• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1358566
審判番号 不服2018-10452  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-01 
確定日 2020-01-10 
事件の表示 特願2014-163664「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月22日出願公開、特開2016-36664〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成26年8月11日の出願であって、平成29年9月6日に手続補正書が提出され、同年9月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月24日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年1月22日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年3月30日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年5月15日付け(発送日:同年5月22日)で、同年3月30日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、同年8月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成31年3月1日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月10日に意見書及び手続補正書が提出され、これに対し、当審において、令和1年5月8日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月14日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明(本願発明の認定)

令和1年6月14日付け手続き補正書により補正された本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Jは本願発明を分説するため当審で付した。)。

「【請求項1】
A 遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
B 光を発する複数の発光手段と、
C 前記遊技制御手段による遊技の進行状況に応じて、前記発光手段を発光させることが可能な発光制御手段と、
D 前記発光手段による発光の輝度を記憶する輝度記憶手段と、
E 所定の操作により、前記輝度記憶手段に記憶されている輝度である現輝度を変更可能な輝度変更手段と、を備え、
F 前記輝度記憶手段に記憶されている現輝度は、前記複数の発光手段のうち、所定の発光手段に対して適用され得るように設定されている遊技機において、
G 前記複数の発光手段は、前記遊技制御手段により制御され、予め定められた実行条件を満たすことにより行われる大当たり抽選の結果に応じた変動時間に亘って点滅表示された後、当該大当たり抽選の結果に基づく所定の態様にて点灯表示されることによって当該大当たり抽選に当選したか否かを報知する第1の特定発光手段と、前記第1の特定発光手段以外の前記発光手段であって、前記発光制御手段により制御される前記所定の発光手段とを有するとともに、
H 前記所定の発光手段は、前記変動時間に亘って点滅表示されるとともに、前記大当たり抽選の結果に基づき、前記第1の特定発光手段とは異なる態様にて点灯表示されることによって、当該大当たり抽選に当選したか否かを報知する第2の特定発光手段を有し、
前記発光制御手段は、
I 前記輝度変更手段により前記現輝度が予め定められた初期輝度と異なる輝度に変更されている場合であって、前記遊技が行われないまま予め定められた所定の移行時間が経過することを条件として移行する省電力状態において前記第2の特定発光手段以外の前記所定の発光手段を発光させるときには、当該所定の発光手段を予め定められた特定輝度で発光させるものの、前記省電力状態以外において前記第2の特定発光手段以外の前記所定の発光手段を発光させるときには、当該所定の発光手段を前記現輝度で発光させることが可能であるとともに、
J 前記現輝度が前記初期輝度と異なる輝度に変更されている場合であって、前記所定の発光手段のうちの前記第2の特定発光手段以外を発光させるときには変更後の輝度で発光させ、前記所定の発光手段のうちの前記第2の特定発光手段を発光させるときには変更後の輝度とは異なる輝度で発光させることが可能であることを特徴とする
K 遊技機。」

第3 当審における拒絶の理由

当審が令和1年5月8日付けで通知した拒絶理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

1.特開2013-27429号公報
2.特開2014-128643号公報
3.特開2003-135684号公報

第4 引用文献(引用文献に記載された事項の摘記、主引用文献については、事実認定に基づいて把握される発明を引用発明として認定する。)

1 当審における拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2013-27429号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(1)「【0009】
[第1の実施の形態]
以下、図面を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る遊技台(例えば、パチンコ機等の弾球遊技機やスロットマシン等の回胴遊技機)について説明する。まず、図1を用いて、本実施の形態によるパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。パチンコ機100は、外部的構造として、外枠102と、本体104と、前面枠扉106と、球貯留皿付扉108と、発射装置110と、遊技盤200と、をその前面に備える。」

(2)「【0019】
払出装置152の図中左側には、遊技全般の制御処理を行う主制御部300を構成する主基板156を収納する主基板ケース158と、主制御部300が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第1副制御部400を構成する第1副基板160を収納する第1副基板ケース162と、第1副制御部400が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第2副制御部500を構成する第2副基板164を収納する第2副基板ケース166と、遊技球の払出しに関する制御処理を行う払出制御部600を構成するとともに遊技店員の操作によってエラーを解除するエラー解除スイッチ168を備える払出基板170を収納する払出基板ケース172と、遊技球の発射に関する制御処理を行う発射制御部630を構成する発射基板174を収納する発射基板ケース176と、各種電気的遊技機器に電源を供給する電源制御部660を構成するとともに遊技店員の操作によって電源をオンオフする電源スイッチ178と電源投入時に操作されることによってRWMクリア信号を主制御部300に出力するRWMクリアスイッチ180とを備える電源基板182を収納する電源基板ケース184と、払出制御部600とカードユニットとの信号の送受信を行うCRインタフェース部186と、を配設している。」

(3)「【0021】
図3は、遊技盤200を正面から見た略示正面図である。遊技盤200には、外レール202と内レール204とを配設し、遊技球が転動可能な遊技領域124を区画形成している。遊技領域124の略中央には、演出装置206を配設している。演出装置206には、略中央に装飾図柄表示装置208を配設し、その周囲に、第1特別図柄表示装置212と、第2特別図柄表示装置214と、普通図柄表示装置210と、第1特別図柄保留ランプ218と、第2特別図柄保留ランプ220と、普通図柄保留ランプ216と、高確中ランプ222とを配設している。演出装置206は、演出可動体224を動作して演出を行うものであり、詳細については後述する。なお、以下、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」、第1特別図柄を「特図1」、第2特別図柄を「特図2」と称する場合がある。
【0022】
装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な画像を表示するための表示装置であり、本実施の形態では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208c、第4図柄表示領域208eおよび演出表示領域208dの5つの表示領域に分割し、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、第4図柄表示領域208eには第4図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示する。さらに、各表示領域208a、208b、208c、208d、208eの位置や大きさは、装飾図柄表示装置208の表示画面内で自由に変更することを可能としている。なお、装飾図柄表示装置208として液晶表示装置を採用しているが、液晶表示装置でなくとも、種々の演出や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、ドットマトリクス表示装置、7セグメント表示装置、有機EL(ElectroLuminescence)表示装置、リール(ドラム)式表示装置、リーフ式表示装置、プラズマディスプレイ、プロジェクタを含む他の表示デバイスを採用してもよい。
【0023】
普図表示装置210は、普図の表示を行うための表示装置であり、本実施の形態では7セグメントLEDによって構成する。特図1表示装置212および特図2表示装置214は、特図の表示を行うための表示装置であり、本実施の形態では7セグメントLEDによって構成する。」

(4)「【0034】
また、遊技領域124の外側であってアウト口240の右方には、各種情報を報知する情報報知用ランプ群252が配置されている。情報報知用ランプ群252は、現在の遊技状態を報知する遊技状態報知用ランプ、打出し方向(例えば、右打ち、左打ち)を示唆する打出し方向示唆ランプ、小当り状態のときに点灯する小当りランプ、大当りラウンド数を報知するラウンド数報知ランプ等を含んでいる。」

(5)「【0040】
また、基本回路302には、水晶発振器316aが出力するクロック信号を受信する度に0?65535の範囲で数値を変動させるハードウェア乱数カウンタとして使用している乱数値生成回路(カウンタ回路)318(この回路には2つのカウンタを内蔵しているものとする)と、所定の球検出センサ、例えば各始動口、入賞口、可変入賞口を通過する遊技球を検出するセンサや、前面枠扉開放センサや内枠開放センサや下皿満タンセンサを含む各種センサ320が出力する信号を受信し、増幅結果や基準電圧との比較結果を乱数値生成回路318および基本回路302に出力するためのセンサ回路322と、所定の図柄表示装置、例えば特図1表示装置212や特図2表示装置214の表示制御を行うための駆動回路324と、所定の図柄表示装置、例えば普図表示装置210の表示制御を行うための駆動回路326と、各種状態表示部328(例えば、普図保留ランプ216、特図1保留ランプ218、特図2保留ランプ220、高確中ランプ222、賞球残数表示部250、情報報知用ランプ群252等)の表示制御を行うための駆動回路330と、所定の可動部材、例えば特図2始動口232の羽根部材232aや可変入賞口234の扉部材234a等を開閉駆動する各種ソレノイド332を制御するための駆動回路334と、を接続している。ここで、主制御部300により制御される特図1表示装置212、特図2表示装置214、普図表示装置210、各種状態表示部328は、後述する省電力モードにおいても輝度を低下させる制御は実行されない。」

(6)「【0046】
次に、パチンコ機100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主に主制御部300が送信したコマンド等に基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えている。基本回路402には、CPU404と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412とを搭載している。この基本回路402のCPU404は、水晶発振器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。また、基本回路402には、制御プログラムや各種演出データを記憶するためのROM406が設けられている。なお、ROM406は、制御プログラムと各種演出データとを別々のROMに記憶させてもよい。」

(7)「【0052】
図5は、第1副制御部400の回路構成をより詳細に示す回路ブロック図である。図5に示すように、第1副制御部400は、基本回路402、音源IC(サウンド回路)416、サウンドROM435、増幅回路442、点灯制御部450、および駆動回路(ランプ駆動回路)420を備えている。
・・・
【0055】
点灯制御部450は、基本回路402からのコマンドに基づき、ランプ440(例えば、設定操作部ランプ138、賞球残数表示部250の各セグメント、情報報知用ランプ群252の各ランプ、後述する払出表示ランプ254、エラー表示ランプ256)をランプ駆動回路を介さずに点灯制御するとともに、各種ランプ418(例えば、枠ランプ122、演出用ランプ258)をランプ駆動回路420を介して制御する。」

(8)「【0058】
次に、図6(a)?(d)を用いて、パチンコ機100の特図1表示装置212、特図2表示装置214、装飾図柄表示装置208、普図表示装置210が停止表示する特図および普図の種類について説明する。図6(a)は特図の停止図柄態様の一例を示したものである。特図1始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として特図1変動遊技が開始され、特図2始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件として特図2変動遊技が開始される。特図1変動遊技が開始されると、特図1表示装置212は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図1の変動表示」を行う。また、特図2変動遊技が開始されると、特図2表示装置214は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図2の変動表示」を行う。これらの「特図1の変動表示」および「特図2の変動表示」が本実施形態にいう図柄の変動表示の一例に相当する。そして、特図1の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図1表示装置212は特図1の停止図柄態様を停止表示し、特図2の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図2表示装置214は特図2の停止図柄態様を停止表示する。したがって、「特図1の変動表示」を開始してから特図1の停止図柄態様を停止表示するまで、あるいは「特図2の変動表示」を開始してから特図2の停止図柄態様を停止表示するまでが本実施形態にいう図柄変動停止表示の一例に相当し、以下、この「特図1または2の変動表示」を開始してから特図1または2の停止図柄態様を停止表示するまでの一連の表示を図柄変動停止表示と称する。図柄変動停止表示は複数回、連続して行われることがある。
また、特図1表示装置212および特図2表示装置214が同一の図柄を表示する場合、該図柄の輝度は同一であり、また、該図柄を表示するために必要となる電力は同一である。」

(9)「【0091】
特図1始動口230へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図1保留数記憶領域が満タンでない場合、乱数値生成回路(ハード乱数回路)318の特図1始動口230に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図1当選乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた特図1乱数値生成用乱数カウンタから特図1乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域に取得順に格納する。特図1乱数値記憶領域内の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組は、特図1保留数記憶領域に記憶された特図1保留数と同数分だけ格納される。特図1乱数値記憶領域内では、特図1保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位(最先)の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータが消去されるとともに、残余の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理される。また、特図1保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位(最後)の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータの次の保留順位に新たな特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータが書き込まれる。
【0092】
特図2始動口232へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図2保留数記憶領域が満タンでない場合、乱数値生成回路318の特図2始動口232に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図2当選乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた特図2乱数値生成用乱数カウンタから特図2乱数値を取得して特図2乱数値記憶領域に取得順に格納する。特図2乱数値記憶領域内の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組は、特図2保留数記憶領域に記憶された特図2保留数と同数分だけ格納される。特図2乱数値記憶領域内では、特図2保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータが消去されるとともに、残余の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理される。また、特図2保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータの次の保留順位に新たな特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータが書き込まれる。」

(10)「【0119】
特図2関連抽選処理(ステップS229)の場合には、主制御部300は、特図2乱数値記憶領域内の最先の(最も過去に記憶された)保留位置から特図2始動情報(特図2乱数値の組)を取得し、取得した特図2始動情報内の特図2当選乱数値に基づいて、ROM306に記憶された不図示の当否判定用テーブルを用いて大当りとするか、小当りとするか、あるいははずれとするかの決定を行う。次いで、主制御部300は、取得した特図2始動情報内の特図2乱数値に基づいて、ROM306に記憶された不図示の特図決定用テーブルを用いて特図2の変動表示後に停止表示する図柄(停止図柄)の決定を行う。次いで、主制御部300は、例えば、決定した当否判定結果、停止図柄、当該当否判定時の特図2保留数、取得した特図変動時間決定用乱数値等に基づいて、ROM306に記憶された各種テーブルを用いて特図2の図柄変動表示時間(タイマ番号)の決定を行う。
・・・
【0121】
以上のような特図2関連抽選処理(ステップS229)の後に、特図1関連抽選処理(ステップS231)が同様にして行われる。」

(11)「【0127】
第1副制御部400では、受信した出力予定情報に含まれるコマンド種別により、主制御部300における遊技制御の変化に応じた演出制御の決定が可能になるとともに、出力予定情報に含まれているコマンドデータの情報に基づいて、演出制御内容を決定することができるようになる。」

(12)「【0133】
ステップS305の次のステップS307では、コマンド処理を行う。第1副制御部400のCPU404は、主制御部300からコマンドを受信したか否かを判別し、受信したコマンドをRAM408内の所定領域に格納する。
【0134】
ステップS307の次のステップS309では、演出制御処理を行う。例えば、ステップS307で新たなコマンドがあった場合には、このコマンドに対応する演出データをROM406から読み出す等の処理を行い、演出データの更新が必要な場合には演出データの更新処理を行う。本例では、コマンドに基づいて、後述する演出実行タイミングデータの設定を行う。」

(13)「【0142】
図9(c)は、第1副制御部400のCPU404が実行する第1副制御部タイマ割込処理の流れを示すフローチャートである。第1副制御部400は、所定の周期(本例では2msに1回)でタイマ割込を発生するハードウェアタイマを備えており、このタイマ割込を契機として、タイマ割込処理を所定の周期で実行する。第1副制御部タイマ割込処理のステップS501では、第1副制御部メイン処理のステップS303において説明したRAM408のタイマ変数記憶領域の値に、1を加算して元のタイマ変数記憶領域に記憶する。したがって、ステップS303において、タイマ変数の値が10以上と判定されるのは20ms毎(2ms×10)となる。
【0143】
ステップS501の次のステップS503では、出力設定スイッチ判定処理を行う。出力設定スイッチ判定処理では、出力設定スイッチ161の設定位置(本例では「0」?「F」の16段階のうちのいずれか)を判定する。この処理により、出力設定スイッチ161の設定位置は、所定の周期で常に判定される。」

(14)「【0145】
図10は、第1副制御部メイン処理のステップS313におけるユーザー調整モード制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ユーザー調整モード制御処理のステップS601では、電源投入後の初回処理であるか否かを判定する。第1副制御部400は設定内容のバックアップを持たないため、復電時には、出力設定スイッチ161の設定位置に基づいてスピーカから出力される音の音量やランプの輝度を設定する。電源投入後の初回処理であると判定した場合にはステップS603に進み、電源投入後の初回処理ではないと判定した場合にはステップS605に進む。
また、第1副制御部400にバックアップを備え、電断検出時にユーザー調整モードの設定結果を記憶し、復電検出時に該バックアップ結果を設定するように構成していても良い。」

(15)「【0149】
ステップS609では、省電力モード設定処理を行う。省電力モード設定処理では、出力設定スイッチ161の設定位置が「4」である場合には動作モードを省電力モードAに設定し、設定位置が「3」である場合には動作モードを省電力モードBに設定する。省電力モードAおよびBはいずれも、音量および輝度の双方においてユーザー調整モードでは設定できない範囲の値(本例では、ユーザー調整モードで設定できる範囲よりも低い値)が設定される(図18(a)参照)。その後、ユーザー調整モード制御処理を終了する。」

(16)「【0151】
ステップS613では、呼び出されたユーザー調整モードにおいて、音量が変更されたか否かを判定する。ここで、ユーザー調整モードにおける装飾図柄表示装置208での画面表示については図17を用いて後述するが、ユーザー調整モードでは遊技者等が音量および輝度を予め設定された範囲内で変更できるようになっている。音量が変更されたと判定した場合にはステップS615に進み、音量が変更されていないと判定した場合にはステップS617に進む。」

(17)「【0153】
ステップS617では、輝度が変更されたか否かを判定する。輝度が変更されたと判定した場合にはステップS619に進み、輝度が変更されていないと判定した場合にはユーザ調整モード制御処理を終了する。
【0154】
ステップS619では、変更後の輝度の値をRAM408の所定領域に記憶する輝度設定処理を行う。その後、ユーザ調整モード制御処理を終了する。」

(18)「【0159】
図11(b)は、第1副制御部メイン処理のステップS317におけるランプ制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ランプ制御処理のステップS801では、演出制御処理(ステップS309)で設定された演出実行タイミングデータに基づいて、ランプデータの設定があるか否かを判定する。ランプデータの設定があると判定した場合にはステップS803に進み、ランプデータの設定がないと判定した場合にはランプ制御処理を終了する。」

(19)「【0197】
図17(a)?(d)は、ユーザー調整モードにおける装飾図柄表示装置208の画面遷移の一例を示している。図17(a)は、省電力モードではないモード(通常モード)において、特図変動遊技の実行されていない非変動状態の画面の例を示している。装飾図柄表示装置208の画面には、当りを報知する図柄組合せ以外の図柄組合せ(例えば、「装飾3-装飾1-装飾1」)が図柄表示領域208a?208cに停止表示されているとともに、「第4図柄C」が第4図柄表示領域208eに停止表示されている。またこの画面の図柄表示領域208a?208cの下方には、「プッシュボタンでメニューを表示」という文字メッセージが表示されている。この文字メッセージにより、遊技者に対し、設定操作部136のボタン操作(例えば、OKボタンの押下)によってユーザー調整モードに遷移することが報知される。なお、省電力モード中にはユーザー調整モードへの遷移が禁止されるため(図10のステップS607)、「プッシュボタンでメニューを表示」等の文字メッセージは表示されない。」

(20)「【0203】
図17(b)に示したユーザー調整モードメニュー画面において「明るさ調整」ボタン画像702が選択された状態で設定操作部136のOKボタンが押下されると、図17(d)に示す明るさ(輝度)調整画面に遷移する。明るさ調整画面では、左右方向に配列した3つの円形画像720、722、724と、「戻る」ボタン画像726とが表示される。中央に位置する円形画像722は、左半分が所定色で表示され、右半分が白色で表示されている。左側に位置する円形画像720は、左半分よりも狭い領域が所定色で表示され、それ以外の大部分の領域が白色で表示されている。この円形画像720の下方には、「節電」という文字が表示されている。右側に位置する円形画像724は、全体が所定色で表示されている。この円形画像724の下方には、「普通」という文字が表示されている。
・・・
【0205】
図17(d)に示す画面では、最も輝度が高い設定を示す円形画像724が選択された状態にある。この状態で設定操作部136のOKボタンが押下されると、最も輝度の高い設定が確定し、図17(b)のユーザー調整モードメニュー画面に戻る。図17(d)に示す画面で設定操作部136の左ボタンが1回押下されると、円形画像722が選択された状態になる。この状態で設定操作部136のOKボタンが押下されると、輝度がやや低い設定が確定し、図17(b)のユーザー調整モードメニュー画面に戻る。図17(d)に示す画面で設定操作部136の左ボタンが2回押下されると、円形画像720が選択された状態になる。この状態で設定操作部136のOKボタンが押下されると、輝度の低い設定が確定し、図17(b)のユーザー調整モードメニュー画面に戻る。図17(d)に示す画面で設定操作部136の下ボタンが押下されると、「戻る」ボタン画像726が選択された状態になる。この状態で設定操作部136のOKボタンが押下されると、輝度の設定が変更されずに図17(b)のユーザー調整モードメニュー画面に戻る。」

(21)「【0229】
このように、省電力モードA、Bでは、音量および輝度が遊技者の設定不可能なレベル(遊技者により設定可能な範囲よりも低いレベル)に固定される。」

(22)「【0235】
次に、本実施の形態の第1実施例について説明する。図19は、本実施例によるパチンコ機100の正面図である。図19に示すように、パチンコ機100の前面枠扉106には、多数の演出用ランプ(LED)258が設けられている。演出用ランプ258は、第1副制御部400によって、主制御部300からのコマンドに含まれる当否結果の情報に基づいて点灯制御される。すなわち演出用ランプ258は、抽選結果等の利益に関する情報を報知する。また、前面枠扉106には、払出表示ランプ(LED)254と、エラー表示ランプ(LED)256とが設けられている。払出表示ランプ254は、第1副制御部400によって、主制御部300からのコマンドに含まれる払出し情報に基づいて点灯制御される。払出表示ランプ254は、未払出し賞球がある場合に点灯し、賞球払出し中は点滅する。未払出し賞球が無くなったことに基づいて消灯状態が維持される。エラー表示ランプ256は、第1副制御部400によって、主制御部300からのコマンドに含まれるエラー情報に基づいて点灯制御される。エラー表示ランプ256はエラー発生時に点灯する。払出表示ランプ254およびエラー表示ランプ256は、複数の演出用ランプ258によって周囲を囲まれるように配置されている。例えば、払出表示ランプ254およびエラー表示ランプ256のそれぞれは、特定の2つの演出用ランプ258によって挟まれるように配置されている。
【0236】
さらに、パチンコ機100には、既に説明した賞球残数表示部250および情報報知用ランプ群252が設けられている。賞球残数表示部250および情報報知用ランプ群252は、第1副制御部400によって制御される。」

(23)「【0237】
本例では、これらのランプのうち、払出表示ランプ254、エラー表示ランプ256、賞球残数表示部250の各セグメント、および情報報知用ランプ群252の各ランプは、ランプ駆動回路を介さずに点灯制御されるため、遊技者による輝度調整が不可能であるとともに、省電力モードにおいても輝度が低下しない。一方、演出用ランプ258は、ランプ駆動回路420により点灯制御されるため、ユーザー調整モードでの輝度調整が可能であるとともに、省電力モードでは輝度が低下する。」

(24)「【0379】
上記実施の形態において、利益に関わらない情報報知(デモ・遊技説明等)については、省電力モードの実行により通常よりも実行頻度が減少するようにしてもよい。また、稼動促進のために上述のデモを行うような場合には、実行条件として、特図の変動停止から所定の時間が経過したことに基づいて、液晶表示や演出ランプ等を制御する。当然デモ演出においても電力を消費するため、省電力モードが実行された場合には、上述のデモ演出実行条件である、特図変動停止からの所定時間の経過を省電力モードが実行されていない場合よりも長く設定すると良い。例えば省電力モード非実行中は特図停止から30秒が経過したことに基づいてデモ演出が実行されるが、省電力モード実行中は特図停止から60秒が経過したことに基づいてデモ演出が実行されるようにしていても良い。デモ演出の実行頻度を低下させることで電力消費量を下げることができる。また、デモ演出自体も輝度を低下させたり、一部の発光手段を点灯させないことで、電力消費量を下げるようにしていても良い。」

2 以上の記載事項から、引用文献1には、「第1の実施の形態」を中心に、次の技術的事項が記載されているものと認められる(見出し(a)?(k)は、本願発明の分説A?Kに対応させて付与した)。

(a)記載事項(2)(【0019】)から、引用文献1には、遊技全般の制御処理を行う主制御部300が記載されている。

(b)記載事項(3)(【0021】-【0023】)から、遊技盤200の略中央に、液晶表示装置によって構成された装飾図柄表示装置208を設け、その周囲に設けた特図1表示装置212および特図2表示装置214は、7セグメントLEDによって構成されることが記載されており、記載事項(5)(【0040】)から、特図1表示装置212、特図2表示装置214は、主制御部300により制御されるものであることが記載されている。また、記載事項(4)(【0034】)には、遊技領域124の外側に情報報知用ランプ群252が配置されていることが記載され、記載事項(22)(【0235】-【0236】)から、情報報知用ランプ群252の各ランプ、複数の演出用ランプ258が、第1副制御部400によって制御されることが記載されている。
そうすると、引用文献1には、主制御部300により制御される7セグメントLEDによって構成される特図1表示装置212、特図2表示装置214、第1副制御部400によって制御される、液晶表示装置によって構成された装飾図柄表示装置208と別に設けられた、情報報知用ランプ群252の各ランプ、複数の演出用ランプ258が記載されているといえる。

(c)記載事項(11)(【0127】)及び記載事項(12)(【0133】-【0134】)から、第1副制御部400では、受信したコマンドにより主制御部300における遊技制御の変化に応じた演出制御を決定し、演出制御処理として、コマンドに対応する演出データを読み出し、演出実行タイミングデータを設定し、記載事項(18)(【0159】)から、第1副制御部は、演出制御処理(ステップS309)で設定された演出実行タイミングデータに基づいてランプ制御処理を実行し、記載事項(7)(【0052】-【0055】)から、第1副制御部400は点灯制御部450を備え、点灯制御部450は、情報報知用ランプ群252の各ランプを点灯制御するとともに、演出用ランプ258を制御することが記載されている。すなわち、引用文献1には、主制御部300から受信したコマンドにより、主制御部300における遊技制御の変化に応じた演出制御を決定し、コマンドに対応する演出データを読み出す演出制御処理で設定された演出実行タイミングデータに基づいて、ランプ制御処理を実行し、点灯制御部450に情報報知用ランプ群252の各ランプを点灯制御するとともに、演出用ランプ258を制御させる第1副制御部400が記載されている。

(d)記載事項(6)(【0046】)、記載事項(16)(【0151】)及び記載事項(17)(【0153】-【0154】)から、引用文献1には、ユーザー調整モードで遊技者が輝度を予め設定された範囲内で変更した場合、輝度設定処理において変更後の輝度を記憶する、第1副制御部400に搭載されるRAM408が記載されている。

(e)記載事項(20)(【0203】-【0205】)及び記載事項(16)(【0151】)から、ユーザー調整モードの明るさ(輝度)調整画面において、左ボタンが1回押下された状態でOKボタンが押下されることにより、遊技者等が輝度を予め設定された範囲内で変更できるようにすることが記載されており、記載事項(14)(【0145】)から、ユーザー調整モード制御処理が、第1副制御部の処理であることが記載されているので、引用文献1には、ユーザー調整モードの明るさ(輝度)調整画面において、OKボタン及び左ボタンを押下することにより、遊技者等が輝度を予め設定された範囲内で変更できるようにする第1副制御部400が記載されている。

(f)記載事項(23)(【0237】)及び記載事項(1)(【0009】)から、引用文献1には、演出用ランプ258は、ユーザー調整モードでの輝度調整が可能であるパチンコ機100が記載されている。

(g)記載事項(5)(【0040】)には、主制御部300により制御される特図1表示装置212、特図2表示装置214と記載され、記載事項(8)(【0058】)には、特図1始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として特図1変動遊技が開始され、特図2始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件として特図2変動遊技が開始されること、特図1変動遊技が開始されると、特図1表示装置212は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図1の変動表示」を行い、特図2変動遊技が開始されると、特図2表示装置214は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図2の変動表示」を行うこと、特図1の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図1表示装置212は特図1の停止図柄態様を停止表示し、特図2の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図2表示装置214は特図2の停止図柄態様を停止表示することが記載され、記載事項(9)(【0091】-【0092】)には、特図1始動口230へ入賞があった場合、特図2始動口232へ入賞があった場合には、それぞれ、特図1当選乱数値、特図2当選乱数値を取得することが記載され、記載事項(10)(【0119】-【0121】)には、取得した特図2乱数値に基づいて大当りとするか、小当りとするか、あるいははずれとするかの決定を行うこと、及び、決定した当否判定結果を用いて特図2の図柄変動表示時間の決定を行う事について記載され、また、特図1関連抽選処理が同様である事も記載されている。
また、記載事項(22)(【0235】-【0236】)には、演出用ランプ258は、第1副制御部400によって・・・点灯制御される、及び、情報報知用ランプ群252は、第1副制御部400によって制御されると記載されている。
つまり、引用文献1には、主制御部300により制御される、特図1始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として、大当りとするか、小当りとするか、あるいははずれとするかの決定を行い、決定した当否判定結果を用いて決定された特図1の図柄変動表示時間、特図1変動遊技が開始され、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す、特図1の変動表示が行われ、特図1の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図1の停止図柄態様を停止表示する特図1表示装置212と、特図2始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件として、大当りとするか、小当りとするか、あるいははずれとするかの決定を行い、決定した当否判定結果を用いて決定された特図2の図柄変動表示時間、特図2変動遊技が開始され、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す、特図2の変動表示が行われ、特図2の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図2の停止図柄態様を停止表示する特図2表示装置214と、第1副制御部400によって制御される情報報知用ランプ群252の各ランプ、複数の演出用ランプ258が記載されている。

(h)記載事項(4)(【0034】)には、各種情報を報知する情報報知用ランプ群252は、小当りランプ、ラウンド数報知ランプ等を含むことが記載されており、上記(g)には、情報報知用ランプ群252の各ランプ、複数の演出用ランプ258は第1副制御部400によって制御されることが記載されているので、引用文献1には、情報報知用ランプ群252の各ランプ及び複数の演出用ランプ258には、小当りランプ、ラウンド数報知ランプ等を含む、情報報知用ランプ群252を含むことが記載されている。

(i)記載事項(15)(【0149】)には、省電力モード設定処理では、出力設定スイッチ161の設定位置により、動作モードを省電力モードに設定することが記載されており、記載事項(13)(【0142】-【0143】)には、第1副制御部400が出力設定スイッチ161の設定位置(本例では「0」?「F」の16段階のうちのいずれか)を判定することが記載されている。また、記載事項(19)(【0197】)には、省電力モード中にはユーザー調整モードへの遷移が禁止されることが記載されており、記載事項(21)(【0229】)には、省電力モードでは、輝度が遊技者の設定不可能なレベル(遊技者により設定可能な範囲よりも低いレベル)に固定されることが記載されており、記載事項(23)(【0237】)には、演出用ランプ258はユーザー調整モードでの輝度調整が可能であると記載されており、(24)(【0379】)には、省電力モード実行中はデモ演出自体も輝度を低下させたり、一部の発光手段を点灯させないことで、電力消費量を下げることも記載されている。
すなわち、引用文献1には、第1副制御部400は、出力設定スイッチ161の設定位置により省電力モードを設定するものであり、省電力モード中にはユーザー調整モードへの遷移が禁止され、演出用ランプ258は、省電力モードでは輝度が遊技者の設定不可能なレベル(遊技者により設定可能な範囲より低いレベル)まで低下し、ユーザー調整モードにおいて、演出用ランプ258は輝度調整が可能であり、省電力モード実行中はデモ演出自体も輝度を低下させたり、一部の発光手段を点灯させないことで、電力消費量を下げることが記載されている。

(j)記載事項(23)(【0237】)には、情報報知用ランプ群252の各ランプが遊技者による輝度調整が不可能であること、及び、演出用ランプ258はユーザー調整モードでの輝度調整が可能であることが、記載されている。
つまり、引用文献1には、演出用ランプ258は、ユーザー調整モードでの輝度調整が可能であり、情報報知用ランプ群252の各ランプは、遊技者による輝度調整が不可能であることが記載されている。

(k)記載事項(1)(【0009】)から、引用文献1には、パチンコ機100が記載されている。

3 以上の記載事項(1)?(24)及び認定事項(a)?(k)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(分説a?kは、本願発明の分説A?K」に対応させて付与した)。

「a 遊技全般の制御処理を行う主制御部300と、
b 主制御部300により制御される7セグメントLEDによって構成される特図1表示装置212、特図2表示装置214、第1副制御部400によって制御される、液晶表示装置によって構成された装飾図柄表示装置208と別に設けられた、情報報知用ランプ群252の各ランプ、複数の演出用ランプ258と、
c 主制御部300から受信したコマンドにより、主制御部300における遊技制御の変化に応じた演出制御を決定し、コマンドに対応する演出データを読み出す演出制御処理で設定された演出実行タイミングデータに基づいて、ランプ制御処理を実行し、点灯制御部450に情報報知用ランプ群252の各ランプを点灯制御するとともに、演出用ランプ258を制御させる第1副制御部400と、
d ユーザー調整モードで遊技者が輝度を予め設定された範囲内で変更した場合、輝度設定処理において変更後の輝度を記憶する第1副制御部400のRAM408と、
e ユーザー調整モードの明るさ(輝度)調整画面において、OKボタン及び左ボタンを押下することにより、遊技者が輝度を予め設定された範囲内で変更できるようにする第1副制御部400とを備え、
f 演出用ランプ258は、ユーザー調整モードでの輝度調整が可能であるパチンコ機100において、
g 主制御部300により制御される、特図1始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として、大当りとするか、小当りとするか、あるいははずれとするかの決定を行い、決定した当否判定結果を用いて決定された特図1の図柄変動表示時間、特図1変動遊技が開始され、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す、特図1の変動表示が行われ、特図1の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図1の停止図柄態様を停止表示する特図1表示装置212と、特図2始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件として、大当りとするか、小当りとするか、あるいははずれとするかの決定を行い、決定した当否判定結果を用いて決定された特図2の図柄変動表示時間、特図2変動遊技が開始され、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す、特図2の変動表示が行われ、特図2の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図2の停止図柄態様を停止表示する特図2表示装置214と、第1副制御部400によって制御される情報報知用ランプ群252の各ランプ、複数の演出用ランプ258とを有し、
h 情報報知用ランプ群252の各ランプ及び複数の演出用ランプ258には、小当りランプ、ラウンド数報知ランプ等を含む、情報報知用ランプ群252を含み、
i 第1副制御部400は、出力設定スイッチ161の設定位置により省電力モードを設定し、省電力モード中にはユーザー調整モードへの遷移を禁止し、演出用ランプ258は、省電力モードでは輝度が遊技者の設定不可能なレベル(遊技者により設定可能な範囲より低いレベル)まで低下し、ユーザー調整モードにおいて、演出用ランプ258は輝度調整が可能であり、省電力モード実行中はデモ演出自体も輝度を低下させたり、一部の発光手段を点灯させないことで、電力消費量を下げ、
j 演出用ランプ258は、ユーザー調整モードでの輝度調整が可能であり、情報報知用ランプ群252の各ランプは、遊技者による輝度調整が不可能である
k パチンコ機100。」

第5 対比

本願発明と引用発明とを対比する(見出し(a)?(k)は、本願発明の分説A?Kに対応させて付与した)。

(a)引用発明の「遊技全般の制御処理」及び「主制御部300」は、それぞれ、本願発明の「遊技の進行を制御する」こと及び「遊技制御手段」に相当するので、引用発明の特定事項aは本願発明の特定事項Aに相当する。

(b)引用発明の「特図1表示装置212」、「特図2表示装置214」、「情報報知用ランプ群252の各ランプ」及び「複数の演出用ランプ258」は、何れも光を発するものであることは明らかであるため、本願発明の「複数の発光手段」に相当する。よって、引用発明の特定事項bは本願発明の特定事項Bに相当する。

(c)本願発明の構成Bにおける「複数の発光手段」は、本願発明の構成Gによると、「遊技制御手段」により制御される「第1の特定発光手段」と、「発光制御手段」により制御される「所定の発光手段」とを含むものである。そうすると、本願発明の構成Cにおける「発光制御手段」により発光させられる「前記発光手段」は、構成Bにおける「複数の発光手段」のうち、構成Gの「発光制御手段」により制御される「所定の発光手段」について特定するものである。また、引用発明の「主制御部300」、「遊技制御の変化」に応じること、「情報報知用ランプ群252の各ランプを点灯制御するとともに、演出用ランプ258を制御させる」こと、及び、「第1副制御部400」は、それぞれ、本願発明の「遊技制御手段」、「遊技の進行状況」に応じること、「発光手段を発光させる」こと、及び、「発光制御手段」に相当するので、引用発明の特定事項cは本願発明の特定事項Cに相当する。

(d)引用発明の「変更後の輝度」及び「RAM408」は、それぞれ、本願発明の「発光の輝度」及び「輝度記憶手段」に相当するので、引用発明の特定事項dは本願発明の特定事項Dに相当する。

(e)引用発明の「ユーザー調整モードの明るさ(輝度)調整画面において、OKボタン及び左ボタンを押下すること」、「輝度を予め設定された範囲内で変更できる」こと、及び、「第1副制御部400」は、それぞれ、本願発明の「所定の操作」、「現輝度を変更可能」であること、及び、「輝度変更手段」に相当するので、引用発明の特定事項eは本願発明の特定事項Eに相当する。

(f)引用発明における、「ユーザー調整モードでの輝度調整が可能である」ことの「輝度調整」は、上記(d)によると、「RAM408」に記憶された「変更後の輝度」を用いて行われることから、本願発明の「輝度記憶手段に記憶されている現輝度」が「適用され得る」ことに相当する。そして、引用発明の「演出用ランプ258」、及び、「パチンコ機100」は、それぞれ、本願発明の「複数の発光手段のうち、所定の発光手段」、及び、「遊技機」に相当するので、引用発明の特定事項fは本願発明の特定事項Fに相当する。

(g)引用発明の「主制御部300」、「特図1始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したこと」並びに「特図2始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したこと」、及び、「大当りとするか、小当りとするか、あるいははずれとするかの決定を行い、決定した当否判定結果を用いて決定された特図1または特図2の図柄変動表示時間」は、それぞれ、本願発明の「遊技制御手段」、「予め定められた実行条件」、「大当たり抽選の結果に応じた変動時間」に相当する。
また、引用発明の「特図1表示装置212」並びに「特図2表示装置214」は、本願発明の「第1の特定発光手段」に相当する。
そして、引用発明において、「特図1表示装置212」並びに「特図2表示装置214」が、特図1または特図2の図柄変動表示時間、「7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返」し、「特図1の停止図柄態様」又は「特図2の停止図柄態様」を「停止表示する」ことは、本願発明の「第1の特定発光手段」が、予め定められた実行条件を満たすことにより行われる大当たり抽選の結果に応じた変動時間に亘って「点滅表示された後、当該大当たり抽選の結果に基づく所定の態様にて点灯表示される」ことと、「第1の特定発光手段」が「予め定められた実行条件を満たすことにより行われる大当たり抽選の結果に応じた変動時間に亘って」点灯の状態を変化された後、「大当たり抽選の結果に基づく所定の態様にて点灯表示される」点において共通する。
さらに、(c)の検討内容から、情報報知用ランプ群252の各ランプ、演出用ランプ258が「複数の発光手段」のうちの「所定の発光手段」に対応するものであり、「特図1表示装置212」並びに「特図2表示装置214」では無いのであるから、引用発明の「第1副制御部400によって制御される情報報知用ランプ群252の各ランプ、複数の演出用ランプ258」は、本願発明の「前記第1の特定発光手段以外の前記発光手段であって、前記発光制御手段により制御される前記所定の発光手段」に相当する。
してみれば、引用発明の特定事項gは本願発明の特定事項Gと、「複数の発光手段は、前記遊技制御手段により制御され、予め定められた実行条件を満たすことにより行われる大当たり抽選の結果に応じた変動時間に亘って」点灯の状態が変化された後、「当該大当たり抽選の結果に基づく所定の態様にて点灯表示されることによって当該大当たり抽選に当選したか否かを報知する第1の特定発光手段と、前記第1の特定発光手段以外の前記発光手段であって、前記発光制御手段により制御される前記所定の発光手段とを有する」点で共通する。

(h)上記(g)より、引用発明の「情報報知用ランプ群252の各ランプ、演出用ランプ258」は、本願発明の「所定の発光手段」に相当する。また、引用発明の「情報報知用ランプ群252」で報知する、「小当たり」、「大当たりラウンド数」と、本願発明の「第2の特定発光手段」が報知する「大当たり抽選に当選したか否か」の情報は、「抽選結果に関連する情報等」である事で共通するため、引用発明の特定事項hと本願発明の特定事項Hとは、「所定の発光手段」が「抽選結果似関連する情報等」を「報知する第2の特定発光手段」を有している点で共通する。

(i)引用発明の「演出用ランプ258」は、本願発明の「第2の特定発光手段以外の前記所定の発光手段」に相当し、引用発明の「遊技者の設定不可能なレベル(遊技者により設定可能な範囲より低いレベル)まで低下」させた時の輝度は、当該させた時において、予め定められていたことは明らかであるので、本願発明の「予め定められた特定輝度」に相当する。つまり、引用発明の「演出用ランプ258は、省電力モードでは輝度が遊技者の設定不可能なレベル(遊技者により設定可能な範囲より低いレベル)まで低下し」は、本願発明の「省電力状態において前記第2の特定発光手段以外の前記所定の発光手段を発光させるときには、当該所定の発光手段を予め定められた特定輝度で発光させる」ことに相当する。そして、引用発明の「演出用ランプ258は、ユーザー調整モードでの輝度調整が可能である」ことは、本願発明の「輝度が予め定められた初期輝度と異なる輝度に変更されている場合」に、「省電力状態以外において前記第2の特定発光手段以外の前記所定の発光手段を発光させるときには、当該所定の発光手段を前記現輝度で発光させる」ということに相当する。
よって、引用発明の特定事項iと本願発明の特定事項Iとは、「前記発光制御手段は、」「省電力状態において前記第2の特定発光手段以外の前記所定の発光手段を発光させるときには、当該所定の発光手段を予め定められた特定輝度で発光させるものの、前記省電力状態以外において前記第2の特定発光手段以外の前記所定の発光手段を発光させるときには、当該所定の発光手段を前記現輝度で発光させることが可能である」点で共通する。

(j)引用発明の「演出用ランプ258」及び「ユーザー調整モードでの輝度調整が可能」であることは、それぞれ、本願発明の「所定の発光手段のうちの前記第2の特定発光手段以外」、「前記現輝度が前記初期輝度と異なる輝度に変更されている場合」に「変更後の輝度で発光させ」ることに相当する。また、(h)において述べたように、引用発明の「情報報知用ランプ群252の各ランプ」は、本願発明の「第2の特定発光手段」と、「抽選結果に関連する情報等を報知」する点において共通し、引用発明の「遊技者による輝度調整が不可能である」ことは、本願発明の「変更後の輝度とは異なる輝度で発光させること」に相当するので、引用発明の特定事項jと本願発明の特定事項Jとは、「前記現輝度が前記初期輝度と異なる輝度に変更されている場合であって、前記所定の発光手段のうちの前記第2の特定発光手段以外を発光させるときには変更後の輝度で発光させ」、前記所定の発光手段のうち、遊技情報を報知する「第2の特定発光手段を発光させるときに」、「変更後の輝度とは異なる輝度で発光させることが可能であることを特徴とする」点で共通する。

(k)引用発明の「パチンコ機100」は本願発明の「遊技機」に相当するので、引用発明の特定事項kは本願発明の特定事項Kに相当する。

以上の(a)?(k)から、両者は、

[一致点]
「A 遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
B 光を発する複数の発光手段と、
C 前記遊技制御手段による遊技の進行状況に応じて、前記発光手段を発光させることが可能な発光制御手段と、
D 前記発光手段による発光の輝度を記憶する輝度記憶手段と、
E 所定の操作により、前記輝度記憶手段に記憶されている輝度である現輝度を変更可能な輝度変更手段と、を備え、
F 前記輝度記憶手段に記憶されている現輝度は、前記複数の発光手段のうち、所定の発光手段に対して適用され得るように設定されている遊技機において、
G’前記複数の発光手段は、前記遊技制御手段により制御され、予め定められた実行条件を満たすことにより行われる大当たり抽選の結果に応じた変動時間に亘って点灯の状態が変化された後、当該大当たり抽選の結果に基づく所定の態様にて点灯表示されることによって当該大当たり抽選に当選したか否かを報知する第1の特定発光手段と、前記第1の特定発光手段以外の前記発光手段であって、前記発光制御手段により制御される前記所定の発光手段とを有するとともに、
H’所定の発光手段は、抽選結果に関連する情報等を報知する第2の特定発光手段を有し、
I’前記発光制御手段は、省電力状態において前記第2の特定発光手段以外の前記所定の発光手段を発光させるときには、当該所定の発光手段を予め定められた特定輝度で発光させるものの、前記省電力状態以外において前記第2の特定発光手段以外の前記所定の発光手段を発光させるときには、当該所定の発光手段を前記現輝度で発光させることが可能であるとともに、
J’前記現輝度が前記初期輝度と異なる輝度に変更されている場合であって、前記所定の発光手段のうちの前記第2の特定発光手段以外を発光させるときには変更後の輝度で発光させ、前記所定の発光手段のうち、遊技情報を報知する第2の特定発光手段を発光させるときに、変更後の輝度とは異なる輝度で発光させることが可能であることを特徴とする
K 遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]特定事項(G)
第1の特定発光手段について、
予め定められた実行条件を満たすことにより行われる大当たり抽選の結果に応じた変動時間に亘って、本願発明では「点滅表示」されているが、引用発明では「7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返」している点。」

[相違点2]特定事項(H)
抽選結果に関連する情報等を報知する第2の特定発光手段について、
本願発明は、「前記変動時間に亘って点滅表示されるとともに、前記大当たり抽選の結果に基づき、前記第1の特定発光手段とは異なる態様にて点灯表示されることによって、当該大当たり抽選に当選したか否かを報知」しているのに対し、引用発明は、そのような特定がされていない点。

[相違点3]特定事項(I)
省電力状態への移行について、
本願発明は、「輝度変更手段により前記現輝度が予め定められた初期輝度と異なる輝度に変更されている場合であって」も、「遊技が行われないまま予め定められた所定の移行時間が経過することを条件として」移行するのに対して、
引用発明は、「省電力モード中にはユーザー調整モードへの遷移を禁止し、出力設定スイッチ161の設定位置により省電力モードを設定」するが、遊技が行われないまま定められた所定の移行時間が経過しても、省電力状態へ移行するか否か不明な点。

[相違点4]特定事項(J)
変更後の輝度とは異なる輝度で発光させることが可能である、第2の特定発光手段について、
本願発明は特定事項(H)において特定されるように「前記変動時間に亘って点滅表示されるとともに、前記大当たり抽選の結果に基づき、前記第1の特定発光手段とは異なる態様にて点灯表示されることによって、当該大当たり抽選に当選したか否かを報知」する「第2の特定発光手段」であるのに対し、引用発明は、そのような特定がされていない点。

第6 判断(相違点についての検討)

1 相違点1について
上記相違点1について検討する。
パチンコ機等の遊技機の技術分野において、特別図柄を7セグメントの表示器で表示し、変動している間は特別図柄を「点滅表示」させることは、例えば、新たに引用された引用文献4:特開2007-244496号の【0031】に「数字表示器19は、主回路120から直接制御されて、7セグメントを点滅することで、変動動作中であることを示す。所定の変動時間の経過後、数字表示器19は、特図の抽選結果を表示する。」、引用文献5:特開2006-122116号の【0086】に「特別図柄表示器8は、2つの7セグメント表示器によって構成され、2桁のセグメント表示を行う。特別図柄の可変表示は、7セグメント表示器の点滅表示によって行われる。」、引用文献6:特開2014-61056号の【0106】に「特別表示制御手段240は、第1変動決定処理において決定された第1特別図柄の変動種別に応じた変動時間で、第1特別図柄表示部76の7セグメントディスプレイを点滅させることにより第1特別図柄を変動表示させる。・・・そして第1当否決定処理で大当たりが当選した場合には第1図柄決定処理において当選フラグがON状態に設定された大当たり図柄に応じて、7セグメントディスプレイに数値を表示させる」、と記載されているように、本願の出願日前に周知慣用の技術である(以下、「周知の技術事項1」という。)。
そして、引用文献1における特別図柄の変動中の表示は、「7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す」という表示は、上記周知の技術事項1の表示の対応と、変動中は、異なる表示態様を繰り返すような表示を行って変動中である事を示すという意味で共通していると言えるので、引用発明において、特別図柄の変動中の表示に、上記周知の技術事項1を適用し、予め定められた実行条件を満たすことにより行われる大当たり抽選の結果に応じた変動時間に亘って、「点滅表示」するようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。

2 相違点2について
上記相違点2について検討する。
パチンコ機等の遊技機の技術分野において、遊技制御手段による遊技の進行に応じて、発光制御手段により制御される発光部において、識別図柄が変動中であること、または、識別図柄の変動結果を表示するための表示手段として、特別図柄の変動中に点滅し、抽選の結果(当たり/ハズレ)に応じて、点灯表示をするランプを、特別図柄や、液晶表示装置等の演出用の表示部、演出用のランプ等とは別に設け、特別図柄の変動中であるか否かや抽選の結果などの遊技の情報を当該ランプにより報知することは、例えば、新たに引用された引用文献7:特開2014-108133号公報の【0032】-【0033】には、「主制御基板60は、主制御CPU600と、一連の遊技制御手順を記述した遊技プログラム等を格納し・・・遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるか(いわゆる「当たり」)、あるいは、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させないか(いわゆる「ハズレ」)の抽選を行い、その抽選結果である当否情報に応じて特別図柄の変動パターンや停止図柄あるいは普通図柄の表示内容を決定し、その決定した情報を特別図柄1表示装置51a,特別図柄2表示装置51b又は普通図柄表示装置52に送信する。」、【0072】には、「特別図柄1が変動中であれば(ステップS300:YES)、演出制御CPU900は、・・・特別図柄1変動用タイマSD1_TIMERに200msをカウントするカウント値を設定する(ステップS303)。これにより、200ms毎に、第1識別ランプ47aが点灯又は消灯を交互に繰り返すこととなるから、特別図柄1が変動中、第1識別ランプ47aは、点滅することとなる。」、【0021】に「特別図柄1が変動中の場合、第1識別ランプ47aは点滅し、特別図柄1が当りの場合、第1識別ランプ47aは点灯し、特別図柄1がハズレの場合、第1識別ランプ47aは消灯する。そしてさらに、特別図柄2が変動中の場合、第2識別ランプ47bは点滅し、特別図柄2が当りの場合、第2識別ランプ47bは点灯し、特別図柄2がハズレの場合、第2識別ランプ47bは消灯するというものである。」、【0030】に「一方、上記遊技盤4の遊技領域40の右下周縁部には、7セグメントが3個並んで構成されており、そのうち2個の7セグメントが特別図柄表示装置51であり」と記載されていたり(必要であれば【図2】、【図4】及び【図5】も参照。)、新たに引用された引用文献8:特開2012-19994号公報の【0040】-【0042】には「主制御部201は、CPU(Central Processing Unit)211と、ROM(Read Only Memory)212と、・・・を備えて構成される。」、「主制御部201は、CPU211が・・・ROM212に記憶された各種プログラムを実行することによって、ぱちんこ遊技機100の遊技の進行を制御するように機能する。」、「CPU211は、予めROM212に記憶された各種プログラムに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行する。ROM212には、・・・特別図柄変動プログラム、・・・が記憶されている。」、【0045】には「特別図柄変動プログラムは、当たり判定や当たり図柄判定の判定結果を特別図柄として変動停止させるプログラムである。」、【0028】には「特別図柄表示部112および普通図柄表示部113としては、例えば7セグメントディスプレイが用いられる」、【0090】-【0094】には、「図柄対応ランプ151は、遊技者に識別図柄が変動中であるか否かを積極的に示す」(【0090】)、「演出制御部202は、変動表示部301の識別図柄、演出表示部302の演出表示、図柄対応ランプ151の点灯および演出対応ランプ152の点灯を制御する。」(【0091】)、「特図1表示部112aに変動表示される特図1、特図2表示部112bに変動表示される特図2、普通図柄表示部113に変動表示される普通図柄・・・に対応させて図柄対応ランプ151の点灯を制御してもよい」(【0092】)、「第1点灯制御部303は、識別図柄が変動表示されているときには図柄対応ランプ151を一定の間隔で点滅させる一方、識別図柄が停止表示されているときには図柄対応ランプ151に対して点灯状態を保持させる。」(【0094】)(必要であれば【図1】-【図3ー1】も参照。)と記載されていたりするように、本願の出願日前に周知慣用の技術である(以下、「周知の技術事項2」という。)。
そして、引用文献1における情報報知用ランプ群252の各ランプは、小当りランプ、ラウンド数報知ランプ等を含み、これらのランプにより報知される「小当たり」、「ラウンド数」は、抽選の結果に関連する情報であることから、引用発明と、上記の周知の技術事項2は、抽選の結果に関連する遊技の情報を報知していることで構成上共通し、また、引用発明と周知の技術事項2は、液晶表示装置等の演出用の表示部とは別に、遊技の結果に関連する情報を報知することを目的とする点で、共通の課題を解決するものであるので、引用発明において、特別図柄の変動中であると言う情報、及びその結果を、情報報知用ランプ群252が報知する情報として採用し、引用発明の「第2の特定発光手段」を「前記変動時間に亘って点滅表示されるとともに、前記大当たり抽選の結果に基づき、前記第1の特定発光手段とは異なる態様にて点灯表示されることによって、当該大当たり抽選に当選したか否かを報知」するものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

3 相違点3について
上記相違点3について検討する。
本願発明は、「遊技が行われないまま予め定められた所定の移行時間が経過することを条件として」省電力状態に移行するものであるが、遊技機に関する技術分野において、節電を行うために、遊技が行われないまま所定時間が経過した際に省電力モードに移行し、ランプ等の発光手段の一部又は全部の輝度を低下させることは、例えば、引用文献2の【0012】、【0067】、【0068】には「「vol_3」?「vol_5」の場合(音量によって3段階)、パチンコ遊技機1は、「ホール用節電モード」の設定となる。「ホール用節電モード」に設定すると、パチンコ遊技機1は、特別図柄の変動が停止して、次回変動が開始しない状態で所定時間が経過した際に、低消費電力の客待ち状態・・・に移行する。低消費電力状態では、幾つかの装飾LEDを除いてパチンコ遊技機1に使用された装飾LED(ランプ)を消灯し、液晶表示装置36では、黒い画面に「節電中」と表示された「節電デモ表示(節電客待ち表示)」が実行される。」と記載されていたり、引用文献3の【0043】、【0017】には「ランプ点灯制御手段9は、前記節電中判定手段7により、該遊技機2の節電モードフラグが「ON」であった場合には、前記遊技機2に設けられたトップライト、ランプ飾り、ランプ風車等の消費電力量の大きなものといった遊技盤に設けられたバックライトへの通電を停止する。この通電の停止は、遊技者による遊技が終了した直後ではなく、前記節電中判定手段7により、例えば、30秒間程度経過した後に節電中となる。」と記載されていたりするように、本願出願時において周知慣用の技術(以下、「周知の技術事項3」という。)である。
そして、引用発明は、省電力モード実行中はデモ演出自体も輝度を低下させたり、一部の発光手段を点灯させないことで、電力消費量を下げるものである。
したがって、引用発明と周知の技術事項3とは、節電機能を有する遊技機である点で共通する。
よって、引用発明における省電力モードの設定に上記周知技術3を付加することにより、ユーザー調整モードで輝度調整が行われた場合であっても、遊技が行われないまま予め定められた所定の移行時間が経過することを条件として省電力モードに移行する構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

4 相違点4について
上記相違点4について検討する。
上記相違点2についての検討と同様、「第2の特定発光手段」を、「前記変動時間に亘って点滅表示されるとともに、前記大当たり抽選の結果に基づき、前記第1の特定発光手段とは異なる態様にて点灯表示されることによって、当該大当たり抽選に当選したか否かを報知」するものとすることは、当業者が容易になし得たことであり、当該第2の特定発光手段が、「変更後の輝度とは異なる輝度で発光させることが可能である」ものであったとしても、上記の容易性の判断に影響が与えられるものではない。

5 効果について
本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2?8に記載された周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

6 小括

したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第7 請求人の主張について

審判請求人は、令和1年6月14日付け意見書において、次のとおり主張している。
「6.補正後の本願発明と引用文献に記載された発明との対比
・・・
そこで、審判請求人は今般のご指摘に鑑み、本日付同時提出の手続補正書により、「第1の特定発光手段」は、「遊技制御手段により制御され、予め定められた実行条件を満たすことにより行われる大当たり抽選の結果に応じた変動時間に亘って点滅表示された後、当該大当たり抽選の結果に基づく所定の態様にて点灯表示されることによって当該大当たり抽選に当選したか否かを報知する」ものであるという構成、および、「第2の特定発光手段」は、「変動時間に亘って点滅表示されるとともに、前記大当たり抽選の結果に基づき、前記第1の特定発光手段とは異なる態様にて点灯表示されることによって、当該大当たり抽選に当選したか否かを報知する」ものであるという構成を明確とする補正を行いました。
・・・
そして、上記補正後の請求項1に係る発明は、遊技者が発光手段による発光の輝度を変更可能であることを前提としつつも、省電力状態中の事情に応じた適切な輝度調整が可能な遊技機を提供するとともに、遊技者が輝度を変更した場合や、省電力状態に移行した場合であっても、遊技の結果に係わる発光手段については輝度の変更を適用しないこととして、遊技結果の報知を遊技者に対して確実に行えるようにするという課題を解決すべく、上記のような構成を備えたものとなっております。」

請求人が主張する、本願発明と引用発明との相違点は、本願発明の構成G及び構成Hに関するものである。そして、構成Gについては、上記「第5 対比」で述べたとおり、引用発明が備えているものであるし、構成Hについては、上記「第6 判断1 相違点1について」で述べたとおり、引用発明に対し、周知慣用の技術を採用する事によって生じる程度のものである。また、その奏する効果についても、引用発明がもとより、消費電力が大きい演出用ランプの消費電力の低下を目的とし、遊技情報の報知のランプは輝度の変更をしないようなものであるから、請求人の言う課題は、引用発明において解決しているものにすぎない。そうすると、当該構成Hについても、引用発明に対し、引用文献4や引用文献5に記載されているような周知の技術を適用することによって、当業者が容易に相当し得るものである。
したがって、審判請求人の主張は採用出来ない。

第8 むすび(結論)

以上のとおり、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-11 
結審通知日 2019-11-13 
審決日 2019-11-26 
出願番号 特願2014-163664(P2014-163664)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 智也  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 川崎 優
井海田 隆
発明の名称 遊技機  
代理人 石井 豪  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ