• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1360150
審判番号 不服2019-1821  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-08 
確定日 2020-02-26 
事件の表示 特願2017-515205号「内向き又は外向きの画像プロジェクタを使用して電子デバイスにおける自動画像補正を伴う統合的で調整可能な画像投影」拒絶査定不服審判事件〔平成28年3月31日国際公開、WO2016/048432、平成29年11月9日国内公表、特表2017-533456号公報〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)7月7日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2014年9月25日、米国)を国際出願日とする外国語特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年3月17日 :翻訳文提出
平成30年2月8日付け :拒絶理由通知書
平成30年5月18日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年10月1日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
(平成30年10月9日 :原査定の謄本の送達)
平成31年2月8日 :審判請求書、手続補正書の提出


第2 本願発明
本願の請求項1?15に係る発明は、平成31年2月8日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項12に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
(A?Gは本願発明の構成を分説するため当審で付した。)
なお、本願発明は、上記手続補正書による補正前の特許請求の範囲の請求項13に係る発明である。

[本願発明]
「【請求項12】
A プロセッサ、蓋及びベースを有する電子デバイスであって、前記ベースが前記蓋を当該ベースに結合するヒンジを含む、電子デバイスを提供することと;
B 前記プロセッサとデータ通信する画像投影サブシステムを提供することであって、該画像投影サブシステムは、前記電子デバイスの前記蓋内に画像プロジェクタを含むことと;
C 前記画像プロジェクタの使用により前記電子デバイスとは別個の投影面上に表示画像を表示することと;
D 前記ベースに対する前記蓋の角度を調整することにより、前記表示画像の角度を調整することと;
E 前記電子デバイスのカメラの使用により、前記画像プロジェクタによって生成される前記表示画像の少なくとも一部をキャプチャすることと;
F 前記キャプチャされた画像を分析し、前記キャプチャされた画像の分析に基づいて前記表示画像の補正を引き起こすことであって、前記プロセッサにより引き起こされる前記補正は、前記画像プロジェクタによって生成される前記表示画像の焦点を調整するよう、前記画像投影サブシステムの焦点調整モジュールに前記画像プロジェクタのレンズ要素を修正させるための制御コマンドを発行することと;
G を具備する、方法。」


第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶理由のうち、本願発明(補正前の請求項13に係る発明)についての拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1.(新規性) 本願発明は、本願の優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2.(進歩性) 本願発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1:特開2006-145812号公報


第4 引用文献等
1 引用文献1
上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による携帯可能なハンディタイプのプロジェクタ付き携帯電話機10の外観図である。(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図をそれぞれ表している。図1において、プロジェクタ付き携帯電話機10の筺体は操作部1と表示部2によって構成されており、操作部1と表示部2は回動可能な折りたたみヒンジ部3を介して連結されている。すなわち、プロジェクタ付き携帯電話機10は折りたたみヒンジ部3を回動中心に折りたたみ可能な構造を有している。」
【0008】?【0009】
(省略)
【0010】
図2は、図1のプロジェクタ付き携帯電話機10の構成を説明するブロック図である。図2において、操作部1側にはCPU101と、メモリ102と、近距離通信部103と、マイク105と、外部インターフェイス(I/F)106と、電源107と、通信制御部108と、アンテナ109と、操作キー群110と、スピーカー111と、開閉角度センサ112とが備えられ、着脱可能なメモリカード104が実装されている。
【0011】
表示部2側にはメイン液晶表示器4と、サブ液晶表示器5と、プロジェクタモジュール(プロジェクタ部)6と、カメラモジュール(カメラ部)7と、スピーカー201とが備えられている。
【0012】
CPU101は、制御プログラムに基づいて、プロジェクタ付き携帯電話機10を構成する各部から入力される信号を用いて所定の演算を行うなどして、プロジェクタ付き携帯電話機10の各部に対する制御信号を送出することにより、電話機動作、カメラ動作、プロジェクタ動作をそれぞれ制御する。なお、制御プログラムはCPU101内の不図示の不揮発性メモリに格納されている。」

「【0018】
プロジェクタモジュール6は、投影レンズ61と、液晶パネル62と、LED光源63と、LED駆動部64と、液晶駆動部65とを含む。LED駆動部64は、CPU101から出力されるLED駆動信号に応じてLED光源63に電流を供給する。LED光源63は、供給電流に応じた出力でR(赤)、G(緑)およびB(青)の3原色光をそれぞれ照射して液晶パネル62を照明する。これら各色の光が合成されることにより、LED光源63から白色光が照射される。なお、RGB各色の光の強度は、LED駆動部64からの電流強度によってそれぞれ個別に調節することができる。」
【0019】?【0020】
(省略)
【0021】
以上説明したように選択された画像を液晶パネル62に表示した後、LED光源63から照射されたRGB各色の光を合成した白色光を通過させることにより、液晶パネル62に表示された画像の光像が生成される。投影レンズ61にはレンズ駆動部8が接続されている。レンズ駆動部8は、CPU101から出力される制御信号に基づいて、投影レンズ61を構成する焦点調節レンズ(不図示)を光軸に沿って前後方向へ駆動し、投影レンズ61の焦点位置(以下、投射焦点位置という)を変化させる。こうして投影レンズ61の焦点位置を変化させることにより、投射像のフォーカス状態の調節が行われる。LED光源63から出力されて液晶パネル62を透過した光束は、投影レンズ61を通過してスクリーンなどの投射面へ向けて投射される。このようにして、RGB各色の光を合成した白色光を用いて、選択された画像を投射面に投射して、その画像の投射像を生成する。」

「【0022】
カメラモジュール7は、撮影レンズ71と、イメージセンサ72と、カメラ制御CPU73とを含む。イメージセンサ72としてはCCDやCMOS撮像素子などが用いられる。カメラ制御CPU73は、CPU101の指令によりイメージセンサ72を駆動制御する。撮影レンズ71には、投影レンズ61と同じくレンズ駆動部8が接続されている。レンズ駆動部8は、CPU101からの制御信号に応じて、撮影レンズ71を構成する焦点調節レンズ(不図示)を光軸に沿って前後方向へ駆動することにより、撮影レンズ71の焦点位置(以下、撮影焦点位置という)を変化させる。これにより、被写体像のピント調節が行われる。
【0023】
撮影レンズ71は、イメージセンサ72の撮像面上に被写体像を結像させる。カメラ制御CPU73はイメージセンサ72に撮像を開始させ、撮像終了後にイメージセンサ72から蓄積電荷信号を読み出し、所定の信号処理を施した上で画像データとしてCPU101へ送出する。なお、カメラモジュール7で撮影した画像データを送信する場合にはCPU101から通信制御部108へ画像データが送出される。また、撮影画像を投射する場合にはカメラ制御CPU73からCPU101を経由してプロジェクタモジュール6へ画像データが送出される。このようにして、カメラモジュール7において撮影した被写体の撮像画像を取得する。
【0024】
図3はプロジェクタモジュール6とカメラモジュール7の断面を示した図である。図2のレンズ駆動部8は、図3に示すレンズ駆動モータ81と、回転軸82と、ガイド軸83および84を有している。レンズ駆動モータ81は、投射焦点位置と撮影焦点位置の両方を変化させるための回転駆動力を発生する単一の駆動源であり、CPU101によってその駆動量が制御される。回転軸82は、レンズ駆動モータ81の回転駆動によって回転し、その駆動力を後で説明するようにして投影レンズ61と撮影レンズ71に伝える。ガイド軸83および84は、投影レンズ61と撮影レンズ71の位置をそれぞれの光軸に沿って移動させるときのガイド用の軸である。
【0025】
図4は、図3の断面図を正面方向から見た様子を示した図である。(a)は、投影レンズ61と撮影レンズ71の中心点同士を結ぶ中心線92上に、回転軸82が位置している場合を示している。一方(b)は、その中心線上92に回転軸82が位置していない場合を示している。(a)(b)いずれの場合においても、投影レンズ61と撮影レンズ71はレンズ支持部9によってそれぞれ支持されている。そして、レンズ支持部9が投影レンズ61と撮影レンズ71を支持した状態において、その重さが左右でバランスのとれる重心位置を示している重心線91上に、回転軸82がいずれも位置している。なお、プロジェクタモジュール6とカメラモジュール7は、(a)と(b)のどちらで示すように構成されていてもよい。さらに、重心線91の付近であれば、回転軸82の位置は(a)または(b)に示すものに限らず、どの位置であってもよい。
【0026】
レンズ支持部9は、投影レンズ61の光軸と撮影レンズ71の光軸が平行となるように、これらのレンズを支持している。このレンズ支持部9は回転軸82と螺合されており、回転軸82の回転に合わせて光軸方向に沿って移動する。すなわち、レンズ支持部9と回転軸82が螺合されている部分を作用点として、レンズ支持部9はその作用点において、レンズ駆動モータ81からの駆動力を受ける。レンズ駆動モータ81は、この作用点に与える駆動力によってレンズ支持部9を光軸方向に沿って移動させることにより、投射焦点位置と撮影焦点位置を変化させる。
【0027】
なお、ここでは投影レンズ61と撮影レンズ71をそれぞれ単一のレンズによって図示しているが、実際にはこれらのレンズは、各々が異なる光学特性を有する複数のレンズからなる同一のレンズ群によってそれぞれ構成されている。そして、その複数のレンズに含まれている焦点調節レンズを、レンズ支持部9の移動によって前述したように光軸に沿って前後方向へ駆動することにより、投射焦点位置と撮影焦点位置をそれぞれ変化させることができる。
【0028】
また、投影レンズ61と撮影レンズ71は、同一の光学特性を有している。そのため、レンズ駆動モータ81の駆動量に対する投射焦点位置の変化量の割合(投射焦点移動係数)と、レンズ駆動モータ81の駆動量に対する撮影焦点位置の変化量の割合(撮影焦点移動係数)とは、互いに等しい。したがって、プロジェクタ付き携帯電話機10に対する合焦距離が常にほぼ等しくなるように、投射焦点位置と撮影焦点位置を変化させることができる。」

「【0029】
プロジェクタ付き携帯電話機10は、上記のように構成されるプロジェクタモジュール6によって生成される投射像の投射面における映り具合を調整するための動作(以下、キャリブレーション動作という)を、その投射像の投射中に繰り返し実行する。このキャリブレーション動作には、ピントが合った投射像を映すためのフォーカス状態の調節や、投射像の明るさやホワイトバランスの調節、台形歪みの補正などがある。これらのキャリブレーション動作は、上記のように構成されるカメラモジュール7により撮影して取得された投射像の撮像画像に基づいて行われるが、ここでは詳しい説明を省略する。
【0030】
なお、カメラモジュール7における撮像画像のピント調節には、コントラスト検出方式と呼ばれる方法が用いられる。具体的には、撮影焦点位置を様々に変化させて撮像画像を取得し、その撮像画像のそれぞれについてコントラスト量を算出する。そして、CPU101において各撮像画像のコントラスト量を比較し、撮影焦点位置をコントラスト量が最大である撮像画像が取得されたときの位置に合わせるように、レンズ駆動モータ81を駆動する。すると、前述したようにプロジェクタ付き携帯電話機10に対する合焦距離が常にほぼ等しくなるように、撮影焦点位置に合わせて投射焦点位置も変化する。
【0031】
ここで、投射焦点位置が投射面に近いほど高いコントラストの投射像が生成され、撮像焦点位置が投射面に近いほど投射像の撮像画像を高いコントラストで取得できる。したがって、上記のようにプロジェクタ付き携帯電話機10に対する合焦距離が常にほぼ等しくなるように撮影焦点位置と投射焦点位置が変化することにより、合焦状態とそうでない状態において算出されるコントラスト量の差を大きく取ることができ、撮像焦点位置と投射焦点位置をともに正確かつ高速に調節することができる。その様子を図5に示す。図5において、縦軸はAF評価値であるコンストラスト量を表し、横軸はレンズ位置を表している。撮影焦点位置と投射焦点位置を同時に動かした場合は、AF評価値がたとえば実線のグラフに示すように変化する。これに対して、撮影焦点位置のみを動かした場合は、AF評価値がたとえば破線のグラフに示すように変化する。このように、撮影焦点位置と投射焦点位置を同時に動かすと、撮影焦点位置のみを動かした場合に比べて、AF評価値の変化量をより大きくして、合焦距離を示すピーク値をより高くすることができる。したがって、撮像焦点位置と投射焦点位置をより正確かつ高速に調節することができる。なお、より一層の高精度を必要とする場合には、上記のような方法で求められた撮像焦点位置と投射焦点位置に一旦合わせた後、そこを中心としてさらに細かく刻んだ焦点位置の範囲において撮像焦点位置および投射焦点位置を変化させ、同様の処理を繰り返せばよい。」

「【図1】



「【図2】




2 引用発明
上記1の記載事項及び図面の図示内容を総合すれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]
「操作部1と表示部2によって構成される筺体を有するプロジェクタ付き携帯電話機10であって、前記操作部1と前記表示部2は回動可能な折りたたみヒンジ部3を介して連結され、折りたたみヒンジ部3を回動中心に折りたたみ可能な構造を有しているプロジェクタ付き携帯電話機10において、
(【0007】、【図1】)

前記操作部1側には、制御プログラムに基づいて、前記プロジェクタ付き携帯電話機10を構成する各部から入力される信号を用いて所定の演算を行うなどして、前記プロジェクタ付き携帯電話機10の各部に対する制御信号を送出することにより、カメラ動作、プロジェクタ動作をそれぞれ制御するCPU101が備えられ、(【0010】、【0012】、【図2】)

前記表示部2側には、投影レンズ61、液晶パネル62、LED光源63、LED駆動部64及び液晶駆動部65を含むプロジェクタモジュール6が備えられ、前記LED光源63から出力されて前記液晶パネル62を透過した光束が、前記投影レンズ61を通過してスクリーンなどの投射面へ向けて投射されて、画像の投射像が生成され、
(【0011】、【0018】、【0021】、【図2】)

前記表示部2側には、撮影レンズ71、イメージセンサ72及びカメラ制御CPU73を含むカメラモジュール7が備えられ、前記カメラ制御CPU73は、前記CPU101の指令により前記イメージセンサ72を駆動制御し、前記イメージセンサ72に撮像を開始させ、撮像終了後に前記イメージセンサ72から蓄積電荷信号を読み出し、所定の信号処理を施した上で画像データとして前記CPU101へ送出するものであり、
(【0011】、【0022】、【0023】、【図2】)

前記プロジェクタモジュール6の前記投影レンズ61に接続されたレンズ駆動部8は、前記CPU101から出力される制御信号に基づいて、前記投影レンズ61を構成する焦点調節レンズを光軸に沿って前後方向へ駆動して、投影レンズ61の焦点位置を変化させるものであり、
(【0021】)

前記プロジェクタモジュール6によって生成される投射像の投射面における映り具合を調整するための動作(キャリブレーション動作)として、ピントが合った投射像を映すためのフォーカス状態の調節を、前記投影レンズ61の焦点位置を変化させることにより、その投射像の投射中に繰り返し実行し、前記キャリブレーション動作は、カメラモジュール7により撮影して取得された投射像の撮像画像に基づいて行われる、(【0029】)

前記プロジェクタモジュール6によって生成される投射像の投射面における映り具合を調整する方法。(【0029】)」


第5 対比・判断
1 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「CPU101」は、本願発明の「プロセッサ」に相当し、引用発明の「筐体」を「構成」する「表示部2」及び「操作部1」は、それぞれ本願発明の「蓋」及び「ベース」に相当するから、引用発明の「操作部1側」に「CPU101が備えられ」「操作部1と表示部2によって構成される筺体を有するプロジェクタ付き携帯電話機10」は、本願発明の構成Aの「プロセッサ、蓋及びベースを有する電子デバイス」に相当する。
また、引用発明の「前記操作部1」と「前記表示部2」を「連結」する「回動可能な折りたたみヒンジ部3」は、本願発明の「前記蓋を当該ベースに結合するヒンジ」に相当し、この「折りたたみヒンジ部3」は「前記操作部1」に属しているとみることができるから、引用発明の「プロジェクタ付き携帯電話機10」が「前記操作部1と前記表示部2は回動可能な折りたたみヒンジ部3を介して連結され、折りたたみヒンジ部3を回動中心に折りたたみ可能な構造を有している」ことは、本願発明の構成Aの「前記ベースが前記蓋を当該ベースに結合するヒンジを含む、電子デバイスを提供すること」に相当する。

(2)引用発明の「前記表示部2側」に「備えられ」た「プロジェクタモジュール6」及び「カメラモジュール7」は、それぞれ本願発明の「前記電子デバイスの前記蓋内に」「含」まれる「画像プロジェクタ」及び「前記電子デバイスのカメラ」に相当する。
引用発明では、「プロジェクタモジュール6」の「レンズ駆動部8」は、「前記CPU101から出力される制御信号に基づいて、前記投影レンズ61を構成する焦点調節レンズを光軸に沿って前後方向へ駆動して、投影レンズ61の焦点位置を変化させ」、「カメラモジュール7」の「カメラ制御CPU73」は、「前記CPU101の指令により前記イメージセンサ72を駆動制御し、前記イメージセンサ72に撮像を開始させ、撮像終了後に前記イメージセンサ72から蓄積電荷信号を読み出し、所定の信号処理を施した上で画像データとして前記CPU101へ送出」しているところ、「プロジェクタモジュール6」及び「カメラモジュール7」と、「CPU101」との間では、信号の送受信が行われているといえるから、このことは、本願発明の「前記プロセッサとデータ通信する」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「プロジェクタモジュール6」及び「カメラモジュール7」の組合せは、本願発明の「画像投影サブシステム」に相当し、引用発明において、「CPU101」との間で信号の送受信が行われる「プロジェクタモジュール6」及び「カメラモジュール7」を「前記表示部2側」に「備え」ることは、本願発明の構成Bの「前記プロセッサとデータ通信する画像投影サブシステムを提供することであって、該画像投影サブシステムは、前記電子デバイスの前記蓋内に画像プロジェクタを含むこと」に相当する。

(3)引用発明の「スクリーンなどの投射面」は、本願発明の「前記電子デバイスとは別個の投影面」に相当し、引用発明の「画像の投射像」は、本願発明の「表示画像」に相当するから、引用発明において、「プロジェクタモジュール6」の「前記LED光源63から出力されて前記液晶パネル62を透過した光束が、前記投影レンズ61を通過してスクリーンなどの投射面へ向けて投射されて、画像の投射像が生成され」ることは、本願発明の構成Cの「前記画像プロジェクタの使用により前記電子デバイスとは別個の投影面上に表示画像を表示すること」に相当する。

(4)引用発明では、「前記操作部1と前記表示部2は回動可能な折りたたみヒンジ部3を介して連結され、折りたたみヒンジ部3を回動中心に折りたたみ可能な構造を有している」ところ、このような「折りたたみヒンジ部3」を用いる場合には、「前記表示部2」を「折りたたみ」の途中の所望の角度まで回動させることにより、「前記操作部1」に対する「前記表示部2」の角度を調整できることは自明であり、「前記表示部2側」に「備えられ」た「プロジェクタモジュール6」から「スクリーンなどの投射面へ向けて投射され」る「光束」の投写角度を調整することが可能であると認められる。
(このような折りたたみヒンジ部の備える自明な構成を示す周知例として、必要ならば、例えば、特開2005-236746号公報の【図2】(c)(d)、【図4】(a)(b)の図示内容、特開2010-28412号公報の【図1】(C)、【図5】、【図6】の図示内容を参照。)
そうすると、引用発明は、本願発明の構成Dである「前記ベースに対する前記蓋の角度を調整することにより、前記表示画像の角度を調整すること」に相当する構成を有しているといえる。

(5)上記(2)において述べたとおり、引用発明の「プロジェクタモジュール6」及び「カメラモジュール7」は、それぞれ本願発明の「画像プロジェクタ」及び「前記電子デバイスのカメラ」に相当する。
また、引用発明の「前記プロジェクタモジュール6によって生成される投射像」は、本願発明の「前記画像プロジェクタによって生成される前記表示画像」に相当する。
そうすると、引用発明の「カメラモジュール7により撮影して」、「前記プロジェクタモジュール6によって生成される投射像」の「撮像画像」を「取得」することは、本願発明の構成Eの「前記電子デバイスのカメラの使用により、前記画像プロジェクタによって生成される前記表示画像の少なくとも一部をキャプチャすること」に相当する。

(6)引用発明の「前記プロジェクタモジュール6によって生成される投射像の投射面における映り具合を調整するため」の「キャリブレーション動作」を行うことは、本願発明の「前記表示画像の補正を引き起こすこと」に相当する。
また、引用発明では、「前記キャリブレーション動作は、カメラモジュール7により撮影して取得された投射像の撮像画像に基づいて行われる」ところ、この「撮影画像に基づいて」とは、「撮影画像の有する情報を分析し、その分析結果に基づいて」を意味するのが通常であるから(必要ならば、国際公開第2006/033255号の段落[0038]?[0049]の記載を参照)、引用発明の「前記キャリブレーション動作」が「取得された投射像の撮影画像に基づいて行われる」ことは、本願発明の「前記キャプチャされた画像を分析し、前記キャプチャされた画像の分析に基づいて」「補正を引き起こすこと」に相当する。
また、引用発明の「ピントが合った投射像を映すためのフォーカス状態の調節」を行うことは、本願発明の「前記画像プロジェクタによって生成される前記表示画像の焦点を調整する」ことに相当する。
そして、引用発明では、「前記CPU101から出力される制御信号に基づいて」、「プロジェクタモジュール6」の「レンズ駆動部8」が「投影レンズ61の焦点位置を変化させ」ているから、引用発明の「プロジェクタモジュール6」の「レンズ駆動部8」は、本願発明の「前記画像投影サブシステムの焦点調整モジュール」に相当し、引用発明の「投影レンズ61の焦点位置」の「変化」に係る「前記CPU101から出力される制御信号」は、本願発明の「前記画像投影サブシステムの焦点調整モジュールに前記画像プロジェクタのレンズ要素を修正させるための制御コマンド」に相当し、引用発明において、上記「制御信号」が「前記CPU101から出力される」ことは、本願発明の「前記プロセッサにより引き起こされる前記補正」が「制御コマンドを発行すること」により行われることに相当する。
そうすると、引用発明は、本願発明の構成Fである「前記キャプチャされた画像を分析し、前記キャプチャされた画像の分析に基づいて前記表示画像の補正を引き起こすことであって、前記プロセッサにより引き起こされる前記補正は、前記画像プロジェクタによって生成される前記表示画像の焦点を調整するよう、前記画像投影サブシステムの焦点調整モジュールに前記画像プロジェクタのレンズ要素を修正させるための制御コマンドを発行すること」に相当する構成を有しているといえる。

(7)引用発明の「前記プロジェクタモジュール6によって生成される投射像の投射面における映り具合を調整する方法。」は、本願発明の構成Gの「方法。」(構成A?Fを具備する、方法。)に相当する。

(8)上記(1)乃至(7)において検討した事項を総合すると、引用発明は、本願発明の構成A?Gに相当する構成をすべて備えているから、本願発明は、上記引用文献1に記載された発明である。

(9)請求人が主張するように(後記2(1))、仮に、本願発明が引用発明と相違する構成を有していたとしても、後記2(2)のとおり、かかる相違する構成は、当業者にとって容易に想到し得たものであり、その効果も当業者ならば容易に予測し得たものにすぎない。


2 請求人の主張について
(1)主張の要点
請求人は、審判請求書において、以下のア?エを要点とする主張をしている。

ア 本願発明の構成Dに関して、引用文献1には、プロジェクタモジュール6によって表示される画像「角度」が、「ベースに対する蓋の角度を調整することにより調整可能」であることは開示されていない。

イ 本願発明の構成Fに関して、カメラモジュール7が、プロジェクタモジュール6によって生成される表示画像(投射像)をキャプチャし、キャプチャされた画像の分析に基づいて、表示画像(投射像)を補正することも開示されていない。
引用文献1の段落0029には、「キャリブレーション動作は、上記のように構成されるカメラモジュール7により撮影して取得された投射像の撮像画像に基づいて行われる」と記載されているが、その「詳しい説明」は「省略する」と記載されており(同段落)、カメラモジュール7が何を撮影し、撮影された画像がどのように用いられるのかについては何ら開示されていない。

ウ 引用発明の「カメラモジュール7」に関して、引用文献1には、「カメラモジュール7」が、「プロジェクタモジュール6」によって生成された「投射像」を撮影することは全く記載されておらず、むしろ、反対に、「カメラモジュール7」による「撮影画像」が、投射のために「プロジェクタモジュール6」へ提供されることが記載されているにすぎない。

エ 引用文献1は、単一の駆動源である「レンズ駆動モータ81」が、投影レンズ61と撮影レンズ71の双方を支持している「レンズ支持部9を光軸方向に沿って移動させることにより、投射焦点位置と撮影焦点位置を一緒に変化させる」ものであり(段落0026等)、また、段落0030には、カメラモジュール7における撮像画像のピント調節において、撮影焦点位置を様々に変化させて、コントラスト量が最大である撮像画像が取得されたときの位置に撮影焦点位置を合わせると、「プロジェクタ付き携帯電話機10に対する合焦距離が常にほぼ等しくなるように、撮影焦点位置に合わせて投射焦点位置も変化する」ことが開示されているところ、引用文献1は、カメラモジュール7における撮影画像のピント調節において撮影焦点位置を変化させることで、プロジェクタモジュール6の投射焦点位置も同時に変化させ、これにより焦点を調節するものであるから、引用文献1は、本願発明の上記構成Fを開示するものでも示唆するものでもない。

(2)上記主張の検討

ア 上記要点アについて
上記1の(4)において述べたとおり、引用発明の「折りたたみヒンジ部3」を用いる場合には、「前記表示部2」を「折りたたみ」の途中の所望の角度まで回動させることにより、「前記操作部1」に対する「前記表示部2」の角度を調整できることは自明であり、「前記表示部2側」に「備えられ」た「プロジェクタモジュール6」から「スクリーンなどの投射面へ向けて投射され」る「光束」の投写角度を調整することが可能であると認められ、これにより、「プロジェクタモジュール6」によって表示される画像の角度も調整されるといえるから、引用発明は、本願発明の構成Dに相当する構成を有しているといえる。
仮に、上記事項が自明なものではないとしても、引用発明に周知技術(例えば、特開2005-236746号公報の【図2】(c)(d)、【図4】(a)(b)の図示内容、特開2010-28412号公報の【図1】(C)、【図5】、【図6】の図示内容を参照)を採用して、本願発明の構成Dのごとく構成することは、当業者が容易になし得たことである。

イ 上記要点イ及びウについて
上記1の(6)において述べたとおり、引用発明の「キャリブレーション動作」は、「カメラモジュール7により撮影して取得された投射像の撮像画像に基づいて行われる」から、カメラモジュール7が、プロジェクタモジュール6によって生成される表示画像(投射像)をキャプチャしているのであって、引用文献1には、カメラモジュール7が何を撮影しているのかについて何ら開示されていないという主張や、カメラモジュール7が、プロジェクタモジュール6によって生成された「投射像」を撮影することは全く記載されていないという主張は採用することができない。
また、本願発明の構成Fにおいて、「キャプチャされた画像」をどのように「分析」し、「画像の分析」結果をどのように用いるかについて、何ら特定されていないのに対して、引用発明の「キャリブレーション動作」が「取得された投射像の撮影画像に基づいて行われる」とは、「撮影画像の有する情報を分析し、その分析結果に基づいて」を意味するのが通常であるから、「画像の分析」について、本願発明と引用発明との間に差異はない。
仮に、「画像の分析」が相違点であるとしても、引用発明に周知技術(例えば、国際公開第2006/033255号の段落[0038]?[0049]の記載を参照)を採用して、当該相違点に係る本願発明の構成Fを得ることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 上記要点エについて
引用文献1の段落【0029】には、「プロジェクタモジュール6によって生成される投射像の投射面における映り具合を調整するための動作(以下、キャリブレーション動作という)」としての「ピントが合った投射像を映すためのフォーカス状態の調節」の具体的手順について、「カメラモジュール7により撮影して取得された投射像の撮像画像に基づいて行われる」ということ以外に、どのような手順によるべきかについては、何ら限定されてはいない。
この点に関し、引用文献1の段落【0030】?【0031】には、「カメラモジュール7における撮影画像のピント調節」について開示されているが、かかる開示内容によっても、「撮像画像に基づいて行われる」ことが、「撮影画像のピント調節」を用いることに限られるとまではいえない。
そもそも、本願発明の構成Fは、「前記画像プロジェクタによって生成される前記表示画像の焦点を調整するよう、前記画像投影サブシステムの焦点調整モジュールに前記画像プロジェクタのレンズ要素を修正させる」と規定しており、「画像プロジェクタのレンズ要素」の「修正」に係る動作が具体的にどのようにして行われるかについては何ら特定されていないのであるから、請求人の主張するように、引用文献1の「撮像画像に基づいて行われる」「ピントが合った投写像を映すためのフォーカス状態の調節」が「撮影画像のピント調節」を用いることに限られるとしても、投射焦点位置を変化させることに変わりはないから、そのことが、本願発明と引用発明との対比における相違点に結びつくものではない。
仮に、相違点になるとしても、引用発明に周知技術(国際公開第2006/033255号の段落[0038]?[0049]の記載を参照)を採用して、当該相違点に係る本願発明の構成Fを得ることは、当業者が容易になし得たことである。

エ 上記ア?ウにおいて検討した内容を踏まえると、請求人の審判請求書における主張を採用することはできない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-09-27 
結審通知日 2019-10-01 
審決日 2019-10-16 
出願番号 特願2017-515205(P2017-515205)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G03B)
P 1 8・ 121- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小野 博之  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 梶田 真也
濱野 隆
発明の名称 内向き又は外向きの画像プロジェクタを使用して電子デバイスにおける自動画像補正を伴う統合的で調整可能な画像投影  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ