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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H03M
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H03M
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H03M
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する H03M
管理番号 1359835
審判番号 訂正2019-390041  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2019-03-18 
確定日 2020-01-17 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5952900号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5952900号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5952900号に係る出願(特願2014-515231号)は、2012年(平成24年)6月18日(パリ条約による優先権主張 2011年6月16日 米国、2011年7月15日 米国)を国際出願日とする出願であって、以後の主な手続は以下のとおりである。
平成25年12月16日 国内書面の提出
平成26年 2月17日 国際出願翻訳文提出書の提出
平成26年 2月17日 特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書の提出
平成27年 7月30日 手続補正書の提出
平成28年 4月20日 手続補正書の提出
平成28年 6月17日 設定登録
平成31年 3月18日 本件訂正審判の請求
令和 1年 6月 6日 手続補正書の提出
令和 1年 7月18日付け訂正拒絶理由の通知
令和 1年 9月11日 意見書の提出

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5952900号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正すること認める、との審決を求めるものであって、その内容は以下のとおりである。

1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項9に「前記変換ブロックの中の最後のゼロでない変換係数レベルの一部を示しているエンド位置構文要素(last_significant_pos_x、last_significant_pos_y)と、」と記載されているのを、「前記変換ブロックの中の最後のゼロでない変換係数レベルの位置を示しているエンド位置構文要素(last_signficant_pos_x、last_significant_pos_y)と、」に訂正する。

2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項10に「前記変換ブロックの中の最後のゼロでない変換係数レベルの一部を示しているエンド位置構文要素(last_significant_pos_x、last_significant_pos_y)と、」と記載されているのを、「前記変換ブロックの中の最後のゼロでない変換係数レベルの位置を示しているエンド位置構文要素(last_significant_pos_x、last_significant_pos_y)と、」に訂正する。

3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項11に「所定のシンボルタイプの数が、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑性モードにおいて、より小さい」と記載されているのを、「所定のシンボルタイプの数が、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑性モードにおいて、より少ない」に訂正する。

4 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項14に「コンテキストの数、および/または、先に取り出されたシンボルの数が、前記高効率モデルに比べて、前記低煩雑性モデルにおいて、より低いように、」と記載されているのを、「コンテキストの数、および/または、先に取り出されたシンボルの数が、前記高効率モデルに比べて、前記低煩雑性モデルにおいて、より少ない、」に訂正する。

5 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項15に「比率x/yが、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑モードにおいて、より低い」(当審注:「前記低煩雑モード」は「前記低煩雑性モード」の誤記と認める。)と記載されているのを、「比率x/yが、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑モードにおいて、より高い、」(当審注:「前記低煩雑モード」は「前記低煩雑性モード」の誤記と認める。)に訂正する。

6 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項16に「前記計算結果の解像度が前記高効率モードより前記低煩雑性モードにおいてより低い前記データストリームの構文要素を用いた計算に基いて、初期化されることを特徴とするデコーダ。」と記載されているのを、「前記計算結果の分解能が前記高効率モードおよび前記低煩雑性モードにおいてより低い前記データストリームの構文要素を用いた計算に基いて、初期化されることを特徴とするデコーダ。」に訂正する。

7 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項17に「前記エントロピー符号化エンジンは、全てのエントロピー復号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成されることを特徴とする、エンコーダ。」と記載されているのを、「前記エントロピー符号化エンジンは、全てのエントロピ一符号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成されることを特徴とする、エンコーダ。」に訂正する。

8 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項19に「全てのエントロピー復号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成される、ことを特徴とする、方法。」と記載されているのを、「全てのエントロピー符号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成される、ことを特徴とする、方法。」に訂正する。

9 訂正事項9
明細書の発明の詳細な説明の段落0033に「図4および図5のエントロピー符号器およびエントロピー復号器が、作動するように構成されうり、そして、」と記載されているのを、「図4および図5のエントロピー符号器およびエントロピー復号器が、作動するように構成されえて、かつ、」に訂正する。

10 訂正事項10
明細書の発明の詳細な説明の段落0043に「現在のビン303のためのコンテキストの利用できるセットは、ビンの種類に依存しうり、」と記載されているのを、「現在のビン303のためのコンテキストの利用できるセットは、ビンの種類に依存しえて、」に訂正する。

11 訂正事項11
明細書の発明の詳細な説明の段落0059に「復号されたビンのすでに受信されたシーケンスが、要求された構文要素の二値化方式のためのビンシーケンスのいずれも一致しない場合、」と記載されているのを、「復号されたビンのすでに受信されたシーケンスが、要求された構文要素の二値化方式のためのビンシーケンスのいずれとも一致しない場合、」に訂正する。

12 訂正事項12
明細書の発明の詳細な説明の段落0082に「データパケット400は、ヘッダと、(データの考慮された量について)」と記載されているのを、「データパケット410は、ヘッダと、(データの考慮された量について)」に訂正する。

13 訂正事項13
明細書の発明の詳細な説明の段落0082に「データパケットのヘッダ400は、」(当審注:「400」は「401」の誤記と認める。)と記載されているのを、「データパケットのヘッダ411は、」に訂正する。

14 訂正事項14
明細書の発明の詳細な説明の段落0082に「ビットストリームデータ402のセグメントに、」と記載されているのを、「ビットストリームデータ412のセグメントに、」に訂正する。

15 訂正事項15
明細書の発明の詳細な説明の段落0083に「データパケットのペイロード、すなわち、そのヘッダ411のないデータパケット410は、」と記載されているのを、「データパケットのペイロード、すなわち、そのヘッダ421のないデータパケット420は、」に訂正する。

16 訂正事項16
明細書の発明の詳細な説明の段落0083に「所定の方法でセグメント412に区分化される。」と記載されているのを、「所定の方法でセグメント422に区分化される。」に訂正する。

17 訂正事項17
明細書の発明の詳細な説明の段落0083に「または、部分的ビットストリーム413の最初の部分に関連付けられる。」と記載されているのを、「または、部分的ビットストリーム423の最初の部分に関連付けられる。」に訂正する。

18 訂正事項18
明細書の発明の詳細な説明の段落0083に「関連したデータセグメントより大きい場合、その残り414は、」と記載されているのを、「関連したデータセグメントより大きい場合、その残り424は、」に訂正する。

19 訂正事項19
明細書の発明の詳細な説明の段落0083に「これは、(データセグメントの最後から始まって)ビットストリームの残りの部分が逆順に挿入される方法で、なされうり、それは、補助情報を削減する。」と記載されているのを、「これは、(データセグメントの最後から始まって)ビットストリームの残りの部分が逆順に挿入される方法で、なされえて、それは、補助情報を削減する。」に訂正する。

20 訂正事項20
明細書の発明の詳細な説明の段落0102に「このビットの数Nxは、異なるビットバッファ348について異なりうり、それは時間とともに変動しうる。」を、「このビットの数Nxは、異なるビットバッファ348について異なりえて、それは時間とともに変動しうる。」に訂正する。

21 訂正事項21
明細書の発明の詳細な説明の段落0137に「b≠aでb∈{0,1}である1つのこを確かに有する」と記載されているのを「b≠aでb∈{0,1}である1つのbを確かに有する」に訂正する。

22 訂正事項22
明細書の発明の詳細な説明の段落0139に「複数のエントロピー復号器の選択された1つから再現されるシンボルのシーケンスの各区シンボル325を検索するように構成されたセレクタ318を含み、」と記載されているのを「複数のエントロピー復号器の選択された1つから再現されるシンボルのシーケンスの各シンボル325を検索するように構成されたセレクタ318を含み、」に訂正する。

23 訂正事項23
明細書の発明の詳細な説明の段落0140 に「第1のビットに日等しいシンボルのシーケンスをシンボルaまで再現するように構成されているか、」と記載されているのを「第1のビットに等しいシンボルのシーケンスをシンボルaまで再現するように構成されているか、」に訂正する。

24 訂正事項24
明細書の発明の詳細な説明の段落0140に「または、(2.1)第1のビットに続く次のn-2ビットの中でaが発生しなかった場合、」と記載されているのを「または、(2 .2)第1のビットに続く次のn-2ビットの中でaが発生しなかった場合、」に訂正する。

25 訂正事項25
明細書の発明の詳細な説明の段落0143に「第1の符号の長さ3の2^(3)個の符号語ににマッピングされる」と記載されているのを「第1の符号の長さ3の2^(3)個の符号語にマッピングされる」に訂正する。

26 訂正事項26
明細書の発明の詳細な説明の段落0147に「(ここでは、コンテキスト割当て器して作用する)」と記載されているのを「(ここでは、コンテキスト割当て器として作用する)」に訂正する。

27 訂正事項27
明細書の発明の詳細な説明の段落0154に「1つの共通のコテクスト適応算術符号器/復号器を用いた」と記載されているのを「1つの共通のコンテキスト適応算術符号器/復号器を用いた」に訂正する。

28 訂正事項28
明細書の発明の詳細な説明の段落0158に「8つの異なるPIPE符合のモデル確率を表す。」と記載されているのを「8つの異なるPIPE符号のモデル確率を表す。」に訂正する。

29 訂正事項29
明細書の発明の詳細な説明の段落162に「パラメータ割当て器316およびセレクタ318に分離されもよい。」と記載されているのを「パラメータ割当て器316およびセレクタ318に分離されてもよい。」に訂正する。

30 訂正事項30
明細書の発明の詳細な説明の段落0169に「シンボルのシーケンス326の以前に検索されたシンボルに応じて複数のコテクストの1つを選択するとともに、」と記載されているのを「シンボルのシーケンス326の以前に検索されたシンボルに応じて複数のコンテキストの1つを選択するとともに、」に訂正する。

31 訂正事項31
明細書の発明の詳細な説明の段落0174に「確率インデックスのRtabへのマッピングは、表Aにて図示されるようなものである。」と記載されているのを「確率インデックスのRtabへのマッピングは、表5にて図示されるようなものである。」に訂正する。

32 訂正事項32
明細書の発明の詳細な説明の段落0176に「使用されるパイプ・インデックスおよび確率インデックスをRtabに引き出し、表Aに示されるマッピングを用いて」と記載されているのを「使用されるパイプ・インデックスおよび確率インデックスをRtabに引き出し、表5に示されるマッピングを用いて」に訂正する。

33 訂正事項33
明細書の発明の詳細な説明の段落0181に「残りの絶対レベルを示し、、coeff_sign_flagは、」と記載されているのを「残りの絶対レベルを示し、coeff_sign_flagは、」に訂正する。

34 訂正事項34
明細書の発明の詳細な説明の段落0196に「(それに続いて)レベル構文要素がゼロでない返還係数レベルを規定する。」と記載されているのを「(それに続いて)レベル構文要素がゼロでない変換係数レベルを規定する。」に訂正する。

35 訂正事項35
明細書の発明の詳細な説明の段落0198に「あるいは、このように結果として生じるそれぞれの部分に対してブロック位置の更に置きい数を超えた拡張であるかどうかとは独立して、4、8、16構文要素の長さに定められる。」と記載されているのを、「あるいは、このように結果として生じるそれぞれの部分に対してブロック位置の更に大きい数を超えた拡張であるかどうかとは独立して、4、8、16構文要素の長さに定められる。」に訂正する。

36 訂正事項36
明細書の発明の詳細な説明の段落0198に「このように、4つの構文要素の部分はそれぞれ、この位置のそれぞれのレベルがゼロであるために、この種の構文要素がcoeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2がないような、そのうな構文が送信されない経路274に沿ったその間の位置のため、4ブロック以上位置を拡張することができる。」と記載されているのを「このように、4つの構文要素の部分はそれぞれ、この位置のそれぞれのレベルがゼロであるために、この種の構文要素がcoeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2がないような、そのような構文が送信されない経路274に沿ったその間の位置のため、4ブロック以上位置を拡張することができる。」に訂正する。

37 訂正事項37
明細書の発明の詳細な説明の段落0200に「同じ確率分布と関連する整数値構文要素うにマッピングされるシンボルシーケンス・ワードのシンボルのためのニントロピー復号器(322)の所定の1つを選択するように構成される。」と記載されているのを「同じ確率分布と関連する整数値構文要素にマッピングされるシンボルシーケンス・ワードのシンボルのためのエントロピー復号器(322)の所定の1つを選択するように構成される。」に訂正する。

38 訂正事項38
明細書の発明の詳細な説明の段落0208に「絶対mvdが9に等しい可それより大きい場合、例えば、省略した単項の部分の全てのビンは「1」に等しく、絶対mvd値と9との差は3次Exp-Golomb二値化を有するバイパス・モードで符号化される。」と記載されているのを「絶対mvdが9に等しいかそれより大きい場合、例えば、省略した単項の部分の全てのビンは「1」に等しく、絶対mvd値と9との差は3次Exp?Golomb二値化を有するバイパス・モードで符号化される。」に訂正する。

39 訂正事項39
明細書の発明の詳細な説明の段落0213に「したがって、そのコンテキストモデルのイデックスが引き出された後で、インデックスが、Exp-Golomb二値化を求める命令として用いられる。」と記載されているのを「したがって、そのコンテキストモデルのインデックスが引き出された後で、インデックスが、Exp-Golomb二値化を求める命令として用いられる。」に訂正する。

40 訂正事項40
明細書の発明の詳細な説明の段落0216「他の好ましい例として、Exp-Golomb部分の順序は、」と記載されているのを「他の好ましい実施例として、Exp-Golomb部分の順序は、」に訂正する。

41 訂正事項41
明細書の発明の詳細な説明の段落0217に「別の好ましい実施例では、Exp? Golombコードの順序は固定され、0に設定される。他の好ましい例として、Exp-Golombコードの順序は固定され、1に設定される。」と記載されているのを「別の好ましい実施例では、Exp-Golombコードの順序は固定され、0に設定される。他の好ましい実施例として、Exp?Golombコードの順序は固定され、1に設定される。」に訂正する。

42 訂正事項42
明細書の発明の詳細な説明の段落0217に「好ましい実施例において、Exp? Golombコードの順序は2に固定される。さらなる実施例において、Exp-Golombコードの順序は3に固定される。さらなる実例において、」と記載されているのを。「好ましい実施例において、Exp-Golombコードの順序は2に固定される。さらなる実施例において、Exp-Golombコードの順序は3に固定される。さらなる実施例において、」に訂正する。

43 訂正事項43
明細書の発明の詳細な説明の段落0218に「他の好ましい例として、現在のPUの上部および左の境界をカバーする全てのPUからの平均的な絶対の動きベクトル値は、第1のビンを引き出すために用いられる。」と記載されているのを「他の好ましい実施例として、現在のPUの上部および左の境界をカバーする全てのPUからの平均的な絶対の動きベクトル値は、第1のビンを引き出すために用いられる。」に訂正する。

44 訂正事項44
明細書の発明の詳細な説明の段落0222に「このようなマッピングの実施例は、表Aにおいて表される。」と記載されているのを「このようなマッピングの実施例は、表5において表される。」に訂正する。

45 訂正事項45
明細書の発明の詳細な説明の段落0225に「たとえば、表Aのマッピングのために、PIPEインデックスにつきCABAC状態の数は、表Bにおいて表される。」と記載されているのを「たとえば、表5のマッピングのために、PIPEインデックスにつきCABAC状態の数は、表7おいて表される。」に訂正する。

46 訂正事項46
明細書の発明の詳細な説明の段落0231に「それぞれの所定のシンボルに関連付けるそれぞれの確率モデルに応じてエントロピー復号器322の中で洗濯を実行するように構成される。」と記載されているのを「それぞれの所定のシンボルに関連付けるそれぞれの確率モデルに応じてエントロピー復号器322の中で選択を実行するように構成される。」に訂正する。

47 訂正事項47
明細書の発明の詳細な説明の段落0277に「改良インデックスが、上述の表散歩を用いることによって例えば確率適合を実行するために、HEモードで(LCモードにおいても潜在的でより稀であるように)用いられる。」と記載されているのを「改良インデックスが、上述のテーブルクォークを用いることによって例えば確率適合を実行するために、HEモードで(LCモードにおいても潜在的でより稀であるように)用いられる。」に訂正する。

48 訂正事項48
明細書の発明の詳細な説明の段落0280に「第1の区間の範囲内でマッピングを実行する短縮単項符号、およびカットフ値のための短縮単項符号」と記載されているのを「第1の区間の範囲内でマッピングを実行する短縮単項符号、およびカットオフ値のための短縮単項符号」に訂正する。

49 訂正事項49
明細書の発明の詳細な説明の段落0280に「第2の区間の範囲内のVLC符号語の形の接尾辞の組み合わせをしようするように」と記載されているのを「第2の区間の範囲内のVLC符号語の形の接尾辞の組み合わせを使用するように」に訂正する。

50 訂正事項50
明細書の発明の詳細な説明の段落0285に「例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータまたは電子回路等によって(使用して)を実行することができる。」と記載されているのを「例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータまたは電子回路等によって(を使用して)実行することができる。」に訂正する。

51 訂正事項51
明細書の発明の詳細な説明の段落0298に「しだって、間近に迫った特許クレームの範囲だけによって制限され、」と記載されているのを「したがって、間近に迫った特許クレームの範囲だけによって制限され、」に訂正する。

52 訂正事項52
明細書の発明の詳細な説明の段落0299に「複数のエントロピー符号器322と、複数のエントロピー復号器322の選択された一つから、」と記載されているのを「複数のエントロピー復号器322と、複数のエントロピー復号器322の選択された一つから、」に訂正する。

53 訂正事項53
明細書の発明の詳細な説明の段落0299に「高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて低いように、」と記載されているのを「高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて少ないように、」に訂正する。

54 訂正事項54
明細書の発明の詳細な説明の段落0299に「比率x/yが高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて低いように、」と記載されているのを「比率x/yが高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて高いように、」に訂正する。

55 訂正事項55
明細書の発明の詳細な説明の段落0299に「計算結果の解像度は高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて低いデータストリームの構文要素を用いた計算に基いて、シンボルタイプと関連した確率モデルを初期化するように構成されうる。」と記載されているのを、「計算結果の分解能は声効率モードおよび低煩雑性モードにおいて低いデータストリームの構文要素を用いた計算に基いて、シンボルタイプと関連した確率モデルを初期化するように構成されうる。」に訂正する。

56 訂正事項56
図面の図9を訂正する。すなわち,図9と図8とでは符号400及び402が付された対象がそれぞれ異なっている。このため,符号の重複を訂正すべく,図9中の符号400,401,402を410,411,412に訂正する。

57 訂正事項57
図面の図10を訂正する。すなわち,図9中の符号400,401,402を410,411,412に訂正した結果。図10と図9とでは符号412が付された対象がそれぞれ異なるものとなる。このため,符号の重複を訂正すべく,図10中の符号410,411 ,412,413,414を420,421,42,423,424に訂正する。

58 訂正事項58
図面の図15を訂正する。すなわち,図15における符号305が付された「パラメータの関連付けれれたセットを有するビン」を,「パラメータの関連付けられたセットを有するビン」に訂正する。

第3 訂正拒絶理由の概要
訂正拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
1 訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的としたものであるが、同条第6項の規定に適合しない。
2 訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的としたものであるが、同条第6項の規定に適合しない。
3 訂正事項7は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的としたものであるが、同条第6項及び第7項の規定に適合しない。
4 訂正事項8は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的としたものであるが、同条第6項及び第7項の規定に適合しない。
5 訂正事項54は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的としたものであるが、同条第6項の規定に適合しない。
6 訂正事項55は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的としたものであるが、同条第6項の規定に適合しない。
7 1ないし6より訂正事項5ないし8、54及び55を含む本件訂正は認められない。

第4 当審の判断
1 訂正事項1、2について
(1)訂正の目的について
訂正事項1について、訂正前の請求項9には、「前記変換ブロックの中の最後のゼロでない変換係数レベルの一部を示しているエンド位置構文要素(last_significant_pos_x、last_significant_pos_y)と、」と記載されている。
一方、請求項9が由来する、本件に国内移行した国際出願PCT/EP2012/061615のPCT34条補正(以下「PCT34条補正」という。)により補正された請求項9には、「end position syntax element (last_significant_pos_x, last_significnat_pos_y) indicating a position of a last non-zero transform coefficient level within the transform block;」(当審注:下線は当審が付与。)と記載されており、そのうち「position」は「位置」と翻訳すべきものである。
そうすると、訂正事項1は、「position」の翻訳について、「一部」という誤訳を本来の翻訳である「位置」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
訂正事項2についても、訂正前の請求項10に記載された「一部」について、訂正事項1と同様に「一部」という誤訳を本来の翻訳である「位置」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項1及び訂正事項2は、誤訳を訂正することを目的とする訂正であって、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであるから、訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項1について、訂正前の請求項9には「前記変換ブロックの中の最後のゼロでない変換係数レベルの一部を示しているエンド位置構文要素(last_significant_pos_x、last_significant_pos_y)」と記載されており、「エンド位置構文要素」が示すものは、「前記変換ブロックの中の最後のゼロでない変換係数レベルの一部」とされており、通常「エンド位置構文要素」が示す「エンド位置」とは整合しない記載となっている。
一方、明細書の段落【0196】には、「変換ブロック内で最後のゼロでない変換係数レベルの位置を示す端末部位置構文要素(last_significant_pos_x、last_significant_pos_y)」と記載されており、訂正前の請求項9に記載された構文要素と同じ構文要素であるである「last_significant_pos_x、last_significant_pos_y」は、「変換ブロック内で最後のゼロでない変換係数レベルの位置を示す」ことが記載されている。
そうすると、訂正前の請求項9の「一部」は、明細書の記載のとおり本来「位置」を示すことが明らかであるから、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項2についても同様のことがいえる。
よって、訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正後の請求項9及び10に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由は発見しないから、訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

2 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項11には、「所定のシンボルタイプの数が、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑性モードにおいて、より小さい」と記載されている。
一方、請求項11が由来する、PCT34条補正により補正された請求項13には、「the number of predetermined symbol types is lower in the low complexity mode than compared to the high-efficiency mode」と記載されており、この記載からみて「the number of predetermined symbol types」、すなわち「所定のシンボルタイプの数」が「lower」であることから、該「lower」は、数が「より少ない」と翻訳すべきものである。
そうすると、訂正事項1は、「lower」の翻訳について、数が少ないことを「より小さい」と誤って翻訳したものを本来の翻訳である「より少ない」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項3は、誤訳を訂正することを目的とする訂正であって、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであるから、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
上記(1)のとおり、訂正事項3は、日本語として不自然な「所定のシンボルタイプの数」が「より小さい」との表記を、日本語として自然な「より小さい」に訂正するものであるから、訂正事項3に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正後の請求項11に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由は発見しないから、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

3 訂正事項4について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項14には、「コンテキストの数、および/または、先に取り出されたシンボルの数が、前記高効率モデルに比べて、前記低煩雑性モデルにおいて、より低いように、ことを特徴とする」と記載されている。
一方、請求項14が由来する、PCT34条補正により補正された請求項16には、「such that the number of contexts, and/or the number of previously retrieved symbols, is lower in the low complexity mode than compared to the high-efficiency mode.」と記載されており、この記載からみて、「the number of contexts, and/or the number of previously retrieved symbols」、すなわち「コンテキストの数、および/または、先に取り出されたシンボルの数」が、「lower」であることから、該「lower」は、数が「より少ない」と翻訳すべきものである。
さらに、前記「低いように」の「ように」に対応する原文はない。
そうすると、訂正事項1は、「lower」の翻訳について、数が少ないことを「より低い」と誤って訳し、さらに原文にはない「ように」を付加して翻訳したものを、本来の翻訳である「より少ない」に訂正するものであるから、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項4は、誤訳を訂正することを目的とする訂正であって、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであるから、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
上記(1)のとおり、訂正事項4は、訂正前の「より低いように」について、日本語として不自然な「コンテキストの数、および/または、先に取り出されたシンボルの数」が「より低い」との表記を、日本語として自然な「より少ない」に訂正するとともに、これに続く「ように、ことを特徴とする」もまた日本語として不自然な記載を、原文にない「ように」を削除することで、「より少ない、ことを特徴とする」と自然な表記に訂正するものであるから、訂正事項4に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正後の請求項14に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由は発見しないから、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

4 訂正事項5について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項15には、「比率x/yが、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑モードにおいて、より低い」と記載されている。
一方、請求項15が由来する、PCT34条補正により補正された請求項17には、「the ratio x/y is higher in the low complexity mode than compared to the high-efficiency mode」と記載されており、この記載は、「比率x/yが、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑モードにおいて、より高い」と翻訳すべきことが明らかである。
そうすると、訂正事項5は、「higher」の翻訳について、「より低い」と誤って翻訳したものを、本来の翻訳である「より高い」に訂正するものであるから、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項5は、誤訳を訂正することを目的とする訂正であって、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであるから、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正前の請求項15には以下の記載がある。
「シンボルの前記シーケンス(326)の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しており、前記選択(402)は、所定のシンボルタイプのシンボルについて、前記所定のシンボルタイプと関連した確率モデルに依存し、前記所定のシンボルタイプのy個の最新のシンボルに基いて前記所定のタイプのx番目のシンボルごとに、前記関連した確率モデルがアップデートされ、その結果、
比率x/yが、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑性モードにおいて、より低いこと」
請求項15の記載からみて、「比率x/yが、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑性モードにおいて、より低い」のは、「シンボルの前記シーケンス(326)の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しており、前記選択(402)は、所定のシンボルタイプのシンボルについて、前記所定のシンボルタイプと関連した確率モデルに依存し、前記所定のシンボルタイプのy個の最新のシンボルに基いて前記所定のタイプのx番目のシンボルごとに、前記関連した確率モデルがアップデートされ」る結果であるといえる。
そうすると、「関連した確率モデルのアップデート」について、「前記所定のシンボルタイプのy個の最新のシンボルに基」づく場合、「最新シンボルの数」であるyが小さいほどアップデートの頻度が低いため、そのモードの効率は低くなるとともに複雑さも低くなるから、xが一定であれば、比率x/yは、高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいてより高いことは明らかである。
さらに、前記「関連した確率モデルのアップデート」について、「x番目のシンボルごと」のxが大きくなるほどアップデートの頻度は小さくなるため、そのモードの効率は低くなるとともに複雑さも低くなるから、yが一定であれば、比率x/yは、高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいてより高いことは明らかである。
そうすると、訂正前の請求項15の「比率x/yが、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑性モードにおいて、より低い」は、請求項15のそれ以前に記載された事項と整合しておらず、当業者であれば「より低い」は「より高い」と記載すべきであることが明らかである。
よって、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合し、上記「第3 1」の訂正拒絶理由は解消した。
(4)独立特許要件について
訂正後の請求項15に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由は発見しないから、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項5に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

5 訂正事項6について
(1)訂正の目的について
訂正事項6は、請求項16に「前記計算結果の解像度が前記高効率モードより前記低煩雑性モードにおいてより低い前記データストリームの構文要素を用いた計算に基いて、初期化されることを特徴とするデコーダ。」と記載されているのを、「前記計算結果の分解能が前記高効率モードおよび前記低煩雑性モードにおいてより低い前記データストリームの構文要素を用いた計算に基いて、初期化されることを特徴とするデコーダ。」に訂正するものである。
ここで、訂正前の請求項16の記載では、「計算結果の解像度が」「前記高効率モードより」「前記低煩雑性モードにおいてより」「低い」、すなわち、計算結果の解像度が、前記高効率モードより低く、かつ、前記低煩雑性モードより低いという意味であるか、「計算結果の解像度が」「前記高効率モードより」「前記低煩雑性モードにおいて」「より低い」、すなわち、計算結果の解像度が、前記高効率モードと比較して前記低煩雑性モードにおいてさらに低いことを意味するのか明瞭でない記載でもあるといえる。
一方、当該請求項16が由来する、PCT34条補正により補正された請求項18には、「a resolution of a result of the computation being lowre in the complexity mode and the high-efficiency mode」と記載されており、この記載は、「前記計算結果の分解能が前記高効率モードおよび前記低煩雑性モードにおいてより低い前記データストリームの構文要素を用いた計算に基いて、初期化されることを特徴とするデコーダ。」と翻訳することができる。ここで、「resolution」は、ディスプレイの画面を構成するピクセル数を意味する「解像度」の他に、物理用の測定・識別の能力を意味する「分解能」とも翻訳することができるところ、「前記データストリームの構文要素」の「計算結果」に対応する翻訳としては、「分解能」が適切であるといえる。
そうすると、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするとともに同第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項6は、誤訳を訂正することを目的とする訂正であって、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであるから、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
ア 「分解能」について
上記(1)のとおり、訂正前の「計算結果の解像度」の「解像度」は、「分解能」の意味で用いられていたことが明らかであるから、「解像度」を「分解能」に訂正することにより、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。
イ 「および」について
訂正事項6により「前記計算結果の分解能が前記高効率モードおよび前記低煩雑性モードにおいてより低い前記データストリームの構文要素」と訂正することで、「計算結果の分解能」が、「前記高効率モードおよび前記低煩雑性モードにおいて」「より低い」、すなわち、「前記高効率モードおよび前記低煩雑性モード」のいずれよりも低いものであることが明瞭となった。また、この事項は明細書の段落0277からも明らかといえ、請求項16の「より」を「および」に訂正することは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。
ウ まとめ
上記ア、イのとおり、訂正事項6に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合し、上記「第3 2」の訂正拒絶理由は解消した。
(4)独立特許要件について
訂正後の請求項16に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由は発見しないから、訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(5)小括
訂正事項6に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

6 訂正事項7、8について
(1)訂正の目的について
訂正事項7は、請求項17に「前記エントロピー符号化エンジンは、全てのエントロピー復号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成される」と記載されているのを、「前記エントロピー符号化エンジンは、全てのエントロピ一符号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成される」に訂正するものである。
そして、訂正前の請求項17は、「データストリーム(601)にメディアデータを符号化するためのエンコーダ」における「エントロピー符号化エンジン」の構成について記載したものであり、一般にエントロピー符号化エンジンは、所定の符号化方式に基づいて構成されることが技術常識である。そうすると、訂正前の請求項17に係る発明は、本来、所定の「復号化方式」ではなく所定の「符号化方式」に基づくエントロピー符号化エンジンの処理を特定したものといえる。
したがって、訂正前の請求項17における「全てのエントロピー復号化方式について」との記載を、本来の意味を表す「全てのエントロピー符号化方式について」との記載に訂正することは、誤記の訂正を目的とするものといえる。
よって、訂正事項7は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
また、訂正事項8は、請求項19に「全てのエントロピー復号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成される」と記載されているのを、「全てのエントロピー符号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成される」に訂正するものであって、訂正事項7についての上述の理由と同様の理由により、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無について
願書に添付された明細書には、以下の事項が記載されている。
「【0173】
以下に、LC-pipeおよびHE-pipeの可能な一般のおよび複雑性計測可能な態様のより詳細な説明が示される。(中略)エントロピー復号器608は、それから現在の確率区間の内部からオフセット状態値に基づいて2つの部分的区間の中の選択を実行し、確率区間幅値およびオフセット状態値をアップデートし、選択された部分的区間を使用して、現在得られるビンの値を割り出し、アップデートされた確率幅値とオフセット状態値、すなわち、データストリーム401からビットを読み取る継続を含む、前記説明のVの繰り込みを実行することができる。上述の通り、確率区間幅値およびオフセット状態値のアップデートが現在得られるビンの値に依存しうると共に、オフセット状態値Vに基づく2つの一部分の区間の中の選択は、RとVとの間の比較を含みうる。」
「【0174】
PIPEに関する図18の実施例を実施する際に、エントロピー復号器322を含むパイプ・エントロピー符号化ステージは、8つの組織的なvariable-to-variable-codesを使用することができる、すなわちエントロピー復号器322が上記されているv2vタイプのものであることができる。」
「【0281】
メディアデータをデータストリームに符号化する、図18のデコーダに適合するエンコーダが、図20に示される。」
一般に符号化は復号化の逆操作であり、したがって、明細書の上記記載のようにエントロピー復号化エンジンが全てのエントロピー復号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理される点が明らかである以上、その逆操作を行うエントロピー符号化エンジンが全てのエントロピー符号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理される点は明らかである。
したがって、訂正事項7に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
同様の理由により、訂正事項8に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
上記(1)(2)のとおり、訂正事項7及び8に係る訂正は、明らかな誤記を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。
よって、訂正事項7及び8に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合し、上記「第3 3」及び「第3 4」の同第6項の規定に適合しないことに基づく訂正拒絶理由は解消した。
(4)独立特許要件について
上記(2)のとおり、訂正事項7及び8に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内で訂正するものであるから、訂正後の請求項16及び18に係る発明は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合する。
よって、上記「第3 3」及び「第3 4」の特許法第126条第7項の規定に適合しないことに基づく訂正拒絶理由は解消した。
そして、訂正後の請求項16及び18に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由は発見しないから、訂正事項7及び8に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
(5)小括
以上のとおり、訂正事項7及び8に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

7 訂正事項9について
(1)訂正の目的について
訂正事項9は、明細書の発明の詳細な説明の段落0033に「図4および図5のエントロピー符号器およびエントロピー復号器が、作動するように構成されうり、そして、構築されうる」と記載されているのを、日本語として不自然な表現である「うり」を適切な表現に訂正し、かつ、全体の意味を自然な表現とするため、「図4および図5のエントロピー符号器およびエントロピー復号器が、作動するように構成されえて、かつ、構築されうる」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項9に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項9に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項9に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項9に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

8 訂正事項10について
(1)訂正の目的について
訂正事項10は、明細書の発明の詳細な説明の段落0043に「現在のビン303のためのコンテキストの利用できるセットは、ビンの種類に依存しうり、」と記載されているのを、日本語として適切な表現である「現在のビン303のためのコンテキストの利用できるセットは、ビンの種類に依存しえて、」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項10に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項10に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項10に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項10に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

9 訂正事項11について
(1)訂正の目的について
明細書の発明の詳細な説明の段落0059に「復号されたビンのすでに受信されたシーケンスが、要求された構文要素の二値化方式のためのビンシーケンスのいずれも一致しない場合、復号されたビンのシーケンスが要求された構文要素の二値化方式のビンシーケンスのうちの1つと一致するまで、二値化器は、ビンの他の要求をパラメータ割当て器に送信する。」と記載されているところ、訂正事項11は、この記載中の「いずれも」を「いずれとも」に訂正するものである。
ここで、前記段落0059の記載からみて「復号されたビンのすでに受信されたシーケンス」の比較対象は「要求された構文要素の二値化方式のビンシーケンス」であることが明らかであるから、前記段落0059は、本来「復号されたビンのすでに受信されたシーケンスが、要求された構文要素の二値化方式のためのビンシーケンスのいずれとも一致しない場合、」と記載すべきことは明らかである。
したがって、訂正事項11に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項11に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項11に係る訂正により、何ら特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項11に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

10 訂正事項12ないし14及び56について
(1)訂正の目的について
訂正事項12ないし14は、明細書の段落0082の「データパケット400は、ヘッダと、(データの考慮された量について)」と記載されているのを、「データパケット410は、ヘッダと、(データの考慮された量について)」に(訂正事項12)、同「データパケットのヘッダ400は、」(当審注:「400」は「401」の誤記と認める。)と記載されているのを、「データパケットのヘッダ411は、」に(訂正事項13)、同「ビットストリームデータ402のセグメントに、」と記載されているのを、「ビットストリームデータ412のセグメントに、」に(訂正事項14)、それぞれ訂正し、訂正事項56は、訂正事項12ないし14に対応して図9に付された符号400、401及び402を、それぞれ10ずつ繰り上げた符号410、411及び412に訂正するものである。
そして、訂正事項12に係る訂正は、図8の「モードスイッチ」と図9の「データパケット」について同じ符号400が付されており、符号400が示すものがいずれであるか明瞭でなかったものを、異なる符号を付すことで明瞭にするための訂正であり、訂正事項13、14及び56に係る訂正は、訂正事項12に付随した訂正であるから、訂正事項12ないし14及び56に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げられた明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項12ないし14及び56に係る訂正は、明細書及び図面に記載された同じ符号で異なる事項を示していたものに異なる符号を付すことで明細書及び図面の記載を明瞭にしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項12ないし14及び56に係る訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

11 訂正事項15ないし18及び57について
(1)訂正の目的について
訂正事項15ないし18は、明細書の段落0083の「データパケットのペイロード、すなわち、そのヘッダ411のないデータパケット410は、」と記載されているのを、「データパケットのペイロード、すなわち、そのヘッダ421のないデータパケット420は、」に(訂正事項15)、同「所定の方法でセグメント412に区分化される。」と記載されているのを、「所定の方法でセグメント422に区分化される。」に(訂正事項16)、同「または、部分的ビットストリーム413の最初の部分に関連付けられる。」と記載されているのを、「または、部分的ビットストリーム423の最初の部分に関連付けられる。」に(訂正事項17)、同「関連したデータセグメントより大きい場合、その残り414は、」と記載されているのを、「関連したデータセグメントより大きい場合、その残り424は、」に(訂正事項18)、それぞれ訂正し、訂正事項57は、訂正事項15ないし18に対応して図10に付された符号410、411、412、413及び414を、それぞれ10ずつ繰り上げた符号420、421、422、423及び424に訂正するものである。
そして、図9と「代替案」である図10とは、「データパケットの構造」についての異なる実施形態であるところ、訂正事項15ないし18及び57に係る訂正は、上記10の訂正事項12ないし14及び56に係る訂正の結果、訂正後の図9と図10とで異なる事項が同じ符号で表されることになることを解消するための訂正であるといえるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げられた明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項15ないし18及び57に係る訂正は、明細書及び図面に記載された同じ符号で異なる事項を示していたものに異なる符号を付すことで明細書及び図面の記載を明瞭にしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項15ないし18及び57に係る訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

12 訂正事項19について
(1)訂正の目的について
訂正事項19は、明細書の段落0083に「これは、(データセグメントの最後から始まって)ビットストリームの残りの部分が逆順に挿入される方法で、なされうり、それは、補助情報を削減する。」と記載されているのを、日本語として適切な表現である「これは、(データセグメントの最後から始まって)ビットストリームの残りの部分が逆順に挿入される方法で、なされえて、それは、補助情報を削減する。」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項19に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項19に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項19に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項19に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

13 訂正事項20について
(1)訂正の目的について
訂正事項20は、明細書の段落0102に「このビットの数Nxは、異なるビットバッファ348について異なりうり、それは時間とともに変動しうる。」と記載されているのを、日本語として適切な表現である「このビットの数Nxは、異なるビットバッファ348について異なりえて、それは時間とともに変動しうる。」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項20に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項20に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項20に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項20に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

14 訂正事項21について
(1)訂正の目的について
訂正事項21は、明細書の段落0137に「b≠aでb∈{0,1}である1つのこを確かに有する」と記載されているのを、「b≠aでb∈{0,1}である1つ」は「b」の条件であることが明らかであるから、前記「こ」を本来の意味である「b」と記載することで、上記記載を「b≠aでb∈{0,1}である1つのbを確かに有する」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項21に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項21に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項21に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項21に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

15 訂正事項22について
(1)訂正の目的について
訂正事項22は、明細書の段落0139に「複数のエントロピー復号器の選択された1つから再現されるシンボルのシーケンスの各区シンボル325を検索するように構成されたセレクタ318を含み、」と記載されているのを、明細書に「シンボル」という用語は記載があるものの、「区シンボル」という用語は、明細書に他に記載がなくかつ一般的な用語でもないことから、前記「各区シンボル」を本来の意味である「各シンボル」と記載することで、「複数のエントロピー復号器の選択された1つから再現されるシンボルのシーケンスの各シンボル325を検索するように構成されたセレクタ318を含み、」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項22に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項22に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項22に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項22に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

16 訂正事項23について
(1)訂正の目的について
訂正事項23は、明細書の段落0140 に「第1のビットに日等しいシンボルのシーケンスをシンボルaまで再現するように構成されているか、」と記載されているのを「第1のビットに等しいシンボルのシーケンスをシンボルaまで再現するように構成されているか、」に訂正するものであるところ、「日等しい」という用語は、文脈から明らかに本来「等しい」と記載すべきことは明らかであるから、当該訂正は、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項23に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項23に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項23に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項23に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

17 訂正事項24について
(1)訂正の目的について
訂正事項24は、明細書の段落0140に「または、(2.1)第1のビットに続く次のn-2ビットの中でaが発生しなかった場合、」と記載されているのを、「または、(2 .2)第1のビットに続く次のn-2ビットの中でaが発生しなかった場合、」に訂正するものである。
ここで、前記段落0140には、訂正事項23に係る上記記載より前に「(2.1)第1のビットに続く次のn-2ビットの中でaが発生する場合」と、同じ項番である「(2.1)」が付されているにも関わらず異なる場合分けがされた事項が記載されていることで、段落0140の記載が不明瞭であったものを、2つの場合分けの項番のうち後に記載された場合分けを「(2.1)」と区別するために「(2.2)」を付すことで明瞭にするものであるから、訂正事項24に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げられた明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項24に係る訂正は、明細書中の明瞭でない記載を釈明するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項24に係る訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

18 訂正事項25について
(1)訂正の目的について
訂正事項25は、明細書の段落0143に「第1の符号の長さ3の2^(3)個の符号語ににマッピングされる」と記載されているのを、日本語として適切な表現である「第1の符号の長さ3の2^(3)個の符号語にマッピングされる」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項25に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項25に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項25に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項25に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

19 訂正事項26について
(1)訂正の目的について
訂正事項26は、明細書の段落0147に「(ここでは、コンテキスト割当て器して作用する)」と記載されているのを、日本語として適切な表現である「(ここでは、コンテキスト割当て器として作用する)」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項26に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項26に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項26に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項26に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

20 訂正事項27及び30について
(1)訂正の目的について
訂正事項27は、明細書の段落0154に「1つの共通のコテクスト適応算術符号器/復号器を用いた」と記載されているのを「1つの共通のコンテキスト適応算術符号器/復号器を用いた」に、訂正事項30は、段落0169に「シンボルのシーケンス326の以前に検索されたシンボルに応じて複数のコテクストの1つを選択するとともに、」と記載されているのを「シンボルのシーケンス326の以前に検索されたシンボルに応じて複数のコンテキストの1つを選択するとともに、」に、それぞれ訂正するものである。
そして、上記「コテクスト」は、明細書の特に段落0146以降の随所に記載された「コンテキスト」の意味であり、本来「コンテキスト」と記載すべきことは明らかである。
したがって、訂正事項27及び30に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項27及び30に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項27及び30に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項27及び30に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

21 訂正事項28について
(1)訂正の目的について
訂正事項28は、明細書の段落0158に「8つの異なるPIPE符合のモデル確率を表す。」と記載されているのを、「8つの異なるPIPE符号のモデル確率を表す。」に訂正訂正するものであるところ、上記「PIPE符合」は、例えば段落0157にも「PIPE符号」と記載されているように、本来「PIPE符号」と記載すべきことは明らかである。
したがって、訂正事項28に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項28に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項28に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項28に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

22 訂正事項29について
(1)訂正の目的について
訂正事項29は、明細書の段落162に「パラメータ割当て器316およびセレクタ318に分離されもよい。」と記載されているのを、日本語として適切な表現である「パラメータ割当て器316およびセレクタ318に分離されてもよい。」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項29に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項29に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項29に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項29に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

23 訂正事項31、32、44及び45について
(1)訂正の目的について
訂正事項31は、段落0174に「確率インデックスのRtabへのマッピングは、表Aにて図示されるようなものである。」と記載されているのを「確率インデックスのRtabへのマッピングは、表5にて図示されるようなものである。」に、訂正事項32は、段落0176に「使用されるパイプ・インデックスおよび確率インデックスをRtabに引き出し、表Aに示されるマッピングを用いて」と記載されているのを「使用されるパイプ・インデックスおよび確率インデックスをRtabに引き出し、表5に示されるマッピングを用いて」に、訂正事項44は、段落0222に「このようなマッピングの実施例は、表Aにおいて表される。」と記載されているのを「このようなマッピングの実施例は、表5において表される。」に、訂正事項45は、段落0225に「たとえば、表Aのマッピングのために、PIPEインデックスにつきCABAC状態の数は、表Bにおいて表される。」と記載されているのを「たとえば、表5のマッピングのために、PIPEインデックスにつきCABAC状態の数は、表7おいて表される。」に、それぞれ訂正する
ここで、表A及び表Bは、明細書中に存在しない。
一方、表5は、CABAC状態とPIPEインデックスとの関係が記載されているところ、明細書の段落【0175】には、「CABACまたは確率モデル状態、すなわち確率アップデートのために用いられる状態-のPIPEidsまたはルックアップのための確率インデックスのRtabへのマッピングは、表Aにて図示されるようなものである。」と記載されており、表Aは、CABACまたは確率モデル状態と確率インデックスとの関係を表している点で、表5と共通する。
さらに、表7は、PIPEidx(PIPEインデックス)とCABAC状態の数との関係が記載されているところ、表7の注釈に「表B:表Aの例のためのPIPEインデックスごとのCABAC状態の数」との記載がある。
これらの事項から、「表A」は「表5」のことであり、「表B」は「表7」のことであるといえる。
そうすると、上記各訂正事項に係る明細書の「表A」及び「表B」は、本来「表5」及び「表7」と記載すべきことが明らかであるから、上記訂正事項31、32、44及び45に係る訂正は、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項31、32、44及び45に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項31、32、44及び45に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項31、32、44及び45に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項31、32、44及び45に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

24 訂正事項33について
(1)訂正の目的について
訂正事項33は、明細書の段落0181に「残りの絶対レベルを示し、、coeff_sign_flagは、」と記載されているのを、日本語として適切な表現である「残りの絶対レベルを示し、coeff_sign_flagは、」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項33に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項33に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項33に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項33に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

25 訂正事項34について
(1)訂正の目的について
訂正事項34は、明細書の段落0196に「(それに続いて)レベル構文要素がゼロでない返還係数レベルを規定する。」と記載されているのを、「(それに続いて)レベル構文要素がゼロでない変換係数レベルを規定する。」に訂正するものである。
ここで、明細書には「返還係数レベル」について定義はなく、また同段落に「変換係数レベル」の記載があるから、「返還係数レベル」は誤記であり本来「変換係数レベル」と記載すべきことが明らかである。
したがって、訂正事項34に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項34に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項34に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項34に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

26 訂正事項35について
(1)訂正の目的について
訂正事項35は、明細書の段落0198に「あるいは、このように結果として生じるそれぞれの部分に対してブロック位置の更に置きい数を超えた拡張であるかどうかとは独立して、4、8、16構文要素の長さに定められる。」と記載されているのを、「あるいは、このように結果として生じるそれぞれの部分に対してブロック位置の更に大きい数を超えた拡張であるかどうかとは独立して、4、8、16構文要素の長さに定められる。」に訂正するものである。
ここで、「置きい数」は意味不明の誤記であり、文脈から本来「大きい数」と記載すべきことは明らかである。
したがって、訂正事項35に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項35に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項35に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項35に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

27 訂正事項36について
(1)訂正の目的について
訂正事項36は、明細書の段落0198に「そのうな構文が送信されない」と記載されていたのを、日本語として適切な表現である「そのような構文が送信されない」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項36に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項36に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項36に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項36に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

28 訂正事項37について
(1)訂正の目的について
訂正事項37は、明細書の段落0200に「同じ確率分布と関連する整数値構文要素うにマッピングされる」と記載されていたのを、日本語として適切な表現である「同じ確率分布と関連する整数値構文要素にマッピングされる」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項37に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項37に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項37に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項37に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

29 訂正事項38について
(1)訂正の目的について
訂正事項38は、明細書の段落0208に「絶対mvdが9に等しい可それより大きい場合」と記載されていたのを、日本語として適切な表現である「絶対mvdが9に等しいかそれより大きい場合」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項38に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項38に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項38に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項38に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

30 訂正事項39について
(1)訂正の目的について
訂正事項39は、明細書の段落0213に「したがって、そのコンテキストモデルのイデックスが引き出された後で、インデックスが、Exp-Golomb二値化を求める命令として用いられる。」と記載されているのを、「したがって、そのコンテキストモデルのインデックスが引き出された後で、インデックスが、Exp-Golomb二値化を求める命令として用いられる。」に訂正するものである。
そして、文脈からみて「イデックス」は誤記であり、本来その記載のすぐ後にも記載された「インデックス」と記載すべきことは明らかである。
したがって、訂正事項39に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項39に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項39に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項39に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

31 訂正事項40ないし43について
(1)訂正の目的について
訂正事項40は、明細書の段落0216「他の好ましい例」を「他の好ましい実施例」に、訂正事項41は、段落0217の「他の好ましい例」を「他の好ましい実施例」に、訂正事項42は、段落0217の「さらなる実例」を「さらなる実施例」に、訂正事項43は、段落0218の「他の好ましい例」を「他の好ましい実施例」に、それぞれ訂正するものである。
そして、訂正事項40ないし43に係る訂正は、明細書中に「実施例」、「例」及び「実例」と、いろいろな表記があることで不明瞭となっている記載を「実施例」に統一することで、明細書の記載を明瞭にするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げられた明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項40ないし43に係る訂正は、明細書中の同じ意味である用語の記載を統一して明瞭としたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項40ないし43に係る訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

32 訂正事項46について
(1)訂正の目的について
訂正事項46は、明細書の段落0231に「セレクタ402は、…それぞれの所定のシンボルに関連付けるそれぞれの確率モデルに応じてエントロピー復号器322の中で洗濯を実行するように構成される。」と記載されていたのを、「セレクタ402は、それぞれの所定のシンボルに関連付けるそれぞれの確率モデルに応じてエントロピー復号器322の中で選択を実行するように構成される。」に訂正するものである。
そして、上記記載は、セレクタ402の構成に関するものであるから、「洗濯」は誤記であり本来「選択」と記載すべきことが明らかである。
したがって、訂正事項46に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項46に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項46に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項46に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

33 訂正事項47について
(1)訂正の目的について
訂正前の段落0277には、「上述の表散歩」と記載されている。
一方、国際出願時の国際出願(国際公開第2012/172115号の第91頁第34行参照。)には、「the above-mentioned table walk」と記載されており、「上述のテーブルウォーク」と翻訳することができる。
そうすると、訂正事項47に係る訂正は、原文の「table walk」を「表散歩」と誤って翻訳したものを、本来の翻訳である「テーブルウォーク」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項47に係る訂正は、誤訳を訂正することを目的とする訂正であって、国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかである。
また、訂正事項47に係る訂正は、明細書中の誤訳を訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項47に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項47に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

34 訂正事項48について
(1)訂正の目的について
訂正事項48は、明細書の段落0280に「第1の区間の範囲内でマッピングを実行する短縮単項符号、およびカットフ値のための短縮単項符号」と記載されているのを、「第1の区間の範囲内でマッピングを実行する短縮単項符号、およびカットオフ値のための短縮単項符号」に訂正するものである。
ここで、明細書には「カットフ値」について定義はなく、また同段落に「カットオフ値」の記載があるから、「カットフ値」は誤記であり本来「カットオフ値」と記載すべきことが明らかである。
したがって、訂正事項48に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項48に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項48に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項48に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

35 訂正事項49について
(1)訂正の目的について
訂正事項49は、明細書の段落0280に「第2の区間の範囲内のVLC符号語の形の接尾辞の組み合わせをしようするように」と記載されているのを、「第2の区間の範囲内のVLC符号語の形の接尾辞の組み合わせを使用するように」に訂正するものである。
ここで、訂正前の「しようするように」について意味が不明瞭であったものを「使用するように」と訂正することで、その意味を明瞭にしたものであるから、訂正事項49に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項49に係る訂正は、明細書中の「しよう」を漢字で表記することにより記載を明瞭にしたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項49に係る訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

36 訂正事項50について
(1)訂正の目的について
訂正事項50は、明細書の段落0285に「例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータまたは電子回路等によって(使用して)を実行することができる。」と記載されているのを「例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータまたは電子回路等によって(を使用して)実行することができる。」に訂正するものである。
ここで、訂正前の記載は、「(使用して)」が何を使用するかが明瞭でなく、「実行する」主体も明瞭でなかったものを、訂正により明瞭にしたものであるから、訂正事項50に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げられた明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項50に係る訂正は、明細書中の明瞭でない記載を釈明するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項50に係る訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

37 訂正事項51について
(1)訂正の目的について
訂正事項51は、明細書の段落0298に「しだって、」と記載されていたのを、前後の文脈から日本語として適切な表現である「したがって」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項51に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項51に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項51に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項51に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

38 訂正事項52について
(1)訂正の目的について
訂正事項52は、明細書の段落0299に「複数のエントロピー符号器322と、複数のエントロピー復号器322の選択された一つから、」と記載されているのを「複数のエントロピー復号器322と、複数のエントロピー復号器322の選択された一つから、」に訂正するものである。
ここで、段落0299には訂正事項52に係る記載を含めて以下のとおり記載されている。
「このように、特に、上記説明は、データストリームに応じて低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするように構成されたモードスイッチ400と、各々がデータストリームの符号語を、シンボルの部分的シーケンス321に、変換するように構成される、複数のエントロピー符号器322と、複数のエントロピー復号器322の選択された一つから、シンボルのシーケンス326の各シンボルを取り出すように構成されたセレクタ402と、構文要素のシーケンス327を得るために、シンボル326のシーケンスを非記号化するように構成されたデシンボライザ314と、構文要素のシーケンスに基づいて、メディアデータを再現するために構成された再現器404とを含み、そこにおいて、セレクタ402は、低煩雑性モードおよび高効率モードのうちのアクティブにされた一つに応じて、選択を実行するように構成されることを特徴とする、メディアデータが符号化されるデータストリーム401を復号するためのデコーダを明らかにした。」
この記載のデコーダは、図8のデコーダに対応することが明らかであり、符号322は「ビン復号器」を示していることも勘案すると、訂正前の「複数のエントロピー符号器322」は誤記であり、本来「複数のエントロピー復号器322」と記載すべきことは明らかである。
したがって、訂正事項52に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項52に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項52に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項52に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

39 訂正事項53について
(1)訂正の目的について
訂正事項53は、明細書の段落0299に「コンテキストの数および/または先に取り出されたシンボルの数が、高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて低いように、」と記載されているのを「コンテキストの数および/または先に取り出されたシンボルの数が、高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて少ないように、」に訂正するものである。
そして、訂正事項53に係る「低いように」の対象は、「コンテキストの数および/または先に取り出されたシンボルの数」であるから、日本語として「低い」ではなく「少ない」と記載する方が適切といえる。
したがって、訂正事項53に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項53に係る訂正は、明細書中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項53に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項53に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

40 訂正事項54について
(1)訂正の目的について
訂正事項54は、段落0299に「比率x/yが高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて低いように、」と記載されているのを「比率x/yが高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて高いように、」に訂正するものである。
そして、この訂正は、訂正事項5で請求項15を訂正することに伴い明細書の記載を訂正後の請求項15に整合するために必要な訂正であるといえるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げられた明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項54に係る訂正は、明細書の記載を訂正後の請求項15の記載に整合するためのものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項54に係る訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであり、上記「第3 5」の訂正拒絶理由は解消した。

41 訂正事項55について
(1)訂正の目的について
訂正事項55は、段落0299に「計算結果の解像度は高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて低いデータストリームの構文要素を用いた計算に基いて、シンボルタイプと関連した確率モデルを初期化するように構成されうる。」と記載されているのを、「計算結果の分解能は声効率モードおよび低煩雑性モードにおいて低いデータストリームの構文要素を用いた計算に基いて、シンボルタイプと関連した確率モデルを初期化するように構成されうる。」に訂正するものである。
そして、この訂正は、訂正事項6で請求項16を訂正することに伴い明細書の記載を訂正後の請求項16に整合するために必要な訂正であるといえるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げられた明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項55に係る訂正は、明細書の記載を訂正後の請求項16の記載に整合するためのものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項55に係る訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであり、上記「第3 6」の訂正拒絶理由は解消した。

42 訂正事項58について
(1)訂正の目的について
訂正事項58は、図15における符号305が付された「パラメータの関連付けれれたセットを有するビン」との記載を、日本語として適切な表現である「パラメータの関連付けられたセットを有するビン」に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的としている。
したがって、訂正事項58に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げられた誤記又は誤訳の訂正を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否、独立特許要件について
訂正事項58に係る訂正は、図面中の明らかな誤記を訂正するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項58に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が変更されるものではないことから、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項58に係る訂正は、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1ないし58に係る訂正は、いずれも適法になされたものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
エントロピー符号化をサポートするモード切替
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオデータまたはオーディオデータなどのメディアコンテンツを符号化するためのエントロピー符号化構想に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのオーディオおよびビデオオーディオコーデックが知られている。通常、これらの符復号化は、オーディオ又はビデオなどのメディアコンテンツを表すために必要なデータ量を削減する、すなわち、それらはデータを圧縮する。しかし、これらの符復号化に課される要求は、高い圧縮効率の達成に限られていない。むしろ、符復号化は、特定のアプリケーションタスクのために特殊化される傾向がある。したがって、オーディオ分野においては、音声符号化のために特殊化されるオーディオコーデックがあり、他方、音楽を符号化するために特殊化されるオーディオコーデックがある。さらに、使用目的によっては、符号化遅延は重要であり、したがって、符復号化のいくつかは、低遅延のために特殊化される。このほか、これらの符復号化のほとんどは、煩雑性/効率性の異なるレベルにおいて利用できる。すなわち、これらのレベルの一部は、低符号化効率という代償を払った低符号化煩雑性についてのものである。H.264ビデオ符号化標準は、例えば、ベースラインプロファイルとメインプロファイルを提供する。第一に、これらの符号化プロファイルは、オーディオ符号化分野におけるSBRの利用可能性/欠如やビデオ符号化分野におけるBフレームの利用可能性/欠如などの特定の符号化オプション/装置のアクティブ化/非アクティブ化において、互いに異なっている。このほか、これらのメディア符復号化の煩雑性の相当な部分は、構文要素のエントロピー符号化に関する。通常、VLCエントロピー符号化方式は、算術符号化方式よりは複雑でない傾向があるが、後者がより良好な符号化効率を示す。したがって、H264標準では、適応2進法算術符号化(context adaptive binary arithmetic coding)(CABAC)は、ベースラインプロファイルではなく、メインプロファイルにおいてのみ利用できる。明白であるが、ベースラインプロファイル適応デコーダは、メインプロファイル適応デコーダより複雑でないように構成されることができる。同じことが、エンコーダにも当てはまる。この種のデコーダおよび/またはエンコーダを含むハンドヘルドデバイスが限られたエネルギー利用度を有するので、ベースラインプロファイルは、低煩雑性に関してはメインプロファイルより利点がある。メインプロファイル適応デコーダ/エンコーダは、より複雑な算術符号化方式であるというだけでなく、これらのメインプロファイル適応デコーダ/エンコーダがベースラインプロファイル適応データストリームと上位互換性を持たなければならないという事実のため、より複雑である。換言すれば、増加した煩雑性は、低煩雑性可変長符号化方式から生じている煩雑性につながっている算術符号化方式に起因する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記からみて、符号化煩雑性と符号化効率との間のコーデックスの比率のより効果的なスケーラビリティを可能にする符号化構想があれば、それが好ましいだろう。
【0004】
したがって、このような符号化構想を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、これに添付された独立請求項の内容によって達成される。
【0006】
一実施形態によれば、メディアデータが符号化されるデータストリームを復号するためのデコーダは、データストリームに応じて、低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするように構成されるモードスイッチと、複数のエントロピー復号方式の選択された一つを使用して、データストリームから、エントロピー復号化によって、シンボルのシーケンスのうちの各シンボルを取り出すように構成されるエントロピー復号化エンジンと、構文要素のシーケンスを得るためにシンボルのシーケンスを非記号化(desymbolize)するように構成されたデシンボライザ(desymbolizer)と、構文要素のシーケンスに基づいてメディアデータを再現するように構成された再現器とを含み、そこにおいて、前記選択は、低煩雑性モードおよび高効率モードのうちのアクティブにされた一つに依存する。
【0007】
別の実施形態によれば、メディアデータが符号化されるデータストリームを復号するためのデコーダは、データストリームに応じて低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするように構成されるモードスイッチと、制御パラメータによって制御可能なマッピング関数を使用して、整数値の構文要素のシーケンスを得るためにシンボルのシーケンスを非記号化するように構成されたデシンボライザと、整数値の構文要素のシーケンスに基づいてメディアデータを再現するように構成された再現器とを含み、そこにおいて、デシンボライザは、高効率モードがアクティブにされている場合には、制御パラメータが、第1のレートでデータストリームに従って変動し、低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、制御パラメータが、データストリームに関係なく一定であるか、又は、第1のレートより低い第2のレートでデータストリームに応じて変化するように、非記号化を実行するように構成される。
【0008】
本願の好ましい実施形態は、図を参照して、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、一実施形態によるエンコーダのブロック図を示す。
【図2】図2a?2cは、図式的に、ブロックへの画像などのサンプル配列の様々な細分化を示す。
【図3】図3は、一実施形態によるデコーダのブロック図を示す。
【図4】図4は、更に詳細に、一実施形態によるエンコーダのブロック図を示す。
【図5】図5は、更に詳細に、一実施形態によるデコーダのブロック図を示す。
【図6】図6は、空間ドメインからスペクトルドメインへのブロックの変換、結果として生じる変換ブロックおよびその再変換を図式的に示す。
【図7】図7は、一実施形態によるエンコーダのブロック図を示す。
【図8】図8は、一実施形態による、図8のエンコーダによって生成されたビットストリームを復号することに適しているデコーダのブロック図を示す。
【図9】図9は、一実施形態による多重化された一部分のビットストリームを有するデータパケットを示している図式的なダイヤグラムを示す。
【図10】図10は、更なる実施形態による固定サイズのセグメントを使用して別のセグメンテーションを有するデータパケットを示している図式的なダイヤグラムを示す。
【図11】図11は、一部分のビットストリームのインターリーブを用いた実施形態によるエンコーダのブロック図を示す。
【図12】図12は、一実施形態による図11のエンコーダ側の符号語バッファの状態のための例を示している図表を示す。
【図13】図13は、一部分のビットストリームのインターリーブを用いた実施形態によるデコーダのブロック図を示す。
【図14】図14は、符号語の単一のセットを使用した符号語のインターリーブを使用した実施形態によるデコーダのブロック図を示す。
【図15】図15は、固定長ビット列のインターリービングを使用した実施形態によるエンコーダのブロック図を示す。
【図16】図16は、一実施形態による図15のエンコーダ側のグローバルビットバッファの状態のための例を示している図表を示す。
【図17】図17は、固定長ビット列のインターリービングを使用した一実施形態によるデコーダのブロック図を示す。
【図18】図18は、一実施形態によるデコーダサポートモード切り替えを示す。
【図19】図19は、更なる実施形態によるデコーダサポートモード切り替えを示す。
【図20】図20は、一実施形態による図18のデコーダに適合するエンコーダを示す。
【図21】図21は、実施形態に従って図19のデコーダに適合するエンコーダを示す。
【図22】図22は、pStateCtxおよびfullCtxState/256のマッピングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図の説明の間、これらの図のいくつかにおいて生じている要素は、これらの図のそれぞれにおいて、同じ参照符号で示され、機能に関するこれらの要素の繰り返しの説明は、不必要な繰り返しを回避するために、回避されることに留意されたい。それにもかかわらず、1つの図に関して与えられた機能性および説明は、反対のことが明示的に示されない限り、他の図にもあてはまる。
【0011】
以下において、まず、図1?図17に関して、一般のビデオ符号化構想の実施形態が説明される。図1?図6は、シンタックスレベルに作用しているビデオコーデックの一部と関連する。それ以降の図8?図17は、データストリームへの構文要素ストリームの変換およびその逆に関するコードの一部のための実施形態に関する。それから、本発明の特定の態様および実施形態は、図1?図17に関して概説される一般の構想のありうる実施態様の形で説明される。しかし、本発明の実施形態のほとんどの態様が、ビデオ符号化に制限されないことに、前もって留意しなければならない。同じことは、下記の多くの詳細に関してあてはまる。
【0012】
図1は、本願の態様が実施されうるエンコーダ10のための一例を示す。
【0013】
エンコーダは、データストリームに情報サンプルの配列20を符号化する。情報サンプルの配列は、いかなる種類の空間的にサンプリングされた情報信号も示すことができる。例えば、サンプル配列20は、静止画またはビデオの画像でもよい。したがって、情報サンプルは、明度値、カラー値、輝度値、彩度値等に対応することができる。しかし、情報サンプルはまた、サンプル配列20が、例えば、光センサ等の時間によって生じた奥行きマップである場合、奥行き値でもよい。
【0014】
エンコーダ10は、ブロックベースのエンコーダである。すなわち、エンコーダ10は、ブロック40を単位にするデータストリーム30に、サンプル配列20を符号化する。ブロック40を単位にする符号化は、エンコーダ10が、互いに全く独立してこれらのブロック40を符号化することを必ずしも意味するわけではない。むしろ、エンコーダ10は、残りのブロックを外挿する又は内部予測するために、先に符号化されたブロックの再現を使用することができる、または、符号化パラメータを設定するために、すなわち、各ブロックに対応する各サンプル配列ドメインが符号化される方法を設定するために、ブロックの粒度を使用することができる。
【0015】
更に、エンコーダ10は、変換符号器である。すなわち、エンコーダ10は、空間ドメインからスペクトルドメインに各ブロック40の中の情報サンプルを移すための変換を使用することにより、ブロック40を符号化する。FFTのDCTのような二次元変換等が使用されうる。好ましくは、ブロック40は、正方形状または長方形状である。
【0016】
図1に示されるブロック40へのサンプル配列20の細分化は、単に説明の目的のためだけに役立つ。図1は、重なりなしの方法で互いに当接する正方形または長方形のブロック40の規則的な二次元配置に細分化されるようなサンプル配列20を示す。ブロック40のサイズは予め定められうる。すなわち、エンコーダ10は、復号化側に、データストリーム30の中のブロック40のブロックサイズに関する情報を転送しないこともある。例えば、デコーダは、予め定められたブロックサイズを予測することができる。
【0017】
しかし、いくつかの変形例が可能である。例えば、ブロックは、重なり合うことができる。しかし、その重なり合いは、各ブロックがいかなる隣接したブロックによっても重ならない部分を有する程度にまで、または、ブロックの各サンプルが、最大で、所定の方向に沿って現在ブロックに並列に配置された隣接したブロックの中の1ブロックだけ重複されるように、制限されうる。後者は、左側および右側の隣接ブロックが、完全に現在ブロックをカバーするように現在ブロックに重なるが、それらが互いにオーバーレイしないこと、および、同じことが、垂直および斜めの方向の隣接に当てはまることを意味する。
【0018】
更なる変形例として、ブロック40へのサンプル配列20の細分化は、ビットストリーム30を介してデコーダ側へ転送される、使用される細分化に関する細分化情報を有するエンコーダ10によって、サンプル配列20のコンテンツに適合されることができる。
【0019】
図2a?図2cは、ブロック40にサンプル配列20の細分化のための様々な例を示す。図2aは、サイズの増加に伴って40a、40b、40cおよび40dで示されている代表的なブロックについて、異なるサイズのブロック40に、サンプル配列20の4分木ベースの細分化を示す。図2aの細分化によれば、サンプル配列20は、まず、ツリーブロック40dの規則的な二次元配置に分割される。次に、それは、それと関連する個々の細分化情報を有しており、それに従って、特定のツリーブロックが、4分木構造に従って更に細分化される又はされない。ブロック40dの左のツリーブロックは、例として、4分木構造に従ってより小さいブロックに細分化される。エンコーダ10は、図2aの実線および破線で示されるブロックの各々のために、1つの二次元変換を実行することができる。換言すれば、エンコーダ10は、ブロック細分化の単位で配列20を変換することができる。
【0020】
4分木ベースの細分化の代わりに、より一般的な複数ツリーベースの細分化が使用されることができ、階層レベルごとの子ノードの数は、異なる階層レベルの間で異なることができる。
【0021】
図2bは、細分化のための別の例を示す。図2bによれば、サンプル配列20は、まず、重なりなしで互いに当接する方法で、規則的な二次元配置で配置されるマクロブロック40bに分割される。そこにおいて、各マクロブロック40bは、それと細分化情報を関連させており、それにより、マクロブロックが、細分化されない、または、細分化される場合、異なるマクロブロックについて異なる細分化粒度を達成するために、等サイズのサブブロックに規則的な二次元的方法で細分化される。その結果が、40a、40bおよび40aで示されている異なるサイズの代表を有する異なったサイズにされたブロック40でのサンプル配列の細分化である。図2aのように、エンコーダ10は、実線および破線を有する図2bに示されるブロックの各々で、二次元変換を実行する。図2cは、後に述べられる。
【0022】
図3は、サンプル配列20の再現されたバージョン60を再現するために、エンコーダ10によって生成されるデータストリーム30を復号することができるデコーダ50を示す。デコーダ50は、データストリーム30から、ブロック40の各々のための変換係数ブロックを抽出して、変換係数ブロックの各々で逆変換を実行することによって、再現されたバージョン60を再現する。
【0023】
エンコーダ10およびデコーダ50は、データストリームに変換係数ブロックに関する情報を挿入するために、および、データストリームからこの情報を抽出するために、それぞれ、エントロピー符号化/復号化を実行するように構成されることができる。この点に関する詳細は、後述する。データストリーム30が、サンプル配列20のすべてのブロック40について変換係数ブロックに関する情報を含むというわけでは必ずしもない点に留意する必要がある。むしろ、ブロック40のサブセット、別の方法でビットストリーム30に符号化されることができる。例えば、エンコーダ10は、ビットストリーム30に、デコーダが再現されたバージョン60の各ブロックを予測する又はそうでない場合は満たすことを可能にする別の符号化パラメータを代わりに挿入することによって、ブロック40の特定のブロックについて変換係数ブロックを挿入することを控えることを決定することができる。例えば、エンコーダ10は、テクスチャ合成によって、デコーダによりデコーダ側で満たされることができるサンプル配列20の中のブロックを検出して、それに応じてビットストリーム内でこれを示すために、テクスチャ解析を実行することができる。
【0024】
以下の図に関して述べられるように、変換係数ブロックは、必ずしもサンプル配列20の各ブロック40の元の情報サンプルのスペクトルドメイン表現を示すというわけではない。むしろ、この種の変換係数ブロックは、各ブロック40の予測残差のスペクトルドメイン表現を示すことができる。図4は、この種のエンコーダのための一実施形態を示す。図4のエンコーダは、変換ステージ100と、エントロピー符号器102と、逆変換ステージ104と、予測器106と、減算器108と、加算器110とを備える。減算器108、変換ステージ100およびエントロピー符号器102は、図4のエンコーダの入力112と出力114との間に、言及された順番で連続的に接続される。また、逆変換ステージ104、加算器110および予測器106は、変換ステージ100の出力と減算器108の逆入力との間に、言及される順番で接続され、予測器106の出力は、加算器110の更なる入力と接続されている。
【0025】
図4のエンコーダは、予測的な変換ベースのブロックエンコーダである。すなわち、入力112に入力するサンプル配列20のブロックは、そのサンプル配列20の先に符号化され再現された部分から、または、表示時間において現在のサンプル配列20に先行しうる又は後続しうる先に符号化され再現された他のサンプル配列から、予測される。予測は、予測器106によって実行される。減算器108は、この種の元のブロックからの予測を減算し、変換ステージ100は、予測残差で二次元変換を実行する。二次元変換自体または変換ステージ100内部の後続の手段は、変換係数ブロックの中の変換係数の量子化につながりうる。例えば、量子化された変換係数ブロックは、出力114で出力されている結果として生じるデータストリームを有するエントロピー符号器102の中でのエントロピー符号化によって、ロスなく符号化される。逆変換ステージ104は、量子化された残差を再現し、加算器110は、次に、再現された残差を、対応する予測と結合して、再現された情報サンプルを得て、それに基いて、予測器106は、前述の現在符号化される予測ブロックを予測することができる。予測器106は、ブロックを予測するために、イントラ予測モードおよびインター予測モードなどの異なる予測モードを使用することができ、予測パラメータは、データストリームへの挿入のためにエントロピー符号器102に転送される。インター予測された予測ブロックごとに、各動きデータは、復号化側が予測をやり直すことを可能にするために、エントロピー符号器114を介してビットストリームに挿入される。画像の予測ブロックのための動きデータは、例えば、隣接する既に符号化された予測ブロックの動きベクトルからの規定された方法によって導き出された動きベクトル予測因子に対する現在の予測ブロックのための動きベクトルを区別して符号化する動きベクトル差を示している構文要素を含むシンタックス部分に関与しうる。すなわち、図4の実施形態によれば、変換係数ブロックは、その実際の情報サンプルではなく、むしろサンプル配列の残差のスペクトル表現を示す。
【0026】
すなわち、図4の実施形態によれば、構文要素のシーケンスは、データストリーム114にエントロピー符号化されるためにエントロピー符号器102に入ることができる。構文要素のシーケンスは、インター予測ブロックのための動きベクトル差構文要素、および、変換ブロックのための、有意な変換係数レベルの位置を示している有意マップ(significance map)に関する構文要素、並びに、有意な変換係数レベル自体を定めている構文要素を含むことができる。
【0027】
いくつかの変形例が、図4の実施形態について存在し、それらのいくつかが、説明が図4の記載に組み入れられる本明細書の導入部分内で説明されている点に留意する必要がある。
【0028】
図5は、図4のエンコーダによって生成されるデータストリームを復号することができるデコーダを示す。図5のデコーダは、エントロピー復号器150と、逆変換ステージ152と、加算器154と、予測器156とを備える。エントロピー復号器150、逆変換ステージ152および加算器154は、言及された順で、図5のデコーダの入力158と出力160との間に連続的に接続される。エントロピー復号器150の更なる出力は、予測器156に接続され、予測器156は、次に、加算器154の出力とその更なる入力との間に接続される。エントロピー復号器150は、入力158で図5のデコーダに入っているデータストリームから、変換係数ブロックを抽出する。そこにおいて、逆変換は、残差信号を得るために、ステージ152で変換係数ブロックに適用される。残差信号は、出力160でサンプル配列の再現されたバージョンの再現されたブロックを得るために、加算器154で予測器156からの予測と結合される。再現されたバージョンに基づいて、予測器156は、予測を生成し、それによりエンコーダ側で予測器106によって実行される予測を作り直す。エンコーダ側で使用される予測と同じ予測を得るために、予測器156は、エントロピー復号器150も入力158でデータストリームから得る予測パラメータを使用する。
【0029】
上記の実施形態において、予測および残差の変換が実行される空間的な粒度が、互いに等しくある必要はないことは留意される必要がある。これは図2Cで示される。この図は、実線の予測粒度および破線の残差粒度の予測ブロックのための細分化を示す。図から分かるように、細分化は、互いに独立しているエンコーダによって選択されることができる。より正確には、データストリームシンタックスは、予測細分化から独立している残差細分化の定義を可能にすることができる。あるいは、各残差ブロックが予測ブロックに等しい又はその真部分集合であるように、残差細分化は、予測細分化の拡張でもよい。これは、図2aおよび図2bに示され、例えば、予測粒度が実線で、残差粒度が破線で示される。すなわち、図2a?2cにおいて、それと関連する参照符号を有するすべてのブロックは、1つの二次元変換が実行される残差ブロックであるであろうし、一方、例えば、破線ブロック40aを含むより大きな実線ブロックは、予測パラメータ設定が個々に実行される予測ブロックであるであろう。
【0030】
前記実施形態は、(残差又は元の)サンプルのブロックが、変換係数ブロックに、エンコーダ側で変換されることになり、次に、変換係数ブロックは、デコーダ側でサンプルの再現されたブロックに逆変換されることになるという点で共通である。これは、図6に示す。図6は、サンプルのブロック200を示す。図6の場合には、このブロック200は、例示的に、正方形で、サイズにおいて4x4サンプル202である。サンプル202は、水平方向xおよび垂直方向yに沿って規則的に配置される。上述の二次元変換Tによって、ブロック200が、スペクトルドメインに、すなわち変換係数206のブロック204に変換され、その変換ブロック204は、ブロック200と同じサイズである。すなわち、変換ブロック204は、水平方向および垂直方向において、ブロック200がサンプルを有するのと同じ数の変換係数206を有する。しかし、変換Tがスペクトル変換であるように、変換ブロック204の中の変換係数206の位置は、空間位置にではなく、むしろブロック200のコンテンツのスペクトル成分に対応する。特に、変換ブロック204の水平軸は、水平軸のスペクトル周波数が単調に増加する軸に対応し、一方、その垂直軸は、垂直軸のスペクトル周波数が単調に増加する軸に対応し、そこにおいて、右下隅で、水平方向及び垂直方向の両方で最も高い周波数に対応する変換係数206が位置するように、直流(DC)成分変換係数は、ブロック204の隅に、ここでは例示的に左上隅に、位置する。空間的方向を無視すれば、特定の変換係数206が属する空間周波数は、一般に左上隅から右下隅へ増加する。逆変換T^(-1)によって、変換ブロック204は、ブロック200のコピー208を再取得するために、スペクトルドメインから空間ドメインに再変換される。変換の間、量子化/ロスが生じなかった場合、再現は完全であろう。
【0031】
すでに上述したように、ブロック200のより大きなブロックサイズが、結果として生じるスペクトル表現204のスペクトル分解能を増加させることが、図6から分かる。一方では、量子化雑音はブロック208全体にわたって広がる傾向があり、したがって、ブロック200の中の切り取られ且つ非常にローカライズされたオブジェクトは、量子化ノイズにより元のブロック200に対する再変換されたブロックの偏差をもたらす傾向がある。しかし、より大きなブロックを使用する主な利点は、有意である、すなわちゼロでない(量子化された)変換係数、すなわちレベルの数と、有意でない変換係数の数との間の比率を、より小さいブロックと比べてより大きいブロック内では、低下することができ、このことにより、より良好な符号化効率を可能にするということである。換言すれば、しばしば、有意な変換係数レベル、すなわちゼロに量子化されない変換係数は、低密度に変換ブロック204全体に分配される。このため、以下で更に詳細に説明される実施形態によれば、有意な変換係数レベルの位置は、有意性マップとしてデータストリームの中で信号を送られる。それとは別に、変換係数が量子化されている場合の、有意な変換係数の値、すなわち変換係数レベルは、データストリームの中で送信される。
【0032】
従って、上記のすべてのエンコーダおよびデコーダは、構文要素の特定のシンタックスを処理するように構成される。すなわち、変換係数レベルなどの前述の構文要素、変換ブロックの有意性マップに関する構文要素、インター予測ブロックに関する動きデータ構文要素などは、所定の方法でデータストリームの中で順次配置されるとみなされる。この種の所定の方法は、例えば、H.264標準または他のオーディオ/ビデオコーデックにおいてなされているように、擬似コードの形で示されることができる。
【0033】
さらに換言すれば、上記説明は、主に、特定の構文要素タイプ、そのセマンティクスおよびそれらの中の順序を規定している所定のシンタックス構造による、構文要素への、メディアデータ、ここでは例示的にビデオデータの変換を扱った。次に概説されるように、図4および図5のエントロピー符号器およびエントロピー復号器が、作動するように構成されえて、かつ、構築されうる。それは、構文要素シーケンスとデータストリーム、すなわちシンボルまたはビットストリームとの間の変換を実行する役割を果たす。
【0034】
一実施形態によるエントロピー符号器が、図7に示される。エンコーダは、構文要素301のストリームを、2つ又はそれ以上の部分的ビットストリームのセット312に変換する。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、各構文要素301は、1つ又は複数のセットのカテゴリ、すなわち構文要素タイプに関連している。例えば、そのカテゴリは、構文要素の種類を特定することができる。ハイブリッドビデオ符号化に関連して、別個のカテゴリは、マクロブロック符号化モード、ブロック符号化モード、参照画像インデックス、動きベクトル差、細分化フラグ、符号化ブロックフラグ、量子化パラメータ、変換係数レベルなどと関連しうる。オーディオ、音声、テキスト、書類、または一般のデータ符号化などの他のアプリケーション分野において、構文要素の様々なカテゴライズが可能である。
【0036】
一般に、各構文要素は、値の有限又は可算無限集合のうちの1つの値をとることができる。ここで、可能な構文要素値のセットは、異なる構文要素カテゴリに関して異なることができる。例えば、バイナリの構文要素並びに整数値の構文要素がある。
【0037】
符号化アルゴリズムおよび復号化アルゴリズムの煩雑性を低減するために、そして、様々な構文要素および構文要素カテゴリのための一般の符号化および復号化設計を可能にするために、構文要素301は、バイナリの決定の順序集合に変換されて、これらのバイナリの決定は、それから単純なバイナリの符号化アルゴリズムによって処理される。従って、二値化器(binarizer)302は、各構文要素301の値を、ビン(bin)303のシーケンス(または列またはワード)に、全単射に(bijectively)マッピングする。ビン303のシーケンスは、一組の順序付けられたバイナリ決定を示す。各ビン303またはバイナリ決定は、2つの値のセットのうちの1つの値、例えば値0および値1のうちの1つをとることができる。バイナリ方式は、異なる構文要素カテゴリについて異なることができる。特定の構文要素カテゴリのための二値化方式は、ありうる構文要素値のセットおよび/または特定のカテゴリのための構文要素のその他の特性に依存しうる。
【0038】
表1は、可算無限集合の3つの例の二値化方式を示す。可算無限集合の二値化方式は、構文要素値の有限集合にも適用されることもできる。特に構文要素値の大きい有限集合について、非効率性(ビンの使用されないシーケンスから生じる)は、ごくわずかでありえるが、この種の二値化方式の一般性は、煩雑性および所要メモリ量に関して利点を与える。構文要素値の小さい有限集合について、二値化方式をありうるシンボル値の数に適合することは、(符号化効率の観点から)しばしば好ましい。
【0039】
表2は、8個の値の有限集合について3つの例の二値化方式を示す。有限集合についての二値化方式は、ビンシーケンスの有限集合が、冗長度のないコード(redundancy-free code)を示す方法で、ビンのいくつかのシーケンスを修正すること(およびビンシーケンスを潜在的に再度順序付けること)によって、可算無限集合についてのユニバーサルバイナリ方式から導き出されうる。例えば、表2の短縮単項(truncated unary)二値化方式は、ユニバーサルユーナリー二値化方式の構文要素7のためのビンシーケンスを修正することによって構築された(表1参照)。表2の短縮されたおよび再度順序付けられた0次の指数ゴロム(Exp Golomb)二値化は、ユニバーサル指数ゴロム0次二値化(参照表1)の構文要素7のためのビンシーケンスを修正することによって、そして、ビンシーケンス(シンボル7のための短縮されたビンシーケンスは、シンボル1に割り当てられた)を再度順序付けることによってつくられた。構文要素の有限集合のために、表2の最後の列において例示されるように、非システマチック/非ユニバーサル二値化方式を使用することも可能である。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
二値化器302によってつくられたビンのシーケンスの各ビン303は、順番にパラメータ割当て器304に入れられる。パラメータ割当て器は、各ビン303に一つ以上のパラメータのセットを割り当て、パラメータ305の関連したセットを有するビンを出力する。パラメータのセットは、エンコーダおよびデコーダでちょうど同一の方法で決定される。パラメータのセットは、以下のパラメータの一つ以上から成ることができる。
【0043】
特に、パラメータ割当て器304は、現在のビン303にコンテキストモデルを割り当てるように構成されることができる。例えば、パラメータ割当て器304は、現在のビン303のための利用できるコンテキストインデックスのうちの1つを選択することができる。現在のビン303のためのコンテキストの利用できるセットは、ビンの種類に依存しえて、それは、次に、構文要素301の種類/カテゴリ、現在のビン303がその一部である二値化、および、後の二値化の範囲内の現在のビン303の位置によって定められうる。利用できるコンテキストセットの中のコンテキスト選択は、後者と関連した前のビンおよび構文要素に依存しうる。これらのコンテキストの各々は、それとともに関連する確率モデル、すなわち、現在のビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための尺度を有する。確率モデルは、特に、現在のビンのためのより確率の低い又は確率の高いビン値のための確率の評価のための尺度でありえ、加えて、確率モデルは、2つの可能なビン値のうちどちらが現在のビン303のためのより確率が低い又は確率が高いビン値を示すかという推定を特定している識別子によって定められている。単に1つのコンテキストだけが現在のビンに利用できる場合には、コンテキスト選択は、省かれることができる。
【0044】
下で更に詳細に概説されるように、パラメータ割当て器304は、さまざまなコンテキストに関連した確率モデルを、各コンテキストに属している各ビンの実際のビン統計に適合するために、確率モデル適合を実行することもできる。また、下で更に詳細に説明されるように、パラメータ割当て器304は、アクティブ化されている高効率(HE)モードまたは低煩雑性(LC)モードに応じて異なって作動することができる。下で概説されるように、両方のモードにおいて、確率モデルは、ビン符号器310のいずれかに現在のビン303を関連させるが、パラメータ割当て器304の動作モードは、LCモードでより複雑でない傾向があるが、個々のエンコーダ310への個々のビン303の関連付けを、ビン統計により正確に適合させられているパラメータ割当て器304によって、符号化効率が高効率モードで増加して、それによって、LCモードに関連してエントロピーを最適化する。
【0045】
パラメータ割当て器304の出力であるパラメータ305の関連したセットを有する各ビンは、ビンバッファ・セレクタ306に入れられる。ビンバッファ・セレクタ306は、潜在的に入力ビン値および関連パラメータ305に基づいて、入力ビン305の値を修正して、(潜在的に修正された値を有する)出力されたビン307を、2つ以上のビンバッファ308のうちの1つに入れる。出力ビン307が送られるビンバッファ308は、入力ビン305の値および/または関連パラメータ305の値に基づいて決定される。
【0046】
本発明の好ましい実施形態において、ビンバッファ・セレクタ306は、ビンの値を修正しない、すなわち出力ビン307は、常に入力ビン305と同じ値を有する。更なる本発明の好ましい実施形態において、ビンバッファ・セレクタ306は、入力ビン値305に基づいた出力ビン値307および現在のビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための関連した尺度を決定する。本発明の好ましい実施形態において、現在のビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率のための尺度が特定の閾値未満である(または以下である)場合、出力ビン値307は、入力ビン値305に等しく設定される。現在のビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率のための尺度が特定の閾値以上である(またはより大きい)場合、出力ビン値307は、修正される(すなわち、それは、入力ビン値の反対のものにセットされる)。
【0047】
更なる本発明の好ましい実施形態において、現在のビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率のための尺度が、特定の閾値より大きい(または以上である)場合、出力ビン値307は、入力ビン値305に等しく設定される。現在のビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率のための尺度が特定の閾値以下である(またはより小さい)場合、出力ビン値307は、修正される(すなわち、それは、入力ビン値で反対のものに設定される)。本発明の好ましい実施形態において、閾値の値は、両方の可能なビン値のための推定された確率のための0.5という値に対応する。更なる本発明の好ましい実施形態において、ビンバッファ・セレクタ306は、入力ビン値305に基づいた出力ビン値307、および、2つの可能なビン値のいずれが現在のビンのための確率の低いまたは確率の高いビン値を示すかについての推定を特定する関連識別子を決定する。本発明の好ましい実施形態において、識別子が、2つの可能なビン値のうちの第1のものが現在のビンのためのより確率が低い(またはより確率が高い)ビン値を示すことを特定する場合、出力ビン値307は、入力ビン値305に等しく設定され、そして、識別子が、2つの可能なビン値のうちの第2のものが現在のビンのためのより確率が低い(またはより確率が高い)ビン値を示すことを示している場合、出力ビン値307は修正される(すなわち、それは、入力ビン値で反対のものにセットされる)。
【0048】
本発明の好ましい実施形態において、ビンバッファ・セレクタ306は、出力ビン307が現在のビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための関連した尺度に基づくようにされるビンバッファ308を決定する。本発明の好ましい実施形態において、2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための尺度のための可能な値のセットは、有限であり、そして、ビンバッファ・セレクタ306は、ちょうど1つのビンバッファ308を2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための各可能な値と関連させるテーブルを含む。ここで、2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための尺度のための異なる値は、同じビンバッファ308と関連させることができる。更なる本発明の好ましい実施形態において、2つの可能なビン値の1つのための確率の評価のための尺度のための可能な値の範囲はいくつかの区間に区分化される、ビンバッファ・セレクタ306は2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための現在の尺度のための区間インデックスを決定し、ビンバッファ・セレクタ306は、ちょうど1つのビンバッファ308を区間インデックスのための各可能な値と関連させるテーブルを含む。ここで、区間インデックスのための異なる値は、同じビンバッファ308と関連させることができる。本発明の好ましい実施形態において、2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための逆の尺度を有する入力ビン305(逆の尺度は、確率評価Pと1-Pを示す尺度である)は、同じビンバッファ308に入れられる。更なる本発明の好ましい実施形態において、例えば、つくられた一部分のビットストリームが同様のビット速度を有することを確実にするために、特定のビンバッファを有する現在のビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための尺度の関連は、時間に関して適合される。更に下では、区間インデックスがパイプ・インデックスとも呼ばれ、一方、改良インデックスおよびより確率の高いビン値を示しているフラグとともに、パイプ・インデックスは、実際の確率モデル、すなわち確率評価を示す。
【0049】
更なる本発明の好ましい実施形態において、ビンバッファ・セレクタ306は、出力ビン307が現在のビンのためにより確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための関連した尺度に基づいて送られるビンバッファ308を決定する。本発明の好ましい実施形態において、より確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度のための可能な値のセットは、有限であり、ビンバッファ・セレクタ306は、ちょうど1つのビンバッファ308をより確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価の各可能な値と関連させるテーブルを含む。ここで、より確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度のための異なる値は、同じビンバッファ308と関連させることができる。更なる本発明の好ましい実施形態において、より確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度のための可能な値の範囲は、いくつかの区間に区分化され、ビンバッファ・セレクタ306は、より確率が低いまたはより確率が、高いビン値のための確率の評価のための現在の尺度のための区間インデックスを決定し、そして、ビンバッファ・セレクタ306は、ちょうど1つのビンバッファ308を区間インデックスのための各可能な値と関連させるテーブルを含む。ここで、区間インデックスのための異なる値は、同じビンバッファ308と関連させることができる。更なる本発明の好ましい実施形態において、例えばつくられた一部分のビットストリームが同様のビット速度を有することを確実にするために、特定のビンバッファを有する現在のビンのためのより確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度の関連は、時間に関して適合される。
【0050】
2つ以上のビンバッファ308の各々は、ちょうど1つのビン符号器310と関係し、そして、各ビン符号器は、1つのビンバッファ308と関係があるだけである。各ビン符号器310は、関連したビンバッファ308からビンを読み取って、ビン309のシーケンスを、ビットのシーケンスを示す符号語311に変換する。ビンバッファ308は、先入れ先出しバッファを示す。後にビンバッファ308に(順番に)入れられるビンは、ビンバッファにより早く(順番に)入れられるビンの前に、符号化されない。特定のビン符号器310の出力である符号語311は、特定の一部分のビットストリーム312に書き込まれる。全体の符号化算術は構文要素301を2つ以上の一部分のビットストリーム312に変換する。ここで、一部分のビットストリームの数は、ビンバッファおよびビン符号器の数に等しい。本発明の好ましい実施形態において、ビン符号器310は、ビン309の変数をビットの変数の符号語311に変換する。上記および下記に概説される本発明の実施形態の1つの利点は、ビンの符号化を、(例えば確率尺度の異なるグループについて)並列に行うことができ、それが幾つかの態様について処理時間を削減することである。
【0051】
本発明の実施形態の別の利点は、ビン符号器310によって行われるビン符号化を、パラメータ305の異なるセットについて、特別に設計することができることである。特に、ビン符号化および符号化は、推定された確率の異なるグループについて、(符号化効率および/または符号化煩雑性の観点から)最適化されることができる。一方で、これは、符号化/復号化煩雑性の削減を可能にし、他方で、符号化効率の改善を可能にする。本発明の好ましい実施形態において、ビン符号器310は、現在のビンのための2つの可能なビン値305のうちの1つのための確率の評価のための尺度の異なるグループのための異なる符号化アルゴリズム(すなわち、符号語へのビンシーケンスのマッピング)を実行する。更なる本発明の好ましい実施形態において、ビン符号器310は、現在のビンのためのより確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度の異なるグループについて異なる符号化アルゴリズムを実行する。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、ビン符号器310(またはビン符号器の1つまたは複数)は、直接入力ビン309のシーケンスを符号語310にマッピングするエントロピー符号器を示す。この種のマッピングは、効率よく実行されることができて、複雑な算術符号化エンジンを必要としない。(デコーダにおいてなされるような)ビンのシーケンスへの符号語の逆写像は、入力シーケンスの完全な復号化を保証するために、一意であるべきであるが、符号語310へのビンシーケンス309のマッピングは、必ずしも一意である必要はない、すなわち、ビンの特定のシーケンスが、符号語の一つ以上のシーケンスにマップされることができることが可能である。本発明の好ましい実施形態において、符号語310への入力ビン309のシーケンスのマッピングは、全単射(bijective)である。更なる本発明の好ましい実施形態において、ビン符号器310(あるいは、ビン符号器の1つ又は複数)は、入力ビン309の可変長シーケンスを可変長符号語310に直接マッピングするエントロピー符号器を示す。本発明の好ましい実施形態において、出力された符号語は、冗長のない符号(例えば一般のハフマン符号または標準的なハフマン符号)を示す。
【0053】
冗長のない符号へのビンシーケンスの全単射のための2つの例が、表3に示される。更なる本発明の好ましい実施形態において、出力された符号語は、誤り検出およびエラーリカバリに適している冗長符号を示す。更なる本発明の好ましい実施形態において、出力された符号語は、構文要素を暗号化することに適している暗号化コードを示す。
【0054】
【表3】

【0055】
【表4】

【0056】
更なる本発明の好ましい実施形態において、ビン符号器310(あるいは、ビン符号器の1つ又は複数)は、入力ビン309の可変長シーケンスを、固定長符号語310に直接マッピングするエントロピー符号器を示す。更なる本発明の好ましい実施形態において、ビン符号器310(あるいは、ビン符号器の1つ又は複数)は、入力ビン309の固定長シーケンスを、可変長符号語310に直接マッピングするエントロピー符号器を示す。
【0057】
本発明の実施形態によるデコーダが、図8に示される。デコーダは、基本的に、エンコーダの逆演算を実行する。その結果、構文要素327の(先に符号化される)シーケンスは、2つ以上の部分的ビットストリーム324のセットから復号される。デコーダは、2つの異なる手順フローを含む。エンコーダのデータフローを繰り返すデータ要求のためのフロー、および、エンコーダデータフローの逆を示すデータフローである。図8の図において、破線の矢印は、データ要求フローを示す。その一方で、実線の矢印は、データフローを示す。デコーダの基礎単位は、基本的に、エンコーダの基礎単位を複製するが、逆演算を実行する。
【0058】
構文要素の復号化は、二値化器314に送信される新規な復号化構文要素313の要求によってトリガされる。本発明の好ましい実施形態において、新規な復号化構文要素313の各要求は、1つ又は複数のカテゴリのセットのカテゴリと関係している。構文要素の要求と関係しているカテゴリは、符号化の間、対応する構文要素と関係していたカテゴリと同じである。
【0059】
二値化器314は、構文要素313の要求をパラメータ割当て器316に送信されるビンの1つ又は複数の要求にマッピングする。二値化器314によってパラメータ割当て器316に送信されるビンの要求に対する最終的な応答として、二値化器314は、ビンバッファ・セレクタ318から、復号されたビン326を受信する。二値化器314は、復号されたビン326の受信されたシーケンスを、要求された構文要素の特定の二値化方式のビンシーケンスと比較し、そして、復号されたビン26の受信されたシーケンスが、構文要素の二値化に一致する場合、二値化器は、そのビンバッファを空にして、新規な復号化シンボルの要求に対する最終的な応答として復号化構文要素を出力する。復号されたビンのすでに受信されたシーケンスが、要求された構文要素の二値化方式のためのビンシーケンスのいずれとも一致しない場合、復号されたビンのシーケンスが要求された構文要素の二値化方式のビンシーケンスのうちの1つと一致するまで、二値化器は、ビンの他の要求をパラメータ割当て器に送信する。構文要素の各要求について、デコーダは、対応する構文要素を符号化するために使用された同じ二値化方式を使用する。二値化方式は、異なる構文要素カテゴリについて異なるものでありえる。特定の構文要素カテゴリの二値化方式は、可能な構文要素値のセットおよび/または特定のカテゴリのための構文要素のその他の特性に依存しうる。
【0060】
パラメータ割当て器316は、ビンの各要求に、1つ又は複数のパラメータのセットを割り当て、パラメータの関連したセットを有するビンの要求をビンバッファ・セレクタに送信する。パラメータ割当て器によって要求されたビンに割り当てられるパラメータのセットは、符号化の間、対応するビンに割り当てられたものと同じである。パラメータのセットは、図7のエンコーダの説明において言及されるパラメータの1つ又は複数から成ることができる。
【0061】
本発明の好ましい実施形態において、パラメータ割当て器316は、ビンの各要求を、割当て器304がそうしたのと同じパラメータ、すなわち、現在の要求されたビンのためのより確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度などの、現在の要求されたビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のためのコンテキストおよびその関連した尺度、および、2つの可能なビン値のうちどちらが現在の要求されたビンのためのより確率が低いまたはより確率が高いビン値を示すかという評価を特定している識別子に関連させる。
【0062】
パラメータ割当て器316は、1つ又は複数のすでに復号されたシンボルのセットに基づいて、1つ又は複数の上述の確率尺度(現在要求されたビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための尺度、現在要求されたビンのためのより確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度、2つの可能なビン値のうちどちらが現在要求されたビンのためのより確率が低いまたはより確率が高いビン値を示すかという評価を特定する識別子)を決定することができる。ビンの特定の要求のための確率尺度の決定は、対応するビンのためのエンコーダのプロセスを複製する。確率尺度を決定するために使用される復号されたシンボルは、同じシンボルカテゴリの1つ又は複数のすでに復号されたシンボル、(構文要素の現在の要求と関連したデータセットに関して)隣接した空間的および/または時間的位置の(サンプルのブロックまたはグループなどの)データセットに対応する同じシンボルカテゴリの1つ又は複数のすでに復号されたシンボル、または、(構文要素の現在の要求と関連したデータセットに関して)同じおよび/または隣接した空間的および/または時間的位置の(サンプルのブロックまたはグループなどの)データセットに対応する異なるシンボルカテゴリの1つ又は複数のすでに復号されたシンボルを含むことができる。
【0063】
パラメータ割当て器316の出力であるパラメータ317の関連したセットを有するビンの各要求は、ビンバッファ・セレクタ318に入れられる。パラメータ317の関連したセットに基づいて、ビンバッファ・セレクタ318は、ビンの要求319を、2つ以上のビンバッファ320のうちの1つに送信して、選択されたビンバッファ320から、復号されたビン325を受信する。復号された入力ビン325は、潜在的に修正され、(潜在的に修正された値を有する)復号された出力ビン326は、パラメータ317の関連したセットを有するビンの要求に対する最終的な応答として二値化器314に送られる。
【0064】
ビンの要求が転送されるビンバッファ320は、エンコーダ側のビンバッファ・セレクタの出力ビンが送られたビンバッファと同様に選択される。
【0065】
本発明の好ましい実施形態において、ビンバッファ・セレクタ318は、ビンの要求319が現在要求されたビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための関連した尺度に基づいて送られるビンバッファ320を決定する。本発明の好ましい実施形態において、2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための尺度のための可能な値のセットは、有限であり、ビンバッファ・セレクタ318は、ちょうど1つのビンバッファ320を、2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価の各可能な値と関連させるテーブルを含む。ここで、2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための尺度のための異なる値は、同じビンバッファ320と関連させることができる。更なる本発明の好ましい実施形態において、2つの可能なビン値の1つのための確率の評価のための尺度のための可能な値の範囲は、いくつかの区間に区分化され、ビンバッファ・セレクタ318は、2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための現在の尺度のための区間インデックスを決定し、そして、ビンバッファ・セレクタ318は、ちょうど1つのビンバッファ320を区間インデックスのための各可能な値と関連させるテーブルを含む。ここで、区間インデックスのための異なる値は、同じビンバッファ320と関連させることができる。本発明の好ましい実施形態において、2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための逆の尺度(逆の尺度は、確率評価Pおよび1-Pを示す尺度である)を有するビン317の要求は、同じビンバッファ320に転送される。更なる本発明の好ましい実施形態において、特定のビンバッファを有する現在ビン要求のための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための尺度の関連は、時間に関して適合される。
【0066】
更なる本発明の好ましい実施形態において、ビンバッファ・セレクタ318は、ビンの要求319が現在の要求されたビンのためのより確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための関連した尺度に基づいて送られるビンバッファ320を決定する。本発明の好ましい実施形態において、より確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度のための可能な値のセットは、有限であり、そして、ビンバッファ・セレクタ318は、ちょうど1つのビンバッファ320を、より確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価の各可能な値と関連させるテーブルを含む。ここで、より確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度のための異なる値は、同じビンバッファ320と関連させることができる。更なる本発明の好ましい実施形態において、より確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度のための可能な値の範囲は、いくつかの区間に区分化され、ビンバッファ・セレクタ318は、より確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための現在の尺度のための区間インデックスを決定し、ビンバッファ・セレクタ318は、ちょうど1つのビンバッファ320を区間インデックスのための各可能な値と関連させるテーブルを含む。ここで、区間インデックスのための異なる値は、同じビンバッファ320と関連させることができる。更なる本発明の好ましい実施形態において、特定のビンバッファを有する現在のビン要求のためのより確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度の関連は、時間に関して適合される。
【0067】
選択されたビンバッファ320から復号されたビン325を受信した後に、ビンバッファ・セレクタ318は、潜在的に入力ビン325を修正して、(潜在的に修正された値を有する)出力ビン326を、二値化器314に送信する。ビンバッファ・セレクタ318の入力/出力ビンマッピングは、エンコーダ側のビンバッファ・セレクタの入力/出力ビンマッピングの逆である。
【0068】
本発明の好ましい実施形態において、ビンバッファ・セレクタ318は、ビンの値を修正しない、すなわち出力ビン326が常に入力ビン325と同じ値を有する。更なる本発明の好ましい実施形態において、ビンバッファ・セレクタ318は、入力ビン値325に基づいて出力ビン値326、および、ビン317の要求と関係している現在要求されたビンのための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率の評価のための尺度を決定する。本発明の好ましい実施形態において、現在のビン要求のための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率のための尺度が特定の閾値未満である(または以下である)場合、出力ビン値326は入力ビン値325に等しく設定される。現在のビン要求のための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率のための尺度が特定の閾値以上である(またはより大きい)場合、出力ビン値326は、修正される(すなわち、それは、入力ビン値の逆のものに設定される)。更なる本発明の好ましい実施形態において、現在のビン要求のための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率のための尺度が特定の閾値より大きい(または以上である)場合、出力ビン値326は入力ビン値325に等しく設定される。現在のビン要求のための2つの可能なビン値のうちの1つのための確率のための尺度が特定の閾値以下である(またはより小さい)場合、出力ビン値326は修正される(すなわち、それは、入力ビン値で逆のものにセットされる)。本発明の好ましい実施形態において、閾値の値は、両方の可能なビン値のための推定された確率のための0.5の値に対応する。
【0069】
更なる本発明の好ましい実施形態において、ビンバッファ・セレクタ318は、入力ビン値325、および、ビン317の要求と関係している、2つの可能なビン値のうちどちらが現在のビン要求のためのより確率が低いまたはより確率が高いビン値を示すかという評価を特定する識別子に基づいて、出力ビン値326を決定する。本発明の好ましい実施形態において、識別子が、2つの可能なビン値のうちの第1のものが現在のビン要求のためのより確率の低い(またはより確率の高い)ビン値を示すことを特定している場合、出力ビン値326は、入力ビン値325に等しく設定され、そして、識別子が、2つの可能なビン値のうちの第2のものが、現在のビン要求のためのより確率の低い(またはより確率の高い)ビン値を示すことを特定している場合、出力ビン値326は、修正される(すなわち、それは、入力ビン値で逆のものにセットされる)。
【0070】
上述の通り、ビンバッファ・セレクタは、ビンの要求319を、2つ以上のビンバッファ320のうちの1つに送信する。ビンバッファ20は、先入れ先出しバッファを示し、それは、接続されたビン復号器322から復号されたビン321のシーケンスによって供給される。ビンバッファ・セレクタ318からビンバッファ320に送信されるビンの要求319に対する応答として、ビンバッファ320は、ビンバッファ320に入れられた第1のものであったそのコンテンツのビンを除き、それをビンバッファ・セレクタ318に送信する。ビンバッファ320に先に送信されるビンは、先に除かれて、ビンバッファ・セレクタ318に送信される。
【0071】
2つ以上のビンバッファ320の各々は、ちょうど1つのビン復号器322と関係があり、各ビン復号器は、1つのビンバッファ320と関係があるだけである。各ビン復号器322は、別の部分的ビットストリーム324から、ビットのシーケンスを示す符号語323を読み取る。ビン復号器は、符号語323を、接続されたビンバッファ320に送信されるビン321のシーケンスに変換する。全体の復号化アルゴリズムは、2つ以上の部分的ビットストリーム324を、いくつかの復号された構文要素に変換する。ここで、部分的ビットストリームの数は、ビンバッファおよびビン復号器の数に等しく、構文要素の復号化は、新規な構文要素の要求によってトリガされる。本発明の好ましい実施形態において、ビン復号器322は、ビットの変数の符号語323を、ビン321のシーケンスの変数に変換する。本発明の実施形態の1つの利点は、2つ以上の部分的ビットストリームのビンの復号化が、(例えば確率尺度の異なるグループについて)並列においてされることができ、それはいくつかの実施態様のための処理時間を削減することである。
【0072】
本発明の実施形態の他の利点は、(ビン復号器322によってされる)ビン復号化がパラメータ317の異なるセットのために特別に設計されることができることである。特に、ビン符号化および復号化は、推定された確率の異なるグループについて、(符号化効率および/または符号化煩雑性の観点から)最適化されることができる。一方で、これは、同様の符号化効率を有する現状技術のエントロピー符号化アルゴリズムと比較して、符号化/復号化煩雑性の低減を可能にする。他方で、これは、同様の符号化/復号化煩雑性を有する現状技術のエントロピー符号化アルゴリズムと比較して、符号化効率の改善を可能にする。本発明の好ましい実施形態において、ビン復号器322は、現在のビン要求のための2つの可能なビン値317のうちの1つのための確率の評価のための尺度の異なるグループについて、異なる復号化アルゴリズム(すなわち符号語へのビンシーケンスのマッピング)を実行する。更なる本発明の好ましい実施形態において、ビン復号器322は、現在要求されたビンのためのより確率が低いまたはより確率が高いビン値のための確率の評価のための尺度の異なるグループについて異なる復号化アルゴリズムを実行する。
【0073】
ビン復号器322は、エンコーダ側で対応するビン符号器の逆写像をする。
【0074】
本発明の好ましい実施形態において、ビン復号器322(またはビン復号器の1つ又は複数)は、符号語323をビン321のシーケンスに直接マッピングするエントロピー復号器を示す。この種のマッピングは、効率よく実行されることができて、複雑な算術符号化エンジンを必要としない。ビンのシーケンスへの符号語のマッピングは、一意でなければならない。本発明の好ましい実施形態において、ビン321のシーケンスへの符号語323のマッピングは、全単射(bijective)である。更なる本発明の好ましい実施形態において、ビン復号器310(またはビン復号器の1つ又は複数)は、可変長符号語323をビン321の可変長シーケンスに直接マッピングするエントロピー復号器を示す。本発明の好ましい実施形態において、入力された符号語は、例えば一般のハフマン符号または標準的なハフマン符号などの冗長のない符号(redundancy free code)を示す。ビンシーケンスへの冗長のない符号の全単射のための2つの例が、表3に示される。
【0075】
更なる本発明の好ましい実施形態において、ビン復号器322(またはビン復号器の1つ又は複数)は、固定長符号語323をビン321の可変長シーケンスに直接マッピングするエントロピー復号器が表す。更なる本発明の好ましい実施形態において、ビン復号器322(またはビン復号器の1つ又は複数)は、可変長符号語323をビン321の固定長シーケンスに直接マッピングするエントロピー復号器を示す。
【0076】
このように、図7および図8は、シンボル3のシーケンスを符号化するためのエンコーダおよびそれを再現するためのデコーダのための実施形態を示した。エンコーダは、シンボルのシーケンスの各シンボルに、いくつかのパラメータ305を割り当てるように構成される割当て器304を含む。割り当ては、構文要素1のカテゴリなどのシンボルのシーケンスの以前のシンボルの中に含まれる情報に基づく。現在のシンボルが属するそれの二値化などの表現、構文要素1のシンタックス構造に従って、現在それが予測される、その予測は、以前の構文要素1およびシンボル3の履歴から推論できる。更に、エンコーダは、その各々が各エントロピー符号器に転送されるシンボル3を各ビットストリーム312に変換するように構成される複数のエントロピー符号器10と、複数のエントロピー符号器10のうちの選択された一つに各シンボル3を転送するように構成されるセレクタ306を含む。そして、その選択は各シンボル3に割り当てられたパラメータ305の数に依存する。割当て器304は、各セレクタ502に従うようにセレクタ206に組み込まれるものとして案出されることができる。
【0077】
シンボルのシーケンスを再現するためのデコーダは、複数のエントロピー復号器322で、その各々は、各ビットストリーム323をシンボル321に変換するように構成される複数のエントロピー復号器322と、シンボルのシーケンスの以前に再現されたシンボルの中に含まれる情報に基づいて再現されるシンボルのシーケンスの各シンボル315に、いくつかのパラメータ317を割り当てるように構成された割当て器316(図8の326および327参照)と、複数のエントロピー復号器322のうちの選択された一つから再現されるシンボルのシーケンスの各シンボルを取り出すために構成されたセレクタ318であって、その選択が各シンボルに定められるパラメータの数に依存するセレクタ318を含む。割当て器316は、各シンボルに割り当てられたパラメータの数が、各シンボルがみなされうる可能なシンボル値の中の分布の確率の評価のための尺度であるように又はそれを含むように、構成されうる。さらにまた、割当て器316およびセレクタ318は、1ブロック、セレクタ402に組み込まれるものとしてみなされることができる。再現されるシンボルのシーケンスは、バイナリアルファベットでもよく、割当て器316は、確率分布の評価が、バイナリアルファベットの2つの可能なビン値のより確率が低いまたはより確率が高いビン値の確率の評価のための尺度、および、2つの可能なビン値のうちどちらがより確率が低いまたはより確率が高いビン値を示すかという評価を特定している識別子から成るように、構成されることができる。割当て器316は、それと関連する各確率分布評価を有する各コンテキストによって再現されるシンボルのシーケンスの以前に再現されたシンボルの中に含まれる情報に基づいて再現されるシンボル315のシーケンスの各シンボルに内部的にコンテキストを割り当てて、各コンテキストが割り当てられる、以前に再現されたシンボルのシンボル値に基づいて、各コンテキストの確率分布評価を実際のシンボル統計に適合するように更に構成されることができる。コンテキストは、例えばビデオ符号化または画像符号化において、または、ファイナンシャル・アプリケーションの場合のテーブルなどにおいても、構文要素が属する、空間関係または位置の隣接を考慮することができる。それから、シンボルごとに確率分布の評価のための尺度は、(確率分布の評価のための尺度(部分的ビットストリーム312を割出しているパイプ・インデックス)を得るために、複数の確率分布評価代表のうちの1つに、(改良インデックスとともにパイプ・インデックスによってインデックスされた下記実施形態において)各シンボルによって割り当てられたコンテキストと関連した確率分布評価を、量子化する、または、各テーブルにインデックスとして使用するなどによって各シンボルに割り当てられるコンテキストと関連した確率分布評価に基づいて、決定されることができる。セレクタは、全単射の関係が、複数のエントロピー符号器と複数の確率分布評価代表との間に定められるように、構成されることができる。セレクタ18は、時間とともに、シンボルのシーケンスの以前に再現されたシンボルに依存する所定の決定論的な方法で、確率分布評価の範囲から複数の確率分布評価代表への量子化マッピングを変化させるように構成されることができる。すなわち、セレクタ318は、量子化ステップサイズ、すなわち、個々のエントロピー復号器と全単射的に関連した個々の確率インデックスにマップされた確率分布の区間を変えることができる。複数のエントロピー復号器322は、次に、量子化マッピングの変化に応答してビットストリームにシンボルを変換する方法を適用させるように構成されることができる。例えば、各エントロピー復号器322は、各確率分布評価量子化区間の中の特定の確率分布評価に、最適化されることができ、すなわち、最適な圧縮率を有することができ、そして、最適化されるように後者の変化に応じて各確率分布評価量子化区間の中のこの特定の確率分布評価の位置を適応させるために、その符号語/シンボルシーケンスマッピングを変えることができる。セレクタは、シンボルが複数のエントロピー復号器から取り出される率がよりあまり分散されないように、量子化マッピングを変えるように構成されることができる。二値化器314に関しては、それは、構文要素がすでにバイナリである場合、省くことができることに留意される。更に、デコーダ322の種類に応じて、バッファ320の存在が必要でない。更に、バッファは、デコーダの中に組み込まれうる。
【0078】
有限構文要素シーケンスの終了
本発明の好ましい実施形態において、符号化および復号化は、構文要素の有限集合のためにされる。しばしば、静止画、ビデオシーケンスのフレームまたはドメイン、画像のスライス、フレームまたはビデオシーケンスのスライス、または連続したオーディオサンプルのセットなどの特定の量のデータが、符号化される。構文要素の有限集合のために、一般に、エンコーダ側でつくられる部分的ビットストリームが終了されなければならないこと、すなわち、それは、すべての構文要素が、送信されるまたは記憶される部分的ビットストリームから復号されることができることを確実にされなければならない。最後のビンが対応するビンバッファ308に挿入されたあと、ビン符号器310は、完全な符号語が部分的ビットストリーム312に書き込まれることを確実にする必要がある。ビン符号器310が、符号語へのビンシーケンスの直接マッピングを実行するエントロピー符号器を示す場合、最後のビンをビンバッファに書き込んだ後にビンバッファに格納されるビンシーケンスは、符号語と関係しているビンシーケンスを示さないかもしれない(すなわち、それは、符号語と関係している2つ以上のビンシーケンスのプレフィックスを示すかもしれない)。このような場合、プレフィックスとしてビンバッファのビンシーケンスを含むビンシーケンスと関連した符号語のいずれかが、部分的ビットストリームに書き込まれなければならない(ビンバッファが、消去されなければならない)。これは、符号語が書かれるまで、特定または任意の値を有するビンをビンバッファに挿入することによってすることができる。本発明の好ましい実施形態において、ビン符号器は、(関連したビンシーケンスがプレフィックスとしてビンバッファのビンシーケンスを含まなければならない特性に加えて、)最小限の長さを有する符号語のうちの1つを選択する。デコーダ側で、ビン復号器322は、部分的ビットストリームの最後の符号語のために必要であるより多くのビンを復号することができる。これらのビンは、ビンバッファ・セレクタ318によって要求されず、破棄されて、無視される。シンボルの有限集合の復号化は、復号された構文要素の要求によって制御される。更なる構文要素がデータの量について要求されない場合、復号化は終了される。
【0079】
部分的ビットストリームの送信および多重化
エンコーダによってつくられる部分的ビットストリーム312は、別々に送信されることができる、または、それらは、単一のビットストリームに多重化されることができる、または、部分的ビットストリームの符号語は、単一のビットストリームにおいてインターリーブされることができる。
【0080】
本発明の実施形態において、データの量についての各部分的ビットストリームは、1つのデータパケットに書き込まれる。データの量は、静止画、ビデオシーケンスのフレームまたはドメイン、画像のスライス、フレームまたはビデオシーケンスのスライス、または連続したオーディオサンプルのセットなどの構文要素の任意のセットでありえる。
【0081】
他の本発明の好ましい実施形態において、データの量についての2つ以上の部分的ビットストリームまたはデータの量についてのすべての部分的ビットストリームは、1つのデータパケットに多重化される。多重化された部分的ビットストリームを含むデータパケットの構造は、図9に示される。
【0082】
データパケット410は、ヘッダと、(データの考慮された量について)各部分的ビットストリームのデータのための1つのパーティションとからなる。データパケットのヘッダ411は、ビットストリームデータ412のセグメントに、データパケット(の残り)の区分化のための表示を含む。区分化のための表示のほか、ヘッダは、付加情報を含むことができる。本発明の好ましい実施形態において、データパケットの区分化のための表示は、ビットまたは複数のビットまたは複数のバイトの単位とするデータセグメントの始まりの位置である。本発明の好ましい実施形態において、データセグメントの始まりの位置は、データパケットの始まりと関連して、または、ヘッダの終わりと関連して、または、前のデータパケットの始まりと関連して、データパケットのヘッダの絶対値として、符号化される。更なる本発明の好ましい実施形態において、データセグメントの始まりの位置は、差分符号化される。すなわち、データセグメントの実際の始まりとデータセグメントの始まりの予測との差だけが、符号化される。予測は、データパケットの全体の量、ヘッダの量、データパケットのデータセグメントの数、先のデータセグメントの始まりの位置などのすでに知られた又は送信された情報に基づいて引き出されることができる。本発明の好ましい実施形態において、第1のデータパケットの始まりの位置は、符号化されなくて、データパケットヘッダの量に基づいて割り出される。デコーダ側で、送信されたパーティション表示は、データセグメントの始まりを得るために使用される。データセグメントは、次に、部分的ビットストリームとして使用され、そして、データセグメントに含まれるデータは、順番に、対応するビン復号器に入れられる。
【0083】
データパケットに部分的ビットストリームを多重化するためのいくつかの代替案がある。特に部分的ビットストリームのサイズが非常に類似する場合に関して、必要補助情報を削減することができる1つの代替案は、図10に示される。データパケットのペイロード、すなわち、そのヘッダ421のないデータパケット420は、所定の方法でセグメント422に区分化される。例えば、データパケットペイロードは、同一サイズのセグメントに区分化されることができる。次に、各セグメントは、部分的ビットストリームに、または、部分的ビットストリーム423の最初の部分に関連付けられる。部分的ビットストリームが、関連したデータセグメントより大きい場合、その残り424は、他のデータセグメントの最後に、未使用ドメインに位置付けられる。これは、(データセグメントの最後から始まって)ビットストリームの残りの部分が逆順に挿入される方法で、なされえて、それは、補助情報を削減する。データセグメントへの部分的ビットストリームの残りの関連付け、および、一つ以上の残りがデータセグメントに付け加えられるときの、残りの1つ又は複数のための開始点は、例えばデータパケットヘッダにおいて、ビットストリーム内に信号を送られなければならない。
【0084】
可変長符号語のインターリービング
いくつかのアプリケーションについて、1つのデータパケットにおける(構文要素の量についての)部分的ビットストリームの上記多重化は、以下の不利な点がありうる。一方で、小さいデータパケットについて、区分化を示すために必要である補助情報のためのビットの数は、部分的ビットストリームの実際データと比較して有意になりえて、それは最終的に符号化効率を削減する。他方で、多重化は、(例えばテレビ会議アプリケーションについて)低遅延を必要とするアプリケーションに適さないこともある。説明された多重化については、エンコーダは、部分的ビットストリームが完全につくられる前に、データパケットの送信を始めることができない。というのも、パーティションの始まりの位置が事前に知られていないからである。さらにまた、一般に、デコーダは、それがデータパケットの復号化を始めることができる前に、それが最後のデータセグメントの始まりを受けるまで待たなければならない。ビデオ会議システムとしてのアプリケーションについて、これらの遅延は、(特に、送信ビット速度に近いビット速度について、およびピクチャを符号化/復号化するための2つのピクチャ間の近い時間区間を必要とするエンコーダ/デコーダについて、)いくつかのビデオ画像のシステムの付加的な全体の遅延にまとめられ、それはこの種のアプリケーションのために重要である。特定のアプリケーションのための不利な点を克服するために、本発明の好ましい実施形態のエンコーダは、2つ以上のビン符号器によって生成される符号語が、単一のビットストリームにインターリーブされる方法で構成されることができる。インターリーブされた符号語を有するビットストリームを、デコーダに直接送ることができる(小さいバッファ遅延を無視するとき。下記参照)。デコーダ側で、2つ以上のビン復号器は、復号順にビットストリームから直接符号語を読み取る。復号化は、最初の受信されたビットで始まることができる。加えて、補助情報は、部分的ビットストリームの多重化(またはインターリービング)を示すのに必要でない。
【0085】
符号語インターリービングを用いたエンコーダの基本構造は、図11に示される。ビン符号器310は、直接符号語を部分的ビットストリームに書き込まず、単一の符号語バッファ329と関係し、そこから、符号語は符号化する順序でビットストリーム34に書き込まれる。ビン符号器310は、一つ以上の新規な符号語バッファエントリの要求328を符号語バッファ329に送信して、後に、符号語30を符号語バッファ329に送信する。そして、それは確保されたバッファエントリに格納される。符号語バッファ329の(一般に可変長)符号語31は、符号語ライタ32によってアクセスされ、それは対応ビット33を生成されたビットストリーム34に書き込む。符号語バッファ329は、先入れ先出しバッファとして作動する。先に確保される符号語エントリは、ビットストリームに先に書き込まれる。
【0086】
更なる一般化において、複数の符号語バッファおよび部分的ビットストリームが可能である。ここで、符号語バッファの数は、ビン符号器の数より少ない。ビン符号器310は、符号語バッファ329の一つ以上の符号語を確保する。それによって、符号語バッファにおける一つ以上の符号語の確保は、接続されたビンバッファ308の特定の事象によってトリガされる。本発明の好ましい実施形態において、符号語バッファ329は、デコーダがビットストリームを即座に復号することができる方法で作動される。符号語がビットストリームに書き込まれる符号化順序は、対応する符号語が符号語バッファにおいて確保される順序と同様である。本発明の好ましい実施形態において、接続されたビンバッファの特定の事象によってアクティブにされている確保については、各ビン符号器310は、1つの符号語を確保する。他の本発明の好ましい実施形態において、接続されたビンバッファの特定の事象によってアクティブにされている確保については、各ビン符号器310は、複数の符号語を確保する。更なる本発明の好ましい実施形態において、ビン符号器310は、異なる量の符号語を確保する。ここで、特定のビン符号器によって確保される符号語の量は、特定のビン符号器/ビンバッファ(例えば関連した確率尺度、すでに書き込まれたビットの数、その他)の特定のビン符号器および/またはその他の性能に依存しうる。
【0087】
本発明の好ましい実施形態において、符号語バッファは、以下のように作動される。新規なビン307が、特定のビンバッファ308に送信され、ビンバッファにすでに格納されたビンの数がゼロであり、そして、特定のビンバッファと関係があるビン符号器のための符号語バッファにおいて確保される符号語が現在ない場合、接続されたビン符号器310は、符号語バッファに要求を送信し、それによって、1つ又は複数の符号語エントリは、特定のビン符号器のための符号語バッファ329に確保される。符号語エントリは、ビットの変数を有することができる。バッファエントリのビットの数のための上側の閾値は、通常、対応するビン符号器のための最大符号語サイズによって与えられる。(それのために符号語エントリが確保された)ビン符号器によってつくられる次の符号語は、符号語バッファの確保されたエントリに格納される。特定のビン符号器のための符号語バッファにおけるすべての確保されたバッファエントリが、符号語で満たされ、次のビンが、特定のビン符号器と接続されるビンバッファに送られる場合、1つ又は複数の新しい符号語は、特定のビン符号器などのために符号語バッファに確保される。符号語バッファ329は、特定の方法で先入れ先出しバッファを示す。バッファエントリは、順番に確保される。対応するバッファエントリが先に確保される符号語は、ビットストリームに先に書き込まれる。符号語ライタ32は、連続的に、または、符号語30が符号語バッファ329に書きこまれた後に、符号語バッファ329のステータスをチェックする。第1のバッファエントリが、完全な符号語を含む(すなわち、バッファエントリが、確保されず、符号語を含む)場合、対応する符号語31および対応するバッファエントリは、符号語バッファ320から取り除かれ、符号語33のビットがビットストリームに書き込まれる。この処理は、最初のバッファエントリが符号語を含まなくなる(すなわち、それが確保されるまたはフリーである)まで繰り返される。復号処理の最後に、すなわち、データの考慮された量のすべての構文要素が処理された場合、符号語バッファは、消去されなければならない。その消去プロセスの間、以下が、第1のステップとして各ビンバッファ/ビン符号器について当てはまる。ビンバッファがビンを含む場合、特定又は任意の値を有するビンは、結果として生じるビンシーケンスが、符号語と関係しているビンシーケンスを示すまで加えられ(上記のとおり、ビンを加える1つの好ましい方法は、プレフィックスとしてのビンバッファの元のコンテキストのために含むビンシーケンスと関係しているできるだけ短い符号語をつくるこの種のビン値を加えることである)、それから、その符号語は、対応するビン符号器(そして、対応する)ビンバッファが空にされる次に確保されたバッファエントリに書かれる。1つ以上のバッファエントリが1つ以上のビン符号器のために確保されていた場合、符号語バッファは、確保された符号語エントリをまだ含むことができる。その場合、これらの符号語エントリは、対応するビン符号器について任意であるが、有効な符号語で満たされる。本発明の好ましい実施形態において、最も短い有効な符号語または(複数ある場合)最も短い有効な符号語のうちの1つが挿入される。最後に、符号語バッファのすべての残りの符号語は、ビットストリームに書き込まれる。
【0088】
符号語バッファのステータスのための2つの例は、図12に示される。例(a)において、符号語バッファは、符号語および5つの確保されたエントリで満たされる2つのエントリを含む。加えて、次のフリーのバッファエントリがマークされる。第1のエントリは、符号語で満たされる(すなわち、ビン符号器2は、ちょうど先に確保されたエントリに符号語を書き込んだ)。次のステップでは、この符号語は、符号語バッファから除かれて、ビットストリームに書き込まれる。それから、ビン符号器3の第1の確保された符号語は、第1のバッファエントリであるが、このエントリは、符号語バッファから除かれることができない。というのも、それが確保されているだけで、符号語がこのエントリに書き込まれなかったからである。例(b)において、符号語バッファは、符号語および4つの確保されたエントリで満たされる3つのエントリを含む。第1のエントリは、確保されたものとしてマークされ、従って、符号語ライタは、符号語をビットストリームに書き込むことができない。3つの符号語が符号語バッファに含まれるにもかかわらず、符号語がビン符号器3のための第1の確保されたバッファエントリに書き込まれるまで、符号語ライタは待たなければならない。符号語が、デコーダ側での処理を逆にすることができるように、それらが確保された順番に書きこまれる必要があることに留意されたい(下記参照)。
【0089】
符号語インターリービングを用いたデコーダの基本構造は、図13に示される。ビン復号器310は、別の部分的ビットストリームから直接符号語を読み取らないが、ビットバッファ338に接続され、そこから符号語337が符号化順に読み取られる。ビットバッファ338が必ずしも必要であるというわけではない点に留意する必要がある。というのも、符号語はビットストリームから直接読み取ることもできるからである。ビットバッファ338は、処理チェーンの明らかに分離した異なる態様についての図に主に含まれる。インターリーブされた符号語を有するビットストリーム340のビット339は、それは先入れ先出しバッファを示すビットバッファ338に順次挿入される。特定のビン復号器322が、1つ又は複数のビンシーケンスの要求335を受信する場合、ビン復号器322は、ビットの要求336によりビットバッファ338から1つ又は複数の符号語337を読み取る。デコーダは、構文要素を即座に復号することができる。(上記のような)エンコーダは、符号語バッファを最適に作動することによって、それらがビン復号器によって要求されるビットストリームに、同じ順序で書き込まれることを確実にしなければならないことに留意されたい。デコーダでは、全復号化処理は、構文要素の要求によってトリガされる。特定のビン符号器によってエンコーダ側で確保される符号語の数および対応するビン復号器によって読み取られる符号語の数としてのパラメータは、同じでなければならない。
【0090】
更なる一般化において、複数の符号語バッファおよび部分的ビットストリームが可能である。ここで、ビットバッファの数は、ビン復号器の数より少ない。ビン復号器322は、1つの瞬間でビットバッファ338から1つ又は複数の符号語を読み取る。それによって、ビットバッファから1つ又は複数の符号語を読み取ることは、接続されたビンバッファ320の特定の事象によってトリガされる。本発明の好ましい実施形態において、ビンの要求319が特定のビンバッファ320に送信されるときに、デコーダは、1つ又は複数の符号語が読み取られる方法で作動され、ビンバッファは、いかなるビンも含まない。しかし、例えば、ビンバッファのビンの数が所定の閾値を下回った場合、他の事象によって符号語を読み取ることをトリガすることも、可能である。本発明の好ましい実施形態において、接続されたビンバッファの特定の事象によってトリガしている読み込みについては、各ビン復号器322は、1つの符号語を読み取る。他の本発明の好ましい実施形態において、接続されたビンバッファの特定の事象によってトリガしている読み込みについては、各ビン復号器322は、1つ以上の符号語を読み取る。更なる本発明の好ましい実施形態において、ビン復号器322は、異なる量の符号語を読み取る。ここで、特定のビン復号器によって読み取られる符号語の量は特定のビン復号器/ビンバッファ(例えば関連する確率尺度、すでに読み取られたビットの数など)の特定のビン復号器および/またはその他の性能に依存していることがありえる。
【0091】
本発明の好ましい実施形態において、ビットバッファから符号語を読み取ることは、以下のように作動される。新規なビン要求319がビンバッファ・セレクタ318から特定のビンバッファ320まで送られ、ビンバッファのビンの数がゼロである場合、接続されたビン復号器322は、ビットバッファ338へのビット要求336を介して、ビットバッファ338から1つ又は複数の符号語337を読み取る。ビン復号器322は、読取符号語337をビン321のシーケンスに変換して、これらのビンシーケンスを接続されたビンバッファ320に格納する。ビンの要求319に対する最終的な応答として、第1の挿入されたビンは、ビンバッファ320から除かれて、ビンバッファ・セレクタ318に送信される。更なるビン要求に応答として、ビンバッファの残りのビンは、ビンバッファが空になるまで除かれる。付加的なビン要求は、ビットバッファなどから1つ又は複数の新しい符号語を読み取るためにビン復号器をトリガする。ビットバッファ338は、所定のサイズの先入れ先出しバッファを示して、ビットストリーム340からのビット339で連続的に満たされる。それらが復号プロセスによって要求されるのと同じ方法で、符号語がビットストリームに書き込まれることを確実にするために、エンコーダ側の符号語バッファは、上記の方法で作動されることができる。
【0092】
このように、複数のエントロピー復号器の各々は、固定長の符号語を可変長のシンボルシーケンスにマッピングするように構成される可変長デコーダでもよく、符号語バッファ43の出力などの符号語エントリは、インターリーブされた符号語の単一のストリームを受信するために提供されることができる。複数のエントロピー復号器22は、複数のエントロピー復号器からセレクタ18によって取り出されるように再現されるシンボルのシーケンスのうちのシンボルが、結果として、各エントロピー復号器の新たな符号語からマップされる新たなシンボルシーケンスとなるような順番に応じて、符号語エントリから符号語を取り出すように構成されることができる。
【0093】
低遅延拘束条件を有する可変長符号語のインターリービング
説明された符号語インターリービングは、いかなる区分化情報も補助情報として送られることを必要としない。そして、符号語がビットストリームにおいてインターリーブされるので、遅延は一般に小さい。しかし、(例えば符号語バッファに格納されるビットの最大数によって特定される)特定の遅延拘束条件が従われることは保証されない。さらにまた、符号語バッファのために必要なバッファサイズは、理論的に非常に大きくなりうる。図12(b)の例を考慮するときに、更なるビンが、ビンバッファ3に送られず、従って、ビン符号器3は、データパケットの最後の消去処理が適用されるまで、いかなる新しい符号語も、符号語バッファに送らないだろう。それから、ビン符号器1および2のすべての符号語は、それらをビットストリームに書き込むことができる前に、データパケットの端まで待たなければならない。この欠点は、符号化処理に(および、後述するような復号化処理にも)更なる機構を加えることによって回避されることができる。その追加機構の基本的概念は、遅延または遅延の上限に関連した尺度(下記参照)が特定の閾値を上回る場合、第1の確保されたバッファエントリが、(データパケットの最後と同様の機構を用いて)対応するビンバッファを消去することによって満たされるということである。このような機構によって、関連した遅延尺度が特定された閾値未満となるまで、待機中バッファエントリの数は低減される。デコーダ側で、遅延拘束条件に従うためにエンコーダ側で挿入されたビンは、除かなければならない。基本的に、ビンのこの除去のために、エンコーダ側と同じ機構を使用することができる。以下において、この種の遅延調節のための2つの好ましい実施形態は、説明される。
【0094】
好ましい実施形態では、遅延(または遅延の上限)のための尺度は符号語バッファの作動中のバッファエントリの数である。ここで、作動中のバッファエントリの数は符号語を含むバッファエントリの数を加えた確保されたバッファエントリの数である。第1のバッファエントリが常に確保されたバッファエントリまたは自由なバッファエントリであることに留意されたい。これは、次のことの故である。第1のバッファエントリが符号語を含む場合、この符号語はビットストリームに書き込まれる。例えば、(アプリケーションによって定まる)最大許容バッファ遅延が、Dビットであり、すべてのビン符号器のための最大符号語サイズがLである場合、遅延拘束条件に反することなく、符号語バッファに含まれることができる符号語の最大数のための下限は、N=D/Lによって算出されることができる。ビットの遅延尺度Dは、システムによって必要でないが、符号語Nの最大数は、エンコーダおよびデコーダに知られていなければならない。本発明の好ましい実施形態において、符号語バッファエントリNの最大数は、アプリケーションによって固定される。他の本発明の好ましい実施形態において、符号語バッファエントリNの最大数は、例えば、ビットストリームに含まれる、データパケットのヘッダ(またはスライスヘッダ)において、または、パラメータセットにおいて、ビットストリーム内に信号を送られる。ビン符号器310が、1つ又は複数の新規なバッファエントリの確保の要求を符号語バッファ329に送信する場合、新規な符号語バッファエントリが確保される前に、以下の方法が実行される(すなわち、複数の符号語バッファエントリが1つの要求によって確保される場合、複数回実行される)。(次に確保されるバッファエントリを考慮する)現在アクティブであるバッファエントリの数プラス1が、符号語バッファエントリNの最大数より大きい場合、(確保される)第1のバッファエントリは、現在アクティブであるバッファエントリの数プラス1が、符号語バッファエントリNの最大数より以下であるまで、以下に説明される処理によって消去される。確保されたバッファエントリの消去は、データパケットの終わりの消去と同様である。対応する第1のバッファエントリを確保したビン符号器310は、結果生じるビンシーケンスが、符号語と関係しているビンシーケンスを示し、符号語がそれから確保されたバッファエントリに書き込まれて、それがビットストリーム(ビンバッファを空にして、先に確保されたバッファエントリを取り除くと共に)に最後に加えられるまで、接続されたビンバッファ308に、特定の又は任意の値を有するビンを加えることによって消去される。上述のように、ビンバッファにビンを加えるための1つの好ましい方法は、できるだけ短い符号語を生じさせるそれらのビンを加えることである。デコーダ側で、同様の処理は、遅延拘束条件に従うために加えられたビンを破棄するために実行される。従って、デコーダは、ビットバッファから読み取られた符号語を計数するカウンタCを保有する(このカウンタは、ビットバッファにおいて保有されることができる)。このカウンタCは、データパケットの復号化の初めに(例えばゼロで)初期化されて、符号語が読み取られたあと、1増やされる。加えて、各ビン復号器322はカウンタCxを含む。そして、最後の符号語が通信ビン復号器322によって読み取られる前に、それは符号語カウンタCの値を格納する。すなわち、特定のビン復号器322が新しい符号語を読み取るときに、そのカウンタCxは、第1ステップとしてCに等しく設定され、その結果、符号語はビットバッファから読み取られる。ビンの要求319が特定のビンバッファ320に送られ、全体の符号語カウンタCと接続されたビン復号器322のカウンタCxとの間の差(C-Cx)が符号語バッファエントリNの最大数より大きいとき、特定のビンバッファ320に現在格納されるすべてのビンは、破棄されて、無視される。その追加ステップに加えて、復号化は、上記の通りに作動される。(すべてのビンがすでに除かれたため、または、ビン要求が受けられた後に、低遅延機構が第1のステップですべてのビンを破棄したため、)ビンの要求319が送られるビンバッファ320が空である場合、接続されたビン復号器322は、ビットバッファ338などから1つ又は複数の新しい符号語を読み取る。
【0095】
他の本発明の好ましい実施形態において、遅延(または遅延の上限)のための尺度は、符号語バッファにおけるアクティブバッファエントリのための最大符号語長の総計である。ここで、特定のバッファエントリについての最大符号語長は、そのバッファエントリと関係している復号されたビンに依存する。図として、バッファエントリのための最大符号語長は、図6の例に示される。さらにまた、第1のバッファエントリが常に確保されたバッファエントリまたはフリーのバッファエントリである点に留意されたい。というのも、第1のバッファエントリが符号語を含む場合、この符号語はビットストリームに書き込まれる。(アプリケーションによって定まる)最大許容バッファ遅延をDビットであるとする。この最大バッファ遅延Dは、エンコーダおよびデコーダに知られていなければならない。本発明の好ましい実施形態において、最大バッファ遅延Dは、アプリケーションによって固定される。他の本発明の好ましい実施形態において、最大バッファ遅延Dは、例えば、ビットストリームに含まれる、データパケットのヘッダ(またはスライスヘッダ)において、または、パラメータセットにおいてビットストリーム内に、信号を送られる。それは、ビット(またはバイト)または複数のビットまたは複数のバイトの単位で、信号を送られることができる。ビン符号器310が1つ又は複数の新規なバッファエントリの確保の要求を符号語バッファ329に送信する場合、新規な符号語バッファエントリが確保される前に、以下の方法が実行される(すなわち、複数の符号語バッファエントリが1つの要求によって確保される場合、それは複数回実行される)。
【0096】
すべての現在アクティブのバッファエントリのための最大符号語長プラス確保されたバッファエントリのための最大符号語長の総計が、最大バッファ遅延Dより大きい場合、すべてのアクティブのバッファエントリのための最大符号語長プラス確保されたバッファエントリのための最大符号語長の総計が、最大バッファ遅延D以下になるまで、(確保される)第1のバッファエントリは、上記処理によって消去される。一例として、図12(b)の例を考慮する。すべての現在アクティブのバッファエントリのための最大符号語長の総計は、29である。最大バッファ遅延Dが32に等しく設定されると仮定する。次のバッファエントリが、最大符号語長が3に等しいビン符号器2によって確保される場合、第1のバッファエントリは消去されない。というのも、29+3は32より大きくないためである。しかし、次のバッファエントリが、最大符号語長が7に等しいビン符号器1によって確保される場合、第1のバッファエントリは消去される。というのも、29+7が32より大きいためである。(対応するビンバッファに、特定の又は任意の値を有するビンを加えることによって)確保されたバッファエントリの消去が上述のようになされる。
【0097】
デコーダ側で、同様の処理は、遅延拘束条件に従うために加えられたビンを破棄するために実行される。従って、デコーダは、ビットバッファから読み取られた符号語のための最大符号語長を計数するカウンタCを保有する(このカウンタは、ビットバッファにおいて保有されることができる)。異なるビン復号器と関係している最大符号語長が異なりうることに留意されたい。カウンタCは、データパケットの復号化の初めに(例えばゼロで)初期化され、符号語が読み取られたあと、それは増加する。このカウンタは、読み取られた符号語の実長によって増加せず、その最大長によって増加する。すなわち、符号語が特定のビン復号器によって読み取られ、特定のビン復号器により用いられる符号語テーブルと関係している最大符号語長がLxである場合(異なるビン復号器は、異なる最大符号語長と関係していることがありえる)、カウンタCは、Lxだけ増加する。全体のカウンタCに加えて、各ビン復号器322は、最後の符号語が対応するビン復号器322によって読み取られる前に、符号語カウンタCの値を格納するカウンタCxを含む。すなわち、特定のビン復号器322が新しい符号語を読み取るときに、そのカウンタCxは第1ステップとしてCに等しく設定され、それから符号語はビットバッファから読み取られる。ビンの要求319が特定のビンバッファ320に送られ、全体のカウンタCおよび接続されたビン復号器322のカウンタCxとの間の差(C-Cx)が、最大バッファ遅延Dより大きいとき、特定のビンバッファ320に現在格納されるすべてのビンは、破棄されて、無視される。その追加ステップに加えて、復号化は、上記の通りに作動される。(すべてのビンがすでに除かれたため、または、ビン要求が受けられた後に、低遅延機構が第1ステップのすべてのビンを破棄したため、)ビンの要求319が送られるビンバッファ320が、空である場合、接続されたビン復号器322は、ビットバッファ338などから1つ又は複数の新しい符号語を読み取る。
【0098】
このように、複数のエントロピー復号器22およびセレクタ18は、再現されるシンボルのシーケンスを形成する際に参加しないように、シンボルシーケンスの接尾語を間欠的に破棄するように構成されることができる。間欠的に破棄することは、符号語エントリから各エントロピー復号器の2つの連続した符号語取り出し間に複数のエントロピー復号器によって符号語エントリから取り出されていた符号語の数が、所定の評価基準を満たす事象で、実行することができる。複数のエントロピー符号器および符号語バッファは、次に、現在転送されたが、まだマップされていないシンボルをプレフィックスとして有する無関係シンボルによって、現在転送されたが、まだマップされていないシンボルを、有効なシンボルシーケンスに間欠的に広げて、こうして広げられたシンボルシーケンスを符号語にマップして、こうして得られた符号語を、確保された符号語エントリに入れて、符号語エントリを消去するように構成されることができる。間欠的に広げること、入れること、および消去することは、確保された符号語エントリの数プラスそこに入れられた符号語を有する符号語エントリの数が、所定の基準を満たす事象で生じうる。所定の基準は、複数のエンコーダ/デコーダペアの符号語の最大長を考慮することができる。
【0099】
いくつかのアーキテクチャのために、符号語インターリービングについて上記好ましい実施形態は、復号化煩雑性に関して、結果として欠点になるかもしれない。図13に示したように、すべてのビン復号器322は、単一のビットバッファ338から、符号語(一般には可変長符号語)を読み取る。符号語を読み取ることは、並列になされることができない。というのも、符号語は、正しい順序で読み取られなければならないからである。そのことは、特定のビン復号器が、他のビン復号器が符号語を読み取り終わるまで、待たなければならないことを意味する。そして、可変長符号語の読み取りの煩雑性が、(部分的に並列にされた)復号化処理の残りに対して有意であるときに、可変長符号語のこのアクセスは、全復号化処理についてボトルネックでありえる。一つのビットバッファからアクセスの煩雑性を削減するために使用されることができる本発明の説明された実施形態のいくつかのバリエーションがあり、それらの2、3は、以下に説明される。本発明の好ましい実施形態において、(例えば冗長度のないプレフィックスコードを示す)符号語の単一のセットが存在し、ビン復号器322ごとに使用される符号語のセットは、一つの符号語集合のサブセットである。異なるビン復号器322が、一つの符号語セットの異なるサブセットを使用することができることに留意されたい。ビン復号器322のいくつかにより用いられる符号語セットが同じである場合であっても、ビンシーケンスとのそれらの関連は、異なるビン復号器322のために異なる。本発明の特定の実施形態において、符号語の同一のセットは、すべてのビン復号器322のために使用される。我々がサブセットとしてすべてのビン復号器のための符号語セットを含む単一の符号語セットを有する場合、符号語の構文解析は、ビン復号器の外側でされることができる。そして、それは、符号語アクセスの煩雑性を削減することができる。符号化処理は、上記した処理に関して変わらない。修正された復号化処理は、図14において示される。単一の符号語リーダは、ビットストリーム340からビット346によって供給されて、(一般には可変長)符号語を解析する。読み取られた符号語344は、先入れ先出しバッファを示す符号語バッファ343に挿入される。ビン復号器322は、1つ又は複数の符号語341の要求を、符号語バッファ343に送信し、この要求に対する応答として、1つ又は複数の符号語は、符号語バッファから(順番に)削除されて、対応するビン復号器322に送る。なお、本発明の本実施形態については、潜在的に複雑な符号語構文解析は、バックグラウンドプロセスにおいてなされることができ、それはビン復号器を待つことを必要としない。ビン復号器がすでに解析された符号語にアクセスし、潜在的に複雑な符号語構文解析は、全体のバッファへの要求のもはや一部ではない。その代わりに、すでに解析された符号語は、ビン復号器に送られる。そして、それはまた、符号語インデックスのみがビン復号器に送られる方法で、実行されることもできる。
【0100】
固定長ビットシーケンスのインターリービング
ビン復号器322がグローバルビットバッファ338から可変長符号語を読み取らないときに、デコーダ煩雑性を削減する更なる方法を達成することができるが、その代わりに、それらは、常にグローバルビットバッファ338からビットの固定長シーケンスを読み取って、ローカルビットバッファにこれらのビットの固定長シーケンスを加える。ここで、各ビン復号器322は、別のローカルビットバッファと関係する。可変長符号語は、それからローカルビットバッファから読み取られる。それ故、可変長符号語の構文解析は、並列になされることができ、ビットの固定長シーケンスのアクセスだけは、同期的方法でなされなければならないが、ビットの固定長シーケンスのこの種のアクセスは、通常非常に速く、その結果、全体の復号化煩雑性は、いくつかのアーキテクチャのために低減されることができる。特定のローカルビットバッファに送られるビンの固定された数は、ビン復号器、ビンバッファまたはビットバッファの事象としての特定のパラメータに依存して、異なるローカルビットバッファについて異なりえて、それは時間とともに変動しうる。しかし、特定のアクセスによって読み取られるビットの数は、特定のアクセスの間、読み取られる実際のビットに依存せず、それは可変長符号語の読み取りとの重要な違いである。ビットの固定長シーケンスの読み取りは、ビンバッファ、ビン復号器またはローカルビットバッファの特定の事象によってトリガされる。例えば、接続されたビットバッファに存在するビットの数が、所定の閾値以下に減少するとき、ビットの新規な固定長シーケンスの読み取りを要求することは可能である。ここで、異なる閾値は、異なるビットバッファのために使用されることができる。エンコーダで、ビンの固定長シーケンスが、ビットストリームに同じ順序で挿入されることが保証されなければならない。そこにおいて、それらはデコーダ側でビットストリームから読み取られる。この固定長シーケンスのインターリービングを、上記説明されたものに似た低遅延制御と結びつけることも可能である。以下に、ビットの固定長シーケンスのインターリービングのための好ましい実施形態を説明する。
【0101】
図15は、2つ以上のビン符号器のためのビットの固定長シーケンスをインターリーブする本発明の実施形態のための基本的なエンコーダ構造の図を示す。図11に表された実施形態とは対照的に、ビン符号器310は、単一の符号語バッファと接続されない。その代わりに、各ビン符号器310は、対応する部分的ビットストリームのためのビットを格納する、別のビットバッファ348と接続される。すべてのビットバッファ348は、グローバルビットバッファ351と接続される。グローバルビットバッファ351は、グローバルビットバッファから符号化/復号化順にビット352を取り除いて、取り除かれたビット354をビットストリーム355に書き込む、ビットライタ353と接続される。特定のビットバッファ348または接続されたビン符号器310またはビンバッファ308における特定の事象に関して、ビットバッファ348は、特定の数のビットがグローバルビットバッファ351に確保されるグローバルビットバッファ351に要求349を送信する。固定長ビットシーケンスの確保の要求349は、順番に処理される。グローバルビットバッファ351は、特定の方法で先入れ先出しバッファを示す。先に確保されるビットは、ビットストリームに先に書き込まれる。異なるビットバッファ348が、すでに符号化されたシンボルに基づいて時間とともに変動することもできる異なる量のビットを確保することができる点に留意する必要がある。しかし、特定の要求によって確保されるビットの数は、その要求がグローバルビットバッファに送られる時間に知られている。
【0102】
本発明の特定の実施形態では、ビットバッファ348およびグローバルビットバッファ351は、以下に説明するように作動される。特定のビットバッファ348によって確保されるビットの量は、Nxとして示される。このビットの数Nxは、異なるビットバッファ348について異なりえて、それは時間とともに変動しうる。本発明の好ましい実施形態において、特定のビットバッファ348によって確保されるビットの数Nxは、時間とともに固定される。ビット349の固定された数Nxのための確保は、ビットバッファ348のビットの数Mx、確保要求のためのビットの数Nx、および関連した最大符号語長Lxに基づいて、トリガされる。各ビン符号器310が異なる最大符号語長Lxと関係していることがありえることに留意されたい。ビン307が特定のビンバッファ308に送信され、そして、特定のビンバッファ308は空であり、Nxビットの一つのシーケンスが、特定のビンバッファと接続されるビットバッファ348のためのグローバルビットバッファにおいて確保され、特定のビンバッファ308と(ビン符号器を介して)接続されるビットバッファ348の確保要求によって確保されるビットの数Nxとこのビットバッファ348に現在存在しているビットの数Mxとの間の差Nx-Mxが、対応するビン符号器310と関連している最大符号語長Lxより小さい場合、接続されたビットバッファ349は、グローバルビットバッファ351に、Nxビットの確保の要求349を送信する。グローバルビットバッファ351は、特定のビットバッファ348のためにNxビットを確保し、次の確保のためにそのポインタを増加させる。Nxビットがグローバルビットバッファに確保された後、ビン307は、ビンバッファ308に格納される。この一つのビンが、符号語と関係しているビンシーケンスをすでに示す場合、ビン符号器310は、ビンバッファ308からこのビンを除き、対応する符号語347を接続されたビットバッファ348に書き込む。その他の場合(この一つのビンが、符号語と関係しているビンシーケンスをすでに示す)、更なるビン307は、ビンバッファ308が符号語と関係しているビンシーケンスを含むまで、特定のビンバッファ308によって受け入れられる。この場合、接続されたビン符号器310は、ビンバッファ308からビンシーケンス309を除いて、対応する符号語347を接続されたビットバッファ348に書き込む。ビットバッファ348における結果として生じるビットの数Mxが、確保されたビットNxの数以上である場合、ビットバッファ348に最初に書き込まれたNxビットは、グローバルビットバッファ351において、先に確保された空間に挿入される。特定のビンバッファ308に送信される次のビン307について、上で特定したものと同じ処理が実行される。すなわち、(Nx-MxがLx未満である場合)新しい数のNxビットがグローバルビットバッファにおいて確保されなければならないかどうかがまずチェックされ、それから、ビンは、ビンバッファ308などに挿入される。ビットライタは、それらが確保された順番に、グローバルビットバッファの固定長のビットシーケンスを書き込む。グローバルビットバッファ351の第1の固定長エントリが、グローバルビットバッファに実際に挿入された固定長ビットシーケンスを含む(すなわち、それは、確保されるだけでない)場合、ビットライタ353は、グローバルビットバッファ351からこのビットシーケンス352のためのビットを取り除いて、ビット354をビットストリームに書き込む。この処理は、グローバルビットバッファの第1の固定長エントリが、確保された又はフリーのエントリを示すまで、繰り返される。グローバルビットバッファの第1の固定長エントリが、確保されたエントリを示す場合、ビットライタ353は、それが更なるビット354をビットストリーム355に書き込む前に、このエントリが実際のビットで満たされるまで、待つ。
【0103】
データパケットの終わりに、ビンバッファは、上記のように消去される。加えて、グローバルビットバッファのすべての確保されたバッファエントリが満たされて、ビットストリームに書き込まれるまで、ビットバッファは、特定の又は任意の値を有するビットを加えることによって消去されなければならない。
【0104】
図16において、グローバルビットバッファ351の可能なステータスのための2つの例が示される。例(a)において、異なるビットバッファ/ビン符号器が異なる数のビットを確保するケースについて示される。グローバルビットバッファは、実際に書き込まれた固定長ビットシーケンスを有する3つのエントリおよび確保された固定長ビットシーケンスを有する4つのエントリを含む。第1の固定長エントリは、(ビットバッファ/ビン符号器2によってちょうど挿入されたにちがいない)すでに実際のビットを含む。このエントリ(すなわち対応する8つのビット)は、除かれることができて、ビットストリームに書き込まれることができる。次のエントリは、ビン符号器3のために10ビットを確保するが、実際のビットはまだ挿入されなかった。このエントリは、ビットストリームに書き込まれることができない。実際のビットが挿入されるまで、それは待たれなければならない。第2の例(b)において、すべてのビットバッファ/ビン符号器は、同じ数のビット(8つのビット)を確保した。グローバルビットバッファは、8つのビットシーケンスおよび3つの実際に書き込まれた8ビットのシーケンスのための4つの確保を含む。第1のエントリは、ビン符号器3のための8つのビットのための確保を含む。いかなる新規なビットもビットストリームに書き込まれることができる前に、ビットライタは、ビットバッファ/ビン符号器3が、この確保されたエントリに8つのビットの実際の値を書き込むまで、待たなければならない。
【0105】
図17は、ビットの固定長シーケンスをインターリーブする本発明の実施形態のための基本的なデコーダ構造の図を示す。図13において表された実施形態とは対照的に、ビン復号器322は、単一のビットバッファと接続されない。その代わりに、各ビン復号器322は、対応する部分的ビットストリームからビットを格納する、別のビットバッファ358と接続される。すべてのビットバッファ358は、グローバルビットバッファ361と接続される。ビットストリーム363からのビット362は、グローバルビットバッファ361に挿入される。特定のビットの事象は、特定のビットバッファ358または接続されたビン復号器322またはビンバッファ320における特定の事象に関して、ビットバッファ358は、グローバルビットバッファ361に要求359を送信し、それにより、ビット360の固定長シーケンスがグローバルビットバッファ361から除かれて、特定のビットバッファ358に挿入される。固定長ビットシーケンス359の要求は、順番に処理される。グローバルビットバッファ361は、先入れ先出しバッファを示す。グローバルビットバッファに先に挿入されるビットは、先に取り除かれる。異なるビットバッファ358が、すでに復号化シンボルに基づいて時間とともに変動もしうる異なる量のビットを要求することができる点に留意する必要がある。しかし、特定の要求によって要求されるビットの数は、その要求がグローバルビットバッファに送られる時間に知られている。グローバルビットバッファ361が必ずしも必要であるというわけではない点に留意する必要がある。というのも、符号語はビットストリームから直接読み取られることもできるからである。グローバルビットバッファ361は、主に処理チェーンの明らかに別の異なる態様のための図面に含まれる。
【0106】
本発明の特定の実施形態において、ビットバッファ358およびグローバルビットバッファ361は、以下に説明したように、作動される。特定のビットバッファ358によって要求されて、読み取られるビットの量は、Nxで示され、それは、エンコーダ側で対応するビットバッファによってグローバルビットバッファに書き込まれるビットの量に等しい。このビットの数Nxは、異なるビットバッファ358について異なりえて、そして、それは時間とともに変動しうる。本発明の好ましい実施形態において、特定のビットバッファ358によって要求されて、読み取られるビットNxの数は、時間とともに固定される。ビット360の定数Nxの読み取りは、ビットバッファ358のビットの数Mxおよび関連する最大符号語長Lxに基づいてトリガされる。各ビン復号器322が異なる最大符号語長Lxと関連することができることに留意されたい。ビンの要求319が、特定のビンバッファ320に送られ、特定のビンバッファ320が空であり、特定のビンバッファ320と接続されるビンバッファ358のビットの数Mxが、対応するビン復号器322と関係している最大符号語長Lxより小さい場合、接続されたビンバッファ358は、Nxビットの新規なシーケンスの要求359を、グローバルビットバッファ361に送る。この要求に対する応答として、最初のNxビットは、グローバルビットバッファ361から除かれて、Nxビット360のこのシーケンスは、その要求が送られたビットバッファ358に送られる。最後に、Nxビットのこのシーケンスは、対応するビットバッファ358に加えられる。それから、次の符号語357は、このビットバッファから読み取られ、接続されたビン復号器322は、関連したビンシーケンス321を、接続されたビンバッファ320に挿入する。ビン319の最初の要求に対する最終的な応答として、最初のビンは、ビンバッファ320から除かれて、この復号されたビン325は、ビンバッファ・セレクタ318に送信される。次のビン要求319が、特定のビンバッファ320に送信され、ビンバッファが空でないときに、次のビットは、ビンバッファ320から除かれる。ビンバッファが空であるが、接続されたビットバッファ358のビットの数Mxが関連した最大符号語長Lx以上である場合、次の符号語は、ビットバッファから読み取られ、新規なビンシーケンスは、ビンバッファに挿入され、それから、最初のビットは、除かれて、ビンバッファ・セレクタに送信される。ビンバッファが空であり、接続されたビットバッファ358のビットの数Mxが関連した最大符号語長Lx未満である場合、Nxビットの次のシーケンスは、グローバルビットバッファ361から読み取られ、接続されたローカルビットバッファ358に挿入され、次の符号語は、ビットバッファから読み取られ、新規なビンシーケンスは、ビンバッファに挿入され、シーケンスの最初のビンは、除かれて、ビンバッファ・セレクタに送信される。この方法は、すべての構文要素が復号されるまで繰り返される。
【0107】
データパケットの最後に、要求された構文要素を復号するために必要なものより多いビットが、ビンバッファおよび/またはビットバッファに挿入されうる。ビンバッファの残りのビンおよびビットバッファの残りのビットは、破棄されて、無視される。
【0108】
低遅延拘束条件を有する固定長ビットシーケンスのインターリービング
固定長ビットシーケンスのインターリービングを用いたエントロピー符号器およびデコーダのために説明された実施形態は、上記の説明されるエンコーダバッファ遅延を制御するための方式と組み合わされる。基本的概念は、上記の遅延調節を有する実施形態と同じである。遅延または遅延の上限に関連した尺度(下記参照)が特定された閾値を上回る場合、最初に確保されたバッファエントリは、(データパケットの最後に同様の機構を用いて)対応するビンバッファを消去して、潜在的に確保された固定長バッファエントリのすべてのビットを満たすための追加ビットに書き込むことによって満たされる。この種の機構によって、待機中バッファエントリの数は、関連した遅延尺度が特定された閾値未満となるまで低減される。デコーダ側で、遅延拘束条件に従うためにエンコーダ側で挿入されたビンおよびビットは、破棄されなければならない。ビンおよびビットのこの破棄について、基本的に、エンコーダ側と同じ機構を使用することができる。
【0109】
本発明の好ましい実施形態において、遅延(または遅延の上限)のための尺度は、グローバルビットバッファのアクティブなバッファエントリのビットの数である。ここで、アクティブなバッファエントリの数は、確保された固定長バッファエントリの数プラスすでに書き込まれたビットを含む固定長バッファエントリの数である。最初のバッファエントリが、常に確保された固定長バッファエントリまたはフリーのバッファエントリであることに留意されたい。というのも、最初のバッファエントリが書き込まれたビットを含む場合、これらのビットは、ビットストリームに書き込まれる。(アプリケーションによって定まる)最大可能バッファ遅延を、Dビットとする。この最大バッファ遅延Dは、エンコーダおよびデコーダに知られていなければならない。本発明の好ましい実施形態において、最大バッファ遅延Dは、アプリケーションによって固定される。他の本発明の好ましい実施形態において、最大バッファ遅延Dは、例えば、データパケットのヘッダ(またはスライスヘッダ)において、または、パラメータセットにおいて、ビットストリーム内に信号を送られる。そして、それはビットストリームに含まれる。それは、ビットまたはバイトまたは複数のビットまたは複数のバイトを単位にして信号を送られることができる。ビン符号器310が、グローバルビットバッファ351に新規な固定長ビットシーケンスの確保の要求を送る場合、新規な固定長バッファエントリが確保される前に、以下の方法が実行される。
【0110】
グローバルビットバッファのアクティブのバッファエントリのビットの数プラス現在の確保要求によって確保されるビットの数が、最大バッファ遅延Dより大きい場合、グローバルビットバッファのアクティブのバッファエントリのビットの数プラス現在確保要求によって確保されるビットの数が、最大バッファ遅延D以下になるまで、(確保される)最初のバッファエントリは、以下に説明された処理によって消去される。確保された固定長バッファエントリの消去は、データパケットの最後の消去と同様である。対応する最初のバッファエントリを確保したビットバッファ348と接続されるビン符号器310は、結果として生じるビンシーケンスが符号語と関係しているビンシーケンスを示すまで、接続されたビンバッファ308に、特定の又は任意の値を有するビンを加えることによって、対応する最初のバッファエントリは、消去され、符号語は、それから対応するビットバッファ348に挿入される。上述したように、ビンバッファにビンを加えるための1つの好ましい方法は、可能な限り短い符号語を生み出すそれらのビンを足し合わせることである。接続されたビットバッファへの符号語の書き込みおよびグローバルビットバッファへの固定長ビットシーケンスの潜在的挿入の後に、ビットバッファにビットがいまだにある(すなわち、書き込まれた符号語が、ビットの確保された固定長シーケンスを完全に満たさなかった)場合、すべてのビットがビットバッファから除かれて、確保されたバッファエントリに書き込まれるまで、特定の又は任意の値を有する更なるビットが、ビットバッファに加えられる。最後に、この処理の最後に、完了されたバッファエントリ(グローバルビットバッファの最初の固定長エントリ)は、グローバルビットバッファから除かれて、ビットストリームに書き込まれる。
【0111】
デコーダ側で、同様の処理は、遅延拘束条件に従うために加えられたビンおよびビットを破棄するために実行される。従って、デコーダは、グローバルビットバッファから読み取られたビットを計数するカウンタCを保有する(このカウンタは、グローバルビットバッファにおいて維持されることができる)。カウンタCは、データパケットの復号化の初めに、(例えばゼロで)初期化されて、それは、固定長が読み込まれた後、増加する。Nxビットの固定長シーケンスが、グローバルビットバッファ361から読み取られる場合、カウンタCは、Nxによって増加する。全体のカウンタCに加えて、各ビットバッファ358は、最後の固定長ビットシーケンスが対応するビットバッファ358に読み取られる前に、ビットカウンタCの値を格納するカウンタCxを含む。特定のビットバッファ358が、新規な固定長ビットシーケンスを読み取るときに、そのカウンタCxは、第1ステップとしてCに等しく設定され、それから、固定長ビットシーケンスは、グローバルビットバッファ361から読み取られる。ビンの要求319が特定のビンバッファ320に送られ、全体のカウンタCと接続されたビットバッファ358のカウンタCxとの間の差(C-Cx)が、最大バッファ遅延Dより大きいとき、特定のビンバッファ320に現在格納されるすべてのビンおよび接続されたビットバッファ358に格納されるすべてのビットが破棄されて、無視される。その追加ステップの他、復号化は上記の通りに作動される。(すべてのビンがすでに除かれたため、または、ビン要求が受けられた後、低遅延機構が第1のステップですべてのビンを破棄したため、)ビンの要求319が送られるビンバッファ320が空である場合、接続されたビン復号器322は、接続されたビットバッファ358から新しい符号語を読み取ることを試みる。ビットバッファ358のビットの数が、最大符号語長より少ない場合、新規な固定長ビットシーケンスは、符号語は読み込まれる前などに、グローバルビットバッファ361から読み取られる。
【0112】
以前に符号化されたものがビデオデータの圧縮のために使われることが記載された実施例を記載した後に、本発明の実施例を実行するためのさらなる実施例として、一方では圧縮率と他方では参照表および計算オーバーヘッドとの間の良好なトレードオフに関して特に効果的な実施を示す。特に、以下の実施例は、個々にビットストリームをエントロピー符号化し、効果的に確率評価の部分をカバーするために、計算的に複雑でない可変長符号を用いることを可能にする。後述する実施例において、シンボルは、2進性のものであり、下で発表されるVLCコードは、例えば、[0;0.5]の間で延びるR_(LPS)によって表される確率評価を効果的にカバーする。
【0113】
特に、以下において概説される実施例は、それぞれ、図7?17に示す個々のエントロピー符号器310およびデコーダ322を示している。それらは、画像またはビデオ圧縮アプリケーションで起こるため、それらはビン、すなわちバイナリのシンボルの符号化に適している。したがって、これらの実施例は、画像またはビデオ符号化に適用することができ、このようなバイナリのシンボルが、それぞれ符号化されるビン307および復号化されるビットストリーム324の1つ以上に分離され、このような各ビンストリームは、ベルヌーイ・プロセスの実現と考えることができる。以下に述べる実施例は、ビンストリームを符号化するために、1つ以上のさまざまないわゆるvariable-to-variable-コード(v2v-コード)を使用する。v2v-コードは、符号語の同じ数を有する2つの接頭符号と考えることができる。第1および第2の接頭符号。第1の接頭符号の各符号語は、第2の接頭符号の1つの符号語と関連している。以下に概説された実施例によれば、少なくともエンコーダ310およびデコーダ322のいくつかは以下のように作動する。ビン307の特定のシーケンスを符号化するために、第1の接頭符号の符号語がバッファ308から読み込まれるときはいつでも、第2の接頭符号の対応する符号語がビットストリーム312に書き込まれる。このようなビットストリームを復号化するために同様の手順が用いられるが、第1および第2の接頭符号で置き換えられる。すなわち、ビットストリーム324を復号化するために、第2の接頭符号の符号語がそれぞれのビットストリーム324から読み込まれるときはいつでも、第1の接頭符号の対応する符号語がバッファ320に書き込まれる。
【0114】
都合のよいことに、後述する符号は、参照表を必要としない。符号は、有限状態マシンの形で実行可能である。ここで現れるv2v-コードは、符号語のために大きな表を格納する必要がないような単純な構造規則によって生成されることができる。その代わりに、単純なアルゴリズムは、符号化または復号化を行うために用いることができる。3つの構造規則は以下に記載され、それらのうちの2つがパラメータ化されることができる。それらは前述の確率区間の異なるかバラバラの部分をカバーし、したがって、平行に(各々がエンコーダ/デコーダ11および22の異なるもののために)あるか、またはそれらのうちの2つの全ての3つの符号のように、一緒に使われる場合、特に有利である。後述する構造規則については、任意の確率pを有するベルヌーイ・プロセスのために、符号のうちの1つは過剰な符号長に関してよく機能するように、v2v-コードのセットを設計することは可能である。
【0115】
上述したように、ストリーム312および324の符号化および復号化は、それぞれのストリームごとに、または、交互配置された方法でそれぞれに実行されることもできる。しかしながら、これはv2v-コードの示された種類に特有でなく、従って、特定の符号語の符号化および復号化だけは以下の3つの構造規則の各々のために記載されている。しかしながら、それは、強調される、交互配置された解決策に関する前記実施例の全ては、現在記載されている符号またはエンコーダおよびデコーダ310および322に、それぞれ結合可能である。
【0116】
構造規則1:「単項ビンパイプ(unary bin pipe)」コードまたはエンコーダ/デコーダ310および322
単項ビンパイプ・コード(PIPE=確率区間分割エントロピー(probability interval partitioning entropy))はいわゆる「ビンパイプ」コード、すなわち個々のビットストリーム12および24のいずれかの符号化に適しているコードの特別版であり、各々が前述の確率範囲[0;0.5]の特定の確率部分区間に帰属しているバイナリのシンボル統計値のデータを転送する。ビンパイプ・コードの構造は、最初に記載されている。ビンパイプ・コードは、少なくとも3つの符号語を有するいかなる接頭符号からも構成されることができる。v2v-コードを形成するために、第1および第2の符号として接頭符号を使用するが、第2の接頭符号の2つの符号語で交換される。これは、2つの符号語を除いて、ビンがビットストリームに変えられることなく書き込まれることを意味する。この技術については、1つの接頭符号だけは、2つの符号語が交換されて、メモリの消費が減らされる情報とともに格納されることを必要とする。異なる長さの符号語を交換することは道理にかなうものであり、さもなければ、ビットストリームはビンストリームと同じ長さを有する(ビンストリームの終わりに発生することができる無視効果)ことになるからであることに注意されたい。
【0117】
この構造規則のため、ビンパイプ・コードの目立った特性は、第1および第2の接頭符号が交換される(符号語のマッピングが保持される)場合、結果として生じるv2v-コードが、オリジナルのv2v-コードと同一であるということである。したがって、符号化アルゴリズムおよび復号化アルゴリズムは、ビンパイプ・コードで同一である。
【0118】
単項ビンパイプ・コードは、特別な接頭符号から構成される。この特別な接頭符号は、以下の通りに作成される。第1に、n個の符号語で構成される接頭符号は、「01」、「001」、「0001」、・・・から始めて、符号語が作成されるまで生成される。nは、単項ビンパイプ・コードのパラメータである。最も長い符号語から、一続きの1は取り除かれる。これは、短縮単項符号(しかし、符号語「0」なしで)に対応する。それから、n-1単項符号語は、「10」、「110」、「1110」、・・・から始めて、n-1符号語が作成されるまで生成される。これらの符号語で最も長いものから、一続きの0は取り除かれる。これらの2つの接頭コードの結合セットは、単項ビンパイプ・コードを生成するための入力として用いられる。交換される2つの符号語は、0sから構成されるだけのものおよび1sから構成されるだけのものである。
【0119】
n=4に関する実施例:
Nr 第1 第2
1 0000 111
2 0001 0001
3 001 001
4 01 01
5 10 10
6 110 110
7 111 0000
【0120】
構造規則2:「Unary to rice」コードおよびUnary to riceエンコーダ/デコーダ10および22:
Unary to riceコードは、第1のコードとして短縮単項コードを使用する。すなわち、単項符号語は、「1」、「01」、「001」、・・・から始めて2^(n)+1符号語が発生するまで生成され、最も長い符号語から、一続きの1が取り除かれる。nは、unary to riceコードのパラメータである。第2の接頭符号は、以下の通りに第1の接頭コードの符号語から構成される。0sから構成されるだけの第1の符号語に対して、符号語「1」が割り当てられる。他の全ての符号語は、第1の接頭符号に対応する0sの番号のn-ビットバイナリ表現を有する符号語「0」の連結で構成される。
【0121】
n=3に関する実施例:
Nr 第1 第2
1 1 0000
2 01 0001
3 001 0010
4 0001 0011
5 00001 0100
6 000001 0101
7 0000001 0110
8 00000001 0111
9 000000001 1
これは、無限単項符号をriceパラメータを有するriceコードにマッピングするのと同じであることに注意。
【0122】
構造規則3:スリービンコード(Three bin code)
スリービンコードは次のように与えられる。
Nr 第1 第2
1 000 0
2 001 100
3 010 101
4 100 110
5 110 11100
6 101 11101
7 011 11110
8 111 11111
【0123】
第1の符号(シンボルシーケンス)は固定長(常に3つのビン)のものであり、符号語は1sの昇順場号によって選別される。
【0124】
スリービンコードの効率的な実施態様は、次に記載されている。スリービンコードのためのエンコーダおよびデコーダは、以下のようにして格納テーブルなしで行うことができる。
【0125】
エンコーダ(10のいずれか)において、3つのビンは、ビンストリーム(すなわち、7)から読み込まれる。これらの3つのビンが正確に1つの1を含む場合、符号語「1」がビットストリームに書き込まれ、続いて1つ(00を有する右側から始まる)の位置のバイナリの表現からなる2つのビンが続く。3つのビンが正確に1つの0を含む場合、符号語「111」がビットストリームに書き込まれ、続いて0(00を有する右側から始まる)の位置のバイナリの表現からなる2つのビンが続く。残りの符号語「000」および「111」は、それぞれ、「0」および「11111」にマッピングされる。
【0126】
デコーダ(22のいずれか)において、1つのビンまたはビットは、それぞれのビットストリーム24から読み込まれる。それが「0」に等しい場合、符号語「000」はビンストリーム21に復号化される。それが「1」に等しい場合、更に2つのビンがビットストリーム24から読み込まれる。これらの2つのビットが「11」に等しくない場合、それらは数のバイナリの表現と解釈され、1の位置が数で決定されるように、2つの0および1つの1はビットストリームに復号化される。2つのビットが「11」に等しい場合、更に2つのビットが読み込まれて、数のバイナリの表現と解釈される。この数が3より小さい場合、2つの1および1つの0は復号化され、数は0の位置を決定する。それが3に等しい場合、「111」がビンストリームに復号化される。
【0127】
単項ビンパイプ・コードの効率的な実施は、以下に記載されている。単項ビンパイプ・コードのためのエンコーダおよびデコーダは、カウンタを用いて能率的に行うことができる。ビンパイプ・コードの構造のため、ビンパイプ・コードの符号化および復号化は、実行するのが容易である。
【0128】
エンコーダ(10のいずれか)において、符号語の第1のビンが「0」に等しい場合、「1」が発生するまで、または、n個の0が読み込まれる(符号語の最初の「0」を含む)まで、ビンは処理される。「1」が発生する場合、読み込まれたビンは不変のビットストリームに書き込まれる。さもなければ(すなわち、n個の0が読み込まれると)、n-1個の1がビットストリームに書き込まれる。符号語の第1のビンが「1」に等しい場合、「0」が発生するまで、または、n-1個の1が読み込まれる(符号語の最初の「1」を含む)まで、ビンは処理される。「0」が発生する場合、読み込まれたビンは不変のビットストリームに書き込まれる。さもなければ(すなわち、n-1個の1が読み込まれると)、n個の0がビットストリームに書き込まれる。
【0129】
デコーダ(322のいずれか)において、これは上述のものと同じビンパイプ・コードであるから、同じアルゴリズムがエンコーダに関するのと同様に用いられる。
【0130】
単項からriceコードまでの効率的な実施が、以下に記載されている。単項からriceコードのためのエンコーダおよびデコーダは、今から述べるようなカウンタを使用して能率的に行うことができる。
【0131】
エンコーダ(310のいずれか)において、1が発生するまで、または、2^(n)個の0が読み込まれるまで、ビンはビンストリーム(すなわち7)から読み込まれる。0の数は、計数される。計数された数が2^(n)に等しい場合、符号語「1」がビットストリームに書き込まれる。さもなければ、「0」が書き込まれ、計数された数のnビットで書かれたバイナリの表現が続く。
【0132】
デコーダ(322のいずれか)において、1ビットが読み込まれる。それが「1」に等しい場合、2^(n)個の0はビンストリングに復号化される。それが「0」に等しい場合、nより多くのビットが読み込まれて、数のバイナリ表現として解釈される。0のこの数はビンストリームに復号化され、「1」が続く。
【0133】
換言すれば、前述の実施例は、シンボル303のシーケンスを符号化するためのエンコーダを記載し、それは、シンボルのシーケンスの以前のシンボルの中に含まれる情報に基づいて多くのパラメータ305をシンボルのシーケンスの各シンボルに割り当てるように構成される割当て器316;各々がそれぞれのエントロピー符号器310に送られるシンボル307をそれぞれのビット・ストリーム312に変換するように構成される複数のエントロピー符号器310;および、複数のエントロピー符号器10の選択された1つに各シンボル303を送るように構成されるセレクタ6を含み、選択はそれぞれのシンボル303に割り当てられるパラメータ305の数による。ちょうど概説された実施例によれば、エントロピー符号器の少なくとも第1のサブセットは、シンボル307のストリーム内の可変長のシンボル・シーケンスを、それぞれ、ビット・ストリーム312に入力される可変長の符号語にマッピングするように構成され、第1のサブセットの各々のエントロピー符号器310は、それによって(2n-1)≧3符号語を有する第1の接頭符号と同じ第2の接頭符号の符号語にマッピングする全単射マッピングルールを使用し、それにより、第1の接頭符号の2つの符号語のほかは、第2の接頭符号の同じ符号語にマッピングされるが、第1および第2の接頭符号の2つの符号語は異なる長さを有し、互いに交換した形で互いの上にマッピングされ、エントロピー符号器は上述の確率間隔の間隔の異なる部分をカバーするように異なるnを用いることができる。第1の接頭符号は、第1の接頭符号の符号語が(a,b)_(2),(a,a,b)_(3),・・・,(a,・・・,a,b)_(n),(a,・・・,a)_(n),(b,a)_(2),(b,b,a)_(3),・・・,(b,・・・,b,a)_(n-1),(b,・・・,b)_(n-1)であり、交換した形で互いの上にマッピングされた2つの符号語が(a,・・・,a)_(n)および(b,・・・,b)_(n-1)でb≠aおよびa,b∈{0,1}であるように構成される。しかしながら、変形例は、可能である。
【0134】
換言すれば、エントロピー符号器の第1のサブセットのそれぞれは、それぞれのエントロピー符号器に送られてそれぞれのビット・ストリームに変換される際に、(1)第1のシンボルa∈{0,1}で、その場合、それぞれのエントロピー符号器は、(1.1)b≠aでb∈{0,1}であるbが第1のシンボルに続く次のn-1個のシンボルの範囲内で起こり、その場合、それぞれのエントロピー符号器は符号語をシンボルbまでそれぞれのエントロピー符号器に送られる次のシンボルが続く第1のシンボルに等しいそれぞれのビット・ストリームに書き込むように構成され、(1.2)第1のシンボルに続く次のn-1個のシンボルの範囲内でbが起こらず、その場合、それぞれのエントロピー符号器は符号語を(b,・・・,b)_(n-1)に等しいそれぞれのビット・ストリームに書き込むように構成されているかどうかについて決定するためにそれぞれのエントロピー符号器に送られる次のシンボルを調べるように構成され:または、(2)第1のシンボルがbに等しく、その場合、それぞれのエントロピー符号器は、(2.1)第1のシンボルに続く次のn-2個のシンボルの範囲内でaが起こり、その場合、それぞれのエントロピー符号器は符号語をシンボルaまで次のシンボルがそれぞれのエントロピー符号器に送られる第1のシンボルに等しいそれぞれのビット・ストリームに書き込むように構成され、(2.2)第1のシンボルに続く次のn-2個のシンボルの範囲内でaが起こらず、その場合、それぞれのエントロピー符号器は符号語を(a,・・・,a)に等しいそれぞれのビット・ストリームに書き込むように構成されているかどうかについて決定するためにそれぞれのエントロピー符号器に送られる次のシンボルを調べるように構成されているかどうかについて決定するために、それぞれのエントロピー符号器に送られる第1のシンボルを調べるように構成される。
【0135】
さらに、エントロピー符号器の第2のサブセットは、それぞれ、可変長のシンボルのシーケンスを固定長の符号語にマッピングするように構成される可変長エンコーダであり、第2のサブセットのエントロピー符号器のそれぞれは、それによってb≠aでa,b∈{0,1}であるタイプ{(a),(ba),(bba),・・・,(b・・・ba),(bb・・・b)}の2^(n)+1個の符号語を有する第1の短縮単項符号の符号語が第2の接頭符号の符号語にマッピングされる全単射のマッピング・ルールを使用し、その結果、第1の短縮単項符号の符号語(bb・・・b)は第2の接頭符号の符号語(c)上にマッピングされ、第1の短縮単項符号の全ての他の符号語{(a),(ba),(bba),・・・,(b・・・ba)}は接頭辞としてのc≠dでc,d∈{0,1}を有する符号語および接頭辞としてのn-ビット・ワード上にマッピングされ、エントロピー符号器は異なるnを使用する。n-ビット・ワードが第1の短縮単項符号のそれぞれの符号語のbの数のn-ビット表現であるように、エントロピー符号器の第2のサブセットの各々は構成されることができる。しかしながら、変形例は、可能である。
【0136】
それぞれのエンコーダ10の作動のモードの視点から、エントロピー符号器の第2のサブセットのそれぞれは、それぞれのエントロピー符号器に送られたシンボルをそれぞれのビット・ストリームに変換して、発生するまで、またはそれぞれのエントロピー符号器に送られるシンボルのシーケンスの数が、シーケンスの全ての2^(n)個のシンボルがbである2^(n)に達するまで、それぞれのエントロピー符号器に送られるシンボルのシーケンスにおけるbの数をカウントするように構成され、(1)bの数が2nに等しい場合、第2の接頭コードの符号語としてc∈{0,1}を有するcをそれぞれのビット・ストリームに書き、(2)bの数が2^(n)より小さい場合、2nが第2の接頭コードの符号語をそれぞれのビット・ストリームに書き、それは、接頭辞、および接尾辞としてbの数に応じて決定されるn-ビット・ワードとしてc≠dおよびd∈{0,1}である(d)を有する。
【0137】
また、エントロピー符号器の所定の1つは、それぞれ、固定長のシンボルのシーケンスを可変長の符号語にマッピングするように構成される可変長のエンコーダであり、所定のエントロピー符号器は、それに従って第1の符号の長さ3の2^(3)個の符号語が第2の接頭符号の符号語にマッピングされ、その結果、a∈{0,1}である第1の符号の符号語(aaa)_(3)がc∈{0,1}である符号語(c)上にマッピングされ、b≠aでb∈{0,1}である1つのbを確かに有する第1の符号の全ての3つの符号語が接頭辞としてc≠dでd∈{0,1}である(d)を有する符号語上及び接尾辞として2-ビット・ワードの第1のセット以外のそれぞれの第1の2-ビット・ワード上にマッピングされ、1つのaを確かに有する第1の符号の全ての3つの符号語が接頭辞としての(d)および接尾辞として2-ビット・ワードの第2のセット以外の第1のセットおよび2-ビット・ワードのエレメントではない第1の2-ビット・ワードの連続の上にマッピングされ、符号語(bbb)_(3)が接頭辞として(d)および接尾辞として第1のセットのエレメントでない第1の2-ビット・ワードおよび第2のセットのエレメントでない第2の2-ビット・ワードの連続の上にマッピングされる全単射マッピング・ルールを使用する。確かに1つのbを有する第1のコードの符号語の第1の2ビット・ワードは、第1の符号のそれぞれの符号語におけるbの位置の2ビット表現であり、確かに1つのaを有する第1の符号の符号語の第2の2ビット・ワードは、第1の符号のそれぞれの符号語におけるaの位置の2ビット表現である。しかしながら、変形例は、可能である。
【0138】
また、エンコーダのエントロピーの所定の1つは、所定のエントロピー符号器に送られるシンボルをそれぞれのビットストリームに変換する際に、三重項における所定のエントロピー符号器に対して、(1)三重項がaで構成されている場合、所定のエントロピー符号器がそれぞれのビットストリームに符号語(c)を書くように構成されているか、(2)三重項が確かに1つのbで構成されている場合、それぞれのビットストリームに対して所定のエントロピー符号器が接頭辞として(d)を有する符号語および接尾辞として三重項におけるbの位置の2-ビット表現を書くように構成されているか、(3)三重項が確かに1つのaで構成されている場合、それぞれのビットストリームに対して所定のエントロピー符号器が接頭辞として(d)を有する符号語および接尾辞として第1のセットのエレメントでない第1の2-ビット・ワードの連続および三重項における位置aの2-ビット表現を書くように構成されているか、(4)三重項がbで構成されている場合、所定のエントロピー符号器がそれぞれのビットストリームに対して接頭辞として(d)を有する符号語および接尾辞として第1のセットのエレメントでない第2の2-ビット・ワードの連続および第2のセットのエレメントでない第1の2-ビット・ワードの連続を書くように構成されているかどうかについて調べるように構成される。
【0139】
復号側に関して、ちょうど記載されている実施例は、シンボル326のシーケンスを再現するためのデコーダを開示しており、各々がそれぞれのビット・ストリーム324をシンボル321に変換するように構成された複数のエントロピー復号器、シンボルのシーケンスの以前に再現されたシンボルの中に含まれる情報に基づいて再現されるシンボルのシーケンスの各シンボル326に多数のパラメータを割り当てるように構成された割当て器、および複数のエントロピー復号器の選択された1つから再現されるシンボルのシーケンスの各シンボル325を検索するように構成されたセレクタ318を含み、選択はそれぞれのシンボルに対して定められているパラメータの数に依存する。ちょうど説明した実施例によれば、エントロピー復号器322の少なくとも第1のサブセットは、それぞれ、可変長のシンボルのシーケンスに可変長の符号語をマッピングするように構成された可変長復号器であり、第1のサブセットのエントロピー復号器のそれぞれは、それにより(2n-1)≧3の符号語を有する第1の接頭符号の符号語が第1の接頭符号と同じである第2の接頭符号の符号語にマッピングされ、その結果、第1の接頭符号の符号語の2つのほかの全ては第2の接頭符号の同じ符号語にマッピングされるが、第1および第2の接頭符号の2つの符号語は異なる長さを有し、互いの上に交換可能な方法でマッピングされ、エントロピー符号語は異なるnを使用する。第1の接頭符号は、第1の接頭符号の符号語が、(a,b)_(2),(a,a,b)_(3),・・・,(a,・・・,a,b)_(n),(a,・・・,a)_(n),(b,a)_(2),(b,b,a)_(3),・・・,(b,・・・,b,a)_(n-1),(b,・・・,b)_(n-1)であり、交換可能に互いの上にマッピングされる2つの符号語が、b≠aでa,b∈{0,1}である(a,・・・,a)_(n)および(b,・・・,b)_(n-1)である。しかしながら、変形例は、可能である。
【0140】
エントロピー符号器の第1のサブセットの各々は、それぞれのビットストリームをシンボルに変換する際に、(1)第1のビットが0{0,1}に等しい場合、それぞれのエントロピー符号器が、(1.1)b≠aでb0{0,1}であるbが第1のビットに続く次のn-1ビットの中に発生する場合、それぞれのエントロピー復号器がそれぞれのビットストリームの次のビットが続く第1のビットに等しいシンボルのシーケンスをビットbまで再現するように構成されているか、または(1.2)第1のビットに続く次のn-1ビットの中でbが発生しない場合、それぞれのエントロピー復号器が(b,・・・,b)_(n-1)に等しいシンボルのシーケンスを再現するように構成されているかどうかに関して決定するそれぞれのビットストリームの次のビットを調べるように構成されているか、または、(2)第1のビットがbに等しい場合、それぞれのエトロピー復号器が、(2.1)第1のビットに続く次のn-2ビットの中でaが発生する場合、それぞれのエントロピー復号器がそれぞれのビットストリームの次のビットが続く第1のビットに等しいシンボルのシーケンスをシンボルaまで再現するように構成されているか、または(2.2)第1のビットに続く次のn-2ビットの中でaが発生しなかった場合、それぞれのエントロピー復号器が(a,・・・,a)_(n)に等しいシンボルのシーケンスを再現するように構成されているかどうかに関して決定するそれぞれのビットストリームの次のビットを調べるように構成されているかどうかに関して決定するために、それぞれのビットストリームの第1のビットを調べるように構成されている。
【0141】
さらに、エントロピー復号器322の少なくとも第2のサブセットは、それぞれ、可変長のシンボルのシーケンスに固定長の符号語をマッピングするように構成された可変長復号器であってもよく、第2のサブセットのエントロピー復号器のそれぞれは、それによって第2の接頭符号の符号語がb≠aでa,b∈{0,1}であるタイプ{(a),(ba),(bba),・・・,(b・・・ba),(bb・・・b)}の2^(n)+1個の符号語を有する第1の短縮単項符号の符号語上にマッピングされる全単射のマッピング・ルールを使用し、その結果、第2の接頭符号の符号語(c)は、第1の短縮単項符号の符号語(bb・・・b)上にマッピングされ、接頭辞としてc≠dでc,d∈{0,1}である(d)を有し、接尾辞としてn-ビット・ワードを有する符号語は、第1の短縮単項符号の別の符号語{(a),(ba),(bba),・・・,(b・・・ba)}のそれぞれの1つにマッピングされ、エントロピー復号器は異なるnを使用する。n-ビット・ワールドが第1の短縮単項のコードのそれぞれの符号語のbの数のn-ビット表現であるように、エントロピー復号器の第2のサブセットの各々は構成されることができる。しかしながら、変形例は可能である。
【0142】
エントロピー復号器の第2のサブセットの各々は、それぞれ、固定長の符号語を可変長のシンボルのシーケンスにマッピングするように構成されてもよく、それぞれのエントロピー復号器のビット・ストリームをシンボルに変換する際に、(1)それがc∈{0,1}であるcに等しい場合、それぞれのエントロピー復号器がb∈{0,1}である(bb・・・b)_(2)^(n)に等しいシンボルのシーケンスを再現するように構成されているか、または(2)それがc≠dでc,d∈{0,1}であるdに等しい場合、それぞれのエントロピー復号器が第1のビットに続くそれぞれのビット・ストリームの更なるビットからn-ビット・ワードを決定し、そこから、n-ビット・ワードに応じたbの数を有し、b≠aでb∈{0,1}であるタイプ{(a),(ba),(bba),・・・,(b・・・ba),(bb・・・b)}のシンボルのシーケンスを再現できるかどうかに関して、決定するそれぞれのビット・ストリームの第1のビットを調べるように構成される。
【0143】
さらに、エントロピー復号器322の所定の1つは、それぞれ、可変長の符号語を固定長のシンボルのシーケンスにマッピングするように構成された可変長デコーダであってもよく、所定のエントロピー復号器は、それによって第2の接頭符号の接頭語が第1の符号の長さ3の2^(3)個の符号語にマッピングされる全単射のマッピング・ルールを使用し、その結果、c∈{0,1}である符号語(c)がa∈{0,1}である第1の符号の符号語(aaa)_(3)にマッピングされ、接頭辞としてc≠dでd∈{0,1}である(d)および接尾辞として3つの2-ビット・ワードの第1のセット以外のそれぞれの第1の2-ビット・ワードを有する符号語がb≠aでb∈{0,1}である確かに1つのbを有する第1の符号の全ての3つの符号語上にマッピングされ、接頭辞として(d)を有し、接尾辞として第1のセットおよび3つの2-ビット・ワードの第2のセット以外の第2の2-ビット・ワードの第2のセットのエレメントでない第1の2-ビットの連続は、確かに1つのaを有する第1の符号の全ての3つの符号語上にマッピングされ、接頭辞として(d)を有し、接尾辞として第1のセットおよび第2のセットのエレメントでない第2の2ビット・ワードの連続を有する符号語は、(bbb)_(3)の符号語上にマッピングされる。確かに1つのbを有する第1の符号の符号語の第1の2-ビット・ワードは、第1の符号のそれぞれの符号語におけるbの位置の2-ビット表現であり、確かに1つのaを有する第1の符号の符号語の第2の2-ビット・ワードは、第1の符号のそれぞれの符号語におけるaの位置の2-ビット表現である。しかしながら、変形例は、可能である。
【0144】
エントロピー復号器の所定の1つは、それぞれ、可変長の符号語を3つのシンボルのシンボル・シーケンスにマッピングするように構成された可変長デコーダでもよく、それぞれのエントロピー復号器のビット・ストリームをシンボルに変換する際に、(1)それぞれのビット・ストリームの第1のビットが、c∈{0,1}であるcに等しい場合、0{0,1}である(aaa)_(3)に等しいシンボル・シーケンスを再現するように構成され、または(2)それぞれのビット・ストリームの第1のビットが、c≠dでd∈{0,1}であるdに等しい場合、所定のエントロピー復号器が、第1のビットに続くそれぞれのビット・ストリームの2つの更なるビットから第1の2-ビット・ワードを決定して、(2.1)第1の2-bitが3つの2-ビット・ワードの第1のセットのエレメントでない場合、所定のエントロピー復号器がb≠aでb0{0,1}で、第1の2-ビット・ワードに応じてそれぞれのシンボル・シーケンスにおけるbの位置を有し、確実に1つのbを有するシンボル・シーケンスを再現するように構成されているか、または(2.2)第1の2-ビット・ワードが第1のセットのエレメントである場合、所定のエントロピー復号器がそれから第1の2-ビット・ワードが決定された2つのビットに続くそれぞれのビット・ストリームの2以上のビットから第2の2-ビット・ワードを決定するように構成されているかに関して決定する第1の2-ビット・ワードを調べるかどうかに関して決定するそれぞれのビット・ストリームの第1のビットを調べるように構成され、(3.1)第2の2-ビット・ワードが3つの2-ビット・ワードの第2のセットのエレメントでない場合、所定のエントロピー復号器が第2の2-ビット・ワードに応じてそれぞれのシンボル・シーケンスにおける位置aを有し、確かに1つのaを有するシンボル・シーケンスを再現するように構成されているか、または(3.2)第2の2-ビット・ワードの第2のセットのエレメントである場合、所定のエントロピー復号器が(bbb)_(3)に等しいシンボル・シーケンスを再現するように構成されているかどうかに関して決定する第2の2-ビット・ワードを調べるように構成される。
【0145】
現在、ビデオ符号化方式の一般の概念を記載した後に、本発明の実施例は、前記実施例に関して記載される。換言すれば、以下で概説される実施例は上記の方式を用いて実施されることができ、その逆も同じであり、上記の符号化方式は下で概説される実施例を使っておよび有効に使用して行うことができる。
【0146】
図7?9に関して記載されている前記実施例において、図1?6のエントロピー符号器および復号器は、PIPE概念に従って行われた。1つの特別な実施例は、算術的に1つの確率状態の符号器/復号器310および322を使用した。後述するように、別の実施例によれば、構成要素306?310および対応する構成要素318?322は一般のエントロピー符号化エンジンと置き換えられることができる。例えば、更に後述するように、算術的な符号化エンジンを考えると、それは単に1つの一般の状態RおよびLを管理し、全てのシンボルを1つの共通のビットストリームに符号化し、それにより、並列処理に関して現在のPIPE概念の有利な態様を断念するが、部分的なビットストリームの交互配置の必要性を回避する。この際、コンテキストの確率がアップデート(例えば、ルックアップを表に記入する)によって推定される確率状態の数は、確率区間副区分が実行される確率状態の数より高くてもよい。すなわち、テーブルRtabにインデックスをつける前に確率区間幅値を量子化することに類似して、確率状態インデックスは、量子化されることができる。1つの符号器/復号器310および322のため可能な実施態様のための前記説明は、このように、コンテキスト適応二進演算符号化/復号化エンジンのように、エントロピー符号器/復号器318?322/306?310の実現の実施例に拡張することができる。
【0147】
より正確には、実施例によれば、パラメータ割当て器(ここでは、コンテキスト割当て器として作用する)の出力に取り付けられるエントロピー符号器は、以下のように作動することができる。
【0148】
0.割当て器304は、確率パラメータとともにビン値を送る。確率は、pState_current[bin]である。
1.したがって、エントロピー符号化エンジンは、1)valLPS、2)ビン、および3)確率分布評価pState_current[bin]を受ける。pState_current[bin]はRtabの識別可能な確率状態のインデックスの数より多くの状態がある。その場合、例えば、p_state、すなわちテーブルRtabにアクセスするために用いられるインデックスを得るように、1および好ましくは2または3より大きいか等しいmを有するmLSBsを無視することによって、pState_current[bin]は、量子化されることができる。しかしながら、量子化は離される、すなわち、p_stateは、pState_current[bin]でもよい。
2.それから、Rの量子化は、実行される(上述したように:いずれか1つのR(そして、1つの共通のビット・ストリームを有する対応するL)がp_stateの識別可能な値のために使用されて/扱われて、または後者のケースがそのような値ごとの1つのビン符号器310を有することに対応するp_stateの識別可能な値ごとの1つのR(およびR/Lペアごとに関連する部分ビット・ストリームを有する対応するL))。
Q_jndex=Qtab[R>>q] (または量子化の若干の他の形)
3.それから、R_(LPS)およびRの決定は実行される:
R_(LPS)=Rtab[p_state][q_index];Rtabは、p[p_state]・Q[q_index]のために、そこにおいて、予め計算された値を格納した。
R=R-R_(LPS)[すなわち、あたかも「bin」がMPSであるかのように、Rは前もってアップデートされる]
4.新しい部分的な間隔の算出:
If(bin=1 - valMPS)
L-L+R
R-R_(LPS)
5.LおよびRの繰り込み、ビットを書き込む
【0149】
同様に、パラメータ割当て器(ここでは、コンテキスト割当て器として作用する)の出力に取り付けられるエントロピー復号器は、以下のようにして作動することができる。
【0150】
0.割当て器304は、確率パラメータとともにビン値を送る。確率は、pState_current[bin]である。
1.このように、エントロピーを復号化エンジンは、1)valLPS、および2)確率分布評価pState_current[bin]とともにビンの要求を受ける。pState_current[bin]はRtabの識別可能な確率状態のインデックスの数より多くの状態を有する。その場合、例えば、p_state、すなわちテーブルRtabにアクセスするために用いられるインデックスを得るように、1および好ましくは2または3より大きいか等しいmを有するmLSBsを無視することによって、pState_current[bin]は、量子化されることができる。しかしながら、量子化は離される、すなわち、p_stateは、pState_current[bin]でもよい。
2.それから、Rの量子化は、実行される(上述したように:いずれか1つのR(そして、1つの共通のビット・ストリームを有する対応するV)がp_stateの識別可能な値のために使用されて/扱われて、または後者のケースがそのような値ごとの1つのビン符号器310を有することに対応するp_stateの識別可能な値ごとの1つのR(およびR/Lペアごとに関連する部分ビット・ストリームを有する対応するV))。
Q_index=Qtab[R>>q] (または量子化の若干の他の形)
3.それから、R_(LPS)およびRの決定は実行される:
R_(LPS)=Rtab[p_state][q_index];Rtabは、p[p_state]・Q[q_index]のために、そこにおいて、予め計算された値を格納した。
R=R-R_(LPS)[すなわち、あたかも「bin」がMPSであるかのように、Rは前もってアップデートされる]
4.部分的な間隔の位置によるビンの決定:
if(V^(3)R)then
bin-1-valMPS (ビンはLPSとして復号化される:ビンバッファ・セレクタ18はこのビン情報およびvalMPSを用いることによって実際のビン値を得る)
V-V-R
R-R_(LPS)
else
bin-valMPS (ビンはMPSとして復号化される:実際のビン値はこのビン情報およびvalMPSを用いることによって得られる)
5.Rの繰り込み、1つのビットを読み出して、Vをアップデートする
【0151】
上述のように、割当て器4は、pState_current[bin]を各ビンに割り当てる。関連は、コンテキスト選択に基づいて行われる。すなわち、割当て器4は、それと関連するそれぞれのpState_currentを有するコンテキストインデックスctxIdxを使用しているコンテキストを選択することができる。確率アップデートはそれぞれの時間に実行され、確率pState_current[bin]は現在のビンに適用された。確率状態pState_current[bin]のアップデートは、符号化ビットの値に応じて実行される。
【0152】

【0153】
1つ以上のコンテキストが設けられている場合、適合はコンテキスト的に行われ、すなわち、pState_current[ctxIdx]が、符号化のために使用され、そして、現在のビン値(それぞれ、符号化されるか復号化される)を用いてアップデートされる
【0154】
以下において更に詳細に概説されるように、現在記載されている実施例によれば、エンコーダおよびデコーダは異なるモード、すなわち、低複雑性(LC)および高効率(HE)モードで作動するように任意に行うことができる。これは以下のPIPE符号化に関して主に例示される(そして、LCおよびHE PIPEモードに言及している)が、複雑性の拡張の詳細の説明は、1つの共通のコンテキスト適応算術符号器/復号器を用いた実施例のようなエントロピー符号化/復号化エンジンの他の実施例に容易に移転可能である。
【0155】
以下で概説される実施例によれば、両方のエントロピー符号化モードは、分担することができる。
・同じ構文および動作(それぞれ、構文要素シーケンス301および327のために)
・全ての構文要素のための同じ二値化スキーム(現在、CABACのために規定されているように)(すなわち、二値化器は作動されたモードにかかわりなく動作することができる)
・同じPIPEコードの使用(すなわち、ビン符号器/復号器は、起動するモードにかかわりなく作動することができる)
・8ビット確率モデル初期化値の使用(現在CABACのために特定されているような16ビット初期化値の代わりに)
【0156】
一般的に言って、(例えば、各ビンのためのPIPE経路312を選択する複雑性のように、LC-PIPEは、処理の複雑性においてHE-PIPEとは異なる。
【0157】
たとえば、LCモードは、以下の制約の下で作動することができる。各ビン(binIdx)に対して、確かに1つの確率モデル(すなわち1つのctxIdx)がある。すなわち、コンテキスト選択/適合は、LC PIPEにおいて提供されることができない。以下において更に概説されるように、残余の符号化のために使用されるそれらのような特定の構文要素は、コンテキストを用いて符号化される。さらに、全ての確率モデルは非適応可能でもよく、すなわち、すべてのモデルは(スライス・タイプおよびスライスQPの選択に応じて)適当なモデル確率で各スライスの始めに初期化され、スライスの処理の全体にわたって固定するように保たれることができる。たとえば、コンテキスト・モデリングおよび符号化の両方のために、8つの異なるPIPE符号310/322に対応する8つの異なるモデル確率だけは支持されることができる。残余の符号化のための特定の構文要素、すなわち、significance_coeff_flagおよびcoeff_abs_level_greaterX(X=1,2)は、その動作は以下において概説されるが、例えば、4つの構文要素の(少なくとも)グループが、同じ確率で符号化/復号化されるように、確率モデルに割り当てられることができる。CAVLCと比較して、LC-PIPEモードは、概略的に同じRDパフォーマンスおよび同じスループットを成し遂げる。
【0158】
HE-PIPEは、概念的には以下の違いを有するH.264のCABACと類似しているように構成されることができる:二進演算符号化(BAC)は、PIPE符号化(LC-PIPEケースにおけるのと同様に)と置き換えられる。各確率モデル、すなわち各ctxIdxは、pipeIdxおよびrefineIdxによって表されることができ、0・・・7からの範囲内の値を有するpipeIdxは、8つの異なるPIPE符号のモデル確率を表す。この変化は、状態機械(すなわち確率評価)自体の動きではなく、状態の内部表現だけに影響を及ぼす。以下において更に詳細に概説するように、確率モデルの初期化は、上述したように、8ビットの初期化値を使用することができる。構文要素coeff_abs_level_greaterX(X=1,2)、coeff_abs_level_minus3およびcoeff_sign_flag(その動作は、以下の考察から明白になる)の後方へのスキャニングは、(例えば、有意性マップ符号化において使用する)前方へのスキャンと同じ走査経路に沿って実行することができる。coeff_abs_level_greaterX(X=1,2)の符号化のためのコンテキスト派生は、単純化されることもできる。CABACと比較して、提唱されたHE?PIPEは、より良好なスループットで概略的に同じRDパフォーマンスを成し遂げる。
【0159】
ちょうど言及されたモードが、例えば、異なるモードで作動するように、前述のコンテキスト適応二進演算符号化/復号化エンジンをレンダリングすることによって直ちに発生するということを知ることは、容易である。
【0160】
このように、本発明の第1の態様に従う実施例によれば、データストリームを復号化するためのデコーダは、図18に示すように作製されることができる。デコーダは、その中にビデオデータのようなメディアデータが符号化された、交互配置したビットストリーム340のようなデータストリーム401を復号化するためにある。デコーダは、データストリーム401に応じて低複雑性モードまたは高効率モードを作動させるように構成されるモードスイッチ400を含む。この目的で、データストリーム401は、作動する1つである低複雑性モードの場合には1のバイナリの値を有し、作動する1つである高効率モードの場合には0のバイナリの値を有する、例えばバイナリの構文要素のような構文要素を含む。明らかに、バイナリの値および符号化モードの間の関連は切替えられることができ、2つ以上の可能な値を有する非バイナリの構文要素が同様に用いられることができる。両方のモード間の実際の選択がそれぞれの構文要素の受理の前にはまだ明らかであるというわけではないので、この構文要素は、例えば、固定確率評価または確率モデルで符号化されて、またはバイパスモードを用いてそのままデータストリーム401に書き込まれて、データストリーム401のいくつかの主要なヘッダ内に含まれることができる。
【0161】
さらに、図18のデコーダは、各々がデータストリーム401の符号語をシンボルの部分的なシーケンス321に変換するように構成された複数のエントロピー復号器322を含む。上述の通り、デインターリーバ404は、一方ではエントロピー復号器322の入力の間に接続され、他方では、データストリーム401が適用される図18のデコーダの入力に接続される。さらに、すでに上述したように、エントロピー復号器322の各々はそれぞれの確率区間と関連し、絶対のシンボル値よりむしろMPSおよびLPSを取扱うエントロピー復号器322の場合、さまざまなエントロピー復号器の確率区間が0から1まで-または0から0.5まで一緒に全ての確率区間をカバーする。この問題に関する詳細は上述した。後ほど、各デコーダに割り当てられているPIPEインデックスを有するデコーダ322の数が8であると仮定されるが、他のいかなる数も可能である。さらに、以下において見本としてpipe_id 0を有するこれらの符号器の1つは、同程度の確率がある統計値を有するビンのために最適化される、すなわちそれらのビン値は高い確率で1および0が平等にあるものとみなされる。これほどに、デコーダは、単にビンを渡すことができるだけである。それぞれのエンコーダ310は、同じように動作する。セレクタ402および502によって最もありそうなビン値、valMPS、の値によるいかなるビン操作さえも、それぞれ、離れておかれることができる。換言すれば、それぞれの部分的なストリームのエントロピーは、すでに最適である。
【0162】
さらに、図18のデコーダは、シンボルのシーケンス326の各シンボルを複数のエントロピー復号器322の選択された1つから検索するように構成されるセレクタ402を含む。上述したように、セレクタ402は、パラメータ割当て器316およびセレクタ318に分離されてもよい。デシンボライザ314は、構文要素のシーケンス327を得るためにシンボルのシーケンス326を非記号化するように構成される。再現器404は、構文要素327のシーケンスに基づいてメディアデータ405を再現するように構成される。セレクタ402は、矢印406によって示されているように、低複雑性モードおよび高効率モードの動作する1つに応じて選択を実行するように構成される。
【0163】
すでに上述したように、再現器404は構文要素の一定の構文および動作に作用している、すなわち、モードスイッチ400によってモード選択と関連して固定した前兆となるブロックベースのビデオデコーダの一部でもよい。すなわち、再現器404の構造は、モード切替可能性に悩まされることはない。より正確であるために、再現器404はモードスイッチ400によって示されるモード切替可能性により実施オーバーヘッドを増やすことはなく、残余のデータに関して少なくとも機能性および予測データが残り、それはスイッチ400によって選択されるモードに関係ない。しかしながら、同じことは、エントロピー復号器322に関してあてはまる。すべてのこれらのデコーダ322は両方のモードで再利用され、したがって、図18のデコーダが両方のモード、低複雑性および高効率モードと互換性を持つにもかかわらず、追加の実施オーバーヘッドがない。
【0164】
付随する態様として、図18のデコーダが1つのモードまたは他のモードの自己充足的なデータストリームに作用することが可能であるだけでない点に留意する必要がある。むしろ、例えばバッテリーの状態などのような外部のまたは環境の状態に応じた復号側における符号化複雑性を制御するために、結果的にモデル選択の固定ループ制御をするためにデコーダからエンコーダへのフィードバックチャネルを用いて、ビデオまたはいくらかのオーディオ要素の間のようなメディアデータの1つの要素の間に、両方のモードの間の切り替えが可能であるように、図18のデコーダがデータストリーム401と同様に構成される。
【0165】
このように、選択されているLCモードまたは選択されているHEモードの場合には、図18のデコーダは、同じようにいずれの場合においても作動する。再現器404は、構文要素を用いて再現を実行して、いくらかの構文構造規定を処理するかまたは従うことによって、所定の構文要素タイプの現在の構文要素を要求する。デシンボライザ314は、再現器404によって要求される構文要素のための有効な二値化を生み出すために、複数のビンを要求する。明らかに、バイナリのアルファベットの場合には、デシンボライザ314によって実行される二値化は、現在要求されているバイナリの構文要素として再現器404にそれぞれのビン/シンボル326を通すだけにまで減少する。
【0166】
しかしながら、セレクタ402は、それぞれに、モードスイッチ400によって選択されるモードに従って行動する。セレクタ402の作動のモードは、高効率モードの場合にはより複雑な、および低複雑性モードの場合にはより複雑でない傾向がある。さらに、以下の説明は、より複雑でないモードにおけるセレクタ402の作動のモードも、セレクタ402が連続的なシンボルをエントロピー復号器322から検索する際のエントロピー復号器322の中の選択を変える率を低下させる傾向があることを示す。換言すれば、低複雑性モードで、直ちに連続的なシンボルが複数のエントロピー復号器322の中の同じエントロピー復号器から検索されるという増加した確率がある。これは、次に、エントロピー復号器322からシンボルのより速い検索を可能にする。高効率モードにおいて、次に、セレクタ402の作動のモードは、それぞれの選択されたエントロピー復号器322と関連した確率区間がより密接に、セレクタ402によって現在検索されるシンボルの実際のシンボル統計値に適合するエントロピー復号器322の中の選択に至る傾向があり、それによって、高効率モードに従うそれぞれのデータストリームを生成するときに、符号化側でより良好な圧縮比を得る。
【0167】
たとえば、両方のモードにおけるセレクタ402の異なる反応は、以下の通りに理解されることができる。たとえば、セレクタ402は、所定のシンボルのために、高効率モードが作動している場合にはシンボルのシーケンス326の前に検索されたシンボルに応じて、低複雑性モードが作動している場合にはシンボルのシーケンスの以前に検索されたシンボルから独立して、複数のエントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成されることができる。シンボルのシーケンス326の以前に検索されたシンボルへの依存は、コンテキスト適応および/または確率適応に起因することができる。両方の適応は、セレクタ402の低複雑性モードの間、スイッチを切られることができる。
【0168】
更なる実施例によれば、データストリーム401はスライス、フレーム、画像のグループ、フレーム・シーケンス等のような連続的な部分に構築されることができ、シンボルのシーケンスの各シンボルは複数のシンボルタイプのそれぞれの1つと関連している。この場合、セレクタ402は、現在の部分内の所定のシンボルタイプのシンボルのために、高効率モードが作動している場合には現在の部分内で所定のシンボルタイプのシンボルのシーケンスの以前に検索されたシンボルに応じて選択を変化させるように構成され、低複雑性モードが作動している場合には、選択を現在の部分内で一定のままにすることができる。すなわち、セレクタ402はエントロピー復号器322の中の選択を所定のシンボルタイプに変えることができるが、これらの変化は連続的な部分との間の移行との間に発生することを制限される。この計測によって、符号化複雑性が時間の大部分の中で減らされると共に、実際のシンボル統計値の評価はめったに発生しないタイムインスタンスに制限される。
【0169】
さらに、シンボルのシーケンス326の各シンボルが複数のシンボルタイプのそれぞれの1つに関連し、セレクタ402は、所定のシンボルタイプの所定のシンボルのために、シンボルのシーケンス326の以前に検索されたシンボルに応じて複数のコンテキストの1つを選択するとともに、高効率モードが作動している場合に、所定のシンボルに応じて選択されたコンテキストと関連する確率モデルに応じてエントロピー復号器322の間で選択を実行するように構成され、低複雑性モードが作動している場合に、シンボルのシーケンス326の以前に検索されたシンボルに応じて複数のコンテキストの1つを選択するとともに、選択されたコンテキスト定数と関連する確率モデルから離れるとともに選択されたコンテキストと関連する確率モデルに応じてエントロピー復号器322の間で選択を実行するように構成される。
【0170】
あるいは、完全に確率適合を抑制する代わりに、セレクタ402は、単にHEモードと関連してLCモードの確率適合のアップデート率を低下させることができるだけである。
【0171】
さらに、可能なLC-pipe-specific aspects、すなわちLCモードの態様は、換言すれば以下の通りに記載されていることができる。特に、非適応確率モデルが、LCモードで用いられることができる。非適応確率モデルはハードコードされたもの、すなわち、全体の一定の確率またはその確率のいずれかがスライスだけの処理の全体にわたって固定されるように保たれることができ、このようにスライス・タイプおよびQP、すなわち、例えば、各スライスのためのデータストリーム401の中で信号を送った品質パラメータに応じて設定されることができる。同じコンテキストに割り当てられる連続したビンが固定確率モデルに続くと仮定することによって、それらが、同じパイプコードを用いて、すなわち、同じエントロピー復号器を使用して符号化されるため、1つのステップでのそれらのビンのいくつかを復号化することは可能であり、各復号化ビンの後の確率アップデートは省略される。確率アップデートを省略することは、符号化および復号化プロセスの間、動作を保存して、複雑性減少およびハードウェア設計の重要な簡略化に至る。
【0172】
特定の数のビンがこのモデルを用いて符号化/復号化された後に確率アップデートが許容されるというような方法で、非適応制約は全てまたは若干の選択された確率モデルのために容易にされることができる。適当なアップデート区間は確率適合を可能にし、すぐにいくつかのビンを復号化する能力を得る。
【0173】
以下に、LC-pipeおよびHE-pipeの可能な一般のおよび複雑性計測可能な態様のより詳細な説明が示される。特に、以下において、同一方法で、または複雑性計測可能な方法でLC-pipeモードおよびHE-pipeモードのために用いられる態様が記載されている。複雑性計測可能な方法は、LC-caseが特定の部分を除去するか、それらをより複雑でない何かに置き換えることによってHE-caseから引き出されることを示している。しかしながら、それとともに処理する前に、図18の実施例が、上述のコンテキスト適応二進演算符号化/復号化の実施例上へ容易に移転可能であると述べられるべきであり:セレクタ402およびエントロピー復号器322が凝集して、直接データストリーム401を受信し、現在データストリームから引き出されるビンのためのコンテキストを選択するエントロピー復号器608になる。これは、特にコンテキスト適応および/または確率適応にとって真実である。低い複雑性モードの間、両方の機能/適応は、スイッチオフされるか、またはより緩和して設計されることができる。すなわち、エントロピー復号化エンジン608は、通常、複数のエントロピー復号化方式の選択された一つを使用して、データストリーム401からエントロピー復号化によってシンボルのシーケンス326の各シンボルを取り出すように構成されることができ、例えば、複数のエントロピー復号化方式の各々が、算術復号化において、異なる確率評価を使用する際、互いに異なっている複数のエントロピー復号化方式に、それぞれのエントロピー復号化方式が選択されたシンボルの算術復号化を関連させるように、構成されることができる。上で概説されたCABAC構想と関連して説明されるように、エントロピー復号化エンジンは、複数のエントロピー復号化方式が、共通の確率区間で、すなわち、部分的ビットストリームではなく1つの共有のビットストリームで、それらの確率細分化を実行するように、構成されることができる。換言すれば、そして、より一般的に言えば、エントロピー復号器608は、データストリーム401の先に復号された部分に依存して、異なるコンテキストの中のコンテキストを選択して、異なるコンテキストと関連した確率状態をアップデートすることによって、バイナリのエントロピー復号化を使用して、データストリーム401から二値化のいくつかのビン326を得るように構成されることができる。より正確には、上記の通り、エントロピー復号器608は、上述のCABAC方式などのバイナリエントロピー復号化またはバイナリPIPE復号化を使用して、すなわち、各セレクタ/割当て器とともにいくつかの並列作動しているエントロピー復号器322に関与している構築を使用して、データストリーム401から二値化のビン326の数を得るように構成されることができる。コンテキスト選択に関する限り、上記概説されるように、データストリーム401の先に復号された部分のその依存性は、具現化されることができる。すなわち、エントロピー復号器608は、現在得られるビンが属する二値化の中で現在得られるビンのビン位置、構文要素の構文要素タイプ、現在得られるビンが属する二値化を非二値化することによって得られるその整数値、またはデータストリーム401から先に得られた1つ又は複数のビン、または先に非二値化された構文要素の整数値に応じて、現在得られるビンのためのコンテキスト選択を実行するように構成されうる。例えば、選択されたコンテキストは、特定の構文要素の二値化の第1のビンと第2のビンとの間に異なることができる。さらに、コンテキストの異なるグループは、変換係数レベル、動きベクトル差、符号化モードパラメータなどの異なる構文要素タイプを供給されうる。確率状態アップデートに関する限り、エントロピー復号器608は、現在得られるビンに応じて、現在得られたビンのために選択されるコンテキストと関連した現在の確率状態から、新しい確率状態に移行することによって、現在得られたビンについて、それを実行するように構成されることができる。上述の通り、エントロピー復号器409は、例えば、現在の状態を使用してテーブルエントリにアクセスすることができ、アクセスされたテーブルエントリについての現在得られたビンの値は新しい確率状態を明らかにする。上でリストされた他のステップ0?5に加えて、エントロピー復号器608によって実行されるテーブルルックアップに関して上のテーブルNext_State_LPSおよびNext_State_MPSを参照されたい。上記記載において、確率状態は、時々pState_current[bin]として示された。また、上記説明のとおり、エントロピー復号器608は、確率区間インデックスq_indexを得るために、現在の確率区間を示している現在の確率区間ビット値(R)を量子化して、2つの部分的区間に現在の確率区間の細分化を得るために、確率区間インデックスと、現在得られるビンのために選択されたコンテキストと関連した現在の確率状態に依存する確率状態インデックスp_stateとを使用して、テーブルエントリ(Rtab)の中でテーブルエントリをインデックスすることによる区間細分化を実行することによって現在得られるビンをバイナリ算術復号化するように構成されうる。前述のように、エントロピー復号器608は、現在の確率区間幅値Rのための8ビット表現を使用しうる。現在の確率幅値を量子化するために、エントロピー復号器608は、例えば8ビット表現の2又は3の最上位ビットを使用しうる。エントロピー復号器608は、それから現在の確率区間の内部からオフセット状態値に基づいて2つの部分的区間の中の選択を実行し、確率区間幅値およびオフセット状態値をアップデートし、選択された部分的区間を使用して、現在得られるビンの値を割り出し、アップデートされた確率幅値とオフセット状態値、すなわち、データストリーム401からビットを読み取る継続を含む、前記説明のVの繰り込みを実行することができる。上述の通り、確率区間幅値およびオフセット状態値のアップデートが現在得られるビンの値に依存しうると共に、オフセット状態値Vに基づく2つの一部分の区間の中の選択は、RとVとの間の比較を含みうる。
【0174】
PIPEに関する図18の実施例を実施する際に、エントロピー復号器322を含むパイプ・エントロピー符号化ステージは、8つの組織的なvariable-to-variable-codesを使用することができる、すなわちエントロピー復号器322が上記されているv2vタイプのものであることができる。組織的なv2v-コードを使用しているPIPE符号化概念は、v2v-コードの数を制限することによって単純化される。コンテキスト適応二進演算デコーダの場合、それは、異なるコンテキストのための同じ確率状態を管理することができ、それ-またはその復号化されたバージョン-を使用することができる。CABACまたは確率モデル状態、すなわち確率アップデートのために用いられる状態-のPIPEidsまたはルックアップのための確率インデックスのRtabへのマッピングは、表5にて図示されるようなものである。
【0175】
【表5】

【0176】
この修正された符号化スキームが、複雑性計測可能なビデオ符号化アプローチの根拠として用いられることができる。確率モード適合を実行するときに、セレクタ402またはコンテキスト適応二進演算デコーダが、それぞれ、PIPE復号器322を選択する、すなわち、それぞれ、確率状態インデックスに基づいて、使用されるパイプ・インデックスおよび確率インデックスをRtabに引き出し、表5に示されるマッピングを用いて-例えばコンテキストを介して-現在復号化されたシンボルであるのに関連して-ここで、見本として0から62にわたって-確率状態インデックスに基づいており、それぞれ、例えば、MPSおよびLPSの場合に訪れる次の確率状態インデックスに示す遷移値を歩く特定の表を用いて、現在復号化されているシンボルに応じてこの確率状態インデックスをアップデートする。
【0177】
しかしながら、任意のエントロピー符号化セットアップが使われることができ、この文書の技術が小さい適合によって用いられることもできる。
【0178】
図12の前記説明は、むしろ通常、構文要素および構文要素タイプに関連している。以下に、変換係数レベルの複雑性可変符号化が記載されている。
【0179】
変換係数レベルのための現在想定された符号化技術は、CABACのためのHigh Efficiency Video Coding(HEVC)プロジェクトの現在のTest Model(HM)において特定される。まず、最後の有意な走査位置は、2つの構文要素、last_significant_pos_xおよびlast_significant_pos_yによって符号化される。構文要素last_significant_pos_xは、最後の有意な走査位置の列を特定し、第2の構文要素last_significant_pos_yは、最後の有意な走査位置の行を特定する。
【0180】
その後、0より大きい絶対変換係数レベルの位置を特定する有意性マップは、前方向走査順を用いて符号化される。いわゆる有意性マップ走査順は、変換ブロック内の二次元位置から一次元ベクトルへのマッピングであって、予測モードや変換ブロックサイズに応じて異なりうる。最新の技術において、3つの異なる走査順、すなわちジグザグ走査、水平走査および垂直走査が使用される。最後の走査位置を特定することによって有意とすでに確認される、最後の走査位置を除いた走査位置ごとに、バイナリの構文要素coeff_significant_flagは、符号化される。
【0181】
次に、有意性マップの符号化の後、構文要素coeff_abs_greater1、coeff_abs_greater2およびcoeff_abs_minus3は、残りの絶対レベルを示し、coeff_sign_flagは、符号情報が符号化されることを示す。残りの絶対変換レベルの符号化および符号のために、変換ブロックは、4x4サブブロックに分けられ、この種のサブブロック内の位置はサブセットを形成した。サブセットは、前方へジグザクの走査順において走査され、各サブセットは、連続的に符号化される。それは、1つの4x4サブブロックまたはサブセットの絶対変換レベルのすべての残りの情報および符号情報が符号化されたあと、前方へジグザク順で次のサブセットが処理されることを意味する。サブセット自体のために、逆ジグザクの走査順が使用される。サブセットの第1の符号化ステージにおいて、絶対変換係数レベルが1より大きいものであるかどうかを特定しているバイナリの構文要素coeff_abs_greater1が、サブセットのすべての有意な走査位置のために符号化される。次に、走査順が再設定され、再度サブセットの第1の走査位置から始まる後、1より大きい絶対レベルを有するすべての走査位置について、例えばcoeff_abs_greater1は1に等しく、バイナリの構文要素coeff_abs_greater2は、特定の走査位置のための絶対変換レベルが2より大きいか否かを特定して符号化される。それから、走査順を再度リセットした後に、2より大きい絶対変換レベルを有するすべての走査位置について、絶対変換レベルの残りの値を特定している非負整数値の構文要素coeff_abs_minus3は、符号化される。最後のステップにおいて、さらに、走査順をリセットした後に、構文要素coeff_sign_flagは、バイパスモードで符号化される、例えば0.5に等しい確率モデルが符号化される。サブセットへの分割の理由は、より良いコンテキスト・モデリングがより高い符号化効率をもたらすからであり、それは以下において説明される。構文要素間に依存関係があることに留意されたい。H.264/AVCのような構文要素を符号化することも、可能である。その場合、走査位置について、coeff_abs_greater1は、1に等しいcoeff_significant_flagの符号化の後、直接、符号化され、coeff_abs_greater2は、coeff_abs_greater1の符号化の後、直接、符号化されるなどされる。しかし、構文要素を符号化するこのインターリーブされたモードは、ハードウェア化のために非効率的である。従って、完全に変換ブロックのための、または、サブセットのための、各構文要素を符号化することによる分離について説明する。
【0182】
絶対変換レベルの符号化に関連した各構文要素のためのコンテキスト・モデリングは、以下の通りである。coeff_significant_flagのためのコンテキストモデル選択は、ローカルテンプレートを使用する。それは、現在の走査位置周辺のドメインを特定して、すでに符号化された走査位置をカバーする。コンテキストモデルは、ローカルテンプレートに存在しているすでに符号化された有効な走査位置の数を評価することによって、coeff_significant_flagのために得られる。
【0183】
サブセットの第1の有効な走査位置について、coeff_abs_greater1に関連したコンテキストモデルセットの第2のコンテキストモデルは、サブセットの第1のcoeff_abs_greater1構文要素を符号化するために選択される。ちょうど符号化されたcoeff_abs_greater1構文要素が1に等しい場合、第1のコンテキストモデルは、サブセット内で構文要素coeff_abs_greater1のすべての残りの符号化ステージのために選択される。そうでない場合、構文要素coeff_abs_greater1についてのコンテキストモデルセットの次のコンテキストモデルが選択され、その一方で、最大のコンテキストモデルは、5に制限される。
【0184】
coeff_abs_greater2について、第1のコンテキストモデルが選択されて、各coeff_abs_greater2構文要素の符号化の後、増加し、その一方で、最大コンテキストはまた5に制限される。異なるコンテキストモデルが、異なる構文要素に関連したビンのために使用される、例えば、異なるコンテキストモデルセットは、coeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2構文要素のために使用される点に留意されたい。絶対変換レベルの残りの負でない整数値は、coeff_abs_minus3構文要素によって示される。それは、1に等しいcoeff_abs_greater2を有する走査位置ごとに符号化される。coeff_abs_minus3について、パラメータ化されたriceおよび0次Exp-Golomb可変長符号(VLC)の組み合わせが、二値化として使用され、二値化から結果として生じるビン列のすべてのビンは、0.5の固定した確率を有する低煩雑性バイパスモードで符号化される。abs_coeff_minus3のための二値化のrice部分は、制御パラメータを必要とする。そして、それは各サブセットの始まりにおいてゼロであって、各coeff_abs_minus3構文要素の符号化の後、最適に、アップデートされる。制御パラメータの新しい値は、coeff_abs_minus3によって示されるちょうど符号化された残りの値に依存する。常にcoeff_abs_greater1のための第2のコンテキストモデルとcoeff_abs_greater2のための第1のコンテキストモデルとcoeff_abs_minus3のための二値化制御パラメータが、サブセット内の先頭位置に関してゼロであるように、コンテキスト・モデリング規則がサブセットごとに再設定されることに留意されたい。ここで、各構文要素は符号化される。coeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2構文要素について、付加的なコンテキスト・モデリングステージは、前に符号化されたサブセットの統計に依存する。この追加ステップは、コンテキストオフセットまたはコンテキストセットを得る。両方の構文要素のためのオフセットまたはコンテキストセットは、以下のように得られる。各サブセットの初めに、コンテキストセット又はオフセットが、少なくとも一つの有効な位置を含んでいる以前のサブセットにおいて1より大きい絶対レベルの数に応じて選択される。この種のサブセットがない場合、セットは(変換ブロックの有効な走査位置を含んでいる第1のサブセットのために)5である。わずか1つのサブセットが全部の変換ブロックをカバーする、4x4変換ブロックについて、コンテキストセットはゼロにセットされる。そうでない場合、コンテキストセットは、1?5に範囲を定められうる。残りの絶対変換レベルを符号化した後に、符号情報は、coeff_sign_flag構文要素によって、例えば0.5の固定確率を使用して、コンテキストモデルで、バイパスモードで符号化される。
【0185】
変換係数レベルのための上記符号化技術は、より良い符号化機能を成し遂げる。しかし、それは、高い適合性によって一部の煩雑性を含む。これは、(バイパスモードで符号化されるビンを除いて)同時に、複数のビンを符号化することを可能にしない。それには、2つの理由がある。第1に、確率モデル自体を示しているコンテキストモデルは、適応可能で、各ビンの符号化の後、アップデートされる。それで、同じコンテキストモデルが連続したビンのために選択される場合であっても、確率モデルは、ビンごとに異なる。第2に、コンテキストモデル選択は、走査位置ごとに異なる以前の符号化構文要素にしばしば依存している。このように、最高水準の構想によって、複数のビンの符号化が、エントロピー符号化ステージにおいて煩雑性を低減することができなくて、複数のビンの符号化は低煩雑性実施態様を可能にする、PIPEエントロピー符号器の利点も利用しない。
【0186】
一実施形態によれば、異なるレベルの適合に構成可能である変換係数レベルのための修正された符号化技術が説明され、従って、高効率モードの高い適合から利益を得ることができると共に、低煩雑性モードのPIPEの複数ビン復号能力を使用することを可能にするかについて説明した。拡張性は、コンテキスト導出のための異なるモードがあるが両方の煩雑性レベルのための統一走査順を有することによって達成される。変換係数レベルの符号化のために使用される構文要素は、上で説明されたものとちょうど同じである。しかし、それと比較して、違いが、残りの絶対変換レベルのための走査順およびサブセットが形成される方法にある。さらに、PIPEがエントロピー符号器として使用されるときに、変換ブロックのcoeff_sign_flagによって示す符号情報が、直接符号化して、例えば書くことができて、ワンパスのビットストリームから直接に読めた。
【0187】
4x4サブセットを用いてそれらを別々にジグザグ走査によってスキャンする代わりに、サブセットが逆ジグザクの走査順において走査されると共に、ここで説明される実施形態は、有意性マップに関しては同じ走査順を使用する。サブセットは、特定の数の走査位置に沿ってつくられる。これによれば、まず、有意性マップは、特定の走査順で符号化される。ここで、走査方向は逆でありえる。上記技術にて説明したように、走査順は、予測モードおよび変換ブロックサイズに応じて異なりうる。残りの絶対変換係数レベルについて、有意性マップについてと同じ走査順が使用される一方、走査順が有意性マップのスキャンに対して逆にされうる。
【0188】
前記したように、サブセットは、4x4サブブロックに変換ブロックに区分化する代わりに、連続した走査位置に沿ってつくられる。特定の数の連続した走査位置に沿ったサブセットの作成は、本実施形態のすべての構成のために使用される。
【0189】
前述のように、煩雑性は、適合の程度によって構成可能である。以下に、3つの構成が説明される。第1の構成は、高い符号化性能を達成するのに適したものであり、第2が、低煩雑性処理のためのものであり、そして、第3は、煩雑性と符号化性能との間のトレードオフ構成である。3つの構成例は、コンテキスト適合がどのように構成されるかを示し、デコーダ322の形のエントロピー符号化エンジンが、例えば、すべての構成について同じである。
【0190】
第1の構成について、コンテキスト・モデリングステージは、上記のテクニックと同じである。唯一の違いは、サブセットへのグループ化である。サブブロックまたはサブセットへの4x4空間位置のグループ化の代わりに、ここにある実施形態は、前記したように、いくつかの連続した走査位置をサブセットに分類する。コンテキストオフセットまたはコンテキストセット抽出は、上記概説されたテクニックと比べて修正されず、構文要素についてのコンテキスト・モデリングパラメータも、サブセットごとに再設定される。低煩雑性構成の場合には、固定された確率を有する同じコンテキストモデルは、全部のサブセットのために使用される。PIPEがエントロピー符号器として使用されるときに、この構想は、複数のビンの符号化を可能にする。その構成のために、コンテキストモデル選択の適応は、走査位置に依存するだけであり、前に符号化された構文要素には依存せず、コンテキストモデルは、それらの内部確率モデル表現をアップデートしていない。有意性マップの走査位置ごとにコンテキストモデルを得るためにローカルテンプレートを使用する代わりに、特定量数の連続した走査位置は、サブセットにまとめられ、各サブセットは、同じコンテキストモデルを使用して符号化される。その一方で、そのコンテキストモデルのための確率は固定する。有意性マップのサブセットも存在するが、ローカルテンプレートは他のサブセットに存在している走査位置を評価することができることに留意されたい。有意性マップを特定した後に、残りの絶対変換レベルは、符号化される。有意性マップと同じ構想は、残りの絶対レベルのために使用される。それ故、連続した数の有効な走査位置は、サブセットとしてまとめられ、各サブセットは、coeff_abs_greater1構文要素のための同じコンテキストモデルで符号化される。次に、グループ化機構は、構文要素coeff_abs_greater2のためにされる。1より大きいものとして知られている連続した数の走査位置は、セットにまとめられ、そのセットは、固定された確率でコンテキストモデルで符号化される。残りの絶対変換係数レベルおよび符号は、上記概説された比較技術において符号化され、一方、riceパラメータは、特定の数の走査位置に沿って各サブセットの始まりに再セットされ、符号情報は1ステップで符号化される。最後の構成は、煩雑性と符号化性能との間のトレードオフである。この構成において、各構文要素のためのサブセット生成が、低煩雑性ケースにおいてされるのと同じコンテキストモデルを有する変換係数レベルの符号化に関連した。しかし、低煩雑性構成とは対照的に、サブセットのコンテキストモデルは、すべてのビンが、そのサブセットに符号化されたその構文要素に関連したあと、アップデートされる。選ばれた構成に関係なく、PIPE構想は、変換ブロックの(coeff_sign_flagによって示される)符号情報を、直接符号化することを可能にする(例えば、ワンパスでビットストリームから直接に書き込まれ、読み取られることができる)。
【0191】
好ましい実施形態において、有意性マップは、前方向走査順において符号化され、その一方で、残りの絶対変換係数レベルは、逆走査順において符号化される。前方向走査順は、通常、一次元のパス274に沿って例えば図6に示されるように、DC値から、最高周波数成分まで通じることができる。その一方で、逆順は、反対方向であるが同じパスに沿って進行する。他の好ましい実施形態において、有意性マップの符号化および残りの絶対レベルは、逆走査順において符号化される。別の好ましい実施形態において、絶対変換レベルの符号化に関連したすべての構文要素は、前方向走査順において符号化される。
【0192】
好ましい実施形態において、サブセットのサイズは、16に固定されて、変換ブロックの走査位置に沿って広げられる。他の好ましい形態において、サブセットのサイズは、4に固定されて、変換ブロックの走査位置に沿って広げられる。さらなる実施形態において、サブセットのサイズは、変換ブロックの空間位置に応じて変動可能である。その好ましい実施形態において、サブセットのサイズは、変換ブロックの低周波ドメインに関して、例えば変換ブロックの第1の走査位置について、より小さくて、変換ブロックのより高い走査位置について、より大きくなる。別の好ましい実施形態において、サブセットのサイズは、変換ブロックの幅に等しい。他の好ましい形態において、各サブセットは、変換ブロックの対角線に沿って、走査位置を含む。この好ましい実施形態において、対角線は、右上から変換ブロックの左下まで定められる。
【0193】
好ましい実施形態において、サブセットは、特定数の連続した走査位置に沿ってつくられる。そのために、特定の構文要素は符号化されなければならない。その場合、サブセットは、以下のようにつくられる。coeff_significant_flagのためのサブセットは、変換ブロックの走査位置に沿って広げられ、その一方で、サブセットのサイズは固定されうる又は変動しうる。次に、coeff_abs_greater1構文要素について、サブセットのサイズがどのようであるかの構成に依存し、1に等しいcoeff_significant_flagを有する走査位置だけがサブセットを形成した。例えば、固定された場合において、走査位置0?4は、coeff_significant_flagのためのサブセットを形成して、残りの絶対レベルは構文要素を関連させた。この好ましい実施形態について対照的に、サブセットサイズがcoeff_significant_flag構文要素のための4であり、残りの絶対レベルが構文要素を関連させる場合、走査位置0?4は、第1のサブセットを形成し、4?8は、coeff_significant_flagのための第2のサブセットを形成する。しかし、1に等しいcoeff_significant_flagを有する走査位置だけは、coeff_abs_greater1のためのサブセットを形成する。それで、この範囲の1に等しいちょうど4つのcoeff_significant_flag構文要素があり、走査位置0に第1のものが、走査位置6に第4のものがある場合、coeff_abs_greater1のためのサブセットは、coeff_significant_flagと同じサイズを有するが、0から6に及びうる。これは、変動するサブセット範囲につながる。他の好ましい実施形態において、一定のサブセットサイズのための可変のストレッチ長は、coeff_abs_greater2構文要素について適用される。別の好ましい実施形態において、この構想は、coeff_abs_minus3構文要素のためにも使用される。
【0194】
好ましい実施形態において、coeff_significant_flagのためのコンテキスト・モデリングは、ローカルテンプレートを使用し、残りの絶対変換レベルのために、コンテキスト・モデリングは、最新の技術と同じである。この好ましい実施形態は、高効率構成につながる。他の好ましい形態において、すべての構文要素のためのコンテキスト・モデリングは、サブセットにのみ依存する。この好ましい実施形態において、コンテキスト・モデリングは、サブセットの数によって得られる。例えば、変換ブロックサイズは8x8であり、サブセットサイズは、16に固定され、変換ブロックの走査位置に沿ってストレッチする。この場合、変換ブロックは、4つのサブセットを有し、各サブセットは、異なるコンテキストモデルを使用する。サブセットが、構文要素が符号化される走査位置に沿って伸びる場合、少なくとも4つのサブセットがcoeff_siginificant_flagのために存在する。その一方で、coeff_abs_greater1構文要素のためのサブセットの数は、有意な位置の数に依存する。24の有意な走査位置があると仮定する。それで、第1の16の走査位置は、第1のサブセットを形成し、残りの8つの走査位置は、第2のサブセットを形成した。さらにまた、サブセットごとに、特定のコンテキストモデルは、サブセット数に従って選択される。
【0195】
別の好ましい実施形態において、サブセットのコンテキスト・モデリング、例えばcoeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2のためのコンテキストモデルセットまたはコンテキストモデルオフセットは、前に復号されたサブセットに依存する。他の好ましい形態において、サブセットのコンテキスト・モデリングは、最後の復号されたビンに依存する。ここで、ビンの数は、1つのステップで符号化されることができる。別の好ましい実施形態において、サブセットのコンテキスト・モデリングステージは、サブセットのサイズに依存する。この好ましい実施形態は、可変のサブセットサイズの場合に適切である。
【0196】
たとえば、再現器404は作動している高効率モードまたは低複雑性モードから独立している構文要素の一部のシーケンスに基づいて変換係数レベル202を再現するように構成され、構文要素のシーケンス327の部分が、交互配置されない方法で、有意性マップ構文要素が変換ブロック200内でゼロでない変換係数レベルの位置を示す有意性マップを規定し、(それに続いて)レベル構文要素がゼロでない変換係数レベルを規定する。特に、以下の要素は、含まれることができる:変換ブロック内で最後のゼロでない変換係数レベルの位置を示す端末部位置構文要素(last_significant_pos_x、last_significant_pos_y);共に有意性マップを規定し、変換ブロック(200)内でDC位置から最後のゼロでない変換係数レベルの位置に導く一次元経路(274)に沿った各位置に対して、それぞれの位置の変換係数レベルがゼロでないかどうかを示す第1の構文要素(coeff_significant_flag);第1のバイナリの構文要素によれば、ゼロでない変換係数レベルが位置する一次元経路(274)の各位置に対して、それぞれの位置の変換係数レベルがそれより大きいかどうかを示す第2の構文要素(coeff_abs_greater1);および、第1のバイナリの構文要素によれば、それより大きい変換係数レベルが位置する一次元経路の各位置に対して、それぞれの位置におけるそれぞれの変換係数レベルがそれを超えている数値を明らかにする第3の構文要素(coeff_abs_greater2、coeff_abs_minus3)。
【0197】
端部位置構文要素の間の順序、第1、第2および第3の構文要素は高効率モードおよび低複雑性モードに共通し、セレクタ402は、作動している低複雑性モードまたは高効率モードに応じて異なって、デシンボライザ314が端部位置構文要素、第1の構文要素、第2の構文要素および/または第3の構文要素を得るシンボルのためのエントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成されることができる。
【0198】
特に、低複雑性モードが作動する場合にサブシーケンスの連続的な連続副部分を通じて選択が一定であるように、セレクタ402は、デシンボライザ314が第1の構文要素および第2の構文要素を得るシンボルの部分列の中の所定のシンボルタイプのシンボルのために、所定のシンボルタイプの各シンボルに対してシンボルの部分列の中の所定のシンボルタイプの以前に検索されたシンボルに応じて複数のコンテキストの1つを選択し、高効率モードが作動している場合には選択されたコンテキストと関連した確率モデルに応じて選択を実行し、部分的一定方法で選択を実行するように構成される。上述の通り、副部分は、一次元の経路274に沿って測定されるときにそれぞれの副部分が拡張する位置の数において、または、現在のコンテキストによってすでに符号化されるそれぞれのタイプの構文要素の数において測定されることができる。すなわち、例えば、バイナリの構文要素coeff_significant_flag、coeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2は、HEモードで選択されたコンテキストの確率モデルに基づいてデコーダ322を選択することに関して順応する符号化コンテキストである。確率適合が、同様に使われる。LCモードにおいて、バイナリの構文要素coeff_significant_flag、coeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2の各々のために用いられる異なるコンテキストもある。しかしながら、これらの構文要素の各々のために、コンテキストは、経路274に沿って次の、直ちに続く部分への移行において単にコンテキストを変えることに関する経路274に沿った第1の部分のために変化しないように保たれる。たとえば、各部分は、それぞれの位置に対してそれぞれの構文があるかどうかとは独立して、ブロック200の4、8、16位置の長さに定められる。たとえば、coeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2は、有意な位置、すなわちcoeff_significant_flag=1である位置のために存在するだけである。あるいは、このように結果として生じるそれぞれの部分に対してブロック位置の更に大きい数を超えた拡張であるかどうかとは独立して、4、8、16構文要素の長さに定められる。たとえば、coeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2は、有意な位置のために存在するだけであり、このように、4つの構文要素の部分はそれぞれ、この位置のそれぞれのレベルがゼロであるために、この種の構文要素がcoeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2がないような、そのような構文が送信されない経路274に沿ったその間の位置のため、4ブロック以上位置を拡張することができる。
【0199】
セレクタ402は、デシンボライザが第1の構文要素および第2の構文要素を得るシンボルのサブシーケンスの間の所定のシンボルタイプのシンボルのために、所定のシンボルタイプの各シンボルのためにシンボルのサブシーケンス内で所定のシンボルタイプの以前に検索された複数のシンボルに応じて複数のコンテキストの1つを選択するように構成され、それは、所定のシンボル値を有するとともに同じ副部分に属し、または、同じ副部分に属するシンボルのシーケンス内で所定のシンボルタイプの以前に検索された複数のシンボルである。第1の変形例は、coeff_abs_greater1に言えることであり、第2の変形例は、上記の特定実施例に従うcoeff_abs_greater2にいえることである。
【0200】
さらに、検査する第3の構文要素は、第1の構文要素によれば、それより大きい変換係数レベルが位置する一次元の経路の各位置のために、それぞれの位置におけるそれぞれの変換係数レベルがそれを超える量が整数値の構文要素すなわち、coeff_abs_minus3を含み、デシンボライザ314は、整数値の構文要素の値域にシンボルシーケンス・ワードのドメインをマッピングする制御パラメータによって制御されるマッピング関数を使用するように構成され、高効率モードが作動している場合に以前の第3の構文要素の整数値構文要素に応じて整数値構文要素ごとに制御パラメータを設定し、低複雑性モードが作動している場合に設定がサブシーケンスの連続的な副部分にわたって一定であるように区分的に一定の方法で設定を実行するように構成され、セレクタ402は、高効率モードおよび低複雑性モードの両方において、同じ確率分布と関連する整数値構文要素にマッピングされるシンボルシーケンス・ワードのシンボルのためのエントロピー復号器(322)の所定の1つを選択するように構成される。すなわち、デシンボライザでさえスイッチ400で選択されるモードに応じて動作していることが点線407で示されている。制御パラメータの区分的な一定の設定の代わりに、デシンボライザ314は、例えば現在のスライスの間、または時間において全体的に一定である間制御パラメータを一定に保つ。
【0201】
次に、複雑性計測可能なコンテキストモデリングが記載されている。
【0202】
例えば動きベクトル差構文要素のために、コンテキストモデル・インデックスの導出のための上および左の隣の同じ構文要素の評価が、一般の方法であって、HEケースにおいてしばしば使われる。しかしながら、この評価は、よりバッファ記憶装置を必要とし、構文要素の直接の符号化をすることができない。また、より高い符号化パフォーマンスを成し遂げるために、より利用できる隣は評価されることができる。
【0203】
好ましい実施例において、隣接する正方形または長方形ブロックまたは予測ユニットの構文要素を評価している全てのコンテキスト・モデリング・ステージは、1つのコンテキストモデルに決定される。これは、コンテキストモデル選択ステージの適応を無効にすることに等しい。その好ましい実施例のために、二値化の後のビン文字列のビンインデックスに応じたコンテキストモデル選択は、CABACのための現在の設計と比較して修正されない。別の好ましい実施態様では、構文要素のための固定されたコンテキストモデルが隣の評価を採用するのに加えて、異なるビンインデックスのためのコンテキストモデルは固定される。説明が変換係数レベルの符号化に関連した動きベクトル差および構文要素のための二値化およびコンテキストモデル選択を含まないことに注意されたい。
【0204】
好ましい実施例において、左の隣の評価だけは、許容される。最後のブロックまたは符号化ユニット・ラインがもう格納される必要がないので、これは処理チェーンの減少したバッファにつながる。別の好ましい実施例では、同じ符号化装置に存在している隣だけは、評価される。
【0205】
好ましい実施例において、すべての利用できる隣は、評価される。たとえば、上部および左の隣に加えて、左上、右上および左下隣は、有効性の場合には評価される。
【0206】
すなわち、図18のセレクタ402は、メディアデータの所定のブロックに関連する所定のシンボルのために、複数のコンテキストのうちの1つを選択して、選択されたコンテキストと関連した確率モデルに応じてエントロピー復号器322の中の選択を実行するために高効率モードが作動している場合には、メディアデータの異なる隣接ブロックのより高い数に関するシンボルのシーケンスの以前に検索されたシンボルを使用するように構成されることができる。すなわち、隣接ブロックは、時間および/または空間領域において近くにあることができる。空間的に隣接するブロックは、例えば、図1?3において見ることができる。それから、ちょうど記載されているように、セレクタ402はこのことにより記憶オーバーヘッドを減らしているLCモードと比較して、HEモードの場合には隣接ブロックのより高い数に関する以前に検索されたシンボルまたは構文要素に基づいて接触適合を実行するためにモードスイッチ400によってモード選択に応答してもよい。
【0207】
次に、実施例に従う動きベクトル差の減少した複雑性符号化が記載されている。
【0208】
H.264/AVCビデオ・コーデック規格において、マクロブロックと関連した動きベクトルは、現行マクロブロックの動きベクトルおよび中間動きベクトル予測器の間の違い(動きベクトル差-mvd)の信号を送ることによって送信される。CABACがエントロピー符号器として使われるときに、mvdは以下の通りに符号化される。整数値のmvdは、絶対部分および符号部分に分割される。絶対部分は、接頭辞および接尾辞と呼ばれる、短縮単項3次のExp-Golombとの組み合わせを用いて二値化される。Exp-Golombに関連したビンが、バイパスモード、すなわちCABACでの0.5の固定確率によって符号化されると共に、短縮単項の二値化に関連するビンはコンテキストモデルを用いて符号化される。単項の二値化は、以下の通りに働く。mvdの絶対のinterger-値をnとすると、結果として生じるビン文字列はn回の「1」および1つの後を追う「0」から成る。一例として、n=4とすると、ビン文字列は「11110」となる。省略した単項の場合には、制限が存在し、値がこの制限を超えると、ビン文字列はn+1回の「1」から成る。mvdの場合は、制限は9に等しい。つまり、9に等しいかそれより大きい絶対mvdの場合、結果として9回の「1」が生じ、ビン文字列はExp-Golomb二値化を有する接頭辞および接尾辞から成る。省略した単項部分のためのコンテキストモデリングは、以下の通りにされる。ビン文字列の第1のビンのために、利用できる(利用できない場合、値は0と推定される)場合、上部および左の隣接マクロブロックからの絶対mvd値が必要とされる。特定の成分(横であるか垂直方向)の合計が2より大きい場合、第2のコンテキストモデルが選択され、絶対の合計が32より大きい場合、第3のコンテキストモデルが選択される、そうでなければ(絶対の合計が3より小さい)、第1のコンテキストモデルが選択される。さらに、コンテキストモデルは、各成分によって異なる。ビン文字列の第2のビンのために、第4のコンテキストモデルが用いられ、第5のコンテキストモデルは単項部分の残りのビンのために使用される。絶対mvdが9に等しいかそれより大きい場合、例えば、省略した単項の部分の全てのビンは「1」に等しく、絶対mvd値と9との差は3次Exp-Golomb二値化を有するバイパス・モードで符号化される。最終工程において、mvdの符号は、バイパス・モードで符号化される。
【0209】
エントロピー符号器としてCABACを使用したときの最新の符号化技術は、High Efficiency Video Coding(HEVC)プロジェクトの現在のTest Model(HM)に定められる。HEVCにおいて、ブロック・サイズは可変的であり、動きベクトルによって特定される形状は予測ユニット(PU)と呼ばれる。上部および左の隣のPUサイズは、現在のPUより別の形状およびサイズを有することができる。したがって、関連する場合はいつでも、上部および左の隣の定義は、現在のPUの上部および左上隅の左隣として現在参照する。符号化そのもののために、第1のビンのための誘導方法だけは、実施例に従って変わることができる。隣からMVの絶対合計を評価する代わりに、それぞれの隣は別に評価されることができる。隣の絶対MVが利用でき16より大きい場合、コンテキストモデル・インデックスは増加して、結果として第1のビンのためのコンテキストモデルと同じ数になり、その一方で、残りの絶対MVDレベルおよび符号の符号化は正確にH.264/AVCと同様になる。
【0210】
mvdの符号化に関する上記の概説された技術において、9以下のビンはコンテキストモデルで符号化されなければならず、その一方で、mvdの残りの値は符号情報と共に低複雑性バイパス・モードで符号化されることができる。この現在の実施例は、コンテキストモデルで符号化されるビンの数を減らすための技術を記載し、結果として、バイパスの数が増加し、mvdの符号化のために必要なコンテキストモデルの数を減らす。それのために、カットオフ値は、9から1または2に減少する。つまり、絶対mvdがゼロより大きいかどうか特定している第1のビンだけがコンテキストモデルを用いて符号化されるか、または、絶対mvdがゼロより大きいかどうか特定している第1および第2のビンおよびそれがコンテキストモデルを用いて符号化され、その一方で、残りの値はバイパス・モードでおよび/またはVLCコードを用いて符号化されている。単項または短縮単項符号を使用せず、VLCコードを使用して二値化して得られる全てのビンは、低複雑性バイパス・モードを使用して符号化される。PIPEの場合には、ビットストリームへの、および、ビットストリームからの直接挿入は可能である。さらに、あるとすれば、第1のビンのためのより良好なコンテキストモデル選択を引き出す上部または左の隣の異なる定義が使われることができる。
【0211】
好ましい実施例において、Exp-Golombコードは、絶対MVD成分の残りの部分を二値化するために用いる。それのために、Exp-Golombコードの順序は可変的である。Exp-Golombコードの順序は以下のように引き出される。第1のビンのためのコンテキストモデル、したがって、そのコンテキストモデルのインデックスが引き出されて符号化された後に、インデックスが、Exp-Golomb二値化部分を求める命令として用いられる。この好ましい実施例において、第1のビンのためのコンテキストモデルが1-3の範囲にあり、結果としてExp-Golombコードの命令として使用されるインデックス0?2をもたらす。この好ましい実施例が、HEケースのために使われることができる。
【0212】
絶対のMVDの符号化の2回の5つのコンテキストを使用する上記の概説された技術の変形例において、9つの単項コード二値化ビンを符号化するために、14のコンテキストモデル(各成分に対して7)が、同様に用いられることができる。たとえば、単項部分の第1および第2のビンは上述の4つの異なるコンテキストで符号化されることができると共に、第5のコンテキストが第3のビンのための使用されることができ、第6のコンテキストが第4のビンに関して使用されることができ、第5?第9のビンが第7のコンテキストを使用して符号化される。このように、この場合、実に14のコンテキストが必要とされ、単に残りの値だけは低複雑性バイパス・モードで符号化されることができる。バイパスの増加した数となり、MVDの符号化のために必要なコンテキストモデルの数を減らす結果となるコンテキストモデルで符号化されるビンの数を減らす技術は、例えば9から1または2などのように、カットオフ値を減少させる。それは絶対MVDがゼロより大きいかどうか特定している第1のビンだけがコンテキストモデルを用いて符号化され、または、絶対MVDがゼロより大きいかどうか特定している第1および第2のビンおよびそれはそれぞれのコンテキストモデルを使用して符号化され、その一方で、残りの値はVLCコードによって符号化されることを示す。VLCコードを用いた二値化から得られる全てのビンは、低複雑性バイパス・モードを使用して符号化される。PIPEの場合には、ビットストリームへの、および、ビットストリームからの直接挿入は可能である。さらに、示された実施例は、第1のビンのためのより良好なコンテキストモデル選択を引き出すために、上部および左の隣の他の定義を使用する。これに加えて、第1の、または第1および第2のビンのために必要なコンテキストモデルの数が減少して更なるメモリ減少に至るように、コンテキストモデリングはいくらか修正される。また、上記の隣のような隣の評価は無効にすることができ、隣のmvd値の蓄積のために必要なラインバッファ/メモリの節減という結果となる。最後に、成分の符号化順序は、バイパスビンの符号化が続く両方の成分(すなわちコンテキストモデルで符号化されるビン)に接頭ビンの符号化を可能にする方法で分割されることができる。
【0213】
好ましい実施例において、Exp-Golombコードは、絶対mvd成分の残りの部分を二値化するために用いられる。それのために、Exp-Golombコードの順序は可変的である。Exp-Golombコードの順序は、以下の通りに引き出されることができる。第1のビンのためのコンテキストモデル、したがって、そのコンテキストモデルのインデックスが引き出された後で、インデックスが、Exp-Golomb二値化を求める命令として用いられる。この好ましい実施例において、第1のビンのためのコンテキストモデルは1?3の範囲にあり、Exp-Golombコードの命令として用いられるindex0?2という結果となる。この好ましい実施例がHEケースのために使われることができ、コンテキストモデルの数は6に減らされる。また、コンテキストモデルの数を減らし、それによってメモリを節約するために、水平および垂直成分は、更なる好ましい実施例の同じコンテキストモデルを共有することができる。その場合、3つのコンテキストモデルが必要とされるだけである。さらに、左の隣だけが、更なる本発明の好ましい実施例の評価のために考慮されることができる。この好ましい実施例において、閾値は変更される必要はない(例えば、1つだけの閾値16がExp-Golombパラメータ0または1をもたらし、1つの閾値32がExp-Golombパラメータ0または2を引き出す)。この好ましい実施例は、mvdの蓄積のために必要なラインバッファを節約する。他の好ましい例として、閾値は修正されて、2および16に等しくなる。その好ましい実施例のために、合計3つのコンテキストモデルがmvdの符号化のために必要とされ、可能なExp-Golombパラメータは0?2の範囲となる。別の好ましい実施例では、閾値は、16および32に等しい。また、記載されている実施例は、HEケースに適している。
【0214】
更なる本発明の好ましい実施例において、カットオフ値は、9から2に減少する。この好ましい実施例において、第1のビンおよび第2のビンは、コンテキストモデルを用いて符号化される。第1のビンのためのコンテキストモデル選択は、上述の好ましい実施例に記載されているような最高水準のまたは修正されたやり方で実施されることができる。第2のビンのために、最高水準の技術のような別のコンテキストモデルが選択される。別の好ましい実施例では、第2のビンのためのコンテキストモデルは、左の隣のmvdを評価することによって選択される。その場合のために、コンテキストモデル・インデックスは第1のビンに関して同じものであり、その一方で、利用できるコンテキストモデルは第1のビンに対するものとは異なる。全体で、6つのコンテキストモデルが必要とされる(コンテキストモデルを共有している成分に注意)。また、Exp-Golombパラメータは、第1のビンの選択されたコンテキストモデル・インデックスに依存することができる。他の本発明の好ましい実施例において、Exp-Golombパラメータは、第2のビンのコンテキストモデル・インデックスに応じている。本発明の記載されている実施例が、HEケースのために使用されることができる。
【0215】
更なる本発明の好ましい実施例において、両方のビンのためのコンテキストモデルは固定され、左または上の隣を評価することによって引き出されるというわけではない。この好ましい実施例のために、コンテキストモデルの総数は2に等しい。更なる本発明の好ましい実施例において、第1のビンおよび第2のビンは、同じコンテキストモデルを共有する。その結果、1つのコンテキストモデルだけは、mvdの符号化のために必要とされる。本発明の両方の好ましい実施例において、Exp-Golombパラメータは固定され、1に等しい。本発明の記載された好ましい実施例は、HEおよびLC構成の両方に適している。
【0216】
他の好ましい実施例として、Exp-Golomb部分の順序は、それぞれに第1のビンのコンテキストモデル・インデックスに由来する。この場合、H.264/AVCの通常のコンテキストモデルの絶対和は、Exp-Golombパートを求める命令を引き出すために用いる。この好ましい実施例が、HEケースのために使われることができる。
【0217】
別の好ましい実施例では、Exp-Golombコードの順序は固定され、0に設定される。他の好ましい実施例として、Exp-Golombコードの順序は固定され、1に設定される。好ましい実施例において、Exp-Golombコードの順序は2に固定される。さらなる実施例において、Exp-Golombコードの順序は3に固定される。さらなる実施例において、Exp-Golombコードの順序は、現在のPUの形状およびサイズにしたがって固定される。示された好ましい実施例が、LCケースのために使われることができる。Exp-Golomb部分の固定された順序がコンテキストモデルで符号化されるビンの減少した数で考慮されることに注意されたい。
【0218】
好ましい実施例において、隣は、以下の通りに定められる。上記のPUのために、現在のPUをカバーする全てのPUが考慮され、最大のMVを有するPUが使用される。これは、左の隣のためにもされる。現在のPUをカバーする全てのPUは評価されて、そして、最大のMVを有するPUが使用される。他の好ましい実施例として、現在のPUの上部および左の境界をカバーする全てのPUからの平均的な絶対の動きベクトル値は、第1のビンを引き出すために用いられる。
【0219】
示された好ましい実施例のために、以下の通りに符号化順序を変えることは可能である。mvdは、次々と(またはその逆)水平および垂直方向のために特定されなければならない。このように、2つのビン文字列は、符号化されなければならない。エントロピー符号化エンジンのためのモード切換え(すなわち、バイパスおよび通常モード間の切換え)第1段階において両方の成分のためにコンテキスト・モデルで符号化されたビンに続いて、第2段階においてバイパス・モードで符号化されたビンを符号化することは可能である。これは単に並べ替えであることに注意されたい。
【0220】
単項または短縮単項の二値化から得られるビンは、値が現在のビンインデックスより大きいかどうかを特定しているビンインデックスにつき1つのフラグの等価な固定長に二値化によって表されることもできる点に注意されたい。たとえば、mvdの省略した単項の二値化のためのカットオフ値は、値0、1、2のための符号語0、10、11という結果となる2に設定される。ビンインデックスにつき1つのフラグを有する対応する固定長二値化において、ビンインデックス0(すなわち、第1のビン)のための1つのフラグは、絶対mvd値が0より大きいかどうかを特定し、ビンインデックス1を有する第2のビンのための1つのフラグは、絶対mvd値が1より大きいかどうかを特定する。第1のフラグが1に等しいときに第2のフラグが符号化されるだけのときに、これは同じ符号語0、10、11という結果となる。
【0221】
次に、実施例にしたがって、確率モデルの内部状態の複雑性計測可能な表現が記載される。
【0222】
HE-PIPEセットアップにおいて、確率モデルの内部状態は、それを有するビンを符号化した後にアップデートされる。アップデートされた状態は、旧状態および符号化されたビンの値を使用している表検索の状態遷移によって引き出される。CABACの場合、確率モデルは、区間(0.0、0.5)におけるモデル確率に対応する63の異なる状態をとることができる。これらの状態の各々は、2つのモデル確率を実現するために用いる。状態に割り当てられる確率に加えて、1マイナス確率も使われ、valMpsと呼ばれているフラグは、確率または1マイナス確率のどちらかが使用される情報を格納する。これは、合計126の状態に至る。PIPE符号化概念を有するこのような確率モデルを使用するために、126の状態の各々は、利用できるPIPE符号器のうちの1つにマッピングされることを必要とする。PIPE符号器の現在の実現例において、これは、参照表を用いて行われる。このようなマッピングの実施例は、表5において表される。
【0223】
以下に、どのようにして確率モデルの内部状態が内部状態をPIPEインデックスに変換するために参照表を使用することを回避するために示されることができるかについて、実施例は記載されている。単にいくらかの単純なビット・マスキング動作は、確率モデルの内部状態変数からPIPEインデックスを得るために必要である。確率モデルの内部状態のこの新規な複雑性計測可能な表現は、2つのレベルの方法で設計される。低い複雑性動作が必須であるアプリケーションのために、第1のレベルだけが用いられる。それは、関連するビンを符号化または復号化するために用いられるpipeインデックスおよびフラグvalMpsだけを記載する。記載されているPIPEエントロピー符号化方式の場合、第1のレベルは、8つの異なるモデル確率を区別するために用いることができる。このように、第1のレベルは、pipeIdxのために3ビットを、valMpsフラグのために1つの更なるビットを必要とする。第2のレベルで、第1のレベルの粗い確率範囲の各々は、より高い分解能で確率の提示をサポートするいくつかのより小さい区間に改良される。このより詳細な提示は、確率推定器のより正確な動作を可能にする。一般に、それは、高いRD-パフォーマンスに向かって狙いをつける符号化アプリケーションに適している。たとえば、PIPEの使用法を有する確率モデルの内部状態のこの複雑性基準の表現は、以下の通りに例示される。
【0224】
【表6】

【0225】
第1および第2のレベルは、単一の8ビットのメモリに保存される。4ビットは第1のレベル-最上位ビット上でMPSの値を有するPIPEインデックスを定めるインデックス-を格納することを必要とし、別の4ビットは第2のレベルを格納するために用いられる。CABAC確率推定器の反応を満たすために、各PIPEインデックスは、どれくらいのCABAC状態がPIPEインデックスにマッピングされたかに応じて特定の数の許容された改良インデックスを有する。たとえば、表5のマッピングのために、PIPEインデックスにつきCABAC状態の数は、表7において表される。
【0226】
【表7】

【0227】
ビンの符号化または復号化プロセスの間、PIPEインデックスおよびvalMpsは、単純なビット・マスクまたはビットシフト動作を使用することによって、直接アクセスされることができる。低複雑性符号化プロセスは第1のレベルだけで4ビットを必要とし、高効率符号化プロセスは加えて、CABAC確率推定器の確率モデルアップデートを実行するために第2のレベルの4ビットを利用することができる。このアップデートを実施するために、オリジナルの表と同じ遷移をするが、状態の複雑性計測可能な2つのレベル表現を使用する状態遷移参照表は、設計されることができる。オリジナルの状態遷移表は、2×63の成分から成る。入力状態ごとに、それは、2つの出力状態を含む。複雑性計測可能な表現を使用するときに、状態遷移表のサイズは表のサイズの受け入れられる増加である2×128の成分を上回らない。この増加は何ビットが改良インデックスを表すために用いられるか、および、正確にCABAC確率推定器の反応をエミュレートするために用いられるかに依存し、4ビットが必要である。しかしながら、pipeインデックスごとにわずか8つの状態だけが許容されるように、CABAC状態の減らされたセットに作用することができるように,異なる確率推定器が使用されることができる。したがって、メモリの消費は、改良インデックスを表すために用いられるビットの数を適応させることによって、符号化プロセスの所与の複雑性レベルと合致することができる。64の確率状態インデックスが存在するCABACを有するモデル確率の内部状態と比較して、モデル確率を特定のPIPEコードにマッピングする表検索の使用法は回避され、更なる変換は必要とされない。
【0228】
次に、実施例に従ってアップデートされている複雑性計測可能なコンテキストモデルが記載されている。
【0229】
コンテキストモデルをアップデートするために、その確率状態インデックスは、1つ以上の以前に符号化されたビンに基づいてアップデートされることができる。HE-PIPEセットアップにおいて、このアップデートは、各ビンの符号化または復号化の後に行われる。逆にいえば、LC-PIPEセットアップで、このアップデートは、決して行われることはない。
【0230】
しかしながら、複雑性計測可能な方法でコンテキストモデルのアップデートを行うことは可能である。すなわち、コンテキストモデルをアップデートするべきかどうかの決定は、さまざまな態様に基づく。たとえば、符号化セットアップは、例えば構文要素coeff_significant_flagのコンテキストモデルのような特定のコンテキストモデルのためだけのアップデートをすることができなくて、常に他の全てのコンテキストモデルのためのアップデートをすることができる。
【0231】
換言すれば、所定のシンボルタイプの数が高効率モードと比較して低複雑性モードにおいてより低くなるように、セレクタ402は、所定のシンボルタイプの数の各々のシンボルのために、それぞれの所定のシンボルに関連付けるそれぞれの確率モデルに応じてエントロピー復号器322の中で選択を実行するように構成される。
【0232】
さらに、コンテキストモデルをアップデートすべきか否かを制御するための基準は、例えば、ビットストリーム・パケットのサイズ、今までのところ復号化されたビンの数等であり、または、アップデートは、コンテキストモデルのためのビンの特定の固定または可変の数を符号化した後にのみ行われる。
【0233】
コンテキストモデルをアッフデートするべきかどうか決めるこのスキームについては、複雑性計測可能なコンテキストモデルは実施されることができる。それは、コンテキストモデルのアップデートが行われるビットストリームのビンの部分を増減することを許容する。コンテキストモデルのアップデートの数が多いほど、符号化効率はより良好になり、計算の複雑性はより高くなる。このように、複雑性計測可能なコンテキストモデルのアップデートは、記載されている方式によって提供されることができる。
【0234】
好ましい実施例において、コンテキストモデルのアップデートは、構文要素coeff_significant_flag、coeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2を除いてすべての構文要素のビンのために行われる。
【0235】
別の好ましい実施例では、コンテキストモデルのアップデートは、構文要素coeff_significant_flag、coeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2だけのビンのために行われる。
【0236】
別の好ましい実施例では、スライスの符号化または復号化が始まるときに、コンテキストモデルのアップデートはすべてのコンテキストモデルのために行われる。処理されている特定の所定の数の変換ブロックの後、スライスの終わりが達せられるまで、コンテキストモデルのアップデートは全てのコンテキストモデルのために使用不能である。
【0237】
例えば、セレクタ402は、所定のシンボルタイプのために、所定のシンボルタイプのシンボルのための選択がアップデートとともに実行されるシンボルのシーケンスの学習フェーズの長さが高効率モードと比べたよりも低複雑性モードにおいて短くなるように、関連する確率モデルのアップデートとともに、またはアップデートなしで、所定のシンボルタイプに関連する確率モデルに応じてエントロピー復号器322の中で選択を実行するように構成される。
【0238】
更なる好ましい実施例は先に述べた好ましい実施例と同一であるが、1つの表が全てのコンテキストモデルの「第1の部分」(valMps and pipeIdx)を格納し、全てのコンテキストモデルの「第2の部分」(refineIdx)を格納するように、それはコンテキストモデルの内部状態の複雑性計測可能な表現をいくぶん使用する。そこにおいて、アップデートしているコンテキストモデルはすべてのコンテキストモデル(以前の好ましい実施例にて説明したように)のために使用不能であり、「第2の部品」を格納する表がもはや必要でなくて、破棄されることができる。
【0239】
次に、実施例に従うビンのシーケンスのためにアップデートしているコンテキストモデルが記載されている。
【0240】
LC-PIPE構成において、タイプcoeff_significant_flag、coeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2の構文要素のビンは、サブセットに分類される。サブセットごとに、単一のコンテキストモデルは、そのビンを符号化するために用いられる。この場合、コンテキストモデルのアップデートは、このシーケンスのビンの固定数の符号化の後に行われる。これは、以下においてマルチビンのアップデートを示す。しかしながら、このアップデートは、最後の符号化ビンのみおよびコンテキストモデルの内部状態を用いたアップデートとは異なる。たとえば、符号化されたビンごとに、1つのコンテキストモデルのアップデートステップが実行される。
【0241】
以下に、実施例は、8つのビンからなる典型的なサブセットを符号化するために挙げられる。文字「b」はビンの復号化を意味し、文字「u」はコンテキストモデルのアップデートを意味する。LC-PIPEの場合において、ビンの復号化だけは、コンテキストモデルのアップデートなしで行われる:
bbbbbbbb
【0242】
HE-PIPEの場合において、各ビンの復号化の後、コンテキストモデルのアップデートが行われる:
bubububububububu
【0243】
複雑性をいくらか減少させるために、コンテキストモデルのアップデートは、ビンのシーケンスの後に行われることができる(この例では、各4つのビンの後、これらの4つのビンのアップデートが行われる):
bbbbuuuubbbbuuuu
【0244】
すなわち、セレクタ402は、所定のシンボルタイプのシンボルのために、所定のシンボルタイプのシンボルのための選択がアップデートとともに実行される周波数が高効率モードと比較したよりも低複雑性モードにおいて低くなるように、関連する確率モデルのアップデートとともに、またはアップデートなしで、所定のシンボルタイプに関連する確率モデルに応じてエントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成される。
【0245】
この場合、4つのビンを復号化した後に、4つのアップデート・ステップが、ちょうど復号化された4つのビンに基づいて続く。これらの4つのアップデート・ステップが特別な参照表の検索を用いて1つの一回のステップで実行されることができることに注意されたい。4つのビンの各可能な組合せおよびコンテキストモデルの各可能な内部状態のために、この参照表は、4つの従来のアップデート・ステップの後に結果として得られる新しい状態を格納する。
【0246】
特定のモードにおいて、マルチビンのアップデートが、構文要素coeff_significant_flagのために用いられる。他の全ての構文要素のビンのために、コンテキストモデルのアップデートは用いられない。マルチビン・アップデートステップの前に符号化されるビンの数は、nに設定される。セットのビンの数がnによって割り切れないときに、1からn-1個のビンが、最後のマルチビンのアップデートの後にサブセットの終わりに残る。これらのビンの各々のために、従来の1つのビンのアップデートは、これらのビンの全てを符号化した後に行われる。数nは、1より大きいいかなる正数であってもよい。マルチビンのアップデートがcoeff_significant_flag、coeff_abs_greater1およびcoeff_abs_greater2(coeff_significant_flagだけの代わりに)の任意の組合せのために行われることを除いて、別のモードが以前のモードと同じものであってもよい。このように、このモードは、その他より複雑である。他の全ての構文要素(マルチビンのアップデートが使われない所で)は2つの別のサブセットに分割され、ここで、サブセットの1つのために、1つのビンのアップデートが用いられ、他のサブセットのために、コンテキストモデルのアップデートが用いられない。あらゆる可能な別のサブセットは、有効である(空のサブセットを含む)。
【0247】
別の実施形態では、マルチビンのアップデートは、マルチビンのアップデートの前にすぐに符号化される最後のm個のビンだけに基づくことができる。mはnより小さいいかなる自然数であってもよい。したがって、復号化は、次のようになされることができる:
bbbbuubbbbuubbbbuubbbb
ここで、n=4およびm=2。
【0248】
すなわち、セレクタ402は、所定のシンボルタイプのシンボルのために、高効率モードと比較するよりも低複雑性モードにおいてn/m比が高くなるように、所定のシンボルタイプの最も近いシンボルmに基づいて関連する確率モデル全てのn番目のシンボルのアップデートとともに、所定のシンボルタイプに関連する確率モデルに応じてエントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成される。
【0249】
別の好ましい実施例では、構文要素coeff_significant_flagのために、HE-PIPE構成のために上記の通りにローカル・テンプレートを用いたコンテキストモデル化スキームは、コンテキストモデルを構文要素のビンに割り当てるために用いられる。しかしながら、これらのビンのために、コンテキストモデルのアップデートは使われない。
【0250】
さらに、セレクタ402は、所定のシンボルタイプのシンボルのために、コンテキストの数および/または以前に検索したシンボルの数が高効率モードと比べるよりも低複雑性モードにおいて低くなるように、シンボルのシーケンスの多くの以前に検索されたシンボルに応じて多くのコンテキストの1つを選択するように構成され、選択されたコンテキストに関連する確率モデルに応じてエントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成される。
【0251】
8ビットの初期化値を使用した確率モデル初期化
このセクションは、最高水準のビデオ符号化基準H.264/AVCのケースのような2つの8ビットの値の代わりにいわゆる8ビット初期化値を使用している確率モデルの複雑性計測可能な内部状態の初期化プロセスを示している。それは、H.264/AVCのCABACの確率モデルのために使用される初期化値の対と同等である2つの部分から成る。2つの部分は確率モデルの初期状態を計算する一次方程式の2つのパラメータを示し、QPから特定の確率(例えば、PIPEインデックスの形で)を表す。
【0252】
・第1の部分は傾斜を示し、それは符号化または復号化の間に使用される量子化パラメータ(QP)に関して内部状態の依存を利用する。
・第2の部分は、valMpsと同様に所定のQPでPIPEインデックスを定める。
【0253】
2つの異なるモードは、所定の初期化値を用いて確率モデルを初期化するために利用することができる。第1のモードは、QP独立初期化を示す。それは、すべてのQPのための初期化値の第2の部分において定められるPIPEインデックスおよびvalMpsを使用するだけである。これは、傾斜が0に等しい場合と同一である。第2のモードはQP依存初期化を示し、さらに、それは、PIPEインデックスを変えて、改良インデックスを定めるために初期化値の第1の部分の傾斜を使用する。8ビットの初期化値の2つの部分は、以下の通りに例示される。
【0254】
【表8】

【0255】
それは、2つの4ビットの部分から成る。第1の部分は、配列に格納される16の異なる所定の傾斜の中の1つを示すインデックスを含む。所定の傾斜は、7つの負の傾斜(傾斜インデックス0-6)、ゼロに等しい傾斜(傾斜インデックス7)および8つの正の傾斜(傾斜インデックス8-15)の中の1つの傾斜から成る。傾斜は、表Cで表される。
【0256】
【表9】

【0257】
すべての値は、浮動小数点演算の使用を回避するために、256の因子で見積もられる。第2の部分は、確率区間p=0およびp=1の間にvalMps=1の上昇性の確率を具体化するPIPEインデックスである。換言すれば、PIPE符号器nは、PIPE符号器n-1より高いモデル確率で動作する。あらゆる確率モデルのために、1つのPIPE確率インデックスは利用でき、それは確率区間がQP=26のためのp_(valMPs=1)の確率を含むPIPE符号器を確認する。
【0258】
【表10】

【0259】
QPおよび8ビットの初期化値は、y=m*(QP-QPref)+256*bの形で単純な一次方程式を計算することによって確率モデルの内部状態の初期化を算出することを必要とする。mが傾斜インデックス(8ビットの初期化値の第1の部分)を用いて表Cからとられる傾斜を定め、bがQPref=26(8ビットの初期化値の第2の部分:「PIPE確率インデックス」)でPIPE符号器を意味する点に注意されたい。そして、yが2047より大きい場合、valMPSは1であり、pipeIdxは(y-2048)>>8に等しい。さもなければ、valMPSは0であり、pipeIdxは(2047-y)>>8に等しい。valMPSが1に等しい場合、改良インデックスは(((y-2048)&255)*numStates)>>8に等しい。さもなければ、改良インデックスは、(((2047-y)&255)*numStates)>>8に等しい。いずれの場合においても、numStatesは、表Bにて図示するように、pipeIdxのCABAC状態の数に等しい。
【0260】
上述のスキームは、PIPE符号器と組み合わせて用いられるだけでなく、上述のCABAC方式と関連しても用いられる。PIPEがなければ、CABAC状態、すなわち、その間で確率アップデートの状態移行がPIPE Idx(すなわち、pState_current[bin]のそれぞれの最上位ビット)につき実行される(pState_current[bin])確率状態)の数は、事実、QPに応じてCABAC状態の区分的線形補間法を実現する一組のパラメータだけである。さらに、パラメータnumStatesがすべてのPIPE Idxのための同じ値を使用する場合には、この区分的線形補間法は実質的に無効であってもよい。たとえば、全てのケースのための8に対する設定numStatesは、合計16*8つの様相およびインデックスがvalMPSは1に等しく、((y-2048)&255)>>5またはvalMPSは0に等しく、((2047-y)&255)>>5に単純化する改良インデックスの計算を得る。この場合、valMPS、PIPE idxおよび改良idxを用いている表現をもとのH.264/AVCのオリジナルのCABACにより用いられる表現にマッピングすることは、非常に単純である。CABAC状態は、(PIPE Idx<<3)+refinement Idxとして与えられる。この態様は、図17に関して更に下で記載されている。
【0261】
8ビットの初期化値の傾斜がゼロに等しくない限り、または、QPが26に等しくない限り、それは符号化または復号プロセスのQPを有する一次方程式を使用することによって内部状態を計算するのに必要である。ゼロに等しいかまたは現在の符号化方法のQPが26に等しくなっている傾斜の場合、8ビットの初期化値の第2の部品が、確率モデルの内部状態を初期化するために、直接用いられることができる。さもなければ、結果として生じる内部状態の小数部は、特定のPIPE符号器の限界との間に一次補間で高効率符号化アプリケーションの改良インデックスを決定するために、更に利用されることができる。この好ましい実施例において、一次補間は、単に現在のPIPE符号器に利用できる改良インデックスの総数を有する小数部を乗じて、結果を最も近い整数改良インデックスにマッピングすることによって実行される。
【0262】
確率モデルの内部状態の初期化のプロセスは、PIPE確率インデックス状態の数に関して変化することができる。特に、等しい見込みがあるモードを使用しているPIPE符号器E1、すなわちMPSとの間に1または0であることを区別する2つの異なるPIPEインデックスの使用の二重の発生は、以下の通りに回避されることができる。また、プロセスはスライス・データの構文解析の始まりの間、引き起こされることができ、このプロセスの入力は例えば、初期化されるためにあらゆるコンテキストモデルのためのビットストリームの範囲内で送信される表Eにて図示するように、8ビットの初期化値であり得る。
【0263】
【表11】

【0264】
最初の4ビットは傾斜インデックスを定めて、ビットb4-b7をマスキングすることによって検索される。
あらゆる傾斜インデックスのために、傾斜(m)は、表Fにおいて特定されて、示される。
【0265】
【表12】

【0266】
ビットb0-b3、8ビットの初期化値の最後の4ビット、はprobIdxを確認し、所定のQP.probIdx0は値0を有するシンボルのための最高確率を示し、それぞれ、probIdx 14は値1を有するシンボルのための最高確率を示す。表Gは、各probIdxのために対応するpipe符号器およびそのvalMpsを示す。
【0267】
【表13】

【0268】
両方の値については、内部状態の算出は、y=m*x+256*bのような一次方程式を用いてされることができ、mは傾斜を意味し、xは現在のスライスのQPを意味し、bは以下の説明に示すようにprobIdxに由来する。このプロセスのすべての値は、浮動小数点演算の使用を回避するために、256の因子によって見積もられる。このプロセスの出力(y)は、現在のQPで確率モデルの内部状態を表して、8つのビット・メモリに保存される。Gに示されるように、内部状態は、valMPs、pipeIdxおよびrefineIdxから成る。
【0269】
【表14】

【0270】
【表15】

【0271】
refineIdxおよびpipeIdxの譲渡は、CABAC確率モデル(pStateCtx)の内部状態と類似していて、Hに示される。
【0272】
【表16】

【0273】
好ましい実施例において、probIdxは、QP26で定められる。8ビットの初期化値に基づいて、確率モデルの内部状態(valMps、pipeIdxおよびrefineIdx)は、以下の疑似コードに説明されているように処理される。
【0274】

【0275】
疑似コードに示すように、refineIdxは、線形にpipeIdxの区間の間に挿入して、対応するrefineIdxに結果を量子化することによって計算される。オフセットは、pipeIdxごとにrefineIdxの総数を特定する。fullCtxState/256の区間[7、8)は、半分に分割される。区間[7、7.5)はpipeIdx=0およびvalMps=0にマッピングされ、区間[7.5、8)はpipeIdx=0およびvalMps=1にマッピングされる。図22は、内部状態を引き出す方法を表し、pStateCtxへのfullCtxState/256のマッピングを表示する。
【0276】
傾斜がprobIdxおよびQPの依存を示す点に注意されたい。8ビットの初期化値のslopeIdxが7に等しい場合、確率モデルの結果として生じる内部状態はすべてのスライスQPsに共通するものであり-それゆえに、内部状態の初期化プロセスはスライスの現在のQPから独立している。
【0277】
すなわち、セレクタ402は、両方のモードLCおよびHCに共通する表にインデックスとしてこの構文要素を用いてその中に含まれる変換係数レベルのような、この部分のデータを量子化するために用いられる量子化ステップサイズQPを示す構文要素を用いて、全てのストリームまたは次のスライスのようなデータストリームの次の部分を復号化するのに用いられるpipeインデックスを初期化する。表Dのような表は、各シンボルタイプ、それぞれの参照QPrefのためのpipeインデックス、または各シンボルタイプのためのほかのデータを含む。現在の部分の実際のQPに応じて、セレクタは、実際のQPおよびQP自体によって索引をつけられるそれぞれのテーブル項目aを使用して、aと(QP-QPref)との乗算のように、パイプ・インデックス値を計算することができる。LCおよびHEモードの唯一の違い:セレクタは、HEモードと比較してLCの場合には単に結果を低い精度で計算する。セレクタは、例えば、単に計算結果の整数部分を使用することができるだけである。HEモードにおいて、例えば端数部分のような高精度残余は、低い精度または整数部分によって示されるように、それぞれのpipeインデックスのための利用できる改良インデックスのうちの1つを選択するために用いられる。改良インデックスが、上述のテーブルウォークを用いることによって例えば確率適合を実行するために、HEモードで(LCモードにおいても潜在的でより稀であるように)用いられる。より高い境界で現在のpipeインデックスのための利用できるインデックスを残すときに、より高いパイプ・インデックスは改良インデックスを最小化するとともに次に選択される。より低い境界で現在のpipeインデックスのための利用できるインデックスを残すときに、次の低いpipeインデックスは新規なパイプ・インデックスに最大限に利用できる改良インデックスを最大にするとともに次に選択される。改良インデックスと一緒にpipeインデックスは確率状態を定めるが、部分的なストリームの中の選択のために、セレクタは単にpipeインデックスを使用するだけである。改良インデックスは、単により密接に確率を追うために、または、より微細な精度において役立つだけである。
【0278】
しかしながら、上記説明も、複雑性の拡張性が図7?図17のPIPEまたはCABAC符号化概念とは別に、図19に示されるデコーダを使用して達成されることを示した。図19のデコーダは、メディアデータが符号化されたデータストリーム601を復号化するためにあって、データストリーム601に応じて低複雑性モードまたは高効率モードを起動させるように構成されるモードスイッチ600と、シンボル・シーケンス・ワードの領域を整数値構文要素の共同領域にマッピングするために、制御パラメータによって制御可能なマッピング機能を使用している整数値構文要素604を得るために、データストリーム601から-直接、または、例えば、エントロピー復号化によって-得られたシンボルのシーケンス603を記号で表すように構成されたデシンボライザを含む。再現器605は、整数値構文要素に基づいてメディアデータ606を再現するように構成される。デシンボライザ602は、高効率モードが作動している場合には制御パラメータが第1の割合でデータストリームに従って変化するように、デシンボライザ602は非記号化を実行するように構成される、そして、低複雑性モードが作動している場合には、矢印607で示されるように、第1の割合より低い第2の割合である以外、制御パラメータはデータストリームまたはデータストリームに応じた変化にかかわりなく一定である。たとえば、制御パラメータは、前に非記号化されたシンボルに従って変化することができる。
【0279】
前記実施例のいくつかは、図19の態様を利用した。シーケンス327の中の構文要素coeff_abs_minus3およびMVDは、例えば、407で示されるような選択されるモードに応じてデシンボライザ314において二値化され、再現器605は再現のためのこれらの構文要素を使用した。明らかに、図18および19の両方の態様は直ちに統合可能であるが、図19の態様は他の符号化環境と結合されることもできる。
【0280】
たとえば、上で示した動きベクトル差符号化を参照する。マッピング機能がカットオフ値より小さい整数値構文要素の領域の第1の区間の範囲内でマッピングを実行する短縮単項符号、およびカットオフ値のための短縮単項符号の形の接頭辞およびカットオフ値を含むか超える整数値構文要素の領域の第2の区間の範囲内のVLC符号語の形の接尾辞の組み合わせを使用するようにデシンボライザ602は構成され、デコーダは、変化する確率評価を有する単項のエントロピー復号化を用いてデータストリーム601から短縮単項のコードの複数の第1のビンおよび一定の等確率バイパスモードを用いてVLC符号語の複数の第2のビンを引き出すように構成されたエントロピー復号器608を含む。HEモードにおいて、矢印609で示すように、エントロピー符号化はLC符号化におけるよりも複雑である。すなわち、コンテキスト適応および/または確率適合はHEモードで適用され、LCモードで抑制され、または、各種実施形態に関して上述されるように、複雑性は拡大・縮小される。
【0281】
メディアデータをデータストリームに符号化する、図18のデコーダに適合するエンコーダが、図20に示される。それは、データストリーム501の中で低複雑性モードまたは高効率モードの起動の信号を送るように構成されるインサータ500、構文要素のシーケンス506にメディアデータ505を前符号化するように構成されるコンストラクタ504、シンボルのシーケンス508に構文要素のシーケンス506を記号で表すように構成されるシンボライザ507、各々がシンボルの部分的なシーケンスをデータストリームの符号語に変換するように構成された複数のエントロピー符号器310、および複数のエントロピー符号器310の選択された1つにシンボルのシーケンス508の各シンボルを送るように構成されたセレクタ502を含み、セレクタ502は、矢印511で示すように、低複雑性モードおよび高効率モードの作動している1つに応じて選択を実行するように構成される。インターリーバ510は、エンコーダ310の符号語を挟むために、任意に提供されることができる。
【0282】
メディアデータをデータストリームに符号化するための、図19のデコーダに適合したエンコーダは、図21に示され、データストリーム701の中で低複雑性モードまたは高効率モードの作動の信号を送るように構成されたインサータ700、整数値を有する構文要素のシーケンス706にメディアデータ705を前符号化するように構成されたコンストラクタ704、および整数値を有する構文要素の領域をシンボル・シーケンス・ワードの共同領域にマッピングするために、制御パラメータによって制御可能なマッピング機能を用いて整数値を有する構文要素を記号で表すように構成されるコンストラクタ707を含み、高効率モードが作動している場合には制御パラメータが第1の割合でデータストリームに従って変化するように、そして、データストリームまたはデータストリームに応じた変化にかわりなく制御パラメータは一定であるが、矢印708で示されるように、低複雑性モードが作動している場合には第1の割合より低い第2の割合で、シンボライザ707は象徴化を実行するように構成される。記号化の結果は、データストリーム701に符号化される。
【0283】
また、図18の実施例が上述のコンテキスト適応二進演算符号化/復号化の実施に容易に移転可能であると述べられなければならず:セレクタ509およびエントロピー符号器310は、直接データストリーム401を出力するエントロピー符号器710に凝縮して、現在ビンのためのコンテキストをデータストリームから引き出すように選択する。これは、特にコンテキスト適応および/または確率適応について成り立つものである。低い複雑性モードの間、両方の機能/適応は、スイッチを切られるか、またはより緩和して設計されることができる。
【0284】
上記実施形態の上記態様の多くが、オーディオ符号化又は他のデータの符号化へ直ちに移行可能であることに留意されたい。特に、特定の種類の再現器は、重要ではない。
【0285】
いくつかの態様が装置のコンテキストに記載されたが、これらの態様も対応する方法の説明に適用できることは明らかであり、ブロックまたは装置は、方法ステップまたは方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法ステップのコンテキストに記載されている態様は、対応する装置の対応するブロックまたは部材または特徴の説明を表す。いくつかのまたは全ての方法ステップは、ハードウェア装置、例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータまたは電子回路等によって(を使用して)実行することができる。いくつかの実施形態では、最も重要な方法ステップの若干の1つ以上は、この種の装置によって実行されることができる。
【0286】
発明の符号化信号は、デジタル記憶媒体に保存されることができるか、または例えば無線伝送媒体または有線の伝送媒体、例えばインターネット等の伝送媒体上に送信されることができる。
【0287】
特定の実施要件に応じて、本発明の実施例は、ハードウェアにおいて、または、ソフトウェアで実施されることができる。実施はその上に格納される電子的に読み込み可能な制御信号を有するデジタル記憶媒体、例えばフレキシブルディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROMまたはフラッシュメモリを使用して実行されることができ、それぞれの方法が実行されるように、それはプログラム可能なコンピュータシステムと協働する(または協働することができる)。したがって、デジタル記憶媒体は、計算機可読でもよい。
【0288】
本発明による若干の実施例は、電子的に読み込み可能な制御信号を有するデータキャリアを含み、本願明細書において記載されている方法のうちの1つが実行されるように、それはプログラム可能なコンピュータシステムと協働することができる。
【0289】
通常、本発明の実施例はプログラムコードを有するコンピュータ・プログラム製品として実施されることができ、コンピュータ・プログラム製品がコンピュータで動くときに、プログラムコードが方法のうちの1つを実行するために実施されている。プログラムコードは、機械読み取り可読キャリアに例えば格納されることができる。
【0290】
他の実施例は、本願明細書において記載されていて、機械読み取り可読キャリアに格納される方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを含む。
【0291】
換言すれば、発明の方法の実施例は、従って、コンピュータプログラムはコンピュータで動くとき、本願明細書において記載されている方法のうちの1つを実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0292】
発明の方法の更なる実施例は、従って、その上に記録されて、本願明細書において記載されている方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムから成っているデータキャリア(またはデジタル記憶媒体またはコンピュータ可読媒体)である。データキャリア、デジタル記憶媒体または記録されたものは、典型的に有形および/または非移行的なものである。
【0293】
発明の方法の更なる実施例は、従って、本願明細書において記載されている方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを表しているデータストリームまたは信号のシーケンスである。データストリームまたは信号のシーケンスは、データ通信接続を経て、例えばインターネットで転送されるように構成されることができる。
【0294】
更なる実施例は、ここに記載されている方法の1つを実行するように構成され、または適応された処理手段、例えばコンピュータまたはプログラム可能な論理装置を含む。
【0295】
更なる実施例は、その上に、本願明細書において記載されている方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムをインストールしたコンピュータを含む。
【0296】
本発明による更なる実施例は、受信機に本願明細書において記載されている方法のうちの1つを実行するためのコンピュータプログラムを移す、(例えば、電子的に、または、光学的に)ように構成される装置またはシステムを含む。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、メモリデバイス等でもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に伝送するためのファイル・サーバであってもよい。
【0297】
いくつかの実施形態では、プログラム可能な論理装置(例えばフィールド・プログラム可能なゲート・アレイ)は、本願明細書において記載されている方法の機能のいくらかまたは全てを実行するために用いることができる。いくつかの実施形態では、フィールド・プログラム可能なゲート・アレイは、本願明細書において記載されている方法のうちの1つを実行するために、マイクロプロセッサと協働することができる。通常、方法は、いかなるハードウェア装置によっても好ましくは実行される。
【0298】
上記した実施例は、本発明の原理のために、単に図示するだけである。配置の修正変更および本願明細書において記載されている詳細が他の当業者にとって明らかであるものと理解される。したがって、間近に迫った特許クレームの範囲だけによって制限され、本願明細書において実施例の説明および説明として示される具体的な詳細だけで制限されることは意図していない。
【0299】
このように、特に、上記説明は、データストリームに応じて低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするように構成されたモードスイッチ400と、各々がデータストリームの符号語を、シンボルの部分的シーケンス321に、変換するように構成される、複数のエントロピー復号器322と、複数のエントロピー復号器322の選択された一つから、シンボルのシーケンス326の各シンボルを取り出すように構成されたセレクタ402と、構文要素のシーケンス327を得るために、シンボル326のシーケンスを非記号化するように構成されたデシンボライザ314と、構文要素のシーケンスに基づいて、メディアデータを再現するために構成された再現器404とを含み、そこにおいて、セレクタ402は、低煩雑性モードおよび高効率モードのうちのアクティブにされた一つに応じて、選択を実行するように構成されることを特徴とする、メディアデータが符号化されるデータストリーム401を復号するためのデコーダを明らかにした。セレクタ402は、所定のシンボルについて、高効率モードがアクティブにされている場合には、シンボルのシーケンス326の前に取り出されたシンボルに応じて、そして、低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、シンボルのシーケンスの前に取り出されたシンボルから独立して、複数のエントロピー復号器322の中から選択を実行するように構成されうる。データストリームは、連続した部分に構築されえて、シンボルのシーケンスの各シンボルは、複数のシンボルタイプのうちのそれぞれ一つと関係しえ、そこにおいて、セレクタ402は、現在の部分の中の所定のシンボルタイプのシンボルについて、高効率モードがアクティブにされている場合には、現在の部分の中の所定のシンボルタイプのシンボルのシーケンスの先に取り出されたシンボルに応じて、その選択を変化させ、そして、低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、その選択を現在の部分の中で一定にしたままにするように、構成されうる。シンボルのシーケンス326の各シンボルが、複数のシンボルタイプのうちのそれぞれと関連していることも可能である。そこにおいて、セレクタ402は、所定のシンボルタイプの所定のシンボルについて、シンボルのシーケンスの先に取り出されたシンボルに応じて、複数のコンテキストのうちの1つを選択し、そして、高効率モードがアクティブにされている場合には、所定のシンボルに応じて選択されたコンテキストと関連した確率モデルをアップデートするとともに、選択されたコンテキストと関連した確率モデルに応じて、エントロピー符号器322の中でその選択を実行し、そして、低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、選択されたコンテキストと関連した確率モデルを一定にしたままにするとともに、選択されたコンテキストと関連した確率モデルに応じて、エントロピー復号器322の中で、その選択を実行するように構成される。代わりに、または、加えて、シンボルのシーケンス326の各シンボルは、複数のシンボルタイプのうちのそれぞれと関連付けられうる。そこにおいて、セレクタ402は、高効率モードがアクティブにされている場合には、所定のシンボルタイプのシンボルごとに、第1のアップデートレートで所定のシンボルタイプのシンボルに応じて、確率モデルをアップデートするとともに、所定のシンボルタイプと関連した確率モデルに応じて、エントロピー復号器322の中の選択を実行し、そして、低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、所定のシンボルタイプのシンボルごとに、第1のアップデートレートより低い第2のアップデートレートで所定のシンボルタイプのシンボルに応じて、確率モデルを間欠的にアップデートするとともに、確率モデルに応じてエントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成されうる。セレクタ402が、所定のシンボルタイプのシンボルについて、第1の確率状態精度で定められた確率状態インデックスを用いて、複数のモード適応を実行し、高効率モードがアクティブにされている場合には、第1の確率状態精度で定められた確率状態インデックスに応じて、エントロピー復号器322の中の選択を実行し、そして、低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、確率モード適応を実行しないか、または、第1の確率状態精度より低い第2の確率状態精度で定められた確率状態インデックスを用いて確率モード適応を実行し、第2の確率状態精度で定められた確率状態インデックスに応じてエントロピー復号器の中の選択を実行するように構成されることも可能である。再現器404が、高効率モードがアクティブにされているか低煩雑性モードがアクティブにされているかから独立して、作動するように構成されることも可能である。再現器404は、高効率モードがアクティブにされているか低煩雑性モードがアクティブにされているかから独立して、構文要素の一部のシーケンスに基づいて、変換係数レベル202の変換ブロック200を再現するように構成されることができ、構文要素のシーケンスのその部分が、インターリーブされない方法で、変換ブロック200の中でゼロでない変換係数レベルの位置を示している有意性マップを定めている有意性マップ構文要素と、ゼロでない変換係数レベルを定めているレベル構文要素を含む。再現器404は、高効率モードがアクティブにされているか低煩雑性モードがアクティブにされているかから独立して、構文要素のシーケンスの一部に基いて、変換係数レベル202の変換ブロック200を再現するように構成されえて、構文要素のシーケンスのその部分は、インターリーブされない方法で、変換ブロックの中で最後のゼロ以外の変換係数レベルの位置を示しているエンド位置構文要素(last_significant_pos_x、last_significant_pos_y)と、有意性マップを定めるとともに、各位置の変換係数レベルがゼロ以外かどうかに関して、位置ごとに、DC位置から変換ブロック200の中の最後のゼロでない変換係数レベルの位置まで通じている一次元のパス274に沿って示している第1の構文要素(coeff_significant_flag)と、第1のバイナリの構文要素に従って、ゼロ以外の変換係数レベルが位置決めされる一次元のパス(274)の位置ごとに、各位置の変換係数レベルが1より大きいかどうかに関して、示している第2の構文要素(coeff_abs_greater1)と、第1のバイナリの構文要素に従って、1より大きい変換係数レベルが位置決めされる一次元のパスの位置ごとに、各位置の各変換係数レベルが1を超える量を表している第3の構文要素(coeff_abs_greater2、coeff_abs_minus3)とを含み、そこにおいて、エンド位置構文要素、第1、第2、第3の構文要素の中の順序、が、高効率モードおよび低煩雑性モードについて同じであり、セレクタ402は、デシンボライザが、高効率モードがアクティブにされているか低煩雑性モードがアクティブにされているかに応じて異なって、エンド位置構文要素、第1、第2、第3の構文要素を得るシンボルのためのエントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成される。この点に関して、セレクタ402は、デシンボライザがエンド位置構文要素、第1、第2、第3の構文要素を得るシンボルのシーケンスの中の所定のシンボルタイプのシンボルについて、所定のシンボルタイプのシンボルごとに、シンボルのシーケンスの中の所定のシンボルタイプの先に取り出されたシンボルに応じて、複数のコンテキストのうちの1つを選択し、高効率モードがアクティブにされている場合には、選択されたコンテキストと関連した確率モデルに応じた選択を実行し、そして、低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、その選択が、サブシーケンスの連続したサブ部分にわたって一定であるように区分的に一定の方法で選択を実行するように構成されうる。セレクタ402は、デシンボライザが第1の構文要素および第2の構文要素を得るシンボルのシーケンスの中の所定のシンボルタイプのシンボルについて、所定のシンボルタイプのシンボルごとに、所定のシンボル値を有し、同じサブパートに属するシンボルのシーケンスの中の所定のシンボルタイプの先に取り出されたシンボルの数、または、同じサブパートに属するシンボルのシーケンスの中の所定のシンボルタイプの先に取り出されたシンボルの数に応じて、複数のコンテキストのうちの1つを選択するように構成されうる。第1のバイナリ構文要素により、1より大きい変換係数レベルが位置決めされる一次元パスの位置ごとに、各位置の各変換係数レベルが1を超える量を表している第3の構文要素は、整数値の構文要素(coeff_abs_minus3)を含むことができ、デシンボライザ314は、シンボル・シーケンス・ワードのドメインを整数値の構文要素のコドメインにマッピングするために制御パラメータによって制御可能なマッピング関数を使用し、高効率モードがアクティブにされている場合には、先の第3の構文要素の整数値の構文要素に応じて、整数値の構文要素ごとに、制御パラメータを設定し、そして、低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、その設定がシーケンスの連続したサブパートにわたって一定であるように区分的に一定の方法で設定を実行するように構成されることができ、そこにおいて、セレクタ402は、高効率モードおよび低煩雑性モードの両方において、等しい確率分布に関連した整数値の構文要素にマップされたシンボル・シーケンス・ワードのシンボルについて、エントロピー復号器322のうちの所定の1つを選択する。シンボルのシーケンス326の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しうる。そこにおいて、セレクタ402は、いくつかの所定のシンボルタイプの各々のシンボルについて、所定のシンボルタイプの数が、高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて小さいように、各所定のシンボルと関連した各確率モデルに応じて、エントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成されうる。シンボルのシーケンス326の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しうる。そこにおいて、セレクタ402は、所定のシンボルタイプのシンボルについて、所定のシンボルタイプのシンボルについての選択が、アップデートとともに実行されるシンボルのシーケンスの学習フェーズの長さが、高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて短いように、関連した確率モデルをアップデートするとともに又はアップデートせずに、所定のシンボルタイプと関連した確率モデルに応じて、エントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成されうる。シンボルのシーケンス326の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しうる。そこにおいて、セレクタ402は、所定のシンボルタイプのシンボルについて、所定のシンボルタイプのシンボルについての選択が、アップデートとともに実行される周波数が、高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて低いように、関連した確率モデルをアップデートするとともに又はアップデートせずに、所定のシンボルタイプと関連した確率モデルに応じて、エントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成されうる。シンボルのシーケンス326の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しうる。そこにおいて、セレクタ402は、所定のシンボルタイプのシンボルについて、シンボルのシーケンスの先に取り出されたシンボルの数に応じて、いくつかのコンテキストのうちの1つを選択し、コンテキストの数および/または先に取り出されたシンボルの数が、高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて少ないように、選択されたコンテキストと関連した確率モデルに応じて、エントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成されうる。シンボルのシーケンス326の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しうる。そこにおいて、セレクタ402は、所定のシンボルタイプのシンボルについて、比率x/yが、高効率モードに比べて低煩雑性モードにおいて高いように、所定のシンボルタイプのy個の最新のシンボルに基いて所定のタイプのx番目のシンボルごとに、関連した確率モデルをアップデートするとともに、所定のシンボルタイプと関連した確率モデルに応じて、エントロピー復号器322の中の選択を実行するように構成されうる。シンボルのシーケンス326の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しうる。そこにおいて、セレクタ402は、計算と構文要素は、高効率モードと低煩雑性モードとで同じであるが、計算結果の分解能は高効率モードおよび低煩雑性モードにおいて低いデータストリームの構文要素を用いた計算に基いて、シンボルタイプと関連した確率モデルを初期化するように構成されうる。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアデータが符号化されるデータストリーム(401)を復号するためのデコーダであって、
前記データストリームに応じて、低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするために構成された、モードスイッチ(400)と、
複数のエントロピー復号化方式(322)のうちの選択された一つを使用して、前記データストリームからエントロピー復号化することによって、シンボルのシーケンス(326)の各シンボルを取り出すために構成された、エントロピー復号化エンジン(608)と、
構文要素(327)のシーケンスを得るために、シンボル(326)の前記シーケンスを非記号化するために構成された、デシンボライザ(314)と、
構文要素の前記シーケンスに基づいて、前記メディアデータを再現するために構成された、再現器(404)とを含み、
前記選択は、前記低煩雑性モードおよび前記高効率モードのうちのアクティブにされた一つに依存し、
前記エントロピー復号化エンジンは、前記複数のエントロピー復号化方式の各々が、前記各エントロピー復号化方式が選択された前記シンボルの算術復号化を、前記算術復号化において異なる確率評価を使用する際に互いに異なる前記複数のエントロピー復号化方式と関係させるように、そして、前記複数のエントロピー復号化方式が、一つの共通のビットストリームから前記シンボルを復号するために、共通の確率区間でそれらの確率細分化を実行するように、構成され、
前記エントロピー復号化エンジンは、全てのエントロピー復号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成されることを特徴とする、デコーダ。
【請求項2】
前記選択は、前記高効率モードがアクティブにされている場合には、シンボルの前記シーケンス(326)の先に取り出されたシンボルに依存し、前記低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、シンボルの前記シーケンスのいかなる先に取り出されたシンボルからも独立していることを特徴とする、請求項1に記載のデコーダ。
【請求項3】
前記データストリームは、連続部分に構築され、シンボルの前記シーケンスの各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しており、現在の部分の中の所定のシンボルタイプのシンボルについて、前記選択は、前記高効率モードがアクティブにされている場合には、前記現在の部分の中の前記所定のシンボルタイプのシンボルの前記シーケンスの先に取り出されたシンボルに応じてコンテキスト適合性および確率適合性の少なくとも一方の結果として、変動し、そして、前記低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、前記コンテキスト適合性および前記確率適合性を非選択に切替えることで、前記現在の部分の中で一定のままにしておかれることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のデコーダ。
【請求項4】
シンボルの前記シーケンス(326)の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しており、前記エントロピー復号化エンジンは、所定のシンボルタイプの所定のシンボルについて、
前記高効率モードがアクティブにされている場合には、シンボルの前記シーケンスの先に取り出されたシンボルに応じて、複数のコンテキストのうちの一つを選択し、前記所定のシンボルに応じて、前記選択されたコンテキストと関連した確率モデルをアップデートするとともに、前記選択されたコンテキストと関連した前記確率モデルに応じて、前記エントロピー復号化方式の中の前記選択を実行し、そして、
前記低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、シンボルの前記シーケンスの前記先に取り出されたシンボルに応じて、前記複数のコンテキストのうちの前記一つの選択を実行し、前記選択されたコンテキストと関連した前記確率モデルを一定にしたままにしておくとともに、前記選択されたコンテキストと関連した前記確率モデルに応じて、前記エントロピー復号化方式の中の前記選択を実行するように構成されることを特徴とする、請求項1?請求項3のいずれかに記載のデコーダ。
【請求項5】
メディアデータが符号化されるデータストリーム(401)を復号するためのデコーダであって、
前記データストリームに応じて、低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするために構成された、モードスイッチ(400)と、
複数のエントロピー復号化方式(322)のうちの選択された一つを使用して、前記データストリームからエントロピー復号化することによって、シンボルのシーケンス(326)の各シンボルを取り出すために構成された、エントロピー復号化エンジン(608)と、
構文要素(327)のシーケンスを得るために、シンボル(326)の前記シーケンスを非記号化するために構成された、デシンボライザ(314)と、
構文要素の前記シーケンスに基づいて、前記メディアデータを再現するために構成された、再現器(404)とを含み、
前記選択は、前記低煩雑性モードおよび前記高効率モードのうちのアクティブにされた一つに依存し、前記エントロピー復号化エンジンは、前記複数のエントロピー復号化方式の各々が、前記各エントロピー復号化方式が選択された前記シンボルの算術復号化を、前記算術復号化において異なる確率評価を使用する際に互いに異なる前記複数のエントロピー復号化方式と関係させるように、そして、前記複数のエントロピー復号化方式が、一つの共通のビットストリームから前記シンボルを復号するために、共通の確率区間でそれらの確率細分化を実行するように、構成され、
シンボルの前記シーケンス(326)の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しており、
所定のシンボルタイプの各シンボルについて、前記高効率モードがアクティブにされている場合には、前記選択は、前記所定のシンボルタイプと関連した確率モデルに依存し、前記確率モデルは、第1のアップデートレートで前記所定のシンボルの前記シンボルに応じて、アップデートされ、
前記所定のシンボルタイプの各シンボルについて、前記低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、前記選択は、前記確率モデルに依存し、前記確率モデルは、前記第1のアップデートレートより低い第2のアップデートレートで前記所定のシンボルタイプの前記シンボルに応じて、間欠的にアップデートされることを特徴とするデコーダ。
【請求項6】
メディアデータが符号化されるデータストリーム(401)を復号するためのデコーダであって、
前記データストリームに応じて、低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするために構成された、モードスイッチ(400)と、
複数のエントロピー復号化方式(322)のうちの選択された一つを使用して、前記データストリームからエントロピー復号化することによって、シンボルのシーケンス(326)の各シンボルを取り出すために構成された、エントロピー復号化エンジン(608)と、
構文要素(327)のシーケンスを得るために、シンボル(326)の前記シーケンスを非記号化するために構成された、デシンボライザ(314)と、
構文要素の前記シーケンスに基づいて、前記メディアデータを再現するために構成された、再現器(404)とを含み、
前記選択は、前記低煩雑性モードおよび前記高効率モードのうちのアクティブにされた一つに依存し、
前記エントロピー復号化エンジンは、前記複数のエントロピー復号化方式の各々が、前記各エントロピー復号化方式が選択された前記シンボルの算術復号化を、前記算術復号化において異なる確率評価を使用する際に互いに異なる前記複数のエントロピー復号化方式と関係させるように、そして、前記複数のエントロピー復号化方式が、一つの共通のビットストリームから前記シンボルを復号するために、共通の確率区間でそれらの確率細分化を実行するように、構成され、
所定のシンボルタイプのシンボルについて、
前記高効率モードがアクティブにされている場合には、確率モード適応は、第1の確率状態精度で定められた確率状態インデックスを用いて実行され、前記選択は、前記第1の確率状態精度で定められた前記確率状態インデックスに依存し、
前記低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、確率モード適応が実行されない、または、前記第1の確率状態精度より低い第2の確率状態精度で定められた確率状態インデックスを用いた確率モード適応が実行され、前記選択は、前記第2の確率状態精度で定められた前記確率状態インデックスに依存することを特徴とするデコーダ。
【請求項7】
前記再現器(404)は、前記高効率モードがアクティブにされているか前記低煩雑性モードがアクティブにされているかとは独立して作動するように構成されることを特徴とする、請求項1?請求項6のいずれかに記載のデコーダ。
【請求項8】
前記再現器(404)は、前記高効率モードがアクティブにされているか前記低煩雑性モードがアクティブにされているかとは独立して、構文要素の前記シーケンスの一部に基づいて、変換係数レベル(202)の変換ブロック(200)を再現するように構成され、構文要素の前記シーケンスの前記一部は、非インターリーブされた方法で、
前記変換ブロック(200)の中のゼロでない変換係数レベルの位置を示している有効性マップを定めている有効性マップ構文要素と、
前記ゼロでない変換係数レベルを定めているレベル構文要素とを含むことを特徴とする、請求項1?請求項7のいずれかに記載のデコーダ。
【請求項9】
前記再現器(404)は、前記高効率モードがアクティブにされているか前記低煩雑性モードがアクティブにされているかとは独立して、構文要素の前記シーケンスの一部に基づいて、変換係数レベル(202)の変換ブロック(200)を再現するように構成され、構文要素の前記シーケンスの前記一部は、非インターリーブされた方法で、
前記変換ブロックの中の最後のゼロでない変換係数レベルの位置を示しているエンド位置構文要素(last_significant_pos_x、last_significant_pos_y)と、
有効性マップを定めると共に、DC位置から前記変換ブロック(200)の中の前記最後のゼロでない変換係数レベルの前記位置に通じている一次元のパス(274)に沿った位置ごとに、前記各位置の前記変換係数レベルがゼロでないかどうかに関して示している第1の構文要素(coeff_significant_flag)と、
前記第1のバイナリの構文要素に従って、ゼロでない変換係数レベルが位置決めされる前記一次元のパス(274)の位置ごとに、前記各位置の前記変換係数レベルが1より大きいものであるかどうかに関して示している第2の構文要素(coeff_abs_greater1)と、
前記第1のバイナリの構文要素に従って、1より大きい変換係数レベルが位置決めされる前記一次元のパスの位置ごとに、前記各位置の前記各変換係数レベルが1を上回る量を表している第3の構文要素(coeff_abs_greater2、coeff_abs_minus3)と、
前記エンド位置構文要素、並びに前記第1の構文要素、前記第2の構文要素、および前記第3の構文要素間の順序は、前記高効率モードおよび前記低煩雑性モードに関して同じであり、
前記選択(402)は、前記高効率モードがアクティブにされているか前記低煩雑性モードがアクティブにされているかに応じて異なって、前記デシンボライザが、前記エンド位置構文要素、前記第1の構文要素、前記第2の構文要素、および/または前記第3の構文要素を得るシンボルに関して、実行されることを特徴とする、請求項1?請求項8のいずれかに記載のデコーダ。
【請求項10】
メディアデータが符号化されるデータストリーム(401)を復号するためのデコーダであって、
前記データストリームに応じて、低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするために構成された、モードスイッチ(400)と、
複数のエントロピー復号化方式(322)のうちの選択された一つを使用して、前記データストリームからエントロピー復号化することによって、シンボルのシーケンス(326)の各シンボルを取り出すために構成された、エントロピー復号化エンジン(608)と、
構文要素(327)のシーケンスを得るために、シンボル(326)の前記シーケンスを非記号化するために構成された、デシンボライザ(314)と、
構文要素の前記シーケンスに基づいて、前記メディアデータを再現するために構成された、再現器(404)とを含み、
前記選択は、前記低煩雑性モードおよび前記高効率モードのうちのアクティブにされた一つに依存し、
前記エントロピー復号化エンジンは、前記複数のエントロピー復号化方式の各々が、前記各エントロピー復号化方式が選択された前記シンボルの算術復号化を、前記算術復号化において異なる確率評価を使用する際に互いに異なる前記複数のエントロピー復号化方式と関係させるように、そして、前記複数のエントロピー復号化方式が、一つの共通のビットストリームから前記シンボルを復号するために、共通の確率区間でそれらの確率細分化を実行するように、構成され、
前記再現器(404)は、前記高効率モードがアクティブにされているか前記低煩雑性モードがアクティブにされているかとは独立して、構文要素の前記シーケンスの一部に基づいて、変換係数レベル(202)の変換ブロック(200)を再現するように構成され、構文要素の前記シーケンスの前記一部は、非インターリーブされた方法で、
前記変換ブロックの中の最後のゼロでない変換係数レベルの位置を示しているエンド位置構文要素(last_significant_pos_x、last_significant_pos_y)と、
有効性マップを定めると共に、DC位置から前記変換ブロック(200)の中の前記最後のゼロでない変換係数レベルの前記位置に通じている一次元のパス(274)に沿った位置ごとに、前記各位置の前記変換係数レベルがゼロでないかどうかに関して示している第1の構文要素(coeff_significant_flag)と、
前記第1のバイナリの構文要素に従って、ゼロでない変換係数レベルが位置決めされる前記一次元のパス(274)の位置ごとに、前記各位置の前記変換係数レベルが1より大きいものであるかどうかに関して示している第2の構文要素(coeff_abs_greater1)と、
前記第1のバイナリの構文要素に従って、1より大きい変換係数レベルが位置決めされる前記一次元のパスの位置ごとに、前記各位置の前記各変換係数レベルが1を上回る量を表している第3の構文要素(coeff_abs_greater2、coeff_abs_minus3)と、
前記エンド位置構文要素、並びに前記第1の構文要素、前記第2の構文要素、および前記第3の構文要素間の順序は、前記高効率モードおよび前記低煩雑性モードに関して同じであり、
前記選択(402)は、前記高効率モードがアクティブにされているか前記低煩雑性モードがアクティブにされているかに応じて異なって、前記デシンボライザが、前記エンド位置構文要素、前記第1の構文要素、前記第2の構文要素、および/または前記第3の構文要素を得るシンボルに関して、実行され、
前記第1のバイナリの構文要素に従って、1より大きい変換係数レベルが位置決めされる前記一次元のパスの位置ごとに、前記各位置の前記各変換係数レベルが1を上回る量を表している前記第3の構文要素は、整数値の構文要素(coeff_abs_minus3)を含み、前記デシンボライザ(314)は、シンボル・シーケンス・ワードのドメインを、前記整数値の構文要素のコドメインにマッピングするために制御パラメータによって制御可能なマッピング関数を使用し、前記高効率モードがアクティブにされている場合には、先の第3の構文要素の整数値の構文要素に応じて、整数値の構文要素ごとに、前記制御パラメータを設定し、そして、前記低煩雑性モードがアクティブにされている場合には、前記設定が前記サブシーケンスの連続するサブパートにわたって一定であるような区分的に一定の方法で、前記設定を実行するように構成され、前記選択(402)は、前記高効率モードおよび前記低煩雑性モードの両方において、等しい確率分布に関連した前記整数値の構文要素にマップされたシンボル・シーケンス・ワードの前記シンボルについて、前記エントロピー復号器(322)又はエントロピー復号化方式のうちの所定の一つを選択することを特徴とするデコーダ。
【請求項11】
シンボルの前記シーケンス(326)の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しており、前記選択は、いくつかの所定のシンボルタイプの各々のシンボルについて、前記各所定のシンボルと関連した各確率モデルに依存し、その結果、
所定のシンボルタイプの数が、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑性モードにおいて、より少ない
ことを特徴とする、請求項1?請求項10のいずれかに記載のデコーダ。
【請求項12】
メディアデータが符号化されるデータストリーム(401)を復号するためのデコーダであって、
前記データストリームに応じて、低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするために構成された、モードスイッチ(400)と、
複数のエントロピー復号化方式(322)のうちの選択された一つを使用して、前記データストリームからエントロピー復号化することによって、シンボルのシーケンス(326)の各シンボルを取り出すために構成された、エントロピー復号化エンジン(608)と、
構文要素(327)のシーケンスを得るために、シンボル(326)の前記シーケンスを非記号化するために構成された、デシンボライザ(314)と、
構文要素の前記シーケンスに基づいて、前記メディアデータを再現するために構成された、再現器(404)とを含み、
前記選択は、前記低煩雑性モードおよび前記高効率モードのうちのアクティブにされた一つに依存し、
前記エントロピー復号化エンジンは、前記複数のエントロピー復号化方式の各々が、前記各エントロピー復号化方式が選択された前記シンボルの算術復号化を、前記算術復号化において異なる確率評価を使用する際に互いに異なる前記複数のエントロピー復号化方式と関係させるように、そして、前記複数のエントロピー復号化方式が、一つの共通のビットストリームから前記シンボルを復号するために、共通の確率区間でそれらの確率細分化を実行するように、構成され、
シンボルの前記シーケンス(326)の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しており、前記選択(402)は、所定のシンボルタイプのシンボルについて、前記所定のシンボルタイプと関連した確率モデルをアップデートするとともに又はアップデートせずに、前記関連した確率モデルに依存し、その結果、
前記所定のシンボルタイプの前記シンボルについての前記選択が、前記アップデートとともに実行されるシンボルの前記シーケンスの学習フェーズの長さが、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑性モードにおいて、より短い
ことを特徴とするデコーダ。
【請求項13】
メディアデータが符号化されるデータストリーム(401)を復号するためのデコーダであって、
前記データストリームに応じて、低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするために構成された、モードスイッチ(400)と、
複数のエントロピー復号化方式(322)のうちの選択された一つを使用して、前記データストリームからエントロピー復号化することによって、シンボルのシーケンス(326)の各シンボルを取り出すために構成された、エントロピー復号化エンジン(608)と、
構文要素(327)のシーケンスを得るために、シンボル(326)の前記シーケンスを非記号化するために構成された、デシンボライザ(314)と、
構文要素の前記シーケンスに基づいて、前記メディアデータを再現するために構成された、再現器(404)とを含み、
前記選択は、前記低煩雑性モードおよび前記高効率モードのうちのアクティブにされた一つに依存し、
前記エントロピー復号化エンジンは、前記複数のエントロピー復号化方式の各々が、前記各エントロピー復号化方式が選択された前記シンボルの算術復号化を、前記算術復号化において異なる確率評価を使用する際に互いに異なる前記複数のエントロピー復号化方式と関係させるように、そして、前記複数のエントロピー復号化方式が、一つの共通のビットストリームから前記シンボルを復号するために、共通の確率区間でそれらの確率細分化を実行するように、構成され、
シンボルの前記シーケンス(326)の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しており、前記選択は、所定のシンボルタイプのシンボルについて、前記所定のシンボルタイプと関連した確率モデルをアップデートするとともに、前記関連した確率モデルに依存し、その結果、
前記アップデートのレートが、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑性モードにおいて、より低い
ことを特徴とするデコーダ。
【請求項14】
シンボルの前記シーケンス(326)の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しており、前記選択は、所定のシンボルタイプのシンボルについて、シンボルの前記シーケンスの先に取り出されたシンボルの数に応じて、いくつかのコンテキストのうちの一つを選択し、前記選択されたコンテキストと関連した確率モデルに応じて、前記エントロピー復号器(322)またはエントロピー復号化方式の中で選択することによって実行され、その結果、
コンテキストの数、および/または、先に取り出されたシンボルの数が、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑性モードにおいて、より少ない、
ことを特徴とする、請求項1?請求項13のいずれかに記載のデコーダ。
【請求項15】
メディアデータが符号化されるデータストリーム(401)を復号するためのデコーダであって、
前記データストリームに応じて、低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするために構成された、モードスイッチ(400)と、
複数のエントロピー復号化方式(322)のうちの選択された一つを使用して、前記データストリームからエントロピー復号化することによって、シンボルのシーケンス(326)の各シンボルを取り出すために構成された、エントロピー復号化エンジン(608)と、
構文要素(327)のシーケンスを得るために、シンボル(326)の前記シーケンスを非記号化するために構成された、デシンボライザ(314)と、
構文要素の前記シーケンスに基づいて、前記メディアデータを再現するために構成された、再現器(404)とを含み、
前記選択は、前記低煩雑性モードおよび前記高効率モードのうちのアクティブにされた一つに依存し、
前記エントロピー復号化エンジンは、前記複数のエントロピー復号化方式の各々が、前記各エントロピー復号化方式が選択された前記シンボルの算術復号化を、前記算術復号化において異なる確率評価を使用する際に互いに異なる前記複数のエントロピー復号化方式と関係させるように、そして、前記複数のエントロピー復号化方式が、一つの共通のビットストリームから前記シンボルを復号するために、共通の確率区間でそれらの確率細分化を実行するように、構成され、
シンボルの前記シーケンス(326)の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しており、前記選択(402)は、所定のシンボルタイプのシンボルについて、前記所定のシンボルタイプと関連した確率モデルに依存し、前記所定のシンボルタイプのy個の最新のシンボルに基いて前記所定のタイプのx番目のシンボルごとに、前記関連した確率モデルがアップデートされ、その結果、
比率x/yが、前記高効率モードに比べて、前記低煩雑性モードにおいて、より高い、
ことを特徴とするデコーダ。
【請求項16】
メディアデータが符号化されるデータストリーム(401)を復号するためのデコーダであって、
前記データストリームに応じて、低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするために構成された、モードスイッチ(400)と、
複数のエントロピー復号化方式(322)のうちの選択された一つを使用して、前記データストリームからエントロピー復号化することによって、シンボルのシーケンス(326)の各シンボルを取り出すために構成された、エントロピー復号化エンジン(608)と、
構文要素(327)のシーケンスを得るために、シンボル(326)の前記シーケンスを非記号化するために構成された、デシンボライザ(314)と、
構文要素の前記シーケンスに基づいて、前記メディアデータを再現するために構成された、再現器(404)とを含み、
前記選択は、前記低煩雑性モードおよび前記高効率モードのうちのアクティブにされた一つに依存し、
前記エントロピー復号化エンジンは、前記複数のエントロピー復号化方式の各々が、前記各エントロピー復号化方式が選択された前記シンボルの算術復号化を、前記算術復号化において異なる確率評価を使用する際に互いに異なる前記複数のエントロピー復号化方式と関係させるように、そして、前記複数のエントロピー復号化方式が、一つの共通のビットストリームから前記シンボルを復号するために、共通の確率区間でそれらの確率細分化を実行するように、構成され、
シンボルのシーケンス(326)の各シンボルは、複数のシンボルタイプのそれぞれと関連しており、前記シンボルタイプと関連した前記確率モデルは、計算および構文要素が、前記高効率モードと前記低煩雑性モードとでそれぞれ同じであるが、前記計算結果の分解能が前記高効率モードおよび前記低煩雑性モードにおいてより低い前記データストリームの構文要素を用いた計算に基いて、初期化されることを特徴とするデコーダ。
【請求項17】
データストリーム(601)にメディアデータを符号化するためのエンコーダであって、
低煩雑性モードまたは高効率モードのアクティブ化を前記データストリームの中で示すように構成された、インサータ(500)と、
前記メディアデータを構文要素のシーケンスにプレコーディングするように構成された、再現器(504)と、
構文要素(327)の前記シーケンスを、シンボルのシーケンスに記号化するように構成されたシンボライザ(507)と、
複数のエントロピー符号化方式の選択された一つを使用して、シンボルの前記シーケンスの各シンボルを、前記データストリームに符号化するように構成されたエントロピー符号化エンジン(710)とを含み、
前記エントロピー符号化エンジンは、前記低煩雑性モードおよび前記高効率モードの前記アクティブ化された一つに応じて、前記選択を実行するように構成され、
前記エントロピー符号化エンジンは、前記複数のエントロピー符号化方式の各々が、前記各エントロピー符号化方式が選択された前記シンボルの算術符号化を、前記算術符号化において異なる確率推定を使用する際に互いに異なる前記複数のエントロピー符号化方式と関係させるように、そして、前記複数のエントロピー符号化方式が、一つの共通のビットストリームに前記シンボルを符号化するために、共通の確率区間でそれらの確率細分化を実行するように、構成され、
前記エントロピー符号化エンジンは、全てのエントロピー符号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成されることを特徴とする、エンコーダ。
【請求項18】
メディアデータが符号化されるデータストリーム(401)を復号するための方法であって、
前記データストリームに応じて、低煩雑性モードまたは高効率モードをアクティブにするステップと、
構文要素(327)のシーケンスを得るために、シンボル(326)の前記シーケンスを非記号化している複数のエントロピー復号化方式(322)の選択された一つを使用して、前記データストリームからエントロピー復号化によってシンボルのシーケンス(326)の各シンボルを取り出すステップと、
構文要素の前記シーケンスに基づいて、前記メディアデータを再現するステップとを含み、
前記複数のエントロピー復号化方式(322)の中の前記選択は、前記低煩雑性モードおよび前記高効率モードのうちの前記アクティブ化された一つに応じて実行され、
前記取り出すステップは、前記複数のエントロピー復号化方式の各々が、前記各エントロピー復号化方式が選択された前記シンボルの算術復号化を、前記算術復号化において異なる確率推定を使用する際に互いに異なる前記複数のエントロピー復号化方式と関係させるように、そして、前記複数のエントロピー復号化方式が、一つの共通のビットストリームから前記シンボルを復号するために、共通の確率区間でそれらの確率細分化を実行するように、実行され、
全てのエントロピー復号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成される、
ことを特徴とする、方法。
【請求項19】
メディアデータをデータストリームに符号化するための方法であって、
低煩雑性モードまたは高効率モードのアクティブ化を前記データストリームの中で示すステップと、
前記メディアデータを構文要素のシーケンスにプレコーディングするステップと、
構文要素の前記シーケンスを、シンボルのシーケンスに記号化するステップと、
複数のエントロピー符号化方式の選択された一つを使用して、シンボルの前記シーケンスの各シンボルを、前記データストリームに符号化するステップとを含み、
前記複数のエントロピー符号化方式の中の前記選択が、前記低煩雑性モードおよび前記高効率モードの前記アクティブ化された一つに応じて、実行され、
前記符号化するステップは、前記複数のエントロピー符号化方式の各々が、前記各エントロピー符号化方式が選択された前記シンボルの算術符号化を、前記算術符号化において異なる確率推定を使用する際に互いに異なる前記複数のエントロピー符号化方式と関係させるように、そして、前記複数のエントロピー符号化方式が、一つの共通のビットストリームに前記シンボルを符号化するために、共通の確率区間でそれらの確率細分化を実行するように、実行され、
全てのエントロピー符号化方式について、ただ1つの確率区間幅値Rおよびオフセット状態値Vが処理されるように、構成される、
ことを特徴とする、方法。
【請求項20】
コンピュータ上で動作するときに、請求項18または請求項19に記載の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【図面】






















 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-12-20 
結審通知日 2019-12-24 
審決日 2020-01-07 
出願番号 特願2014-515231(P2014-515231)
審決分類 P 1 41・ 855- Y (H03M)
P 1 41・ 853- Y (H03M)
P 1 41・ 852- Y (H03M)
P 1 41・ 856- Y (H03M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 北村 智彦  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 中野 浩昌
岡本 正紀
登録日 2016-06-17 
登録番号 特許第5952900号(P5952900)
発明の名称 エントロピー符号化をサポートするモード切替  
代理人 岡田 全啓  
代理人 岡田 全啓  

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