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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1359088
審判番号 不服2019-6359  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-15 
確定日 2020-01-16 
事件の表示 特願2016- 67966号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月 5日出願公開、特開2017-176446号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年3月30日の出願であって、平成30年1月30日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、同年3月28日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月12日付けで最後の拒絶の理由が通知され、これに対して、同年9月11日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年2月19日付け(送達日:同年2月26日)で、平成30年9月11日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対して、令和1年5月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
本件補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の概要
(1)本件補正は、平成30年3月28日付け手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1及び2に、
「【請求項1】
可変表示を行い、遊技者に価値を付与可能な遊技機であって、
可変表示の実行回数が特定回数となるまで、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な制御手段と、
前記有利状態の終了に対応して、遊技者に付与された価値に関する結果報知を実行可能な報知手段とを備え、
前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において、前記結果報知を実行し、
前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間は、前記有利状態において前記特定回数未満の可変表示が終了する際の特定期間とは長さが異なり、
複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を実行可能であり、
前記可変表示パターンは、
可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て可変表示の表示結果を停止表示させる第1可変表示パターンと、
可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させる第2可変表示パターンとを含み、
仮停止態様とする期間は、可変表示パターンの種類によって異なる、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技者の動作を検出可能な検出手段と、
複数のタイミングのうちいずれかのタイミングにおいて前記検出手段により遊技者の動作が検出されたことに基づいて、所定演出を実行可能な演出実行手段とを備え、
所定演出が実行されるタイミングに応じて、実行可能な所定演出の態様が異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」とあったものを、

「【請求項1】
可変表示を行い、遊技者に価値を付与可能な遊技機であって、
可変表示の実行回数が特定回数となるまで、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な制御手段と、
前記有利状態の終了に対応して、遊技者に付与された価値に関する結果報知を実行可能な報知手段と、
遊技者の動作を検出可能な検出手段と、
複数のタイミングのうちいずれかのタイミングにおいて前記検出手段により遊技者の動作が検出されたことに基づいて、所定演出を実行可能な演出実行手段とを備え、
前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において、前記結果報知を実行し、
前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間は、前記有利状態において前記特定回数未満の可変表示が終了する際の特定期間とは長さが異なり、
複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を実行可能であり、
前記可変表示パターンは、
可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て特定演出を実行せずに可変表示の表示結果を停止表示させる第1可変表示パターンと、
可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させる第2可変表示パターンとを含み、
仮停止態様とする期間は、可変表示パターンの種類によって異なり、
所定演出が実行されるタイミングに応じて、実行可能な所定演出の態様が異なるとともに、所定演出が実行されるタイミングにかかわらず、1の所定演出を実行可能であり、
前記複数のタイミングのうち最も遅い特定タイミングに前記1の所定演出が実行される場合に、遊技者の動作を促す促進態様に応じて、前記有利状態に制御される割合が異なる、
ことを特徴とする遊技機。」
と補正するものである(下線は、補正前後の箇所を明示するために合議体が付した)。

(2)補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項2の特定事項を追加するとともに、その追加した特定事項のうち、「複数のタイミングのうちいずれかのタイミングにおいて前記検出手段により遊技者の動作が検出されたことに基づいて、所定演出を実行可能な演出実行手段」に関し、「所定演出が実行されるタイミングに応じて、実行可能な所定演出の態様が異なる」との構成を備えることに加えて、「所定演出が実行されるタイミングにかかわらず、1の所定演出を実行可能であり、前記複数のタイミングのうち最も遅い特定タイミングに前記1の所定演出が実行される場合に、遊技者の動作を促す促進態様に応じて、前記有利状態に制御される割合が異なる」との構成を備えることを限定し、さらに、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て可変表示の表示結果を停止表示させる第1可変表示パターン」について、仮停止態様を経た後に「特定演出を実行せずに」可変表示の表示結果を停止表示させることを限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1及び2に係る発明を特定するために必要な事項と本件補正後の請求項1に係る発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)の【0129】、【0186】ないし【0189】、【0191】ないし【0192】、【0198】、【0201】ないし【0202】、【図22】、【図23】、【図25】等の記載からみて、新規事項を追加するものでないから、特許法第17条の2第1項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、記号AないしLは、分説するため合議体が付した。
「A 可変表示を行い、遊技者に価値を付与可能な遊技機であって、
B 可変表示の実行回数が特定回数となるまで、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な制御手段と、
C 前記有利状態の終了に対応して、遊技者に付与された価値に関する結果報知を実行可能な報知手段と、
D 遊技者の動作を検出可能な検出手段と、
E 複数のタイミングのうちいずれかのタイミングにおいて前記検出手段により遊技者の動作が検出されたことに基づいて、所定演出を実行可能な演出実行手段とを備え、
F 前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において、前記結果報知を実行し、
G 前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間は、前記有利状態において前記特定回数未満の可変表示が終了する際の特定期間とは長さが異なり、
H 複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を実行可能であり、
I 前記可変表示パターンは、
可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て特定演出を実行せずに可変表示の表示結果を停止表示させる第1可変表示パターンと、
可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させる第2可変表示パターンとを含み、
J 仮停止態様とする期間は、可変表示パターンの種類によって異なり、
K 所定演出が実行されるタイミングに応じて、実行可能な所定演出の態様が異なるとともに、所定演出が実行されるタイミングにかかわらず、1の所定演出を実行可能であり、
L 前記複数のタイミングのうち最も遅い特定タイミングに前記1の所定演出が実行される場合に、遊技者の動作を促す促進態様に応じて、前記有利状態に制御される割合が異なる、
A ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例
ア 引用発明について
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-184076号公報(平成26年10月2日出願公開、以下「引用例」という。)には、遊技機に関し、図面と共に次の事項が記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示手段に特定表示結果が導出表示されたときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、遊技媒体である遊技球を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技球が入賞すると、所定の入賞価値を遊技者に与えるように構成されたものがある。さらに、識別情報を可変表示(「変動」ともいう。)可能な可変表示部が設けられ、可変表示部において識別情報の可変表示の表示結果が特定表示結果となった場合に、所定の遊技価値を遊技者に与えるように構成されたものがある。
【0003】
なお、入賞価値とは、入賞領域への遊技球の入賞に応じて賞球を払い出したり得点や景品を付与したりすることである。また、遊技価値とは、特定表示結果となった場合に遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置の状態が、打球が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態になるための権利を発生させたりすることや、賞球払出の条件が成立しやすくなる状態になることである。
・・・略・・・
【0009】
そこで、本発明は、特別遊技状態が終了する特別回数目の可変表示に遊技者の関心を惹きつけることができる遊技機を提供することを目的とする。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

(ウ)「【0018】
余剰球受皿(下皿)4を形成する部材には、例えば下皿本体の上面における手前側の所定位置(例えば下皿の中央部分)などに、スティック形状(棒形状)に構成され、遊技者が把持して複数方向(前後左右)に傾倒操作が可能なスティックコントローラ122が取り付けられている。なお、スティックコントローラ122には、遊技者がスティックコントローラ122の操作桿を操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作が可能なトリガボタン121(図3を参照)が設けられ、スティックコントローラ122の操作桿の内部には、トリガボタン121に対する押引操作などによる所定の指示操作を検知するトリガセンサ125(図3を参照)が内蔵されている。また、スティックコントローラ122の下部における下皿の本体内部などには、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニット123(図3を参照)が設けられている。また、スティックコントローラ122には、スティックコントローラ122を振動動作させるためのバイブレータ用モータ126(図3を参照)が内蔵されている。
【0019】
打球供給皿(上皿)3を形成する部材には、例えば上皿本体の上面における手前側の所定位置(例えばスティックコントローラ122の上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン120が設けられている。プッシュボタン120は、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン120の設置位置における上皿の本体内部などには、プッシュボタン120に対してなされた遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサ124(図3を参照)が設けられていればよい。図1に示す構成例では、プッシュボタン120とスティックコントローラ122の取付位置が、上皿及び下皿の中央部分において上下の位置関係にある。これに対して、上下の位置関係を保ったまま、プッシュボタン120及びスティックコントローラ122の取付位置を、上皿及び下皿において左右のいずれかに寄せた位置としてもよい。あるいは、プッシュボタン120とスティックコントローラ122の取付位置が上下の位置関係にはなく、例えば左右の位置関係にあるものとしてもよい。
・・・略・・・
【0069】
また、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122のトリガボタン121に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、トリガセンサ125から、入力ポート106を介して入力する。また、演出制御用CPU101は、プッシュボタン120に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、プッシュセンサ124から、入力ポート106を介して入力する。また、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122の操作桿に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、傾倒方向センサユニット123から、入力ポート106を介して入力する。また、演出制御用CPU101は、出力ポート105を介してバイブレータ用モータ126に駆動信号を出力することにより、スティックコントローラ122を振動動作させる。
・・・略・・・
【0075】
演出制御基板80は、演出制御用CPU101、ROM84、RAM85及びI/Oポート87を含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載している。なお、RAM85は外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用マイクロコンピュータ100は、内蔵又は外付けのROM84に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からのストローブ信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102及び入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御コマンドに基づいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)109に、LCDを用いた演出表示装置9の表示制御を行わせる。」

(エ)「【0159】
演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)は、主基板31に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータ560から上述した演出制御コマンドを受信すると、図10に示された内容に応じて演出表示装置9の表示状態を変更したり、ランプの表示状態を変更したり、音声出力基板70に対して音番号データを出力したりする。」

(オ)「【0261】
図26は、図24に示された演出制御プロセス処理における演出図柄変動開始処理(ステップS801)を示すフローチャートである。演出図柄変動開始処理において、演出制御用CPU101は、まず、変動パターンコマンド格納領域から変動パターンコマンドを読み出す(ステップS820)。次いで、演出制御用CPU101は、ステップS820で読み出した変動パターンコマンド、および表示結果指定コマンド格納領域に格納されているデータ(すなわち、受信した表示結果指定コマンド)に応じて演出図柄の表示結果(停止図柄)を決定する(ステップS821)。すなわち、演出制御用CPU101によってステップS821の処理が実行されることによって、可変表示パターン決定手段が決定した可変表示パターン(変動パターン)に応じて、識別情報の可変表示の表示結果(演出図柄の停止図柄)を決定する表示結果決定手段が実現される。なお、演出制御用CPU1
01は、決定した演出図柄の停止図柄を示すデータを演出図柄表示結果格納領域に格納する。なお、ステップS821において、演出制御用CPU101は、受信した変動パターンコマンドにもとづいて大当りであるか否かを判定し、変動パターンコマンドのみにもとづいて演出図柄の停止図柄を決定するようにしてもよい。」

(カ)「【0290】
この実施の形態では、確変状態において特別回数目(本例では70回目)の変動表示が行われるときに、その確変状態が終了する旨を報知するための確変終了報知演出が実行される。確変終了報知演出は、確変状態における特別回数目(本例では70回目)の変動表示の表示結果がはずれのときに実行される通常確変終了報知演出と、表示結果が大当りのときに実行される特殊確変終了報知演出とのいずれかの演出態様で実行される。
【0291】
具体的には、通常確変終了報知演出では、確変状態における特別回数目(本例では70回目)の変動表示が開始され、はずれ図柄が停止表示された後に、確変状態が終了する旨を報知するための確変終了報知画面(本例では大当り連荘数と獲得出玉(大当り遊技中に払い出された賞球の数)とが示される(図35(A3)参照)が表示される。
【0292】
また、特殊確変終了報知演出では、確変状態における特別回数目(本例では70回目)の変動表示が開始され、はずれ図柄が仮停止表示された後に、確変状態が終了する旨を報知するための確変終了報知画面(本例では大当り連荘数と獲得出玉(連荘中の大当り遊技において払い出された賞球の数)とが示される(図35(B3)参照))が表示されるが、所定期間後(すなわち確変終了報知画面が所定期間表示された後)に仮停止表示されていた演出図柄の再度変動する復活演出が行われ、大当り図柄が停止表示される。なお、特殊確変終了報知演出は特別回数目の変動表示の表示結果が大当りのときに実行されるため、確変状態が終了する旨を報知するための確変終了報知画面が表示されても、大当り遊技後に新たな確変状態に制御される。つまり、確変終了報知画面は、現在制御されている確変状態が終了する旨を報知するものであって、厳密には、確変状態での変動回数が、大当り終了処理で設定された確変状態に制御する回数に達したことを報知する。
【0293】
演出制御用マイクロコンピュータ100は、確変終了報知画面において示される大当り連荘数を、大当り連荘回数カウンタの値を参照することによって取得することができる。また、獲得出玉(連荘中の大当り遊技において払い出された賞球の数)として、例えば連荘中の大当り遊技において大入賞口に入賞したことに基づいて払い出された賞球の数を示す場合には、大入賞口に遊技球が1つ入賞したときに払い出される賞球の数が定められているため、演出制御用マイクロコンピュータ100は、連荘中の大当り遊技において大入賞口に入賞した遊技球の数を取得することによって、獲得出玉を算出することができる。連荘中の大当り遊技において大入賞口に入賞した遊技球の数は、例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560において、特別図柄プロセスフラグの値が大入賞口開放中処理(ステップS306)に対応した値であるときに、賞球処理(ステップS31)で大入賞口に入賞した遊技球がカウントスイッチ23で検出されたことに基づいて賞球の払い出しが行われると、その旨を示すコマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信し、演出制御用マイクロコンピュータ100において、受信したコマンドの数をカウントし、大当り連荘回数カウンタの値がリセットされると、カウントしたコマンドの数もリセットすることによって取得することができる。なお、この実施の形態では、確変終了報知画面として、大当り連荘数と獲得出玉とを表示するが、現在制御されている確変状態が終了することが認識できれば、どのような情報を含む画面表示であってもよい。
【0294】
この実施の形態では、通常確変終了報知演出と特殊確変終了報知演出とで、共通のタイミングで確変終了報知画面が表示される(例えば、図35(A3),(B3)、図36の変動開始から10秒後のタイミング等参照)。また、通常確変終了報知演出では、確変終了報知画面が表示される前にはずれ図柄が停止表示されるのに対して、特殊確変終了報知演出では、確変終了報知画面が表示された後に演出図柄が再度変動する復活演出が行われるため、確変終了報知画面が表示される前にはずれ図柄が仮停止表示(例えば、演出図柄が完全に停止せず、僅かに振動している)されるが、画面表示上は、停止表示であるか仮停止表示であるかが明確に認識できるほどの違いがない。つまり、通常確変終了報知演出と特殊確変終了報知演出とのいずれの場合も、変動開始から確変終了報知画面が表示されるまでは、演出表示装置9において共通(略共通)の画面表示が行われる。そのため、特別回数目の変動表示では、大当りが発生することによって確変状態が継続するか否かに注目させるとともに、確変終了報知画面が表示されても大当りが発生することの期待感を持続させることができ、遊技者の関心を惹きつけることができる。
【0295】
また、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560において、確変回数カウンタを用いて、確変状態に制御される最後の変動表示(特別回数目(70回目)の変動表示)であるか否かが確認され、最後の変動表示(特別回数目(70回目)の変動表示)である場合には「特殊はずれ」と「特殊当り」とのいずれかに決定されることによって、確変終了報知演出の演出態様(通常確変終了報知演出または特殊確変終了報知演出)が決定されている。すなわち、この実施の形態は、実質的に遊技制御用マイクロコンピュータ560において確変終了報知演出の演出態様(通常確変終了報知演出または特殊確変終了報知演出)が決定される構成となっている。
・・・略・・・
【0299】
この実施の形態では、通常確変終了報知演出用のプロセステーブルには、演出表示装置9において、演出図柄の停止表示後に、確変終了報知画面(本例では大当り連荘数と獲得出玉(連荘中の大当り遊技において払い出された賞球の数)とが示される(図35(A3)参照))が表示制御される表示制御実行データが含まれる。また、特殊確変終了報知演出用のプロセステーブルには、演出表示装置9において、演出図柄の仮停止表示後に、確変終了報知画面(本例では大当り連荘数と獲得出玉(連荘中の大当り遊技において払い出された賞球の数)とが示される(図35(B3)参照))が表示制御され、所定期間後に仮停止表示されていた演出図柄が再度変動する復活演出が行われ、大当り図柄が停止表示される表示制御実行データが含まれる。なお、この実施の形態では、通常確変終了報知演出用のプロセステーブルと、特殊確変終了報知演出用のプロセステーブルとは、同じタイミングで確変終了報知画面が表示制御されるように、表示制御実行データが設定されている。」

(キ)「【0323】
図35は、通常確変終了報知演出及び特殊確変終了報知演出の具体例を示す説明図である。確変状態における特別回数目の変動表示において、表示結果が「はずれ」のときに行われる通常確変終了報知演出では、演出図柄の変動表示が開始され(図35(A1))、はずれ図柄「185」が停止表示されると(図35(A2))、その後、はずれ図柄「185」とともに大当り連荘数(本例では2)と獲得出玉(本例では5000)とが示される確変終了報知画面が表示される(図35(A3))。そして、遊技状態は確変状態から通常状態に移行される。
【0324】
また、確変状態における特別回数目の変動表示において、表示結果が当り(15R確変大当りまたは突然確変大当り)のときに行われる特殊確変終了報知演出では、演出図柄の変動表示が開始され(図35(B1))、はずれ図柄「185」が仮停止表示されると(図35(B2))、はずれ図柄「185」とともに大当り連荘数(本例では2)と獲得出玉(本例では5000)とが示される確変終了報知画面が表示される(図35(B3))が、所定期間後に仮停止表示された演出図柄が再度変動する復活演出が行われ(図35(B4))、大当り図柄「777」が停止表示される(図35(B5))。そして、大当り遊技状態に移行される。
【0325】
図35に示すように、通常確変終了報知演出が実行される場合(図35(A1)?(A3))と、特殊確変終了報知演出が実行される場合(図35(B1)?(B3))とで、変動開始から確変終了報知画面が表示されるまで、演出表示装置9において同じ(略同じ)表示制御が行われる。通常確変終了報知演出が実行される場合には、図35(A2)に示すタイミングではずれ図柄が停止表示されているのに対して、特殊確変終了報知演出が実行される場合には、確変終了報知画面が表示された後に演出図柄が再度変動する復活演出が行われるため、図35(B2)に示すタイミングでは、はずれ図柄が仮停止表示(例えば、完全に停止せず僅かに振動している)されているが、画面表示上は、停止表示であるか仮停止表示であるかが明確に認識できるほどの違いがない。また、通常確変終了報知演出と特殊確変終了報知演出とで、共通のタイミングで確変終了報知画面が表示される(図35(A3),(B3)。(例えば、後述する図36に示される変動開始から10秒後の時点))。そのため、遊技者は、確変終了報知画面が表示された時点では、通常確変終了報知演出と特殊確変終了報知演出とのいずれであるかを判断することはできない。したがって、特別回数目の変動表示では、大当りが発生することによって確変状態が継続するか否かに注目させるとともに、確変終了報知画面が表示されても大当りが発生することの期待感を持続させることができ、遊技者の関心を惹きつけることができる。
【0326】
図36は、通常確変終了報知演出および特殊確変終了報知演出の実行タイミングを示すタイムチャートである。この実施の形態では、図36(A)に示すように、通常確変終了報知演出が行われる場合には、変動開始から10秒後(変動パターン「特殊はずれ」の変動時間(図6参照))に、はずれ図柄が停止表示され、確変終了報知画面が表示される。また、図36(B)に示すように、特殊確変終了報知演出が行われる場合には、変動開始から10秒後に、はずれ図柄が仮停止表示され、確変終了報知画面が表示される。そして、確変終了報知画面が表示された後に、仮停止表示された演出図柄が再度変動する復活演出が行われ、変動開始から20秒後(変動パターン「特殊当り」の変動時間(図6参照))に、大当り図柄が停止表示される。図36に示すように、変動開始から10秒後まで(はずれ時の変動表示が停止するまで)は、通常確変終了報知演出と特殊確変終了報知演出とで、はずれ図柄の停止表示または仮停止表示と、確変終了報知画面の表示とが同じタイミングで行われる。そのため、遊技者は、確変終了報知画面が表示された時点では、通常確変終了報知演出と特殊確変終了報知演出とのいずれであるかを判断することはできない。したがって、確変終了報知画面が表示されても大当りが発生することの期待感を持続させることができ、特別回数目の変動表示に遊技者の関心を惹きつけることができる。なお、この実施の形態では、表示結果が15R確変大当りまたは突然確変大当りのときには、大当り種別に関わらず、同じ変動パターン「特殊当り」に決定されるように構成されているが、これに限らず、複数種類の変動パターン「特殊当り」を設け(例えば、変動時間が異なる)、大当り種別に応じて、いずれかの変動パターン「特殊当り」に決定するようにしてもよい。ただし、この場合であっても、確変終了報知画面は共通のタイミングで表示され(例えば、「特殊はずれ」の変動時間が経過したタイミング(図36に示す変動開始から10秒後))、復活演出の時間のみが異なるようにすることが望ましい。
【0327】
以上に説明したように、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、所定条件の成立(本例では大当り(特定遊技状態)の発生)にもとづいて遊技者にとって有利な特別遊技状態(本例では確変状態。なお、確変状態に限らず時短状態を含むようにしてもよいし、遊技の進行に応じてポイントを付与する構成であれば、ポイントを高確率で付与する状態を含むようにしてもよい)に識別情報の可変表示が特別回数行われるまで(本例では確変状態において可変表示の回数が70回に達するまで、または大当り(特定遊技状態)が発生するまで)制御する。また、演出制御用マイクロコンピュータ100は、特別遊技状態中において、特別回数目の識別情報の可変表示が行われるときに、該特別遊技状態が終了する旨を報知するための報知演出を実行する(通常確変終了報知演出または特殊確変終了報知演出で確変終了報知画面の表示制御を行う)。そして、演出制御用マイクロコンピュータ100は、特別遊技状態における特別回数目の識別情報の可変表示で特定表示結果(大当り図柄)を導出表示すると決定されたときには、特別回数目の識別情報の可変表示が開始された後に、該特別遊技状態が終了する旨を報知するための報知演出を実行し(確変終了報知画面の表示制御を行い)、その後、特定表示結果を導出表示する特殊確変終了報知演出を実行する。そのように構成されることによって、特別遊技状態における特別回数目の変動表示では、特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されることによって特別遊技状態(本例では確変状態)が継続するか否かに注目させるとともに、該特別遊技状態が終了する旨を報知するための報知演出が実行されても(確変終了報知画面が表示されても)、特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されることの期待感を持続させることができ、遊技者の関心を惹きつけることができる。」

(ク)「【0329】
なお、この実施の形態では、特別遊技状態(確変状態)中における特別回数目の識別情報の可変表示において、特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されるか否かに関わらず、報知演出が実行される(確変終了報知画面が表示される)が、特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されると決定されている場合には、所定条件を満たしたときにのみ報知演出が実行される(確変終了報知画面が表示される)ようにしてもよい。つまり、特別遊技状態(確変状態)中における特別回数目の識別情報の可変表示において、確変終了報知画面が表示されることなく(特殊確変終了報知演出が実行されることなく)大当り図柄が停止表示されてもよい。例えば、特別遊技状態(確変状態)中における特別回数目の識別情報の可変表示の表示結果が、特定表示結果(大当り図柄)に決定されている場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ560または演出制御用マイクロコンピュータ100において、乱数を抽出し、抽出した乱数が所定値以上であれば確変終了報知画面が表示されるようにしてもよいし、大当り種別が突然確変大当りまたは15R確変大当りのいずれか一方の場合にのみ確変終了報知画面が表示されるようにしてもよい。」

(ケ)「【図3】



(コ)「【図6】



(サ)「【図35】



(シ)上記(ケ)(【図3】)の図示内容から、トリガボタン121及びプッシュボタン124からの信号が入力ポート106を介して演出制御基板80に入力され、傾倒方向センサユニット123からの信号が入力ポート107を介して演出制御基板80に入力されることが看取できる。

(ス)上記(コ)(【図6】)の図示内容から、変動パターンとして、スーパーリーチはずれやスーパーリーチ当りを行う変動パターンを含むことが看取できる。

(セ)上記(オ)の【0261】に、「演出制御用CPU101によって可変表示パターン決定手段が決定した可変表示パターン(変動パターン)に応じて、識別情報の可変表示の表示結果(演出図柄の停止図柄)を決定する表示結果決定手段が実現される」と記載されているところ、上記(ケ)(【図6】)の図示内容から、複数種類の可変表示パターンを有することは明らかである。
そうすると、複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を実行可能であることは、当業者にとって自明である。

(ソ)上記(ア)の【0009】に、「特別遊技状態が終了する特別回数目の可変表示に遊技者の関心を惹きつけることができる遊技機を提供することを目的とする」ことが記載されているところ、興趣の向上により遊技者の関心を惹きつけることが可能となることは、当業者にとって自明であることからすれば、興趣の向上という目的を有することも明らかである。

(タ)上記(ア)ないし(ソ)の記載内容及び図示内容からみて、引用例には、実施形態として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、aないしf及びiについては本願補正発明のAないしF及びIに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

[引用発明]
「a 可変表示を行い(【0001】)、大入賞口に入賞した遊技球が検出されたことに基づいて賞球の払い出しが行われる(【0293】)パチンコ遊技機1(【0015】)であって、
b 確変状態に制御される最後の変動表示(特別回数目(70回目)の変動表示)であるか否かを確認し、最後の変動表示(特別回数目(70回目)の変動表示)である場合には、確変終了報知演出の演出態様(通常確変終了報知演出または特殊確変終了報知演出)を決定する遊技制御用マイクロコンピュータ560(【0295】)と、
c 確変終了報知画面において示される大当り連荘数を取得し、獲得出玉を算出し、確変終了報知画面として、大当り連荘数と獲得出玉とを表示する演出制御用マイクロコンピュータ100(【0293】)と、を備え、
d 遊技者が把持して複数方向(前後左右)に傾倒操作が可能なスティックコントローラ122が取り付けられ、スティックコントローラ122の下部における下皿の本体内部などには、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニット123が設けられており(【0018】)、
遊技者がスティックコントローラ122の操作桿を操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作が可能なトリガボタン121が設けられ、スティックコントローラ122の操作桿の内部には、トリガボタン121に対する押引操作などによる所定の指示操作を検知するトリガセンサ125が内蔵されており(【0018】)、
また、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン120が設けられ、プッシュボタン120は、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されており、プッシュボタン120に対してなされた遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサ124が設けられ(【0019】)、
e 演出制御用CPU101を含む演出制御用マイクロコンピュータ100を搭載した演出制御基板80を備え(【0075】)、
演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122のトリガボタン121に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、トリガセンサ125から、入力ポート106を介して入力し、
プッシュボタン120に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、プッシュセンサ124から、入力ポート106を介して入力し、
スティックコントローラ122の操作桿に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、傾倒方向センサユニット123から、入力ポート106を介して入力し(【0069】)、
トリガボタン121及びプッシュボタン124からの信号が入力ポート106を介して演出制御基板80に入力され、傾倒方向センサユニット123からの信号が入力ポート107を介して演出制御基板80に入力され(上記(シ)、【図3】)、
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)は、主基板31に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出制御コマンドを受信すると、演出表示装置9の表示状態を変更したり、ランプの表示状態を変更したり、音声出力基板70に対して音番号データを出力したりし(【0159】)、
f 確変状態における特別回数目の変動表示において、表示結果が「はずれ」のときに行われる通常確変終了報知演出では、演出図柄の変動表示が開始され、はずれ図柄「185」が停止表示されると、その後、はずれ図柄「185」とともに大当り連荘数(本例では2)と獲得出玉(本例では5000)とが示される確変終了報知画面が表示され(【0323】)、
また、確変状態における特別回数目の変動表示において、表示結果が当り(15R確変大当りまたは突然確変大当り)のときに行われる特殊確変終了報知演出では、演出図柄の変動表示が開始され、はずれ図柄「185」が仮停止表示されると、はずれ図柄「185」とともに大当り連荘数(本例では2)と獲得出玉(本例では5000)とが示される確変終了報知画面が表示され(【0324】)、
h 複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を実行可能であり(上記(セ))、
i、j 特殊確変終了報知演出用のプロセステーブルには、演出表示装置9において、演出図柄の仮停止表示後に、確変終了報知画面が表示制御され、所定期間後に仮停止表示されていた演出図柄が再度変動する復活演出が行われ、大当り図柄が停止表示される表示制御実行データが含まれる(【0299】)、
a パチンコ遊技機1(【0015】)。」

イ 引用文献2の記載について
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-67287号公報(平成23年4月7日出願公開、以下、「引用文献2」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、始動領域を遊技媒体が通過した後、可変表示の開始を許容する開始条件が成立したことにもとづいて各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を開始し、表示結果を導出表示する可変表示部を備え、該可変表示部に特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態とするとともに、所定の移行条件が成立したときに該特定遊技状態が終了したのちに通常状態であるときに比べて識別情報の可変表示の表示結果が特定表示結果となりやすい高確率状態とするパチンコ遊技機等の遊技機に関する。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
以下、本発明の第1の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例で
あるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

(ウ)「【0334】
まず、図40を参照して、通常大当りにもとづく大当り遊技を終了して低確率/高ベース状態に制御されたときに共通演出を実行する場合の態様を説明する。大当り遊技を終了するときに、図40(1)に示すように、演出制御用マイクロコンピュータ100は、演出表示装置9において、大当りを終了する旨の大当り終了画面を表示させる(ステップS884参照)。また、通常大当りであったことにもとづいて、共通演出回数カウンタに所定値(例えば、77)がセットされるとともに、共通演出中フラグがセットされ(ステップS888?S890参照)、共通演出の実行モードに移行する。
【0335】
次いで、遊技制御用マイクロコンピュータ560からの変動開始時のコマンド(図柄変動指定コマンドや変動パターンコマンド)を受信して、大当り後1回目の変動表示を実行する場合には、演出制御用マイクロコンピュータ100は、低確率/高ベース状態中であることにもとづいて高ベース状態共通の背景画面を表示する(ステップS672参照)。具体的には、図40(2)に示すように、黄色の背景色で背景画面を表示させるとともに、「チャンスモード」などの文字列(高ベース状態であることを示唆するとともに高確率状態である可能性を示唆する文字列)を重畳表示させる。そして、遊技制御用マイクロコンピュータ560から図柄確定指定コマンドを受信すると(ステップS8106参照)、演出図柄停止図柄表示時間として800msをセットし(ステップS8108参照)、図40(3)に示すように、800msにわたって演出図柄の停止図柄を停止表示する(ステップS8303参照)。
【0336】
以降、大当り遊技終了後76回目の変動表示まで、図40(2)(3)と同様の態様で演出が実行される。
【0337】
次いで、遊技制御用マイクロコンピュータ560からの変動開始時のコマンド(図柄変動指定コマンドや変動パターンコマンド)を受信して、大当り後77回目の変動表示(低確率/高ベース状態の最後の変動表示)を実行する場合には、演出制御用マイクロコンピュータ100は、低確率/高ベース状態中であることにもとづいて高ベース状態共通の背
景画面を表示する(ステップS672参照)。具体的には、図40(4)に示すように、黄色の背景色で背景画面を表示させるとともに、「チャンスモード」などの文字列(高ベース状態であることを示唆するとともに高確率状態である可能性を示唆する文字列)を重畳表示させる。次いで、遊技制御用マイクロコンピュータ560から図柄確定指定コマンドを受信すると(ステップS8106参照)、演出制御用マイクロコンピュータ100は、高ベース終了演出実行フラグをセットする(ステップS8116参照)とともに、演出図柄停止図柄表示時間として5300msをセットする(ステップS8117参照)。そして、図40(5)に示すように、5300msにわたって演出図柄の停止図柄を停止表示する(ステップS8303参照)とともに、「チャンスモード終了!」などの文字列を重畳表示させることによって、低確率/高ベース状態が終了することを報知する(ステップS8307参照)。
・・・略・・・
【0411】
また、上記の各実施の形態によれば、高確率状態に制御されていない場合には、大当り遊技状態を終了してからの実行回数が所定回数(本例では、77回)となる変動表示の開始から、次の変動表示を開始するまでの時間を、高確率状態に制御されている場合と比較して長くしている(例えば、通常は変動表示を終了してから800ms後に次の変動表示を開始可能としているのに対して、低確率/高ベース状態での最後の77回目の変動表示を終了したときには5300ms後に次の変動表示を開始可能としている)。そのため、遊技者に有利な状態が終了する場合に(本例では、高ベース状態が終了する場合に)、次の変動表示を開始するまでの時間を長くすることによって、遊技者に有利な状態が終了するまでの時間を長くすることができる。従って、遊技者に有利な状態を延長することができ、遊技に対する興趣をより向上させることができる。すなわち、低確率/高ベース状態が終了する変動の次の変動開始までの時間を長くすることによって、実質的に高ベース状態を延長することができるので、保留記憶数を溜める機会を増加させることができ、遊技者に対して多少のお得感を与えて、遊技に対する興趣を向上させることができる。」

(エ)上記(ウ)の【0411】に、「低確率/高ベース状態が終了する変動の次の変動開始までの時間を長くすることによって、実質的に高ベース状態を延長することができるので、保留記憶数を溜める機会を増加させることができ、遊技者に対して多少のお得感を与えて、遊技に対する興趣を向上させることができる」と記載されているように、遊技に対する興趣を向上させることを目的とすることは明らかである。

(オ)上記(ア)ないし(エ)の記載内容からみて、引用文献2には、以下の技術事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献2記載事項]
「2a パチンコ遊技機1において(【0017】)、
2b、2g 大当り遊技を終了して低確率/高ベース状態に制御されたとき(【0334】)、大当り後1回目の変動表示を実行する場合には、800msにわたって演出図柄の停止図柄を停止表示し(【0335】)、以降、大当り遊技終了後76回目の変動表示まで同様の態様で演出が実行され(【0336】)、大当り後77回目の変動表示(低確率/高ベース状態の最後の変動表示)を実行する場合には、5300msにわたって演出図柄の停止図柄を停止表示するとともに、低確率/高ベース状態が終了することを報知する(【0336】)
2a パチンコ遊技機1(【0017】)。」

ウ 引用文献3の記載について
原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-217462号公報(平成24年11月12日出願公開、以下、「引用文献3」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、始動入賞領域への遊技球の入賞に基づいて、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な変動表示装置を備え、変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合に、変動入賞装置を閉状態から開状態に状態変換して遊技者に所定の遊技価値を付与可能な特別遊技状態を発生する遊技機に関する。」

(イ)「【0005】
本発明の目的は、始動入賞領域への遊技球の入賞に基づいて、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な変動表示装置を備え、変動表示ゲームの結果が特別結果となった場合に、変動入賞装置を閉状態から開状態に状態変換して遊技者に所定の遊技価値を付与可能な特別遊技状態を発生する遊技機において、モード演出の自由度を高めて遊技の興趣を向上させることにある。」

(ウ)「【0020】
本実施形態の遊技機10は前面枠12を備え、該前面枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ13を介して開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤30(図2参照)は前面枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。また、前面枠(内枠)12には、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス(透明部材)14を備えたガラス枠15が取り付けられている。」

(エ)「【0332】
〔第1実施形態の第6変形例〕
次に、上述した第1実施形態の遊技機の第6変形例について説明する。なお、基本的には、上述の第1実施形態の遊技機と同様の構成を有しており、以下、同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。本変形例の遊技機は、遊技状態とモード状態が異なる場合に、演出パターンが変動パターンに対応するように仮停止時間を含む停止時間を選択可能となっている。
【0333】
本変形例の遊技機では、図8に示す変動パターンテーブルに替えて図61に示す変動パターンテーブルを用いる。また、図9に示す演出パターンテーブルに替えて図62に示す演出パターンテーブルを用いる。
【0334】
遊技制御装置100が制御し、図61に示す変動パターンテーブルにより変動パターンが設定される特図変動表示ゲームでは、停止時間は何れも0.6秒となっている。これに対して、演出制御装置300が制御し、図62に示す演出パターンテーブルで演出パターンが選択される飾り特図変動表示ゲームでは、停止時間1と停止時間2の二種類の停止時間が設定されている。
【0335】
停止時間1は遊技状態とモード状態が同じ場合に選択される停止時間であり、停止時間2は仮停止時間と停止時間とから構成され、遊技状態とモード状態が異なる場合に選択される停止時間である。例えば、遊技状態が特殊遊技状態でありモード状態が通常モードである場合、図61(c)に示す変動パターンテーブルからNリーチの変動時間16秒の変動パターンが選択された場合、図62(a)に示す演出パターンテーブルからNリーチの演出時間8秒及び仮停止時間8秒の演出パターンが選択される。これにより特図変動表示ゲームの実行時間と飾り特図変動表示ゲームの実行時間が対応するようになる。
【0336】
なお、遊技状態が通常遊技状態でありモード状態が特殊モード状態である場合に、図61(a)、(b)に網掛けで示す変動時間が選択された場合は、図62(c)、(d)には対応する演出パターンがない。この場合は、図10に示す特別演出パターンテーブルから演出パターンが選択される。この特別演出パターンテーブルから選択された演出パターンは、前半の所定時間が演出時間とされ、残りの後半の所定時間が仮停止時間とされる。そして、図62に示す演出パターンテーブルでの仮停止時間又は特別演出パターンテーブルから選択された演出パターンにおける仮停止時間において特図変動表示ゲームの結果に関する演出が行われるようになっている。
・・・略・・・
【0341】
また、図64(c)から(e)に示すように、第2表示領域41cのキャラクタの働きかけにより、第1表示領域41bで仮停止している識別情報の一部又は全部が再度変動表示する演出(特殊演出(図65の第2表示領域2))を行うことも可能である。さらに、図64(f)に示すように第2表示領域41cが第1表示領域41bへ移動して、図64(g)に示すように仮停止している識別情報の何れかを隠蔽し、図64(h)に示すように隠蔽が解除されると識別情報が変化するような演出(可動演出(図65の第2表示領域3))を行うことも可能である。この場合、第1表示領域41bの3つの識別情報のうち、2つが同一の識別情報である状態から、これらとは異なる識別情報を第2表示領域41cが隠蔽して識別情報が変化するようにすることが望ましい。」

(オ)「【図61】



(カ)「【図62】



(キ)上記(エ)の【0341】には、「第2表示領域41cのキャラクタの働きかけにより、第1表示領域41bで仮停止している識別情報の一部又は全部が再度変動表示する演出(特殊演出(図65の第2表示領域2))を行うことも可能である」ことや、「第2表示領域41cが第1表示領域41bへ移動して」「仮停止している識別情報の何れかを隠蔽し、」「隠蔽が解除されると識別情報が変化するような演出(可動演出(図65の第2表示領域3))を行うことも可能である」ことが記載されており、仮停止を経た後に特殊演出や可動演出を実行可能である旨が記載されている。

(ク)上記(オ)及び(カ)(【図61】及び【図62】)の図示内容から、変動パターンとして、リーチなし、Nリーチ、SP1リーチ、SP2リーチ、SP3リーチを有し、はずれ・大当り・小当りのそれぞれで演出パターンと演出時間によって、仮停止時間が異なることが看取できる。

(ケ)上記(イ)の【0005】に記載のように、遊技の興趣を向上させることを目的とするものであることは明らかである。

(コ)上記(ア)ないし(ケ)の記載内容からみて、引用文献3には、以下の技術事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献3記載事項]
「3a 遊技機10において(【0020】)、
3h 変動パターンとして、リーチなし、Nリーチ、SP1リーチ、SP2リーチ、SP3リーチを有し、
3j はずれ・大当り・小当りのそれぞれで演出パターンと演出時間によって、仮停止時間が異なり(上記(ク))、
3i 仮停止を経た後に特殊演出や可動演出を実行可能である(上記(キ))
3a 遊技機10(【0020】)。」

エ 引用文献4の記載について
原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-221347号公報(平成27年12月10日出願公開、以下、同じく「引用文献4」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機などの遊技機に関するものである。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1?図51を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。」

(ウ)「【0021】
また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。枠ボタン22は、遊技者による操作指示(例えば、押下指示)を受け付けるボタンである。枠ボタン22の操作指示があった場合、パチンコ機10は、後述する第3図柄表示装置81の画面表示を変化させたり、出力音やランプ表示を変更したりすることによって、遊技者が遊技に積極的に参加できるようになっている。」

(エ)「【0173】
スーパーリーチAによる変動演出およびノーマルリーチAによる変動演出では、図8に示した通り、まず、高速変動中に予告演出としてコメント表示151を行う。このコメント表示151は、遊技者による枠ボタン22の操作指示があったこと(即ち、枠ボタンがON操作されたこと)をトリガとして第3図柄表示装置81の演出表示領域Dbに表示される。
【0174】
このコメント表示151による予告演出は、以下の手順に従って表示される。まず、スーパーリーチAによる変動演出およびノーマルリーチAによる変動演出において高速変動が開始されると、その開始から2秒後に、少年161(図9(a)参照)が第3図柄表示装置81の演出表示領域Dbに表示される。少年161が表示されると、枠ボタン22の操作を受け付ける枠ボタン操作受付期間が開始され、演出表示領域Dbには少年161と共に枠ボタン22の操作を促す画像(図示せず)が表示される。枠ボタン操作受付期間は、最大で5秒間継続され、枠ボタン操作受付期間が継続されている間、枠ボタン22の操作を促す画像が演出表示領域Dbに表示され続ける。
【0175】
そして、5秒間の枠ボタン操作受付期間中に遊技者により枠ボタン22が操作されなければ、少年161が第3図柄表示装置81の画面上から消え、コメント表示151による予告演出を行わずに、変動演出を継続する。一方、枠ボタン操作受付期間中に枠ボタン22が遊技者によって操作された場合は、その時点で枠ボタン操作受付期間を終了し、コメント表示151による予告演出を行う。
【0176】
ここで、図9(a)を参照して、コメント表示151による予告演出の詳細について説明する。図9(a)は、コメント表示151による予告演出において第3図柄表示装置81に表示される画像を模式的に示した模式図である。
【0177】
コメント表示151による予告演出では、予め演出表示領域Dbに表示されていた少年161の画像から吹き出し162を演出表示領域Dbに表示し、その吹き出し162の中に「大当たりの予感・・・?!」、「リーチかも!」といった文字情報を表示する。
【0178】
尚、このコメント表示151による予告演出が行われる時点では、第3図柄の変動表示が演出表示領域Dbを覆い被すように行われているが、この時点における第3図柄の変動表示は、遊技者に視認不能な高速変動であり、演出表示領域Dbに表示される画像が遊技者に十分視認できるようになっている。
【0179】
コメント表示151では、吹き出し161に表示される文字情報により、遊技者に当たるかもしれない、という期待感を持たせることができる。但し、この文字情報は、遊技者による枠ボタン22の操作指示を受け付けた時点でランダムに選択するように構成している。即ち、吹き出し161の文字情報自体は、大当たりとなる期待度を表すものではなく、遊技者の遊技に対する興趣を高めるためのものである。
【0180】
一方、吹き出し162の周囲には、フレーム(枠)163が設けられており、このフレーム163の表示色で大当たりとなる期待度を表している。ここで、図13を参照して、フレーム163の表示色と大当たりとなる期待度との関係を説明する。図13は、各予告演出において、大当たりの期待度を示す態様を説明する図である。尚、図13には、判定上限値ポインタ222bについても示しているが、この判定上限値ポインタ222bについては後述する。
【0181】
この図13では、大当たりとなる期待度を示したランクが「1」?「5」で示されている。そして、ランク「1」が、大当たりとなる期待度が最も低いランクであり、ランク「2」が、大当たりとなる期待度が2番目に低いランクである。そして、ランク「3」、「4」と上がるにつれて、大当たりとなる期待度が高くなり、ランク「5」が、大当たりとなる期待度が100%、即ち、必ず大当たりとなるランクである。
【0182】
スーパーリーチAによる変動演出およびノーマルリーチAによる変動演出において実行される各予告演出は、それぞれ5つのパターンを有しており、各パターンに対してそれぞれ異なるランクが対応付けられている。各予告演出において、5つのパターンの中から選択された1のパターンに従って演出を実行することにより、その予告演出で実行された演出の内容から、大当たりとなる期待度を5つのランクで遊技者に示すことができる。なお、各ランクにおける大当たりの期待度は、どの予告演出であってもそれぞれ同一に設定される。即ち、1の予告演出と別の予告演出とにおいて同一ランクの期待度が示された場合は、それぞれの予告演出において示される期待度は同じ期待度となる。
【0183】
図13に示す通り、コメント表示151による予告演出では、吹き出し162のフレーム163の表示色が白である場合に、期待度としてランク「1」を示す。フレーム163の表示色が青の場合に、期待度としてランク「2」を示す。フレーム163の表示色が赤の場合に、期待度としてランク「3」を示す。フレーム163の表示色がトラ柄の場合に、期待度としてランク「4」を示す。そして、フレーム163の表示色が虹色(レインボー)の場合に、期待度としてランク「5」(つまり、100%大当たり)を示す。
・・・略・・・
【0191】
図8に戻り、予告演出の説明を続ける。スーパーリーチAによる変動演出では、発展画像を表示中にも予告演出を行う。具体的には、発展画像を表示中にスーパーリーチの種類を選択するスーパーリーチ選択153による予告演出が行われる。このスーパーリーチ選択153では、発展画像に続いて表示されるスーパーリーチ変動の種別(リーチ種)を、遊技者が枠ボタン22を操作したタイミングに応じて5つのリーチ種の中から選択する演出であり、選択されたリーチ種によって、大当たりとなる期待度を示す。
【0192】
ここで、図10を参照して、スーパーリーチ選択153による予告演出の詳細について説明する。図10は、スーパーリーチ選択153による予告演出において第3図柄表示装置81に表示される画像を模式的に示した模式図である。尚、図10に示す通り、スーパーリーチ選択153による予告演出が行われる発展画像では、第3図柄の変動表示が第3図柄表示装置81の左上隅に小さく表示される。よって、スーパーリーチ選択153による予告演出は、演出表示領域Db一杯に大きく表示される。
【0193】
このスーパーリーチ選択153による予告演出は、発展画像が表示されてから2秒後、即ち、変動開始から32秒後に開始され、図10に示す画像を表示する。この画像では、演出表示領域Dbの中央部に宝箱165を表示し、上部に「宝箱を破壊せよ!」との文字情報を表示する。これにより、宝箱を破壊できれば大当たりとなる演出がスーパーリーチ変動中に行われることを、遊技者に対して通知する。また、演出表示領域Dbの左部に少年166を表示し、その少年166から吹き出しを表示して、その吹き出し中に「破壊者を決めるぞ!ボタンを押せ!」との文字情報を表示する。加えて、演出表示領域Dbの右部には、破壊者の候補として、子供167の画像と、男性168の画像と、魔女169の画像と、雷神170の画像とを表示する。そして、子供167、男性168、魔女169、雷神170のうちいずれか一つの画像をハイライト表示し(図10では、子供167がハイライト表示)、そのハイライト表示される画像を高速で順次入れ替える。これにより、遊技者に対して、枠ボタン操作22を操作することにより、破壊者が選択されることを認識させる。
【0194】
スーパーリーチ選択153による予告演出では、ここで選択される各破壊者に対して、その後に行われるスーパーリーチ変動のリーチ種がそれぞれ対応付けられている。即ち、子供167に対しては、スーパーリーチ変動中に子供167が一発だけ宝箱をたたいて破壊しようとする演出を表示する「一発リーチ」が対応付けられ、男性168に対しては、スーパーリーチ変動中に男性168が宝箱を連打して破壊しようとする演出を表示する「連打リーチ」が対応付けられ、魔女169に対しては、スーパーリーチ変動中に魔女169が宝箱に魔法をかけて破壊しようとする「魔法リーチ」が対応付けられ、雷神170に対しては、スーパーリーチ変動中に雷神170が宝箱に雷を落として破壊しようとする「雷リーチ」が対応付けられている。更に、スーパーリーチ選択153による予告演出画面には表示されていないものの、ここで選択されるリーチ種として、更に、仏様172(図11(b)参照)がお経を唱えて宝箱を開放する「仏様リーチ」がある。
【0195】
上述した通り、これらのリーチ種によって、変動演出後に大当たりとなる期待度が表される。ここで、再び図13を参照して、スーパーリーチ選択153による予告演出によって選択されるリーチ種と大当たりとなる期待度との関係を説明する。
【0196】
図13に示す通り、スーパーリーチ選択153による予告演出によって選択されたリーチ種が「一発リーチ」であれば、期待度としてランク「1」を示し、「連打リーチ」であれば、期待度としてランク「2」を示し、「魔法リーチ」であれば、期待度としてランク「3」を示し、「雷リーチ」であれば、期待度としてランク「4」を示し、「仏様リーチ」であれば、期待度としてランク「5」を示す。即ち、「仏様リーチ」は、大当たりとなる期待度が100%のリーチ種である。スーパーリーチ選択153による予告演出において仏様172の画像は表示されていないが、この表示されていない仏様172をスーパーリーチ開始時に表示し、その仏様172をモチーフとしてスーパーリーチ変動を行う事で、遊技者に特別なリーチ、即ち、大当たりへの期待度が100%である所謂プレミアムリーチへ発展したことを強く印象づけることができる。これにより、遊技者の遊技に対する興趣を大いに高めることができる。
【0197】
図8に戻り、スーパーリーチ選択153による予告演出についての説明を続ける。本パチンコ機10の内部処理的には、スーパーリーチ選択153による予告演出において、遊技者が枠ボタン22を操作したタイミングに基づいて、スーパーリーチ変動のリーチ種を上記「一発リーチ」、「連打リーチ」、「魔法リーチ」、「雷リーチ」、「仏様リーチ」の中から選択する。そして、その選択結果を、スーパーリーチ変動の開始時に行われる後述のキャラクタ登場154による予告演出にて、選択されたリーチ種に対応するキャラクタ画像を表示することによって、遊技者に通知する。これにより、遊技者に対して、スーパーリーチ選択153による予告演出中に枠ボタン22を操作したタイミングに基づいて宝箱を破壊する破壊者が選択されたように見せることができる。
【0198】
スーパーリーチ選択153による予告演出時において、遊技者による枠ボタン22の操作指示は、スーパーリーチ選択153による予告演出が開始された時点(即ち、第3図柄表示装置81に図10で示した画像が表示された時点)で始まる枠ボタン操作受付期間中に受け付けられる。枠ボタン操作受付期間は、最大で5秒間継続され、枠ボタン操作受付期間が継続している間、図10の画像が演出表示領域Dbに表示され続ける。
【0199】
そして、枠ボタン操作受付期間中に枠ボタン22が遊技者によって操作された場合は、その時点で枠ボタン操作受付期間を終了し、また、リーチ種を「一発リーチ」、「連打リーチ」、「魔法リーチ」、「雷リーチ」、「仏様リーチ」の中から選択する。一方、5秒間の枠ボタン操作受付期間中に遊技者により枠ボタン22が操作されなかった場合は、そのまま枠ボタン操作受付期間を終了し、その時点で、リーチ種を「一発リーチ」、「連打リーチ」、「魔法リーチ」、「雷リーチ」、「仏様リーチ」の中から選択する。
【0200】
どのリーチ種を選択するかは、予告演出が行われる変動演出の結果(大当たりとなるか、外れとなるか)と、その変動演出の変動パターン(ノーマルリーチAか、スーパーリーチAか)とに基づいて、遊技者による枠ボタン22の操作指示を受け付けた時点、または、枠ボタン22が操作されずに枠ボタン操作受付期間が終了した時点でランダムに決定する。その決定方法については、後述する。
【0201】
スーパーリーチ選択153による予告演出では、選択されたリーチ種に対応する破壊者の画像は、上述した通り、即座に表示せず、スーパーリーチ変動の開始時に行われるキャラクタ登場154による予告演出にて表示する。枠ボタン操作受付期間を終了してから、キャラクタ登場154による予告演出が行われるまでの間は、図10に示す少年166の吹き出しの内容を「破壊者は誰だ?」という文字情報に変えた上で、引き続き、子供167、男性168、魔女169、雷神170に対して行われているハイライト表示を行う。これにより、キャラクタ登場154による予告演出が表示されるまで、遊技者にどの破壊者が選択されたかという期待感を持たせながら、スーパーリーチ選択153による予告演出に注目させることができる。
・・・略・・・
【0218】
図8に戻り、予告演出の説明を続ける。スーパーリーチAによる変動演出では、スーパーリーチ変動中に、予告演出として更にカットイン155を行う。このカットイン155は、遊技者による枠ボタン22の操作指示があったこと(即ち、枠ボタンがON操作されたこと)をトリガとして第3図柄表示装置81の演出表示領域Dbに表示される。
【0219】
このカットイン155による予告演出は、以下の手順に従って表示される。まず、スーパーリーチ変動の開始から5秒後(変動開始から45秒後)に、枠ボタン22の操作を受け付ける枠ボタン操作受付期間が開始され、演出表示領域Dbに枠ボタン22の操作を促す画像(図示せず)が表示される。枠ボタン操作受付期間は、10秒間継続され、枠ボタン操作受付期間が継続されている間、後述するカットイン画像が表示されている間を除き、枠ボタン22の操作を促す画像が演出表示領域Dbに表示され続ける。
【0220】
そして、10秒間の枠ボタン操作受付期間中に遊技者により枠ボタン22が操作されなければ、枠ボタン22の操作を促す画像が演出表示領域Dbから消去され、カットイン155による予告演出を行わずに変動演出を継続する。一方、枠ボタン操作受付期間中に枠ボタン22が遊技者によって操作された場合は、その時点で後述のカットイン画像を1秒間、演出表示領域Dbに表示する。カットイン155による予告演出では、枠ボタン操作受付期間であれば、何度も枠ボタン22の操作を受付可能に構成されており、枠ボタン22の操作を受け付ける毎に、カットイン画像を表示する。
【0221】
ここで、図12を参照して、カットイン155による予告演出の詳細について説明する。図12は、カットイン155による予告演出において第3図柄表示装置81に表示されるカットイン画像を模式的に示した模式図である。
【0222】
図12に示される通り、カットイン155による予告演出においても、第3図柄の変動表示を、第3図柄表示装置81の画面左上隅(図10参照)に小さく表示している。これにより、カットイン155による予告演出を、第3図柄の変動表示に影響されることなく演出表示領域Dbに表示させることができるので、その演出に遊技者を注目させることができ、遊技者の興趣を高めることができる。
【0223】
カットイン155による予告演出では、キャラクタ登場154による予告演出で表示したキャラクタの右目173をズームアップして予告演出領域Dbに表示し、そのズームアップした右目を囲うようにしてカットインフレーム174を演出表示領域Dbに表示する。カットイン155による予告演出では、このカットインフレーム174の表示色で大当たりとなる期待度を表している。
【0224】
ここで、再び図13を参照して、カットインフレーム174の表示色と大当たりとなる期待度との関係を説明する。図13に示す通り、カットイン155による予告演出では、カットインフレーム174の表示色が白である場合に、期待度としてランク「1」を示す。カットインフレーム174の表示色が青の場合に、期待度としてランク「2」を示す。カットインフレーム174の表示色が赤の場合に、期待度としてランク「3」を示す。カットインフレーム174の表示色がトラ柄の場合に、期待度としてランク「4」を示す。そして、カットインフレーム174の表示色が虹色(レインボー)の場合に、期待度としてランク「5」(つまり、100%大当たり)を示す。」

(オ)「【図8】



(カ)「【図9】(a)



(キ)「【図10】



(ク)「【図12】



(ケ)「【図13】



(コ) 上記(エ)の【0173】に、「スーパーリーチAによる変動演出」「では、図8に示した通り、まず、高速変動中に予告演出としてコメント表示151を行う。このコメント表示151は、遊技者による枠ボタン22の操作指示があったこと(即ち、枠ボタンがON操作されたこと)をトリガとして第3図柄表示装置81の演出表示領域Dbに表示される。」と記載されていることから、スーパーリーチAによる変動演出において実行される、コメント表示151の予告演出は、枠ボタン22により遊技者の動作が検出されたことに基づいて実行可能なものであることは明らかである。

(サ)上記(エ)の【0191】に、「スーパーリーチAによる変動演出では、発展画像を表示中にも予告演出を行う。具体的には、発展画像を表示中にスーパーリーチの種類を選択するスーパーリーチ選択153による予告演出が行われる。このスーパーリーチ選択153では、発展画像に続いて表示されるスーパーリーチ変動の種別(リーチ種)を、遊技者が枠ボタン22を操作したタイミングに応じて5つのリーチ種の中から選択する演出であり、選択されたリーチ種によって、大当たりとなる期待度を示す。」と記載されていることから、スーパーリーチAによる変動演出において実行される、スーパーリーチ選択153の予告演出は、枠ボタン22により遊技者の動作が検出されたことに基づいて実行可能なものであることは明らかである。

(シ)上記(エ)の【0218】に、「スーパーリーチAによる変動演出では、スーパーリーチ変動中に、予告演出として更にカットイン155を行う。このカットイン155は、遊技者による枠ボタン22の操作指示があったこと(即ち、枠ボタンがON操作されたこと)をトリガとして第3図柄表示装置81の演出表示領域Dbに表示される。」と記載されていることから、スーパーリーチAによる変動演出において実行される、カットイン155の予告演出は、枠ボタン22により遊技者の動作が検出されたことに基づいて実行可能なものであることは明らかである。

(ス)上記(オ)(【図8】)の図示内容より、スーパーリーチAによる変動演出中に実行される複数の予告演出は、それぞれ異なるタイミングで実行されるとともに、コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の順番で実行されることが看取できる。

(セ)上記(カ)ないし(ク)(【図9】(a)、【図10】、【図12】)の図示内容より、コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出では、それぞれ態様が異なる演出が実行されることが看取できる。ここで、上記セの記載事項と併せて考えると、コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出が実行されるタイミングに応じて、実行可能な演出の態様が異なることは、当業者にとって自明である。

(ソ)上記(カ)ないし(ク)(【図9】(a)、【図10】、【図12】)の図示内容より、コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出では、いずれもキャラクタ画像を用いた演出が実行されることが看取できる。ここで、上記セの記載事項と併せて考えると、コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出のうち、どの演出が実行されるタイミングであるかにかかわらず、キャラクタ画像を用いた演出を実行可能であることは、当業者にとって自明である。

(タ)上記(エ)の【0183】、【0196】及び【0224】の記載事項と、上記(オ)(【図8】)の図示内容とから、スーパーリーチAによる変動演出中に実行される、コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出では、いずれも、期待度に関する演出が実行されることが認められる。また、上記(オ)(【図8】)の図示内容より、スーパーリーチAによる変動演出中に実行される、コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出が、それぞれ異なるタイミングで実行されることも看取できる。そうすると、コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出のうち、どの演出が実行されるタイミングであるかにかかわらず、期待度に関する演出を実行可能であることは、当業者にとって自明である。

(チ)上記(ス)の記載事項から、異なるタイミングで実行される複数の予告演出のうち最も遅い特定タイミングに実行される予告演出は、カットイン155の予告演出であることは、当業者にとって自明である。

(ツ)上記(エ)の【0223】には、「カットイン155による予告演出では、このカットインフレーム174の表示色で大当たりとなる期待度を表している」と記載され、上記エの【0224】には、「カットイン155による予告演出では、カットインフレーム174の表示色が白である場合に、期待度としてランク「1」を示す。カットインフレーム174の表示色が青の場合に、期待度としてランク「2」を示す。カットインフレーム174の表示色が赤の場合に、期待度としてランク「3」を示す。カットインフレーム174の表示色がトラ柄の場合に、期待度としてランク「4」を示す。そして、カットインフレーム174の表示色が虹色(レインボー)の場合に、期待度としてランク「5」(つまり、100%大当たり)を示す。」と記載されていることから、カットイン155の予告演出が実行される場合には、カットインフレーム174の表示色によって、期待度、すなわち、有利状態に制御される割合が異なることは、当業者にとって自明である。

(テ)上記(エ)の【0179】、【0196】及び【0222】等に記載のように、興趣の向上を目的とすることは明らかである。

(ト)上記(ア)ないし(テ)の記載内容からみて、引用文献4には、以下の技術事項(以下、「引用文献4記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献4記載事項]
「4a パチンコ遊技機10において(【0015】)、
4d 遊技者による操作指示(例えば、押下指示)を受け付ける枠ボタン22を備え(【0021】)、
4e コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出は、枠ボタン22により遊技者の動作が検出されたことに基づいて実行可能なもの(上記(コ)ないし(サ))であって、そららの複数の予告演出は、それぞれ異なるタイミングで実行されるとともに、コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の順番で実行され(上記(ス))、
4k コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出が実行されるタイミングに応じて、実行可能な演出の態様が異なる(上記(セ))とともに、コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出のうち、どの演出が実行されるタイミングであるかにかかわらず、キャラクタ画像を用いた演出や期待度に関する演出を実行可能であり(上記(ト)及び(タ))、
4l 異なるタイミングで実行される複数の予告演出のうち最も遅い特定タイミングに実行される予告演出は、カットイン155の予告演出であり(上記(チ))、
カットイン155の予告演出が実行される場合には、カットインフレーム174の表示色によって、期待度、すなわち、有利状態に制御される割合が異なる(上記(ツ))
4a パチンコ遊技機10(【0015】)。」

オ 引用文献5の記載について
本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-233356号公報(平成26年12月15日出願公開、以下、「引用文献5」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。詳しくは、遊技者が操作可能な操作手段と、前記操作手段の操作が有効となる操作有効期間の内に該操作手段が操作されたことに基づいて、所定の操作時演出を実行する操作時演出実行手段と、前記遊技者が前記操作有効期間を認識可能な操作有効報知を実行する操作有効報知実行手段とを有する遊技機に関する。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0025】
[遊技機の構成]
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

(ウ)「【0409】
本実施形態では、上記の「ボタン予告演出」、「連打予告演出A」、及び「連打予告演出B」、並びに後述する「役物作動演出」を実行するときには、ボタン操作示唆表示やボタン連打示唆表示が表示される。この際に、演出表示装置9には、「PUSH!」や「連打せよ!」などの文字列とともにプッシュボタン120の形状を模した絵柄を含む表示が表示される。図61に示すように、これらの文字列や絵柄を含む表示を行うときに、大当りに対する期待度(信頼度)に応じて、文字列や絵柄の色を異ならせるようにする。図61に示す例では、可変表示結果が大当りとなるときには、文字列や絵柄の色が60%の確率で赤、30%の確率で青、10%の確率で白となるように乱数の割り振りを行い。可変表示結果がはずれとなるときには、文字列や絵柄の色が10%の確率で赤、20%の確率で青、70%の確率で白となるように乱数の割り振りを行う。このような割り振りを行うことで、表示された文字列や絵柄の色が白、青、赤の順に大当り遊技状態が発生する可能性が高くなる。このように、表示色によって大当りが発生する可能性を示唆することができる。遊技者は表示される文字列や絵柄の色にも興味を持つようになり、これにより遊技に対する興趣が向上する。」

(エ)「【0463】
図56(1)に示すように、合算保留記憶表示部18cにボタン保留表示200(第1ボタン保留表示または第2ボタン保留表示)を表示して「保留球変化」の態様の先読み予告演出を開始(ステップS6012,S6013参照)した後の変動表示において、ボタン予告演出を実行することに決定され、そのボタン予告演出の実行タイミングとなった場合には、操作無効フラグがセットされて先読み予告演出における操作が無効化される(ステップS8108e参照)。次いで、所定の待機期間(例えば、2秒)経過(ステップS8108f参照)してからボタン操作示唆表示を表示してボタン予告演出が開始され(ステップS8111,S8112参照)、図56(2)に示すように、演出表示装置9においてボタン保留表示200とボタン操作示唆表示201とが同時に表示された状態となる。具体的には、図56(2)に示すように、ボタン保留表示200として、プッシュボタン120の形状を模した態様の保留表示が表示されるとともに、ボタン操作示唆表示201として、「PUSH!」などの文字列とともにプッシュボタン120の形状を模した絵柄を含む表示が表示される。また、ボタン操作示唆表示201の表示期間(遊技者が「プッシュボタン120の操作が有効である」と認識する期間)を示すメータ202が、ボタン操作示唆表示201の下方に表示される。
【0464】
次いで、先読み予告演出とボタン予告演出とが並行して実行されている間に、プッシュボタン120による押圧操作が検出されると(ステップS8121参照)、図56(3)に示すように、ボタン操作示唆表示201が特定表示203に変更される(ステップS8126参照)。具体的には、図56(3)に示すように、特定表示203として、「チャンス」などの文字列を含む表示に変更される。ただし、先読み予告演出に関しては操作が無効化されているので、図56(3)に示すように、ボタン保留表示200のまま変化しない(ステップS8122a参照)。ここで、ボタン操作示唆表示201の表示期間が経過して、ボタン操作示唆表示201が演出表示装置9に表示されていないときでも、実際のボタン操作の有効期間内(表示期間経過後0.2秒以内)にプッシュボタン120が操作されると、特定表示203が演出表示装置9に表示される。このように、実際のボタン操作の有効期間よりも前にボタン操作示唆表示201の表示を終了させることで、遊技者がボタン操作の有効期間内にプッシュボタン120を操作する確率を高め、「ボタン操作の有効期間内にプッシュボタン120を押圧操作したにもかかわらず、ボタン予告演出が実行されない」と遊技者が誤解することによる興趣の減退を防止している。
【0465】
次いで、実際のボタン予告演出の操作の有効期間(例えば、6秒)が終了し(ステップS8124a参照)、さらに所定の待機期間(例えば、2秒)が経過すると(ステップS8124b参照)、操作無効フラグがリセットされて先読み予告演出における操作が再び有効化される(ステップS8124c参照)。
【0466】
その後、プッシュボタン120による押圧操作が検出されると(ステップS8121参照)、図56(4)に示すように、ボタン保留表示200が特殊保留表示202(第1特殊保留表示または第2特殊保留表示)に変更される(ステップS8123参照)。具体的には、図56(4)に示すように、特殊保留表示202として、「熱」などの文字を含む丸形表示に変更される。」

(オ)上記(ウ)の記載事項から、「プッシュボタン120」が、遊技者の動作を検出可能なものであって、「「PUSH!」や「連打せよ!」などの文字列とともにプッシュボタン120の形状を模した絵柄を含む表示」が、遊技者の動作を促す促進態様であることは明らかである。さらに、「これらの文字列や絵柄を含む表示を行うときに、大当りに対する期待度(信頼度)に応じて、文字列や絵柄の色を異ならせるようにする」ことから、遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合が異なることも、当業者にとって自明である。

(カ)上記(オ)で説示した「遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合が異なる」ことは、上記(ウ)の【0409】等の記載に鑑みれば、興趣の向上を目的とすることは明らかである。

(キ)上記(ア)ないし(カ)の記載内容からみて、引用文献5には、以下の技術事項(以下、「引用文献5記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献5記載事項]
「5a パチンコ遊技機1において(【0025】)、
5e プッシュボタン120による押圧操作が検出されると、ボタン操作示唆表示201が「チャンス」などの文字列を含む表示に変更され(【0464】)、その後、プッシュボタン120による押圧操作が検出されると、ボタン保留表示200が「熱」などの文字を含む丸形表示に変更され(【0466】)、
5l 遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合が異なる(上記(オ))、
5a パチンコ遊技機1(【0025】)。」

カ 引用文献6の記載について
本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-33503号公報(平成27年2月19日出願公開、以下、「引用文献6」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の図柄を変動表示する表示手段を備えた遊技機に関する。」

(イ)「【0033】
[実施例1]
次に、図1を参照して、実施例1のパチンコ遊技機1を構成する部分について説明する。」

(ウ)「【0274】
演出ボタンマークの表示態様は、どのようなものであってもよい。例えば、大当り期待度や演出の内容により、演出ボタンマークを大きく表示したり、色彩を変化させてもよい。なお、演出ボタンの連打や長押しの場合には、演出ボタンマークの表示態様を変化させたり、「連打せよ!」等の文字を併せて表示させるようにしてもよい。」

(エ)上記(ウ)の記載事項から、「演出ボタン」が、遊技者の動作を検出可能なものであって、「演出ボタンマークの表示態様」や「「連打せよ!」等の文字」が、遊技者の動作を促す促進態様であることは明らかである。さらに、「大当り期待度や演出の内容により、演出ボタンマークを大きく表示したり、色彩を変化させてもよい」ことから、遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合が異なることも、当業者にとって自明である。

(オ)上記(エ)で説示した「遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合が異なる」ことが、遊技者の興趣を向上させるものであることは当業者にとって自明である。

(カ)上記(ア)ないし(オ)の記載内容からみて、引用文献6には、以下の技術事項(以下、「引用文献6記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献6記載事項]
「6a パチンコ遊技機1において(【0033】)、
6l 遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合が異なる(上記(エ))、
6a パチンコ遊技機1(【0033】)。」

キ 引用文献7の記載について
本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-200694号公報(平成26年10月27日出願公開、以下、「引用文献7」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)や回胴遊技機(スロットマシン)に代表される遊技台に関する。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明を適用することができる遊技台(例えば、パチンコ機100等の弾球遊技機やスロット機等の回胴遊技機)について詳細に説明する。」

(ウ)「【0839】
図93(b)では、この操作要求表示のうち、演出ボタン136の絵柄701が拡大表示されている。ここでは、当りの信頼度(期待度)に応じて、絵柄701の大きさが変化する。すなわち、当りの信頼度が高いほど、絵柄701の大きさは大きくなる。図93(b)に示す拡大された絵柄701は、一部が透化表示になっており、例えば、主人公の顔の一部が奥側に見える。一方、その他の部分は、不透化表示になっており、例えば、敵役の顔の部分や、左側のエラーメッセージ(第一の表示)の一部は見えない。すなわち、エラーメッセージ(第一の表示)は視認困難になっている。」

(エ)上記(ウ)の記載事項から、「演出ボタン136」が、遊技者の動作を検出可能なものであって、「演出ボタン136の絵柄701」が、遊技者の動作を促す促進態様であることは明らかである。さらに、「当りの信頼度(期待度)に応じて、絵柄701の大きさが変化する」ことから、遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合が異なることも、当業者にとって自明である。

(オ)上記(エ)で説示した「遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合が異なる」ことが、遊技者の興趣を向上させるものであることは当業者にとって自明である。

(カ)上記(ア)ないし(オ)の記載内容からみて、引用文献7には、以下の技術事項(以下、「引用文献7記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献7記載事項]
「7a パチンコ機100において(【0009】)、
7l 遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合が異なる(上記(エ))、
7a パチンコ機100(【0009】)。」

ク 引用文献8の記載について
本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2001-681号公報(平成13年1月9日出願公開、以下、「引用文献8」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ遊技機やコイン遊技機等の遊技機に関し、特に、表示状態が変化可能な可変表示装置を含み、可変表示装置における表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機に関する。」

(イ)「【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2はパチンコ遊技機1の内部構造を示す全体背面図、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。なお、ここでは、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、例えばコイン遊技機等であってもよい。」

(ウ)「【0133】上記の実施の形態では、確変状態は次に大当りが生ずるまで継続したが、他の確変終了条件を用いる遊技機にも本発明を適用することができる。例えば、確変状態に入ってから可変表示部9における図柄の可変表示が所定回行われたら確変状態を終了する遊技機でもよい。
【0134】図35は、そのような遊技機における主基板31のCPU56が実行する特別図柄プロセス(図11参照)における全図柄停止待ち処理(ステップS305)を示すフローチャートである。
【0135】この実施の形態では、確変図柄で大当りが生ずると、大当り遊技終了後に確変状態になる。そして、確変状態は、以後50回の図柄変動が行われるまで継続する。そして、50回の図柄変動が行われると、CPU56は、表示制御基板80に対して「確変終了」を示すコマンドを送出することになる。
・・・略・・・
【0138】ステップS305gの判断において、50になっていたことを確認した場合には、CPU56は、表示制御基板80に対して「確変終了」の表示制御コマンドを送出するための制御を行う。すなわち、表示制御コマンドデータとして「確変終了」を示すコマンドを設定し(ステップS305h)、表示制御コマンド送出要求をセットする(ステップS305i)。そして、確変フラグをリセットする(ステップS305j)。よって、確変状態は終了する。また、ワークエリアの内容をクリアしておく(ステップS305k)。その後、ステップS306に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する(ステップS305d)。
・・・略・・・
【0140】図36は、この実施の形態での特別図柄プロセス処理における大当り終了処理(ステップS309)を示すフローチャートである。ステップS309では、CPU56は、確変図柄で大当りしたか否か確認する(ステップS309b)。確変図柄で大当りしていた場合には、確変フラグをセットする(ステップS309i)。よって、確変状態が開始する。その後、特別図柄変動待ち状態(ステップS300)に移行するように、特別図柄プロセスフラグを更新する(ステップS309d)。
・・・略・・・
【0141】なお、特別図柄プロセス処理におけるその他の処理は、上記の実施の形態の場合と同じである。また、表示制御用CPU101の動作も、上記の実施の形態の場合と同じである。従って、表示制御基板80の表示制御用CPU101は、「確変終了」を示す表示制御コマンドを受信すると、可変表示部9において、その旨を遊技者に報知するための表示を行う。
・・・略・・・
【0145】また、上記の各実施の形態では、特別遊技状態として、大当り(特定遊技状態)を生じさせる確率が高くなっている確変状態を例にとったが、特別遊技状態が可変表示部9における図柄の変動時間が短縮される時短状態であっても本発明を適用することができる。」

(エ)「【図35】



(オ)上記(ウ)の記載事項から、「確変状態に入ってから可変表示部9における図柄の可変表示が所定回行われたら確変状態を終了する遊技機において」、「確変図柄で大当りが生ずると、大当り遊技終了後に確変状態にな」って、「確変状態は、以後50回の図柄変動が行われるまで継続」し、「50になっていたことを確認した場合には、CPU56は、表示制御基板80に対して「確変終了」の表示制御コマンドを送出するための制御を行う」と共に、「表示制御基板80の表示制御用CPU101は、「確変終了」を示す表示制御コマンドを受信すると、可変表示部9において、その旨を遊技者に報知するための表示を行」い、「その後に」、「確変図柄で大当りしたか否か確認する」態様の記載が認められる。
ここで、当該「確変終了」の表示は、確変状態中に大当りになったか外れになったかに関係なく表示される共通の結果報知であることは明らかであって、さらに、所定回の可変表示が終了する際のある特定の期間において実行されるものであることも明らかである。また、そのような態様は、「時短状態であっても」「適用することができる」ものであるところ、確変状態と時短状態とは、いずれも、遊技者にとって有利な有利状態であることも当業者にとって自明である。
そうすると、引用文献8には、遊技者にとって有利な有利状態中に大当りになったか外れになったかに関わらず、前記有利状態の特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において共通の結果報知を実行することの記載が認められる。

(カ)上記(ア)ないし(オ)の記載内容からみて、引用文献8には、以下の技術事項(以下、「引用文献8記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献8記載事項]
「8a パチンコ遊技機1において(【0018】)、
8f 遊技者にとって有利な有利状態中に大当りになったか外れになったかに関わらず、前記有利状態の特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において共通の結果報知を実行する(上記(オ))
8a パチンコ遊技機1(【0018】)。」

ケ 引用文献9の記載について
本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2009-297572号公報(平成21年12月24日出願公開、以下、「引用文献9」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、普通図柄表示部に停止表示される普通図柄が、所定の表示パターンとなった場合に、普通電動役物を開放する一方、特別図柄表示部に停止表示される特別図柄が、所定の表示パターンとなった場合に、変動入賞装置を開放することが可能な遊技機に関する。」

(イ)「【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、先ず通常のパチンコ機の構成や動作を説明した後に、本発明の特徴部を説明することによって本発明の理解の容易化を図る。図1は、本発明の実施の形態である遊技機(パチンコ機)の一部を構成する遊技盤100の模式的な説明図である。」

(ウ)「【0043】
次に、本発明の主要部について説明する。この遊技機にあっては、先に説明した各特典は、所定の当り図柄の選択によって同時に付与開始させるが、その終了条件は異なるように設定されている。図5は、その一例である。図5に示す例によれば、確率変動機能に対しては次の大当り到来が終了条件になる。同様に、特別図柄時間短縮機能および普通図柄時間短縮機能の夫々に対しては、特別図柄が30回変動表示することが終了条件として設定されている。更に、普通役物開放時間延長機能に対しては普通電動役物が100回開放することが終了条件として設定されている。
・・・略・・・
【0055】
先ず、図9のステップS900において、主制御部200は、確率変動機能が終了となるか否かを判定し、終了となる場合(Yes)にはステップS902に移行し、一方、これ以外の場合(No)にはステップS904に移行する。ステップS902において、主制御部200は、確率変動機能が終了したことを示すメッセージ、例えば「確率変動終了!」なるメッセージを特別図柄表示装置104に表示させる。
【0056】
次に、ステップS904において、主制御部200は、特別図柄時間短縮機能および普通図柄時間短縮機能が終了となるか否かを判定し、終了となる場合(Yes)にはステップS906に移行し、一方、これ以外の場合(No)にはステップS908に移行する。ステップS906において、主制御部200は、両図柄時間短縮機能が終了したことを示すメッセージ、例えば「普通図柄時間短縮機能終了!」および「特別図柄時間短縮機能終了!」なる2つのメッセージを特別図柄表示装置104に表示させる。
【0057】
なお、特別図柄時間短縮機能および普通図柄時間短縮機能の終了タイミングが異なるように終了条件が設定されている場合には、主制御部200は、両特典の終了タイミングの夫々の時点において特典終了メッセージを特別図柄表示装置104に表示させる。
【0058】
ステップS908において、主制御部200は、普通役物開放時間延長機能が終了となるか否かを判定し、終了となる場合(Yes)にはステップS910に移行し、一方、これ以外の場合(No)には処理を終了する。ステップS910において、主制御部200は、普通役物開放時間延長機能が終了したことを示すメッセージ、例えば「普通電動役物開放期間延長終了!」なるメッセージを特別図柄表示装置104に表示させる。」

(エ)「【図9】



(オ)上記(ウ)の記載内容から、「特別図柄時間短縮機能および普通図柄時間短縮機能の夫々に対しては、特別図柄が30回変動表示することが終了条件として設定され」、「普通役物開放時間延長機能に対しては普通電動役物が100回開放することが終了条件として設定されて」いることが認められる。ここで、それら機能が有効となっている状態は、遊技者にとって有利な有利状態であることは明らかであって、さらに、それら機能の終了条件は、当該有利状態中に大当たりになったか外れになったかに関係ないことも明らかである。
また、上記(ウ)の記載内容と上記(エ)(【図9】)の図示内容から、上記終了条件が成立したこと、すなわち、遊技者にとって有利な有利状態が終了したことに対応して、その終了を示すメッセージ、例えば、「普通図柄時間短縮機能終了!」、「特別図柄時間短縮機能終了!」、「普通電動役物開放期間延長終了!」なるメッセージを表示させることが認められる。ここで、当該表示が、所定回の変動表示が終了する際のある特定の期間において実行されるものであることは明らかである。
そうすると、引用文献9には、遊技者にとって有利な有利状態中に大当りになったか外れになったかに関わらず、前記有利状態の特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において共通の結果報知を実行することの記載が認められる。

(カ)上記(ア)ないし(オ)の記載内容からみて、引用文献9には、以下の技術事項(以下、「引用文献9記載事項」という。)が記載されていると認められる。

[引用文献9記載事項]
「9a パチンコ機において(【0012】)、
9f 遊技者にとって有利な有利状態中に大当りになったか外れになったかに関わらず、前記有利状態の特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において共通の結果報知を実行する(上記(オ))、
9a パチンコ機(【0012】)。」

コ 周知技術1について
引用文献5記載事項の構成5l、引用文献6記載事項の構成6l、及び引用文献7記載事項の構成7lから、遊技機の技術分野において、興趣の向上を図るために、遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合を異ならせることは、本願の出願前に周知(以下、「周知技術1」という。)であるといえる。

サ 周知技術2について
引用文献8記載事項の構成8f及び引用文献9記載事項の構成9fから、遊技機の技術分野において、遊技者にとって有利な有利状態中に大当りになったか外れになったかに関わらず、前記有利状態の特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において共通の結果報知を実行することは、本願の出願前に周知(以下、「周知技術2」という。)であるといえる。

(3)対比及び判断
ア 本願補正発明と引用発明を対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(f)及び(h)は、本願補正発明のAないしF及びHに対応させている。

(a)引用発明において、「賞球の払い出し」は、上記「(2)ア(ア)」で示した【0003】に、「入賞価値とは、入賞領域への遊技球の入賞に応じて賞球を払い出したり得点や景品を付与したりすること」と記載されているように、本願補正発明の「価値」の「付与」に相当する。
そうすると、引用発明の「パチンコ遊技機1」は、可変表示を行い、遊技者に賞球の払出し(「価値」の「付与」)を可能とするものであるから、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明の構成aは、本願補正発明の構成Aに相当する。

(b)引用発明の「確変状態」は、遊技者にとって有利な状態のことを意味するから、本願補正発明の「有利状態」に相当する。そして、引用発明において、特別回数目(70回目)の変動表示となるまで、確変状態(「有利状態」)に制御されるといえるから、その「70回」の「特別回数」は本願補正発明の「特定回数」に相当するといえる。
そうすると、引用発明の「遊技制御用マイクロコンピュータ560」は、可変表示の実行回数が特別回数(「特定回数」)となるまで、遊技者にとって有利な確変状態(「有利状態」)に制御可能なものであるから、本願補正発明の「制御手段」に相当する機能を備えているといえる。
したがって、引用発明の構成bは、本願補正発明の構成Bに相当する。

(c)上記(b)で示したように、引用発明における「確変状態」は、本願補正発明の「有利状態」に相当する。
そして、引用発明において、確変終了報知画面として、大当り連荘数と獲得出玉とを表示するところ、その「大当り連荘数と獲得出玉」は本願補正発明の「遊技者に付与された価値」に相当し、さらに、その大当り連荘数と獲得出玉(「遊技者に付与された価値」)に関する確変終了報知画面の表示は、本願補正発明の「結果報知」に相当する。
そうすると、引用発明の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、確変状態等の特別遊技状態(「有利状態」)の終了に対応して、大当り連荘数と獲得出玉(「遊技者に付与された価値」)に関する確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行可能なものであるから、本願補正発明の「報知手段」に相当する機能を備えているといえる。
したがって、引用発明の構成cは、本願補正発明の構成Cに相当する。

(d)引用発明の「スティックコントローラ122」、「トリガボタン121」及び「プッシュボタン120」は、いずれも、遊技者の動作を検出可能なものであるから、本願補正発明の「検出手段」に相当する。
したがって、引用発明の構成dは、本願補正発明の構成Dに相当する。

(e)上記(d)で説示したように、引用発明の「スティックコントローラ122」、「トリガボタン121」及び「プッシュボタン120」のいずれかが、本願補正発明の「検出手段」に相当する。
そして、引用発明の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、演出制御用CPU101により、スティックコントローラ122、トリガボタン121及びプッシュボタン120(「検出手段」)のいずれかに対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を演出制御基板80に入力するものであるから、スティックコントローラ122、トリガボタン121及びプッシュボタン120(「検出手段」)のいずれかにより遊技者の動作を検出するものであることは明らかである。
また、引用発明の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、演出制御用CPU101により、演出制御コマンドを受信すると、演出表示装置9やランプの表示状態を変更したり、音声出力基板70に対して音番号データを出力したりするものであるから、所定演出を実行可能なものであるといえる。
そうすると、引用発明の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、スティックコントローラ122、トリガボタン121及びプッシュボタン120(「検出手段」)のいずれかにより遊技者の動作を検出され、所定演出を実行可能な機能を備えているといえる。
したがって、本願補正発明の構成Eと引用発明の構成eとは、「E’前記検出手段により遊技者の動作が検出され、所定演出を実行可能な演出実行手段とを備え」る点で共通する。

(f)上記(b)及び(c)で説示したとおり、引用発明の「特別回数」、「確変終了報知画面の表示」は、それぞれ順に、本願補正発明の「特定回数」、「結果報知」に相当する。
そして、引用発明において、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)は、表示結果が「はずれ」である場合に、特別回数(「特定回数」)目の変動表示で、はずれ図柄が停止表示された後に実行されるものであるから、特別回数(「特定回数」)の可変表示が終了する際の期間において実行されるものということができる。ここで、その「期間」は本願補正発明の「特定期間」に相当するといえる。
一方で、引用発明において、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)は、表示結果が「当り」である場合に、特別回数(「特定回数」)目の変動表示で、はずれ図柄が仮停止表示されたときに実行されるものでもある。
そうすると、本願補正発明の構成Fと引用発明の構成fとは、「F’表示結果が「はずれ」である場合に、前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において、前記結果報知を実行する」点で共通する。

(h)引用発明は、複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を実行可能なものであるから、本願補正発明の「複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を実行可能であ」ることを具備するといえる。
したがって、引用発明の構成hは、本願補正発明の構成Hを具備する。

(i)(k)上記(h)で説示したとおり、引用発明は、本願補正発明の「複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を実行可能であ」ることを具備する。
ここで、引用発明は、演出図柄の仮停止表示後に、確変終了報知画面を表示し、所定期間後に仮停止表示されていた演出図柄が再度変動する復活演出を行い、大当り図柄を停止表示させるものであるところ、その「仮停止表示」する態様が本願補正発明の「仮停止態様」に相当し、「復活演出」が本願補正発明の「特定演出」に相当するといえるから、可変表示パターンとして、可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止表示する態様(「仮停止態様」)を経て復活演出(「特定演出」)を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させるパターンを含むものである。
そうすると、引用発明の構成i、jは、本願補正発明の「第2可変表示パターン」を具備するといえるから、本願補正発明の構成Iと引用発明の構成i、jとは、「I’前記可変表示パターンは、」「可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させる第2可変表示パターンとを含」む点で共通する。
また、引用発明において、仮停止表示する態様(「仮停止態様」)が所定期間継続することは明らかである。
そうすると、本願補正発明の構成Jと引用発明の構成i、jとは、「J’仮停止態様とする期間」がある点で共通する。

イ 上記アからみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A 可変表示を行い、遊技者に価値を付与可能な遊技機であって、
B 可変表示の実行回数が特定回数となるまで、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な制御手段と、
C 前記有利状態の終了に対応して、遊技者に付与された価値に関する結果報知を実行可能な報知手段と、
D 遊技者の動作を検出可能な検出手段と、
E’前記検出手段により遊技者の動作が検出され、所定演出を実行可能な演出実行手段とを備え、
F’前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において、前記結果報知を実行する場合があり、
H 複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を実行可能である、
I’前記可変表示パターンは、可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させる第2可変表示パターンとを含み、
J’仮停止態様とする期間がある
A 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1](構成E)
「演出実行手段」に関し、
本願補正発明では、「複数のタイミングのうちいずれかのタイミングにおいて前記検出手段により遊技者の動作が検出されたことに基づいて、所定演出を実行可能な演出実行手段とを備え」るのに対して、
引用発明では、スティックコントローラ122、トリガボタン121及びプッシュボタン120(「検出手段」)のいずれかにより遊技者の動作が検出され、所定演出を実行可能な演出制御用マイクロコンピュータ100を備えるものの、
スティックコントローラ122、トリガボタン121及びプッシュボタン120(「検出手段」)のいずれかにより遊技者の動作が検出されるタイミングとして、複数のタイミングがあり、それらの検出に基づいて所定演出を実行可能であることについて特定がない点。

[相違点2](構成F)
「所定演出」に関し、
本願補正発明では、「前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において、前記結果報知を実行」するのに対し、
引用発明では、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を、表示結果が「はずれ」である場合には、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了する際の特定期間において実行するものの、表示結果が「当り」である場合には、特別回数(「特定回数」)の変動表示が仮停止表示した後に実行し、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了する際の特定期間において実行しないため、全体として、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了する際の特定期間において、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行する、とはいえない点。

[相違点3](構成G)
「可変表示が終了する際の特定期間」に関し、
本願補正発明では、「前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間は、前記有利状態において前記特定回数未満の可変表示が終了する際の特定期間とは長さが異な」るのに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。

[相違点4](構成I、J)
「可変表示パターン」に関し、
本願補正発明では、「前記可変表示パターンは、
可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て特定演出を実行せずに可変表示の表示結果を停止表示させる第1可変表示パターンと、
可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させる第2可変表示パターンとを含み、
仮停止態様とする期間は、可変表示パターンの種類によって異な」るのに対し、
引用発明では、本願補正発明のような「可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て特定演出を実行せずに可変表示の表示結果を停止表示させる第1可変表示パターン」「を含み」、「仮停止態様とする期間は、可変表示パターンの種類によって異な」ることについて特定がない点。

[相違点5](構成K、L)
「所定演出」に関し、
本願補正発明では、「所定演出が実行されるタイミングに応じて、実行可能な所定演出の態様が異なるとともに、所定演出が実行されるタイミングにかかわらず、1の所定演出を実行可能であり、
前記複数のタイミングのうち最も遅い特定タイミングに前記1の所定演出が実行される場合に、遊技者の動作を促す促進態様に応じて、前記有利状態に制御される割合が異なる」のに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。

(4)相違点の検討
ア 上記相違点1及び5について
上記相違点1及び5は、所定演出の実行に関し、関連する技術であるので、まとめて検討する。
(ア)上記相違点1について
上記「(3)(e)」で説示したように、引用発明の「演出制御用マイクロコンピュータ100」は、スティックコントローラ122、トリガボタン121及びプッシュボタン120(「検出手段」)のいずれかに対する遊技者の操作行為を検出したことを示す操作検出信号を演出制御基板80に入力するものであって、さらに、所定演出を実行可能なものである。
ここで、遊技機の技術分野において、興趣の向上のために、遊技者の動作が検出されるタイミングとして、複数のタイミングを設け、かつ、それらの検出に基づいて所定演出を実行可能とすることは、例えば、引用文献4記載事項の構成4eや引用文献5記載事項の構成5e等に示されているように、本願の出願前に周知、若しくは、慣用(以下、「周知・慣用技術」という。)されている。
そうすると、引用発明において、興趣の向上のために、上記周知・慣用技術を適用して、本願補正発明の構成Eのようにすること、すなわち、スティックコントローラ122、トリガボタン121及びプッシュボタン120(「検出手段」)のいずれかにより遊技者の操作行為が検出されるタイミングを複数設けるとともに、それらの操作検出信号が演出制御基板80に入力されたことに基づいて、所定の演出を実行可能なように構成することは、当業者が適宜なし得たことである。

(イ)上記相違点5について
引用発明において、本願補正発明の構成Eを備えることが、当業者における設計的事項であることは、上記(ア)で説示したとおりである。ここでは、このことを前提として、さらに検討する。
まず、本願補正発明と引用文献4記載事項とを対比する。
引用文献4記載事項における構成4a、4dは、それぞれ順に、本願補正発明の構成A、Dに相当することは明らかである。
また、引用文献4記載事項における構成4kについて、「コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出」、「キャラクタ画像を用いた演出や期待度に関する演出」が、それぞれ順に、本願補正発明の「所定演出」、「1の所定演出」に相当するといえる。そうすると、引用文献4記載事項における構成4kは、コメント表示151、スーパーリーチ選択153、カットイン155の予告演出(「所定演出」)が実行されるタイミングに応じて、実行可能な演出の態様が異なるとともに、それらの予告演出(「所定演出」)のうち、どの演出が実行されるタイミングであるかにかかわらず、キャラクタ画像を用いた演出や期待度に関する演出(「1の所定演出」)を実行可能なものであるといえるから、本願補正発明の構成K(「所定演出が実行されるタイミングに応じて、実行可能な所定演出の態様が異なるとともに、所定演出が実行されるタイミングにかかわらず、1の所定演出を実行可能であ」ること)に相当する。
さらに、引用文献4記載事項における構成4lは、カットイン155の予告演出においてもキャラクタ画像を用いた演出や期待度に関する演出(「1の所定演出」)が実行されることは明らかであることを考えるに、前記複数の予告演出のうち最も遅い特定タイミングに実行されるカットイン155の予告演出でキャラクタ画像を用いた演出や期待度に関する演出(「1の所定演出」)が実行される場合に、カットインフレーム174の表示色によって、期待度、すなわち、有利状態に制御される割合が異なるものであるといえる。そうすると、引用文献4記載事項における構成4lと本願補正発明の構成Lとは、「4L’前記複数のタイミングのうち最も遅い特定タイミングに前記1の所定演出が実行される場合に、前記有利状態に制御される割合が異なる」点で共通するものといえる。
そうすると、引用文献4記載事項は、本願補正発明の
「4A 遊技機において、
4D 遊技者の動作を検出可能な検出手段を備え、
4K 所定演出が実行されるタイミングに応じて、実行可能な所定演出の態様が異なるとともに、所定演出が実行されるタイミングにかかわらず、1の所定演出を実行可能であり、
4L’前記複数のタイミングのうち最も遅い特定タイミングに前記1の所定演出が実行される場合に、前記有利状態に制御される割合が異なる」点を具備するものといえる。

(ウ)引用発明と引用文献4記載事項とは、いずれも、遊技機の技術分野において、ボタン等の遊技者の動作を検出可能な手段を備え、所定演出を実行可能であって、さらに、変動パターンとして、スーパーリーチはずれやスーパーリーチ当りを行う変動パターンを含む(引用発明について、上記「(2)ア(ス)」の記載内容を参照)点で共通するとともに、興趣の向上という共通の課題を有するものである。
そうすると、引用発明において、スーパーリーチでの興趣を向上させるために、スーパーリーチ時の演出態様として、引用文献4記載事項を適用すること、すなわち、予告演出(「所定演出」)が実行されるタイミングに応じて、実行可能な予告演出(「所定演出」)の態様が異なるとともに、予告演出(「所定演出」)が実行されるタイミングにかかわらず、キャラクタ画像を用いた演出や期待度に関する演出(「1の所定演出」)を実行可能であり(構成4K)、前記複数のタイミングのうち最も遅い特定タイミングに前記キャラクタ画像を用いた演出や期待度に関する演出(「1の所定演出」)が実行される場合に、有利状態に制御される割合が異なるように構成すること(構成4L’)は、当業者にとって容易である。
そして、その結果、それらの複数の予告演出のうち、最も遅い特定タイミングに実行される予告演出で前記キャラクタ画像を用いた演出や期待度に関する演出(「1の所定演出」)を実行するにあたり、カットインフレームの表示色に応じて、有利状態に制御される割合が異なるものとなるものの、上記「(2)コ」で説示したように、遊技機の技術分野において、遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合が異なるようにすることは、本願の出願前に周知(周知技術1)であって、興趣の向上を図るために、さらに当該周知技術1を適用して、前記カットインフレームの表示色による示唆に替えて、または、加えて、遊技者の動作を促す促進態様による示唆を用いることは、当業者における技術の具体的適用に伴う設計変更に過ぎない。

(エ)したがって、引用発明において、引用文献4記載事項、周知技術1及び周知・慣用技術を適用して、上記相違点1及び5に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

イ 上記相違点2について
上記相違点2について検討する。
(ア)引用発明では、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行するタイミングが、表示結果が「はずれ」である場合には、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了する際の特定期間であり、本願補正発明と一致するものの、表示結果が「当り」である場合には、特別回数(「特定回数」)の変動表示が仮停止表示した後であり、本願補正発明と一致しない。すなわち、引用発明は、「はずれ」である場合と「当り」である場合とで、報知演出(「結果報知」)を実行するタイミングが異なるものであるため、全体として、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了する際の特定期間において、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行するものではない点で、本願補正発明と相違するといえる。
しかしながら、上記「(2)ア(ク)」に示した【0329】には、「特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されると決定されている場合には、所定条件を満たしたときにのみ報知演出が実行される(確変終了報知画面が表示される)ようにしてもよい。つまり、特別遊技状態(確変状態)中における特別回数目の識別情報の可変表示において、確変終了報知画面が表示されることなく(特殊確変終了報知演出が実行されることなく)大当り図柄が停止表示されてもよい。」と記載されており、これにより、表示結果が「当り」である場合に、仮停止後の確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を省略可能であることが示唆されているといえる。
そうすると、引用発明において、当該示唆に基づき、表示結果が「当り」である場合に、特別回数(「特定回数」)の変動表示が仮停止表示した後に、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行しないように構成し、「はずれ」である場合のみ実行するように構成することは、当業者が適宜なし得たことである。そして、その結果、全体として、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了する際の特定期間において、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行するものといえることは明らかである。

(イ)相違点2について更に検討する。
引用発明では、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了する際の特定期間において、表示結果が「はずれ」である場合には、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行し、本願補正発明と一致するものの、表示結果が「当り」である場合には、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行せず、本願補正発明と一致しない。すなわち、引用発明は、「はずれ」である場合と「当り」である場合とで、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了する際の特定期間において、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行するか否かが異なるものであるため、全体として、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了する際の特定期間において報知演出(「結果報知」)を実行するものではない点で、本願補正発明と相違するといえる。
ここで、上記「(2)サ」で説示したように、遊技者にとって有利な有利状態中に大当りになったか外れになったかに関わらず、前記有利状態の特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において共通の結果報知を実行することは、本願の出願前に周知(周知技術2)である。
そして、引用発明と上記周知技術2とは、いずれも、遊技機の技術分野において、変動表示の結果に関わらず、「当り」と「はずれ」で共通した結果報知を実行するという共通の機能を有するものである。
そうすると、引用発明において、上記周知技術2を適用して、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了する際の特定期間において、表示結果が「はずれ」である場合と同様に、表示結果が「当り」である場合にも、「当り」と「はずれ」で確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行すること、すなわち、「当り」と「はずれ」の両方で共通した確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行することは、当業者が適宜なし得たことである。そして、その結果、全体として、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了する際の特定期間において、確変終了報知画面の表示(「結果報知」)を実行するものといえることは明らかである。

(ウ)したがって、上記(ア)より、上記相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用発明に基づき当業者が適宜なし得たものであり、また、上記(イ)より、引用発明において上記周知技術2を適用して、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

ウ 上記相違点3について
上記相違点3について検討する。
(ア)本願補正発明と引用文献2記載事項とを対比する。
引用文献2記載事項における構成2aが、本願補正発明の構成Aに相当することは明らかである。
また、引用文献2記載事項における構成2b、2gの「低確率/高ベース状態」、「大当り後77回目」は、それぞれ順に、本願補正発明の「遊技者にとって有利な有利状態」、「特定回数」に相当する。そうすると、引用文献2記載事項における構成2b、2gは、可変表示の実行回数が大当り後77回目(「特定回数」)となるまで、低確率/高ベース状態(「遊技者にとって有利な有利状態」)に制御可能なものといえるから、本願補正発明の構成B(「可変表示の実行回数が特定回数となるまで、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な制御手段」)を具備する。
さらに、引用文献2記載事項における構成2b、2gにおける「大当り遊技終了後76回目」までの「変動表示」は、大当り後77回目(「特定回数」)未満の変動表示であることは明らかであるから、本願補正発明の「特定回数未満の可変表示」に相当する。そして、構成2b、2gの「800ms」は、大当り遊技終了後76回目までの変動表示(「特定回数未満の可変表示」)を実行する場合に、停止図柄が停止表示される時間であるから、本願補正発明の「前記有利状態において前記特定回数未満の可変表示が終了する際の特定期間」に相当し、構成2b、2gの「5300ms」は、大当り後77回目(「特定回数」)変動表示を実行する場合に、停止図柄が停止表示される時間であるから、本願補正発明の「前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間」に相当するといえる。そうすると、構成2b、2gの「800ms」と「5300ms」とが、長さが異なる時間であることは明らかであるから、引用文献2記載事項における構成2b、2gは、本願補正発明の構成G(「前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間は、前記有利状態において前記特定回数未満の可変表示が終了する際の特定期間とは長さが異な」ること)を具備する。

そうすると、引用文献2記載事項は、本願補正発明の
「2A 遊技機であって、
2B 可変表示の実行回数が特定回数となるまで、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な制御手段と、
2G 前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間は、前記有利状態において前記特定回数未満の可変表示が終了する際の特定期間とは長さが異な」る点を具備するものといえる。

(イ)引用発明と引用文献2記載事項とは、いずれも遊技機の技術分野において、大当たり遊技状態の終了後に有利状態に移行し、当該遊技状態を特定回数の変動表示が実行されるまで継続して、その特定回数目の変動表示の停止後に所定の報知を行うことで有利状態の終了を報知する点で共通するとともに、興趣の向上という共通の課題を有するものである。
そうすると、引用発明において、興趣の向上を図るために、引用文献2記載事項を適用して、特別回数(「特定回数」)目の変動表示の停止表示時間を、特別回数(「特定回数」)までの変動表示の停止表示時間よりも長くすること、すなわち、特別回数(「特定回数」)の変動表示が終了した後の特定期間は、特別遊技状態(「有利状態」)において特別回数(「特定回数」)未満の変動表示が終了した後の特定期間とは長さが異なるようにすること(構成2G)は、当業者が適宜なし得たことである。

(イ)したがって、引用発明において、引用文献2記載事項を適用して、上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

エ 上記相違点4について
上記相違点4について検討する。
(ア)本願補正発明と引用文献3記載事項とを対比する。
引用文献3記載事項における構成3aが、本願補正発明の構成Aに相当することは明らかである。
また、引用文献3記載事項における構成3hの「リーチなし、Nリーチ、SP1リーチ、SP2リーチ、SP3リーチ」の「変動パターン」は、本願補正発明の「複数種類の可変表示パターン」に相当する。そうすると、引用文献3記載事項における構成3hは、リーチなし、Nリーチ、SP1リーチ、SP2リーチ、SP3リーチの変動パターン(「複数種類の可変表示パターン」)のいずれかにより可変表示を実行可能なものといえるから、本願補正発明の構成H(「変動パターンとして、リーチなし、Nリーチ、SP1リーチ、SP2リーチ、SP3リーチを有」すること)に相当するといえる。
次に、引用文献3記載事項における構成3jの「仮停止時間」は、本願補正発明の「仮停止態様とする期間」に相当する。そうすると、引用文献3記載事項における構成3jは、仮停止時間(「仮停止態様とする期間」)が、可変表示パターンの種類によって異なるものといえるから、本願補正発明の構成3J(「仮停止態様とする期間は、可変表示パターンの種類によって異」ること)に相当するといえる。
さらに、引用文献3記載事項における構成3iの「仮停止」、「特殊演出や可動演出」は、本願補正発明の「仮停止態様」、「特定演出」に相当するといえる。そして、引用文献3記載事項における構成3iは、特殊演出や可動演出(「特定演出」)を実行可能なものであるから、仮停止(「仮停止態様」)を経た後に特殊演出や可動演出(「特定演出」)を実行する場合と、仮停止(「仮停止態様」)を経た後に特殊演出や可動演出(「特定演出」)を実行しない場合とを実質的に含み得るものといえ、ここで、前者の場合の変動パターンは、本願補正発明の「第2可変表示パターン」に相当し、後者の場合の変動パターンは、本願補正発明の「第1可変表示パターン」に相当するといえる。そうすると、引用文献3記載事項における構成3iは、本願補正発明の構成3I(「前記可変表示パターンは、可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て特定演出を実行せずに可変表示の表示結果を停止表示させる第1可変表示パターンと、可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させる第2可変表示パターンとを含」むこと)を具備する。

そうすると、引用文献3記載事項は、本願補正発明の
「3A 遊技機であって、
3H 複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を実行可能であり、
3I 前記可変表示パターンは、
可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て特定演出を実行せずに可変表示の表示結果を停止表示させる第1可変表示パターンと、
可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させる第2可変表示パターンとを含み、
3J 仮停止態様とする期間は、可変表示パターンの種類によって異な」る点を具備するものといえる。

(イ)引用発明と引用文献3記載事項とは、いずれも遊技機の技術分野において、複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を可能であって、可変表示パターンとして仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させるパターンを含み、さらに、仮停止態様とする期間がある点で共通するとともに、興趣の向上という共通の目的を有するものである。
そうすると、引用発明において、可変表示パターンでの興趣を向上させるために、引用文献3記載事項を適用して、仮停止表示する態様(「仮停止態様」)の時間を可変表示パターンの種類によって異なるようにする(構成3J)とともに、可変表示パターンとして、仮停止表示する態様(「仮停止態様」)を経た後に復活演出(「特定演出」)を実行しない場合の可変表示パターンも含むようにすること、すなわち、仮停止表示する態様(「仮停止態様」)を経た後に復活演出(「特定演出」)を実行する場合の可変表示パターンと、仮停止を経た後に復活演出(「特定演出」)を実行しない場合の可変表示パターンとの両方を含むように構成する(構成3I)ことは、当業者が適宜なし得たことである。

(イ)したがって、引用発明において、引用文献3記載事項を適用して、上記相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

オ 効果について
本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2ないし4記載事項、周知技術1及び周知・慣用技術の奏する作用効果、または、引用発明、引用文献2ないし4記載事項、周知技術1ないし2及び周知・慣用技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

カ 上記アないしオより、本願補正発明は、引用発明、引用文献2ないし4記載事項、周知技術1及び周知・慣用技術に基づいて、または、引用発明、引用文献2ないし4記載事項、周知技術1ないし2及び周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

(5)請求人の主張について
ア 審判請求人は、令和1年5月15日付け審判請求書において、概略以下のとおり主張している。

「 第3 本願発明が特許されるべき理由
・・・略・・・
4. 本願発明と引用発明との対比
(1) 本願の請求項1に係る発明
本願の請求項1に係る発明において、演出実行手段は、複数のタイミングのうちいずれかのタイミングにおいて検出手段により遊技者の動作が検出されたことに基づいて、所定演出を実行可能であるところ、所定演出が実行されるタイミングに応じて、実行可能な所定演出の態様が異なるとともに、所定演出が実行されるタイミングにかかわらず、1の所定演出を実行可能です。そして、複数のタイミングのうち最も遅い特定タイミングに1の所定演出が実行される場合に、遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合が異なります。
引用文献1、2には、検出した遊技者の動作に基づく演出について、何ら開示となり得る記載がありません。そのため、促進態様に応じた有利状態に制御される割合についても、引用文献1、2に開示や示唆となり得る記載はありません。引用文献3には、遊技者の動作を促す促進態様について、開示や示唆となり得る記載がありません。
・・・略・・・
加えて、本願の請求項1に係る発明において、仮停止態様とする期間は、可変表示パターンの種類によって異なります。そして、可変表示パターンは、第1可変表示パターンと、第2可変表示パターンとを含んでいます。第1可変表示パターンでは、可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て特定演出を実行せずに可変表示の表示結果を停止表示させます。第2可変表示パターンでは、可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させます。
引用文献1-4のいずれにも、こうした仮停止態様に関する特徴が得られるような動機付けとなる諸事情について、開示や示唆となり得る記載はありません。
・・・略・・・モード状態に基づき演出パターンテーブルを選択する技術手段が欠落したものでは、引用文献3に記載された発明による課題を解決し目的を達成するための作用効果を奏することができません。そのため、モード状態に基づき演出パターンテーブルを選択する技術手段を要件としないものは、引用文献3に記載された事項を、抽象化、一般化ないし上位概念化するように再解釈や設計変更されたものであり、引用文献3に記載された発明そのものではありません。引用文献3には、モード状態に基づき演出パターンテーブルを選択する技術手段を備えない場合も含められるように抽象化、一般化ないし上位概念化する示唆などもありません。
補正の却下の決定では、出願人の主張について、モード状態に関する事項は、補正後の請求項1に記載されていないから、採用することができないとの見解が示されています。しかしながら、そのような事項が記載されていないことから明らかなように、本願の請求項1に係る発明は、引用文献3に記載された発明による課題の解決や目的の達成に不可欠な作用効果を奏するための特徴を備えていない点で、引用文献3に記載された発明とは技術的思想が相違しています。同様に、モード状態に関する事項は、引用文献1および引用文献2、引用文献4にも開示がなく、引用文献3に記載された発明を適用する動機付けの根拠となるような課題の共通性、作用、機能の共通性、引用発明の内容中の示唆などがありません。主引用発明に副引用発明を適用するためには、単なる寄せ集めとなる場合でなければ、副引用発明を適用する動機付けとなり得る事情が必要です。引用文献3に記載された発明において、モード状態に関する事項を捨象することは、引用文献3に記載された発明の本質的な特徴を改変することになるので、当業者が容易になし得たことではありません。」

イ しかしながら、上記「(4)ウ」及び「(4)エ」で説示したように、引用発明において、興趣の向上という目的を動機として、引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項を採用することは、当業者が適宜なし得たことである。特に、引用文献3記載事項の適用について、当該記載事項がモード状態に関する事項と一体不可分なものだとしても、上記「(2)ウ(イ)」の【0005】に、「モード演出の自由度を高めて遊技の興趣を向上させる」と記載されていることから、引用発明に引用文献3記載事項を適用する際の動機に影響を与えるものではない上に、そもそも本願補正発明は、モード状態に関する特定がないため、特定のモード状態の存在を排除するものではなく、引用文献3記載事項における前記モード状態に関する事項を包含し得るものであることは明らかである。

ウ また、令和1年5月15日付け審判請求書における主張は、平成31年2月19日付け(送達日:同年2月26日)でした平成30年9月11日付け手続補正の却下に対応するものであるところ、その主張において挙げられた引用文献4は、上記「3(2)エ」で説示した引用文献4とは異なる上に、上記「3(2)」で説示した他の引用文献、すなわち、引用文献1ないし3及び5ないし9のいずれとも異なるものであるから、当該引用文献4に係る主張は採用することができない。

エ そこで、上記「3(2)エ」で説示した引用文献4は、平成30年9月11日付け意見書に、引用文献4として記載されたものと同じなので、当該意見書での主張についても検討する。
審判請求人は、平成30年9月11日付け意見書において、概略以下のとおり主張している

「第3 本願発明が特許されるべき理由
・・・略・・・
4. 本願発明と引用文献に記載された発明との対比
(1) 本願の請求項1に係る発明
・・・略・・・
引用文献4に記載された発明では、カットイン155が表示される場合に、複数のタイミングのうち最も遅いタイミングになりますが、遊技者の動作を促す促進態様については、引用文献4の段落[0219]において、「演出表示領域Dbに枠ボタン22の操作を促す画像(図示せず)が表示される。」と記載されているにすぎません。そのため、引用文献2-4に記載された発明を、引用文献1に記載された発明に適用したとしても、本願の請求項1に係る発明が備える促進態様に関する技術的特徴を得ることはできません。その他、引用文献1-4のいずれにも、本願の請求項1に記載された発明の特徴が得られるような動機付けとなる諸事情について、開示や示唆となり得る記載がなく、当業者が容易に想到し得るものではありません。」

オ しかしながら、上記「(2)コ」で説示したように、遊技者の動作を促す促進態様に応じて、有利状態に制御される割合を異ならせることは、周知(周知技術1)であるところ、上記「(4)ア」及び「(4)オ」で説示したように、引用発明に引用文献4記載事項を適用するにあたり、当該周知技術1のような周知の示唆を採用することは、当業者における設計事項であって、さらに、それにより得られる効果も、格別顕著なものということはできない。

カ したがって、上記イ及びオで説示したように、令和1年5月15日付け審判請求書及び平成30年9月11日付け意見書における審判請求人の主張は、いずれも理由がない。

(5)独立特許要件のむすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 小括
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年3月28日付け手続補正書で補正された、上記第2〔理由〕1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものであって、再掲すると次のとおりのものである。なお、記号A-1ないしC-1及びF-1ないしJ-1は、分説するために合議体が付した。

「A-1 可変表示を行い、遊技者に価値を付与可能な遊技機であって、
B-1 可変表示の実行回数が特定回数となるまで、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な制御手段と、
C-1 前記有利状態の終了に対応して、遊技者に付与された価値に関する結果報知を実行可能な報知手段とを備え、
F-1 前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間において、前記結果報知を実行し、
G-1 前記特定回数の可変表示が終了する際の特定期間は、前記有利状態において前記特定回数未満の可変表示が終了する際の特定期間とは長さが異なり、
H-1 複数種類の可変表示パターンのいずれかにより可変表示を実行可能であり、
I-1 前記可変表示パターンは、
可変表示を開始し、所定の動作を伴う仮停止態様を経て可変表示の表示結果を停止表示させる第1可変表示パターンと、
可変表示を開始し、仮停止態様を経て特定演出を実行した後に可変表示の表示結果を停止表示させる第2可変表示パターンとを含み、
J-1 仮停止態様とする期間は、可変表示パターンの種類によって異なる、
A-1 ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の概要
原査定は、平成30年3月28日に提出された手続補正書により補正がされた請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という拒絶理由を含むものである。

引用文献1.特開2014-184076号公報
引用文献2.特開2011-067287号公報
引用文献3.特開2012-217462号公報

3 引用文献
引用文献1(引用発明)の記載事項は、上記「第2〔理由〕3(2)ア」に記載したとおりである。
また、引用文献2及び3の記載事項は、上記「第2〔理由〕3(2)」の「イ」及び「ウ」に、それぞれ順に、引用文献2記載事項、引用文献3記載事項として記載したとおりである。

4 対比・判断
本願補正発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」のとおり、本願発明を特定するために必要な事項を追加してさらに限定したものであるところ、本願発明の構成A-1ないしC-1及びF-1ないしJ-1は、本願補正発明の構成AないしC及びFないしJと同じである。
そうすると、上記「第2〔理由〕3(4)」で説示した理由と同様の理由により、本願発明は、引用発明、引用文献2ないし3記載事項及び周知・慣用技術に基づいて、または、引用発明、引用文献2ないし3記載事項、周知技術2及び周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-18 
結審通知日 2019-11-19 
審決日 2019-12-02 
出願番号 特願2016-67966(P2016-67966)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 保  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
島田 英昭
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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