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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 全部申し立て 特174条1項  A63F
審判 全部申し立て 発明同一  A63F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A63F
管理番号 1358652
異議申立番号 異議2019-700456  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-06-05 
確定日 2020-01-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第6433648号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6433648号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6433648号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成25年10月24日に出願され、平成29年8月18日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月27日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年3月16日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年5月30日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月16日にその特許権の設定登録がされ、同年12月5日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和1年6月5日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがされ、当審は、同年8月27日付けで取消理由を通知した。それに対し、特許権者である株式会社三共は、同年10月28日付けで意見書を提出した。

2 本件発明
本件特許の請求項1の特許に係る発明(以下「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(A?Gは、当審にて付与した。)。
「A 所定の遊技を行う遊技機であって、
B 特定条件が成立したときに遊技者に付与される有利量を複数種類の有利量の中から決定可能な有利量決定手段と、
C 前記有利量決定手段が決定した有利量に基づいて有利状態に制御する有利状態制御手段と、
D 前記有利状態に制御される旨の特定情報を報知する特定情報報知手段と、
E 前記有利量決定手段により決定された有利量を特定可能な有利量情報を報知する有利量情報報知手段とを備え、
F1 前記特定条件が成立したときに前記有利量決定手段により複数種類の有利量の中から遊技者に付与される有利量が決定された場合において、
F2 決定された有利量が最小の有利量であるときには当該最小の有利量を特定可能な有利量情報が報知されることなく前記特定情報が報知され、
F3 決定された有利量が最小の有利量以外の特定の有利量であるときには当該特定の有利量を特定可能な有利量情報が報知された後に前記特定情報が報知される、
G 遊技機。」

3 取消理由の概要
当審において令和1年8月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
(1)理由1(新規事項)平成29年10月27日付け手続補正書でした補正(以下「本件補正」という。)は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願についてされたものである。
(2)理由2(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願についてなされたものである。

4 当審における判断
(1) 取消理由通知に記載した取消理由について
ア 理由1(新規事項)について
(ア)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである(以下「本件補正後発明」という。)(A?Gは、当審にて付与した。また、下線は本件補正により補正がされた箇所である。)。
「A 所定の遊技を行う遊技機であって、
B’ 遊技者に付与される有利量を複数種類の有利量の中から決定可能な有利量決定手段と、
C 前記有利量決定手段が決定した有利量に基づいて有利状態に制御する有利状態制御手段と、
D 前記有利状態に制御される旨の特定情報を報知する特定情報報知手段と、
E 前記有利量決定手段により決定された有利量を特定可能な有利量情報を報知する有利量情報報知手段とを備え、
F1’ 前記有利量決定手段により複数種類の有利量の中から最小の有利量が決定されたときは、前記有利量情報が報知されることなく前記特定情報が報知され、
F2’ 前記有利量決定手段により複数種類の有利量の中から最小の有利量以外の有利量が決定されたときは、前記有利量情報が報知された後に前記特定情報が報知される、
G 遊技機。」

(イ)取消理由1は、当初明細書等には、「30ゲーム獲得!!」と「最小の有利量」を報知するものが記載されているから、本件補正によって補正された発明特定事項である構成F1’は、新規事項を追加するものであるというものであった。

(ウ)そこで、はじめに本件補正後発明の構成Eにて特定されている「有利量情報」について検討する。
「有利量情報」は、本件補正後発明の構成Eに記載のとおり「有利量決定手段により決定された有利量を特定可能な」ものである。
ここで、当初明細書等には、本件補正後発明の構成Eに関して下記の記載がある(下線は当審にて付した。以下同様。)。

「【0007】
(1) 所定の遊技を行う遊技機(たとえば、スロットマシン、パチンコ遊技機)であって、有利量決定条件を満たしたとき(たとえば、AT抽選で当選したとき、時短決定抽選で当選したとき)に遊技者に付与される有利量(たとえば、ATゲーム数、時短回数)を当該有利量決定条件に応じた複数種類の有利量の中から決定可能な有利量決定手段(たとえば、図13のATゲーム数決定処理、時短回数抽選を実行する処理)と、
前記有利量決定手段が決定した有利量に基づいて有利状態に制御する有利状態制御手段(たとえば、AT制御する処理、時短制御する処理)と、
前記有利量決定手段の決定に応じて情報(たとえば、ATゲーム数、時短回数)を報知する決定報知手段とを備え、
前記決定報知手段は、
前記有利量決定手段により複数種類の有利量の中から最小の有利量(たとえば、最低分のATゲーム数である30ゲーム、最低分の時短回数である10回)が決定されたときに、有利状態の制御を示す特定情報(たとえば、液晶表示器51の画面上に表示される「有利中」の文字画像の情報)を報知する第1報知手段(たとえば、報知演出を実行せずに表示演出を実行する処理、図17および図18の演出パターン1、2)と、
前記有利量決定手段により複数種類の有利量の中から最小の有利量以外の有利量が決定されたときに、前記第1報知手段では報知されない決定された有利量に関する有利量情報(たとえば、液晶表示器51の画面上に表示される「50ゲーム獲得!!」の文字画像の情報)を報知し、その後に前記特定情報を報知する第2報知手段(たとえば、報知演出を実行した後に表示演出を実行する処理、図17および図18の演出パターン3?8)とを含む。」

「【0293】
[ATゲーム数決定処理]
・・・
【0295】
一方、サブ制御部91は、AT抽選役に対応する内部当選コマンドをメイン制御部41から受信したと判定したときには(S11でY)、当選したAT抽選役に応じてAT抽選を実行して、ATゲーム数を決定する(S12)。」

これらの記載によれば、本件補正後発明の構成Eの「有利量決定手段により決定された有利量」は、当初明細書等における、AT抽選を実行して決定されたATゲーム数といえる。
そうすると、本件補正後発明の構成Eにおける「有利量情報」は、「有利量決定手段により決定された有利量を特定可能な」ものであるから、AT抽選を実行して決定されたATゲーム数を意味するものである。
一方、当初明細書等には、本件補正後発明の構成F1’に関して下記の記載がある。

「【0313】
[AT確定処理]
・・・
【0315】
一方、サブ制御部91は、チャンスリプ1?6のいずれかに当選時の入賞判定コマンドを受信したと判定したときには(S21でY)、AT抽選の結果が最低分の30ゲームの獲得であったか否かを判定する(S22)。サブ制御部91は、AT抽選の結果が最低分の30ゲームの獲得ではない、つまり、50ゲームまたは100ゲームを獲得したと判定したときには(S22でN)、報知演出処理を実行し(S23)、AT確定処理を終了する。報知演出は、AT抽選によって決定されたATゲーム数を上限として、それ以下のゲーム数を遊技者に事前報知する演出である。なお、決定されたATゲーム数が最低分の30ゲームであるときには、報知演出は省略されるようになっている。」

「【0332】
[AT確定時の演出パターン]
・・・
【0333】
(演出パターン1)
演出パターン1は、図17に示すように、チャンスリプ1?3に当選したゲームにおいて、AT抽選によってATゲーム数が最低分である30ゲームに決定され、かつ7リプ(右上7リプ)入賞しなかったときの演出パターンの一例である。
【0334】
図18(a)に示すように、この演出パターン1では、7リプではなく、リプ1に入賞した後、報知演出が実行されることなく、表示演出のみが実行される。表示演出では、遊技者にとって有利な状態に制御中であることを報知する演出として、液晶表示器51の画面上に「有利中」の文字画像が表示される。なお、「有利中」の文字画像の上側には、30ゲームのATゲームが行われることを示す情報として「+30」の文字画像が表示されているが、当該文字画像は表示されていなくてもよい。
【0335】
このように、演出パターン1による演出では、報知演出によって最低分のATゲーム数の獲得が事前報知されることなく、表示演出が実行されるため、最低分のATゲーム数の獲得が強調されることがなく、遊技者を落胆させてしまうことがない。さらに、表示演出によって突然ATが開始されたかのように遊技者に思わせることができるため、遊技の興趣を向上させることができる。
【0336】
(演出パターン2)
演出パターン2は、図17に示すように、チャンスリプ1?3に当選したゲームにおいて、AT抽選によってATゲーム数が最低分である30ゲームに決定され、かつ7リプ(右上7リプ)入賞したときの演出パターンの一例である。なお、演出パターン1との違いは、7リプ入賞していることである。
【0337】
図18(b)に示すように、この演出パターン2では、7リプに入賞した後、報知演出の代わりに代用演出が実行され、その後、表示演出が実行される。代用演出では、ゲーム数に関する情報ではなく、AT抽選によってATゲーム数が決定された事実を報知する演出として、液晶表示器51の画面上に「7」の文字画像が表示される。表示演出では、遊技者にとって有利な状態に制御中であることを報知する演出として、液晶表示器51の画面上に「有利中」の文字画像が表示される。なお、「有利中」の文字画像の上側には、30ゲームのATゲームが行われることを示す情報として「+30」の文字画像が表示されているが、当該文字画像は表示されていなくてもよい。
【0338】
このように、演出パターン2による演出では、最低分のATゲーム数の獲得が事前報知される代わりに代用演出が実行されるため、報知演出によって最低分のATゲーム数の獲得が強調されることにより遊技者を落胆させてしまうことを防止しつつ、代用演出によって、最低限、ATゲーム数が決定されたことについては遊技者に示すことができる。」

これらの記載によれば、当初明細書等には、「AT抽選の結果」「決定されたATゲーム数が最低分の30ゲームであるときには」、「報知演出が実行されることなく、表示演出のみが実行され」、「表示演出では」、「液晶表示器51の画面上に「有利中」の文字画像が表示される」ことが記載されている。
「30ゲーム」は、「AT抽選の結果」「決定されたATゲーム数」であるから、構成F1’の「有利量決定手段により」「決定された」「有利量」、つまり、「有利量情報」である。
そして、「有利中」の文字画像は、「特定情報」といえる。
よって、構成F1’の「前記有利量決定手段により複数種類の有利量の中から最小の有利量が決定されたときは、前記有利量情報が報知されることなく前記特定情報が報知され」ることは、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである。

一方、取消理由通知において通知し、また、特許異議申立人も主張している、当初明細書等には、「30ゲーム獲得!!」と「最小の有利量」を報知するものが記載されているという点について検討すると、この点に関して、当初明細書等には、下記の記載がある。

「【0340】
(演出パターン3)
演出パターン3は、図17に示すように、チャンスリプ1?3に当選したゲームにおいて、AT抽選によってATゲーム数が最低分ではない50ゲームに決定され、かつ7リプ(右上7リプ)入賞しなかったときの演出パターンの一例である。なお、演出パターン1との違いは、獲得したATゲーム数が最低分ではない50ゲームであることである。
【0341】
図18(c)に示すように、この演出パターン3では、7リプではなく、リプ1に入賞した後、報知演出1が実行され、その後、表示演出が実行される。報知演出1では、AT抽選によって決定されたATゲーム数を上限として、それ以下のゲーム数を遊技者に事前報知する演出として、液晶表示器51の画面上に「PUSH!!」の文字画像が表示されて遊技者による演出用スイッチ56の操作を促し、遊技者によって操作されたときには、液晶表示器51の画面上に「30ゲーム獲得!!」の文字画像が表示される。表示演出では、遊技者にとって有利な状態に制御中であることを報知する演出として、液晶表示器51の画面上に「有利中」の文字画像が表示される。なお、「有利中」の文字画像の上側には、30ゲームのATゲームが行われることを示す情報として「+30」の文字画像が表示されているが、当該文字画像は表示されていなくてもよい。」

「【0344】
(演出パターン4)
演出パターン4は、図17に示すように、チャンスリプ1?3に当選したゲームにおいて、AT抽選によってATゲーム数が最低分ではない50ゲームに決定され、かつナビ演出に頼らずに7リプ(右上7リプ)入賞したときの演出パターンの一例である。なお、演出パターン3との違いは、獲得したATゲーム数が50ゲームであること、および7リプ入賞していることである。
【0345】
図18(d)に示すように、この演出パターン4では、7リプに入賞した後、報知演出1が実行され、その後、表示演出が実行される。報知演出1では、液晶表示器51の画面上に「PUSH!!」の文字画像が表示されて遊技者による演出用スイッチ56の操作を促し、遊技者によって操作されたときには、液晶表示器51の画面上に「50ゲーム獲得!!」の文字画像が表示される。その後、表示演出では、遊技者にとって有利な状態に制御中であることを報知する演出として、液晶表示器51の画面上に「有利中」の文字画像が表示される。なお、「有利中」の文字画像の上側には、50ゲームのATゲームが行われることを示す情報として「+50」の文字画像が表示されているが、当該文字画像は表示されていなくてもよい。」

「【0353】
(演出パターン6)
演出パターン6は、図17に示すように、チャンスリプ4?6に当選したゲームにおいて、AT抽選によってATゲーム数が最低分ではない100ゲームに決定され、かつ7リプ(右上7リプ)入賞しなかったときの演出パターンの一例である。なお、演出パターン3との違いは、チャンスリプ4?6に当選していること、および獲得したATゲーム数が100ゲームであることである。
【0354】
図18(f)に示すように、この演出パターン6では、7リプではなく、リプ1に入賞した後、報知演出1が実行され、その後、表示演出が実行される。報知演出1では、液晶表示器51の画面上に「PUSH!!」の文字画像が表示されて遊技者による演出用スイッチ56の操作を促し、遊技者によって操作されたときには、液晶表示器51の画面上に「30ゲーム獲得!!」の文字画像が表示される。表示演出では、遊技者にとって有利な状態に制御中であることを報知する演出として、液晶表示器51の画面上に「有利中」の文字画像が表示される。なお、「有利中」の文字画像の上側には、30ゲームのATゲームが行われることを示す情報として「+30」の文字画像が表示されているが、当該文字画像は表示されていなくてもよい。」

これらの記載によれば、当初明細書等には、演出パターン3、または、演出パターン6において、「報知演出」として「「30ゲーム獲得!!」の文字画像」が表示されることが記載されている。
しかしながら、特許権者が令和1年10月28日付け意見書の「(3-1-2)理由1(新規事項)が妥当でない理由」において、「本件補正後発明の「有利量情報」は、「前記有利量決定手段により決定された有利量を特定可能」と定義されている(構成E)。このため、本件補正後発明の「有利量情報」は、AT抽選によって決定されたATゲーム数をそのまま報知する演出パターン4に対応する一方で、AT抽選によって決定されたATゲーム数よりも少ないATゲーム数を報知する演出パターン3および演出パターン6には対応しない。」、「上述したように、本件補正後発明の「有利量情報」は、AT抽選によって決定されたATゲーム数よりも少ないATゲーム数を報知する演出パターン3および演出パターン6には対応しないため、本件特許発明の構成Fの前段における「有利量情報」も、演出パターン3および演出パターン6において報知されている「30ゲーム獲得!!」という文字画像の情報には対応しない。このことから、演出パターン3および演出パターン6は、本件補正後発明の構成Fの前段とは無関係である。」と述べているように、「「30ゲーム獲得!!」の文字画像」の「30ゲーム」は、当初明細書等に記載された「有利量情報」の定義である「AT抽選を実行して決定されたATゲーム数」のうち最低分の獲得ゲーム数に等しいゲーム数であるが、演出パターン3では、AT抽選によって決定された「50ゲーム」が「有利量情報」であり、演出パターン6では、AT抽選によって決定された「100ゲーム」が「有利量情報」であることから、これらの演出パターンにおいて、表示された「「30ゲーム獲得!!」の文字画像」の「30ゲーム」は、「有利量情報」を報知しているものとはいえない。
よって、これらの記載をもって、当初明細書等には、決定された有利量が最小の有利量であるときにも、有利量情報が報知されていることが記載されているとはいえない。

以上のことから、本件補正によって補正された発明特定事項である構成F1’の「前記有利量決定手段により複数種類の有利量の中から最小の有利量が決定されたときは、前記有利量情報が報知されることなく前記特定情報が報知され」ることは、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

イ 理由2(サポート要件)について
(ア)本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、「2 本件発明」に記載のとおりである。

(イ)取消理由2は、本件発明の発明特定事項である構成F3の「決定された有利量が最小の有利量以外の特定の有利量であるときには当該特定の有利量を特定可能な有利量情報が報知された後に前記特定情報が報知される」構成に関して、発明の詳細な説明には、獲得したATゲーム数が最低分ではないゲーム数であるときに、報知演出で報知するゲーム数Nを、獲得したゲーム数以下の数とすることを許容するものが記載されているものであり、報知演出で報知するゲーム数Nを獲得したゲーム数を特定可能なものとすることが記載されているとはいえないから、本件発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないというものであった。

(ウ)そこで、はじめに本件発明の構成Eにて特定されている「有利量情報」について検討する。
「有利量情報」は、本件発明の構成Eに記載のとおり「有利量決定手段により決定された有利量を特定可能な」ものである。
ここで、本件特許の願書に添付した明細書の発明の詳細な説明には、本件発明の構成Eに関して下記の記載がある。

「【0007】
(1)所定の遊技を行う遊技機(たとえば、スロットマシン、パチンコ遊技機)であって、有利量決定条件を満たしたとき(たとえば、AT抽選で当選したとき、時短決定抽選で当選したとき)に遊技者に付与される有利量(たとえば、ATゲーム数、時短回数)を当該有利量決定条件に応じた複数種類の有利量の中から決定可能な有利量決定手段(たとえば、図13のATゲーム数決定処理、時短回数抽選を実行する処理)と、
前記有利量決定手段が決定した有利量に基づいて有利状態に制御する有利状態制御手段(たとえば、AT制御する処理、時短制御する処理)と、
前記有利量決定手段の決定に応じて情報(たとえば、ATゲーム数、時短回数)を報知する決定報知手段とを備え、
前記決定報知手段は、
前記有利量決定手段により複数種類の有利量の中から最小の有利量(たとえば、最低分のATゲーム数である30ゲーム、最低分の時短回数である10回)が決定されたときに、有利状態の制御を示す特定情報(たとえば、液晶表示器51の画面上に表示される「有利中」の文字画像の情報)を報知する第1報知手段(たとえば、報知演出を実行せずに表示演出を実行する処理、図17および図18の演出パターン1、2)と、
前記有利量決定手段により複数種類の有利量の中から最小の有利量以外の有利量が決定されたときに、前記第1報知手段では報知されない決定された有利量に関する有利量情報(たとえば、液晶表示器51の画面上に表示される「50ゲーム獲得!!」の文字画像の情報)を報知し、その後に前記特定情報を報知する第2報知手段(たとえば、報知演出を実行した後に表示演出を実行する処理、図17および図18の演出パターン3?8)とを含む。」

「【0293】
[ATゲーム数決定処理]
・・・
【0295】
一方、サブ制御部91は、AT抽選役に対応する内部当選コマンドをメイン制御部41から受信したと判定したときには(S11でY)、当選したAT抽選役に応じてAT抽選を実行して、ATゲーム数を決定する(S12)。」

これらの記載によれば、本件発明の構成Eの「有利量決定手段により決定された有利量」は、本件特許の願書に添付した明細書における、AT抽選を実行して決定されたATゲーム数といえる。
そうすると、本件発明の構成Eにおける「有利量情報」は、「有利量決定手段により決定された有利量を特定可能な」ものであるから、AT抽選を実行して決定されたATゲーム数を意味するものである。
一方、本件特許の願書に添付した明細書の発明の詳細な説明には下記の記載がある。

「【0340】
(演出パターン3)
演出パターン3は、図17に示すように、チャンスリプ1?3に当選したゲームにおいて、AT抽選によってATゲーム数が最低分ではない50ゲームに決定され、かつ7リプ(右上7リプ)入賞しなかったときの演出パターンの一例である。なお、演出パターン1との違いは、獲得したATゲーム数が最低分ではない50ゲームであることである。
【0341】
図18(c)に示すように、この演出パターン3では、7リプではなく、リプ1に入賞した後、報知演出1が実行され、その後、表示演出が実行される。報知演出1では、AT抽選によって決定されたATゲーム数を上限として、それ以下のゲーム数を遊技者に事前報知する演出として、液晶表示器51の画面上に「PUSH!!」の文字画像が表示されて遊技者による演出用スイッチ56の操作を促し、遊技者によって操作されたときには、液晶表示器51の画面上に「30ゲーム獲得!!」の文字画像が表示される。表示演出では、遊技者にとって有利な状態に制御中であることを報知する演出として、液晶表示器51の画面上に「有利中」の文字画像が表示される。なお、「有利中」の文字画像の上側には、30ゲームのATゲームが行われることを示す情報として「+30」の文字画像が表示されているが、当該文字画像は表示されていなくてもよい。」

「【0344】
(演出パターン4)
演出パターン4は、図17に示すように、チャンスリプ1?3に当選したゲームにおいて、AT抽選によってATゲーム数が最低分ではない50ゲームに決定され、かつナビ演出に頼らずに7リプ(右上7リプ)入賞したときの演出パターンの一例である。なお、演出パターン3との違いは、獲得したATゲーム数が50ゲームであること、および7リプ入賞していることである。
【0345】
図18(d)に示すように、この演出パターン4では、7リプに入賞した後、報知演出1が実行され、その後、表示演出が実行される。報知演出1では、液晶表示器51の画面上に「PUSH!!」の文字画像が表示されて遊技者による演出用スイッチ56の操作を促し、遊技者によって操作されたときには、液晶表示器51の画面上に「50ゲーム獲得!!」の文字画像が表示される。その後、表示演出では、遊技者にとって有利な状態に制御中であることを報知する演出として、液晶表示器51の画面上に「有利中」の文字画像が表示される。なお、「有利中」の文字画像の上側には、50ゲームのATゲームが行われることを示す情報として「+50」の文字画像が表示されているが、当該文字画像は表示されていなくてもよい。」

「【0353】
(演出パターン6)
演出パターン6は、図17に示すように、チャンスリプ4?6に当選したゲームにおいて、AT抽選によってATゲーム数が最低分ではない100ゲームに決定され、かつ7リプ(右上7リプ)入賞しなかったときの演出パターンの一例である。なお、演出パターン3との違いは、チャンスリプ4?6に当選していること、および獲得したATゲーム数が100ゲームであることである。
【0354】
図18(f)に示すように、この演出パターン6では、7リプではなく、リプ1に入賞した後、報知演出1が実行され、その後、表示演出が実行される。報知演出1では、液晶表示器51の画面上に「PUSH!!」の文字画像が表示されて遊技者による演出用スイッチ56の操作を促し、遊技者によって操作されたときには、液晶表示器51の画面上に「30ゲーム獲得!!」の文字画像が表示される。表示演出では、遊技者にとって有利な状態に制御中であることを報知する演出として、液晶表示器51の画面上に「有利中」の文字画像が表示される。なお、「有利中」の文字画像の上側には、30ゲームのATゲームが行われることを示す情報として「+30」の文字画像が表示されているが、当該文字画像は表示されていなくてもよい。」

先に検討したとおり、発明の詳細な説明の上記演出パターン4として示された例において、「AT抽選によって」「決定」された「50ゲーム」が、本件発明の「有利量情報」といえる。
そうすると、発明の詳細な説明の上記演出パターン4において、「報知演出」として、「「50ゲーム獲得!!」の文字画像」が表示されていることから、この発明の詳細な説明の上記演出パターン4においては、「決定された有利量が最小の有利量以外の特定の有利量であるときには当該特定の有利量を特定可能な有利量情報が報知」されているといえる。
そして、「報知演出」が実行され、その後、「表示演出が実行される」ことから、発明の詳細な説明の上記演出パターン4においては、本件発明の構成F3に係る事項が記載されているといえる。

一方、発明の詳細な説明には、演出パターン3、または、演出パターン6において、「報知演出」として「「30ゲーム獲得!!」の文字画像」が表示されることが記載されている。
しかしながら、特許権者が令和1年10月28日付け意見書の「(3-1-3)理由2(サポート要件)が妥当でない理由」において、「本件特許発明の「有利量情報」(構成E)は、「前記有利量決定手段により決定された有利量を特定可能な」ものであるため、「(3-1-2) 理由1(新規事項)が妥当でない理由」で上述したように、本件特許発明の「有利量情報」は、AT抽選によって決定されたATゲーム数をそのまま報知する演出パターン4に対応する一方で、AT抽選によって決定されたATゲーム数よりも少ないATゲーム数を報知する演出パターン3および演出パターン6には対応しない。」、「上述したように、本件特許発明の「有利量情報」は、AT抽選によって決定されたATゲーム数よりも少ないATゲーム数を報知する演出パターン3および演出パターン6には対応しないため、本件特許発明の構成Fの後段における「有利量情報」も、演出パターン3および演出パターン6において報知されている「30ゲーム獲得!!」という文字画像の情報には対応しない。このことから、演出パターン3および演出パターン6は、本件特許発明の構成Fの後段とは無関係である。」と述べているように、演出パターン3および演出パターン6は、本件発明に含まれるものではなく、本件発明の構成F3は、演出パターン4のように「決定された」「特定の有利量」を「特定可能な有利量情報が報知」されるもののみを含むものである。

よって、本件発明は、発明の詳細な説明に記載されたものである。

(2) 取消理由通知において採用しなかった特許異議の申立ての理由について
ア 特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件発明は、甲第2号証(特開2016-105765号公報)に記載された発明であるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである旨を主張している。
イ 特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件発明は、甲第2号証(特開2016-105765号公報)に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである旨を主張している。
ウ しかしながら、甲第2号証は、平成28年6月16日を公開日とするものであり、これは本件特許の出願日(平成25年10月24日)後であるので、甲第2号証に記載された発明に基づいて、本件特許の新規性、及び、進歩性を否定することはできない。
よって、上記ア、イの特許異議の申立ての理由2、3により、請求項1に係る特許を取消すことははできない。
エ なお、甲第2号証は、平成24年8月22日に出願された特願2012-183490号の分割出願に係る公開公報であるので、念のため、特願2012-183490号の公開公報である特開2014-39668号公報(平成26年3月6日出願公開)に基づいて、上記ア、イの特許異議の申立ての理由について検討するが、特開2014-39668号公報は、本件特許の出願日以降に出願公開されたものであるので、特願2012-183490号(特開2014-39668号)を特許法第29条の2の規定の「他の特許出願」として、本件特許が、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるか否か検討する。

オ 先願明細書等の記載
特願2012-183490号(特開2014-39668号)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には以下の記載がある。

(ア)「【0011】
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。」

(イ)「【0035】
特別遊技には通常特別遊技と短縮特別遊技の2種類があり、それぞれ獲得賞球による利益に大きな差が生じる。通常特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に第1大入賞口91または第2大入賞口92が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような第1大入賞口91または第2大入賞口92の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉ないし単位遊技が所定回数、例えば16回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって通常特別遊技が終了される。通常特別遊技においては、1回の単位遊技あたり9球以上の入球が十分に期待でき、16回分の単位遊技によって十分な賞球(これを「出玉」ともいう)を獲得でき、大きな利益が得られる。16回の単位遊技が繰り返される特別遊技を適宜「16R大当り」とも称する。
【0036】
一方、短縮特別遊技は、開始デモ時間および終了デモ時間もなく、1回の単位遊技で第1大入賞口91または第2大入賞口92を0.2秒間だけ開放させる。この単位遊技を2回繰り返して短縮特別遊技が終了される。短縮特別遊技では、ごく短時間の第1大入賞口91または第2大入賞口92の開放を2回繰り返すだけであるため、第1大入賞口91または第2大入賞口92にはほとんど入球し得ず、実質的に出玉がほぼゼロに等しい特別遊技である。2回の単位遊技が繰り返される特別遊技を適宜「2R大当り」とも称する。」

(ウ)「【0078】
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第2大入賞口92を開放させることにより特別遊技を実行する。
【0079】
特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を16回繰り返す16R大当りと、16R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。16R大当りにおいては、1回の単位遊技において第1大入賞口91または第2大入賞口92を原則として約30秒間開放させる。2R大当りにおいては、1回の単位遊技において第1大入賞口91または第2大入賞口92を約0.5秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、16R大当りと同様の開放態様で第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放させてもよい。
【0080】
特定遊技実行手段122は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後に遊技状態を確変状態、時短状態および入球容易状態へ移行させる。確変状態は、特別図柄の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の継続回数、例えば30回に達するまで継続される。時短状態および入球容易状態は、特別図柄の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の継続回数に達するまで継続される。本実施例では、時短状態および入球容易状態の継続回数は40回、60回、80回、100回のうちいずれかが抽選で選択される。時短状態においては、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示時間が概ね短くなるよう、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段116による当否抽選結果の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段116による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。入球容易状態においては、普通図柄195の時短、普通図柄195の確率変動、第2始動口63の開放延長が実施される。当否抽選の確変状態の間は第1当否判定手段113および第2当否判定手段117による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。」

(エ)「【0119】
図3に戻り、演出表示制御手段134は、期間報知演出として選択された期間報知演出パターンにしたがい、操作ボタン82による操作入力を遊技者に促す内容を表示するとともに、遊技者による操作入力に応じて時短の継続期間の長さがいずれの態様であるかを報知する。演出表示制御手段134は、期間報知演出において、遊技者による操作ボタン82の操作入力の態様に応じて対戦相手のキャラクターへの攻撃の映像を表示することで対戦の過程を表示する。
【0120】
図11は、特別遊技中に表示される期間報知演出の画面例を示す。特別遊技へ移行されると、第1ラウンドでは開始デモ演出として、本図(a)のように「BATTLECHANCE」の文字列によりバトル演出の開始が示される。本図では、敵キャラクター320として「A」が定められた第2の期間報知演出パターンが選択された場合を説明する。第2ラウンドでは、本図(b)のように「敵A現る!」の文字列とともに敵キャラクター320としてキャラクターAが表示される。
【0121】
第3ラウンドでは、キャラクターAに対応する操作入力態様として「連打」を遊技者に促す内容が表示される。この場合、敵キャラクター320および操作ボタン82の押下を促すPUSHボタン画像322を表示するとともに、「連打しろ!!」の文字列を表示する。これにより、遊技者に対して操作ボタン82の複数回にわたる連続押下を促す。これに対して遊技者が操作ボタン82を連続的に押下すると、その押下に対応して敵キャラクター320に複数回の攻撃を加える映像を表示する。遊技者による操作ボタン82の押下回数が規定回数に達すると、バトル演出にて主人公が敵キャラクター320に勝利する映像が表示され、第4ラウンドにて本図(d)のように「勝利!!」の文字列とともに「時短40回!!」の文字列により時短の継続回数が報知される。最終ラウンドである第16ラウンドでは、本図(e)のように終了デモ演出として「CHANCE TIME」の文字列によってこれから時短状態へ移行される旨が示される。」

(オ)図11


(カ)特別遊技中に表示される期間報知演出の画面例として、第1ラウンドを示す図11(a)に「1R」、第2ラウンドを示す図11(b)に「2R」、第4ラウンドを示す図11(d)に「4R」、第16ラウンドを示す図11(e)に「16R」と記載されていることから、図11には、第16ラウンドが最終ラウンドとなる特別遊技中は、画面にラウンド数が表示されていることが記載されている(【0120】、【0121】、図11)。

上記(ア)、(ウ)?(オ)の記載事項、(カ)の認定事項からみて、先願明細書等には下記の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている(a?fは、当審にて付した。))。

「b 特別遊技制御手段120は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91または第2大入賞口92を開放させることにより特別遊技を実行し(【0078】)、
特別遊技は、第1大入賞口91または第2大入賞口92の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成され、特別遊技には、単位遊技を16回繰り返す16R大当りと、16R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがあり(【0079】)、
c 特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後に遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させ(【0080】)、
d?f 第16ラウンドが最終ラウンドとなる特別遊技中は、画面にラウンド数を表示し(認定事項(カ))、終了デモ演出として、時短状態へ移行される旨を示す「CHANCE TIME」の文字列を表示する演出表示制御手段134とを備える(【0119】、【0121】)、
a、g ぱちんこ遊技機10(【0011】)。」

エ 対比・判断
先願発明と本件発明を対比すると、両者は、
「A 所定の遊技を行う遊技機であって、
B 特定条件が成立したときに遊技者に付与される有利量を複数種類の有利量の中から決定可能な有利量決定手段と、
C 前記有利量決定手段が決定した有利量に基づいて有利状態に制御する有利状態制御手段と、
D 前記有利状態に制御される旨の特定情報を報知する特定情報報知手段と、
E 前記有利量決定手段により決定された有利量を特定可能な有利量情報を報知する有利量情報報知手段とを備え、
F1 前記特定条件が成立したときに前記有利量決定手段により複数種類の有利量の中から遊技者に付与される有利量が決定された場合において、
F3 決定された有利量が最小の有利量以外の特定の有利量であるときには当該特定の有利量を特定可能な有利量情報が報知された後に前記特定情報が報知される、
G 遊技機。」
である点で一致し、下記の点で相違する。

[相違点]
特定条件が成立したときに前記有利量決定手段により複数種類の有利量の中から遊技者に付与される有利量が決定された場合において、本件発明は、前記決定された有利量が最小の有利量であるときには当該最小の有利量を特定可能な有利量情報が報知されることなく前記特定情報が報知されるのに対し、先願発明は、このような特定がなされていない点(構成F2)。

当該相違点について検討する。
先願明細書等には、先願発明の構成d?fにおいて認定したように「第16ラウンドが最終ラウンドとなる特別遊技中は、画面にラウンド数を表示し、終了デモ演出として、時短状態へ移行される旨を示す「CHANCE TIME」の文字列を表示する」ことは記載されているが、「2R大当り」(「最小の有利量」)の際に、「「CHANCE TIME」の文字列を表示する」こと(「特定情報が報知される」こと)は記載されていないので、上記相違点に係る本件発明の構成F2の「決定された有利量が最小の有利量であるときには当該最小の有利量を特定可能な有利量情報が報知されることなく前記特定情報が報知」されることが記載されているとはいえない。

(3)特許異議申立人の主張についての検討
特許異議申立人は、特許異議申立書の「4(4)ウ(1)(c)」(当審注:原文では(1)は、マルに1)において、「2R大当りの表示画面については示されていないが、2R大当りは開放時間が短い場合、通常は突確であるから、大当たりのラウンド数は表示されることなく、時短状態(確変)に移行することは技術常識である。そして、「時短」移行時に「CHANCE TIME」が表示されることは明らかである。」と述べている。
しかしながら、先願明細書等には、「短縮特別遊技は、開始デモ時間および終了デモ時間もなく、1回の単位遊技で第1大入賞口91または第2大入賞口92を0.2秒間だけ開放させる。この単位遊技を2回繰り返して短縮特別遊技が終了される」(【0036】)、「最終ラウンドである第16ラウンドでは、本図(e)のように終了デモ演出として「CHANCE TIME」の文字列によってこれから時短状態へ移行される旨が示される」(【0121】)と記載されており、この記載からみて、先願明細書等に、終了デモ時間がない短縮特別遊技(2R大当り)において、「CHANCE TIME」の文字列が表示されることが記載されていないし、示唆されているともいえないので、この主張には理由がない。

したがって、本件発明は、先願発明と同一ではなく、実質的に同一ともいえない。

5 むすび
したがって、請求項1に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-12-20 
出願番号 特願2013-221191(P2013-221191)
審決分類 P 1 651・ 161- Y (A63F)
P 1 651・ 55- Y (A63F)
P 1 651・ 121- Y (A63F)
P 1 651・ 113- Y (A63F)
P 1 651・ 537- Y (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森田 真彦  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 赤坂 祐樹
蔵野 いづみ
登録日 2018-11-16 
登録番号 特許第6433648号(P6433648)
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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