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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01C
管理番号 1359444
審判番号 不服2018-16662  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-13 
確定日 2020-02-06 
事件の表示 特願2014- 80557「モータ駆動式スライド型可変抵抗器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月12日出願公開、特開2015-201578〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年4月9日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年9月22日付け:拒絶理由通知書
平成29年11月14日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年3月28日付け:拒絶理由通知書
平成30年5月29日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年9月13日付け:拒絶査定
平成30年12月13日 :審判請求書、手続補正書の提出


第2 本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明は、平成30年12月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
長孔が形成された上板部、前記上板部と対向する底板部、および前記上板部と前記底板部の短手方向側の端部間に設けられた互いに対向する一対の側板部を有するハウジングと、
板面が前記側板部と対向した状態で前記ハウジングの長手方向に延在し一対の前記側板部の間に配設された抵抗基板と、
前記ハウジング内に収容される基部および前記長孔から突出する操作部を有し前記ハウジング内を長手方向にスライド移動可能に配設された移動部材と、
前記抵抗基板に摺接すると共に前記移動部材の側方側に固定された摺動子と、
前記ハウジングの一端部に取り付けられたモータと、
前記モータの回転軸に固定された駆動プーリと、
前記駆動プーリと離間して配設された従動プーリと、
前記駆動プーリと従動プーリとの間に張架されるとともに前記移動部材に係合されたベルトと、を備えたモータ駆動式スライド型可変抵抗器において、
前記モータおよび前記従動プーリは一方の前記側板部に取り付けられ、
前記抵抗基板は、前記上板部と前記底板部との間に位置して、他方の前記側板部に取り付けられ、
前記モータが一方の前記側板部の外側に取り付けられており、前記モータの回転軸線と前記従動プーリの回転軸線とが当該側板部に対して直交するように配置されるとともに、前記ベルトが前記抵抗基板に対向するように設けられていることを特徴とするモータ駆動式スライド型可変抵抗器。」


第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-5、7-9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2003-017305号公報
引用文献2:実願平02-094748号(実開平04-052705号)のマイクロフィルム


第4 引用文献
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、「モータ駆動式スライド型可変抵抗器」に関して、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(1)「【0014】本発明の請求項1に記載の発明は、細長い抵抗素子基板、およびこの抵抗素子基板に対し垂直な操作レバーを備えて抵抗素子基板に沿って直線摺動可能な摺動体、ならびに摺動体に保持されて抵抗素子基板上を接触摺動する弾性可動接点からなる可変抵抗器部と、可変抵抗器部の操作レバーを外方に突出させて抵抗素子基板および摺動体を囲うと共に、摺動体の直線摺動の案内部を兼ねる金属薄板製のカバーと、カバー側壁の長手方向延長部の一方に、回転軸が摺動体の直線摺動方向と直交する方向に装着されたモータと、カバーの同じ側壁の他方の延長部に、モータの回転軸と平行に装着された従動プーリと、モータの回転軸に固定された歯付駆動プーリと従動プーリとの間に張架され、カバー内において摺動体と結合されたリング状の歯付ベルトからなるモータ駆動式スライド型可変抵抗器としたものであり、全体の高さ寸法が小さいと共に、操作レバーも短く、また、全体としての構成部材数が少ないモータ駆動式スライド型可変抵抗器を実現できるという作用効果が得られる。」

(2)「【0024】図1は本発明の第1の実施の形態によるモータ駆動式スライド型可変抵抗器の部分断面の正面図、図2は同平面図であり、同図において、21は金属薄板を加工して形成されたカバーで、上面壁21Aの開口部21Bから可変抵抗器部22の操作レバー22Aを上方に突出させ、下方の細長い抵抗素子基板23および、この抵抗素子基板23上を接触摺動する弾性可動接点24を保持した樹脂製の摺動体25からなる可変抵抗器部22を囲うと共に、平行する二つの側壁21C,21Dで摺動体25の直線運動の案内部を兼ねていることは、従来の技術の場合と同様である。」

(3)「【0025】しかし、カバー21には、一方の側壁21Cの長手方向延長部の一方にモータ26が、その回転軸27を側壁21Cの面と直交させるようにして装着され、上記摺動体25の直線運動方向と直交したその回転軸27には歯付駆動プーリ28が固定され、更に同じ側壁21Cの他方の延長部には、歯付駆動プーリ28すなわちモータ26の回転軸27と平行に、従動プーリ29が装着されている。」

(4)「【0026】そして、歯付駆動プーリ28と従動プーリ29の間には、歯付駆動プーリ28の歯28Aとかみ合う内歯30Aを有するリング状で、ゴム系の材料からなる歯付ベルト30が張架され、その中間部は可変抵抗器部22の摺動体25に結合している。」

(5)「【図1】



(6)「【図2】



ここで、モータ駆動式スライド型可変抵抗器は、上記(2)及び(5)によれば、カバー21と、抵抗素子基板23と、摺動体25と、操作レバー22Aと、弾性可動接点24とを有し、また、上記(3)及び(5)によれば、モータ26と、歯付駆動プーリ28と、従動プーリ29とを有し、さらに、上記(4)及び(5)によれば、歯付ベルト30を有するものである。
そして、上記各部品については、次のとおりである。

ア.上記(2)及び(6)によれば、カバー21は、上面壁21A、及び、平行する二つの側壁21C及び21Dを有するものである。また、上面壁21Aは、開口部21Bを有するものであり、上記(6)によれば、開口部21Bが細長い形状であることがみてとれる。

イ.上記(2)及び(5)によれば、抵抗素子基板23は、カバー21の下方にあるものである。

ウ.上記(1)によれば、摺動体は操作レバーを備えて抵抗素子基板に沿って直線摺動可能なものである。そして、上記(2)によれば、カバー21で抵抗素子基板23及び摺動体25からなる可変抵抗器部22を囲うから、摺動体25はカバー21に囲われるものといえる。また、上記(2)によれば、操作レバー22Aは、上面壁21Aの開口部21Bから上方に突出するものである。

エ.上記(2)によれば、弾性可動接点24は、摺動体25に保持され、抵抗素子基板23上を接触摺動するものであり、上記(5)によれば、摺動体25の下方に保持されることがみてとれる。

オ.上記(3)及び(5)によれば、モータ26は、カバー21の側壁21Cの長手方向延長部の一方に、その回転軸27を側壁21Cの面と直交させるようにして装着されるものであり、上記(6)によれば、カバー21の側壁21Cの外側に装着されることがみてとれる。

カ.上記(3)及び(5)によれば、歯付駆動プーリ28は、モータ26の回転軸27に固定されるものである。

キ.上記(3)及び(5)によれば、従動プーリ29は、カバー21の側壁21Cの他方の延長部に、歯付駆動プーリ28すなわちモータ26の回転軸27と平行に装着されるものである。

ク.上記(4)及び(5)によれば、歯付ベルト30は、歯付駆動プーリ28と従動プーリ29の間に張架され、摺動体25に結合しているものである。

ケ.上記(3)によれば、側壁21Cの長手方向延長部の一方にモータ26が装着され、側壁21Cの他方の延長部に従動プーリ29が装着されるから、上記(5)において、該長手方向とはモータ26と従動プーリ29を結ぶ方向である。そうすると、上記(5)によれば、抵抗素子基板23は、モータ26と従動プーリ29を結ぶ方向にあることがみてとれるから、カバー21の長手方向に設けられたものといえる。また、上記(6)によれば、側壁21C及び21Dは、上面壁21Aの長手方向と直交する狭い幅の方向の両側にあることがみてとれるから、上面壁21Aの短手方向側の両端部に設けられたものといえる。

以上で述べた事項を総合勘案すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「 細長い形状の開口部21Bを有する上面壁21A、及び、平行する二つの側壁21C及び21Dを有するカバー21と、
カバー21の下方にある抵抗素子基板23と、
カバー21に囲われ、開口部21Bから上方に突出する操作レバー22Aを備えて抵抗素子基板23に沿って直線摺動可能な摺動体25と、
抵抗素子基板23上を接触摺動し、摺動体25の下方に保持される弾性可動接点24と、
カバー21の側壁21Cの長手方向延長部の一方の外側に、その回転軸27を側壁21Cの面と直交させるようにして装着されるモータ26と、
モータ26の回転軸27に固定される歯付駆動プーリ28と、
側壁21Cの他方の延長部に、歯付駆動プーリ28すなわちモータ26の回転軸27と平行に装着される従動プーリ29と、
歯付駆動プーリ28と従動プーリ29の間に張架され、摺動体25に結合している歯付ベルト30とを有するモータ駆動式スライド型可変抵抗器において、
前記長手方向はモータ26と従動プーリ29を結ぶ方向であり、側壁21C及び21Dは、上面壁21Aの短手方向側の両端部に設けられ、抵抗素子基板23は、カバー21の長手方向に設けられる、モータ駆動式スライド型可変抵抗器。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2には、「モータ駆動スライド型可変抵抗器」に関して、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(1)「 本考案は、上記のような課題を解決するために、抵抗器本体は、抵抗器部品取付用の第1の枠体と、駆動メカ部品取付用の第2の枠体に分割され、前記第1の枠体には、抵抗体を形成する抵抗基板と、該抵抗基板上を摺動する摺動子を固定した摺動子受けを設け、前記第2の枠体には、モータ及び複数のプーリを取り付け、前記モータの軸に固定された歯車及び前記各プーリをめぐって一般に凹凸状の歯を有するエンドレスのけん引体を張架して前記モータの歯車に前記けん引体の歯を噛合するとともに、前記けん引体に設けた歯を前記摺動子受けに設けた凹凸状の歯に噛合せしめている。」(第3頁第18行目-第4頁第9行目)

(2)「 第1図?第4図は本考案の実施例の説明図で、第1図はモータ駆動スライド型可変抵抗器の駆動構造を示す分解斜視図、第2図は上面図、第3図は摺動子受けの一部を示す斜視図、第4図は本考案の可変抵抗器の動作説明のための模式図、第5図は第4図のA部の拡大断面図である。
第1図において20は第1の枠体で、該枠体20の底面には抵抗体21を形成した抵抗基板22が取付けられている。前記第1の枠体20の側板23、23には、摺動子受け24の2本の案内棒25、25が架設され、該2本の案内棒25、25に案内されて摺動子受け24が左右に移動し、摺動子受け24に取付けられた摺動子(図示省略)が抵抗基板22上の抵抗体21上を摺動するようになっている。」(第5頁第10行目-第6頁第3行目)

(3)「 26は第2の枠体で、該枠体26の底面には、モータ27が固定され、該モータ27の軸28(第4図に示す)には歯車29が固定されている。」(第6頁第4行目-第6頁第6行目)

(4)「 また、第2の枠体26の底面には第1、第2、第3のプーリ30、31、32が回転可能に設けられている。33は一面に凹凸状の歯34を設けたけん引体すなわちエンドレスのベルトで、該ベルト33は、第1のプーリ30に巻回された後、一面は第3のプーリ32をめぐった後モータ27の歯車29をめぐって歯34に噛合し、更に第2のプーリ31をめぐって抵抗体21と並行にのび、第1のプーリ30の他側にもどるようになっている。」(第6頁第7行目-第6頁第15行目)

(5)「第1図



ここで、上記(1)の「抵抗器本体は、抵抗器部品取付用の第1の枠体と、駆動メカ部品取付用の第2の枠体に分割され」によれば、抵抗器本体は、一方の枠体と他方の枠体からなるものである。

また、上記(1)及び(2)によれば、第1の枠体(一方の枠体)の底面に抵抗基板が取付けられ、上記(1)、(3)及び(4)によれば、第2の枠体(他方の枠体)の底面にモータ及びプーリが取付けられる。

ここで、枠体の底面とは、上記(5)によれば、抵抗基板の取付け位置からして、抵抗器本体としてみたときの側面のことであるといえる。

そうすると、引用文献2には次の技術事項が記載されている。
「 抵抗器本体は一方の枠体と他方の枠体からなり、一方の枠体の側面に抵抗基板が取付けられ、他方の枠体の側面にモータ及びプーリが取付けられる、モータ駆動スライド型可変抵抗器。」


第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「カバー21」は、本願発明の「ハウジング」に相当する。また、引用発明のカバー21の「細長い形状の開口部21B」、「上面壁21A」及び「平行する二つの側壁21C及び21D」は、それぞれ本願発明のハウジングの「長孔」、「上板部」及び「互いに対向する一対の側板部」に相当する。
そして、引用発明の側壁21C及び21Dは「上面壁21Aの短手方向側の両端部に設けられ」るから、「ハウジング」について、本願発明と引用発明とは、「長孔が形成された上板部、および前記上板部の短手方向側の端部に設けられた互いに対向する一対の側板部を有する」点で共通する。
ただし、本願発明のハウジングは、「前記上板部と対向する底板部」を有し、「一対の側板部」が「前記上板部と前記底板部の短手方向側の端部間に設けられ」るのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点で相違する。

(2)引用発明の「抵抗素子基板23」は、本願発明の「抵抗基板」に相当する。
そして、引用発明の「抵抗素子基板23」は「カバー21の長手方向に設けられる」から、「抵抗基板」について、本願発明と引用発明とは「ハウジングの長手方向に延在し」て「配設され」る点で共通する。
ただし、「抵抗基板」について、本願発明は「板面が前記側板部と対向した状態」で「一対の前記側板部の間」に配設されるとともに「前記上板部と前記底板部との間に位置して、他方の前記側板部に取り付けられ」るのに対して、引用発明は「カバー21の下方」に設けられる点で相違する。

(3)引用発明の摺動体25は、「カバー21に囲われ」、また、操作レバー22Aを備えて、カバー21の長手方向に設けられる抵抗素子基板23に沿って直線摺動可能なものであるから、操作レバー22Aとともに「カバー21の長手方向」に「直線摺動可能な」ものである。
そうすると、引用発明の「摺動体25」及び「操作レバー22A」からなるものは、本願発明の「ハウジング内を長手方向にスライド移動可能に配設された移動部材」に相当する。
また、引用発明の「カバー21に囲われ」る「摺動体25」及び「開口部21Bから上方に突出する操作レバー22A」は、それぞれ本願発明の「ハウジング内に収容される基部」及び「長孔から突出する操作部」に相当する。

(4)引用発明の「弾性可動接点24」は、「抵抗素子基板23上を接触摺動」するものであるから、本願発明の「抵抗基板に摺接する摺動子」に相当する。
そして、引用発明の「弾性可動接点24」は「摺動体25の下方に保持される」から、「摺動子」について、本願発明と引用発明とは「前記抵抗基板に摺接すると共に前記移動部材に固定された摺動子」である点で共通する。
ただし、「摺動子」について、本願発明は「移動部材の側方側に固定され」るのに対して、引用発明は「摺動体25の下方に保持される」点で相違する。

(5)引用発明の「モータ26」は「カバー21の側壁21Cの長手方向延長部の一方の外側」に装着されるものであるから、本願発明の「ハウジングの一端部に取り付けられたモータ」に相当するとともに、「一方の前記側板部の外側に取り付けられ」る点で本願発明と共通する。


(6)引用発明の「モータ26の回転軸27に固定される歯付駆動プーリ28」は、本願発明の「モータの回転軸に固定された駆動プーリ」に相当する。

(7)引用発明の「従動プーリ29」は「側壁21Cの他方の延長部」に装着されるところ、「歯付駆動プーリ28」は「側壁21Cの長手方向延長部の一方」に装着される「モータ26」の「回転軸27に固定される」ものであるから、引用発明の「従動プーリ29」は、本願発明の「駆動プーリと離間して配設された従動プーリ」に相当する。

(8)引用発明の「歯付ベルト30」は、「歯付駆動プーリ28と従動プーリ29の間に張架され、摺動体25に結合している」から、本願発明の「駆動プーリと従動プーリとの間に張架されるとともに前記移動部材に係合されたベルト」に相当する。
ただし、本願発明の「ベルト」は「前記抵抗基板に対向するように設けられている」のに対して、引用発明はそのように設けられていない点で相違する。

(9)引用発明の「モータ26」は「側壁21C」に、「その回転軸27を側壁21Cの面と直交させるようにして装着される」ものである。また、引用発明の「従動プーリ29」は「側壁21C」に、「モータ26の回転軸27と平行に装着される」から、回転軸を側壁21Cと直交させるようにして装着されるものといえる。
そうすると、「モータ」及び「従動プーリ」について、本願発明と引用発明とは「一方の前記側板部に取り付けられ」るとともに「前記モータの回転軸線と前記従動プーリの回転軸線とが当該側板部に対して直交するように配置される」点で共通する。

(10)上記のことから、本願発明と引用発明とは、「ハウジング」と「抵抗基板」と「移動部材」と「摺動子」と「モータ」と「駆動プーリ」と「従動プーリ」と「ベルト」とを備えた「モータ駆動式スライド型可変抵抗器」である点で共通する。

そうすると、本願発明と引用発明とは、
「 長孔が形成された上板部、および前記上板部の短手方向側の端部に設けられた互いに対向する一対の側板部を有するハウジングと、
前記ハウジングの長手方向に延在し配設された抵抗基板と、
前記ハウジング内に収容される基部および前記長孔から突出する操作部を有し前記ハウジング内を長手方向にスライド移動可能に配設された移動部材と、
前記抵抗基板に摺接すると共に前記移動部材に固定された摺動子と、
前記ハウジングの一端部に取り付けられたモータと、
前記モータの回転軸に固定された駆動プーリと、
前記駆動プーリと離間して配設された従動プーリと、
前記駆動プーリと従動プーリとの間に張架されるとともに前記移動部材に係合されたベルトと、を備えたモータ駆動式スライド型可変抵抗器において、
前記モータおよび前記従動プーリは一方の前記側板部に取り付けられ、
前記モータが一方の前記側板部の外側に取り付けられており、前記モータの回転軸線と前記従動プーリの回転軸線とが当該側板部に対して直交するように配置されることを特徴とするモータ駆動式スライド型可変抵抗器。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
「ハウジング」について、本願発明は「前記上板部と対向する底板部」を有し、「一対の側板部」が「前記上板部と前記底板部の短手方向側の端部間に設けられ」るのに対して、引用発明はその旨の特定がされていない点で相違する。

<相違点2>
「抵抗基板」、「摺動子」及び「ベルト」の配置について、本願発明は「抵抗基板」が「板面が前記側板部と対向した状態」で「一対の前記側板部の間」に配設されるとともに「前記上板部と前記底板部との間に位置して、他方の前記側板部に取り付けられ」、また、「摺動子」が「移動部材の側方側に固定され」、「ベルト」が「前記抵抗基板に対向するように設けられている」のに対して、引用発明はそのような配置ではない点で相違する。


2 判断
相違点1及び2について検討する。
まず、上記「第4 2」で説示したように引用文献2には次の技術事項が記載されている。
「 抵抗器本体は一方の枠体と他方の枠体からなり、一方の枠体の側面に抵抗基板が取付けられ、他方の枠体の側面にモータ及びプーリが取付けられる、モータ駆動スライド型可変抵抗器。」
そして、部品の配置は設計工程で検討して選択する事項であることを考慮すれば、引用発明において、「カバー21」内に「抵抗素子基板23」及び「弾性可動接点24」の配置を検討する際に、引用文献2に記載された技術事項を適用し、「側壁21D」に「抵抗素子基板23」を取付けることにより、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。その際に、「抵抗素子基板23」を接触摺動するように「弾性可動接点24」を「摺動体25」の「側壁21D」側に取付けることは当業者にとって格別な困難性を有することではない。ここで、そのように配置すると、「抵抗素子基板23」によって「カバー21」の底面が覆われなくなるから、「カバー21」に底面部を設けることにより、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が適宜なし得たことである。

また、本願発明の作用効果は、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用したことにより奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

そして、請求人は、審判請求書の「4.本願発明が特許されるべき理由」において「引用文献1の図1では、抵抗素子基板23がモータ駆動式スライド型可変抵抗器の底部に配置されております。このとき、抵抗素子基板23は、図1の紙面垂直方向に幅を有しております。このため、引用文献2に記載の発明を組み合わせて、引用文献1に記載の発明において、抵抗素子基板23を側壁21C、21Dに配置する場合には、抵抗素子基板23の幅を収めるだけの「高さ寸法」(図1でいう紙面上下方向の高さ寸法)が必要とされます。従いまして、引用文献1に記載の発明に引用文献2に記載の発明を組み合わせることは、引用文献1に記載の発明の目的に反することになります。すなわち、引用文献1に記載の発明に引用文献2に記載の発明を組み合わせることについては明らかに阻害要因が存在します。」と主張する。
しかしながら、引用文献2の第1図から「ベルト33」の高さ方向の間隔と同程度の幅の「抵抗基板22」がみてとれることを鑑みれば、引用発明に引用文献2に記載された技術事項を適用しても「抵抗素子基板23」は「歯付ベルト30」の高さ方向の間隔と同程度の幅で足り、引用発明の全体の高さ寸法を小さくするという目的に反するものにはならない。よって、上記請求人の主張は採用できない。

したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-29 
結審通知日 2019-12-03 
審決日 2019-12-17 
出願番号 特願2014-80557(P2014-80557)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小池 秀介堀 拓也  
特許庁審判長 國分 直樹
特許庁審判官 山田 正文
石川 亮
発明の名称 モータ駆動式スライド型可変抵抗器  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  
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