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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1359950 |
審判番号 | 不服2018-16549 |
総通号数 | 244 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-12-11 |
確定日 | 2020-02-13 |
事件の表示 | 特願2014-139576「プログラム、情報処理装置、コミュニケーションシステム及びコミュニケーション方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月 1日出願公開、特開2016- 18313〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成26年7月7日の出願であって,平成30年3月12日付けで拒絶の理由が通知され,同年5月16日に意見書とともに手続補正書が提出され,同年9月7日付けで拒絶査定(謄本送達日同年9月11日)がなされ,これに対して同年12月11日に審判請求がなされるとともに手続補正がなされ,平成31年2月6日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされたものである。 第2 平成30年12月11日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年12月11日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正により,平成30年5月16日の手続補正により補正された特許請求の範囲, 「 【請求項1】 第1のユーザに使用される第1の情報処理装置であって、第2のユーザに使用される第2の情報処理装置と通信可能な第1の情報処理装置のコンピュータを、 撮像手段により撮像された前記第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1の情報処理装置に表示させるように制御する表示制御手段 として機能させるためのプログラムであって、 前記表示制御手段は、前記第2の情報処理装置からの着信時における前記第1のユーザの操作に応じて、前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像のいずれかを選択的に表示させる プログラム。 【請求項2】 前記コミュニケーションがリアルタイムコミュニケーションである 請求項1に記載のプログラム。 【請求項3】 前記表示制御手段は、前記コミュニケーションの途中で、前記第2の情報処理装置に表示させる画像を前記第1の撮像画像及び前記第1のキャラクタ画像の一方から他方に切り替え、 前記決定手段は、前記第2の情報処理装置に表示させる画像が前記第1の撮像画像から前記第1のキャラクタ画像に切り替わる場合に、切り替え前の前記第1の撮像画像に基づいて当該第1のキャラクタ画像を決定する 請求項1又は2に記載のプログラム。 【請求項4】 前記取得手段は、前記第2の情報処理装置からの着信を契機として前記撮像手段に撮像を要求する 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプログラム。 【請求項5】 前記第1の情報処理装置は、前記第1のユーザを含む複数のユーザが使用可能であり、 前記コミュニケーションは、前記複数のユーザのいずれかを宛先とし、 前記コンピュータを、 前記第1のユーザを前記第1の撮像画像に基づいて特定し、当該第1のユーザが前記コミュニケーションの宛先であるか否かによって前記着信に対する応答を異ならせる応答制御手段としてさらに機能させる 請求項4に記載のプログラム。 【請求項6】 前記決定手段は、前記第1のユーザの顔の特徴に基づいて前記第1のキャラクタ画像を決定する 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプログラム。 【請求項7】 前記決定手段は、前記第1のキャラクタ画像を、あらかじめ登録された複数のキャラクタ画像の中から前記特徴に応じて決定する 請求項6に記載のプログラム。 【請求項8】 前記第1の情報処理装置は、複数のユーザが使用可能であり、 前記決定手段は、前記第1のキャラクタ画像を、前記複数のユーザについてあらかじめ登録された前記複数のキャラクタ画像の中から前記特徴に応じて決定する 請求項6に記載のプログラム。 【請求項9】 前記決定手段は、前記特徴に基づいて前記第1のキャラクタ画像を生成する 請求項6に記載のプログラム。 【請求項10】 前記第1のキャラクタ画像は、複数の部位別のパーツによって構成され、 前記決定手段は、前記パーツを前記部位毎に選択して前記第1のキャラクタ画像を決定する 請求項9に記載のプログラム。 【請求項11】 撮像手段により撮像された第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを当該第2のユーザに使用される他の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを自装置に表示させるように制御する表示制御手段と を備え、 前記表示制御手段は、前記他の情報処理装置からの着信時における前記第1のユーザの操作に応じて、前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像のいずれかを選択的に表示させる 情報処理装置。 【請求項12】 複数の情報処理装置を備え、 各々の情報処理装置は、 撮像手段により撮像されたユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像を表す撮像データと前記決定手段により決定された第1のキャラクタ画像を表示させるためのデータの少なくともいずれかを他の情報処理装置に送信し、当該他の情報処理装置の前記取得手段により取得された第2の撮像画像を表す撮像データと当該他の情報処理装置の前記決定手段により決定された第2のキャラクタ画像を表示させるためのデータの少なくともいずれかを受信する通信手段と、 前記通信手段により受信されたデータを用いて前記第2の撮像画像と前記第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを表示する表示手段とを備え、 前記通信手段は、前記他の情報処理装置からの着信時における前記ユーザの操作に応じて、前記第1の撮像画像を表す撮像データと前記第1のキャラクタ画像を表示させるためのデータのいずれかを選択的に送信する コミュニケーションシステム。 【請求項13】 撮像手段により撮像された第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 前記第1のユーザと第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを当該第2のユーザに使用される情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを当該第1のユーザに使用される情報処理装置に表示させるように制御する表示制御手段と を備え、 前記表示制御手段は、前記第1のユーザに使用される情報処理装置において前記第2のユーザに使用される情報処理装置からの着信を検知した際に行われる前記第1のユーザの操作に応じて、前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像のいずれかを選択的に表示させる コミュニケーションシステム。 【請求項14】 第1のユーザに対応する第1の撮像画像と、第2のユーザに対応する第2の撮像画像とをそれぞれ撮像し、 前記第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像と、前記第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像とをそれぞれ決定し、 前記第1のユーザと前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第2の撮像画像と前記第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1のユーザに使用される第1の情報処理装置に表示するとともに、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2のユーザに使用される第2の情報処理装置に表示する コミュニケーション方法であって、 前記第1のユーザに使用される情報処理装置において前記第2のユーザに使用される情報処理装置からの着信を検知した際に行われる前記第1のユーザの操作に応じて、前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像のいずれかを選択的に表示する コミュニケーション方法。 【請求項15】 第1のユーザに使用される第1の情報処理装置であって、第2のユーザに使用される第2の情報処理装置と通信可能な第1の情報処理装置のコンピュータを、 前記第1のユーザを認証するために撮像手段により撮像された前記第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1の情報処理装置に表示させるように制御する表示制御手段 として機能させるためのプログラム。 【請求項16】 第1のユーザに使用される第1の情報処理装置であって、第2のユーザに使用される第2の情報処理装置と通信可能な第1の情報処理装置のコンピュータを、 撮像手段により撮像された前記第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1の情報処理装置に表示させるように制御する表示制御手段 として機能させるためのプログラムであって、 前記第1の情報処理装置は、前記第1のユーザを含む複数のユーザが使用可能であり、 前記コミュニケーションは、前記複数のユーザのいずれかを宛先とし、 前記コンピュータを、 前記第1のユーザを前記第1の撮像画像に基づいて特定し、当該第1のユーザが前記コミュニケーションの宛先であるか否かによって前記第2の情報処理装置からの着信に対する応答を異ならせる応答制御手段としてさらに機能させる プログラム。」(以下,上記引用の請求項各項を「補正前の請求項」という)は, 「 【請求項1】 第1のユーザに使用される第1の情報処理装置であって、第2のユーザに使用される第2の情報処理装置と通信可能な第1の情報処理装置のコンピュータを、 前記第1のユーザを認証するために撮像手段により撮像された前記第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1の情報処理装置に表示させるように制御する表示制御手段 として機能させるためのプログラム。 【請求項2】 第1のユーザに使用される第1の情報処理装置であって、第2のユーザに使用される第2の情報処理装置と通信可能な第1の情報処理装置のコンピュータを、 撮像手段により撮像された前記第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1の情報処理装置に表示させるように制御する表示制御手段 として機能させるためのプログラムであって、 前記第1の情報処理装置は、前記第1のユーザを含む複数のユーザが使用可能であり、 前記コミュニケーションは、前記複数のユーザのいずれかを宛先とし、 前記コンピュータを、 前記第1のユーザを前記第1の撮像画像に基づいて特定し、当該第1のユーザが前記コミュニケーションの宛先であるか否かによって前記第2の情報処理装置からの着信に対する応答を異ならせる応答制御手段としてさらに機能させる プログラム。 【請求項3】 第1のユーザを認証するために撮像手段により撮像された前記第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを当該第2のユーザに使用される他の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを自装置に表示させるように制御する表示制御手段と を備える情報処理装置。 【請求項4】 撮像手段により撮像された第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを当該第2のユーザに使用される他の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを自装置に表示させるように制御する表示制御手段と を備え、 自装置は、前記第1のユーザを含む複数のユーザが使用可能であり、 前記コミュニケーションは、前記複数のユーザのいずれかを宛先とし、 前記第1のユーザを前記第1の撮像画像に基づいて特定し、当該第1のユーザが前記コミュニケーションの宛先であるか否かによって前記他の情報処理装置からの着信に対する応答を異ならせる応答制御手段をさらに備える 情報処理装置。 【請求項5】 複数の情報処理装置を備え、 各々の情報処理装置は、 ユーザを認証するために撮像手段により撮像された前記ユーザに対応する撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された撮像画像に応じたキャラクタ画像を決定する決定手段と、 前記取得手段により取得された撮像画像を表す撮像データと前記決定手段により決定されたキャラクタ画像を表示させるためのデータの少なくともいずれかを他の情報処理装置に送信し、当該他の情報処理装置の前記取得手段により取得された撮像画像を表す撮像データと当該他の情報処理装置の前記決定手段により決定されたキャラクタ画像を表示させるためのデータの少なくともいずれかを受信する通信手段と、 前記通信手段により受信されたデータを用いて前記撮像画像と前記キャラクタ画像の少なくともいずれかを表示する表示手段とを備える コミュニケーションシステム。 【請求項6】 複数の情報処理装置を備え、 各々の情報処理装置は、 撮像手段により撮像されたユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 他の情報処理装置とのコミュニケーションにおいて、前記取得手段により取得された第1の撮像画像を表す撮像データと前記決定手段により決定された第1のキャラクタ画像を表示させるためのデータの少なくともいずれかを前記他の情報処理装置に送信し、当該他の情報処理装置の前記取得手段により取得された第2の撮像画像を表す撮像データと当該他の情報処理装置の前記決定手段により決定された第2のキャラクタ画像を表示させるためのデータの少なくともいずれかを受信する通信手段と、 前記通信手段により受信されたデータを用いて前記第2の撮像画像と前記第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを表示する表示手段とを備え、 前記ユーザを含む複数のユーザが使用可能であり、 前記コミュニケーションは、前記複数のユーザのいずれかを宛先とし、 前記ユーザを前記第1の撮像画像に基づいて特定し、当該ユーザが前記コミュニケーションの宛先であるか否かによって前記他の情報処理装置からの着信に対する応答を異ならせる応答制御手段をさらに備える コミュニケーションシステム。 【請求項7】 第1のユーザを認証するために撮像手段により撮像された前記第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを当該第2のユーザに使用される他の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを自システムに表示させるように制御する表示制御手段と を備えるコミュニケーションシステム。 【請求項8】 撮像手段により撮像された第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを当該第2のユーザに使用される他の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを自システムに表示させるように制御する表示制御手段と を備え、 自システムは、前記第1のユーザを含む複数のユーザが使用可能であり、 前記コミュニケーションは、前記複数のユーザのいずれかを宛先とし、 前記第1のユーザを前記第1の撮像画像に基づいて特定し、当該第1のユーザが前記コミュニケーションの宛先であるか否かによって前記他の情報処理装置からの着信に対する応答を異ならせる応答制御手段をさらに備える コミュニケーションシステム。 【請求項9】 第1のユーザを認証するために当該第1のユーザに対応する第1の撮像画像を撮像し、 第2のユーザを認証するために当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像を撮像し、 前記第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像と、前記第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像とをそれぞれ決定し、 前記第1のユーザと前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第2の撮像画像と前記第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1のユーザに使用される第1の情報処理装置に表示するとともに、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2のユーザに使用される第2の情報処理装置に表示する コミュニケーション方法。 【請求項10】 第1のユーザに対応する第1の撮像画像と、第2のユーザに対応する第2の撮像画像とをそれぞれ撮像し、 前記第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像と、前記第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像とをそれぞれ決定し、 前記第1のユーザと前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第2の撮像画像と前記第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1のユーザに使用される第1の情報処理装置に表示するとともに、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2のユーザに使用される第2の情報処理装置に表示し、 前記第1の情報処理装置は、前記第1のユーザを含む複数のユーザが使用可能であり、 前記コミュニケーションは、前記複数のユーザのいずれかを宛先とし、 前記第1のユーザを前記第1の撮像画像に基づいて特定し、当該第1のユーザが前記コミュニケーションの宛先であるか否かによって前記第2の情報処理装置からの着信に対する応答を異ならせる コミュニケーション方法。」(下線は審判請求人が付したものである。以下,上記引用の請求項各項を「補正後の請求項」という。)に補正された。 2 補正事項 (1)補正事項1 補正前の請求項1乃至14を削除し,補正前の請求項15を補正後の請求項1に,補正前の請求項16を補正後の請求項2とする補正。 (2)補正事項2 補正前の請求項15及び16に係る発明につき,末尾を「情報処理装置」と改めるとともに,補正後の請求項3及び4を新設する補正。 (3)補正事項3 補正後の請求項5乃至10を新たに追加する補正。 3 目的要件 本件補正が,特許法17条の2第5項の規定を満たすものであるか否か,即ち,本件補正が,特許法17条の2第5項に規定する請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法36条5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるかについて,以下に検討する。 (1)補正事項1について 補正事項1は,補正前の請求項1乃至14を削除するものであるから,特許法17条の2第5項1号に定める,請求項の削除を目的としたものと認められる。 (2)補正事項2について 補正後の請求項3は,補正前の請求項15が「第1のユーザに使用される第1の情報処理装置であって、第2のユーザに使用される第2の情報処理装置と通信可能な第1の情報処理装置のコンピュータを、…取得手段と、…決定手段と、…表示制御手段として機能させるためのプログラム。」であったものに対し,末尾を「情報処理装置」とし,「…取得手段と、…決定手段と、…表示制御手段とを備える情報処理装置。」としたものであって,単にカテゴリー表現を異ならせたものといえる。 補正後の請求項4は,補正前の請求項16について,上記と同様にカテゴリー表現を異ならせたものといえるものの,補正事項2は,特許法17条の2第5項に規定する何れかを目的としたものであるとはいえない。 (3)補正事項3について 補正事項3は,補正前に存在しなかった補正後の請求項5乃至10を新たに追加するものである。 審判請求人は,審判請求書において,次のように主張している。(下線は当審で説明のために付加。以下同様。) 「(1)補正の根拠の明示 出願人は、本審判請求書と同日付けで提出する手続補正書において特許請求の範囲を補正しています。主な補正内容は以下の通りです。 ア.請求項1-14を削除しています。 イ.請求項15と比較して発明のカテゴリー表現のみが異なる請求項3、5、7及び9を追加しています。これらの請求項は、出願時の請求項17-20において、ユーザを認証するために撮像が行われることを明示することで作成されています。 ウ.請求項16と比較して発明のカテゴリー表現のみが異なる請求項4、6、8及び10を追加しています。これらの請求項は、出願時の請求項17-20に出願時の請求項11の内容を追加することで作成されています。 以上述べた補正は、特許法第17条の2第3項乃至第5項に規定する要件を満たすものであると考えます。」 この主張によれば,補正後の請求項5,7及び9は補正前の請求項15に対し,補正後の請求項6,8及び10は補正前の請求項16に対し,単に「カテゴリー表現のみが異なる」ものであるとの主張であるので,以下,これら補正後の請求項5,7及び9並びに補正後の請求項6,8及び10が,それぞれ補正前の請求項15及び補正前の請求項16に対して,単にカテゴリー表現のみが異なるものといえるか否かについて,検討する。 ア 補正後の請求項5について 補正後の請求項5は,補正前の請求項15に対し,次のような補正事項A乃至補正事項Dを含んでいる。 (ア)補正事項A 補正前の請求項15の「第1のユーザに使用される第1の情報処理装置であって、第2のユーザに使用される第2の情報処理装置と通信可能な第1の情報処理装置のコンピュータを、…(中略)…として機能させるプログラム」との特定事項を削除し,補正後の請求項5において「複数の情報処理装置を備え、各々の情報処理装置は、…(中略)…備えるコミュニケーションシステム。」と変更する補正。 (イ)補正事項B 補正前の請求項15の「前記第1のユーザを認証するために撮像手段により撮像された前記第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段」との特定事項に対し,補正後の請求項5においては,「第1のユーザ」を単に「ユーザ」とし,「第1の撮像画像」を単に「撮像画像」と変更する補正。 (ウ)補正事項C 補正前の請求項15の「前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段」との特定事項に対し,補正後の請求項5においては,「第1の撮像画像」を単に「撮像画像」とし,「第1のキャラクタ画像」を単に「キャラクタ画像」と変更する補正。 (エ)補正事項D 補正前の請求項15の「前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1の情報処理装置に表示させるように制御する表示制御手段」との特定事項を削除し,補正後の請求項5においては,新たに「前記取得手段により取得された撮像画像を表す撮像データと前記決定手段により決定されたキャラクタ画像を表示させるためのデータの少なくともいずれかを他の情報処理装置に送信し、当該他の情報処理装置の前記取得手段により取得された撮像画像を表す撮像データと当該他の情報処理装置の前記決定手段により決定されたキャラクタ画像を表示させるためのデータの少なくともいずれかを受信する通信手段」及び「前記通信手段により受信されたデータを用いて前記撮像画像と前記キャラクタ画像の少なくともいずれかを表示する表示手段」を追加する補正。 イ 補正事項A乃至Dについての判断 上記補正事項A乃至補正事項Dは,特許法17条の2第5項に定める,請求項の削除,特許請求の範囲の減縮(特許法36条5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る),誤記の訂正,或いは,明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものでないことは明らかである。 (4)目的要件むすび したがって,本件補正は,補正後の請求項6乃至10に係る補正事項について検討するまでもなく,特許法17条の2第5項の規定を満たしているとはいえない。 4 補正却下むすび 以上のとおりであるから,本件補正は,特許法17条の2第5項の規定に違反するものであり,特許法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成30年12月11日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成30年5月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,明細書及び図面の記載からみて,その請求項1に記載された事項により特定される,上記第2[理由]1に,補正前の請求項1として記載された次のとおりのものである。 「 【請求項1】 第1のユーザに使用される第1の情報処理装置であって、第2のユーザに使用される第2の情報処理装置と通信可能な第1の情報処理装置のコンピュータを、 撮像手段により撮像された前記第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と、 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と、 前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2の情報処理装置に表示させるとともに、当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1の情報処理装置に表示させるように制御する表示制御手段 として機能させるためのプログラムであって、 前記表示制御手段は、前記第2の情報処理装置からの着信時における前記第1のユーザの操作に応じて、前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像のいずれかを選択的に表示させる プログラム。」 2 原査定の拒絶の理由の概要 この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項 1,2,4,11-14 ・引用文献等 1,2 (以下省略) <引用文献等一覧> 1.特開2003-37826号公報 2.特開2002-125208号公報 (以下省略) 3 引用例 (1)引用例1に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用した,本願の出願前に既に公知である,特開2003-37826号公報(平成15年2月7日公開。以下,これを「引用例1」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 A 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、話者の音声の内容に合わせて話者の代理画像を生成し、表示する代理画像表示装置、および話者の音声と話者の画像(または話者の代理画像)を互いに送受しながら通話を行うテレビ電話装置に関する。 【0002】 【従来の技術】最近では、音声による通話を行う際にお互いの姿を撮影した画像も一緒に送受しあうことのできる、いわゆるテレビ電話装置が実用化されており、一部で普及し始めている。このようなテレビ電話装置を用いることにより、例えば、祖父や祖母が離れた土地に住んでいる孫の顔を見ながら通話したり、恋人同士がお互いの顔を見ながら通話することができるなど、音声のみをやりとりする従来の電話機に比べて、コミュニケーションをより豊かにすることができる。 【0003】また、一般的なテレビ電話装置では、基本的に話者を撮影した画像をほぼそのまま通話相手に送るか、あるいは画像を送らないかの2通りを選択することができるようになっている。また、プライバシー保護、あるいはエンターテイメント性の向上等の観点から、各種のキャラクタ画像を話者の画像を代理する代理画像として通話相手に送る手法も提案されている。」 B 「【0029】図1は、第1の実施形態のテレビ電話装置の構成を示す図である。図1に示すテレビ電話装置100は、カメラ1、ハンドセット2、表示部3、操作部4、制御部5、通信処理部6、メモリIF(インタフェース)部7を含んで構成されている。 【0030】カメラ1は、テレビ電話装置100を用いて通話を行う利用者(話者)を撮影するためのものである。ハンドセット2は、マイクロホン2aおよびスピーカ2bを備えており、話者の発声した音声をマイクロホン2aによって集音し、音声信号に変換して制御部5に出力するとともに、制御部5から出力される音声信号に基づいて通話相手の音声をスピーカ2bから出力する。 【0031】表示部3は、操作内容(例えば、電話番号等)やテレビ電話装置100の動作状態などの表示を行う。また表示部3は、通話相手から音声とともに画像が送られてきている場合に、この通話相手の画像を表示する。操作部4は、通話相手の電話番号の入力や各種の設定などの操作指示を行うためのものであり、各種の操作キーを備えている。 【0032】制御部5は、音声および画像を送受して通話を行うためにテレビ電話装置100の全体動作を制御するものである。具体的には、制御部5は、話者の音声と、カメラ1によって撮影される話者の画像(以後、「自画像」と称する)、あるいはこの自画像の代わりとなる画像(以後、「代理画像」と称する)を通話相手に送信する処理や、通話相手から送られる音声や画像を受信してハンドセット2や表示部3に出力するなどの制御を行う。一般的には、この制御部5は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアを用いて所定の動作プログラムを実行することによりその機能が実現される。なお、制御部5内に備わった各構成の詳細については後述する。 【0033】通信処理部6は、通話相手との通話を行うために必要な所定の通信処理を行う。具体的には、通信処理部6は、制御部5から出力される画像(代理画像または自画像)および音声を通話相手に送信する処理と、通話相手から送られてくる画像および音声を受信して制御部5に出力する処理を行う。 【0034】メモリIF部7は、制御部5がメモリ・カード50に格納されたデータを読み取る際のインタフェース部である。メモリ・カード50は、半導体メモリによって構成されたデータ記憶媒体である。本実施形態では、このメモリ・カード50に所望の画像データを格納してメモリIF部7に挿入し、制御部5に画像データを読み取らせることにより、代理画像の内容を任意に設定することができるようになっている。代理画像の詳細については後述する。」 C 「【0035】次に、制御部5の詳細構成について説明する。制御部5は、音声認識部10、代理画像メモリ12、代理画像生成部14、音声遅延処理部16、送信画像設定部18を備えている。音声認識部10は、ハンドセット2内のマイクロホン2aによって集音される話者の音声に対して所定の音声認識処理を行い、発音内容を判別する。具体的には、本実施形態の音声認識部10は、話者の音声に対して、日本語の5つの母音「ア、イ、ウ、エ、オ」と撥音「ン」とを合わせた6種類の発音内容を着目音として抽出している。例えば、話者が発声した音声が「あ」、「か」、「さ」、…、「わ」のいずれの場合においても、音声認識部10は、発音内容が母音の「ア」であることを特定する。 【0036】代理画像メモリ12は、上述した6種類の発音内容のそれぞれに対応する口の形状を有する6種類の代理画像(静止代理画像)を格納している。図2は、代理画像メモリ12に格納される6種類の代理画像の一例を示す図である。図2に示すように、代理画像メモリ12には、上述した6種類の発音内容「ア、イ、ウ、エ、オ、ン」のそれぞれに対応した口の形状を有する6種類の代理画像が格納されている。具体的には、図2(a)に示す代理画像150aが「ア」、図2(b)に示す代理画像150bが「イ」、図2(c)に示す代理画像150cが「ウ」、図2(d)に示す代理画像150dが「エ」、図2(e)に示す代理画像150eが「オ」、図2(f)に示す代理画像150fが「ン」、にそれぞれ対応している。 【0037】なお、図2に示す例では、所定のキャラクタ画像を用いた代理画像が示されているが、これ以外にも、話者が自分で6種類の発音内容のそれぞれに対応した顔をカメラ1によって撮影して得られた画像や、デジタルカメラやスキャナ等を用いて作成された画像、あるいはインターネットなどの各種媒体を通じて入手した任意のキャラクタ画像(例えば、男性キャラクタ、女性キャラクタ、動物を模したキャラクタ、マンガ等の登場キャラクタなどの画像)などを代理画像として用いてもよい。また、いくつかのキャラクタ画像、あるいは複数の話者(例えば、家族など)のそれぞれが自分の顔を撮影して作成した画像を選択的に使用できるようにしてもよい。」 D 「【0042】上述したように着信時における話者は、起床直後等で服装や頭髪が整っていない場合など、自分の画像がすぐに相手に送信されることを望まない場合が多いので、最初に代理画像を送信し、話者の切替指示がなされた場合に話者の画像を送信することにより、話者のプライバシーを保護することができる利点がある。また発信時には、選択指示に応じて送信対象の画像を設定しているので、話者が自分の意志に沿って送信対象の画像を自由に設定することができる。」 E 「【0048】また、所定の発信操作が行われていない場合には、上述したステップ100で否定判断が行われ、この場合に制御部5は、相手先からの電話を着信したか否かを判定する(ステップ105)。電話を着信していない場合には、ステップ105で否定判断が行われ、この場合には上述したステップ100に戻り、以降の処理が繰り返される。 【0049】また、電話を着信した場合には、ステップ105で肯定判断が行われ、この場合に制御部5内の送信画像設定部18は、送信対象とする画像の種別を自動的に代理画像に設定する(ステップ106)。その後、制御部5は、上述したステップ102に移り、それ以降の処理を行う。」 (2)引用発明 ア 上記記載事項Aの「【発明の属する技術分野】本発明は、話者の音声の内容に合わせて話者の代理画像を生成し、表示する代理画像表示装置、および話者の音声と話者の画像(または話者の代理画像)を互いに送受しながら通話を行うテレビ電話装置に関する。」との記載事項,及び「【従来の技術】…(中略)…一般的なテレビ電話装置では、基本的に話者を撮影した画像をほぼそのまま通話相手に送るか、あるいは画像を送らないかの2通りを選択することができるようになっている。また、プライバシー保護、あるいはエンターテイメント性の向上等の観点から、各種のキャラクタ画像を話者の画像を代理する代理画像として通話相手に送る手法も提案されている。」との記載事項により,引用例1から,“話者の音声の内容に合わせて話者の代理画像を生成し,表示する代理画像表示装置,および話者の音声と話者の画像(または話者の代理画像)を互いに送受しながら通話を行うテレビ電話装置であって, 従来,一般的なテレビ電話装置では,基本的に話者を撮影した画像をほぼそのまま通話相手に送るか,あるいは画像を送らないかの2通りを選択することができるようになっていて,プライバシー保護,あるいはエンターテイメント性の向上等の観点から,各種のキャラクタ画像を話者の画像を代理する代理画像として通話相手に送る手法が提案されていることを背景とし”たものであることを読み取ることができる。 イ 上記記載事項Bの「図1に示すテレビ電話装置100は、カメラ1、ハンドセット2、表示部3、操作部4、制御部5、通信処理部6、メモリIF(インタフェース)部7を含んで構成されている。」との記載及び上記アの認定により,引用例1から,“前記テレビ電話装置は,カメラ1,ハンドセット2,表示部3,操作部4,制御部5,通信処理部6,メモリIF(インタフェース)部7を含んで構成され”ていることを読み取ることができる。 また同じく記載事項Bの,「カメラ1は、テレビ電話装置100を用いて通話を行う利用者(話者)を撮影するためのものである。」との記載,及び「表示部3は、操作内容(例えば、電話番号等)やテレビ電話装置100の動作状態などの表示を行う。また表示部3は、通話相手から音声とともに画像が送られてきている場合に、この通話相手の画像を表示する。」との記載により,引用例1から,“前記カメラ1は,テレビ電話装置を用いて通話を行う利用者(話者)を撮影するためのもの”であること,及び“前記表示部3は,操作内容(例えば,電話番号等)やテレビ電話装置の動作状態などの表示を行い,通話相手から音声とともに画像が送られてきている場合に,この通話相手の画像を表示”することを読み取ることができる。 ウ 上記記載事項Bの「制御部5は、音声および画像を送受して通話を行うためにテレビ電話装置100の全体動作を制御するものである。具体的には、制御部5は、話者の音声と、カメラ1によって撮影される話者の画像(以後、「自画像」と称する)、あるいはこの自画像の代わりとなる画像(以後、「代理画像」と称する)を通話相手に送信する処理や、通話相手から送られる音声や画像を受信してハンドセット2や表示部3に出力するなどの制御を行う。」との記載及び上記アの認定により,引用例1から,“前記制御部5は,音声および画像を送受して通話を行うためにテレビ電話装置の全体動作を制御し,話者の音声と,カメラ1によって撮影される話者の画像(以後,「自画像」と称する),あるいはこの自画像の代わりとなる画像(以後,「代理画像」と称する)を通話相手に送信する処理”を行うことを読み取ることができる。 また同じく記載事項Bの「一般的には、この制御部5は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアを用いて所定の動作プログラムを実行することによりその機能が実現される。」との記載から,「制御部5」は,「動作プログラム」が「ROM、RAM等のハードウェアを用いて」実行されることによって機能するものであることが理解され,当該「制御部5」を備える引用例1の「テレビ電話装置」は,“プログラムによって制御されるコンピュータ”であることも読み取ることができるから,上記認定と併せ,引用例1から“前記制御部5は,音声および画像を送受して通話を行うためにテレビ電話装置の全体動作を制御し,話者の音声と,カメラ1によって撮影される話者の画像(以後,「自画像」と称する),あるいはこの自画像の代わりとなる画像(以後,「代理画像」と称する)を通話相手に送信する処理を行うプログラムによって機能が実現され,前記テレビ電話装置は,前記プログラムによって制御されるコンピュータ”であることを読み取ることができる。 エ 上記記載事項Bの,「通信処理部6は、制御部5から出力される画像(代理画像または自画像)および音声を通話相手に送信する処理と、通話相手から送られてくる画像および音声を受信して制御部5に出力する処理を行う。」との記載,及び「メモリIF部7は、制御部5がメモリ・カード50に格納されたデータを読み取る際のインタフェース部である。メモリ・カード50は、半導体メモリによって構成されたデータ記憶媒体である。本実施形態では、このメモリ・カード50に所望の画像データを格納してメモリIF部7に挿入し、制御部5に画像データを読み取らせることにより、代理画像の内容を任意に設定することができるようになっている。」との記載により,引用例1から“通信処理部6は,制御部5から出力される画像(代理画像または自画像)および音声を通話相手に送信する処理と,通話相手から送られてくる画像および音声を受信して制御部5に出力する処理を行い,前記メモリIF部7は,制御部5がメモリ・カード50に格納されたデータを読み取る際のインタフェース部であって,前記メモリ・カード50に所望の画像データを格納してメモリIF部7に挿入し,制御部5に画像データを読み取らせることにより,代理画像の内容を任意に設定することができるようになって”いることを読み取ることができる。 オ 上記記載事項Cの,「制御部5は、音声認識部10、代理画像メモリ12、代理画像生成部14、音声遅延処理部16、送信画像設定部18を備えている。」との記載,及び「代理画像メモリ12は、上述した6種類の発音内容のそれぞれに対応する口の形状を有する6種類の代理画像(静止代理画像)を格納している。」との記載並びに上記ウの認定により,引用例1から“前記制御部5は,音声認識部10,代理画像メモリ12,代理画像生成部14,音声遅延処理部16,送信画像設定部18を備え,前記代理画像メモリ12は代理画像(静止代理画像)を格納”していることを読み取ることができる。 また上記記載事項Cの,「なお、図2に示す例では、所定のキャラクタ画像を用いた代理画像が示されているが、これ以外にも、話者が自分で6種類の発音内容のそれぞれに対応した顔をカメラ1によって撮影して得られた画像や、デジタルカメラやスキャナ等を用いて作成された画像、あるいはインターネットなどの各種媒体を通じて入手した任意のキャラクタ画像(例えば、男性キャラクタ、女性キャラクタ、動物を模したキャラクタ、マンガ等の登場キャラクタなどの画像)などを代理画像として用いてもよい。」との記載により,引用例1から“前記代理画像は,話者が自分で6種類の発音内容のそれぞれに対応した顔をカメラ1によって撮影して得られた画像や,任意のキャラクタ画像などを代理画像として用いてもよ”いことを読み取ることができる。 カ 上記記載事項Dにより,引用例1から“着信時における話者は,最初に代理画像を送信し,話者の切替指示がなされた場合に話者の画像を送信することにより,話者のプライバシーを保護することができ,また発信時には,選択指示に応じて送信対象の画像を設定しているので,話者が自分の意志に沿って送信対象の画像を自由に設定することができ”ることを読み取ることができる。 キ 上記記載事項Eの「また、所定の発信操作が行われていない場合には、上述したステップ100で否定判断が行われ、この場合に制御部5は、相手先からの電話を着信したか否かを判定する(ステップ105)。」との記載,及び「また、電話を着信した場合には、ステップ105で肯定判断が行われ、この場合に制御部5内の送信画像設定部18は、送信対象とする画像の種別を自動的に代理画像に設定する(ステップ106)。」との記載並びに上記イ及びウの認定により,引用例1から“前記制御部5は,相手先からの電話を着信したか否かを判定し,電話を着信した場合には,前記制御部5内の送信画像設定部18は,送信対象とする画像の種別を自動的に代理画像に設定”することを読み取ることができる。 ク 以上,上記ア乃至キの事項から,引用例1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「話者の音声の内容に合わせて話者の代理画像を生成し,表示する代理画像表示装置,および話者の音声と話者の画像(または話者の代理画像)を互いに送受しながら通話を行うテレビ電話装置であって, 従来,一般的なテレビ電話装置では,基本的に話者を撮影した画像をほぼそのまま通話相手に送るか,あるいは画像を送らないかの2通りを選択することができるようになっていて,プライバシー保護,あるいはエンターテイメント性の向上等の観点から,各種のキャラクタ画像を話者の画像を代理する代理画像として通話相手に送る手法が提案されていることを背景とし, 前記テレビ電話装置は,カメラ1,ハンドセット2,表示部3,操作部4,制御部5,通信処理部6,メモリIF(インタフェース)部7を含んで構成され, 前記カメラ1は,テレビ電話装置を用いて通話を行う利用者(話者)を撮影するためのものであり,前記表示部3は,操作内容(例えば,電話番号等)やテレビ電話装置の動作状態などの表示を行い,通話相手から音声とともに画像が送られてきている場合に,この通話相手の画像を表示し, 前記制御部5は,音声および画像を送受して通話を行うためにテレビ電話装置の全体動作を制御し,話者の音声と,カメラ1によって撮影される話者の画像(以後,「自画像」と称する),あるいはこの自画像の代わりとなる画像(以後,「代理画像」と称する)を通話相手に送信する処理を行うプログラムによって機能が実現され,前記テレビ電話装置は,前記プログラムによって制御されるコンピュータであり, 通信処理部6は,制御部5から出力される画像(代理画像または自画像)および音声を通話相手に送信する処理と,通話相手から送られてくる画像および音声を受信して制御部5に出力する処理を行い,前記メモリIF部7は,制御部5がメモリ・カード50に格納されたデータを読み取る際のインタフェース部であって,前記メモリ・カード50に所望の画像データを格納してメモリIF部7に挿入し,制御部5に画像データを読み取らせることにより,代理画像の内容を任意に設定することができるようになっており, 前記制御部5は,音声認識部10,代理画像メモリ12,代理画像生成部14,音声遅延処理部16,送信画像設定部18を備え,前記代理画像メモリ12は代理画像(静止代理画像)を格納し, 前記代理画像は,話者が自分で6種類の発音内容のそれぞれに対応した顔をカメラ1によって撮影して得られた画像や,任意のキャラクタ画像などを代理画像として用いてもよく, 着信時における話者は,最初に代理画像を送信し,話者の切替指示がなされた場合に話者の画像を送信することにより,話者のプライバシーを保護することができ,また発信時には,選択指示に応じて送信対象の画像を設定しているので,話者が自分の意志に沿って送信対象の画像を自由に設定することができ, 前記制御部5は,相手先からの電話を着信したか否かを判定し,電話を着信した場合には,前記制御部5内の送信画像設定部18は,送信対象とする画像の種別を自動的に代理画像に設定する テレビ電話装置。」 (3)引用例2に記載された事項 原査定の拒絶の理由において引用した,本願の出願前に既に公知である,特開2002-125208号公報(平成14年4月26日公開。以下,これを「引用例2」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 F 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電話機や携帯通信端末等にカメラ等の画像認識装置を具備させて、音声通話とともに画像を送受信して相手側の画像を表示し、ユーザらをカメラで撮影したカメラ画像を送信するというテレビ電話式の画像電話システムに関するものである。 …(中略)… 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上に示した従来の方法または装置においては、次に述べるように種々の問題点がある。すなわち、送信するカメラ画像は電話応答使用中のユーザらをカメラで映した映像であるので、テレビ電話着信を受けた場合などでは、必ずユーザ自身(自分)の画像が相手に送られてしまう。このとき、自分の画像を相手に送信したくないような場合には、テレビ電話の着信を受けることができないか、もしくはテレビ電話として着信していても、画像を送信せずに普通の電話として応答するかしなくてはならなかった。ここで例えば、仕事用としてテレビ携帯電話を使用しているユーザが、プライベートの時間を過ごしているときに、取引先からテレビ電話がかかってきてしまったとすれば、プライベートなユーザ自身の姿をカメラ画像で送信することになるので、ユーザとしてはこの電話を取り次ぐことができ難い。また、仕事中ではあっても接客中であるときでは、ユーザが取り敢えず電話に出たいとしてもやはりテレビ電話は使用し難い。」 G 「【0011】図2は本発明による画像電話システムの動作イメージ図を示す。まず、相手装置B(相手カメラ付TV電話端末)から自装置A(自カメラ付TV電話端末)へテレビ電話の着信を受けたとき、相手装置Bは基地局BS2-基地局BS1を経由してカメラ画像と音声とを自装置Aに送信してくる。これに対して自装置Aでは、電話着信時にユーザをカメラ撮影した画像(カメラ画像)を相手装置Bに送信するのではなく、自装置Aが装置内にあらかじめ保有して蓄積している画像情報30(蓄積画像情報)の中から選択して指定した画像情情報を、相手装置Bに送信して、このテレビ電話を開始する。このとき、モニター上(LCD15)ではユーザ自身が今送出している画像が確認できるほか、相手の送出してくる画像をも確認することができる。 【0012】図3は、図2による画像電話システムの動作イメージ図をフローチャート図として表したものである。これによれば、「テレビ電話着信」がある(ステップS51)と、ユーザに「テレビ電話着信」を通知する(ステップS52)。そこでユーザは、「1)カメラ画像を使用する」か「2)蓄積されている画像を使用する」かのいずれかを選択してその指示を出す(ステップS53)。このとき、ユーザが「1)カメラ画像使用」を選択すれば「通常のテレビ電話通話」が実行される(ステップS54)。また一方、「2)蓄積画像を使用」を選択すれば「あらかじめ設定しておいた画像を送出しながら通話」が実行される(ステップS55)。」 以上によれば,引用例2には,次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されているといえる。 「電話機や携帯通信端末等にカメラ等の画像認識装置を具備させて,音声通話とともに画像を送受信して相手側の画像を表示し,ユーザらをカメラで撮影したカメラ画像を送信するというテレビ電話式の画像電話システムであって, 従来,テレビ電話着信を受けた場合に,必ずユーザ自身(自分)の画像が相手に送られてしまい,自分の画像を相手に送信したくないような場合に,テレビ電話の着信を受けることができないか,もしくはテレビ電話として着信していても,画像を送信せずに普通の電話として応答するかしなくてはならなかったことを解決しようとすることを課題とし, 前記画像電話システムは,相手装置B(相手カメラ付TV電話端末)から自装置A(自カメラ付TV電話端末)へテレビ電話の着信を受けたとき,相手装置Bはカメラ画像と音声とを自装置Aに送信し,自装置Aでは,電話着信時にユーザをカメラ撮影した画像(カメラ画像)を相手装置Bに送信するのではなく,自装置Aが装置内にあらかじめ保有して蓄積している画像情報30(蓄積画像情報)の中から選択して指定した画像情情報を,相手装置Bに送信して,このテレビ電話を開始し, テレビ電話着信があると,ユーザにテレビ電話着信を通知し,ユーザは,カメラ画像を使用するか蓄積されている画像を使用するかのいずれかを選択してその指示を出す 画像電話システム。」 4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「テレビ電話装置」は,「話者の音声の内容に合わせて話者の代理画像を生成し,表示する代理画像表示装置,および話者の音声と話者の画像(または話者の代理画像)を互いに送受しながら通話を行う」ものであり,当該「テレビ電話装置」の「通信処理部6」は,「制御部5から出力される画像(代理画像または自画像)および音声を通話相手に送信する処理」や「通話相手から送られてくる画像および音声を受信して制御部5に出力する処理を行」うものであることから,通信可能な2者によって用いられる装置であることは自明であり,通信を行う当該2者は,それぞれ“第1のユーザ”及び“第2のユーザ”といい得る。またそれぞれのユーザが用いる「テレビ電話装置」はそれぞれ,“第1のユーザに使用される第1の情報処理装置”及び“第2のユーザに使用される第2の情報処理装置”といい得る。 また,当該「テレビ電話装置」の「制御部5」は,「音声および画像を送受して通話を行うためにテレビ電話装置の全体動作を制御し,話者の音声と,カメラ1によって撮影される話者の画像(以後,「自画像」と称する),あるいはこの自画像の代わりとなる画像(以後,「代理画像」と称する)を通話相手に送信する処理を行うプログラム」であることから,一方の「話者」が用いている「テレビ電話装置」が,“第1のユーザに使用される第1の情報処理装置”であり,「通話相手」が用いている「テレビ電話装置」が,“第2のユーザに使用される第2の情報処理装置”であるといえる。そして,引用発明の「テレビ電話装置」は,「前記プログラムによって制御されるコンピュータ」であることから,引用発明と本願発明とは,ともに“第1のユーザに使用される第1の情報処理装置であって,第2のユーザに使用される第2の情報処理装置と通信可能な第1の情報処理装置のコンピュータ”を有する点で一致するといえる。 (2)引用発明の「テレビ電話装置」に含まれる「カメラ1」は本願発明の「撮像手段」に相当する。また,当該「カメラ1」は,「テレビ電話装置を用いて通話を行う利用者(話者)を撮影するためのもの」であり,引用発明の「カメラ1によって撮影される話者の画像」である「自画像」は,本願発明の「第1のユーザに対応する第1の撮像画像」に相当する。さらに引用発明の「制御部5」は,「カメラ1によって撮影される話者の画像」を「通話相手に送信する処理を行う」ものであり,当該「送信する処理を行う」ために,当該「自画像」を取得する取得手段であるといえることから,引用発明と本願発明とは,“撮像手段により撮像された前記第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段”を有する点で一致するといえる。 (3)引用発明の「制御部5」に「備え」られる「代理画像メモリ12」には,「自画像の代わりとなる画像」である「代理画像」が「格納」されており,当該「代理画像は,話者が自分で6種類の発音内容のそれぞれに対応した顔をカメラ1によって撮影して得られた画像や,任意のキャラクタ画像などを代理画像として用いてもよ」いことから,本願発明の「前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段」における,「第1のキャラクタ画像」に相当する「代理画像」を決定しているといえるから,引用発明と本願発明とは,“前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段”を有する点で一致するといえる。 (4)引用発明の「表示部3」は,「通話相手から音声とともに画像が送られてきている場合に,この通話相手の画像を表示」するものであり,また,「通信処理部6」は,「制御部5から出力される画像(代理画像または自画像)および音声を通話相手に送信する処理」や「通話相手から送られてくる画像および音声を受信して制御部5に出力する処理を行」うことから,上記(1)における,「第1のユーザに使用される第1の情報処理装置」及び「第2のユーザに使用される第2の情報処理装置」に関する対比を踏まえるならば,「通話相手」が本願発明の「第2のユーザ」に相当し,当該「通話相手」と「通話を行う利用者(話者)」が本願発明の「第1のユーザ」に相当する。 そして,引用発明の「通信処理部6」が,「制御部5から出力される画像(代理画像または自画像)および音声を通話相手に送信する処理」を行うことは,引用発明が「話者の音声の内容に合わせて話者の代理画像を生成し,表示する代理画像表示装置,および話者の音声と話者の画像(または話者の代理画像)を互いに送受しながら通話を行うテレビ電話装置」であることを踏まえれば,送信先の「テレビ電話装置」において,当該「送信」を行った「制御部5から出力される画像(代理画像または自画像)および音声」が再生されるものであることを理解することができるから,引用発明は,本願発明の「前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて、前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2の情報処理装置に表示させる」表示制御と同等の制御が行われているといえるとともに,「当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1の情報処理装置に表示させるように制御する」表示制御と同等の制御が行われているといえることから,以上総合すれば,引用発明と本願発明とは,“前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて,前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2の情報処理装置に表示させるとともに,当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1の情報処理装置に表示させるように制御する表示制御手段”を有する点で一致するといえる。 (5)引用発明は,「着信時における話者」は,「最初に代理画像を送信し,話者の切替指示がなされた場合に話者の画像を送信することにより,話者のプライバシーを保護することができ」るとともに,「発信時」には,「選択指示に応じて送信対象の画像を設定しているので,話者が自分の意志に沿って送信対象の画像を自由に設定することができ」るものであり,上記(4)の認定を踏まえると,本願発明の「前記表示制御手段は、前記第2の情報処理装置からの着信時における前記第1のユーザの操作に応じて、前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像のいずれかを選択的に表示させる」構成とは,下記の点で相違するものの,“前記表示制御手段は,前記第2の情報処理装置からの着信時において,第1のユーザの操作に応じて,前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像のいずれかを表示させる”点で一致するといえる。 (6)引用発明の「制御部5」は,「音声および画像を送受して通話を行うためにテレビ電話装置の全体動作を制御し,話者の音声と,カメラ1によって撮影される話者の画像(以後,「自画像」と称する),あるいはこの自画像の代わりとなる画像(以後,「代理画像」と称する)を通話相手に送信する処理を行うプログラムによって機能が実現され」るものであり,当該「プログラム」は,上記(2)乃至(4)において対比した各手段を,「テレビ電話装置」において機能させるプログラムであるといえることから,(1)の対比を踏まえれば,引用発明と本願発明とは,全体として,“第1の情報処理装置のコンピュータを,上記取得手段と,上記決定手段と,上記表示制御手段として機能させるためのプログラム”である点で一致するといえる。 (7)以上,(1)乃至(6)の検討から,引用発明と本願発明とは,次の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 第1のユーザに使用される第1の情報処理装置であって,第2のユーザに使用される第2の情報処理装置と通信可能な第1の情報処理装置のコンピュータを, 撮像手段により撮像された前記第1のユーザに対応する第1の撮像画像を取得する取得手段と, 前記取得手段により取得された第1の撮像画像に応じた第1のキャラクタ画像を決定する決定手段と, 前記第2のユーザとのコミュニケーションにおいて,前記第1のユーザに対応する前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第2の情報処理装置に表示させるとともに,当該第2のユーザに対応する第2の撮像画像と当該第2の撮像画像に応じた第2のキャラクタ画像の少なくともいずれかを前記第1の情報処理装置に表示させるように制御する表示制御手段 として機能させるためのプログラムであって, 前記表示制御手段は,前記第2の情報処理装置からの着信時において,第1のユーザの操作に応じて,前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像のいずれかを表示させる プログラム。 〈相違点〉 本願発明が,「前記表示制御手段は、前記第2の情報処理装置からの着信時における前記第1のユーザの操作に応じて、前記第1の撮像画像と前記第1のキャラクタ画像のいずれかを選択的に表示させる」ものであるのに対し,引用発明は,「着信時における話者は,最初に代理画像を送信し,話者の切替指示がなされた場合に話者の画像を送信することにより,話者のプライバシーを保護することができ,また発信時には,選択指示に応じて送信対象の画像を設定しているので,話者が自分の意志に沿って送信対象の画像を自由に設定することができ」たり,「前記制御部5は,相手先からの電話を着信したか否かを判定し,電話を着信した場合には,前記制御部5内の送信画像設定部18は,送信対象とする画像の種別を自動的に代理画像に設定」したりするものの,第2の情報処理装置からの着信時における第1のユーザの操作に応じて,第1の撮像画像と第1のキャラクタ画像のいずれかを選択的に表示させるものであることは特定されていない点。(特に下線部。) 5 判断 上記相違点につき検討する。 引用例2には,上記3(3)に示した引用発明2が記載されている。引用発明と引用発明2とは,ともに音声通話と同時に画像による通話を行うテレビ電話であるという技術分野が共通する。引用発明2は,「従来,テレビ電話着信を受けた場合に,必ずユーザ自身(自分)の画像が相手に送られてしまい,自分の画像を相手に送信したくないような場合に,テレビ電話の着信を受けることができないか,もしくはテレビ電話として着信していても,画像を送信せずに普通の電話として応答するかしなくてはならなかった」という課題に対し,「相手装置B(相手カメラ付TV電話端末)から自装置A(自カメラ付TV電話端末)へテレビ電話の着信を受けたとき,相手装置Bはカメラ画像と音声とを自装置Aに送信し,自装置Aでは,電話着信時にユーザをカメラ撮影した画像(カメラ画像)を相手装置Bに送信するのではなく,自装置Aが装置内にあらかじめ保有して蓄積している画像情報30(蓄積画像情報)の中から選択して指定した画像情情報を,相手装置Bに送信して,このテレビ電話を開始」するとともに,「テレビ電話着信があると,ユーザにテレビ電話着信を通知し,ユーザは,カメラ画像を使用するか蓄積されている画像を使用するかのいずれかを選択してその指示を出す」ものであり,これは,着信時のユーザの操作に応じて,「カメラ画像」又は「蓄積されている画像」を選択的に表示させる(以下,「選択表示の技術」という。)ものであるといえる。 一方,引用発明は,「従来,一般的なテレビ電話装置では,基本的に話者を撮影した画像をほぼそのまま通話相手に送るか,あるいは画像を送らないかの2通りを選択することができるようになっていて,プライバシー保護,あるいはエンターテイメント性の向上等の観点から,各種のキャラクタ画像を話者の画像を代理する代理画像として通話相手に送る手法が提案されていることを背景」とし,「着信時における話者」は,「最初に代理画像を送信し,話者の切替指示がなされた場合に話者の画像を送信することにより,話者のプライバシーを保護することができ,また発信時には,選択指示に応じて送信対象の画像を設定しているので,話者が自分の意志に沿って送信対象の画像を自由に設定することができ」ることから,着信時に「代理画像」又は「話者の画像」の送信を行っていて,当該画像は,通信先である相手方のテレビ電話装置において表示されるものであることが理解されるから,上記のとおり,音声通話と同時に画像による通話を行うテレビ電話という技術分野が共通する引用発明2の上記選択表示の技術を,引用発明において採用して本願発明を想到することは,当業者にとって容易であったといえる。 以上検討したとおり,相違点は格別なものではなく,またそのことによる効果も,当業者であれば普通に想起し得る程度のことに過ぎない。 したがって,本願発明は,引用発明及び引用発明2に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものである。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明は,本願出願前に頒布された引用例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって,その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-12-09 |
結審通知日 | 2019-12-10 |
審決日 | 2019-12-23 |
出願番号 | 特願2014-139576(P2014-139576) |
審決分類 |
P
1
8・
57-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) P 1 8・ 56- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 北川 純次 |
特許庁審判長 |
田中 秀人 |
特許庁審判官 |
松平 英 山崎 慎一 |
発明の名称 | プログラム、情報処理装置、コミュニケーションシステム及びコミュニケーション方法 |
代理人 | 特許業務法人朝日特許事務所 |