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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J
管理番号 1360067
審判番号 不服2018-2879  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-28 
確定日 2020-02-18 
事件の表示 特願2015-503128「次世代無線ネットワークのためのチャンネル状態情報パイロット設計のための装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月 3日国際公開、WO2013/147565、平成27年 7月 2日国内公表、特表2015-518671〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2013年(平成25年)4月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年3月30日,2012年4月18日,2013年3月14日,いずれも米国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 1月10日付け:拒絶理由通知書
平成29年 4月17日 :意見書,手続補正書の提出
平成29年 6月13日付け:拒絶理由通知書(最後)
平成29年 9月26日 :意見書の提出
平成29年10月23日付け:拒絶査定
平成30年 2月28日 :拒絶査定不服審判の請求,手続補正書の提出
平成30年11月13日付け:拒絶理由通知書
平成31年 2月19日 :意見書,手続補正書の提出
平成31年 3月15日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 元年 6月14日 :意見書,手続補正書の提出
令和 元年 8月16日 :当審から請求人への応対(意見書についての問い合わせ)
令和 元年 9月 4日 :請求人から当審への応対(上記問い合わせに対する回答)

第2 令和元年6月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和元年6月14日にされた手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
令和元年6月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は,平成31年2月19日にされた手続補正(以下「先の補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1?16を,本件補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1?12に補正するものであって,当該補正後の請求項1に係る発明は,次のとおりのものである。

「【請求項1】
チャンネル状態情報基準信号(CSI-RS)の伝送のための基地局の装置であって,
各々一つの非ゼロ出力伝送(NZP)CSI-RSに対する少なくとも二つのリソース構成と,前記少なくとも二つのリソース構成に対して共通である一つのアンテナポートカウント情報を端末に伝送し,前記アンテナポートカウント情報と前記少なくとも二つのリソース構成によって複数のNZP CSI-RSを同一のサブフレームで伝送し,前記複数のNZP CSI-RSに基づいて生成された少なくとも一つのCSIを前記端末から受信する送受信器と,
前記送受信器を制御する制御器と,を含み,
ここで,前記複数のNZP CSI-RSに関連するアンテナポートの全体個数は,前記アンテナポートカウント情報によって識別された一つのアンテナポートの数と前記少なくとも二つのリソース構成の個数に基づいて決定される
ことを特徴とする装置。」

2 補正の適否
(1)本件補正の補正事項について
補正後の請求項1には,「ここで,前記複数のNZP CSI-RSに関連するアンテナポートの全体個数は,前記アンテナポートカウント情報によって識別された一つのアンテナポートの数と前記少なくとも二つのリソース構成の個数に基づいて決定される」と記載されており,本件補正は,補正前の請求項1(先の補正により補正された請求項1)の記載を,上記記載の下線部において変更する補正事項を含むものである。
そこで,本件補正が,本願の国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文,国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下「翻訳文等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるかについて,検討する。

(2)翻訳文の記載
翻訳文には,次の記載がある。
「【0119】
A-CSI-RS及びB-CSI-RSに対するリソース設定(resourceConfig)及びAntennaPortsCountは独立的にまたは共同に設定されることができる。
【0120】
独立設定の一例で,(A-resourceConfig,A-AntennaPortsCount)及び(B-resourceConfig,B-AntennaPortCount)は,A-CSI-RS及びB-CSI-RSのために設定される。これらがUE116に設定される場合,UE116は表1によって(A-resourceConfig,A-AntennaPortCount)及び(B-resourceConfig,B-AntennaPortCount)の各々に(resourceConfig,AntennaPortCount)を交替してA-CSI-RSパターン及びB-CSI-RSパターンの各々を導出する。
【0121】
ジョイント設定の一例で,(resourceConfig,AntennaPortCount)は,A-CSI-RS及びB-CSI-RSの両方のために設定される。(resourceConfig,AntennaPortCount)がUE116に設定される場合,UE116はまず設定された(resourceConfig,AntennaPortCount)で表1によってCSI-RSパターンを導出する。以後,N_(1) A-CSI-RS AP及びN_(2) B-CSI-RS APに対する時間周波数位置が予め定義された方式によって決定され,ここで,AntennaPortCount=N_(1)+N_(2)である。N_(1)及びN_(2)は,RRC設定されるか,標準規格での定数であり得るということに留意すべきである。ジョイント設定のいくつの例を図8及び以下で説明する。
【0122】
第1の例(例1)で,AntennaPortCount=8,N_(1)=4及びN_(2)=4であれば,AP(15乃至18)はA-CSI-RSに割り当てられ,AP(19乃至22)はB-CSI-RSに割り当てられる。すなわち,A-CSI-RS及びB-CSI-RSはFDMマルチプレキシングされ,A-CSI-RS及びB-CSI-RSの各々で複数のCSI-RSポートがCDMマルチプレキシングされる。
【0123】
第2の例(例2)で,AntennaPortCount=8,N_(1)=4及びN_(2)=4であれば,AP(15,17,19及び21)はA-CSI-RSに割り当てられ,AP(16,18,20及び22)はB-CSI-RSに割り当てられる。すなわち,8個のCSI-RSが二つのREの4CDMグループの各々でマルチプレキシングされ,第1のCDMコード,例えば[+1,+1]はA-CSI-RSに割り当てられ,第2のCDMコード,例えば[+1,-1]はB-CSI-RSに割り当てられる。
【0124】
図8A乃至図8Cは,本発明の実施形態によるA-CSI-RS及びB-CSI-RSのジョイント設定を示す。図8A乃至図8Cに示されたジョイント設定(800,810及び820)の実施形態は,説明のためのものであるにすぎない。本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が使用され得る。
【0125】
特定の実施形態で,共通(common)AntennaPortCountは,A-CSI-RSとB-CSI-RSの両方のために設定され,同時にA-resourceConfig及びB-resourceConfigがUE116のために別途に設定される。この場合,UE116は(A-resourceConfig,AntennaPortCount)及び(B-resourceConfig,AntennaPortCount)でA-CSI-RSパターン及びB-CSI-RSパターンを各々導出する。」

(3)当審の判断
ア 翻訳文の段落【0121】?【0124】の記載は,段落【0119】に記載されている,「A-CSI-RS及びB-CSI-RSに対するリソース設定(resourceConfig)及びAntennaPortsCount」が「独立的にまたは共同に設定される」のうちの「共同」に設定される場合であって,段落【0121】の冒頭に記載されている,「ジョイント設定の一例で,(resourceConfig,AntennaPortCount)は,A-CSI-RS及びB-CSI-RSの両方のために設定される」場合(以下「ケース1」という。)についてのものであると解される。
一方,段落【0125】の記載は,ケース1とは異なる場合である,「共通(common)AntennaPortCountは,A-CSI-RSとB-CSI-RSの両方のために設定され,同時にA-resourceConfig及びB-resourceConfigがUE116のために別途に設定される」場合(以下「ケース2」という。)についてのものであると解される。
そして,補正後の請求項1には,「各々一つの非ゼロ出力伝送(NZP)CSI-RSに対する少なくとも二つのリソース構成と,前記少なくとも二つのリソース構成に対して共通である一つのアンテナポートカウント情報を端末に伝送し,」と記載されているから,補正後の請求項1は,ケース2に対応しているといえる。

イ そこで,ケース2についての段落【0125】の記載について検討すると,当該段落には,「アンテナポートの全体個数」の「決定」について何ら記載されていないから,本件補正に係る補正事項が当該段落に記載されている,又は当該段落の記載から自明であるとすることはできない。

ウ もっとも,ケース2は,「AntennaPortCount」が「A-CSI-RS」及び「B-CSI-RS」の両方のために設定される点ではケース1と変わるものではないから,以下,念のため,ケース1に関する段落【0121】?【0124】の記載内容がケース2でも当てはまると仮定して,さらに検討する。

エ 段落【0121】に記載されている,「N_(1) A-CSI-RS AP及びN_(2) B-CSI-RS APに対する時間周波数位置が予め定義された方式によって決定され,ここで,AntennaPortCount=N_(1)+N_(2)である。」とは,「A-CSI-RS AP」の個数が「N_(1)」個であり,「B-CSI-RS AP」の個数が「N_(2)」個であることを示しており,また,「AntennaPortCount」が,「AntennaPortCount=N_(1)+N_(2)」であること,すなわちそれらの個数の合計に等しいことを示していると解される。
また,段落【0122】に記載されている「第1の例(例1)で,AntennaPortCount=8,N_(1)=4及びN_(2)=4であれば,AP(15乃至18)はA-CSI-RSに割り当てられ,AP(19乃至22)はB-CSI-RSに割り当てられる。」とは,「A-CSI-RS」に関連するアンテナポートの個数「N_(1)」が「4」であり,「B-CSI-RS」に関連するアンテナポートの個数「N_(2)」が「4」であり,それらの合計である「AntennaPortCount」の値が「8」である例を示しており,段落【0123】の「第2の例」についても同様であると解される。

オ 上記エによれば,補正後の請求項1の「複数のNZP CSI-RSに関連するアンテナポートの全体個数」は,翻訳文に記載されている「AntennaPortCount」に対応しているということができ,その値は,「A-CSI-RS AP」の個数が「N_(1)」個,「B-CSI-RS AP」の個数が「N_(2)」個である場合は,「N_(1)+N_(2)」に等しく,例えば「8」である。
しかしながら,「AntennaPortCount」の値である,例えば「8」を決定することを,補正後の請求項1のとおりに「前記アンテナポートカウント情報によって識別された一つのアンテナポートの数と前記少なくとも二つのリソース構成の個数に基づいて」行うことは,翻訳文等には記載されておらず,翻訳文等の記載から自明であるともいえない。例えば,「N_(1)+N_(2)」の演算が,「アンテナポートカウント情報によって識別された一つのアンテナポートの数と前記少なくとも二つのリソース構成の個数に基づいて」いることが,翻訳文等の記載から自明であるとする根拠は見出せない。

カ また,補正後の請求項1に係る発明は,「基地局の装置」の発明であるから,「決定」は基地局で行う動作であると解されるが,そもそも,基地局において「AntennaPortCount」の決定に「N_(1)+N_(2)」の演算を用いることは,翻訳文等には記載されておらず,翻訳文等の記載から自明であるともいえない。例えば,段落【0121】に記載されている「AntennaPortCount=N_(1)+N_(2)」は,単に等式(等しい関係)を示すにすぎず,基地局において右辺の演算を実行することが自明であるとする根拠は見出せない。

キ 上記イ,オ,カにより,本件補正は,翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであると認められ,翻訳文等に記載した事項の範囲内のものであるとすることはできない。
よって,本件補正は,特許法第17の2第3項の規定を満たしていない。

(4)請求人の主張について
請求人は,令和元年6月14日に提出した意見書において,本件補正は段落【0125】の記載によりサポートされている旨,主張する。
また,請求人は,令和元年9月4日の応対で当審宛に送付したファクシミリにおいて,段落【0117】?【0123】では,ジョイント設定の例として,複数のNZP CSI-RSに関連するアンテナポートの全体個数がどのように決定されるかを詳細に説明しており(一例で,アンテナポートの全体個数AntennaPortCountは,N_(1)+N_(2)になり得る),後続する段落【0125で】は,共通(common)AntennaPortCountは,A-CSI-RSとB-CSI-RSの両方のために設定されることを説明している旨主張するとともに,段落【0125】の記載などに基づくと,アンテナポートの全体個数がAntennaPortCountをresourceConfigの個数だけ反復合算して計算されるということは,容易な算術的計算に該当することであり,共通(common)AntennaPortCountが使用される場合にアンテナポートの全体個数を決定する方式は,単純に説明の便宜のために省略されたことにすぎないものであることは自明であるから,請求項1の補正事項は段落【0125】の記載から容易に類推できる旨,主張する。
しかしながら,「AntennaPortCountをresourceConfigの個数だけ反復合算して計算」することが,翻訳文等の記載から自明であるとはいえない。
上記(3)カに関し,基地局において,段落【0121】に記載されている「AntennaPortCount=N_(1)+N_(2)」との数式における右辺の演算を実行して,アンテナポートの全体個数を決定することについては,翻訳文等には記載も示唆もない。
また,仮に上記演算を実行することが自明であるとしても,当該演算は,「N_(1)」と「N_(2)」とを合計するものであって,「AntennaPortCount」を反復合算するものではない。
よって,請求人の上記主張は採用できない。

3 本件補正についてのむすび
本件補正は,特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので,本願の請求項1?16に係る発明は,先の補正(平成31年2月19日にされた手続補正)により補正された特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定されるものであって,請求項1に係る発明は,次のとおりのものである。
「【請求項1】
チャンネル状態情報基準信号(CSI-RS)の伝送のための基地局の装置であって,
同一のサブフレームに関連する,非ゼロ出力伝送を使用する少なくとも二つのCSI-RS構成の相互間の多重化に関連するアンテナポートの全体個数を識別する制御器と,
前記少なくとも二つのCSI-RS構成に対する情報を伝送し,前記アンテナポートの全体個数と前記少なくとも二つのCSI-RS構成に対応する複数のCSI-RSを前記同一のサブフレームで伝送する送受信器と,を含み,ここで,前記アンテナポートの全体個数は,一個の共通アンテナポートの数と前記少なくとも二つのCSI-RS構成の数との積に基づいて決定される
ことを特徴とする装置。」

2 当審の拒絶理由通知書の概要
当審が通知した平成31年3月15日付け拒絶理由通知書(最後)の理由は,理由1及び理由2を含み,それらは概略,次のとおりのものである。
(1)理由1(新規事項)
先の補正は,翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
先の補正により,請求項1には,「少なくとも二つのCSI-RS構成の相互間の多重化に関連するアンテナポートの全体個数を識別する制御器」と記載されているとともに,「アンテナポートの全体個数は,一個の共通アンテナポートの数と前記少なくとも二つのCSI-RS構成の数との積に基づいて決定される」と記載されている。請求項5,9,13にも同様の記載がある。
しかしながら,先の補正は,翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであると認められる。

(2)理由2(明確性)
この出願は,特許請求の範囲の記載が,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1に「少なくとも二つのCSI-RS構成の相互間の多重化」と記載されているが,「多重化」とは,「CSI-RS構成」における何と何とを,どのように多重化することであるのか不明である。
また,請求項1には,「一個の共通アンテナポートの数と前記少なくとも二つのCSI-RS構成の数との積」とも記載されているが,「一個の共通アンテナポートの数」とは,「共通アンテナポート」に関する何の個数が「一個」であるのか不明であるとともに,「数」が,「一個の共通アンテナポート」の何を,どのように数えた場合の個数であるのか不明である。さらに,「少なくとも二つのCSI-RS構成の数」についても,「少なくとも二つのCSI-RS構成」の何を,どのように数えた場合の個数であるのか不明である。
次に,請求項1を引用する請求項2には,「前記少なくとも二つのCSI-RS構成は前記一つのサブフレーム内で結合される」と記載されているが,「結合される」ことと,請求項1に記載されている上記「多重化」との関係が不明である。
請求項5,9,13にも請求項1と同様の記載があり,請求項6,10,14にも請求項2と同様の記載がある。その余の請求項は,以上のいずれかの請求項を引用している。
よって,請求項1-16に係る発明は明確でない。

3 当審の判断
(1)理由1(新規事項)について
ア 請求項1には,「非ゼロ出力伝送を使用する少なくとも二つのCSI-RS構成の相互間の多重化に関連するアンテナポートの全体個数を識別する」と記載されているとともに,「前記アンテナポートの全体個数は,一個の共通アンテナポートの数と前記少なくとも二つのCSI-RS構成の数との積に基づいて決定される」と記載されており,先の補正は,補正前の請求項1(平成30年2月28日にされた手続補正により補正された請求項1)の記載を,上記記載の下線部において変更し又は追加する補正事項を含むものである。

イ 翻訳文等には,上記第2[理由]2(2)の記載に加え,次の記載がある。
(ア)「【0084】
送信ポイント400は,アンテナアレイ405及び制御器410を含む。アンテナアレイ405は,N(=N_(H)xN_(v))個の2Dアクティブアンテナ要素415を含み,N個のアンテナ要素はN_(H)xN_(v)個の2Dグリッドに配置される。」

(イ)「【0107】
送信器チェーン700は,CSI-RSの少なくとも2セットに対して(A-CSI-RS APで表示された)CSI-RSの第1のセット705及び(B-CSI-RS APで表示された)CSI-RSの第2のセット710をマルチプレキシングするために設定される。ここで,A-CSI-RS AP705及びB-CSI-RS AP710に対するマルチプレクサ作業715は,時間領域マルチプレキシング(TDM),CDM(コード領域マルチプレキシング),FDM(周波数-領域マルチプレキシング)及びSDM(空間領域マルチプレキシング),及びTDM,FDM,CDM及びSDMの組合であり得る。TDMマルチプレキシングが適用される場合,A-CSI-RS AP705及びB-CSI-RS AP710は,二つの相異なる時間位置,例えば二つの相異なる時間スロット,二つの相異なるサブフレーム,またはOFDMシンボルの二つの相異なるセットで,それぞれのCSI-RSを送信する。FDMマルチプレキシングが適用される場合,A-CSI-RS AP705及びB-CSI-RS AP710は,二つの相異なる周波数(またはサブキャリア)位置で,それらのCSI-RSを送信する。CDMマルチプレキシングが適用される場合,A-CSI-RS AP705及びB-CSI-RS AP710は,同一の時間-周波数位置で二つの相異なる直交コード(例えば,ウォルシュ(Walsh)コード,CAZACコード)を使用してそれぞれのCSI-RSを送信する。SDMが適用される場合,A-CSI-RS AP705及びB-CSI-RS AP710は,二つの相異なる空間ビーム(spatial beam)でそれれのCSI-RSを送信し,これらは二つの相異なるスクランブリング初期化を使用して相異なるようにスクランブリングされることができる。TDM,CDM,FDM及びSDMのいくつの例示組合を後述する。FDM/TDMマルチプレキシングが適用される場合,A-CSI-RS AP705及びB-CSI-RS AP710は,二つの相異なる時間-周波数位置でそれらのCSI-RSを送信する。」

(ウ)「【0126】
また,TP400でアンテナポートの総個数NはA-AntennaPortCount及びB-AntennaPortCountから追加的にシグナルされることができる。」

(エ)「【0148】
UE116がN_(v)個のV-CSI-RS AP905及びN_(H)個のH-CSI-RS AP910で設定される場合,UE116はTP400でのアンテナポートの総個数がN個のアンテナチャンネルに対するジョイントCQI及びジョイントPMIのうち少なくとも一つを導出するためのN=N_(H)xN_(v)個であると仮定することができる。他の設計で,TPでのアンテナポートの総個数はUE116に別途にシグナリングされる。」

(オ)図4


ウ 上記アの補正事項に係る請求項1の記載のうちの「少なくとも二つのCSI-RS構成の相互間の多重化」とは,複数の「CSI-RS構成」を多重化することであるものと解される。また,請求項1には,「前記アンテナポートの全体個数と前記少なくとも二つのCSI-RS構成に対応する複数のCSI-RSを前記同一のサブフレームで伝送する送受信器」とも記載されているから,「CSI-RS構成」と「CSI-RS」とは異なるといえる。そうすると,「CSI-RS構成」を多重化することは,「CSI-RS」を多重化することとは異なるものと解される。
一方,翻訳文の段落【0107】や【0117】には,複数のCSI-RSを「マルチプレキシング」すなわち多重化することは記載されているといえる。
しかしながら,上記のとおり,「CSI-RS構成」を多重化することと「CSI-RS」を多重化することとは異なるから,当該段落に「CSI-RS構成」を多重化することが記載されているということはできない。
また,翻訳文等のその余の部分においても,「CSI-RS構成」を多重化することは記載されておらず,その点が翻訳文等の記載から自明であるとする根拠も見出せない。

エ 次に,上記アの補正事項に係る請求項1の記載のうちの「前記アンテナポートの全体個数は,一個の共通アンテナポートの数と前記少なくとも二つのCSI-RS構成の数との積に基づいて決定される」との記載に関し,「一個の共通アンテナポート」及び「少なくとも二つのCSI-RS構成」は,それぞれ,翻訳文の段落【0125】の「共通(common)AntennaPortCountは,A-CSI-RSとB-CSI-RSの両方のために設定され」との記載,及び「A-resourceConfig及びB-resourceConfigがUE116のために別途に設定される」との記載に対応しているものと解される。
また,翻訳文の段落【0126】及び【0148】の記載によれば,「アンテナポートの総個数N」を「シグナリング」するために,「N=N_(H)xN_(v)」の積の演算が行われるものと解され,ここで,段落【0084】の記載及び図4によれば,N_(H),N_(v)は,それぞれ,アンテナアレイ405に含まれる,水平方向,垂直方向の「2Dアクティブアンテナ要素415」の個数である。
一方,請求項1には,「アンテナポートの全体個数」について,「非ゼロ出力伝送を使用する少なくとも二つのCSI-RS構成の相互間の多重化に関連するアンテナポートの全体個数」と記載されているところ,「少なくとも二つのCSI-RS構成の相互間の多重化」については,上記ウのとおり,翻訳文等に記載されていない。
そこで,「少なくとも二つのCSI-RS構成の相互間の多重化に関連する」との記載を考慮に入れず,「アンテナポートの全体個数」は,段落【0126】の「アンテナポートの総個数N」に対応している,と仮定した場合について検討すると,「共通(common)AntennaPortCount」の値及び「CSI-RS構成」の個数を,それぞれN_(H),N_(v)のいずれか一方,他方と等しく設定することは,翻訳文等には記載されておらず,自明であるともいえない。
したがって,「一個の共通アンテナポートの数」と「少なくとも二つのCSI-RS構成の数」との「積」を演算する処理や,その演算結果に基づいて「アンテナポートの全体個数」の「決定」を行う処理について,翻訳文等に記載されている,又は記載されていることが自明である,とすることはできない。

オ 「少なくとも二つのCSI-RS構成の相互間の多重化に関連する」との記載はひとまず措いて,上記エとは異なり,請求項1の「アンテナポートの全体個数」が,段落【0121】の「AntennaPortCount=N_(1)+N_(2)」との記載における「AntennaPortCount」に対応していると仮定した場合(上記第2[理由]2(3)オと同様の場合)についても,念のため検討すると,「AntennaPortCount」の値を決定することを,「一個の共通アンテナポートの数と前記少なくとも二つのCSI-RS構成の数との積に基づいて」行うことは,翻訳文等には記載されておらず,翻訳文等の記載から自明であるともいえない。例えば,「N_(1)+N_(2)」は,和の演算であって,積ではない。
また,請求項1に係る発明は,「基地局の装置」の発明であるから,「決定」は基地局で行う動作であると解されるが,そもそも,基地局において「AntennaPortCount」の決定に「N_(1)+N_(2)」の演算を用いることは,翻訳文等には記載されておらず,翻訳文等の記載から自明であるともいえない。例えば,段落【0121】に記載されている「AntennaPortCount=N_(1)+N_(2)」は,単に等式(等しい関係)を示すにすぎず,基地局において右辺の演算を実行することが自明であるとする根拠は見出せない。

カ 上記ウ?オにより,先の補正は,翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであると認められ,翻訳文等に記載した事項の範囲内のものであるとすることはできない。
よって,先の補正は,特許法第17の2第3項に規定する要件を満たしていない。

(2)理由2(明確性)について
請求項1に「少なくとも二つのCSI-RS構成の相互間の多重化」と記載されているが,「多重化」とは,「CSI-RS構成」における何と何とを,どのように多重化することであるのか不明である。
この点に関し,上記(1)ウのとおり,「CSI-RS構成」を多重化することは翻訳文等に記載されていないから,翻訳文等の記載を参酌しても上記の点は明らかとはならない。
よって,請求項1に係る発明は明確でないから,その余の請求項の記載について検討するまでもなく,本願は,特許請求の範囲の記載が,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 むすび
以上のとおり,本願は,平成31年2月19日にされた手続補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず,また,特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから,拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-09-12 
結審通知日 2019-09-17 
審決日 2019-10-07 
出願番号 特願2015-503128(P2015-503128)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (H04J)
P 1 8・ 55- WZ (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡 裕之  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 富澤 哲生
衣鳩 文彦
発明の名称 次世代無線ネットワークのためのチャンネル状態情報パイロット設計のための装置及び方法  
代理人 阿部 達彦  
代理人 崔 允辰  
代理人 実広 信哉  
代理人 木内 敬二  
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