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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1359459 |
審判番号 | 不服2019-7058 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-05-30 |
確定日 | 2020-02-06 |
事件の表示 | 特願2016-102916号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月30日出願公開、特開2017-209203号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯の概要 本願は、平成28年5月24日の出願であって、平成30年4月6日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月14日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月12日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年12月11日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年2月28日付け(送達日:同年3月5日)で、平成30年12月11日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和1年5月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 令和1年5月30日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和1年5月30日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正により、平成30年6月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における 「【請求項1】 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 遊技者が操作可能な操作手段と、 前記操作手段に対する操作を促す操作促進報知を実行可能な操作促進報知実行手段とを備え、 前記操作促進報知実行手段は、 前記操作促進報知として、少なくとも第1情報を示す画像と第2情報を示す画像とを表示し、 前記第1情報を示す画像と前記第2情報を示す画像とを互いに重畳することなく表示する第1態様と、前記第1情報を示す画像と前記第2情報を示す画像とを少なくとも一部が重畳するように表示する第2態様とのいずれかの態様によって、前記操作促進報知を実行可能であり、 前記第1情報は、前記操作手段を示す情報であり、 前記第2情報は、前記操作手段に対する操作内容を示す情報であり、 前記操作促進報知実行手段は、 前記有利状態に制御される期待度が第1期待度のときには、前記第1態様の前記操作促進報知を第1の大きさで表示し、 前記有利状態に制御される期待度が第1期待度よりも高い第2期待度のときには、前記第2態様の前記操作促進報知を前記第1の大きさよりも大きい第2の大きさで表示する、 ことを特徴とする遊技機。」は、 審判請求時に提出された手続補正書(令和1年5月30日付け)の特許請求の範囲の請求項1における 「【請求項1】 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 遊技者が操作可能な操作手段と、 前記操作手段に対する操作を促す操作促進報知を実行可能な操作促進報知実行手段とを備え、 前記操作促進報知実行手段は、 前記操作促進報知として、少なくとも第1情報を示す画像と第2情報を示す画像とを表示し、 前記第1情報を示す画像と前記第2情報を示す画像とを互いに重畳することなく表示する第1態様と、前記第1情報を示す画像と前記第2情報を示す画像とを少なくとも一部が重畳するように表示する第2態様とのいずれかの態様によって、前記操作促進報知を実行可能であり、 前記第1情報は、前記操作手段を示す情報であり、 前記第2情報は、前記操作手段に対する操作内容を示す情報であり、 前記操作促進報知実行手段は、 前記有利状態に制御される期待度が第1期待度のときには、前記第1態様の前記操作促進報知を表示し、 前記有利状態に制御される期待度が第1期待度よりも高い第2期待度のときには、前記第2態様の前記操作促進報知を表示し、 前記第2態様の前記操作促進報知における前記第1情報を示す画像を、前記第1態様の前記操作促進報知における前記第1情報を示す画像よりも大きく表示し、 前記第2態様の前記操作促進報知における前記第2情報を示す画像を、前記第1態様の前記操作促進報知における前記第2情報を示す画像よりも大きく表示する、 ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために合議体にて付した。)。 2 補正の適否 2-1 補正の目的及び新規事項について 本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第1態様の操作促進報知」及び「第2態様の操作促進報知」に関して、「前記有利状態に制御される期待度が第1期待度のときには、前記第1態様の前記操作促進報知を第1の大きさで表示し、前記有利状態に制御される期待度が第1期待度よりも高い第2期待度のときには、前記第2態様の前記操作促進報知を前記第1の大きさよりも大きい第2の大きさで表示する」とあったものを「前記有利状態に制御される期待度が第1期待度のときには、前記第1態様の前記操作促進報知を表示し、前記有利状態に制御される期待度が第1期待度よりも高い第2期待度のときには、前記第2態様の前記操作促進報知を表示し」、かつ、「前記第2態様の前記操作促進報知における前記第1情報を示す画像を、前記第1態様の前記操作促進報知における前記第1情報を示す画像よりも大きく表示し、前記第2態様の前記操作促進報知における前記第2情報を示す画像を、前記第1態様の前記操作促進報知における前記第2情報を示す画像よりも大きく表示する」と限定することを含むものである。 そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0322】、【0326】等の記載からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。 2-2 独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Gは、分説するため当審判合議体にて付した。)。 「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 遊技者が操作可能な操作手段と、 C 前記操作手段に対する操作を促す操作促進報知を実行可能な操作促進報知実行手段とを備え、 D 前記操作促進報知実行手段は、 D1 前記操作促進報知として、少なくとも第1情報を示す画像と第2情報を示す画像とを表示し、 D2 前記第1情報を示す画像と前記第2情報を示す画像とを互いに重畳することなく表示する第1態様と、前記第1情報を示す画像と前記第2情報を示す画像とを少なくとも一部が重畳するように表示する第2態様とのいずれかの態様によって、前記操作促進報知を実行可能であり、 E 前記第1情報は、前記操作手段を示す情報であり、 F 前記第2情報は、前記操作手段に対する操作内容を示す情報であり、 D 前記操作促進報知実行手段は、 D3 前記有利状態に制御される期待度が第1期待度のときには、前記第1態様の前記操作促進報知を表示し、 D4 前記有利状態に制御される期待度が第1期待度よりも高い第2期待度のときには、前記第2態様の前記操作促進報知を表示し、 D5 前記第2態様の前記操作促進報知における前記第1情報を示す画像を、前記第1態様の前記操作促進報知における前記第1情報を示す画像よりも大きく表示し、 D6 前記第2態様の前記操作促進報知における前記第2情報を示す画像を、前記第1態様の前記操作促進報知における前記第2情報を示す画像よりも大きく表示する、 G ことを特徴とする遊技機。」 (2)引用例1 原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-68900号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。 ア 記載事項 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に係り、詳しくは、遊技領域に設けられた始動領域に進入した遊技媒体を検出する始動検出手段と、始動検出手段により遊技媒体が検出されたことに基づいて遊技媒体が進入可能な開放状態と遊技媒体が進入不可能な閉鎖状態とに変化する始動動作を行う可変入賞装置と、可変入賞装置に設けられた複数の領域のうち特定領域に進入した遊技媒体を検出する特定検出手段とを備え、始動動作にて開放状態となった可変入賞装置に進入した遊技媒体が特定検出手段により検出されたことに基づいて遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機に関する。」 (イ)「【0083】 特別図柄表示器8による特図ゲームでは、特別図柄(「0」?「9」)の可変表示が開始されてから、所定時間が経過したときに可変表示が停止して特図表示結果となる確定特別図柄が導出表示される。この確定特別図柄が大当り図柄として予め定められた特別図柄となることで、特定表示結果が導出表示されたときには、大当り遊技状態のうちの第1大当り遊技状態に移行する。すなわち、第1大当り遊技状態は、特別図柄表示器8による特図ゲームでの確定特別図柄が大当り図柄となった場合に、特定入賞口66Aに進入した遊技球が特定領域スイッチ66aで検出されたか否かに関わりなく、制御が開始される大当り遊技状態である。この実施の形態におけるパチンコ遊技機1では、一例として、「7」の数字を示す特別図柄を大当り図柄としている。また、特図ゲームにおける確定特別図柄が「7」の数字を示す大当り図柄となることは、特図表示結果が「大当り」になるとも称される。 【0084】 特図ゲームにおける確定特別図柄が小当り図柄として予め定められた特別図柄となることで、開放表示結果が導出表示されたときには、始動動作状態に移行する。始動動作状態では、可変入賞球装置20の内部に設けられている特定領域に遊技球が入賞すると、第2大当り遊技状態に移行する。すなわち、第2大当り遊技状態は、始動動作状態にて第1進入口71又は第2進入口72から可変入賞球装置20の内部に進入した遊技球が、特定入賞口66Aに進入して特定領域スイッチ66aで検出されたことにより、制御が開始される大当り遊技状態である。この実施の形態におけるパチンコ遊技機1では、一例として、「1」、「3」、「5」の数字を示す特別図柄を小当り図柄としている。また、特図ゲームにおける確定特別図柄が「1」、「3」、「5」の数字のいずれかを示す小当り図柄となることは、特図表示結果が「小当り」になるとも称される。 【0085】 第1大当り遊技状態や第2大当り遊技状態といった大当り遊技状態では、ラウンド遊技として予め定められた動作単位の特定動作が実行可能となり、開閉板16によって開閉される大入賞口が、第2の状態としての閉鎖状態から第1の状態としての開放状態となる。一例として、開閉板16は、ソレノイド21の駆動により、大入賞口を閉鎖状態から開放状態へと変化させた後、所定時間(例えば29秒間)が経過したこと、あるいは所定個数(例えば9個)の入賞球が発生したことに応じて、大入賞口を開放状態から閉鎖状態へと変化させる。こうした大入賞口を閉鎖状態から開放状態とした後、再び閉鎖状態へと変化させるまでの動作単位が、1回のラウンド遊技として定められている。また、大当り遊技状態にてラウンド遊技を繰り返し実行可能(継続可能)な最大継続回数としての大当り時ラウンド数(ラウンド最大値あるいは大入賞口最大開放回数とも称される)は、例えば「2」、「7」、「15」といった、複数種類のいずれかに決定される。ここで、大当り時ラウンド数が「15」に決定された大当り遊技状態は、大当り時ラウンド数が「2」や「7」に決定された大当り遊技状態に比べて、大入賞口に多くの遊技球が入賞することで払い出される賞球の個数を多くすることが可能であり、遊技者にとって有利である。」 (ウ)「【0091】 演出表示装置9の表示領域では、特別図柄表示器8による特図ゲームにて特別図柄の可変表示が行われることに対応して、飾り図柄の可変表示(例えば上下方向のスクロール表示など)が行われる。そして、特図ゲームでの確定特別図柄が大当り図柄となる場合には、飾り図柄の可変表示結果として、例えば「左」、「中」、「右」の各可変表示部にて所定の大当り組合せを構成する確定飾り図柄が導出表示される。このような大当り組合せの確定飾り図柄には、例えば「左」、「中」、「右」の各可変表示部にて、「7」の数字を示す飾り図柄といった、同一の飾り図柄が揃って導出表示されるものが含まれていればよい。また、特図ゲームでの確定特別図柄が小当り図柄となる場合には、飾り図柄の可変表示結果として、例えば「左」、「中」、「右」の各可変表示部にて所定の小当り組合せを構成する確定飾り図柄が導出表示される。このような小当り組合せの確定飾り図柄には、例えば「左」、「中」、「右」の各可変表示部にて、「2」、「4」、「6」の数字を示す飾り図柄のうちいずれか1つといった、大当り組合せを構成する確定飾り図柄とは異なる同一の飾り図柄が揃って導出表示されるものや、「左」、「中」、「右」の可変表示部にそれぞれ「1」、「3」、「5」の数字を示す飾り図柄を停止表示させる場合のように、予め定められた組合せの飾り図柄が導出表示されるものが、含まれていればよい。 ・・・ 【0096】 「ボタン操作予告」の変動中予告演出では、飾り図柄の可変表示中に、遊技者により操作ボタン120が操作されたことに応じて、例えば演出表示装置9の表示領域における演出画像の表示を変更することや、スピーカ27から出力させる音声を変更することにより、演出動作を変化させる。一例として、「ボタン操作予告」の予告演出では、飾り図柄の可変表示中に、ボタン操作促進演出となる所定の演出動作が行われる。ボタン操作促進演出は、例えば演出表示装置9の表示領域における所定位置に、予め用意されたキャラクタ画像やメッセージ画像といった演出画像を表示させることなどにより、遊技者による操作ボタン120の操作を促す演出動作であればよい。遊技者による操作ボタン120の操作を促す演出動作としては、演出表示装置9に演出画像を表示させるものに限定されず、スピーカ27から所定の音声を出力させるもの、装飾発光体を所定の点灯パターンで点灯あるいは点滅させるもの、遊技領域7の内部又は外部に設けられた演出用可動部材を所定の動作態様で動作させるもの、あるいは、これらの一部又は全部を組み合わせたものであってもよい。」 (エ)「【0106】 演出制御基板80は、主基板31とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板177を介して主基板31から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置9、スピーカ27及び装飾発光体等を含んだ演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板80は、演出表示装置9における表示動作や、スピーカ27からの音声出力動作の全部又は一部、装飾発光体における点灯/消灯動作の全部又は一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。」 (オ)「【0384】 図65は、図56に示すステップS903にて変動中予告種別CAY1の変動中予告パターン種別に決定されたことに基づき、「ボタン操作予告」の変動中予告演出が実行される場合の表示動作例を示している。この表示動作例では、まず、例えば特図ゲームにおける特別図柄の変動開始などに対応して、図65(A)に示すように「左」、「中」、「右」の各可変表示部にて停止表示されていた飾り図柄が、図65(B)に示すように「左」、「中」、「右」の可変表示部の全部にて変動を開始する。その後、例えば図56に示すステップS907の処理で決定された変動中予告パターンYAP1-3に対応して図55に示すステップS805の処理でセットされた予告演出制御パターンから読み出した表示制御データなどに従い、図65(C)に示すように、遊技者に操作ボタン120の操作を促す演出画像YH11を表示させる。そして、遊技者が所定期間内に操作ボタン120を操作した場合には、例えば図65(D1)に示すようなキャラクタ画像によるセリフ内容を示す演出画像YH12を表示させる。これに対して、所定期間内に操作ボタン120の操作が検出されなかった場合には、例えば図65(D2)に示すように演出画像YH11が消去されて、変動中予告演出が終了する。その後、例えば図65(E)に示すように「左」の可変表示部にて飾り図柄を仮停止表示するなど、飾り図柄の可変表示が進行してゆく。 【0385】 こうして、変動中予告種別CAY1の変動中予告パターン種別に決定された場合には、キャラクタ画像によるセリフ内容を示す演出画像を表示することなどにより、始動動作状態において可変入賞球装置20が開放状態となる回数である役物開放回数(入賞口開放回数)を報知・示唆する変動中予告演出が実行可能となる。そして、役物開放回数を報知・示唆する変動中予告演出が実行される変動中予告パターンは、その演出態様あるいは予告事項に基づいて変動中予告種別CAY1の変動中予告パターン種別に分類されるように設定している。したがって、変動中予告種別CAY1の変動中予告パターン種別内で変動中予告パターンを追加したり、各変動中予告パターンによる変動中予告演出の発生率を変更する際には、その変動中予告パターン種別内で変動中予告パターン決定テーブル171Aにおける第1予告パターン決定用の乱数値SR2-1と比較される決定値の設定のみを変更すればよいので、遊技機の開発時間や乱数値の設定時間を短縮化することができる。 【0386】 図66は、図56に示すステップS903にて変動中予告種別CAY2の変動中予告パターン種別に決定されたことに基づき、「ボタン操作予告」の変動中予告演出が実行される場合の表示動作例を示している。この表示動作例では、まず、例えば特図ゲームにおける特別図柄の変動開始などに対応して、図66(A)に示すように「左」、「中」、「右」の各可変表示部にて停止表示されていた飾り図柄が、図66(B)に示すように「左」、「中」、「右」の可変表示部の全部にて変動を開始する。その後、例えば図56に示すステップS907の処理で決定された変動中予告パターンYAP2-6に対応して図55に示すステップS805の処理でセットされた予告演出制御パターンから読み出した表示制御データなどに従い、図66(C)に示すように、遊技者に操作ボタン120の操作を促す演出画像YH21を表示させる。そして、遊技者が所定期間内に操作ボタン120を操作した場合には、例えば図66(D1)に示すようなメール内容を示す演出画像YH22を表示させる。これに対して、所定期間内に操作ボタン120の操作が検出されなかった場合には、例えば図66(D2)に示すように演出画像YH21が消去されて、変動中予告演出が終了する。その後、例えば図66(E)に示すように「左」の可変表示部にて飾り図柄を仮停止表示するなど、飾り図柄の可変表示が進行してゆく。」 (カ)「【0423】 変動中予告種別CAY1の変動中予告パターン種別には、始動動作状態において可変入賞球装置20が開放状態となる回数である役物開放回数(入賞口開放回数)を報知・示唆する変動中予告演出を実行するための変動中予告パターンが、複数パターン含まれている。これにより、役物開放回数を報知・示唆する予告演出を実行して、遊技の興趣を向上させることができる。 【0424】 変動中予告種別CAY2の変動中予告パターン種別には、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の実行回数(大当り時ラウンド数)を報知・示唆する変動中予告演出を実行するための変動中予告パターンが、複数パターン含まれている。これにより、大当り時ラウンド数を報知・示唆する予告演出を実行して、遊技の興趣を向上させることができる。」 (キ)「【図65】 【図66】 」 イ 認定事項 (ア)【図66】(C)には、演出表示装置9に、メール画像に加え、操作ボタンの形を示す画像、及び、「ボタンを押してください」との文字画像の組み合わせからなる、遊技者に操作ボタン120の操作を促す演出画像YH21を表示することが図示されている。 (イ)【図65】(C)には、演出表示装置9に、キャラクタ画像に加え、操作ボタンの形を示す画像、「ボタンを押してね!」との文字画像、及び、操作ボタンを指す指さし画像の組み合わせからなる、遊技者に操作ボタン120の操作を促す演出画像YH11を表示することが図示されている。 (ウ)【図66】(C)には、演出画像YH21のうち、操作ボタンの形を示す画像と、「ボタンを押してください」との文字画像とを分離する態様により表示することが図示されている。 (エ)【図65】(C)には、演出画像YH11のうち、操作ボタンの形を示す画像と、操作ボタンを指す指さし画像との一部を重ねる態様によって表示し、また、重ねる態様によって表示された画像と「ボタンを押してね!」との文字画像とを分離する態様によって表示することが図示されている。 (オ)【図65】(C)?【図66】(C)には、演出画像YH11の操作ボタンの形を示す画像を、演出画像YH21の操作ボタンの形を示す画像よりも大きく表示することが図示されている。 (カ)【図65】(C)?【図66】(C)には、演出画像YH11のうち操作ボタンを指す指さし画像と「ボタンを押してね!」との文字画像とからなる画像を、演出画像YH21の「ボタンを押してください」との文字画像よりも大きく表示することが図示されている。 上記アの記載事項、及び、上記イの認定事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?gは、本件補正発明のA?Gに対応させて付与した。)。 「a 演出表示装置9の表示領域において飾り図柄の可変表示を行い、第1大当り遊技状態や第2大当り遊技状態に移行可能な遊技機であって(【0001】、【0083】?【0084】、【0091】)、 b 遊技者により操作される操作ボタン120(【0096】)と、 c 「ボタン操作予告」の予告演出において、飾り図柄の可変表示中にボタン操作促進演出となる演出動作を制御する演出制御基板80(【0096】、【0106】)とを備え、 d 演出制御基板80は、 d1、e?f ボタン操作促進演出として、変動中予告種別CAY2に基づいて、操作ボタンの形を示す画像、及び、「ボタンを押してください」との文字画像の組み合わせからなる、遊技者に操作ボタン120の操作を促す演出画像YH21や、変動中予告種別CAY1に基づいて、操作ボタンの形を示す画像、「ボタンを押してね!」との文字画像、及び、操作ボタンを指す指さし画像の組み合わせからなる、遊技者に操作ボタン120の操作を促す演出画像YH11を表示し(【0384】、【0386】、認定(ア)?(イ))、 d2 演出画像YH21のうち、操作ボタンの形を示す画像と、「ボタンを押してください」との文字画像とを分離する態様により表示し、また、演出画像YH11のうち、操作ボタンの形を示す画像と、操作ボタンを指す指さし画像との一部を重ねる態様により表示し、また、重ねる態様によって表示された画像と「ボタンを押してね!」との文字画像とを分離する態様によって表示することで、ボタン操作促進演出を制御可能であり(【0384】、【0386】認定(ウ)?(エ))、 d 演出制御基板80は、 d5 演出画像YH11の操作ボタンの形を示す画像を、演出画像YH21の操作ボタンの形を示す画像よりも大きく表示し(【0384】、【0386】認定(オ))、 d6 演出画像YH11のうち操作ボタンを指す指さし画像と「ボタンを押してね!」との文字画像とからなる画像を、演出画像YH21の「ボタンを押してください」との文字画像よりも大きく表示する(【0384】、【0386】、認定(カ))、 g 遊技機(【0001】)。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。 (a)引用発明における「第1大当り遊技状態や第2大当り遊技状態に移行可能な」ことは、本件補正発明における「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な」ことに相当する。 したがって、引用発明における構成aの「遊技機」は、本件補正発明における構成Aの「遊技機」に相当する。 (b)引用発明における「遊技者により操作される」ことは、本件補正発明における「遊技者が操作可能な」ことに相当する。 したがって、引用発明における構成bの「操作ボタン120」は、本件補正発明における構成Bの「操作手段」に相当する。 (c)引用発明における「ボタン操作促進演出となる演出動作を制御する」ことは、本件補正発明における「操作手段に対する操作を促す操作促進報知を実行可能な」ことに相当する。 したがって、引用発明における構成cの「演出制御基板80」は、本件補正発明における構成Cの「操作促進報知実行手段」に相当する。 (d、d1)上記(c)より引用発明における「ボタン操作促進演出」は、本件補正発明における「操作促進報知」に相当する。 そして、引用発明における「操作ボタンの形を示す画像」は、本件補正発明における「第1情報を示す画像」に相当する。 また、引用発明における「「ボタンを押してください」との文字画像」、「「ボタンを押してね!」との文字画像」、及び、「操作ボタンを指す指さし画像」の各々は、本件補正発明における「第2情報を示す画像」に相当する。 したがって、引用発明における構成d、d1の「演出制御基板80」は、本件補正発明における構成D、D1の「操作促進報知実行手段」に相当する。 (d、d2)引用発明における「演出画像YH21のうち」の「操作ボタンの形を示す画像と、「ボタンを押してください」との文字画像とを分離する態様」は、本件補正発明における「第1情報を示す画像と第2情報を示す画像とを互いに重畳することなく表示する第1態様」に相当する。 また、引用発明における「演出画像YH11のうち」の「操作ボタンの形を示す画像と、操作ボタンを指す指さし画像との一部を重ねる態様」は、本件補正発明における「第1情報を示す画像と第2情報を示す画像とを少なくとも一部が重畳するように表示する第2態様」に相当する。 したがって、引用発明における構成d、d2の「演出制御基板80」は、本件補正発明における構成D、D2の「操作促進報知実行手段」に相当する。 (e、f)引用発明における「操作ボタンの形を示す画像」は、上記(b)より、本件補正発明における「操作手段を示す情報」に相当する。 また、引用発明における「「ボタンを押してください」との文字画像」、「「ボタンを押してね!」との文字画像」、及び、「操作ボタンを指す指さし画像」の各々は、本件補正発明における「操作手段に対する操作内容を示す情報」に相当する。 したがって、引用発明における構成d、d1、e?fは、本件補正発明における構成E?Fに相当する。 (d、d5)上記(d、d1)、(d、d2)より、引用発明における「演出画像YH21」は、本件補正発明における「第1態様」により表示され、同じく、引用発明における「演出画像YH11」は、本件補正発明における「第2態様」により表示されるものといえる。 そうすると、引用発明における構成d、d5の「演出画像YH11の操作ボタンの形を示す画像を、演出画像YH21の操作ボタンの形を示す画像よりも大きく表示」する「演出制御基板80」は、本件補正発明における構成D、D5の「第2態様の操作促進報知における第1情報を示す画像を、第1態様の操作促進報知における第1情報を示す画像よりも大きく表示」する「操作促進報知実行手段」に相当する。 (d、d6)上記(d、d5)と同様に、引用発明における構成d、d6の「演出画像YH11のうち操作ボタンを指す指さし画像と「ボタンを押してね!」との文字画像とからなる画像を、演出画像YH21の「ボタンを押してください」との文字画像よりも大きく表示する」「演出制御基板80」は、本件補正発明における構成D、D6の「第2態様の操作促進報知における第2情報を示す画像を、第1態様の操作促進報知における第2情報を示す画像よりも大きく表示する」「操作促進報知実行手段」に相当する。 上記(a)?(d、d6)によれば、本件補正発明と引用発明は、 「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 遊技者が操作可能な操作手段と、 C 前記操作手段に対する操作を促す操作促進報知を実行可能な操作促進報知実行手段とを備え、 D 前記操作促進報知実行手段は、 D1 前記操作促進報知として、少なくとも第1情報を示す画像と第2情報を示す画像とを表示し、 D2 前記第1情報を示す画像と前記第2情報を示す画像とを互いに重畳することなく表示する第1態様と、前記第1情報を示す画像と前記第2情報を示す画像とを少なくとも一部が重畳するように表示する第2態様とのいずれかの態様によって、前記操作促進報知を実行可能であり、 E 前記第1情報は、前記操作手段を示す情報であり、 F 前記第2情報は、前記操作手段に対する操作内容を示す情報であり、 D 前記操作促進報知実行手段は、 D5 前記第2態様の前記操作促進報知における前記第1情報を示す画像を、前記第1態様の前記操作促進報知における前記第1情報を示す画像よりも大きく表示し、 D6 前記第2態様の前記操作促進報知における前記第2情報を示す画像を、前記第1態様の前記操作促進報知における前記第2情報を示す画像よりも大きく表示する、 G 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。 [相違点](構成D、D3?D4) 操作促進報知実行手段に関し、 本件補正発明は、有利状態に制御される期待度が第1期待度のときには、第1態様の操作促進報知を表示し、有利状態に制御される期待度が第1期待度よりも高い第2期待度のときには、第2態様の操作促進報知を表示するのに対して、 引用発明は、そのような構成を備えない点。 (4)当審判合議体の判断 ア 相違点について 上記相違点について検討する。 遊技機の技術分野において、信頼度の高い演出であることを遊技者に認識させて、遊技の興趣を向上させるために、有利状態に制御される期待度が高いときに、操作手段を示す情報や、操作手段に対する操作内容を、有利状態に制御される期待度が低いときよりも大きな画像により表示することは、本願出願前に周知の技術事項である(例えば、原査定において引用文献9として提示された特開2015-167692号公報の【0007】、【0216】、【0240】?【0244】、【0270】、【図25】、【図30】には、操作手段を用いた演出による遊技の興趣を向上させるために、大当り遊技状態への期待度の高い場合に、操作ボタンの形を示す画像と「PUSH」の文字画像からなる操作促進画像9aのサイズを「大」とすることが記載され、 同じく、原査定において引用文献10として提示された特開2011-239876号公報の【0009】、【0406】、【図36】には、遊技者の遊技意欲を維持させるために、確変昇格演出の信頼度が高いことを、演出ボタン画像及び「PUSH」の文字画像を大きく表示することで示すことが記載され、 同じく、原査定において引用文献6として提示された特開2016-16132号公報の【0357】?【0361】,【0492】、【図5】、【図28】?【図29】には、操作演出パターンBT-4に基づく演出を行う場合に、遊技者に対して当りに対する期待感を持たせるために、目立たせた大ボタン5BLの表示をすること、及び、ボタンの図柄と併せて「PUSH」等の文字を表示することが記載され、 特開2009-232887号公報の【0005】?【0006】、【0057】?【0058】、【0076】?【0089】、【図4】には、遊技者に当該特定演出が大当り信頼度の高い演出であることをいち早く理解させ、遊技の興趣の向上させるために、ボタンの形を示す画像と「PUSH」の文字画像とからなるボタン画像を大ボタン表示することが記載され、 特開2016-39954号公報の【0007】、【0277】?【0278】、【0295】、【図42】には、遊技の興趣を向上させるために、選択演出において、信頼度の高い武器C?Dが選択された場合、大きめの演出ボタン画像とともに「一撃」の文字画像を表示することが記載されている。)。 一方、引用発明における「変動中予告種別CAY2に基づ」く「演出画像YH21」や、「変動中予告種別CAY1に基づ」く「演出画像YH11」は、引用例1の【0423】?【0424】の記載によると、遊技の興趣を向上させるための演出であるといえる。 そうすると、引用発明及び上記周知の技術事項とは、遊技機において演出により遊技の興趣を向上させるという共通の課題を解決するものである。 また、引用発明は、構成d、d5?d6により「態様2の操作ボタン120の画像を、態様1の操作ボタン120の画像よりも大きく表示し、態様2の操作ボタン120を指さす画像と、「ボタンを押してね!」とのメッセージ画像とを、態様1の「ボタンを押してください」とのメッセージ画像よりも大きく表示する」ものであって、引用発明の構成d、d5?d6は、上記「3(3)対比」において検討したように、本件補正発明の構成D、D5?D6に相当するものである。 したがって、引用発明に上記周知の技術事項を適用して、「操作ボタンの形を示す画像と、「ボタンを押してください」との文字画像とを分離する態様により表示」する「演出画像YH21」よりも大きく表示される、「操作ボタンの形を示す画像と、操作ボタンを指す指さし画像との一部を重ねる態様により表示」する「演出画像YH11」を、有利状態に制御される期待度の高い場合のボタン操作促進演出に用い、「演出画像YH21」を、有利状態に制御される期待度の低い場合のボタン操作促進演出に用いることで、上記相違点に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。 イ 請求人の主張について 請求人は、令和1年5月30日付け審判請求書において、 「 (3-4)本願発明と引用例との対比 ・・・ したがって、引用例9-10を引用例1-5(あるいは引用例6)に組み合わせたとしても、期待度が高いとき(第2期待度のとき)には、第1態様または第2態様の操作促進報知の表示サイズを、期待度が低いとき(第1期待度のとき)の第1態様または第2態様の操作促進報知の表示サイズよりも大きくすることが想到されるに過ぎず、第1態様と第2態様のいずれの表示サイズを大きくするかまで想到されるものではありません。 また、本願発明は、上記特徴Cを有することにより、期待度が高いとき(第2期待度のとき)には、第2態様の操作促進報知における第1情報を示す画像及び第2情報を示す画像の表示サイズが大きくされる際に、2つの画像の重畳が許容され、第1態様(非重畳態様)の操作促進報知における第1情報を示す画像及び第2情報を示す画像の表示サイズを大きくする場合に比べて表示サイズの制約が小さくなり、2つの画像のいずれも大きく表示することができるため、高期待度に対応して、遊技者に視覚的に印象付けやすくすることで期待感を持たせることができるという効果(以下、本願発明の効果という)が期待されます。」と主張する。 そこで、請求人の上記主張について検討する。 引用発明の構成d5?6によると、引用発明は、操作ボタンの画像、操作ボタンを指す指さし画像、メッセージ画像を含む第1態様のサイズを操作ボタンの画像、メッセージ画像を含む第2態様よりも大きく表示するものである。 ところで、画像表示一般の技術分野において、表示内容の表示サイズが大きくなることで、ユーザーが当該表示内容を認識しやすくなることは、請求人も「そして、一般的に、表示サイズが大きくなると遊技者が視認し易くなるので遊技者に印象付けやすくできるのは、言うまでもないことであり、・・・」((3-4)本願発明と引用例との対比)と主張しているように、当業者にとって自明の事項である。 また、上記「ア 相違点について」で示したとおり、遊技機の技術分野において、信頼度の高い演出であることを遊技者に認識させて、興趣を向上させるために、有利状態に制御される期待度が高いときに、有利状態に制御される期待度が低いときよりも大きな画像により、操作手段を示す情報や、操作手段に対する操作内容を示す情報を大きく表示することは、周知の技術事項である。 そして、上記アにおいて検討したように、引用発明に上記周知の技術事項を適用して、演出画像YH21よりも大きく表示される演出画像YH11を、有利状態に制御される期待度の高い場合のボタン操作促進演出に用い、演出画像YH21、有利状態に制御される期待度の低い場合のボタン操作促進演出に用いることは当業者が容易になし得たものである。 次に、請求人の主張する、本件補正発明が構成D、D3?D6を備えることで、「2つの画像のいずれも大きく表示することができるため、高期待度に対応して、遊技者に視覚的に印象付けやすくすることで期待感を持たせることができるという効果」について検討する。 原査定において引用文献6として提示された上記特開2016-16132号公報の【0361】には、「大ボタン5BLは、小ボタン5BSと同様に、遊技者に対して操作手段であるプッシュボタン31Bの押下を促す促進演出として表示される画像である。大ボタン5BLは、小ボタン5BSよりも画像表示装置5に大きく表示されるため、遊技者に対して小ボタン5BSよりも目立たせることができる。本実施形態では、操作演出パターンBT-4は、変動図柄がリーチとなる場合のみで実施されるため、大ボタン5BLの表示によって遊技者に対して期待感を持たせることができる。」こと、すなわち、大きな画像を表示することで遊技者に対して、目立たせ、期待感を持たせることが記載されている。 したがって、本件補正発明によって奏されると請求人が主張する上記効果は、例えば、上記特開2016-16132号公報に記載されているように、当業者にとって広く知られた効果にすぎず、格別のものではない。 よって、請求人の上記主張を採用することはできない。 ウ 小括 本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明及び上記周知の技術事項から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。 よって、本件補正発明は、引用発明及び上記周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。 (5)まとめ 上記(1)?(4)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年6月14日付け手続補正書の請求項1に記載された、次のとおりのものであると認める。 「A 可変表示を行い、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、 B 遊技者が操作可能な操作手段と、 C 前記操作手段に対する操作を促す操作促進報知を実行可能な操作促進報知実行手段とを備え、 D 前記操作促進報知実行手段は、 D1 前記操作促進報知として、少なくとも第1情報を示す画像と第2情報を示す画像とを表示し、 D2 前記第1情報を示す画像と前記第2情報を示す画像とを互いに重畳することなく表示する第1態様と、前記第1情報を示す画像と前記第2情報を示す画像とを少なくとも一部が重畳するように表示する第2態様とのいずれかの態様によって、前記操作促進報知を実行可能であり、 E 前記第1情報は、前記操作手段を示す情報であり、 F 前記第2情報は、前記操作手段に対する操作内容を示す情報であり、 D 前記操作促進報知実行手段は、 D7 前記有利状態に制御される期待度が第1期待度のときには、前記第1態様の前記操作促進報知を第1の大きさで表示し、 D8 前記有利状態に制御される期待度が第1期待度よりも高い第2期待度のときには、前記第2態様の前記操作促進報知を前記第1の大きさよりも大きい第2の大きさで表示する、 G ことを特徴とする遊技機。」 2 原査定の拒絶の理由 (進歩性)この出願の請求項1?2に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例1?5のいずれかに記載された発明に基いて、若しくは、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例6に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2011-217957号公報 2.特開2015-139532号公報 3.特開2015-181483号公報 4.特開2010-68900号公報(前記第2[理由] 2-2(2)の「引用例1」) 5.特開2014-90844号公報 6.特開2016-16132号公報 ・・・ 9.特開2015-167692号公報 10.特開2011-239876号公報 3 引用例に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4の記載事項、引用発明の認定については、前記「第2[理由] 2-2(2)引用例1」に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記「第2[理由] 2-2(1)」で検討した本件補正発明の「第1態様の操作促進報知」及び「第2態様の操作促進報知」に関し、 「前記有利状態に制御される期待度が第1期待度のときには、前記第1態様の前記操作促進報知を表示し、前記有利状態に制御される期待度が第1期待度よりも高い第2期待度のときには、前記第2態様の前記操作促進報知を表示し」、かつ、「前記第2態様の前記操作促進報知における前記第1情報を示す画像を、前記第1態様の前記操作促進報知における前記第1情報を示す画像よりも大きく表示し、前記第2態様の前記操作促進報知における前記第2情報を示す画像を、前記第1態様の前記操作促進報知における前記第2情報を示す画像よりも大きく表示する」と限定されていたものを 「前記有利状態に制御される期待度が第1期待度のときには、前記第1態様の前記操作促進報知を第1の大きさで表示し、前記有利状態に制御される期待度が第1期待度よりも高い第2期待度のときには、前記第2態様の前記操作促進報知を前記第1の大きさよりも大きい第2の大きさで表示する」と、その限定を省略したものである。 そうすると、本願発明と引用発明とは、前記「第2[理由] 2-2(3)対比」における認定と同様に、次の相違点1において相違し、その余の点において一致する。 [相違点1](構成D、D7?D8) 操作促進報知実行手段に関し、 本願発明は、有利状態に制御される期待度が第1期待度のときには、第1態様の操作促進報知を第1の大きさで表示し、有利状態に制御される期待度が第1期待度よりも高い第2期待度のときには、第2態様の操作促進報知を前記第1の大きさよりも大きい第2の大きさで表示するのに対して、 引用発明は、そのような構成を備えない点。 そこで、上記相違点1について検討する。 本願発明の構成D、D7?D8は、「操作促進報知」の大小を、第1態様と第2態様との間で比較するものであるのに対して、実質的に本件補正発明の構成D、D3?D6は、「操作促進報知」を構成する「第1情報を示す画像」と「第2情報を示す画像」の大小を第1態様と第2態様との間で比較するものであるのであることからみて、本願発明の構成D、D7?D8をさらに限定したものが、本件補正発明の構成D、D3?D6である。 そうすると、本願発明の構成D、D7?D8をさらに限定した構成D、D3?D6を備える本件補正発明についての前記「第2[理由] 2-2(4)当審判合議体の判断」における検討と同様に、本願発明は、引用発明及び上記周知の技術事項に基いて当業者が容易になし得たものである。 5 むすび 上記1?4より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基いて特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-11-22 |
結審通知日 | 2019-11-26 |
審決日 | 2019-12-11 |
出願番号 | 特願2016-102916(P2016-102916) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大隈 俊哉 |
特許庁審判長 |
鉄 豊郎 |
特許庁審判官 |
井海田 隆 長崎 洋一 |
発明の名称 | 遊技機 |