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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
管理番号 1359071
審判番号 不服2018-13835  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-18 
確定日 2020-01-16 
事件の表示 特願2014-145612「固体撮像装置、X線撮像システムおよび固体撮像装置駆動方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月 4日出願公開、特開2016- 19708〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成26年7月16日の出願であって、平成30年5月31日付けで拒絶理由が通知され、同年6月15日に意見書が提出されたが、同年8月24日付けで拒絶査定されたところ、同年10月18日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その後、当審において令和元年8月9日付けで拒絶理由が通知され、同年9月25日に意見書が提出され、同年11月7日に面接(以下「本件面接」という。)が行われたものである。


第2 本願発明

本願の請求項1ないし11に係る発明は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
入射光強度に応じた量の電荷を発生するフォトダイオードと、このフォトダイオードと接続された読出用スイッチと、を各々含むMN個の画素P_(1,1)?P_(M,N)がM行N列に2次元配列された受光部と、
前記受光部における第m行のN個の画素P_(m,1)?P_(m,N)それぞれの読出用スイッチに対し開閉動作を指示する第m行選択制御信号を与える行選択用配線L_(V,m)と、
前記受光部における第n列のM個の画素P_(1,n)?P_(M,n)それぞれの読出用スイッチと接続され、前記M個の画素P_(1,n)?P_(M,n)のうちの何れかの画素のフォトダイオードで発生した電荷を、該画素の読出用スイッチを介して読み出す読出用配線L_(O,n)と、
前記読出用配線L_(O,1)?L_(O,N)それぞれと接続され、前記読出用配線L_(O,n)を経て入力された電荷の量に基づいて生成されたデジタル値を出力する出力部と、
前記行選択用配線L_(V,1)?L_(V,M)を介して前記受光部におけるMN個の画素P_(1,1)?P_(M,N)それぞれの読出用スイッチの開閉動作を制御するとともに、前記出力部におけるデジタル値出力動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部が、
前記受光部においてM行N列に2次元配列された画素P_(1,1)?P_(M,N)を各々Q行R列の画素からなる単位領域に区分し、これらの(M/Q)行(N/R)列に2次元配列された単位領域を各々K行1列の単位領域からなるビニング領域に区分して、
前記受光部において(M/KQ)行(N/R)列に2次元配列されたビニング領域について順次に行毎に、該行にあるビニング領域に含まれる画素の読出用スイッチを閉じさせて、これらの画素のフォトダイオードで発生した電荷を前記出力部に入力させ、各ビニング領域に含まれるKQR個の画素から出力された電荷の量の和に応じたデジタル値を順次に列毎にK回繰り返して前記出力部から出力させる、
ことを特徴とする固体撮像装置(ただし、M,Nは2以上の整数、mは1以上M以下の整数、nは1以上N以下の整数、Q,Rは1以上の整数、Kは2以上の整数)。」


第3 当審の令和元年8月9日付け拒絶理由の概要

当審の令和元年8月9日付け拒絶理由の概要は、次のとおりである。

(進歩性)本件本願の請求項1ないし11に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


・請求項 1-11
・引用文献 1、3

・請求項 1-11
・引用文献 2、3

<引用文献一覧>
引用文献1:特開平4-237273号公報
引用文献2:特開2002-359785号公報
引用文献3:特開2009-267712号公報


第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1について

(1)引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加した。以下同様。)。

(引1-ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マトリクス状に配置された複数の光電変換素子に蓄積される信号電荷を1フィールド期間又は1フレーム期間毎に垂直転送レジスタ部に移し、上記信号電荷を上記垂直転送レジスタ部から水平転送レジスタ部を介して線順次に出力する固体撮像素子を備える固体撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)等により形成した固体撮像素子では、例えば第3図に示すインターライントランスファ型CCDイメージセンサ30のように、各フィールドの画素S_(O),S_(E)に対応する光電変換素子ににより得られる撮像電荷が、1フレームに相当する電荷蓄積期間毎に垂直転送レジスタ部31に転送され、上記垂直転送レジスタ部31を介して1ライン分ずつ水平転送レジスタ部32に転送され、この水平転送レジスタ部32の出力部33を介して撮像出力信号として順次読み出され、上記出力部33のリセット動作に同期したサンプリング動作を行うサンプルホールド回路40を介して出力される。
【0003】このようなCCDイメージセンサ30を用いた固体撮像装置では、通常、1フィールド又は1フレームに相当する電荷蓄積期間毎に撮像動作を行っているが、例えば特開平1-146476号公報に開示されているように、感度を上げた撮像動作を行う場合に、上記電荷蓄積期間をNフレーム期間として感度をN倍に上げた撮像動作を行う所謂蓄積モードと呼ばれる手法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の如きCCDイメージセンサを用いた固体撮像装置において、従来提案されている蓄積モードを採用したのでは、感度をN倍に上げる場合に、CCDイメージセンサの電荷蓄積期間をNフレーム期間として撮像動作を行うので、撮像出力信号として得られる画像が間歇的になってしまい、撮像出力信号をフレームメモリに記憶して同じ画像を繰り返し読み出す必要があり、また、残像が多くなってしまうとうい欠点がある。
【0005】そこで、本発明は、上述の如き従来の固体撮像装置における欠点を伴うことなく、感度を上昇させた撮像動作を行うことができるようにした固体撮像装置を提供するものである。」

(引1-イ)「【0008】
【実施例】以下、本発明に係る固体撮像装置の一実施例について、図面に従い詳細に説明する。
【0009】本発明に係る固体撮像装置は、例えば第1図に示すように構成される。この第1図に示す固体撮像装置は、タイミング信号発生器1が発生する各種タイミング信号に基づいてCCD駆動回路2により駆動されるCCDイメージセンサ10を備える。
【0010】CCDイメージセンサ10は、インターライントランスファ型CCDイメージセンサであって、マトリクス状に配置された各フィールドの画素S_(O),S_(E)に対応する光電変換素子に得られる撮像電荷が、1フレームに相当する電荷蓄積期間毎に垂直転送レジスタ部11に転送され、上記垂直転送レジスタ部11を介して1ライン分ずつ水平転送レジスタ部12に転送され、この水平転送レジスタ部12の出力部13を介して撮像出力信号CCD_(OUT)として線順次に読み出される。
【0011】ここで、上記タイミング信号発生器1は、第2図に示すように、上記CCDイメージセンサ3の垂直方向の画素ピッチに対応する水平走査周期すなわち1水平走査期間(1H)毎のタイミング信号HDや、上記CCDイメージセンサ3の水平方向の画素ピッチに対応する繰り返し周期のタイミング信号H_(1),H_(2)などの各種タイミング信号を発生する。上記タイミング信号HDは、上記CCD駆動回路2に供給されるとともに制御回路2(当審注:全体の記載から、「制御回路2」は「制御回路20」の誤記と認める。)に供給される。また、上記タイミング信号H_(1),H_(2)は、制御回路20を介して上記CCD駆動回路2に供給される。
【0012】そして、上記CCD駆動回路2は、上記タイミング信号発生器1が発生する上記タイミング信号HDに応じた1H周期の垂直転送クロックφ_(V)で上記CCDイメージセンサ10の垂直転送レジスタ部11を駆動する。さらに、上記CCD駆動回路2は、上記タイミング信号発生器1が発生する上記タイミング信号H_(1),H_(2)に応じた水平方向の画素ピッチに対応する繰り返し周期の2相の水平転送クロックφ_(H1),φ_(H2)で上記CCDイメージセンサ10の水平転送レジスタ部12を駆動する。
【0013】上記CCDイメージセンサ10の上記出力部13から読み出される撮像出力信号CCD_(OUT)は、上記出力部13のリセット動作に同期したサンプリング動作を行うサンプルホールド回路4を介して出力される。このサンプルホールド回路4の出力信号SH_(OUT)は、反転型バッファ増幅器5により極性反転されて、信号選択スイッチ7の一方の入力端子7Aに供給されるとともに、上記反転型バッファ増幅器5から遅延回路6を介して上記信号選択スイッチ7の他方の入力端子7Bに供給される。
【0014】ここで、上記遅延回路6は、上記1水平走査期間(1H)に相当する遅延量を有する1H遅延回路である。また、上記信号選択スイッチ7は、上記制御回路20から供給される制御信号CTLによって切り換え制御され、上記反転型バッファ増幅器5から直接供給される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路3(当審注:段落【0013】及び【図1】の記載から、「遅延回路3」は「遅延回路6」の誤記と認める。「遅延回路3」について、以下同様。)により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を選択して撮像信号S_(OUT)として出力端子8から出力する。
【0015】さらに、上記制御回路20は、上記タイミング信号発生器1が発生する上記タイミング信号HDがクロック入力端に供給されるD型フリップフロップ21と、上記タイミング信号発生器1が発生する上記タイミング信号H_(1)が一方の入力端に供給されるORゲート22と、上記タイミング信号発生器1が発生する上記タイミング信号H_(2)が一方の入力端に供給されるANDゲート23と、上記ORゲート22の出力が一方の入力端子24Aに供給される第1の切換スイッチ24と、上記ANDゲート23の出力が一方の入力端子25Aに供給される第2の切換スイッチ25と、上記D型フリップフロップ21の肯定出力が一方の入力端子26Aに供給される第3の切換スイッチ26を備えてなる。
【0016】上記D型フリップフロップ21は、その肯定出力端がデータ入力端に接続されているとともに上記ORゲート22の他方の入力端に接続されている。また、上記D型フリップフロップ21の肯定出力端は、上記第3の切換スイッチ26の一方の入力端子26Aに接続されているとともに上記ANDゲート23の他方の入力端に接続されている。
【0017】上記第1の切換スイッチ24の他方の入力端子24Bには、上記タイミング信号発生器1から上記タイミング信号H_(1)が供給される。また、上記第2の切換スイッチ25の他方の入力端子25Bには、上記タイミング信号発生器1から上記タイミング信号H_(2)が供給される。さらに、上記第3の切換スイッチ26の他方の入力端子26Bは接地されている。また、上記第1乃至第3の切換スイッチ24,25,26は、互いに連動操作されるようになっている。
【0018】このような構成の固体撮像装置では、上記制御回路20の上記第1乃至第3の切換スイッチ24,25,26を連動操作して各他方の入力端子24B,25B,26Bを選択することにより、通常モードが設定される。
【0019】この通常モードにおいて、上記制御回路20は、上記タイミング信号発生器1が発生する各種タイミング信号HD,H_(1),H_(2)などをそのまま上記CCD駆動回路2に供給して、通常の動作モードで上記CCDイメージセンサ10を作動させる。また、上記制御回路20は、上記第3の切換スイッチ26が他方の入力端子26Bを選択することによって、論理「L」の制御信号CTLを上記信号選択スイッチ7に供給する。これにより、上記信号選択スイッチ7は、上記バッファ増幅器5から直接供給される撮像出力信号BF_(OUT)を撮像信号S_(OUT)として選択して出力端子8から出力させる。
【0020】また、上記制御回路20の上記第1乃至第3の切換スイッチ24,25,26を連動操作して各一方の入力端子24A,25A,26Aを選択することにより、増感モードが設定される。
【0021】この増感モードにおいて、上記制御回路20は、上記タイミング信号H_(1)が供給される上記ORゲート22を1水平走査期間(1H)毎に論理値が反転する上記D型フリップフロップ21の否定出力でゲート制御することにより、第2図に示すように、1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って強制的に論理「H」とした2H周期のタイミング信号H_(1)’を形成し、このタイミング信号H_(1)’を上記第1の切換スイッチ24を介して上記CCD駆動回路2に供給する。また、上記制御回路20は、上記タイミング信号H_(2)が供給される上記ANDゲート23を上記1水平走査期間毎に論理値が反転する上記D型フリップフロップ21の肯定出力でゲート制御することにより、1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って強制的に論理「L」とした2H周期のタイミング信号H_(2)’を形成し、このタイミング信号H_(2)’を上記第2の切換スイッチ25を介して上記CCD駆動回路2に供給する。さらに、上記制御回路20は、上記1水平走査期間毎に論理値が反転する上記D型フリップフロップ21の肯定出力を制御信号CTLとして上記第3の切換スイッチ25を介して上記信号選択スイッチ7の制御端子に供給する。
【0022】すなわち、上記制御回路20は、増感モードにおいて、上記CCDイメーセンサ10の水平転送レジスタ部12を作動させる水平転送パルスφ_(H1),φ_(H2)の供給を1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って停止させるように上記CCD駆動回路2の制御を行うとともに、上記反転型バッファ増幅器5から出力される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路3により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を1水平走査期間毎に交互に選択して撮像信号S_(OUT)として出力端子8から出力するように上記信号選択スイッチ7の制御を行う。
【0023】これより、上記CCDイメーセンサ10の上記水平転送レジスタ部12では、1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って転送動作が停止されるので、垂直方向に隣接する2個の画素の各信号電荷を加算混合して信号レベルを2倍に上昇させた撮像出力信号を1水平走査期間おきに出力する。そして、上記CCDイメーセンサ10の水平転送レジスタ部12の出力部13から上記サンプルホールド回路4を介して1水平走査期間おきに線順次に読み出される撮像出力信号SH_(OUT)は、第2図に実線で示すように、1水平走査期間おきに撮像出力信号が欠落したものであるが、上記信号選択スイッチ7により上記反転型バッファ増幅器5から出力される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路3により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を1水平走査期間毎に交互に選択することによって、上記欠落部分が1水平走査期間前の撮像出力信号で補間され、1水平走査期間毎の線順次撮像信号S_(OUT)として出力端子8から出力される。
【0024】このように、増感モードでは、上記CCDイメーセンサ10の水平転送レジスタ部12で垂直方向に隣接する2個の画素の各信号電荷を加算混合するので、通常モードの2倍の感度で撮像動作を行うことができる。しかも、上記撮像出力信号S_(OUT)は、1フレーム毎に得られるもので、間歇的な画像になってしまうことがなく、また、残像が多くなってしまうこともない。
【0025】なお、第2図には、上述の通常モードの撮像動作により得られる撮像信号S_(OUT)の信号レベルを破線で示し、上記増感モードの撮像動作により得られる撮像信号S_(OUT)の信号レベルをに実線で示してある。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る固体撮像装置では、固体撮像素子の水平転送レジスタ部を作動させる水平転送パルスの供給を水平転送パルス停止制御手段により1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って停止させるので、垂直方向に隣接する光電気変換素子に蓄積された2画素分の信号電荷が上記水平転送レジスタ部において加算混合され、信号レベルを2倍に上昇させた撮像信号を上記水平転送レジスタ部から1水平走査期間おきに線順次に得ることができる。そして、上記固体撮像素子から上記水平転送レジスタ部を介して上記1水平走査期間おきに線順次に出力される撮像信号と、この撮像信号を遅延手段により1水平走査期間遅延させた遅延撮像信号とを信号選択手段により交互に選択することによって、全ライン分の撮像出力信号を線順次に得ることができる。上記撮像出力信号は、1フィールド又は1フレーム毎に得られるもので、間歇的な画像になってしまうことがなく、また、残像が多くなってしまうこともない。従って、本発明によれば、画像が間歇的になったり、残像が多くなったりすることなく、感度を上昇させた撮像動作を行うことのできる固体撮像装置を提供することができる。」

(引1-ウ)【図1】




(引1-エ)【図2】




(2)
(ア)引用文献1に記載された「CCDイメージセンサ10」は、「インターライントランスファ型CCDイメージセンサ」であるから、「各フィールドの画素S_(O),S_(E)に対応する光電変換素子」それぞれに対応して、「垂直転送レジスタ部11」への「撮像電荷」の転送を制御する「トランスファゲート」が存在し、「CCD駆動回路2」から全「トランスファゲート」に同時に転送信号を供給する「転送信号供給手段」が存在することは明らかである。

(イ)上記(ア)を踏まえると、上記(引1-ア)ないし(引1-エ)の記載から、引用文献1には、

「 タイミング信号発生器1が発生する各種タイミング信号に基づいてCCD駆動回路2により駆動されるCCDイメージセンサ10を備える固体撮像装置であって、
上記CCDイメージセンサ10は、インターライントランスファ型CCDイメージセンサであって、マトリクス状に配置された各フィールドの画素S_(O),S_(E)に対応する光電変換素子に得られる撮像電荷が、各光電変換素子に対応するトランスファゲートを介して、CCD駆動回路2から転送信号供給手段により全トランスファゲートに同時に供給される転送信号に応じて、1フレームに相当する電荷蓄積期間毎に垂直転送レジスタ部11に転送され、上記垂直転送レジスタ部11を介して1ライン分ずつ水平転送レジスタ部12に転送され、この水平転送レジスタ部12の出力部13を介して撮像出力信号CCD_(OUT)として線順次に読み出され、
上記CCDイメージセンサ10の上記出力部13から読み出される撮像出力信号CCD_(OUT)は、上記出力部13のリセット動作に同期したサンプリング動作を行うサンプルホールド回路4を介して出力され、このサンプルホールド回路4の出力信号SH_(OUT)は、反転型バッファ増幅器5により極性反転されて、信号選択スイッチ7の一方の入力端子7Aに供給されるとともに、上記反転型バッファ増幅器5から遅延回路6を介して上記信号選択スイッチ7の他方の入力端子7Bに供給され、
上記遅延回路6は、上記1水平走査期間(1H)に相当する遅延量を有する1H遅延回路であり、上記信号選択スイッチ7は、制御回路20から供給される制御信号CTLによって切り換え制御され、上記反転型バッファ増幅器5から直接供給される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路6により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を選択して撮像信号S_(OUT)として出力端子8から出力し、
通常モードにおいて、
上記制御回路20は、上記タイミング信号発生器1が発生する各種タイミング信号HD,H_(1),H_(2)などをそのまま上記CCD駆動回路2に供給して、通常の動作モードで上記CCDイメージセンサ10を作動させ、論理「L」の制御信号CTLを上記信号選択スイッチ7に供給し、上記信号選択スイッチ7は、上記バッファ増幅器5から直接供給される撮像出力信号BF_(OUT)を撮像信号S_(OUT)として選択して上記出力端子8から出力させ、
増感モードにおいて、
上記制御回路20は、上記CCDイメーセンサ10の上記水平転送レジスタ部12を作動させる水平転送パルスφ_(H1),φ_(H2)の供給を1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って停止させるように上記CCD駆動回路2の制御を行うとともに、上記反転型バッファ増幅器5から出力される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路6により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を1水平走査期間毎に交互に選択して撮像信号S_(OUT)として上記出力端子8から出力するように上記信号選択スイッチ7の制御を行い、
上記CCDイメーセンサ10の上記水平転送レジスタ部12では、1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って転送動作が停止されるので、垂直方向に隣接する2個の画素の各信号電荷を加算混合して信号レベルを2倍に上昇させた撮像出力信号を1水平走査期間おきに出力し、上記出力部13から上記サンプルホールド回路4を介して1水平走査期間おきに線順次に読み出される撮像出力信号SH_(OUT)は、1水平走査期間おきに撮像出力信号が欠落したものであるが、上記信号選択スイッチ7により上記反転型バッファ増幅器5から出力される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路6により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を1水平走査期間毎に交互に選択することによって、上記欠落部分が1水平走査期間前の撮像出力信号で補間され、1水平走査期間毎の線順次撮像信号S_(OUT)として上記出力端子8から出力される、
固体撮像装置。」

の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

2 引用文献3について

引用文献3には、次の事項が記載されている。

(引3-ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置およびX線検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置として、CMOS技術を用いたものが知られており、その中でもパッシブピクセルセンサ(PPS: Passive Pixel Sensor)方式のものが知られている。PPS方式の固体撮像装置は、入射光強度に応じた量の電荷を発生するフォトダイオードを含むPPS型の画素部がM行N列に2次元配列された受光部を備え、各画素部において光入射に応じてフォトダイオードで発生した電荷を積分回路において容量素子に蓄積し、その蓄積電荷量に応じた電圧値を出力するものである。
【0003】
一般に、各列のM個の画素部それぞれの出力端は、その列に対応して設けられている読出用配線を介して、その列に対応して設けられている積分回路の入力端と接続されている。そして、第1行から第M行まで順次に行毎に、画素部のフォトダイオードで発生した電荷は、対応する読出用配線を通って、対応する積分回路に入力されて、その積分回路から電荷量に応じた電圧値が出力される。」

(引3-イ)「【0058】
なお、本実施形態に係る固体撮像装置1Aは、第1撮像モードのときにビニング読み出しをする場合には、図5に示されるような動作を行う。図5は、第1実施形態に係る固体撮像装置1Aの動作を説明するタイミングチャートである。この図は、2行2列のビニング読み出しをする場合の動作、すなわち、フレームデータにおける読出し画素ピッチを画素部のピッチの2倍とする場合の動作を示している。なお、ビニング読み出しをする場合、各積分回路S_(n)において、ゲイン設定用スイッチSW_(22)が閉じていて、帰還容量部の容量値が大きい値に設定され、ゲインが小さくされているのが好ましい。
【0059】
この図には、上から順に、(a) リセット制御信号Reset、(b) 第1行選択制御信号Vsel(1)および第2行選択制御信号Vsel(2)、(c) 第3行選択制御信号Vsel(3)および第4行選択制御信号Vsel(4)、(d) 保持制御信号Hold、(e) 第1列選択制御信号Hsel(1)、(f) 第2列選択制御信号Hsel(2)、(g) 第3列選択制御信号Hsel(3)、(h) 第n列選択制御信号Hsel(n)、ならびに、(i) 第N列選択制御信号Hsel(N) が示されている。
【0060】
2行2列のビニング読み出しをする場合、この図に示されるように、時刻t_(12)から時刻t_(15)までの期間、制御部40Aから第1行選択用配線L_(V,1)に出力される第1行選択制御信号Vsel(1)がハイレベルとなって、受光部10Aにおける第1行のN個の画素部P_(1,1)?P_(1,N)それぞれの読出用スイッチSW_(1)が閉じる。また、この同じ期間に、制御部40Aから第2行選択用配線L_(V,2)に出力される第2行選択制御信号Vsel(2)がハイレベルとなって、受光部10Aにおける第2行のN個の画素部P_(2,1)?P_(2,N)それぞれの読出用スイッチSW_(1)が閉じる。
【0061】
これにより、画素部P_(1,n)および画素部P_(2,n)それぞれのフォトダイオードPDで発生して接合容量部に蓄積されていた電荷は、各画素部の読出用スイッチSW_(1)および第n列読出用配線L_(O,n)を通って、積分回路S_(n)の積分用容量素子C_(21),C_(22)に転送されて蓄積される。そして、各積分回路S_(n)の積分用容量素子C_(21),C_(22)に蓄積されている電荷の量に応じた電圧値が積分回路S_(n)の出力端から出力される。N個の積分回路S_(1)?S_(N)およびN個の保持回路H_(1)?H_(N)それぞれの動作は、前述したものと同様である。
【0062】
N個の保持回路H_(1)?H_(N)それぞれから順次に出力された電圧値はAD変換部30に入力されて、その入力電圧値に応じたデジタル値に変換される。そして、AD変換部30から出力されたN個のデジタル値のうち第1列および第2列それぞれに対応するデジタル値が加算され、その後も2個ずつのデジタル値が加算されていく。
【0063】
同様にして、時刻t_(22)から時刻t_(25)までの期間、制御部40Aから第3行選択用配線L_(V,3)に出力される第3行選択制御信号Vsel(3)がハイレベルとなって、受光部10Aにおける第3行のN個の画素部P_(3,1)?P_(3,N)それぞれの読出用スイッチSW1が閉じる。また、この同じ期間に、制御部40Aから第4行選択用配線L_(V,4)に出力される第4行選択制御信号Vsel(4)がハイレベルとなって、受光部10Aにおける第4行のN個の画素部P_(4,1)?P_(4,N)それぞれの読出用スイッチSW_(1)が閉じる。信号読出部20およびAD変換部30では同様の処理が行われる。そして、AD変換部30から出力されたN個のデジタル値のうち第1列および第2列それぞれに対応するデジタル値が加算され、その後も2個ずつのデジタル値が加算されていく。
【0064】
このように、受光部10Aにおいて第1行から順に2行ずつ同時に処理が行われ、AD変換部30から出力されるN個のデジタル値が順に2個ずつ加算されることで、2行2列のビニング読み出しをすることができる。」

(引3-ウ)【図1】




(引3-エ)【図3】




(引3-オ)【図5】





第5 本願発明と引用発明との対比

1 本願発明と引用発明とを対比する。


(ア)引用発明の「光電変換素子」と、本願発明の「フォトダイオード」とは、「光電変換素子」で共通する。

(イ)引用発明の「光電変換素子」は、「撮像電荷が」「得られる」ものであるから、入射光の強度に応じた撮像電荷を発生することは明らかである。

(ウ)引用発明の「トランスファゲート」は、本願発明の「読出用スイッチ」に相当する。

(エ)上記(ア)ないし(ウ)を踏まえると、引用発明の「画素S_(O),S_(E)に対応する光電変換素子」及び「各光電変換素子に対応するトランスファゲート」を有する「マトリクス状に配置された各フィールド」と、本願発明の「入射光強度に応じた量の電荷を発生するフォトダイオードと、このフォトダイオードと接続された読出用スイッチと、を各々含むMN個の画素P_(1,1)?P_(M,N)がM行N列に2次元配列された受光部」とは、「入射光強度に応じた量の電荷を発生する光電変換素子と、この光電変換素子と接続された読出用スイッチと、を各々含むMN個の画素P_(1,1)?P_(M,N)がM行N列に2次元配列された受光部」で共通する。


(ア)引用発明の「転送信号」は、本願発明の「制御信号」に相当する。

(イ)上記(ア)及びア(ウ)を踏まえると、引用発明の「全トランスファゲートに同時に」「転送信号」を「供給」する「転送信号供給手段」と、本願発明の「前記受光部における第m行のN個の画素P_(m,1)?P_(m,N)それぞれの読出用スイッチに対し開閉動作を指示する第m行選択制御信号を与える行選択用配線L_(V,m)」とは、「前記受光部における第m行のN個の画素P_(m,1)?P_(m,N)それぞれの読出用スイッチに対し開閉動作を指示する制御信号を与える制御信号供給手段LV」で共通する。


(ア)引用発明の「CCDイメージセンサ10は、インターライントランスファ型CCDイメージセンサであ」るから、「垂直転送レジスタ部11」が「マトリクス状に配置された各フィールド」の列ごとに配置されていることは明らかである。

(イ)上記(ア)並びにア(ア)及び(ウ)を踏まえると、引用発明の「マトリクス状に配置された各フィールドの画素S_(O),S_(E)に対応する光電変換素子に得られる撮像電荷が、各光電変換素子に対応するトランスファゲートを介して」、「1フレームに相当する電荷蓄積期間毎に」「転送され」、「1ライン分ずつ水平転送レジスタ部12に転送」する「垂直転送レジスタ部11」と、本願発明の「前記受光部における第n列のM個の画素P_(1,n)?P_(M,n)それぞれの読出用スイッチと接続され、前記M個の画素P_(1,n)?P_(M,n)のうちの何れかの画素のフォトダイオードで発生した電荷を、該画素の読出用スイッチを介して読み出す読出用配線L_(O,n)」とは、「前記受光部における第n列のM個の画素P_(1,n)?P_(M,n)それぞれの読出用スイッチと接続され、前記M個の画素P_(1,n)?P_(M,n)の光電変換素子で発生した電荷を、該画素の読出用スイッチを介して読み出す読出用手段LON」で共通する。


(ア)引用発明の「撮像信号S_(OUT)」と、本願発明の「デジタル値」とは、「出力信号」で共通する。

(イ)上記(ア)及びウを踏まえると、引用発明の「各フィールドの画素S_(O),S_(E)に対応する光電変換素子に得られる撮像電荷が」「上記垂直転送レジスタ部11を介して1ライン分ずつ」「転送され」る「水平転送レジスタ部12」、「出力部13」、「サンプルホールド回路4」、「反転型バッファ増幅器5」、「遅延回路6」、「信号選択スイッチ7」及び「出力端子8」と、本願発明の「前記読出用配線L_(O,1)?L_(O,N)それぞれと接続され、前記読出用配線L_(O,n)を経て入力された電荷の量に基づいて生成されたデジタル値を出力する出力部」とは、「前記読出用手段LONそれぞれと接続され、前記読出用手段LONを経て入力された電荷の量に基づいて生成された出力信号を出力する出力部」で共通する。

オ 上記ア(ウ)、イ及びエを踏まえると、引用発明の「タイミング信号発生器1」、「CCD駆動回路2」、及び、「制御信号CTL」を「供給」して「上記信号選択スイッチ7」を「切り換え制御」して「上記反転型バッファ増幅器5から直接供給される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路6により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を選択して撮像信号S_(OUT)として出力端子8から出力」させる「制御回路20」と、本願発明の「前記行選択用配線L_(V,1)?L_(V,M)を介して前記受光部におけるMN個の画素P_(1,1)?P_(M,N)それぞれの読出用スイッチの開閉動作を制御するとともに、前記出力部におけるデジタル値出力動作を制御する制御部」とは、「前記制御信号供給手段LVを介して前記受光部におけるMN個の画素P_(1,1)?P_(M,N)それぞれの読出用スイッチの開閉動作を制御するとともに、前記出力部における出力信号出力動作を制御する制御部」で共通する。


(ア)引用発明の「増感モード」は「垂直方向に隣接する2個の画素の各信号電荷を加算混合」するものであるところ、引用発明の「信号電荷」が「加算混合」される「垂直方向に隣接する2個の画素」は、本願発明のQ=R=1、K=2の場合における「ビニング領域」に相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明において「増感モード」が選択されることは、本願発明の「前記受光部においてM行N列に2次元配列された画素P_(1,1)?P_(M,N)を各々Q行R列の画素からなる単位領域に区分し、これらの(M/Q)行(N/R)列に2次元配列された単位領域を各々K行1列の単位領域からなるビニング領域に区分」することにおける、Q=R=1、K=2の場合に相当する。

(ウ)本件面接における請求人の説明によれば、「本件発明」における「順次に列毎にK回繰り返し」は、「列順の出力をK回繰り返す」ことを意味する記載であるから、上記(ア)及びエを踏まえると、引用発明の「垂直方向に隣接する2個の画素の各信号電荷を加算混合して信号レベルを2倍に上昇させた撮像出力信号を1水平走査期間おきに出力し、上記出力部13から上記サンプルホールド回路4を介して1水平走査期間おきに線順次に読み出される撮像出力信号SH_(OUT)は、1水平走査期間おきに撮像出力信号が欠落したものであるが、上記信号選択スイッチ7により上記反転型バッファ増幅器5から出力される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路6により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を1水平走査期間毎に交互に選択することによって、上記欠落部分が1水平走査期間前の撮像出力信号で補間され、1水平走査期間毎の線順次撮像信号S_(OUT)として上記出力端子8から出力される」ことと、本願発明の「各ビニング領域に含まれるKQR個の画素から出力された電荷の量の和に応じたデジタル値を順次に列毎にK回繰り返して前記出力部から出力させる」こととは、「各ビニング領域に含まれるKQR個の画素から出力された電荷の量の和に応じた出力信号を順次に列毎にK回繰り返して前記出力部から出力させる」ことで共通する。

(エ)上記(ア)ないし(ウ)、ア(ウ)、イ及びエを踏まえると、
引用発明の「増感モードにおいて、
上記制御回路20は、上記CCDイメーセンサ10の上記水平転送レジスタ部12を作動させる水平転送パルスφ_(H1),φ_(H2)の供給を1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って停止させるように上記CCD駆動回路2の制御を行うとともに、上記反転型バッファ増幅器5から出力される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路6により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を1水平走査期間毎に交互に選択して撮像信号S_(OUT)として上記出力端子8から出力するように上記信号選択スイッチ7の制御を行い、
上記CCDイメーセンサ10の上記水平転送レジスタ部12では、1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って転送動作が停止されるので、垂直方向に隣接する2個の画素の各信号電荷を加算混合して信号レベルを2倍に上昇させた撮像出力信号を1水平走査期間おきに出力し、上記出力部13から上記サンプルホールド回路4を介して1水平走査期間おきに線順次に読み出される撮像出力信号SH_(OUT)は、1水平走査期間おきに撮像出力信号が欠落したものであるが、上記信号選択スイッチ7により上記反転型バッファ増幅器5から出力される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路6により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を1水平走査期間毎に交互に選択することによって、上記欠落部分が1水平走査期間前の撮像出力信号で補間され、1水平走査期間毎の線順次撮像信号S_(OUT)として上記出力端子8から出力される」ことと、
本願発明の「前記制御部が、
前記受光部においてM行N列に2次元配列された画素P_(1,1)?P_(M,N)を各々Q行R列の画素からなる単位領域に区分し、これらの(M/Q)行(N/R)列に2次元配列された単位領域を各々K行1列の単位領域からなるビニング領域に区分して、
前記受光部において(M/KQ)行(N/R)列に2次元配列されたビニング領域について順次に行毎に、該行にあるビニング領域に含まれる画素の読出用スイッチを閉じさせて、これらの画素のフォトダイオードで発生した電荷を前記出力部に入力させ、各ビニング領域に含まれるKQR個の画素から出力された電荷の量の和に応じたデジタル値を順次に列毎にK回繰り返して前記出力部から出力させる」こととは、
「前記制御部が、
前記受光部においてM行N列に2次元配列された画素P_(1,1)?P_(M,N)を各々Q行R列の画素からなる単位領域に区分し、これらの(M/Q)行(N/R)列に2次元配列された単位領域を各々K行1列の単位領域からなるビニング領域に区分して、
前記受光部において(M/KQ)行(N/R)列に2次元配列されたビニング領域についてビニング領域に含まれる画素の読出用スイッチを閉じさせて、これらの画素の光電変換素子で発生した電荷を前記出力部に入力させ、各ビニング領域に含まれるKQR個の画素から出力された電荷の量の和に応じた出力信号を順次に列毎にK回繰り返して前記出力部から出力させる」ことで共通する。

2 そうすると、本願発明と引用発明とは、

「 入射光強度に応じた量の電荷を発生する光電変換素子と、この光電変換素子と接続された読出用スイッチと、を各々含むMN個の画素P_(1,1)?P_(M,N)がM行N列に2次元配列された受光部と、
前記受光部における第m行のN個の画素P_(m,1)?P_(m,N)それぞれの読出用スイッチに対し開閉動作を指示する制御信号を与える制御信号供給手段LVと、
前記受光部における第n列のM個の画素P_(1,n)?P_(M,n)それぞれの読出用スイッチと接続され、前記M個の画素P_(1,n)?P_(M,n)の光電変換素子で発生した電荷を、該画素の読出用スイッチを介して読み出す読出用手段LONと、
前記読出用手段LONそれぞれと接続され、前記読出用手段LONを経て入力された電荷の量に基づいて生成された出力信号を出力する出力部と、
前記制御信号供給手段LVを介して前記受光部におけるMN個の画素P_(1,1)?P_(M,N)それぞれの読出用スイッチの開閉動作を制御するとともに、前記出力部における出力信号出力動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部が、
前記受光部においてM行N列に2次元配列された画素P_(1,1)?P_(M,N)を各々Q行R列の画素からなる単位領域に区分し、これらの(M/Q)行(N/R)列に2次元配列された単位領域を各々K行1列の単位領域からなるビニング領域に区分して、
前記受光部において(M/KQ)行(N/R)列に2次元配列されたビニング領域についてビニング領域に含まれる画素の読出用スイッチを閉じさせて、これらの画素の光電変換素子で発生した電荷を前記出力部に入力させ、各ビニング領域に含まれるKQR個の画素から出力された電荷の量の和に応じた出力信号を順次に列毎にK回繰り返して前記出力部から出力させる、
固体撮像装置(ただし、M,Nは2以上の整数、mは1以上M以下の整数、nは1以上N以下の整数、Q,Rは1以上の整数、Kは2以上の整数)。」

の発明である点で一致し、以下の3点で相違する。

(相違点1)
入射光強度に応じた量の電荷を発生する光電変換素子が、本願発明においては、「フォトダイオード」に特定されているのに対し、引用発明においては、そのような特定がされていない点。

(相違点2)
画素P_(m,1)?P_(m,N)それぞれの読出用スイッチに対し開閉動作を指示する制御信号を与える制御信号供給手段LV、画素P_(1,n)?P_(M,n)それぞれの読出用スイッチと接続され前記M個の画素P_(1,n)?P_(M,n)の光電変換素子で発生した電荷を該画素の読出用スイッチを介して読み出す読出用手段LON、及び、制御部が行う読出用スイッチの制御について、本願発明においては、制御信号供給手段LVが「第m行選択制御信号を与える行選択用配線L_(V,m)」であり、読出用手段LONが「前記M個の画素P_(1,n)?P_(M,n)のうちの何れかの画素のフォトダイオードで発生した電荷を、該画素の読出用スイッチを介して読み出す読出用配線L_(O,n)」であり、制御部が「2次元配列されたビニング領域について順次に行毎に、該行にあるビニング領域に含まれる画素の読出用スイッチを閉じさせ」るのに対し、引用発明においては、制御信号供給手段LVが「全トランスファゲートに同時に」「転送信号」を「供給」する「転送信号供給手段」であり、読出用手段LONが「垂直転送レジスタ部11」であり、制御部の「CCD駆動回路2から転送信号供給手段により全トランスファゲートに同時に」「転送信号」が「供給される」点。

(相違点3)
出力部が出力する出力信号が、本願発明においては、「デジタル値」に特定されているのに対し、引用発明の「撮像信号S_(OUT)」は、デジタル値であるか不明な点。


第6 当審の判断

1 上記各相違点について検討する。

(1)相違点1について

インターライントランスファ型CCDイメージセンサを含めて、固体撮像装置の光電変換素子としてフォトダイオードを用いることは従来周知であり、引用発明の「光電変換素子」としてフォトダイオードを用いることは、当業者であれば適宜選択し得る設計的事項である。

(2)相違点2について

引用発明は、インターライントランスファ型CCDイメージセンサを用いていることから、転送信号供給手段により全トランスファゲートに同時に転送信号が供給され、各フィールドの画素S_(O),S_(E)に対応する光電変換素子に得られる撮像電荷が、各光電変換素子に対応するトランスファゲートを介して垂直転送レジスタ部11に転送され、上記垂直転送レジスタ部11を介して1ライン分ずつ水平転送レジスタ部12に転送するように構成されている。
しかしながら、固体撮像装置において、行単位で電荷転送する画素を選択する信号を供給する行配線、及び、列に対応する画素の電荷を転送する列配線を備えたCMOS型のイメージセンサは、従来周知である(以下、当該CMOS型のイメージセンサを「周知技術1」という。)。
ここで、(引1-ア)の段落【0004】に、従来技術の欠点について「残像が多くなってしまう」と記載されていることから、引用発明は、その用途としてビデオカメラを想定しているものと認められる。そして、ビデオカメラに用いる固体撮像装置として、CCDイメージセンサの普及の後にCMOS型のイメージセンサが普及したという本願出願前の技術の流れを考慮すると、引用発明において、「CCDイメージセンサ10」に代えて周知技術1を採用することには、十分な動機付けがあるといえる。
また、引用文献3には、周知技術1において同じ列に属する2行分の画素の電荷を加算する場合に、加算対象の画素が属する2行のみを同時に選択すること(以下「引用文献3技術事項」という。)が記載されている。
してみると、引用発明において、インターライントランスファ型CCDイメージセンサであるCCDイメージセンサ10に代えて、周知技術1に加えて引用文献3技術事項を採用し、加算対象の2行のみを同時に選択するようにして上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項を得ることは、当業者であれば容易になし得ることである。

(3)相違点3について

固体撮像装置において、出力をデジタル変換して用いることは、デジタルビデオカメラに例を見るように従来周知であり、引用発明の「撮像信号S_(OUT)」をデジタル信号とすることは、当業者であれば適宜選択し得る設計的事項である。

2 本願発明の奏する作用効果

本願の発明の詳細な説明の段落【0021】に記載された「固体撮像装置においてビニングした場合でも取り扱いが容易な信号を出力することができる」という本願発明によってもたらされる効果は、引用文献1及び3の記載事項から当業者が予測し得る程度のものである。

3 請求人の主張について

請求人は、令和元年9月25日提出の意見書において、「引用発明1は、『1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って転送動作が停止され・・・撮像出力信号を1水平走査期間おきに出力』するというCCDイメージセンサであるからこそ可能な固有の動作において、『1水平走査期間おきに撮像出力信号が欠落』というCCDイメージセンサに固有の課題が生じるところ、その問題を解消する為にCCDイメージセンサに固有の構成を備えたものです。
本願発明の固体撮像装置が基本とするCMOS型イメージセンサは、ビニング動作をする場合に、『1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って転送動作が停止され・・・撮像出力信号を1水平走査期間おきに出力』するようなことはなく、したがって、『1水平走査期間おきに撮像出力信号が欠落』するようなこともなく、ましてや、その欠落を補間するようなこともありません。
拒絶理由通知書に記載されたような『引用発明1において、インターライントランスファ型CCDイメージセンサであるCCDイメージセンサ10に代えて、従来周知のCMOS型のイメージセンサを採用する』構成の固体撮像装置を仮に想定することとして、以下では、これを“仮想の固体撮像装置”と呼ぶことにします。
この“仮想の固体撮像装置”は、『CMOS型のイメージセンサを採用する』ことにより直ちに、引用発明1が解決しようとする課題がなくなり、引用発明1の解決手段の構成をも失うことになります。
すなわち、“仮想の固体撮像装置”は、『CMOS型のイメージセンサを採用する』ものであることから、『引用文献3のように加算対象の行を同時に選択するようにする』場合であっても、『1水平走査期間おきに1水平走査期間に亘って転送動作が停止』するようなことはありません。これは、CMOS型イメージセンサの場合には当然のことです。
したがって、“仮想の固体撮像装置”は、『撮像出力信号を1水平走査期間おきに出力』するようなこともなく、『1水平走査期間おきに撮像出力信号が欠落』するようなこともありません。
欠落が生じない以上、“仮想の固体撮像装置”は、信号選択スイッチにより撮像出力信号BFOUTと遅延撮像信号DLOUTとを1水平走査期間毎に交互に選択するようなことはなく、『上記欠落部分が1水平走査期間前の撮像出力信号で補間』されるようなこともありません。
このように、仮に『引用発明1において、インターライントランスファ型CCDイメージセンサであるCCDイメージセンサ10に代えて、従来周知のCMOS型のイメージセンサを採用するとともに、引用文献3のように加算対象の行を同時に選択するようにする』としても、本願発明の特徴的構成に一歩たりとも近づくことはありません。
寧ろ、『引用発明1において、インターライントランスファ型CCDイメージセンサであるCCDイメージセンサ10に代えて、従来周知のCMOS型のイメージセンサを採用する』ことは、引用発明1のCCDイメージセンサの基本的構成を喪失する上、引用発明1の解決課題だけでなく解決手段の特徴的構成をも喪失することになるから、阻害要因があると言えます。
引用発明1においてCCDイメージセンサに替えてCMOS型イメージセンサを採用することはできません。仮に、係る採用をしたとしても、本願発明の特徴的構成には至りません。本願発明は引用発明1等に基づいて当業者が容易に想到し得たものではありません。」と主張する。

しかしながら、(引1-ア)の「従来提案されている蓄積モードを採用したのでは、感度をN倍に上げる場合に、CCDイメージセンサの電荷蓄積期間をNフレーム期間として撮像動作を行うので、撮像出力信号として得られる画像が間歇的になってしまい、撮像出力信号をフレームメモリに記憶して同じ画像を繰り返し読み出す必要があり、また、残像が多くなってしまうとうい欠点がある。」(段落【0004】)、「本発明は、上述の如き従来の固体撮像装置における欠点を伴うことなく、感度を上昇させた撮像動作を行うことができるようにした固体撮像装置を提供するものである。」(段落【0005】)、(引1-イ)の「上記固体撮像素子から上記水平転送レジスタ部を介して上記1水平走査期間おきに線順次に出力される撮像信号と、この撮像信号を遅延手段により1水平走査期間遅延させた遅延撮像信号とを信号選択手段により交互に選択することによって、全ライン分の撮像出力信号を線順次に得ることができる。上記撮像出力信号は、1フィールド又は1フレーム毎に得られるもので、間歇的な画像になってしまうことがなく、また、残像が多くなってしまうこともない。従って、本発明によれば、画像が間歇的になったり、残像が多くなったりすることなく、感度を上昇させた撮像動作を行うことのできる固体撮像装置を提供することができる。」(段落【0026】)との記載を参酌するに、引用発明は、増感モードにおいて、単に従来の電荷蓄積期間の増加による電荷加算に代えて、1フレーム内における2画素の電荷を加算するのみではなく、「上記信号選択スイッチ7により上記反転型バッファ増幅器5から出力される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路6により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を1水平走査期間毎に交互に選択することによって、上記欠落部分が1水平走査期間前の撮像出力信号で補間され、1水平走査期間毎の線順次撮像信号S_(OUT)として上記出力端子8から出力される」ことによって、通常モードと同様に「全ライン分の撮像出力信号を線順次に得ることができ」、「撮像出力信号は、1フィールド又は1フレーム毎に得られ」るようにしたものである。
してみると、引用発明において、インターライントランスファ型CCDイメージセンサであるCCDイメージセンサ10に代えて、周知技術1に加えて引用文献3技術事項を採用した場合、水平転送レジスタ部12に代えて個別に出力可能な積分手段を列ごとに備えたものとなるとしても、増感モードにおいて通常モードと同様に映像出力信号が全ライン分かつ1フィールドごとに得られるようにするために、「上記信号選択スイッチ7により上記反転型バッファ増幅器5から出力される撮像出力信号BF_(OUT)と上記遅延回路6により1H遅延された遅延撮像信号DL_(OUT)を1水平走査期間毎に交互に選択することによって」、「1水平走査期間毎の線順次撮像信号S_(OUT)として上記出力端子8から出力される」構成を残すことは、当業者であれば当然考慮すべきことである。
また、引用発明にCMOS型のイメージセンサを採用しても、上述のように増感モードは実現できることから、請求人が主張する阻害要因があるとも認められない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

4 まとめ

したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1及び引用文献3技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。


第7 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-12 
結審通知日 2019-11-19 
審決日 2019-12-04 
出願番号 特願2014-145612(P2014-145612)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松岡 智也  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 信田 昌男
渡戸 正義
発明の名称 固体撮像装置、X線撮像システムおよび固体撮像装置駆動方法  
代理人 柴田 昌聰  
代理人 阿部 寛  
代理人 黒木 義樹  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 柴山 健一  
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