由が通知され、同年2月7日に意見書及び手続補正書が提出され、同年4月4日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月8日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年8月3日付け(発送日:同年8月14日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年11月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和1年7月30日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月27日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和1年9月27日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Nは、本願発明を分説するために当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 遊技領域が形成された遊技盤と、
B 前記遊技領域の所定位置に設けられる始動入賞口と、
C 前記始動入賞口への入球を契機として取得される抽選値に基づいて、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否判定を実行する当否判定手段と、
D 前記当否判定の結果を示すための特別図柄が変動表示される特別図柄表示装置と、
E 前記当否判定が前記特別遊技へ移行させる結果となったことを示す特別図柄が前記特別図柄表示装置に停止表示された場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
F 前記当否判定の結果に基づいて演出的な内容が表示される演出表示装置と、
G 前記当否判定の結果を前記演出表示装置にて演出的に示す演出図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動演出パターンからいずれかを決定する演出決定手段と、
H 前記演出図柄を前記変動演出パターンにしたがって前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段と、を備え、
I 前記演出表示装置に表示される前記演出図柄の変動表示として、装飾図柄の変動表示と、代替図柄の変動表示と、簡易図柄の変動表示と、があり、
J 前記演出図柄の変動表示として、前記装飾図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合と、前記代替図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合と、前記装飾図柄および前記代替図柄を非表示にして前記簡易図柄が変動表示される場合とがあり、
K 前記装飾図柄は、図柄種類を示す部分と付帯して表示される付帯部分とを有し、
L 前記代替図柄は、前記装飾図柄の図柄種類を示す部分に対応した外観上の表示形態を有し、前記装飾図柄を非表示とする場合に前記装飾図柄が変動表示される領域よりも狭い領域内において前記装飾図柄の代わりに変動表示され、
M 前記簡易図柄は、前記装飾図柄の図柄種類を示す部分に対応した外観上の表示形態を有する複数の図柄で構成され、前記特別図柄の変動表示中に常時変動表示されることにより前記特別図柄が変動表示中であることを示唆し、その複数の図柄のすべてが停止表示されることにより前記当否判定の結果を示唆する
N 弾球遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
令和1年7月30日付けの当審における拒絶の理由のうちの理由1-1、1-2の概要は、以下のとおりのものである。

1.(進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由1-1(進歩性)について
・本願発明について
・引用文献等 1?2

●理由1-2(進歩性)について
・本願発明について
・引用文献等 3、1

引用文献1:特開2012-183220号公報(新たに引用した文献)
引用文献2:“CR ぱちんこキン肉マン 夢の超人タッグ編”,youtube,2014年 5月23日,0分06秒?0分41秒,[2018年4月2日検索],
URL,https://www.youtube.com/watch?v=jL7vB8HsjMI
引用文献3:特開2006-181181号公報(新たに引用した文献)

第4 引用文献に記載された事項
1 引用文献1
当審における拒絶の理由(令和1年7月30日付け拒絶理由通知書)に引用文献1として引用された本願の出願遡及日前に頒布された特開2012-183220号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(ア)「【0035】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照して遊技機の全体構成について説明する。」

(イ)「【0041】
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤8を備えている。遊技盤8は、ガラス枠ユニット4の背後(内側)で上記のプラ枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態でプラ枠アセンブリ7に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と遊技盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。」

(ウ)「【0046】
〔盤面の構成〕
遊技領域8a内には、始動ゲート20や普通入賞口22,24、右始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30、振り分け装置200等が設置されている。遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為に始動ゲート20を通過したり、振り分け装置200を通過したり、あるいは、普通入賞口22,24や右始動入賞口26、可変始動入賞装置28に入賞(入球)したりする。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、入賞した遊技球は遊技板に形成された貫通穴を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。」

(エ)「【0052】
図3は、遊技盤8の一部(窓4a内の右下位置)を拡大して示す正面図である。第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、例えばそれぞれ7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。」

(オ)「【0075】
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また遊技盤8には、右始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して右始動入賞口スイッチ80、左始動入賞口スイッチ82及びカウントスイッチ84が装備されている。各始動入賞口スイッチ80,82は、右始動入賞口26、可変始動入賞装置28(左始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。またカウントスイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口)への遊技球の入賞を検出し、その数をカウントするためのものである。同様に遊技盤8には、普通入賞口22,24への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。なお、ここでは全ての普通入賞口22,24について共通の入賞口スイッチ86を用いる構成を例に挙げているが、例えば盤面の左右で別々の入賞口スイッチ86を設置し、左側の入賞口スイッチ86では盤面の左側に位置する普通入賞口22,24に対する遊技球の入賞を検出し、右側の入賞口スイッチ86では盤面の右側に位置する普通入賞口24に対する遊技球の入賞を検出することとしてもよい。」

(カ)「【0135】
本実施形態では、右始動入賞口スイッチ80又は左始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72はそれぞれ第1特別図柄又は第2特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定する。またゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、右始動入賞口スイッチ80又は左始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
・・・
【0142】
ステップS210:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、先の特別図柄遊技処理(ステップS205)や普通図柄遊技処理(ステップS206)においてポート出力要求バッファに格納されている駆動信号をポート出力する。なお駆動信号は、各LEDに対して印加するバイトデータとしてポート出力要求バッファに格納されている。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。」

(キ)「【0210】
ステップS5000:可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において当りの態様(非当選以外の態様)で特別図柄が停止表示された場合に選択される。例えば、特別図柄が15ラウンド大当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する契機が発生する。大当り遊技中は、先の実行選択処理(ステップS1000)においてジャンプ先が可変入賞装置管理処理にセットされ、特別図柄の変動表示は行われない。可変入賞装置管理処理においては、大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば29秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、予め設定された連続作動回数(例えば2回、15回)にわたって励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作する(特別電動役物の連続作動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる(特別遊技実行手段)。なお、このように大当り時に可変入賞装置30が開閉動作することを「ラウンド」と称し、連続作動回数が全部で15回あれば、これらを「15ラウンド」と総称することがある。本実施形態では、大当りの種類として15ラウンド大当りだけでなく、その他に複数種類の2ラウンド大当りが設けられている。また15ラウンド大当りについても、その中に複数の当選種類(当選図柄)が設けられている。」

(ク)「【0225】
ステップS2200:主制御CPU72は、特別図柄記憶エリアシフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)を取得した順に読み出す。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は先頭のセクションから順に乱数を読み出して消去(消費)した後、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。読み出した乱数は、例えば別の一時記憶領域に保存される。一時記憶領域に保存された各乱数は、次の大当り判定処理で内部抽選に使用される。本実施形態では、RAM76の乱数記憶領域に記憶された(取得された)順に乱数が読み出される。またこの処理において、主制御CPU72はRAM76に記憶されている作動記憶数カウンタ(第1特別図柄又は第2特別図柄のうち、乱数のシフトを行った方)の値を1つ減算し、減算後の値を「変動開始時作動記憶数」に設定する。これにより、上記の表示出力管理処理(図11中のステップS210)の中で第1特別図柄作動記憶ランプ34a又は第2特別図柄作動記憶ランプ35aによる記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は次にステップS2300を実行する。
【0226】
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、先ず大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(抽選実行手段)。このとき設定される大当り値の範囲は、通常確率状態と高確率状態(確率変動機能作動時)とで異なり、高確率状態では通常確率状態よりも大当り値の範囲が約10倍程度に拡大される。そして、このとき読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS2400に進む。」

(ケ)「【0232】
ステップS2405:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、特別図柄について、はずれ時の変動パターン番号を決定する(変動パターン決定手段、変動時間決定手段)。変動パターン番号は、特別図柄の変動表示の種類(パターン)を区別したり、変動表示にかかる変動時間に対応したりするものである。はずれ時の変動時間は、上記の「時間短縮状態」であるか否かによって異なってくるため、この処理において主制御CPU72は、遊技状態フラグをロードし、現在の状態が「時間短縮状態」であるか否かを確認する。「時間短縮状態」であれば、基本的にリーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は短縮された時間(例えば1.5秒程度)に設定される。また「時間短縮状態」でなくとも、リーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は例えばステップS2200で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個?3個)」や第1特別図柄及び第2特別図柄の合計作動記憶数に基づいて短縮される場合がある。なお、はずれ時の図柄の停止表示時間は変動パターンに関わらず一定(例えば0.5秒程度)である。第1主制御CPU72は、決定した変動時間(はずれ時)の値を変動タイマにセットするとともに、はずれ時の停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。
【0233】
本実施形態では、内部抽選の結果、非当選に該当した場合、演出上で例えば「リーチ演出」を発生させてはずれとしたり、「リーチ演出」を発生させずにはずれとしたりする制御を行うこととしている。そして、「はずれ時変動パターン選択テーブル」には、予め複数種類の演出、例えば「非リーチ演出」、「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されており、非当選に該当した場合は、その中からいずれかの変動パターンが選択されることになる。なお、リーチ演出には、ノーマルリーチ演出、ロングリーチ演出、スーパーリーチ演出等といった様々なリーチ演出が含まれる。」

(コ)「【0237】
図19は、特別図柄の変動時間について説明する図である。
本実施形態では、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)の変動時間は、リーチ変動を行う場合を除き、第1特別図柄及び第2特別図柄の合計記憶数(いわゆる保留の数)に基づいて変更される。なお、この表は上記のはずれ時変動パターン選択テーブル(図18参照)中の変動パターン1?5が選択された場合に適用される。また、合計記憶数の値は1?8の範囲となるが、特別図柄記憶エリアシフト処理(図17中ステップ2200)の処理を経た後の変動前合計記憶数の値は0?7の範囲となる(以下同様)。具体的な数値は以下の通りである。」

(サ)「【0254】
〔図17:特別図柄変動前処理を参照〕
ステップS2412:次に主制御CPU72は、大当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2200でシフトした変動パターン決定乱数に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットするとともに、停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。一般的に大当りリーチ変動の場合、はずれ時よりも長い変動時間が決定される。
【0255】
本実施形態では、内部抽選の結果、15ラウンド大当り(15ラウンド通常大当り又は15ラウンド確変大当り)に該当した場合、演出上で例えば「リーチ演出」を発生させて大当りとする制御を行うこととしている。そして、「15ラウンド大当り当選時変動パターン選択テーブル」には、複数種類の「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されており、15ラウンド大当りに該当した場合は、その中からいずれかの変動パターンが選択されることになる。なお、リーチ演出には、ノーマルリーチ演出、ロングリーチ演出、スーパーリーチ演出等といった様々なリーチ演出が含まれる。」

(シ)「【0261】
またステップS2414の処理において、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、上記の停止図柄コマンド(大当り時)とともに抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。」

(ス)「【0285】
〔当選時〕
ステップS4350:主制御CPU72は、ジャンプテーブルのジャンプ先を「可変入賞装置管理処理」に設定する。
ステップS4400:そして主制御CPU72は、制御上の内部状態フラグとして「大役開始(大当り遊技中)」をセットする。また合わせて主制御CPU72は、大当り中を表す状態コマンドを生成する。大当り中を表す状態コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。」

(セ)「【0380】
〔演出画像の例〕
次に、パチンコ機1において実際に液晶表示器42に表示される演出画像について、いくつかの例を挙げて説明する。以上のように、パチンコ機1において大当りの内部抽選が行われると、主制御CPU72による制御の下で変動パターン(変動時間)を決定し、第1特別図柄や第2特別図柄による変動表示が行われる(図柄表示手段)。ただし、上記のように第1特別図柄や第2特別図柄そのものは7セグメントLEDによる点灯・点滅表示であるため、見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、上記のように演出図柄を用いた変動表示演出が行われている。
【0381】
演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは液晶表示器42の画面上で左・中・右に並んで表示される(図1参照)。各演出図柄は、例えば数字の「1」?「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっている。このうち左演出図柄については、数字が「1」?「9」の昇順に並んだ図柄列を構成しており、中演出図柄と右演出図柄については、いずれも数字が「9」?「1」の降順に並んだ図柄列を構成している。このような図柄列は、画面上の左領域・中領域・右領域でそれぞれ縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示される。」

(ソ)「【0387】
また第4図柄Z1,Z2については、はずれに対応する態様(例えば白表示色)で停止表示されている。これは、結果表示演出が正しく行われており、パチンコ機1が正常に動作しているということを客観的に明らかにするためのものである。したがって、「はずれ」ではなく、実際に内部抽選の結果が「2ラウンド大当り」や「15ラウンド大当り」であれば、それらに対応する態様(例えば赤表示色や緑色表示色等)で第4図柄Z1,Z2は停止表示される。
【0388】
〔変動表示演出開始〕
図34中(B):例えば第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始される(図柄演出実行手段)。すなわち、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールする(流れる)ようにして変動表示演出が開始される。また、マーカM1,M2は、変動開始前は、液晶表示器42の下方の帯状部分(変動前表示領域X1)に表示されており、変動開始後はその表示が消去される。なお図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。また変動表示中、個々の演出図柄が透けた状態で表示(透過表示)されることにより、このとき表示画面内には演出図柄の背景となる画像(背景画像)が視認しやすい状態で表示されている。
・・・
【0390】
また、演出図柄の変動表示中、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1が変動表示されており、第4図柄Z1は、その表示色を変化させることで変動表示を表現している。」

(タ)「【0395】
〔停止表示演出〕
図34中(E):第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止する。今回の内部抽選の結果が非当選であって、第1特別図柄が非当選(はずれ)の態様で停止表示される場合、演出図柄も同様に非当選(はずれ)の態様で停止表示演出が行われる。すなわち、図示の例では、画面の中段位置に数字の「1」を表す演出図柄が停止したことを表しており、この場合、演出図柄の組み合わせは「8」-「1」-「3」のはずれ目であるため、今回の変動は通常の「はずれ」に該当したことが演出上で表現されている。このとき、第4図柄Z1は、はずれに対応する態様(例えば白表示色)で停止表示される。」

(チ)「【0400】
〔変動表示演出開始前〕
図35中(A):液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が大きく表示されている。図示の例では、マーカM1と、マーカM2とが4個ずつ交互に点灯表示されているため(合計8個)、第1特別図柄及び第2特別図柄の作動記憶数がそれぞれ4個ずつであることを表している。このため、リーチ変動を行う場合を除き、第1特別図柄の変動時間は、第1短縮変動時間T1が設定され、第2特別図柄の変動時間は、第2短縮変動時間T2が設定される(図19参照)。
【0401】
〔変動表示演出開始〕
図35中(B):液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始される。このとき、第1特別図柄の作動記憶に対応するマーカM1は消去される。また、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1が変動表示されている。
【0402】
〔扉閉演出〕
図35中(C):例えば、それまでの背景画像が図35中(B)に示される「通常モード」であったとすると、第1特別図柄の変動中に表示画の両側から扉(襖)が出現し、中央でぴしゃりと閉じる演出が行われる。このような扉閉演出は、それまでの表示画面を一旦覆い隠すことで、遊技者の目を惹き付ける目的で行われる。なお、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)。」

(ツ)「【0418】
〔変動表示演出〕
図39中(A):第1特別図柄(又は第2特別図柄)の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向(例えば上から下)にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。なお、図示は省略してあるが、上述した花火ゾーンから当該大当り変動に突入した場合、背景画像は花火ゾーンを用いたものとなっており、通常モードから当該大当り変動に突入した場合、背景画像は通常モードを用いたものとなる。」

(テ)「【0430】
図39中(J):そして、例えば第1特別図柄又は第2特別図柄の確定停止表示に略同期して、演出図柄としての結果表示演出についても確定停止表示が行われる。演出図柄の確定停止表示は、例えば左・中・右演出図柄をそれぞれ初期の大きさに復元した状態で行われる。このような確定停止表示を行うことで、最終的な当選種類が演出上で確定したことを遊技者に対して教示することができる。また、この場合に第4図柄Zは、「15ラウンド通常(非確変)大当り」に対応する態様(例えば青表示色)で停止表示される。
【0431】
なお、ここでは「15ラウンド通常大当り」の場合を例に挙げているが、内部抽選の結果が上記の「15ラウンド確変大当り」であれば、リーチ演出を経て左・中・右の演出図柄が同種の組み合わせ(例えば「7」-「7」-「7」)で構成される大当りの態様で停止表示される。また、この場合に第4図柄Zは、「15ラウンド確変大当り」に対応する態様(例えば緑表示色)で停止表示される。」

(ト)「【0451】
ステップS404:表示出力処理では、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して演出内容の基本的な制御情報(例えば、第1特別図柄及び第2特別図柄それぞれの作動記憶数、作動記憶演出パターン番号、先読み予告演出パターン番号、変動演出パターン番号、変動時予告演出番号、背景パターン番号等)を指示する。これにより、演出表示制御装置144(表示制御CPU146及びVDP152)は指示された演出内容に基づいて液晶表示器42による表示動作を制御する(演出実行手段)。」

(ナ)「【0464】
ステップS502:演出図柄変動前処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出を開始するための条件を整える作業を行う。またこの処理において、演出制御CPU126は各種の条件(抽選結果、当選種類、変動パターン等)に応じてリーチ演出の内容を選択したり、予告演出についての演出パターン(先読み予告演出パターン以外のリーチ発生前予告パターン、リーチ発生後予告パターン等)を選択する。その他にも演出制御CPU126は、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態である場合のデモ演出の制御も行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。」

(ニ)図1

上記【0046】の「遊技領域8a内には、・・・可変始動入賞装置28、可変入賞装置30・・・が設置されている」との記載を参酌すると、図1には、遊技領域8a内の下方に設置されている右始動入賞口26、可変始動入賞装置28が図示されている。

(ヌ)図35

上記【0400】の「図35中(A):液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が大きく表示され」との記載、上記【0387】の「第4図柄Z1,Z2については、はずれに対応する態様(・・・白表示色)で停止表示され」との記載、上記【0401】の「図35中(B):液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始され・・・液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1が変動表示され」との記載、上記【0390】の「第4図柄Z1は、その表示色を変化させることで変動表示を表現」との記載、上記【0402】の「図35中(C):・・・第1特別図柄の変動中に表示画の両側から扉(襖)が出現し、中央でぴしゃりと閉じる演出が行われ・・・画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)」との記載を参酌すると、図35には、液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が「4」-「6」-「7」で停止していることが大きく表示されると共に、第4図柄Z1,Z2がはずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され(図35(A))、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始されると共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(B))、第1特別図柄の変動中に表示画の両側から扉(襖)が出現し、中央でぴしゃりと閉じる演出が行われ、演出図柄が消え、代わりに、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)と共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示される(図35(C))ことが図示されている。

上記記載事項(ア)?(ナ)及び上記図示内容(ニ)?(ヌ)より、以下の事項が導かれる。
なお、(a)?(n)は、本願発明の構成A?Nに対応した事項を示している。
(a)上記【0041】には「遊技盤8・・・には遊技領域8a・・・が形成され」と記載されているから、引用文献1には、遊技領域8aが形成された遊技盤8が記載されている。

(b)上記図1には「遊技領域8a内の下方に設置されている右始動入賞口26、可変始動入賞装置28」が図示されている。

(c)上記【0075】には「右始動入賞口スイッチ80、左始動入賞口スイッチ82・・・各始動入賞口スイッチ80,82は、右始動入賞口26、可変始動入賞装置28・・・への遊技球の入賞を検出する」と記載され、上記【0135】には「右始動入賞口スイッチ80又は左始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は・・・第1特別図柄又は第2特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定する」と記載され、上記【0225】には「抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)・・・各乱数は、次の大当り判定処理で内部抽選に使用される」と記載され、上記【0210】には「特別図柄が・・・大当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する」と記載され、上記【0226】には「主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する」と記載されているから、引用文献1には、右始動入賞口26、可変始動入賞装置28への遊技球の入賞を、右始動入賞口スイッチ80、左始動入賞口スイッチ82が検出し、入賞検出信号(ON)が入力されると、第1特別図柄又は第2特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定し、抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)を使用して、通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する大当り判定処理(内部抽選)を実行する主制御CPU72が記載されている。

(d)上記【0210】には「特別図柄が・・・大当りの態様で停止表示されると、・・・通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する」と記載され、上記【0237】には「特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)」と記載され、上記【0052】には「第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は・・・7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示する」と記載され、上記【0142】には「各LEDが・・・図柄の変動表示や停止表示・・・を行う態様・・・で駆動される」と記載されているから、引用文献1には、大当りの態様で停止表示されると、通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)を、変動表示と停止表示を行う態様で7セグメントLED(ドット付き)を駆動して表示する第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35が記載されている。

(e)上記【0261】には「第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(大当り図柄)」と記載され、上記【0210】には「特別図柄が・・・大当りの態様で停止表示されると、・・・通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する」と記載され、上記【0285】には「主制御CPU72は・・・大当り遊技中・・・をセットする」と記載されているから、引用文献1には、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35に特別図柄が大当りの態様で停止表示されると、通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行させる主制御CPU72が記載されている。

(f)上記【0418】には「第1特別図柄(又は第2特別図柄)の変動開始に略同期して、液晶表示器42の・・・左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向(・・・上から下)にスクロールするようにして変動表示演出が開始され」と記載され、上記【0233】には「内部抽選の結果、非当選に該当した場合、・・・「リーチ演出」を発生させてはずれとしたり、「リーチ演出」を発生させずにはずれとしたりする」と記載され、上記【0255】には「内部抽選の結果、・・・大当り(15ラウンド通常大当り又は15ラウンド確変大当り)に該当した場合、・・・「リーチ演出」を発生させて大当りとする制御を行う」と記載されているから、引用文献1には、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始に略同期して、左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向(上から下)にスクロールするようにして変動表示演出が開始され、内部抽選の結果、非当選に該当した場合、「リーチ演出」を発生させてはずれとしたり、「リーチ演出」を発生させずにはずれとしたりし、内部抽選の結果、大当り(15ラウンド通常大当り又は15ラウンド確変大当り)に該当した場合、「リーチ演出」を発生させて大当りとする表示を行う液晶表示器42が記載されている。

(g)上記【0233】には「内部抽選の結果、非当選に該当した場合、・・・「はずれ時変動パターン選択テーブル」には、・・・「非リーチ演出」、「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されており・・・その中からいずれかの変動パターンが選択される」と記載され、上記【0380】には「液晶表示器42に表示される演出」と記載され、上記【0232】には「主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する」と記載され、上記【0255】には「内部抽選の結果、15ラウンド大当り(15ラウンド通常大当り又は15ラウンド確変大当り)に該当した場合、・・・「15ラウンド大当り当選時変動パターン選択テーブル」には、複数種類の「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されており、・・・その中からいずれかの変動パターンが選択される」と記載され、上記【0380】には「液晶表示器42に表示される演出」と記載され、上記【0254】には「主制御CPU72は、大当り時変動パターン決定処理を実行する」と記載されているから、引用文献1には、内部抽選の結果、非当選に該当した場合、液晶表示器42に表示される「非リーチ演出」「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されている「はずれ時変動パターン選択テーブル」の中からいずれかの変動パターンを選択するはずれ時変動パターン決定処理を実行し、内部抽選の結果、15ラウンド大当り(15ラウンド通常大当り又は15ラウンド確変大当り)に該当した場合、液晶表示器42に表示される複数種類の「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されている「15ラウンド大当り当選時変動パターン選択テーブル」の中からいずれかの変動パターンを選択する大当り時変動パターン決定処理を実行する主制御CPU72が記載されている。

(h)上記【0464】には「変動パターン・・・応じてリーチ演出の内容を選択」と記載され、上記【0451】には「演出制御CPU126は演出表示制御装置144・・・に対して・・・指示する・・・演出表示制御装置144・・・は指示された演出内容に基づいて液晶表示器42による表示動作を制御する」と記載されているから、引用文献1には、変動パターンに応じて液晶表示器42による表示動作を制御する演出制御CPU126が記載されている。

(i、j、l)上記図35には「液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が「4」-「6」-「7」で停止していることが大きく表示されると共に、第4図柄Z1,Z2がはずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され(図35(A))、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始されると共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(B))、第1特別図柄の変動中に表示画の両側から扉(襖)が出現し、中央でぴしゃりと閉じる演出が行われ、演出図柄が消え、代わりに、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)と共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示される(図35(C))」ことが図示され、上記【0388】には「第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始され」との記載されているから、引用文献1には、液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が「4」-「6」-「7」で停止していることが大きく表示されると共に、第4図柄Z1,Z2がはずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され(図35(A))、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の演出図柄の列がスクロール変動することで変動表示演出が開始されると共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(B))、第1特別図柄の変動中に表示画の両側から扉(襖)が出現し、中央でぴしゃりと閉じる演出が行われ、演出図柄が消え、代わりに、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)と共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示される(図35(C))ことが記載されている。

(k)上記【0381】には「演出図柄は、・・・数字の「1」?「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっている」と記載されているから、引用文献1には、演出図柄は、数字の「1」?「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっていることが記載されている。

(m)上記【0395】には「第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止する・・・はずれ・・・の・・・場合・・・このとき、第4図柄Z1は、はずれに対応する態様(・・・白表示色)で停止表示され」と記載され、上記【0430】には「第1特別図柄又は第2特別図柄の確定停止表示に略同期して、演出図柄としての結果表示演出についても確定停止表示が行われ・・・また、この場合に第4図柄Zは、「15ラウンド通常(非確変)大当り」に対応する態様(・・・青表示色)で停止表示される」と記載され、上記【0431】には「なお、ここでは「15ラウンド通常大当り」の場合を例に挙げているが、内部抽選の結果が上記の「15ラウンド確変大当り」であれば、・・・第4図柄Zは、「15ラウンド確変大当り」に対応する態様(・・・緑表示色)で停止表示される」と記載されているから、引用文献1には、第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止するとき、第4図柄Z1は、はずれの場合、はずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され、15ラウンド大当りの場合、15ラウンド大当りに対応する態様(青表示色、又は緑表示色)で停止表示されることが記載されている。

(n)上記【0035】には「パチンコ機1」と記載されている。

上記記載事項(ア)?(ナ)、上記図示内容(ニ)?(ヌ)及び上記(a)?(n)の認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる(a?nは、発明の構成を分説するため当審で付与した。)。
「a 遊技領域8aが形成された遊技盤8と、
b 遊技領域8a内の下方に設置されている右始動入賞口26、可変始動入賞装置28と、
c 右始動入賞口26、可変始動入賞装置28への遊技球の入賞を、右始動入賞口スイッチ80、左始動入賞口スイッチ82が検出し、入賞検出信号(ON)が入力されると、第1特別図柄又は第2特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定し、抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)を使用して、通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する大当り判定処理(内部抽選)を実行する主制御CPU72と、
d 大当りの態様で停止表示されると、通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)を、変動表示と停止表示を行う態様で7セグメントLED(ドット付き)を駆動して表示する第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35と、
e 第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35に特別図柄が大当りの態様で停止表示されると、通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行させる主制御CPU72と、
f 第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始に略同期して、左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向(上から下)にスクロールするようにして変動表示演出が開始され、内部抽選の結果、非当選に該当した場合、「リーチ演出」を発生させてはずれとしたり、「リーチ演出」を発生させずにはずれとしたりし、内部抽選の結果、大当り(15ラウンド通常大当り又は15ラウンド確変大当り)に該当した場合、「リーチ演出」を発生させて大当りとする表示を行う液晶表示器42と、
g 内部抽選の結果、非当選に該当した場合、液晶表示器42に表示される「非リーチ演出」「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されている「はずれ時変動パターン選択テーブル」の中からいずれかの変動パターンを選択するはずれ時変動パターン決定処理を実行し、内部抽選の結果、15ラウンド大当り(15ラウンド通常大当り又は15ラウンド確変大当り)に該当した場合、液晶表示器42に表示される複数種類の「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されている「15ラウンド大当り当選時変動パターン選択テーブル」の中からいずれかの変動パターンを選択する大当り時変動パターン決定処理を実行する主制御CPU72と、
h 変動パターンに応じて液晶表示器42による表示動作を制御する演出制御CPU126と、を備え、
i、j、l 液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が「4」-「6」-「7」で停止していることが大きく表示されると共に、第4図柄Z1,Z2がはずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され(図35(A))、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の演出図柄の列がスクロール変動することで変動表示演出が開始されると共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(B))、第1特別図柄の変動中に表示画の両側から扉(襖)が出現し、中央でぴしゃりと閉じる演出が行われ、演出図柄が消え、代わりに、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)と共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(C))、
k 演出図柄は、数字の「1」?「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっており、
m 第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止するとき、第4図柄Z1は、はずれの場合、はずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され、15ラウンド大当りの場合、15ラウンド大当りに対応する態様(青表示色、又は緑表示色)で停止表示される
n パチンコ機1。」

2 引用文献2
当審における拒絶の理由(令和1年7月30日付け拒絶理由通知書)に引用文献2として引用された本願の出願遡及日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、“CR ぱちんこキン肉マン 夢の超人タッグ編”,
youtube,2014年 5月23日,0分06秒?0分41秒,[2018年4月2日検索],URL,https://www.youtube.com/watch?v=jL7vB8HsjMI
(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記録されていると認定することができる。

(ア)

9秒のタイミングで、表示装置中央の広い領域に、「616」の3桁の図柄(6は、数字部分とキャラクター部分を有する)が表示されている。
また、この画像は、2014年5月23日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「CRぱちんこキン肉マン夢の超人タッグ編」というパチンコ機の機種のYouTubeの動画の画像である。

(イ)

10秒のタイミングで、表示装置左下の狭い領域に、変動表示中の3桁の図柄が表示されている。

(ウ)

40秒のタイミングで、表示装置中央の広い領域に、「676」の3桁の図柄(6、7は、数字部分とキャラクター部分を有する)が表示されるとともに、表示装置右下の狭い領域に、「676」の3桁の図柄が表示されている。

上記(ア)?(ウ)に記録された内容から、引用文献2には、次の事項が開示されていると認められる。
「表示装置中央の広い領域に、「616」の3桁の図柄(6は、数字部分とキャラクター部分を有する)や、「676」の3桁の図柄(6、7は、数字部分とキャラクター部分を有する)が表示され、
表示装置左下の狭い領域に、変動表示中の3桁の図柄が表示され、
表示装置右下の狭い領域に、「676」の3桁の図柄が表示される、
「CRぱちんこキン肉マン 夢の超人タッグ編」というパチンコ機。」(以下、「引用文献2に記載された事項」という。)

3 引用文献3
当審における拒絶の理由(令和1年7月30日付け拒絶理由通知書)に引用文献3として引用された本願の出願遡及日前に頒布された特開2006-181181号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0005】
本発明において、主制御基板は始動口に遊技球が進入したことに起因して主制御基板で当たり外れの判定(当否判定)を行い、またその当否判定の結果を変動表示後に確定表示される特別図柄で表示(特別図柄表示手段)するための制御を行う構成とする。そして、主制御基板による当否判定が当たりであると(当たりを示す特別図柄が確定表示されるのを待って)、遊技者に有利な特別遊技を行う(特別遊技実行手段)。」

(イ)「【0027】
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機1の遊技盤2には複合型の表示装置3が取り付けられている。
図2に拡大して示すように、表示装置3は7セグメントLEDの特別図柄表示器11(特別図柄表示手段)、4個のLEDからなる第2特別図柄保留表示器12、液晶表示装置である第1疑似図柄表示器23(第1疑似図柄表示手段)、第2疑似図柄表示器13(第2疑似図柄表示手段)にて構成される。
【0028】
そして、図1に示すように、表示装置3の下方には電動チューリップの始動口14が設置されている。また、表示装置3の横には普通図柄始動口となるゲート15が設置されており、遊技球がゲート15を通過したことによる普通図柄抽選で当たりになると表示部10の下方の電動チューリップが開放される。
さらに、遊技盤2の下部には、中央部の大入賞口30と左右の普通入賞口31とを備える大入賞装置32が設置されている。」

(ウ)「【0033】
統合基板46は、主制御装置40から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを図柄制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、各制御部位(図柄制御装置、音制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、図柄制御装置としての機能部は、図柄制御用のデータに基づいて、第1疑似図柄表示器13及び第2疑似図柄表示器23の表示を制御し、音制御装置としての機能部は、音制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって特別図柄保留表示器12の各種LEDや各種ランプを制御する。このように構成することで、例えば図柄変動における音、ランプ、第1疑似図柄表示器13及び第2疑似図柄表示器23の演出タイミングの同調をはかることができる。
【0034】
次に、パチンコ機1の動作を主制御装置40及び統合基板46が実行する制御処理に従って説明する。
まず図4により変動パターン決定処理を説明する。この処理においては、主制御装置40は当否抽選・判定処理(S12)を行う。当否抽選・判定処理(S12)は始動口14への入賞を起因して行われる。
【0035】
その処理は公知のパチンコ機における大当たり抽選処理と同様であり、始動口14への入賞が検出されると、そのときに保留満杯でなければ大当たり抽選用の乱数等(変動時間決定用乱数)を読み込んで(S11)、一旦保留記憶としてRAMに記憶する。そして、保留記憶の中の一番古いデータを読み出して(そのデータはRAMから消去)、これを当たり判定テーブルに記録されている当たり値と照合する。大当たり抽選用の乱数が当たり値のいずれかと一致すれば当たり、そうでなければ外れである。」

(エ)「【0041】
主制御装置40がS13で送信した変動時間と抽選結果を受信し(S31)、変動時間に基づいて第1疑似図柄表示部で表示するの変動パターンを決定し(S32)、主制御装置40から送られてきた抽選結果とS32で決定された第1疑似図柄の変動パターンに基づき、第2疑似図柄表示器で表示する変動パターンを決定する(S33)。そして、S32で決定された変動パターンとS31で受信した抽選結果をもとに第1疑似図柄で確定表示する図柄の種類を作成する(S34)。送信された抽選結果のデータがハズレである場合は(S34、NO)、遊技者が当たりと認識しない図柄の組み合わせで確定表示可能な図柄の組み合わせを作成し(S35)、抽選結果が当たりであった場合及び送信された当たり内容の何れかが送信された場合は(S34、YES)、遊技者が当たり及び当たりの種類を認識可能な図柄の組み合わせで表示可能な図柄の組み合わせを作成する(S36)。そして、S33で決定された変動パターンとS35、S36で決定された第1疑似図柄の確定表示図柄とS31で受信した抽選結果をもとに第2疑似図柄で確定表示する図柄の種類を作成する(S37)。送信された抽選結果のデータがハズレである場合は、遊技者が当たりと認識しない図柄の組み合わせで確定表示可能な図柄の組み合わせ又はストーリ未達成画像を作成し(S38)、抽選結果が当たりであった場合及び送信された当たり内容の何れかが送信された場合は、遊技者が当たり及び当たりの種類を認識可能な図柄の組み合わせで表示可能な図柄の組み合わせ又はストーリ達成画像を作成し(S39)、各表示装置に表示する。
【0042】
主制御装置40及び統合基板46が、それぞれ図4、図5、図6に示した変動パターン決定処理を行うことにより、図7に示す通りの変動表示が行われる。
まず、特別図柄、疑似図柄の変動表示が行われて確定表示(変動終了)となる構成は従来と同様である。特別図柄(c)と第1疑似図柄(b)と第2疑似図柄(a)の変動表示が開始されるタイミング(変動開始)、確定表示するタイミング(変動終了)は前回変動及び次変動に係わることないように、ほぼ同一が望ましいが、変動表示演出において、抽選結果が遊技者に認識されるタイミング(図柄仮確定表示)は、必ずしも同一である必要はない。
【0043】
同一でない場合の変動表示演出において抽選結果が遊技者に認識されるタイミング(図柄仮確定表示)は、演出の自由度が高い第2疑似図柄(a)が一番早い構成とすることが望ましい。すなわち遊技者が抽選の結果を最初に得られる表示部は、遊技進行における最大の興趣の対象となる第2疑似図柄(c)である。
【0044】
図7の具体的な表示例を示すと、図8のようになる。
始動口14に遊技球が入球し、特別図柄表示装置11の特別図柄(c)と第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)と第2疑似図柄表示器23第2疑似図柄(a)がほぼ同時に変動開始となる。なお、この例では抽選は当たりである。
【0045】
特別図柄表示装置11、第1疑似図柄表示器13、第2疑似図柄表示器23とも変動表示が進行して、第2疑似図柄表示器23ではリーチ表示になる。
やがて第2疑似図柄表示器23では遊技者が大当たりと認識できる(ここでは333)が表示(仮確定表示)がされる(この時点ではまだ変動終了の確定状態ではない)が、その時点では特別図柄表示装置11、第1疑似図柄表示器13ではまだ図柄が変動している表示を行う。なお、疑似図柄を仮停止状態で表示する場合、遊技者が当該変動が当たりとなることを認識できれば良く、その表示位置やサイズを特に定義する条件はない。
【0046】
当否抽選が大当たりであったので第2疑似図柄表示器23で大当たりを示す確定表示がなされるのと同時に、特別図柄表示装置11と第1疑似図柄表示器13も同時に大当たりを示す画像で確定表示される。
確定表示がなされると、その後大当たり遊技遊技が開始される。図9で示すように、第2疑似図柄表示器23には大当たり遊技に関する情報(大当たりした図柄の表示333(40)やラウンド数(41)、カウント数(42)等)が表示される。特別図柄表示装置11,第1疑似図柄表示器13は変動中でないことを示す大当たり遊技中用の表示を行う。
【0047】
なお、図10に示すように、大当たり遊技中の大当たり遊技に関する情報(大当たりした図柄の表示3(40)やラウンド数(41)等の各種表示は第2疑似図柄表示器23以外で行う構成としても良い。例えば、大当たりした図柄の表示である3の表示は特別図柄表示器11で表示し、ラウンド数は第1疑似図柄表示器13で表示する構成としても良い。このような構成とすることで、図10に示すように第2疑似図柄表示器23では、その画面全般をフルに活用してアニメーション表示43や動画のムービー表示を行うことなどもできる。
[表示装置及び表示形態の変形例1]
・・・
【0049】
表示部50は主制御器板30で直接制御される特別図柄表示器11(特別図柄表示手段)と4個のLEDからなる特別図柄保留表示器12で構成され、また、表示部51はサブ統合基板図柄制御基板で制御される第1疑似図柄表示器13(第1疑似図柄表示手段)と第2疑似図柄表示器23(第2疑似図柄表示手段)で構成されているのでコネクタの配線を簡略できる。
[表示装置及び表示形態の変形例2]」

(オ)図1

上記【0028】の「図1に示すように、・・・電動チューリップの始動口14が設置されている・・・ゲート15が設置されており、遊技球がゲート15を通過した・・・遊技盤2の下部には・・・大入賞装置32が設置されている」との記載を参酌すると、図1には、電動チューリップの始動口14、遊技球が通過するゲート15、大入賞装置32が設置された遊技盤2が図示されている。

(カ)図11

上記【0044】の「第2疑似図柄表示器23第2疑似図柄(a)」との記載、上記【0042】の「疑似図柄の変動表示が行われ・・・第2疑似図柄(a)」との記載を参酌すると、図11には、第2疑似図柄表示器23に表示される第2疑似図柄(a)は、図柄の種類を示す数字部分を有していることが図示されている。

また、上記【0044】の「第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)」との記載、上記【0042】の「疑似図柄の変動表示が行われ・・・第1疑似図柄(b)」との記載を参酌すると、図11には、第1疑似図柄表示器13に表示される第1疑似図柄(b)は、図柄の種類を示す数字部分を有する3桁の図柄で構成されていることが図示されている。

上記記載事項(ア)?(エ)及び上記図示内容(オ)?(カ)より、以下の事項が導かれる。
なお、(a)?(n)は、本願発明の構成A?Nに対応した事項を示している。
(a、b)上記図1には「電動チューリップの始動口14、遊技球が通過するゲート15、大入賞装置32が設置された遊技盤2」が図示されている。

(c)上記【0035】には「始動口14への入賞が検出されると、・・・大当たり抽選用の乱数等(変動時間決定用乱数)を読み込んで(S11)、・・・大当たり抽選用の乱数が当たり値のいずれかと一致すれば当たり・・・である」と記載され、上記【0005】には「主制御基板による当否判定が当たりであると・・・遊技者に有利な特別遊技を行う」と記載され、上記【0034】には「主制御装置40は当否抽選・判定処理(S12)を行う」と記載されているから、引用文献3には、始動口14への入賞が検出されると、大当たり抽選用の乱数等(変動時間決定用乱数)を読み込み(S11)、大当たり抽選用の乱数が当たり値のいずれかと一致すれば大当たりにし、遊技者に有利な特別遊技を行う主制御装置40が記載されている。

(d)上記【0042】には「特別図柄・・・の変動表示が行われ・・・特別図柄(c)」と記載され、上記【0044】には「特別図柄表示装置11の特別図柄(c)」と記載され、上記【0046】には「当否抽選が大当たりであったので・・・特別図柄表示装置11・・・大当たりを示す画像で確定表示される」と記載されているから、引用文献3には、特別図柄(c)の変動表示が行われ、当否抽選が大当たりであると、大当たりを示す画像で確定表示される特別図柄表示装置11が記載されている。

(e)上記【0035】には「大当たり抽選用の乱数が当たり値のいずれかと一致すれば当たり・・・である」と記載され、上記【0046】には「当否抽選が大当たりであったので・・・特別図柄表示装置11・・・大当たりを示す画像で確定表示される」と記載され、上記【0005】には「主制御基板による当否判定が当たりであると・・・遊技者に有利な特別遊技を行う」と記載され、上記【0034】には「主制御装置40は当否抽選・判定処理(S12)を行う」と記載されているから、引用文献3には、大当たり抽選用の乱数が当たり値のいずれかと一致すれば大当たりにし、特別図柄表示装置11に大当たりを示す画像が確定表示され、遊技者に有利な特別遊技を行う主制御装置40が記載されている。

(f)上記【0041】には「変動時間と抽選結果を受信し・・・第1疑似図柄表示部で表示するの変動パターンを決定し」と記載され、上記【0042】には「疑似図柄の変動表示が行われ・・・第1疑似図柄(b)」と記載され、上記【0044】には「第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)」と記載され、上記【0041】には「抽選結果と・・・決定された第1疑似図柄の変動パターンに基づき、第2疑似図柄表示器で表示する変動パターンを決定する」と記載され、上記【0043】には「演出の自由度が高い第2疑似図柄(a)」と記載され、上記【0042】には「疑似図柄の変動表示が行われ・・・第2疑似図柄(a)」と記載され、上記【0044】には「第2疑似図柄表示器23第2疑似図柄(a)」と記載され、上記【0049】には「表示部50・・・第1疑似図柄表示器13・・・と第2疑似図柄表示器23・・・で構成されている」と記載されているから、引用文献3には、変動時間と抽選結果を受信し、決定した変動パターンの第1疑似図柄(b)の変動表示を行う第1疑似図柄表示器13と、抽選結果と決定された第1疑似図柄(b)の変動パターンに基づき決定した変動パターンの演出の自由度が高い第2疑似図柄(a)の変動表示を行う第2疑似図柄表示器23と、で構成される表示部50が記載されている。

(g)上記【0041】には「変動時間と抽選結果を受信し・・・第1疑似図柄表示部で表示するの変動パターンを決定し」と記載され、上記【0044】には「第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)」と記載され、上記【0041】には「抽選結果と・・・決定された第1疑似図柄の変動パターンに基づき、第2疑似図柄表示器で表示する変動パターンを決定する」と記載され、上記【0044】には「第2疑似図柄表示器23第2疑似図柄(a)が・・・変動開始となる」と記載され、上記【0043】には「演出の自由度が高い第2疑似図柄(a)」と記載され、上記【0045】には「第2疑似図柄表示器23ではリーチ表示になる・・・第2疑似図柄表示器23では・・・仮確定表示・・・がされ」と記載され、上記【0046】には「第2疑似図柄表示器23で・・・確定表示がなされる」と記載され、上記【0033】には「統合基板46は・・・第1疑似図柄表示器13及び第2疑似図柄表示器23の表示を制御」と記載されているから、引用文献3には、変動時間と抽選結果を受信し、第1疑似図柄表示部13で表示する第1疑似図柄(b)の変動パターンを決定し、抽選結果と決定された第1疑似図柄(b)の変動パターンに基づき、第2疑似図柄表示器23で表示する演出の自由度が高い第2疑似図柄(a)の、変動開始となり、リーチ表示になり、仮確定表示がされ、確定表示がなされる、変動パターンを決定する統合基板46が記載されている。

(h)上記【0044】には「第2疑似図柄表示器23第2疑似図柄(a)」と記載され、上記【0041】には「第2疑似図柄表示器で表示する変動パターンを決定する」と記載され、上記【0044】には「第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)」と記載され、上記【0041】には「第1疑似図柄表示部で表示するの変動パターンを決定し」と記載され、上記【0033】には「統合基板46は・・・第1疑似図柄表示器13及び第2疑似図柄表示器23の表示を制御」と記載されているから、引用文献3には、第2疑似図柄(a)を決定した変動パターンで第2疑似図柄表示器23に表示し、第1疑似図柄(b)を決定した変動パターンで第1疑似図柄表示器13に表示するように制御する統合基板46が記載されている。

(i)上記【0049】には「表示部50・・・第1疑似図柄表示器13・・・と第2疑似図柄表示器23・・・で構成されている」と記載され、上記【0042】には「疑似図柄の変動表示が行われ・・・第1疑似図柄(b)と第2疑似図柄(a)」と記載され、上記【0044】には「第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)と第2疑似図柄表示器23第2疑似図柄(a)」と記載されているから、引用文献3には、表示部50は、第2疑似図柄表示器23で第2疑似図柄(a)の変動表示を行い、第1疑似図柄表示器13で第1疑似図柄(b)の変動表示を行うことが記載されている。

(j)上記【0044】には「第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)と第2疑似図柄表示器23第2疑似図柄(a)がほぼ同時に変動開始となる」と記載され、上記【0046】には「第2疑似図柄表示器23で・・・確定表示がなされるのと同時に、第1疑似図柄表示器13も・・・確定表示される」と記載されているから、引用文献3には、第2疑似図柄表示器23の第2疑似図柄(a)と第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)がほぼ同時に変動開始となり、第2疑似図柄表示器23で確定表示がなされるのと同時に、第1疑似図柄表示器13も確定表示されることが記載されている。

(k)上記図11には「第2疑似図柄表示器23に表示される第2疑似図柄(a)は、図柄の種類を示す数字部分を有している」ことが図示されている。

(m)上記図11には「第1疑似図柄表示器13に表示される第1疑似図柄(b)は、図柄の種類を示す数字部分を有する3桁の図柄で構成されている」ことが図示され、上記【0044】には「特別図柄表示装置11の特別図柄(c)と第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)・・・がほぼ同時に変動開始となる・・・この例では抽選は当たりである」と記載され、上記【0045】には「疑似図柄を仮停止状態で表示する場合、遊技者が当該変動が当たりとなることを認識でき」と記載され、上記【0046】には「当否抽選が大当たりであったので・・・特別図柄表示装置11と第1疑似図柄表示器13も同時に大当たりを示す画像で確定表示される」と記載されているから、引用文献3には、第1疑似図柄表示器13に表示される第1疑似図柄(b)は、図柄の種類を示す数字部分を有する3桁の図柄で構成され、特別図柄表示装置11の特別図柄(c)と第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)がほぼ同時に変動開始し、抽選が大当たりであると、第1疑似図柄(b)を仮停止状態で表示する場合、遊技者が当該変動が当たりとなることを認識でき、特別図柄表示装置11と第1疑似図柄表示器13が同時に大当たりを示す画像で確定表示されることが記載されている。

(n)上記【0027】には「パチンコ機1」と記載されている。

上記記載事項(ア)?(エ)、上記図示内容(オ)?(カ)及び上記(a)?(n)の認定事項から、引用文献3には、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる(a?nは、発明の構成を分説するため当審で付与した。)。
「a、b 電動チューリップの始動口14、遊技球が通過するゲート15、大入賞装置32が設置された遊技盤2と、
c 始動口14への入賞が検出されると、大当たり抽選用の乱数等(変動時間決定用乱数)を読み込み(S11)、大当たり抽選用の乱数が当たり値のいずれかと一致すれば大当たりにし、遊技者に有利な特別遊技を行う主制御装置40と、
d 特別図柄(c)の変動表示が行われ、当否抽選が大当たりであると、大当たりを示す画像で確定表示される特別図柄表示装置11と、
e 大当たり抽選用の乱数が当たり値のいずれかと一致すれば大当たりにし、特別図柄表示装置11に大当たりを示す画像が確定表示され、遊技者に有利な特別遊技を行う主制御装置40と、
f 変動時間と抽選結果を受信し、決定した変動パターンの第1疑似図柄(b)の変動表示を行う第1疑似図柄表示器13と、抽選結果と決定された第1疑似図柄(b)の変動パターンに基づき決定した変動パターンの演出の自由度が高い第2疑似図柄(a)の変動表示を行う第2疑似図柄表示器23と、で構成される表示部50と、
g 変動時間と抽選結果を受信し、第1疑似図柄表示部13で表示する第1疑似図柄(b)の変動パターンを決定し、抽選結果と決定された第1疑似図柄(b)の変動パターンに基づき、第2疑似図柄表示器23で表示する演出の自由度が高い第2疑似図柄(a)の、変動開始となり、リーチ表示になり、仮確定表示がされ、確定表示がなされる、変動パターンを決定する統合基板46と、
h 第2疑似図柄(a)を決定した変動パターンで第2疑似図柄表示器23に表示し、第1疑似図柄(b)を決定した変動パターンで第1疑似図柄表示器13に表示するように制御する統合基板46と、を備え、
i 表示部50は、第2疑似図柄表示器23で第2疑似図柄(a)の変動表示を行い、第1疑似図柄表示器13で第1疑似図柄(b)の変動表示を行い、
j 第2疑似図柄表示器23の第2疑似図柄(a)と第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)がほぼ同時に変動開始となり、第2疑似図柄表示器23で確定表示がなされるのと同時に、第1疑似図柄表示器13も確定表示され、
k 第2疑似図柄表示器23に表示される第2疑似図柄(a)は、図柄の種類を示す数字部分を有し、
m 第1疑似図柄表示器13に表示される第1疑似図柄(b)は、図柄の種類を示す数字部分を有する3桁の図柄で構成され、特別図柄表示装置11の特別図柄(c)と第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)がほぼ同時に変動開始し、抽選が大当たりであると、第1疑似図柄(b)を仮停止状態で表示する場合、遊技者が当該変動が当たりとなることを認識でき、特別図柄表示装置11と第1疑似図柄表示器13が同時に大当たりを示す画像で確定表示される
n パチンコ機1。」

第5 理由1-1(進歩性)について
1 対比、判断
本願発明と引用発明1とを対比する。

(a)引用発明1の「遊技領域8aが形成された遊技盤8」は、本願発明の「遊技領域が形成された遊技盤」に相当する。

(b)引用発明1の「右始動入賞口26」及び「可変始動入賞装置28」は、本願発明の「始動入賞口」に相当する。
したがって、引用発明1の「遊技領域8a内の下方に設置されている右始動入賞口26、可変始動入賞装置28」は、
本願発明の「前記遊技領域の所定位置に設けられる始動入賞口」に相当する。

(c)引用発明1の「抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)」、「通常状態」、「大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)」、「大当り判定処理(内部抽選)」、「主制御CPU72」は、それぞれ、本願発明の「抽選値」、「通常遊技」、「遊技者に有利な状態である特別遊技」、「当否判定」、「当否判定手段」に相当する。
また、引用発明1は、「右始動入賞口26、可変始動入賞装置28への遊技球の入賞を、右始動入賞口スイッチ80、左始動入賞口スイッチ82が検出」すると、「内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定し、抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)を使用して」、「大当り判定処理(内部抽選)を実行する」ものであるから、「抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)」(抽選値)は、「右始動入賞口26、可変始動入賞装置28」(始動入賞口)「への遊技球の入賞を」契機として取得されているといえる。
したがって、引用発明1の「右始動入賞口26、可変始動入賞装置28への遊技球の入賞を、右始動入賞口スイッチ80、左始動入賞口スイッチ82が検出し、入賞検出信号(ON)が入力されると、第1特別図柄又は第2特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定し、抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)を使用して、通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する大当り判定処理(内部抽選)を実行する主制御CPU72」は、
本願発明の「前記始動入賞口への入球を契機として取得される抽選値に基づいて、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否判定を実行する当否判定手段」に相当する。

(d)引用発明1の「特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)」、「第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35」は、それぞれ、本願発明の「特別図柄」、「特別図柄表示装置」に相当する。
したがって、引用発明1の「大当りの態様で停止表示されると、通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)を、変動表示と停止表示を行う態様で7セグメントLED(ドット付き)を駆動して表示する第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35」は、
本願発明の「前記当否判定の結果を示すための特別図柄が変動表示される特別図柄表示装置」に相当する。

(e)引用発明1の「主制御CPU72」は、本願発明の「特別遊技制御手段」に相当する。
したがって、引用発明1の「第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35に特別図柄が大当りの態様で停止表示されると、通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行させる主制御CPU72」は、
本願発明の「前記当否判定が前記特別遊技へ移行させる結果となったことを示す特別図柄が前記特別図柄表示装置に停止表示された場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段」に相当する。

(f)引用発明1の「液晶表示器42」は、本願発明の「演出表示装置」に相当する。
また、引用発明1は、「「リーチ演出」を発生させてはずれとしたり」、「「リーチ演出」を発生させて大当りと」したりするから、当否判定の結果に基づいて演出的な内容が表示されるといえる。
したがって、引用発明1の「第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始に略同期して、左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向(上から下)にスクロールするようにして変動表示演出が開始され、内部抽選の結果、非当選に該当した場合、「リーチ演出」を発生させてはずれとしたり、「リーチ演出」を発生させずにはずれとしたりし、内部抽選の結果、大当り(15ラウンド通常大当り又は15ラウンド確変大当り)に該当した場合、「リーチ演出」を発生させて大当りとする表示を行う液晶表示器42」は、
本願発明の「前記当否判定の結果に基づいて演出的な内容が表示される演出表示装置」に相当する。

(g)引用発明1の「「はずれ時変動パターン選択テーブル」」に「規定されている」「「非リーチ演出」「リーチ演出」に対応した変動パターン」、及び「「15ラウンド大当り当選時変動パターン選択テーブル」」に「規定されている」「「リーチ演出」に対応した変動パターン」に基づく「非リーチ演出」「リーチ演出」では、引用発明1の特定事項(i、j、l)である「第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の演出図柄の列がスクロール変動することで変動表示演出が開始されると共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(B))、第1特別図柄の変動中に表示画の両側から扉(襖)が出現し、中央でぴしゃりと閉じる演出が行われ、演出図柄が消え、代わりに、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)と共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(C))」ると共に、引用発明1の特定事項(m)である「第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止するとき、第4図柄Z1は、はずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され、15ラウンド大当りの場合、第4図柄Zは、15ラウンド大当りに対応する態様(青表示色、又は緑表示色)で停止表示される」。
また、引用発明1の「演出図柄」、「画面の左上隅位置で」の「縮小した状態」の「演出図柄」、「第4図柄Z1」は、本願発明の「演出図柄」に相当すると共に、引用発明1の「演出図柄」、「画面の左上隅位置で」の「縮小した状態」の「演出図柄」、「第4図柄Z1」(演出図柄)は、上記特定事項(i、j、l)及び上記特定事項(m)に記載されているように、それぞれ、変動表示過程が定められているといえる。
これらのことから、引用発明1の「「はずれ時変動パターン選択テーブル」」に「規定されている」「「非リーチ演出」「リーチ演出」に対応した変動パターン」、及び「「15ラウンド大当り当選時変動パターン選択テーブル」」に「規定されている」「「リーチ演出」に対応した変動パターン」は、本願発明の「前記当否判定の結果を前記演出表示装置にて演出的に示す演出図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動演出パターン」に相当する。
そして、引用発明1の「主制御CPU72」は、本願発明の「演出決定手段」に相当する。
したがって、引用発明1の「内部抽選の結果、非当選に該当した場合、液晶表示器42に表示される「非リーチ演出」「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されている「はずれ時変動パターン選択テーブル」の中からいずれかの変動パターンを選択するはずれ時変動パターン決定処理を実行し、内部抽選の結果、15ラウンド大当り(15ラウンド通常大当り又は15ラウンド確変大当り)に該当した場合、液晶表示器42に表示される複数種類の「リーチ演出」に対応した変動パターンが規定されている「15ラウンド大当り当選時変動パターン選択テーブル」の中からいずれかの変動パターンを選択する大当り時変動パターン決定処理を実行する主制御CPU72」は、
本願発明の「前記当否判定の結果を前記演出表示装置にて演出的に示す演出図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動演出パターンからいずれかを決定する演出決定手段」に相当する。

(h)引用発明1の「変動パターン」においては、上記(g)において既に検討したように、「演出図柄」、「画面の左上隅位置で」の「縮小した状態」の「演出図柄」、「第4図柄Z1」(演出図柄)が、「液晶表示器42」(演出表示装置)に表示される。
また、引用発明1の「演出制御CPU126」は、本願発明の「演出表示制御手段」に相当する。
したがって、引用発明1の「変動パターンに応じて液晶表示器42による表示動作を制御する演出制御CPU126」は、
本願発明の「前記演出図柄を前記変動演出パターンにしたがって前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段」に相当する。

(i、j)引用発明1の「演出図柄」、「画面の左上隅位置で」の「縮小した状態」の「演出図柄」、「第4図柄Z1、Z2」は、それぞれ、本願発明の「装飾図柄」、「代替図柄」、「簡易図柄」に相当する。
また、引用発明1の「液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始されると共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(B))」ている状態、「演出図柄が消え、代わりに、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)と共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(C))」ている状態は、それぞれ、本願発明の「前記装飾図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合」、「前記代替図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合」に相当する。
しかしながら、引用発明1では、「第4図柄Z1、Z2」(簡易図柄)のみが変動表示される場合があるかについては、記載されていない。
したがって、引用発明1の特定事項i、j、lの「液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が「4」-「6」-「7」で停止していることが大きく表示されると共に、第4図柄Z1,Z2がはずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され(図35(A))、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始されると共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(B))、第1特別図柄の変動中に表示画の両側から扉(襖)が出現し、中央でぴしゃりと閉じる演出が行われ、演出図柄が消え、代わりに、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)と共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(C))」は、
本願発明の特定事項iの「前記演出表示装置に表示される前記演出図柄の変動表示として、装飾図柄の変動表示と、代替図柄の変動表示と、簡易図柄の変動表示と、があり」に相当する特定事項を有していると共に、
本願発明の特定事項jと「前記演出図柄の変動表示として、前記装飾図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合と、前記代替図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合と」「があ」る点で共通している。

(k)引用発明1の「数字の「1」?「9」」、「キャラクターが付された絵札をデザインした」部分は、それぞれ、本願発明の「図柄種類を示す部分」、「付帯して表示される付帯部分」に相当する。
したがって、引用発明1の「演出図柄は、数字の「1」?「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなって」いることは、
本願発明の「前記装飾図柄は、図柄種類を示す部分と付帯して表示される付帯部分とを有」していることに相当する。

(l)引用発明1の「画面の左上隅位置で」の「縮小した状態」の「演出図柄」は、「「1」-「変動中」-「変動中」」(図35(C))という外観で表示されるから、本願発明の「前記簡易図柄は、前記装飾図柄の図柄種類を示す部分に対応した外観上の表示形態を有する複数の図柄で構成され」ることに相当する特定事項を有している。
したがって、引用発明1の特定事項i、j、lの「液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が「4」-「6」-「7」で停止していることが大きく表示されると共に、第4図柄Z1,Z2がはずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され(図35(A))、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始されると共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(B))、第1特別図柄の変動中に表示画の両側から扉(襖)が出現し、中央でぴしゃりと閉じる演出が行われ、演出図柄が消え、代わりに、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)と共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(C))」ることは、
本願発明の特定事項lの「前記代替図柄は、前記装飾図柄の図柄種類を示す部分に対応した外観上の表示形態を有し、前記装飾図柄を非表示とする場合に前記装飾図柄が変動表示される領域よりも狭い領域内において前記装飾図柄の代わりに変動表示され」ることに相当する特定事項を有している。

(m)引用発明1の特定事項i、j、lには「第1特別図柄の変動開始に同期して・・・第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(B))、第1特別図柄の変動中に・・・第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(C))」と記載されていると共に、引用発明1には「第1特別図柄の停止表示に同期して・・・第4図柄Z1は、はずれの場合、はずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され」と記載されているから、引用発明1の「第4図柄Z1」(簡易図柄)は、特別図柄の変動表示中に常時変動表示されるといえると共に、特別図柄の変動表示中に常時変動表示されることにより特別図柄が変動表示中であることを示唆しているといえる。
また、引用発明1の「第4図柄Z1」(簡易図柄)は、「はずれの場合、はずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され、15ラウンド大当りの場合、第4図柄Zは、15ラウンド大当りに対応する態様(青表示色、又は緑表示色)で停止表示される」から、図柄が停止されることにより当否判定の結果を示唆しているといえる。
しかしながら、引用発明1の「第4図柄Z1、Z2」(簡易図柄)は、複数の図柄で構成されていない。
したがって、引用発明1の「第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止するとき、第4図柄Z1は、はずれの場合、はずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され、15ラウンド大当りの場合、15ラウンド大当りに対応する態様(青表示色、又は緑表示色)で停止表示される」ことは、
本願発明と「前記簡易図柄は、」「前記特別図柄の変動表示中に常時変動表示されることにより前記特別図柄が変動表示中であることを示唆」する点で共通している。

(n)引用発明1の「パチンコ機1」は、本願発明の「弾球遊技機」に相当する。

上記(a)?(n)から、本願発明と引用発明1とは、
[一致点]
「A 遊技領域が形成された遊技盤と、
B 前記遊技領域の所定位置に設けられる始動入賞口と、
C 前記始動入賞口への入球を契機として取得される抽選値に基づいて、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否判定を実行する当否判定手段と、
D 前記当否判定の結果を示すための特別図柄が変動表示される特別図柄表示装置と、
E 前記当否判定が前記特別遊技へ移行させる結果となったことを示す特別図柄が前記特別図柄表示装置に停止表示された場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
F 前記当否判定の結果に基づいて演出的な内容が表示される演出表示装置と、
G 前記当否判定の結果を前記演出表示装置にて演出的に示す演出図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動演出パターンからいずれかを決定する演出決定手段と、
H 前記演出図柄を前記変動演出パターンにしたがって前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段と、を備え、
I 前記演出表示装置に表示される前記演出図柄の変動表示として、装飾図柄の変動表示と、代替図柄の変動表示と、簡易図柄の変動表示と、があり、
J’ 前記演出図柄の変動表示として、前記装飾図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合と、前記代替図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合とがあり、
K 前記装飾図柄は、図柄種類を示す部分と付帯して表示される付帯部分とを有し、
L 前記代替図柄は、前記装飾図柄の図柄種類を示す部分に対応した外観上の表示形態を有し、前記装飾図柄を非表示とする場合に前記装飾図柄が変動表示される領域よりも狭い領域内において前記装飾図柄の代わりに変動表示され、
M’ 前記簡易図柄は、前記特別図柄の変動表示中に常時変動表示されることにより前記特別図柄が変動表示中であることを示唆する
N 弾球遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1](特定事項J)
「前記装飾図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合と、前記代替図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合と」「があ」る「前記演出図柄の変動表示」に関して、
本願発明は「前記装飾図柄および前記代替図柄を非表示にして前記簡易図柄が変動表示される場合」「があ」るのに対して、
引用発明1は、「第4図柄Z1、Z2」(簡易図柄)のみが変動表示される場合があるかについては、引用発明1に記載されていないため、そのような特定事項でない点。

[相違点2](特定事項M)
「前記特別図柄の変動表示中に常時変動表示されることにより前記特別図柄が変動表示中であることを示唆」する「前記簡易図柄」に関して、
本願発明は「前記装飾図柄の図柄種類を示す部分に対応した外観上の表示形態を有する複数の図柄で構成され、」「その複数の図柄のすべてが停止表示されることにより前記当否判定の結果を示唆する」のに対して、
引用発明1は、「第4図柄Z1、Z2」(簡易図柄)が、複数の図柄で構成されていないため、そのような構成でない点。

以下、上記相違点について検討する。

(1)相違点1について
演出図柄の変動表示として、簡易図柄のみが変動表示される場合があるようにすることは、特開2013-179958号公報(以下「引用文献4」という。左演出図柄に続いて、その後に右演出図柄が停止表示され、「5」-「変動中」-「5」のリーチ状態が発生すると共に[【0460】、図35(G)]、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1が変動表示されており[図35(G)、【0454】]、リーチ状態が発生してしばらくすると、液晶表示器42の中央部分まで可動体40gが完全に落下する演出が実行され(役物落下演出)、合わせて背景画像として稲妻又は爆発が発生した様子を示す画像が表示されると共に[【0461】、図35(H)]、演出図柄は消えるが、第4図柄Z1は変動表示されており[図35(H)]、これ以降はストーリーリーチ演出に発展し、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されると共に(「5」-「変動中」-「5」)[【0462】、図35(I)]、第4図柄Z1が変動表示されている[図35(H)]、パチンコ機1[【0040】]が記載されている。)、特開2015-58042号公報(以下「引用文献5」という。大当り遊技中に遊技球が確変領域を通過した場合に移行される飛行ラッシュにおいて[【0552】、図54?55]、第4図柄Z1,Z2だけを用いて演出図柄の変動表示及び停止表示を表現する[【0554】、図54?55]パチンコ機1[【0047】]が記載されている。)に記載されているように周知(以下、「周知技術」という。)である。
また、演出図柄の変動表示として、どのような何種類の演出図柄が変動表示される場合を設けるかは、設計的事項にすぎない。
引用発明1の「遊技機1」に上記周知技術を適用して、引用発明1の「演出図柄」(装飾図柄)、「画面の左上隅位置で」の「縮小した状態」の「演出図柄」(代替図柄)を非表示にして、「第4図柄Z1、Z2」(簡易図柄)が変動表示される場合があるようにして、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について
上記第4「2 引用文献2」において検討したように、引用文献2には、次の引用文献2に記載された事項が記載されている。
「表示装置中央の広い領域に、「616」の3桁の図柄(6は、数字部分とキャラクター部分を有する)や、「676」の3桁の図柄(6、7は、数字部分とキャラクター部分を有する)が表示され、
表示装置左下の狭い領域に、変動表示中の3桁の図柄が表示され、
表示装置右下の狭い領域に、「676」の3桁の図柄が表示される、
「CRぱちんこキン肉マン 夢の超人タッグ編」というパチンコ機。」

引用文献2に記載された事項は、3つの3桁の図柄を表示するパチンコ機であると共に、「表示装置左下の狭い領域に表示される3桁の図柄」、又は「表示装置右下の狭い領域に表示される3桁の図柄」は、「表示装置中央の広い領域に表示される3桁の図柄」よりも狭い領域に表示されているから、本願発明の「代替図柄」又は「簡易図柄」に相当するといえる。
また、引用文献2に記載された事項の3つの3桁の図柄が表示されている表示装置は、引用発明1の液晶表示器42のような演出用の表示装置であることは明らかである。
それに、上記(m)において既に検討したように、引用発明1の「第4図柄Z1」(簡易図柄)は、図柄が停止されることにより当否判定の結果を示唆しているといえるから、図柄を3桁にしても、図柄が停止されることにより当否判定の結果を示唆しているといえる。
さらに、引用発明1と引用文献2に記載された事項とは、共に演出用の表示装置(液晶表示器)において、3桁の図柄を表示するパチンコ機に関する技術であり、技術分野及び機能が共通している。
したがって、引用文献2に記載された事項の「表示装置左下の狭い領域に表示される3桁の図柄」、及び「表示装置右下の狭い領域に表示される3桁の図柄」は、共に3桁の図柄であるから、引用発明1に引用文献2に記載された事項を適用して、引用発明1の「演出図柄」(装飾図柄)、「画面の左上隅位置で」の「縮小した状態」の「演出図柄」(代替図柄)だけでなく、「第4図柄Z1、Z2」(簡易図柄)も3桁の図柄にして、上記相違点2に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

よって、本願発明は、引用発明1、引用文献2に記載された事項及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

2 請求人の主張について
審判請求人は、令和1年9月27日付け意見書の3.3-1.「(2)理由1-1について」において、以下のように主張している。

引用文献1には、装飾図柄および代替図柄の双方を非表示にして簡易図柄を変動表示させる点について記載されておりません。引用文献1の図34-図41に示される画面例では、画面中央の演出図柄または画面左上の演出図柄のいずれか一方が常時表示されており、双方が同時に非表示となる点について明記されておりません。

しかしながら、上記1「(1)相違点1について」において既に検討したように、演出図柄の変動表示として、簡易図柄のみが変動表示される場合があるようにすることは、周知技術であり、演出図柄の変動表示として、どのような何種類の演出図柄が変動表示される場合を設けるかは、設計的事項にすぎないから、請求人の主張を採用することはできない。

また、請求人は、上記意見書において、以下の主張もしている。

引用文献2では、代替図柄または簡易図柄に相当するとされた表示装置左下または表示装置右下に表示される3桁の図柄は、特別図柄の変動表示中に常時変動表示されるものではありません。引用文献2では、0分10秒頃?4分10秒頃に実行される「友情火事場タイム」において表示装置右下の3桁の図柄が表示されるよう構成されており、0分9秒頃まで、および、4分11秒頃以降(但し4分30分頃を除く)では、画面中央または画面上側の左右に装飾図柄が表示されるのみであり、表示装置左下または表示装置右下に3桁の図柄は表示されません。したがって、引用文献2において表示装置左下または表示装置右下に表示される3桁の図柄は、本願発明の「特別図柄の変動表示中に常時変動表示される簡易図柄」に相当するとは言えません。

しかしながら、上記1(m)において既に検討したように、引用発明1の「第4図柄Z1」(簡易図柄)は、特別図柄の変動表示中に常時変動表示されるものである。また、引用文献2に記載された事項には、3桁の図柄を3つ表示するパチンコ機が記載されているから、引用発明1に引用文献2に記載された事項を適用して、引用発明1の「演出図柄」(装飾図柄)、「画面の左上隅位置で」の「縮小した状態」の「演出図柄」(代替図柄)だけでなく、「第4図柄Z1、Z2」(簡易図柄)も3桁の図柄にすることは、当業者が容易になし得たことにすぎない。それに、引用発明1の「第4図柄Z1、Z2」(簡易図柄)に、引用文献2に記載された事項を適用して、単に3桁にするものであるから、引用発明1の「第4図柄Z1、Z2」(簡易図柄)が特別図柄の変動表示中に常時変動表示されるという構成を変更するものではない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。

第6 理由1-2(進歩性)について
1 対比、判断
本願発明と引用発明3とを対比する。

(a)引用発明3の「電動チューリップの始動口14」、「遊技球が通過するゲート15」及び「大入賞装置32」は、遊技球が入賞又は通過する装置であるから、「遊技盤2」の「始動口14」、「ゲート15」及び「大入賞装置32」が設けられている領域は、遊技領域であるといえる。
したがって、引用発明3の「電動チューリップの始動口14、遊技球が通過するゲート15、大入賞装置32が設置された遊技盤2」は、
本願発明の「遊技領域が形成された遊技盤」に相当する。

(b)引用発明3の「始動口14」は、本願発明の「始動入賞口」に相当する。
また、上記(a)において検討したように、「始動口14」は「遊技盤2」の遊技領域に設けられているから、「始動口14」は遊技領域の所定の位置に設けられているといえる。
したがって、引用発明3の「電動チューリップの始動口14、遊技球が通過するゲート15、大入賞装置32が設置された遊技盤2」は、
本願発明の「前記遊技領域の所定位置に設けられる始動入賞口」に相当する特定事項を有している。

(c)引用発明3の「大当たり抽選用の乱数等(変動時間決定用乱数)」、「主制御装置40」は、それぞれ、本願発明の「抽選値」、「当否判定手段」に相当する。
また、引用発明3の「大当たり」及び「遊技者に有利な特別遊技」は、本願発明の「通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技」に相当する。
したがって、引用発明3の「始動口14への入賞が検出されると、大当たり抽選用の乱数等(変動時間決定用乱数)を読み込み(S11)、大当たり抽選用の乱数が当たり値のいずれかと一致すれば大当たりにし、遊技者に有利な特別遊技を行う主制御装置40」は、
本願発明の「前記始動入賞口への入球を契機として取得される抽選値に基づいて、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否判定を実行する当否判定手段」に相当する。

(d)引用発明3の「特別図柄(c)」、「特別図柄表示装置11」は、それぞれ、本願発明の「特別図柄」、「特別図柄表示装置」に相当する。
したがって、引用発明3の「特別図柄(c)の変動表示が行われ、当否抽選が大当たりであると、大当たりを示す画像で確定表示される特別図柄表示装置11」は、
本願発明の「前記当否判定の結果を示すための特別図柄が変動表示される特別図柄表示装置」に相当する。

(e)引用発明3の「主制御装置40」は、本願発明の「特別遊技制御手段」に相当する。
したがって、引用発明3の「大当たり抽選用の乱数が当たり値のいずれかと一致すれば大当たりにし、特別図柄表示装置11に大当たりを示す画像が確定表示され、遊技者に有利な特別遊技を行う主制御装置40」は、
本願発明の「前記当否判定が前記特別遊技へ移行させる結果となったことを示す特別図柄が前記特別図柄表示装置に停止表示された場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段」に相当する。

(f)引用発明3の「第1疑似図柄表示器13と」「第2疑似図柄表示器23と、で構成される表示部50」は、本願発明の「演出表示装置」に相当する。
また、引用発明3の「第2疑似図柄(a)の変動表示」は「演出の自由度が高い」から、演出的な内容が表示されるといえる。
したがって、引用発明3の「変動時間と抽選結果を受信し、決定した変動パターンの第1疑似図柄(b)の変動表示を行う第1疑似図柄表示器13と、抽選結果と決定された第1疑似図柄(b)の変動パターンに基づき決定した変動パターンの演出の自由度が高い第2疑似図柄(a)の変動表示を行う第2疑似図柄表示器23と、で構成される表示部50」は、
本願発明の「前記当否判定の結果に基づいて演出的な内容が表示される演出表示装置」に相当する。

(g)引用発明3の「第1疑似図柄(b)」、「第2疑似図柄(a)」は、本願発明の「演出図柄」に相当すると共に、引用発明3の「演出の自由度が高い第2疑似図柄(a)の、変動開始となり、リーチ表示になり、仮確定表示がされ、確定表示がなされる、変動パターン」との記載から、引用発明3の少なくとも「第2疑似図柄(a)」は、変動表示過程が定められているといえる。
また、引用発明3の「変動パターンを決定する統合基板46」は、本願発明の「演出決定手段」に相当する。
したがって、引用発明3の「変動時間と抽選結果を受信し、第1疑似図柄表示部13で表示する第1疑似図柄(b)の変動パターンを決定し、抽選結果と決定された第1疑似図柄(b)の変動パターンに基づき、第2疑似図柄表示器23で表示する演出の自由度が高い第2疑似図柄(a)の、変動開始となり、リーチ表示になり、仮確定表示がされ、確定表示がなされる、変動パターンを決定する統合基板46」は、
本願発明の「前記当否判定の結果を前記演出表示装置にて演出的に示す演出図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動演出パターンからいずれかを決定する演出決定手段」に相当する。

(h)引用発明3の「表示するように制御する統合基板46」は、本願発明の「演出表示制御手段」に相当する。
したがって、引用発明3の「第2疑似図柄(a)を決定した変動パターンで第2疑似図柄表示器23に表示し、第1疑似図柄(b)を決定した変動パターンで第1疑似図柄表示器13に表示するように制御する統合基板46」は、
本願発明の「前記演出図柄を前記変動演出パターンにしたがって前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段」に相当する。

(i)引用発明3の「第2疑似図柄(a)」、「第1疑似図柄(b)」は、それぞれ、本願発明の「装飾図柄」、「簡易図柄」に相当する。
しかしながら、引用文献3には、本願発明の「代替図柄」に相当する図柄は記載されていない。
したがって、引用発明3の「表示部50は、第2疑似図柄表示器23で第2疑似図柄(a)の変動表示を行い、第1疑似図柄表示器13で第1疑似図柄(b)の変動表示を行」うことは、
本願発明と「前記演出表示装置に表示される前記演出図柄の変動表示として、装飾図柄の変動表示と、」「簡易図柄の変動表示と、がある」点で共通している。

(j)引用文献3には、「第1疑似図柄(b)」(簡易図柄)のみが変動表示される場合があるかについては記載されておらず、上記(i)において既に検討したように、本願発明の「代替図柄」に相当する図柄も記載されていない。
したがって、引用発明3の「第2疑似図柄表示器23の第2疑似図柄(a)と第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)がほぼ同時に変動開始となり、第2疑似図柄表示器23で確定表示がなされるのと同時に、第1疑似図柄表示器13も確定表示され」ることは、
本願発明と「前記演出図柄の変動表示として、前記装飾図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合」「があ」る点で共通している。

(k)引用発明3は、「図柄の種類を示す数字部分」を有している。
しかしながら、引用文献3には、本願発明の「付帯して表示される付帯部分」に相当する特定事項が記載されていない。
したがって、引用発明3の「第2疑似図柄表示器23に表示される第2疑似図柄(a)は、図柄の種類を示す数字部分を有し」ていることは、
本願発明と「前記装飾図柄は、図柄種類を示す部分」「を有」している点で共通している。

(m)引用発明3の「第2疑似図柄(a)は、図柄の種類を示す数字部分を有し」、引用発明3の「第1疑似図柄(b)は、図柄の種類を示す数字部分を有する3桁の図柄で構成され」ているから、引用発明3の「第1疑似図柄(b)」は、本願発明の「前記簡易図柄は、前記装飾図柄の図柄種類を示す部分に対応した外観上の表示形態を有する複数の図柄で構成され」ることに相当する特定事項を有している。
また、引用発明3は「特別図柄表示装置11の特別図柄(c)と第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)がほぼ同時に変動開始し、」「特別図柄表示装置11と第1疑似図柄表示器13が同時に大当たりを示す画像で確定表示される」から、引用発明3の「第1疑似図柄(b)」(簡易図柄)は、特別図柄(c)(特別図柄)の変動表示中に常時変動表示されるといえると共に、特別図柄(c)(特別図柄)の変動表示中に常時変動表示されることにより特別図柄(c)(特別図柄)が変動表示中であることを示唆しているといえる。
さらに、引用発明3の「第1疑似図柄(b)」(簡易図柄)は、「抽選が大当たりであると、第1疑似図柄(b)を仮停止状態で表示する場合、遊技者が当該変動が当たりとなることを認識でき、特別図柄表示装置11と第1疑似図柄表示器13が同時に大当たりを示す画像で確定表示される」から、引用発明3の「第1疑似図柄(b)」(簡易図柄)は、「仮停止状態」及び「確定表示」により、抽選(当否判定)の結果を示唆しているといえる。
したがって、引用発明3の「第1疑似図柄表示器13に表示される第1疑似図柄(b)は、図柄の種類を示す数字部分を有する3桁の図柄で構成され、特別図柄表示装置11の特別図柄(c)と第1疑似図柄表示器13の第1疑似図柄(b)がほぼ同時に変動開始し、抽選が大当たりであると、第1疑似図柄(b)を仮停止状態で表示する場合、遊技者が当該変動が当たりとなることを認識でき、特別図柄表示装置11と第1疑似図柄表示器13が同時に大当たりを示す画像で確定表示される」ことは、
本願発明の「前記簡易図柄は、前記装飾図柄の図柄種類を示す部分に対応した外観上の表示形態を有する複数の図柄で構成され、前記特別図柄の変動表示中に常時変動表示されることにより前記特別図柄が変動表示中であることを示唆し、その複数の図柄のすべてが停止表示されることにより前記当否判定の結果を示唆する」ことに相当する。

(n)引用発明3の「パチンコ機1」は、本願発明の「弾球遊技機」に相当する。

上記(a)?(n)から、本願発明と引用発明3とは、
[一致点]
「A 遊技領域が形成された遊技盤と、
B 前記遊技領域の所定位置に設けられる始動入賞口と、
C 前記始動入賞口への入球を契機として取得される抽選値に基づいて、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否判定を実行する当否判定手段と、
D 前記当否判定の結果を示すための特別図柄が変動表示される特別図柄表示装置と、
E 前記当否判定が前記特別遊技へ移行させる結果となったことを示す特別図柄が前記特別図柄表示装置に停止表示された場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
F 前記当否判定の結果に基づいて演出的な内容が表示される演出表示装置と、
G 前記当否判定の結果を前記演出表示装置にて演出的に示す演出図柄の変動表示過程が定められた複数種の変動演出パターンからいずれかを決定する演出決定手段と、
H 前記演出図柄を前記変動演出パターンにしたがって前記演出表示装置に表示させる演出表示制御手段と、を備え、
I’ 前記演出表示装置に表示される前記演出図柄の変動表示として、装飾図柄の変動表示と、簡易図柄の変動表示と、があり、
J’ 前記演出図柄の変動表示として、前記装飾図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合があり、
K’ 前記装飾図柄は、図柄種類を示す部分を有し、
M 前記簡易図柄は、前記装飾図柄の図柄種類を示す部分に対応した外観上の表示形態を有する複数の図柄で構成され、前記特別図柄の変動表示中に常時変動表示されることにより前記特別図柄が変動表示中であることを示唆し、その複数の図柄のすべてが停止表示されることにより前記当否判定の結果を示唆する
N 弾球遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1](特定事項I)
「装飾図柄の変動表示と、」「簡易図柄の変動表示と、があ」る「前記演出表示装置に表示される前記演出図柄の変動表示」に関して、
本願発明は「代替図柄の変動表示」「があ」るのに対して、
引用発明3は、引用文献3に「代替図柄」に相当する図柄は記載されていないため、そのような特定事項でない点。

[相違点2](特定事項J)
「前記装飾図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合」がある「前記演出図柄の変動表示」に関して、
本願発明は「前記代替図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合と、前記装飾図柄および前記代替図柄を非表示にして前記簡易図柄が変動表示される場合とがあ」るのに対して、
引用発明3は、引用文献3に「代替図柄」に相当する図柄は記載されておらず、「第1疑似図柄(b)」(簡易図柄)のみが変動表示される場合があるかについて記載されていないため、そのような特定事項でない点。

[相違点3](特定事項K)
「図柄種類を示す部分」「を有」する「前記装飾図柄」に関して、
本願発明は「付帯して表示される付帯部分」「を有し」ているのに対して、
引用発明3は、引用文献3に「付帯して表示される付帯部分」に相当する特定事項が記載されていないため、そのような特定事項でない点。

[相違点4](特定事項L)
本願発明は「前記代替図柄は、前記装飾図柄の図柄種類を示す部分に対応した外観上の表示形態を有し、前記装飾図柄を非表示とする場合に前記装飾図柄が変動表示される領域よりも狭い領域内において前記装飾図柄の代わりに変動表示され」るのに対して、
引用発明3は、引用文献3に「代替図柄」に相当する図柄は記載されていないため、そのような特定事項でない点。

以下、上記相違点について検討する。

(1)相違点1、3?4について
相違点1、3?4は、関連するのでまとめて検討する。

上記第4「1 引用文献1」において既に検討したように、引用文献1には、次の事項が記載されている(以下、「引用文献1に記載された事項」という)。
「i、j、l 液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が「4」-「6」-「7」で停止していることが大きく表示されると共に、第4図柄Z1,Z2がはずれに対応する態様(白表示色)で停止表示され(図35(A))、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の演出図柄の列がスクロール変動することで変動表示演出が開始されると共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(B))、第1特別図柄の変動中に表示画の両側から扉(襖)が出現し、中央でぴしゃりと閉じる演出が行われ、演出図柄が消え、代わりに、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)と共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(C))、
k 演出図柄は、数字の「1」?「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっている、
n パチンコ機1。」

また、引用文献1に記載された事項の「演出図柄」、「画面の左上隅位置で」の「縮小した状態」の「演出図柄」は、それぞれ、本願発明の「装飾図柄」、「代替図柄」に相当する。
引用発明3と引用文献1に記載された事項とは、共に演出用の表示装置において、演出図柄(疑似図柄)を表示するパチンコ機の技術に関するものであり、技術分野及び機能が共通している。
引用発明3の「第2疑似図柄(a)」の代わりに、引用文献1に記載された事項における「演出図柄」(装飾図柄)、及び「演出図柄が消え、代わりに」「画面の左上隅位置で」「縮小した状態で変動表示演出が実行され」る「演出図柄」(代替図柄)を適用して、上記相違点1、3?4に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について
上記引用文献1に記載された事項には、「演出図柄が消え、代わりに、画面の左上隅位置では、演出図柄を縮小した状態で変動表示演出が実行されている(「1」-「変動中」-「変動中」)と共に、液晶表示器42の画面下部では第4図柄Z1がその表示色を変化させることで変動表示され(図35(C))」るようにすることが記載されているから、上記「(1)相違点1、3?4について」において、引用発明3の「第2疑似図柄(a)」の代わりに、引用文献1に記載された事項の「演出図柄」(装飾図柄)、及び「演出図柄が消え、代わりに」「画面の左上隅位置で」「縮小した状態で変動表示演出が実行され」る「演出図柄」(代替図柄)を適用すると、「前記演出図柄の変動表示」として、「前記代替図柄および前記簡易図柄が同時に変動表示される場合」がある特定事項になる。

また、演出図柄の変動表示として、簡易図柄のみが変動表示される場合があるようにすることは、上記第5 1「(1)相違点1について」において既に検討したように、周知技術であると共に、演出図柄の変動表示として、どのような何種類の演出図柄が変動表示される場合を設けるかは、設計的事項にすぎない。
引用発明3の「遊技機1」に上記周知技術を適用して、引用発明3の「演出図柄」(装飾図柄)、「画面の左上隅位置で」の「縮小した状態」の「演出図柄」(代替図柄)を非表示にして、「第4図柄Z1、Z2」(簡易図柄)が変動表示される場合があるようにして、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

よって、本願発明は、引用発明3、引用文献1に記載された事項及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

2 請求人の主張について
審判請求人は、令和1年9月27日付け意見書の3.3-1.「(3)理由1-2について」において、以下のように主張している。

引用文献3では、特別図柄の変動表示中に第2擬似図柄を非表示とする点について何ら開示も示唆もされておりません。また、上述の通り、引用文献1では、装飾図柄と代替図柄の双方を非表示とする点について何ら開示も示唆もされておりません。したがって、引用発明3に引用文献1の構成を適用したとしても、本願発明に特有の「装飾図柄および代替図柄を非表示にして簡易図柄が変動表示される」という発明特定事項を実現することはできず、引用文献3、1に基づいて本願発明の特定事項とすることは当業者が容易になし得たことであるということはできません。

しかしながら、上記1「(2)相違点2について」において既に検討したように、演出図柄の変動表示として、簡易図柄のみが変動表示される場合があるようにすることは、周知技術であり、演出図柄の変動表示として、どのような何種類の演出図柄が変動表示される場合を設けるかは、設計的事項にすぎず、本願発明の「装飾図柄および代替図柄を非表示にして簡易図柄が変動表示される」特定事項とすることは、想到容易であるから、請求人の主張を採用することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明1、引用文献2に記載された事項及び上記周知技術に基づいて、又は引用発明3、引用文献1に記載された事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-10-30 
結審通知日 2019-11-05 
審決日 2019-11-18 
出願番号 特願2017-194219(P2017-194219)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳 重幸  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 瀬津 太朗
赤坂 祐樹
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 三木 友由  
代理人 森下 賢樹  
代理人 村田 雄祐  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ