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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B01J
管理番号 1360147
審判番号 不服2018-14521  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-01 
確定日 2020-02-26 
事件の表示 特願2016-506867「空間的及び時間的に分離された処理段階、混合段階、及び、使用段階の3段階を備える液体の磁気/静電/電磁処理方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月30日国際公開、WO2014/173672、平成28年6月2日国内公表、特表2016-515937〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、2014年(平成26年)4月7日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2013年(平成25年)4月8日(以下「本件優先日」という。)米国)を国際出願日とする出願であって、平成29年12月15日付の拒絶理由が通知され、平成30年3月19日に意見書の提出とともに手続補正がされ、同年8月30日付で拒絶査定がされ(謄本送達は、同年9月4日)、同年11月1日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がなされ、令和元年6月11日に上申書が提出されたものである。

第2 平成30年11月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年11月1日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「【請求項1】
a.第1の通常のイオン化されていない液体を入れる第1液体槽と、
b.前記第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む液体を入れる第2液体槽と、
c.前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体が循環中に、前記第1の通常のイオン化されていない液体に直接磁場/静電場/電磁場をかけることで前記第2の直接イオン化された液体が生成されるように、前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体に前記磁場/静電場/電磁場をかけるよう構成された処理部と、
d.前記処理部によって発生した前記磁場/静電場/電磁場の影響下において、前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記前記液体を循環させる循環ポンプと、
e.前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体の流量を制御する比例弁と、
f.前記第2液体槽を前記処理部に接続する第1管路と、前記処理部を前記第2液体槽に接続する第2管路と、及び、第1液体槽を前記第2液体槽に接続する第3管路とを備える循環管路と、
i.前記第2液体槽と前記循環管路中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体の運用状態を制御する複数のアクチュエータ及びセンサと、
j.前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体の物理的及び化学的性質の変化を検知することが可能な複数のセンサと、及び、
k.前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を混合することによって、第3の間接的にイオン化された液体が生成されるように構成された選択的な混合器と、を備え、
前記第1の通常のイオン化されていない液体は、ディーゼル燃料、又は、ガソリン燃料である、燃料改質のための直接磁気/静電/電磁処理装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成30年3月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
a.第1の通常のイオン化されていない液体を入れる第1液体槽と、
b.前記第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む液体を入れる第2液体槽と、
c.前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体が循環中に、前記第1の通常のイオン化されていない液体に直接磁場/静電場/電磁場をかけることで前記第2の直接イオン化された液体が生成されるように、前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体に前記磁場/静電場/電磁場をかけるよう構成された処理部と、
d.前記処理部によって発生した前記磁場/静電場/電磁場の影響下において、前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記前記液体を循環させる循環ポンプと、
e.前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体の流量を制御する比例弁と、
f.前記第2液体槽を前記処理部に接続する第1管路と、前記処理部を前記第2液体槽に接続する第2管路と、及び、第1液体槽を前記第2液体槽に接続する第3管路とを備える循環管路と、
i.前記第2液体槽と前記循環管路中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体の運用状態を制御する複数のアクチュエータ及びセンサと、
j.前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体の物理的及び化学的性質の変化を検知することが可能な複数のセンサと、及び、
k.前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を混合することによって、第3の間接的にイオン化された液体が生成されるように構成された選択的な混合器と、を備え、
前記第1の通常のイオン化されていない液体は、水、ディーゼル燃料、又は、ガソリン燃料である、液体の直接磁気/静電/電磁処理装置。」
2 補正の適否について
(1)本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「液体」の内容について、選択肢の一つである「水」を削除し、用途を燃料改質に特定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(2)そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(3)本件補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、ほぼ前記1(1)の【請求項1】に記載のとおりに特定される発明である。ただし、構成dの「前記前記液体」は、「前記液体」の誤記と認められるので、誤記を訂正して次のように認定した。
「【請求項1】
a.第1の通常のイオン化されていない液体を入れる第1液体槽と、
b.前記第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む液体を入れる第2液体槽と、
c.前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体が循環中に、前記第1の通常のイオン化されていない液体に直接磁場/静電場/電磁場をかけることで前記第2の直接イオン化された液体が生成されるように、前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体に前記磁場/静電場/電磁場をかけるよう構成された処理部と、
d.前記処理部によって発生した前記磁場/静電場/電磁場の影響下において、前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体を循環させる循環ポンプと、
e.前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体の流量を制御する比例弁と、
f.前記第2液体槽を前記処理部に接続する第1管路と、前記処理部を前記第2液体槽に接続する第2管路と、及び、第1液体槽を前記第2液体槽に接続する第3管路とを備える循環管路と、
i.前記第2液体槽と前記循環管路中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体の運用状態を制御する複数のアクチュエータ及びセンサと、
j.前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体の物理的及び化学的性質の変化を検知することが可能な複数のセンサと、及び、
k.前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を混合することによって、第3の間接的にイオン化された液体が生成されるように構成された選択的な混合器と、を備え、
前記第1の通常のイオン化されていない液体は、水、ディーゼル燃料、又は、ガソリン燃料である、液体の直接磁気/静電/電磁処理装置。」
(4)引用文献の記載事項等
原査定の理由に引用された引用文献1(国際公開第2012/156464号)には、「METHOD AND APPARATUS FOR INDIRECT MAGNETIC TREATMENT OF FLUIDS AND GASES」「液体および気体の間接的磁気処理のための方法および装置」(発明の名称)について次の記載がある。翻訳文として特表2014-513747号公報を採用し、対応する記載を併記した。
ア「CLAIMS
1. A method of indirect magnetic treatment of fluids and/or gases, the method comprising:
a. Providing a normal non-magnetized fluid/gas, and applying a direct magnetic or electromagnetic field of certain flux densities and geometries on the normal fluid/gas to obtain the first directly magnetized fluid/gas;
b. Providing a second normal non-magnetized fluid/gas; and
c. Mixing the first directly magnetized fluid/gas and second normal non-magnetized fluid/gas to obtain a third mixed or indirectly-magnetized fluid/gas that is also magnetically treated and more effective than the first directly magnetized fluid/gas and the second normal non-magnetized fluid/gas.
2. The method of treating a fluid/gas as claimed in claim 1, wherein the first fluid/gas is the directly magnetized fluid/gas that undergoes direct magnetic or electromagnetic treatment, while the second fluid/gas is the normal non-magnetized fluid/gas that does not pass through any direct magnetic/electromagnetic field, wherein in the third mixed or indirectly-magnetized fluid/gas, the second normal non-magnetized fluid/gas becomes magnetically treated indirectly from the first directly magnetized fluid/gas, and the third mixed or indirectly-magnetized fluid/gas becomes totally treated in an indirect manner.
3. The method of treating a fluid/gas as claimed in any of the preceding claims, wherein the treatment unit for the production of the directly magnetized fluid/gas can be either a permanent magnet setup or an electromagnetic setup using coil(s) and controlled current/voltage source(s), wherein the magnetic or electromagnetic field in the treatment unit can be of any dimension and geometry (one-dimensional, two- dimensional, three-dimensional magnetic fields); flux densities (B_(x), B_(y), B_(z)) might range from few gausses to the range of Teslas; the nature of magnetic field can be in the attraction form or in the repulsion form (in case of permanent magnet setup); and wherein the required angle between the magnetic field and the fluid/gas flow can be of any angle like 90, 0, 180 degrees or any other required angle.
・・・」
「【請求項1】
液体および/または気体の間接的磁気処理方法において、
a.非磁化常液体/気体を提供し、常液体/気体に対し一定の流束密度および幾何形状の直接的磁場または電磁場を印加して、第1の直接磁化液体/気体を得る段階と、
b.第2の非磁化常液体/気体を提供する段階と、
c.第1の直接磁化液体/気体と第2の非磁化常液体/気体とを混合して、同様に磁気処理されかつ第1の直接磁化液体/気体および第2の非磁化常液体/気体よりも有効な第3の混合または間接磁化液体/気体を得る段階とを含む方法。
【請求項2】
第1の液体/気体が、直接的磁気または電磁処理を受ける直接磁化液体/気体であり、一方、第2の液体/気体が、いかなる直接的磁場/電磁場の中も通過しない非磁化常液体/気体であり、ここで第3の混合または間接磁化液体/気体内では、第2の非磁化常液体/気体は第1の直接磁化液体/気体から間接的に磁気処理された状態となり、第3の混合または間接磁化液体/気体は全面的に間接的に処理された状態となる請求項1に記載の液体/気体の処理方法。
【請求項3】
直接磁化液体/気体を生産するための処理ユニットが、コイルおよび制御型電流/電圧源を用いる電磁装置または永久磁石装置の何れかとすることができ、処理ユニット内の磁場または電磁場が、任意の次元および幾何形状(一次元、2次元、3次元磁場)とすることができ、流束密度(B_(X)、B_(Y)、B_(Z))が数ガウスからテスラ範囲までの範囲内にある可能性があり、磁場の性質は、引力形態または斥力形態(永久磁石装置の場合)とすることができ、磁場と液体/気体流の間の所定角度が、90、0、180°などの任意の角度あるいは他の任意の所定角度とすることができる請求項1?2の何れか1項に記載の液体/気体の処理方法。」
イ「FIELD OF THE INVENTION
[001] The present invention pertains generally to the field of magnetic treatment of fluids and/or gases, and more specifically to a method and apparatus for indirect magnetic treatment of fluids and gases, that are based primarily on the mixing between directly magnetized fluids/gases (fluids/gases that are treated using direct magnetic or electromagnetic field of certain geometry and flux density) and normal non-magnetized fluids/gases to obtain new mixed or indirectly-magnetized fluids/gases that have better performance than the directly magnetized fluids/gases and normal non-magnetized fluids/gases. 」
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、液体および/または気体の磁気処理の分野、より具体的には、主として、直接的に磁化された液体/気体(ある幾何形状および流束密度の直接的な磁場または電磁場を用いて処理された液体/気体)と磁化されていない通常の液体/気体との間で混合して、直接磁化液体/気体および非磁化常液体/気体よりも優れた性能を有する新しい混合または間接磁化液体/気体を得ることに基づく、液体や気体の間接的な磁気処理のための方法および装置に関する。」
ウ「SUMMARY OF THE INVENTION
[005] It is therefore an object of the present invention to provide a method and apparatus for indirect magnetic treatment of fluids and gases that overcomes the drawbacks of direct magnetic treatment of fluids and gases.
[006] There is provided a method of indirect treatment of fluids or gases, the method comprising: providing a first fluid or gas; applying a direct magnetic or electromagnetic field of certain flu densities and geometries on the first fluid or gas to obtain the directly magnetized fluid/gas; providing a second normal non-magnetized fluid/gas; and mixing the first directly magnetized fluid/gas with the second normal non-magnetized fluid/gas to obtain a third mixed or indirectly-magnetized fluid/gas that is also treated and more effective than the first directly magnetized fluid/gas and the second normal non-magnetized fluid/gas.
[007] This means that according to the present invention, the first fluid/gas is the directly magnetized fluid/gas that undergoes direct magnetic or electromagnetic treatment, while the second fluid/gas is the normal non-magnetized fluid/gas that does not pass through any direct magnetic or electromagnetic field. In the third mixed or indirectly-magnetized fluid/gas, the second normal non-magnetized fluid/gas becomes treated indirectly from the first directly magnetized fluid/gas, and the third mixed or indirectly-magnetized fluid/gas becomes totally treated in an indirect manner. In other words, the first directly magnetized fluid/gas serves as a magnetizer or a magnetic treating agent for magnetizing the second normal non-magnetized fluid/gas
[008] In the sense of the present invention, the term "directly magnetized" or "directly treated" or simply "treated" referring to fluids and/or gases particularly means that fluid(s) and/or gas(es) are treated or magnetized, respectively, using direct magnetic or electromagnetic field of certain geometry and flux density, which may be provided, for example, by a device or unit producing said respective field. Furthermore, the term "normal non-magnetized" or "normal", respectively, which refers to fluids and/or gases, particularly means that the respective fluid(s) and/or gas(es) is not magnetized or does or did not pass through any direct magnetic or electromagnetic field. Additionally, the term "mixed" or "indirectly-magnetized" referring to fluids and/or gases particularly means that fluid(s) and/or gas(es) that becomes magnetically treated in an indirect manner by the directly magnetized fluid/gas that serves as a magnetizer or a magnetic treating agent. Besides, the term "indirect magnetic fluid/gas treatment" particularly means that a normal fluid and/or gas is treated or magnetized, respectively, without being the object of direct magnetic or electromagnetic field (as it is the case with regard to the "directly magnetized" fluid and/or gas), but by being (for example mixed with and thus) magnetized by a "directly magnetized" fluid and/or gas. 」
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、液体および気体の直接的磁気処理の欠点を克服する液体および気体の間接的磁気処理のための方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで提供されるのは、液体または気体の間接的磁気処理方法において、第1の液体または気体を提供する段階と、第1の液体または気体に対し一定の流束密度および幾何形状の直接的磁場または電磁場を印加して、直接磁化液体/気体を得る段階と、第2の非磁化常液体/気体を提供する段階と、第1の直接磁化液体/気体と第2の非磁化常液体/気体とを混合して、同様に処理されかつ第1の直接磁化液体/気体および第2の非磁化常液体/気体よりも有効な第3の混合または間接磁化液体/気体を得る段階とを含む方法である。
【0007】
本発明では、第1の液体/気体は直接的磁気または電磁処理を受ける直接磁化液体/気体であり、一方第2の液体/気体は、いかなる直接的磁場または電磁場内も通過しない非磁化常液体/気体である。第3の混合または間接磁化液体/気体内では、第2の非磁化常液体/気体は第1の直接磁化液体/気体から間接的に処理されており、第3の混合または間接磁化液体/気体は全体が間接的に処理された状態となる。換言すると、第1の直接磁化液体/気体は、第2の非磁化常液体/気体を磁化するための磁化剤または磁気処理剤として役立つ。
【0008】
本発明の意味合いにおいて、液体および/または気体に関して「直接磁化された」または「直接処理(された)」あるいは単に「処理された(済み)」という用語は、詳細には、液体および/または気体が、例えば前記それぞれの場を生成する装置またはユニットによって提供され得る一定の幾何形状および流束密度の直接的磁場または電磁場を用いてそれぞれ処理または磁化されることを意味する。さらに、液体および/または気体に関して「非磁化常」あるいは「通常」という用語はそれぞれ、詳細には、それぞれの液体および/または気体が磁化されていないかまたは任意の直接的磁場または電磁場内を通過していないまたは通過しなかったことを意味している。さらに、液体および/または気体に関して「混合(された)」または「間接的に磁化された(間接磁化)」という用語は詳細には、磁化剤または磁気処理剤として役立つ直接磁化液体/気体によって間接的に磁気処理された状態の液体および/または気体を意味する。その上、「間接的磁気液体/気体処理」という用語は、詳細には、常液体および/または気体がそれぞれ、(「直接的に磁化された(直接磁化)」液体および/または気体に関してそうであるように)直接的な磁場または電磁場を受けることなく、「直接的に磁化された(直接磁化)」液体および/または気体(と例えば混合されかつそのようにすること)によって磁化されることによって処理されるかまたは磁化されることを意味する。」
エ「[0010] Preferably, the treatment unit that is used for the production of the directly magnetized fluid/gas can be either a permanent magnet setup or an electromagnetic setup using a coil and a controlled current source. The magnetic or electromagnetic field in the treatment unit can be of any geometry (one-dimensional, two-dimensional, or three- dimensional magnetic fields according to the desired flux density values of B_(x), B_(y), and B_(z)); the nature of magnetic field can be in the attraction form or in the repulsion form (in case of permanent magnet setup); The required angle between the magnetic field and the direction of fluid/gas flow can be of any angle like 90, 0, 180 degrees or any other required angle.
[0011] Preferably, the process of applying magnetic or electromagnetic fields of certain flux densities and geometries on the directly magnetized fluid/gas within the treatment unit is carried out while the fluid/gas is in circulation.
[0012] Preferably, the production process of the directly magnetized fluid/gas can be achieved using the "inline pre-treatment and post-treatment sensors configuration" that comprises of: first, filling the normal non-magnetized fluid/gas in the treatment vessel from the normal fluid main supply tank; and second, performing a circulation process of a controlled flow through the treatment unit that outputs its flow back to the treatment vessel. In this configuration, a group of required sensors (that may be application and fluid dependent) are installed before and after the treatment unit that sends its sensory data to the control box in order to trace the changes in the physical and chemical quantities of the directly magnetized fluid/gas with time before and after the treatment unit for analysis purposes.
[0013] Alternatively, the production process of the directly magnetized fluid/gas can be also achieved using the "in-tank sensors configuration" that comprises of: first, filling the normal non-magnetized fluid/gas in the treatment vessel from the normal fluid main supply tank; and second, performing a circulation process of a controlled flow through the treatment unit that outputs its flow back to the treatment vessel. In this configuration, a group of required sensors (that may be application and fluid dependent) are installed in the treatment vessel that the sends its sensory data to the control box in order to trace the changes in the physical and chemical quantities of the directly magnetized fluid/gas with time for the fluid/gas in the treatment tank.
[0014] Alternatively, the production process of the directly magnetized fluid/gas can be also achieved using the "parallel flow configuration" that comprises of: first, filling the normal non-magnetized fluid/gas in the treatment vessel from the normal fluid main supply tank; and second, performing a circulation process of a controlled flow where the treatment vessel simultaneously receives a first controlled flow through the treatment unit and a second controlled flow directly from the treatment vessel. 」
「【0010】
好ましくは、直接磁化液体/気体を生産するために使用される処理ユニットは、コイルおよび制御型電流源を用いる電磁装置または永久磁石装置の何れかとすることができる。処理ユニット内の磁場または電磁場は、任意の幾何形状(B_(X)、B_(Y)、B_(Z)の所望の流束密度値に応じて一次元、2次元または3次元磁場)とすることができ、磁場の性質は、引力形態または斥力形態(永久磁石装置の場合)とすることができる。磁場と液体/気体流の方向の間の所定角度は、90、0、180°などの任意の角度あるいは他の任意の所定角度とすることができる。
【0011】
好ましくは、一定の流束密度および幾何形状の磁場または電磁場を処理ユニット内の直接磁化液体/気体に対して印加するプロセスは、液体/気体が循環状態にある間に実施される。
【0012】
好ましくは、直接磁化液体/気体の生産プロセスは、第1に、非磁化常液体/気体を常流体の主供給タンクから処理容器内に充填する段階と、第2に、処理容器に戻るようにその流れを出力する処理ユニットを通した制御流の循環プロセスを実施する段階とで構成される「インライン前処理センサーおよび後処理センサー構成」を用いて達成可能である。この構成においては、(利用分野および流体に左右されるかもしれない)所定の一群のセンサーが処理ユニットの前後に設置され、それが、分析目的で処理ユニットの前後での直接磁化液体/気体の物理的および化学的数量の経時的変化を追跡するために、その感知データを制御ボックスに送る。
【0013】
代替的には、直接磁化液体/気体の生産プロセスは同様に、第1に、非磁化常液体/気体を常流体の主供給タンクから処理容器内に充填する段階と、第2に、処理容器に戻るようにその流れを出力する処理ユニットを通した制御流の循環プロセスを実施する段階とで構成される「インタンクセンサー構成」を用いて達成することも可能である。この構成においては、(利用分野および液体に左右されるかもしれない)所定の一群のセンサーが処理ユニット内に設置され、それが、処理タンク内の液体/気体について直接磁化液体/気体の物理的および化学的数量の経時的変化を追跡するために、その感知データを制御ボックスに送る。
【0014】
代替的には、直接磁化液体/気体の生産プロセスは、第1に、非磁化常液体/気体を常流体の主供給タンクから処理容器内に充填する段階と、第2に、処理容器が処理ユニットを通して第1の制御流を受入れると同時に処理容器から直接第2の制御流を受入れる、制御流の循環プロセスを実施する段階とで構成される「並流構成」を用いて達成することも可能である。」
オ「[0021] As a further aspect of the invention, there are provided apparatuses for the production of directly magnetized fluid/gas that include inline pre-treatment and post- treatment sensors configuration as shown in figure 1, in-tank sensors configuration as shown in figure 2, parallel flow configuration as shown in figure 3, single-cycle configuration as shown in figure 4.」
「【0021】
本発明のさらなる態様として、図1に示すインライン前処理センサーおよび後処理センサー構成、図2に示すインタンクセンサー構成、図3に示す並流構成、図4に示す単一サイクル構成を含む、直接磁化液体/気体を生産するための装置が提供される。」
カ「[0047] The method of indirect magnetic fluid/gas treatment may comprise one, more or all the following steps:
1. Produce the first directly magnetized fluid/gas by:-
a. applying direct magnetic or electromagnetic field on the working fluid/gas according to one, more or all of the following requirements:
i. The required geometry of the magnetic field. We can apply one- dimensional, two-dimensional, three-dimensional magnetic fields.
ii. The required values of the flux densities Bx,By, and Bz.
iii. The nature of magnetic field whether in the attraction form or in the repulsion form. This is applied only in case of permanent magnets.
iv. The required angle between the magnetic field and the fluid/gas flow where the angle might be 90, 0, 180 degrees or any other required angle.
v. The required temperature, pressure, and volume of the working fluid/gas.
b. Circulating the working fluid/gas under the effect of magnetic or electromagnetic field according to the selected treatment configuration (as shown in figures 1 to 4) for the required time of circulation. The circulation process might at least be one time of passage of the working fluid/gas across the magnetic or electromagnetic field and might go up to several days.
2. Mix the first directly magnetized fluid/gas with the second normal non-magnetized fluid/gas at the required mixing ratio between the volume of the first directly magnetized fluid/gas (Vt) and the volume of second normal non-magnetized fluid/gas (Vn) according to the selected mixing configuration (as shown in figures 5 to 11). The mixing process might be in one of the following forms:」
「【0028】
間接的磁気液体/気体処理方法は、以下の段階のうちの1つ以上または全てを含むことができる。
1.以下のことによって第1の直接磁化液体/気体を生産する段階。
a.以下の要件のうちの1つ以上または全てに従って、作動液体/気体に対して直接的磁場または電磁場を印加すること、
i.磁場の所定幾何形状(1次元、2次元次元磁場を印加することができる)、
ii.流束密度Bx、ByおよびBzの所定値、
iii.引力形態または斥力形態のいずれかである磁場の性質(これは永久磁石の場合にのみ該当する)、
iv.角度が90、0、180°または他の任意の所定角度とすることができる磁場と液体/気体流の間の所定角度、
v.作動液体/気体の所定温度、圧力および体積、
b.所定循環時間中(図1?4に示す通りの)選択された処理構成に従って、磁場または電磁場の効果の下で作動液体/気体を循環させること(循環プロセスは、少なくとも磁場または電磁場を横断した作動液体/気体の一回の通過であってよく、最長7日間に及ぶ可能性があると考えられる)、
2.(図5?11に示す通りの)選択された混合構成に従って、第1の直接磁化液体/気体の体積(Vt)と第2の非磁化常液体/気体(Vn)の体積の間の所定混合比で、第1の直接磁化液体/気体と第2の非磁化常液体/気体とを混合する段階。混合プロセスは以下の形態のうちの1つとすることができる。」
キ「[0049]The principal characteristics of the present invention may comprise one, more or all of:
1. Use of directly magnetized or treated fluid/gas as a magnetizer or magnetic treating agent for the normal non-magnetized fluid/gas.
2. Use of the magnetic field stored in the directly magnetized fluid/gas as a treatment methodology for the normal non-magnetized fluid/gas.
3. Use of one-dimensional, two-dimensional, or three-dimensional magnetic geometries of certain flux densities in the preparation of the directly magnetized fluid/gas. In case of permanent magnets setup, up to three-dimensional flux densities can be generated, depending on the distance between the magnetic setup, the geometry of the magnetic setup, and the attraction or repulsion forces between the magnetic setup.
4. Use of any magnetic or electromagnetic setup in the preparation of the directly magnetized fluid/gas. This includes the type of magnets used (NdFeb, or any other magnetic material), the shape of the magnets (rectangular, cylindrical, or any other shape), the number of magnets used, the three-dimensional configuration of the setup, and other related parameters regarding the setup.
5. Use of flux densities (Bx, By, Bz) ranging from few gausses to the range of Teslas in the preparation of the directly magnetized fluid/gas.
6. Use of magnetic field whether in the attraction form or in the repulsion form in case of permanent magnets in the preparation of the directly magnetized fluid/gas.
7. A Current control system in case of electromagnetic field setup might be a DC current source or a DC voltage source in series with a variable resistor. In case of using an AC source, then a converter can be used to convert it to DC and then apply one of the two previous scenarios.
8. The temperature, pressure, and volume (level) of the directly magnetized fluid/gas are tuned and controlled during the generation of directly magnetized fluid/gas and the mixing process.
9. The temperature, pressure, and volume (level) of the normal non-magnetized fluid/gas and the mixed or indirectly-magnetized fluid/gas are tuned and controlled during the mixing process and in the storage phases.
10. The heating or cooling element anywhere used in the figures means a heating and/or cooling system that controls the temperature of the fluid/gas exactly as required.
11. During the preparation of the directly magnetized fluid/gas, a flow control system for the working fluid/gas can be used to control the flow rate of the fluid/gas that is moving under the effect of the magnetic field.
12. All of the controlling parameters of the present invention might be controlled according to inline sensors data that can be used in both phases of the treatment (generation of directly magnetized fluid/gas and the mixing process). These sensors are fluid/gas dependent and application dependent. For example in case of fuel treatment, we have used inline viscosity and density sensors to observe the changes in the physical parameters of the fluid/gas. If the working fluid/gas is water, we might use inline PH and TDS sensors or any other sensors.
13. Use of most commonly used modes of operation regarding the angle between the magnetic field and the fluid/gas flow where the angle might be 90, 0, 180 degrees or other angles depending on the source of magnetic field and the shape of the pipe in which the fluid/gas is flowing.
14. The magnetic field in the preparation of the directly magnetized fluid/gas might be generated using permanent magnet setup (for example, but not limited to, the figures 13 to 16) or electromagnetic field where a dc current is passing in a coil (for example, but not limited to, figure 12).
15. In case of variable distance permanent magnets setup, an actuation mechanism that controls the distance between the two magnets might be hydraulic, pneumatic, electric actuator or any other possible mechanism.
16. The shape of the pipe in which the fluid/gas is flowing under the effect of the magnetic field which might be straight, vertical-horizontal, helical three- dimensional (spring like) shapes or any other shape as shown in figure 17.
17. The fluid/gas flow under the effect of the magnetic field during the preparation of the directly magnetized fluid/gas might be under the effect of gravitational forces in case of vertical flow or might be horizontal flow.
18. Use of circular, square, or rectangular cross sections of the inner core of the pipe under the effect of the magnetic field as shown in figure 17.
19. The diameter of the pipe in which the fluid/gas is flowing under the effect of the magnetic field might be in the micro level or the macro level or might take any value from Pico size to centimeters size.
20. The directly magnetized fluid/gas might be generated using one circulation time (one passage in the magnetic field) or might be circulated continuously for certain period of time.
21. The mixing ratio between the directly magnetized fluid/gas and the normal non- magnetized fluid/gas generally depends on the working fluid/gas, the operating temperature and pressure of the working fluid/gas, the flux density in three dimensional spaces, the angle between the fluid/gas flow and the applied flux, the circulation time, and the application.
22. The directly magnetized fluid/gas and the mixed or indirectly-magnetized fluid/gas might be kept at certain pressure and temperature for certain duration during their storage for later use. This process controls the magnetic memory of both fluids/gases.
23. The normal non-magnetized fluid/gas and the directly magnetized fluid/gas have generally the same chemical structure, but in some applications, they might have different chemical structure.
24. Possible applications for the invention might include, but not limited to, all conventional applications of the direct magnetic treatment of fluid/gas such as water treatment for agricultural purposes, water treatment for scaling, water treatment for salinity reduction, water treatment for construction, fuel treatment, diesel treatment, gasoline treatment, kerosene treatment, fuel oil treatment, jet fuel treatment and all other existing magnetic treatment methods. 」
「【0030】
本発明の主要な特徴としては、以下のもののうちの1つ以上または全てが含まれる可能性がある。
1.非磁化常液体/気体用の磁化剤または磁気処理剤としての直接磁化または処理済液体/気体の使用。
2.非磁化常液体/気体のための処理方法としての直接磁化液体/気体内に保存された磁場の使用。
3.直接磁化液体/気体の調製における、一定の流束密度の1次元、2次元または3次元磁気幾何形状の使用。永久磁石装置の場合には、最高3次元の流束密度を、磁気装置間の距離、磁気装置の幾何形状および磁気装置間の引力または斥力に応じて生成することができる。
4.直接磁化液体/気体の調製における任意の磁気または電磁装置の使用。これには、使用される磁石のタイプ(Nd-Fe-Bまたは任意の他の磁気材料)、磁石の形状(矩形、円筒形または任意の他の形状)、使用される磁石の数、装置の3次元構成、および装置に関する他の関連パラメータが含まれる。
5.直接磁化液体/気体の調製における、数ガウスからテスラ範囲までの範囲内の流束密度(Bx、By、Bz)の使用。
6.直接磁化液体/気体の調製における永久磁石の場合の、引力形態または斥力形態のいずれかの磁場の使用。
7.電磁場装置の場合の電流制御システムは、可変抵抗器と直列のDC電流源またはDC電圧源とすることができる。AC源を使用する場合には、ACをDCに変換した後に前述の2つシナリオの1つを適用するために変換器を使用することができる。
8.直接磁化液体/気体の温度、圧力および体積(レベル)は、直接磁化液体/気体の生成および混合プロセス中に調整され制御される。
9.非磁化常液体/気体および混合または間接磁化液体/気体の温度、圧力および体積(レベル)は、混合プロセス中および貯蔵段階において調整され制御される。
10.図中のいずれかにおいて使用されている加熱または冷却要素は、所望通り正確に液体/気体の温度を制御する加熱および/または冷却システムを意味する。
11.直接磁化液体/気体の調製中、磁場の効果の下で移動している液体/気体の流量を制御するために、作動液体/気体用の流れ制御システムを使用することができる。
12.本発明の制御パラメータは全て、両方の処理段階(直接磁化液体/気体の生成と混合プロセス)において使用可能であるインラインセンサーのデータに従って、制御されてよい。これらのセンサーは液体/気体依存性でかつ利用分野依存性である。例えば、燃料処理の場合、我々は、液体/気体の物理的パラメータの変化を観察するためにインライン粘度および密度センサーを使用した。作動液体/気体が水である場合、インラインPHおよびTDSセンサーまたは任意の他のセンサーを使用してよい。
13.内部を液体/気体が流れているパイプの形状および磁場源に応じて磁場と液体/気体流の間の角度が90、0、180°または他の角度とすることができる、この角度に関して最も一般的に使用されている動作モードの使用。
14.直接磁化液体/気体の調製において磁場は、永久磁石装置(例えば非限定的に図13?16)またはDC電流がコイル内を通過している電磁場(例えば非限定的に図12)を用いて生成されてよい。
15.可変距離の永久磁石装置の場合、2つの磁石間の距離を制御する駆動機構は、油圧式、空気式、電気式アクチュエータまたは他の任意の考えられる機構とすることができる。
16.磁場の効果の下で液体/気体が内部を流れるパイプの形状は、図17に示すように、直線、垂直-水平、らせん3次元(バネ様)の形状または他の任意の形状とすることができる。
17.直接磁化液体/気体調製中の磁場の効果の下にある液体/気体流は、垂直流の場合重力の影響を受けていてよく、あるいは水平流であってもよい。
18.図17に示す通り、磁場の効果の下にあるパイプの内部コアの断面として円形、方形または矩形断面を使用。
19.液体/気体が磁場の効果の下で内部を流れるパイプの直径は、ミクロレベルまたはマクロレベルであるか、またはピコサイズからセンチメートルサイズまでの任意の値をとってよい。
20.直接磁化液体/気体は、1回の循環時間(磁場内を1回通過)を用いて生成されるか、または一定の時間中連続して循環させられてもよい。
21.直接磁化液体/気体と非磁化常液体/気体の間の混合比は一般に、作動液体/気体、作動液体/気体の動作温度および圧力、3次元空間内の流束密度、液体/気体流と印加される磁束の間の角度、循環時間および利用分野に左右される。
22.直接磁化液体/気体および混合または間接磁化液体/気体は、後に使用するために貯蔵されている間、一定の期間中一定の圧力および温度に保たれてよい。このプロセスは、両方の液体/気体の磁気メモリを制御する。
23.非磁化常液体/気体および直接磁化液体/気体は一般に、同じ化学的構造を有するが、一部の利用分野においては、これらは異なる化学的構造を有していてもよい。
24.本発明の考えられる利用分野としては、液体/気体の直接的磁気処理の全ての従来の利用分野、例えば農業用水処理、スケーリング用水処理、塩分削減のための水処理、建設用水処理、燃料処理、ディーゼル燃料処理、ガソリン処理、ケロセン処理、燃料油処理、ジェット燃料処理そして他の全ての存在する磁気処理方法が含まれるが、これらに限定されない。」
ク「[0050]Application case
[0051] The method and apparatus in accordance with the present invention were applied in the treatment of diesel fuel. In this example, a pair of rectangular NdFeb magnet setup of the size 15*10*6 cm for each magnet was used in the magnetic treatment setup shown in figures 13 to 16. Figure 18 shows the magnetic flux densities (Bx , By , Bz ) at the central point across width and length of the magnet as a function of the inner distance between the magnets for the attraction case. Figure 19 shows the magnetic flux densities (Bx , By , Bz ) at the central point across width and length of the magnet as a function of the inner distance between the magnets for the repulsion case. For treatment purposes, the magnets were operated in the attraction case and separated by 2 cm distance. First, the diesel was treated for 36 hours and , then, this directly magnetized diesel was mixed with a normal diesel in accordance with various mixing ratios. The results of heat content of the mixed or indirectly-magnetized diesel and the corresponding viscosity and density are given in Table 1 . The mixing ratio is by volume and the total sample volume is one liter. 」
「【0031】
応用事例
本発明に係る方法および装置は、ディーゼル燃料の処理において応用された。この実施例では、各磁石について15×10×6cmのサイズの矩形のNd-Fe-B磁石装置対が、図13?16に示す磁気処理装置において使用された。図18は、引力モードについて、磁石の中心点横断幅および長きにおける流束密度(Bx、By、Bz)を磁石間内部距離の一関数として示している。図19は、斥力モードについて、磁石の中心点横断幅および長さでの流束密度(Bx、By、Bz)を磁石間の内部距離の一関数として示している。処理を目的として、磁石を引力モードで動作させ、2cmの距離だけ離隔した。最初に、ディーゼル燃料を36時間処理し、次にこの直接磁化されたディーゼル燃料を、さまざまな混合比に従って、通常ディーゼル燃料と混合した。混合されたまたは間接磁化されたディーゼル燃料の熱含有量および対応する粘度および密度の結果を表1に示す。混合比は体積比であり、合計試料体積は1リットルである。」
ケ Fig.1(【図1】)






コ Fig.3(【図3】)






(5)本件優先日前の技術常識を示す文献の記載事項
ア 一覧
周知例1:特表2002-502838号公報
周知例2:特開平9-108555号公報
イ 周知例1の記載事項
周知例1には、次の記載がある。
(ア)「【0023】
本発明の反応は、例えば下記の装置で行うことができる:
即ち、
(1)アニリンおよび酸触媒給送用導管(ライン)、
(2)ホルムアルデヒド給送用導管、
(3)少なくとも1個の混合手段(混合素子)、例えばホルムアルデヒドの反応装置への給送の際に経由するべき少なくとも1個の反応混合ポンプまたはノズル、
(4)以下の装置を具備する少なくとも1個の反応器、
(5)反応混合物を混合するための任意選択装置、
(6)反応器から出発して、反応混合物の循環を可能ならしめる配管、
(7)反応混合物を加熱するための装置、及び
(8)反応混合物を上記配管(6)中において循環させるための任意選択ポンプ、及び
(9)反応混合物を取り出すための少なくとも1個の連結部材。」
(イ)「【0024】
このタイプの装置が、例えば図1に示されており、ここでは、アニリンと酸触媒が、図1に示すように一緒に添加され、或いは別々に添加され、それは本質的に装置のどこの位置からでも良く、例えば反応器(4)に添加することにより、或いは反応混合ポンプ又はノズル(3)への連結により可能であることが示されている。装置7,8及び特に9は、実質的にどこでも配置でき、例えば連結部9の場合は反応器4の上でも良い。」
(ウ)「【0025】
反応器(4)の選択される容量は、所望の転化率により、大いに異なる。配管(6)の、変化させることができる選択される直径、及配管の長さも、バッチサイズに従い、所望されるように実質的に変化し得る。構成要素(1)?(9)について、構成要素(3)及び(7)に既に記載したように、慣用装置を使用することができる。本発明の方法を実施するための好適な装置は、この目的に慣用の材料から構成することができ、例えばスチール/ほうろう或いはステンレス鋼合金を挙げることができる。」
(エ)「【図1】


ウ 周知例2の記載事項
(ア)「【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリコーン油のような絶縁性の高い油に水を混合攪拌した時の油膜と水滴の動的挙動を解析することによって、安定したW/O 型エマルジョンを得て流動性の優れたW/O 型サスペンジョンの製造方法を完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、油と水の混合液を攪拌して、流動帯電により油が攪拌槽及び冷却槽の容器の表面に吸着するよう静電気を発生させ、この静電気による水粒子同士の反発、水粒子と油との吸引及び油の槽表面への吸着を利用してW/O 型エマルジョンを造ること、並びに該W/O 型エマルジョンを冷却して水粒子を固化させ氷粒子が分散した油とすることを特徴とするW/O 型エマルジョン及びサスペンジョンの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明のためのバッチ式のサスペンジョン製造設備の例である。同図において、1はシリコーンオイルと水の混合液、2はアルミニウム合金製の攪拌槽、2aは冷却ジャケット、3はアルミニウム合金製の攪拌機である。図2は循環還流式の製造設備であり、1はシリコーンオイルと水の混合液、2はアルミニウム合金製の攪拌槽、3はアルミニウム合金製の攪拌機、4はアルミニウム合金製の冷却槽、5は接続パイプ、6は循環ポンプである。図3は循環ポンプに攪拌機能を兼ねさせた循環還流式の製造設備であり、1はシリコーンオイルと水の混合液、7はアルミニウム合金製の貯槽、4はアルミニウム合金製の冷却槽、5は接続パイプ、8は攪拌兼用循環ポンプである。なお、エマルジョンの製造には冷却ジャケット2aあるいは冷却槽4の運転をする必要がない。」
(イ)「【図面の簡単な説明】
・・・
【図2】
図2は、この発明のための製造設備(循環還流式)を示す摸式図である。
【図3】
図3は、この発明のための、循環ポンプに攪拌機能を兼ねさせた製造設備(循環還流式)を示す摸式図である。」
(ウ)【図2】



(エ)【図3】



(6)引用発明の認定
ア 引用文献1には、「直接磁化液体/気体を生産する段階」について、【0028】には、「a.・・・作動液体/気体に対して直接的磁場または電磁場を印加すること・・・
b.所定循環時間中(図1?4に示す通りの)選択された処理構成に従って、磁場または電磁場の効果の下で作動液体/気体を循環させること」を含むものであることが記載されている。
イ 一方、前記(4)コに摘記した引用文献1の図3には、「並流構成を用いる直接磁化または処理された液体/気体の生産プロセス例」(図3の標題)の「直接磁化液体/気体を生産するための装置」(【0021】)が記載され、図3において、「液体/気体」が流れる箇所は管路であることは技術常識であるから、管路にA等の符号を付与して、「ピストンポンプPP」及び「ポンプP」の流体が流れる方向を示す記号を考慮して、「液体/気体」の流れに着目すれば、図3から次のことが理解できる。
ウ 「常流体主供給タンク」が「管路A」、「ピストンポンプPP」、「管路B」、「SV3」(電磁弁)、「管路C」を介して、「常流体主供給タンク」と接続され、該「処理済流体タンク」は、「管路D」、「不純物フィルターIF」、「管路E」、「ポンプP」、「管路F」を介して分岐し、分岐の一方は、「管路G」を介して「処理ユニット」に接続され、該「処理ユニット」は、「管路H」、「比例流量制御弁PV」、「管路I」、を介して、もう一方の分岐である、「管路J」、「比例流量制御弁PV」、「管路K」と、「管路L」で合流し、「管路L」は、「処理済流体タンク」に接続している。
また、「処理済流体タンク」には、「圧力計PG」、「圧力センサーPS」、「レベルセンサーLS」、「粘度センサーVS」、「温度センサーTS」、「密度センサーDS」、「加熱または冷却要素HCE」が設けられていることが看取される。
エ なお、管路の記号を付した図面は次のようになる。

オ そして、【0011】には、「一定の流束密度および幾何形状の磁場または電磁場を処理ユニット内の直接磁化液体/気体に対して印加するプロセスは、液体/気体が循環状態にある間に実施される。」と記載されていることから、【0028】の「作動液体/気体に対して直接的磁場または電磁場を印加すること」は、図3の「処理ユニット」によって行われることが理解できる。
カ また、【0012】には、「直接磁化液体/気体の生産プロセスは、第1に、非磁化常液体/気体を常流体の主供給タンクから処理容器内に充填する段階と、第2に、処理容器に戻るようにその流れを出力する処理ユニットを通した制御流の循環プロセスを実施する段階とで構成される『インライン前処理センサーおよび後処理センサー構成』を用いて達成可能である。」と記載され、【0021】には、図3が、「並流構成」を含む直接磁化液体/気体を生産するための装置であることが記載され、該「並流構成」について、【0014】には、「直接磁化液体/気体の生産プロセスが、第1に、非磁化常液体/気体を常流体の主供給タンクから処理容器内に充填する段階と、第2に、処理容器が処理ユニットを通して第1の制御流を受入れると同時に処理容器から直接第2の制御流を受入れる、制御流の循環プロセスを実施する段階とで構成される」ことが記載されている。【0014】の「直接磁化液体/気体の生産プロセス」における「循環プロセス」について、【0030】には、「20.直接磁化液体/気体は、1回の循環時間(磁場内を1回通過)を用いて生成されるか、または一定の時間中連続して循環させられてもよい。」と記載されていて、当該「循環プロセス」が「1回の循環時間(磁場内を1回通過)」で終わるのではなく、「一定の時間中連続して循環させられて」行われることが記載されている。
キ そして、図3の「処理済流体タンク」は、【0012】及び【0014】における「処理容器」であり、図3の「圧力計PG」、「圧力センサーPS」、「レベルセンサーLS」、「粘度センサーVS」、「温度センサーTS」及び「密度センサーDS」は、【0012】における「インライン前処理センサーおよび後処理センサー」であることが理解できる。
ク また、【0031】に、「応用事例」として「本発明に係る方法および装置は、ディーゼル燃料の処理において応用された。」と記載されていることから、引用文献1には、「作動液体/気体」を「ディーゼル燃料」としたもの、すなわち、図3の「常流体主供給タンク」に、「非磁化常液体」である「ディーゼル燃料」が入っているものが記載され、【0031】には、「この実施例では、各磁石について15×10×6cmのサイズの矩形のNd-Fe-B磁石装置対が、図13?16に示す磁気処理装置において使用された。」と記載されていることから、「処理ユニット」が、Nd-Fe-B磁石装置対である、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
ケ 引用発明
「常流体主供給タンクが管路A、ピストンポンプPP、管路B、SV3、管路Cを介して、常流体主供給タンクと接続され、
該処理済流体タンクは、管路Dに接続され、
管路Dは、不純物フィルターIF、管路E、ポンプP、管路Fを介して、管路Gと管路Jとに分岐し、
管路Gは、処理ユニットに接続され、該処理ユニットは、管路H、第1の比例流量制御弁PV、管路Iを介して、管路Lと接続され、管路Kと合流し、
管路Jは、第2の比例流量制御弁PV、管路Kを介して、管路Lと接続され、管路Iと合流し、
管路Lは、処理済流体タンクに接続され、
処理済流体タンクには、インライン前処理センサーおよび後処理センサーである、圧力計PG、圧力センサーPS、レベルセンサーLS、粘度センサーVS、温度センサーTS及び密度センサーDS並びに加熱または冷却要素HCEが設けられ、
常流体主供給タンクには、非磁化常液体であるディーゼル燃料が入っていて、
処理ユニットは、矩形のNd-Fe-B磁石装置対を備え、
直接磁化液体/気体の生産プロセスが、
第1に、非磁化常液体であるディーゼル燃料を常流体主供給タンクから処理済流体タンクに充填する段階と、
第2に、処理済流体タンクが処理ユニットを通して第1の制御流を受入れると同時に、処理済流体タンクから直接第2の制御流を受入れて、制御流の循環プロセスを実施する段階とで構成される、直接磁化液体/気体(ディーゼル燃料)を生産するための装置。」
(7)対比・判断
ア 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
a.本件補正発明の「第1の通常のイオン化されていない液体」における「通常のイオン化されていない」とは、「それぞれの液体がイオン化されておらず、いかなる直接の磁場/静電場/電磁場も通過していない、又は、通過しなかったことを意味する」(本願明細書【0023】)ところ、引用発明の「非磁化常液体であるディーゼル燃料」は、いかなる直接の磁場/静電場/電磁場も通過していないものであるから、本件補正発明の「第1の通常のイオン化されていない液体」に相当し、引用発明の「常流体主供給タンク」には、その「非磁化常液体であるディーゼル燃料」が入っているから、本件補正発明の「第1の通常のイオン化されていない液体を入れる第1液体槽」に相当する。
b.引用発明は、「直接磁化液体/気体の生産プロセス」において、「第1に、非磁化常液体であるディーゼル燃料を常流体主供給タンクから処理済流体タンクに充填する段階」を備えていることから、引用発明の「処理済流体タンク」には、「非磁化常液体であるディーゼル燃料」が入る。
また、本件補正発明の「第2の直接イオン化された液体」における「直接イオン化された」とは、「各場を生成する装置又は部によって提供されることがある特定の形態及び磁束密度の磁場/静電場/電磁場を直接使用して液体が磁気/静電/電磁処理されたことを意味する」(本願明細書【0023】)ところ、この「特定の形態及び磁束密度の磁場/静電場/電磁場」を「生成する装置又は部」は、「永久磁石構成、静電構成、又は、電磁構成のいずれかが可能であ」り「処理部の磁場/静電場/電磁場は、いかなる形態(1次元、2次元、又は3次元場)でも、所望の磁束密度値でもよく、印加場及び液体の流れ方向間の要求される角度は90、0、180度などの角度でも、その他の要求される角度でもよい」(本願明細書【0026】)ものであるから、引用発明の「矩形のNd-Fe-B磁石装置対を備え」た「処理ユニット」は、磁場をかけるように構成されたものであって、本件補正発明の「磁場/静電場/電磁場をかけるよう構成された処理部」に相当する。
そして、引用発明では、「処理済流体タンクが処理ユニットを通して第1の制御流を受入れる」ようになっており、引用発明の「処理ユニットを通した」「ディーゼル燃料」は、本件補正発明の「第2の直接イオン化された液体」に相当し、引用発明の「処理済流体タンク」は、「処理ユニットを通した」「ディーゼル燃料」が入り、上述したように「非磁化常液体であるディーゼル燃料」も入るから、本件補正発明の「第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む液体を入れる第2液体槽」に相当する。
c.引用発明は、「処理済流体タンクが処理ユニットを通して第1の制御流を受入れると同時に、処理済流体タンクから直接第2の制御流を受入れて、制御流の循環プロセスを実施する段階」を備えていることから、「処理ユニット」を通った第1の制御流と「処理ユニット」を通らない「第2の制御流」とが、「処理済流体タンク」を循環するものであって、「管路L」では、「第1の制御流」と「第2の制御流」とが混合されることから、引用発明は、「非磁化常液体であるディーゼル燃料」と「処理ユニットを通した」「ディーゼル燃料」とを含む液体が「管路D,E,F,G]を通って「処理済流体タンク」を循環し、当該循環中に、「非磁化常液体であるディーゼル燃料」と「処理ユニットを通した」「ディーゼル燃料」とを含む液体が「処理ユニット」を通るものといえ、引用発明の「処理ユニット」は、本件補正発明の「第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む液体が循環中に、前記第1の通常のイオン化されていない液体に直接磁場/静電場/電磁場をかけることで前記第2の直接イオン化された液体が生成されるように、前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体に前記磁場/静電場/電磁場をかけるよう構成された処理部」に相当する。
d.引用発明の「ポンプP」は、「処理済流体タンクが処理ユニットを通して第1の制御流を受入れると同時に、処理済流体タンクから直接第2の制御流を受入れて、制御流の循環プロセスを実施する段階」に用いられていることは明らかであるから、本件補正発明の「処理部によって発生した磁場/静電場/電磁場の影響下において、第2液体槽中の第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む前記液体を循環させる循環ポンプ」に相当する。
f.引用発明の「管路D」、「管路E」、「管路F」及び「管路G」からなる管路は、本件補正発明の「第2液体槽を処理部に接続する第1管路」に相当し、引用発明の「管路H」、「管路I」及び「管路L」からなる管路は、本件補正発明の「処理部を第2液体槽に接続する第2管路」に相当し、引用発明の「管路A」、「管路B」及び「管路C」からなる管路は、本件補正発明の「第1液体槽を第2液体槽に接続する第3管路」に相当する。
また、引用発明の「管路A」?「管路L」からなる管路は、本件補正発明の「循環管路」に相当する
i.引用発明の「第1の比例流量制御弁PV」及び「第2の比例流量制御弁PV」は、弁を駆動するアクチュエータを備えていることは明らかであり、「処理済流体タンクが処理ユニットを通して第1の制御流を受入れると同時に、処理済流体タンクから直接第2の制御流を受入れて、制御流の循環プロセスを実施する段階」を含むから、それらの弁の開度によって、制御流の循環プロセスの運用状態が制御されることも明らかであって、本件補正発明の「第2液体槽と循環管路中の第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む液体の運用状態を制御する複数のアクチュエータ」に相当する。
j.引用発明の「インライン前処理センサーおよび後処理センサーである、圧力計PG、圧力センサーPS、レベルセンサーLS、粘度センサーVS、温度センサーTS及び密度センサーDS」は、「処理済流体タンク」内の液体のためのセンサーであり、これらは「物理的性質の変化を検知することが可能なセンサ」であり、本件補正発明の「第2液体槽中の第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む液体の物理的性質の変化を検知することが可能な複数のセンサ」に相当する。
k’.引用発明の「直接磁化液体/気体(ディーゼル燃料)を生産するための装置」は、本件補正発明の「直接磁気/静電/電磁処理装置」に相当する。
イ 一致点
そうすると、本件補正発明と引用発明とは、
「a.第1の通常のイオン化されていない液体を入れる第1液体槽と、
b.前記第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む液体を入れる第2液体槽と、
c.前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体が循環中に、前記第1の通常のイオン化されていない液体に直接磁場/静電場/電磁場をかけることで前記第2の直接イオン化された液体が生成されるように、前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体に前記磁場/静電場/電磁場をかけるよう構成された処理部と、
d.前記処理部によって発生した前記磁場/静電場/電磁場の影響下において、前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記前記液体を循環させる循環ポンプと、
f.前記第2液体槽を前記処理部に接続する第1管路と、前記処理部を前記第2液体槽に接続する第2管路と、及び、第1液体槽を前記第2液体槽に接続する第3管路とを備える循環管路と、
i’.前記第2液体槽と前記循環管路中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体の運用状態を制御する複数のアクチュエータと、
j’.前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体の物理的の変化を検知することが可能な複数のセンサと、を備え、
前記第1の通常のイオン化されていない液体は、ディーゼル燃料、又は、ガソリン燃料である、直接磁気/静電/電磁処理装置。」である点で一致し、次の点で相違が認められる。
ウ 相違点
(ア)相違点1
「第2液体槽中の第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む液体の流量」の制御について、本件補正発明は、「比例弁」を備えているのに対し、引用発明は、そのような比例弁は備えていない点。
(イ)相違点2
「第2液体槽と循環管路中の第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む液体の運用状態を制御する複数のアクチュエータ」に加えて、本件補正発明は、「センサ」を備えているのに対し、引用発明はそのようなセンサは備えていない点。
(ウ)相違点3
「第2液体槽中の第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を含む液体の」「変化を検知することが可能な複数のセンサ」について、本件補正発明は、「化学的性質」の「変化を検知することが可能なセンサ」を備えているのに対し、引用発明はそのようなセンサは備えていない点。
(エ)相違点4
本件補正発明は、「第2液体槽中の第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を混合することによって、第3の間接的にイオン化された液体が生成されるように構成された選択的な混合器」を備えているのに対し、引用発明はそのような混合器は備えていない点。
(オ)相違点5
用途について、本件補正発明は、「燃料改質のため」であるのに対し、引用発明は、そのような用途は規定されていない点。
エ 以下、相違点について検討する。
(相違点1について)
上記アc.で述べたように、引用発明の「管路D,E,F」には、「非磁化常液体であるディーゼル燃料」と「処理ユニットを通した」「ディーゼル燃料」とが流れ、その流量は、「ポンプP」の吐出量によって定まるところ、流量制御のために、「ポンプP」に対して、さらに比例弁を設けることは、引用文献1の図1の「ポンプP」の下流の「比例流量制御弁PV」にも示されるように当業者にとって周知である。
したがって、引用発明において、「ポンプP」に接続する「管路F」に比例弁を設け、上記相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項を備えることは、当業者が容易に想到し得ることである
(相違点2について)
引用文献1の【0030】には、「12.本発明の制御パラメータは全て、両方の処理段階(直接磁化液体/気体の生成と混合プロセス)において使用可能であるインラインセンサーのデータに従って、制御されてよい。」と記載されており、引用発明の「第1の比例流量制御弁」及び「第2の比例流量制御弁」の開度は、「インライン前処理センサーおよび後処理センサーである、圧力計PG、圧力センサーPS、レベルセンサーLS、粘度センサーVS、温度センサーTS及び密度センサーDS」によって制御されることが示唆されている。
したがって、引用発明において、「インライン前処理センサーおよび後処理センサーである、圧力計PG、圧力センサーPS、レベルセンサーLS、粘度センサーVS、温度センサーTS及び密度センサーDS」は、上記相違点2に係る本件補正発明の「センサ」に相当するといえるし、仮に、そうでなくても、上記示唆に基づき、引用発明の「第1の比例流量制御弁」及び「第2の比例流量制御弁」の開度の制御のために、センサを設けることは、当業者が容易に想到し得ることである。
(相違点3について)
引用文献1の【0031】には、「ディーゼル燃料の熱含有量」を求めることが示され、【0032】の【表1】には、「ディーゼル燃料の熱含有量」の値が記載されている。
そして、「ディーゼル燃料の熱含有量」を求めるためには、「化学的性質」の「変化を検知することが可能なセンサ」を用いることが必要であることは明らかであり、引用文献1には、引用発明において、「化学的性質」の「変化を検知することが可能なセンサ」を備えることが示唆されているといえる。
したがって、引用発明において、上記相違点3に係る本件補正発明の「化学的性質」の「変化を検知することが可能なセンサ」を設けることは、当業者が容易に想到し得ることである。
(相違点4について)
引用文献1の【0001】に「直接的に磁化された液体/気体(ある幾何形状および流束密度の直接的な磁場または電磁場を用いて処理された液体/気体)と磁化されていない通常の液体/気体との間で混合して、直接磁化液体/気体および非磁化常液体/気体よりも優れた性能を有する新しい混合または間接磁化液体/気体を得る」と記載されるように、引用発明においては、「非磁化常液体であるディーゼル燃料」と「処理ユニットを通した」「ディーゼル燃料」とが混合することで、「新しい混合または間接磁化液体/気体(ディーゼル燃料)」が得られているといえ、これは本件補正発明の「第3の間接的にイオン化された液体」といえるものである。
一方、引用発明のような「制御流の循環プロセス」において、制御流が混合物の場合に、さらに、選択的な混合器を設けることは、本願出願前に周知である。
たとえば、周知例1(特表2002-502838号公報)の【0023】?【0025】及び図1には、混合手段(混合素子)3を備え反応混合物を得るものにおいて、さらに、任意選択的に、反応混合物を混合するための任意選択装置5を設けることが記載されている。
また、周知例2(特開平9-108555号公報)の【0009】、【図面の簡単な説明】及び図2、3には、混合液を用いた製造装置に関して、図2には、撹拌器3を備えた循環還流式の製造設備が記載され、図3には、撹拌器を備えない循環還流式の製造設備が記載され、いずれも用いられるものであることが記載されている。
そして、周知例1の任意選択装置5や周知例2の撹拌器3は、必要に応じて設けられされ、必要に応じて駆動されることから、選択的な混合器といえることは明らかである。
したがって、引用発明において、「処理済流体タンク」に「選択的な混合器」を設けることは当業者が適宜なし得たことであり、「選択的な混合器」によって「新しい混合または間接磁化液体/気体(ディーゼル燃料)」が得られることは明らかであるから、引用発明において、「第2液体槽中の第1の通常のイオン化されていない液体と第2の直接イオン化された液体を混合することによって、第3の間接的にイオン化された液体が生成されるように構成された選択的な混合器」を設けることは、当業者が容易になし得ることである。
(相違点5について)
引用文献1の【0032】の【表1】には、「非磁化常ディーゼル燃料」と「磁化処理ディーゼル燃料」とが、熱含有量、動的粘度、静的粘度、密度によって異なることが示されており、引用発明は、「ディーゼル燃料」の「改質」のためのものということができ、上記相違点5は、実質的な相違点ではない。
また、仮に、実質的な相違点だとしても、引用発明によって、「ディーゼル燃料」の熱含有量、動的粘度、静的粘度、密度が変化することが引用文献1の記載から理解することができ、熱含有量が変化することが認識されるのであれば、引用発明を「ディーゼル燃料」の「改質」に用いるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
オ 本件補正発明の効果について
本願明細書に記載された、エンジンの燃費向上、パワー上昇は、特定のディーゼル燃料の場合にそのようなことがいえたとしても、燃費やパワーはエンジンの種類や走行条件によっても異なることから、本件補正発明に係る「燃料改質のための直接磁気/静電/電磁処理装置」の効果としては、直ちには認めることができない。
したがって、本件補正発明が引用発明に比較して、格別顕著な作用効果を奏するものと認めることはできない。
カ 請求人の主張について
請求人は令和元年6月11日付けの上申書において次のように主張している。
「本件補正発明は、次の3つの技術的特徴を有します。
第1の技術的特徴:『前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体が循環中に、前記第1の通常のイオン化されていない液体に直接磁場/静電場/電磁場をかけることで前記第2の直接イオン化された液体が生成されるように、前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体に前記磁場/静電場/電磁場をかけるよう構成された処理部』
第2の技術的特徴:『前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を混合することによって、第3の間接的にイオン化された液体が生成されるように構成された選択的な混合器』
第3の技術的特徴:『前記第1の通常のイオン化されていない液体は、ディーゼル燃料、又は、ガソリン燃料である、燃料改質のための直接磁気/静電/電磁処理装置』引用文献1は、非磁化液体に磁場又は電磁場を作動させて、直接磁化液体を得て、非磁化液体と直接磁化液体を混合して、間接磁化液体を得る方法及び装置が開示されています。
しかし、引用文献1は、第1の技術的特徴である『前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体が循環中に、前記第1の通常のイオン化されていない液体に直接磁場/静電場/電磁場をかけることで前記第2の直接イオン化された液体が生成されるように、前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を含む前記液体に前記磁場/静電場/電磁場をかけるよう構成された処理部』について開示も示唆もしていません。又、引用文献1は、第2の技術的特徴である『前記第2液体槽中の前記第1の通常のイオン化されていない液体と前記第2の直接イオン化された液体を混合することによって、第3の間接的にイオン化された液体が生成されるように構成された選択的な混合器』について開示も示唆もしていません。更に、引用文献1は、第3の技術的特徴である『前記第1の通常のイオン化されていない液体は、ディーゼル燃料、又は、ガソリン燃料である、燃料改質のための直接磁気/静電/電磁処理装置』について開示も示唆もしていません。」
しかしながら、上述したように、上記「第1の技術的特徴」は、引用文献1には、「処理ユニット」として開示され、上記「第2の技術的特徴」は、上記「(相違点4について)」で述べたように、当業者が容易に想到し得ることであり、上記「第3の技術的特徴」は、引用文献1には「応用事例」として開示されている。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
3 補正の却下の決定のむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年11月1日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成30年3月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-7に係る発明は、本件優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:国際公開第2012/156464号
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(4)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明に加え、処理する液体として水を追加したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項の選択肢の一部を削除した本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明並びに引用文献1に記載された事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明並びに引用文献1に記載された事項及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
上記のとおりであるから、本願発明は、本件優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-09-18 
結審通知日 2019-09-24 
審決日 2019-10-07 
出願番号 特願2016-506867(P2016-506867)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮部 裕一  
特許庁審判長 川端 修
特許庁審判官 門前 浩一
日比野 隆治
発明の名称 空間的及び時間的に分離された処理段階、混合段階、及び、使用段階の3段階を備える液体の磁気/静電/電磁処理方法及び装置  
代理人 青木 篤  
代理人 三橋 真二  
代理人 伊坪 公一  
代理人 南山 知広  
代理人 酒井 祐市  

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