• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1359437
審判番号 不服2018-13748  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-16 
確定日 2020-02-06 
事件の表示 特願2016-185767号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月15日出願公開、特開2016-209768号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月19日に出願した特願2013-56379号の一部を平成28年9月23日に新たな特許出願としたものであって、平成29年8月15日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月20日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年2月9日付けで最後の拒絶の理由の通知がなされ、同年4月17日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年30年7月10日付けで、同年4月17日になされた手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。


第2 平成30年10月16日提出の手続補正書による補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年10月16日提出の手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成29年10月20日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示中に複数種類の特定演出のいずれかを実行可能な特定演出実行手段と、
可変表示に関する情報を保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
保留記憶情報に対応して第1の表示態様と第2の表示態様とのいずれかにより保留表示を表示する保留表示手段と、
前記決定手段による決定前に、前記有利状態に制御されるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果にもとづいて、前記判定手段の判定の対象となった保留表示である対象保留表示について、前記第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる保留予告演出を実行する保留予告演出実行手段と、
前記特定演出の実行にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を非表示状態とする非表示制御を実行し、前記特定演出の終了にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を表示状態とする表示制御を実行する保留表示制御手段と
を備え、
前記保留記憶情報が生じたタイミングにて前記非表示制御が実行されている場合には、前記保留予告演出を実行せず、該非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留予告演出を実行可能であり、
前記非表示制御が終了して前記表示制御が実行されることにもとづいて、前記第1の表示態様で保留表示を表示し、
複数種類の前記特定演出のうちいずれが実行されるかに応じて、前記非表示状態となる期間が異なり、
前記非表示状態となる期間に対応する前記特定演出の実行期間に応じて、当該特定演出が実行される可変表示にもとづいて前記有利状態に制御される割合が異なり、
前記非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留予告演出を実行することになっている場合に、該保留予告演出の実行前に前記有利状態に制御されるときには、該保留予告演出を実行しない
ことを特徴とする遊技機。」
は、平成30年10月16日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における、
「【請求項1】
可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示中に複数種類の特定演出のいずれかを実行可能な特定演出実行手段と、
可変表示に関する情報を保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
保留記憶情報に対応して第1の表示態様と第2の表示態様とのいずれかにより保留表示を表示する保留表示手段と、
前記決定手段による決定前に、前記保留記憶手段に記憶されている保留記憶情報に基づく可変表示に対応して前記有利状態に制御されるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果にもとづく保留予告演出として、判定対象となった保留記憶情報に対応する保留表示を前記第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる保留表示予告演出を実行する保留予告演出実行手段と、
前記特定演出の実行にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を非表示状態とする非表示制御を実行し、前記特定演出の終了にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を表示状態とする表示制御を実行する保留表示制御手段と、
を備え、
前記保留予告演出実行手段は、前記保留記憶情報が生じたタイミングにて前記非表示制御が実行されているときには前記保留表示予告演出を実行せず、該非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留表示予告演出を実行可能であり、
前記保留表示手段は、前記非表示制御が終了して前記表示制御が実行されることにもとづいて、前記第1の表示態様で保留表示を表示し、
複数種類の前記特定演出のうちいずれが実行されるかに応じて、前記非表示状態となる期間が異なり、
前記非表示状態となる期間に対応する前記特定演出の実行期間に応じて、当該特定演出が実行される可変表示にもとづいて前記有利状態に制御される割合が異なり、
前記保留予告演出実行手段は、前記非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留表示予告演出を実行することになっている場合に、該保留表示予告演出の実行前に前記有利状態に制御されるときには、該保留表示予告演出を実行せず、
前記特定演出実行手段は、前記特定演出に対応して、可変表示中に操作手段を動作させる演出を実行可能であり、
前記保留予告演出実行手段は、
前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行可能であり、
前記非表示制御が実行されていることに対応して前記保留表示予告演出を実行しないときには、前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行しない
ことを特徴とする遊技機。」
に補正がなされた(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。)。

上記補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「判定手段」の「判定」について、「保留記憶手段に記憶されている保留記憶情報に基づく可変表示に対応し」たものに限定し、
「保留予告演出実行手段」が「実行する」「保留予告演出」について、「保留表示予告演出」に特定するとともに、「第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる」「保留表示」を「保留記憶情報に対応する」ものに特定し、
「前記非表示制御が終了して前記表示制御が実行されることにもとづいて、前記第1の表示態様で保留表示を表示」する主体を「保留表示手段」に限定し、
「前記保留記憶情報が生じたタイミングにて前記非表示制御が実行されている場合には」「実行せず、」「該非表示制御が実行された可変表示の終了後に」「実行可能であ」る「保留予告演出」を「保留表示予告演出」に限定するとともに、当該「実行」の主体を「前記保留予告演出実行手段」に限定し、
「前記特定演出実行手段」について、「前記特定演出に対応して、可変表示中に操作手段を動作させる演出を実行可能であ」るものに限定するとともに、
「前記保留予告演出実行手段」について、
「前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行可能であり、
前記非表示制御が実行されていることに対応して前記保留表示予告演出を実行しないときには、前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行しない」
ものに限定したものである。

さらに、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、上記補正は特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして、本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書の【0009】、【0010】、【0223】、【0234】、【0240】、【0497】、【0522】及び【0594】等に基づいたものであり、新規事項を追加するものではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

2 独立特許要件について
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成30年10月16日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1) 本願補正発明
本願補正発明は、上記「1 補正の内容」においても示した次のとおりのものである(A?Pは、当審にて分説して付与した。)。

(本願補正発明)
「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
C 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示中に複数種類の特定演出のいずれかを実行可能な特定演出実行手段と、
D 可変表示に関する情報を保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
E 保留記憶情報に対応して第1の表示態様と第2の表示態様とのいずれかにより保留表示を表示する保留表示手段と、
F 前記決定手段による決定前に、前記保留記憶手段に記憶されている保留記憶情報に基づく可変表示に対応して前記有利状態に制御されるか否かを判定する判定手段と、
G 前記判定手段の判定結果にもとづく保留予告演出として、判定対象となった保留記憶情報に対応する保留表示を前記第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる保留表示予告演出を実行する保留予告演出実行手段と、
H 前記特定演出の実行にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を非表示状態とする非表示制御を実行し、前記特定演出の終了にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を表示状態とする表示制御を実行する保留表示制御手段と、
を備え、
I 前記保留予告演出実行手段は、前記保留記憶情報が生じたタイミングにて前記非表示制御が実行されているときには前記保留表示予告演出を実行せず、該非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留表示予告演出を実行可能であり、
J 前記保留表示手段は、前記非表示制御が終了して前記表示制御が実行されることにもとづいて、前記第1の表示態様で保留表示を表示し、
K 複数種類の前記特定演出のうちいずれが実行されるかに応じて、前記非表示状態となる期間が異なり、
L 前記非表示状態となる期間に対応する前記特定演出の実行期間に応じて、当該特定演出が実行される可変表示にもとづいて前記有利状態に制御される割合が異なり、
M 前記保留予告演出実行手段は、前記非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留表示予告演出を実行することになっている場合に、該保留表示予告演出の実行前に前記有利状態に制御されるときには、該保留表示予告演出を実行せず、
N 前記特定演出実行手段は、前記特定演出に対応して、可変表示中に操作手段を動作させる演出を実行可能であり、
O 前記保留予告演出実行手段は、
O1 前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行可能であり、
O2 前記非表示制御が実行されていることに対応して前記保留表示予告演出を実行しないときには、前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行しない
P ことを特徴とする遊技機。」

(2) 引用文献に記載された事項
ア 引用文献1(特開2011-115329号公報)
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願遡及日前に公知となった特開2011-115329号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【0001】
本発明は、複数の識別情報による変動表示ゲームを表示可能な変動表示装置と、該変動表示ゲームを実行させるための始動権利を始動記憶として所定の上限数の範囲内で記憶可能な始動記憶手段と、を備え、該変動表示ゲームの結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機に関する。」

(イ)「【0032】
本実施形態の遊技機10は前面枠12を備え、該前面枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ13を介して開閉回動可能に組み付けられている。
・・・
【0034】
また、前面枠12の下部には、図示しない打球発射装置に遊技球を供給する上皿21、遊技機10の裏面側に設けられている球払出装置から払い出された遊技球が流出する上皿球出口22、上皿21が一杯になった状態で払い出された遊技球を貯留する下皿23及び打球発射装置の操作部24等が設けられている。さらに、上皿21の上縁部には、遊技者からの操作入力を受け付けるための操作スイッチを内蔵した演出ボタン25が設けられている。さらに、前面枠12下部右側には、前面枠12を開放したり施錠したりするための鍵26が設けられている。」

(ウ)「【0059】
遊技制御装置100は、始動入賞口36若しくは普通変動入賞装置37への入賞、又はそれらの始動記憶に基づいて、特図表示器(変動表示装置)51又は52で第1又は第2特図変動表示ゲームを行う。第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームは、複数の特別図柄(特図、識別情報)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置41にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。そして、特図変動表示ゲームの結果として、特図1表示器51若しくは特図2表示器52の表示態様が特別結果態様となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となる。また、これに対応して表示装置41の表示態様も特別結果態様となる。
【0060】
表示装置41における飾り特図変動表示ゲームは、例えば前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)が左(第一特別図柄)、右(第二特別図柄)、中(第三特別図柄)の順に変動表示を開始して、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。また、表示装置41では、特図始動記憶数に対応する飾り特別図柄による変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のためにキャラクタの出現など多様な演出表示が行われる。
【0062】
また、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、且つ、始動記憶数が0の状態で、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶されて、始動記憶数が1加算されるととともに、直ちに始動記憶に基づいて、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算される。一方、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に第1若しくは第2特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶されることになる。そして、始動記憶数が1以上となった状態で、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始される。以下の説明においては、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。
・・・
【0064】
図3は、本実施形態のパチンコ遊技機10の制御システムのブロック図である。遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU部110と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバなどを有する出力部130、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140などからなる。
・・・
【0070】
遊技用マイコン111は、CPU(中央処理ユニット:マイクロプロセッサ)111A、読出し専用のROM(リードオンリメモリ)111B及び随時読出し書込み可能なRAM(ランダムアクセスメモリ)111Cを備える。
・・・
【0072】
また、ROM111Bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターン(変動態様)を決定するための変動パターンテーブルを記憶している。変動パターンテーブルとは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数1?3をCPU111Aが参照して変動パターンを決定するためのテーブルである。また、変動パターンテーブルには、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターンテーブル、結果が15R当りや2R当りとなる場合に選択される大当り変動パターンテーブル等が含まれる。さらに、これらのパターンテーブルには、後半変動パターンテーブル、前半変動パターンテーブルが含まれている。
・・・
【0074】
よって、例えば、特図変動表示ゲームに対応して表示装置に表示される飾り特図変動表示ゲームが、表示装置における左、中、右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報を変動表示した後、左、右、中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合、左、右の変動表示領域で、特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報)で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。またこの他に、すべての変動表示領域の変動表示を一旦停止した時点で、左、中、右のうち何れか二つの変動表示領域で特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報となった状態、ただし特別結果態様は除く)をリーチ状態とし、このリーチ状態から残りの一つの変動表示領域を変動表示するようにしても良い。そして、このリーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様が導出される可能性が異なる(信頼度が異なる)リーチ演出として、ノーマルリーチ、スペシャル1リーチ(SP1リーチ)、スペシャル2リーチ(SP2リーチ)、スペシャル3リーチ(SP3リーチ)等が設定されている。なお、信頼度は、リーチなし<ノーマルリーチ<スペシャル1リーチ<スペシャル2リーチ<スペシャル3リーチの順に高くなるようになっている。また、このリーチ状態は、少なくとも特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出される場合(大当りとなる場合)における変動表示態様に含まれるようになっている。即ち、特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されないと判定する(はずれとなる)場合における変動表示態様に含まれることもある。よって、リーチ状態が発生した状態は、リーチ状態が発生しない場合に比べて大当りとなる可能性の高い状態である。
【0075】
CPU111Aは、ROM111B内の遊技制御用プログラムを実行して、払出制御装置200や演出制御装置300に対する制御信号(コマンド)を生成したりソレノイドや表示装置の駆動信号を生成して出力して遊技機10全体の制御を行う。また、図示しないが、遊技用マイコン111は、特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数や大当りの図柄を決定するための大当り図柄用乱数、特図変動表示ゲームでの変動パターン(各種リーチやリーチ無しの変動表示における変動表示ゲームの実行時間等を含む)を決定するための変動パターン乱数、普図変動表示ゲームの当り判定用乱数等を生成するための乱数生成回路と、発振回路113からの発振信号(原クロック信号)に基づいてCPU111Aに対する所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号や乱数生成回路の更新タイミングを与えるクロックを生成するクロックジェネレータを備えている。
【0076】
また、CPU111Aは、後述する特図ゲーム処理における始動口スイッチ監視処理(ステップA1)や特図普段処理(ステップA9)にて、ROM111Bに記憶されている複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを取得する。具体的には、CPU111Aは、特図変動表示ゲームの遊技結果(大当り或いははずれ)や、現在の遊技状態としての特図変動表示ゲームの確率状態(通常確率状態或いは高確率状態)、現在の遊技状態としての普通変動入賞装置37の動作状態(通常動作状態或いは時短動作状態)、始動記憶数などに基づいて、複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを選択して取得する。ここで、CPU111Aは、特図変動表示ゲームを実行する場合に、ROM111Bに記憶された複数の変動パターンテーブルのうち、何れか一の変動パターンテーブルを取得する変動振り分け情報取得手段をなす。」

(エ)「【0102】
次に、これらの制御回路において行われる遊技制御について説明する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111Aでは、普図始動ゲート34に備えられたゲートスイッチ34aからの遊技球の検出信号の入力に基づき、普図の当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。そして、普図表示器53に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する普図変動表示ゲームを表示する処理を行う。この普図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、普図表示器53に特別の結果態様を表示するとともに、普電ソレノイド37cを動作させ、普通変動入賞装置37の開閉部材37b、37bを所定時間(例えば、0.3秒間)上述のように開放する制御を行う。なお、普図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、普図表示器53にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
【0103】
また、始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動入賞(始動記憶)を記憶し、この始動記憶に基づき、第1特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第1特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。また、普通変動入賞装置37に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動記憶を記憶し、この始動記憶に基づき、第2特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第2特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行う。
・・・
【0105】
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、特図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52に特別結果態様を表示するとともに、特別遊技状態を発生させる処理を行う。特別遊技状態を発生させる処理においては、CPU111Aは、例えば、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉扉38cを開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う。そして、大入賞口に所定個数(例えば、10個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定時間(例えば、25秒又は1秒)が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これを所定ラウンド回数(例えば、15回又は2回)継続する(繰り返す)制御(サイクル遊技)を行う。また、特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52にはずれの結果態様を表示する制御を行う。」

(オ)「【0148】
そして、大当り乱数をRWMの乱数セーブ領域にセーブし(ステップA217)、次に、対応する大当り図柄乱数をRWMの乱数セーブ領域にセーブするとともに、その大当り図柄乱数をレジスタに退避する(ステップA218)。次に、対応する変動パターン乱数1をロード(変動パターン乱数1を抽出)し、ロードした値をRWMの乱数セーブ領域にセーブし(ステップA219)、次に、対応する変動パターン乱数2をロード(変動パターン乱数2を抽出)し、ロードした値をRWMの乱数セーブ領域にセーブし(ステップA220)、次に、対応する変動パターン乱数3をロード(変動パターン乱数3を抽出)し、ロードした値をRWMの乱数セーブ領域にセーブする(ステップA221)。ここで、RWM(RAM111C)は、始動入賞口36や普通変動入賞装置37の始動領域への遊技球の流入に基づいて各種乱数を抽出し、該抽出された各種乱数を始動記憶として所定の上限数まで記憶可能な始動記憶手段をなす。なお、始動記憶手段は、変動表示ゲームを実行させるための始動権利を始動記憶として所定の上限数の範囲内で記憶可能な手段であるとも言える。
・・・
【0151】
〔特図保留情報判定処理〕
次に、上述の始動口スイッチ共通処理における特図保留情報判定処理(ステップA223)の詳細について説明する。特図保留情報判定処理は、対応する始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に当該始動記憶に対応した結果関連情報の判定を行う先読み処理である。
・・・
【0153】
ステップA234にて、大当り中でない(ステップA234;No)と判定すると、取得した大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かに応じて大当りであるか否かを判定する大当り判定処理(ステップA235)を行う。」

(カ)「【0162】
すなわち、遊技制御装置100が、始動記憶として記憶された乱数値を、当該始動記憶に対応する変動表示ゲームの実行前に事前に判定する事前判定手段をなす。なお、始動記憶に対応して記憶された乱数値を事前に判定する時期は、当該始動記憶が発生した始動入賞時だけではなく、当該始動記憶に基づく変動表示ゲームが行われる前であればいつでもよい。また、事前判定は、遊技を制御する遊技制御装置100で行っても良いし、演出を制御する演出制御装置300で行っても良い。さらに、両方で行っても良い。また、特定の結果態様(例えば、特別結果態様)となることを事前判定するものでも良いし、リーチ結果態様となることを事前判定するものでも良いし、両方でも良い。なお、判定は大当りを決定するための乱数値や変動パターンを決定するための乱数値を判定するが、該乱数値により決定された停止結果態様や変動パターンを判定するものでもよい。
・・・
【0164】
図13には、表示装置41での表示態様を示した。図13(a)に示すように、識別情報を表示する領域の下方には、特図始動記憶に対応した飾り特図始動記憶表示を表示する飾り特図始動記憶表示領域610が設定されている。この飾り特図始動記憶表示領域は、最も左側に現在実行中の特図変動表示ゲームに対応する特図始動記憶についての飾り特図始動記憶表示600を表示する実行中表示領域611が設けられている。そして、この実行中表示領域611の右方に未だ特図変動表示ゲームを実行していない特図始動記憶に対応した飾り特図始動記憶表示600を表示する未実行表示領域612が設けられている。
・・・
【0166】
未実行表示領域612の飾り特図始動記憶表示600は、一の特図始動記憶に対応して一つの表示がなされるものであって、記憶された順に左側から表示される。すなわち、左端の飾り特図始動記憶表示600が最先の(最も古い)特図始動記憶に対応するものである。そして、最先の特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームが開始されると、対応する左端の飾り特図始動記憶表示600が実行中表示領域611へ移動して変化するとともに、未だ消化されていない特図始動記憶に対応する飾り特図始動記憶表示600が左方へ順次移動して表示される。
【0167】
また、図13(b)に示す未実行表示領域612での右端の飾り特図始動記憶表示のように、未実行表示領域612の飾り特図始動記憶表示において、事前判定手段の判定結果に基づいて表示態様を通常とは異なる予告表示態様で表示することで特図変動表示ゲームの結果を示唆することが可能とされている。
【0168】
図13(c)に示すように、未実行表示領域612での飾り特図始動記憶表示600の表示態様には四種類の表示態様があり、白色の丸印で示す通常表示態様と、黒色の丸印で示す第1予告表示態様と、白色の星印で示す第2予告表示態様と、黒色の星印で示す第3予告表示態様とがある。これらの表示態様は、対応する特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されて特別遊技状態となる可能性や特定のリーチとなる可能性が異なる(信頼度が異なる)ものである。」

(キ)「【0172】
・・・このSPリーチ(スペシャルリーチ)は、ノーマルリーチよりも実行時間が長いものである。また、ノーマルリーチよりも大当りが発生する場合に選択される確率が高い(信頼度が高い)。さらに、スペシャルリーチには、スペシャル1リーチ(SP1リーチ)、スペシャル2リーチ(SP2リーチ)、スペシャル3リーチ(SP3リーチ)のように、複数種類のスペシャルリーチが含まれる。
・・・
【0174】
また、図14、図15には、飾り特図始動記憶表示領域610を非表示とする非表示状態となる所定のリーチで、非表示状態において予告表示態様で表示される特図始動記憶が発生した場合を示した。なお、図15に示した(a)から(e)の表示は、図14の(a)から(e)に対応している。また、図14(a)から(e)は表示装置41における表示を示したものであって、これらの表示は遊技制御装置100からの情報に基づき演出制御装置300が制御するものである。
【0175】
特図変動表示ゲームが開始されると、特図1表示器51での識別情報の変動表示及び表示装置41での飾り特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動表示が開始される(図15のt1)。そして、図14(a)に示すように、特図変動表示ゲームの開始から所定時間後にリーチ状態となり(図15のt2)、図14(b)に示すように、リーチ状態の開始から所定時間後(例えば、ノーマルリーチからSPリーチに発展する際)に飾り特図始動記憶表示領域610が非表示とされる非表示状態となる(図15のt3)。この非表示状態(例えば、SPリーチ中)では、背景画像が変更されたりキャラクタ620が登場したり、効果音(音楽や動作音など)が出力されたりする演出がなされる。すなわち、演出制御装置300が、変動表示ゲームにおける演出態様の変化に応じて変動表示装置に表示されている始動記憶を非表示状態に変更する記憶表示非表示化手段をなす。
【0176】
そして、図14(c)に示すように、非表示状態において予告表示態様とされる特図始動記憶が発生した場合(図15のt4)、このタイミングでは予告表示態様の表示や効果音の出力を行わない。その後、図14(d)に示すように、特図変動表示ゲームの結果がはずれの結果態様で仮停止し、図14(e)に示すように非表示状態が終了する(図15のt5)。なお、仮停止の状態は、識別情報の変動表示が終了しておらず結果態様を表示する状態ではない。よって、この後に識別情報が変化する可能性がある状態である。この仮停止の状態を示すために、識別情報は上下に揺れるように表示される。」

(ク)「【0200】
以上のことから、複数の識別情報による変動表示ゲームを表示可能な変動表示装置(表示装置41)と、該変動表示ゲームを実行させるための始動権利を始動記憶として所定の上限数の範囲内で記憶可能な始動記憶手段(遊技制御装置100)と、を備え、該変動表示ゲームの結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる遊技機において、始動記憶を変動表示装置に表示させる記憶表示制御手段(遊技制御装置100、演出制御装置300)と、始動記憶手段に記憶された始動記憶に対応する変動表示ゲームの結果を当該変動表示ゲームの実行前に事前に判定する事前判定手段(遊技制御装置100)と、始動記憶が発生した場合に、事前判定手段の判定結果に基づいて、記憶表示制御手段で表示される始動記憶の表示態様を通常とは異なる表示態様で表示することで変動表示ゲームの結果を示唆可能な予告手段(演出制御装置300)と、変動表示ゲームにおける演出態様の変化に応じて変動表示装置に表示されている始動記憶を非表示状態に変更する記憶表示非表示化手段(演出制御装置300)と、を備え、予告手段は、予告対象となる始動記憶が発生した際には、その旨を報知可能な補助演出を行う予告演出手段(演出制御装置300)を含み、予告演出手段は、記憶表示非表示化手段により始動記憶が非表示状態となっている間に予告対象となる始動記憶が発生した場合には、該記憶表示非表示化手段により始動記憶の非表示状態が解除されてから、補助演出を実行するようにしたこととなる。」

(ケ)「【0227】
図21には、飾り特図始動記憶表示領域610を非表示とする非表示状態となる所定のリーチで、非表示状態において予告表示態様で表示される特図始動記憶が発生した場合を示した。なお、図21(a)は、非表示状態の終了直前において特図変動表示ゲームの結果がはずれの結果態様で仮停止している状態であり、この状態は図14(d)と同じ状態である。また、これ以前の表示態様は図14(a)から(d)に示す表示態様と同様である。
【0228】
図21(a)に示すように、非表示状態において特図変動表示ゲームの結果がはずれの結果態様で仮停止した後、図21(b)に示すように非表示状態が終了する。なお、ここでは実行中表示領域611を省略している。本変形例の遊技機では、図21(b)に示す非表示状態の終了直後においては、非表示状態で発生した特図始動記憶が予告表示態様で表示されるものであっても通常表示態様で表示する(図中に予告対象と示す飾り特図始動記憶表示600)。
【0229】
そして、図21(c)に示すように、非表示状態の終了後に特図始動記憶が発生(始動入賞が発生)して飾り特図始動記憶表示600が表示される際に、非表示状態において発生した特図始動記憶が予告表示態様で表示されるものであった場合には、飾り特図始動記憶表示600が予告表示態様に変化する。また、予告表示態様に変化する場合には補助演出として効果音が出力される。なお、図21(c)は、非表示状態を発生した特図変動表示ゲームの次の特図変動表示ゲームの実行中を示しており、図21(b)の未実行表示領域612で左端に表示された飾り特図始動記憶表示600に対応する特図始動記憶が消化されている状態である。よって、非表示状態で発生した特図始動記憶(図中に予告対象と示す飾り特図始動記憶表示600)は左方に一つずれて表示されている。」

(コ)非表示状態で予告対象の特図始動記憶が発生した場合におけるタイムチャートである図15から、タイミングt3?タイミングt5は、飾り特図始動記憶表示が非表示状態である態様を看て取ることができる。

(サ)同図15から、非表示状態が終了し飾り特図始動記憶表示の表示タイミング(t5)の後に特図変動表示ゲームが停止(t6)する態様を看て取ることができる。

【図15】



そして、上記記載事項(ア)?(ケ)及び図面に記載された事項(コ)?(サ)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?pは、本願補正発明のA?Pに対応させて当審にて付与した。また、丸括弧内に示された段落番号は、引用文献1における引用箇所を示す。)。

(引用発明)
「a 複数の識別情報による変動表示ゲームを表示可能な変動表示装置を備え、該変動表示ゲームの結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技者にとって有利な特別遊技状態(大当り状態)(【0059】)を発生させる遊技機に関し(【0001】)、

b 遊技機10は、遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技用マイコン111を有するCPU部110などからなり(【0064】)、
遊技用マイコン111は、CPU111A、読出し専用のROM111B及び随時読出し書込み可能なRAM111Cを備え(【0070】)、
遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111Aは(【0102】)、
始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動入賞(始動記憶)を記憶し、この始動記憶に基づき、第1特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行い(【0103】)、
また、普通変動入賞装置37に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動記憶を記憶し、この始動記憶に基づき、第2特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理を行い(【0103】)、
第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称し(【0062】)、
遊技制御装置100のCPU111Aは、特図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、特別遊技状態を発生させる処理を行い(【0105】)、

c ROM111Bは、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターン(変動態様)を決定するための変動パターンテーブルを記憶し(【0072】)、
変動パターンテーブルとは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数をCPU111Aが参照して変動パターンを決定するためのテーブルであり、変動パターンテーブルには、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターンテーブル、結果が15R当りや2R当りとなる場合に選択される大当り変動パターンテーブル等が含まれ(【0072】)、
リーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様が導出される可能性が異なる(信頼度が異なる)リーチ演出として、ノーマルリーチ、スペシャル1リーチ(SP1リーチ)、スペシャル2リーチ(SP2リーチ)、スペシャル3リーチ(SP3リーチ)等が設定され(【0074】)、
遊技用マイコン111は、特図変動表示ゲームでの変動パターン(各種リーチやリーチ無しの変動表示における変動表示ゲームの実行時間等を含む)を決定するための変動パターン乱数等を生成するための乱数生成回路を備え(【0075】)、
CPU111Aは、特図変動表示ゲームの遊技結果(大当り或いははずれ)などに基づいて、複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを選択して取得し(【0076】)、

d 始動入賞口36や普通変動入賞装置37の始動領域への遊技球の流入に基づいて各種乱数を抽出し、該抽出された各種乱数を始動記憶として所定の上限数まで記憶可能な始動記憶手段をなし、変動表示ゲームを実行させるための始動権利を始動記憶として所定の上限数の範囲内で記憶可能な手段であるRWM(RAM111C)を備え(【0148】)、

e 表示装置41には、特図始動記憶に対応した飾り特図始動記憶表示を表示する飾り特図始動記憶表示領域610が設定され(【0164】)、
飾り特図始動記憶表示領域610は、未だ特図変動表示ゲームを実行していない特図始動記憶に対応した飾り特図始動記憶表示600を表示する未実行表示領域612が設けられ(【0164】)、
未実行表示領域612の飾り特図始動記憶表示600は、一の特図始動記憶に対応して一つの表示がなされるものであって(【0166】)、
未実行表示領域612での飾り特図始動記憶表示600の表示態様には、白色の丸印で示す通常表示態様と、黒色の丸印で示す第1予告表示態様と、白色の星印で示す第2予告表示態様と、黒色の星印で示す第3予告表示態様とがあり(【0168】)、
これらの表示態様は、対応する特図始動記憶に基づく特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されて特別遊技状態となる可能性や特定のリーチとなる可能性が異なる(信頼度が異なる)ものであり(【0168】)、

f 遊技制御装置100は、始動記憶として記憶された乱数値を、当該始動記憶に対応する変動表示ゲームの実行前に事前に判定する事前判定手段をなし(【0162】)、
始動記憶に対応して記憶された乱数値を事前に判定する時期は、当該始動記憶が発生した始動入賞時で(【0162】)、
判定は大当りを決定するための乱数値や変動パターンを決定するための乱数値を判定し(【0162】)、取得した大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かに応じて大当りであるか否かを判定する大当り判定処理(ステップA235)を行い(【0153】)、

g 始動記憶が発生した場合に、事前判定手段の判定結果に基づいて、始動記憶の表示態様を通常とは異なる表示態様で表示することで変動表示ゲームの結果を示唆可能な予告手段(演出制御装置300)を備え(【0200】)、
未実行表示領域612の飾り特図始動記憶表示600は、一の特図始動記憶に対応して一つの表示がなされるものであって(【0166】)、
未実行表示領域612の飾り特図始動記憶表示において、事前判定手段の判定結果に基づいて表示態様を通常とは異なる予告表示態様で表示することで特図変動表示ゲームの結果を示唆することが可能とされ(【0167】)、

h 遊技制御装置100からの情報に基づき演出制御装置300が制御するものであって(【0174】)、
飾り特図始動記憶表示領域610を非表示とする非表示状態となる、ノーマルリーチからSPリーチ(SP1?SP3リーチ)(【0074】、【0172】)に発展(【0175】)する所定のリーチについて(【0174】)、
特図変動表示ゲームが開始されると、特図1表示器51での識別情報の変動表示及び表示装置41での飾り特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動表示が開始され(t1)、特図変動表示ゲームの開始から所定時間後にリーチ状態となり(t2)、リーチ状態の開始から所定時間後(ノーマルリーチからSPリーチに発展する際)に飾り特図始動記憶表示領域610が非表示とされる非表示状態となり(t3)(【0175】)、
SPリーチ(スペシャルリーチ)(【0172】)中(タイミングt3?タイミングt5)は、非表示状態であり(【0175】、図15)、
非表示状態において特図変動表示ゲームの結果がはずれの結果態様で仮停止した後、非表示状態が終了し(【0228】)、
非表示状態が終了し飾り特図始動記憶表示の表示タイミング(t5)の後に特図変動表示ゲームが停止(t6)し(図15)、

ij 飾り特図始動記憶表示領域610を非表示とする非表示状態となる所定のリーチで(【0227】)、非表示状態において予告表示態様とされる特図始動記憶が発生した場合(t4)、このタイミングでは予告表示態様の表示を行わず(【0227】、【0176】)、
非表示状態において特図変動表示ゲームの結果がはずれの結果態様で仮停止した後、非表示状態が終了し(【0228】)、
非表示状態の終了直後においては、非表示状態で発生した特図始動記憶が予告表示態様で表示されるものであっても通常表示態様で表示し(【0228】)、
非表示状態を発生した特図変動表示ゲームの次の特図変動表示ゲームの実行中で、非表示状態の終了後に特図始動記憶が発生(始動入賞が発生)して飾り特図始動記憶表示600が表示される際に、非表示状態において発生した特図始動記憶が予告表示態様で表示されるものであった場合には、飾り特図始動記憶表示600が予告表示態様に変化し(【0229】)、

k SP1リーチ、SP2リーチ、SP3リーチが含まれるSPリーチ(スペシャルリーチ)(【0172】)中(タイミングt3?タイミングt5)は、飾り特図始動記憶表示領域610が非表示とされる非表示状態であり(【0175】、図15)、

l 大当りが発生する場合に選択される確率である信頼度(【0172】)は、SP1リーチ<SP2リーチ<SP3リーチの順に高くなり(【0074】)、

no1o2 遊技者からの操作入力を受け付けるための操作スイッチを内蔵した演出ボタン25が設けられた(【0034】)、

p 遊技機10(【0032】)。」

イ 引用文献2(特開2013-27610号公報)
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願遡及日前に公知となった特開2013-27610号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

(ア)「【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

(イ)「【0129】
図6は、あらかじめ用意された演出図柄の変動パターンを示す説明図である。図6に示すように、この実施の形態では、可変表示結果が「はずれ」であり演出図柄の可変表示態様が「非リーチ」である場合に対応した変動パターンとして、非リーチPA1-1?非リーチPA1-4の変動パターンが用意されている。また、可変表示結果が「はずれ」であり演出図柄の可変表示態様が「リーチ」である場合に対応した変動パターンとして、ノーマルPA2-1?ノーマルPA2-2、ノーマルPB2-1?ノーマルPB2-2、スーパーPA3-1?スーパーPA3-2、スーパーPB3-1?スーパーPB3-2の変動パターンが用意されている。なお、図6に示すように、リーチしない場合に使用され擬似連の演出を伴う非リーチPA1-4の変動パターンについては、再変動が1回行われる。リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2-1を用いる場合には、再変動が1回行われる。また、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2-2を用いる場合には、再変動が2回行われる。さらに、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、スーパーPA3-1?スーパーPA3-2を用いる場合には、再変動が3回行われる。なお、再変動とは、演出図柄の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦はずれとなる演出図柄を仮停止させた後に演出図柄の可変表示を再度実行することである。
【0130】
また、図6に示すように、この実施の形態では、特別図柄の可変表示結果が大当り図柄または小当り図柄になる場合に対応した変動パターンとして、ノーマルPA2-3?ノーマルPA2-4、ノーマルPB2-3?ノーマルPB2-4、スーパーPA3-3?スーパーPA3-4、スーパーPB3-3?スーパーPB3-4、特殊PG1-1?特殊PG1-3、特殊PG2-1?特殊PG2-2の変動パターンが用意されている。なお、図6において、特殊PG1-1?特殊PG1-3、特殊PG2-1?特殊PG2-2の変動パターンは、突然確変大当りまたは小当りとなる場合に使用される変動パターンである。また、図6に示すように、突然確変大当りまたは小当りでない場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2-3を用いる場合には、再変動が1回行われる。また、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、ノーマルPB2-4を用いる場合には、再変動が2回行われる。さらに、リーチする場合に使用され擬似連の演出を伴う変動パターンのうち、スーパーPA3-3?スーパーPA3-4を用いる場合には、再変動が3回行われる。また、突然確変大当りまたは小当りの場合に使用され擬似連の演出を伴う特殊PG1-3の変動パターンについては、再変動が1回行われる。
【0131】
なお、この実施の形態では、図6に示すように、リーチの種類に応じて変動時間が固定的に定められている場合(例えば、擬似連ありのスーパーリーチAの場合には変動時間が32.75秒で固定であり、擬似連なしのスーパーリーチAの場合には変動時間が22.75秒で固定である)を示しているが、例えば、同じ種類のスーパーリーチの場合であっても、合算保留記憶数に応じて、変動時間を異ならせるようにしてもよい。例えば、同じ種類のスーパーリーチを伴う場合であっても、合算保留記憶数が多くなるに従って、変動時間が短くなるようにしてもよい。また、例えば、同じ種類のスーパーリーチの場合であっても、第1特別図柄の変動表示を行う場合には、第1保留記憶数に応じて、変動時間を異ならせるようにしてもよく、第2特別図柄の変動表示を行う場合には、第2保留記憶数に応じて、変動時間を異ならせるようにしてもよい。この場合、第1保留記憶数や第2保留記憶数の値ごとに別々の判定テーブルを用意しておき(例えば、保留記憶数0?2用の変動パターン種別判定テーブルと保留記憶数3,4用の変動パターン種別判定テーブルとを用意しておき)、第1保留記憶数または第2保留記憶数の値に応じて判定テーブルを選択して、変動時間を異ならせるようにしてもよい。


(ウ)「【0174】
図11(A),(B)は、ROM54に記憶されている当り変動パターン判定テーブル137A?137Bを示す説明図である。当り変動パターン判定テーブル137A?137Bは、可変表示結果を「大当り」や「小当り」にする旨の判定がなされたときに、大当り種別や変動パターン種別の決定結果などに応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム3)にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。各当り変動パターン判定テーブル137A?137Bは、変動パターン種別の決定結果に応じて、使用テーブルとして選択される。すなわち、変動パターン種別をノーマルCA3-1?ノーマルCA3-2、スーパーCA3-3のいずれかにする旨の決定結果に応じて当り変動パターン判定テーブル137Aが使用テーブルとして選択され、変動パターン種別を特殊CA4-1、特殊CA4-2のいずれかにする旨の決定結果に応じて当り変動パターン判定テーブル137Bが使用テーブルとして選択される。各当り変動パターン判定テーブル137A?137Bは、変動パターン種別に応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム3)の値と比較される数値(判定値)であって、演出図柄の可変表示結果が「大当り」である場合に対応した複数種類の変動パターンのいずれかに対応するデータ(判定値)を含む。
・・・
【0176】
図12は、ROM54に記憶されているはずれ変動パターン判定テーブル138Aを示す説明図である。はずれ変動パターン判定テーブル138Aは、可変表示結果を「はずれ」にする旨の判定がなされたときに、変動パターン種別の決定結果に応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム3)にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。はずれ変動パターン判定テーブル138Aは、変動パターン種別の決定結果に応じて、使用テーブルとして選択される。

(エ)あらかじめ用意された演出図柄の変動パターンを示す説明図である図6から、
可変表示結果が大当りの場合、変動パターンと、リーチ演出、特図変動時間(秒)の関係が、それぞれ
スーパーPB3-3:スーパーA、22.75秒
スーパーPB3-4:スーパーB、25.50秒
であり、可変表示結果がはずれの場合は、
スーパーPB3-1:スーパーA、22.75秒
スーパーPB3-2:スーパーB、25.50秒
である態様を看て取ることができる。

(オ)当り変動パターン判定テーブルを示す説明図である図11のうち図11(A)より、
当り変動パターン判定テーブル137Aにおいて、
スーパーPB3-3 の判定値は661?800(判定値数140)であり、
スーパーPB3-4 の判定値は801?997(判定値数197)である態様を看て取ることができる。

(カ)はずれ変動パターン判定テーブルを示す説明図である図12より、
はずれ変動パターン判定テーブル138Aにおいて、
スーパーPB3-1 の判定値は561?900(判定値数340)であり、
スーパーPB3-2 の判定値は901?997(判定値数97)である態様を看て取ることができる。

そして、上記記載事項(ア)?(ウ)、図面に記載された事項(エ)?(カ)を総合すると、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2に記載の事項」という。)が記載されていると認められる(丸括弧内に示された段落番号は、引用文献2における引用箇所を示す。)。

(引用文献2に記載の事項)
「あらかじめ用意された演出図柄の変動パターンは、可変表示結果が「はずれ」であり演出図柄の可変表示態様が「リーチ」である場合に対応した変動パターンとして、スーパーPB3-1?スーパーPB3-2の変動パターンが用意され(【0129】)、
特別図柄の可変表示結果が大当り図柄または小当り図柄になる場合に対応した変動パターンとして、スーパーPB3-3?スーパーPB3-4の変動パターンが用意され(【0130】)、
可変表示結果を「大当り」や「小当り」にする旨の判定がなされたときに、大当り種別や変動パターン種別の決定結果などに応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム3)にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである、当り変動パターン判定テーブル137A?137B(【0174】)を有し、
可変表示結果を「はずれ」にする旨の判定がなされたときに、変動パターン種別の決定結果に応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム3)にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである、はずれ変動パターン判定テーブル138A(【0176】)を有し、
リーチの種類に応じて変動時間が固定的に定められ(【0131】)、変動パターンと、リーチ演出、特図変動時間(秒)の関係は、それぞれ
スーパーPB3-3:スーパーリーチA、22.75秒
スーパーPB3-4:スーパーリーチB、25.50秒
であり、可変表示結果がはずれの場合は、
スーパーPB3-1:スーパーリーチA、22.75秒
スーパーPB3-2:スーパーリーチB、25.50秒
であり(図6)、
当り変動パターン判定テーブル137Aにおいて、
スーパーPB3-3 の判定値は661?800(判定値数140)であり、スーパーPB3-4 の判定値は801?997(判定値数197)であり(図11(A))、
はずれ変動パターン判定テーブル138Aにおいて、
スーパーPB3-1 の判定値は561?900(判定値数340)であり、
スーパーPB3-2 の判定値は901?997(判定値数97)である(図12)、
パチンコ遊技機1(【0029】)。」

ウ 引用文献3(特開2012-24273号公報)
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願遡及日前に公知となった特開2012-24273号公報(以下、「引用文献3」という。)には、「遊技機」に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【0015】
そして、図柄変動ゲームにおいて第1特図表示器H0又は第2特図表示器H1では、複数種類の特別図柄(以下、「特図」と示す場合がある)を1列で変動させて特図を表示する。この特図は、大当りか否かなどの内部抽選の結果を示す報知用の図柄である。以下、第1特図表示器H0で行われる図柄変動ゲームを「第1の変動ゲーム(第1図柄変動ゲーム)」と示し、第2特図表示器H1で行われる図柄変動ゲームを「第2の変動ゲーム(第2図柄変動ゲーム)」と示す場合がある。一方、図柄変動ゲームに係わる表示演出において可変表示器H2では、複数種類の飾り図柄(以下、「飾図」と示す場合がある)を複数列(本実施形態では、3列)で変動させて各列毎に飾図を表示する。この飾図は、表示演出を多様化するために用いられる演出用の図柄である。」

(イ)「【0061】
次に、パチンコ遊技機10の制御構成について図4に基づき説明する。
パチンコ遊技機10の機裏側には、パチンコ遊技機10全体を制御する主制御基板30が装着されている。主制御基板30は、パチンコ遊技機10全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて遊技を制御するための各種の制御信号(制御コマンド)を演算処理し、該制御信号(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、統括制御基板31と、表示制御基板32と、ランプ制御基板33と、音声制御基板34とが装着されている。統括制御基板31は、主制御基板30が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、表示制御基板32、ランプ制御基板33及び音声制御基板34を統括的に制御する。表示制御基板32は、主制御基板30と統括制御基板31が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、可変表示器H2の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)を制御する。また、ランプ制御基板33は主制御基板30と統括制御基板31が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、装飾ランプ16の発光態様(点灯(点滅)/消灯のタイミングなど)を制御する。また、音声制御基板34は、主制御基板30と統括制御基板31が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、スピーカ17の音声出力態様(音声出力のタイミングなど)を制御する。」

(ウ)「【0077】
次に、図4に基づき統括制御基板31について説明する。
統括制御基板31には、統括CPU31aが備えられている。該統括CPU31aには、ROM31b及びRAM31cが接続されている。また、統括CPU31aは、各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値をRAM31cの設定領域に記憶(設定)して更新前の値を書き換えている。また、ROM31bには、表示制御基板32、ランプ制御基板33及び音声制御基板34を統括的に制御するための統括制御プログラムが記憶されている。統括CPU31aは、各種制御コマンドを入力すると、当該統括制御プログラムに基づき各種制御を実行する。 次に、図4に基づき表示制御基板32について説明する。
【0078】
表示制御基板32には、サブCPU32aが備えられている。該サブCPU32aには、ROM32b及びRAM32cが接続されている。また、表示制御基板32(サブCPU32a)には、可変表示器H2が接続されている。ROM32bには、可変表示器H2の表示内容を制御するための表示制御プログラムが記憶されている。また、ROM32bには、各種の画像データ(図柄、各種背景画像、文字、キャラクタなどの画像データ)が記憶されている。また、RAM32cには、パチンコ遊技機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が記憶(設定)されるようになっている。」

(エ)「【0139】
また、サブCPU32aは、始動保留画像指定コマンドを入力した場合、当該コマンドに応じて特図始動保留記憶数を示すデータを記憶し、特図始動保留記憶数を示す始動保留画像を可変表示器H2に表示させる制御を行う。
【0140】
本実施形態では、保留予告演出が実行される。保留予告演出とは、特図始動保留記憶数を示す始動保留画像を、通常時における青色とは異なる緑色、赤色、金色の表示態様で表示させることによって、その特図始動保留記憶数における大当り期待度を示唆する演出である。また、この保留予告演出を実行することで大当り期待度を示唆することとなるが、その大当り期待度を示唆する対象となる変動ゲームを示唆対象図柄変動ゲームと称することがある。このように保留予告演出は、大当り期待度を示唆する示唆対象ゲームを指定(特定可能)な演出である。また、保留予告演出は、連続する複数回の変動ゲームを跨り実行可能な連続予告演出である。」

(オ)「【0168】
ステップS205において、統括CPU31aは、オフセット値に対応する保留予告演出パターンを示す保留予告演出パターンテーブルを参照し、決定したオフセット値に対応する保留予告演出パターンを決定する。また、統括CPU31aは、一つのオフセット値に対して、複数種類の保留予告演出パターンが対応付けられている場合には、複数種類の保留予告演出パターンの何れか一つを決定することとなる。
【0169】
保留予告演出パターンとは、始動保留画像の表示態様を示すパターンであり、保留予告演出パターンに基づいて始動保留画像の表示態様を変更させることがある。具体的には、示唆対象図柄変動ゲームの保留予告演出パターンは、示唆対象図柄変動ゲームの入賞時から示唆対象図柄変動ゲームの実行が開始される迄の始動保留画像の表示態様を示している。なお、この間においては、変動ゲーム毎に始動保留画像の表示態様が変更可能となっている。」

(カ)「【0188】
本実施形態において、第1の変動ゲームにおける保留予告演出の実行時に、大当り遊技が付与される場合、その大当り遊技の種類によって、保留予告演出の実行を中止させる。このために、統括CPU31aによって実行される予告演出中止制御処理について図17に基づき以下に説明する。統括CPU31aは、予告演出中止制御処理を所定周期毎に実行するようになっている。
・・・
【0190】
ステップS253において、統括CPU31aは、特定の大当り遊技であるか否かを判定する。なお、本実施形態において、特定の大当り遊技とは、第1の変動ゲームにおける15R特別確変大当り遊技、15R通常確変大当り遊技、15R非確変大当り遊技が相当し、特定の大当り遊技ではない非特定の大当り遊技は、第1の変動ゲームにおける2R確変大当り遊技が相当する。また、この処理において、統括CPU31aは、大当りとなった変動ゲームでの特図の種類によって、特定の大当り遊技であるか否かを判定することとなる。この判定結果が肯定の場合(特定の大当り遊技である)、統括CPU31aは、ステップS255に処理を移す。一方、この判定結果が否定の場合(特定の大当り遊技ではない)、統括CPU31aは、当選時における状態が確変状態、入球率向上状態の何れかが付与されていたか否かを判定する(ステップS254)。ステップS254の判定結果が肯定の場合(確変状態、入球率向上状態の何れかが付与されていた)、統括CPU31aは、ステップS255に処理を移す。一方、ステップS254の判定結果が否定の場合(確変状態、入球率向上状態の何れも付与されていなかった)、統括CPU31aは、予告演出中止制御処理を終了する。
【0191】
ステップS255において、統括CPU31aは、未だ実行されていない保留中の図柄変動ゲームのうち、判定の対象となる図柄変動ゲーム(示唆対象図柄変動ゲーム)があるか否かを判定する。特に、統括CPU31aは、未だ実行されていない保留中の図柄変動ゲームに、先読みフラグが設定されている場合、示唆対象図柄変動ゲームがあると判定することとなる。ステップS255の判定結果が否定の場合(未実行図柄変動ゲームのうち示唆対象図柄変動ゲームがない)、予告演出中止制御処理を終了する。
【0192】
一方、ステップS255の判定結果が肯定の場合(未実行図柄変動ゲームのうち示唆対象図柄変動ゲームがある)、保留予告演出の中止制御処理を実行する(ステップS256)。この処理において、統括CPU31aは、今現在表示されている全ての始動保留画像を青色の表示態様で表示させることを決定すると共に、次回以降の変動ゲームにおいて青色以外の表示態様に変更させる保留予告演出パターンが決定されている場合には、該青色以外の表示態様を全て青色の表示態様として表示させることを決定する。この処理が終了した場合、統括CPU31aは、予告演出中止制御処理を終了する。」

(キ)「【0225】
・上記実施形態において、示唆対象図柄変動ゲームの入賞時以降に実行される変動ゲームの開始時に始動保留画像の表示態様を変更可能としたが、変動ゲームの中に始動保留画像の表示態様を変更可能としてもよい。また、示唆対象図柄変動ゲームの入賞時から変更しない構成であってもよい。
・・・
【0228】
・上記実施形態において、第2の変動ゲームにおける保留予告演出が実行されている場合に、第2の変動ゲームにおける判定結果が肯定であるときには、保留予告演出の実行を継続させたが、中止させてもよい。また、特別に始動保留画像を用いて連続予告演出を実行しなくてもよい。また、第2の変動ゲームにおいて連続予告演出を実行しないように構成してもよい。」

そして、上記記載事項(ア)?(キ)を総合すると、引用文献3には、次の事項(以下、「引用文献3に記載の事項」という。)が記載されていると認められる(丸括弧内に示された段落番号は、引用文献3における引用箇所を示す。)。

(引用文献3に記載の事項)
「機裏側には、パチンコ遊技機10全体を制御する主制御基板30が装着され(【0061】)、
主制御基板30は、パチンコ遊技機10全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて遊技を制御するための各種の制御信号(制御コマンド)を演算処理し、該制御信号(制御コマンド)を出力し(【0061】)、
機裏側には、統括制御基板31と、表示制御基板32とが装着され、統括制御基板31は、主制御基板30が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、表示制御基板32を統括的に制御し(【0061】)、
統括制御基板31には、統括CPU31aが備えられ(【0077】)、
表示制御基板32(サブCPU32a)には、可変表示器H2が接続され(【0078】)、
サブCPU32aは、始動保留画像を可変表示器H2に表示させる制御を行い(【0139】)、
特図始動保留記憶数を示す始動保留画像を、通常時における青色とは異なる緑色、赤色、金色の表示態様で表示させることによって、その特図始動保留記憶数における大当り期待度を示唆する演出である保留予告演出が実行され(【0140】)、
保留予告演出は、連続する複数回の変動ゲームを跨り実行可能な連続予告演出であり(【0140】)、
統括CPU31aは、保留予告演出パターンを決定し(【0168】)、保留予告演出パターンとは、始動保留画像の表示態様を示すパターンであり(【0169】)、
始動保留画像の表示態様は変更可能としても、示唆対象図柄変動ゲームの入賞時から変更しない構成であってもよく(【0225】)、
図柄変動ゲームにおいて、第1特図表示器H0で行われる図柄変動ゲームを「第1の変動ゲーム(第1図柄変動ゲーム)」と示し、第2特図表示器H1で行われる図柄変動ゲームを「第2の変動ゲーム(第2図柄変動ゲーム)」と示し(【0015】)、
第1の変動ゲームにおける保留予告演出の実行時に、大当り遊技が付与される場合、保留予告演出の実行を中止させるために、統括CPU31aによって予告演出中止制御処理について実行され(【0188】)、
統括CPU31aは、特定の大当り遊技であるか否かを判定し(【0190】)、
特定の大当り遊技とは、第1の変動ゲームにおける15R特別確変大当り遊技、15R通常確変大当り遊技、15R非確変大当り遊技が相当し、特定の大当り遊技ではない非特定の大当り遊技は、第1の変動ゲームにおける2R確変大当り遊技が相当し(【0190】)、
統括CPU31aは、大当りとなった変動ゲームでの特図の種類によって、特定の大当り遊技であるか否かを判定し、この判定結果が肯定の場合(特定の大当り遊技である)(【0190】)、統括CPU31aは、未だ実行されていない保留中の図柄変動ゲームのうち、判定の対象となる図柄変動ゲーム(示唆対象図柄変動ゲーム)があるか否かを判定し、未だ実行されていない保留中の図柄変動ゲームに、先読みフラグが設定されている場合、示唆対象図柄変動ゲームがあると判定することとなり(【0191】)、
判定結果が肯定の場合(未実行図柄変動ゲームのうち示唆対象図柄変動ゲームがある)、保留予告演出の中止制御処理を実行し(【0192】)、
第2の変動ゲームにおける判定結果が肯定であるときには、保留予告演出の実行を中止させる(【0228】)、
パチンコ遊技機10(【0061】)。」

エ 引用文献4(特開2012-125344号公報)
本願の出願遡及日前に公知となった特開2012-125344号公報(以下、「引用文献4」という。)には、「遊技機」に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【0058】
[演出制御部130の構成]
演出制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、及びRTC(リアルタイムクロック)134を備えている。CPU131は、ROM132に記憶されたプログラムに基づいて、演出を制御する際の演算処理を行う。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。RTC134は、現時点の日時を計測する。」

(イ)「【0082】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、疑似連続予告の発展タイミングで演出ボタン51を飛び出させる場合について説明したが、第2の実施形態では、リーチ状態になったタイミング(2つの装飾図柄が揃ったタイミング)で演出ボタン51を飛び出させると共に、特別図柄抽選に当選する信頼度に応じて演出ボタン51の高さ(停止位置)を変化させる場合について説明する。
・・・
【0084】
図17は、リーチ演出に伴う演出ボタン51の動作について説明するための説明図である。第2の実施形態に係るパチンコ遊技機1では、リーチに発展したタイミング(同じ数字を示す2つの装飾図柄が液晶表示器5に停止表示されたタイミング)で演出ボタン51が第1位置から第2位置へ飛び出すように移動する(図17(A)及び(B)参照)。そして、第2位置に移動した後に、特別図柄抽選に当選する信頼度が小さい場合(リーチになってもハズレになる可能性が高い場合)には、演出ボタン51が第1位置から僅かに上昇した位置まで下降する(図17(C)参照)。また、特別図柄抽選に当選する信頼度が中程度である場合、第2位置に位置している演出ボタン51が第1位置と第2位置との中間の位置まで下降する(図17(D)参照)。また、特別図柄抽選に当選する信頼度が大きい場合、演出ボタン51が第2位置に停止した状態が維持される。
【0085】
以下、図18を参照しつつ、図17に基づいて説明した演出ボタン51の動作を実現するために演出制御部130によって実行される演出制御処理について説明する。なお、図15に基づいて説明した処理と共通する処理については同一ステップ番号を付してその説明を省略し、異なる処理について説明する。」

(ウ)「【0107】
第3の実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別図柄の変動表示中に遊技球が第1始動口21又は第2始動口22に入賞した場合に、遊技制御部100によって事前判定処理が実行され、その結果である事前判定情報が演出制御部130へ送信される。これに対して、演出制御部130は、特別図柄抽選が保留されていることを示す保留表示画像を液晶表示器5に追加表示する処理をランプ制御部150に実行させる。その際、事前判定情報が、特別図柄抽選に当選する信頼度が高いことを示すものである場合に、通常とは異なる特別な表示態様の保留表示画像(以下「特別保留表示画像」という。)が液晶表示器5に追加表示される場合がある。そこで、第3の実施形態に係るパチンコ遊技機1では、特別保留表示画像が液晶表示装置5に表示された場合に、保留が消化される毎に演出ボタン51の動作を変化させて、先読み演出を行うこととしている。
【0108】
図19は、保留消化に伴う演出ボタン51の動作について説明するための説明図である。装飾図柄の変動表示中に特別保留表示画像203を含む3個の保留表示画像201?203が液晶表示器5に表示されている場合(図19(A)参照)、まず、装飾図柄(ここでは「376」)が停止表示される(図19(B)参照)。これにより、特別図柄抽選の結果がハズレであることが遊技者に報知される。そして、演出制御部130が遊技制御部100からの変動開始コマンドを受信すると、1個目の保留表示画像201が消去されると共に、残り2つの保留表示画像202,203が左側へシフトし、保留表示画像201に対応する装飾図柄の変動表示が開始される(図19(B)及び(C)参照)。その際、それまで第1位置に位置していた演出ボタン51が第2位置へ低速で飛び出すように移動し、その後、元の第1位置に戻る(図19(B)?(D)参照)。
【0109】
続いて、2つの装飾画像(ここでは「1」と「2」)が停止表示された後(図19(D)参照)、3つの装飾図柄(ここでは「132」)が停止表示される(図19(E)参照)。これにより、保留表示画像201に対応する特別図柄抽選の結果がハズレであることが遊技者に報知される。
【0110】
そして、演出制御部130が遊技制御部100からの変動開始コマンドを受信すると、保留表示画像202が消去されると共に、特別保留表示画像203が左側へシフトし、保留表示画像202に対応する装飾図柄の変動表示が開始される(図19(E)及び(F)参照)。その際、第1位置に位置していた演出ボタン51が第2位置へ高速で飛び出すように移動し、その後、元の第1位置に戻る(図19(E)?(G)参照)。」

(エ)「【0117】
続いて、CPU131は、先読み演出抽選処理を実行するか否かを判定する(ステップS143)。具体的には、遊技制御部100から受信した保留コマンドに含まれている事前判定情報に基づいて、その保留コマンドが示す保留を先読み演出を行うか否かを決定するための抽選対象とするか否かを判定する。ここで、事前判定情報は、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞したときに遊技制御部100が特別図柄の変動パターンや変動時間を決定する事前判定処理を行って得られた情報である。例えば、CPU131は、この事前判定情報が、特別図柄抽選の結果が大当たり又は小当たりであることを示す情報と、演出内容がリーチ有り演出であることを示す情報とのいずれか一方を含んでいる場合に先読み演出抽選処理を実行すると判定し、どちらの情報も含んでいない場合(事前判定情報が、特別図柄抽選の結果がハズレであることを示す情報及び演出内容がリーチ無し演出であることを示す情報を含んでいる場合)には先読み演出抽選処理を実行しないと判定する。ただし、このステップS143における判定処理はこれに限定されるものではなく、例えば既に保留されている保留の内容を考慮して判定を行ってもよい。」

(オ)「【0126】
CPU131は、特別保留表示画像203に対応する保留が2つ先の特別図柄抽選に伴って消化されると判定した場合(ステップS151:YES)、図19(B)及び(C)に示されるように演出ボタン51を低速で飛び出させる(ステップS152)。具体的には、円筒カム83を第2方向76に回転させてローラ59が傾斜面88に沿って上昇するように、ランプ制御部150に対してボタンモータ97の駆動制御を指示する。」

(カ)「【0152】
また、第1の実施形態?第4の実施形態では、演出ボタン51が演出実行手段として機能する液晶表示器5による演出と連動するので、演出実行手段による演出との相乗効果によって、パチンコ遊技機1による演出効果を向上させることができる。」

そして、上記記載事項(ア)?(カ)を総合すると、引用文献4には、次の2つの事項(以下、「引用文献4に記載の事項(1)」などという。)が記載されていると認められる(丸括弧内に示された段落番号は、引用文献4における引用箇所を示す。)。

(引用文献4に記載の事項(1))
「リーチに発展したタイミング(同じ数字を示す2つの装飾図柄が液晶表示器5に停止表示されたタイミング)で演出ボタン51が第1位置から第2位置へ飛び出すように移動し(【0084】)、
第2位置に移動した後に、特別図柄抽選に当選する信頼度が小さい場合(リーチになってもハズレになる可能性が高い場合)には、演出ボタン51が第1位置から僅かに上昇した位置まで下降し(【0084】)、
特別図柄抽選に当選する信頼度が中程度である場合、第2位置に位置している演出ボタン51が第1位置と第2位置との中間の位置まで下降し(【0084】)、
特別図柄抽選に当選する信頼度が大きい場合、演出ボタン51が第2位置に停止した状態が維持され(【0084】)、
演出ボタン51の動作を実現するために演出制御部130によって演出制御処理が実行される(【0085】)、
パチンコ遊技機1(【0084】)。」

(引用文献4に記載の事項(2))
「演出制御部130は、CPU131を備え(【0058】)、
演出制御部130は、特別図柄抽選が保留されていることを示す保留表示画像を液晶表示器5に追加表示する処理をランプ制御部150に実行させる際、事前判定情報が、特別図柄抽選に当選する信頼度が高いことを示すものである場合に、通常とは異なる特別な表示態様の保留表示画像(以下「特別保留表示画像」という。)が液晶表示器5に追加表示される場合があり(【0107】)、
特別保留表示画像が液晶表示装置5に表示された場合に、保留が消化される毎に演出ボタン51の動作を変化させて、先読み演出を行い(【0107】)、
装飾図柄の変動表示中に特別保留表示画像203を含む3個の保留表示画像201?203が液晶表示器5に表示されている場合、装飾図柄が停止表示され、特別図柄抽選の結果がハズレであることが遊技者に報知され、1個目の保留表示画像201が消去されると共に、残り2つの保留表示画像202,203が左側へシフトし、保留表示画像201に対応する装飾図柄の変動表示が開始され、その際、それまで第1位置に位置していた演出ボタン51が第2位置へ低速で飛び出すように移動し、その後、元の第1位置に戻り(【0108】)、
続いて、3つの装飾図柄が停止表示され、保留表示画像201に対応する特別図柄抽選の結果がハズレであることが遊技者に報知され(【0109】)、
保留表示画像202が消去されると共に、特別保留表示画像203が左側へシフトし、保留表示画像202に対応する装飾図柄の変動表示が開始され、その際、第1位置に位置していた演出ボタン51が第2位置へ高速で飛び出すように移動し、その後、元の第1位置に戻り(【0110】)、
CPU131は、遊技制御部100から受信した保留コマンドに含まれている事前判定情報に基づいて、その保留コマンドが示す保留を先読み演出を行うか否かを決定するための抽選対象とするか否かを判定し(【0117】)、
事前判定情報は、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞したときに遊技制御部100が特別図柄の変動パターンや変動時間を決定する事前判定処理を行って得られた情報であり、CPU131は、この事前判定情報が、特別図柄抽選の結果が大当たり又は小当たりであることを示す情報と、演出内容がリーチ有り演出であることを示す情報とのいずれか一方を含んでいる場合に先読み演出抽選処理を実行すると判定し、どちらの情報も含んでいない場合(事前判定情報が、特別図柄抽選の結果がハズレであることを示す情報及び演出内容がリーチ無し演出であることを示す情報を含んでいる場合)には先読み演出抽選処理を実行しないと判定し(【0117】)、
CPU131は、演出ボタン51を低速で飛び出させ、円筒カム83を第2方向76に回転させてローラ59が傾斜面88に沿って上昇するように、ランプ制御部150に対してボタンモータ97の駆動制御を指示し(【0126】)、
演出ボタン51が液晶表示器5による演出と連動し、演出実行手段による演出との相乗効果によって、演出効果を向上させる(【0152】)、
パチンコ遊技機1(【0107】)。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する(対比の見出しとしての(a)?(p)は、引用発明の分説構成と対応させた。)。

(a)引用発明の「複数の識別情報による変動表示ゲームを表示」すること、「遊技者にとって有利な特別遊技状態(大当り状態)を発生させる」こと、「遊技機」は、それぞれ本願補正発明の構成Aの「可変表示を行」うこと、「遊技者にとって有利な有利状態に制御」すること、「遊技機」に相当する。
よって、引用発明における構成aは、本願補正発明における構成Aに相当する。

(b)引用発明の構成bの「第1特図変動表示ゲームの当り外れを判定する」こと及び「第2特図変動表示ゲームの当り外れを判定する」ことは、「特図変動表示ゲームの結果が当りの場合」には、「特別遊技状態」(有利状態)を「発生させる処理を行」うことから、本願補正発明の「有利状態に制御するか否かを決定する」ことに相当する。
そして、引用発明の構成bの「第1特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理」及び「第2特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理」「を行」う「CPU111A」「を備え」た「遊技制御装置100」は、本願補正発明の「決定手段」に相当する。
よって、引用発明における構成bは、本願補正発明における構成Bに相当する。

(c)引用発明の構成cの「特図変動表示ゲームの遊技結果(大当り或いははずれ)」は、上記(b)によれば、「遊技制御装置100」(決定手段)の「判定」(決定)の結果なのだから、引用発明の構成cの「特図変動表示ゲームの遊技結果(大当り或いははずれ)」「に基づいて」は、本願補正発明の構成Cの「前記決定手段の決定結果にもとづいて」に相当する。
また、引用発明の構成cの「スペシャル1リーチ(SP1リーチ)、スペシャル2リーチ(SP2リーチ)、スペシャル3リーチ(SP3リーチ)」は、本願補正発明の構成Cの「特定演出」に相当するとともに、引用発明の構成cの「スペシャル1リーチ(SP1リーチ)、スペシャル2リーチ(SP2リーチ)、スペシャル3リーチ(SP3リーチ)」(特定演出)は、「特別結果態様が導出される可能性が異なる(信頼度が異なる)リーチ演出として」「設定され」るから、本願補正発明の構成Cの「可変表示中に」「実行可能な」「複数種類の特定演出」に相当する。
また、引用発明の構成cの「変動パターンテーブル」は、同構成cによれば、「演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターン(変動態様)を決定するため」のテーブルであるのだから、引用発明の構成cの
「変動パターン(変動態様)を決定するための変動パターンテーブルを記憶」する「ROM111B」、
「変動パターン(各種リーチやリーチ無しの変動表示における変動表示ゲームの実行時間等を含む)を決定するための変動パターン乱数」を「生成するための乱数生成回路を備え」る「遊技用マイコン111」及び、
「複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを選択して取得」する「CPU111A」、
は、本願補正発明の構成Cの「特定演出のいずれかを実行可能な特定演出実行手段」に相当する。
したがって、引用発明において、上記「ROM111B」、「遊技用マイコン111」及び「CPU111A」を「備え」ている「遊技制御装置100」(上記(b)参照)は、本願補正発明の構成Cの「特定演出実行手段」に相当するものである。

してみると、引用発明における構成cは、本願補正発明における構成Cに相当する。

(d)引用発明の構成dの「始動入賞口36や普通変動入賞装置37の始動領域への遊技球の流入に基づ」く「各種乱数」は、「変動表示ゲームを実行させるための始動権利」であることから、本願補正発明の構成Dの「可変表示に関する情報」に相当するとともに、引用発明の構成dの「各種乱数」及び「始動記憶」は、本願補正発明の構成Dの「保留記憶情報」に相当する。
また、引用発明の構成dの「RAM111C」は、本願補正発明の構成Dの「保留記憶手段」に相当する。

よって、引用発明における構成dは、本願補正発明における構成Dに相当する。

(e)
(1)引用発明の構成eの「飾り特図始動記憶表示600」は本願補正発明の構成Eの「保留表示」に相当するとともに、引用発明の構成eの「表示装置41」「の下方」の「飾り特図始動記憶表示領域610」に「設けられ」た「飾り特図始動記憶表示600を表示する未実行表示領域612」は、本願補正発明の構成Eの「保留表示を表示する保留表示手段」に相当する。
また、引用発明の構成eの「一の特図始動記憶に対応して一つの表示がなされる」ことは、本願補正発明の構成Eの「保留記憶情報に対応して」「保留表示を表示する」ことに相当する。

(2)ここで、本願補正発明の構成Eの「第1の表示態様と第2の表示態様とのいずれかにより保留表示を表示する」との事項について、本願の発明の詳細な説明をみてみる。すると明細書の【0011】には、
「(手段1)本発明による遊技機は、・・・未だ開始されていない可変表示に関する情報を保留記憶情報として記憶する保留記憶手段(例えば、第1保留記憶バッファ、第2保留記憶バッファ)と、保留記憶手段に記憶されている保留記憶情報の各々に対応して第1の表示態様(例えば、緑色の丸形表示)または第2の表示態様(例えば、青色、赤色、虹色の丸形表示)により保留表示を表示する保留表示手段(例えば、第1保留記憶表示部9a、第2保留記憶表示部9b)と、・・・」
と記載されている(下線は当審で付した)。そうすると、本願補正発明の構成Eの「第2の表示態様」とは、必ずしも一つの表示態様である必要はなく、複数の表示態様の集合であってもよいと解するのが相当である。
上記理解に基づくと、引用発明の構成eの「飾り特図始動記憶表示600」の「白色の丸印で示す通常表示態様」は、本願補正発明の構成Eの「第1の表示態様」に相当するとともに、引用発明の構成eの「黒色の丸印で示す第1予告表示態様と、白色の星印で示す第2予告表示態様と、黒色の星印で示す第3予告表示態様」は、それぞれ本願補正発明の構成Eの「第2の表示態様」に相当する。

(3)よって、引用発明における構成eは、本願補正発明における構成Eに相当する。

(f)引用発明の「始動記憶」が本願補正発明の「保留記憶情報」に相当することは上記(d)にて説示のとおりであるから、引用発明の構成fの「始動記憶として記憶された乱数値を、当該始動記憶に対応する変動表示ゲームの実行前に事前に判定する」こと、「事前判定手段」及び「遊技制御装置100」は、それぞれ本願補正発明の構成Fの、「記憶されている保留記憶情報に基づく可変表示に対応して」「判定する」こと、「判定手段」に相当する。
また、引用発明の構成fの「大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かに応じて大当りであるか否かを判定する」ことは、本願補正発明の構成Fの「有利状態に制御されるか否かを判定する」ことに相当する。
そして、引用発明の構成fでは、「始動記憶として記憶された乱数値を、当該始動記憶に対応する変動表示ゲームの実行前に事前に判定」「する時期は、当該始動記憶が発生した始動入賞時」なのだから、引用発明の構成fの「始動記憶」(保留記憶情報)の「事前」の「判定」は、引用発明の構成bの、
「始動記憶に基づ」く「第1特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理」及び「始動記憶に基づ」く「第2特図変動表示ゲームの当り外れを判定する処理」(「有利状態に制御するか否か」の「決定」)よりも「前に判定」していることは明らかであり、本願補正発明と同じく「決定手段による決定前」に「判定」していることが明らかである。

よって、引用発明における構成fは、本願補正発明における構成Fに相当する。

(g)引用発明の構成gの「未実行表示領域612の飾り特図始動記憶表示において」「表示態様を通常とは異なる予告表示態様で表示すること」は、本願補正発明の構成Gの「保留予告演出」に相当するとともに「保留表示予告演出」に相当する。
また、引用発明の「事前判定手段」が本願補正発明の「判定手段」に相当することは上記(f)に説示のとおりであるから、引用発明の構成gの「事前判定手段の判定結果に基づ」くことは、本願補正発明の構成Gの「前記判定手段の判定結果にもとづく」ことに相当する。
また、引用発明の構成gの「一の特図始動記憶に対応して一つの表示がなされるものであ」る「飾り特図始動記憶表示600」は、本願補正発明の構成Gの「保留記憶情報に対応する保留表示」に相当する。
また、引用発明の「第1予告表示態様」と「第2予告表示態様」と「第3予告表示態様」が、いずれも本願補正発明の「第2の表示態様」に相当することは、上記(e)にて説示のとおりである。
そして、引用発明の構成gにおいて、「事前判定手段の判定結果に基づいて、始動記憶の表示態様を通常とは異なる表示態様で表示することで変動表示ゲームの結果を示唆」するのは、予告手段(演出制御装置300)なのだから、当該「予告手段」及び「演出制御装置300」はいずれも、本願補正発明の構成Gの「保留予告演出実行手段」に相当する。

よって、引用発明における構成gは、本願補正発明における構成Gに相当する。

(h)
(1)引用発明の「SPリーチ(SP1?SP3リーチ)」が、本願補正発明の「特定演出」に相当することは上記(c)にて説示のとおりである。
また、引用発明の「飾り特図始動記憶表示領域610」に「設けられ」た「未実行表示領域612」が本願補正発明の「保留表示手段」に相当することは上記(e)に説示のとおりであるから、引用発明の構成hにおいて「飾り特図始動記憶表示領域610が非表示とされる」ことは、「飾り特図始動記憶表示領域610」に「設けられ」た「未実行表示領域612」(保留表示手段)を「非表示」とすることであって、本願補正発明の構成Hの「保留表示手段の保留表示を非表示状態とする非表示制御を実行」することに相当する。
そうすると、引用発明の構成hの「リーチ状態の開始から所定時間後(ノーマルリーチからSPリーチに発展する際)に飾り特図始動記憶表示領域610が非表示とされる非表示状態とな」ることは、本願補正発明の構成Hの「特定演出の実行にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を非表示状態とする非表示制御を実行」することに相当する。

(2)
ア 引用発明の構成hの「非表示状態が終了」すること及び「飾り特図始動記憶表示の表示」がされることが同義であることは明らかである。
そして、引用発明の構成hの「非表示状態が終了」すること及び「飾り特図始動記憶表示の表示」がされることは、本願補正発明の構成Hの「保留表示を表示状態とする」ことに相当する。

イ 引用発明の構成hの「SPリーチ(スペシャルリーチ)中(t3?t5)」のうち「(タイミングt5)」は本願補正発明の構成Hの「特定演出の終了」に相当する。
そして、引用発明の構成hの「(タイミングt5)」を「非表示状態が終了し飾り特図始動記憶表示の表示タイミング」とすることは、本願補正発明の構成Hの「特定演出の終了にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を表示状態とする」ことに相当する。

ウ また、引用発明の構成hの制御は「演出制御装置300が制御するものであ」るから、引用発明の構成hの「演出制御装置300」は本願補正発明の構成Hの「保留表示制御手段」に相当する。

よって、引用発明における構成hは、本願補正発明における構成Hに相当する。

(i)引用発明の構成ijの「非表示状態において予告表示態様とされる特図始動記憶が発生した場合」は、本願補正発明の構成Iの「保留記憶情報が生じたタイミングにて前記非表示制御が実行されているとき」に相当する。
また、引用発明の構成ijの「このタイミングでは予告表示態様の表示を行わず」「非表示状態の終了直後においては、非表示状態で発生した特図始動記憶が予告表示態様で表示されるものであっても通常表示態様で表示」することは、結果として「非表示状態」であるとき(非表示制御が実行されているとき)には「予告表示態様」での表示がされないことが明らかであるから、本願補正発明の「非表示制御が実行されているときには前記保留表示予告演出を実行」しないことに相当する。
また、引用発明の構成ijの「非表示状態を発生した特図変動表示ゲームの次の特図変動表示ゲームの実行中で、非表示状態の終了後に特図始動記憶が発生(始動入賞が発生)して飾り特図始動記憶表示600が表示される際」
、「飾り特図始動記憶表示600が予告表示態様に変化」することは、それぞれ本願補正発明の構成Iの「非表示制御が実行された可変表示の終了後」、「保留表示予告演出を実行」することに相当するから、引用発明の構成ijの
「非表示状態を発生した特図変動表示ゲームの次の特図変動表示ゲームの実行中で、非表示状態の終了後に特図始動記憶が発生(始動入賞が発生)して飾り特図始動記憶表示600が表示される際に、非表示状態において発生した特図始動記憶が予告表示態様で表示されるものであった場合には、飾り特図始動記憶表示600が予告表示態様に変化」することは、本願補正発明の構成Iの
「該非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留表示予告演出を実行可能であ」ることに相当する。

そして、引用発明の構成gによれば、「事前判定手段の判定結果に基づいて、始動記憶の表示態様を通常とは異なる表示態様で表示することで変動表示ゲームの結果を示唆」するのは、「予告手段(演出制御装置300)」なのだから、「飾り特図始動記憶表示600が予告表示態様に変化」する(「保留表示予告演出を実行」する)引用発明の構成ijの制御もまた、「予告手段」である「演出制御装置300」(保留予告演出実行手段)が実行していることは明らかである。

よって、引用発明における構成ijは、本願補正発明における構成Iに相当する。

(j)引用発明の構成ijにおける「非表示状態が終了」することは、本願補正発明の構成Jの「非表示制御が終了して前記表示制御が実行されること」に相当する。
また、上記(e)にて説示のとおり、引用発明の「白色の丸印で示す」「通常表示態様」の「飾り特図始動記憶表示600」は、本願補正発明の「第1の表示態様」での「保留表示」に相当するから、引用発明の構成ijの「通常表示態様で表示」することは、本願補正発明の構成Jの「第1の表示態様で保留表示を表示」することに相当する。
そして、引用発明の構成eによれば、「飾り特図始動記憶表示600を表示する」のは「未実行表示領域612」(保留表示手段)なのだから(上記(e)参照)、引用発明の構成ijの「通常表示態様」での「表示」が、同引用発明の構成eの「未実行表示領域612」(保留表示手段)への表示であることは明らかである。

よって、引用発明における構成ijは、本願補正発明における構成Jに相当する。

(k)引用発明の構成kの「SP1リーチ、SP2リーチ、SP3リーチ」が、本願補正発明の「複数種類の前記特定演出」に相当することは、上記(c)にて説示のとおりであるから、引用発明の構成kの「SP1リーチ、SP2リーチ、SP3リーチが含まれるSPリーチ(スペシャルリーチ)中」に「飾り特図始動記憶表示領域610が非表示とされる」ことは、本願補正発明の構成Kと、
「複数種類の前記特定演出のうちいずれが実行され」、「前記非表示状態となる」点で共通する。

(l)引用発明の構成lの「SP1リーチ」、「SP2リーチ」及び「SP3リーチ」がいずれも本願補正発明の「特定演出」に相当することは、上記(c)にて説示のとおりである。
また、引用発明の構成lの「大当りが発生する場合に選択される確率である信頼度」は、本願補正発明の構成Lの「有利状態に制御される割合」に相当する。
そうすると、引用発明の構成lの「大当りが発生する場合に選択される確率である信頼度」が「SP1リーチ<SP2リーチ<SP3リーチの順に高くなる」ことは、本願補正発明の構成Lと、
「特定演出が実行される可変表示にもとづいて前記有利状態に制御される割合が異な」る点で共通する。

(n)(o1)(o2) 引用発明の構成no1o2の「演出ボタン25」は、本願補正発明の構成N、O1、O2の「操作手段」に相当するから、引用発明の構成no1o2は、本願補正発明の構成N、O1、O2と、
「操作手段」を有する点で共通する。

(p)引用発明の構成pの「遊技機」は、本願補正発明の構成Pの「遊技機」に相当する。
よって、引用発明における構成pは、本願補正発明における構成Pに相当する。

そうすると、上記(a)?(p)によれば、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。

(一致点)
「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
C 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示中に複数種類の特定演出のいずれかを実行可能な特定演出実行手段と、
D 可変表示に関する情報を保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
E 保留記憶情報に対応して第1の表示態様と第2の表示態様とのいずれかにより保留表示を表示する保留表示手段と、
F 前記決定手段による決定前に、前記保留記憶手段に記憶されている保留記憶情報に基づく可変表示に対応して前記有利状態に制御されるか否かを判定する判定手段と、
G 前記判定手段の判定結果にもとづく保留予告演出として、判定対象となった保留記憶情報に対応する保留表示を前記第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる保留表示予告演出を実行する保留予告演出実行手段と、
H 前記特定演出の実行にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を非表示状態とする非表示制御を実行し、前記特定演出の終了にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を表示状態とする表示制御を実行する保留表示制御手段と、
を備え、
I 前記保留予告演出実行手段は、前記保留記憶情報が生じたタイミングにて前記非表示制御が実行されているときには前記保留表示予告演出を実行せず、該非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留表示予告演出を実行可能であり、
J 前記保留表示手段は、前記非表示制御が終了して前記表示制御が実行されることにもとづいて、前記第1の表示態様で保留表示を表示し、
K′複数種類の前記特定演出のうちいずれが実行され、前記非表示状態となり、
L′当該特定演出が実行される可変表示にもとづいて前記有利状態に制御される割合が異なり、
N′O1′O2′操作手段を有する、
P 遊技機。」

(相違点1)(構成K、L)
「複数種類の特定演出のうちいずれが実行され、非表示状態となり、
当該特定演出が実行される可変表示にもとづいて前記有利状態に制御される割合が異なる」、「特定演出」について、本願補正発明では、
「K 複数種類の前記特定演出のうちいずれが実行されるかに応じて、前記非表示状態となる期間が異なり、
L 前記非表示状態となる期間に対応する前記特定演出の実行期間に応じて、当該特定演出が実行される可変表示にもとづいて前記有利状態に制御される割合が異な」るものであるのに対し、引用発明の「特定演出」は、
「特定演出のうちいずれが実行されるかに応じて、前記非表示状態となる期間が異なり、
前記非表示状態となる期間に対応する前記特定演出の実行期間に応じて、」「有利状態に制御される割合が異な」るものか否か定かでない点。

(相違点2)(構成M)
構成Mに関して、本願補正発明では、
「M 前記保留予告演出実行手段は、前記非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留表示予告演出を実行することになっている場合に、該保留表示予告演出の実行前に前記有利状態に制御されるときには、該保留表示予告演出を実行」しないのに対し、引用発明では、係る構成を有するのか否か定かでない点。

(相違点3)(構成N)
構成Nに関して、本願補正発明では、
「N 前記特定演出実行手段は、前記特定演出に対応して、可変表示中に操作手段を動作させる演出を実行可能であ」るのに対し、引用発明は操作手段を有するものの、そのような演出をしない点。

(相違点4)(構成O、O1、O2)
構成O、O1、O2に関して、本願補正発明では、
「O 前記保留予告演出実行手段は、
O1 前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行可能であり、
O2 前記非表示制御が実行されていることに対応して前記保留表示予告演出を実行しないときには、前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行しない」のに対し、引用発明は操作手段を有するものの、そのような演出をしない点。

(4) 判断
上記各相違点について検討する。

(相違点1について)
ア 引用文献2に記載の事項は、上記「(2)引用文献に記載された事項」「イ 引用文献2」に示したとおりである。
引用文献2に記載の事項の「リーチ演出」である「スーパーリーチA」及び「スーパーリーチB」は、本願補正発明の「複数種類の」「特定演出」に相当する。
また、引用文献2に記載の事項においては、
「スーパーリーチA」(特定演出)の場合の「特図変動時間」は22.75秒であり、
「スーパーリーチB」(特定演出)の場合の「特図変動時間」は、25.50秒であり、これらの特図変動時間はいずれも異なっているから、「スーパーリーチA」及び「スーパーリーチB」(複数種類の特定演出)のうちいずれが実行されるかに応じて、特図変動時間が異なるといえる。

イ また、引用文献2に記載の事項から、
大当りの場合のスーパーリーチAの判定値数:140
大当りの場合のスーパーリーチBの判定値数:197
はずれの場合のスーパーリーチAの判定値数:340
はずれの場合のスーパーリーチBの判定値数:97
であるから、
「スーパーリーチA」は「スーパーリーチB」と比してはずれとなる割合が高く、
「スーパーリーチB」は「スーパーリーチA」と比して大当りなる割合が高い、
といえ、当該事項は、本願補正発明の発明の
「特定演出が実行される可変表示にもとづいて前記有利状態に制御される割合が異な」ることに相当する。

ウ ここで、複数種の「スーパーリーチ」(特定演出)の特図変動時間が異なっていれば、「スーパーリーチ」(特定演出)の実行期間も異なるものとなることは、技術常識である。このことは、以下のことからも明らかである。
平成29年2月15日に提出された上申書には、
「また、補正により変更された箇所のうち、「複数種類の前記特定演出のうちいずれが実行されるかに応じて、前記非表示状態となる期間が異なり、」という事項は、例えば、・・・図6に示す演出図柄の変動パターンによれば、変動パターン「スーパーPB3-1」、「スーパーPB3-3」では変動時間「22.75秒」のスーパーリーチ演出Aが実行され、変動パターン「スーパーPB3-2」、「スーパーPB3-4」では変動時間「25.50秒」のスーパーリーチ演出Bが実行されることや、段落0496-0498の記載によれば、スーパーリーチ演出の開始タイミングとなると非表示制御が開始され、スーパーリーチ演出の終了タイミングとなると非表示制御が終了することから、スーパーリーチ演出Aとスーパーリーチ演出Bのいずれが実行されるかに応じて、非表示状態となる期間が異なること・・・等に基づく。」
と記載され、さらに本願の明細書をみると、【0036】に
「【0036】
第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14を通過(入賞を含む)したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。」
と記載され、【0495】?【0497】には、
「【0495】
次いで、図53(2)に示すように、まず左の演出図柄が停止表示し、次に右の演出図柄として左の演出図柄と同じ図柄(本例では、「7」)が停止表示されて、図53(3)に示すように、ノーマルリーチが発生する。
【0496】
次いで、スーパーリーチ演出の開始タイミングとなると、図53(4)に示すように、第1保留記憶表示部9aにおける第1保留表示および第2保留記憶表示部9bにおける第2保留表示が全て消去され、非表示制御が開始される(ステップS8107のY,S8110参照)。そして、スーパーリーチ演出が実行される。なお、この実施の形態では、スーパーリーチ演出において、図53(5)に示すように、可動部材78が可動される制御も行われる(ステップS8105参照)。
【0497】
ここで、スーパーリーチ演出が実行され、非表示制御が行われているときに、新たに第1始動入賞口13への始動入賞が発生し、新たな始動入賞時のコマンドの送信が行われたものとする。この場合、スーパーリーチ演出が実行され、非表示制御が行われていることにもとづいて、保留予告演出の判定が延期され、保留予告演出が制限される(ステップS6000参照)。」
と記載され(下線はいずれも当審で付した)、
また、あらかじめ用意された演出図柄の変動パターンを示す説明図である(【図面の簡単な説明】【0018】)、図6には、
・変動パターン「スーパーPB3-1」「スーパーPB3-3」では、リーチ演出「スーパーA」、特図変動時間「22.75秒」であること、
・変動パターン「スーパーPB3-2」「スーパーPB3-4」では、リーチ演出「スーパーB」、特図変動時間「25.50秒」であること、
が記載されている。
そうすると、ノーマルリーチが発生し(【0495】)、次いで、スーパーリーチ演出の開始タイミングとなると、スーパーリーチ演出が実行される(【0496】)場合に、可変表示が開始され表示結果(停止図柄)を導出表示するまでに経過する変動時間(【0036】)が異なっていれば、スーパーリーチ演出が実行される期間もまた異なるものとなることは、審判請求人もまた認めていることである。

そうすると、引用文献2に記載の事項から、
「複数種類の特定演出のうちいずれが実行されるかに応じて、特定演出の実行期間が異なり、
特定演出の実行期間に応じて、当該特定演出が実行される可変表示にもとづいて前記有利状態に制御される割合が異なる、
遊技機」
が、本願出願前において公知であったということができる。

エ そして、引用発明と引用文献2に記載の事項とは、いずれも複数のリーチ演出を有する遊技機である点で共通するとともに、興趣の向上を図るという同じ課題を有する。
そして、引用発明の構成kでは、「SPリーチ(スペシャルリーチ)中(タイミングt3?タイミングt5)は」「非表示状態」であり、引用発明と引用文献2に記載の事項とは、リーチ演出が発展したSPリーチ演出をする点で共通する。
したがって、引用発明のSPリーチ演出に引用文献2に記載の事項を適用して、SPリーチ演出の種類に応じて「非表示状態」を設定し、「非表示状態となる期間に対応する前記特定演出の実行期間に応じて、」「有利状態に制御される割合が異な」るようにすることは、当業者が容易に想到することである。

(相違点2について)
ア 引用文献3に記載の事項は、上記「(2)引用文献に記載された事項」「ウ 引用文献3」に示したとおりである。

イ 引用文献3に記載の事項の「通常時における青色」、「緑色、赤色、金色の表示態様」、「始動保留画像を」「表示させる」「可変表示器H2」は、それぞれ本願補正発明の構成Eの「第1の表示態様」、「第2の表示態様」、「保留表示を表示する保留表示手段」に相当し、引用文献3に記載の事項の
「特図始動保留記憶数を示す始動保留画像を、通常時における青色とは異なる緑色、赤色、金色の表示態様で表示させることによって、その特図始動保留記憶数における大当り期待度を示唆する演出である保留予告演出が実行され」ることは、本願補正発明の構成Gの「保留記憶情報に対応する保留表示を前記第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる保留表示予告演出を実行する」ことに相当する。
そして、引用文献3に記載の事項の「統括CPU31a」は、「始動保留画像の表示態様を示すパターンであ」る「保留予告演出パターンを決定」するものであるから、当該「統括CPU31a」「が備えられ」た「統括制御基板31」は、本願補正発明の構成Gの「保留予告演出実行手段」に相当する。

また、引用文献3に記載の事項の
「第1の変動ゲームにおける保留予告演出の実行時に、大当り遊技が付与される場合」は、本願補正発明の構成Mの
「保留表示予告演出を実行することになっている場合に、該保留表示予告演出の実行前に前記有利状態に制御されるとき」と、
「保留表示予告演出を実行する」「場合に」「有利状態に制御されるとき」である点で共通する。
また、引用文献3に記載の事項の「第2の変動ゲームにおける判定結果が肯定であるとき」もまた、本願補正発明の構成Mの「保留表示予告演出を実行する」「場合に」「有利状態に制御されるとき」である点で共通するといえる。
また、引用文献3に記載の事項の「保留予告演出の実行を中止させるために」「予告演出中止制御処理」を「実行」することは、本願補正発明の構成Mの「該保留表示予告演出を実行」しないことに相当する。
また、引用文献3に記載の事項の「統括CPU31a」は、「始動保留画像の表示態様を示すパターンであ」る「保留予告演出パターンを決定し」、「保留予告演出の実行を中止させるために」「予告演出中止制御処理について実行」するものであるから、当該「統括CPU31a」「が備えられ」た「統括制御基板31」は、本願補正発明の「保留予告演出実行手段」に相当する。

そうすると、引用文献3に記載の事項から、
「保留記憶情報に対応して第1の表示態様と第2の表示態様とのいずれかにより保留表示を表示する保留表示手段と(構成E)、
保留予告演出として、判定対象となった保留記憶情報に対応する保留表示を前記第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる保留表示予告演出を実行する保留予告演出実行手段と(構成G)、
を備え、
保留予告演出実行手段は、保留表示予告演出を実行する場合に、有利状態に制御されるときには、該保留表示予告演出を実行しない(構成M)
遊技機(構成P)。」が、本願の出願前において公知であったということができる。

ウ そして、引用発明と引用文献3に記載の事項は、ともに
「保留記憶情報に対応して第1の表示態様と第2の表示態様とのいずれかにより保留表示を表示する保留表示手段と(構成E)、
保留予告演出として、判定対象となった保留記憶情報に対応する保留表示を前記第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる保留表示予告演出を実行する保留予告演出実行手段と(構成G)、
を備える、
遊技機(構成P)。」である点で共通する。
さらに、引用文献3の【0006】に記載される「遊技に対する興趣の向上を図ることができる遊技機を提供する」との作用効果は、引用文献1における「表示装置41では、・・・変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のために・・・多様な演出表示が行われる」(【0060】等を参照)との作用効果と実質的に同じものである。

してみると、興趣の向上を目的として、引用発明に引用文献3に記載の事項を適用することは、当業者が容易に想到することであって、その結果として、
「保留予告演出実行手段は、前記非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留表示予告演出を実行することになっている場合に、該保留表示予告演出の実行前に前記有利状態に制御されるときには、該保留表示予告演出を実行」しないこととなるのは明らかなことである。

(相違点3及び4について)
相違点3及び4については、まとめて検討をする。
ア 引用文献4に記載の事項(1)は、上記「(2)引用文献に記載された事項」「エ 引用文献4」に示したとおりである。

イ 引用文献4に記載の事項(1)の「リーチ」、「パチンコ遊技機1」は、それぞれ本願補正発明の「特定演出」、「遊技機」にそれぞれ相当する。
また、引用文献4に記載の事項(1)の「演出ボタン51が第1位置から第2位置へ飛び出すように移動」すること、「第2位置に移動した後に」「演出ボタン51が第1位置から僅かに上昇した位置まで下降」すること、「第2位置に位置している演出ボタン51が第1位置と第2位置との中間の位置まで下降」することは、いずれも本願補正発明の「操作手段を動作させる演出を実行可能」とすることに相当する。
また、引用文献4に記載の事項(1)の「リーチに発展したタイミング(同じ数字を示す2つの装飾図柄が液晶表示器5に停止表示されたタイミング)」は、本願補正発明の「可変表示中」に相当する。
そして、引用文献4に記載の事項(1)の「演出制御部130」は「演出制御処理が実行される」のだから、本願補正発明の「特定演出実行手段」と「演出実行手段」である点で共通する。

そうすると、引用文献4に記載の事項(1)から、
「演出実行手段は、可変表示中に操作手段を動作させる演出を実行可能である、
遊技機。」
が、本願の出願前において公知であったということができる。

ウ そして、引用発明と引用文献4に記載の事項(1)は、ともに「演出実行手段」を備え、「リーチ」状態を有するとともに「操作手段(構成N)」を有する「遊技機」である点で共通する。

また、引用文献4に記載の事項(1)の
・「第2位置に移動した後に、特別図柄抽選に当選する信頼度が小さい場合(リーチになってもハズレになる可能性が高い場合)には、演出ボタン51が第1位置から僅かに上昇した位置まで下降」すること、
・「特別図柄抽選に当選する信頼度が中程度である場合、第2位置に位置している演出ボタン51が第1位置と第2位置との中間の位置まで下降」すること、及び
・「特別図柄抽選に当選する信頼度が大きい場合、演出ボタン51が第2位置に停止した状態が維持され」ること、
は、引用発明の構成cの「スペシャル1リーチ(SP1リーチ)、スペシャル2リーチ(SP2リーチ)、スペシャル3リーチ(SP3リーチ)」(特定演出)が、「特別結果態様が導出される可能性が異なる(信頼度が異なる)リーチ演出として」「設定され」ることと、「リーチ演出」において「有利状態に制御される割合が異な」る「演出」である点で共通する。

さらに、引用文献4の【0152】に記載の「パチンコ遊技機1による演出効果を向上させる」との作用は、引用文献1の【0060】の「表示装置41では、・・・変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のために・・・多様な演出表示が行われる。」との作用効果と実質的には同じものである。

エ 次に、引用文献4に記載の事項(2)についてみると、引用文献4に記載の事項(2)は、上記「(2)引用文献に記載された事項」「エ 引用文献4」に示したとおりである。

オ 引用文献4に記載の事項(2)の「特別図柄抽選が保留されていることを示す保留表示画像」「液晶表示器5」「通常とは異なる特別な表示態様の保留表示画像(以下「特別保留表示画像」という。)」、「演出制御部130」は、本願補正発明の構成Gの「保留記憶情報に対応する保留表示」、「保留表示手段」、「第2の表示態様」、「保留予告演出実行手段」に相当する。
したがって、引用文献4に記載の事項(2)の「特別図柄抽選が保留されていることを示す保留表示画像を液晶表示器5に追加表示する処理をランプ制御部150に実行させる際、事前判定情報が、特別図柄抽選に当選する信頼度が高いことを示すものである場合に、通常とは異なる特別な表示態様の保留表示画像(以下「特別保留表示画像」という。)」を「液晶表示器5に追加表示」する「演出制御部130」は、本願補正発明の構成Gの
「保留記憶情報に対応する保留表示を前記第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる保留表示予告演出を実行する保留予告演出実行手段」との構成に相当する。

カ 引用文献4に記載の事項(2)の
「演出ボタン51の動作を変化させて、先読み演出を行」うことは、本願補正発明の構成O1の「操作手段を動作させる演出を実行」することに相当する。
また、引用文献4に記載の事項(2)の「演出ボタン51の動作を変化させて、先読み演出を行」うこと(「操作手段を動作させる演出を実行」すること)は、「事前判定情報が、特別図柄抽選に当選する信頼度が高いことを示すものである場合に、通常とは異なる特別な表示態様の保留表示画像」「(特別保留表示画像)」「が液晶表示装置5に表示された場合に」行われるのだから、「保留予告演出として」実行されることは明らかである。
してみると、引用文献4に記載の事項(2)は、本願補正発明の構成O1を備えている。
また、引用文献4に記載の事項(2)の「演出ボタン51を」「飛び出させ、円筒カム83を第2方向76に回転させてローラ59が傾斜面88に沿って上昇するように、ランプ制御部150に対してボタンモータ97の駆動制御」(操作手段を動作させること)「を指示する」のは、「CPU131」であり、当該「CPU131」は「演出制御部130」が「備え」るものであり、当該「演出制御部130」は本願補正発明の「保留予告演出実行手段」に相当するものである(上記オの説示を参照)。
そうすると、引用文献4に記載の事項(2)から、
「保留記憶情報に対応する保留表示を前記第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる保留表示予告演出を実行する保留予告演出実行手段
を備え(構成G)、
前記保留予告演出実行手段は(構成O)、
前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行可能であ」る(構成O1)「遊技機」(構成P)
が、本願の出願前において公知であったということができる。

キ そして、引用発明と引用文献4に記載の事項(2)は、「保留記憶情報に対応する保留表示を前記第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる保留表示予告演出を実行する保留予告演出実行手段、を備え(構成G)」るとともに「操作手段(構成O1、O2)」を有する「遊技機」(構成P)である点で共通する。
さらに、引用文献4の【0006】に記載される「よりインパクトのある効果的な演出を実行可能な操作手段を備える遊技機を提供する」との作用効果は、引用文献1における「表示装置41では、・・・変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のために・・・多様な演出表示が行われる」(【0060】等を参照)との作用効果と、演出を行う対象が「操作手段」と「表示装置」で異なってはいるものの、興趣の向上を図る演出を実行する点において同じものである。

また、引用文献4に記載の事項(1)において、演出ボタン51(操作手段)が「移動」するのは、「リーチに発展したタイミング」であり、演出ボタン51が「下降」(動作)するのは、「移動した後」である一方、引用文献4に記載の事項(2)において、「保留が消化される毎に演出ボタン51の動作を変化させて、先読み演出を行」うこと(操作手段を動作させる演出を実行すること)は、「保留表示画像」「が左側へシフトし、保留表示画像201に対応する装飾図柄の変動表示が開始され」た「際」である。そうすると、両者の演出タイミングは異なっていることから、引用文献4に記載の事項(1)と引用文献4に記載の事項(2)の両者の構成をともに有することに阻害要因などはない。

ク してみると、興趣の向上を目的として、引用発明において、引用文献4に記載の事項(1)及び引用文献4に記載の事項(2)をともに実行し、
引用発明の構成cの「遊技制御装置100」(特定演出実行手段)に、引用文献4に記載の事項(1)の演出制御部(演出実行手段)の上記機能を付加し、
引用文献4に記載の事項(1)の
・「第2位置に移動した後に、特別図柄抽選に当選する信頼度が小さい場合(リーチになってもハズレになる可能性が高い場合)には、演出ボタン51が第1位置から僅かに上昇した位置まで下降」すること(「操作手段を動作させる演出を実行」すること)、
・「特別図柄抽選に当選する信頼度が中程度である場合、第2位置に位置している演出ボタン51が第1位置と第2位置との中間の位置まで下降」すること(同じく「操作手段を動作させる演出を実行」すること)、
を、当該演出と同じく「リーチ演出」において「有利状態に制御される割合が異な」る「演出」である点で共通する、引用発明の「スペシャル1リーチ(SP1リーチ)、スペシャル2リーチ(SP2リーチ)、スペシャル3リーチ(SP3リーチ)」(特定演出)に対応して実行し、以て相違点3に係る構成とし、
同じく、興趣の向上を目的として、引用発明の構成gの「演出制御装置300」(保留予告演出実行手段)に、引用文献4に記載の事項(2)の「演出制御部130」(保留予告演出実行手段)の上記機能を付加し、以て相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することである。

そして、引用文献4に記載の事項(2)によれば、
「特別保留表示画像が液晶表示装置5に表示された場合に、保留が消化される毎に演出ボタン51の動作を変化させて、先読み演出を行い(【0107】)、」「演出ボタン51が液晶表示器5による演出と連動し、演出実行手段による演出との相乗効果によって、演出効果を向上させる(【0152】)」
のだから、「特別保留表示画像が液晶表示装置5に表示され」ない場合(保留表示予告演出を実行しないとき)に、「演出ボタン51の動作を変化させ」ない(保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行しない)ことは明らかなことであって、引用発明の構成hにおいて「飾り特図始動記憶表示領域610が非表示とされる」こと(「保留表示手段の保留表示を非表示状態とする非表示制御を実行」すること)に対応して保留表示予告演出を実行しないときには、「演出ボタン51の動作を変化させ」ない(保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行しない)ことは、引用文献4に記載の事項(2)から明らかである。

したがって、本願補正発明は、当業者が引用発明、引用文献2に記載の事項、引用文献3に記載の事項、引用文献4に記載の事項(1)(2)に基づいて容易に発明をすることができたものである。

(5) 本願補正発明が奏する効果について
審判請求人は、審判請求書の「4 本願発明が特許されるべき理由」の項において、
「補正後の本願発明のように、特定演出に対応して可変表示中に操作手段を動作させる演出を実行可能とすると共に、保留予告演出として操作手段を動作させる演出を実行可能とする場合、特定演出が実行されているときに操作手段が動作すると、保留予告演出として動作したにもかかわらず、特定演出に対応して動作したかのように、遊技者を誤認させてしまい、今回の可変表示に対応して有利状態に制御されることへの期待感を不要に高めてしまう可能性がある。
そこで、補正後の本願発明によれば、非表示制御が実行されていることに対応して保留表示予告演出を実行しないときには、保留予告演出として、操作手段を動作させる演出を実行しないので、上記のような問題が生じてしまうことを防止することができるだけでなく、保留予告演出により特定演出への注目が発散してしまうことなく、特定演出への注目を維持し続けることができる。」
との効果を主張している。
しかし、引用文献4に記載の事項(1)において、演出ボタン51(操作手段)が「移動」するのは、「リーチに発展したタイミング」であり、演出ボタン51が「下降」(動作)するのは、「移動した後」である一方、引用文献4に記載の事項(2)において、「保留が消化される毎に演出ボタン51の動作を変化させて、先読み演出を行」うこと(操作手段を動作させる演出を実行すること)は、「保留表示画像」「が左側へシフトし、保留表示画像201に対応する装飾図柄の変動表示が開始され」た「際」であり、両者の演出タイミングは異なっていることから、引用発明に引用文献4に記載の事項(1)及び引用文献4に記載の事項(2)を適用した結果として、保留予告演出として動作したことと、特定演出に対応して動作したことを、遊技者を誤認させてしまうことはない。
さらに、本願補正発明の作用効果について検討してみても、当業者が引用発明、引用文献2に記載の事項、引用文献3に記載の事項、引用文献4に記載の事項(1)(2)から予測し得るものであって、格別のものということはできない。

(6) 請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書の「4 本願発明が特許されるべき理由」の項において、
「(2) 構成上の相違
いずれの引用文献にも、本願の請求項1に係る発明の下記の構成が記載されていない。
「前記特定演出実行手段は、前記特定演出に対応して、可変表示中に操作手段を動作させる演出を実行可能であり、前記保留予告演出実行手段は、前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行可能であり、前記非表示制御が実行されていることに対応して前記保留表示予告演出を実行しないときには、前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行しない」
(3) 本願発明の有利な効果
補正後の本願発明のように、特定演出に対応して可変表示中に操作手段を動作させる演出を実行可能とすると共に、保留予告演出として操作手段を動作させる演出を実行可能とする場合、特定演出が実行されているときに操作手段が動作すると、保留予告演出として動作したにもかかわらず、特定演出に対応して動作したかのように、遊技者を誤認させてしまい、今回の可変表示に対応して有利状態に制御されることへの期待感を不要に高めてしまう可能性がある。
そこで、補正後の本願発明によれば、非表示制御が実行されていることに対応して保留表示予告演出を実行しないときには、保留予告演出として、操作手段を動作させる演出を実行しないので、上記のような問題が生じてしまうことを防止することができるだけでなく、保留予告演出により特定演出への注目が発散してしまうことなく、特定演出への注目を維持し続けることができる。
補正後の本願発明に関連して、いずれの引用文献にも、非表示制御が実行されていることに対応して保留表示予告演出を実行しないときには、保留予告演出として、操作手段を動作させる演出を実行しないことはおろか、特定演出に対応して可変表示中に操作手段を動作させる演出を実行可能とすると共に、保留予告演出として操作手段を動作させる演出を実行可能とすることについてさえ、開示も示唆もされていない。
よって、引用文献1に記載の発明に、引用文献2-5に記載の事項を適用しても、補正後の本願発明における「前記特定演出実行手段は、前記特定演出に対応して、可変表示中に操作手段を動作させる演出を実行可能であり、前記保留予告演出実行手段は、前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行可能であり、前記非表示制御が実行されていることに対応して前記保留表示予告演出を実行しないときには、前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行しない」との事項を導出し得ない。」
と主張している。
(当審注:上記主張における引用文献1-5とは、平成30年7月10日付けの補正の却下の決定で引用された引用文献1-5であり、そのうち引用文献1-3はそれぞれ、「2 独立特許要件について」「(2) 引用文献に記載された事項」にて示した引用文献1-3である。)

審判請求人が上記主張の中で、いずれの引用文献にも記載されていないとする構成は、本願補正発明の構成N、O、O1、O2であるが、上記「(3)対比」にて、相違点3及び4として、
(相違点3)
「構成Nに関して、本願補正発明では、
「N 前記特定演出実行手段は、前記特定演出に対応して、可変表示中に操作手段を動作させる演出を実行可能であ」るのに対し、引用発明は係る構成を有しない点。」
(相違点4)
「構成O、O1、O2に関して、本願補正発明では、
「O 前記保留予告演出実行手段は、
O1 前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行可能であり、
O2 前記非表示制御が実行されていることに対応して前記保留表示予告演出を実行しないときには、前記保留予告演出として、前記操作手段を動作させる演出を実行しない」のに対し、引用発明は係る構成を有しない点。」
とし、
相違点3及び4に係る構成が、引用発明、引用文献4に記載の事項(1)、及び引用文献4に記載の事項(2)から容易想到であることは、上記「(4)判断」の(相違点3及び4について)にて説示のとおりである。

そして、本願補正発明の作用効果は、当業者が引用発明、引用文献2に記載の事項、引用文献3に記載の事項、引用文献4に記載の事項(1)(2)から予測し得るものであって、格別のものということはできないこともまた、上記「(5) 本願補正発明が奏する効果について」にて説示のとおりであり、上記主張を採用することはできない。

(7) まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が引用発明、引用文献2に記載の事項、引用文献3に記載の事項、引用文献4に記載の事項(1)(2)に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 補正の却下の決定についてのむすび
上記「2 独立特許要件について」より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成29年10月20日提出の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Pは本願発明を分説するため当審で付した)。

(本願発明)
「【請求項1】
A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段と、
C 前記決定手段の決定結果にもとづいて、可変表示中に複数種類の特定演出のいずれかを実行可能な特定演出実行手段と、
D 可変表示に関する情報を保留記憶情報として記憶する保留記憶手段と、
E 保留記憶情報に対応して第1の表示態様と第2の表示態様とのいずれかにより保留表示を表示する保留表示手段と、
F 前記決定手段による決定前に、前記有利状態に制御されるか否かを判定する判定手段と、
G 前記判定手段の判定結果にもとづいて、前記判定手段の判定の対象となった保留表示である対象保留表示について、前記第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる保留予告演出を実行する保留予告演出実行手段と、
H 前記特定演出の実行にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を非表示状態とする非表示制御を実行し、前記特定演出の終了にもとづいて前記保留表示手段の保留表示を表示状態とする表示制御を実行する保留表示制御手段と
を備え、
I 前記保留記憶情報が生じたタイミングにて前記非表示制御が実行されている場合には、前記保留予告演出を実行せず、該非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留予告演出を実行可能であり、
J 前記非表示制御が終了して前記表示制御が実行されることにもとづいて、前記第1の表示態様で保留表示を表示し、
K 複数種類の前記特定演出のうちいずれが実行されるかに応じて、前記非表示状態となる期間が異なり、
L 前記非表示状態となる期間に対応する前記特定演出の実行期間に応じて、当該特定演出が実行される可変表示にもとづいて前記有利状態に制御される割合が異なり、
M 前記非表示制御が実行された可変表示の終了後に前記保留予告演出を実行することになっている場合に、該保留予告演出の実行前に前記有利状態に制御されるときには、該保留予告演出を実行しない
P ことを特徴とする遊技機。」

2 拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

1.特開2011-115329号公報(上記引用文献1)
2.特開2013-27610号公報(上記引用文献2)
3.特開2012-24273号公報(上記引用文献3)
4.特開2012-147811号公報


3 引用文献に記載された事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1?3の記載事項及び引用発明については、上記第2 「2 独立特許要件について」「(2)引用文献に記載された事項」に示したとおりである。

4 対比
(1)まず、上記引用文献4は、本願補正発明の構成N、構成O、O1、O2に関する上記相違点3及び4について検討するために引用されたものであって、仮に本願補正発明に構成N、構成O、O1、O2が存在せず、本願補正発明と引用発明との対比において上記相違点3及び4が存在しなければ、引用文献4を引用して上記(相違点3及び4について)にて説示した事項を検討をする必要がないから、本願補正発明から構成N、構成O、O1、O2を外した発明は、当業者が引用発明、引用文献2に記載の事項、引用文献3に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものといえる。

(2)次に、本願発明は、本願補正発明から構成N、構成O、O1、O2を外したものであるから、本願発明と引用発明との対比において上記相違点3及び4は存在せず、本願発明の進歩性を検討するにあたり、上記(相違点3及び4について)にて説示した事項を検討をする必要がないことは明らかである。

(3)さらに、本願発明の構成A?M、Pは、本願補正発明の構成A?M、Pのうち、構成Fにおける「判定手段」の「判定」について、「保留記憶手段に記憶されている保留記憶情報に基づく可変表示に対応し」たものとの限定を外し、
構成Gにおける「保留予告演出実行手段」が「実行する」「保留予告演出」について、「保留表示予告演出」との特定を外すととともに、「第2の表示態様により前記保留表示手段に表示させる」「保留表示」について「保留記憶情報に対応する」ものとの限定を外し、
構成Jにおける「前記非表示制御が終了して前記表示制御が実行されることにもとづいて、前記第1の表示態様で保留表示を表示」する主体について「前記保留表示手段」との限定を外し、
構成Mにおける「前記保留記憶情報が生じたタイミングにて前記非表示制御が実行されている場合には」「実行せず、」「該非表示制御が実行された可変表示の終了後に」「実行可能であ」る「保留予告演出」について、「保留表示予告演出」との限定を外し、
同構成Mにおける「実行」の主体について、「前記保留予告演出実行手段」との限定を外したものである。

そうすると、上記(1)にて説示のとおり本願補正発明から構成N、構成O、O1、O2を外した発明が、当業者が引用発明、引用文献2に記載の事項、引用文献3に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるのだから、本願補正発明から構成N、構成O、O1、O2を外し、さらに構成F、G、J、Mから限定を外した本願発明もまた、当業者が引用発明、引用文献2に記載の事項、引用文献3に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-27 
結審通知日 2019-12-03 
審決日 2019-12-16 
出願番号 特願2016-185767(P2016-185767)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 遠藤 孝徳▲高▼木 尚哉手塚 毅  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 石井 哲
木村 隆一
発明の名称 遊技機  
代理人 田▲崎▼ 聡  
代理人 佐伯 義文  
代理人 平野 昌邦  
代理人 松沼 泰史  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ