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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1359558
異議申立番号 異議2019-700171  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-03-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-03-01 
確定日 2020-01-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6385313号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6385313号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 特許第6385313号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6385313号の請求項1に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成26年3月25日に出願した特願2014-62337号の一部を平成27年6月8日に新たな特許出願(特願2015-115851号)としたものであって、平成30年8月17日にその特許権の設定登録がされ、同年9月5日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対し、平成31年3月1日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされた。
その後、当審より、令和1年6月28日付けで取消理由が通知され、同年8月28日に特許権者から意見書及び訂正請求書が提出された。
なお、令和1年9月10日付けで申立人に、特許法第120条の5第5項の規定に基づく訂正請求があった旨の通知を行い意見を求めたが、その指定期間内に応答はなかった。


第2 訂正請求について

1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、上記訂正請求書の記載によれば、以下の訂正事項1ないし2のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示し、「・・・」は、転記を省略している箇所を示す。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「・・・前記スロットマシンは、・・・前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能である、スロットマシン。」と記載されているのを、
「・・・前記スロットマシンは、・・・前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うための精算操作が遊技者によってされたか否かを判定する、 スロットマシン。」に訂正する。

(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0007】において、
「・・・前記スロットマシンは、・・・前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能である。」と記載されているのを、
「・・・前記スロットマシンは、・・・前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うための精算操作が遊技者によってされたか否かを判定する。」に訂正する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1において、「スロットマシン」が、「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うための精算操作が遊技者によってされたか否かを判定する」ことを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと
訂正事項1は、上記アのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

新規事項の追加でないこと
訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載、特に段落【0053】、【0227】-【0230】、【0233】-【0235】、【0239】、【0256】、図13及び図14の記載に基づいて導き出される構成であるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正を行ったことにより、願書に添付した明細書の段落【0007】の記載を、特許請求の範囲の請求項1の記載と整合をとるために訂正するものであることから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと
訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである

新規事項の追加でないこと
訂正事項2は、上記アのとおり、訂正事項1に係る訂正を行ったことにより、願書に添付した明細書の段落【0007】の記載を、特許請求の範囲の請求項1の記載と整合をとるために訂正するものであるから、訂正事項1において検討したとおり、訂正事項2も、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

3 まとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び同項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件特許の明細書及び特許請求の範囲についての訂正を認める。


第3 特許異議の申立について

1 本件訂正発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたので、本件訂正により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(AからRの符号は、当審にて分説して付した。)。

本件訂正発明
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技を行うための賭数を設定する賭数設定手段と、
D 表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、
E 導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
F 賭数を設定するために用いられる遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段と、
G 遊技用価値が投入されることにより前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能な遊技用価値更新手段と、
H 設定された賭数を特定可能な賭数設定報知を行う賭数設定報知手段とを備え、
I 前記事前決定手段による決定結果には、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技表示結果組合せのうち、特定表示結果組合せの導出が許容される第1再遊技決定結果と、前記特定表示結果組合せとは異なる所定表示結果組合せの導出が許容される第2再遊技決定結果とが含まれ、
J 前記事前決定手段の決定結果が前記第1再遊技決定結果であるときには有利状態への制御に関する抽選が実行不可能であるのに対して、前記事前決定手段の決定結果が前記第2再遊技決定結果であるときには当該抽選が実行可能であり、
K 前記導出制御手段は、
前記事前決定手段による決定結果が前記第1再遊技決定結果である場合には前記特定表示結果組合せを導出可能な制御を行い、
L 前記事前決定手段による決定結果が前記第2再遊技決定結果である場合には前記所定表示結果組合せを導出可能な制御を行い、
M 前記遊技用価値更新手段は、前記特定表示結果組合せおよび前記所定表示結果組合せのいずれが導出されたときでも、遊技用価値が投入されることにより前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
N 前記賭数設定報知手段は、前記特定表示結果組合せおよび前記所定表示結果組合せのいずれが導出されたときでも、前記賭数設定手段によって遊技用価値を用いることなく遊技を行うための賭数が設定されるときに、当該遊技の前の遊技における前記賭数設定報知の態様を引き継ぎ、
O 前記スロットマシンは、
ゲームが行われているときにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、1ゲームに対して設定されている賭数を記憶する賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、
P 前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が予め定められた上限数未満であるときには前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新し、当該上限数に達しているときには前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新し、
Q 前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
R 前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うための精算操作が遊技者によってされたか否かを判定する、 スロットマシン。」

2 特許異議申立理由の概要
申立人は、本件訂正による訂正前の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)に対し、以下の甲第1号証から甲第5号証を提示し、本件特許発明は、甲第1号証から甲第5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである旨、申し立てている。

甲第1号証:特開2010-115328号公報
甲第2号証:特開2014-42743号公報
甲第3号証:特開2010-148749号公報
甲第4号証:特開2014-140734号公報
甲第5号証:特開2010-46547号公報

3 取消理由の概要
当審により、本件特許発明に対して、令和1年6月28日付けで特許権者に通知した取消理由(この通知を以下「取消理由通知」という。)の概要は、次のとおりである。
本件特許発明は、以下の甲第1号証から甲第5号証及び引用文献6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。

甲第1号証:特開2010-115328号公報
甲第2号証:特開2014-42743号公報
甲第3号証:特開2010-148749号公報
甲第4号証:特開2014-140734号公報
甲第5号証:特開2010-46547号公報
引用文献6:特開2014-50639号公報

4 甲第1号証及び甲第2号証について
(1)甲第1号証
甲第1号証(特開2010-115328号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同様。記載事項の摘記にあたり、後で認定を行う、甲1発明の符号aからrに対応するよう、例えば、記載事項アは符号aの認定の根拠、同イは符号bの認定の根拠、・・・、記載事項クは符号i’、k’、l’の認定の根拠となる段落の摘記となるよう対応付け、記載事項ケ及びコは符号g、pの認定の根拠、記載事項サ?セは符号m’、q、r’の認定の根拠となるよう対応付けて摘記を行った。なお、複数の符号aからrの認定の根拠となる段落については、初出の箇所で摘記した。また、摘記を省略した箇所「・・・」は、各符号aからrの認定に必要でない箇所を表しているので、当該箇所「・・・」に、他の符号aからrの認定の根拠となる段落番号が含まれることがある。 )。

・記載事項
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン(パチスロ)等の遊技台に関する。
・・・
【0010】
<全体構成>
図1に示すスロットマシン10は本体11と本体11の正面に取付けられ、本体11に対して開閉可能な前面扉12とを備える。本体11の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール1、中リール2、リール3)収納され、スロットマシン10の内部で回転できるように構成されている。これらのリール1乃至3は図示しないステッピングモータ等の駆動手段により回転駆動される。
【0011】
本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形筒状の枠材に貼り付けられて各リール1乃至3が構成されている。リール1乃至3上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール1乃至3を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。つまり、各リール1乃至3は複数種類の図柄の組合せを変動可能に表示する表示手段として機能する。なお、このような表示手段としてはリール以外にも液晶表示装置等の電子画像表示装置も採用できる。また、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン10の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
【0012】
図5は各リール1乃至3に施される図柄の配列を平面的に展開して示した図である。同図に示すように、各リール1乃至3には、複数種類の図柄が所定コマ数(ここでは21コマ)だけ配置されている。なお、同図の左端に示した番号0乃至20は、各リール1?112上の図柄の配置位置を示す番号である。例えば、左リール1の番号0のコマにはベルの図柄、番号1のコマにはリプレイの図柄、番号2のコマには白7の図柄、がそれぞれ配置されている。図柄は、ある図柄と他の図柄とを識別可能な識別子であれば如何なるものも採用でき、数字、英字、図形、イラスト、等が採用可能である。」

イ 「【0053】
S7では全リール1乃至3の回転を開始させるリール回転処理を行なう。S8ではリール停止制御処理を行なう。ここでは、S6で選択したリール停止制御テーブルに従い、ストップボタン37乃至39に対する操作に応じて、リール1乃至3のうち、操作されたストップボタン37乃至39に対応するいずれかのリールを制御して停止させる。全リール1乃至3が停止するとS9へ進む。
【0054】
S9では入賞判定処理及び内部当選状態設定処理2を行う。ここでは、有効化された入賞ライン上に、内部当選した入賞役又は内部当選中のボーナスの入賞役に対応する図柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン上に「スイカ-スイカ-スイカ」が揃っていたならばスイカ(小役)入賞と判定する。判定結果は、RAM313の所定の記憶領域に記憶し、判定結果を示すコマンド(入賞判定結果コマンド)を副制御部400へ送信する。・・・」

ウ 「【0016】
ベットボタン30乃至32は、スロットマシン10に電子的に貯留されているメダル(クレジットという。)の投入指示操作を受け付けるためのボタンである。本実施形態においては、ベットボタン30が押下されると1枚投入、ベットボタン31が押下されると2枚投入、ベットボタン32が押下されると、その遊技で投入可能なメダルの数(規定数という)のうち、最大の規定数のメダルが投入されるようになっており、メダルの投入数を選択する操作部を構成している。なお、ベットボタン32はMAXベットボタンとも言う。
・・・
【0064】
<再遊技入賞時処理>
再遊技に入賞すると次遊技のメダル投入が免除される。本実施形態では、仮投入数を最大規定数に設定し、その後のベット操作により変更可能とする。しかし、免除するメダル投入数を、遊技者に最も有利な投入数に設定し、変更不能とする構成も採用可能である。例えば、本実施形態の場合、通常遊技の場合は3枚、BB一般遊技の場合は2枚とする。RBゲームの場合は規定数が2のみであるので、2枚である。」

エ 「【0024】
<主制御部>
まず、図2を参照してスロットマシン10の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、その他、以下に述べる構成を有する。・・・
【0048】
<遊技の基本的制御>
図8は、本実施形態のスロットマシン10における遊技の基本的制御を示すフローチャートである。遊技の基本的制御はCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、同図の遊技処理を実行する。以下、この処理について説明する。なお、主制御部300はスロットマシン10に対する遊技者の操作や、各処理の処理結果を示すコマンドを随時副制御部400へ送信する。副制御部400はスロットマシン10のステータス情報としてこれをRAM513に格納しておき、スロットマシン10の状態を常時把握することができる。以下の説明においては、特に重要なコマンドについてのみ説明する。
・・・
【0051】
S6では、リール停止制御テーブル選択処理を行なう。ここでリール1乃至3の停止制御の例について簡単に説明する。本実施形態においては滑りコマ制御、蹴飛ばし制御等と称される公知のリール停止制御を採用する。このリール停止制御は、内部抽選で内部当選した入賞役か、又は、いわゆるフラグ持ち越し中の入賞役については、対応する図柄組合せが揃って表示されることが許容される一方、そうでない場合には各入賞役に対応する図柄組合せが揃って表示されないように構成されている。・・・
【0052】
リールの停止制御は、予め定めた複数種類のリール停止制御データテーブルの中から内部抽選結果等に基づいていずれかを選択し、選択したリール停止制御データテーブルに示された停止位置データに従って行なわれる。S6ではこのリール停止制御テーブルの選択を行なう。」

オ 「【0049】
電源が投入されるとS1で初期化処理が行なわれる。そして、メダルの投入を条件に遊技が開始される。S2ではメダル投入・スタート操作受付処理を行なう。ここでは、主としてメダルのベットに関する処理と、スタートレバー35に対する遊技の開始操作の検知に関する処理等を行う。詳細は後述する。S3では、S2の処理結果に応じて内部抽選データ及び入賞ラインの設定処理を行なう。ここではS2の処理で確定したメダルの投入数と現在の遊技状態とに基づいて内部抽選データを設定する。また、その遊技で有効となる入賞ラインを確定し、対応する入賞ライン表示ランプ20を点灯させる。
【0050】
S4では、乱数発生回路317で発生させた乱数を取得する。S5ではS4で取得した乱数値と、S3で設定した内部抽選データとに基づいて、入賞役の内部抽選及び内部当選状態設定処理1を行う。内部当選状態設定処理1は、内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、RAM313に設定されたその入賞役のフラグをONとし、その入賞役の内部当選状態を設定する処理である。」

カ 「【0026】
また、CPU310には各ICを制御するためのプログラム、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止制御データ等の各種データを記憶しているROM312や、一時的なデータを保存するためのRAM313が接続されている。RAM313は、遊技者が所有するメダルをその投入操作によって電子的にクレジットとして貯留するために、該クレジットの数を記憶する記憶手段としても機能する。・・・」

キ 「【0014】
入賞ライン表示ランプ20は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、遊技媒体としてベットされたメダルの数によって予め定まっている。入賞ラインは5ラインあり、例えば、メダルが1枚ベットされた場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚ベットされた場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚ベットされた場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5ラインが入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ラインの数については5ラインに限定されるものではない。」

ク 「【0041】
・・・
○再遊技
入賞により、次回のゲームでメダルの投入を行うことなくゲームを行うことができる入賞役である。」

ケ 「【0057】
<メダル投入・スタート操作受付処理>
次に、S2のメダル投入・スタート操作受付処理について図9乃至図13を参照して説明する。概説すると、メダル投入口41に対する実メダルの投入或いはベットボタン30乃至32に対する操作(ベット操作)があると、その投入数を仮投入数として受け付ける。仮投入数は変更可能であり、本実施形態の場合、実メダルが投入された場合は、仮投入数を加算することで変更し、ベットボタン30乃至32に対するベット操作がされた場合は、各ボタンに対応するメダル投入数に仮投入数を変更する。仮投入数は、RAM313の所定の記憶領域に記憶する。」

コ 「【0060】
S22では、前回の遊技の結果が、再遊技に入賞であったか否かを判定する。該当する場合はS23へ進み、該当しない場合はS24へ進む。S23では、再遊技入賞時処理を行う。詳細は後述する。S24では、メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定する。投入を検出した場合はS25へ進み、そうでない場合はS26へ進む。S25では、実メダルの投入を検出したことを示すコマンド(実メダル投入検出コマンド)を副制御部400へ送信し、実メダル投入時処理を行う。詳細は後述する。
・・・
【0070】
<実メダル投入時処理>
図11(a)はS25の実メダル投入時処理を示すフローチャートである。S61では、現在の仮投入数が最大規定数であるか否かを判定する。該当する場合はS63へ進み、該当しない場合はS62へ進む。S62では、仮投入数を1つ加算する。S63では、クレジット加算・返却処理を行う。ここでは、クレジット数を1つ加算する。クレジット数が最大数を超える場合は実メダルをメダル払出口42から払い出す。つまり、実メダルの投入の場合は、仮投入数が最大規定数に達していない場合のみ、仮投入数を変更し、変更は加算のみである。クレジット数を変更した場合は、その内容を示すコマンド(クレジット更新コマンド)を副制御部400へ送信する。」

サ 「【0065】
図10はS23の再遊技入賞時処理を示すフローチャートである。S41では、仮投入数を、S21で設定した規定数のうちの最大規定数に設定する。S42では、メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定する。投入を検出した場合はS43へ進み、そうでない場合はS44へ進む。S43では、クレジット加算・返却処理を行う。ここでは、クレジット数を1つ加算する。クレジット数が最大数を超える場合は実メダルをメダル払出口42から払い出す。つまり、再遊技入賞後、実メダルが投入された場合は、仮投入数を一律に変更しないようにしている。
【0066】
S44では、メダル投入ボタンセンサ323の検出結果を取得し、ベットボタン30に対するベット操作があったか否かを判定する。・・・
【0067】
S47では、メダル投入ボタンセンサ323の検出結果を取得し、ベットボタン31に対するベット操作があったか否かを判定する。・・・
【0068】
S49では、メダル投入ボタンセンサ323の検出結果を取得し、MAXベットボタン32に対するベット操作があったか否かを判定する。・・・
【0069】
S51では、スタートレバーセンサ321の検出結果を取得し、スタートレバー35に対する開始操作があったか否かを判定する。開始操作を検出した場合はS52へ進み、そうでない場合はS42へ戻る。S52では、現在の仮投入数をその遊技に遊技者がベットした投入数として確定する。また、仮投入数をリセット(=0)とする。以上により一単位の処理が終了する。」

シ 「【0027】
・・・精算スイッチ324は、精算ボタン34に対する操作を検出し、精算ボタン34が一回押されると、精算可能なメダルが払い出されることになる。本実施形態では、精算可能なメダルとは貯留されているメダルであるが、貯留されているメダルとベットされているメダルの双方としてもよい。・・・」

ス 「【図面の簡単な説明】
【0153】
・・・
【図10】S23の再遊技入賞時処理を示すフローチャートである。
・・・」

セ 図10



・認定事項
ア 認定事項1
甲第1号証には、「【0064】・・・再遊技に入賞すると次遊技のメダル投入が免除される。本実施形態では、仮投入数を最大規定数に設定し、その後のベット操作により変更可能とする。しかし、免除するメダル投入数を、遊技者に最も有利な投入数に設定し、変更不能とする構成も採用可能である。・・・」(上記記載事項ウ)と記載されるので、甲第1号証には、再遊技に入賞すると次遊技のメダル投入が免除され、仮投入数を最大規定数に設定し、その後のベット操作により変更不能とすることが記載されていると認められる(【0064】)。

イ 認定事項2
甲第1号証の図10の記載(記載事項セ)と、上記認定事項1とを併せると、「仮投入数を最大規定数に設定し、その後のベット操作により変更不能とする」(上記認定事項1)場合、再遊技入賞時処理を示すフローチャートである図10において、仮投入数をベット操作により変更するための処理である、「「1ベット操作検出?」という「S44」のステップ、「2ベット操作検出?」という「S47」のステップ、「MAXベット操作検出?」という「S49」のステップ」という一連のステップが不要となる。
以上を踏まえ、「仮投入数を最大規定数に設定し、その後のベット操作により変更不能とする」(上記認定事項1)場合、甲第1号証には、「再遊技入賞処理」として、「実メダル投入検出?」という「S42」のステップに続いて、「S42」が「Yes」であれば、「クレジット加算・返却処理」を行う「S43」というステップの後に、「開始操作検出?」という「S51」のステップに続き、又は、「S42」が「No」であれば、「開始操作検出?」という「S51」のステップに続くことが記載されているといえる。
そうすると、甲第1号証の「【0065】図10はS23の再遊技入賞時処理を示すフローチャートであるS41では、仮投入数を、S21で設定した規定数のうちの最大規定数に設定する。S42では、メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定する。投入を検出した場合はS43へ進み、そうでない場合はS44へ進む。S43では、クレジット加算・返却処理を行う。ここでは、クレジット数を1つ加算する。クレジット数が最大数を超える場合は実メダルをメダル払出口42から払い出す。つまり、再遊技入賞後、実メダルが投入された場合は、仮投入数を一律に変更しないようにしている。」との記載、及び、「【0069】S51では、スタートレバーセンサ321の検出結果を取得し、スタートレバー35に対する開始操作があったか否かを判定する。・・・」との記載(上記記載事項サ)と、「仮投入数を最大規定数に設定し、その後のベット操作により変更不能とする」(上記認定事項1)場合、上記のとおり、「再遊技入賞処理」として、「実メダル投入検出?」という「S42」のステップに続いて、「S42」が「Yes」であれば、「クレジット加算・返却処理」を行う「S43」というステップの後に、「開始操作検出?」という「S51」のステップに続き、又は、「S42」が「No」であれば、「開始操作検出?」という「S51」のステップに続くこととを併せると、
甲第1号証には、再遊技入賞時処理では、仮投入数を最大規定数に設定し(S41)、メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定し(S42)、投入を検出した場合は、クレジット数を1つ加算するがクレジット数が最大数を超える場合は実メダルをメダル払出口42から払い出すクレジット加算・返却処理を行い(S43)、続いて、スタートレバー35に対する開始操作があったか否かを判定する(S51)とともに、投入を検出しない場合は、スタートレバー35に対する開始操作があったか否かを判定する(S51)ことが記載されていると認められる(【0064】、【0065】、【0069】、図10)。

ウ 認定事項3
甲第1号証の図10の記載(記載事項セ)から、「再遊技入賞処理」として、「仮投入数←最大規定数」という「S41」のステップより前に、「実メダル投入検出?」という「S42」のステップは存在せず、かつ、「仮投入数←最大規定数」という「S41」のステップより前に実行されるステップは存在しないので、甲第1号証の「【0065】図10はS23の再遊技入賞時処理を示すフローチャートであるS41では、仮投入数を、S21で設定した規定数のうちの最大規定数に設定する。S42では、メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定する。・・・」との記載(上記記載事項サ)を併せると、
甲第1号証には、再遊技入賞時処理では、仮投入数を最大規定数に設定する(S41)までに、メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定する(S42)ことを含む他の処理を実行しないことが記載されていると認められる(【0064】、【0065】、図10)。

上記記載事項及び認定事項より、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(aからrの符号は、当審にて付した。)。

甲1発明
「a 外周面に複数種類の図柄が配置され、図柄は、ある図柄と他の図柄とを識別可能な識別子であれば如何なるものも採用でき、複数種類の図柄の組合せを変動可能に表示する表示手段として機能する3個のリール1乃至3(左リール1、中リール2、リール3)を備え(【0010】-【0012】)、
b 全リール1乃至3の回転を開始させるリール回転処理を行ない、ストップボタン37乃至39に対する操作に応じて、リール1乃至3のうち、操作されたストップボタン37乃至39に対応するいずれかのリールを制御して停止させ、全リール1乃至3が停止すると、有効化された入賞ライン上に、内部当選した入賞役又は内部当選中のボーナスの入賞役に対応する図柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定するスロットマシン10において(【0011】、【0053】、【0054】)、
c スロットマシン10に電子的に貯留されているメダルの投入指示操作を受け付けるためのベットボタン30乃至32を備え、ベットボタン30が押下されると1枚投入、ベットボタン31が押下されると2枚投入、ベットボタン32が押下されると、通常遊技では最大の規定数である3枚投入されるようになっているメダルの投入数を選択する操作部と(【0016】、【0064】)、
d リール1乃至3の停止制御は、予め定めた複数種類のリール停止制御データテーブルの中から内部抽選結果等に基づいていずれかを選択し、選択したリール停止制御データテーブルに示された停止位置データに従って行なわれ、内部抽選で内部当選した入賞役か、又は、いわゆるフラグ持ち越し中の入賞役については、対応する図柄組合せが揃って表示されることが許容される一方、そうでない場合には各入賞役に対応する図柄組合せが揃って表示されないようにリールの停止制御を行う主制御部300と(【0024】、【【0051】、【0052】)、
e 確定したメダルの投入数と現在の遊技状態とに基づいて内部抽選データ及び入賞ラインを設定し、乱数発生回路317で発生させた乱数を取得し、当該取得した乱数値と、前記設定された内部抽選データとに基づいて、入賞役の内部抽選を行う主制御部300と(【0024】、【0049】、【0050】)、
f 遊技者が所有するメダルをその投入操作によって電子的にクレジットとして貯留するために、該クレジットの数を記憶する記憶手段として機能する主制御部300のCPU310に接続されたRAM313と(【0026】)、
h メダルの投入数を選択する前記操作部の操作により、遊技媒体としてベットされたメダルの数によって有効となる入賞ラインは予め定まっていて、メダルが1枚ベットされた場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚ベットされた場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚ベットされた場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5ラインが入賞ラインとして有効となるものとし、有効となる入賞ラインを示すランプである入賞ライン表示ランプ20とを備え(【0014】、【0016】)、
i’、k’、l’ 主制御部300が内部抽選を行う入賞役には、入賞により次回のゲームでメダルの投入を行うことなくゲームを行うことができる入賞役である再遊技が含まれ(【0024】、【0041】、【0048】-【0050】)、
n’ 前記スロットマシン10は、
メダル投入口41に対する実メダルの投入或いはベットボタン30乃至32に対するベット操作があると、その投入数を仮投入数として受け付け、仮投入数は変更可能であり、実メダルが投入された場合は、仮投入数を加算することで変更し、ベットボタン30乃至32に対するベット操作がされた場合は、各ボタンに対応するメダル投入数に仮投入数を変更し、仮投入数を主制御部300のCPU310に接続されたRAM313に記憶する処理を行い、
再遊技に入賞すると次遊技のメダル投入が免除され、仮投入数を最大規定数に設定し、その後のベット操作により変更不能として、免除するメダル投入数である最大規定数を、通常遊技の場合は3枚、BB一般遊技の場合は2枚、RBゲームの場合は2枚という遊技者に最も有利な投入数に設定する再遊技入賞時処理を行うことでメダルの投入数が確定すると、その遊技で有効となる入賞ラインを確定し、対応する入賞ライン表示ランプ20を点灯させ(【0011】、【0049】、【0057】、【0064】、認定事項1)、
g、p 主制御部300が行う遊技の基本的制御に含まれる実メダル投入時処理として、前回の遊技の結果が再遊技に入賞であったか否かを判定し(S22)、該当しない場合は、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定し(S24)、投入を検出した場合、実メダル投入時処理(S25)において、現在の仮投入数が前記最大規定数であるか否かを判定し(S61)、該当する場合は、クレジット数を1つ加算するか又はクレジット数が最大数である50枚を超える場合は実メダルをメダル払出口42から払い出すクレジット加算・返却処理を行う(S63)とともに、該当しない場合は仮投入数を1つ加算し(S62)(【0048】、【0057】、【0060】、【0070】)、
m’、q、r’ 主制御部300が行う遊技の基本的制御に含まれる再遊技入賞時処理では、
仮投入数を最大規定数に設定し(S41)、メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定し(S42)、投入を検出した場合は、クレジット数を1つ加算するがクレジット数が最大数を超える場合は実メダルをメダル払出口42から払い出すクレジット加算・返却処理を行い(S43)、続いて、スタートレバー35に対する開始操作があったか否かを判定する(S51)とともに、投入を検出しない場合は、スタートレバー35に対する開始操作があったか否かを判定し(S51)、
仮投入数を最大規定数に設定する(S41)までに、メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定する(S42)ことを含む他の処理を実行せず、
精算スイッチ324は、精算ボタン34に対する操作を検出し、精算ボタン34が一回押されると、貯留されているメダルが払い出される、スロットマシン10(【0011】、【0027】、【0064】、【0065】、【0069】、図10、認定事項2、認定事項3)。

(2)甲第2号証に記載の技術
甲第2号証(特開2014-42743号公報)には、以下の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。

甲2技術
「スロットマシン10において、当該遊技で投入したメダル枚数を維持したメダルを自動投入する再遊技を行うことができる役であるリプレイとして、それぞれ所定の図柄の組合せを設定したリプレイ01?28の28種類を備えており(【0027】、【0048】)、
当選役として、第1?第27リプレイの27種類のリプレイを有し、当選役には、 リプレイ01とリプレイ02という2個の役が割り当てられ重複当選可能とした第2リプレイと、リプレイ10?15、リプレイ24、リプレイ26とリプレイ27という9個の役が割り当てられ重複当選可能とした第11リプレイが含まれ (【0077】、【0111】、【0119】、図8、図9)、
リプレイは、リプレイA群?リプレイD群の4つに大別され、
リプレイA群は、逆押し時には、リプレイ23?26が入賞可能となって、「赤7」-「赤7」-「赤7」が停止表示可能となるリプレイの一群であって、第3?第10、第18?第20、及び第23?第26リプレイが属し、
リプレイB群は、逆押しで操作しても、「赤7」-「赤7」-「赤7」が停止表示可能にはならないリプレイの一群であって、第1、第2、第21、第22、及び第27リプレイが属し、
リプレイC群は、左第1停止時には、リプレイ10、17、又は21が入賞可能となって、左リール31の中段若しくは下段に「チェリーA」が停止表示可能となるか、又は「チェリーA」-「チェリーA/チェリーB」-「チェリーA/チェリーB」が停止表示可能となるとともに、逆押し時には、リプレイ23?26のいずれかが入賞可能となって、「赤7」-「赤7」-「赤7」が停止表示可能となるリプレイの一群であって、第11?第13、第15、及び第17リプレイが属し、
リプレイD群は、左第1停止時には、リプレイ10、又は21が入賞可能となって、左リール31の中段又は下段に「チェリーA」が停止表示可能となるものの、逆押しで操作しても、「赤7」-「赤7」-「赤7」が停止表示可能にはならないリプレイの一群であって、第14、及び第16リプレイが属し(【0127】?【0130】、図8、図9)、
非AT遊技中に役抽選手段61で左第1停止で「チェリー」が停止表示可能なリプレイであるリプレイC群に当選したときは、AT遊技の実行権利を付与するか否かを決定するAT抽選を行い、AT抽選の当選確率は、1/10に設定され、AT抽選で当選したときは、AT遊技の実行権利を付与する(【0252】)技術。 」


第4 当審の判断
1 取消理由について
(1)本件訂正発明と甲1発明との対比
ア 発明特定事項Aについて
甲1発明の「図柄」は、本件訂正発明の「識別情報」に相当し、同様に、甲1発明の「図柄は、ある図柄と他の図柄とを識別可能な識別子」であることは、本件訂正発明の「識別情報」は、「各々が識別可能」であることに、甲1発明の「変動可能に表示する」ことは、本件訂正発明の「変動表示可能」であることに、甲1発明の「リール1乃至3(左リール1、中リール2、リール3)」は、本件訂正発明の「可変表示部」に、甲1発明の「3個」は、本件訂正発明の「複数」にそれぞれ相当する。
よって、甲1発明の構成aは、本件訂正発明の発明特定事項Aに相当する。

イ 発明特定事項Bについて
甲1発明の「全リール1乃至3の回転を開始させるリール回転処理」を行うことは、「変動可能に表示する」こと(甲1発明の構成a)にほかならないから、その後、甲1発明の「全リール1乃至3が停止する」ことは、本件訂正発明の「可変表示部を変動表示した後」、「可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出」することに相当し、同様に、甲1発明の「有効化された入賞ライン上に、内部当選した入賞役又は内部当選中のボーナスの入賞役に対応する図柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する」ことは、本件訂正発明の「複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能」とすることに、甲1発明の「スロットマシン10」は、本件訂正発明の「スロットマシン」にそれぞれ相当する。
よって、甲1発明の構成bは、本件訂正発明の発明特定事項Bに相当する。

ウ 発明特定事項Cについて
甲1発明の「ベットボタン30乃至32」と「メダルの投入数を選択する操作部」のいずれも、本件訂正発明の「遊技を行うための賭数を設定する賭数設定手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成cは、本件訂正発明の発明特定事項Cに相当する。

エ 発明特定事項Dについて
甲1発明は、「全リール1乃至3が停止する」(構成b)際に、「内部抽選で内部当選した入賞役か、又は、いわゆるフラグ持ち越し中の入賞役については、対応する図柄組合せが揃って表示されることが許容される一方、そうでない場合には各入賞役に対応する図柄組合せが揃って表示されないようにリールの停止制御を行う」ことから、甲1発明の当該「リールの停止制御」は、本件訂正発明の「表示結果組合せを導出させる制御」に相当し、甲1発明の「主制御部300」は、本件訂正発明の「導出制御手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成dは、本件訂正発明の発明特定事項Dに相当する。

オ 発明特定事項Eについて
甲1発明の「入賞役の内部抽選を行う」ことは、本件訂正発明の「導出を許容する表示結果組合せを決定する」ことに相当し、甲1発明の「主制御部300」は、本件訂正発明の「事前決定手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成eは、本件訂正発明の発明特定事項Eに相当する。

カ 発明特定事項Fについて
上記ウのとおり、甲1発明の「ベットボタン30乃至32」(構成c)は、本件訂正発明の「遊技を行うための賭数を設定する賭数設定手段」(発明特定事項C)に相当し、当該「ベットボタン30乃至32」は、「スロットマシン10に電子的に貯留されているメダルの投入指示操作を受け付ける」(構成c)ためのものであるから、甲1発明の「投入操作によって」「電子的に」「貯留」された「メダル」である「クレジット」は、「賭数を設定するために用いられる」ものということができるとともに、これは、本件訂正発明の「遊技用価値」に相当する。また、甲1発明の「該クレジットの数を記憶する記憶手段として機能する主制御部300のCPU310に接続されたRAM313」は、本件訂正発明の「遊技用価値記憶手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成fは、本件訂正発明の発明特定事項Fに相当する。

キ 発明特定事項Gについて
甲1発明の「メダル投入口41に実メダル・・・投入を検出した場合、・・・クレジット数を1つ加算する・・・クレジット加算・返却処理」(構成g、p)について、当該処理は、「主制御部300が行う遊技の基本的制御に含まれる実メダル投入時処理」の一部であって、「クレジット数を1つ加算する」ときに、「該クレジットの数を記憶する記憶手段として機能する主制御部300のCPU310に接続されたRAM313」(構成f)に記憶された「クレジットの数」を更新することは明らかである。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の「遊技用価値が投入されることにより前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能な遊技用価値更新手段」(発明特定事項G)に相当する構成を備えているということができる。

ク 発明特定事項Hについて
甲1発明の「有効となる入賞ライン」は、「遊技媒体としてベットされたメダルの数によって」「予め定まって」おり、具体的には、甲1発明において、「中段の水平入賞ラインが有効」となるのは、「メダルが1枚ベットされた場合」であり、「中段の水平入賞ライン」に加えて「上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効」となるのは、「メダルが2枚ベットされた場合」であり、さらに、「中段の水平入賞ライン」及び「上段水平入賞ラインと下段水平入賞ライン」に加えて「右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5ラインが入賞ラインとして有効」となるのは、「メダルが3枚ベットされた場合」である。したがって、甲1発明の「有効となる入賞ラインを示すランプである入賞ライン表示ランプ20」を見れば、メダルが何枚ベットされているかを遊技者が知ることができるから、甲1発明の「入賞ライン表示ランプ20」は、本件訂正発明の「設定された賭数を特定可能な賭数設定報知を行う賭数設定報知手段」に相当する。
よって、甲1発明の構成hは、本件訂正発明の発明特定事項Hに相当する。

ケ 発明特定事項Iについて
甲1発明の「主制御部300」(本件訂正発明の「事前決定手段」に相当。)が「内部抽選を行う入賞役には、入賞により次回のゲームでメダルの投入を行うことなくゲームを行うことができる入賞役である再遊技」が含まれる。
甲1発明の「次回のゲームでメダルの投入を行うことなくゲームを行うことができる入賞役である再遊技」は、本件訂正発明の「遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技表示結果組合せ」に相当するから、甲1発明の構成i’、k’、l’と本件訂正発明の発明特定事項Iとは、「前記事前決定手段による決定結果には、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技表示結果組合せが含まれ」るという点で共通する。

コ 発明特定事項K、Lについて
甲1発明の「主制御部300」(本件訂正発明の「導出制御手段」に相当。)は、「内部抽選で内部当選した入賞役」については、「対応する図柄組合せが揃って表示されることが許容される一方、そうでない場合には各入賞役に対応する図柄組合せが揃って表示されないようにリールの停止制御を行う」(構成d)ものであり、「主制御部300」(本件訂正発明の「事前決定手段」に相当。)が「内部抽選を行う入賞役には、入賞により次回のゲームでメダルの投入を行うことなくゲームを行うことができる入賞役である再遊技が含まれ」る(構成i’、k’、l’)から、甲1発明の構成i’、k’、l’と本件訂正発明の発明特定事項K,Lとは、「前記導出制御手段は、前記事前決定手段による決定結果が再遊技表示結果組合せの導出を許容する場合には前記再遊技表示結果組合せを導出可能な制御を行う」という点で共通する。

サ 発明特定事項Mについて
甲1発明の、「主制御部300が行う遊技の基本的制御」に含まれる「再遊技入賞時処理」は、「メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定し(S42)、投入を検出した場合は、クレジット数を1つ加算するがクレジット数が最大数を超える場合は実メダルをメダル払出口42から払い出すクレジット加算・返却処理を行」うことから、「実メダル」の「投入を検出した場合」、クレジット数が最大数を超えない場合は、「クレジット数を1つ加算する」こととなる。
そして、上記の「クレジット加算・返却処理」は、「主制御部300が行う遊技の基本的制御に含まれる実メダル投入時処理」の一部であるから(構成g、p)、上記キと同様、「クレジット数を1つ加算する」ときに、「該クレジットの数を記憶する記憶手段として機能する主制御部300のCPU310に接続されたRAM313」(構成f)に記憶された「クレジットの数」を更新することは明らかである。
したがって、甲1発明の構成m’、q、r’と本件訂正発明の発明特定事項Mとは、「前記遊技用価値更新手段は、再遊技表示結果組合せが導出されたときでも、遊技用価値が投入されることにより前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能」である点で共通する。

シ 発明特定事項Nについて
甲1発明の「再遊技」は、本件訂正発明の「再遊技表示結果組合せ」に相当し、同様に、甲1発明の「入賞する」ことは、本件訂正発明の「導出され」ることに、甲1発明の「免除するメダル投入数である最大規定数を、通常遊技の場合は3枚、BB一般遊技の場合は2枚、RBゲームの場合は2枚という遊技者に最も有利な投入数に設定する再遊技入賞時処理を行うことでメダルの投入数が確定」するときは、本件訂正発明の「前記賭数設定手段によって遊技用価値を用いることなく遊技を行うための賭数が設定されるとき」に、それぞれ相当するから、甲1発明の構成n’と本件訂正発明の発明特定事項Nとは、「前記賭数設定報知手段は、前記再遊技表示結果組合せが導出されたとき、前記賭数設定手段によって遊技用価値を用いることなく遊技を行うための賭数が設定されるときに、前記賭数設定報知を行」うという点で共通する。

ス 発明特定事項Pについて
甲1発明の「前回の遊技の結果が再遊技に入賞であったか否かを判定し(S22)、該当しない場合」は、本件訂正発明の「前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後」に相当し、その後において、甲1発明の「メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定し(S24)、投入を検出した場合」は、本件訂正発明の「遊技者により遊技媒体が投入された場合」に相当し、同様に、甲1発明の「現在の仮投入数が前記最大規定数であるか否かを判定し(S61)、」「該当しない場合」は、本件訂正発明の「前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が予め定められた上限数未満であるとき」に、甲1発明の「仮投入数を1つ加算」することは、本件訂正発明の「前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新」することに、甲1発明の「現在の仮投入数が前記最大規定数であるか否かを判定し(S61)、該当する場合」は、本件訂正発明の「当該上限数に達しているとき」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明の「クレジット数を1つ加算する」ことは、「クレジット加算・返却処理」は、「主制御部300が行う遊技の基本的制御に含まれる実メダル投入時処理」の一部であって、上記キと同様、「クレジット数を1つ加算する」ときに、「該クレジットの数を記憶する記憶手段として機能する主制御部300のCPU310に接続されたRAM313」(構成f)に記憶された「クレジットの数」を更新することは明らかであるから、これは、本件訂正発明の「前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新」することに相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の発明特定事項Pに相当する構成を備えているということができる。

セ 発明特定事項Qについて
甲1発明が、「再遊技入賞時処理」において、「仮投入数を最大規定数に設定」することは、「再遊技に入賞すると次遊技のメダル投入が免除され、仮投入数を最大規定数に設定し、その後のベット操作により変更不能」(構成n’)としていることと併せると、本件訂正発明の「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となる」ことに相当する。
そして、甲1発明が、「再遊技入賞時処理」において、「仮投入数を最大規定数に設定する(S41)まで」において、「メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定する(S42)ことを含む他の処理を実行しない」ことは、本件訂正発明の「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となる」までにおいて「前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもな」いことに相当する。
また、上で検討したとおり、甲1発明が、「再遊技入賞時処理」において、「仮投入数を最大規定数に設定」することは、本件訂正発明の「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能」となることに相当することを踏まえると、甲1発明の「仮投入数を最大規定数に設定し(S41)」、「メダル投入センサ320の検出結果を取得し、メダル投入口41に実メダルが投入されたか否かを判定し(S42)、投入を検出した場合」は、本件訂正発明の「遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において」「遊技者により遊技媒体が投入された場合」に相当し、同様に、甲1発明の「クレジット数を1つ加算する」ことは、上記キと同様、「クレジット数を1つ加算する」ときに、「該クレジットの数を記憶する記憶手段として機能する主制御部300のCPU310に接続されたRAM313」(構成f)に記憶された「クレジットの数」を更新することは明らかであるから、本件訂正発明の「前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能である」ことに相当する。
よって、甲1発明は、本件訂正発明の発明特定事項Qに相当する構成を備えているということができる。

ソ 発明特定事項Rについて
甲1発明の「スロットマシン10」が、本件訂正発明の「スロットマシン」に相当することは、上記イで検討したとおりである。
甲1発明は、上記キの検討と併せると、甲1発明の「主制御部300のCPU310に接続されたRAM313」、「記憶手段として機能する」こと、「貯留されているメダル」、「払い出される」こと、「精算スイッチ324は、精算ボタン34に対する操作を検出」することは、それぞれ、本件訂正発明の「遊技用価値記憶手段」、「記憶されている」こと、「記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体」、「返却する」こと、「精算制御を行うための精算操作が遊技者によってされたか否かを判定する」ことに相当する。
したがって、甲1発明の構成m’、q、r’と本件訂正発明の発明特定事項Rとは、「前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うための精算操作が遊技者によってされたか否かを判定する、スロットマシン。」である点で共通する。

(2)一致点及び相違点
上記(1)より、本件訂正発明と甲1発明との一致点・相違点は以下のとおりである。

ア 一致点
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技を行うための賭数を設定する賭数設定手段と、
D 表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、
E 導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
F 賭数を設定するために用いられる遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段と、
G 遊技用価値が投入されることにより前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能な遊技用価値更新手段と、
H 設定された賭数を特定可能な賭数設定報知を行う賭数設定報知手段とを備え、
I’ 前記事前決定手段による決定結果には、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技表示結果組合せが含まれ、
K’、L’ 前記導出制御手段は、前記事前決定手段による決定結果が再遊技表示結果組合せの導出を許容する場合には前記再遊技表示結果組合せを導出可能な制御を行い、
M’ 前記遊技用価値更新手段は、再遊技表示結果組合せが導出されたときでも、遊技用価値が投入されることにより前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
N’ 前記事前決定手段による決定結果には、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技表示結果組合せが含まれ、
P 前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が予め定められた上限数未満であるときには前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新し、当該上限数に達しているときには前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新し、
Q 前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
R’ 前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うための精算操作が遊技者によってされたか否かを判定する、スロットマシン。」

イ 相違点
(ア)相違点1(発明特定事項I)
本件訂正発明は、「前記事前決定手段による決定結果には、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技表示結果組合せのうち、特定表示結果組合せの導出が許容される第1再遊技決定結果と、前記特定表示結果組合せとは異なる所定表示結果組合せの導出が許容される第2再遊技決定結果とが含まれ」るのに対し、甲1発明は、「再遊技表示結果組合せ」に相当する構成を備えるものの、当該「再遊技表示結果組合せ」に、「特定表示結果組合せの導出が許容される第1再遊技決定結果と、前記特定表示結果組合せとは異なる所定表示結果組合せの導出が許容される第2再遊技決定結果とが含まれ」るものではない点。

(イ)相違点2(発明特定事項J)
本件訂正発明は、「前記事前決定手段の決定結果が前記第1再遊技決定結果であるときには有利状態への制御に関する抽選が実行不可能であるのに対して、前記事前決定手段の決定結果が前記第2再遊技決定結果であるときには当該抽選が実行可能」であるのに対し、甲1発明は、そのような構成を備えるものではない点。

(ウ)相違点3(発明特定事項K)
本件訂正発明は、「前記導出制御手段は、
前記事前決定手段による決定結果が前記第1再遊技決定結果である場合には前記特定表示結果組合せを導出可能な制御」を行うのに対し、上記(ア)のとおり、甲1発明は、「第1再遊技決定結果」に対応する役を有していないので、当該「第1再遊技決定結果」に対応する図柄組合せとしての「特定表示結果組合せ」を備えるものではない点。

(エ)相違点4(発明特定事項L)
本件訂正発明は、「前記事前決定手段による決定結果が前記第2再遊技決定結果である場合には前記所定表示結果組合せを導出可能な制御」を行うのに対し、甲1発明は、上記(ア)のとおり、「第2再遊技決定結果」に対応する役を有していないので、当該「第1再遊技決定結果」に対応する図柄組合せとしての「所定表示結果組合せ」を備えるものではない点。

(オ)相違点5(発明特定事項M)
本件訂正発明は、「前記遊技用価値更新手段は、前記特定表示結果組合せおよび前記所定表示結果組合せのいずれが導出されたときでも、遊技用価値が投入されることにより前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能」であるのに対し、甲1発明は、導出される「再遊技表示結果組合せ」として、「前記特定表示結果組合せおよび前記所定表示結果組合せ」を含むものとしていない点。

(カ)相違点6(発明特定事項N)
本件訂正発明は、「前記賭数設定報知手段は、前記特定表示結果組合せおよび前記所定表示結果組合せのいずれが導出されたときでも、前記賭数設定手段によって遊技用価値を用いることなく遊技を行うための賭数が設定されるときに、当該遊技の前の遊技における前記賭数設定報知の態様を引き継」ぐのに対し、甲1発明は、「再遊技表示結果組合せ」として「前記特定表示結果組合せおよび前記所定表示結果組合せ」を備えるものでなく、また、「賭数設定報知手段」が、「当該遊技の前の遊技における前記賭数設定報知の態様を引き継」ぐものではない点。

(キ)相違点7(発明特定事項O)
本件訂正発明は、「ゲームが行われているときにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、1ゲームに対して設定されている賭数を記憶する賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもな」いのに対し、甲1発明は、そのような構成を備えるかどうか不明である点。

(ク)相違点8(発明特定事項R)
「前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うための精算操作が遊技者によってされたか否かを判定する」契機として、本件訂正発明は、「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合」に、精算操作がされた否かの判定を行うのに対し、甲1発明は、「再遊技入賞時処理」において、精算操作がされたか否かの判定を行うものではない点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1(発明特定事項I)及び相違点5(発明特定事項M)について
相違点1と相違点5とをまとめて検討する。
甲2技術の「リプレイ01?28」に「それぞれ」「設定」された「所定の図柄の組合せ」は、本件訂正発明の「再遊技表示結果組合せ」に相当し、同様に、甲2技術の「リプレイ02」となる「所定の図柄の組合せ」は、本件訂正発明の「特定表示結果組合せ」に、甲2技術の「第2リプレイ」は、本件訂正発明の「第1再遊技決定結果」に、甲2技術の「リプレイ10」となる「所定の図柄の組合せ」は、本件訂正発明の「特定表示結果組合せとは異なる所定表示結果組合せ」に、甲2技術の「第11リプレイ」は、本件訂正発明の「第2再遊技決定結果」に、それぞれ相当する。
そして、甲1発明と甲2技術とは、ともにスロットマシンの技術分野に属し、遊技者所有のメダルを消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定するリプレイ入賞可能としているという点で機能が共通するから、甲1発明における「再遊技」という「入賞役」に、甲2技術を適用することにより、本件訂正発明の上記相違点1及び相違点5に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2(発明特定事項J)について
甲2技術における「第11リプレイ」(本件訂正発明の「第2再遊技決定結果」に相当。)は、「リプレイC群」に属し、甲2技術は、さらに、「非AT遊技中に役抽選手段61で左第1停止で「チェリー」が停止表示可能なリプレイであるリプレイC群に当選したときは、AT遊技の実行権利を付与するか否かを決定するAT抽選を行い、AT抽選の当選確率は、1/10に設定され、AT抽選で当選したときは、AT遊技の実行権利を付与する」から、甲2技術の「役抽選手段61」は、本件訂正発明の「事前決定手段」に相当し、同様に、甲2技術の「当選」することは、本件訂正発明の「決定結果」に、甲2技術の「AT遊技の実行権利を付与する」ことは、本件訂正発明の「有利状態」に、甲2技術の「AT抽選」は、本件訂正発明の「抽選」に、それぞれ相当する。また、甲2技術において、「第2リプレイ」(本件訂正発明の「第1再遊技決定結果」に相当。)は、AT抽選が実行される「リプレイ群C」ではなく、「リプレイ群B」に属することから、甲2技術は、本件訂正発明の「前記事前決定手段の決定結果が前記第1再遊技決定結果であるときには有利状態への制御に関する抽選が実行不可能である」ことに相当する構成を備えていることは明らかである。
そして、甲1発明と甲2技術とは、ともにスロットマシンの技術分野に属し、遊技者所有のメダルを消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定するリプレイ入賞可能としているという点で機能が共通するから、甲1発明における「再遊技」という「入賞役」に、甲2技術を適用することにより、本件訂正発明の上記相違点2に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3(発明特定事項K)及び相違点4(発明特定事項L)について
検討の都合上、相違点3と相違点4とをまとめて検討する。
甲2技術には、スロットマシンにおける再遊技表示結果組合せに関し、「役抽選手段61」による決定結果が「第2リプレイ」である場合には「リプレイ02」となる「所定の図柄の組合せ」が「停止表示可能」であり、「役抽選手段61」による決定結果が「第11リプレイ」である場合には「リプレイ10」となる「所定の図柄の組合せ」が「停止表示可能」である技術が含まれる。
そして、上記アで検討したとおり、甲2技術の「リプレイ01?28」に「それぞれ」「設定」された「所定の図柄の組合せ」は、本件訂正発明の「再遊技表示結果組合せ」に相当し、同様に、甲2技術の「リプレイ02」となる「所定の図柄の組合せ」は、本件訂正発明の「特定表示結果組合せ」に、甲2技術の「第2リプレイ」は、本件訂正発明の「第1再遊技決定結果」に、甲2技術の「リプレイ10」となる「所定の図柄の組合せ」は、本件訂正発明の「特定表示結果組合せとは異なる所定表示結果組合せ」に、甲2技術の「第11リプレイ」は、本件訂正発明の「第2再遊技決定結果」に、それぞれ相当し、上記イで検討したとおり、甲2技術の「役抽選手段61」は、本件訂正発明の「事前決定手段」に相当し、さらに、甲2技術の「停止表示可能」であることは、本件訂正発明の「導出可能な制御」に相当する。
そして、甲1発明と甲2技術とは、ともにスロットマシンの技術分野に属し、遊技者所有のメダルを消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定するリプレイ入賞可能としているという点で機能が共通するから、甲1発明に、甲2技術を適用することにより、本件訂正発明の上記相違点3及び相違点4に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得たことである。

エ 相違点6(発明特定事項N)について
相違点6のうち、「再遊技表示結果組合せ」として「前記特定表示結果組合せおよび前記所定表示結果組合せ」を備える点については、上記アで検討したとおり、甲2技術の「リプレイ02」となる「所定の図柄の組合せ」は、本件訂正発明の「特定表示結果組合せ」に、甲2技術の「第11リプレイ」は、本件訂正発明の「第2再遊技決定結果」に、それぞれ相当するものである。
以下、「賭数設定報知手段」が、「当該遊技の前の遊技における前記賭数設定報知の態様を引き継」ぐ点について検討する。
甲1発明は、「メダル投入口41に対する実メダルの投入或いはベットボタン30乃至32に対するベット操作があると、その投入数を仮投入数として受け付け、仮投入数は変更可能であり、実メダルが投入された場合は、仮投入数を加算することで変更し、ベットボタン30乃至32に対するベット操作がされた場合は、各ボタンに対応するメダル投入数に仮投入数を変更し、仮投入数を主制御部300のCPU310に接続されたRAM313に記憶する処理を行い、
再遊技に入賞すると次遊技のメダル投入が免除され、仮投入数を最大規定数に設定し、その後のベット操作により変更不能として、免除するメダル投入数である最大規定数を、通常遊技の場合は3枚、BB一般遊技の場合は2枚、RBゲームの場合は2枚という遊技者に最も有利な投入数に設定する再遊技入賞時処理を行うことでメダルの投入数が確定すると、その遊技で有効となる入賞ラインを確定し、対応する入賞ライン表示ランプ20を点灯させ」(構成n’)るものである。したがって、甲1発明は、再遊技前のゲームのメダル投入数は、1乃至3枚のいずれかであり、再遊技後のメダル投入数は、「通常遊技の場合は3枚、BB一般遊技の場合は2枚、RBゲームの場合は2枚」に確定するものであるから、再遊技の前後のゲームでメダル投入数、すなわち、賭数が異なる場合があり得るものとなっている。
ここで、例えば、甲2技術における「リプレイ」は、「当該遊技で投入したメダル枚数を維持したメダルを自動投入する再遊技を行うことができる役」であって、このようにスロットマシンにおいてリプレイ入賞すると、当該遊技で投入したメダル枚数を維持したメダルを自動投入する扱いとすることはスロットマシンにおける従来周知の技術である。
また、引用文献6には、スロットマシンの前面扉1bに、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16が設けられた遊技用表示部13が設けられ、前回ゲームでリプレイが入賞して前回ゲームと同一BET数がBETされた場合には、前回ゲームに引き続き行われる今回ゲームにおいて、前回ゲームでBET数が1枚のときには1BETLED14の点灯を一旦消灯させることなく維持し、前回ゲームでBET数が2枚のときには1BETLED14および2BETLED15の点灯を一旦消灯させることなく維持し、前回ゲームでBET数が3枚のときには1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16の点灯を一旦消灯させることなく維持することにより、1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16によるBET数の表示を前回ゲームから引き継ぐことによって更新する技術(以下、「引用文献6に記載の技術」という。)が記載されている(【0026】、【0145】、【0146】)。
引用文献6に記載の技術の「賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16」は、本件訂正発明の「賭数設定報知手段」に相当し、引用文献6に記載の技術の「前回ゲームでリプレイが入賞して前回ゲームと同一BET数がBETされた場合には、前回ゲームに引き続き行われる今回ゲームにおいて、前回ゲームでBET数が1枚のときには1BETLED14の点灯を一旦消灯させることなく維持し、・・・1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16によるBET数の表示を前回ゲームから引き継ぐ」ことは、本件訂正発明の「当該遊技の前の遊技における前記賭数設定報知の態様を引き継」ぐことに相当する。
そして、甲1発明、甲2技術、甲2技術に例示される従来周知の技術及び引用文献6に記載の技術のいずれも、スロットマシンの技術分野に属し、遊技者所有のメダルを消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定するリプレイ入賞可能としているという点で機能が共通するから、甲1発明に、甲2技術、上記甲2技術に例示される従来周知の技術及び引用文献6に記載の技術を適用することにより、本件訂正発明の上記相違点6に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得たことである。

オ 相違点7(発明特定事項O)について
ゲームが行われているときにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもない点、すなわち、ゲーム中にメダルを投入するとベットもされず、クレジットもされないという構成は、甲第3号証の【0030】、【0037】、【0050】、【0064】、【0065】、図12、図18、甲第4号証の【0101】、【0115】、【0141】-【0143】、図14、甲第5号証の【0016】、【0023】-【0025】、図6等に記載されているように、スロットマシンにおける従来周知の技術である。
よって、本件訂正発明の上記相違点7に係る構成は、甲1発明に、上記従来周知の技術を適用することによって、当業者が容易に想到し得たことである。

カ 相違点8(発明特定事項R)について
「前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うための精算操作が遊技者によってされたか否かを判定する」契機として、本件訂正発明のように、「前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合」に、精算操作がされた否かの判定を行うことは、申立人が示した甲第1号証から甲第5号証及び当審による取消理由通知で引用した引用文献6のいずれにも記載も示唆もされておらず、また、それが、本件特許の出願時において周知又は技術常識であったとも、単なる設計事項であるともいえない。
そうすると、申立人が示した甲第1号証から甲第5号証及び当審による取消理由通知で引用した引用文献6に接した当業者といえども、上記相違点8に係る本件訂正発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

キ 本件訂正発明の効果について
本件訂正発明によってもたらされる効果は、令和1年8月29日に特許権者から提出された意見書の第6頁第20行から第25行に記載されているように、本件訂正発明は、相違点8に係る構成を備えることにより、精算制御が行われる時点で既に遊技媒体が投入されてしまうことがなく、既に投入された遊技媒体を精算制御中に飲み込んでしまうといった不都合の発生を回避することができるという効果を奏するものである。そして、当該効果は、申立人が示した甲第1号証から甲第5号証及び当審による取消理由通知で引用した引用文献6から、当業者が予測し得ないものである。

(4)小括
したがって、本件訂正発明は、甲1発明、甲第2-5号証記載の事項、引用文献6に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 特許異議申立理由について
当審による令和1年6月28日付け取消理由通知は、上記第3 2?3において示したように、申立人が提出した甲第1-5号証をすべて含めて検討していることから、特許異議申立の理由も上記第4 1において検討済みである。


第5 むすび

以上のとおりであるから、取消理由通知で通知した取消理由並びに特許異議申立書に記載した理由及び証拠方法によっては、本件訂正請求により訂正された請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正請求により訂正された請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スロットマシン
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有しており、まず遊技者のBET操作により賭数を設定し、規定の賭数が設定された状態でスタート操作することによりリールの回転が開始し、各リールに対応して設けられたストップスイッチを操作することにより回転を停止する。そして、全てのリールの回転を停止したときに入賞ライン上に予め定められた入賞図柄の組合せ(たとえば、7-7-7、以下図柄の組合せを役とも呼ぶ)が揃ったことによって入賞が発生する。すなわち遊技者の操作によってゲームが進行するようになっている。
【0003】
役の種類としては、小役、ボーナス役、再遊技役といった種類がある。ここで、小役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止された場合には、小役の種類毎に定められた数のメダルが払い出されるという利益を遊技者が得ることができる。ボーナス役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止された場合には、次のゲームからレギュラーボーナスやビッグボーナスといった遊技者にとって有利な遊技状態へ移行されるという利益を遊技者が得ることができる。再遊技役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止(以下、「再遊技表示結果が導出」などともいう)された場合には、賭数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行うことができるという利益を得ることができる。
【0004】
このようなスロットマシンの中には、「スイカ-スイカ-ベル」というように、再遊技役を構成する図柄の組合せが全て同じ図柄からなる組合せではないスロットマシンがあった(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5256473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述したスロットマシンの実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、再遊技役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に導出されたときに遊技者に違和感を与えることがないスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技を行うための賭数を設定する賭数設定手段と、
表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、
導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
賭数を設定するために用いられる遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段と、
遊技用価値が投入されることにより前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能な遊技用価値更新手段と、
設定された賭数を特定可能な賭数設定報知を行う賭数設定報知手段とを備え、
前記事前決定手段による決定結果には、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技表示結果組合せのうち、特定表示結果組合せの導出が許容される第1再遊技決定結果と、前記特定表示結果組合せとは異なる所定表示結果組合せの導出が許容される第2再遊技決定結果とが含まれ、
前記事前決定手段の決定結果が前記第1再遊技決定結果であるときには有利状態への制御に関する抽選が実行不可能であるのに対して、前記事前決定手段の決定結果が前記第2再遊技決定結果であるときには当該抽選が実行可能であり、
前記導出制御手段は、
前記事前決定手段による決定結果が前記第1再遊技決定結果である場合には前記特定表示結果組合せを導出可能な制御を行い、
前記事前決定手段による決定結果が前記第2再遊技決定結果である場合には前記所定表示結果組合せを導出可能な制御を行い、
前記遊技用価値更新手段は、前記特定表示結果組合せおよび前記所定表示結果組合せのいずれが導出されたときでも、遊技用価値が投入されることにより前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
前記賭数設定報知手段は、前記特定表示結果組合せおよび前記所定表示結果組合せのいずれが導出されたときでも、前記賭数設定手段によって遊技用価値を用いることなく遊技を行うための賭数が設定されるときに、当該遊技の前の遊技における前記賭数設定報知の態様を引き継ぎ、
前記スロットマシンは、
ゲームが行われているときにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、1ゲームに対して設定されている賭数を記憶する賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、
前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が予め定められた上限数未満であるときには前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新し、当該上限数に達しているときには前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新し、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うための精算操作が遊技者によってされたか否かを判定する。
【0008】
また、スロットマシンは以下の構成を備えていてもよい。
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
表示結果が導出される前に、遊技用価値の付与を伴う特定付与表示結果(たとえば、通常ベル入賞)と遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能な再遊技の付与を伴う特定再遊技表示結果(たとえば、ベルリプ入賞)とを含む表示結果について、導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選処理)と、
前記事前決定手段による決定に応じて表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段(たとえば、メイン制御部41によるリール回転処理)と、
1ゲームが開始可能となる所定数の賭数を設定するために用いられる遊技者所有の遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段(たとえば、メイン制御部41によるRAM41cにクレジットを記憶する処理)と、
遊技者の特定動作に応じて前記遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値を更新する遊技用価値更新手段(たとえば、メイン制御部41によるクレジットカウンタを加算更新する処理)と、
前記特定再遊技表示結果が導出されたときに、次のゲームが開始可能となる開始前状態(たとえば、スタート操作で次のゲームが開始可能となる状態)への制御を遅延させる遅延制御(たとえば、ベルリプフリーズ)を行う遅延制御手段(たとえば、メイン制御部41によるベルリプフリーズを実行する処理)と、
前記遅延制御の開始から特定期間(たとえば、解除不許可期間)において、前記特定付与表示結果に対応する付与演出(たとえば、図32(a)に示すベル入賞演出)と演出内容が少なくとも一部で共通する(たとえば、図32(a)に示すようにスピーカ53、54からメダル払出音が出力される演出内容が共通する)再遊技演出(たとえば、ベルリプ入賞演出)を実行する演出実行手段(たとえば、サブ制御部91による入賞演出を実行する処理)とを備え、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段により前記特定付与表示結果の導出が許容されているときには、前記可変表示部に対応する領域のうち、第1領域(たとえば、入賞ラインL1上の領域)に特定表示結果(たとえば、「ベル-ベル-ベル」の図柄組合せ)を導出させる制御を行うことが可能で、前記事前決定手段により前記特定再遊技表示結果の導出が許容されているときには、前記第1領域とは異なる第2領域(たとえば、ベルリプ1?4のいずれかであれば左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段を跨るライン上の領域、ベルリプ5であれば左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段を跨るライン上の領域)に前記特定表示結果(たとえば、「ベル-ベル-ベル」の図柄組合せ)を導出させる制御を行うことが可能であり、
前記遅延制御手段は、前記遅延制御の開始から前記特定期間が経過(たとえば、解除不許可期間が経過して解除許可期間に移行)た後、遊技者が前記特定動作(たとえば、メダル投入動作)をしたときに、当該遅延制御を終了する手段(たとえば、メイン制御部41による図16に示すS97を実行する処理)を含み、前記遊技用価値記憶手段は、前記遅延制御の開始から前記特定期間が経過した後、遊技者が前記特定動作をしたときに、前記遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値を更新する手段(たとえば、メイン制御部41による図16に示すS96を実行し、図14に示すS14の処理を実行した後にS40の処理を実行する処理)(たとえば、図31に示すように、解除不許可期間ではメダル投入してもフリーズ解除もクレジットカウンタの加算更新もされず、解除許可期間に移行するとメダル投入によりフリーズ解除されてクレジットカウンタが加算更新される)を含む。
【0009】
このような構成によれば、特定再遊技表示結果が導出されたときには、特定付与表示結果が導出されたときとは異なる領域に特定付与表示結果が導出されたときと同じ特定表示結果が導出され、次のゲームが開始可能となる開始前状態への制御を遅延させる遅延制御が行われ、さらに遅延制御の開始から特定期間において、特定付与表示結果に対応する付与演出と演出内容が少なくとも一部で共通する再遊技演出が実行される。これにより、特定再遊技表示結果が導出されたときでも、あたかも付与表示結果が導出されたかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。また、遅延制御の開始から特定期間が経過した後、遊技者が特定動作をしたときに、遅延制御が終了する一方で、遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値が更新される。これにより、特定期間内では再遊技演出を遊技者に見せるとともに、特定期間が経過した後では遊技者の意向により遅延制御を早期に終了させることができる。さらに、特定期間が経過した後では、遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値が更新されないといったことが起こらず、円滑に遊技を進行させることができる。
【0010】
「特定付与表示結果に対応する付与演出と演出内容が少なくとも一部で共通する再遊技演出」について、「再遊技演出」は、付与演出と演出内容の全てが共通するものであってもよいし、演出内容の一部のみが共通するものであってもよい。
【0011】
「第1領域」および「第2領域」は、たとえば、複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部が1つであれば、当該1つの可変表示部に対応する所定の領域(たとえば、1リールに対応する透視窓に表示された領域のうち中段に位置する領域)が第1領域となり、当該第1領域とは異なる領域(たとえば、1リールに対応する透視窓に表示された領域のうち中段以外に位置する領域)が第2領域となる。また、「第1領域」および「第2領域」は、たとえば、複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部が複数であれば、当該複数の可変表示部それぞれに対応する所定の領域各々に跨るライン上に位置する領域(たとえば、3リールの各々に対応する透視窓に表示された領域のうち中段-中段-中段に跨るライン上に位置する領域)が第1領域となり、当該第1領域とは異なる領域(たとえば、3リールの各々に対応する透視窓に表示された領域のうち中段-中段-中段に跨るライン以外のライン上に位置する領域)が第2領域となる。
【0012】
「第1領域」は、特定表示結果が導出されたときに入賞が発生する領域(たとえば、入賞ライン上の領域)である場合と、特定表示結果が導出されたときに入賞が発生しない領域(たとえば、入賞ライン以外の無効ライン上の領域)である場合とを含む。また、「第2領域」は、特定表示結果が導出されたときに入賞が発生する領域(たとえば、入賞ライン上の領域)である場合と、特定表示結果が導出されたときに入賞が発生しない領域(たとえば、入賞ライン以外の無効ライン上の領域)である場合とを含む。すなわち、「第1領域」と「第2領域」との関係においては、「第1領域」が入賞が発生する領域であり、かつ「第2領域」が入賞が発生する領域であるパターンと、「第1領域」が入賞が発生しない領域であり、かつ「第2領域」が入賞が発生する領域であるパターンと、「第1領域」が入賞が発生する領域であり、かつ「第2領域」が入賞が発生しない領域であるパターンと、「第1領域」が入賞が発生しない領域であり、かつ「第2領域」が入賞が発生しない領域であるパターンとの4パターンがある。
【0013】
(2) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
表示結果が導出される前に、遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能な再遊技の付与を伴う特定再遊技表示結果(たとえば、ベルリプ入賞)を含む表示結果について、導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選処理)と、
前記事前決定手段による決定に応じて表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段(たとえば、メイン制御部41によるリール回転処理)と、
1ゲームが開始可能となる所定数の賭数を設定するために用いられる遊技者所有の遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段(たとえば、メイン制御部41によるRAM41cにクレジットを記憶する処理)と、
遊技者の特定動作に応じて前記遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値を更新する遊技用価値更新手段(たとえば、メイン制御部41によるクレジットカウンタを加算更新する処理)と、
前記特定再遊技表示結果が導出されたときに、次のゲームが開始可能となる開始前状態(たとえば、スタート操作で次のゲームが開始可能となる状態)への制御を遅延させる遅延制御(たとえば、ベルリプフリーズ)を行う遅延制御手段(たとえば、メイン制御部41によるベルリプフリーズを実行する処理)と、
前記遅延制御の開始から特定期間(たとえば、解除不許可期間)において、他のスロットマシンにおいて遊技用価値の付与を伴う付与表示結果に対応する付与演出(たとえば、図32(b)に示すベル入賞演出)と演出内容が少なくとも一部で共通する(たとえば、図32(a)に示すようにスピーカ53、54からメダル払出音が出力される演出内容が共通する)再遊技演出(たとえば、ベルリプ入賞演出)を実行する演出実行手段(たとえば、サブ制御部91による入賞演出を実行する処理)とを備え、
前記遅延制御手段は、前記遅延制御の開始から前記特定期間が経過(たとえば、解除不許可期間が経過して解除許可期間に移行)した後、遊技者が前記特定動作(たとえば、メダル投入動作)をしたときに、当該遅延制御を終了する手段(たとえば、メイン制御部41による図16に示すS97を実行する処理)を含み、前記遊技用価値記憶手段は、前記遅延制御の開始から前記特定期間が経過した後、遊技者が前記特定動作をしたときに、前記遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値を更新する手段(たとえば、メイン制御部41による図16に示すS96を実行し、図14に示すS14の処理を実行した後にS40の処理を実行する処理)(たとえば、図31に示すように、解除不許可期間ではメダル投入してもフリーズ解除もクレジットカウンタの加算更新もされず、解除許可期間に移行するとメダル投入によりフリーズ解除されてクレジットカウンタが加算更新される)を含む。
【0014】
このような構成によれば、特定再遊技表示結果が導出されたときには、次のゲームが開始可能となる開始前状態への制御を遅延させる遅延制御が行われ、さらに遅延制御の開始から特定期間において、他のスロットマシンにおいて遊技用価値の付与を伴う付与表示結果が導出されたときに行われる付与演出と演出内容が少なくとも一部で共通する再遊技演出が実行される。これにより、特定再遊技表示結果が導出されたときでも、あたかも付与表示結果が導出されたかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。また、遅延制御の開始から特定期間が経過した後、遊技者が特定動作をしたときに、遅延制御が終了する一方で、遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値が更新される。これにより、特定期間内では再遊技演出を遊技者に見せるとともに、特定期間が経過した後では遊技者の意向により遅延制御を早期に終了させることができる。さらに、特定期間が経過した後では、遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値が更新されないといったことが起こらず、円滑に遊技を進行させることができる。
【0015】
「他のスロットマシンにおいて遊技用価値の付与を伴う付与表示結果に対応する付与演出と演出内容が少なくとも一部で共通する再遊技演出」について、「再遊技演出」は、他のスロットマシンにおいて遊技用価値の付与を伴う付与表示結果に対応する付与演出と演出内容の全てが共通するものであってもよいし、演出内容の一部のみが共通するものであってもよい。
【0016】
(3) 上記(1)のスロットマシンにおいて、
遊技者に遊技用価値を付与する付与手段(たとえば、メイン制御部41によるメダルの払出処理)をさらに備え、
前記遊技用価値更新手段は、前記特定付与表示結果が導出されたときに前記付与手段によって遊技用価値が付与される期間を経過(たとえば、払出期間が経過)した後、遊技者が前記特定動作をしたときに、前記遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値を更新する手段(たとえば、図31に示すように、払出期間ではメダル投入してもクレジットカウンタが加算更新されず、払出期間を経過するとメダル投入によりクレジットカウンタが加算更新される)を含む。
【0017】
このような構成によれば、特定付与表示結果が導出されたときには、遊技用価値が付与される期間を経過した後、遊技者が特定動作をしたときに遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値が更新されるため、特定再遊技表示結果が導出されたときにおける遊技用価値の更新と特定付与表示結果が導出されたときにおける遊技用価値の更新とが、似通った制御内容となる。これにより、特定再遊技表示結果が導出されたときでも、あたかも付与表示結果が導出されたかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0018】
(4) 上記(2)のスロットマシンにおいて、
遊技者に遊技用価値を付与する付与手段(たとえば、メイン制御部41によるメダルの払出処理)をさらに備え、
前記遊技用価値更新手段は、遊技用価値の付与を伴う特別付与表示結果(たとえば、スイカなどの小役入賞)が導出されたときに前記付与手段によって遊技用価値が付与される期間を経過(たとえば、払出期間が経過)した後、遊技者が前記特定動作をしたときに、前記遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値を更新する手段(たとえば、払出期間ではメダル投入してもクレジットカウンタが加算更新されず、払出期間を経過するとメダル投入によりクレジットカウンタが加算更新される)を含む。
【0019】
このような構成によれば、特別付与表示結果が導出されたときには、遊技用価値が付与される期間を経過した後、遊技者が特定動作をしたときに遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値が更新されるため、特定再遊技表示結果が導出されたときにおける遊技用価値の更新と特別付与表示結果が導出されたときにおける遊技用価値の更新とが、似通った制御内容となる。これにより、特定再遊技表示結果が導出されたときでも、あたかも付与表示結果が導出されたかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0020】
(5) 上記(2)または(4)のスロットマシンにおいて、
前記可変表示部を複数備えるとともに、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能であり、
前記事前決定手段は、遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能な再遊技の付与を伴い、かつ前記特定再遊技表示結果とは異なる特別再遊技表示結果(たとえば、通常リプ入賞)について、導出を許容するか否かをさらに決定し、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段により前記特定再遊技表示結果の導出が許容されているときには、前記複数の可変表示部に対応するいずれかの領域(たとえば、ベルリプ1?4のいずれかであれば左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段を跨るライン上の領域、ベルリプ5であれば左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段を跨るライン上の領域)において、前記特別再遊技表示結果(たとえば、「リプレイ-リプレイ-リプレイ」の図柄組合せ)とは異なり、かつ構成される表示結果が互いに同一または類似する表示結果の組合せ(たとえば、「ベル-ベル-ベル」の図柄組合せ)を導出させる制御を行う。
【0021】
このような構成によれば、特定再遊技表示結果が導出されたときには、特別再遊技表示結果とは異なり、かつ構成される表示結果が互いに同一または類似する表示結果の組合せが導出されるため、特定再遊技表示結果が導出されたときでも、あたかも特別再遊技表示結果とは異なる別の表示結果が導出されたかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0022】
「複数の可変表示部に対応するいずれかの領域」は、たとえば、複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部が1つであれば、当該1つの可変表示部に対応する所定の領域(たとえば、1リールに対応する透視窓に表示された領域のうち上段に位置する領域)であってもよい。また、「複数の可変表示部に対応するいずれかの領域」は、たとえば、複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部が複数であれば、当該複数の可変表示部それぞれに対応する所定の領域各々に跨るライン上に位置する領域(たとえば、3リールの各々に対応する透視窓に表示された領域のうちの上段-中段-下段に跨るライン上に位置する領域)であってもよい。
【0023】
「特別再遊技表示結果とは異なり、かつ構成される表示結果が互いに同一または類似する表示結果の組合せ」は、たとえば、導出されたときに、リプレイのような再遊技役を構成する表示結果が導出されたようには遊技者に認識させない表示結果の組合せであり、かつ通常ベルのような小役を構成する表示結果が導出されたように遊技者に認識させる表示結果の組合せであってもよい。
【0024】
(6) 上記(1)?(5)のスロットマシンにおいて、
前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を用いて1ゲームが開始可能となる所定数の賭数を設定する際に操作される賭数設定操作手段(たとえば、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ)と、
前記賭数設定操作手段に対する操作を促す賭数設定促進手段(たとえば、BETスイッチ有効LED)とをさらに備え、
前記賭数設定促進手段は、特定再遊技表示結果が導出されたときには、前記遅延制御の開始から前記特定期間を経過した後に賭数の設定を促す(たとえば、メイン制御部41による図16に示すS92を実行する処理)。
【0025】
このような構成によれば、特定再遊技表示結果が導出されたときでも、賭数設定促進手段により賭数の設定が促されるため、あたかも付与表示結果が導出されたかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0026】
(7) 上記(1)?(6)のスロットマシンにおいて、
遊技用価値を投入可能な投入部(たとえば、メダル投入部4)をさらに備え、
前記特定動作は、遊技者による前記投入部への遊技用価値の投入動作(例えば、メダル投入動作)であり、
遊技者が投入した遊技用価値の流路として、当該遊技用価値を貯留する貯留部(たとえば、ホッパータンク34a)への第1流路と、当該遊技用価値を外部に排出する排出部(たとえば、メダル払出口9)への第2流路とが設けられ、
遊技者が投入した遊技用価値を、前記第1流路および前記第2流路のいずれかに導くための流路切替手段(たとえば、流路切替ソレノイド30)をさらに備え、
前記遅延制御手段は、遊技者による前記投入部への遊技用価値の投入動作を検出する検出手段(たとえば、解除センサ)を有し、
前記検出手段は、前記流路切替手段よりも前記投入部に近い側に設けられている(たとえば、流路切替ソレノイド30よりもメダル投入部4に近い側に配置されている)。
【0027】
このような構成によれば、流路切替手段による流路の切り替えに依存して検出手段が遊技者による投入部への遊技用価値の投入動作を検出できないといった不都合を防止することができる。
【0028】
(8) 上記(1)?(7)のスロットマシンにおいて、
前記付与演出と前記再遊技演出とは、演出内容が同一である(たとえば、ベル入賞演出およびベルリプ入賞演出のいずれも、スピーカ53、54からメダル払出音が出力され、かつ演出効果LED52が黄色に点灯する)。
【0029】
このような構成によれば、付与演出と再遊技演出とで演出内容が同一であるため、特定再遊技表示結果が導出されたときでも、あたかも付与表示結果が導出されたかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0030】
(9) 上記(1)?(8)のスロットマシンにおいて、
前記付与演出と前記再遊技演出とは、演出の制御内容が同一である(たとえば、ベル入賞演出およびベルリプ入賞演出のいずれも、入賞直後から入賞演出が開始され、かつ所定期間である3秒間が経過すると入賞演出が終了する)。
【0031】
このような構成によれば、付与演出と再遊技演出とで演出の制御内容が同一であるため、特定再遊技表示結果が導出されたときでも、あたかも付与表示結果が導出されたかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0032】
(10) 上記(1)?(9)のスロットマシンにおいて、
前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を用いて1ゲームが開始可能となる所定数の賭数を設定する際に操作される賭数設定操作手段(たとえば、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6)と、
設定された賭数を報知する第1報知手段(たとえば、クレジット表示器11、1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16)および第2報知手段(スピーカ53,54)と、
前記賭数設定操作手段が操作されたときに、複数の遊技用価値を賭数として一括して設定する操作時賭数設定手段(たとえば、メイン制御部41による図19のSf3の処理)とをさらに備え、
前記操作時賭数設定手段により賭数が設定されたときに、前記第1報知手段は1回で更新される態様で報知し(たとえば、メイン制御部41による図19のSf3の処理、図18のSb3でYの場合に表示を引き継ぐ処理)、前記第2報知手段は該設定された賭数と同じ回数で更新される態様で報知する(たとえば、メイン制御部41による図15のS81の処理)。
【0033】
このような構成によれば、複数の報知手段で報知しながら第1報知手段の処理に対する負担を軽減できるので、設定された賭数を遊技者に報知しつつ賭数の設定に伴う処理の簡易化を図ることができる。
【0034】
「所定数の賭数」とは、少なくとも1以上の賭数であって、2以上の賭数が設定されることや最大賭数が設定されることでゲームが開始可能となるようにしてもよい。また、遊技状態に応じて定められた賭数が設定されることでゲームが開始可能となるようにしてもよい。
【0035】
(11) 上記(1)?(10)のスロットマシンにおいて、
投入された遊技用価値を検出する遊技用価値検出手段(たとえば、投入メダルセンサ31)と、
1ゲームに対して設定されている賭数(たとえば、BETカウンタの値)を記憶する賭数記憶手段(たとえば、メイン制御部41によるRAM41cに賭数を記憶する処理)と、
前記遊技用価値検出手段により遊技用価値が検出されることにより(たとえば、図14のS30でYと判定)、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数および前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値のうちのいずれかを更新する遊技用価値検出時更新手段(たとえば、図14のS33?S35、S40の処理)と、
再遊技表示結果(たとえば、第1のリプレイ入賞、第2のリプレイ入賞)が導出されたときに(たとえば、図13のS12でYと判定)、遊技用価値を用いることなく次のゲームが開始可能となるように前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新する再遊技導出時更新手段(たとえば、図13のS14、S15の処理)とを備え、
前記遊技用価値検出時更新手段は、
前記再遊技表示結果が導出されずにゲームが終了した後において前記遊技用価値検出手段により遊技用価値が検出されることにより、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が予め定められた上限数未満(たとえば、3未満)であるときには前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新し、当該上限数に達しているときには前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新する第1遊技用価値検出時更新手段(たとえば、図14のS33?S35の処理)と、
前記再遊技表示結果が導出された後において前記再遊技導出時更新手段により前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が更新されて次のゲームが開始可能となった以降で前記遊技用価値検出手段により遊技用価値が検出されることにより、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新する第2遊技用価値検出時更新手段(たとえば、図14のS40。図13のS10?S12の処理に加えて、さらに賭数設定が完了した後であってS19においてクレジット可能であると判定された後において、S21以降において実行される。図17(c)参照)とを含む。
【0036】
このような構成によれば、再遊技表示結果が導出された後であっても、投入された遊技用価値が、再遊技導出時更新手段により賭数が更新されて次のゲームが開始可能となってから検出された遊技用価値であることにより、当該遊技用価値に応じて遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することができる。このため、再遊技表示結果が導出された後における遊技用価値の更新が賭数の設定よりも先に行われることを防止できる。その結果、違和感を抱かせることなく、再遊技表示結果が導出された後における遊技者の利便性を向上させることができる。
【0037】
(12) 上記(1)?(10)のスロットマシンにおいて、
投入された遊技用価値を検出する遊技用価値検出手段(たとえば、投入メダルセンサ31)と、
1ゲームに対して設定されている賭数(たとえば、BETカウンタの値)を記憶する賭数記憶手段(たとえば、メイン制御部41によるRAM41cに賭数を記憶する処理)と、
前記遊技用価値検出手段により遊技用価値が検出されることにより(たとえば、図14のS30でYと判定)、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数および前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値のうちのいずれかを更新する遊技用価値検出時更新手段(たとえば、図14のS33?S35、S40の処理)と、
再遊技表示結果(たとえば、第1のリプレイ入賞、第2のリプレイ入賞)が導出されたときに(たとえば、図13のS12でYと判定)、遊技用価値を用いることなく次のゲームが開始可能となるように前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新する再遊技導出時更新手段(たとえば、図13のS14、S15の処理)とを備え、
前記遊技用価値検出時更新手段は、
前記再遊技表示結果が導出されずにゲームが終了した後において前記遊技用価値検出手段により遊技用価値が検出されることにより、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が予め定められた上限数未満(たとえば、3未満)であるときには前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新し、当該上限数に達しているときには前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新する第1遊技用価値検出時更新手段(たとえば、図14のS33?S35の処理)と、
前記再遊技表示結果が導出された後において前記再遊技導出時更新手段により前記賭数記憶手段に記憶されている賭数の更新が開始された以降で前記遊技用価値検出手段により遊技用価値が検出されることにより、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新する第2遊技用価値検出時更新手段(たとえば、図31参照、変形例における[リプレイ入賞後における投入・精算の許容タイミングについて]欄の(a)参照))とを含む。
【0038】
このような構成によれば、再遊技表示結果が導出された後であっても、投入された遊技用価値が、再遊技導出時更新手段による賭数の更新が開始されてから検出された遊技用価値であることにより、当該遊技用価値に応じて遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することができる。このため、再遊技表示結果が導出された後における遊技用価値の更新が賭数の設定よりも先に行われることを防止できる。その結果、違和感を抱かせることなく、再遊技表示結果が導出された後における遊技者の利便性を向上させることができる。
【0039】
なお、上記(11)および(12)において、上限数は、予め定められた数であればよい。たとえば、ひとつの数であってもよく、また、制御されている遊技状態に応じて定められた数であってもよい。また、上限数は、ゲームが開始可能となる所定数と同じであってもよく、所定数よりも大きな数であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施の形態における遊技システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本実施の形態におけるスロットマシンの正面図である。
【図3】スロットマシンの内部構造図である。
【図4】リールの図柄配列を示す図である。
【図5】スロットマシンの構成を示すブロック図である。
【図6】小役の種類、小役の図柄組合せ、払出枚数、および小役に関連する技術事項について説明するための図である。
【図7】再遊技役の種類、再遊技役の図柄組合せ、作動、および再遊技役に関連する技術事項について説明するための図である。
【図8】遊技状態の遷移について説明するための図である。
【図9】小役に関する抽選対象役の組合せについて説明するための図である。
【図10】再遊技役に関する抽選対象役の組合せについて説明するための図である。
【図11】外部出力信号の出力に関連するブロック図である。
【図12】メイン制御部が実行するゲーム処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図13】メイン制御部が実行するBET処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図14】メイン制御部が実行するBET処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図15】メイン制御部が実行するBET処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図16】メイン制御部が実行するベルリプフリーズ処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図17】ゲーム終了後においてメダルの投入あるいは精算が許容されるタイミングについて説明するための図である。
【図18】メイン制御部が実行するBETLED表示処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図19】メイン制御部が実行するクレジット表示処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図20】賭数が設定されたときの具体例を示す説明図である。
【図21】メダルが払い出されたときの具体例を示す説明図である。
【図22】メイン制御部がゲーム処理中に実行する判定用役当選コマンド生成、格納処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図23】メイン制御部が管理する停止順種別テーブルについて説明するための図である。
【図24】メイン制御部が実行するAT開始判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図25】メイン制御部が実行するAT終了判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図26】サブ制御部が実行するタイマ割込処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図27】サブ制御部が管理するナビストック抽選テーブルについて説明するための図である。
【図28】サブ制御部が実行するAT信号出力フラグ制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図29】サブ制御部が実行する判定用ナビ演出処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図30】ATに関する一例のタイミングチャートを示す図である。
【図31】通常ベル入賞時およびベルリプ入賞時における制御内容の一例のタイミングチャートを示す図である。
【図32】自機および他機における入賞演出の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明に係るスロットマシンを実施するための形態の一例を実施の形態に基づいて以下に説明する。
【0042】
[遊技用システムの構成]
図1は、本発明が適用された本実施の形態における遊技用システムの構成を示す図である。本実施の形態の遊技用システムは、図1に示すように、遊技場において複数配置された遊技島に並設された複数の機種のスロットマシン1と、スロットマシン1に対して1対1に対応設置されたデータカウンタ200と、各スロットマシン1の遊技情報を収集する収集ユニット50と、収集ユニット50において収集された各遊技情報に基づく遊技情報データをホールコンピュータ140に中継する中継ユニット60と、各中継ユニット60において中継された遊技場に設置されている各スロットマシン1の遊技情報を含む遊技情報データを受信し、受信した遊技情報データに含まれる各スロットマシン1の遊技情報などを管理するホールコンピュータ140とを含む。
【0043】
本実施の形態における遊技島には、図1に示すように、その側面に複数のスロットマシン1が設置されているとともに、データカウンタ200が、対応するスロットマシン1の上方位置に設けられている。本実施の形態に用いたデータカウンタ200は、通常のランプの点灯機能に加えて、その前面に表示部を有することで、各種の遊技情報やメッセージなどの表示機能を有している。
【0044】
また、本実施の形態のスロットマシン1と収集ユニット50とは、図1に示すように信号ケーブル59を介して接続されており、各収集ユニット50は、さらに通信ケーブル61を介して中継ユニット60と接続されている。これら収集ユニット50と中継ユニット60とは、簡易ローカルエリアネットワークにより双方向にデータ通信可能とされていて、収集ユニット50が各スロットマシン1から出力される後述する各種の信号の入力により収集した遊技情報含む遊技情報データや、遊技状態履歴(状態別データ)を含む遊技状態履歴データを送信するようになっている。
【0045】
さらに、これら各中継ユニット60は、ハブ57を介して通信ケーブル58でホールコンピュータ140に接続されていて、中継ユニット60とホールコンピュータ140とが、比較的高速のデータ通信可能なローカルエリアネットワークにより双方向にデータ通信可能とされており、中継ユニット60において各収集ユニット50から送信された送信データが中継されてホールコンピュータ140に送信されることで、ホールコンピュータ140が各スロットマシン1に関する情報を収集して集中管理できるようになっている。
【0046】
また、本実施の形態のデータカウンタ200も、収集ユニット50と同様に中継ユニット60を介してホールコンピュータ140に接続されており、これら中継ユニット60を介してデータカウンタ200とホールコンピュータ140とが、双方向のデータ通信を実施できるようになっており、各データカウンタ200が対応するスロットマシン1の機種設定や、遊技情報に関する各種の条件設定などをホールコンピュータ140において実施できるようになっている。
【0047】
[スロットマシンの構成]
まず、本実施の形態に用いたスロットマシン1について以下に説明すると、本実施の形態のスロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとから構成されている。
【0048】
本実施の形態のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図3に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図2に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0049】
リール2L、2C、2Rの外周部には、図4に示すように、それぞれ「ベル」、「リプレイ」、「スイカA」、「白7」、「黒BAR」、「チェリー」、「スイカB」、「ブランク」、「白BAR」、および「黒7」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ20個ずつ描かれている。「ベル」の図柄は、全体的に黄色の絵柄となり、「スイカA」および「スイカB」の図柄は、全体的に緑色の絵柄となり、「チェリー」の図柄は、全体的に赤色の絵柄からなる。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、前面扉1bのリールパネルの略中央に設けられた透視窓3において各々上中下三段に表示される。上記の複数種類の図柄は、各々他の図柄と外形が異なる図柄である。
【0050】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図5参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0051】
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から照射するリールLED55とが設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する12のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
【0052】
前面扉1bにおける各リール2L、2C、2Rに対応する位置には、リール2L、2C、2Rを前面側から透視可能とする横長長方形状の透視窓3が設けられており、該透視窓3を介して遊技者側から各リール2L、2C、2Rが視認できるようになっている。
【0053】
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9と、クレジット(賭数の設定に使用可能な遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(上限数:本実施の形態ではいずれの遊技状態においても3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6と、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10と、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7と、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8Rと、演出に用いるための演出用スイッチ56とが遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
【0054】
前面扉1bには、さらに、クレジットの範囲内において遊技状態に応じてメダル1枚分の賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5がMAXBETスイッチ6に並べて設けられている(図2においては図示省略。図5参照)。なお、1枚BETスイッチ5は設けられていないものであってもよい。
【0055】
本実施の形態では、回転を開始した3つのリール2L、2C、2Rのうち、最初に停止するリールを第1停止リールと称し、また、その停止を第1停止と称する。同様に、2番目に停止するリールを第2停止リールと称し、また、その停止を第2停止と称し、3番目に停止するリールを第3停止リールと称し、また、その停止を第3停止あるいは最終停止と称する。また、3つのリール2L、2C、2Rのうち、左リール2Lを第1停止することを左第1停止、中リール2Cを第1停止することを中第1停止、右リール2Rを第1停止することを右第1停止と称する。
【0056】
また、本実施の形態では、遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを操作する手順(押し順ともいう)には、順押し、順挟み押し、中左押し、中右押し、逆挟み押し、および逆押しが含まれる。順押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に中リール2Cを第2停止させる押し順をいう。また、順挟み押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に右リール2Rを第2停止させる押し順をいう。中左押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に左リール2Lを第2停止させる押し順をいう。中右押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に右リール2Rを第2停止させる押し順をいう。逆挟み押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に左リール2Lを第2停止させる押し順をいう。逆押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に中リール2Cを第2停止させる押し順をいう。
【0057】
前面扉1bには、ペイアウト表示器13が設けられている。ペイアウト表示器13には、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11と、役の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12と、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14と、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15と、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16と、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17と、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18と、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過せずにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19と、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20とが設けられている。
【0058】
1枚BETスイッチ5やMAXBETスイッチ6の内部には、1枚BETスイッチ5やMAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図5参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図5参照)がそれぞれ設けられている。また、前面扉1bにおけるストップスイッチ8L、8C、8Rの下方には、スロットマシン1のタイトルや配当表などが印刷された下部パネルが設けられている。
【0059】
前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するエラー状態および後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23と、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24と、打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36aと、自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36bと、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31(流路切替ソレノイド30よりもホッパータンク34a側(下流側)に配置)を有するメダルセレクタ(図示略)と、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図5参照)とが設けられている。
【0060】
さらに、前面扉1bの内側には、流路切替ソレノイド30が設けられている。流路切替ソレノイド30は、メダル投入部4から投入されたメダルを、ホッパータンク34a側へ流下させる流路と、メダル払出口9側へ流下させる流路とのいずれかに導く(いずれか一方に選択的に切り替える)。
【0061】
投入メダルセンサ31は、メダルを検出可能なセンサを複数(たとえば3つ)備えており、これら複数のセンサが投入されたメダルを所定の順(上流側のセンサから順)に検出可能となるように構成されている。メイン制御部41は、これら複数のセンサによる検出結果が、メダル投入部4から投入されたメダルを所定の順で検出されたときの検出結果(適正な検出結果ともいう)となったことにより、投入メダルセンサ31により投入メダルが検出あるいは投入メダルの通過が検出されたと判定する。
【0062】
また、本実施の形態では、後述するベルリプフリーズの解除条件を成立したか否かを判定するために、投入メダルを検出する解除センサ(図示なし)が設けられている。解除センサは、流路切替ソレノイド30よりもメダル投入部4に近い側(つまり、流路切替ソレノイド30よりも上流側)に設けられている。そのため、メダル投入部4から投入されたメダルは、流路切替ソレノイド30によって切り替えられた、ホッパータンク34a側への流路またはメダル払出口9側への流路を流下する前に、必ず解除センサによって検出されることになる。
【0063】
筐体1a内部には、図3に示すように、前述したリール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図5参照)からなるリールユニットと、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000と、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34と、電源ボックス100とが設けられている。
【0064】
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
【0065】
電源ボックス100の前面には、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37と、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38と、電源をon/offする際に操作される電源スイッチ39とが設けられている。
【0066】
本実施の形態のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すればよい。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1(図2参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施の形態では、規定数の賭数として遊技状態にかかわらず3枚が定められて規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1が有効となる。なお、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0067】
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが後述する小役や再遊技役などの図柄組合せであるかを判定するために設定されるラインである。なお、本実施の形態においては、これらの役を「入賞役」や「入賞」ともいい、いずれかの役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止することを、入賞する、入賞が発生するなどともいう。たとえば、再遊技役を構成する図柄組合せが入賞ライン上に導出されたときには、遊技者がメダルを用いて賭数を設定することなく次のゲームを行うことが可能なリプレイゲームが作動するが、当該再遊技役を構成する図柄組合せが入賞ライン上に導出されることを再遊技入賞(リプレイ入賞)が発生するともいう。
【0068】
本実施の形態では、図1に示すように、リール2Lの中段、リール2Cの中段、リール2Rの中段、すなわち中段に水平方向に並んだ図柄を結ぶ入賞ラインL1のみが入賞ラインとして定められている。なお、本実施の形態では、1本の入賞ラインのみを適用しているが、複数の入賞ラインを適用してもよい。たとえば、入賞ラインは、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段、すなわち上段に並んだ図柄を結ぶ入賞ラインL2と、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄を結ぶ入賞ラインL3と、左リール2Lの下段、中リール2Cの中段、右リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄を結ぶ入賞ラインL4と、左リール2Lの下段、中リール2Cの下段、右リール2Rの下段、すなわち下段に並んだ図柄を結ぶ入賞ラインL5とを含んでいてもよい。
【0069】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
【0070】
そして、全てのリール2L、2C、2Rが停止されたときにおいて、有効化された入賞ラインL1に小役を発生させる図柄の組合せが停止していないときには、当該停止時に1ゲームが終了する。一方、有効化された入賞ラインL1に小役を発生させる図柄の組合せが停止しているときには、その小役の入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与(クレジット加算、クレジットが上限数(本実施の形態では50)に達した場合にはメダル払出口9(図1参照)からメダル払い出し)されて、1ゲームが終了する。
【0071】
なお、本実施の形態では、3つのリールを用いた構成を例示しているが、リールを1つのみ用いた構成、2つのリールを用いた構成、4つ以上のリールを用いた構成としてもよく、2以上のリールを用いた構成においては、2以上の全てのリールに導出された表示結果の組合せに基づいて入賞を判定する構成とすればよい。また、本実施の形態では、物理的なリールにて可変表示装置が構成されているが、液晶表示器51などの画像表示装置にて可変表示装置が構成されていてもよい。
【0072】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1にあっては、ゲームが開始されて各リール2L、2C、2Rが回転して図柄の変動が開始した後、いずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該ストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリールの回転が停止して図柄が停止表示される。ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ms(ミリ秒)である。
【0073】
リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190msの間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。このため、たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を基準とした場合、当該図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができるため、リール2L、2C、2R各々において、ストップスイッチ8L、8Rのうちいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの中段に表示されている図柄を含めて5コマ以内に配置されている図柄を入賞ライン上に表示させることができる。
【0074】
図5は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図5に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0075】
また、電源基板101には、ホッパーモータ34bと、払出センサ34cと、満タンセンサ35aと、設定キースイッチ37と、リセット/設定スイッチ38と、電源スイッチ39とが接続されている。
【0076】
遊技制御基板40には、1枚BETスイッチ5と、MAXBETスイッチ6と、スタートスイッチ7と、ストップスイッチ8L、8C、8Rと、精算スイッチ10と、リセットスイッチ23と、打止スイッチ36aと、自動精算スイッチ36bと、投入メダルセンサ31と、ドア開放検出スイッチ25と、リールセンサ33L、33C、33Rとが接続されているとともに、電源基板101を介して払出センサ34cと、満タンセンサ35aと、設定キースイッチ37と、リセット/設定スイッチ38とが接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0077】
遊技制御基板40には、クレジット表示器11と、遊技補助表示器12と、1?3BETLED14?16と、投入要求LED17と、スタート有効LED18と、ウェイト中LED19と、リプレイ中LED20と、BETスイッチ有効LED21と、左、中、右停止有効LED22L、22C、22Rと、設定値表示器24と、流路切替ソレノイド30と、リールモータ32L、32C、32Rとが接続されているとともに、電源基板101を介してホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0078】
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、およびI/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行うメイン制御部41と、所定範囲(本実施の形態では0?65535)の乱数を発生させる乱数回路42と、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43と、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44と、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45と、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46と、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47と、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48と、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49と、その他各種デバイスおよび回路とが搭載されている。
【0079】
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブルなどの固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域などとして使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0080】
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0081】
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メインCPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断処理(メイン)を実行し、一定時間間隔ごとにタイマ割込処理(メイン)を実行する。なお、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
【0082】
電断処理においては、当該処理の開始にともなってその他の割込処理の実行を禁止する。そして、使用している可能性がある全てのレジスタをRAM41cに退避させる処理が行われる。これにより、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにする。次に、全出力ポートを初期化した後、RAM41cに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算して所定のパリティ格納領域にセットし、RAMアクセスを禁止する。そして何らの処理も行わないループ処理に入る。すなわち、そのまま電圧が低下すると内部的に動作停止状態になる。よって、電断時に確実にメイン制御部41は動作停止する。このように電断処理においては、その時点のRAMパリティを計算してパリティ格納領域に格納されるようになっており、次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで、RAM41cに格納されているデータが正常か否かを確認できるようになっている。
【0083】
次に、リセット回路49は、電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させるとともに、メイン制御部41から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわちメイン制御部41が一定時間動作を行わなかった場合にメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を再起動させる回路である。
【0084】
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に各種のコマンドを送信する。ここで、遊技制御基板40から演出制御基板90へは、たとえば、ダイオードやトランジスタなどの単方向性回路などを用いて、一方向(遊技制御基板40から演出制御基板90への方向)のみにしか信号が通過できないように構成されている。そのため、遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送信され、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送信されることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へのコマンド送信は、シリアル通信にて行われる。なお、遊技制御基板40と演出制御基板90とは、直接接続される構成に限らず、たとえば、中継基板を介して接続されるように構成してもよい。
【0085】
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、およびリールLED55などの電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。また、演出制御基板90には、演出用スイッチ56が接続されており、この演出用スイッチ56の検出信号が入力されるようになっている。
【0086】
本実施の形態では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、およびリールLED55などの演出装置の出力制御が行われる構成である。なお、演出装置は、これに限らず、たとえば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用してもよい。
【0087】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、およびリールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ回路96、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視して電圧低下を検出したときにその旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路などが搭載されている。サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を実行するための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
【0088】
サブCPU91aは、メインCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子の1つは、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納する。また、サブCPU91aは、クロック入力数が一定数に到達するごと、すなわち一定間隔ごとに割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、サブ制御部91の割込端子の1つは、電断検出回路98と接続されており、サブCPU91aは、電断検出回路98から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断処理(サブ)を実行する。また、サブCPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させるようになっている。
【0089】
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0090】
[設定値]
本実施の形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1?6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
【0091】
[電断処理]
本実施の形態におけるスロットマシン1においては、メインCPU41aが電断検出回路48からの電圧低下信号を検出した際に、電断処理(メイン)を実行する。電断処理(メイン)では、レジスタを後述するRAM41cのスタックに退避し、RAM41cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データ、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM41cに格納する処理を行うようになっている。
【0092】
そして、メインCPU41aは、その起動時においてRAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメインCPU41aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。なお、RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
【0093】
また、サブCPU91aも電断検出回路98からの電圧低下信号を検出した際に、電断処理(サブ)を実行する。電断処理(サブ)では、レジスタを後述するRAM91cのスタックに退避し、RAM91cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データを格納するとともに、RAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM91cに格納する処理を行うようになっている。
【0094】
そして、サブCPU91aは、その起動時においてRAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算し、RAMパリティが0であることを条件に、RAM91cに記憶されているデータに基づいてサブCPU91aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)には、RAM異常と判定し、RAM91cを初期化するようになっている。この場合、サブCPU91aと異なり、RAM91cが初期化されるのみで演出の実行が不能化されることはない。
【0095】
[初期化]
次に、メイン制御部41のRAM41cの初期化について説明する。RAM41cの格納領域は、重要ワーク、非保存ワーク、一般ワーク、特別ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
【0096】
重要ワークは、各種表示器やLEDの表示用データ、I/Oの入出力データなど、初期化すると不都合があるデータが格納されるワークである。非保存ワークは、各種スイッチ類の状態を保持するワークであり、起動時にRAM41cのデータが破壊されているか否かにかかわらず必ず値が設定されることとなる。一般ワークは、停止制御テーブル、停止図柄、メダルの払出枚数など、初期化可能なデータが格納されるワークである。特別ワークは、各種ソフトウェア乱数など、設定開始前にのみ初期化されるデータが格納されるワークである。未使用領域は、RAM41cの格納領域のうち使用していない領域であり、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなる。スタック領域は、メイン制御部41のレジスタから退避したデータが格納される領域であり、このうちの未使用スタック領域は、未使用領域と同様に、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなるが、使用中スタック領域は、プログラムの続行のため、初期化されることはない。
【0097】
本実施の形態においてメイン制御部41は、設定キースイッチ37がonの状態での起動時、RAM異常エラー発生時、設定キースイッチ37がoffの状態での起動時でRAM41cのデータが破壊されていないとき、1ゲーム終了時の5つからなる初期化条件が成立した際に、各初期化条件に応じて初期化される領域の異なる4種類の初期化を行う。
【0098】
[入賞ライン]
本実施の形態のスロットマシン1は、遊技状態に応じて設定可能な賭数の規定数が定められており、遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されたことを条件にゲームを開始させることが可能となる。なお、本実施の形態では、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定された時点で、入賞ラインL1が有効化される。
【0099】
本実施の形態のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ラインL1上に役と呼ばれる図柄の組合せが揃うと入賞となる。
【0100】
入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、遊技用価値(メダル、クレジットなど)を用いた賭数の設定を行わずとも入賞したゲームで設定されていた賭数を自動設定(自動BET)させることにより次のゲームを行うことが可能な再遊技役とがある。なお、本実施の形態では、小役と再遊技役のみを備える構成であるが、遊技者にとって有利な遊技状態への移行を伴う特別役(ビッグボーナス、チャレンジボーナスなど)を備えていてもよい。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。なお、小役および再遊技役の当選フラグは、当該フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効とされ、次のゲームでは無効となる。特別役を備える場合、特別役の当選フラグは、当該フラグにより許容された役の組合せが揃うまで有効とされ、許容された役の組合せが揃ったゲームにおいて無効となる。
【0101】
[内部抽選]
以下、本実施の形態の内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)決定するものである。内部抽選では、まず、スタートスイッチ7の検出時に内部抽選用の乱数値(0?65535の整数)を取得する。詳しくは、RAM41cに割り当てられた乱数値格納ワークの値を同じくRAM41cに割り当てられた抽選用ワークに設定する。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、抽選用ワークに格納された数値データと、遊技状態を特定するための遊技状態フラグの値、賭数および設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。
【0102】
乱数値格納ワークは、スタートスイッチ7の操作と同時にラッチされた数値データが格納される記憶領域であり、新たな数値データがラッチされるごとにラッチされた数値データがその後のタイマ割込処理(メイン)において読み出され、乱数値格納ワークに格納された数値データが新たにラッチされた最新の数値データに更新されるようになっている。
【0103】
内部抽選では、内部抽選の対象となる役、現在の遊技状態フラグ値および設定値に対応して定められた判定値数を、内部抽選用の乱数値(抽選用ワークに格納された数値データ)に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役に当選したものと判定される。このため、判定値数の大小に応じた確率(判定値数/65536)で役が当選することとなる。そして、いずれかの役の当選が判定された場合には、当選が判定された役に対応する当選フラグをRAM41cに割り当てられた内部当選フラグ格納ワークに設定する。なお、内部当選フラグ格納ワークに設定された当選フラグは、1ゲームごとにクリアされる。
【0104】
[リールの停止制御]
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。メイン制御部41は、リールの回転が開始したとき、およびリールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、セキュリティチェックプログラムに格納されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの滑りコマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行う。
【0105】
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。これにより内部当選状態に応じた差分を取得し、基準アドレスに対してその差分を加算することで該当するインデックスデータを取得することが可能となる。なお、役の当選状況が異なる場合でも、同一の制御が適用される場合においてはインデックスデータとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して停止制御テーブルが作成されることとなる。
【0106】
テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた滑りコマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスとからなる。リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、全てのリールが回転しているか、左リールのみ停止しているか、中リールのみ停止しているか、右リールのみ停止しているか、左、中リールが停止しているか、左、右リールが停止しているか、中、右リールが停止しているかによって異なる場合がある。さらに、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合があるので、それぞれの状況について参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてそれぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスが特定可能とされ、この特定されたアドレスからそれぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定できるようになっている。なお、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照されることとなる。
【0107】
停止制御テーブルは、停止操作が行われたタイミング別の滑りコマ数を特定可能なデータである。本実施の形態では、リールモータ32L、32C、32Rに、336ステップ(0?335)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを336ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して16ステップ(1図柄が移動するステップ数)ごとに分割した20の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から1?20の領域番号が割り当てられている。
【0108】
一方、1リールに配列された図柄数も20であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から1?20の図柄番号が割り当てられているので、1番図柄から20番図柄に対して、それぞれ1?20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の滑りコマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、停止制御テーブルを展開することによって領域番号別の滑りコマ数を取得できるようになっている。
【0109】
前述のようにテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルは、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施の形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の滑りコマ数がそれぞれ設定されたテーブルである。
【0110】
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、まずリール回転開始時においてはそのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。具体的には、まずテーブルインデックスを参照し、内部当選状態に対応するインデックスデータを取得し、そして取得したインデックスデータに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0111】
また、いずれか1つのリールが停止したとき、またはいずれか2つのリールが停止したときには、リール回転開始時に取得したインデックスデータ、すなわちそのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリールおよび当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0112】
次に、メイン制御部41がストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明する。ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する滑りコマ数を取得する。そして、取得した滑りコマ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。
【0113】
具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から取得した滑りコマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から滑りコマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(たとえば、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
【0114】
本実施の形態のテーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するインデックスデータとして1つのアドレスのみが格納されており、さらに、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。
【0115】
すなわち一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するテーブル作成用データ、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の遊技状態における一の内部当選状態、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行われることとなる。
【0116】
また、本実施の形態では、滑りコマ数として0?4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
【0117】
本実施の形態では、いずれかの役に当選している場合には、当選役を入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役が入賞ライン上に揃わないように引き込む滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も揃わない滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。
【0118】
本実施の形態においてメイン制御部41は、リール2L、2C、2Rの回転が開始した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。なお、リール回転エラーの発生により、一時的にリールの回転が停止した場合でも、その後リール回転が再開した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。
【0119】
[送信コマンド]
次に、メイン制御部41がサブ制御部91に対して送信するコマンドについて説明する。本実施の形態では、メイン制御部41がサブ制御部91に対して、BETコマンド、クレジットコマンド、内部当選コマンド、フリーズコマンド、フリーズ終了コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、入賞番号コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンド、復帰コマンド、遊技状態コマンド、待機コマンド、打止コマンド、エラーコマンド、設定コマンド、設定確認コマンド、ドアコマンド、操作検出コマンド、判定用役当選コマンド、およびAT信号出力コマンドを含む複数種類のコマンドを送信する。これらコマンドは、コマンドの種類を示す1バイトの種類データとコマンドの内容を示す1バイトの拡張データとからなり、サブ制御部91は、種類データからコマンドの種類を特定できるようになっている。
【0120】
BETコマンドは、メダルの投入枚数(すなわち賭数の設定に使用されたメダル枚数)、および、BET音の出力の有無を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されていない状態において、メダルが投入されるか、MAXBETスイッチ6が操作されて賭数が設定されたときに送信される。また、BETコマンドは、賭数の設定操作がなされたときに送信されるため、サブ制御部91では、BETコマンドを受信することで、賭数の設定操作がなされたこと、賭数、および、BET音の出力の有無を特定可能である。
【0121】
クレジットコマンドは、クレジットとして記憶されているメダル枚数、および、出力する音の種類(BET音かクレジット音)を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されている状態において、メダルが投入されてクレジットが加算されたときに送信される。
【0122】
内部当選コマンドは、内部抽選結果を特定可能なコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始したときに送信される。また、内部当選コマンドは、スタートスイッチ7が操作されたときに送信されるため、内部当選コマンドを受信することでスタートスイッチ7が操作されたことを特定可能である。
【0123】
フリーズコマンドは、フリーズ(ゲームの進行を所定時間遅延させる制御状態)の開始を特定可能なコマンドであり、フリーズの開始時に送信される。フリーズ終了コマンドは、実行中のフリーズを終了したことを特定可能なコマンドであり、フリーズの終了時に送信される。
【0124】
リール回転開始コマンドは、リールの回転の開始を通知するコマンドであり、リール2L、2C、2Rの回転が開始されたときに送信される。リール停止コマンドは、停止するリールが左リール2L、中リール2C、右リール2Rのいずれであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号、該当するリールの停止位置の領域番号、を特定可能なコマンドであり、各リールの停止操作に伴う停止制御が行われるごとに送信される。また、リール停止コマンドは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに送信されるため、リール停止コマンドを受信することでストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたことを特定可能である。
【0125】
入賞番号コマンドは、入賞ラインL1に揃った図柄の組合せ、入賞の有無、ならびに入賞の種類、入賞時のメダルの払出枚数を特定可能なコマンドであり、全リールが停止して入賞判定が行われた後に送信される。
【0126】
払出開始コマンドは、メダルの払出開始、および、精算の種類を通知するコマンドであり、入賞やクレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払い出しが開始されたときに送信される。また、払出終了コマンドは、メダルの払出終了を通知するコマンドであり、入賞およびクレジットの精算によるメダルの払い出しが終了したときに送信される。復帰コマンドは、メイン制御部41が電断前の制御状態に復帰した旨を示すコマンドであり、メイン制御部41の起動時において電断前の制御状態に復帰した際に送信される。
【0127】
遊技状態コマンドは、次ゲームの遊技状態を特定可能なコマンドであり、ゲームの終了時に送信される。待機コマンドは、待機状態へ移行する旨を示すコマンドであり、1ゲーム終了後、賭数が設定されずに一定時間経過して待機状態に移行するとき、クレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払い出しが終了し、払出終了コマンドが送信された後に送信される。
【0128】
打止コマンドは、打止状態の発生または解除を示すコマンドであり、打止状態が開始した時点で打止状態の発生を示す打止コマンドが送信され、リセット操作がなされて打止状態が解除された時点で、打止状態の解除を示す打止コマンドが送信される。
【0129】
エラーコマンドは、エラー状態の発生または解除、エラー状態の種類を示すコマンドであり、エラーが判定され、エラー状態に制御された時点でエラー状態の発生およびその種類を示すエラーコマンドが送信され、リセット操作がなされてエラー状態が解除された時点で、エラー状態の解除を示すエラーコマンドが送信される。
【0130】
設定コマンドは、設定変更状態の開始または終了、設定変更後設定値を示すコマンドであり、設定変更状態に移行する時点で設定変更状態の開始を示す設定コマンドが送信され、設定変更状態の終了時に設定変更状態の終了および設定変更後の設定値を示す設定コマンドが送信される。また、設定変更状態への移行に伴ってメイン制御部41の制御状態が初期化されるため、設定開始を示す設定コマンドによりメイン制御部41の制御状態が初期化されたことを特定可能である。
【0131】
設定確認コマンドは、設定確認状態の開始または終了を示すコマンドであり、設定確認状態に移行する際に設定確認開始を示す設定確認コマンドが送信され、設定確認状態の終了時に設定確認終了を示す設定確認コマンドが送信される。
【0132】
ドアコマンドは、ドア開放検出スイッチ25の検出状態、すなわちon(開放状態)/off(閉状態)を示すコマンドであり、電源投入時、1ゲーム終了時(ゲーム終了後、次のゲームの賭数の設定が開始可能となる前までの時点)、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化(onからoff、offからon)した時に送信される。
【0133】
操作検出コマンドは、操作スイッチ類(1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R)の検出状態(on/off)を示すコマンドであり、一定時間ごとに送信される。
【0134】
判定用役当選コマンドは、判定用役(本実施の形態においては、押し順リプ1?3、通常リプ)に当選したこと、および当選した判定用役の種類を示すコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されて判定用役に当選した場合にゲームが開始したときにコマンドバッファに格納された後送信される。
【0135】
ここで、判定用役とは、当選したときにメイン制御部41により所定の停止順種別が抽選によって決定される役であり、メイン制御部41は、停止順種別によって特定される押し順と実際に遊技者によって操作された押し順とが一致する場合に、判定用役に対する押し順が正解したことを特定する。なお、判定用役当選コマンドには停止順種別を示す情報も付加される。本実施の形態においては、判定用役として、押し順リプ1?3および通常リプが定められている。
【0136】
AT信号出力コマンドは、AT(アシストタイム)への制御を示すAT信号を外部出力したことを示すコマンドであり、AT信号の出力命令を設定した際にコマンドバッファに格納された後送信される。
【0137】
ATとは、後述するナビストックを獲得することにより、所定ゲーム数の間、遊技者にとって有利となるナビ演出が実行される期間のことである。ナビ演出とは、AT中に所定の役に当選したときに、遊技者にとって有利となるストップスイッチ8L、8C、8Rの押し順を想起させるメッセージが、液晶表示器51に表示されたり、スピーカ53、54によって音声出力されたりする演出のことである。遊技者は、このナビ演出に従ってストップスイッチ8L、8C、8Rを操作することにより、純増枚数を増やせるなど有利に遊技を進めることができるようになっている。
【0138】
本実施の形態におけるナビ演出には、判定用ナビ演出と通常のナビ演出とが含まれている。判定用ナビ演出とは、メイン制御部41がAT中であるか否かを判定するために用いられるナビ演出であり、通常のナビ演出とは、判定用ナビ演出とは異なりAT中であるか否かを判定するためには用いられず、主に遊技者を有利にさせるためのナビ演出である。
【0139】
これらコマンドのうちドアコマンドおよび操作検出コマンド以外のコマンドは、基本処理において生成され、非初期化領域に割り当てられたコマンドバッファ内のコマンドデータを新たに生成したコマンドデータに更新するとともに、シリアル通信回路の送信データレジスタに転送することで、サブ制御部91に送信される。
【0140】
一方、ドアコマンドは、タイマ割込処理(メイン)のドア監視処理において生成され、ドアコマンド格納領域に格納される。ドアコマンド格納領域には、電源投入時または1ゲーム終了時にその時点のドア開放検出スイッチ25の検出状態を示すドアコマンドが格納され、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化した時にその変化後の検出状態を示すドアコマンドが格納される。また、ドアコマンド格納領域に格納されたドアコマンドは、当該ドアコマンドが送信された後もクリアされることがなく、その後、新たに格納されるドアコマンドによって上書きされるようになっている。
【0141】
なお、電源投入時または1ゲーム終了時には、ドアコマンド格納領域に格納されているドアコマンドの送信を要求するドアコマンド送信要求1が設定され、ドアコマンド送信要求1が設定されているか、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化したときにドアコマンド送信要求2が設定されるようになっており、このドアコマンド送信要求2が設定されることによりドアコマンド格納領域に格納されているドアコマンドの送信が命令され、その後実行されるタイマ割込処理(メイン)のコマンド送信処理においてコマンドバッファに格納され、シリアル通信回路511に転送することでサブ制御部91に送信される。
【0142】
また、操作検出コマンドは、タイマ割込処理(メイン)のコマンド送信処理が10回実行されるごとに、スイッチの検出状態に基づいて生成されるとともに、シリアル通信回路に転送することで、サブ制御部91に送信される。
【0143】
[コマンド受信時のサブ制御部91による制御]
次に、メイン制御部41が演出制御基板90に対して送信するコマンドに基づいてサブ制御部91が実行する演出の制御について説明する。サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドを受信した際に、コマンド受信割込処理を実行する。コマンド受信割込処理では、RAM91cに設けられた受信用バッファに、コマンド伝送ラインから取得したコマンドを格納する。受信用バッファには、最大で16個のコマンドを格納可能な領域が設けられており、複数のコマンドを蓄積できるようになっている。
【0144】
サブ制御部91は、タイマ割込処理(サブ)において、受信用バッファに未処理のコマンドが格納されているか否かを判定し、未処理のコマンドが格納されている場合には、そのうち最も早い段階で受信したコマンドに基づいてROM91bに格納された制御パターンテーブルを参照し、制御パターンテーブルに登録された制御内容に基づいて液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55などの各種演出装置の出力制御を行う。
【0145】
制御パターンテーブルには、複数種類の演出パターンごとに、コマンドの種類に対応する液晶表示器51の表示パターン、演出効果LED52の点灯態様、スピーカ53、54の出力態様、リールLEDの点灯態様など、これら演出装置の制御パターンが登録されており、サブ制御部91は、コマンドを受信した際に、制御パターンテーブルの当該ゲームにおいてRAM91cに設定されている演出パターンに対応して登録された制御パターンのうち、受信したコマンドの種類に対応する制御パターンを参照し、当該制御パターンに基づいて演出装置の出力制御を行う。これにより演出パターンおよび遊技の進行状況に応じた演出が実行されることとなる。
【0146】
なお、サブ制御部91は、あるコマンドの受信を契機とする演出の実行中に、新たにコマンドを受信した場合には、実行中の制御パターンに基づく演出を中止し、新たに受信したコマンドに対応する制御パターンに基づく演出を実行するようになっている。すなわち演出が最後まで終了していない状態でも、新たにコマンドを受信すると、受信した新たなコマンドが新たな演出の契機となるコマンドではない場合を除いて実行していた演出はキャンセルされて新たなコマンドに基づく演出が実行されることとなる。
【0147】
特に、本実施の形態では、演出の実行中に賭数の設定操作がなされたとき、すなわちサブ制御部91が、BETコマンドのうちBETコマンド(BET音あり)を受信したときに、実行中の演出を中止するようになっている。このため、遊技者が、演出を最後まで見るよりも次のゲームを進めたい場合には、演出がキャンセルされ、次のゲームを開始できるので、このような遊技者に対して煩わしい思いをさせることがない。また、通常リプが入賞して賭数が設定されたときにも演出をキャンセルさせることができる。また、サブ制御部91は、BETコマンドのうちBETコマンド(BET音あり)を受信したときに、賭数に応じた回数分、所定のBET音(たとえば「ピッ!」という効果音)をスピーカ53、54から出力させる。これにより、賭数が設定されたことや、通常リプに入賞したことを気付かせやすくすることができる。
【0148】
一方、BETコマンドのうちBETコマンド(BET音なし)を受信したときには、BET音をスピーカ53、54から出力させることなく、かつ実行中の演出を中止することなく継続させるようになっている。これにより、「リプレイ」以外の図柄を構成図柄に含み、無効ライン上にベルが揃うベルリプなどが入賞したときには、遊技者がリプレイ入賞したことに気付かない可能性が通常リプよりも高くなるようにすることができ、さらにそのような場合にまで演出が中断されてしまうことを防止することができる。なお、BETコマンドを受信したときには、その種類にかかわらず、実行中の演出をキャンセルさせるとともに、BET音を出力させるようにしてもよい。
【0149】
また、サブ制御部91は、クレジットコマンドのうちクレジットコマンド(通常)を受信したときに、所定のクレジット音(たとえば「ダ!」という効果音)をスピーカ53、54から出力させる。これにより、クレジットされたことを気付かせやすくすることができる。
【0150】
また、サブ制御部91は、クレジットコマンドのうちクレジットコマンド(BET音あり)を受信したときには、BET音と同じ音(たとえば「ピッ!」という効果音)をスピーカ53、54から出力させる。クレジットコマンド(BET音あり)を受信したときには、入賞したことに気付き難いベルリプによるリプレイ入賞後である場合に当該リプレイ入賞に気付かずに遊技者が賭数設定のためにメダルを投入したとしても、BET音が出力される。これにより、遊技者が賭数設定のためにメダルを投入したときにBET音が出力されないことによる不信感や違和感を抱かせてしまう不都合の発生を防止することができる。
【0151】
また、ベルリプによるリプレイ入賞により賭数が設定されたとしても、実行中の演出が継続されるため、クレジットコマンド(BET音あり)を受信したときにも当該演出が実行されている場合がある。この場合には、当該クレジットコマンド(BET音あり)を受信することにより、当該演出が途中でキャンセルされる。
【0152】
また、演出の実行中にクレジットまたは賭数の精算操作がなされたとき、すなわちサブ制御部91が、精算を通知する払出開始コマンドを受信した場合には、原則として、実行中の演出を中止して、演出状態(液晶表示器51の表示状態、スピーカ53、54からの効果音など)を客待ち状態にする。クレジットや賭数の精算を行うのは遊技を終了する場合であり、このような場合に実行中の演出を終了させることで、遊技を終了する意志があるのに、不要に演出が継続してしまわないようになっている。
【0153】
しかし、精算を通知する払出開始コマンドのうち、リプレイゲームにおけるクレジット精算を通知する払出開始コマンドを受信したときには、リプレイ入賞により設定された賭数が残存しており、以降において少なくとも1ゲームが行われるため、実行中の演出をその後も継続するようになっている(客待ち状態にもならない)。
【0154】
演出パターンは、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じた選択率にて選択され、RAM91cに設定される。演出パターンの選択率は、ROM91bに格納された演出テーブルに登録されている。サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じて演出テーブルに登録されている選択率を参照し、その選択率に応じて複数種類の演出パターンからいずれかの演出パターンを選択し、選択した演出パターンを当該ゲームの演出パターンとしてRAM91cに設定するようになっており、同じコマンドを受信しても内部当選コマンドの受信時に選択された演出パターンによって異なる制御パターンが選択されるため、結果として演出パターンによって異なる演出が行われることがある。
【0155】
また、サブ制御部91は、メイン制御部41から特定のコマンドを受信した場合に、特定のコマンドに対応する制御パターンによる演出を実行する。たとえば、エラーコマンドを受信した場合に、エラー状態に対応する制御パターンにてエラー報知演出を実行し、待機コマンドを受信した場合に、待機状態を示すデモ演出を実行する。
【0156】
また、サブ制御部91は、操作検出コマンドから特定される1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態(on/off)を時系列にて複数個バッファしておくとともに、これらバッファされている1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態(on/off)に基づいて、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態が変化したか否かを特定可能とされている。これらの検出状態の変化を特定することで、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作状況を特定できるようになっている。
【0157】
また、本実施の形態において、サブ制御部91は、AT中にメイン制御部41から判定用役当選コマンドを受信した場合に、判定用ナビ演出処理を実行する。メイン制御部41は、この判定用ナビ演出に従って遊技者が操作したストップスイッチの押し順に基づき、AT中であるか否かを判定することができるようになっている。
【0158】
また、本実施の形態において、サブ制御部91は、メイン制御部41からAT信号出力コマンドを受信した場合に、図28に示すAT信号出力フラグ制御処理を実行する。AT信号出力フラグは、AT信号が出力されたことを示すフラグであり、サブ制御部91はAT信号出力フラグがセットされているか否かによって、AT中にAT信号が出力されたか否かを識別する。そして、AT中にAT信号が出力されるまでは判定用ナビ演出を実行し、AT信号の出力後以降は判定用ナビ演出ではなく、通常のナビ演出を実行する。
【0159】
[入賞役]
本実施の形態のスロットマシン1においては、入賞ラインL1上に役を構成する図柄が揃うと入賞となる。入賞となる役の種類は、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、再遊技役とがある。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、内部抽選に当選して、当該役の入賞を許容する旨の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
【0160】
図6は、小役の種類、小役の図柄組合せ、払出枚数、および小役に関連する技術事項について説明するための図である。図7は、再遊技役の種類、再遊技役の図柄組合せ、作動、および再遊技役に関連する技術事項について説明するための図である。
【0161】
図6を参照して、入賞役のうち小役について説明する。入賞役のうち小役には、通常ベル、左スイカ1枚1?8、左リプ1枚1?16、チェリー1?3、スイカ1?8、チャンス1、2、および1枚1?3が含まれる。小役は、入賞ラインL1において、図6に示す各々の役に対応する図柄の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0162】
たとえば、通常ベルは、入賞ラインL1上に「ベル-ベル-ベル」の組合せが揃ったときに入賞となり、賭数を設定するためのメダル枚数(3枚)よりも多い8枚のメダルが払い出される。通常ベルが入賞したときには、メダルが払い出されている期間(本実施の形態では、8枚のメダルが払い出される期間は約3秒間)においてベル入賞演出が行われる。ベル入賞演出が行われると、演出効果LED52が黄色に点灯するとともに、スピーカ53、54からメダル払出音(メダルが払い出されたことを遊技者に報知する音(本実施の形態では、「チャリン」という音))が出力される。内部抽選において通常ベルに単独当選しているときには、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役に入賞するようになっている。つまり、通常ベルは取りこぼしのない役である。
【0163】
次に、左スイカ1枚1?8について説明する。左スイカ1枚1?8のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。左スイカ1枚1?8のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。なお、本実施の形態においては、左スイカ1枚1?8のうち複数の役が同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
【0164】
次に、左リプ1枚1?16について説明する。左リプ1枚1?16のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。左リプ1枚1?16のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。なお、本実施の形態においては、左リプ1枚1?16のうち複数の役と通常ベルとが同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
【0165】
次に、チェリー1?3について説明する。チェリー1?3のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。チェリー1またはチェリー2に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が下段に停止する。そのため、チェリー1およびチェリー2は、下段チェリーまたは弱チェリーともいう。チェリー3に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が中段に停止する。そのため、チェリー3は、中段チェリーまたは中チェリーともいう。チェリー1?3のいずれかに単独当選してもストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0166】
次に、スイカ1?8について説明する。スイカ1?8のいずれかに入賞したときには、5枚のメダルが払い出される。また、スイカ1?8のいずれかに入賞したときには、スイカ図柄が一直線上に揃うように表示結果が導出される。さらに、スイカ7またはスイカ8に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が中段に停止する。そのため、スイカ7およびスイカ8は、中段チェリーまたは強チェリーともいう。スイカ1?8のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0167】
次に、チャンス1およびチャンス2について説明する。チャンス1およびチャンス2のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。チャンス1またはチャンス2に単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0168】
次に、1枚1?3について説明する。1枚1?3のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。1枚1?3のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0169】
次に、図7を参照して、入賞役のうち再遊技役について説明する。入賞役のうち再遊技役には、通常リプ、ベルリプ1?5、7揃いリプ、および7フェイクリプ1?5が含まれる。再遊技役は、入賞ラインL1において、図7に示す各々の役に対応する図柄の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0170】
たとえば、通常リプは、入賞ラインL1上に「リプレイ-リプレイ-リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となる。通常リプに単独当選しているときには、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役に入賞するようになっている。つまり、通常リプは取りこぼしのない役である。
【0171】
次に、ベルリプ1?4について説明する。ベルリプ1?4は、入賞ラインL1上にベルリプ1?4のいずれかに対応する図柄の組合せが揃ったときに入賞となる。図7に示すように、ベルリプ1?4のそれぞれは、異なる図柄の組合せから構成されている。そのため、入賞ラインL1上にベルリプ1?4のいずれかに対応する図柄の組合せが揃った場合、入賞ラインL1上にはハズレ表示結果が導出されたようになる。しかし、ベルリプ1?4に入賞したときには、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、および右リール2Rの上段のそれぞれにベル図柄が停止する。つまり、ベルリプ1?4のいずれかに入賞したときには、遊技者に再遊技役やハズレの図柄組合せが導出されたと認識させる図柄組合せ以外の図柄組合せ(本実施の形態では、通常ベルに対応する図柄組合せ)が導出される。このように、ベルリプ1?4のいずれかに入賞したときには、入賞ラインL1上にベルリプ1?4のいずれかに対応する図柄の組合せが表示されるとともに、入賞ラインL1上とは異なるリールの上段に跨った位置にメダルの付与を伴う通常ベルに対応する図柄の組合せが表示される。
【0172】
なお、図4を参照すると、ベルリプ1?4の構成図柄のうち白7、黒7、黒BAR、および白BARは、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。そのため、ベルリプ1?4に単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。なお、本実施の形態においては、ベルリプ1?4の全てが同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
【0173】
次に、ベルリプ5について説明する。ベルリプ5は、入賞ラインL1上にベルリプ5に対応する図柄の組合せが揃ったときに入賞となる。図7に示すように、ベルリプ5は、異なる図柄の組合せから構成されている。そのため、入賞ラインL1上にベルリプ5に対応する図柄の組合せが揃った場合、入賞ラインL1上にハズレ表示結果が導出されたようになる。しかし、ベルリプ5に入賞したときには、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの下段のそれぞれにベル図柄が停止する。つまり、ベルリプ5に入賞したときには、遊技者に再遊技役やハズレの図柄組合せが導出されたと認識させる図柄組合せ以外の図柄組合せ(本実施の形態では、通常ベルに対応する図柄組合せ)が導出される。このように、ベルリプ5に入賞したときには、入賞ラインL1上にベルリプ5に対応する図柄の組合せが表示されるとともに、入賞ラインL1上とは異なる左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの下段に跨った位置にメダルの付与を伴う通常ベルに対応する図柄の組合せが表示される。
【0174】
なお、図4を参照すると、ベルリプ5の構成図柄のうちリプレイおよびベルは、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。そのため、ベルリプ5に単独当選しているときには、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役に入賞するようになっている。つまり、ベルリプ5は取りこぼしのない役である。
【0175】
また、本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、メイン制御部41により、後述する図16のベルリプフリーズ処理によって、ゲームの進行を遅延させるベルリプフリーズが実行される。ベルリプフリーズとは、ゲームの進行を遅延させるためにメイン制御部41が実行する制御のことである。ベルリプフリーズは、ベルリプ1?5のいずれかが入賞したときに行われる。
【0176】
ベルリプフリーズが発生すると、これを終了させるフリーズ解除条件が成立するまでの間、自動BETされることで次のゲームが開始可能となる開始前状態(スタート操作によって次のゲームが開始可能となる状態)に制御するタイミングが遅延される。その結果、次のゲームのスタート操作が無効化されることにより、スタートスイッチ7を有効化するタイミングも遅延される。本実施の形態では、ベルリプフリーズの開始から所定時間(本実施の形態においては、3秒)はフリーズの解除不許可期間となる。解除不許可期間では、遊技者がメダルを投入するなどの操作をしてもフリーズ解除条件は成立しないため、ベルリプフリーズは終了しない。一方、ベルリプフリーズの開始から所定時間が経過した後の期間はフリーズの解除許可期間となる。解除許可期間では、遊技者がMAXBETスイッチ6を用いてMAXBET操作をしたこと、または遊技者がメダル投入部4からメダルを投入して投入メダルセンサ31によりメダルが検出されたことによりフリーズ解除条件が成立し、ベルリプフリーズが終了する。なお、ベルリプフリーズが終了すると自動BETされるため、ベルリプフリーズを解除するときのMAXBET操作においては、メダルは消費されない。
【0177】
前述したように、ベルリプ1?5の入賞図柄の組合せは、見た目上、遊技者にハズレ表示結果が導出されたと認識させるようになっている。そのため、仮に、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、同時に通常ベルに対応する図柄の組合せが表示されないとすると、ハズレ表示結果が導出されたように見えるにもかかわらず、メダルを消費することなく次のゲームのための賭数が自動設定されるため、遊技者に違和感を与えてしまう。しかしながら、本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかの入賞が発生したときに、遊技者に対して、一見、通常ベルの入賞が発生したかのように認識させることができる。しかも、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに行われるベルリプフリーズを解除するためにはMAXBET操作やメダル投入などをする必要がある。さらに、メダル投入などによりベルリプフリーズが解除された後でなければ、ベルリプ1?5のいずれかの入賞によって自動BETされない。このため、遊技者に対して通常ベルが入賞した後にMAXBET操作やメダル投入を伴い次のゲームを開始できるようになったかのように思わせることができ、違和感を与えない。
【0178】
さらに、本実施の形態において、通常ベルに入賞したときには、ゲームを開始可能とするために賭数を設定するときに用いられるメダル枚数(3枚)よりも多い8枚のメダルが払い出される。これにより、ベルリプ1?5のいずれかの入賞が発生したときに、通常ベルの入賞が発生したときにメダルが付与されたときと同じように、遊技者に対してMAXBETスイッチ6の操作を自然に促すことができる。
【0179】
また、ベルリプ1?5のいずれかが入賞したときには、フリーズの解除不許可期間においてベルリプ入賞演出が行われる。ベルリプ入賞演出が行われると、スピーカ53、54からメダル払出音(メダルが払い出されたかのように遊技者に思わせる音(本実施の形態では、「チャリン」という音))が出力される。なお、ベルリプ入賞演出においては、ベル入賞演出とは異なり、演出効果LED52が黄色に点灯する演出は行われない。つまり、ベルリプ入賞演出とベル入賞演出とでは、演出内容が少なくとも一部(本実施の形態では、スピーカ53、54から「チャリン」というメダル払出音が出力される演出内容)で共通する。
【0180】
このように、ベルリプ1?5のいずれかの入賞が発生したときには、フリーズの解除不許可期間において、通常ベルの入賞が発生したときに行われるベル入賞演出と演出内容が少なくとも一部で共通するベルリプ入賞演出が行われる。これにより、ベルリプ1?5のいずれかの入賞が発生したときでも、あたかも通常ベルの入賞が発生したかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0181】
次に、7揃いリプについて説明する。7揃いリプに入賞したときには、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。7揃いリプに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。なお、本実施の形態においては、7揃いリプが通常リプと同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
【0182】
次に、7フェイクリプ1?5について説明する。7フェイクリプ1?5のいずれかに入賞したときには、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。7フェイクリプ1?5のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。なお、本実施の形態においては、7フェイクリプ1?5が通常リプと同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
【0183】
[遊技状態の遷移]
次に、図8を参照しながら、本実施の形態におけるスロットマシン1が制御する遊技状態の遷移について説明する。図8は、遊技状態の遷移について説明するための図である。本実施の形態においては、通常状態およびRT(リプレイタイム)状態のいずれかに制御されながら遊技が進行する。
【0184】
通常状態は、遊技の大半が行われる可能性の高い遊技状態である。通常状態においては、ベルリプ5に入賞することを条件として遊技状態がRT状態に移行する。
【0185】
RT状態は、通常状態よりも再遊技役の当選確率が高くなる遊技状態である。そのため、RT状態は、遊技者にとって、メダルの消費を抑えながら遊技できる点で通常状態よりも有利な遊技状態となる。RT状態においては、ベルリプ1?4のいずれかに入賞することを条件として遊技状態が通常状態に移行する。
【0186】
このように、遊技者に対して、一見、通常ベルの入賞が発生したかのように認識させることができるベルリプ1?5のいずれかの入賞が発生したときに遊技状態が遷移するため、いずれの遊技状態で遊技をしているかを把握しにくくすることができる。これにより、遊技者の遊技状態に対する興味を惹きつけ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0187】
[抽選対象役]
次に、図9、図10を参照して、抽選対象役として読み出される抽選対象役の組合せについて説明する。本実施の形態では、抽選対象役として複数の入賞役が同時に読み出され、重複して当選し得る。図9、図10においては、抽選対象役ごとに入賞役の組合せ、所定の設定値(たとえば設定値1)における判定値数、およびリール制御についての内容を示す。入賞役の組合せにおいては、入賞役の間に“+”を表記することにより、内部抽選において同時に抽選対象役として読み出されることを示す。判定値数においては、その分母は、内部抽選用の乱数(0?65535の整数)に対応させて、「65536」に設定されている。このため、たとえば、判定値数として「9309」が設定されている抽選対象役である押し順ベル1の当選確率は、9309/65536となる。
【0188】
図9に示すように、本実施の形態における小役の抽選対象役としては、押し順ベル1?4、左スイカ1?4、チェリー1?3、スイカ1?8、チャンス1、2、および1枚1?3が設定されている。また、各々の抽選対象役については、対応する入賞役が読み出される。たとえば、押し順ベル1は、通常ベル+左リプ1枚1+左リプ1枚6+左リプ1枚11+左リプ1枚16+左スイカ1枚1?8が読み出される抽選対象役となる。その他の抽選対象役についても図9に示す入賞役がそれぞれ読み出されることになる。
【0189】
図10に示すように、本実施の形態における再遊技役の抽選対象役としては、通常リプ、押し順リプ1?3、7揃いリプ、フェイクリプ1、およびフェイクリプ2が設定されている。再遊技役の抽選対象役の抽選対象役についても図10に示す入賞役がそれぞれ読み出されることになる。
【0190】
[押し順ベル当選時のリール制御]
次に、図9を用いて、押し順ベル1?4のいずれかに当選した時のリール制御について説明する。押し順ベル1?4のいずれかに当選したときには、当選した役に応じて予め設定されたいずれかの押し順でストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該操作に対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。たとえば、押し順ベル1が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうち引き込み範囲内で左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。その他の押し順で操作されたとき、およびその他の押し順ベルに当選したときについても図9に示すリール制御が行われる。
【0191】
ここで、押し順ベルに当選したときに図9に示すようなリール制御が行われる理由は、遊技者がストップスイッチを操作したときに、払出枚数が多い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるか、あるいは、入賞の可能性が高い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるかが、一義的に決められているからである。
【0192】
たとえば、押し順ベル1に当選したときに遊技者が左第1停止をした場合には、当選した役のうち入賞の可能性が高い左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかを入賞させるための図柄である「リプレイ」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。
【0193】
入賞の可能性が高い左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかを入賞させるための図柄を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させる具体例を以下に説明する。たとえば、押し順ベル1に当選したときに遊技者が左第1停止をした場合には、図6に示すように、押し順ベル1に含まれるいずれかの役を入賞させるためには、「ベル」、「リプレイ」、「スイカA」、「スイカB」のいずれかを入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させる必要がある。ここで、「ベル」を入賞ラインL1に引き込むよりも、「スイカA」や「スイカB」、もしくは「リプレイ」を入賞ラインL1に引き込んだ方が入賞役の選択肢が多い(たとえば、「ベル」を停止させると入賞役の選択肢は通常ベルの1種類のみだが、「リプレイ」を停止させると入賞役の選択肢は左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16の4種類ある)。そのため、本実施の形態においては、押し順ベル1に当選したときに遊技者が左第1停止をした場合には、入賞の可能性が高い左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかを入賞させるための図柄である「リプレイ」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。
【0194】
また、押し順ベル1に当選したときに遊技者が中第1停止をした場合には、当選した役のうち入賞の可能性が高い通常ベルおよび左スイカ1枚1?4のいずれかを入賞させるための図柄である「ベル」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。その後、遊技者が第2停止として左リール2Lを停止させた場合には、入賞の可能性が残った通常ベルおよび左スイカ1枚1?4のうち払出枚数が多い通常ベルを入賞させるための図柄である「ベル」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。
【0195】
このように、本実施の形態においては、遊技者がストップスイッチを操作したときに、払出枚数が多い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるか、あるいは、入賞の可能性が高い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させることで、当選した役のうち押し順に応じて入賞する役を異ならせている。
【0196】
なお、本実施の形態においては、後述するAT中ではない、非AT中のゲームにおいて左第1停止させなかった場合には、左第1停止させたときには科されることのない遊技者にとって不利な所定のペナルティを科す制御が行われる。これは、演出状態が非AT中のゲームにおいて遊技者に中第1停止または右第1停止することを促すためである。つまり、本実施の形態のスロットマシン1は、非AT中のゲームにおいて遊技者に左第1停止させるように設計されている。
【0197】
図9で示したように、非AT中に押し順ベル1?4のいずれかに当選したときには、遊技者が左第1停止をする限り、左リプ1枚1?16のいずれかに入賞する。また、仮に遊技者がペナルティを犯しながら中第1停止または右第1停止をしても、払い出しの多い通常ベルを入賞させるための押し順は分からない。そのため、非AT中においては、おおよそ2ゲームに1回ほどの頻度でメダル1枚の払い出しとなる。その結果、非AT中においては、メダルの純増枚数を増やすことが困難となる。
【0198】
一方、AT中に押し順ベル1?4のいずれかに当選したときには、中第1停止または右第1停止をしてもペナルティが科されないため、後述するナビ演出に従ってストップスイッチを操作することにより、通常ベルに入賞する。そのため、AT中においては、おおよそ2ゲームに1回ほどの頻度でメダル8枚の払い出しとなる。その結果、AT中においては、非AT中に比べてメダルの純増枚数を増やすことが可能となる。
【0199】
[押し順リプ当選時のリール制御]
次に、図10を用いて、押し順リプ1?3のいずれかに当選した時のリール制御について説明する。押し順リプ1?3のいずれかに当選したときには、当選した役に応じて予め設定されたいずれかの押し順でストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該操作に対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。たとえば、押し順リプ1が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうちベルリプ1?4のいずれかに対応する図柄組合せを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。その他の押し順で操作されたとき、およびその他の押し順リプに当選したときについても図10に示すリール制御が行われる。
【0200】
このように、本実施の形態においては、遊技者によるストップスイッチの操作態様に応じて、ベルリプ1?5および通常リプのうち発生する入賞が異なるため、いずれにおいてもメダルを用いることなく次のゲームを行うことができる点では同じでも、入賞の種類を異ならせることにより異なる遊技性をもたせることができる。
【0201】
非AT中に押し順リプ1に当選したときには、遊技者が左第1停止をする限り、ベルリプ1?4のいずれかに入賞する。そのため、非AT中の通常状態で押し順リプ1に当選したときには、遊技状態がそのまま維持され、非AT中のRT状態で押し順リプ1に当選したときには、遊技状態が通常状態に移行される。一方、AT中に押し順リプ1に当選したときには、遊技者は中第1停止または右第1停止をしてもペナルティが科されないため、中第1停止または右第1停止を促す後述のナビ演出に従って遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを操作することにより、通常リプに入賞する。そのため、AT中であれば、通常状態およびRT状態のいずれで押し順リプ1に当選しても、遊技状態がそのまま維持される。
【0202】
非AT中に押し順リプ2に当選したときには、遊技者が左第1停止をする限り、通常リプに入賞する。そのため、非AT中であれば、通常状態およびRT状態のいずれで押し順リプ2に当選しても、遊技状態がそのまま維持される。一方、AT中に押し順リプ2に当選したときには、中第1停止または右第1停止を促すナビ演出に従って遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを操作することにより、ベルリプ5に入賞する。そのため、AT中の通常状態で押し順リプ2に当選したときには、遊技状態がRT状態に移行され、AT中のRT状態で押し順リプ2に当選したときには、遊技状態がそのまま維持される。
【0203】
非AT中に押し順リプ3に当選したときには、遊技者が左第1停止をする限り、ベルリプ1?4のいずれかに入賞する。そのため、非AT中の通常状態で押し順リプ3に当選したときには、遊技状態がそのまま維持され、非AT中のRT状態で押し順リプ3に当選したときには、遊技状態が通常状態に移行される。一方、AT中に押し順リプ3に当選したときには、中第1停止または右第1停止を促すナビ演出に従って遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを操作することにより、ベルリプ5に入賞する。そのため、AT中の通常状態で押し順リプ3に当選したときには、遊技状態がRT状態に移行され、AT中のRT状態で押し順リプ3に当選したときには、遊技状態がそのまま維持される。
【0204】
このように、非AT中に押し順リプ1または押し順リプ3に当選したときには、遊技者が左第1停止をする限り、ベルリプ1?4のいずれかに入賞する。そのため、非AT中においては、通常リプよりも頻繁にベルリプ1?4が入賞して、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。ここで、前述したように、ベルリプ1?4のいずれかに入賞したときには、遊技者に対して、見た目上、通常ベルに入賞したかのように思わせることができる。そのため、非AT中においては、実際は、頻繁に再遊技役が入賞しているが、遊技者の中には、頻繁に通常ベルが入賞することによって、賭数に用いられるメダル枚数以上のメダル払い出しを受けているかのように思わせることができる。
【0205】
一方、AT中に押し順リプ1または押し順リプ3に当選したときには、中第1停止または右第1停止を促すナビ演出に従って遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを操作することにより、遊技状態が通常状態に移行するベルリプ1?4の入賞を回避することができる。さらに、AT中に押し順リプ2または3に当選したときには、中第1停止または右第1停止を促すナビ演出に従って遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを操作することにより、ベルリプ5を優先的に入賞させることができる。これにより。AT中であれば、通常状態においてはRT状態に移行しやすくなるとともに、RT状態においては遊技状態が維持されやすくなる。
【0206】
このように、本実施の形態においては、ATに制御されたか否かに応じて、ベルリプ1?5および通常リプのうち発生する入賞が異なるため、ATに制御されたか否か、さらには、いずれの再遊技役を入賞させるためのナビ演出を実行するかに応じて、入賞の種類を異ならせることができ、遊技の進行に応じた制御を行うことができる。
【0207】
[外部出力について]
本実施の形態のスロットマシン1は、遊技状態やエラーの発生状況などを示す外部出力信号を出力する。これら外部出力信号は、図11に示すように、メイン制御部41の制御により遊技制御基板40より出力され、外部出力基板1000、スロットマシン1が設置される遊技店(ホール)の情報提供端子板1010を介してホールコンピュータやスロットマシン1に対応して設置されたデータ表示端末などの外部機器に出力されるようになっている。
【0208】
遊技制御基板40から外部出力基板1000に対しては、賭数の設定に用いられたメダル数を示すメダルIN信号、入賞の発生により遊技者に付与されたメダル数を示すメダルOUT信号、AT中であることを特定可能なAT信号、前面扉1bが開放中の旨を示すドア開放信号、設定変更モードに移行している旨を示す設定変更信号、メダルセレクタの異常を示す投入エラー信号、ホッパーユニット34の異常を示す払出エラー信号がそれぞれ出力される。
【0209】
なお、本実施の形態では、他のスロットマシンとの共通化を図るため、遊技制御基板40と外部出力基板1000との間には、上記の信号を出力する信号線に加えて、遊技状態を示す予備の信号線が接続されており、さらに将来拡張する可能性のあるエラー出力用の信号線が接続されている。
【0210】
外部出力基板1000には、リレー回路1001、パラレル・シリアル変換回路1002、および出力信号ごとの端子が設けられ、情報提供端子板1010の回路と電気的に接続するための接続されるコネクタ1003が設けられている。
【0211】
遊技制御基板40から出力された信号のうち、メダルIN信号、メダルOUT信号、AT信号は、リレー回路1001を介してそのままパルス信号として情報提供端子板1010に出力される。これに対してドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号は、パラレル・シリアル変換回路1002にて、これらの信号を個別に識別可能なシリアル信号であるセキュリティ信号に変換して情報提供端子板1010に出力される。
【0212】
これら外部出力基板1000から出力されたメダルIN信号、メダルOUT信号、AT信号は、情報提供端子板1010を介して外部機器へ出力される。一方、外部出力基板1000から出力されたセキュリティ信号は、情報提供端子板1010にて再度、ドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号に再変換されて外部機器へ出力されることとなる。
【0213】
外部出力信号は、ドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号を含むが、これらドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号は、頻繁に出力される信号ではないため、これらの信号に対して個々に外部出力用の端子を設ける必要性は低い。このため本実施の形態では、上述のように遊技制御基板40から出力された外部出力信号を、外部出力基板1000を介して、外部機器に出力するとともに、これら外部出力信号のうちドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号を、外部出力基板1000に搭載されたパラレル・シリアル変換回路1002によって、これらの信号を個別に識別可能なシリアル信号であるセキュリティ信号に変換して外部に出力するようになっており、これらドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号を1本の端子から出力することが可能となり、必要以上に多くの端子を設ける必要がなくなる。
【0214】
次に、本実施の形態のメイン制御部41が実行する各種制御内容を以下に説明する。
[ゲーム処理]
図12は、メイン制御部41が設定変更処理の後に実行するゲーム処理の制御内容を示すフローチャートである。ゲーム処理では、BET処理(S1)、内部抽選処理(S2)、判定用役当選コマンド生成、格納処理(S3)、リール回転処理(S4)、AT開始判定処理(S5)、入賞判定処理(S6)、払出処理(S7)、AT終了判定処理(S8)、ゲーム終了時処理(S9)を順に実行し、ゲーム終了時処理が終了すると、再びBET処理に戻る。
【0215】
S1におけるBET処理では、メイン制御部41は、賭数を設定可能な状態で待機し、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作された時点でゲームを開始させる処理を実行する。また、BET処理では、所定のリプレイ入賞(ベルリプ入賞)に伴ってベルリプフリーズを発生させるベルリプフリーズ処理が実行され得る。また、メイン制御部41は、ゲームを開始させる処理として、スタートスイッチ7が操作された時点で、設定された賭数に用いられたメダル数分のメダルIN信号の出力を命令する出力命令をRAM41cに設定する。
【0216】
S2における内部抽選処理では、S1におけるスタートスイッチ7の検出によるゲーム開始と同時にラッチされた内部抽選用の乱数値に基づいて上記した各役への入賞を許容するか否かを決定する処理を行う。この内部抽選処理では、それぞれの抽選結果に基づいて、RAM41cに当選フラグが設定される。
【0217】
S3における判定用役当選コマンド生成、格納処理では、メイン制御部41は、後述する図18で示すように、判定用役に当選したときに正解となる押し順を付加した判定用役当選コマンドを生成するとともに、生成したコマンドをコマンドバッファに格納する処理を実行する。
【0218】
S4におけるリール回転処理では、メイン制御部41は、各リール2L、2C、2Rを回転させる処理、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことに応じて対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる処理を実行する。
【0219】
S5におけるAT開始判定処理では、メイン制御部41は、後述する図24で示すように、サブ制御部91が制御するATの開始を特定し、AT中であることを特定可能なAT信号を外部出力するともにATフリーズを実行する。
【0220】
ATフリーズとは、後述するAT抽選役に当選したときにナビストック抽選とともに実行される可能性のあるフリーズである。ATフリーズは、AT抽選役に当選したときに、50%の確率で実行され、全てのリールが回転したまま、所定時間(本実施の形態においては、30秒間)経過するまでゲームの進行が遅延される。図27に示すように、このATフリーズが実行されることにより、ナビストック抽選において、より多くのナビストックがより高確率で付与されるため、遊技者は有利な結果を得る可能性が高くなる。なお、本実施の形態においては、ATフリーズが実行可能とする状態への制御をATフリーズ実行可能制御とも称し、ATフリーズ実行可能制御がされている期間をATフリーズ実行可能期間とも称する。なお、ATフリーズは、表示ゲーム数が、到達ゲーム数である1000ゲームに到達したときにも、50%の確率で実行される。
【0221】
S6における入賞判定処理では、メイン制御部41は、各リール2L、2C、2Rに導出された表示結果に応じて入賞が発生したか否かを判定する処理を実行する。
【0222】
S7における払出処理では、メイン制御部41は、S6において入賞の発生が判定された場合に、その入賞が小役の場合には当該小役の種類に応じた払出枚数に基づきクレジットの加算ならびにメダルの払い出しなどの処理や、再遊技役の種類を特定可能なリプレイゲームフラグをRAMに設定してリプレイゲームを付与可能にする処理などを行う。払出処理では、通常ベルやスイカを含むいずれかの小役が入賞したときにメダルが払い出される期間においては、メダルが投入されてもクレジットが加算されずに、投入メダルがメダル払出口9から返却されるようになっている。また、払出処理では、メイン制御部41は、クレジットの加算ならびにメダルの払い出しにより遊技者に対して付与されたメダル数分のメダルOUT信号の出力を命令する出力命令をRAMに設定する。
【0223】
S8におけるAT終了判定処理では、メイン制御部41は、後述する図25で示すように、サブ制御部91が制御するATが終了したか否かを判定し、終了している場合にはAT信号の外部出力を解除する。
【0224】
S9におけるゲーム終了時処理では、メイン制御部41は、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理を実行する。また、ゲーム終了時処理では、ゲームの進行制御に応じてコマンドを生成し、通常コマンド送信用バッファに設定することで、その後のタイマ割込処理(メイン)においてサブ制御部91に対して設定されたコマンドが送信されるようになっている。
【0225】
[BET処理]
次に、メイン制御部41がゲーム処理のS1で実行するBET処理について説明する。図13?図15は、メイン制御部41が実行するBET処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0226】
BET処理では、まず、RAM41cの所定領域において賭数の値が格納されるBETカウンタの値をクリアし(S10)、遊技状態に応じた規定数(本実施の形態では上限数と同じ。いずれの遊技状態においても3)をRAM41cに設定し(S11)、RAM41cにリプレイゲームである旨を示すリプレイゲームフラグが設定されているか否かに基づいて次のゲーム(今から開始されるゲーム)がリプレイゲームであるか否かを判定する(S12)。
【0227】
S12において次のゲーム(今から開始されるゲーム)がリプレイゲームであると判定された場合には(S12でY)、ベルリプ入賞時においてベルリプフリーズを発生させるためのベルリプフリーズ処理を実行する(S13)。ベルリプフリーズ処理については、図16を用いて後述する。ベルリプフリーズ処理が終了した後においては、S14において、BETカウンタの値を1加算し、RAM41cに設定された賭数の規定数を参照し、BETカウンタの値が規定数(ここでは3)であるか否か、すなわちゲームの開始条件となる賭数が設定されているか否かを判定し(S15)、BETカウンタの値が規定数でなければ(S15でN)、S14に戻る。
【0228】
BETカウンタの値が規定数となりリプレイ入賞による自動BETが完了すると(S15でY)、S16へ移行する。メイン制御部41は、BETカウンタの値が加算された後に、BETカウンタの値に応じて、1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16を順番に点灯させる処理を実行する。なお、BETLEDの表示に関する具体的な処理については、図18を用いて後述する。また、メイン制御部41は、リプレイ入賞後における賭数の設定が完了した後に、リプレイ中LED20、および、スタート有効LED18(ウェイト中はウェイト中LED19)を点灯させる処理を実行する。
【0229】
S16では、前回ゲームにおいて入賞した再遊技役が、通常リプ、7揃いリプ、および7フェイクリプ1?5(これらの再遊技役をまとめて、以下では第1のリプレイともいう)であったか否かが判定される。なお、第1のリプレイは、同じ図柄のみから構成される再遊技役である通常リプのみとしてもよい。第1のリプレイであったか否かは、設定されているリプレイゲームフラグから特定される。S16において第1のリプレイであったと判定されたときには(S16でY)、S17において賭数が3(リプレイ当選可能な状態は3枚賭けであるため)加算される旨、および、サブ制御部91によりBET音を3回出力させる旨のBET音ありを示すBETコマンド(S17では便宜上、“BETコマンド(BET音あり)”と示している。以下同様)を通常コマンド用送信バッファに設定する。
【0230】
一方、S16において第1のリプレイではなかったと判定されたときには(S16でN)、S18において賭数が3加算される旨、およびサブ制御部91によりBET音を出力させない旨のBET音なしを示すBETコマンド(S18では便宜上、“BETコマンド(BET音なし)”と示している。)を通常コマンド用送信バッファに設定する。
【0231】
第1のリプレイではなかったと判定されたときとは、第1のリプレイが通常リプ、7揃いリプ、および、7フェイクリプ1?5であるとした場合には、ベルリプ1?5に入賞したと判定されたときである。以下では、第1のリプレイ以外の再遊技役を第2のリプレイともいい、ここではベルリプ1?5が該当する。なお、第2のリプレイは、異なる図柄を含む図柄の組合せから構成される7フェイクリプ1?5を含むものであってもよく、また後述するAT抽選契機となる7揃いリプを含むものであってもよい。
【0232】
S17およびS18で設定されたBETコマンドは、その後のタイマ割込処理(メイン)でサブ制御部91に対して送信される。これにより、サブ制御部91側においては、第1のリプレイ入賞後において自動BETされる毎にBET音を3回出力するのに対し、第2のリプレイ入賞後において賭数が設定される際にはBET音を出力させないことになる。これにより、第1のリプレイ入賞を遊技者に気付かせやすくすることができるのに対し、第2のリプレイ入賞を遊技者に気付かせ難くすることができる。
【0233】
S19では、RAM41cの所定領域において格納されるクレジットの値であるクレジットカウンタの値が上限値である50であるか否かを判定する。S19において上限値であると判定されたときには(S19でY)、投入不可フラグをRAM41cに設定し(S20)、S22に進む。S20において、投入不可フラグが設定されると、投入要求LED17およびBETスイッチ有効LED21を消灯させるための処理が行われる。なお、BETカウンタが第2のリプレイ入賞により規定数に設定されたときには、S20において投入要求LED17およびBETスイッチ有効LED21を消灯させずに、たとえば、後述するS37でYESと判定されるかベルリプフリーズが終了した後や、S39で3BET分に相当するクレジットコマンド(BET音あり)が出力された後に、投入要求LED17およびBETスイッチ有効LED21を消灯させる。
【0234】
S19において上限値でないと判定されたとき、つまりクレジット投入が可能であると判定されたときには(S19でN)、S21に進む。なお、S12においてリプレイゲームでないと判定された場合には(S12でN)、そのままS21に進む。
【0235】
S21においては、投入待ち前の設定を行ってS22に進む。投入待ち前の設定では、RAM41cに投入不可フラグが設定されている場合は投入不可フラグをクリアし、メダルの投入が可能な状態とする。このため、リプレイ入賞後においては、賭数の設定が完了する前であって投入待ち前の設定が未だ行われていないときに投入されたメダルを受け付けず、S14の処理で賭数の設定が完了して投入待ち前の設定が行われてから投入されたメダルを有効に受付けて、後述するS40の処理でクレジット加算されることになる。さらに、第2のリプレイ入賞後においては、後述する図16のS96で投入メダルフラグが設定されたときには投入されたメダルをひとまず受け付けることになるが、受け付けられたメダルについてのクレジット加算については、S14の処理で賭数の設定が完了して投入待ち前の設定が行われてから後述するS40の処理で実行されることになる。
【0236】
メイン制御部41は、S21において投入待ち前の設定が行われて投入不可フラグがクリアされた後に、投入要求LED17を点灯させ、賭数を設定することが可能な場合にはBETスイッチ有効LED21を点灯させる処理を実行する。なお、BETカウンタが第1のリプレイ入賞により規定数に設定されたときには、S21において投入要求LED17のみを点灯させる。また、BETカウンタが第2のリプレイ入賞により規定数に設定されたときには、S21において投入要求LED17およびBETスイッチ有効LED21を点灯させ、たとえば、後述するS37でYESと判定されるかベルリプフリーズが終了した後や、S39で3BET分に相当するクレジットコマンド(BET音あり)が出力された後に、投入要求LED17およびBETスイッチ有効LED21を消灯させる。
【0237】
S22では、RAM41cに投入不可フラグが設定されているか否かに基づいてメダルの投入が可能な状態か否かを判定する。S22においてメダルの投入が可能な状態であると判定された場合には(S22でY)、流路切替ソレノイド30をonの状態とし、メダルの流路をホッパータンク側の経路としてメダルの投入が可能な状態とし(S23)、S25に進む。メダルの投入が可能な状態でないと判定された場合には(S22でN)、流路切替ソレノイド30をoffの状態とし、メダルの流路をメダル払出口9側の経路として新たなメダルの投入を禁止し(S24)、S25に進む。
【0238】
S25においては、設定キースイッチ37がonの状態か否かを判定し、設定キースイッチ37がonであれば(S25でY)、BETカウンタの値が0か否かを判定する(S26)。S26においてBETカウンタの値が0であれば(S26でY)、確認開始コマンドを通常コマンド送信用バッファに設定し(S27)、設定確認処理(S28)、すなわち設定確認状態に移行する。S27で設定された確認開始コマンドは、その後のタイマ割込処理(メイン)でサブ制御部91に対して送信される。また、S28における設定確認処理が終了した後は、S22に戻る。S25において設定キースイッチ37がonではない場合(S25でN)またはS26においてBETカウンタの値が0ではない場合には(S26でN)、S30に進む。
【0239】
S30では、投入メダルセンサ31による検出結果が適正な検出結果となり投入メダルの通過が検出されたか否か、すなわち投入メダルの通過が検出された旨を示す投入メダルフラグの有無を判定する。S30において投入メダルの通過が検出されていなければ(S30でN)、S45に進み、投入メダルの通過が検出されていれば(S30でY)、投入メダルフラグをクリアし(S31)、RAM41cに投入不可フラグが設定されているか否かに基づいてメダルの投入が可能な状態か否かを判定する(S32)。メダルの投入が可能な状態でなければ(S32でN)、S45に進む。
【0240】
S32においてメダルの投入が可能な状態であれば(S32でY)、RAM41cに設定された賭数の規定数を参照し、BETカウンタの値が規定数であるか否を判定する(S33)。BETカウンタの値が規定数でなければ(S33でN)、賭数が1加算される旨、および、サブ制御部91によりBET音を1回出力させる旨のBET音ありを示すBETコマンド(BET音あり)を通常コマンド送信用バッファに設定し(S34)、BETカウンタの値を1加算し(S35)、S22に戻る。S34で設定されたBETコマンドは、その後のタイマ割込処理(メイン)でサブ制御部91に対して送信される。これにより、メダル投入により賭数が設定される際には、サブ制御部91側において、BET音が1回出力される。
【0241】
S33においてBETカウンタの値が規定数であれば(S33でY)、S36において前回ゲームにおいて第2のリプレイが入賞していたか否かが判定される。第2のリプレイであったか否かは、リプレイゲームフラグから特定される。S36において、前回ゲームにおいて第2のリプレイが入賞していなかったと判定されたときには(S36でN)、S38において、1加算後のクレジットカウンタの値を示すとともにサブ制御部91によりクレジット音を出力させる旨を示すクレジットコマンド(S38では便宜上、“クレジットコマンド(通常)”と示している。以下同様)を通常コマンド送信用バッファに設定し、S40においてRAM41cにおいてクレジットの値が格納されるクレジットカウンタの値を1加算する。S38で設定されたクレジットコマンドは、その後のタイマ割込処理(メイン)でサブ制御部91に対して送信される。
【0242】
S36において、前回ゲームにおいて第2のリプレイが入賞していたと判定されたときには(S36でY)、S37において、規定数分のBET音が出力されたか否かが判定される。具体的には、S39に示すクレジットコマンドが規定数分の3回出力されたか否か判定される。第2のリプレイ入賞後において賭数が設定されるに際しては、S18で示したようにBETコマンド(BET音なし)が出力されるため、サブ制御部91においてBET音が出力されない。このため、第2のリプレイ入賞後、賭数が設定された後において、メダルが投入されてクレジットされる際に、BET音を規定数回まで出力させるための処理が行われる。
【0243】
S37において、規定数分のBET音が出力されていないときには(S37でN)、S39において、1加算後のクレジットカウンタの値を示すとともにサブ制御部91によりクレジット音を出力させる旨を示すクレジットコマンド(S39では便宜上、“クレジットコマンド(BET音あり)”と示している。以下同様)を通常コマンド送信用バッファに設定し、S40においてRAM41cにおいてクレジットの値が格納されるクレジットカウンタの値を1加算する。S39で設定されたクレジットコマンドは、その後のタイマ割込処理(メイン)でサブ制御部91に対して送信される。
【0244】
一方、S37において、規定数分のBET音が既に出力されているときには(S37でY)、S38に進み、クレジットコマンド(通常)が通常コマンド送信用バッファに設定される。これにより、第2のリプレイ入賞後のメダル投入によるクレジット加算の際には、サブ制御部91側において、3枚目までについてはBET音が出力され、4枚目以降についてはクレジット音が出力される。一方、第2のリプレイ入賞後でないときのメダル投入によるクレジット加算の際には、サブ制御部91側において、1枚目からクレジット音が出力されることになる。
【0245】
なお、S36およびS37の次のステップとして、S40を実行した後に、対応するS38あるいはS39の処理を行うことにより、クレジットカウンタの値としてS40により加算された後にあたる現在の値を示すクレジットコマンドをS38あるいはS39において設定するようにしてもよい。また、第2のリプレイ入賞時にはベルリプフリーズ終了後において規定数分の賭数が設定されるため、S39においては、クレジットコマンド(BET音あり)として、規定数分のBET音を出力させるためのコマンドを設定し、規定数分のBET音を出力させるようにしてもよい。
【0246】
S41においては、クレジットカウンタの値が上限値である50であるか否かが判定される。クレジットカウンタの値が50でなければ(S41でN)、S22に戻り、クレジットカウンタの値が50であれば(S41でY)、S42において投入不可フラグをRAM41cに設定しS22に戻る。
【0247】
S45では、スタートスイッチ7の操作が検出されているか否か、すなわちスタートスイッチ7の立ち上りを示す立上りエッジが設定されているか否かを判定する。さらに立上りエッジは、いずれかのスイッチがONに変化し、かつ全てのスイッチがOFFである場合にのみ設定されるので、S45では、いずれかのスイッチがONに変化したか否かに加えて他のスイッチがOFFであるかどうかについても判定されることとなる。
【0248】
S45においてスタートスイッチ7の操作が検出されていないと判定された場合(S45でN)、またはスタートスイッチ7が操作されたものの他のスイッチも操作されている場合には、S50に進み、スタートスイッチ7の操作が有効に検出されていれば(S45でY)、S46に進み、立上りエッジをクリアする。また、S47では、RAM41cに設定された賭数の規定数を参照し、BETカウンタの値が規定数であるか、すなわちゲームの開始条件となる賭数が設定されているか否かを判定する。
【0249】
S47においてBETカウンタの値が規定数でなければ(S47でN)、S22に戻り、BETカウンタの値が規定数であれば(S47でY)、S48において、投入不可フラグをRAM41cに設定するとともに、流路切替ソレノイド30をoffの状態とし、メダルの流路をメダル払出口9側の経路として新たなメダルの投入を禁止し、S49において、ゲーム開始時の設定を行う。これにより、ゲームが開始されてから当該ゲームが終了して、次のゲーム以降のBET処理におけるS21において投入待ち前の設定が行われるまではメダルを投入しても受付けられず、メダル払出口9から払い出されることになる。そして、S49の後、BET処理を終了して図12のS2に進む。
【0250】
S50においては、1枚BETスイッチ5の操作が検出されているか否か、すなわち1枚BETスイッチ5の立ち上がりを示す立上りエッジが設定されているか否かを判定する。S50において1枚BETスイッチ5の操作が検出されていなければ(S50でN)、S51に進み、1枚BETスイッチ5の操作が検出されていれば(S50でY)、図15のS65に進み、立上りエッジをクリアする。
【0251】
S66においては、RAM41cに設定された賭数の規定数を参照し、BETカウンタの値が規定数であるか否かを判定する。S66においてBETカウンタの値が規定数であれば(S66でY)、S22に戻り、BETカウンタの値が規定数でなければ(S66でN)、S67においてクレジットカウンタの値が0であるか否かを判定する。S67においてクレジットカウンタの値が0であれば(S67でY)、S22に戻る。S67においてクレジットカウンタの値が0でなければ(S66でN)、S68において、賭数が1加算される旨、および、サブ制御部91によりBET音を1回出力させる旨のBET音ありを示すBETコマンド(BET音あり)を通常コマンド送信用バッファに設定する。
【0252】
S69においては、クレジットカウンタの値を1減算し、S70においては、BETカウンタの値を1加算してS22に戻る。S68で設定されたBETコマンドは、その後のタイマ割込処理(メイン)でサブ制御部91に対して送信される。これにより、1枚BETスイッチ5の操作により賭数が設定される際には、サブ制御部91側において、BET音が1回出力される。なお、第2のリプレイ入賞後において、S66でYESと判定されたときには、S37と同様の判定を行い、規定数分、BET音が出力されていないときには、S39と同様の処理を行うようにして、BET音を出力させるようにしてもよい。
【0253】
S51においては、MAXBETスイッチ6の操作が検出されているか否か、すなわちMAXBETスイッチ6の立ち上がり示す立上りエッジが設定されているか否かを判定する。S51においてMAXBETスイッチ6の操作が検出されていなければ(S51でN)、S52に進み、MAXBETスイッチ6の操作が検出されていれば(S51でY)、図15のS75に進み、立上りエッジをクリアする。
【0254】
S76においては、RAM41cに設定された賭数の規定数を参照し、BETカウンタの値が規定数であるか否かを判定する。S76においてBETカウンタの値が規定数であれば(S76でY)、S80に進み、BETカウンタの値が規定数でなければ(S76でN)、S77においてクレジットカウンタの値が0であるか否かを判定する。S77においてクレジットカウンタの値が0であれば(S77でY)、S80に進む。S77においてクレジットカウンタの値が0でなければ(S77でN)、S78において、クレジットカウンタの値を1減算し、S79において、BETカウンタの値を1加算して、S76に戻る。
【0255】
S80では、BETカウンタが加算されたか否かを判定し、BETカウンタが加算されていなければ(S80でN)、S22に戻る。なお、S80におけるBETカウンタが加算されている場合には、S79における加算のみならず、ベルリプフリーズがMAXBETスイッチ6操作により解除された後のS14における加算も含む。一方、BETカウンタが加算されていれば(S80でY)、S81において加算された数分賭数が加算された旨、および、サブ制御部91によりBET音を出力させる旨のBET音ありを示すBETコマンド(BET音あり)を通常コマンド送信用バッファに設定し、S22に進む。S81で設定されたBETコマンドは、その後のタイマ割込処理(メイン)でサブ制御部91に対して送信される。これにより、MAXBETスイッチ6の操作により賭数が設定される際には、サブ制御部91側において、設定された賭数分だけBET音が出力される。
【0256】
S52においては、精算スイッチ10の操作が検出されているか否か、すなわち精算スイッチ10の立ち上がりを示す立上りエッジが設定されているか否かを判定する。S52において精算スイッチ10の操作が検出されていなければ(S52でN)、S22に戻り、精算スイッチ10の操作が検出されていれば(S52でY)、S53に進み、立上りエッジをクリアする。S54においては、RAM41cにリプレイゲームフラグが設定されているか否かに基づいて次のゲームがリプレイゲームであるか否かを判定する。
【0257】
S54においてリプレイゲームであると判定されなかったときには(S54でN)、S56においてBETカウンタの値が0か否かを判定し、BETカウンタの値が0でなければ(S56でN)、S57に進み、ホッパーモータ34bを駆動してBETカウンタに格納された値分のメダルを払い出す制御(すなわち賭数の設定に用いられたメダルを返却するとともにBETカウンタの値を0にする制御)が行われるとともに、メダルの払出開始および賭数精算を通知する払出開始コマンドを通常コマンド送信用バッファに設定するための賭数精算処理を行う。S57における賭数精算処理の後、S58において、RAM41cに設定されている投入不可フラグをクリアしてS22に戻る。これにより、リプレイ入賞後ではなく賭数が設定されている状態で精算スイッチ10の操作により賭数精算が行われる際には、サブ制御部91側において、賭数精算中である旨が表示されるとともに、賭数精算に対応する音が出力される。
【0258】
これに対し、S54においてリプレイゲームであると判定されたときや(S54でY)、S56においてBETカウンタの値が0であると判定されたときには(S56でY)、S59において、ホッパーモータ34bを駆動してクレジットカウンタに格納された値分のメダルを払い出す制御(すなわちクレジットとして記憶されているメダルを返却するとともにクレジットカウンタの値を0にする制御)が行われるとともに、メダルの払出開始を通知するとともに、リプレイゲームにおけるクレジット精算であるか賭数が設定されていないときにおけるクレジット精算であるかを通知する払出開始コマンドを通常コマンド送信用バッファに設定するための賭数精算処理を行う。
【0259】
S57における賭数精算処理の後、S58において、RAM41cに設定されている投入不可フラグをクリアしてS22に戻る。これにより、リプレイ入賞において精算スイッチ10の操作により精算が行われる際には、賭数精算が行われることなくクレジット精算のみが行われ、かつ、サブ制御部91側においては、リプレイ入賞後におけるクレジット精算中である旨が表示されるとともに、リプレイ入賞後におけるクレジット精算に対応する音が出力される。また、BETカウンタの値が0であるときにおける精算スイッチ10の操作により精算が行われる際には、サブ制御部91側において、BETカウンタの値が0であるときのクレジット精算中である旨が表示されるとともに、BETカウンタの値が0であるときのクレジット精算に対応する音が出力される。
【0260】
[ベルリプフリーズ処理]
図16は、メイン制御部41がBET処理のS13で実行するベルリプフリーズ処理の制御内容を示すフローチャートである。ベルリプフリーズ処理は、リプレイゲームであると判定された場合、つまり、前回ゲームにおいてリプレイ入賞後に行われる。S85では、前回ゲームにおいて入賞した再遊技役が、ベルリプ1?5のいずれかであったか否かが判定される。入賞した再遊技役が、ベルリプ1?5のいずれでもなかったと判定されたときには(S85でN)、ベルリプフリーズを発生させることなく、そのままベルリプフリーズ処理を終了する。
【0261】
一方、入賞した再遊技役が、ベルリプ1?5のいずれかであったと判定されたときには(S85でY)、ベルリプフリーズを開始する(S86)。ベルリプフリーズは、S93またはS94においてYESと判定されてフリーズ解除条件が成立するまで継続される。
【0262】
次に、ベルリプフリーズの開始から所定期間(本実施の形態においては、3秒)経過したか否かが判定される(S87)。つまり、フリーズの解除不許可期間が経過したか否かを判定する。解除不許可期間が経過していないときには(S87でN)、S87の処理が繰り返される。一方、解除不許可期間が経過したときには(S87でY)、フリーズの解除許可期間に移行する。解除不許可期間においては、流路切替ソレノイド30がoffの状態にされてメダルの流路がメダル払出口側の経路となるため、メダルの投入が不可能な状態となる。そのため、解除不許可期間においてメダルが投入されたときには、賭数設定もクレジットカウンタも加算されず、投入メダルがメダル払出口9から払い出される。
【0263】
次に、クレジットカウンタの値が上限値の50であるか否かを判定する(S88)。クレジットカウンタの値が上限値でないと判定されたときには(S88でN)、クレジット加算が可能であるため、流路切替ソレノイド30をonの状態とし、メダルの流路をホッパータンク側の経路としてメダルの投入を可能な状態とする(S90)。また、遊技者に対して投入要求LED17を点灯させるための処理が行われる(S91)。これにより、遊技者に対して、メダル投入を促すことができる。
【0264】
これに対し、S88においてクレジットカウンタの値が上限値の50であると判定されたときには(S88でY)、クレジット加算が不可能であるため、S90、S91の処理を行わずに、投入不可フラグをRAM41cに設定し(S89)、S92へ移行する。これにより、投入要求LED17を消灯させるための処理が行われ、遊技者に対して、極力メダルの投入をさせないようにできる。さらに、流路切替ソレノイド30をonの状態にならないため、クレジットカウンタが50であるにもかかわらず、投入されたメダルがホッパータンク側に流下されしまう一方、当該メダルによりクレジット加算も賭数加算もされないといった不具合が生じてしまうことを防止することができる。
【0265】
S92では、遊技者に対してBETスイッチ有効LED21を点灯させるための処理が行われる(S92)。これにより、遊技者に対して、1枚BETスイッチ5やMAXBETスイッチ6によるBET操作を促すことができる。次に、遊技者による1枚BETスイッチ5やMAXBETスイッチ6を用いたBET操作があったか否かを判定する(S93)。遊技者によるBET操作があったと判定したときには(S93でY)、フリーズ解除許可期間でBET操作がされたことになるため、フリーズ解除条件が成立する。
【0266】
遊技者によるBET操作がないと判定したときには(S94でN)、メダル投入部4から投入されたメダルが、流路切替ソレノイド30よりもメダル投入部4に近い側に配置されている解除センサ(図示なし)(つまり、流路切替ソレノイド30よりも上流側に設けられ、投入メダルを最初に検出可能なセンサ)により検出されているか否かを判定する(S94)。
【0267】
解除センサにおいてメダルの投入があったと検出されたときには(S94でY)、フリーズ解除条件が成立する。ここで、仮に解除センサが流路切替ソレノイド30とメダル払出口9との間の流路に設けられていた場合、S90で流路切替ソレノイドがonの状態にされると、投入メダルが解除センサで検出されずにフリーズが解除されないといった不都合が生じてしまう。さらに、仮に投入メダルが解除センサで検出されても、フリーズ解除とともにメダルがメダル払出口9から払い出されるといった不都合が生じてしまう。しかし、本実施の形態では、解除センサが、流路切替ソレノイド30よりも上流側に設けられているため、S90で流路切替ソレノイド30がonの状態にされているか否かにかかわらず、投入メダルが解除センサで検出されたことによりフリーズ解除条件が成立する。これにより、流路切替ソレノイド30による流路の切り替えに依存して解除センサが遊技者によるメダル投入部4へのメダルの投入動作を検出できないといった不都合を防止することができる。また、フリーズ解除とともにメダルがメダル払出口9から払い出されるといった不都合が生じることがない。
【0268】
次に、流路切替ソレノイド30がonの状態にされているか否かを判定する(S95)。流路切替ソレノイド30がonの状態にされているときには(S95でY)、流路切替ソレノイド30よりもホッパータンク34a側に配置された投入メダルセンサ31によって投入メダルが検出されるため、投入メダルフラグを設定する(S96)。このとき設定された投入メダルフラグは、図14のS30の処理で特定される。一方、流路切替ソレノイド30がoffの状態にされているときには(S95でN)、投入メダルはメダル払出口9側に流下するため投入メダルフラグは設定されずにS97に処理が移行する。
【0269】
フリーズ解除条件が成立した後においては、ベルリプフリーズを終了し(S97)、流路切替ソレノイド30がonの状態となっているときには当該流路切替ソレノイド30がoff状態にされて(S98)、ベルリプフリーズ処理を終了する。これにより、たとえば、クレジットカウンタが49であるときにベルリプフリーズが発生して、複数枚のメダルが一気に投入された場合でも、そのうちの1枚目が投入メダルセンサ31により検出されることにより、即座にS98において流路切替ソレノイド30がoff状態にされる。ベルリプフリーズ処理を終了させた後、1枚目のメダルが投入メダルセンサ31により検出されて投入メダルフラグが設定されると、図14のS30でYESと判定されてS40でクレジットカウンタが50に更新されて、図13のS19でYESと判定されてS20で投入不可フラグが設定され流路切替ソレノイド30がoff状態となるため、複数枚のメダルのうち2枚目以降のメダルはメダル払出口9から払い出される。
【0270】
一方、クレジットカウンタが49未満であるときにベルリプフリーズが発生して、複数枚のメダルが一気に投入された場合には、そのうちの1枚目が解除センサにより検出されることによりフリーズ解除条件が成立した後、即座にS98において流路切替ソレノイド30がoff状態にされるものの、その直後の図13のS19でNOと判定されてS21で投入待ち前の設定が行われて流路切替ソレノイド30がonの状態に切り替えられ、当該onの状態がクレジット50に到達するまで維持されるため、複数枚のメダルのうち2枚目以降のメダルも(クレジット50に到達するまでは)取り込まれてクレジットに加算される。これにより、ベルリプフリーズ中においてメダル投入されたときの利便性を向上させることができる。
【0271】
[ゲーム終了後においてメダルの投入あるいは精算が許容されるタイミング]
次に、ゲーム終了後においてメダルの投入あるいは精算が許容されるタイミングについて説明する。図17(a)?(d)は、図13?図15に示したBET処理が実行されることにより、ゲーム終了後においてメダルの投入あるいは精算が許容されるタイミングの一例を説明するための図である。
【0272】
図17(a)は、小役入賞せずにメダル払い出しがなかった後においてメダルの投入あるいは精算が許容されるタイミングを説明するための図である。小役入賞が発生していない場合には、払い出しが行われることなくゲームが終了し、その後、図12のS8、S9の処理や、次のゲームのためのS1の処理、図13のS10?S12の処理が実行された後において、S21以降の処理が実行されることにより、図17(a)に示されるようにメダルの投入あるいは精算が許容される。
【0273】
図17(b)は、小役入賞してメダル払い出しが行われた後においてメダルの投入あるいは精算が許容されるタイミングを説明するための図である。小役入賞が発生している場合には、払い出しが行われた後にゲームが終了し、その後、図12のS8、S9の処理や、次のゲームのためのS1の処理、図13のS10?S12の処理が実行された後において、S21以降の処理が実行されることにより、図17(b)に示されるようにメダルの投入あるいは精算が許容される。
【0274】
図17(c)は、ベルリプ以外の再遊技役が入賞した後においてメダルの投入あるいは精算が許容されるタイミングを説明するための図である。ベルリプ以外の再遊技役の入賞が発生している場合には、払い出しが行われることなくゲームが終了し、その後、図12のS8、S9の処理や、次のゲームのためのS1の処理、図13のS10?S12の処理に加えて、さらに賭数の設定が完了してS19においてクレジット可能であると判定された後において、S21以降の処理が実行されることにより、図17(c)に示されるようにメダルの投入あるいは精算が許容される。なお、ベルリプ入賞が発生している場合には、払い出しが行われることなくゲームが終了し、その後、図12のS8、S9の処理や、次のゲームのためのS1の処理、図13のS10?S12の処理が実行された後、図16に示すベルリプフリーズ処理が実行されて、フリーズ解除条件が成立するまでベルリプフリーズに制御される。この間においては、図16のS90で示したように、流路切替ソレノイド30がonの状態にされて、フリーズ解除のためのメダル投入が許可される。フリーズ解除条件が成立すると、賭数の設定が完了した後に、図13のS19においてクレジット可能であると判定された後において、S21以降の処理が実行されることにより、通常のメダルの投入あるいは精算が許容される。
【0275】
なお、ベルリプフリーズ中であっても、クレジットカウンタの値がすでに50に達しているときには、図16のS90において流路切替ソレノイド30がon状態にされないため、この場合におけるメダルの投入については、ベルリプフリーズ終了後から許容されることとなる。
【0276】
以上、図13のS12?S21や図17(c)で示したように、リプレイ入賞が発生した後であってリプレイゲームが開始(リール回転開始)されるまでの間に投入されたメダルであっても、リプレイ入賞による賭数の設定がされて次のリプレイゲームが開始可能な状態となってから後に検出されたメダルである場合には、メダルの検出に応じて図14のS36?S40が行われて、クレジットに加算させることができる。このため、リプレイ入賞が発生した後におけるクレジットカウンタの加算更新が賭数の設定よりも先に行われてしまうことを防止できる。その結果、違和感を抱かせることなく、リプレイ入賞が発生した後における遊技者の利便性を向上させることができる。
【0277】
また、再遊技役のうち、ベルリプ1?5のいずれかに入賞した後においては、図16のS86?S97で示したように、ベルリプフリーズが発生し、メダルの投入により成立する条件を含む複数種類のフリーズ解除条件のうちのいずれかが成立することにより終了する。これにより、小役入賞時やハズレ時と同様に、メダルの投入など所定の操作を行わなければ、次のゲームが開始されないように思わせるとともに、これらの所定の操作が行われることで次のゲームを開始できるようになったかのように思わせることができる。
【0278】
また、図14のS52?S59に示されるように、精算スイッチ10への操作に応じて、賭数が設定されている場合には当該賭数を精算する賭数精算処理を実行し、賭数が設定されていない場合にはクレジットを精算するクレジット精算処理を実行可能としつつ、設定されている賭数がリプレイ入賞により自動BETされた賭数である場合には、賭数精算処理を実行せずにクレジット精算処理を実行する。これにより、メダルを払い出すのではなくリプレイゲーム(1ゲーム)を付与するというリプレイの機能そのものを残してリプレイの存在意義を維持する一方、クレジットについてはリプレイ入賞後であっても精算操作に応じて払出可能としたことにより、リプレイ入賞後における遊技者の利便性をさらに向上させることができる。また、ベルリプ入賞後におけるベルリプフリーズ中に精算操作がされた場合も同様に、クレジット精算が行われるため、遊技者の利便性を向上させることができる。
【0279】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1によれば、以下の課題を解決することができる。従来のスロットマシンにおいては、一般的に、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間が、所定時間(たとえば190ms(ミリ秒))に制限されている。このため、操作タイミングに関わらず取りこぼしが発生しない入賞役を設ける場合には、各リールにおいて、所定時間内で引き込み可能な範囲内(本実施の形態では、5コマ以内)に、当該入賞役を構成する図柄を配置する必要がある。その結果、取りこぼしが発生しない入賞役の数が多くなるほど、入賞役各々を構成する専用図柄として数多くの種類を要することとなる。
【0280】
一方、複数(通常は3つ)のリールに描かれる識別情報としての図柄については、無限に設けることができるものではなく、ある程度の制限が科される。たとえば、3つのリール各々に描かれる図柄の数は、1リールに対して最大21個に制限されており、さらに3つのリールに描かれる図柄の種類は全部で最大10種類に制限されている。
【0281】
このような従来のスロットマシンを背景とした場合、たとえば入賞役について同一の図柄により構成しようとした場合、専用図柄を用意する必要がある。このため、図柄の数や種類の制限範囲内で移行役のための専用図柄を設けることが設計上困難となる虞があった。また、ストップスイッチ8L?8Rの操作手順(押し順、操作タイミングなど)にかかわらずリプレイ入賞し得るように構成する場合においては、所定時間内で引き込み可能な範囲内に当該リプレイを構成する専用図柄を配置する必要があり、専用図柄の数を多くせざるを得なくなり、益々設計が困難になってしまう虞があった。
【0282】
このような課題を解決するために、前述した実施の形態におけるスロットマシン1においては、再遊技役に、外形が同一の図柄のみから構成される「リプレイ-リプレイ-リプレイ」が入賞ラインに停止されることにより発生する通常リプなどの第1のリプレイと、外形が同一または類似とはいえない図柄を含む「リプレイ-白7-スイカA」が入賞ラインに停止されることにより発生するベルリプなどの第2のリプレイとを含めた。これにより、再遊技役のための専用図柄を必ずしも複数設ける必要がなく、図柄の数と種類を増大させてしまうことを回避でき、図柄の数、種類、および配置の制限内で、再遊技役の種類(バリエーション)を豊富にすることができる。一方、第2のリプレイ入賞が発生した場合には、外形が同一または類似とはいえない図柄を含む組合せが停止されるため、第1のリプレイ入賞が発生した場合よりもリプレイ入賞の発生に気付かずに、メダルを投入してしまう可能性が高まるが、前述したように検出されたメダルに応じてクレジット加算させることができるために、投入したメダルが受け入れられないなどといった煩わしさを遊技者に感じさせることなく遊技を進行させることができる。
【0283】
本実施の形態における第2のリプレイを構成する図柄には、リプレイとは異なる図柄が含まれる。このため、第2のリプレイ入賞の発生に気付かずにメダルを投入してしまう可能性がより一層高まるが、検出されたメダルに応じてクレジット加算させることができるため、投入したメダルが受け入れられないなどといった煩わしさを遊技者に感じさせることなく遊技を進行させることができる。さらに、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、上段あるいは右下がりの無効ライン上においてベル揃いとなる。このため、遊技者に対して通常ベルが入賞したと思わせることができるため、メダルの投入あるいはMAXBET操作させることができ、当該投入あるいは操作により次のゲームを開始できるようになったかのように思わせることができ、違和感を与えないようにすることができる。
【0284】
また、図13のS16?S18で示したように、第1のリプレイ入賞が発生した後においてはBETコマンド(BET音あり)が設定されて出力されるため、サブ制御部91側によりBET音が出力される一方、第2のリプレイ入賞が発生した後においてはBETコマンド(BET音なし)が設定されて出力されるため、サブ制御部91側によりBET音が出力されることがない。これにより、第2のリプレイ入賞が発生して賭数の設定が完了していることに気付かずにメダルを投入してしまう可能性がより一層高まるが、検出されたメダルに応じてクレジット加算させることができ、投入したメダルが受け入れられないなどといった煩わしさを遊技者に感じさせることなく遊技を進行させることができる。
【0285】
また、図14のS36?S39で示したように、BET音を出力させない第2のリプレイ入賞が発生して賭数の設定が完了していることに気付かずにメダルを投入してクレジット加算された場合でも、賭数の上限数に相当する3回まではBET音と同じ音が出力されるために、遊技者の勘違いでメダルを投入して賭数を設定しているつもりであるにもかかわらずBET音が出力されないことにより、不信感や違和感を抱かせてしまうことを防止することができる。
【0286】
また、図17(d)は、ゲーム終了後においてメダルの投入あるいは精算が許容されるタイミングについての変形例を説明するための図である。図17(d)に示すように、ベルリプ以外の再遊技役の入賞が発生している場合には、払い出しが行われることなくゲームが終了し、その後、図12のS9の処理や、次のゲームのためのS1の処理、図13のS10?S13の処理が行われた後に、自動BETの処理(S14、S15)が開始される。つまり、図13のS10?S13の処理が行われた後は、自動BETの処理(S14、S15)の開始が確定するため、自動BETの処理が開始されるといえる。よって、図17(d)に示すように、自動BETの処理が開始される(あるいは開始された)ときに、メダルの投入あるいは精算を許容するようにしてもよい。
【0287】
第1の例として、たとえば、図13のS12においてYESと判定されてS13の処理が終了した場合にS19と同様の処理を行ってクレジットカウンタの値が50であるか否かの判定を行った後に、自動BETの処理(S14、S15と同様の処理)が開始されるようにするとともにクレジットカウンタの値が50でないと判定された後においては、その後に開始される自動BETの処理の完了を待つことなく、S21と同様の処理を行った以降において投入されたメダルを検出したときにクレジット加算されるとともに精算スイッチ10への操作を検出したときにクレジット精算されるようにしてもよい。一方、S19と同様の処理を行ってクレジットカウンタの値が50であると判定された後は、S20以降の処理と同様の処理を行うようにしてもよい。第1の例においてベルリプフリーズ処理は、たとえば、賭数の設定が開始されることになるタイミングで行うようにしてもよい。
【0288】
第2の例として、たとえば、メダルの投入あるいは精算を行うための割込処理を実行可能とし、第1の例におけるクレジットカウンタの値が50でないと判定されたとき、あるいは、クレジットカウンタの値が50でないと判定された後において1回目のS14に相当する処理が実行されてからゲーム開始までの間において、上記割込処理の割込みを許可するようにして、所定期間(2msec)毎に当該割込処理を実行するようにして、自動BETの処理が開始される(あるいは開始された)ときに、メダルの投入あるいは精算を許容するようにしてもよい。
【0289】
このように構成した場合であっても、リプレイ入賞が発生した後であってリプレイゲームが開始(リール回転開始)されるまでの間に投入されたメダルであっても、リプレイ入賞による賭数の設定が開始されてから後に検出されたメダルである場合には、メダルの検出に応じてクレジット加算させることができる。このため、リプレイ入賞が発生した後におけるクレジット加算が賭数の設定の開始よりも先に行われてしまうことを防止できる。その結果、違和感を抱かせることなく、リプレイ入賞が発生した後における遊技者の利便性を向上させることができる。また、メダルを払い出すのではなくリプレイゲーム(1ゲーム)を付与するというリプレイの機能そのものを残してリプレイの存在意義を維持する一方、クレジットについてはリプレイ入賞後であっても精算操作に応じて払出可能としたことにより、リプレイ入賞後における遊技者の利便性をさらに向上させることができる。
【0290】
[BETLED表示処理]
次に、図18を用いてBETLED表示処理について説明する。図18に示すように、メイン制御部41は、メダルがBETされたか否か(1枚BETスイッチ5の操作、MAXBETスイッチ6の操作、メダル投入部4へのメダル投入、リプレイ入賞による自動BETのいずれも含む)を判定する(Sb1)。
【0291】
メダルのBETが行われていない場合には(Sb1でN)、処理を終了する。メダルがBETされた場合には(Sb1でY)、MAXBETスイッチ6の操作によるものであるか(図中「MAXBET操作」)または再遊技役の入賞によるものであるかを判定する(Sb2)。
【0292】
Sb2で、MAXBETスイッチ6の操作によるものでなく、再遊技役の入賞によるものでもないと判定された場合には(Sb2でN)、1BETスイッチによる賭数の設定またはメダル投入部4からのメダル投入による賭数の設定が行われたことになる。この場合にはSb4に進む。MAXBETスイッチ6の操作によるものであるかまたはリプレイの入賞によるものである場合には(Sb2でY)、前回ゲームと同一賭数(BET数)であるか否かを判定する(Sb3)。なお、再遊技役が入賞した場合には自動的に同一BET数のメダルがBETされるのでSb3の処理が行われずにSb5に進む。
【0293】
Sb3で前回ゲームと同一BET数であると判定された場合や前回ゲームでリプレイが入賞して前回ゲームと同一BET数である場合には(Sb3でY)、前回ゲームに引き続き行われる今回ゲームにおいては1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16によるBET数の表示を前回ゲームから引き継ぐことによって更新する。
【0294】
具体的には、前回ゲームでBET数が1枚のときには1BETLED14の点灯を一旦消灯させることなく維持する。また、前回ゲームでBET数が2枚のときには1BETLED14および2BETLED15の点灯を一旦消灯させることなく維持する。また、前回ゲームでBET数が3枚のときには1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16の点灯を一旦消灯させることなく維持する。
【0295】
次いで、前回ゲームの終了から60秒が経過したか否かを判定する(Sb5)。すなわち、BET数表示が引き継がれて60秒経過したか否かを判定する。前回ゲームの終了から60秒経過した場合には(Sb5でY)、点灯しているLEDを消灯し、BET数表示を終了する(Sb6)。前回ゲームの終了から60秒経過していない場合には(Sb5でN)、BET数表示を引き継いだままの状態にしてBETLED表示処理を終了する。なお、BET数表示が引き継がれてから経過した時間はメインCPU41aが備えるクロックによってカウントされる。
【0296】
一方、Sb3で前回ゲームと同一BET数でないと判定された場合には(Sb3でN)、今回ゲームでのBET数に応じて1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16によるBET数の表示を更新する(Sb4)。このとき、1BETLED14や2BETLED15を一旦消灯することなく点灯したままにすることによりBET数表示の一部を前回ゲームから引き継ぐ。
【0297】
具体的には、前回ゲームでのBET数が3枚である場合でMAXBETスイッチ6の操作により2枚BETされた場合には1BETLED14および2BETLED15を一旦消灯することなく点灯したままにする。また、前回ゲームでのBET数が3枚または2枚である場合で、今回ゲームで1枚BETされた場合には1BETLED14を一旦消灯することなく点灯したままにする。BET数の表示を更新すると処理が終了する。
【0298】
[クレジット表示処理]
次に、図19を用いてクレジット表示処理について説明する。図19に示すように、メイン制御部41は、BET操作が行われたか否か(1枚BETスイッチ5またはMAXBETスイッチ6が操作されて賭数の設定が行われたか否か)またはメダルの払い出しがあったか否かを判定する(Sf1)。
【0299】
いずれも行われなかった場合には(Sf1でN)、処理を終了する。いずれかが行われた場合には(Sf1でY)、クレジット枚数カウンタのカウント値を参照する(Sf2)。
【0300】
次いで、クレジット表示器11の表示をクレジットカウンタのカウント値に一括更新する(Sf3)。これにより、たとえばクレジット表示器11の表示が「40」(すなわち、クレジット枚数カウンタのカウント値が40)のときにMAXBETスイッチ6の操作により3枚のメダルが一括して賭数設定された場合には、クレジット枚数カウンタのカウント値が37に変化するので、クレジット表示器11の表示は賭数と同じ回数で段階的に変化せずに1回で「37」に変化する。すなわち、賭数設定された場合には賭数設定前に表示されているクレジット数に賭数を減算した枚数を更新後のクレジット数として1回で更新される。
【0301】
また、たとえばクレジット表示器11の表示が「40」(すなわち、クレジット枚数カウンタのカウント値が40)でメダルが8枚払い出された場合にはクレジット枚数カウンタのカウント値が48に変化するので、クレジット表示器11の表示は賭数と同じ回数で段階的に変化せずに1回で「48」に変化する。すなわち、メダルが払い出された場合には払い出し前に表示されているクレジット数に払い出し枚数を加算した枚数を更新後のクレジット数として1回で更新される。
【0302】
[賭数が設定されたときの具体例]
次に賭数が設定されたときの具体例について図20を用いて説明する。図20に示すように、たとえば、前回ゲームでのクレジット数が「50」の状態でメダルが3枚BETされてゲームが行われたとする。この場合、前回ゲームでは、1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16の全てが点灯し、クレジット表示器11の表示は「47」となる。そして、前回ゲームに引き続き行われる今回ゲームにおいて以下の(1)?(4)のパターンに分けられる。
【0303】
(1)のパターンでは、今回ゲームにおいてMAXBETスイッチ6が操作されて一括して3枚のメダルがBETされたとする。このとき、1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16は前回ゲームの表示を引き継いで全てが点灯し(図18のSb3でYの処理)、クレジット表示器11の表示は段階を経ることなく(「46」→「45」→「44」と変化することなく)一括更新されて「44」となる(図19のSf3の処理)。また、これに併せてスピーカ53,54からBET音が3回に分けて出力される(図15のS81の処理)。
【0304】
このように、(1)のパターンでは、クレジット表示器11や1?3BETLED14?16によって賭数と同じ回数で更新した場合に比べてクレジット表示器11や1?3BETLED14?16の処理を簡易化できる。よって、クレジット表示器11、1?3BETLED14?16、スピーカ53,54で賭数を報知しながら、クレジット表示器11や1?3BETLED14?16の処理に対する負担を軽減できるので、設定された賭数を遊技者に報知しつつ賭数の設定に伴う処理の簡易化を図ることができる。
【0305】
また、クレジット表示器11や1?3BETLED14?16による表示と、スピーカ53、54による音の出力によって報知するので、遊技者はBET数を認識しやすくなり、BET数を確実に報知することができる。
【0306】
また、MAXBETスイッチ6bの操作により賭数の設定を行ったときに1?3BETLED14?16による表示を引き継ぐので、1?3BETLED14?16の処理に対する負担を軽減でき、メダルのBETに伴う処理の簡易化を図ることができる。
【0307】
(2)のパターンでは、今回ゲームにおいて1BETスイッチ5が操作されて1枚のメダルがBETされたとする。このとき、1BETLED14のみが前回ゲームの表示の一部を引き継いで点灯し(図18のSb4の処理)、クレジット表示器11の表示は「46」となる(図19のSf3の処理)。また、これに併せてスピーカ53,54からBET音が1回出力される(図15のS68の処理)。
【0308】
(3)のパターンでは、今回ゲームにおいてメダル投入部4からメダルが1枚投入(手投入)されて1枚のメダルがBETされたとする。このとき、1BETLED14のみが前回ゲームの表示の一部を引き継いで点灯し(図18のSb4の処理)、クレジット表示器11の表示は「47」のままになる(図19のSf1でNの処理)。また、これに併せてスピーカ53、54からBET音が1回出力される(図14のS34の処理)。
【0309】
このように、(2)や(3)のパターンでは、1BETLED14のみが前回ゲームの表示の一部を引き継ぐので、1BETLED14の処理に対する負担を軽減でき、メダルのBETに伴う処理の簡易化を図ることができる。また、全ての表示を引き継いだときと報知の態様が異なり、BET数に応じて報知の態様が変化するのでBET数を遊技者に確実に報知できる。
【0310】
(4)のパターンでは、前回ゲームにおいて第1のリプレイが入賞し、今回ゲームにおいて自動的に3枚のメダルがBETされたとする。このとき、1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16は前回ゲームの表示を引き継いで全てが点灯し(図18のSb3でYの処理)、クレジット表示器11の表示は「47」のままになる(図19のSf1でNの処理)。また、これに併せてスピーカ53、54からBET音が3回に分けて出力される(図13のS17の処理)。
【0311】
このように、(4)のパターンでは、第1のリプレイ入賞の自動BETにより1?3BETLED14?16による表示を引き継ぐので、1?3BETLED14?16の処理に対する負担を軽減でき、メダルのBETに伴う処理の簡易化を図ることができる。
【0312】
[賭数が設定されたときの具体例]
次にメダルが払い出されたときの具体例について図21を用いて説明する。図21に示すように、たとえば、メダルが3枚BETされてゲームが行われ、1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16の全てが点灯し、クレジット表示器11の表示は「20」であったとする。この状態で、通常ベルが入賞した場合には8枚のメダルが払い出される。そして、メダルの払い出しに併せてスピーカ53,54からメダルの払い出し音が8回出力される。払い出し音の出力が終了すると、クレジット表示器11の表示は一括更新されて段階を経ることなく「28」となる(図19のSf3の処理)。
【0313】
このように、クレジット表示器11によってメダルの払い出し枚数と同じ回数でメダルの払い出し枚数を更新した場合に比べてクレジット表示器11の処理を簡易化できる。よって、クレジット表示器11やスピーカ53,54で払い出し枚数の報知を行いながら、クレジット表示器11の処理に対する負担を軽減できるので、払い出し枚数を遊技者に報知しつつメダルの払い出しに伴う処理の簡易化を図ることができる。
【0314】
[判定用役当選コマンド生成、格納処理]
次に、メイン制御部41がゲーム処理のS3のステップで実行する判定用役当選コマンド生成、格納処理について説明する。図22は、メイン制御部41がゲーム処理中に実行する判定用役当選コマンド生成、格納処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0315】
図22に示すように、メイン制御部41は、押し順リプ(押し順リプ1?3)または通常リプに当選したか否かを判定することにより、判定用役に当選したか否かを判定する(Sh1)。メイン制御部41は、押し順リプおよび通常リプのいずれにも当選していない場合には(Sh1でN)、判定用役当選コマンド生成、格納処理を終了する。メイン制御部41は、押し順リプまたは通常リプに当選した場合には(Sh1でY)、図23の停止順種別テーブルに基づき、当選した役に対する判定用の押し順を決定する(Sh2)。
【0316】
押し順リプまたは通常リプに対する停止順種別を決定して押し順を決定した後は、メイン制御部41は、判定用役に当選したことを示す判定用役当選フラグをRAM41cの所定領域にセットする(Sh3)。その後、メイン制御部41は、判定用役に当選したこと、当選した判定用役の種類、および決定した停止順種別を示す判定用役当選コマンドを生成し、生成したコマンドをコマンドバッファに格納する(Sh4)。その後、メイン制御部41は、判定用役当選コマンド生成、格納処理を終了する。
【0317】
[停止順種別テーブル]
ここで、図22のSh2の処理において用いられる停止順種別テーブルについて説明する。図23は、メイン制御部が管理する停止順種別テーブルについて説明するための図である。
【0318】
停止順種別テーブルにおいては、判定用役である押し順リプ(押し順リプ1?3)および通常リプのそれぞれに対して、停止順種別0?3の4種類の停止順種別が対応付けられている。さらに、停止順種別0?3のそれぞれにおいては、サブ制御部91が判定用ナビ演出によって遊技者に対して報知するストップスイッチの押し順、実際に遊技者がストップスイッチを操作した押し順、およびメイン制御部41が判定するサブ制御部91の演出制御状態(AT中か否か)が対応付けられている。
【0319】
メイン制御部41は、押し順リプ(押し順リプ1?3)または通常リプが当選したときに、Sh2で選択する停止順種別に基づいて決定する判定用の押し順に応じて、サブ制御部91の演出制御状態(AT)を以下のように判定する。
【0320】
たとえば、メイン制御部41は、押し順リプ1?3のいずれかの当選時に停止順種別0を選択した場合に、実際の押し順が停止順種別0に対応付けられた判定用の押し順である中左押しの場合にはAT中であると判定し、実際の押し順が中左押し以外の場合にはAT中でないと判定する。一方、サブ制御部91は、押し順リプ1?3のいずれかの当選時に停止順種別0が選択された場合に、AT中でAT信号を出力する前では停止順種別0に対応付けられた中左押しの押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。なお、AT信号を出力した後は新たなセットのATが開始されるまで中第1停止または右第1停止を報知する通常のナビ演出を実行する。
【0321】
同様に、メイン制御部41は、押し順リプ1?3のいずれかの当選時に停止順種別1?3のいずれかを選択したときには、選択した停止順種別に対応付けられた押し順と、実際にストップスイッチ8L、8C、8Rが操作された押し順とに基づき、AT中であるか否かを判定する。一方、サブ制御部91は、選択された停止順種別に対応付けられた押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。
【0322】
さらに、図23に示すように、メイン制御部41は、通常リプの当選時に停止順種別0?3のいずれかを選択したときには、選択した停止順種別に対応付けられた押し順と、実際にストップスイッチ8L、8C、8Rが操作された押し順とに基づき、AT中であるか否かを判定する。一方、サブ制御部91は、選択された停止順種別に対応付けられた押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。
【0323】
なお、押し順リプ1?3および通常リプのいずれかに当選したときの判定用ナビ演出は、4択の押し順(中左押し、中右押し、逆挟み押し、逆押し)の中の1つの押し順が報知されるため、4択ナビとも称し、通常のナビ演出は、2択の押し順(中第1停止、右第1停止)の中の1つの押し順が報知されるため、2択ナビとも称する。
【0324】
このように、本実施の形態においては、押し順リプ1?3および通常リプのいずれに当選したときでも、停止順種別0?3には、左第1停止は対応付けられていない。これにより、遊技者が推奨押し順でストップスイッチ8L、8C、8Rを操作する限り、メイン制御部41がAT中であると判定することはない。
【0325】
ここで、本実施の形態においては、判定用ナビ演出により判別可能なストップスイッチの押し順には、通常リプを入賞させるためのストップスイッチの押し順と同じ中第1停止または右第1停止が含まれている。たとえば、図23に示すように、押し順リプ1に当選したときに停止順種別0に対応付けられた押し順は「中左押し」であるのに対し、図10に示すように、押し順リプ1に当選したときに通常リプを入賞させるときの押し順には「中第1停止」が含まれる。これにより、通常リプを入賞させるためのストップスイッチの押し順を、メイン制御部41におけるAT中であるか否かの判定および所定制御の実行に用いることができるとともに、メイン制御部41がAT中であるか否かを判定したことに基づき所定制御を行うことができる。
【0326】
[AT開始判定処理]
次に、メイン制御部41がゲーム処理のS5のステップで実行するAT開始判定処理について説明する。図24は、メイン制御部が実行するAT開始判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0327】
図24に示すように、メイン制御部41は、図18のSh4で判定用役当選フラグがセットされたか否かを判定する(Sk1)。すなわち、押し順リプまたは通常リプに当選したか否かを判定する。メイン制御部41は、判定用役当選フラグがセットされていない場合には(Sk1でN)、AT開始判定処理を終了する。
【0328】
メイン制御部41は、判定用役当選フラグがセットされている場合には(Sk1でY)、ストップスイッチ8L、8C、8Rの実際の押し順と図18のSh2で選択した停止順種別に基づいて決定した判定用役に対する押し順とを比較する(Sk2)。メイン制御部41は、押し順が一致した場合には(Sk3でY)、判定用役に対する押し順と実際の押し順とが一致した回数をカウントする開始判定カウンタのカウント値に「1」加算する(Sk4)。
【0329】
次に、メイン制御部41は、開始判定カウンタのカウント値が「3」になったか否かを判定する(Sk5)。すなわち、メイン制御部41は、判定用役の押し順と実際の押し順が一致した回数が連続して3回になったか否かを判定する。メイン制御部41は、カウント値が「3」でなければ(Sk5でN)、AT開始判定処理を終了する。
【0330】
一方、メイン制御部41は、カウント値が「3」であれば(Sk5でY)、ATが開始されたことを特定したため、AT信号を出力設定する(Sk6)。つまり、AT中の判定用ナビ演出に従ってストップスイッチ8L、8C、8Rを操作した結果、押し順が連続して3回一致した可能性が高いため、メイン制御部41は、ATが開始されたと認識してAT信号の外部への出力命令を設定する。これにより、外部機器においてAT中であることが特定可能となり、ATに関する情報が報知される。本実施の形態においては、メイン制御部41からAT信号を受信したデータカウンタ200によって、AT中であることを報知する「AT中」という文字画像が表示部に表示される。
【0331】
その後、メイン制御部41は、AT中である旨を示すAT中フラグをRAM41cの所定領域に設定し(Sk7)、判定用役当選フラグをクリアして(Sk8)、AT開始判定処理を終了する。
【0332】
また、メイン制御部41は、Sk3でストップスイッチ8L、8C、8Rの実際の押し順と図22のSh2で決定した判定用役に対する押し順とを比較した結果、押し順が一致しなかった場合には(Sk3でN)、開始判定カウンタのカウント値をクリアし(Sk9)、判定用役当選フラグをクリアして(Sk8)、AT開始判定処理を終了する。このように、押し順が一致しなかったときには開始判定カウンタのカウント値がクリアされるため、開始判定カウンタは連続して押し順が一致した場合にのみ、その回数をカウントすることになる。
【0333】
[AT終了判定処理]
次に、メイン制御部41がゲーム処理のS8のステップで実行するAT終了判定処理について説明する。図25は、メイン制御部が実行するAT終了判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0334】
図25に示すように、メイン制御部41は、図24のSk7でAT中フラグがセットされたか否かを判定する(Sm1)。すなわち、AT信号が外部出力されてから外部機器においてAT中であると特定されている間であるか否かを判定する。メイン制御部41は、AT中フラグがセットされていないと判定したときには(Sm1でN)、AT終了判定処理を終了する。つまり、メイン制御部41は、すでにATが終了していることを特定してAT信号の外部出力を解除しているため、AT終了判定処理を終了する。
【0335】
メイン制御部41は、AT中フラグがセットされていると判定したときには(Sm1でY)、終了したゲームが、押し順リプ1または押し順リプ3に当選したゲームであったか否かを判定する(Sm2)。メイン制御部41は、押し順リプ1および押し順リプ3のいずれにも当選したゲームでなかったと判定したときには(Sm2でN)、AT終了判定処理を終了する。
【0336】
一方、メイン制御部41は、押し順リプ1または押し順リプ3に当選したゲームであったと判定したときには(Sm2でY)、RT状態の終了契機となるベルリプ1?4のいずれかに入賞したか否かを判定する(Sm3)。メイン制御部41は、ベルリプ1?4のいずれにも入賞していないと判定したときには(Sm3でN)、AT終了判定処理を終了する。
【0337】
一方、メイン制御部41は、ベルリプ1?4のいずれかに入賞したと判定したときには(Sm3でY)、AT信号の出力設定を解除する(Sm4)。つまり、メイン制御部41は、すでにATが終了してナビ演出が実行されなかったことにより、押し順リプ1または押し順リプ3に当選してもベルリプ1?4の入賞を回避できなかったと判断して、AT中であることを示すAT信号の外部出力を解除する。これにより、外部機器においてATが終了した旨が特定可能となり、ATに関する情報の報知から、ATに関係しない情報の報知へと切り替えられる。本実施の形態においては、データカウンタ200によって、表示部に表示されていたAT中であることを報知する「AT中」という文字画像が消去される。その後、メイン制御部41は、AT中フラグをリセットし(Sm5)、AT終了判定処理を終了する。
【0338】
次に、本実施の形態のサブ制御部91が実行する各種制御内容を以下に説明する。
[タイマ割込処理(サブ)]
図26は、サブ制御部91が内部クロックのカウント値に基づいて1.12秒の間隔で実行するタイマ割込処理(サブ)のフローチャートである。
【0339】
図26に示すように、タイマ割込処理(サブ)においては、サブ制御部91は、まず、使用中のレジスタをスタック領域に退避する(Sb1)。次に、サブ制御部91は、停電判定処理を行う(Sb2)。停電判定処理では、サブ制御部91は、電断検出回路48から電圧低下信号が入力されているか否かを判定し、電圧低下信号が入力されていれば、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていたか否かを判定し、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていた場合には停電と判定し、その旨を示す電断フラグを設定する。
【0340】
Sb2のステップにおける停電判定処理の後、サブ制御部91は、電断フラグが設定されているか否かを判定し(Sb3)、電断フラグが設定されていた場合には(Sb3でY)、電断処理(サブ)に移行する。電断処理(サブ)では、サブ制御部91は、起動処理(サブ)においてバックアップが正常に行われたか否かを判定する際に用いるバックアップフラグをバックアップデータの作成後にセットしたり、起動処理(サブ)においてバックアップが正常に行われたか否かを判定する際に用いるチェックサムをバックアップデータの排他的論理和を算出して計算したりするなどの処理を実行する。
【0341】
サブ制御部91は、電断フラグが設定されていない場合には(Sb3でN)、コマンド解析処理を実行する(Sb4)。コマンド解析処理では、サブ制御部91は、コマンドバッファにコマンドが格納されているか否かを判定し、コマンドバッファにコマンドが格納されていればコマンドバッファからコマンドを取得する。そして、取得したコマンドに応じた処理を実行する。
【0342】
次に、サブ制御部91は、ナビストックを付与するか否かを決定するナビストック抽選処理を実行する(Sb5)。
【0343】
次に、サブ制御部91は、Sb5のナビストック抽選処理におけるナビストック抽選に当選した場合に、非AT状態からナビ演出が実行されるAT状態に制御するAT制御処理を実行する(Sb6)。ATの終了条件が成立したときのナビストックが残っている場合には、ナビストックを1つ消化するとともに新たな1セットのATを継続して実行する。
【0344】
次に、サブ制御部91は、メイン制御部41がAT信号を出力したことを示すAT信号出力フラグをセットまたはクリアなどすることにより、メイン制御部41がAT信号を出力済みであるか否かを識別するAT信号出力フラグ制御処理を実行する(Sb7)。
【0345】
次に、サブ制御部91は、AT中に判定用役に当選した場合に判定用ナビ演出を実行する判定用ナビ演出処理を実行する(Sb8)。
【0346】
[ナビストック抽選]
次に、図26のSb5で実行するナビストック抽選処理内で実行されるナビストック抽選について説明する。図27は、サブ制御部が管理するナビストック抽選テーブルについて説明するための図である。
【0347】
本実施の形態においてサブ制御部91は、AT抽選役(本実施の形態では、弱チェリー、中チェリー、チャンス1、チャンス2、7揃いリプ、強チェリー)に当選した場合にATに制御するか否かを決定するナビストック抽選を実行する。ナビストック抽選では、ナビストック数を付与するか否かおよび付与する場合にはその個数が決定される。
【0348】
ナビストック数とは、所定ゲーム数(本実施の形態では1セット50ゲーム)にわたりATに制御される権利の数を示す。ナビストック数を1消費(減算)することにより、所定ゲーム数の間、ATに制御され、その間ナビ演出(判定用ナビ演出と通常のナビ演出を含む)が実行される。このため、決定されたナビストック数が多い程、遊技者にとって有利度合いが高いといえる。なお、ナビストック数が残っているときに、ナビストック数を新たに獲得したときには、残っているナビストック数に今回獲得したナビストック数を上乗せ加算させる。
【0349】
本実施の形態では、成立した抽選条件に応じてナビストック抽選におけるナビストックの平均当選個数が異なる。さらに、AT抽選役に当選した場合に50%の確率で実行されるATフリーズが実行されたときには、ATフリーズが実行されなかったときよりも、ナビストック数が付与される可能性が高くなり、また、付与される場合のナビストック数が多くなる可能性が高くなる。
【0350】
たとえば、図27に示すように、弱チェリーが当選する第1抽選条件が成立した場合におけるナビストック付与の当選確率は、ATフリーズが実行されなかったときには10%に設定され、ATフリーズが実行されたときには20%に設定されている。また、ATフリーズが実行されなかったときには、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が100%に設定され、2個となる当選確率が0%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。一方、ATフリーズが実行されたときには、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が0%に設定され、2個となる当選確率が100%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。
【0351】
同様に、中チェリーが当選する第2抽選条件、チャンス1またはチャンス2が当選する第3抽選条件、7揃いリプが当選する第4抽選条件、および強チェリーが当選する第5抽選条件のいずれかが成立したときにおいても、図27に示すナビストック抽選テーブルにおいて設定された当選確率および振分率に基づき、付与されるナビストックが決定されるようになっている。
【0352】
このように、本実施の形態においては、成立した抽選条件に応じて、ナビストック付与の当選確率が異なる。さらに、図27に示すように、第1?5抽選条件の成立によるナビストック抽選とともにATフリーズが実行されたときには、ATフリーズが実行されなかったときよりも、ナビストック数が付与される可能性が高くなり、また、付与される場合のナビストック数が多くなる可能性が高くなっている。これにより、AT中にATフリーズを実行させることにより、遊技者に対して、ナビストック抽選が実行されたことを認識させることでナビストック獲得の期待をもたせることができ、さらに、ナビストック抽選においてより多くのナビストック数が付与されることに対して大きな期待をもたせることができる。
【0353】
[AT信号出力フラグ制御処理]
次に、図26のSb7で実行するAT信号出力フラグ制御処理について説明する。図28は、サブ制御部91が実行するAT信号出力フラグ制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0354】
図28に示すように、サブ制御部91は、メイン制御部41からAT信号を受信したことを示すAT信号出力フラグがセットされているか否かを判定する(Sf1)。サブ制御部91は、AT信号出力フラグがセットされていない場合には(Sf1でN)、メイン制御部41からAT信号出力コマンドを受信したか否かを判定する(Sf2)。サブ制御部91は、AT信号出力コマンドを受信していない場合には(Sf2でN)、AT信号出力フラグ制御処理を終了する。サブ制御部91は、AT信号出力コマンドを受信した場合、つまり、メイン制御部41がAT開始を特定したときには(Sf2でY)、AT信号出力フラグをRAM91cの所定領域にセットして(Sf3)、AT信号出力フラグ制御処理を終了する。
【0355】
また、サブ制御部91は、Sf1においてAT信号出力フラグがセットされていると判定された場合には(Sf1でY)、ATが終了したか否かを判定する(Sf4)。Sf4での判定は、1セットのATが終了したか否かを判定する。よって、ナビストックが残っており、ATが継続するとしても、1セットのATが終了するときはATの終了と判定される。サブ制御部91は、ATが終了していない場合には(Sf4でN)、AT信号出力フラグ制御処理を終了する。サブ制御部91は、ATが終了した場合には(Sf4でY)、AT信号出力フラグをクリアして(Sf5)、AT信号出力フラグ制御処理を終了する。以上の処理により、AT信号出力フラグは、1セットのAT内でAT信号を出力してからATが終了するまでセットされるので、AT信号出力フラグがセットされているか否かを判定することにより、サブ制御部91は、AT信号を出力してからATが終了するまでの期間であるか否かを判定できる。
【0356】
[判定用ナビ演出処理]
次に、図26のSb8で実行する判定用ナビ演出処理について説明する。図29は、サブ制御部91が実行する判定用ナビ演出処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0357】
図29に示すように、サブ制御部91は、メイン制御部41から判定用役当選コマンドを受信したか否かを判定する(Sm1)。サブ制御部91は、判定用役当選コマンドを受信していない場合には(Sm1でN)、判定用ナビ演出処理を終了する。サブ制御部91は、判定用役当選コマンドを受信した場合には(Sm1でY)、ATの実行中か否かを判定する(Sm2)。サブ制御部91は、ATの実行中でない場合には(Sm2でN)、判定用ナビ演出処理を終了する。
【0358】
サブ制御部91は、ATの実行中である場合には(Sm2でY)、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づいて判定用役である押し順リプまたは通常リプに当選したか否かを判定する(Sm3)。サブ制御部91は、押し順リプおよび通常リプのいずれにも当選していない場合には(Sm3でN)、判定用ナビ演出処理を終了する。サブ制御部91は、押し順リプまたは通常リプに当選した場合には(Sm3でY)、図28のSf3でAT信号出力フラグがセットされたか否かを判定する(Sm4)。サブ制御部91は、AT信号出力フラグがセットされている場合には(Sm4でY)、すなわち1セット内でメイン制御部41がAT開始を特定してAT信号を出力した後の期間である場合には、判定用ナビ演出処理を終了する。なお、この場合、2択ナビ(中第1停止または右第1停止を報知)のナビ演出が実行される。
【0359】
サブ制御部91は、AT信号出力フラグがセットされていない場合(Sm4でN)、すなわち1セット内でメイン制御部41が未だAT開始を特定しておらずAT信号を出力する前の判定期間である場合には、判定用役当選コマンドに付加された停止順種別の情報(図22のSh2で選択する停止順種別に関する情報)から判定用の押し順を特定し、特定した押し順に基づいて押し順リプまたは通常リプに対する判定用ナビ演出を実行する(Sm5)。なお、この場合、図23に示すように、4択ナビ(中左押し、中右押し、逆挟み押し、および逆押しのいずれかを報知)のナビ演出が実行される。
【0360】
以上のように、本実施の形態では、1セットのAT内においてメイン制御部41がAT開始を特定してAT信号を出力するまでの判定期間では、押し順リプまたは通常リプに対して4択の判定用ナビ演出が実行され、判定期間の経過後は、2択の通常のナビ演出が実行されるので、AT信号を出力した後は4択の操作を選択してストップスイッチの操作を行わなくてもよくなり、遊技者の負担を軽減できる。
【0361】
[ナビ演出]
次に、サブ制御部91が実行するナビ演出の具体的な内容について説明する。本実施の形態のナビ演出は、液晶表示器51からのナビ画像の表示と、スピーカ53、54からのナビ音声の出力とによって行われる。
【0362】
たとえば、通常のナビ演出であれば、押し順ベル1?4や押し順リプ1?3に当選したときに、「中だ!」(中第1停止を報知)や「右だ!」(右第1停止を報知)といったストップスイッチ8L、8C、8Rの押下順序を示す押下順序画像と、スロットマシン1のモチーフに合わせたキャラクタ画像とが液晶表示器51に表示される。また、スピーカ53、54からもストップスイッチの押下順序を示す音声が出力される。
【0363】
また、たとえば、判定用ナビ演出であれば、通常リプや押し順リプ1?3に当選したときに、「中だ!左だ!右だ!」(中左押しを報知)や「右だ!左だ!中だ!」(逆挟み押しを報知)といったストップスイッチ8L、8C、8Rの押下順序を示す押下順序画像と、スロットマシン1のモチーフに合わせたキャラクタ画像とが液晶表示器51に表示される。また、スピーカ53、54からもストップスイッチの押下順序を示す音声が出力される。
【0364】
[ATに関するタイミングチャート]
次に、本実施の形態におけるAT内での各種演出について説明する。図30は、ATに関する一例のタイミングチャートを示す図である。
【0365】
図30においては、押し順リプまたは通常リプに当選したときのナビ演出が4択ナビであるか2択ナビであるかが示されている。なお、判定用以外のナビ演出には、判定用役である押し順リプや通常リプ以外の役に当選したときに、サブ制御部91が実行するナビ演出、あるいは押し順リプや通常リプに当選したときに判定に用いられない通常のナビ演出(2択ナビ)が含まれる。また、図30ではATが1セットで50ゲーム行われるとともに、ATが2セット目まで行われた場合を例に挙げて説明する。
【0366】
タイミングt1から開始されたATは、1セット50ゲームの期間に亘って制御され、タイミングt3で1セット目が終了する。その後、タイミングt3から続けて2セット目のATが開始され、タイミングt5で2セット目が終了する。また、ATにおいては、判定用ナビ演出と判定用以外のナビ演出とが実行されるようになっている。
【0367】
1セット目のATにおいてメイン制御部41がATか否かを特定する特定期間では、メイン制御部41は、押し順リプまたは通常リプに当選したときに、所定の停止順種別を抽選によって選択し、当該停止順種別を特定する情報を内部当選コマンドに含ませてサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、内部当選コマンドに含まれる情報から特定される停止順種別に基づき判定用ナビ演出を実行する。たとえば、サブ制御部91は、押し順リプ1の当選時に停止順種別0を選択した場合、停止順種別0に対応付けられた判定用の押し順(中左右)を判別可能な判定用ナビ演出(4択ナビ)を実行する。メイン制御部41は、停止順種別と実際に遊技者によって操作された押し順とが一致する場合に、判定用役に対する押し順が正解した旨を特定する。そして、メイン制御部41は、1セット50ゲームのAT内で押し順正解を3回判定したときに、タイミングt2で示すようにその後AT1セット目であることを特定するAT信号を外部出力する。これにより、外部機器において、ATの1セット目であることを特定することが可能となる。
【0368】
ここで、ATの1セット内で、メイン制御部41がATのセット回数を特定することができた後には、再度、判定用役に対する押し順正解の判定をする必要がない。そのため、サブ制御部91は、メイン制御部41がAT1セット目であることを特定するAT信号を外部出力したタイミングt2からAT1セット目が終了するタイミングt3までの間は、判定用以外のナビ演出のみを実行する。たとえば、押し順リプまたは通常リプに当選したときでも判定用ナビ演出(4択ナビ)を実行することなく通常のナビ演出(2択ナビ)を実行する。より具体的には、押し順リプ1の当選時であれば、左第1停止または右第1停止を報知する通常のナビ演出(2択ナビ)が実行され、判定用ナビ演出の4択より押し順の択数が減少する。
【0369】
さらに、メイン制御部41は、1セット50ゲームのAT内で押し順正解を3回判定してAT1セット目であることを特定するAT信号を外部出力したときには、同時にATフリーズ実行可能制御にゲームを制御する。これにより、ナビストック抽選において、ATフリーズを実行することが可能となり、遊技者を有利にさせることができる。
【0370】
ATの1セット目が終了して、2セット目が制御されたときには、再び判定用ナビ演出が実行される。2セット目のATにおいて、メイン制御部41は、1セット目と同様に、押し順リプまたは通常リプに当選したときに、所定の停止順種別を抽選によって選択し、当該停止順種別を特定する情報を内部当選コマンドに含ませてサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、内部当選コマンドに含まれる情報から特定される停止順種別に基づき判定用ナビ演出を実行する。メイン制御部41は、停止順種別と実際に遊技者によって操作された押し順とが一致する場合に、判定用役に対する押し順が正解した旨を特定する。そして、メイン制御部41は、1セット50ゲームのAT内で押し順正解を3回判定したときに、タイミングt4で示すようにその後AT2セット目であることを特定するAT信号を外部出力する。これにより、外部機器において、ATの2セット目であることを特定することが可能となる。さらに、メイン制御部41は、AT信号を外部出力したときには、同時にATフリーズ実行可能制御にゲームを制御する。その後、サブ制御部91は、タイミングt4からAT2セット目が終了するタイミングt5までの間は、判定用以外のナビ演出のみを実行する。
【0371】
このように、本実施の形態におけるATにおいては、ATの1セット内で、サブ制御部91の演出制御状態(たとえば、AT中であるか否か、ATのセット数)をメイン制御部41が判定するための判定用ナビ演出と、判定用以外のナビ演出である通常のナビ演出とが実行される。そして、一旦、メイン制御部41がサブ制御部91の演出制御状態を特定した後には、そのセット内のATにおいては、判定処理をする必要がないため、判定用ナビ演出は実行されないようになっている。
【0372】
さらに、本実施の形態では、ATが開始されたことが特定されるまでの特定期間では、4択の判定用ナビ演出が実行され、特定期間の経過後は、2択の通常のナビ演出が実行されるので、AT信号を出力した後は4択の操作を選択してストップスイッチの操作を行わなくてもよくなり、遊技者の負担を軽減できる。
【0373】
[通常ベル入賞時およびベルリプ入賞時における制御内容のタイミングチャート]
次に、図31を用いて、通常ベル入賞時の制御およびベルリプ入賞時の制御の一例をタイミングチャートを用いて説明する。
【0374】
まず、図31(a)のタイミングチャートを用いて、通常ベル入賞時の制御について説明する。
【0375】
図31(a)に示すように、タイミングt1から回転したリールは、タイミングt2で停止する。タイミングt2では、全てのリールが停止することによって導出された表示結果に応じて通常ベルの入賞が発生する。その後、タイミングt3でメダルの払い出しが開始され、払出期間(本実施の形態では、8枚のメダルが払い出される期間は約3秒間)が終了するタイミングt6でメダルの払い出しが完了する。また、メダルの払出期間であるタイミングt3?t6においては、ベル入賞演出が行われる。
【0376】
ここで、図31(a)に示すように、メダルの払出期間中の所定タイミング(たとえば、タイミングt4)でメダルが投入された場合でも、その後の払出期間中におけるタイミングt5ではクレジットカウンタは加算されない。投入されたメダルは、メダル払出口9から返却される。一方、図31(a)に示すように、メダルの払出期間が終了するタイミングt6以降の所定タイミング(たとえば、タイミングt7)でメダルが投入された場合には、その後のタイミングt8でクレジットが加算される。
【0377】
次に、図31(b)のタイミングチャートを用いて、ベルリプ入賞時の制御について説明する。
【0378】
図31(b)に示すように、タイミングt1から回転したリールは、タイミングt2で停止する。タイミングt2では、全てのリールが停止することによって導出された表示結果に応じてベルリプ1?5のいずれかの入賞が発生する。その後、タイミングt3でベルリプフリーズが開始され、フリーズの解除不許可期間(本実施の形態では、3秒間)に移行する。解除不許可期間では、遊技者がメダルを投入するなどの操作をしてもフリーズ解除条件は成立しないため、ベルリプフリーズは終了しない。また、解除不許可期間においては、ベルリプ入賞演出が行われる。その後、タイミングt6で解除不許可期間が終了すると、フリーズの解除許可期間に移行する。解除許可期間では、遊技者がメダルを投入するなどの操作をすることで、フリーズ解除条件が成立してベルリプフリーズが終了する。
【0379】
ここで、図31(b)に示すように、解除不許可期間中の所定タイミング(たとえば、タイミングt4)でメダルが投入された場合でも、その後の解除不許可期間中におけるタイミングt5ではクレジットカウンタは加算されない。投入されたメダルは、メダル払出口9から返却される。一方、図31(b)に示すように、解除不許可期間が終了するタイミングt6以降の解除許可期間中のタイミングt7でメダルが投入された場合には、ベルリプフリーズが終了するとともに、タイミングt8でクレジットが加算される。
【0380】
このように、通常ベルが入賞したときには、払出期間中においてクレジットの加算更新が行われず、払出期間が経過した後にクレジットの加算更新が行われる一方で、ベルリプが入賞したときには、解除不許可期間中においてクレジットの加算更新が行われず、解除不許可期間が経過した後にクレジットの加算更新が行われる。つまり、いずれの入賞が発生したときでも、入賞直後の所定期間においてはメダルが投入されてもクレジットの加算更新が行われず、所定期間が経過した後にメダルが投入されるとクレジットの加算更新が行われるようになっており、両者のクレジット加算更新は、似通った制御内容となっている。なお、通常ベルに限らず、スイカなどの小役についても、入賞時の払出期間中においてはクレジットの加算更新が行われず、払出期間が経過した後にクレジットの加算更新が行われる。よって、ベルリプが入賞したときのクレジット加算更新は、スイカなどの小役が入賞したときのクレジット加算更新とも似通った制御内容となっている。
【0381】
また、通常ベルが入賞したときには、入賞直後にベル入賞演出が開始され、払出期間(本実施の形態では、8枚のメダルが払い出される期間は約3秒間)が終了するとともにベル入賞演出も終了する一方で、ベルリプが入賞したときには、入賞直後にベルリプ入賞演出が開始され、解除不許可期間(本実施の形態では、3秒間)が終了するとともにベルリプ入賞演出も終了する。つまり、いずれの入賞が発生したときでも、入賞直後から入賞演出が開始され、所定期間(本実施の形態では、3秒間)が経過すると入賞演出が終了するようになっており、両者の入賞演出は、同一の制御内容となっている。
【0382】
[入賞演出の態様]
次に、図32を用いて、自機(遊技者が遊技しているスロットマシン1)および他機(遊技者が遊技しているスロットマシン1以外のスロットマシン、他のスロットマシン)についての入賞演出について説明する。
【0383】
図32(a)は、自機であるスロットマシン1についての入賞演出の一例である。通常ベルに入賞したときには、入賞ラインL1上に「ベル-ベル-ベル」の図柄組合せが導出されて、ベル入賞演出が行われる。ベル入賞演出では、演出効果LED52が黄色に点灯するとともに、スピーカ53、54からメダル払出音(「チャリン」という音)が出力される。
【0384】
ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、入賞ラインL1以外の無効ライン上に「ベル-ベル-ベル」の図柄組合せが導出される。この例では、ベルリプ5に入賞したことにより、右下がりの無効ライン上に「ベル-ベル-ベル」の図柄組合せが導出される。さらに、ベルリプ5に入賞したことにより、ベルリプ入賞演出が行われる。ベルリプ入賞演出では、スピーカ53、54からメダル払出音(「チャリン」という音)が出力される。
【0385】
このように、ベルリプの入賞が発生したときには、通常ベルの入賞が発生したときとは異なるライン上に通常ベルの入賞が発生したときと同じ「ベル-ベル-ベル」の図柄組合せが導出されるため、あたかも通常ベルの入賞が発生したかのように遊技者に認識させることができる。さらに、ベルリプの入賞が発生したときには、次のゲームが開始可能となる開始前状態への制御を遅延させるベルリプフリーズが行われる。ベルリプフリーズの開始から3秒間の解除不許可期間においては、通常ベルの入賞が発生したときに行われるベル入賞演出と演出内容が少なくとも一部で共通するベルリプ入賞演出が行われる。これにより、ベルリプの入賞が発生したときでも、あたかも通常ベルの入賞が発生したかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0386】
また、ベルリプフリーズの開始から3秒間の解除不許可期間が経過した後、遊技者がメダル投入をしたときに、ベルリプフリーズが終了する一方で、メダル投入によってクレジットカウンタが加算更新される。ここで、仮に、ベルリプフリーズの開始からベルリプフリーズの解除が禁止される解除不許可期間、およびベルリプフリーズの解除が許可される解除許可期間が設けられなかった場合、せっかちな遊技者に対してはベルリプ入賞演出を見せることができず、遊技の興趣の向上を図ることができない虞がある。その一方で、ベルリプ入賞演出を見せるために過度にベルリプフリーズの実行期間を設けてしまうと、遊技をなるべく早く進行させたい遊技者が不満を感じてしまう虞がある。しかしながら、本実施の形態のように、解除不許可期間および解除許可期間を設けることにより、解除不許可期間ではベルリプ入賞演出を遊技者に見せるとともに、解除不許可期間が経過した後の解除許可期間では遊技者の意向によりフリーズを早期に終了させることができる。
【0387】
さらに、解除不許可期間中においてはクレジットの加算更新が行われず、解除不許可期間が経過した後にクレジットの加算更新が行われることにより、解除不許可期間が経過した後の解除許可期間では、メダルが投入されたにもかかわらずクレジットカウンタが加算更新されないといったことが起こらず、円滑に遊技を進行させることができる。
【0388】
また、図31に示すように、通常ベルの入賞が発生したときには、メダルが払い出される払出期間を経過した後、遊技者がメダル投入をしたときに、メダル投入によってクレジットカウンタが加算更新されるため、ベルリプの入賞が発生したときにおけるクレジットカウンタの加算更新と通常ベルの入賞が発生したときにおけるクレジットカウンタの加算更新とが、似通った制御内容となる。これにより、ベルリプの入賞が発生したときでも、あたかも通常ベルの入賞が発生したかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0389】
また、通常ベルに限らず、スイカなどの小役の入賞が発生したときにも、メダルが払い出される払出期間を経過した後、遊技者がメダル投入をしたときに、メダル投入によってクレジットカウンタが加算更新されるため、ベルリプの入賞が発生したときにおけるクレジットカウンタの加算更新とスイカなどの小役の入賞が発生したときにおけるクレジットカウンタの加算更新とが、似通った制御内容となる。これにより、ベルリプの入賞が発生したときでも、あたかもスイカなどの小役の入賞が発生したかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0390】
ベルリプフリーズを解除するためにはMAXBET操作やメダル投入などをする必要があり、しかもベルリプフリーズが解除された後でなければ、ベルリプの入賞によって自動BETされない。このため、遊技者に対して通常ベルが入賞した後にMAXBET操作やメダル投入を伴い次のゲームを開始できるようになったかのように思わせることができ、違和感を与えない。
【0391】
また、図16のS91に示すように、ベルリプの入賞が発生したときには、ベルリプフリーズの解除不許可期間が経過した後に、クレジットカウンタが上限の50枚でないことを条件に投入要求LED17が点灯される。これにより、ベルリプの入賞が発生したときでも、投入要求LED17の点灯によりメダルの投入が促されるため、あたかも通常ベルの入賞が発生したかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0392】
また、図16のS92に示すように、ベルリプの入賞が発生したときには、ベルリプフリーズの解除不許可期間が経過した後に、BETスイッチ有効LED21が点灯される。これにより、ベルリプの入賞が発生したときでも、BETスイッチ有効LED21の点灯により1枚BETスイッチ5やMAXBETスイッチ6によるBET操作が促されるため、あたかも通常ベルの入賞が発生したかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0393】
また、図31に示すように、通常ベルが入賞したときのベル入賞演出とベルリプが入賞したときのベルリプ入賞演出とで演出の制御内容が同一であるため、ベルリプの入賞が発生したときでも、あたかも通常ベルの入賞が発生したかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0394】
図32(b)は、他機であるスロットマシン1以外のスロットマシン(他のスロットマシン)についての入賞演出の一例である。たとえば、他のスロットマシンにおいては、小役であるベルに入賞したときに、入賞ライン上に「ベル-ベル-ベル」の図柄組合せが導出されて、入賞演出が行われるものとする。このときの入賞演出では、筺体上部に設けられたスピーカからメダル払出音(「チャリン」という音)が出力される。
【0395】
ここで、図32(a)に示すスロットマシン1におけるベルリプ入賞時と、図32(b)に示す他のスロットマシンにおけるベル入賞時とを比較すると、スロットマシン1におけるベルリプ入賞時には、入賞ラインL1以外の無効ライン上に「ベル-ベル-ベル」の図柄組合せが導出されるのに対して、他のスロットマシンにおけるベル入賞時には、入賞ライン上に「ベル-ベル-ベル」の図柄組合せが導出される。また、スロットマシン1におけるベルリプ入賞時には、ベルリプ入賞演出が行われてスピーカ53、54からメダル払出音(「チャリン」という音)が出力されるのに対して、他のスロットマシンにおけるベル入賞時においても、同じように入賞演出が行われてスピーカからメダル払出音(「チャリン」という音)が出力される。そのため、本実施の形態におけるスロットマシン1を遊技する遊技者は、他のスロットマシンで過去に遊技をしたことがあったり、雑誌などによって他のスロットマシンでベル入賞したときの態様を見たことがあったりした場合、その経験則からスロットマシン1におけるベルリプ入賞をベル入賞であると認識する可能性が大きい。
【0396】
これにより、スロットマシン1においてベルリプの入賞が発生したときには、他のスロットマシンにおいてベルの入賞が発生したときとは異なるライン上にベルの入賞が発生したときと同じ「ベル-ベル-ベル」の図柄組合せが導出されるため、あたかもベルの入賞が発生したかのように遊技者に認識させることができる。さらに、スロットマシン1においてベルリプの入賞が発生したときには、次のゲームが開始可能となる開始前状態への制御を遅延させるベルリプフリーズが行われる。ベルリプフリーズの開始から3秒間の解除不許可期間においては、他のスロットマシンにおいて小役であるベルの入賞が発生したときに行われる入賞演出と演出内容が少なくとも一部で共通するベルリプ入賞演出が行われる。これにより、ベルリプの入賞が発生したときでも、あたかもベルの入賞が発生したかのように遊技者に十分認識させることができ、遊技者に違和感を与えることがない。
【0397】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1を遊技する遊技者が、ベルリプに入賞したときに小役の入賞が発生したかのように認識する要因としては、他のスロットマシンでベルに入賞すること以外に以下のものが考えられる。たとえば、図32(b)に示すように、他のスロットマシンにおいて、ベルの図柄と同じ黄色の図柄である小役のバナナが入賞する場合であっても、スロットマシン1においてベルリプの入賞が発生したときには、あたかも小役の入賞が発生したかのように遊技者に認識させることができる。さらに、図32(b)に示すように、他のスロットマシンにおいて、ベルの図柄と異なる色の図柄である小役のメロンが入賞する場合であっても、再遊技役のように「リプレイ」の図柄が揃わない小役が入賞するものであるため、スロットマシン1において同じように「リプレイ」の図柄が揃わないベルリプの入賞が発生したときには、あたかも小役の入賞が発生したかのように遊技者に認識させることができる。
【0398】
[変形例]
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例などについて説明する。
【0399】
[入賞演出について]
本実施の形態においては、通常ベルに入賞したときに行われるベル入賞演出は、演出効果LED52が黄色に点灯するとともに、スピーカ53、54からメダル払出音(「チャリン」という音)が出力される演出であった。また、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに行われるベルリプ入賞演出では、スピーカ53、54からメダル払出音(「チャリン」という音)が出力される演出であった。しかしながら、ベル入賞演出およびベルリプ入賞演出の演出内容は、その他の演出内容であってもよい。たとえば、ベル入賞演出およびベルリプ入賞演出の演出内容は、液晶表示器51の画面上に通常の遊技では表示されない特別な演出画像が表示されたり、通常の遊技でも表示されるキャラクタの画像について当該キャラクタの色が変化した画像が表示されたり、「ベル」の絵柄が表示されたりするものであってもよい。その他、演出内容としては、演出画像、音楽(BGMなど)、音色、LEDの色などが挙げられる。ベルリプ入賞演出が行われたときに、通常ベルが入賞したときのベル入賞演出と少なくとも一部が共通する演出が行われて、あたかも通常ベルの入賞が発生したかのように遊技者に認識させることができるものであれば入賞演出の内容はいずれのものであってもよい。また、ベルリプ入賞演出が行われたときに、他のスロットマシンにおける小役(たとえば、図32に示すベル、バナナ、メロン)が入賞したときの入賞演出と少なくとも一部が共通する演出が行われて、あたかも小役の入賞が発生したかのように遊技者に認識させることができるものであれば入賞演出の内容はいずれのものであってもよい。
【0400】
また、ベルリプ入賞演出とベル入賞演出とでは、スピーカ53、54からメダル払出音が出力される点で、演出内容が共通しているが、これに限らず、その他の点で両演出の演出内容が少なくとも一部で共通するものであってもよい。また、本実施の形態においては、ベルリプ入賞演出と他のスロットマシンにおけるベル入賞時、バナナ入賞時、メロン入賞時に行われる入賞演出とでは、スピーカ53、54からメダル払出音が出力される点で、演出内容が共通しているが、これに限らず、その他の点で両演出の演出内容が少なくとも一部で共通するものであってもよい。
【0401】
また、ベルリプ入賞演出とベル入賞演出とでは、入賞直後から入賞演出が開始され、かつ所定期間である3秒間が経過すると入賞演出が終了する点で、演出の制御内容が同一であったが、これに限らない。たとえば、ベルリプ入賞演出とベル入賞演出とでは、入賞直後から入賞演出が開始される点が同一であり、演出期間は異なるものであってもよい。つまり、入賞演出の開始タイミングが同一であるという点で両演出の制御内容が同一となるものであってもよい。あるいは、ベルリプ入賞演出とベル入賞演出とでは、入賞直後から入賞演出が開始される点が異なり、演出期間は同一であるものであってもよい。つまり、入賞演出の演出期間が同一であるという点で両演出の制御内容が同一となるものであってもよい。また、入賞演出の開始タイミングおよび演出期間以外の点で、ベルリプ入賞演出とベル入賞演出とで制御内容が同一となるものであってもよい。その他の制御内容としては、演出画像の表示タイミングや表示期間、音楽(BGMなど)の音量、LEDの輝度などが挙げられる。
【0402】
[ベルリプフリーズについて]
本実施の形態では、ベルリプ入賞後であって自動BETされるまでにおいて、図16に示すベルリプフリーズ処理を実行して、ベルリプフリーズを発生させる例について説明した。しかし、ベルリプフリーズは、ベルリプ入賞ゲーム終了時に発生あるいは発生開始するもの(たとえば、図12のS6の入賞判定処理やS7の払出処理においてベルリプフリーズ処理を実行するもの)であってもよい。
【0403】
また、ベルリプ入賞時に100%の確率でベルリプフリーズが実行されるものに限らず、ベルリプ入賞時にフリーズ抽選を実行して、所定確率(たとえば、50%など、100%未満の確率)でベルリプフリーズが実行されるものであってもよい。また、このフリーズ抽選において、ベルリプ入賞演出を実行するか否かを抽選で決定するものであってもよい。さらに、このフリーズ抽選において、解除不許可期間の長さを抽選で決定するものであってもよい。
【0404】
[BET操作の促進について]
本実施の形態においては、図16のS92に示すように、ベルリプフリーズが実行されて解除不許可期間が経過した後には、投入要求LED17やBETスイッチ有効LED21を点灯することによって遊技者に対してBET操作を促していたが、これに限らない。たとえば、液晶表示器51の画面上に「BET操作せよ」といったメッセージ画像を表示するなどの演出を実行することにより、遊技者に対してBET操作を促すものであってもよい。
【0405】
[ベルリプフリーズの解除について]
本実施の形態においては、ベルリプフリーズを解除する(終了させる)ための条件として、BET操作およびメダル投入(解除センサによる検出)が設定されていた。しかしながら、これに限らず、その他の条件であってもよい。
【0406】
たとえば、ベルリプフリーズの開始から所定期間(たとえば、解除不許可期間よりも長い10秒間)の経過でフリーズ解除条件が成立するものであってもよいし、精算スイッチ10の操作によってフリーズ解除条件が成立するものであってもよい。通常ベルなどの小役が入賞したときに、次のゲームを開始するために遊技者が通常行う操作であれば、当該操作をフリーズ解除条件として設定してもよい。たとえば、通常ベルなどの小役が入賞したときに、必ず点灯することで遊技者に操作を促すボタンがあれば、当該ボタンの操作をフリーズ解除条件として設定してもよい。
【0407】
また、ベルリプフリーズを、所定時間の経過、BET操作、メダル投入、およびクレジット精算操作のうち、いずれか一つのみで解除するものであってもよい。たとえば、メダル投入のみによりフリーズ解除条件が成立するものであってもよい。また、これらの複数の条件の全てが成立したとき、もしくはこれら複数の条件のうち任意の2以上の条件が成立したときにベルリプフリーズが解除されるものであってもよい。
【0408】
また、本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、遊技者にBET操作やメダル投入を促す方法として、ベルリプフリーズを実行するものであった。しかしながら、フリーズに限らず、たとえば、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、通常ベルに入賞したときと同じように、液晶表示器51にBET操作やメダル投入などを促す画像を表示してもよいし、スピーカ53、54からBET操作やメダル投入などを促す音を出力するものであってもよい。
【0409】
また、投入メダルを検出する解除センサは流路切替ソレノイド30よりもメダル投入部4に近い側(つまり、流路切替ソレノイド30よりも上流側)に設けられていたが、これに限らない。たとえば、解除センサは、流路切替ソレノイド30とホッパータンク34aとの間の流路に設けられていてもよい。この場合、解除不許可期間が経過した後には、図16のS90で流路切替ソレノイド30がonの状態にされるため、投入メダルがホッパータンク34a側へと流下して解除センサにより検出されてフリーズが終了することになる。これにより、フリーズ解除とともにメダルがメダル払出口9から払い出されるといった不都合が生じることがない。
【0410】
また、ベルリプフリーズを解除する解除センサは、投入メダルセンサ31が備える複数のセンサのうちの特定センサが用いられるものであってもよい。この場合において、これら複数のセンサ全てが流路切替ソレノイド30より下流側に設けられているものであってもよいし、複数のセンサのうち特定センサについては流路切替ソレノイド30よりもメダル投入部4に近い側(つまり、流路切替ソレノイド30よりも上流側)に設けられているものであってもよい。さらに、メダル投入によるフリーズ解除条件が成立したか否かについては、投入メダルセンサ31が備える複数のセンタ全ての検出結果(適正な検出結果となるか否か)に基づき判定されるものであってもよい。
【0411】
また、本実施の形態では、解除不許可期間が経過したことを条件に、図16のS90で流路切替ソレノイド30がonの状態にされるものであったが、これに限らない。たとえば、解除不許可期間が経過し、かつ解除センサによって投入メダルが検出されたことを条件(つまり、フリーズが終了したことを条件)に、流路切替ソレノイド30がonの状態にされるものであってもよい。この場合であっても、解除センサが流路切替ソレノイド30よりも上流側に設けられていることにより、流路切替ソレノイド30がonの状態にされているか否かにかかわらず、投入メダルが解除センサで検出されたことによりフリーズ解除条件が成立する。
【0412】
[ベルリプフリーズ実行時のクレジット更新について]
本実施の形態においては、ベルリプが入賞したときには、解除不許可期間ではメダルの投入自体が受け入れられてもクレジットの加算更新が行われず、解除不許可期間が経過した後ではメダルの投入自体が受け入れられてクレジットの加算更新が行われるものであった。しかしながら、これに限らず、解除不許可期間ではメダルの投入自体が受け入れられないためにクレジットの加算更新が行われず、解除不許可期間が経過した後ではメダルの投入自体が受け入れられてクレジットの加算更新が行われるものであってもよい。また、この場合において、通常ベルが入賞したときにも、同様に、払出期間ではメダルの投入自体が受け入れられないためにクレジットの加算更新が行われず、払出期間が経過した後ではメダルの投入自体が受け入れられてクレジットの加算更新が行われるものであってもよい。
【0413】
[リプレイ入賞後における投入・精算の許容タイミングについて]
本実施の形態では、図17(c)、(d)で示したように、リプレイ入賞後において投入(クレジット)・精算が許容されるタイミングが、リプレイ入賞による自動BETの開始時あるいは完了時である例について説明したが、これに限らず、リプレイ入賞による自動BETの開始後あるいは完了後において所定条件が成立したタイミングであってもよい。所定条件は、所定時間経過することにより成立するものや、所定の処理が終了することにより成立するものであってもよい。
【0414】
リプレイ入賞による自動BETの完了後において所定条件が所定時間経過することにより成立する例として、たとえば、図13のS17で設定されたBETコマンド(BET音あり)がサブ制御部91に出力されて当該コマンドに基づいて3回目のBET音の出力が完了するまでに要する平均的な時間を時間Aとした場合に、所定条件がS15でYESと判定されてから時間Aが経過したときに成立するものであってもよく、また、図13のS18で設定されたBETコマンド(BET音なし)がサブ制御部91に出力されて受信されるまでに要する平均的な時間を時間Bとした場合に、所定条件がS15でYESと判定されてから時間Bが経過したときに成立するものであってもよい。S15においてYESと判定された後、所定条件が成立したときにS21に移行可能となるようにしてもよい。
【0415】
本実施の形態では、リプレイの種類にかかわらず、リプレイ入賞後における投入が許容される例について説明したが、これに限らず、リプレイの種類に応じてリプレイ入賞後における投入が許容されるように構成してもよい。たとえば、第1のリプレイ入賞後においては投入が許容されないのに対し、第2のリプレイ入賞後においてのみ投入が許容されるようにしてもよい。つまり、リプレイの入賞が気付き難いときにのみ投入が許容されるようにして、遊技者に煩わしさを抱かせることなく利便性を向上させるようにしてもよい。
【0416】
また、本実施の形態では、リプレイの種類にかかわらず、リプレイ入賞後における精算が許容される例について説明したが、これに限らず、リプレイの種類に応じてリプレイ入賞後における精算が許容されるように構成してもよい。たとえば、第1のリプレイ入賞後においては精算が許容されないのに対し、第2のリプレイ入賞後においてのみ精算が許容されるようにしてもよい。つまり、リプレイの入賞が気付き難いときにのみ精算が許容されるようにして、遊技者に煩わしさを抱かせることなく利便性を向上させるようにしてもよい。
【0417】
[通常ベルとベルリプ1?5との関係について]
本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、入賞ラインL1上に入賞したベルリプ1?5のいずれかに対応する図柄組合せが表示されるとともに、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段に跨った位置、もしくは左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段に跨った位置に通常ベルの図柄組合せである「ベル-ベル-ベル」が表示されるものであった。しかしながら、その他の役や図柄組合せ、表示位置であってもよい。
【0418】
たとえば、通常ベルに限らず、チェリーやスイカなどその他の小役であってもよい。また、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に表示される図柄組合せは、通常ベルのように「ベル」図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果に限らず、スイカ1?8のように「スイカ」図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、チェリー1?3のように「チェリー」図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、あるいは「チェリー」図柄とその他の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、あるいは複数のリールのうちいずれかのリールの一部に「チェリー」図柄が導出される表示結果であってもよい。つまり、他の一般的なスロットマシンで小役として用いられていることで遊技者が経験則から小役であると認識しがちな、「ベル」図柄揃い、「スイカ」図柄揃い、「チェリー」図柄揃い、あるいは「チェリー」図柄とその他の図柄からなるものであってもよい。上記のことから、「他のスロットマシン」は、たとえば、「ベル」図柄揃い、「スイカ」図柄揃い、「チェリー」図柄揃い、あるいは「チェリー」図柄とその他の図柄からなるものなどが入賞ライン上に導出されたときにメダルの払い出しが行われる小役の入賞が発生するものが該当する。
【0419】
また、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に表示される図柄組合せは、通常ベルのように「ベル」図柄を想定させるような黄色の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果に限らず、スイカ1?8のように「スイカ」図柄を想定させるような緑色の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、チェリー1?3のように「チェリー」図柄を想定させるような赤色の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、あるいは「チェリー」図柄を想定させるような赤色の図柄とその他の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果」、あるいは複数のリールのうちいずれかのリールの一部に「チェリー」図柄を想定させるような赤色の図柄が導出される表示結果であってもよい。つまり、他の一般的なスロットマシンで小役として用いられていることで遊技者が経験則から小役であると認識しがちな、黄色の図柄揃い、緑色の図柄揃い、赤色の図柄揃い、あるいは赤色の図柄とその他の図柄からなるものであってもよい。上記のことから、「他のスロットマシン」は、たとえば、黄色の図柄揃い、緑色の図柄揃い、赤色の図柄揃い、あるいは赤色の図柄とその他の図柄からなるものなどが入賞ライン上に導出されたときにメダルの払い出しが行われる小役の入賞が発生するものが該当する。
【0420】
さらに、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に表示される図柄組合せは、通常ベルのような小役の図柄組合せに限らず、遊技者に小役と認識させる図柄組合せであればよい。言い換えると、遊技者に再遊技役やハズレの図柄組合せが導出されたと認識させる図柄組合せ以外の図柄組合せであればよい。遊技者に再遊技役が導出されたと認識させる図柄組合せとしては、「再」、「再遊技」、「再遊戯」、「リプレイ」、「リプ」、「りぷ」、「りぷれい」、「R」、「RE」、「REP」、「RP」、および「REPLAY」のうちいずれかの文字が付された図柄から構成される図柄組合せがある。また、所定の果物(たとえば、ベル、スイカ、チェリー、バナナ、メロン)の図柄から構成される図柄組合せが小役であるものとすれば、遊技者に再遊技役が導出されたと認識させる図柄組合せとしては、所定の果物(たとえば、ベル、スイカ、チェリー、バナナ、メロン)以外の果物の図柄から構成される図柄組合せがある。また、小役が導出されたときに払い出し音が鳴るものであれば、導出されたときに、その払い出し音が鳴る図柄組合せは、遊技者に小役と認識させる図柄組合せとなる。上記のことから、「他のスロットマシン」は、たとえば、「バナナ」や「メロン」といった所定の果物の図柄から構成される図柄組合せなどのように、遊技者に再遊技役やハズレの図柄組合せが導出されたと認識させる図柄組合せ以外の図柄組合せが入賞ライン上に導出されたときにメダルの払い出しが行われる小役の入賞が発生するものが該当する。
【0421】
また、本実施の形態においては、「通常ベル」が入賞することでメダルの払い出しがあるが、「通常ベル」が入賞してもメダルが払い出されないものであってもよい。たとえば、「通常ベル」が入賞することで次のゲームがメダルを消費することなく行えるものであってもよい。この場合でも、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に通常ベルの図柄組合せが導出されることで遊技者は他の一般的なスロットマシンで小役として認識しているために、メダルが払い出されるものだと認識させることができる。
【0422】
さらに、たとえば、「通常ベル」は入賞しないハズレ図柄の組合せであってもよい。この場合でも、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に通常ベルの図柄組合せが導出されることで、遊技者は他の一般的なスロットマシンで小役として認識しているために、メダルが払い出されるものだと認識させることができる。
【0423】
なお、「通常ベル」の図柄組合せにおいて、スロットマシン固有の図柄、たとえば、ロゴや小役によく用いられる色(黄色、緑色、赤色)以外の色の図柄を用いる場合には、他の一般的なスロットマシンで小役として認識されていないため、入賞によってメダルの払い出しが行われるものである必要がある。
【0424】
また、左リール2Lの中段、中リール2Cの中段、右リール2Rの中段を結ぶ入賞ラインL1に限らず、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段を結ぶ入賞ラインL2、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段を結ぶ入賞ラインL3、左リール2Lの下段、中リール2Cの中段、右リール2Rの上段を結ぶ入賞ラインL4、左リール2Lの下段、中リール2Cの下段、右リール2Rの下段を結ぶ入賞ラインL5などを用いてもよい。さらに、1本の入賞ラインに限らず、複数本の入賞ラインが設定されているものであってもよい。上記のような入賞ラインを設定するものであっても、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、入賞ライン上に入賞したベルリプ1?5のいずれかに対応する図柄組合せが表示されるとともに、入賞ライン以外のラインに通常ベルの図柄組合せが表示されるものであればよい。
【0425】
また、本実施の形態においては、入賞が発生する位置にベルリプ1?5のいずれかの図柄組合せが導出したときに、入賞が発生しない位置に通常ベルの図柄組合せが導出するパターンを用いていたが、これに限らない。たとえば、入賞が発生する位置にベルリプ1?5のいずれかの図柄組合せが導出したときに、入賞が発生する位置に通常ベルの図柄組合せが導出するパターンであってもよい。また、たとえば、入賞が発生しない位置にベルリプ1?5のいずれかの図柄組合せが導出したときに、入賞が発生する位置に通常ベルの図柄組合せが導出するパターンであってもよい。また、たとえば、入賞が発生しない位置にベルリプ1?5のいずれかの図柄組合せが導出したときに、入賞が発生しない位置に通常ベルの図柄組合せが導出するパターンであってもよい。
【0426】
また、本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかの図柄組合せが導出したことによってベルリプ1?5のいずれかが入賞し、かつその他の位置に導出された通常ベルの図柄組合せによっては入賞しないパターンを用いていたが、これに限らない。たとえば、ベルリプ1?5のいずれかの図柄組合せが導出したことによってはベルリプ1?5が入賞せず、かつその他の位置に導出された通常ベルの図柄組合せによっては入賞するパターンであってもよい。また、たとえば、ベルリプ1?5のいずれかの図柄組合せが導出したことによってはベルリプ1?5が入賞せず、かつその他の位置に導出された通常ベルの図柄組合せによっても入賞しないパターンであってもよい。
【0427】
[精算処理について]
前述した実施の形態では、精算処理に関して、メダル投入あるいは1枚BETスイッチ5かMAXBETスイッチ6が操作されることにより賭数が設定されている状態において、精算スイッチ10が操作されると、図14のS56でNOと判定されてS57において賭数精算処理を行い、その後、再び精算スイッチ10が操作されると、図14のS56でYESと判定されてS59においてクレジット精算処理を行う例、つまり最初の精算操作で賭数精算を行い、次の精算操作でクレジット精算を行う例について説明した。しかし、精算処理は、このようなパターンで行うものに限らず、以下のようなパターンで行うものであってもよい。
【0428】
パターンa:最初の精算操作でクレジット精算を行い、次の精算操作で賭数精算を行うものであってもよい。たとえば、S56においてクレジットカウンタの値が0であるか否かを判定し、クレジットカウンタの値が0でないと判定されたときにS59に進んでクレジット精算を行い、クレジットカウンタの値が0であると判定されたときにS57に進んで賭数精算を行うようにしてもよい。
【0429】
パターンb:最初の精算操作で賭数分をクレジット加算することにより賭数精算を行い、次の精算操作でクレジット精算を行うものであってもよい。たとえば、設定されている賭数が3でクレジットが40である場合、最初の精算操作で賭数分の3をクレジット加算してクレジットを43とすることにより賭数精算を行い、次の精算操作で43枚メダルを払い出すことによりクレジット精算を行うものであってもよい。この場合において、最初の精算操作による賭数精算が行われることにより、クレジットカウンタの値が50を超えてしまう場合も考えられる。この場合には、クレジットカウンタの値が50を超えた値に設定されるようにしてもよく、50を超えた分のメダルに関して賭数精算時に払い出すようにしてもよい。
【0430】
パターンc:1回の精算操作で、まず賭数精算を行い、その後に引き続いてクレジット精算を行うものであってもよい。たとえば、S56でNOと判定されたときには、賭数精算を行った後に引き続いてクレジット精算を行い、S56でYESと判定されたときには、クレジット精算を行うようにしてもよい。
【0431】
パターンd:1回の精算操作で、まずクレジット精算を行い、その後に引き続いて賭数精算を行うものであってもよい。たとえば、S56においてクレジットカウンタの値が0であるか否かを判定し、クレジットカウンタの値が0でないと判定されたときにはクレジット精算を行った後に引き続いて賭数精算を行い、クレジットカウンタの値が0であると判定されたときには賭数精算を行うようにしてもよい。
【0432】
パターンe:1回の精算操作で、まず賭数分をクレジット加算することにより賭数精算を行い、その後に引き続いてクレジット精算を行うものであってもよい。たとえば、設定されている賭数が3でクレジットが40である場合に精算操作が行われることにより、賭数分の3をクレジット加算してクレジットを43とすることにより賭数精算を行い、その後に引き続いて43枚メダルを払い出すことによりクレジット精算を行うものであってもよい。この場合において、精算操作による賭数精算が行われることにより、クレジットカウンタの値が50を超えてしまう場合も考えられる。この場合には、クレジットカウンタの値が50を超えた値に設定されるようにしてもよく、50を超えた分のメダルに関して賭数精算時に払い出すようにしてもよい。
【0433】
[BET音について]
(a) 前述した実施の形態では、第1のリプレイ入賞後において自動BETされたときにはBET音を出力させ、第2のリプレイ入賞後において自動BETされたときにはBET音を出力させない例について説明した。しかし、入賞したリプレイの種類にかかわらず、自動BETされたときにはBET音を出力させないようにしてもよく、逆に自動BETされたときにはBET音を出力させるようにしてもよい。
【0434】
また、前述した実施の形態では、BET音の有無について、BETコマンドの種類によって判別する例について説明したが、これに限らず、入賞判定コマンドにより入賞していたリプレイの種類を判別することにより、BET音の有無を判別するようにしてもよい。
【0435】
また、前述した実施の形態では、入賞したリプレイの種類にかかわらず、BETカウンタの値が加算された後に、BETカウンタの値に応じて、1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16を順番に点灯させる処理を行う例について説明したが、これに限らず、第1のリプレイ入賞後において自動BETされた後においてのみ1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16を順番に点灯させる処理を行い、第2のリプレイ入賞後において自動BETされた後においては当該処理を行わないようにしてもよい。
【0436】
(b) 本実施の形態では、第2のリプレイ入賞後においてメダルが投入された際に、S39においてクレジットコマンド(BET音あり)が出力されて、BET音を出力させる例について説明したが、これに限らず、入賞したリプレイの種類にかかわらずBET音を出力させるようにしてもよい。たとえば、S36では、リプレイ入賞であったか否かを判定するようにしてもよい。
【0437】
(c) 本実施の形態では、リプレイ入賞後においてクレジット加算された場合に、規定数分までBET音を出力させる例について説明したが、クレジット加算された場合に限らず、たとえば、1枚BETスイッチ5やMAXBETスイッチ6が操作された場合にも、操作に応じて規定数分までBET音を出力させるようにしてもよい。
【0438】
[ナビストック抽選について]
本実施の形態においては、ATフリーズが実行されることで、ナビストック抽選においてナビストック数が付与される確率および付与される場合のナビストック数が多くなる確率が高くなり、遊技者の有利度合いを向上させるものであった。しかしながら、遊技者の有利度合いを向上させる方法としては、その他の方法でもよい。
【0439】
たとえば、ATフリーズが実行されることで、ナビストック抽選を行うことなく必ずナビストックが付与されるものであってもよい。また、ATフリーズが実行されることで、ナビストック抽選の実行契機となるAT抽選役の種類が所定ゲーム数の間だけ増えるものであってもよい。ATフリーズが実行されたときには、ATフリーズが実行されなかったときよりも遊技者の有利度合いが向上するものであれば、いずれの方法を用いてもよい。
【0440】
[判定用ナビ演出について]
本実施の形態では、判定用ナビ演出が行われるための判定用役として、通常リプや押し順リプを用いるものであったが、これに限らずその他の役であってもよい。また、本実施の形態では、メイン制御部41は、所定の判定用ナビ演出をサブ制御部91にさせることによって、AT中であるか否かを特定していたがその他の演出状態を特定するものであってもよい。たとえば、メイン制御部41は、サブ制御部91側における、ナビストック抽選での抽選モード(高確率モード、低確率モード)などの有利な遊技状態に関する抽選確率、獲得されたナビストック数やナビストックの有無などの有利な遊技状態へ移行させるための権利に関するもの、有利な遊技状態のゲーム数や継続率、プレミア演出や設定示唆演出の実行されやすさ、演出種類、遊技者に携帯端末の壁紙や音楽を付与するための二次元コードの表示の有無、携帯端末の壁紙や音楽の付与の有無など、本実施の形態と異なる態様の演出制御状態を特定するものであってもよい。さらには、メイン制御部41が、サブ制御部91の制御する有利度以外の制御状態、たとえば、サブ制御部91側が判定した異常、不正行為の可能性、時間などをメイン制御部41が特定するものであってもよい。
【0441】
[AT開始判定処理について]
本実施の形態においては、図24のSk5に示すように、判定用役に対する押し順と遊技者が実際に操作した押し順とが3回一致したときに、メイン制御部41がATの開始を特定して、AT信号を外部出力するものであったが、このような判定処理に限らない。
【0442】
たとえば、ATに制御されれば、押し順リプ2や押し順リプ3に当選したゲームでナビ演出によって通常状態からRT状態への移行契機となるベルリプ5を入賞させることができるため、メイン制御部41は、ベルリプ5に入賞したことに基づいて、ATの開始を特定して、AT信号を外部出力するものであってもよい。
【0443】
[AT終了判定処理について]
本実施の形態においては、図25のSm3に示すように、RT状態から通常状態への移行契機となるベルリプ1?4のいずれかに入賞したことを判定することによって、メイン制御部41がATの終了を特定するものであったが、このような判定処理に限らない。
【0444】
たとえば、メイン制御部41は、ベルリプ1?4のいずれかに入賞したことを1回特定したときにATの終了を特定するものに限らず、複数回(たとえば、3回)特定したときにATの終了を特定するものであってもよい。これにより、AT中でありナビ演出が実行されていたにもかかわらず、遊技者が操作手順を誤るなどしてベルリプ1?4のいずれかに1回だけ入賞してしまった場合でも、即座にAT信号の外部出力が解除されてしまうことを防止できる。
【0445】
また、所定期間内において所定回特殊出目が停止したときにAT信号の外部出力を解除するようにしてもよい。たとえば、特殊出目が停止されてから所定ゲーム(たとえば10ゲーム)消化するまでの間に、所定回(たとえば2回)特殊出目が停止されたときにAT信号の外部出力を解除するようにしてもよく、また、特殊出目が停止されてから特殊出目が停止可能な当選状況に所定回数(10回)なるまでの間に、所定回(たとえば2回)特殊出目が停止されたときにAT信号の外部出力を解除するようにしてもよい。
【0446】
また、ベルリプ1?4などのように、入賞するものに限らず、たとえば、ベルの入賞を取りこぼしたときにのみ導出される出目など、いずれの入賞を発生させない予め定められたハズレ表示結果が導出されたときにATの終了を特定するものであってもよい。
【0447】
また、本実施の形態においては、メイン制御部41がATの開始を特定したときにAT信号を外部出力し、ATの終了を特定したときにAT中に出力し続けていたAT信号の外部出力を解除するものであった。これにより、データカウンタ200などの外部機器は、AT信号の出力が開始されたときにATの開始を特定し、AT信号が出力されなくなったときにATの終了を特定することができるものであった。しかしながら、このような形態に限らない。たとえば、メイン制御部41がATの開始を特定したときにAT開始信号を外部出力し、ATの終了を特定したときにAT終了信号を外部出力するものであってもよい。つまり、ATの開始時および終了時の両方ともにおいて開始または終了を示す信号をメイン制御部41が外部出力するものであってもよい。これによれば、データカウンタ200などの外部機器は、AT開始信号が出力されたときにATの開始を特定し、AT終了信号が出力されたときにATの終了を特定することができる。
【0448】
[賭数の報知について]
本実施の形態では、スピーカ53、54および液晶表示器51、クレジット表示器11を用いて賭数の報知を行う例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、リールの背面側(内側)に配置されたバックランプ(上記実施形態のリールLED55)、リールの前面側に配置された透過液晶表示器(リールを目視できるように構成された液晶表示器)、前面扉1bなどに取り付けられたランプやLED、BETスイッチの振動、BETスイッチの周囲からの送風、BETスイッチの温度の変化など、上記の実施形態と異なる手段で賭数の報知を行うものであってもよい。また、報知は他の機能を有する装置の一部を利用して行ってもよいし(たとえば、リールLED55を用いて報知を行う場合にリールLED55はリールを背面側から照明する機能を有する)、報知のみを行う装置を設けて行ってもよい。
【0449】
また、MAXBETスイッチ6の操作が行われて前回ゲームと同一BET数の場合またはリプレイが入賞した場合の両方で1?3BETLED14?16のBET数の表示を引き継ぐ例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、いずれか一方の場合にのみ引き継ぎを行うものであってもよい。
【0450】
[その他の変形例について]
本実施の形態では、3つのリール2L、2C、2Rを有する可変表示装置を備え、全てのリールが停止した時点で1ゲームが終了し、3つのリールに導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生するスロットマシンについて説明した。すなわち、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な複数の可変表示領域のそれぞれに表示結果を導出させることが可能な可変表示装置を備え、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、前記複数の可変表示領域の全てに前記表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、1ゲームの結果として前記複数の可変表示領域のそれぞれに導出された前記表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンについて説明した。しかし、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであれば、3つのリールを有する可変表示装置を備えるものに限らず、1のリールしか有しないものや、3以外の複数のリールを有する可変表示装置を備えるスロットマシンであってもよい。
【0451】
本実施の形態では、メダル並びにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技用価値として遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、遊技用価値としてクレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであってもよい。遊技球を遊技用価値として用いる場合には、たとえば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記実施の形態で賭数として3を設定する場合は15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
【0452】
さらに、メダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値のうちいずれか1種類のみを用いるものに限定されるものではなく、たとえば、メダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値を併用できるものであってもよい。すなわち、メダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値のいずれを用いても賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞によってメダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値のいずれをも払い出し得るスロットマシンであってもよい。
【0453】
本実施の形態として、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すスロットマシンを説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式のスロットマシンを採用してもよい。基盤とドラムとが流通可能で、筺体が共通なもので基盤のみあるいは基盤とドラムとを遊技機と称する。このような封入式のスロットマシンを採用した場合、本実施の形態におけるメダルの投入動作をしてBET操作される内容は、以下のようなものが考えられる。たとえば、封入式のスロットマシンに隣接して設置されたカードユニット機に遊技者所有のICカードが挿入され、当該ICカードに対応付けられた持点(これは、ICカード自体に記憶されてもよいし、遊技者を特定する識別情報に対応付けてカードユニットに記憶されてもよい)を特定し、遊技者によるメダル貸出ボタンの操作によって、封入されたメダルでBET操作が行われるといった態様が考えられる。このような態様においては、フリーズの解除不許可期間で遊技者がメダル貸出ボタンを操作してもフリーズの解除もクレジット更新もされず、解除不許可期間が経過して解除許可期間に移行した後には遊技者がメダル貸出ボタンを操作することでフリーズが解除してクレジット更新がされる。
【0454】
本実施の形態では、2つの遊技状態のみが設定されていたが、これに限らず、役の当選や入賞などに応じて3つ以上の遊技状態の間を遷移するようなスロットマシンであってもよい。また、1つの遊技状態のみが設定され、遊技状態の間を遷移せずに、ATによる払い出しによって遊技者の利益を調整するものであってもよい。また、本実施の形態では、遊技者にとって有利な状態として当選状況に応じた情報が報知されるナビ演出を実行するアシストタイム(AT)に制御する例について説明したが、遊技者にとって有利な状態としては、リプレイの当選確率が高くなるリプレイタイム(RT)の他に、いわゆるボーナス(BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)、もしくはCB(チャンスボーナス)などの特別遊技状態。CBについては、複数の遊技状態(たとえば、RT1、RT2など)のいずれかに制御されたときに、制御中の遊技状態を変化させずにCBが実行される、貫通型のCBであってもよい。)に制御するものであってもよい。
【0455】
ナビストック数が残存している状態で遊技者にとって有利なボーナスに当選したときにおける当該ナビストック数について、クリア(たとえば「0」)する処理を行うものであってもよく、当該ボーナス終了後まで持ち越す処理を行うものであってもよく、所定数減算する処理を行うものであってもよく、所定数上乗せ加算する処理を行うものであってもよく、また当該ボーナス当選ごとにいずれの処理を行うかを決定し、該決定された処理を行うものであってもよい。これにより、ナビストック数が残存している状態においてボーナス当選したときのバリエーションが増加し、遊技の興趣を向上させることができる。
【0456】
本実施の形態では、複数のナビストックが付与されたときに再度のATに移行する権利が付与されるようにした例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、AT中の所定条件の成立で再度のATに移行する権利が付与される、ATの終了時の抽選に当選すると再度のATに移行する権利が付与されるなど、本実施の形態と異なる態様で再度の有利状態に制御するスロットマシンに本実施の形態で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。なお、再度のATに移行する権利が付与されている場合には一旦終了させずにATを連続的に継続してもよいし、セットの区切りで一旦ATを終了させてもよい。
【0457】
本実施の形態では、固定された所定ゲーム数のゲームを行うと1セットのATが終了するものであったが、これに限らず、1セットのATを抽選で決定したゲーム数を消化したときに終了するものなど、本実施の形態と異なる態様で有利状態の終了条件が成立するものであってもよい。
【0458】
本実施の形態では、「割合(比率、確率)」を例示したが、「割合(比率、確率)」は、これに限るものではなく、たとえば0%?100%の範囲内の値のうち、0%を含む値や、100%を含む値、0%および100%を含まない値であってもよい。
【0459】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0460】
1 スロットマシン、2L、2C、2R リール、6 MAXBETスイッチ、7 スタートスイッチ、8L、8C、8R ストップスイッチ、41 メイン制御部、51 液晶表示器、91 サブ制御部、140 ホールコンピュータ、200 データカウンタ、1000 外部出力基板。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技を行うための賭数を設定する賭数設定手段と、
表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、
導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
賭数を設定するために用いられる遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段と、
遊技用価値が投入されることにより前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能な遊技用価値更新手段と、
設定された賭数を特定可能な賭数設定報知を行う賭数設定報知手段とを備え、
前記事前決定手段による決定結果には、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく次のゲームが開始可能となるように賭数を設定する再遊技表示結果組合せのうち、特定表示結果組合せの導出が許容される第1再遊技決定結果と、前記特定表示結果組合せとは異なる所定表示結果組合せの導出が許容される第2再遊技決定結果とが含まれ、
前記事前決定手段の決定結果が前記第1再遊技決定結果であるときには有利状態への制御に関する抽選が実行不可能であるのに対して、前記事前決定手段の決定結果が前記第2再遊技決定結果であるときには当該抽選が実行可能であり、
前記導出制御手段は、
前記事前決定手段による決定結果が前記第1再遊技決定結果である場合には前記特定表示結果組合せを導出可能な制御を行い、
前記事前決定手段による決定結果が前記第2再遊技決定結果である場合には前記所定表示結果組合せを導出可能な制御を行い、
前記遊技用価値更新手段は、前記特定表示結果組合せおよび前記所定表示結果組合せのいずれが導出されたときでも、遊技用価値が投入されることにより前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
前記賭数設定報知手段は、前記特定表示結果組合せおよび前記所定表示結果組合せのいずれが導出されたときでも、前記賭数設定手段によって遊技用価値を用いることなく遊技を行うための賭数が設定されるときに、当該遊技の前の遊技における前記賭数設定報知の態様を引き継ぎ、
前記スロットマシンは、
ゲームが行われているときにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、1ゲームに対して設定されている賭数を記憶する賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、
前記再遊技表示結果組合せが導出されずにゲームが終了した後において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数が予め定められた上限数未満であるときには前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新し、当該上限数に達しているときには前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新し、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了した後から遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となるまでにおいて遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記賭数記憶手段に記憶されている賭数を更新することも前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することもなく、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった以降において遊技者により遊技媒体が投入された場合、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値を更新することが可能であり、
前記再遊技表示結果組合せが導出されてゲームが終了し、遊技者所有の遊技用価値を消費することなく賭数が設定されて次のゲームが開始可能となった後、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値が上限数未満である場合には、遊技媒体の投入が検出されているか否かを判定し、遊技媒体の投入が検出されていない場合には、前記遊技用価値記憶手段に記憶されている遊技用価値に相当する遊技媒体を返却する精算制御を行うための精算操作が遊技者によってされたか否かを判定する、スロットマシン。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-12-24 
出願番号 特願2015-115851(P2015-115851)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 東 治企薄井 義明加藤 範久  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
田邉 英治
登録日 2018-08-17 
登録番号 特許第6385313号(P6385313)
権利者 株式会社三共
発明の名称 スロットマシン  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  

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