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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H02M 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H02M |
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管理番号 | 1359300 |
審判番号 | 不服2019-944 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-01-24 |
確定日 | 2020-02-25 |
事件の表示 | 特願2017-512509「車載制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月20日国際公開、WO2016/167185、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2016年(平成28年)4月8日(優先権主張 平成27年4月17日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 4月 3日付け:拒絶理由通知書 平成30年 5月16日 :意見書、手続補正書の提出 平成30年10月18日付け:拒絶査定 平成31年 1月24日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 元年12月25日付け:拒絶理由通知書 令和 2年 1月14日 :意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成30年10月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-9に係る発明は、以下の引用文献1-4に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2014-073036号公報 2.特開2010-154647号公報 3.特開2011-244534号公報 4.特開2009-089451号公報 第3 本願発明 本願請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、令和2年1月14日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 交互にオン、オフされる通電用スイッチング素子及び寄生ダイオードを有する還流用スイッチング素子と、前記通電用スイッチング素子と前記還流用スイッチング素子の接続部に接続されているインダクタと、前記インダクタに、前記通電用スイッチング素子をオンさせて前記通電用スイッチング素子を介して通電電流を流し、前記還流用スイッチング素子をオンさせて前記還流用スイッチング素子を介して還流電流を流す制御回路とを有する電源回路を備えた車載制御装置において、 前記電源回路は複数の電気的負荷の電源として使用され、 前記還流用スイッチング素子に故障が発生して、前記還流用スイッチング素子の前記寄生ダイオードを経由して還流電流が流れているときの前記還流用スイッチング素子の温度が所定の温度閾値以上になると、前記電源回路に接続されている複数の前記電気的負荷への給電を、所定の優先順位にしたがって順番に停止し、前記寄生ダイオードに流れる還流電流を段階的に減少させて前記還流用スイッチング素子の温度を前記所定の温度閾値より低くする制御手段を設けたことを特徴とする車載制御装置。」 また、本願発明2-9は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2014-073036号公報)には、図面(特に、図1-2)とともに、以下の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。 1.段落【0001】-【0006】 「【0001】 この発明は、直流電源に接続されたDCDCコンバータ等の電源装置等に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来の電源装置は、例えば以下の構成を有する(例えば下記特許文献1参照)。直流電源に、直流電源の出力電流のチョッパ用のチョッパ用スイッチング素子、還流用半導体素子が順次直列に接続され、チョッパ用スイッチング素子と還流用半導体素子との間の接続点にリアクトルLと負荷回路が順次直列に接続されている。そしてチョッパ用スイッチング素子をオン、オフ制御する駆動回路、チョッパ用スイッチング素子と還流用半導体素子との間の接続点に接続された充電回路、リアクトルと負荷回路の間の電圧を検出する出力電圧検出回路、出力電圧検出回路の検出結果から異常判定を行う異常判定回路を備える。 【0003】 チョッパ用スイッチング素子をオフ状態のときに充電回路を駆動させ、出力電圧検出回路での出力電圧検出値が所定の値以下の場合に異常判定回路が故障と判定し、電源装置を通常動作、つまりチョッパ用スイッチング素子をオン、オフ制御させることを禁止することで、電源装置の他の構成部品にダメージが拡大することを防止している。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2012-75207号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 上記のような従来の電源装置において、負荷回路が第2の直流電源を含む構成の場合、出力電圧検出回路の出力電圧検出値は第2の直流電源電圧となるため、検出値から電源装置の故障の有無を判定することが困難であった。 【0006】 この発明は、第1の直流電源および負荷回路側に第2の直流電源を含む電源装置においても電源装置の故障の有無の判定が可能な電源装置等を提供することを目的とする。」 2.段落【0011】-【0015】 「【0011】 実施の形態1. 図1は、この発明の実施の形態1における電源装置の構成を示す。この実施の形態1における電源装置では、第1の直流電源1と例えばグランド間に、第1のスイッチング素子Q1と、ダイオードからなる還流用半導体素子Q3が順次直列に接続されている。第1のスイッチング素子Q1と還流用半導体素子Q3との間の接続点と例えばグランド間には、リアクトルL、第2のスイッチング素子Q2、および第2の直流電源2が順次直列に接続されている。 【0012】 さらに、第1のスイッチング素子Q1および第2のスイッチング素子Q2を駆動する駆動回路3a,3b、第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2の間を接続するリアクトルLを含むライン(線路)LN1(第1のライン)に充電を行う充電回路7と、第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2との間のラインLN1のライン電圧を検出する電圧検出回路(A)5aと、電圧検出回路(A)5aの検出電圧により電源装置の異常の有無を判定する異常判定回路6、駆動回路3a,3b等の制御を行うことで電源装置の全体の制御を行う制御部CNを含む。各駆動回路3a,3bと制御部CNで駆動制御部30を構成し、後述する各スイッチング素子の制御を行う。 【0013】 制御部CNは、第1のスイッチング素子Q1および第2のスイッチング素子Q2の制御を総合的に行い、駆動回路3a,3bから出力される駆動信号の有無やデューティー比をそれぞれに制御することで、第1のスイッチング素子Q1および第2のスイッチング素子Q2の駆動/停止状態、さらに駆動状態でのオン/オフ比等が制御され、電源装置全体の制御が行われる。 【0014】 異常判定回路6は、制御部CNとの信号の送受により、制御部CNで制御される第1のスイッチング素子Q1,第2のスイッチング素子Q2等の各素子の状態を検出すると共に、制御部CNに各スイッチング素子Q1,Q2等の制御指令を行うことが可能である。 【0015】 そして、第1のスイッチング素子Q1において所定の時間T1の間オン状態、所定の時間T2の間オフ状態、が交互に繰り返されるように駆動回路3aから駆動信号が出力されることで(T1/(T1+T2))のデューティー比の信号)、第1の直流電源1の電圧を第2の直流電源2の電圧に降圧させて電力を供給している。」 3.段落【0019】-【0021】 「【0019】 実施の形態2. 図2は、この発明の実施の形態2における電源装置の構成を示す。この実施の形態2における電源装置は、実施の形態1に対して、還流用半導体素子Q3がダイオードよりもオン動作時の導通損失が小さいスイッチング素子(第3のスイッチング素子Q3)で構成され、駆動回路3cが追加されている。還流用半導体素子Q3がスイッチング素子で構成されたことで、第1のスイッチング素子Q1において所定の時間T1の間オン状態、所定の時間T2の間オフ状態が交互に繰り返され、第1のスイッチング素子Q1がオンの間、スイッチング素子Q3がオフし、第1のスイッチング素子Q1がオフの間、スイッチング素子Q3がオンするように駆動制御部30で駆動回路3a,3cから駆動信号を出力することで、第1の直流電源1の電圧を第2の直流電源2の電圧に降圧させて電力を供給している。 【0020】 上記動作により還流用半導体素子Q3がダイオードの場合に比べて、駆動回路3a,3cの動作(制御部CNでの制御)は複雑になるものの、還流用半導体素子Q3を構成するスイッチ素子に電流が流れる際の損失が低減でき、電源装置の変換効率の向上が可能となる。 【0021】 さらに、第1のスイッチング素子Q1が交互にオンオフ動作行なう(当審注:「オンオフ動作を行なう」の誤記と認める。)前に、スイッチング素子Q1、Q2、Q3をオフとした状態で、充電回路7により第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2の間を接続するラインLN1を充電し、電圧検出回路(A)5aによる検出電圧が所定の電圧以上の場合、次にスイッチング素子Q3をオンさせる。このとき、正常な場合は電圧検出回路(A)5aによる検出電圧が所定の電圧未満となるが(スイッチング素子Q3をオンすることでラインLN1の電圧が低下するため)、スイッチング素子Q3がオープン故障(ショート(導通)状態にならない)している場合、検出電圧が所定の電圧以上となることから、異常判定回路6によりスイッチング素子Q3がオープン故障であると判定することができる。」 4.図2 図2の記載によれば、第3のスイッチング素子Q3は、寄生ダイオードを有するものである。 よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「 負荷回路側に第2の直流電源を含む電源装置では、 第1の直流電源1と例えばグランド間に、第1のスイッチング素子Q1と、還流用半導体素子Q3が順次直列に接続されているとともに、第1のスイッチング素子Q1と還流用半導体素子Q3との間の接続点と例えばグランド間には、リアクトルL、第2のスイッチング素子Q2、および第2の直流電源2が順次直列に接続されており、 さらに、第1のスイッチング素子Q1および第2のスイッチング素子Q2を駆動する駆動回路3a,3b、電源装置の異常の有無を判定する異常判定回路6、駆動回路3a,3b等の制御を行うことで電源装置の全体の制御を行う制御部CNを含み、各駆動回路3a,3bと制御部CNで駆動制御部30を構成し、各スイッチング素子の制御を行い、 還流用半導体素子Q3がダイオードよりもオン動作時の導通損失が小さいスイッチング素子(第3のスイッチング素子Q3)で構成され、[33631]駆動回路3cが追加されているとともに、第1のスイッチング素子Q1がオンの間、スイッチング素子Q3がオフし、第1のスイッチング素子Q1がオフの間、スイッチング素子Q3がオンするように駆動制御部30で駆動回路3a,3cから駆動信号を出力することで、第1の直流電源1の電圧を第2の直流電源2の電圧に降圧させて電力を供給しており、 第1のスイッチング素子Q1が交互にオンオフ動作を行なう前に、スイッチング素子Q1、Q2、Q3をオフとした状態で、異常判定回路6によりスイッチング素子Q3がオープン故障であるかを判定し、 第3のスイッチング素子Q3は、寄生ダイオードを有する電源装置。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1) 対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「電源装置」は、本願発明1の「電源回路」に対応する。 ここで、引用発明の「電源装置」は、「第1の直流電源1と例えばグランド間に、第1のスイッチング素子Q1と、還流用半導体素子Q3が順次直列に接続されているとともに、第1のスイッチング素子Q1と還流用半導体素子Q3との間の接続点と例えばグランド間には、リアクトルL、第2のスイッチング素子Q2、および第2の直流電源2が順次直列に接続されて」いるものであって、「負荷回路側に第2の直流電源を含む」ものである。 また、引用発明の「電源装置」は、「さらに、第1のスイッチング素子Q1および第2のスイッチング素子Q2を駆動する駆動回路3a,3b、電源装置の異常の有無を判定する異常判定回路6、駆動回路3a,3b等の制御を行うことで電源装置の全体の制御を行う制御部CNを含み、各駆動回路3a,3bと制御部CNで駆動制御部30を構成し、各スイッチング素子の制御を行」うものであって、「還流用半導体素子Q3がダイオードよりもオン動作時の導通損失が小さ」く、「寄生ダイオードを有する」「スイッチング素子(第3のスイッチング素子Q3)で構成され、駆動回路3cが追加されているとともに、第1のスイッチング素子Q1がオンの間、スイッチング素子Q3がオフし、第1のスイッチング素子Q1がオフの間、スイッチング素子Q3がオンするように駆動制御部30で駆動回路3a,3cから駆動信号を出力することで、第1の直流電源1の電圧を第2の直流電源2の電圧に降圧させて電力を供給して」いるものである。 よって、引用発明の「第1のスイッチング素子Q1」及び「第3のスイッチング素子Q3」、「リアクトルL」は、それぞれ、本願発明1の「交互にオン、オフされる通電用スイッチング素子及び寄生ダイオードを有する還流用スイッチング素子」、「前記通電用スイッチング素子と前記還流用スイッチング素子の接続部に接続されているインダクタ」に相当する。 また、引用発明の「電源装置」において、「駆動回路3a,3c」と、「制御部CN」とを含む「駆動制御部30」により、「第1のスイッチング素子Q1がオンの間、スイッチング素子Q3」を「オフ」することで、「第1のスイッチング素子Q1」を介して、「リアクトルL」に電流が流れるとともに、「第1のスイッチング素子Q1がオフの間、スイッチング素子Q3」を「オンする」ことで、「スイッチング素子Q3」を介して、「リアクトルL」に還流電流が流れることは、明らかである。 よって、引用発明の「駆動制御部30」は、本願発明1の「前記インダクタに、前記通電用スイッチング素子をオンさせて前記通電用スイッチング素子を介して通電電流を流し、前記還流用スイッチング素子をオンさせて前記還流用スイッチング素子を介して還流電流を流す制御回路」に相当する。 ウ 引用発明の「電源装置」は、「負荷回路側に第2の直流電源を含む」ものであり、「第2の直流電源」側にある「負荷回路」の電源として使用されるものであるといえる。 よって、引用発明は、本願発明1の「前記電源回路は複数の電気的負荷の電源として使用され」ることと、「前記電源回路は」「電気的負荷の電源として使用され」る点で共通する。 よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は、次のとおりであるといえる。 [一致点] 「 交互にオン、オフされる通電用スイッチング素子及び寄生ダイオードを有する還流用スイッチング素子と、前記通電用スイッチング素子と前記還流用スイッチング素子の接続部に接続されているインダクタと、前記インダクタに、前記通電用スイッチング素子をオンさせて前記通電用スイッチング素子を介して通電電流を流し、前記還流用スイッチング素子をオンさせて前記還流用スイッチング素子を介して還流電流を流す制御回路とを有する電源回路において、 前記電源回路は電気的負荷の電源として使用される電源回路。」 [相違点1] 本願発明1は、電源回路「を備えた車載制御装置」であるのに対して、引用発明は、「電源装置」ではあるものの、「電源装置」を備えた車載制御装置ではない点。 [相違点2] 「電源回路」を「電源として使用」する「電気的負荷」の個数に関して、本願発明1では、「複数」であるのに対して、引用発明では、複数であることが特定されていない点。 [相違点3] 本願発明1では、「前記還流用スイッチング素子に故障が発生して、前記還流用スイッチング素子の前記寄生ダイオードを経由して還流電流が流れているときの前記還流用スイッチング素子の温度が所定の温度閾値以上になると、前記電源回路に接続されている複数の前記電気的負荷への給電を、所定の優先順位にしたがって順番に停止し、前記寄生ダイオードに流れる還流電流を段階的に減少させて前記還流用スイッチング素子の温度を前記所定の温度閾値より低くする制御手段を設けた」のに対して、引用発明では、「スイッチング素子Q3がオープン故障であるかを判定し」てはいるものの、当該判定を、「第1のスイッチング素子Q1が交互にオンオフ動作を行なう前に、スイッチング素子Q1、Q2、Q3をオフとした状態で」、「異常判定回路6」が行い、さらには、そもそも、「電源装置」が複数の「負荷回路」の電源として使用されることが特定されていない点。 (2) 相違点についての判断 事案に鑑みて、「電源回路」を「電源として使用」する「複数の電気的負荷」に関連する、上記相違点2-3について、先にまとめて検討する。 上記相違点2-3に係る本願発明1の構成である、「前記還流用スイッチング素子に故障が発生して、前記還流用スイッチング素子の前記寄生ダイオードを経由して還流電流が流れているときの前記還流用スイッチング素子の温度が所定の温度閾値以上になると、前記電源回路に接続されている複数の前記電気的負荷への給電を、所定の優先順位にしたがって順番に停止し、前記寄生ダイオードに流れる還流電流を段階的に減少させて前記還流用スイッチング素子の温度を前記所定の温度閾値より低くする」ことは、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1-4のいずれにも記載も示唆もなく、本願優先日前における周知技術であるともいえない。 また、引用発明では、「電源装置」を電源として使用する「負荷回路」が、複数であることが特定されていないところ、仮に、「前記還流用スイッチング素子に故障が発生して、前記還流用スイッチング素子の前記寄生ダイオードを経由して還流電流が流れているときの前記還流用スイッチング素子の温度が所定の温度閾値以上になると、前記電源回路に接続されている複数の前記電気的負荷への給電を、所定の優先順位にしたがって順番に停止し、前記寄生ダイオードに流れる還流電流を段階的に減少させて前記還流用スイッチング素子の温度を前記所定の温度閾値より低くする」ことが、本願優先日前における周知技術であるとしても、引用発明に当該周知技術を適用する起因、動機付けを見出すことはできない。 そして、本願発明1は、上記相違点2-3に係る本願発明1の構成によって、「自動車の制御に大きな影響を与えることなく、還流電流を低減させることが可能である」(段落【0062】)との効果を有するものである。 したがって、本願発明1は、上記相違点1を検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明、引用文献1-4に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 2.本願発明2-9について 本願発明2-9は、上記「第3」のとおり、本願発明1を減縮した発明であって、上記相違点2-3に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献1-4に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定についての判断 本件補正で補正された請求項1-9は、上記「第5」のとおり、上記相違点2-3に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、当業者であっても、引用発明、引用文献1-4に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明できたものではない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 当審拒絶理由(特許法第36条第6項第1号)についての判断 当審では、請求項1、及び、請求項1を引用する請求項2-9について、発明の詳細な説明には、電源回路とは別に、通電用スイッチング素子及び還流用スイッチング素子を備えた車載制御装置についての記載が見当たらないとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正において、請求項1の「交互にオン、オフされる通電用スイッチング素子及び寄生ダイオードを有する還流用スイッチング素子と、前記通電用スイッチング素子と前記還流用スイッチング素子の接続部に接続されているインダクタに、前記通電用スイッチング素子をオンさせて前記通電用スイッチング素子を介して通電電流を流し、前記還流用スイッチング素子をオンさせて前記還流用スイッチング素子を介して還流電流を流す電源回路を備えた車載制御装置」との記載を、「交互にオン、オフされる通電用スイッチング素子及び寄生ダイオードを有する還流用スイッチング素子と、前記通電用スイッチング素子と前記還流用スイッチング素子の接続部に接続されているインダクタと、前記インダクタに、前記通電用スイッチング素子をオンさせて前記通電用スイッチング素子を介して通電電流を流し、前記還流用スイッチング素子をオンさせて前記還流用スイッチング素子を介して還流電流を流す制御回路とを有する電源回路を備えた車載制御装置」(下線部は、補正箇所である。)と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-02-10 |
出願番号 | 特願2017-512509(P2017-512509) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H02M)
P 1 8・ 537- WY (H02M) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 白井 孝治 |
特許庁審判長 |
千葉 輝久 |
特許庁審判官 |
仲間 晃 白井 亮 |
発明の名称 | 車載制御装置 |
代理人 | ポレール特許業務法人 |