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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02J |
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管理番号 | 1359502 |
審判番号 | 不服2018-10606 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-08-03 |
確定日 | 2020-02-05 |
事件の表示 | 特願2016-528137「電力グリッドの少なくとも一部における少なくとも1つのアクションの定義を管理する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月14日国際公開、WO2015/067447、平成28年11月17日国内公表、特表2016-535972〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2014年(平成26年)10月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年11月7日、欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、平成29年6月30日付け拒絶理由通知に対して同年11月6日付けで誤訳訂正及び手続補正がなされたが、平成30年3月27日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年8月3日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされた。その後、同年9月13日付け最後の拒絶理由通知に対し、請求人からは何らの応答もなされなかったものである。 そして、令和1年6月7日付け(審判官)氏名通知から2ヶ月超経過したが、請求人からは上申書等何らの応答もなされなかった。 第2 本願発明 本願の特許請求の範囲は、平成30年8月3日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された、次のとおりのものである。 「 【請求項1】 第1のサブグリッド(16)に関連付けられた少なくとも1つの第1のデータ処理デバイス(26)を用いて、電力グリッド(10)の少なくとも一部における電力消費および提供を管理する方法であって、前記第1のサブグリッド(16)が、前記第1のサブグリッド(16)の外部の電気デバイス(20)を電気的に接続するための少なくとも1つの接続デバイス(18)を含み、前記接続デバイス(18)のうちの少なくとも1つが、前記接続デバイス(18)のうちの前記少なくとも1つに接続された電気デバイス(20)内のまたは電気デバイス(20)におけるユニット(30)により送信されるアドレス情報を受信するための受信機(24)を含む方法において、 それぞれの接続デバイス(18)を識別するために、少なくとも1つの第1の接続デバイス(18)の少なくとも一部に関する、それぞれの第1のアドレス情報を、前記第1のデータ処理デバイス(26)により前記第1のデータ処理デバイス(26)のメモリに記憶する、または、前記少なくとも1つの第1の接続デバイス(18)により前記少なくとも1つの第1の接続デバイス(18)のメモリ(241)に記憶するステップと、 前記接続デバイス(18)のうちの第1の接続デバイスの受信機(24)により、前記第1の接続デバイス(18)に接続された電気デバイス(20)内のまたは電気デバイス(20)におけるユニット(30)から第2のアドレス情報を受信するステップであって、前記第2のアドレス情報が、前記第1の接続デバイス(18)に接続された電気デバイス(20)を識別するために定義されている、前記第2のアドレス情報を受信するステップと、 前記第1の接続デバイス(18)が関連付けられた第1のデータ処理デバイス(26)に第2のアドレス情報を前記受信機(24)により転送するステップと、 転送された第2のアドレス情報を前記第1のデータ処理デバイス(26)により受信し、受信機(24)が前記第2のアドレス情報をそこから送信した第1の接続デバイス(18)に関連付けられた第1のアドレス情報を識別するステップと、 少なくとも前記第1のサブグリッド(16)に関連付けられたデータ処理デバイス(26、32)が使用するための、どの電気デバイス(20)がどの接続デバイス(18)に接続されているかを定義する結合アドレスを形成するために、識別された第1のアドレス情報および受信された第2のアドレス情報の両方を用いるステップと、 電力消費および/または提供を管理することに関連する少なくとも1つのアクションを提供するために、前記結合アドレスに基づいて、前記第1のデータ処理デバイス(26)により、エネルギー消費および提供を定義する第1の所定の基準を適用するステップであって、前記少なくとも1つのアクションが、負荷の発生および/または更新の制御およびそれに関する情報および需要供給管理に関連する、前記第1の所定の基準を適用するステップと を備え、 アクションが、電力グリッド(10)または前記第1のサブグリッド(16)と第3のサブグリッド(16)の両方に関する上位レベルのサブグリッド(12、14)のいずれかに関連付けられた第2のデータ処理デバイス(32)に前記結合アドレスを、前記第1のデータ処理デバイス(26)により転送することを含み、前記第2のデータ処理デバイス(32)が、第1および第3のサブグリッド(16)から少なくとも2つの結合アドレスを受信し、さらなるアクションを提供するために第2の所定の基準を適用する、 方法。 【請求項2】 前記第1のアドレス情報が、前記電力グリッドの前記少なくとも一部の複数の階層レベルを示すことにより、前記電力グリッドの前記少なくとも一部における前記接続デバイス(18)の位置を定義し、前記第1のサブグリッド(16)がこれらの階層レベルに関連する、 請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記少なくとも1つのアクションが、電力消費および/または提供の制御およびそれに関する情報、前記電力グリッドの前記少なくとも一部の構造の制御、前記電力グリッドの少なくとも一部内のまたは前記電力グリッドの少なくとも一部にある電気デバイスに関する情報、前記電力グリッドの少なくとも1つのサブグリッドにかかる電気的負荷の制御およびそれに関する情報、前記電力グリッドの少なくとも1つのサブグリッドにおける電力品質の制御およびそれに関する情報、前記電力グリッドにおけるエネルギーフローおよび分配の制御およびそれに関する情報、変圧器の制御、孤立部分および前記電力グリッドならびに仮想パワーセクションの提供の制御からなるグループのうちの少なくとも1つにさらに関連する、 請求項1または2に記載の方法。 【請求項4】 アクションが、接続デバイス(18)に接続された前記電気デバイス(20)によるエネルギー消費および/または提供を許可すること、ならびに、接続デバイス(18)に接続された前記電気デバイス(20)によるエネルギー消費および/または提供を削減または回避することのうちの1つを含む、 請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。 【請求項5】 前記電気デバイスが、変圧器、発電機、輸送または配電網、さらなるサブグリッド、グリッド要素、スイッチング素子、および電気機器(20)、特に産業用または家庭用デバイス(20)からなるグループのうちの1つである、 請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 【請求項6】 前記第1のデータ処理デバイス(26)が、異なる接続デバイス(18)の少なくとも2つの受信機(24)から第2のアドレス情報を受信し、前記第1の所定の基準が、第1のアドレスのうちの1つ、第2のアドレスのうちの1つ、および/または結合アドレスのうちの1つに関連付けられた少なくとも1つの所定の優先度を用いることを含むことを特徴とする、 請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。 【請求項7】 前記接続デバイス(18)のメモリ(241)が前記接続デバイス(18)の前記少なくとも1つの受信機(24)に関連付けられていることを特徴とする、 請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。 【請求項8】 前記電気デバイス(20)内の前記ユニットがRFIDチップであることを特徴とする、 請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。 【請求項9】 前記接続デバイス(18)の少なくとも一部が各々、ソケットであるかまたはソケットを備えることを特徴とする、 請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。」 第3 平成30年9月13日付け最後の拒絶理由の概要 (明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 ●理由(明確性)について ・請求項 1-9 請求項1において、29?32行目に「電力消費および/または提供を管理することに関連する少なくとも1つのアクションを提供するために、前記結合アドレスに基づいて、前記第1のデータ処理デバイス(26)により、エネルギー消費および提供を定義する第1の所定の基準を適用するステップであって」とあるが、「電力消費および/または提供」「エネルギー消費および提供」の二者が記載されているので、記載を統一されたし。 (「電力消費および/または提供を管理することに関連する少なくとも1つのアクションを提供するために、前記結合アドレスに基づいて、前記第1のデータ処理デバイス(26)により、電力消費および提供を定義する第1の所定の基準を適用するステップであって」としてはどうか。) 請求項1において、36?41行目に「アクションが、電力グリッド(10)または前記第1のサブグリッド(16)と第3のサブグリッド(16)の両方に関する上位レベルのサブグリッド(12、14)のいずれかに関連付けられた第2のデータ処理デバイス(32)に前記結合アドレスを、前記第1のデータ処理デバイス(26)により転送することを含み、前記第2のデータ処理デバイス(32)が、第1および第3のサブグリッド(16)から少なくとも2つの結合アドレスを受信し、さらなるアクションを提供するために第2の所定の基準を適用する」とあるが、「第1および第3のサブグリッド(16)」が何を指し示しているのか不明であり、「第2の所定の基準」の定義が不明である。 (「アクションが、電力グリッド(10)または前記第1のサブグリッド(16)と第3のサブグリッド(16)の両方に関する上位レベルのサブグリッド(12、14)のいずれかに関連付けられた第2のデータ処理デバイス(32)に前記結合アドレスを、前記第1のデータ処理デバイス(26)により転送することを含み、前記第2のデータ処理デバイス(32)が、前記第1のサブグリッド(16)および前記第3のサブグリッド(16)から少なくとも2つの結合アドレスを受信し、さらなるアクションを提供するために電力消費および提供を定義する第2の所定の基準を適用する」としてはどうか。) また、請求項1を引用する請求項2-9にも同様な点が指摘される。 よって、請求項1-9に係る発明は明確でない。 ・請求項 4-9 請求項4において、1?4行目に「アクションが、接続デバイス(18)に接続された前記電気デバイス(20)によるエネルギー消費および/または提供を許可すること、ならびに、接続デバイス(18)に接続された前記電気デバイス(20)によるエネルギー消費および/または提供を削減または回避することのうちの1つを含む」とあるが、請求項1において「電力消費および/または提供」「エネルギー消費および提供」の二者が記載されており、請求項4において「エネルギー消費および/または提供」が記載されているので、記載を統一されたし。 (「アクションが、接続デバイス(18)に接続された前記電気デバイス(20)による電力消費および/または提供を許可すること、ならびに、接続デバイス(18)に接続された前記電気デバイス(20)による電力消費および/または提供を削減または回避することのうちの1つを含む」としてはどうか。) また、請求項4を引用する請求項5-9にも同様な点が指摘される。 よって、請求項4-9に係る発明は明確でない。 第4 当審の判断 1.請求項1ないし9について 請求項1の「電力消費および/または提供を管理することに関連する少なくとも1つのアクションを提供するために、前記結合アドレスに基づいて、前記第1のデータ処理デバイス(26)により、エネルギー消費および提供を定義する第1の所定の基準を適用するステップであって」について、「電力消費」と「エネルギー消費」が同じ技術事項を意味するのか、あるいは別の技術事項を意味するのか、記載が不明確であり、この点において請求項1に係る発明及び該請求項1を引用する請求項2ないし9に係る発明は明確なものでない。 請求項1の「アクションが、電力グリッド(10)または前記第1のサブグリッド(16)と第3のサブグリッド(16)の両方に関する上位レベルのサブグリッド(12、14)のいずれかに関連付けられた第2のデータ処理デバイス(32)に前記結合アドレスを、前記第1のデータ処理デバイス(26)により転送することを含み、前記第2のデータ処理デバイス(32)が、第1および第3のサブグリッド(16)から少なくとも2つの結合アドレスを受信し、さらなるアクションを提供するために第2の所定の基準を適用する」について、「第1および第3のサブグリッド(16)」が何を指し示しているのか不明確であり、また「第2の所定の基準」の定義が不明確であり、この点において請求項1に係る発明及び該請求項1を引用する請求項2ないし9に係る発明は明確なものでない。 2.請求項4ないし9について 請求項4の「アクションが、接続デバイス(18)に接続された前記電気デバイス(20)によるエネルギー消費および/または提供を許可すること、ならびに、接続デバイス(18)に接続された前記電気デバイス(20)によるエネルギー消費および/または提供を削減または回避することのうちの1つを含む」について、引用する請求項1の「電力消費」と請求項4の「エネルギー消費」が同じ技術事項を意味するのか、あるいは別の技術事項を意味するのか、記載が不明確であり、この点において請求項4に係る発明及び該請求項4を引用する請求項5ないし9に係る発明は明確なものでない。 以上のとおり、平成30年9月13日付け最後の拒絶理由は妥当なものと認められるので、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2019-09-04 |
結審通知日 | 2019-09-10 |
審決日 | 2019-09-24 |
出願番号 | 特願2016-528137(P2016-528137) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(H02J)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田中 慎太郎、猪瀬 隆広 |
特許庁審判長 |
酒井 朋広 |
特許庁審判官 |
山澤 宏 佐々木 洋 |
発明の名称 | 電力グリッドの少なくとも一部における少なくとも1つのアクションの定義を管理する方法 |
代理人 | 特許業務法人川口國際特許事務所 |