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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1359456
審判番号 不服2019-6228  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-13 
確定日 2020-02-06 
事件の表示 特願2016-157145号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年2月15日出願公開、特開2018-23576号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年8月10日の出願であって、平成30年3月1日に手続補正書が提出され、同年7月9日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月6日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成31年2月19日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、令和1年5月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和1年5月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和1年5月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
特定演出を実行可能な特定演出実行手段と、
前記特定演出が開始されるまでの期間に対応する特別画像を表示し、該特別画像を時間の経過に応じて順次更新させることで、前記特定演出が実行されるタイミングを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段と、
を備え、
前記示唆演出実行手段は、前記有利状態に制御される期待度に応じて前記示唆演出の態様を異ならせることができ、
前記特別画像を時間の経過に応じて順次更新させる前に、前記特別画像に関する初期画像を表示し、該初期画像を前記特別画像に変更して表示可能であり、
前記初期画像を前記特別画像に変更するときの態様は、前記特別画像を時間の経過に応じて順次更新させるときの態様とは異なり、
前記示唆演出実行手段は、第1変更パターンで前記初期画像を前記特別画像に変更してから前記示唆演出を実行するときよりも、前記第1変更パターンとは異なる第2変更パターンで前記初期画像を前記特別画像に変更してから前記示唆演出を実行するときの方が、前記有利状態に制御される割合が高くなるように前記示唆演出を実行する
ことを特徴とする遊技機。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成30年9月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
特定演出を実行可能な特定演出実行手段と、
前記特定演出が開始されるまでの期間に対応する特別画像を表示し、該特別画像を時間の経過に応じて順次更新させることで、前記特定演出が実行されるタイミングを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段と、
を備え、
前記示唆演出実行手段は、前記有利状態に制御される期待度に応じて前記示唆演出の態様を異ならせることができ、
前記特別画像を時間の経過に応じて順次更新させる前に、前記特別画像に関する初期画像を表示し、該初期画像を前記特別画像に変更して表示可能であり、
前記初期画像を前記特別画像に変更するときの態様は、前記特別画像を時間の経過に応じて順次更新させるときの態様とは異なる
ことを特徴とする遊技機。」

2 補正の適否
補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「示唆演出実行手段」について、「第1変更パターンで前記初期画像を前記特別画像に変更してから前記示唆演出を実行するときよりも、前記第1変更パターンとは異なる第2変更パターンで前記初期画像を前記特別画像に変更してから前記示唆演出を実行するときの方が、前記有利状態に制御される割合が高くなるように前記示唆演出を実行する」ことを特定することにより、補正前の請求項1に記載された「示唆演出実行手段」を限定するものである。
そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面の【0147】、【0149】、【0174】、図15、図19等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)において示した次に特定されるとおりのものである(A?Hについては、発明特定事項を分説するため当審で付した。)。

「A 遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 特定演出を実行可能な特定演出実行手段と、
C 前記特定演出が開始されるまでの期間に対応する特別画像を表示し、該特別画像を時間の経過に応じて順次更新させることで、前記特定演出が実行されるタイミングを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段と、
を備え、
D 前記示唆演出実行手段は、前記有利状態に制御される期待度に応じて前記示唆演出の態様を異ならせることができ、
E 前記特別画像を時間の経過に応じて順次更新させる前に、前記特別画像に関する初期画像を表示し、該初期画像を前記特別画像に変更して表示可能であり、
F 前記初期画像を前記特別画像に変更するときの態様は、前記特別画像を時間の経過に応じて順次更新させるときの態様とは異なり、
G 前記示唆演出実行手段は、第1変更パターンで前記初期画像を前記特別画像に変更してから前記示唆演出を実行するときよりも、前記第1変更パターンとは異なる第2変更パターンで前記初期画像を前記特別画像に変更してから前記示唆演出を実行するときの方が、前記有利状態に制御される割合が高くなるように前記示唆演出を実行する
H ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献の記載事項
ア 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2015-211762号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0009】
(手段1)本発明による遊技機は、開始条件の成立(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)にもとづいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(例えば、第1特別図柄、第2特別図柄)の可変表示を行う可変表示手段(例えば、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b)に特定表示結果(例えば、大当り図柄)が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば、大当り遊技状態)とする遊技機であって、開始条件が成立していない識別情報の可変表示について、保留記憶として記憶する保留記憶手段(例えば、第1保留記憶バッファ、第2保留記憶バッファ)と、開始条件が成立したことにもとづいて、識別情報の可変表示時間を決定する開始時決定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS301を実行する部分)と、開始時決定手段の決定結果にもとづいて識別情報の可変表示を実行する可変表示実行手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS105,S303,S304,S36を実行する部分)と、計数値を提示する計数演出(例えば、示唆演出(カウントダウン演出))を実行する計数演出実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS8111を実行する部分)と、計数演出によって提示される計数値が特定値となったとき(例えば、図41(A4),(B4)に示すようにカウント値が「00:00」になったとき)に特定演出(例えば、一発告知、役物演出、ウィンドウ(大)、ウィンドウ(小)の特定演出)を実行可能な特定演出実行手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS8108を実行する部分)と、開始時決定手段による決定前に、特定演出が実行されるか否かを判定する事前判定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS1217A,S1217Bを実行する部分。演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS6006を実行する部分。)と、事前判定手段の判定結果にもとづいて、当該事前判定手段の判定対象となった識別情報の可変表示の開始条件が成立する以前に、計数演出が実行されることを示す計数演出画像(例えば、図41(A2),(B2)に示す待機中表示)を表示する計数演出画像表示手段(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100におけるステップS6020を実行する部分)とを備え、計数演出実行手段は、計数演出画像が表示された後、事前判定手段の判定対象となった識別情報の可変表示において計数演出を開始する(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100は、ステップS8006でYとなったときにステップS8007を実行した後、ステップS8111を実行する)ことを特徴とする。そのような構成によれば、計数演出を実行するための処理負担の増加を抑えつつ、計数演出の実行をあらかじめ報知することにより事前に期待感を高めて遊技に対する興趣を向上させることができる。」

「【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

「【0312】
また、示唆演出は、特定演出の発生タイミングを該特定演出の発生タイミングよりも所定時間前から示唆する演出であり、本実施の形態では、特定演出が発生するタイミングまでの残り時間を、特定演出の発生タイミングよりも5秒前から演出表示装置9に表示する演出(以下、カウントダウン演出ともいう)である。このカウントダウン演出を行ったときには、残り時間を示すカウンタがゼロになった時点で、いずれかの特定演出が発生する。なお、カウントダウン演出の開始タイミングは特定演出の発生タイミングの5秒前に限らず、5秒前よりも前であっても後であってもよい。また、複数種類の開始タイミングから一の開始タイミングを選択して実行するものとしてもよい。例えば、特定演出の発生タイミングの3秒前、5秒前、7秒前からいずれかの開始タイミングを抽選によって選択し、実行するものとしてもよい。なお、本実施の形態では、演出表示装置9に表示するカウンタの大きさが異なる示唆演出の態様として、カウンタを大きく表示する「大表示」と、「大表示」よりもカウンタを小さく表示する「小表示」とが設けられている。なお、詳細は後述するが、本実施の形態では、大当りであるか否かに基づいて特定演出の実行の有無および実行する場合には特定演出の種類を決定するとともに、実行する特定演出の種類に基づいて示唆演出の態様を決定し、決定した示唆演出と特定演出とを所定のタイミングで実行する構成としてある。以下、特定演出と示唆演出とを「予告演出」と総称することがある。なお、ステップS8003では、更に、示唆演出や特定演出とは異なる他の演出(例えば、ステップアップ演出)の実行の有無や態様を設定する処理を行うこととしてもよい。」

「【0343】
次いで、演出制御用CPU101は、演出表示装置9において、ステップS6013?S6018の処理で選択した示唆演出の態様に応じた待機中表示を開始する制御を行う(ステップS6020)。例えば、演出表示装置9において、タイマを模した画像を表示するとともに、そのタイマが「待機中」と表示されているような態様で待機中表示を開始する。また、この場合、示唆演出の態様として小表示を選択した場合には大きさが小さいタイマを模した画像を表示し、示唆演出の態様として大表示を選択した場合には小表示と比較して大きさが大きいタイマを模した画像を表示する(図41参照)。」

「【0345】
また、この実施の形態では、図35で既に説明したように、大当り確定となる一発告知の特定演出に対しては示唆演出の演出態様として必ず大表示が選択されることから、示唆演出の演出態様として大表示が選択された場合には小表示が選択された場合と比較して大当りに対する期待度(信頼度)が高い。従って、この実施の形態では、大表示の示唆演出に対応して大表示の待機中表示が表示され、小表示の示唆演出に対応して小表示の待機中表示が表示されるのであるから、大表示の待機中表示が表示された場合には小表示の待機中表示が表示された場合と比較して大当りに対する期待度(信頼度)が高くなる。」

「【0364】
次に、演出制御用CPU101は、その次に設定されている表示制御実行データ、およびランプ制御実行データ(すなわち、音番号データ以外)にもとづいて演出装置に対する制御状態を変更する(ステップS8105)。ステップS8103においてプロセスタイマがタイムアウトしてなかった場合、またはステップS8105を行った後、演出制御用CPU101は、演出図柄変動開始処理のステップS8007で設定された特定演出の実行タイミングであるか否かを判定する(ステップS8106)。特定演出の実行タイミン
グである場合、特定演出先読み処理のステップS6011で記憶した特定演出パターンを読み出して(ステップS8107)、該特定演出パターンに含まれる特定演出を実行する(ステップS8108)。」

「【0367】
ステップS8106において特定演出の実行タイミングでない場合や特定演出および示唆演出の決定が行われていない場合(ステップS8106のN)、またはステップS8108の後、演出制御用CPU101は、演出図柄変動開始処理のステップS8007で設定された示唆演出の開始タイミングであるか否かを判定し(ステップS8109)、示唆演出の開始タイミングである場合、特定演出先読み処理のステップS6019で記憶した示唆演出の態様を読み出して(ステップS8110)、示唆演出を実行する(ステップS8111)。この場合、演出表示装置9において既に待機中表示が表示されているので(ステップS6020参照)、その対応する待機中表示に代えて示唆演出の実行を開始する。具体的には、この実施の形態では、タイマを模した画像を表示するとともに、そのタイマが「待機中」と表示されているような態様で待機中表示がされるのであるが、その「待機中」の表示を消去し、タイマによるカウントダウンが開始されるような態様の演出を開始する(図41参照)。」

イ 上記アから、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「可変表示手段に大当り図柄が導出表示されたときに遊技者にとって有利な大当り遊技状態とするパチンコ遊技機1であって(【0009】、【0017】)、
特定演出を実行する演出制御用CPU101と(【0364】)、
特定演出が発生するタイミングまでの残り時間を、特定演出の発生タイミングよりも5秒前から演出表示装置9に表示するカウントダウン演出であり、
カウントダウン演出を行ったときには、残り時間を示すカウンタがゼロになった時点で、特定演出が発生する示唆演出を実行する演出制御用CPU101と(【0312】、【0367】)、
を備え、
演出制御用CPU101は、演出表示装置9において、タイマを模した画像を表示するとともに、そのタイマが「待機中」と表示されているような態様で待機中表示を開始し(【0343】)、
示唆演出の開始タイミングになると、その「待機中」の表示を消去し、タイマによるカウントダウンが開始されるような態様の演出を開始するものであり(【0367】)、
示唆演出の態様として、カウンタを大きく表示する「大表示」と、「大表示」よりもカウンタを小さく表示する「小表示」とが設けられており(【0312】)、
示唆演出の態様として小表示を選択した場合には大きさが小さいタイマを模した画像を表示し、示唆演出の態様として大表示を選択した場合には小表示と比較して大きさが大きいタイマを模した画像を表示し(【0343】)、
示唆演出の演出態様として大表示が選択された場合には小表示が選択された場合と比較して大当りに対する期待度(信頼度)が高く(【0345】)、
大表示の示唆演出に対応して大表示の待機中表示が表示され、小表示の示唆演出に対応して小表示の待機中表示が表示されるのであるから、大表示の待機中表示が表示された場合には小表示の待機中表示が表示された場合と比較して大当りに対する期待度(信頼度)が高くなる(【0345】)、
パチンコ遊技機1(【0017】)。」

(3)対比・判断
本件補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出しは(A)?(H)とし、本件補正発明の分説に対応させている。

(A)引用発明の「可変表示手段に大当り図柄が導出表示されたときに遊技者にとって有利な大当り遊技状態とする」ことは、本件補正発明の「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」であることに相当し、引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本件補正発明の構成Aを備えている。

(B)引用発明の「特定演出」は、本件補正発明の「特定演出」に相当するから、引用発明の「演出制御用CPU101」は、本件補正発明の「特定演出実行手段」の機能を備えるものである。
よって、引用発明は、本件補正発明の構成Bを備えている。

(C)引用発明の「示唆演出」は、「演出制御用CPU101」によって実行され、「特定演出が発生するタイミングまでの残り時間を、特定演出の発生タイミングよりも5秒前から演出表示装置9に表示する」「カウントダウン演出」であり、「演出表示装置9において」、「タイマを模した画像を表示」し、「示唆演出の開始タイミングになると」、「タイマによるカウントダウンが開始されるような態様の演出」を行い、「残り時間を示すカウンタがゼロになった時点で、特定演出が発生する」ものである。
ここで、引用発明の、「残り時間を」「5秒前から」「表示する」「カウントダウン演出」においては、「タイマを模した画像を表示」し、「タイマによるカウントダウンが開始されるような態様の演出」を行い、「残り時間を示すカウンタがゼロに」なるものであって、「タイマを模した画像」に「残り時間」が「表示」されているといえるから、引用発明の「示唆演出」は、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」の「残り時間」を「特定演出の発生タイミングよりも5秒前から」時間の経過に応じて「カウントダウン」する「演出」である。
そして、引用発明の「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」は、「演出表示装置9に表示」される「画像」であることは明らかであり、「残り時間」は「特定演出が発生するタイミングまでの残り時間」であるから、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」は、本件補正発明の「前記特定演出が開始されるまでの期間に対応する」「特別画像」に相当する。
また、引用発明の「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」の「残り時間」を時間の経過に応じて「カウントダウン」することは、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を時間の経過に応じて順次更新させているといえるから、本件補正発明の「該特別画像を時間の経過に応じて順次更新させる」ことに相当する。
そして、引用発明の「示唆演出の開始タイミング」は「特定演出の発生タイミング」の「5秒前」であり、「残り時間を示すカウンタがゼロになった時点で、特定演出が発生する」ことから、引用発明の「示唆演出」は、「特定演出が実行されるタイミングを示唆」しているものであり、本件補正発明の「前記特定演出が実行されるタイミングを示唆する」「示唆演出」に相当する。
そうすると、引用発明の「示唆演出を実行する」「演出制御用CPU101」は、本件補正発明の「示唆演出実行手段」の機能を備えるものである。
よって、引用発明は、本件補正発明の構成Cを備えている。

(D)引用発明の「示唆演出」は、「態様として、カウンタを大きく表示する「大表示」と、「大表示」よりもカウンタを小さく表示する「小表示」とが設けられており」、「示唆演出の演出態様として大表示が選択された場合には小表示が選択された場合と比較して大当りに対する期待度(信頼度)が高」いのであるから、本件補正発明の「前記有利状態に制御される期待度に応じて」「態様を異ならせる」「示唆演出」に相当する。
そして、引用発明の「示唆演出」は、「演出制御用CPU101」(示唆演出実行手段)によって実行されることから、引用発明は、本件補正発明の構成Dを備えている。

(E)引用発明の「待機中表示」は、「演出表示装置9において、タイマを模した画像を表示」し、「そのタイマが「待機中」と表示されているような態様」で「「待機中」」と「表示」しているのであるから、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」は、「演出表示装置9」に「表示」される「画像」であることは明らかである。
そして、引用発明は、「示唆演出の開始タイミングになると」、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」の「「待機中」の表示を消去」し、「示唆演出」が開始されるものであるから、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」は、「示唆演出」が開始される前に表示されるものであり、「「待機中」」の「表示」は、「示唆演出」の開始を待機してることを示すものといえる。
一方、上記(C)より、引用発明の「示唆演出」は、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」の「残り時間」を「特定演出の発生タイミングよりも5秒前から」時間の経過に応じて「カウントダウン」する「演出」であり、「示唆演出」においては、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」が表示されていることを踏まえると、引用発明において、「示唆演出の開始タイミングになると」、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」の「「待機中」の表示を消去」し、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を表示し、その「残り時間」の表示を時間の経過に応じて「カウントダウン」する「演出」を開始するといえる。
ここで、上記(C)より、引用発明の「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」は、本件補正発明の「特別画像」に相当するものであるから、引用発明の、「示唆演出の開始タイミングになると」、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」の「「待機中」の表示を消去」し、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を表示する、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」は、本件補正発明の「前記特別画像に関する」「初期画像」に相当するといえる。
そして、引用発明の「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」は、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を表示し、その「残り時間」の表示を時間の経過に応じて「カウントダウン」する前に表示されるものであるから、本件補正発明の「前記特別画像を時間の経過に応じて順次更新させる前に」「表示」する「初期画像」に相当し、引用発明は、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」の「「待機中」の表示を消去」し、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を表示するものであるから、本件補正発明の「該初期画像を前記特別画像に変更して表示可能」である構成を備えているといえる。
よって、引用発明は、本件補正発明の構成Eを備えている。

(F)引用発明において、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」は、「示唆演出の開始タイミングになると」、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」の「「待機中」の表示を消去」し、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を表示するものであるのに対し、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」の「残り時間」は、時間の経過に応じて「カウントダウン」されるものであるから、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」を「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」に変更するときの態様と、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を時間の経過に応じて順次更新させるときの態様が異なることは、明らかである。
そして、上記(C)、(E)より、引用発明の「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」は、それぞれ、本件補正発明の「特別画像」、「初期画像」に相当するから、引用発明は、本件補正発明の構成Fを備えている。

(G)引用発明は、「示唆演出の態様として」、「タイマを模した画像」を、「小表示」で表示する場合と、「大表示」で表示する場合とがあり、「小表示の示唆演出に対応して小表示の待機中表示が表示され」、「大表示の示唆演出に対応して大表示の待機中表示が表示され」るものである。
そして、引用発明は、「示唆演出の演出態様として大表示が選択された場合には小表示が選択された場合と比較して大当りに対する期待度(信頼度)が高く」、「大表示の待機中表示が表示された場合には小表示の待機中表示が表示された場合と比較して大当りに対する期待度(信頼度)が高くなる」のであるから、引用発明において、「タイマを模した画像」を「小表示」で表示して「待機中表示」から「示唆演出」を実行する場合よりも、「タイマを模した画像」を「大表示」で表示して「待機中表示」から「示唆演出」を実行する場合の方が、「大当りに対する期待度(信頼度)が高」いといえる。
ここで、引用発明の「待機中表示」は、「演出表示装置9において、タイマを模した画像を表示するとともに、そのタイマが「待機中」と表示されているような態様で」あることから、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」が表示されていることは明らかである。
そして、上記(C)、(E)より、引用発明は、「示唆演出の開始タイミングになると」、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」の「「待機中」の表示を消去」し、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を表示して、引用発明の「示唆演出」である、「「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」の「残り時間」を「特定演出の発生タイミングよりも5秒前から」時間の経過に応じて「カウントダウン」する「演出」を行うものである。
したがって、引用発明は、「タイマを模した画像」を「小表示」で表示して、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」の「「待機中」の表示を消去」し、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を表示して、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」の「残り時間」を「特定演出の発生タイミングよりも5秒前から」時間の経過に応じて「カウントダウン」する「演出」を行うときよりも、「タイマを模した画像」を「大表示」で表示して、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」の「「待機中」の表示を消去」し、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を表示して、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」の「残り時間」を「特定演出の発生タイミングよりも5秒前から」時間の経過に応じて「カウントダウン」する「演出」を行うときの方が、「大当りに対する期待度(信頼度)が高」いものといえる。
ここで、引用発明において、「タイマを模した画像」を「小表示」で表示するときよりも、「タイマを模した画像」を「大表示」で表示するときの方が、「大当りに対する期待度(信頼度)が高」いことから、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」の「「待機中」の表示を消去」し、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を表示するときに、「タイマを模した画像」を「小表示」で表示すること、「タイマを模した画像」を「大表示」で表示することはそれぞれ、本件補正発明の「第1変更パターン」で「変更」すること、「第2変更パターン」で「変更」することに相当するといえる。
また、上記(C)、(E)より、引用発明の「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」の「残り時間」を「特定演出の発生タイミングよりも5秒前から」時間の経過に応じて「カウントダウン」する「演出」は、それぞれ、本件補正発明の「特別画像」、「初期画像」、「示唆演出」に相当する。
そうすると、引用発明の「タイマを模した画像」を「小表示」で表示して、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」の「「待機中」の表示を消去」し、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を表示して、「「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」の「残り時間」を「特定演出の発生タイミングよりも5秒前から」時間の経過に応じて「カウントダウン」する「演出」を行うときは、本件補正発明の「第1変更パターンで前記初期画像を前記特別画像に変更してから前記示唆演出を実行するとき」に相当し、引用発明の「タイマを模した画像」を「大表示」で表示して、「「待機中」」と「表示」された「タイマを模した画像」の「「待機中」の表示を消去」し、「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」を表示して、「「残り時間を」「表示」した「タイマを模した画像」の「残り時間」を「特定演出の発生タイミングよりも5秒前から」時間の経過に応じて「カウントダウン」する「演出」を行うときは、本件補正発明の「前記第1変更パターンとは異なる第2変更パターンで前記初期画像を前記特別画像に変更してから前記示唆演出を実行するとき」に相当する。
また、引用発明の「大当りに対する期待度(信頼度)が高」いことは、本件補正発明の「前記有利状態に制御される割合が高くなる」ことに相当する。
そして、引用発明の「示唆演出」は、「演出制御用CPU101」(示唆演出実行手段)によって実行されることから、引用発明は、本件補正発明の構成Gを備えている。

(H)引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。
よって、引用発明は、本件補正発明の構成Hを備えている。

上記(A)?(H)の対比により、本件補正発明と引用発明は、全ての点で一致し、相違点はない。
したがって、本件補正発明は引用発明である。

(4)小括
よって、本件補正発明は引用文献に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 本件補正についてのむすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年9月6日にされた手続補正により補正された上記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものである。
引用文献:特開2015-211762号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、前記第2の[理由]3(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の発明特定事項から、上記第2の[理由]2で示した限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2に記載したとおり、引用発明であるから、本願発明も、同様に、引用発明である。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-25 
結審通知日 2019-11-26 
審決日 2019-12-11 
出願番号 特願2016-157145(P2016-157145)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 隆一松平 佳巳  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 大谷 純
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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