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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1360007
審判番号 不服2017-18744  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-18 
確定日 2020-02-20 
事件の表示 特願2014-539358「PDCCH領域と重複する拡張PDCCH」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月16日国際公開、WO2013/068342、平成27年 1月15日国内公表、特表2015-501612〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2012(平成24年)年11月6日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2011年11月7日,欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯の概略は以下のとおりである。

平成28年 5月20日付け 拒絶理由通知書
平成28年 7月28日 意見書及び手続補正書の提出
平成28年12月28日付け 拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成29年 3月10日 意見書及び手続補正書の提出
平成29年 8月21日付け 拒絶査定(平成28年5月20日付け拒絶理由通知書に記載した理由による。)
平成29年12月18日 拒絶査定不服審判の請求及び手続補正書の提出
平成31年 1月28日付け 拒絶理由通知書(当審)
平成31年 4月19日 意見書及び手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は,平成31年4月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,以下のとおりのものと認める。

「OFDM通信システムのサブフレームで,第1の通信システムに属する第1の受信ノード,および,第2の通信システムに属する第2の受信ノードのための制御情報を送信する方法であって,送信ノードで行われる次のステップ,つまり,
前記サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである第1のリソース領域内の少なくとも一部を,リソース割当データを伝送する第1のダウンリンク制御チャネルのためのサーチスペースであって,前記第1の受信ノードにおけるブラインド検出の対象となる,第1のサーチスペースに設定するステップと,
前記サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである第2のリソース領域内の少なくとも一部を,リソース割当データを伝送する第2のダウンリンク制御チャネルのためのサーチスペースであって,前記第2の受信ノードにおけるブラインド検出の対象となる,第2のサーチスペースに設定するステップと,
前記第1のサーチスペースにおいて,前記第1のダウンリンク制御チャネルの制御情報を送信するステップと,
前記第2のサーチスペースにおいて,前記第2のダウンリンク制御チャネルの制御情報を送信するステップと,
を含み,
前記第1の通信システムは,前記第2の通信システムと異なり,
前記第1のダウンリンク制御チャネルは,前記第1の通信システムの制御チャネルであり,
前記第2のダウンリンク制御チャネルは,前記第2の通信システムの制御チャネルであり,
前記第2のリソース領域は,前記第1のリソース領域と一部重複する重複部分を含む,
方法。」

第3 当審における拒絶の理由
当審における平成31年1月28日付拒絶理由通知書に記載した理由4(以下,「当審拒絶理由」という。)は,「この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり,請求項1に対して下記の6又は7が引用されている。
6 Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell, Design details for enhanced PDCCH, 3GPP TSG RAN WG1 #66bis R1-113322, 2011.10.06掲載, URL: http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL1/TSGR1_66b/Docs/R1-113322.zip
7 Ericsson, ST-Ericsson, On enhanced PDCCH design, 3GPP TSG RAN WG1 #66bis R1-112928, 2011.10.04掲載, URL: http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL1/TSGR1_66b/Docs/R1-112928.zip

第4 引用発明
1 引用例7
当審拒絶理由で引用された本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,Ericsson, ST-Ericsson, On enhanced PDCCH design(当審仮訳:拡張PDCCHの設計について), 3GPP TSG RAN WG1 #66bis R1-112928, 2011.10.04掲載, URL: http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL1/TSGR1_66b/Docs/R1-112928.zip(以下「引用例7」という。)には,図面とともに,次の記載がある。

(1)
「2. An enhanced PDCCH design based on the R-PDCCH
In this section we discuss further details of the ePDCCH design, starting with the R-PDCCH principles that can be carried over to the ePDCCH and then list some areas where further optimization is needed especially for the ePDCCH:
We propose to use the same design principles as for the R-PDCCH in the following aspects:
● Aggregation levels, search spaces and blind decoding principles are used
○ The structure of the PDCCH in terms of control channel element aggregation (aggregation of RBs in case of R-PDCCH without cross interleaving) is well proven and should be the baseline for the ePDCCH as well to minimize specification efforts and UE complexity. Furthermore, blind decoding techniques and use of search spaces should also be re-used in the ePDCCH design.
● The configuration of the control channel resources, in which the search space is determined, is UE specific
○ This enables ePDCCH interference coordination between cells and between transmission points within a cell corresponding to scenario 3 and 4 in the CoMP WI and for CA based HetNet. 」(第1葉第19行-同第34行)
(当審仮訳:
2. R-PDCCHを基礎とした拡張PDCCHの設計
このセクションでは,我々はePDCCHの設計のさらなる詳細について議論する。ePDCCHに引き継がれうるR-PDCCHの原理を出発点とし,引き続き,特にePDCCHのためにさらなる最適化が必要である幾つかの領域をリストにする。
我々は下記の観点においてR-PDCCHのためと同じ設計原理を用いることを提案する。
● アグリゲーションレベル,サーチスペースそしてブラインドデコーディング原理を用いる。
○ 制御チャネル要素アグリゲーション(クロス・インターリービングなしのR-PDCCHにおけるRBのアグリゲーション)の意味でのPDCCH構造は良く検証されており,仕様策定の労力とUEの複雑さを最小化するためにePDCCHのためのベースラインとなるべきである。それ以上にブラインドデコーディング技術とサーチスペースの使用はePDCCHの設計に再利用されるべきである。
● 制御チャネルリソース,ここにおいてサーチスペースが決定される,の構成はUE固有である。
○ このことはセル間,及び,CoMP WIにおけるシナリオ3と4に対応する,及び,HetNetを基礎とするCAのためのセル内の伝送ポイント間のePDCCH干渉の調整を可能にする。)

(2)
「2.1.3 ePDCCH starting position
The starting symbol of the ePDCCH should be flexible in the range between symbol #0 and #4, since this provides means to balance the control channel utilization between PDCCH and ePDCCH depending on the use case. Using starting symbol #0 (i.e. a carrier without a PDCCH) is useful for low power nodes in HetNet where all UEs can receive the control channel without macro interference. It is then also important that the starting point is not based on the PCFICH as it might indicate the wrong value and furthermore it may also be interfered by the ePDCCH in the case the starting symbol is #0. Starting symbol #0 is also useful for additional carrier types which rely solely on the ePDCCH for control signaling. Additionally, CRS is needed for PCFICH detection and since the ePDCCH is expected to be a DMRS based control channel, making ePDCCH resource definitions dependent on the reception of a cell specific CRS violates the UE centric approach of the ePDCCH.
● The ePDCCH start symbol position is flexible and configurable in the range between symbol #0 and #4 where the signaling of the position is independent of any CRS-based control channel」(第3葉第7行-同第18行)
(当審仮訳:
2.1.3 ePDCCHの開始位置
ePDCCHの開始シンボルはシンボル#0から#4の間で柔軟性を持つべきである,そのため,これはPDCCHとePDCCHの間の使用態様に応じた制御チャネルの利用のバランスをとることを意味することを提供する。開始シンボル#0を用いること(すなわち,PDCCHを用いないキャリア)は,全てのUEがマクロとの干渉なしに制御チャネルを受信できるHetNetにおける低電力ノードにとって有用である。それゆえ,開始位置がPCFICHに基づかないことも,それは,間違った値を示すこともあり,さらには開始シンボルが#0の場合にePDCCHによって干渉を引き起こすこともあるので,重要である。開始シンボル#0は制御シグナリングのためのePDCCHにおいてリレーするのみの追加的なキャリアタイプのためにも有用である。加えて,CRSがPCFICHの探知のために必要であり,それゆえePDCCHはDMRSを基礎とした制御チャネルであることが期待され,セル特有のCRSの受信に依存するePDCCHリソース定義を作成することは,ePDCCHのUE中心アプローチに背くものである。
● ePDCCH開始シンボル位置はシンボル#0から#4の間で柔軟性があり構成可能なものであり,ここで位置のシグナリングはいずれのCRSを基礎とした制御チャネルからも独立したものである。)

(3)

引用例7は3GPP TSG RAN WG1の寄書であるところ,当該寄書がOFDM通信システムである3GPPのRel’11の無線アクセスネットワークについての検討に係るものであることは,当業者にとって自明である。
そして,前記(1)より,Rel’11に導入が予定されている,eNBからRel’11に準拠するUE(以下「Rel’11 UE」という。)のための制御情報を送信する制御チャネルであるePDCCHについての検討に係るものであることも明かである。
一方,eNBからPDCCHによりRel’8に準拠するUE(以下「Rel’8 UE」という。)のための制御情報を送信することは,技術常識である。
また,前記(2)の「ePDCCHの開始シンボルはシンボル#0から#4の間で柔軟性を持つべきである,そのため,これはPDCCHとePDCCHの間の使用態様に応じた制御チャネルの利用のバランスをとることを意味することを提供する。」との記載より,OFDM通信システムのサブフレーム中でPDCCH及びePDCCHにより制御情報を送信することを前提とするものであることは明らかである。
してみれば,引用例7には「OFDM通信システムのサブフレームで,PDCCHによりRel’8 UEのための制御情報を送信し,ePDCCHによりRel’11 UEのための制御情報を送信する方法」が記載されていると認める。


PDCCHに関して,eNBがサブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットであるPDCCH用のCCEの所定のアグリゲーション単位を,DL割当/UL許可を伝送するPDCCHのためのサーチスペースとして決定すること,当該サーチスペースがRel’8 UEにおけるブラインドデコーディングの対象となること,及び,当該サーチスペース内のリソースにおいて,PDCCHの制御情報を送信すること,は当業者の技術常識である。
一方,前記(1)の「● アグリゲーションレベル,サーチスペースそしてブラインドデコーディング原理を用いる。」,及び,「○ 制御チャネル要素アグリゲーション(クロス・インターリービングなしのR-PDCCHにおけるRBのアグリゲーション)の意味でのPDCCH構造は良く検証されており,仕様策定の労力とUEの複雑さを最小化するためにePDCCHのためのベースラインとなるべきである。それ以上にブラインドデコーディング技術とサーチスペースの使用はePDCCHの設計に再利用されるべきである。」との記載によれば,PDCCHにおけるアグリゲーションレベル,サーチスペース,ブラインドデコーディング原理がePDCCHにも使用されていると解される。
してみれば,ePDCCHもアグリゲーションレベル,サーチスペース,ブラインドデコーディング原理については,PDCCHと同様であるから,引用例7には,「eNBがサブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットであるePDCCH用のCCEの所定のアグリゲーション単位を,DL割当/UL許可を伝送するePDCCHのためのサーチスペースとして決定」すること,ePDCCHのためのサーチスペースが「Rel’11 UEにおけるブラインドデコーディングの対象となる」こと,及び,「ePDCCHのためのサーチスペース内のリソースにおいて,ePDCCHの制御情報を送信する」ことが記載されていると認める。

してみると,引用例7には,eNBが,
「サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである前記PDCCH用のCCEの所定のアグリゲーション単位を,DL割当/UL許可を伝送する前記PDCCHのためのサーチスペースであって,Rel’8 UEにおけるブラインドデコーディングの対象となる,前記PDCCHのサーチスペースとして決定し,
サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである前記ePDCCH用のCCEの所定のアグリゲーション単位を,DL割当/UL許可を伝送する前記ePDCCHのためのサーチスペースであってRel’11 UEにおけるブラインドデコーディングの対象となる,前記ePDCCHのサーチスペースとして決定」すること,及び,
「前記PDCCHのサーチスペース内のリソースにおいて前記PDCCHの制御情報を送信し,
前記ePDCCHのサーチスペース内のリソースにおいて前記ePDCCHの制御情報を送信」することが記載されていると認める。


前記(2)より,引用例7には,ePDCCHの開始シンボルが#0から#4の間であって,PCFICHに基づかないことが記載されている。すなわち,引用例7には「ePDCCHの開始シンボル位置がPCFICHに基づかない」ことが記載されていると認める。


してみると,引用例7には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「OFDM通信システムのサブフレームで,PDCCHによりRel’8 UEのための制御情報を送信し,ePDCCHによりRel’11 UEのための制御情報を送信する方法であって,
eNBが,
前記サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである前記PDCCH用のCCEの所定のアグリゲーション単位を,DL割当/UL許可を伝送する前記PDCCHのためのサーチスペースであって,Rel’8 UEにおけるブラインドデコーディングの対象となる,前記PDCCHのサーチスペースとして決定し,
前記サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである前記ePDCCH用のCCEの所定のアグリゲーション単位を,DL割当/UL許可を伝送する前記ePDCCHのためのサーチスペースであってRel’11 UEにおけるブラインドデコーディングの対象となる,前記ePDCCHのサーチスペースとして決定し,
前記PDCCHのサーチスペース内のリソースにおいて,前記PDCCHの制御情報を送信し,
前記ePDCCHのサーチスペース内のリソースにおいて,前記ePDCCHの制御情報を送信し,
前記ePDCCHの開始シンボル位置がPCFICHに基づかない,
方法。」

第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

1
引用発明の「UE」,「eNB」は,それぞれ本願発明の「受信ノード」,「送信ノード」に相当する。
「Rel’8」及び「Rel’11」は,OFDM通信システムである,3GPPの無線アクセスネットワークの規格のそれぞれのリリースを表すから,Rel’8の無線アクセスネットワーク,及び,Rel’11の無線アクセスネットワークは異なる通信システムといえる。してみると,引用発明の「Rel’8 UE」,及び,「Rel’11 UE」は,それぞれ,本願発明の「第1の通信システムに属する第1の受信ノード」,及び,「第2の通信システムに属する受信ノード」に対応付けることができる。そして,引用発明のPDCCH,及び,ePDCCHはダウンリンク制御チャネルであるから,引用発明の「PDCCH」,及び,「ePDCCH」は,本願発明の「第1のダウンリンク制御チャネル」,及び,「第2のダウンリンク制御チャネル」に対応付けることができ,「前記第1のダウンリンク制御チャネルは,前記第1の通信システムの制御チャネルであり」,「前記第1のダウンリンク制御チャネルは,前記第1の通信システムの制御チャネルであり」,及び,「前記第1の通信システムは,前記第2の通信システムと異なり」との点で本願発明と引用発明は共通する。
また,引用発明の「OFDM通信システムのサブフレームで,PDCCHによりRel’8 UEのための制御情報を送信し,ePDCCHによりRel’11 UEのための制御情報を送信する方法」は,「OFDM通信システムのサブフレームで,第1の通信システムに属する第1の受信ノード,および,第2の通信システムに属する第2の受信ノードのための制御情報を送信する方法」といえる点で本願発明と一致する。

2
引用発明の「DL割当/UL許可」はリソースの割当にほかならないから,本願発明の「リソース割当データ」に相当する。よって,引用発明の「DL割当/UL許可を伝送する前記PDCCHのためのサーチスペース」は,本願発明の「リソース割当データを伝送する第1のダウンリンク制御チャネルのためのサーチスペース」に相当する。
また,PDCCH用のリソース領域は,サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットといえるから,これを「サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである第1のリソース領域」と称することは任意である。そして,引用発明のPDCCHのサーチスペースとして決定される「PDCCH用のCCEの所定のアグリゲーション単位」が、当該サブセットである第1のリソース領域内の少なくとも一部であることは当業者に明らかである。
そして,本願発明の「ブラインド検出」,及び,「サーチスペースとして決定」と引用発明の「ブラインドデコーディング」,及び,「サーチスペースに設定」では表現の差違があるに過ぎない。
してみれば,引用発明の「前記サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである前記PDCCH用のCCEの所定のアグリゲーション単位を,リソース割当データを伝送する前記PDCCHのためのサーチスペースであって,Rel’8 UEにおけるブラインドデコーディングの対象となる,前記PDCCHのサーチスペースとして決定し」は,本願発明の「前記サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである第1のリソース領域内の少なくとも一部を,リソース割当データを伝送する第1のダウンリンク制御チャネルのためのサーチスペースであって,前記第1の受信ノードにおけるブラインド検出の対象となる,第1のサーチスペースに設定するステップ」に相当する。

3
引用発明の「DL割当/UL許可を伝送する前記ePDCCHのためのサーチスペース」は,本願発明の「リソース割当データを伝送する第2のダウンリンク制御チャネルのためのサーチスペース」に相当する。
また,ePDCCH用のリソース領域は,サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットといえるから,これを「サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである第2のリソース領域」と称することは任意である。そして,引用発明のePDCCHのサーチスペースとして決定される「ePDCCH用のCCEの所定のアグリゲーション単位」が、当該サブセットである第2のリソース領域内の少なくとも一部であることは当業者に明らかである
してみれば,引用発明の「前記サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである前記ePDCCH用のCCEの所定のアグリゲーション単位を,DL割当/UL許可を伝送する前記ePDCCHのためのサーチスペースであって,Rel’11 UEにおけるブラインドデコーディングの対象となる,前記ePDCCHのサーチスペースとして決定し」は,本願発明の「前記サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである第2のリソース領域内の少なくとも一部を,リソース割当データを伝送する第2のダウンリンク制御チャネルのためのサーチスペースであって,前記第2の受信ノードにおけるブラインド検出の対象となる,第2のサーチスペースに設定するステップ」に相当する。

4
前記2,3より,引用発明の「前記PDCCHのサーチスペース内のリソースにおいて,前記PDCCHの制御情報を送信し」,及び,「前記ePDCCHのサーチスペース内のリソースにおいて,前記ePDCCHの制御情報を送信し」は,それぞれ本願発明の「前記第1のサーチスペースにおいて,前記第1のダウンリンク制御チャネルの制御情報を送信するステップ」,及び,「前記第2のサーチスペースにおいて,前記第2のダウンリンク制御チャネルの制御情報を送信するステップ」に相当する。

5 一致点,及び,相違点
以上のことから,本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。

[一致点]
「OFDM通信システムのサブフレームで,第1の通信システムに属する第1の受信ノード,および,第2の通信システムに属する第2の受信ノードのための制御情報を送信する方法であって,送信ノードで行われる次のステップ,つまり,
前記サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである第1のリソース領域内の少なくとも一部を,リソース割当データを伝送する第1のダウンリンク制御チャネルのためのサーチスペースであって,前記第1の受信ノードにおけるブラインド検出の対象となる,第1のサーチスペースに設定するステップと,
前記サブフレーム内のOFDMの時間リソースおよび周波数リソースのサブセットである第2のリソース領域内の少なくとも一部を,リソース割当データを伝送する第2のダウンリンク制御チャネルのためのサーチスペースであって,前記第2の受信ノードにおけるブラインド検出の対象となる,第2のサーチスペースに設定するステップと,
前記第1のサーチスペースにおいて,前記第1のダウンリンク制御チャネルの制御情報を送信するステップと,
前記第2のサーチスペースにおいて,前記第2のダウンリンク制御チャネルの制御情報を送信するステップと,
を含み,
前記第1の通信システムは,前記第2の通信システムと異なり,
前記第1のダウンリンク制御チャネルは,前記第1の通信システムの制御チャネルであり,
前記第2のダウンリンク制御チャネルは,前記第2の通信システムの制御チャネルである,
方法」

[相違点]
本願発明が「前記第2のリソース領域は,前記第1のリソース領域と一部重複する重複部分を含む」のに対し,引用発明は「前記ePDCCHの開始シンボル位置がPCFICHに基づかない」ものである点。

第6 判断
1 相違点について
まず,PDCCHのリソース領域はOFDMシンボル#0から始まり,前記PDCCHのリソース領域に用いられるOFDMシンボルの個数がPCFICHで与えられることは当業者の技術常識であるから,前記PDCCHのリソース領域の終了シンボル位置が実質的にPCFICHから得られることは明らかである。そして,引用発明は「前記ePDCCHの開始シンボル位置がPCFICHに基づかない」ものであり,ePDCCHのリソース領域の開始シンボル位置がPDCCHのリソース領域の終了シンボル位置に基づかないことになるから,両リソース領域が重複することも示唆されているといえる。してみれば,引用発明には,本願発明の「前記第2のリソース領域は,前記第1のリソース領域と一部重複する重複部分を含む」ことは,当該示唆に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

よって,本願発明は,引用発明に基づき,当業者が容易に想到することができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2 意見書について,
なお,本件審判請求人は平成31年4月19日付け意見書において,引用例7には「第1および第2のリソース領域に相当するものについて記載されていません。」と主張している。しかしながら,引用例7には直接的に第1及び第2のリソース領域についての記載がないとしても,前記「第4 1 (3) イ」のとおり,PDCCHにはリソース領域が存在し,当該リソース領域内にサーチスペースが設定されることが当業者の技術常識であり,引用例7においても,PDCCHのリソース領域について記載されているに等しいといえる。さらに,前記「第4 1 (3) イ」のとおり,引用例7の記載を当該技術常識に基づいて解釈することは当然のことに過ぎない。よって,前記本件審判請求人の主張は,採用することができない。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-09-10 
結審通知日 2019-09-17 
審決日 2019-10-07 
出願番号 特願2014-539358(P2014-539358)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青木 健  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 井上 弘亘
岩間 直純
発明の名称 PDCCH領域と重複する拡張PDCCH  
代理人 特許業務法人鷲田国際特許事務所  

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