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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1359345
審判番号 不服2018-49  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-04 
確定日 2020-01-28 
事件の表示 特願2015-510186「MMTにおけるダウンロード可能なCAS又はDRMのためのメッセージを送受信する方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月 7日国際公開、WO2013/165186、平成27年 8月20日国内公表、特表2015-524178〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)5月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年5月2日、米国、2012年7月16日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成28年12月20日付け:拒絶理由通知
平成29年 4月 4日 :手続補正、意見書の提出
同年 4月25日付け:拒絶理由通知(最後)
同年 8月 8日 :手続補正、意見書の提出
同年 8月29日付け:補正の却下の決定、拒絶査定
平成30年 1月 4日 :審判請求、手続補正
平成31年 1月23日付け:拒絶理由通知(当審)
同年 4月26日 :手続補正、意見書の提出

第2 当審の拒絶の理由
平成31年1月23日付けで当審が通知した拒絶の理由は、概略、以下のとおりである。

本件出願の請求項1?10に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



・請求項1、2、4?7、9、10
・引用文献1、2

・請求項3、8
・引用文献1?3

<引用文献等一覧>
1.米国特許出願公開第2012/0090034号明細書
2.国際公開第2008/154283号
3.特開2005-327196号公報

第3 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成31年4月26日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、以下のとおりのものである。
なお、本願発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成A?構成G2と称する。

(本願発明)
(A)マルチメディアシステムにおけるクライアントデバイスによってメディアデータを受信する方法であって、
(B)サーバからセキュリティ情報を含むシグナリングメッセージを受信する過程と(110a)、
(C)前記クライアントデバイスの認証情報を含むセキュリティソフトウェア要請メッセージをセキュリティエンティティに送信する過程と(112)、
(D)前記セキュリティエンティティから前記セキュリティ情報に対応するセキュリティソフトウェアを受信する過程と(114)、
(E)前記サーバからアセットとサービスパッケージのうちの少なくとも一つを受信し、前記受信されたセキュリティソフトウェアを使用して前記アセットと前記サービスパッケージのうちの少なくとも一つを解読する過程と、を含み、
(F)前記セキュリティソフトウェアは、ダウンロード可能な受信制限システム(D-CAS:downloadable conditional access system)とダウンロード可能なデジタルコンテンツ権利管理(D-DRM:downloadable digital rights management)のうちの少なくとも一つであり、
(G)前記セキュリティソフトウェア要請メッセージは、
(G1)前記認証情報を使用する少なくとも一つのデバイスの識別を指示するデバイス識別子を含み、
(G2)前記クライアントデバイスが相異なる二つのデバイスで前記アセット及び前記サービスパッケージのうちの少なくとも一つを消費する場合、前記デバイス識別子は、前記相異なる二つのデバイスに対応する複数のデバイス識別子を含む
(A)ことを特徴とする方法。

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 上記第3において、本願発明として記載した請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に、同補正前の請求項3の一部を加え、さらに、明細書に記載の技術事項を付加したものである。以下では、当審の拒絶理由において、補正前の請求項3に対して引用した引用文献1?3のうち、引用文献1、3について検討を行う。

2 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
当審の拒絶の理由に引用文献1として引用された米国特許出願公開第2012/0090034号明細書には、クライアントデバイスを含むDRMサービスシステムに関して、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付したものである。

ア「[0026] In accordance with an embodiment of the present invention, in a DRM service system providing digital content to which DRM technology is applied (hereinafter referred to as “DRM content”), when one or more DRM content is provided to a client device, download information (hereafter referred to as “DRM download information”) for a DRM module capable of installing a DRM agent corresponding to a DRM system applied to the DRM content is provided together, to allow the client device to download the DRM module based on the download information, install the DRM agent, and run the DRM content.」
(仮訳:本発明の一実施形態によれば、DRM技術が適用されたデジタルコンテンツ(以下、“DRMコンテンツ”と呼ぶ)を提供するDRMサービスシステムにおいて、1又はそれ以上のDRMコンテンツが、クライアントデバイスに提供されるとき、クライアントデバイスに、その情報に基づいて、DRMモジュールをダウンロードさせ、DRMエージェントをインストールさせ、DRMコンテンツを実行させるようにするために、DRMコンテンツに適用されたDRMシステムに対応するDRMエージェントをインストールさせることのできるDRMモジュールに関するダウンロード情報(以下、“DRM ダウンロード情報”と呼ぶ)が同時に提供される。

イ「[0031] Referring to FIG. 1, the DRM service system includes a DRM download server 200, a content server (or content providing server) 400, a right issuer (or right issuing server) 300, a client device 100.」
(仮訳:図1を参照すると、DRMサービスシステムは、DRMダウンロードサーバ200と、コンテンツサーバ(コンテンツ提供サーバ)400、権利発行装置(権利発行サーバ)300と、クライアントデバイス100とを備えている。)

ウ「[0042] In accordance with an embodiment of the present invention, the content server 400 provides, to the client device 100, information (i.e., DRM download information) required to download a DRM module corresponding to a DRM system applied to DRM content. The DRM download information includes identification information for a DRM system, and address information (for example, URL information of the DRM download server 200) based on which a DRM module may be downloaded. The DRM download information may be received from the right issuer 300, or may be stored in the content server 400 in advance.」
(仮訳:本発明の実施形態にしたがい、コンテンツサーバ400は、クライアントデバイス100に、DRMコンテンツに適用されたDRMシステムに対応するDRMモジュールをダウンロードするために必要な情報(すなわち、DRMダウンロード情報)を提供する。DRMダウンロード情報は、DRMシステムの識別情報と、それに基づいてDRMモジュールがダウンロードされ得るアドレス情報(例えば、ダウンロードサーバ200のURL情報)が含まれている。DRMダウンロード情報は、権利発行装置300から受信されてもよいし、予めコンテンツサーバ400に格納されてもよい。)

エ「[0044] When provided to the client device 100, the DRM content is included in a content file, and may include license acquisition information, DRM download information, and purchase information. For example, the content file may be configured in the PIFF format. Further, a content file may include types of one or more DRM systems applied to DRM content, and license acquisition information corresponding to each of the DRM systems. Also, the content file may include DRM download information corresponding to at least one of the DRM systems.」
(仮訳:クライアントデバイス100に提供されるとき、DRMコンテンツは、コンテンツファイルに含まれており、ライセンス取得情報、DRMダウンロード情報、及び、購入情報を含んでいてもよい。例えば、コンテンツファイルは、PIFF形式で構成されてもよい。さらに、コンテンツファイルは、DRMコンテンツに適用される1つ又はそれ以上のDRMシステムのタイプ、及び、DRMシステムのそれぞれに対応するライセンス取得情報を含んでもよい。また、コンテンツファイルは、DRMシステムのうちの少なくとも1つに対応するDRMダウンロード情報を含んでもよい。)

オ「[0078] In step 803, the content server 400 transfers the content file to the client device 100. Upon receiving the content file, the client device 100 analyzes the content file and determines if there is any DRM system supported by the client device 100 among the DRM systems applied to the specific DRM content, in step 805. If there is no DRM system supported by the client device 100, the client device 100 determines the presence/absence of a downloadable DRM module based on a UUID field of the content file, and acquires DRM download information for the DRM module. For example, the client device 100 may acquire identification information for the DRM module, and download address information of the DRM module. In FIG. 8, it is assumed that the DRM download address information acquired from the content file corresponds to the DRM download server 200.」
(仮訳:ステップ803において、コンテンツサーバ400は、コンテンツファイルをクライアントデバイス100に転送する。ステップ805において、コンテンツファイルを受信すると、クライアントデバイス100は、コンテンツファイルを解析して、特定のDRMコンテンツに適用されたDRMシステムの中で、クライアントデバイス100によりサポートされているDRMシステムがあるか否かを判定する。クライアントデバイス100によってサポートされていないDRMシステムがある場合、クライアントデバイス100は、コンテンツファイルのUUIDフィールドに基づいてダウンロード可能なDRMモジュールの有無を判定し、そのDRMモジュールのDRMダウンロード情報を取得する。例えば、クライアントデバイス100は、DRMモジュールの識別情報と、DRMモジュールダウンロードアドレス情報とを取得することができる。図8においては、コンテンツファイルから取得したDRMダウンロードアドレス情報が、DRMダウンロードサーバ200に対応するものとされている。)

カ「[0079] In step 807, the client device 100 generates a DRM module request message for requesting download of the DRM module using the download agent 170, and sends it to the DRM download server 200. The DRM module request message includes purchase information.」
(仮訳:ステップ807において、クライアントデバイス100は、ダウンロードエージェント170を使用して、DRMモジュールのダウンロードを要求するためのDRMモジュール要求メッセージを生成し、それをDRMダウンロードサーバ200に送信する。DRMモジュール要求メッセージは購入情報を含んでいる。)

キ「[0080] Upon receiving the DRM module request message from the client device 100, the DRM download server 200 performs authentication on the client device 100 in step 809. If the authentication is successful, the DRM download server 200 determines if the client device 100 is qualified to use a purchase token, based on the purchase information included in the DRM module request message. That is, the DRM download server 200 determines whether the client device 100 is qualified to download the DRM module as it has normally purchased the specific DRM content. If the client device 100 is qualified to download the DRM module, the DRM download server 200 transmits the DRM module and its associated DRM policy to the client device 100 in step 811.」
(仮訳:ステップ809において、クライアントデバイス100からDRMモジュール要求メッセージを受信すると、DRMダウンロードサーバ200は、クライアントデバイス100の認証を実行する。認証が成功すると、DRMダウンロードサーバ200は、DRMモジュール要求メッセージに含まれている購入情報に基づいて、クライアントデバイス100が、購入トークンを使用する資格があるかを判定する。すなわち、DRMダウンロードサーバ200は、通常特定のDRMコンテンツを購入しているように、クライアントデバイス100が、DRMモジュールをダウンロードする資格を有するか否かを判定する。ステップ811において、クライアントデバイス100が、DRMモジュールをダウンロードする資格がある場合、DRMダウンロードサーバ200は、DRMモジュール及びその関連付けられたDRMポリシーを、クライアントデバイス100に送信する。)

ク「[0081] Upon receiving the DRM module, the download agent 170 of the client device 100 installs the received DRM module, thereby creating the DRM agent 120. The DRM agent 120 of the client device 100 checks the license acquisition information included in the content file to determine a location of the right issuer 300. The client device 100 generates a license request message using the DRM agent 120, and sends it to the right issuer 300 in step 813.」
(仮訳:DRMモジュールを受信すると、クライアントデバイス100のダウンロードエージェント170は、受信したDRMモジュールをインストールすることにより、DRMエージェント120を作成する。クライアントデバイス100のDRMエージェント120は、権利発行装置300の位置を決定するために、コンテンツファイルに含まれたライセンス取得情報をチェックする。ステップ813において、クライアントデバイス100は、DRMエージェント120を用いて、ライセンス要求メッセージを生成し、権利発行装置300に送信する。)

ケ「[0082] In step 815, the right issuer 300 transmits a requested license to the client device 100 upon request from the client device 100. The client device 100 decrypts and plays the DRM content using the acquired license.」
(仮訳:ステップ815において、権利発行装置300は、クライアントデバイス100からの要求に応じて、要求されたライセンスをクライアントデバイス100に送信する。クライアントデバイス100は、取得したライセンスを用いて、DRMコンテンツを解読し、再生する。)

コ「



(2)引用文献1に記載された発明
引用文献1に記載された発明を以下に認定する。

ア 上記(1)イによれば、引用文献1には、DRMダウンロードサーバ200と、コンテンツ提供サーバ400、権利発行サーバ300と、クライアントデバイス100とを備える「DRMサービスシステム」が記載されている。
そして、上記(1)アによれば、引用文献1には、当該DRMサービスシステムにおけるクライアントデバイス100に、「DRM技術が適用されたデジタルコンテンツ」である「DRMコンテンツ」が提供されることが記載されている。
また、上記(1)エによれば、DRMコンテンツは、コンテンツファイルに含まれるものである。
よって、引用文献1には、「DRMサービスシステムにおけるクライアントデバイス100によって、DRMコンテンツを含むコンテンツファイルを受信する方法」が記載されている。

イ 上記(1)オによれば、引用文献1に記載の「コンテンツサーバ400」は、ステップ803において、「コンテンツファイルをクライアントデバイス100に転送する」から、当該クライアントデバイス100は、「コンテンツサーバ400から前記コンテンツファイルを受信するステップ803」を実行することが記載されている。
そして、上記(1)エによれば、当該コンテンツファイルは、「DRMコンテンツ」、「ライセンス取得情報、DRMダウンロード情報、及び、購入情報」を含むこと、「コンテンツファイルはPIFF形式で構成される」ことが記載されている。
また、上記(1)ウによれば、当該DRMダウンロード情報は、「DRMコンテンツに適用されたDRMシステムに対応するDRMモジュールをダウンロードするために必要な情報」であって、「DRMシステムの識別情報と、DRMモジュールをダウンロードできるアドレス情報」とを含むこと、当該アドレス情報は、「ダウンロードサーバ200のURL情報」であることが記載されている。

ウ 上記(1)カによれば、引用文献1に記載の「クライアントデバイス100」は、「DRMモジュールのダウンロードを要求するためのDRMモジュール要求メッセージを生成し、それをDRMダウンロードサーバ200に送信する」ステップ807を実行すること、そして、当該DRMモジュール要求メッセージは、「DRMモジュール要求メッセージは購入情報」を含むことが記載されている。

エ 上記(1)キによれば、引用文献1の「DRMダウンロードサーバ200」は、「クライアントデバイス100からDRMモジュール要求メッセージ」を受信すると、「クライアントデバイス100の認証」を実行し、そして、「DRMモジュール要求メッセージに含まれている購入情報に基づいて、クライアントデバイス100が、DRMモジュールをダウンロードする資格を有するか否かを判定する」ステップ809を実行すること、また、「クライアントデバイス100が、DRMモジュールをダウンロードする資格がある場合、DRMモジュール及びその関連付けられたDRMポリシーを、クライアントデバイス100に送信する」ステップ811を実行することが記載されている。
よって、引用文献1に記載のクライアントデバイス100は、「DRMモジュール要求メッセージを受信したDRMダウンロードサーバ200において、クライアントデバイス100の認証が成功し、前記DRMモジュール要求メッセージに含まれている購入情報に基づいて、クライアントデバイス100がDRMモジュールをダウンロードする資格を有すると判定された場合に、DRMダウンロードサーバ200から、DRMモジュール及びその関連付けられたDRMポリシーを受信するステップ811」を実行することが記載されている。

オ 上記(1)クによれば、引用文献1の「クライアントデバイス100」は、「受信したDRMモジュールをインストールすることにより、DRMエージェント120を作成」すること、「DRMエージェント120を用いて、ライセンス要求メッセージを生成し、権利発行サーバ300に送信する」ステップ813を実行することが記載されている。

カ 上記(1)ケによれば、引用文献1に記載の「権利発行サーバ300」は、「クライアントデバイス100からの要求に応じて、要求されたライセンスをクライアントデバイス100に送信する」ステップ815を実行すること、当該クライアントデバイス100は、「取得したライセンスを用いて、DRMコンテンツを解読し、再生する」ことが記載されている。
よって、引用文献1に記載のクライアントデバイス100は、「権利発行サーバ300から、クライアントデバイス100からの要求に応じて、要求されたライセンスを受信するステップ815」を実行すること、及び、「取得したライセンスを用いて、DRMコンテンツを解読し、再生する」ことが記載されている。

キ まとめ
以上によれば、引用文献1には、以下のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
なお、引用発明の各構成の符号(a)?(f)は、説明のために付与したものであり、以下、構成a?構成fと称する。

(引用発明)
(a)DRMダウンロードサーバ200と、コンテンツ提供サーバ400と、権利発行サーバ300と、クライアントデバイス100とを備えるDRMサービスシステムにおけるクライアントデバイス100によって、DRMコンテンツを含むコンテンツファイルを受信する方法において、前記クライアントデバイス100は、
(b)前記コンテンツ提供サーバ400から前記コンテンツファイルを受信するステップ803と、
ここで、当該コンテンツファイルには、DRMコンテンツと、ライセンス取得情報と、DRMダウンロード情報及び購入情報が含まれ、コンテンツファイルはPIFF形式で構成され、前記DRMダウンロード情報は、DRMコンテンツに適用されたDRMシステムに対応するDRMモジュールをダウンロードするために必要な情報であって、DRMシステムの識別情報と、DRMモジュールをダウンロードできるアドレス情報とを含み、当該アドレス情報は、ダウンロードサーバ200のURL情報であり、
(c)DRMモジュールのダウンロードを要求するためのDRMモジュール要求メッセージを生成し、それをDRMダウンロードサーバ200に送信するステップ807と、
ここで、DRMモジュール要求メッセージは購入情報を含んでおり、
(d)前記DRMモジュール要求メッセージを受信した前記DRMダウンロードサーバ200において、クライアントデバイス100の認証が成功し、DRMモジュール要求メッセージに含まれている購入情報に基づいてクライアントデバイス100が、DRMモジュールをダウンロードする資格を有すると判定された場合に、前記DRMダウンロードサーバ200からDRMモジュール及びその関連付けられたDRMポリシーを受信するステップ811と、
(e1)受信したDRMモジュールをインストールすることにより、DRMエージェント120を作成し、DRMエージェント120を用いて、ライセンス要求メッセージを生成し、権利発行サーバ300に送信するステップ813と、
(e2)前記権利発行サーバ300から、クライアントデバイス100からの要求に応じて、要求されたライセンスを受信するステップ815と、
(f)取得したライセンスを用いてDRMコンテンツを解読し、再生する
(a)方法。

3 引用文献3
(1)引用文献3の記載事項
当審の拒絶の理由に引用文献3として引用された特開2005-327196号公報には、クライアント装置から発行が依頼されたプログラムのライセンスを発行するライセンス管理装置に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付したものである。

ア「【0001】
本発明は、クライント装置から発行が依頼されたプログラムのライセンスを発行するライセンス管理装置、その制御方法、プログラムおよび記憶媒体に関する。」

イ「【0018】
クライアント装置109がプログラムのライセンス発行をライセンス管理装置101に依頼する際、クライアント装置109は、ライセンス発行に必要な情報(登録情報)を送信する。ライセンス管理装置101においては、中央処理装置102がネットワーク接続装置107を介してクライアント装置109から送信されたライセンス発行に必要な情報を受信し、受信したライセンス発行に必要な情報を主記憶装置103に格納する。中央処理装置102は、上記ライセンス発行に必要な情報に基づいてライセンスファイルを作成し、外部記憶装置106に格納する。そして、作成されたライセンスファイルは、ネットワーク接続装置107を介してクライアント装置109に送信される。また、ライセンスファイル作成処理を含むライセンス発行処理中の画面が、表示装置104に表示されるとともに、処理中のプログラムに対する入力は、入力装置105から行われる。


ウ「【0021】
受信手段205は、ネットワーク接続装置107を介して、上記クライアント装置109から送信されたライセンス発行に必要な情報(登録情報)を受信するものである。ここで、クライアント装置109から送信されたライセンス発行に必要な情報としては、ユーザ情報201、プログラムID(プログラム識別情報)202、デバイスID(デバイス識別情報)203がある。ユーザ情報201は、ライセンス発行を依頼するユーザの一般的な情報が含まれたものである。プログラムID202は、ライセンスの発行を受けるプログラムを識別するための識別情報である。デバイスID203は、ライセンスの発行を受けたプログラムをインストール可能なデバイスを識別するための識別情報であり、このデバイスIDで指定されたデバイスには、ライセンスの発行を受けたプログラムをインストールすることができる。なお、本図では、1つのデバイスIDのみが示されているが、複数のデバイスIDを指定することも可能である。受信手段205により受信されたユーザ情報201、プログラムID202、デバイスID203の各情報は、主記憶装置103に格納される。」

(2)引用文献3に記載された技術
上記(1)によれば、引用文献3には、以下の技術(以下、「文献3技術」という。)が記載されていると認められる。

(文献3技術)
クライアント装置109がプログラムのライセンス発行をライセンス管理装置101に依頼する際、クライアント装置109は、ライセンス発行に必要な情報(登録情報)を送信するが、ここで、当該ライセンス発行に必要な情報としてデバイスID(デバイス識別情報)203があり、当該デバイスID203は、ライセンスの発行を受けたプログラムをインストール可能なデバイスを識別するための識別情報であり、このデバイスIDで指定されたデバイスには、ライセンスの発行を受けたプログラムをインストールすることができ、そして、複数のデバイスIDを指定することが可能である技術。

第5 対比
次に、本願発明と、引用発明を対比する。

1 構成A
構成aの「DRMサービスシステム」が提供するコンテンツファイルは、PIFF形式で構成される(構成b)ものであり、「PIFF形式は、マルチメディアコンテンツの配信と再生を行うための標準のマルチメディアファイル形式」であることは、技術常識であるから、構成aの「DRMコンテンツを含むコンテンツファイル」は「メディアデータ」であるといえ、そして、構成aの「DRMサービスシステム」は、「マルチメディアシステム」であるといえる。
したがって、構成aは、構成Aと一致する。

2 構成B
(1)構成Bの「セキュリティ情報」という用語について検討する。
構成Bの「セキュリティ情報」とは、本願明細書に記載の「securityInfo」のことであると認められ、当該「securityInfo」は、「セキュリティソリューションに関する情報が提供される」([0032])ものである。そして、当該「securityInfo」を指示する「Securtiy_descriptor」の一例として、『「Solution」: どのセキュリティソリューションが、アクセス制御、DRM、D-CAS又はD-DRMのために用いられるかを示す』や、『「DDRM_server_address」: 認証及び認可されたクライアントがD-DRMソフトウェアをダウンロード可能なD-DRMサーバのアドレスを示す』([0036])が、本願明細書に記載されている。

(2)構成bの「DRMダウンロード情報」は、クライアントデバイスに提供されるDRMコンテンツに適用されたDRMシステムに対応するDRMモジュールをダウンロードするために必要な情報であって、DRMシステムの識別情報と、DRMモジュールをダウンロードできるアドレス情報とを含み、当該アドレス情報は、ダウンロードサーバ200のURL情報であることから、上記(1)より、構成Bの「セキュリティ情報」に相当する。
そして、当該アドレス情報を含む、構成bの上記「DRMダウンロード情報」は、構成Bの「セキュリティ情報を含むシグナリングメッセージ」であるといえる。
してみると、構成bは、コンテンツ提供サーバ400からセキュリティ情報を含むシグナリングメッセージを受信するものといえる。
したがって、構成bは、「サーバからセキュリティ情報を含むシグナリングメッセージを受信する」点で、構成Bと一致する。

3 構成C、F、G、G1、G2
(1)構成Cの「セキュリティエンティティ」とは、本願明細書に「セキュリティソフトウェアサーバ106は、D-DRM又はD-CASに対応する論理的なエンティティであり」([0023])と記載されていることから、「セキュリティソフトウェアサーバ」を含むものと認められる。
してみると、構成cの「DRMダウンロードサーバ200」は、構成Cの「セキュリティエンティティ」に相当する。

(2)本願発明の「セキュリティソフトウェア」は、構成Fのとおり「ダウンロード可能な受信制限システム(D-CAS:downloadable conditional access system)とダウンロード可能なデジタルコンテンツ権利管理(D-DRM:downloadable digital rights management)のうちの少なくとも一つ」である。
構成dの「DRMモジュール及びその関連付けられたDRMポリシー」は、ダウンロードできるものであるから、上記構成Fの後者の「ダウンロード可能なデジタルコンテンツ権利管理(D-DRM:downloadable digital rights management)」と一致する。
してみると、構成dの「DRMモジュール及びその関連付けられたDRMポリシー」は、構成Fに相当し、また、構成Fである本願発明の「セキュリティソフトウェア」に相当する。

(3)そして、構成cの「DRMモジュール要求メッセージ」は、当該メッセージにより、構成dのとおり「DRMモジュール及びその関連付けられたDRMポリシー」を受信するものであるから、上記(2)より、セキュリティソフトウェアを要請するメッセージであるといえる。

(4)さらに、構成dにおいて、DRMダウンロードサーバ200は、クライアントデバイス100の認証を実行し、そして、DRMモジュール要求メッセージに含まれている購入情報に基づき、クライアントデバイス100が、DRMモジュールをダウンロードする資格を有するかの判定を行っているから、構成cの「DRMモジュール要求メッセージ」には、当該購入情報に加え、当該クライアントデバイス100の認証を行うために、クライアントデバイス100それ自体を識別するための情報、すなわち、識別子が含まれていることは自明である。
してみると、構成cの「DRMモジュール要求メッセージ」は、認証情報を使用する少なくとも一つのデバイスの識別を指示するデバイス識別子を含むという点で、構成C、構成G、構成G1の「セキュリティソフトウェア要請メッセージ」と共通する。

(5)上記(1)、(4)より、構成cは、認証情報を使用する少なくとも一つのデバイスの識別を指示するデバイス識別子を含むセキュリティソフトウェア要請メッセージを、セキュリティエンティティに送信するものといえるから、構成C、構成G、構成G1と一致する。
また、上記(2)より、構成dの「DRMモジュール及びその関連付けられたDRMポリシー」は、構成Fである本願発明の「セキュリティソフトウェア」と一致する。

(6)しかしながら、本願発明は、当該「セキュリティソフトウェア要請メッセージ」に含まれるデバイス識別子が、構成G2のとおり、「前記クライアントデバイスが相異なる二つのデバイスで前記アセット及び前記サービスパッケージのうちの少なくとも一つを消費する場合」に、「前記相異なる二つのデバイスに対応する複数のデバイス識別子を含む」ものであるのに対し、引用発明の「DRMモジュール要求メッセージ」は、上記(4)のとおり、「認証情報を使用する少なくとも一つのデバイスの識別を指示するデバイス識別子」は含まれているものの、そのような複数のデバイス識別子を含むことについて特定されていない点で、本願発明と相違する。

4 構成D
構成dの「DRMダウンロードサーバ200」は、上記3(1)より、本願発明の「セキュリティエンティティ」に相当し、構成dの「DRMモジュール及びその関連付けられたDRMポリシー」は、上記3(2)より、本願発明の「セキュリティソフトウェア」であるといえる。
ここで、当該DRMダウンロードサーバ200は、上記2(2)より、本願発明の「セキュリティ情報」に対応する構成bの「DRMダウンロード情報」によって特定されるものであるから、そのDRMダウンロードサーバ200から受信する当該「DRMモジュール及びその関連付けられたDRMポリシー」は、「セキュリティ情報」に対応する「セキュリティソフトウェア」であるといえる。
してみると、構成dは、セキュリティエンティティから、セキュリティ情報に対応するセキュリティソフトウェアを受信するものといえる。
したがって、構成dは、「セキュリティエンティティからセキュリティ情報に対応するセキュリティソフトウェアを受信する」という点で、構成Dと一致する。

5 構成E
(1)構成e1、e2、fは、受信したDRMモジュールをインストールすることにより、DRMエージェント120を作成し、DRMエージェント120を用いて受信したライセンスを用いてDRMコンテンツを解読し、再生するものであり、コンテンツを、アセットとサービスパッケージのうち少なくとも一つとすることは、本願の優先日前にはよく知られていることであるから、構成e1、e2、fは、「受信されたセキュリティソフトウェアを使用してアセットとサービスパッケージのうちの少なくとも一つを解読する」という点で、構成Eと共通する。

(2)しかしながら、セキュリティソフトウェアを使用して解読する対象物を、本願発明では、構成Eで、すなわち、セキュリティソフトウェアを受信した後に受信しているのに対し、引用発明では、構成bで、すなわち、DRMモジュールを受信する前であって、DRMモジュールの要求前に受信している点で相違する。

6 まとめ
以上によれば、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

[一致点]
(A)マルチメディアシステムにおけるクライアントデバイスによってメディアデータを受信する方法であって、
(B)サーバからセキュリティ情報を含むシグナリングメッセージを受信する過程と(110a)、
(C)前記クライアントデバイスの認証情報を含むセキュリティソフトウェア要請メッセージをセキュリティエンティティに送信する過程と(112)、
(D)前記セキュリティエンティティから前記セキュリティ情報に対応するセキュリティソフトウェアを受信する過程と(114)、
(E)前記受信されたセキュリティソフトウェアを使用してアセットとサービスパッケージのうちの少なくとも一つを解読する過程と、を含み、
(F)前記セキュリティソフトウェアは、ダウンロード可能な受信制限システム(D-CAS:downloadable conditional access system)とダウンロード可能なデジタルコンテンツ権利管理(D-DRM:downloadable digital rights management)のうちの少なくとも一つであり、
(G)前記セキュリティソフトウェア要請メッセージは、
(G1)前記認証情報を使用する少なくとも一つのデバイスの識別を指示する情報を含む、
(A)ことを特徴とする方法。

[相違点]
(相違点1)
本願発明は、「セキュリティソフトウェア要請メッセージ」に含まれるデバイス識別子が、「クライアントデバイスが相異なる二つのデバイスでアセット及びサービスパッケージのうちの少なくとも一つを消費する場合、前記相異なる二つのデバイスに対応する複数のデバイス識別子を含む」ものであるのに対し、引用発明は、「DRMモジュール要求メッセージ」に、認証情報を使用する少なくとも一つのデバイスの識別を指示するデバイス識別子は含まれているものの、そのような複数のデバイス識別子は含まれていない点。

(相違点2)
セキュリティソフトウェアを使用して解読する対象物を、本願発明では、セキュリティソフトウェアを受信した後に受信しているのに対し、引用発明では、DRMモジュールを受信する前であって、DRMモジュールの要求前に受信している点。

第6 判断
1 相違点について
(1)相違点1
引用文献3には、上記第4の3(2)のとおりの技術が記載されており、これによれば、「クライアント装置が、複数のデバイスIDを指定して、プログラムのライセンス発行を依頼することで、その複数のデバイスが、ライセンスの発行を受けた当該プログラムをインストールすることを可能とする技術」が、公知のものである。
そして、引用発明と、文献3技術はいずれも、プログラムのインストールに関するものという点で共通するから、引用発明において文献3技術を適用し、DRMモジュールを、複数のデバイスにおいて使用する場合、クライアントデバイス100がDRMダウンロードサーバ200に送信する「DRMモジュール要求メッセージ」に、複数のデバイスの識別子を含め、当該DRMモジュールを当該複数のデバイスでインストールできるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)相違点2
セキュリティソフトウェアと、そのセキュリティソフトウェアを使用して解読する対象物であるコンテンツとは、当該コンテンツを再生するとき等、当該コンテンツを実際に使用するときまでに揃っていればよいのであるから、それらを受信する順序については当業者が適宜選択可能な設計的事項であり、引用発明において、クライアントデバイス100が、DRMモジュール及びその関連付けられたDRMポリシーを受信した後に、当該クライアントデバイス100が、DRMコンテンツを受信するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

よって、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載の発明と、引用文献3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 効果等について
本願発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものではない。

3 まとめ
以上のように、本願発明は、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献3に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献3に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-08-28 
結審通知日 2019-09-02 
審決日 2019-09-13 
出願番号 特願2015-510186(P2015-510186)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保 光宏  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 菊池 智紀
清水 正一
発明の名称 MMTにおけるダウンロード可能なCAS又はDRMのためのメッセージを送受信する方法及び装置  
代理人 実広 信哉  
代理人 木内 敬二  
代理人 崔 允辰  
代理人 阿部 達彦  
代理人 実広 信哉  
代理人 阿部 達彦  
代理人 木内 敬二  
代理人 崔 允辰  
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