ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 F24F 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 F24F |
---|---|
管理番号 | 1358599 |
異議申立番号 | 異議2018-701058 |
総通号数 | 242 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-02-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-12-27 |
確定日 | 2019-11-22 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6349011号発明「空気調和機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6349011号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項8、11及び14について訂正することを認める。 特許第6349011号の請求項8、11、14に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6349011号の請求項1ないし16に係る特許についての出願は、平成29年4月28日に出願され、平成30年6月8日にその特許権の設定登録がされ、平成30年6月27日に特許掲載公報が発行された。 本件異議申立ての経緯は、次のとおりである。 平成30年12月27日:特許異議申立人 安川 千里(以下、「異議申立人」という。)による請求項8、11及び14に係る特許に対する異議の申立て 平成31年3月19日付け:取消理由通知書 令和1年5月17日:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和1年5月21日付け:訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項) 令和1年6月24日:異議申立人による意見書の提出 令和1年7月22日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和1年9月24日:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和1年9月26日付け:訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項) 令和1年10月31日:異議申立人による意見書の提出 第2 訂正の請求 1 訂正の内容 令和1年9月24日付けの訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項よりなる。(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項8に 「前記室内熱交換器を構成するフィンと前記ドレンパンとは接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が接触していることを特徴とする空気調和機。」とあるのを、 「前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、 前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触していることを特徴とする空気調和機。」と訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項11に 「前記ドレンパンのうち、前記結露水が流れる部分には撥水性の表面が配置されていることを特徴とする空気調和機。」とあるのを、 「前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、 前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンのうち、前記結露水が流れる部分には撥水性の表面が配置されていることを特徴とする空気調和機。」と訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項14に 「前記制御部は、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度であって、かつ、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させる蒸発温度の冷媒を前記室内熱交換器に通流させて、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させ、 前記室内熱交換器の表面に霜を発生させた後に、発生した霜を解凍することで液体の水を発生させて、結露水として前記ドレンパンに流すことを特徴とする空気調和機。」とあるのを、 「前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、 前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触しており、 前記制御部は、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度であって、かつ、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させる蒸発温度の冷媒を前記室内熱交換器に通流させて、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させ、 前記室内熱交換器の表面に霜を発生させた後に、発生した霜を解凍することで液体の水を発生させて、結露水として前記ドレンパンに流すことを特徴とする空気調和機。」と訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の「ドレンパン」に対して、「弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有」することを限定するとともに、訂正前の「前記室内熱交換器を構成するフィンと前記ドレンパンとは接触」することにおける「接触」に対して、「前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触」することを限定し、さらに、訂正前の「前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が接触」することにおける「接触」に対して、「前記断熱材を介して接触」することを限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、本願明細書の段落【0036】、【0046】ないし【0048】及び図5の記載に基づく訂正であるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、上記アのように訂正前の請求項8に記載された事項をさらに限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の「ドレンパン」に対して、「前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触して」いることを限定するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、本願明細書の段落【0036】、【0046】ないし【0048】及び図5の記載に基づく訂正であるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、上記アのように訂正前の請求項11に記載された事項をさらに限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の「ドレンパン」に対して、「前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触して」いることを限定するものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、本願明細書の段落【0036】、【0046】ないし【0048】及び図5の記載に基づく訂正であるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、上記アのように訂正前の請求項14に記載された事項をさらに限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 3 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項8、11及び14について訂正することを認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件訂正発明 本件訂正の請求により訂正された請求項8、11及び14に係る発明(以下、それぞれ「訂正発明8」、「訂正発明11」及び「訂正発明14」という。また、これらを総称して「訂正発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項8、11及び14に記載された次の事項により特定されたとおりのものである。 「【請求項8】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、 前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触していることを特徴とする空気調和機。」 「【請求項11】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、 前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンのうち、前記結露水が流れる部分には撥水性の表面が配置されていることを特徴とする空気調和機。」 「【請求項14】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、 前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触しており、 前記制御部は、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度であって、かつ、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させる蒸発温度の冷媒を前記室内熱交換器に通流させて、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させ、 前記室内熱交換器の表面に霜を発生させた後に、発生した霜を解凍することで液体の水を発生させて、結露水として前記ドレンパンに流すことを特徴とする空気調和機。」 2 取消理由(決定の予告)の概要 本件訂正前の請求項8、11及び14に係る特許に対して、当審が令和1年7月22日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は次のとおりである。 ア [理由2]本件特許の請求項8、11及び14に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の甲1、2、7ないし9及び10号証並びに参考資料1及び2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 記 <甲号証一覧> 甲第1号証:特開2010-14288号公報 甲第2号証:特開2005-214560号公報 甲第7号証:特開2003-120952号公報 甲第8号証:特開2004-278953号公報 甲第9号証:特開2006-46694号公報 甲第10号証:特開平8-152152号公報 <参考資料> 請求人が令和1年6月24日に意見書とともに提出した参考資料のうち参考資料1及び参考資料2 参考資料1:国際公開第2016/139806号 参考資料2:国際公開第2007/052593号 また、特許異議申立書について証拠として挙げられたが取消理由(決定の予告)において採用しなかった文献は次のとおりである。 甲第3号証:特開2001-153391号公報 甲第4号証:特開2001-90986号公報 甲第5号証:特開2011-144967号公報 甲第6号証:特開2017-44405号公報 甲第11号証:特開2011-169495号公報 (当審注:以下、上記「甲第〇号証」を「甲〇」、「本件特許の請求項○に係る発明」を「本件発明○」、さらに「参考資料○」を「参考○」という。) イ [理由2]について (1)請求項8 本件発明8は、甲1、甲2、甲8に記載された発明及び周知技術1(参考1及び参考2)から当業者が容易になし得たものである。 (2)請求項11 本件発明11は、甲1、甲2、甲8に記載された発明、周知技術1(参考1及び参考2)及び周知技術2(甲7ないし甲10)に記載された発明から当業者が容易になし得たものである。 (3)請求項14 本件発明14は、甲1、甲2、甲8に記載された発明及び周知技術1(参考1及び参考2)から当業者が容易になし得たものである。 3 甲1、2、7ないし9及び10の記載 (1)甲1 ア 甲1の記載 1a)「【請求項1】 室内の空気を吸い込む吸込口と吸い込まれた前記空気を室内に吹き出す吹出口が本体ケースに形成され、前記吸込口と前記吹出口を連通する送風路内に室内熱交換器と室内送風機とが配置された室内機と、室外送風機と圧縮機と室外熱交換器と電動膨張弁が配置された室外機と、を有する空気調和機であって、 前記室内熱交換器は、親水性プレコートフィンで構成し、前記フィンの少なくも一部を着霜させる着霜運転を行い、その後除霜運転により除霜水を発生させて前記室内熱交換器の前記フィン表面に付着した汚れを除去する手段を備えたことを特徴とする空気調和機。」 1b)「 」 1c)「【0011】 図1に示す空気調和機の室内機1は、室内機本体11を有しており、室内機本体11は本体ケース12Pを有している。可動パネル12は本体ケース12Pの前面側に開閉可能に設けられており、本体ケース12Pは後板13を有している。可動パネル12には前部吸込口12aが開口され、本体ケース12Pの上部には上部吸込口12bが開口されている。室内機本体11内には、除湿絞り手段を構成する除湿用絞り弁5と、エアフィルタ16と、室内熱交換器17と、室内送風機19が配置されている。 【0012】 図1に示す室内熱交換器17は、前部吸込口12aに対向する前側熱交換器部17Aと、上部吸込口12bに対向する後側熱交換器部17Bとから構成されている。これらの前側熱交換器部17Aと後側熱交換器部17Bは、本体ケース12P内においてほぼ逆V字状に形成されている。前側熱交換器部17Aは、ほぼ円弧状に形成されて室内機本体11の前面側に配置され、後側熱交換器部17Bは、室内機本体11の上部後面側に配置されている。前側熱交換器部17Aと後側熱交換器部17Bの内側の空間には、除湿用絞り弁5と室内熱交換器17が配置されている。 【0013】 前側熱交換器部17Aの下部には、前ドレンパン18aが配置され、後側熱交換器部17Bの下部には、後ドレンパン18bが配置されている。後板13には、後ドレンパン18bの下部側に送風路20が形成され、室内機本体11の下部には吹出口21が開口されている。送風路20と吹出口21はつながっており、吹出口21には、上下風向を設定するためのルーバー(水平ルーバーとも言う)22,23が配置されている。これらのルーバー22,23はR方向に向きを変えることにより、運転モードに応じて吹出口21から室内に吹き出される風の向きを変えることができる。」 1d)「【0014】 図2は、空気調和機の制御ブロックの例を示している。 図2に示す制御ブロックでは、室内機1と室外機30およびリモートコントローラ70を示している。 【0015】 室内機1側には、室内制御部50、リモートコントローラ70との送受信部51、室内吸込み空気と室内熱交換器の各温度センサTS、吹出口のルーバー22,23及び左右風向を設定するためのルーバー(図示せず)を夫々駆動するためのモータ52,53,54、室内送風機19のファンモータ55、前側熱交換器部17Aと後側熱交換器部17B、除湿用絞り弁5を備えている。除湿用絞り弁5は、前側熱交換器部17Aと後側熱交換器部17Bの間に配置されている。室内制御部50は、各温度センサTSの検出する温度信号を受ける。室内制御部50は、各ルーバー駆動用のモータ52、53,54とファンモータ55の動作を制御し、除湿用絞り弁5の絞り制御を行う。」 1e)「【0030】 図3に示す室内熱交換器17の温度センサTSは、室内熱交換器17の温度TCを測定する。この室内熱交換器17の温度センサTSは除湿用絞り弁5の冷媒出口5C側の冷媒配管6Fに配置されている。除湿用絞り弁5により冷媒の流れを絞った際の除湿運転サイクル時に室内熱交換器17の凍結を防止するために、この室内熱交換器17の温度センサTSは除湿用絞り弁5の冷媒出口部5C側の冷媒配管6Fに配置され、室内熱交換器17の温度が0℃以上になるように制御している。」 1f)「【0051】 図7では、縦軸が室内熱交換器17の温度(TC)を示し、横軸が時間を示している。 図7に示すように、通常の冷房運転サイクル時には、室内熱交換器17の凍結を防止するために、室内熱交換器17の温度(TC)が0℃以上になるように制御している。しかし、本発明の実施形態では、室内熱交換器17の温度(TC)が温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)をT時間以上設けることにより、室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFに対して着霜させる。この室内熱交換器17の温度(TC)の値と時間Tの長さを調整することにより、親水性プレコートフィンFに対する着霜量を調整することができる。 【0052】 図3に示すように、除湿用絞り弁5の下流側である前側熱交換器部17Aの表面側の熱交換パイプP(P3)と後側熱交換器部17Bの表面側の熱交換パイプP(P4)に、除湿用絞り弁5を通った後の冷媒が通るように、すなわち除湿用絞り弁5を通った後の冷媒が前側熱交換器部17Aの表面側と後側熱交換器部17Bの表面側に通るように、室内熱交換器17の冷媒パスを設定している。これにより、汚れが付着し易い前側熱交換器部17Aの表面側と後側熱交換器部17Bの表面側に対して効率良く着霜することができる。 【0053】 しかも、冷房運転により着霜させることにより、室内熱交換器17の全体に効率良く着霜させることができ、その後暖房運転もしくは送風運転により加熱することで霜が溶けて除霜水が生じるので、この除霜水が親水性プレコートフィンFの汚れを効率良く除去できる。」 1g)「【0059】 図9では、縦軸が室内熱交換器17の温度(TC)を示し、横軸が時間を示している。 図9に示すように、通常の冷房運転サイクル時には、室内熱交換器17の凍結を防止するために、室内熱交換器17の温度(TC)が0℃以上になるように制御している。しかし、本発明の実施形態では、室内熱交換器17の温度(TC)が温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)をT時間以上設けることにより、室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFに対して着霜させる。この室内熱交換器17の温度(TC)の値と時間(着霜運転時間)Tの長さを調整することにより、親水性プレコートフィンFに対する着霜量を調整することができる。 【0060】 その後、室内熱交換器17の除霜をする場合には、室内熱交換器17の温度を利用して、室内熱交換器17の温度Tcdef(ただし、Tcdef>0℃)が時間Tdefの間設定されることにより、室内熱交換器17の除霜を行うことができる。なお、除霜終了の判定は、室内熱交換器17の温度TCの値により行われるが、例えば図8に示す例では、室内熱交換器17の温度TCが最大温度になった時に除霜作業が終了したと判定する。」 1h)図1及び図6から、凹凸を表面に有する前ドレンパン18aは、室内熱交換器17の下方に配置されることが看取できる。 1i)上記1d)及び1e)の記載から、通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時には、凍結を防止するために室内熱交換器17の温度が0℃以上になるように制御していることが理解できる。 イ 甲1に記載された発明 上記ア及び図1ないし図10の記載から、甲1には以下の発明が記載されている。 i)甲1発明1 「室内送風機19と、 室内熱交換器17と、 室内熱交換器17の下方に配置されて凹凸を表面に有する前ドレンパン18aと、 通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時には、室内熱交換器17の温度が0℃以上となるようにするとともに、着霜運転時には、室内熱交換器17の温度(TC)を温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)とする室内制御部50と、を備える室内機1を有する空気調和機。」(以下、「甲1発明1」という。) ii)甲1発明2 「室内送風機19と、 室内熱交換器17と、 室内熱交換器17の下方に配置されて凹凸を表面に有する前ドレンパン18aと、 通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時には、室内熱交換器17の温度が0℃以上となるようにするとともに、着霜運転時には、室内熱交換器17の温度(TC)を温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)とする室内制御部50と、を備える室内機1を有し、 室内制御部50は、室内熱交換器17の温度(TC)を温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)とすることによって室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFに対して着霜させ、 室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFに対して着霜させた後に、室内熱交換器17の除霜を行うことにより除霜水を発生させる、空気調和機。」(以下、「甲1発明2」という。) (2)甲2 ア 甲2技術 段落【0033】ないし【0038】の記載並びに図3及び図5からみて、甲2には以下の技術が記載されている。 「空気調和機1の室内機2において、第2熱交換部20bのフィン13の先端を、凹凸を表面に有するドレンパンの凹部の内側に対して近接配置する技術。」(以下、「甲2技術」という。) (3)甲7 ア 甲7技術 段落【0014】及び【0017】の記載並びに図1、図2及び図4からみて、甲7には以下の技術が記載されている。 「空気調和機の室内ユニットにおいて、ドレンパン5の表面及び内部を撥水材9で構成する技術。」(以下、「甲7技術」という。) (4)甲8 ア 甲8技術1 段落【0106】ないし【0112】の記載及び図29からみて、甲8には以下の技術が記載されている。 「空気調和機の室内ユニット1において、熱交換器4の先端を凹凸を表面に有するドレンパン15aの凹部の内側に対して近接配置する技術。」(以下、「甲8技術1」という。) イ 甲8技術2 請求項4、段落【0011】、【0013】、【0014】及び段落【0107】ないし【0112】並びに図29からみて、甲8には以下の技術が記載されている。 「空気調和機の室内ユニット1におけるドレンパン15a、15bの内壁面に、撥水性バインダー樹脂、ポリテトラフルオロエチレン粒子、分散剤、低熱容量の粒子及び溶媒からなる表面処理用組成物で形成した塗膜を施す技術。」(以下、「甲8技術2」という。) (5)甲9 ア 甲9技術 請求項13、段落【0018】、【0039】及び段落【0078】ないし【0081】並びに図13及び図14からみて、甲9には以下の技術が記載されている。 「空気調和装置1の室外側熱交換器2の下方に設けられたドレンパン6の上面6aに、滑水性及び撥水性処理を施す技術。」(以下、「甲9技術」という。) (6)甲10 ア 甲10技術 請求項1ないし4、段落【0015】、【0023】及び【0024】ないし【0026】の記載並びに図1及び図2からみて、甲10には以下の技術が記載されている。 「空気調和機の室内機に設けられる熱交換器からのドレンを受けるドレンパンの表面に撥水性のコーティングを施す技術。」(以下、「甲10技術」という。) 4 参考資料について 請求人は、令和1年5月17日にされた訂正請求に対して令和1年6月24日に参考資料1ないし6を意見書とともに提出している。 そのうち、参考資料1及び2(以下、「参考1」及び「参考2」という。)には以下のとおりの技術が記載されている。 (1)参考1(国際公開2016/139806号) ア 参考1技術 段落[0015]、[0039]及び[0040]の記載並びに図2の記載からみて、参考1には以下の技術が記載されている。 「表面に断熱材46を配置した背面側ドレンパン45において、背面側ドレンパン45を構成する吸込風路壁構成部材41を断熱材46を介して背面側熱交換器5bの先端部で押さえる技術。」(以下、「参考1技術」という。) (2)参考2(国際公開2007-052593号) ア 参考2技術 段落[0017]及び[0018]の記載並びに図10の記載からみて、参考2には以下の技術が記載されている。 「表面に断熱部材46を配置したドレンパン4において、熱交換器6の下端部6aをドレンパン4の断熱部材43の上面に密着させ、熱交換器6の下端部6aと断熱部材43との間の隙間をなくす技術。」(以下、「参考2技術」という。) 5 [理由2](特許法第29条第2項)について (1)訂正発明8 訂正発明8と甲1発明1とを対比する。 甲1発明1における「室内送風機19」は、その機能、構成又は技術的意義から訂正発明8における「貫流ファン」に相当し、以下同様に、「室内熱交換器17」は「室内熱交換器」に、「通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時」は「冷房運転時及び除湿運転時」に、「室内制御部50」は「制御部」に、「室内機1」は「室内機」にそれぞれ相当する。 そして、甲1発明1における「凹凸を表面に有する前ドレンパン18a」は、技術常識からみて、ドレンパンは熱交換器において発生した結露水を表面に受ける機能を有するものであり、その結露水を室外に排出する排出口を有することは技術常識からみて明らかであるから、訂正発明8における「室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排出する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパン」に相当する。 さらに、甲1発明1における「通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時には、室内熱交換器17の温度が0℃以上となるようにするとともに、着霜運転時には、室内熱交換器17の温度(TC)を温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)とする」ことは、着霜運転時に「通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時」(0℃以上)よりも室内熱交換器17の温度を低い温度(Tcice<0℃)とすることであって、室内熱交換器17の温度を低い温度とするために、室内熱交換機17に対して低い蒸発温度の冷媒を通流させることは技術常識からみて明らかであるから、訂正発明8における「室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる」ことに相当する。 よって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有する空気調和機。」 [相違点1] 訂正発明8においては、「前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触している」のに対して、甲1発明1においては、前ドレンパン18aがそのような断熱材を備えておらず、前ドレンパン18a表面の凹凸の凹部の内側に室内熱交換器17の先端が前記断熱材を介して接触していない点(以下、「相違点1」という。)。 上記相違点1について検討する。 [相違点1について] 甲2技術は、「空気調和機1の室内機2において、第2熱交換部20bのフィン13の先端を、凹凸を表面に有するドレンパンの凹部の内側に対して近接配置する技術」であって、 甲8技術1は、「空気調和機の室内ユニット1において、熱交換器4の先端を凹凸を表面に有するドレンパン15aの凹部の内側に対して近接配置する技術」である。 さらに、参考1技術は、「表面に断熱材46を配置した背面側ドレンパン45において、背面側ドレンパン45を構成する吸込風路壁構成部材41を断熱材46を介して背面側熱交換器5bの先端部で押さえる技術」であって、 参考2技術は、「表面に断熱部材46を配置したドレンパン4において、熱交換器6の下端部6aをドレンパン4の断熱部材43の上面に密着させ、熱交換器6の下端部6aと断熱部材43との間の隙間をなくなるようにする技術」である。 ここで、ドレンパンの表面に断熱材を配置してドレンパンと熱交換器の下端部あるいは先端部が断熱材を介して接触させることは、参考1技術及び参考2技術により周知技術(以下、「周知技術1」という。)であると認められる。 そして、上記甲2技術及び甲8技術1は、空気調和機の熱交換器の先端を凹凸部を設けたドレンパンの凹部に対して近接配置することに関するものであるから、凹凸を表面に有するドレンパン18aを備えた甲1発明1においてドレンパンの熱交換器の配置に関する甲2技術及び甲8技術1を適用して室内熱交換器17の先端部を前ドレンパン18aの凹部の内側に近接配置することに困難性はない。 しかし、甲1発明1の「凹凸を表面に有する前ドレンパン18a」は、図1をみると内面側が複数の凸部を有する複雑な形状を有しており、内面側に断熱材を設けることが困難と認められる上に、室内熱交換器17の先端部から前ドレンパン18aの背面側まで一定の距離があり結露が発生しにくい構造となっているから、甲1発明1において周知技術1における断熱材を配置する動機付けがない。 さらに、周知技術1の断熱材は、表面に凹凸部を有するものではないから、該凹凸部のうち凹部の内側に熱交換器の下端部あるいは先端部が接触するものでもない。 そうすると、甲1発明1において上記甲2技術及び甲8技術1を適用したものに、さらに周知技術1を適用する動機付けはなく、適用したとしても、訂正発明8における「前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し」、「前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触している」という発明特定事項を有するものとはならない。 よって、甲1発明1、甲2技術、甲8技術1及び周知技術1に基いて上記相違点1に係る訂正発明8の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たとすることはできない。 したがって、訂正発明8は、甲1発明1、甲2技術、甲8技術1及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明することができたとはいえない。 (2)訂正発明11 訂正発明11と甲1発明1とを対比する。 甲1発明1における「室内送風機19」は、その機能、構成又は技術的意義から訂正発明11における「貫流ファン」に相当し、以下同様に、「室内熱交換器17」は「室内熱交換器」に、「通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時」は「冷房運転時及び除湿運転時」に、「室内制御部50」は「制御部」に、「室内機1」は「室内機」にそれぞれ相当する。 そして、甲1発明1における「凹凸を表面に有する前ドレンパン18a」は、技術常識からみて、ドレンパンは熱交換器において発生した結露水を表面に受ける機能を有するものであり、その結露水を室外に排出する排出口を有することは技術常識から見て明らかであるから、訂正発明11における「室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排出する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパン」に相当する。 さらに、甲1発明1における「通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時には、室内熱交換器17の温度が0℃以上となるようにするとともに、着霜運転時には、室内熱交換器17の温度(TC)を温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)とする」ことは、着霜運転時に「通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時」(0℃以上)よりも室内熱交換器17の温度を低い温度(Tcice<0℃)とすることであって、室内熱交換器17の温度を低い温度とするために、室内熱交換機17に対して低い蒸発温度の冷媒を通流させることは技術常識からみて明らかであるから、訂正発明11における「室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる」ことに相当する。 よって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有する空気調和機。」 [相違点2] 訂正発明11においては、「前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触している」のに対して、甲1発明1においては、前ドレンパン18aがそのような断熱材を備えておらず、前ドレンパン18a表面の凹凸の凹部の内側に室内熱交換器17の先端が前記断熱材を介して接触していない点(以下、「相違点2」という。)。 [相違点3] 訂正発明11においては、「前記ドレンパンのうち、前記結露水が流れる部分には撥水性の表面が配置されている」のに対して、甲1発明1においては、「前ドレンパン18a」において、結露水が流れる部分には撥水性の表面が配置されているか不明である点(以下、「相違点3」という。)。 上記相違点について検討する。 [相違点2について] 甲2技術は、「空気調和機1の室内機2において、第2熱交換部20bのフィン13の先端を、凹凸を表面に有するドレンパンの凹部の内側に対して近接配置する技術」であって、 甲8技術1は、「空気調和機の室内ユニット1において、熱交換器4の先端を凹凸を表面に有するドレンパン15aの凹部の内側に対して近接配置する技術」である。 さらに、参考1技術は、「表面に断熱材46を配置した背面側ドレンパン45において、背面側ドレンパン45を構成する吸込風路壁構成部材41を断熱材46を介して背面側熱交換器5bの先端部で押さえる技術」であって、 参考2技術は、「表面に断熱部材46を配置したドレンパン4において、熱交換器6の下端部6aをドレンパン4の断熱部材43の上面に密着させ、熱交換器6の下端部6aと断熱部材43との間の隙間をなくなるようにする技術」である。 ここで、ドレンパンの表面に断熱材を配置してドレンパンと熱交換器の下端部あるいは先端部が断熱材を介して接触させることは、参考1技術及び参考2技術により周知技術(以下、「周知技術1」という。)であると認められる。 そして、上記甲2技術及び甲8技術1は、空気調和機の熱交換器の先端を凹凸部を設けたドレンパンの凹部に対して近接配置することに関するものであるから、凹凸を表面に有するドレンパン18aを備えた甲1発明1においてドレンパンの熱交換器の配置に関する甲2技術及び甲8技術1を適用して室内熱交換器17の先端部を前ドレンパン18aの凹部の内側に近接配置することに困難性はない。 しかし、甲1発明1の「凹凸を表面に有する前ドレンパン18a」は、図1をみると内面側が複数の凸部を有する複雑な形状を有しており、内面側に断熱材を設けることが困難と認められる上に、室内熱交換器17の先端部から前ドレンパン18aの背面側まで一定の距離があり結露が発生しにくい構造となっているから、甲1発明1において周知技術1における断熱材を配置する動機付けがない。 さらに、周知技術1の断熱材は、表面に凹凸部を有するものではないから、該凹凸部のうち凹部の内側に熱交換器の下端部あるいは先端部が接触するものでもない。 そうすると、甲1発明1において上記甲2技術及び甲8技術1を適用したものに、さらに周知技術1を適用する動機付けはなく、適用したとしても、訂正発明11における「前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し」、「前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触している」という発明特定事項を有するものとはならない。 よって、甲1発明1、甲2技術、甲8技術1及び周知技術1に基いて上記相違点2に係る訂正発明11の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たとすることはできない。 また、甲7技術、甲8技術2、甲9技術及び甲10技術は、空気調和器における熱交換器からのドレンを受けるドレンパンの表面を撥水性のものとすることが周知技術(以下、「周知技術2」という。)であることを示すものであって、上記相違点2に係る訂正発明11の発明特定事項を示すものではない。 したがって、訂正発明11は、上記相違点3について検討するまでもなく、甲1発明1、甲2技術、甲8技術1、周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明することができたとはいえない。 (3)訂正発明14 訂正発明14と甲1発明2とを対比する。 甲1発明2における「室内送風機19」は、その機能、構成又は技術的意義から訂正発明14における「貫流ファン」に相当し、以下同様に、「室内熱交換器17」は「室内熱交換器」に、「通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時」は「冷房運転時及び除湿運転時」に、「室内制御部50」は「制御部」に、「室内機1」は「室内機」にそれぞれ相当する。 そして、甲1発明2における「凹凸を表面に有する前ドレンパン18a」は、技術常識からみて、ドレンパンは熱交換器において発生した結露水を表面に受ける機能を有するものであり、その結露水を室外に排出する排出口を有することは技術常識からみて明らかであるから、訂正発明14における「室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排出する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパン」に相当する。 さらに、甲1発明2における「通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時には、室内熱交換器17の温度が0℃以上となるようにするとともに、着霜運転時には、室内熱交換器17の温度(TC)を温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)とする」ことは、着霜運転時に「通常の冷房運転サイクル時及び除湿運転サイクル時」(0℃以上)よりも室内熱交換器17の温度を低い温度(Tcice<0℃)とすることであって、室内熱交換器17の温度を低い温度とするために、室内熱交換機17に対して低い蒸発温度の冷媒を通流させることは技術常識からみて明らかであるから、訂正発明14における「室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる」ことに相当し、 甲1発明2における「室内熱交換器17の温度(TC)を温度Tcice(ただし、Tcice<0℃)とすること」は、訂正発明14における「冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度であって、かつ、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させる蒸発温度の冷媒を前記室内熱交換器に通流させ(る)」ことに相当し、以下同様に、「室内熱交換器17の親水性プレコートフィンFに対して着霜させ(る)」は「室内熱交換器の表面に霜を発生させ(る)」に、「室内熱交換器17の除霜を行うことにより除霜水を発生させ(る)」は「発生した霜を解凍することで液体の水を発生させ(る)」に、それぞれ相当する。 よって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。 [一致点] 「貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記制御部は、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度であって、かつ、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させる蒸発温度の冷媒を前記室内熱交換器に通流させて、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させ、 前記室内熱交換器の表面に霜を発生させた後に、発生した霜を解凍することで液体の水を発生させる空気調和機。」 [相違点4] 訂正発明14においては、「前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触している」のに対して、甲1発明2においては、前ドレンパン18aがそのような断熱材を備えておらず、前ドレンパン18a表面の凹凸の凹部の内側に室内熱交換器17の先端が前記断熱材を介して接触していない点(以下、「相違点4」という。)。 [相違点5] 訂正発明14においては、「発生した霜を解凍することで液体の水を発生させて、結露水としてドレンパンに流す」のに対して、甲1発明2においては、「室内熱交換器17の除霜を行うこと」による除霜水を前ドレンパン18aに流すことが明記されていない点(以下、「相違点5」という。)。 上記相違点について検討する。 [相違点4について] 甲2技術は、「空気調和機1の室内機2において、第2熱交換部20bのフィン13の先端を、凹凸を表面に有するドレンパンの凹部の内側に対して近接配置する技術」であって、 甲8技術1は、「空気調和機の室内ユニット1において、熱交換器4の先端を凹凸を表面に有するドレンパン15aの凹部の内側に対して近接配置する技術」である。 さらに、参考1技術は、「表面に断熱材46を配置した背面側ドレンパン45において、背面側ドレンパン45を構成する吸込風路壁構成部材41を断熱材46を介して背面側熱交換器5bの先端部で押さえる技術」であって、 参考2技術は、「表面に断熱部材46を配置したドレンパン4において、熱交換器6の下端部6aをドレンパン4の断熱部材43の上面に密着させ、熱交換器6の下端部6aと断熱部材43との間の隙間をなくなるようにする技術」である。 ここで、ドレンパンの表面に断熱材を配置してドレンパンと熱交換器の下端部あるいは先端部が断熱材を介して接触させることは、参考1技術及び参考2技術により周知技術(以下、「周知技術1」という。)であると認められる。 そして、上記甲2技術及び甲8技術1は、空気調和機の熱交換器の先端を凹凸部を設けたドレンパンの凹部に対して近接配置することに関するものであるから、凹凸を表面に有するドレンパン18aを備えた甲1発明2においてドレンパンの熱交換器の配置に関する甲2技術及び甲8技術1を適用して室内熱交換器17の先端部を前ドレンパン18aの凹部の内側に近接配置することに困難性はない。 しかし、甲1発明2の「凹凸を表面に有する前ドレンパン18a」は、図1をみると内面側が複数の凸部を有する複雑な形状を有しており、内面側に断熱材を設けることが困難と認められる上に、室内熱交換器17の先端部から前ドレンパン18aの背面側まで一定の距離があり結露が発生しにくい構造となっているから、甲1発明2において周知技術1における断熱材を配置する動機付けがない。 さらに、周知技術1の断熱材は、表面に凹凸部を有するものではないから、該凹凸部のうち凹部の内側に熱交換器の下端部あるいは先端部が接触するものでもない。 そうすると、甲1発明2において上記甲2技術及び甲8技術1を適用したものに、さらに周知技術1を適用する動機付けはなく、適用したとしても、訂正発明14における「前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し」、「前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触している」という発明特定事項を有するものとはならない。 よって、甲1発明2、甲2技術、甲8技術1及び周知技術1に基いて上記相違点4に係る訂正発明14の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たとすることはできない。 したがって、上記相違点5について検討するまでもなく、訂正発明14は、甲1発明2、甲2技術、甲8技術1及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明することができたとはいえない。 6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許異議申立理由 ア 本件特許の請求項14に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された甲第1号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 イ 特許異議申立理由についての判断 本件特許の請求項14に係る発明は、訂正が認められたことにより訂正発明14に対応する。そして、上記5(3)において判断したとおり、訂正発明14は甲第1号証に記載された甲1発明2と、少なくとも上記[相違点4]において実質的に相違するものであるから、訂正発明14は甲1発明2であるとはいえない。 (2)特許異議申立書に挙げられた甲号証のうち採用しなかったものについて 甲第3号証ないし甲第6号証は、それぞれドレンパンに対する熱交換器の下端部の配置について開示するものであり、甲第11号証は、ドレンパンの水受け部の材料について開示している。 しかし、甲第3号証ないし甲第6号証及び甲第11号証は、いずれも「前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し」、「前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が断熱材を介して接触している」という上記相違点1、2及び4に係る訂正発明8、11及び14における発明特定事項を示すものではない。 (3)令和1年10月31日提出の異議申立人による意見書について 同意見書第11ページ第1ないし3行において異議申立人は「また、甲1号証に記載のドレンパンに断熱材を設ける場合、凸部を設ける場合、凸部を残しつつ断熱材を貼るわけではなく、凸部に換えて断熱材を設けることが当然である。このため参考技術3との組合せが困難であるとの主張は成り立たない。」と主張する。 この異議申立人による主張について検討すると、参考3(特開2014-77591号公報)には、空気調和機の室内ユニット1において、ドレンパン6の内面側に一体の発泡断熱材19が設けられ、発泡断熱材19の内面側に室内熱交換器4の下端を載置する台座20を形成する(図3、図4、請求項1の記載参照。)ことが記載されている。 しかし、参考3の発泡断熱材19の内面側に設けられている凸部は室内熱交換器4の下端を載置するための台座であるから、台座としての機能を有さない甲第1号証に記載のドレンパンの凸部に換えて断熱材を設ける動機付けはない。 そして、異議申立人の主張のとおり、甲第1号証に記載のドレンパンの凸部に換えて参考3における発泡断熱材19を甲第1号証に記載のドレンパンに適用すると、発泡断熱材19に形成された台座20は室内熱交換器4の下端を載置するためのものであるから、ドレンパンの内側の表面を構成する凹凸のうちの凸部に載置することとなり、「前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し」、「前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が断熱材を介して接触している」という訂正発明8、11及び14における発明特定事項を備えるに至らないことは明らかである。 なお、参考4ないし6に記載されたドレンパンの内面側に設けられた断熱材における凸部は、いずれも室内熱交換器の下端が載置されるものであるから、上記参考3と同様である。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、本件請求項8、11及び14に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項8、11及び14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記ドレンパンは、前記左右方向流路の表面に断熱材を備える一方で、前記前後方向流路の表面には断熱材を備えないことを特徴とする空気調和機。 【請求項2】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記凹凸は、前記左右方向流路の内部に、前記室内機の正面視で左右方向に延在しており、 前記ドレンパンは、前記左右方向流路の表面に断熱材を備える一方で、前記前後方向流路の表面には断熱材を備えないことを特徴とする空気調和機。 【請求項3】 前記左右方向流路の表面に備えられた断熱材は、前記室内熱交換器において発生した結露水を受ける部分に配置され、 前記凹凸は当該断熱材の表面に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気調和機。 【請求項4】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記前後方向流路の背面側には、前記排水口が形成されていることを特徴とする空気調和機。 【請求項5】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記凹凸は、前記左右方向流路の内部に、前記室内機の正面視で左右方向に延在しており、 前記前後方向流路の背面側には、前記排水口が形成されていることを特徴とする空気調和機。 【請求項6】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記前後方向流路の底面には、前記排水口の近傍において、前記排水口に向かって下る傾斜が形成されており、 前記前後方向流路には凸部が形成され、 当該凸部は、前記傾斜の途中で無くなるように前記傾斜の下る方向に徐々に高さが低くなっていることを特徴とする空気調和機。 【請求項7】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記凹凸は、前記左右方向流路の内部に、前記室内機の正面視で左右方向に延在しており、 前記前後方向流路の底面には、前記排水口の近傍において、前記排水口に向かって下る傾斜が形成されており、 前記前後方向流路には凸部が形成され、 当該凸部は、前記傾斜の途中で無くなるように前記傾斜の下る方向に徐々に高さが低くなっていることを特徴とする空気調和機。 【請求項8】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、 前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触していることを特徴とする空気調和機。 【請求項9】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記室内熱交換器を構成するフィンと前記ドレンパンとは接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が接触していることを特徴とする空気調和機。 【請求項10】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記凹凸は、前記左右方向流路の内部に、前記室内機の正面視で左右方向に延在しており、 前記室内熱交換器を構成するフィンと前記ドレンパンとは接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が接触していることを特徴とする空気調和機。 【請求項11】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、 前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンのうち、前記結露水が流れる部分には撥水性の表面が配置されていることを特徴とする空気調和機。 【請求項12】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記ドレンパンのうち、前記結露水が流れる部分には撥水性の表面が配置されていることを特徴とする空気調和機。 【請求項13】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記凹凸は、前記左右方向流路の内部に、前記室内機の正面視で左右方向に延在しており、 前記ドレンパンのうち、前記結露水が流れる部分には撥水性の表面が配置されていることを特徴とする空気調和機。 【請求項14】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、弾力性を有する断熱材を備えるものであり、前記断熱材は、前記ドレンパンの内側の表面を構成するとともに凹凸を前記凹凸として表面に有し、 前記室内熱交換器を構成するフィンは、前記ドレンパンとは、前記ドレンパンの内側を構成する前記断熱材を介して接触しており、 前記ドレンパンを構成する凹凸のうちの凹んだ部分の内側に前記フィンの先端が前記断熱材を介して接触しており、 前記制御部は、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度であって、かつ、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させる蒸発温度の冷媒を前記室内熱交換器に通流させて、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させ、 前記室内熱交換器の表面に霜を発生させた後に、発生した霜を解凍することで液体の水を発生させて、結露水として前記ドレンパンに流すことを特徴とする空気調和機。 【請求項15】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記制御部は、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度であって、かつ、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させる蒸発温度の冷媒を前記室内熱交換器に通流させて、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させ、 前記室内熱交換器の表面に霜を発生させた後に、発生した霜を解凍することで液体の水を発生させて、結露水として前記ドレンパンに流すことを特徴とする空気調和機。 【請求項16】 貫流ファンと、 室内熱交換器と、 当該室内熱交換器の下方に配置されて前記室内熱交換器において発生した結露水を表面に受け、受けた結露水を室外に排水する排水口が形成されているとともに、凹凸を表面に有するドレンパンと、 前記室内熱交換器に対し、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度の冷媒を通流させる制御部と、を備える室内機を有し、 前記ドレンパンは、前記室内機の正面視で左右方向に延在する左右方向流路と、当該左右方向流路の左右両端にそれぞれに接続され、前記室内機の正面から背面に向かって延在する前後方向流路とを備えて構成され、 前記凹凸は、前記左右方向流路の内部に、前記室内機の正面視で左右方向に延在しており、 前記制御部は、冷房運転時及び除湿運転時に通流する冷媒の蒸発温度よりも低い蒸発温度であって、かつ、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させる蒸発温度の冷媒を前記室内熱交換器に通流させて、前記室内熱交換器の表面に霜を発生させ、 前記室内熱交換器の表面に霜を発生させた後に、発生した霜を解凍することで液体の水を発生させて、結露水として前記ドレンパンに流すことを特徴とする空気調和機。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-11-14 |
出願番号 | 特願2017-89731(P2017-89731) |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YAA
(F24F)
P 1 652・ 113- YAA (F24F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 河野 俊二 |
特許庁審判長 |
平城 俊雅 |
特許庁審判官 |
槙原 進 松下 聡 |
登録日 | 2018-06-08 |
登録番号 | 特許第6349011号(P6349011) |
権利者 | 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 |
発明の名称 | 空気調和機 |
代理人 | 特許業務法人磯野国際特許商標事務所 |
代理人 | 特許業務法人磯野国際特許商標事務所 |