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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F25D
管理番号 1359427
審判番号 不服2018-6651  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-15 
確定日 2020-02-06 
事件の表示 特願2014- 82905号「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月16日出願公開、特開2015-203525号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年4月14日の出願に出願された特願2014-82905号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成29年 8月 4日 :拒絶理由通知
平成29年 9月27日 :意見書、手続補正書
平成30年 2月 7日 :拒絶査定
平成30年 5月15日 :審判請求
平成31年 4月 8日 :拒絶理由通知
令和 元年 5月30日 :意見書、手続補正書(以下、この手続補正書
による手続補正を「本件補正」という。)
令和 元年 6月26日 :審尋
令和 元年 8月29日 :回答書

第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「前面に開口部を有する本体と、前面に透光性を有する扉前面板を有し前記開口部を開閉する扉と、前記扉前面板の前面に設けられた操作部と、前記扉前面板の後方の前記操作部に対向する位置に設けられ静電容量の変化を検出する検出部と、前記操作部を照明する光源とを備え、
前記検出部は、前記光源から放出された光が透過して前記操作部へ導出する透光孔を前記操作部に対向する位置に備え、
前記光源が、前記検出部の後方における前記透光孔と対向しない位置に設けられている
冷蔵庫。」

第3 拒絶の理由
平成31年4月8日の当審が通知した拒絶理由は、概略、次のとおりのものである。
(理由)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1:引用文献等 1、2?5
・請求項2:引用文献等 1、2?5
・請求項3:引用文献等 1、2?6
<引 用 文 献 等 一 覧>
1.国際公開第2014/030526号
2.特開2013-110057号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2012-74343号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2008-186373号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2010-113665号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2012-53725号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1
(1) 引用文献1に記載された事項
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、参考のために当審で付した。以下同じ。)。
「前面に開口部を有する本体と、
前面に透光性を有する扉前面板を有し前記開口部を開閉する扉と、
前記扉前面板の前面に設けられた操作領域と、
前記操作領域内に設けられた操作部と、
前記操作部を後方から照明する光源と、
前記光源の点灯状態を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記光源の点灯時に前記操作部に対する操作を有効にし、前記光源の消灯時に前記操作部に対する操作を無効にする冷蔵庫。」(請求の範囲[請求項1])
「発明が解決しようとする課題
上記した構成のものでは、使用者は、操作パネルの操作部を見ても、操作が可能か否か判断できない。
そこで、操作部の操作が可能か否かをわかりやすくすることができる冷蔵庫を提供する。」([0004])
「図3及び図4に示すように、操作パネルユニット19は、表示用フィルム23を有している。表示用フィルム23は、操作パネルユニット19の前面に設けられている。表示用フィルム23は、複数この場合5個の操作部24と、複数の表示部25と、を有している。5個の操作部24は、操作領域20の後方に位置している。表示部25は、表示領域21の後方に位置している。これら操作部24および表示部25は、いわゆる抜き文字印刷によって形成されている。つまり、表示用フィルム23は、操作部24および表示部25の部分において透光性を有し、操作部24および表示部25以外の部分において遮光性を有している。操作部24および表示部25は、表示用フィルム23の後方から光源を発光させることで、扉前面板13に映し出される。一方、操作部24および表示部25は、表示用フィルム23の後方から光源を発光させない状態では、扉前面板13に映し出されない。」([0015])
「操作パネルユニット19は、図4に示すタッチ検出用シート27を有している。タッチ検出用シート27は、表示用フィルム23の裏側に設けられている。タッチ検出用シート27は、5個のタッチ検出部28と、1個のタッチ検出部29を有している。タッチ検出部28、29は、静電容量式のタッチセンサである。5個のタッチ検出部28は、それぞれ5個の操作部24の後方に位置している。1個のタッチ検出部29は、第2操作部22の後方に位置している。
タッチ検出部28は、操作部24に対応している。タッチ検出部28は、操作部24の外形に対応して円形状に形成されている。タッチ検出部29は、第2操作部22に対応している。タッチ検出部29は、第2操作部22に対応した形状、例えるなら野球のホームベース形状に形成されている。タッチ検出部28および29は、それぞれ透光性を有する透明電極で構成されている。」([0022]?[0023])
「制御部35は、タッチ検出用シート27のタッチ検出部28、29と、使用者の例えば指との間の静電容量の変化を検出することにより、使用者のタッチ操作を検出する。この場合、制御部35は、操作領域20のうち、第2操作部22に対応する部分に人の手指が触れるまたは近接すると、静電容量の変化に基づき、第2操作部22が操作されたことを検出する。そして、制御部35は、操作部24に対応する光源32の点灯状態を制御する。」([0026])
「操作表示装置17は、操作パネルユニット19を有している。操作パネルユニット19は、操作部24および表示部25を設けた表示用フィルム23と、タッチ検出部28を設けたタッチ検出用シート27と、操作部24および表示部25を照明する光源32、33を設けた回路基板31と、をユニット化したものである。操作表示装置17は、操作パネルユニット19を、扉7の収容部18にスライドにより収容配置して構成されている。これによれば、操作部24および表示部25と、これらを照明する光源32、33の位置がずれることを防止できる。」([0048])



(2) 以上の記載事項を総合し、操作部に着目すると、引用文献1は、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「前面に開口部を有する本体と、
前面に透光性を有する扉前面板を有し前記開口部を開閉する扉と、
前記扉前面板の前面に設けられた操作領域と、
前記操作領域内に設けられた操作部と、
前記操作部を後方から照明する光源と、
前記光源の点灯状態を制御する制御手段と、を備え、
前記操作部は、その後方に、タッチ検出用シートのタッチ検出部を位置させ、前記タッチ検出部は、透光性を有する透明電極で構成され、
前記タッチ検出用シートのタッチ検出部と、使用者の指との間の静電容量の変化を検出することにより、使用者のタッチ操作を検出する、
冷蔵庫。」
2 引用文献2
(1) 引用文献2に記載された事項
引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
タッチ操作を受け付けるスイッチ操作部と、
前記スイッチ操作部の内部に埋設され、光透過不能な非透光性材料により形成されるとともに、光透過可能な透光孔を有する導電性の静電容量検出用の電極板と、
前記透光孔を介して前記スイッチ操作部に光を照射する光源と、
前記電極板の周囲全体を取り囲むように前記スイッチ操作部の内部に埋設され、ノイズ遮断性及び光反射性を有するシールド兼用反射板と、
を備えたことを特徴とするスイッチ装置。」(特許請求の範囲)
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の従来のタッチスイッチは、タッチ操作面の視認性を向上させるために、複数の構成部品を重ね合わせた構造を有するタッチ検知部の背後から照射する発光部の光取り出し効率を向上させる必要があり、タッチ操作面を効率的に照明させることが必要である。しかも、タッチ操作面の効率的な照明が低コストで実現されなければならない。
【0006】
本発明の目的は、低コストであり、タッチ操作面に効率的に光を照射させることを可能としたスイッチ装置を提供することにある。」
「【0015】
このケース2内のスイッチ操作部3と対向する部位には、図1に示すように、配線基板5が配置されている。この配線基板5には、発光ダイオード6(以下、単に『LED6』という。)が搭載されている。このLED6は、スイッチ操作部3の樹脂成形体4を介してスイッチ操作面を背面照射する光源として用いられる。」
「【0020】
(電極板及びシールド兼用反射板の構成)
この実施の形態に係るスイッチ装置1の主要な基本構成は、スイッチ操作部3の内部に、静電容量検出用の電極板8と、シールド及び光反射の共通化が図られた形態を有するシールド兼用反射板9とを備えたことにある。従って、上記スイッチ装置1の構成は、限定されるものではない。
【0021】
この実施の形態にあっては、電極板8とシールド兼用反射板9とは、図1に示すように、スイッチ操作部3を成形するための成形型内に収納した状態で、成形型内に溶融樹脂を注入することでモールドした樹脂成形体4に一体に形成されている。
【0022】
この樹脂成形体4の背面側に配置された配線基板5には、図示しない静電検出回路やコンデンサ等が回路パターンを介して接続されている。この静電検出回路は、手指がスイッチ操作部3のスイッチ操作面に近接又は接触したことに応じて手指及び電極板8の相互間で発生するコンデンサ容量の変化を検出するようになっている。
【0023】
この電極板8は、特に限定されるものではないが、例えば銅などの導電性の金属材により形成されており、電極板8の一側端縁部には、金属材を折り曲げたリード8aが形成されている。このリード8aには、配線基板5に搭載されたコネクタ10が電気的に接続されている。
【0024】
この電極板8のLED6と対応する中間部には、図1?図3に示すように、LED6からの光をスイッチ操作部3のスイッチ操作面に向けて照射するための円形の透光孔8bが貫通して形成されている。この透光孔8bの面積を電極板8の面積に比べて小さく設定することが好適である。これにより、コンデンサ容量の低下率が小さく抑えられる。
【0025】
この電極板8の他の一例としては、例えば電極板8の全域に複数の透光孔8b,…,8bを均等に形成することができる。これにより、スイッチ操作部3のスイッチ操作面を満遍なく照明することもできる。」



(2) 以上の記載事項を総合し、スイッチ装置に着目すると、引用文献2は、以下の技術的事項(以下「引2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「スイッチ装置において、タッチ操作を受け付けるスイッチ操作部と、スイッチ操作部に対向する位置に光透過可能な透光孔を有する導電性の静電容量検出用の電極板と、前記透光孔を介して前記スイッチ操作部に光を照射する光源とを備えること。」
3 引用文献3
(1) 引用文献3に記載された事項
引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0025】
図3は、図1および図2に示す誘導加熱調理器1の筺体の前側フランジ部とトッププレート3との間の構成を示す図1の線Z-Zに沿った断面図であり、この前側フランジ部とトッププレート3との間に前記火力表示マーク51、火力操作スイッチ兼表示マーク53、操作スイッチマーク55およびこれらのマークを構成する表示機能部および上述した静電容量検知スイッチからなる操作スイッチ制御機能部が構成されるものである。
【0026】
図3において、符号11は、誘導加熱調理器1の上述した筺体の前側の枠体を示すものであり、この前側枠体11の上端は、図3で左側に折曲し、更に誘導加熱調理器の筺体の前方に延出して、前側フランジ部13を構成している。この前側フランジ部13と誘導加熱調理器1のトッププレート3との間に上述した各マーク51、53、55、57の内部構造を構成する表示機能部と静電容量検知スイッチを含む操作スイッチ制御機能部が設けられている。なお、前側フランジ部13の先端寄りの部分には、金属製の支持部材39が取り付けられ、この支持部材39の先端には、シリコンなどからなる周縁部材21が被せられ、これにより支持部材39の先端を外部に露出しないようになっている。
【0027】
まず、トッププレート3の下面には、非導電性のスパッタにより半透明層15が形成され、この半透明層15の下面には不透明な非導電性の塗装膜37が形成され、この不透明な塗装膜37によりトッププレート3の下方の内部が見えないようになっている。なお、この塗装膜37に上述した火力表示マーク51の『矩形』や火力操作スイッチ兼表示マーク53の『とろ火』『弱火』『中火』『強火』なる文字が抜き孔などにより形成され、この抜き孔に対して下方から光で当てることにより、これらの『矩形』や『とろ火』『弱火』『中火』『強火』なる文字が照明表示されることになっている。また、この塗装膜37の下面に前記支持部材39および周縁部材21の上面が当接し、これにより塗装膜37、半透明層15を介してトッププレート3を前側フランジ部13で支持している。
【0028】
更に、前記塗装膜37の下面には、例えば導電塗料の印刷焼き付けなどにより形成される第1の導電体23が設けられ、この第1の導電体23の下面は、フレキシブル基板などからなる可撓性のある光透過性の電気絶縁基板25を介して銅薄膜などからなる第2の導電体27が設けられている。電気絶縁基板25および第2の導電体27は、トッププレート3の下面に沿って平行に筺体内に向かって延出してから、下方に折曲し延出しているが、第2の導電体27の下端は、誘導加熱調理器の制御部35に接続されている。なお、電機絶縁基板25を間に挟んだ第1の導電体23と第2の導電体27とにより上述した操作スイッチ制御機能部の静電容量検知スイッチを構成している。
【0029】
また、第2の導電体27の下面には、薄板状の光拡散板29が取り付けられ、この光拡散板29の下面には、導光部材31が取り付けられている。この導光部材31は、前記第2の導電体27に寄り添うようにトッププレート3の下面に沿って平行に筺体内に向かって延出してから、下方に折曲し延出しているが、この導光部材31の下端には、光源である発光ダイオード、すなわちLED33が近接して設けられ、このLED33からの光が導光部材31の下端から導光部材31内に入射し、導光部材31内を伝播して、前側フランジ部13で支持されているトッププレート3の真下の導光部材31の先端まで進み、この導光部材31の先端部分の上面に取り付けられている光拡散板29にLED33からの光が入射するようになっている。光拡散板29は、導光部材31を介したLED33からの光を受光すると、この光を上方に拡散するようになっている。
【0030】
図3において、塗装膜37には、抜き孔などの開口部である2個の光透過部37aおよび光透過部37bが形成されているが、図3は図1の線Z-Zに沿った断面図であって、この光透過部37aは、図1に示す火力操作スイッチ兼表示マーク53の『弱火』なる文字を示すための開口部であり、光透過部37bは、火力表示マーク51の左から4番目の『矩形』を示すための開口部である。
【0031】
まず、火力操作スイッチ兼表示マーク53を構成する表示機能部および静電容量検知スイッチからなる操作スイッチ制御機能部について説明する。火力操作スイッチ兼表示マーク53の表示機能部は、光透過部37aの下側の第1の導電体23にも同様に抜き孔などの開口部からなる光透過部23aが形成されているが、この第1の導電体23の光透過部23aは、『弱火』なる文字の形の抜き孔などを第1の導電体23に形成して構成されるものである。
【0032】
また、第1の導電体23の光透過部23aの下方、すなわち第1の導電体23の下面の電気絶縁基板25を介した光透過部23aの下方の第2の導電体27にも同様に抜き孔などの開口部である光透過部27aが形成されている。この第2の導電体27の光透過部27aも、光透過部23aと同様に、『弱火』なる文字の形の抜き孔などを第2の導電体27に形成して構成されるものであるが、光透過部27aで形成される『弱火』なる文字の形の抜き孔は光透過部23aのものよりも若干大きく相似形に形成されている。
【0033】
このように『弱火』なる文字の抜き孔が相似形に形成された第1の導電体23の光透過部23aおよび第2の導電体27の光透過部27aに対して、前記LED33からの光が導光部材31を伝播して光拡散板29に入射して上方に拡散されると、この光は、光透過部27aを通過し、更に透光性の電気絶縁基板25を透過してから、光透過部23a、光透過部37aを通過し、半透明層15を透過し、トッププレート3も通過し、トッププレート3の上方に出射するので、ユーザはトッププレート3の上方から『弱火』なる文字が照明表示されたことを認識することができる。
【0034】
なお、このLED33からの光による『弱火』なる文字の表示は、制御部35の制御により行われるものである。すなわち、後述するように、この『弱火』の火力操作スイッチ兼表示マーク53を構成している静電容量検知スイッチがユーザの指などの近接または接触を検知し、この検知信号に応答して制御部が作動し、LED33からの光による『弱火』なる文字の表示を行うものである。
【0035】
この光透過部23aおよび光透過部27aで構成される『弱火』なる文字表示部分は、この『弱火』なる文字の火力操作スイッチ兼表示マーク53のうちの火力操作スイッチ部分である静電容量検知スイッチも構成しているものであり、この『弱火』なる文字表示部分に対してユーザが指などをトッププレート3の上方から近接または接触させると、この近接または接触を静電容量検知スイッチが静電容量の変化として検知し、この検知信号により制御部35が作動し、対応する誘導加熱コイルの火力を『弱火』に設定するとともに、上述したように、『弱火』なる文字を表示するものであるが、この静電容量検知スイッチは、電気絶縁基板25を挟んだ光透過部23aを構成する第1の導電体23と光透過部27aを構成する第2の導電体27とで構成される。
【0036】
更に詳しくは、『弱火』なる文字の抜き孔は、例えば15mm角程度の矩形の第1の導電体23と第2の導電体27に形成されているものであるが、この矩形の第1の導電体23と第2の導電体27の『弱火』なる文字として抜かれた部分以外のその他の残っている部分の第1の導電体23と第2の導電体27とが電気絶縁基板25を挟んで静電容量の両電極として機能して静電容量検知スイッチを構成しているものである。従って、この『弱火』なる文字部分に対してユーザが指などをトッププレート3の上方から近接または接触させると、この近接または接触により電気絶縁基板25を挟んだ『弱火』なる文字として抜かれた部分以外の矩形の第1の導電体23と第2の導電体27の間の静電容量が変化するので、この静電容量の変化を静電容量検知スイッチが検知するものである。
【0037】
すなわち、光透過部37aの下側の光透過部23aと光透過部27aの第1の導電体23および第2の導電体27は、電気絶縁基板25を挟んで静電容量検知スイッチとしても機能して、『弱火』なる文字へのユーザの指などの近接または接触を検知するとともに、この検知に応じて制御部35が光透過部23aと光透過部27aからなる『弱火』なる文字をLED33の光で下方から照明して表示するとともに、誘導加熱コイルの火力を『弱火』に設定するものである。」



(2) 以上の記載事項を総合すると、引用文献3は、以下の技術的事項(以下「引3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「火力操作スイッチ兼表示マーク53を構成している静電容量検知スイッチにおいて、前記静電容量検知スイッチは、電気絶縁基板25を間に挟んだ第1の導電体23と第2の導電体27とにより構成され、前記第1の導電体23の下面は、フレキシブル基板などからなる可撓性のある光透過性の第2の導電体27が設けられ、前記第2の導電体27の下面には、薄板状の光拡散板29が取り付けられ、この光拡散板29の下面には、導光部材31が取り付けられ、この導光部材31の下端には、光源であるLED33が近接して設けられ、火力操作スイッチ兼表示マーク53の表示機能部は、光透過部37aの下側の前記第1の導電体23に『弱火』なる文字の形の抜き孔などの開口部からなる光透過部23aが形成され、光透過部23aと同様に、『弱火』なる文字の形の抜き孔などを前記第2の導電体27に形成されること。」
4 引用文献4
(1) 引用文献4に記載された事項
引用文献4には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0031】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る携帯用電子の第1実施形態を、図1から図5を参照して説明する。なお、本実施形態では、携帯用電子機器の一例として、電子辞書を例に挙げて説明する。
本実施形態の電子辞書1は、図1から図3に示すように、ケース本体2と、LED(発光素子)3、4と、拡散板(光案内部)5と、遮光膜6と、静電パッド7と、表示部8と、制御部9とを備えている。
ケース本体2は、プラスチックやアルミ等の金属材料により薄型の箱状に形成されている。このケースの上面には、LED3、4から発光された光が透過する光透過面2aと、上記表示部8を保護するカバーガラス2bとが隣接した状態で設けられている。また、光透過面2a上には、所定の鍵盤配列(キーボード配列)でパターニングされてキーKを表示する遮光膜6が設けられている。具体的にこの遮光膜6は、図4に示すように、キーKを白抜きした状態で光透過面2a上に印刷されたものである。なお、本実施形態では、キーKの一例としてアルファベットキーを例に挙げている。
【0032】
また、ケース本体2内には、図2に示すように、制御部9、メモリ11やLED3、4等が実装された基板12、拡散板5、静電パッド7、表示部8及び乾電池13が内蔵されている。
制御部9は、CPU等の演算処理部、電子辞書1としての各種プログラム等が記憶されているROM、一時記憶媒体であるRAM、表示部8の制御を行う表示制御部等を有している。そして制御部9は、静電パッド7から送られてくる信号に基づいて、各構成品を総合的に制御して電子辞書1として各種機能を作動させるようになっている。
【0033】
静電パッド7は、光透過面2aに対向するように配されており、遮光膜6によって表示されたキーKに指先が触れた際に変化する静電容量の変化に基づいて、指先の位置を検出している。つまり、どのキーKが指先でタッチされたかを検出している。具体的に説明すると、静電パッド7は、キーKに対向するように鍵盤配列に沿って配された図示しない電極を有している。そして、指先がキーKに触れると、導体である指先と電極との間で静電誘導が発生して静電容量が変化する。これにより、静電パッド7はどのキーKがタッチされたかを検出している。また、静電パッド7は、制御部9に信号を出力しており、タッチされたキーKを制御部9に知らせている。
また、本実施形態の静電パッド7には、複数の図示しない貫通孔が形成されており、該貫通孔を通じて光が通過するようになっている。
【0034】
表示部8は、LCD(Liquid Crystal Display)等の液晶表示器であり、カバーガラス2bの内側に位置した状態で設けられている。この表示部8は、制御部9の表示制御部によって制御されており、指先が触れたキーKを表示(アルファベット表示)したり、その他各種情報(例えば、辞書の内容、単語の検索内容、乾電池13の残量等)を表示したりするようになっている。
上記LED3、4は、制御部9によって作動が制御されており、一方のLED3は光透過面2aを発光するLEDとされ、他方のLED4は表示部8を背面から照明するバックライトとして機能するLEDとされている。そして両LED3、4は、基板12上にそれぞれ2つずつ実装されており、静電パッド7及び表示部8の下方に位置するように配置されている。
【0035】
上記拡散板5は、光透過面2aとLED3との間に設けられ、LED3から発せられた光L1を拡散させながら光透過面2aに対して均等な光量で案内している。この拡散板5は、例えば、ガラス内に乳白色の光拡散物質を分散させたものであり、一面側から入射した光L1を内部で拡散させた後、他面側から光透過面2aに向けて出射させている。また、本実施形態の拡散板5は、静電パッド7の下方に位置するように設けられている。なお、拡散板5から出射された光L1は、静電パッド7の貫通孔を通過した後、光透過面2aに入射するようになっている。
一方、LED4から発せられた光L2は、直接表示部8の背面に入射するようになっており、表示部8のバックライトとして機能する。」



(2) 以上の記載事項を総合すると、引用文献4は、以下の技術的事項(以下「引4記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「ケース本体2と、LED(発光素子)3、4と、拡散板(光案内部)5と、遮光膜6と、静電パッド7と、表示部8と、制御部9とを備えた電子辞書において、ケースの上面には、LED3、4から発光された光が透過する光透過面2aと、上記表示部8を保護するカバーガラス2bとが隣接した状態で設けられ、静電パッド7は、光透過面2aに対向するように配されており、静電パッド7には、複数の貫通孔が形成されており、該貫通孔を通じて光が通過するようになっていること。」
5 引用文献5
(1) 引用文献5に記載された事項
引用文献5には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0020】
(第1の実施形態)
図1は本発明のインターフェイス部材及びインターフェイス部材を有する携帯型電子機器の第1の実施形態のインターフェイス部側の外観図を示す図である。図1(a)はインターフェイス部材であり、図1(b)は前記インターフェイス部材を有する携帯型電子機器である。
【0021】
本実施形態のインターフェイス部材は、例えば図1(b)に示すように携帯型電子機器の表示画面102等が配置された筺体のインターフェイス部101に使用されるインターフェイス部材であって、図1(a)に示すように光の透過率の低い表示層1と、前記表示層1の入力操作位置103の裏側に部分的に設けられた半鏡面層2と、を備え、周辺光の照度が例えば標準的な室内照度等より大きい所定値以上等、照度が高い場合に前記半鏡面層2による反射光5により前記入力操作位置103を表現(表示)するように構成されている。
【0022】
この構成により通常の屋内等の使用環境における周辺照度では、光の透過率の低い表示層1によって、図1(b)の点線で示すように入力操作位置103を携帯型電子機器のインターフェイス部の内部を隠してデザイン性を高めるとともに、屋外等のように前記所定値以上の高い周辺照度では、光の反射性を有する半鏡面層2により周辺光を反射し、その反射光で入力操作位置103を浮き出させる。
【0023】
また、周辺光の照度が低い場合は発振素子4を発光させ半鏡面層2の裏面側にのみ光を照射することにより、光の透過性を有する半鏡面層2を介して透過光をインターフェイス部101に出力して入力操作位置103を浮き出させることができる。
【0024】
このためのより具体的なインターフェイス部材としては、各半鏡面層2の裏面側にユーザーの操作を検出するセンサ3と、前記センサ3の裏面側に発光素子4とを配置した構成とすることができる。ここで、センサ3は発光素子4からの光の透過性を有する薄型センサや、光学的な開口を有するセンサ等とすると好適である。」



(2) 以上の記載事項を総合すると、引用文献5は、以下の技術的事項(以下「引5記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「インターフェイス部材において、ユーザーの操作を検出するセンサ3と、前記センサ3の裏面側に発光素子4とを配置し、センサ3は発光素子4からの光の透過性を有する薄型センサや、光学的な開口を有するセンサ等とすること。」

第5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、各文言の意味、機能または作用等からみて、後者の「前面」、「開口部」、「本体」、「扉前面板」、「扉」、「操作部」、「後方から照明する」、「光源」、「タッチ検出部」、「静電容量式」、及び「冷蔵庫」は、それぞれ前者の「前面」、「開口部」、「本体」、「扉前面板」、「扉」、「操作部」、「照明する」、「光源」、「検出部」、「静電容量の変化を検出する」、及び「冷蔵庫」に相当する。
また、引用発明は、「扉前面板の前面に設けられた操作領域」と「操作領域内に設けられた操作部」とを備えているから、操作部の後方に位置するタッチ検出部は扉前面板の後方であることは明らかであり、引用発明の「タッチ検出部」は、「タッチ検出用シートのタッチ検出部と、使用者の指との間の静電容量の変化を検出することにより、使用者のタッチ操作を検出する」ものである。
そうすると、引用発明の「前記操作部は、その後方に、タッチ検出用シートのタッチ検出部を位置させ」ることは、本願発明の「前記扉前面板の後方の前記操作部に対向する位置に設けられ静電容量の変化を検出する検出部」を有することに相当する。
さらに、引用発明が「操作部を後方から照明する光源」を備え、「操作部は、その後方に、タッチ検出用シートのタッチ検出部を位置させ」ているから、光源から放出された光は透明電極で構成されたタッチ検出部を透過して操作部へ導出され、タッチ検出部は、光が透過する部分を有していることは明らかである。
そうすると、引用発明の「タッチ検出部は、透光性を有する透明電極で構成させ」られた態様は、本願発明の「検出部は、前記光源から放出された光が透過して前記操作部へ導出する透光孔を前記操作部に対向する位置に備え」る態様と、「検出部は、前記光源から放出された光が透過して前記操作部へ導出する部位を前記操作部に対向する位置に備え」る限りで一致する。
そうすると、両者は、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

<一致点>
「前面に開口部を有する本体と、前面に透光性を有する扉前面板を有し前記開口部を開閉する扉と、前記扉前面板の前面に設けられた操作部と、前記扉前面板の後方の前記操作部に対向する位置に設けられ静電容量の変化を検出する検出部と、前記操作部を照明する光源とを備え、
前記検出部は、前記光源から放出された光が透過して前記操作部へ導出する部位を前記操作部に対向する位置に備える、
冷蔵庫。」

<相違点>
光を透過させて操作部へ導出させる検出部の部位について、本願発明は、「透光孔」とされ、さらに、「光源が、前記検出部の後方における前記透光孔と対向しない位置に設けられ」とされているのに対して、引用発明は、「透光性を有する透明電極」の光が透過する部分である点。

第6 判断
そこで、上記相違点について、以下に検討する。
上記引2記載事項における、「スイッチ操作部に対向する位置に光透過可能な透光孔を有する導電性の静電容量検出用の電極板と、前記透光孔を介して前記スイッチ操作部に光を照射する光源とを備えること」、上記引3記載事項における、「火力操作スイッチ兼表示マーク53を構成している静電容量検知スイッチにおいて、前記静電容量検知スイッチは、電気絶縁基板25を間に挟んだ第1の導電体23と第2の導電体27とにより構成され」て、「第2の導電体27の下面には、薄板状の光拡散板29が取り付けられ、この光拡散板29の下面には、導光部材31が取り付けられ、この導光部材31の下端には、光源であるLED33が近接して設けられ、火力操作スイッチ兼表示マーク53の表示機能部は、光透過部37aの下側の前記第1の導電体23に『弱火』なる文字の形の抜き孔などの開口部からなる光透過部23aが形成され、光透過部23aと同様に、『弱火』なる文字の形の抜き孔などを前記第2の導電体27に形成されること。」、上記引4記載事項における、「静電パッド7は、光透過面2aに対向するように配されており、静電パッド7には、複数の貫通孔が形成されており、該貫通孔を通じて光が通過するようになっていること」、上記引5記載事項における、「インターフェイス部材において、ユーザーの操作を検出するセンサ3と、前記センサ3の裏面側に発光素子4とを配置し、センサ3は発光素子4からの光の透過性を有する薄型センサや、光学的な開口を有するセンサ等とすること」の各記載事項の各部材配置からみて、「電気機器の操作部に対向する位置に設けられた静電容量の変化を検出する検出部と、前記操作部を照明する光源とを備えたものにおいて、前記検出部が、前記光源から放出された光を透過させて前記操作部へ導出する透光孔を前記操作部に対向する位置に備える」という構成は、本願出願前に周知の技術的事項(以下「周知技術」という。)と認められる。
そうすると、引用発明と上記周知技術とは、電気機器の操作部という技術分野の関連性を有し、さらに、電気機器の操作部に対向する位置に設けられ静電容量の変化を検出する検出部と、前記操作部を照明する光源とを備えるという機能の共通性をも有するものである。
よって、引用発明において、光を透過させて操作部へ導出させる部分を備え、透光性を有する透明電極に代えて、上記周知技術の検出部に置換することには動機付けがあるといえる。
また、上記周知技術を採用するにあたり、透光孔と光源との配置の関係は、設ける透光孔の数や透光孔の配置を考慮し、当業者が適宜なし得る設計事項と認められる。
例えば、上記周知技術を示す文献として提示された引用文献2の段落【0025】に記載されているように、LEDによる均一照明は、従来より図られていることであり、また、同じく引用文献3の図3には、LED33を文字の抜き穴と対向しない位置に設けた点が示されており、透光孔と対向させずにLEDからの光を間接的に用いることは、必要な設計の範囲内のものであり、当然に着想し得ることである。
そうすると、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の特定事項を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本願発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た範囲のものである。
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、請求人は、令和元年6月26日の審尋に対して、令和元年8月29日の回答書において、補正案を示し、以下のように主張する。
「補正案の請求項1は、光源の中心が、検出部の後方における検出部と前後に対向する位置であって、かつ、透光孔と対向しない位置に設けられている点を特徴としています。」(「5.補正案について」参照。)
しかしながら、光源の中心が、透光孔と対向しない位置に設けられたと特定しても、上記相違点の判断に影響を与えるものとは認められないので、当審は、拒絶理由を通知する必要性を認めなかった。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-26 
結審通知日 2019-12-03 
審決日 2019-12-17 
出願番号 特願2014-82905(P2014-82905)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F25D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金丸 治之関口 勇  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 山崎 勝司
槙原 進
発明の名称 冷蔵庫  
代理人 有近 康臣  
代理人 蔦田 正人  
代理人 中村 哲士  
代理人 富田 克幸  
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