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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G06Q |
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管理番号 | 1359590 |
異議申立番号 | 異議2019-700770 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-09-27 |
確定日 | 2020-01-24 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6489617号発明「医薬品在庫管理システム及び、医薬品の請求額の決定方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6489617号の請求項1?6に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第6489617号の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成28年9月14日に特許出願され、平成31年3月8日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、令和元年9月27日に特許異議申立人永井道雄(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 2.本件発明 特許第6489617号の請求項1?6の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 医薬品を該医薬品に応じた環境条件を維持しつつ保管する環境維持保管手段と、 前記環境維持保管手段における前記環境条件に関する情報を取得する保管環境検知手段と、 前記医薬品が前記環境維持保管手段によって保管されていることを検知する保管状態検知手段と、 前記医薬品を該医薬品に応じた環境条件を維持しつつ運搬することが可能な環境維持運搬手段と 前記環境維持運搬手段における前記環境条件に関する情報を取得する運搬環境検知手段と、 前記医薬品が前記環境維持運搬手段によって運搬されていることを検知する運搬状態検知手段と、 前記保管環境検知手段、前記保管状態検知手段、前記運搬環境検知手段及び、前記運搬状態検知手段の少なくとも一つによる検知情報に基づいて、前記医薬品の納入先への請求額を導出する請求額導出手段と、を備え、 前記請求額導出手段は、前記医薬品の納入先に設置された前記環境維持保管手段における前記保管状態検知手段により、所定期間において前記納入先の前記環境維持保管手段から出庫されたことが検知された前記医薬品を請求対象とするとともに、前記保管環境検知手段、前記保管状態検知手段、前記運搬環境検知手段及び、前記運搬状態検知手段の少なくとも一つからの検知情報により、前記医薬品の品質管理コストおよび/または配送コストを算出し、該品質管理コストおよび/または配送コストに基づいて前記医薬品の請求額を導出することを特徴とする医薬品在庫管理システム。 【請求項2】 前記請求額導出手段は、前記保管状態検知手段により、前記請求対象の医薬品が前記納入先の前記環境維持保管手段に入庫されたことが検知された時点の薬価および販売価格を適用して前記請求額を導出することを特徴とする請求項1に記載の医薬品在庫管理システム。 【請求項3】 前記納入先には複数の前記環境維持保管手段が設置され、 前記請求額導出手段は、前記医薬品の納入先に設置された前記環境維持保管手段における前記保管状態検知手段により、所定期間において前記納入先の一の前記環境維持保管手段から出庫されたことが検知された医薬品であって、前記所定期間の終了時において前記納入先に設置された他の前記環境維持保管手段に入庫された状態であることが検知された医薬品は請求対象としないことを特徴とする請求項1または2に記載の医薬品在庫管理システム。 【請求項4】 医薬品を該医薬品に応じた環境条件を維持しつつ保管する環境維持保管手段と、 前記環境維持保管手段における前記環境条件に関する情報を取得する保管環境検知手段と、 前記医薬品が前記環境維持保管手段によって保管されていることを検知する保管状態検知手段と、 前記医薬品を該医薬品に応じた環境条件を維持しつつ運搬することが可能な環境維持運搬手段と 前記環境維持運搬手段における前記環境条件に関する情報を取得する運搬環境検知手段と、 前記医薬品が前記環境維持運搬手段によって運搬されていることを検知する運搬状態検知手段と、を備えた医薬品在庫管理システムを用いた、前記医薬品の納入先への請求額の決定方法であって、 前記医薬品の納入先に設置された前記環境維持保管手段における前記保管状態検知手段により、所定期間において前記納入先の前記環境維持保管手段から出庫されたことが検知された前記医薬品を請求対象とするとともに前記保管環境検知手段、前記保管状態検知手段、前記運搬環境検知手段及び、前記運搬状態検知手段の少なくとも一つからの検知情報により、前記医薬品の品質管理コストおよび/または配送コストを算出し、該品質管理コストおよび/または配送コストに基づいて前記医薬品の請求額を導出することを特徴とする医薬品の請求額の決定方法。 【請求項5】 前記保管状態検知手段により、前記納入先の前記環境維持保管手段に入庫されたことが検知された時点の薬価および販売価格を適用して請求額を導出することを特徴とする請求項4に記載の医薬品の請求額の決定方法。 【請求項6】 前記納入先に複数の前記環境維持保管手段を設置し、 前記医薬品の納入先に設置された前記環境維持保管手段における前記保管状態検知手段により、所定期間において前記納入先の一の前記環境維持保管手段から出庫されたことが検知された医薬品であって、前記所定期間の終了時において前記納入先に設置された他の前記環境維持保管手段のいずれかに入庫された状態である医薬品は請求対象としないことを特徴とする請求項4または5に記載の医薬品の請求額の決定方法。」 3.申立理由の概要 特許異議申立人永井道雄は、主たる証拠として特開2004-234581号公報(以下「文献1」という。)、及び従たる証拠として特開2002ー128244号公報(以下「文献2」という。)、特開2006-277683号公報(以下「文献3」という。)を提出し、請求項1?6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1?6に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 4.文献の記載 (1)文献1 文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 a.「【0019】 (商品決済支援システムのシステム構成) まず、この発明の本実施の形態にかかる商品決済支援装置を含む全体システムのシステム構成について説明する。図1は、この発明の本実施の形態にかかる商品決済支援装置を含む商品決済支援システムのシステム構成を示す説明図である。 【0020】 ここで、100は商品であり、101はネットワーク150に接続された商品決済支援装置(サーバー)であり、102は商品運搬用車両であり、103は、商品運搬用車両102に搭載された情報送信装置であり、104はネットワーク150との接続機能を有する冷蔵庫であり、105はGPS衛星であり、106は無線基地局であり、150は、サーバー101と、冷蔵庫104、無線基地局106を接続するネットワークである。また、商品100には、タグ110が付されている。 【0021】 商品100は、冷凍食品、たとえば冷凍パンなどである。商品運搬用車両102は、たとえばトラックであり、特に商品100が冷凍食品である場合は、冷蔵機能を備えたトラックである。商品運搬用車両102は、図示を省略するが商品搬出入用の扉を備えており、商品100はその扉を開いて荷室へ搬入され、また荷室から搬出される。そして、その扉の開閉を検出するセンサーを備えている。 【0022】 商品運搬用車両102の位置情報は、情報送信装置103がGPS衛星105からの信号を受信し、受信した信号に基づいて無線基地局106へ無線送信する。情報を受信した無線基地局106は、ネットワーク150を介して、サーバー101へ上記位置情報を送信する。ネットワーク150は、一般公衆回線でもよく、またインターネット、LAN、WANなどであってもよい。 【0023】 冷蔵庫104は、庫内に入れられた商品100の温度を一定に保つような温度位置機能(「温度維持機能」の誤記と認める。)を備えている。また、商品100に付されたタグ110の情報を読み取る読み取り部を備えている。そして、読み取った情報をネットワーク150を介してサーバー101へ送信する。サーバー101は、受信した位置情報あるいはタグ110の読み取り情報に基づいて、商品決算情報を生成する。」 b.「【0036】 テンキー307は、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーを備え、データの入力をおこなう。カーソル指示部308は、カーソルの移動や範囲選択などをおこなう。ポインティングデバイスとして同様の機能を備えるものであれば、十字キー、ジョグダイヤルなどであってもよい。扉開閉センサー309は、商品運搬用車両102の商品搬出入扉の開閉を検出する。タグ読取部310は、商品100に付されたタグ110から送信される情報を読み取る。タグ読取部310は、たとえば非接触型のセンサーなどで構成され、商品運搬用車両102の搬出口の近傍に設置される。そして、商品100が搬出口を通って搬出される際に、商品100に付されたタグ110のデータを読み取る。タイマー311は、タグ110の情報が読み取られてからの所定時間を計時する。」 c.「【0038】 ここで、CPU401は、冷蔵庫104の全体の制御を司る。ROM402は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。通信制御部404は、無線基地局106との電波の送受信を制御し、ネットワーク150に接続され、ネットワーク150を介して、商品決済支援装置(サーバー)101に接続される。そして、通信制御部404は、ネットワーク150と内部とのインタフェースを司り、サーバー101とのデータの入出力を制御する。タグ読取部405は、商品100に付されたタグ110から送信される情報を読み取る。たとえば、タグ読取部405は、たとえば非接触型のセンサーなどで構成され、冷蔵庫104の入庫口の近傍に設置される。そして、商品100が入庫口を通って入庫される際に、商品100に付されたタグ110のデータを読み取る。タイマー406は、タグ110の情報が読み取られてからの所定時間を計時する。 【0039】 (タグのハードウエア構成) つぎに、タグ110のハードウエア構成について説明する。図5は、タグ110のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。図5において、タグ105は、CPU501と、ROM502と、RAM503と、温度センサー504と、データ送信部505を備えている。また、各構成部はバス500によってそれぞれ接続されている。 【0040】 ここで、CPU501は、タグ110の全体の制御を司る。ROM502は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶している。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。荷物IDは、タグ110の製造段階においてあらかじめROM502に記憶されていてもよく、また、その後にRAM503に書き込まれてもよい。 【0041】 温度センサー504は、当該タグ110が付された商品の温度を検出する。具体的には、所定の温度以上になった場合には、その旨を通知する信号を出力する。データ送信部505は、タグ110内で出力されるデータをタグ読取装置310,405に読み取り可能に送信する。もしくは、温度センサー504が検出した温度情報をRAM503に記録し、データ送信部505はRAM503に記録され蓄積された温度情報を送信してもよい。」 d.「【0066】 つぎに、上記所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS1303)。ここで、未だ所定時間が経過していない場合(ステップS1303:No)は、当該搬出された商品100が再び荷室に搬入されたか否か、いわゆる“再積載”がなされたか否かを判断する(ステップS1304)。“再積載”の判断には以下のバリエーションが考えられる。 【0067】 第1に、所定の時間内に同じIDが再度読み取られれば、再積載と判断することができる。第2に、タグ読取部310がタグ110の荷物IDを読み取った後、所定時間内(たとえば1分程度)に商品運搬用車両102の乗務員が上記車載端末装置を操作することによって、「出発」ボタンが押下された場合に、再積載と判断することができる。第3に、タグ読取部310がタグ110の荷物IDを読み取った後、所定時間内(たとえば1分程度)に商品運搬用車両102の車速が所定以上になった場合(たとえば、5km/h以上)に、再積載と判断することができる。 【0068】 ステップS1304において、搬出された商品100が搬入されない場合(ステップS1304:No)は、ステップS1303へ戻る。一方、搬出された商品100が搬入された場合(ステップS1304:Yes)は、商品100の配送が完了していないので、商品情報を送信しない。したがって、何もせずに処理を終了する。 【0069】 ステップS1303において、所定時間が経過した場合(ステップS1303:Yes)は、商品100の配送が完了したものと判断して、当該商品100の商品情報、より具体的には荷物IDを商品決済支援装置(サーバー)101へ送信し(ステップS1305)、一連の処理を終了する。情報送信装置103は、商品運搬用車両102が配送先へ移動するたびに、上記の処理を繰り返しおこなう。」 e.「【0070】 図14は、商品決済支援装置(サーバー)101の別の処理の手順を示すフローチャートである。図14のフローチャートにおいて、まず、情報送信装置103から商品情報(荷物ID情報)を受信したか否かを判断する(ステップS1401)。ここで、商品情報が受信されるのを待って、受信された場合(ステップS1401:Yes)は、受信された「荷物ID」と、出荷データ613において合致するデータを抽出する(ステップS1402)。 【0071】 そして、荷物IDに対応する商品100の配送が完了したものと判断して、その商品100について当該顧客に対して決済情報生成処理をおこない、出荷データ613の「決済可否」に『1』を設定し(ステップS1403)、一連の処理を終了する。商品決済支援装置101は、商品運搬用車両102が配送先へ移動するたびに、上記の処理を繰り返しおこなう。 【0072】 (商品決済支援方法の処理(その3)の内容) つぎに、商品決済支援方法の別の処理の内容について説明する。図15は、冷蔵庫104の処理の手順を示すフローチャートである。図15のフローチャートにおいて、まず、冷蔵庫104の扉が開かれたか否かを判断する(ステップS1501)。ここで、冷蔵庫104の扉が開かれるのを待って、開かれた場合(ステップS1501:Yes)は、つぎに、商品100が冷蔵庫104へ入庫されたか否かを判断する(ステップS1502)。 【0073】 ステップS1502において、商品100が入庫されなかった場合(ステップS1502:No)は、何もせずに処理を終了する。一方、ここで商品100が入庫された場合(ステップS1502:Yes)は、その商品100の荷物IDおよび温度履歴情報を読み取る(ステップS1503)。そして、読み取った温度履歴が正常であるか、すなわち、商品100が所定の温度以下に保たれていたか否かを判断する(ステップS1504)。 【0074】 ステップS1504において、温度履歴が正常でない場合(ステップS1504:No)は、何もせずに処理を終了する。このような場合は、品質が保てなかったため、決済の対象とはならない。また、このような場合は、商品100の運搬過程において温度を正常に保てなかった原因があると判断する。一方、ステップS1504において、温度履歴が正常である場合(ステップS1504:Yes)は、その時点からタイマー406によって、所定時間の計時を開始する(ステップS1505)。 【0075】 所定時間とは、たとえば5?6時間程度である。この所定時間とは、製造者あるいは配送者によるいわゆる保証期間である。特に冷蔵庫104がレンタルされた業務用冷蔵庫の場合に、この保証期間を設けることは有効である。所定時間経過後に温度異常が発生した場合でも、それは顧客の責任によるものと判断し、決済はおこなわれる。この所定時間は、任意に設定することができ、また配送先によって、冷蔵庫104の種類や規模などを勘案してそれぞれ異なる時間を設定するようにしてもよい。【0076】 つぎに、上記所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS1506)。ここで、未だ所定時間が経過していない場合(ステップS1506:No)は、当該商品100が冷蔵庫104から出庫されたか否かを判断する(ステップS1507)。 【0077】 ステップS1507において、入庫された商品100が出庫されずに冷蔵庫内に残っている場合(ステップS1507:No)は、ステップS1506へ戻る。一方、入庫された商品100がすでに出庫された場合(ステップS1507:Yes)は、商品100が消費されたと判断して、ステップS1510へ移行し、当該商品100の商品情報、より具体的には荷物IDを商品決済支援装置(サーバー)101へ送信し(ステップS1510)、一連の処理を終了する。 【0078】 ステップS1506において、所定時間が経過した場合(ステップS1506:Yes)は、つぎに、その商品100の荷物IDおよび温度履歴情報を再び読み取る(ステップS1508)。そして、読み取った温度履歴が正常であるか、すなわち、商品100が所定の温度以下に保たれていたか否かを判断する(ステップS1509)。 【0079】 ステップS1509において、温度履歴が正常でない場合(ステップS1509:No)は、何もせずに処理を終了する。このような場合は、やはり品質が保てなかったため、決済の対象とはならない。また、このような場合は、商品100の冷蔵保存過程において温度を正常に保てなかった原因があると判断する。一方、ステップS1509において、温度履歴が正常である場合(ステップS1509:Yes)は、当該商品100の商品情報、より具体的には荷物IDを商品決済支援装置(サーバー)101へ送信し(ステップS1510)、一連の処理を終了する。冷蔵庫104は、冷蔵庫104への商品100の入庫がおこなわれるたびに、上記の処理を繰り返しおこなう。 【0080】 なお、上記商品情報を受信する商品決済支援装置(サーバー)101の処理は、図14に示したフローチャートに示した処理と同様であるので、その説明は省略する。 【0081】 以上説明したように、本実施の形態によれば、情報送信装置103が、商品運搬用車両102の商品搬出用の扉部材が開かれたことを検出する扉開閉センサー309と、検出された結果に基づいて、商品運搬用車両102の位置に関する情報を取得するGPS制御部305と、その位置情報を送信する通信制御部306とを備え、商品決済支援装置101が、その位置情報を受信する位置情報受信部601と、受信された位置に関する情報に基づいて、商品100の配送先を特定する配送先特定部604と、特定された配送先に関する情報に基づいて商品の支払代金の決済に必要な情報を生成する決済情報生成部605と、を備えるため、商品運搬用車両102の商品搬出用扉が開かれることで、決済情報生成処理をおこなうことができるようになる。【0082】 また、本実施の形態によれば、情報送信装置103が、商品運搬用車両102から商品100が搬出されたことを検出するタグ読取部310と、搬出が検出された時点から所定時間経過後に、商品100に関する情報を商品運搬用車両102から送信する通信制御部306とを備え、商品決済支援装置101が、送信された情報を受信する商品搬出情報受信部602と、受信された情報に基づいて、商品100の支払代金の決済に必要な情報を生成する決済情報生成部605と、を備えるため、商品100が商品運搬用車両100から搬出されたことで、決済情報生成処理をおこなうことができるようになる。 【0083】 さらに、タグ読取部310が、搬出されたことが検知された商品が商品運搬用車両102へ搬入されたこと、すなわち再積載されたことを検出し、通信制御部306が、搬入が検知された商品に関する情報の送信をおこなわないので、配送されなかった商品に関しては決済情報生成処理はおこなわれない。 【0084】 また、本実施の形態によれば、タグ110が、商品100が冷蔵庫104内に置かれている間の商品100の温度を検出する温度センサー504を備え、冷蔵庫104が、商品100が冷蔵庫104に搬入されたことを検出するタグ読取部405と、搬入が検出された時点から所定時間が経過した後に、検出された温度に関する情報を冷蔵庫104から送信する通信制御部404とを備え、商品決済支援装置101が、送信された情報を受信する商品搬出情報受信部602と、受信された情報に基づいて、商品100の支払代金の決済に必要な情報を生成する決済情報生成部605とを備えるため、商品100が冷蔵庫104に所定時間置かれていたことで、決済情報生成処理をおこなうことができる。」(下線は、当審による。以下同様。) 以上の記載、及び図1、14、15の図示からみて、文献1には、段落【0070】?【0084】、図14、図15に示された「商品決済支援方法の処理(その3)」に関連して、次の発明が記載されている。 「商品決済支援装置(サーバー)、冷蔵庫、商品運搬用車両、無線基地局、GPS衛星、等からなる商品決済支援システムであって(図1)、 商品は、タグが付された商品の温度を検出する温度センサー及び温度センサーが検出した温度情報を記録するRAM、荷物IDを記録するROM、データ送信部を備え、RAMに記録され蓄積された温度情報等のデータを送信するタグが付された冷凍食品であり(【0020】【0021】【0039】?【0041】)、 商品運搬用車両は、冷蔵機能を備えたトラックであり(【0021】)、 冷蔵庫は、庫内の商品の温度を一定に保つ温度維持機能を備え(【0023】)、CPU、ROM、RAM、通信制御部(以下、CPU等)、冷蔵庫の入庫口近傍に設置されて商品が入庫口を通って入庫される際に商品に付されたタグのデータを読み取るタグ読取部、タグの情報が読み取られてからの所定時間を計時するタイマー等を備えており(【0037】【0038】)、冷蔵庫に入庫された商品の荷物IDおよび温度履歴情報を読み取って、温度履歴が正常であって所定の温度以下に保たれていたか否かを判断し、これが正常である場合、その時点からタイマーによって製造者あるいは配送者による保証期間である所定時間の計時を開始し(【0073】【0074】【0075】)、 a)所定時間が経過していない場合に冷蔵庫から出庫された商品は、商品が消費されたと判断して、商品の荷物IDを商品決済支援装置(サーバー)へ送信し(【0076】【0077】)、 b)所定時間が経過した場合、 b1)商品の荷物ID及び温度履歴情報を再び読み取り、温度履歴が正常であって商品が所定の温度以下に保たれていたか否かを判断し、温度履歴が正常でない場合は、品質が保てなかったため、決済の対象にならないとして、何もせずに処理を終了し(【0078】【0079】)、 b2)温度履歴が正常である場合、荷物IDを商品決済支援装置(サーバー)へ送信し(【0079】)、 商品決済支援装置(サーバー)は、受信した荷物IDに対応する商品の配送が完了したものと判断して、その商品について顧客に対して決済情報生成処理を行い(【0070】【0071】)、 商品が冷蔵庫に所定時間置かれていたことで、決済情報生成処理を行うことができる(【0084】)、 商品決済支援システム。」(以下、「引用発明」という。) (2)文献2 文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 a.「【0027】ところで、商品はパレットに積まれて入庫されるが、パレットにはユニークなパレットIDが付されておりパレットごとに入出庫が管理されるようになっている。また、パレットIDには、当該パレットに積まれている商品の所有者(荷捌施設1の利用者)、品目名などが関連付けられている。このため、入庫部など(11a,12a,13a)にはパレットIDリーダRがバースの数に対応して設けられている。従って、パレット、ひいてはパレットに積まれた商品の入出庫状況、該商品の所有者が誰であるのか、などが把握される。また、入庫部11a(12a,13a)には、入出庫部表示盤P(図2及び図3参照)が設けられ、入庫(出庫)される商品が何であるのかなどを明示し、作業員に入出庫ミスがないようにしている。ちなみに、パレットごとに入出庫が管理されることに関連して、後記するようにパレットごとに自動倉庫10の利用料が課金されるようになっている(従量料金制)。この点、従来例のように、所定の面積の保管場所を借り受けて商品を保管(入庫)し、実際の商品の保管の有無にかかわらず、所定の面積の保管場所に課金する固定料金制の課金体系とは異なる。」 b.「【0029】また、この自動倉庫10は、内部が隔壁により複数の空間に区画されており、かつ冷凍機による空調が各空間に行なわれ、自動倉庫10が冷蔵倉庫及び定温倉庫として機能するようになっている。この機能を実現するため、自動倉庫10には、図示しない冷凍機で発生した熱媒(例えば冷風や不凍液など)が各空間に供給され、しかも温調手段により熱媒の量を制御して温度調節できるようになっている。また、省エネルギを図るため自動倉庫10(各空間)の気密性がよくしてある。従って、入庫された商品を適切な温度で保持でき、自動倉庫10に入庫中(保管中)に商品の品質が変化することが抑えられる。また、消費エネルギも少なく抑えることができる。ちなみに、青果物の場合、最適な保管温度はそれぞれ種類によって異なり、例えば熱帯の果物などは低温を嫌う。このため、本実施形態の自動倉庫10は、各空間の温度を個別に設定できるようになっている。なお、商品が自動倉庫に保管されている期間は短期間(長くて3日程度)である。」 c.「【0032】各階の入出庫端末51は、自動倉庫10に商品を入出庫する際に利用される端末であり、図3に示すように、各階に複数設けられている。入出庫端末51は、主制御装置50に対して、入庫要求情報、出庫要求情報を送信する。入出庫部表示盤Pは、前記したとおり入出庫される品目を作業者に判るように表示する機能を有する。パレットIDリーダRは、パレットに付されたパレットIDを読み取り、主制御装置50に送信する機能を有する。ここで、パレット(つまり商品)の入出庫時間はパレットリーダがパレットIDを読み取った時間として管理される。また、自動倉庫10に入庫されているパレットの出庫は、自動倉庫制御手段50cによりパレットIDに基づいてパレットごとに行なわれる。ちなみに、入出庫端末51、入出庫部表示盤P、パレットIDリーダRは、図3に示すようにバース(及びコンベヤ)に対応して複数設けられている。」 d.「【0034】主制御装置50の課金手段50dは、即出庫の場合は、通行料のごとく、パレットごとに所定の金額を課金する。一方、後刻出庫の場合は、課金手段50dは、入出庫管理DB50eに記憶されている入庫時間と出庫時間の差から求められる課金時間(保管時間)に基づいて所定の金額を課金する(例えば1時間xx円)。なお、入庫要求情報、出庫要求情報、入出庫管理DB50eのフォーマットは後で説明する。」 e.「【0044】出庫が指示されると、主制御装置50の自動倉庫制御手段50cは、特定されたパレット(つまり商品)を特定された出庫場所から出庫するように自動倉庫10を駆動する。これにより所望の商品を積んだパレットが出庫されるので、運送業者Lは商品を車両に荷積みし(S20)、出荷する。なお、出庫の際には、パレットIDリーダRによりパレットIDが読み取られ、出庫時間が前記した入出庫管理DB50eに記憶される。そして、課金は、入出庫管理DB50eを参照し、入出庫時間を基準とした保管時間(課金時間)に基づいて行なわれる(時間従量制)。ちなみに、課金先は、入出庫管理DB50eの利用者である。」 以上の記載から、文献2には、 「入庫された商品を適切な温度で保持する自動倉庫10と、 商品が自動倉庫1に入庫、出庫されたことを検出するパレットIDリーダRと、 パレットIDリーダRにより検出された商品の入出庫情報に基づいて課金を行う課金手段504を備え、 課金手段504は、パレットIDリーダRによって、自動倉庫10から出庫されたことが検出された商品に対して、パレットIDリーダRによって検出された保管時間に関するに基づいて課金を行う課金システム」が記載されている。 (3)文献3 文献3には、 a.「【0003】 ところで、仲介卸売業者が仕入れた医療品を販売する際、その販売価格は法的に決められており、年に一度、それが公報により公示されるようになっている(以下、これを「公示価格」という)。そのため、在庫品に関しては売値が変動しやすく、また、医療品の多くは顧客(例えば病院)への貸出という形で納入され、請求はその医療品が使用されたときに発生するので、その期間内に公示価格が変更されることは当然に起こり得ることとなっている。」 b.「【0018】 また、例えば、販売仕入在庫管理端末4から請求書作成(請求書発行)要求があると、商品テーブル11、在庫テーブル12、貸出テーブル13、請求テーブル14、及び引当優先テーブル15等に記述されているデータに基づいて請求書データを作成し、それを販売仕入在庫管理端末4へ送信する等の請求書作成処理(S3乃至S6)を行う。但し、この請求書作成処理においては、仕入時期と販売時期(顧客に貸し出した商品にあってはその使用時期)の間に公示価格が変更された商品がある場合には、変更前後の公示価格を用いて請求金額の計算を行う償還返還計算処理(S4)と、引当優先テーブル15に基づいて顧客への貸出品の見かけ上の引当を変更して請求金額の計算を行う引当変更計算処理(S5)などを行って請求書データを作成するが、そうでない場合には、このS4及びS5の処理を行わずに、変更前の公示価格で(現在の公示価格で)請求金額の計算を行って請求書データを作成する。」 以上の記載から、文献3には、 「医薬品の公示価格が変更されること」及び「仕入時期と販売時期の間に公示価格の変更があった場合に、償還返還計算処理や引当変更計算処理等を行って請求項データを作成すること」が記載されている。 5.当審の判断 ア 対比 a.引用発明の「冷凍食品である商品」は、商品である点で、本件特許請求項1にか係る発明(以下、「本件特許発明1」という。)本件特許発明1の「医薬品」に対応するものであり、また、引用発明の「商品の温度」は、商品の環境条件であるから、本件特許発明1の「医薬品に応じた環境条件」に対応するものである。 b.引用発明の「冷蔵庫」は、温度である商品の環境条件を維持しつつ保管するものであるから、本件特許発明1の「環境維持保管手段」に相当する。また、引用発明の「商品運搬用車両」は、温度である商品の環境条件を維持しつつ運搬することが可能なものであるから、本件特許発明1の「環境維持運搬手段」に相当する。 c.引用発明の「商品の温度を検出する温度センサー及び温度センサーが検出した温度情報を記録するRAM」は、環境維持保管手段および環境維持運搬手段における環境条件に関する情報を取得するものであるから、本件特許発明1の「保管環境検知手段」及び「運搬環境検知手段」の双方に相当する。 d.引用発明の「冷蔵庫の入庫口近傍に設置されて商品が入庫口を通って入庫される際に商品に付されたタグのデータを読み取るタグ読取部」は、入庫した商品に付されたタグの「荷物ID」を読み取るものであるから、商品が医薬品でないことを除いて、本件特許発明1の「保管状態検知手段」に対応するものである。 e.引用発明の冷蔵庫のCPU等は、所定時間が経過し温度履歴が正常でなかった場合に「商品決済支援装置(サーバー)」に商品の荷物IDを送信しない(すなわち、それ以外の場合<上記a)及びb2)の場合>、荷物IDを商品決済支援装置(サーバー)へ送信することで、商品を納入先への請求額の導出に係る請求対象とする)判断を行うものであって、「保管環境検知手段」による検知情報に基づいて、商品を納入先への請求額の導出に係る請求対象とする手段を備え、商品決済支援装置(サーバー)では、請求対象とされた商品について決済情報生成処理を行うから請求額を導出する請求額導出手段を有するということができ、この点で本件特許発明1の「請求額導出手段」に対応する構成を有しているといえる。 してみると、本件特許発明1と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。 <一致点> 商品を該商品に応じた環境条件を維持しつつ保管する環境維持保管手段と、 前記環境維持保管手段における前記環境条件に関する情報を取得する保管環境検知手段と、 前記商品が前記環境維持保管手段によって保管されていることを検知する保管状態検知手段と、 前記商品を該商品に応じた環境条件を維持しつつ運搬することが可能な環境維持運搬手段と、 前記環境維持運搬手段における前記環境条件に関する情報を取得する運搬環境検知手段と、 前記保管環境検知手段、前記保管状態検知手段及び前記運搬環境検知手段の少なくとも一つによる検知情報に基づいて、前記商品を請求対象とする手段と、 前記請求対象とされた商品について請求額を導出する請求額導出手段、 を備えた、システム <相違点> (相違点1)本件特許発明1は、対象商品を「医薬品」とする「医薬品在庫管理システム」であるのに対し、引用発明は、対象商品を「冷凍食品である商品」とする「商品決済支援システム」である点 (相違点2)本件特許発明1は、「前記医薬品が前記環境維持運搬手段によって運搬されていることを検知する運搬状態検知手段」を備えるのに対し、引用発明はこれを備えていない点 (相違点3)本件特許発明1では、商品を納入先への請求額の導出に係る請求対象とする手段が納入先への請求額を導出する請求額導出手段でもあるのに対し、引用発明では、商品を納入先への請求額の導出に係る請求対象とする手段は冷蔵庫のCPU等であり、納入先への請求額を導出する請求額導出手段は商品決済支援装置(サーバー)である点。請求対象とするための判断が、本件特許発明1では、「前記医薬品の納入先に設置された前記環境維持保管手段における前記保管状態検知手段により、所定期間において前記納入先の前記環境維持保管手段から出庫されたことが検知された前記医薬品を請求対象とする」というものであるのに対し、引用発明では「所定時間が経過し温度履歴が正常でなかった場合に商品決済支援装置(サーバー)に商品の荷物IDを送信しない(それ以外の場合では、商品の荷物IDを送信することで請求対象とする)」というものである点 (相違点4)請求対象とするための判断が、本件特許発明1では、「前記医薬品の納入先に設置された前記環境維持保管手段における前記保管状態検知手段により、所定期間において前記納入先の前記環境維持保管手段から出庫されたことが検知された前記医薬品を請求対象とする」というものであるのに対し、引用発明では「所定時間が経過し温度履歴が正常でなかった場合に商品決済支援装置(サーバー)に商品の荷物IDを送信しない(それ以外の場合では、商品の荷物IDを送信することで請求対象とする)」というものである点 イ 相違点の判断 事案に鑑み、相違点1、3及び4について、併せて検討する。 上記相違点について検討するに、引用発明では、製造者あるいは配送者によるいわゆる保証期間を設け、所定時間経過後に温度異常が発生した場合でも、それは顧客の責任によるものと判断し、決済はおこなわれる(【0075】)(すなわち、保証期間の間は、温度異常があっても支払代金は請求しない。)ことを意図した構成であるから、判断の対象となる「所定時間が経過したこと」とは、商品が(冷蔵庫などに)納品がなされた時点からの相対的な所定の時間であり、また、上記判断を行う手段が冷蔵庫のCPU等であっても何ら問題は無い。 これに対して、本件特許明細書の「背景技術」、「発明が解決しようとする課題」等を参酌すると、本件特許発明1は、需要予測が困難である(【0002】)医薬品において、医療機関等は、国によって個々の薬剤毎に定められた薬価により医薬品の使用実績に応じた支払いを患者および各保険者から受けているが、定期的に実施される薬価改定により、購入時点の薬価と、支払いを受ける時点での薬価が異なり(主に下落する)、医療機関等がその差額分を負担しなければならず(【0004】)、医療機関等と流通業者、又は医薬品メーカーの間の取引においては、薬価改定毎に、製品毎の販売価格の交渉がなされるが、特に流通業者と医療機関等との間における交渉において、このような商習慣による業務効率の低下という課題解決が医療業界の大きなテーマとなっており【0005】、また、消費した時点を請求開始のタイミングとし、医療機関等毎に異なる請求締日に応じて月内の請求額を納入当時の価格と現時点での価格を判別した上で確定し、さらに販売済の上記医薬品がまだ医療機関等で消費されていない場合は未請求とするシステムは確立されておらず【0005】、医療機関等に流通業者もしくは医薬品メーカーが所有権を持つ在庫を管理するスペースを持ち、医療機関等の需要に応じて所有権を医療機関等に移転する、いわゆる委託在庫方式が挙げられるものの、管理コストの観点から委託在庫方式での流通モデルを日本で提案、普及させることが困難であった(【0008】)という背景のもと、本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、医薬品メーカーから流通業者、そして医療機関等までの医薬品流通における個々の医薬品にかかる流通コストを可視化し、消費実績を把握可能とすることで、医薬品毎の適性な価格決定が可能なシステムを提供することであり、また、医薬品が実際に消費された時点を請求開始のタイミングとし、医療機関等毎に異なる請求締日に応じて月内の請求額を納入当時の価格と現時点での価格を判別した上で確定できるシステムを提供すること(【0010】)を課題としている。 すなわち、医薬品メーカー等の供給者が、医療機関において実際に消費された時点の消費実績を管理し、これに基づき医薬品の適性な価格を決定し当該金額を医療機関などに請求することを目的とするものであるといえるから、上記相違点3a)の「商品を納入先への請求額の導出に係る請求対象とする手段が納入先への請求額を導出する請求額導出手段でもある」ことは、上記目的を達成するためには必要な構成である。 また、上記相違点3b)に係る本件特許発明1の構成についても、「医薬品が実際に消費された時点を請求開始のタイミングとし、医療機関等毎に異なる請求締日に応じて月内の請求額を納入当時の価格と現時点での価格を判別した上で確定できるシステムを提供する」という目的からみて、「前記医薬品の納入先に設置された前記環境維持保管手段における前記保管状態検知手段により、所定期間において前記納入先の前記環境維持保管手段から出庫されたことが検知された前記医薬品を請求対象とする」の「所定期間」は、「前回の請求締日」から「今回の請求締日」といった「所定期間」をいうものであって、「納品がなされた時点から所定期間」のような相対的な期間をいうものでないと捉えるべきである。 すなわち、上記相違点1、3及び4における本件特許発明1の構成は、本件特許発明1の背景技術・解決しようとする課題などからみて、これらが一体として採用されることにより、本件特許発明1が解決しようとする課題を解決することができるものであり、医薬品に関するものではない引用発明において、上記相違点1、3及び4の構成を一体として採用する動機付けはない。 してみると、本件特許発明1は、引用発明、文献2記載の発明及び文献3記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、上記相違点3及び4について、引用発明に甲第2号証記載の発明を適用しこれを組み合わせることにより容易想到である旨を主張している。 しかし、上記したとおり、引用発明において「使用実績」ないし「消費実績」に応じた請求を行うように変更する動機づけは認められない。 また、特許異議申立人は、上記相違点1、相違点2について、一致点と整理しているが、これらは、相違点である。 相違点1のうち、対象商品を「医薬品」とする点についても、システムにおける「請求額」の「導出」についてのシステムの技術的事項と関連しており、単なる対象商品の限定に該当せず、相違点でないということはできない。 また、相違点2についても、甲第1号証記載の商品運搬用車両102に設けられたタグ読取部310は、再積載を検知するものであって、本件特許発明の「前記医薬品が前記環境維持運搬手段によって運搬されていることを検知する運搬状態検知手段」ということはできないから、この点も相違点である。 6.むすび したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1?6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2020-01-16 |
出願番号 | 特願2016-179352(P2016-179352) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(G06Q)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 衣川 裕史 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
相崎 裕恒 石川 正二 |
登録日 | 2019-03-08 |
登録番号 | 特許第6489617号(P6489617) |
権利者 | 株式会社スズケン |
発明の名称 | 医薬品在庫管理システム及び、医薬品の請求額の決定方法 |
代理人 | 関根 武彦 |
代理人 | 中村 剛 |
代理人 | 平川 明 |
代理人 | 今堀 克彦 |