ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G07D |
---|---|
管理番号 | 1360055 |
審判番号 | 不服2019-13250 |
総通号数 | 244 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-10-03 |
確定日 | 2020-03-10 |
事件の表示 | 特願2018-150473号「入出金装置」拒絶査定不服審判事件〔請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成30年8月9日の出願であって、平成30年11月7日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年1月10日に意見書が提出され、同年3月13日付けで拒絶理由通知がされ、令和1年5月15日に意見書が提出され、同年6月28日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年10月3日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 本願の請求項1?7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 [刊行物] 特開2017-40986号公報(以下「引用文献1」という。) 第3 本願発明 本願の請求項1?7に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」?「本願発明7」という。)は、令和1年10月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 サーバと通信可能な入出金装置であって、 所定のタイミングで撮像した利用者の画像を取得する画像取得部と、 前記画像取得部が取得した画像を用いて、前記利用者の属性情報を推定する推定部と、 前記利用者の指示に従って、前記サーバに入出金処理に関する取引データを送信し、応答として、取引後残高を受信する取引部と、 前記推定部が推定した前記属性情報と、当該入出金装置で行われた取引情報とに基づいて、前記属性情報及び前記取引情報の少なくともいずれかが所定の条件を満たす前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定するコンテンツ決定部であって、前記取引情報は、取引種別及び前記取引後残高を含む、コンテンツ決定部と を備える入出金装置。 【請求項2】 前記属性情報は、年齢及び性別を含む、請求項1に記載の入出金装置。 【請求項3】 前記属性情報及び前記取引情報に関連付けてコンテンツデータを記憶する記憶部をさらに備え、 前記コンテンツ決定部は、前記属性情報と前記取引情報とに基づいて、前記記憶部からコンテンツデータを取得する、請求項1又は2に記載の入出金装置。 【請求項4】 前記入出金装置は、前記属性情報及び前記取引情報に関連付けてコンテンツデータを記憶する記憶装置と通信可能に接続され、 前記コンテンツ決定部は、前記属性情報と前記取引情報とに基づいて、前記記憶装置からコンテンツデータを取得する、請求項1又は2に記載の入出金装置。 【請求項5】 前記サーバは、当該入出金装置を管理する金融機関とは異なる、前記金融機関の提携先によって管理されているサーバである、請求項1から4のいずれか一項に記載の入出金装置。 【請求項6】 サーバと通信可能なコンピュータが実行する方法であって、 所定のタイミングで撮像した利用者の画像を取得する工程と、 取得した前記画像を用いて、前記利用者の属性情報を推定する工程と、 前記利用者の指示に従って、前記サーバに入出金処理に関する取引データを送信し、応答として、取引後残高を受信する工程と、 推定した前記属性情報と、当該コンピュータで行われた取引情報とに基づいて、前記属性情報及び前記取引情報の少なくともいずれかが所定の条件を満たす前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定する工程であって、前記取引情報は、取引種別及び前記取引後残高を含む、工程と を含む方法。 【請求項7】 サーバと通信可能なコンピュータに、 所定のタイミングで撮像した利用者の画像を取得する処理と、 取得した前記画像を用いて、前記利用者の属性情報を推定する処理と、 前記利用者の指示に従って、前記サーバに入出金処理に関する取引データを送信し、応答として、取引後残高を受信する処理と、 推定した前記属性情報と、当該コンピュータで行われた取引情報とに基づいて、前記属性情報及び前記取引情報の少なくともいずれかが所定の条件を満たす前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定する処理であって、前記取引情報は、取引種別及び前記取引後残高を含む、処理と を実行させるプログラム。」 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付した。以下同様である。)。 (1a) 「【請求項1】 媒体から取得される媒体情報に基づき、前記媒体にかかる所有者を特定する所有者特定部と、 前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の認識処理を行う利用者認識処理部と、 前記所有者特定部により特定された前記所有者と、前記利用者認識処理部による前記認識処理の結果との関係に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する提示情報選択部と、 を備える、情報処理装置。 【請求項2】 前記認識処理は、前記利用者の年齢を推定する処理である、請求項1に記載の情報処理装置。 【請求項3】 前記提示情報選択部は、前記特定された所有者と、推定された前記利用者の年齢との関係に基づいて、前記提示情報を選択する、請求項2に記載の情報処理装置。 【請求項4】 前記提示情報選択部は、さらに前記利用者との取引内容に基づいて前記提示情報を選択する、請求項1?3のいずれか1項に記載の情報処理装置。 【請求項5】 前記関係は、前記所有者と前記利用者との間の親族関係である、請求項1?4のいずれか1項に記載の情報処理装置。」 (1b) 「【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、取引装置において取引を行う際には、キャッシュカード等の媒体を、当該媒体の所有者自身ではなく当該所有者の家族が使用する場合がある。例えば、媒体を所有者ではなく当該所有者の家族が使用する場合としては、未成年の子供が所有するキャッシュカードを、当該子供の親が子供の代理として使用する場合が挙げられる。このような場合、従来の取引装置及びシステムにおいては、媒体の所有者である子供の属性に応じて、例えば未成年の子供に合った広告を選択して提示するため、選択された広告は、実際の取引装置の利用者である親に対して提示する広告としては、適切な広告ではないことがあった。 【0007】 そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、取引装置の利用者に応じた提示を行うことが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、媒体から取得される媒体情報に基づき、前記媒体にかかる所有者を特定する所有者特定部と、前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の認識処理を行う利用者認識処理部と、前記所有者特定部により特定された前記所有者と、前記利用者認識処理部による前記認識処理の結果との関係に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する提示情報選択部と、を備える、情報処理装置が提供される。」 (1c) 「【0025】 <取引装置10の構成> 取引装置10は、例えば、利用者の操作に応じて入金、出金等の各種取引を行うための装置であり、銀行やコンビニエンスストア等の店舗に設置される。取引装置10の構成について図2を参照しながら説明する。図2は、取引装置10の構成を示すブロック図である。 【0026】 図2に示されるように、取引装置10は、制御部11と、通信部12と、入力表示部13と、カードリーダ部15と、通帳記帳部16と、紙幣入出金部17と、硬貨入出金部18とを主に有する。 ・・・ 【0028】 (通信部12) 通信部12は、通信ネットワーク5を介して情報処理装置30及び画像取得装置60との間で通信を行う通信インタフェースである。 ・・・ 【0031】 (通帳記帳部16) 通帳記帳部16は、通帳等の冊子状媒体に設けられた磁気ストライプの読取り及び書込み、並びに、通帳印字機能を有する。通帳記帳部16は、取引装置10の前面に設けられた通帳挿入排出口に利用者が挿入した冊子状媒体の磁気ストライプから口座番号等の識別情報等の媒体情報を読取ることができ、情報処理装置30から取得した口座情報などを冊子状媒体に記帳することができる。」 (1d) 「【0034】 画像取得装置60は、対応する取引装置10において取引が開始され、当該取引装置10においてキャッシュカードや通帳等の媒体から所有者を特定するための識別情報(媒体情報)が取得されると、当該情報の取得を合図に、取引装置10を利用する利用者の顔画像情報を取得する。この取得された利用者の顔画像情報は、情報処理装置30において、利用者の年齢を推定する際に用いられる。また、画像取得装置60は、取引装置10の内部に組み込まれたり、取引装置10に隣接して設けられたり、もしくは、取引装置10が設置された部屋の壁等に設けられたりすることができる。」 (1e) 「【0046】 すなわち、本実施形態においては、関係判定部312は、利用者認識処理部311によって推定された利用者の年齢に基づいて、当該利用者と所有者との関係を判定できればよく、関係判定部312の態様については、特に限定するものではない。 【0047】 (提示情報選択部314) 提示情報選択部314は、利用者認識処理部311により取得した利用者の年齢の推定結果と、関係判定部312により取得した親族関係の判定結果と、取引内容判定部313により取得した、利用者との取引内容の判定結果とに基づいて、記憶部39内の提示情報データベース392の中から、利用者に提示する提示情報を選択する(なお、提示情報データベース392を含む記憶部39の詳細については、後で説明する)。選択される提示情報は、利用者の年齢の推定結果、利用者と所有者との親族関係の判定結果、取引内容の判定結果、及び、これらの組み合わせに基づいて想定される利用者に適合した提示情報となる。そして、選択された提示情報に関する情報を、通信部32を介して、当該利用者の利用する取引装置10に送信する。 【0048】 以下に、提示情報選択部314における提示情報の選択の態様の一例を説明する。なお、以下の説明においては、提示情報選択部314は、利用者の年齢の推定結果と、親族関係の判定結果と、取引内容の判定結果とに基づいて提示情報を選択するものとして説明するが、本実施形態においては、これに限定されるものではない。例えば、提示情報選択部314は、親族関係の判定結果のみに基づいて提示情報を選択してもよく、もしくは、上述の判定、推定結果に、さらにこれら以外の情報をも参照して提示情報を選択してもよい。また、以下の提示情報は本実施形態の一例であって、本実施形態は以下の提示情報に限定されるものではない。以下に示す例では、提示情報は、利用者に対して提示する金融機関で取り扱われる商品の広告となっているが、本実施形態においてはこれに限定されるものではなく、例えば、金融機関以外の企業の広告であってもよく、「振り込め詐欺にご注意」のような利用者に対して注意喚起する提示であってもよい。」 (1f) 「【0074】 (ステップS108) 取引装置10は、利用者に対して取引内容の入力を誘導する誘導表示を入力表示部13に行い、利用者から入力された取引内容の情報を取得する。図9に、入力表示部13に提示される誘導表示画像の一例を示す。図9の誘導表示画像132は、利用者に対して、取引装置10が実行可能な取引内容を示すメニュー画面であって、当該取引内容に関連付けられた選択ボタンを含む。利用者は、この誘導表示画像132からの選択ボタンの選択により、所望の取引内容を取引装置10に実行させることが可能である。なお、誘導表示画像132は、図9に示される選択ボタンに限定されることはなく、取引装置10が実行可能な他の取引内容と関連付けられた選択ボタン等を含むことができる。次に、ステップS109へ進む。 【0075】 (ステップS109) 取引装置10は、取得した取引内容の情報を情報処理装置30へ送信する。次に、ステップS110へ進む。」 (2)引用文献1に記載された発明 ア 摘記(1c)の段落【0025】の「取引装置10は、例えば、利用者の操作に応じて入金、出金等の各種取引を行うための装置であり、」という記載から、摘記(1f)の段落【0074】の「(ステップS108)」の「取引装置10は、利用者に対して取引内容の入力を誘導する誘導表示を入力表示部13に行い、利用者から入力された取引内容の情報を取得する。」という記載が、「取引装置10は、利用者に対して取引内容の入力を誘導する誘導表示を入力表示部13に行い、利用者の操作に応じて、利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報を取得する。」ことを意味していることが明らかである。 このことと、摘記(1c)及び摘記(1f)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1A」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明1A] 「制御部11と、通信ネットワーク5を介して情報処理装置30及び画像取得装置60との間で通信を行う通信インタフェースである通信部12と、入力表示部13と、カードリーダ部15と、通帳記帳部16と、紙幣入出金部17と、硬貨入出金部18とを主に有する、取引装置10であって、 利用者の操作に応じて、利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報を取得し、取得した取引内容の情報を情報処理装置30へ送信し、通帳記帳部16が、情報処理装置30から取得した口座情報などを冊子状媒体に記帳する 取引装置10。」 イ 引用発明1Aの「取引装置10」が実行する方法には、「利用者の操作に応じて、利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報を取得し、取得した取引内容の情報を情報処理装置30へ送信し、通帳記帳部16が、情報処理装置30から取得した口座情報などを冊子状媒体に記帳する」工程が含まれていることが、明らかであるから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1B」という。)も記載されていると認められる。 [引用発明1B] 「制御部11と、通信ネットワーク5を介して情報処理装置30及び画像取得装置60との間で通信を行う通信インタフェースである通信部12と、入力表示部13と、カードリーダ部15と、通帳記帳部16と、紙幣入出金部17と、硬貨入出金部18とを主に有する、取引装置10が実行する方法であって、 利用者の操作に応じて、利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報を取得し、取得した取引内容の情報を情報処理装置30へ送信し、通帳記帳部16が、情報処理装置30から取得した口座情報などを冊子状媒体に記帳する工程 を含む方法。」 ウ 引用発明1Bの「取引装置10が実行する方法」を実行するためには、引用発明1Aの「取引装置10」に、「利用者の操作に応じて、利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報を取得し、取得した取引内容の情報を情報処理装置30へ送信し、通帳記帳部16が、情報処理装置30から取得した口座情報などを冊子状媒体に記帳する」処理を、実行させるためのプログラムが必要であることが、明らかであるから、引用文献1には、さらに、次の発明(以下「引用発明1C」という。)も記載されていると認められる。 [引用発明1C] 「制御部11と、通信ネットワーク5を介して情報処理装置30及び画像取得装置60との間で通信を行う通信インタフェースである通信部12と、入力表示部13と、カードリーダ部15と、通帳記帳部16と、紙幣入出金部17と、硬貨入出金部18とを主に有する、取引装置10に、 利用者の操作に応じて、利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報を取得し、取得した取引内容の情報を情報処理装置30へ送信し、通帳記帳部16が、情報処理装置30から取得した口座情報などを冊子状媒体に記帳する処理 を実行させるプログラム。」 エ (ア) 請求項2の「情報処理装置」は、「請求項1に記載の情報処理装置」であるところ、請求項2には、「前記認識処理は、前記利用者の年齢を推定する処理である」と記載されているから、当該「前記認定処理」すなわち請求項1の「前記利用者の認識処理」は、「前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理」として特定できる(摘記(1a)参照。)。 (イ) 請求項4の「情報処理装置」は、「請求項1?3のいずれか1項に記載の情報処理装置」であるところ、請求項4には、「前記提示情報選択部は、さらに前記利用者との取引内容に基づいて前記提示情報を選択する」と記載されているから、当該「前記提示情報選択部」すなわち請求項1の「前記所有者特定部により特定された前記所有者と、前記利用者認識処理部による前記認識処理の結果との関係に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する提示情報選択部」は、「さらに前記利用者との取引内容に」「基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する提示情報選択部」として特定できる(摘記(1a)参照。)。 (ウ) 摘記(1e)の段落【0047】には、「(提示情報選択部314)」に関して、「提示情報選択部314は、利用者認識処理部311により取得した利用者の年齢の推定結果と、関係判定部312により取得した親族関係の判定結果と、取引内容判定部313により取得した、利用者との取引内容の判定結果とに基づいて、記憶部39内の提示情報データベース392の中から、利用者に提示する提示情報を選択する」と記載されているところ、この記載の「関係判定部312により取得した親族関係の判定結果」及び「取引内容判定部313により取得した、利用者との取引内容の判定結果」は、それぞれ、請求項1の「前記所有者特定部により特定された前記所有者と、前記利用者認識処理部による前記認識処理の結果との関係」及び請求項3の「前記利用者との取引内容」に対応しているから(請求項5の記載も参照)、請求項1の「前記所有者特定部により特定された前記所有者と、前記利用者認識処理部による前記認識処理の結果との関係に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する提示情報選択部」は、さらに、前記「利用者認識処理部により取得した」前記「利用者の年齢の推定結果」「に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する提示情報選択部」として特定できる(摘記(1a)の請求項3や摘記(1e)の段落【0046】も参照。)。 (エ) 上記(ア)?(ウ)及び摘記(1a)、(1b)、(1e)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明2A」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明2A] 「媒体から取得される媒体情報に基づき、前記媒体にかかる所有者を特定する所有者特定部と、 前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理を行う利用者認識処理部と、 前記利用者認識処理部により取得した前記利用者の年齢の推定結果、前記所有者特定部により特定された前記所有者と、前記利用者認識処理部による前記認識処理の結果との関係、及び、前記利用者との取引内容に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する提示情報選択部と、 を備える、情報処理装置。」 オ 引用発明2Aの「情報処理装置」が実行する方法には、「媒体から取得される媒体情報に基づき、前記媒体にかかる所有者を特定する」工程と、「前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理を行う」工程と、「前記認識処理により取得した前記利用者の年齢の推定結果、前記特定により特定された前記所有者と、前記認識処理の結果との関係、及び、前記利用者との取引内容に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する」工程と、が含まれていることが、明らかであるから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明2B」という。)も記載されていると認められる。 [引用発明2B] 「情報処理装置が実行する方法であって、 媒体から取得される媒体情報に基づき、前記媒体にかかる所有者を特定する工程と、 前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理を行う工程と、 前記認識処理により取得した前記利用者の年齢の推定結果、前記特定により特定された前記所有者と、前記認識処理の結果との関係、及び、前記利用者との取引内容に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する工程と、 を含む方法。」 カ 引用発明2Bの「情報処理装置が実行する方法」を実行するためには、「情報処理装置」に、「媒体から取得される媒体情報に基づき、前記媒体にかかる所有者を特定する」処理と、「前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理を行う」処理と、「前記認識処理により取得した前記利用者の年齢の推定結果、前記特定により特定された前記所有者と、前記認識処理の結果との関係、及び、前記利用者との取引内容に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する」処理と、を実行させるプログラムが必要であることが、明らかであるから、引用文献1には、さらに、次の発明(以下「引用発明2C」という。)も記載されていると認められる。 [引用発明2C] 「情報処理装置に、 媒体から取得される媒体情報に基づき、前記媒体にかかる所有者を特定する処理と、 前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理を行う処理と、 前記認識処理により取得した前記利用者の年齢の推定結果、前記特定により特定された前記所有者と、前記認識処理の結果との関係、及び、前記利用者との取引内容に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する処理と、 を実行させるプログラム。」 第5 対比・判断 1 本願発明7について (1)対比 事案に鑑み、まず、本願発明7と引用発明1Cとを対比する。 ア 引用発明1Cの「情報処理装置30」は、本願発明7の「サーバ」に相当する。 引用発明1Cの「通信部12と、入力表示部13と、カードリーダ部15と、通帳記帳部16と、紙幣入出金部17と、硬貨入出金部18とを主に有する、取引装置10」は、本願発明7の「コンピュータ」に相当する。 これらのことと、引用発明1Cの「取引装置10」が「有する」「通信部12」が、「通信ネットワーク5を介して情報処理装置30」「との間で通信を行う通信インタフェースである」こととを踏まえると、引用発明1Cの「制御部11と、通信ネットワーク5を介して情報処理装置30及び画像取得装置60との間で通信を行う通信インタフェースである通信部12と、入力表示部13と、カードリーダ部15と、通帳記帳部16と、紙幣入出金部17と、硬貨入出金部18とを主に有する、取引装置10」は、本願発明7の「サーバと通信可能なコンピュータ」に相当する。 イ (ア) 引用発明1Cの「利用者の操作に応じて」という構成は、本願発明7の「前記利用者の指示に従って」という構成に相当する。 (イ) 引用発明1Cの「利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報」と「取得した取引内容の情報」とが同じものを意味していることは明らかであり、引用発明1Cの「利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報」及び「取得した取引内容の情報」は、いずれも、本願発明7の「入出金処理に関する取引データ」に相当する。 (ウ) 引用発明1Cは、「取引装置10」が「有する」「通帳記帳部16」「が、」「情報処理装置30から取得した口座情報などを冊子状媒体に記帳する」ところ、引用発明1Cが、「利用者の操作に応じて、利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報を取得し、取得した取引内容の情報を情報処理装置30へ送信し」ていることを踏まえると、引用発明1Cの「情報処理装置30から取得した口座情報など」に取引後残高が含まれていることは自明な事項である。 (エ) そして、引用発明1Cは、「取引装置10に」、「処理を実行させるプログラム」であるから、その「プログラム」を実行すると、「取引装置10」が、「利用者の操作に応じて、利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報を取得し、取得した取引内容の情報を情報処理装置30へ送信し、通帳記帳部16が、情報処理装置30から取得した口座情報などを冊子状媒体に記帳する処理を実行」するといえる。 そうすると、引用発明1Cは、上記「プログラム」により、「取引装置10」(「コンピュータ」に相当。上記ア参照。)が、「利用者の操作に応じて」(「前記利用者の指示に従って」に相当。上記(ア)参照。)、「情報処理装置30」(「サーバ」に相当。上記ア参照。)「へ」、「取得した取引内容の情報」(「入出金処理に関する取引データ」に相当。上記(イ)参照。)「を」、「送信し」、その送信に対する応答として、取引後残高が含まれている「情報処理装置30から取得した口座情報など」(上記(ウ)参照。)を、「情報処理装置30」(サーバ)「から」「取得」するすなわち受信することが明らかである。 (オ) したがって、引用発明1Cの「利用者の操作に応じて、利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報を取得し、取得した取引内容の情報を情報処理装置30へ送信し、通帳記帳部16が、情報処理装置30から取得した口座情報などを冊子状媒体に記帳する処理を実行させるプログラム」は、本願発明7の「前記利用者の指示に従って、前記サーバに入出金処理に関する取引データを送信し、応答として、取引後残高を受信する処理を実行させるプログラム」に相当する。 以上から、本願発明7と引用発明1Cとの一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点7> 「サーバと通信可能なコンピュータに、 利用者の指示に従って、前記サーバに入出金処理に関する取引データを送信し、応答として、取引後残高を受信する処理 を実行させるプログラム。」 <相違点7> 処理を「実行させる」ことに関して、本願発明7は、 「所定のタイミングで撮像した利用者の画像を取得する処理と、 取得した前記画像を用いて、前記利用者の属性情報を推定する処理と、 推定した前記属性情報と、当該コンピュータで行われた取引情報とに基づいて、前記属性情報及び前記取引情報の少なくともいずれかが所定の条件を満たす前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定する処理であって、前記取引情報は、取引種別及び前記取引後残高を含む、処理と を実行させる」のに対して、 引用発明1Cは、そのように特定されていない点。 (2)判断 相違点7について、以下検討する。 ア 本願発明7と引用発明2Cとを対比する。 (ア) 引用発明2Cの「情報処理装置」は、「コンピュータ」ということもできる。 (イ) 引用発明2Cの「利用者の年齢」は、本願発明7の「利用者の属性情報」に相当するから、引用発明2Cの「前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理を行う処理」は、本願発明7の「取得した画像を用いて、利用者の属性情報を推定する処理」に相当する。 (ウ) 上記(ア)及び(イ)を踏まえると、以下のことがいえる。 a 引用発明2Cの「前記認識処理により取得した前記利用者の年齢の推定結果」は、本願発明7の「推定した前記属性情報」に相当する。 b 引用発明2Cの「前記特定により特定された前記所有者と、前記認識処理の結果との関係」の「前記認識処理の結果」は、「前記認識処理により取得した前記利用者の年齢の推定結果」と同じものといえるから、当該「前記認識処理の結果」は、上記aと同様に、本願発明7の「推定した前記属性情報」に相当する。 ここで、引用発明2Cの「利用者の年齢」が、本願発明7の「利用者の属性情報」に相当すること(上記(イ))を踏まえると、引用発明2Cの当該「前記認識処理の結果」は、本願発明7の「推定した前記属性情報」に相当すると共に、実質的には、「推定した前記利用者の属性情報」であるともいえる。 c 引用発明2Cの「前記利用者との取引内容」の処理は、取引装置10すなわちサーバと通信可能なコンピュータ(上記(1)ア参照)で実行されることが明らかであるから、引用発明2Cの「前記利用者との取引内容」は、本願発明7の「コンピュータで行われた取引情報」に相当する。 d 引用発明2Cの「前記利用者に提示する提示情報」は、「前記利用者に」のみ「提示する提示情報」であることが明らかであることを踏まえると、引用発明2Cの「前記利用者に提示する提示情報を選択する」構成は、本願発明7の「前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定する」構成に相当する。 (エ) したがって、本願発明7の用語を( )内において併記し、合わせて参照箇所も示すと、引用発明2Cは、 「情報処理装置(コンピュータ:上記(ア))に、 媒体から取得される媒体情報に基づき、前記媒体にかかる所有者を特定する処理と、 前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理を行う処理(取得した画像を用いて、利用者の属性情報を推定する処理:上記(イ))と、 前記認識処理により取得した前記利用者の年齢の推定結果(推定した前記属性情報:上記(ウ)a)、前記特定により特定された前記所有者と、前記認識処理の結果(推定した前記利用者の属性情報:上記(ウ)b)との関係、及び、前記利用者との取引内容(コンピュータで行われた取引情報:上記(ウ)c)に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する処理(前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定する処理:上記(ウ)d)と、 を実行させるプログラム。」 であるといえる。 イ 引用発明2Cが解決しようとする課題は、「取引装置の利用者に応じた提示を行うこと」であるところ(摘記(1b)の段落【0007】参照)、当該「利用者に応じた」という意味は、「利用者の所有者との関係(親族関係など)に応じた」という意味であることが明らかであるから(摘記(1b)の段落【0006】及び摘記(1e)の段落【0048】参照)、当該課題を解決するためには、所有者と利用者との関係、すなわち、引用発明2Cの 「前記特定により特定された前記所有者と、前記認識処理の結果(推定した前記利用者の属性情報)との関係」(上記ア参照)という構成が、引用発明2Cにおいては、必須であるといえる。 したがって、当該「関係」の構成を削除することには、阻害要因が存在するから、引用発明2Cから当該「関係」の構成を削除した上で、それを、引用発明1Cに適用することはできない。 ウ また、上記「関係」の構成を削除せずに、引用発明2Cを、引用発明1Cの取引装置10に適用すれば、引用発明1Cの、コンピュータである「取引装置10」(実質的には、「入出金装置」といえる。)は、「所有者を特定する」するために、引用発明1Cとは別のコンピュータである「情報処理装置30」(実質的には、「サーバ」といえる。)から、「所有者」に関する情報を受信する必要が生じ、その情報の送信などのために「情報処理装置30」(サーバ)側の改修が必要となり、本願発明7の「取引情報として、入出金装置で取得可能な取引種別と、従来、サーバから受信している取引後残高とを利用することで、サーバ側での改修を要することなく」(段落【0007】)、「入出金装置で撮像した画像から推定される属性情報と、入出金装置での取引情報とに基づいて、コンテンツを表示する入出金装置を提供する」(段落【0006】)という課題、要は、入出金装置が取引のために必然的に受信している既存の情報だけを利用してコンテンツを表示する旨の課題が、解決できなくなるから、当該適用にも阻害要因が存在する。 エ さらに、仮に、引用発明1Cの「取引装置10」に、引用発明2Cを適用できたとしても、上記「関係」に基づく構成をも含むものとなるから、上記相違点7に係る本願発明7の「推定した前記属性情報と、当該コンピュータで行われた取引情報とに基づいて」、「コンテンツを決定する」という構成にはならない(実質的に相違するといえる。)。 オ したがって、引用発明1Cに、引用文献1に記載された、その余の技術事項(「画像取得装置60」に関する技術事項(摘記(1d))など)を適用することについて、検討するまでもなく、引用発明1Cにおいて、上記相違点7に係る本願発明7の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。 カ よって、本願発明7は、引用発明1C、引用発明2C及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 2 本願発明6について (1)対比 本願発明6と引用発明1Bとを対比する。 ア 上記1(1)アを踏まえると、引用発明1Bの「制御部11と、通信ネットワーク5を介して情報処理装置30及び画像取得装置60との間で通信を行う通信インタフェースである通信部12と、入力表示部13と、カードリーダ部15と、通帳記帳部16と、紙幣入出金部17と、硬貨入出金部18とを主に有する、取引装置10が実行する方法」は、本願発明6の「サーバと通信可能なコンピュータが実行する方法」に相当する。 イ 上記1(1)イを踏まえると、引用発明1Bの「利用者の操作に応じて、利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報を取得し、取得した取引内容の情報を情報処理装置30へ送信し、通帳記帳部16が、情報処理装置30から取得した口座情報などを冊子状媒体に記帳する工程を含む方法」は、本願発明6の「前記利用者の指示に従って、前記サーバに入出金処理に関する取引データを送信し、応答として、取引後残高を受信する工程を含む方法」に相当する。 以上から、本願発明6と引用発明1Bとの一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点6> 「サーバと通信可能なコンピュータが実行する方法であって、 前記利用者の指示に従って、前記サーバに入出金処理に関する取引データを送信し、応答として、取引後残高を受信する工程 を含む方法。」 <相違点6> 本願発明6は、 「所定のタイミングで撮像した利用者の画像を取得する工程と、 取得した前記画像を用いて、前記利用者の属性情報を推定する工程と、 推定した前記属性情報と、当該コンピュータで行われた取引情報とに基づいて、前記属性情報及び前記取引情報の少なくともいずれかが所定の条件を満たす前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定する工程であって、前記取引情報は、取引種別及び前記取引後残高を含む、工程と」 を含むのに対して、 引用発明1Bは、そのように特定されていない点。 (2)判断 相違点6について、以下検討する。 ア 上記1(2)アを踏まえ、本願発明6と引用発明2Bとを対比すると、以下のことがいえる。 引用発明2Bの、 「情報処理装置」、 「前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理を行う工程」、 「前記認識処理により取得した前記利用者の年齢の推定結果」、 「前記認識処理の結果」、 「前記利用者との取引内容」、及び、 「前記利用者に提示する提示情報を選択する工程」 は、それぞれ、 本願発明6の、 「コンピュータ」、 「取得した画像を用いて、利用者の属性情報を推定する工程」、 「推定した前記属性情報」、 「推定した前記利用者の属性情報」、 「コンピュータで行われた取引情報」、及び、 「前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定する工程」 に相当する。 イ したがって、本願発明6の用語を( )内において併記すると、引用発明2Bは、 「情報処理装置(コンピュータ)が実行する方法であって、 媒体から取得される媒体情報に基づき、前記媒体にかかる所有者を特定する工程と、 前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理を行う工程(取得した画像を用いて、利用者の属性情報を推定する工程)と、 前記認識処理により取得した前記利用者の年齢の推定結果(推定した前記属性情報)、前記特定により特定された前記所有者と、前記認識処理の結果(推定した前記利用者の属性情報)との関係、及び、前記利用者との取引内容(コンピュータで行われた取引情報)に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する工程(前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定する工程)と、 を含む方法。」 であるといえる。 ウ 引用発明2Bにおいても、引用発明2Cと同様に、課題を解決するためには、「前記特定により特定された前記所有者と、前記認識処理の結果(推定した前記利用者の属性情報)との関係」の構成が必須であるから、上記1(2)イ及びウで述べたとおり、当該構成を削除することには、阻害要因が存在し、また、引用発明1Bに引用発明2Bを適用することにも、阻害要因が存在する。 そして、仮に、引用発明1Bに引用発明2Bを適用することができたとしても、上記1(2)エで述べたとおり、上記「関係」に基づく構成をも含むものとなるから、上記相違点6に係る本願発明6の構成とはならない。 したがって、引用発明1Bに、引用文献1に記載されたその余の技術事項(「画像取得装置60」に関する技術事項(摘記(1d))など)を適用することについて、検討するまでもなく、引用発明1Bにおいて、上記相違点6に係る本願発明6の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。 エ よって、本願発明6は、引用発明1B、引用発明2B及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明1Aとを対比する。 ア 上記1(1)アを踏まえると、引用発明1Aの「制御部11と、通信ネットワーク5を介して情報処理装置30及び画像取得装置60との間で通信を行う通信インタフェースである通信部12と、入力表示部13と、カードリーダ部15と、通帳記帳部16と、紙幣入出金部17と、硬貨入出金部18とを主に有する、取引装置10」は、本願発明1の「サーバと通信可能な入出金装置」に相当する。 イ 上記1(1)イを踏まえると、引用発明1Aの「取引装置10」の「利用者の操作に応じて、利用者から入力された入金、出金等の取引内容の情報を取得し、取得した取引内容の情報を情報処理装置30へ送信し、通帳記帳部16が、情報処理装置30から取得した口座情報などを冊子状媒体に記帳する」構成は、本願発明1の「前記利用者の指示に従って、前記サーバに入出金処理に関する取引データを送信し、応答として、取引後残高を受信する取引部」の構成に相当する。 以上から、本願発明1と引用発明1Aとの一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点1> 「サーバと通信可能な入出金装置であって、 前記利用者の指示に従って、前記サーバに入出金処理に関する取引データを送信し、応答として、取引後残高を受信する取引部 を備える入出金装置。」 <相違点1> 本願発明1は、 「所定のタイミングで撮像した利用者の画像を取得する画像取得部と、 前記画像取得部が取得した画像を用いて、前記利用者の属性情報を推定する推定部と、 前記推定部が推定した前記属性情報と、当該入出金装置で行われた取引情報とに基づいて、前記属性情報及び前記取引情報の少なくともいずれかが所定の条件を満たす前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定するコンテンツ決定部であって、前記取引情報は、取引種別及び前記取引後残高を含む、コンテンツ決定部と」を備えるのに対して、 引用発明1Aは、そのように特定されていない点。 (2)判断 相違点1について、以下検討する。 ア 引用発明2Aの「情報処理装置」は、本願発明1の「サーバ」に相当し、引用発明2Aの「前記利用者との取引内容」は、取引装置10すなわち入出金装置(上記(1)ア参照)で行われた取引内容であるから、本願発明1の「前記利用者との取引内容」に相当する。 このことと、上記1(2)アを踏まえ、本願発明1と引用発明2Aとを対比すると、以下のことがいえる。 引用発明2Aの、 「前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理を行う利用者認識処理部」、 「前記利用者認識処理部により取得した前記利用者の年齢の推定結果」、 「前記利用者認識処理部による前記認識処理の結果」、 「前記利用者との取引内容」、及び、 「前記利用者に提示する提示情報を選択する提示情報選択部」 は、それぞれ、 本願発明1の、 「画像取得部が取得した画像を用いて、利用者の属性情報を推定する推定部」、 「前記推定部が推定した前記属性情報」、 「前記推定部が推定した前記利用者の属性情報」、 「入出金装置で行われた取引情報」、及び 「前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定するコンテンツ決定部」 に相当する。 イ したがって、本願発明1の用語を( )内において併記すると、引用発明2Aは、 「媒体から取得される媒体情報に基づき、前記媒体にかかる所有者を特定する所有者特定部と、 前記媒体を利用する利用者の顔の画像情報に基づき、前記利用者の年齢を推定する処理である認識処理を行う利用者認識処理部(取得した画像を用いて、利用者の属性情報を推定する推定部)と、 前記利用者認識処理部により取得した前記利用者の年齢の推定結果(前記推定部が推定した前記属性情報)、前記所有者特定部により特定された前記所有者と、前記利用者認識処理部による前記認識処理の結果(前記推定部が推定した前記利用者の属性情報)との関係、及び、前記利用者との取引内容(入出金装置で行われた取引情報)に基づいて、前記利用者に提示する提示情報を選択する提示情報選択部(前記利用者に対してのみ表示するコンテンツを決定するコンテンツ決定部)と、 を備える、情報処理装置(サーバ)。」 であるといえる。 ウ 引用発明2Aにおいても、引用発明2Cと同様に、課題を解決するためには、「前記所有者特定部により特定された前記所有者と、前記利用者認識処理部による前記認識処理の結果(前記推定部が推定した前記利用者の属性情報)との関係」の構成が必須であるから、上記1(2)イ及びウで述べたとおり、当該構成を削除することには、阻害要因が存在し、また、引用発明1Aに引用発明2Aを適用することにも、阻害要因が存在する。 そして、仮に、引用発明1Aに引用発明2Aを適用することができたとしても、上記1(2)エで述べたとおり、上記「関係」に基づく構成をも含むものとなるから、上記相違点1に係る本願発明1の構成とはならない。 したがって、引用発明1Aに、引用文献1に記載されたその余の技術事項(「画像取得装置60」に関する技術事項(摘記(1d))など)を適用することについて、検討するまでもなく、引用発明1Aにおいて、上記相違点1に係る本願発明1の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。 エ よって、本願発明1は、引用発明1A、引用発明2A及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 4 本願発明2?5について 本願発明2?5は、本願発明1の発明特定事項を全て備え、さらに限定したものであるから、本願発明1と同様に(上記3参照)、引用発明1A、引用発明2A及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1?5は、少なくとも上記相違点1に係る本願発明1の構成を有するものとなっており、本願発明1?5は、引用発明1A、引用発明2A及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 また、審判請求時の補正により、本願発明6は、少なくとも上記相違点6に係る本願発明6の構成を有するものとなっており、本願発明6は、引用発明1B、引用発明2B及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 さらに、審判請求時の補正により、本願発明7は、少なくとも上記相違点7に係る本願発明7の構成を有するものとなっており、本願発明7は、引用発明1C、引用発明2C及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-02-27 |
出願番号 | 特願2018-150473(P2018-150473) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G07D)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小島 哲次 |
特許庁審判長 |
藤井 昇 |
特許庁審判官 |
岡▲さき▼ 潤 出口 昌哉 |
発明の名称 | 入出金装置 |
代理人 | 大貫 敏史 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 内藤 和彦 |
代理人 | 江口 昭彦 |