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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1360874
審判番号 不服2018-14372  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-30 
確定日 2020-03-13 
事件の表示 特願2014-57315「写真撮影編集装置、サーバ、制御プログラム、および記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月8日出願公開、特開2015-179221〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は,平成26年3月20日の出願であって,平成29年12月8日付けの拒絶理由の通知に対して平成30年2月19日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが,同年7月17日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がなされ,その謄本は同年7月31日に請求人に送達された。
これに対し,同年10月30日に拒絶査定不服審判が請求され,それと同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 当審の判断
1 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成30年10月30日に提出された手続補正書における,特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるべきものであり,その記載は次のとおりである。
なお,平成30年10月30日に提出された手続補正書における,特許請求の範囲の請求項1は,拒絶査定の対象となった平成30年2月19日に提出された手続補正書における,特許請求の範囲の請求項2と,実質的に同じ内容である。
「【請求項1】
ユーザを被写体とする撮影で得られた撮影画像または該撮影画像を編集した編集画像である画像データを,画像データを管理する画像管理サービスを提供するサーバに送信する写真撮影編集装置であって,
少なくとも写真を撮影し,編集する工程を含むゲームを上記写真撮影編集装置で提供するゲーム提供手段と,
ユーザが上記画像管理サービスの会員であるか否かを認証するためのユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と,
上記ユーザ情報取得手段が取得した上記ユーザ情報を用いて行われた認証の結果を取得する認証結果取得手段と,
ユーザ端末に表示された,上記ユーザ情報を画像パターンとして示す符号を撮影するカメラと,を備え,
上記符号は,上記サーバにて,上記ユーザが画像管理サービスを利用するための認証を受けていることを示す認証情報から生成され,上記ユーザ端末に対して発行されたものであり,
上記ユーザ情報取得手段は,上記カメラが撮影した上記符号から,上記符号が示す上記ユーザ情報を取得し,
上記認証結果取得手段は,上記認証結果として,上記ユーザ情報が上記認証情報と対応しているか否かを判定した結果を取得し,
上記ゲーム提供手段は,上記認証結果取得手段が取得した上記認証の結果に応じて,上記写真撮影編集装置で提供する上記ゲームにおいて上記ユーザに適用されるオプションを決定することを特徴とする写真撮影編集装置。」

2 引用文献に記載された事項
(1)引用文献1
原査定の拒絶理由に引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である特開2013-25411号公報(以下「引用文献1」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は,当審で付した。他の下線についても同じ。)
ア「【0031】
[写真シール機の外観構成]
図1は,本発明の一実施形態に係る写真シール機1の外観の構成例を示す斜視図である。写真シール機1は,撮影や編集等の作業を利用者にゲームとして行わせ,撮影画像や編集済み画像を提供する代わりに利用者より代金を受け取るゲーム機である。写真シール機1はゲームセンタなどの店舗に設置される。利用者は1人であることもあるし,複数人であることもある。
【0032】
写真シール機1が提供するゲームで遊ぶ利用者は,代金を投入し,自身が被写体となって撮影を行い,撮影によって得られた撮影画像の中から選択した編集対象の画像に対して,手書きの線画やスタンプ画像を合成する編集機能を用いて編集を行うことにより,撮影画像を彩り豊かな画像にする。利用者は,編集済みの画像が印刷されたシール紙を受け取って一連のゲームを終了させることになる。
【0033】
図1に示すように,写真シール機1は,主に,撮影ユニット11,編集部12,および事後接客部13から構成される。撮影ユニット11と編集部12が接した状態で設置され,編集部12と事後接客部13が接した状態で設置される。」

イ「【0072】
制御部201はCPU(Central Processing Unit)などよりなり,ROM(Read Only Memory)206や記憶部202に記憶されているプログラムを実行し,写真シール機1の全体の動作を制御する。制御部201には,記憶部202,通信部203,ドライブ204,ROM206,RAM(RandomAccessMemory)207が接続される。制御部201には,撮影部208,編集部209,事後接客部210,および印刷部211の各構成も接続される。
【0073】
記憶部202は,ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体からなり,制御部201から供給された各種の設定情報を記憶する。記憶部202に記憶されている情報は制御部201により適宜読み出される。
【0074】
通信部203はインターネットなどのネットワークのインタフェースであり,制御部201による制御に従って外部の装置と通信を行う。ドライブ204には,光ディスクや半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア205が適宜装着される。ドライブ204によりリムーバブルメディア205から読み出されたコンピュータプログラムやデータは,制御部201に供給され,記憶部202に記憶されたり,インストールされたりする。」

ウ「【0166】
[非接触型ICを利用した認証処理について]
次に,非接触型ICを利用した認証処理について説明する。図22は,非接触型ICを利用した認証処理を行う場合の写真シール機1の構成を示す図である。非接触型ICには,非接触型カードや,非接触型タグも含み,非接触で通信を行い,データの授受を行える物が含まれる。図22に示した写真シール機1’と,図8に示した写真シール機1を比較するに,図22に示した写真シール機1’は,図8に示した写真シール機1に非接触型ICリーダ/ライタ部801と非接触型ICリーダ/ライタ部802が追加された構成とされている。
【0167】
非接触型ICリーダ/ライタ部801は,撮影部208に追加され,非接触型ICリーダ/ライタ部802は,編集部209Aに追加されている。なお図示はしていないが,編集部209Bにも,非接触型ICリーダ/ライタ部は,追加されている。事後接客部210には,図8に示した写真シール機1においても非接触型ICリーダ/ライタ部163を備えており,図22に示した写真シール機1’においても同様に,非接触型ICリーダ/ライタ部163を備えている。非接触型ICは,例えば,携帯電話機などの端末に組み込まれているため,携帯電話機を用いて認証処理ができる。
【0168】
このように,撮影空間,編集空間,事後接客空間(印刷空間)のそれぞれの空間に,非接触型ICリーダ/ライタを備えることで,各空間に備えられている非接触型ICリーダ/ライタで,認証処理を行うことができる。利用者は,各空間に備えられている非接触型ICリーダ/ライタに,自己の非接触型ICをかざすだけで,認証処理が行われる。このように非接触型ICリーダ/ライタに,自己の非接触型ICをかざすという行為だけで,認証処理が実行されるが,利用者にとっては,認証処理のために,そのような行為をしなければならないとなると,煩わしいなど感じる可能性がある。
【0169】
そこで,携帯電話機などの非接触型ICが組み込まれている端末を非接触型ICリーダ/ライタにかざすことで認証処理を行った利用者に対しては,プレミアム画像として高画質な画像を提供したり,特別な編集用ツールを提供したり,編集作業の時間を通常よりも長くするなど,特典を提供するようにする。そのような特典があることを,上述した実施の形態と同じく,メッセージ表示部にメッセージとして表示することで,利用者に認識させる。利用者は,そのような特典を得るために,非接触型ICを,各空間に設置された非接触型ICリーダ/ライタにかざすようになる。
【0170】
このような場合も,基本的な処理の流れは図10に示したフローチャートの処理と同様に行われる。ここでは,認証に係る処理についてのみ,再度図10のフローチャートを参照して説明を加える。ステップS13において,認証用の情報の入力が受け付けられるが,この処理は,非接触型ICリーダ/ライタ部801に,利用者の非接触型ICがかざされること(公報においては「かざすこと」と記載されているが,当審で誤記と認めて上記の通りとした。)で行われる。そして,そのような非接触型ICがかざされるという行為が行われることで,認証用の情報が入力されたか,または,所定の時間が経過したかが,ステップS14において判断される。
【0171】
撮影空間で,非接触型ICが非接触型ICリーダ/ライタ部801にかざされることで,入力された認証用の情報(携帯端末IDとする)は,記憶され,以降の認証処理のときに用いられる。
【0172】
ステップS16において,編集空間での認証処理が実行されるが,この処理も,非接触型ICリーダ/ライタ部802に,利用者の非接触型ICがかざされることで行われる。そして,そのような非接触型ICがかざされることで,携帯端末IDが入力された場合,その携帯端末IDと,記憶されている携帯端末IDが比較され,一致すれば,認証OKと判断され,一致していなければ,認証NGと判断される。このようにして,撮影空間で入力された非接触型ICからの情報で,編集空間における認証処理が実行される。
【0173】
ステップS19において,事後接客空間(印刷空間)での認証処理が実行されるが,この処理も,非接触型ICリーダ/ライタ163に,利用者の非接触型ICがかざされることで行われる。そして,そのような非接触型ICがかざされることで,携帯端末IDが入力された場合,その携帯端末IDと,記憶されている携帯端末IDが比較され,一致すれば,認証OKと判断され,一致していなければ,認証NGと判断される。このようにして,撮影空間で入力された非接触型ICからの情報で,事後接客空間における認証処理が実行される。
【0174】
なお,携帯端末IDからサイトの会員であるか否かを判断し,会員である場合には,プレミアム画像などの提供が行われるようにしても良い。サイトの会員とは,写真シール機1で撮影した画像や編集した画像を,携帯電話機でアクセスし,見ることができるサイトの会員である。会員となることで受けられるサービスなどは種々あるが,ここではその説明は省略する。
【0175】
サイトのサーバ(不図示)には,会員の情報が管理されており,その情報の一部として,携帯端末IDがある。例えば,非接触型ICが非接触型ICリーダ/ライタ部801にかざされ,携帯端末IDが入力されたとき,通信部203を介して,サーバ(不図示)にアクセスし,その入力された携帯端末IDがサーバに登録されているか否かを判断することで,会員であるか否かを判断する。
【0176】
またサーバにアクセスすることで,会員であるか否かを判断するようにした場合,サーバにアクセスすることで認証処理が行われるようにしても良い。すなわち,写真シール機1で携帯端末IDが取得された場合,通信部203を介してサーバにその携帯端末IDが送信され,サーバ側でその携帯端末IDを記憶したり,記憶されている携帯端末IDと一致しているか否かを判断して会員であるか否かを判断したりし,その結果を,写真シール機1に返信するようにしても良い。
【0177】
また,会員である場合,会員番号など,利用者に割り当てられた識別情報がある。そのような識別情報が,認証用の情報として用いられるようにしても良い。例えば,ステップS13の処理として,撮影空間での認証用の情報の入力が受け付けられるが,この認証用の情報が,会員毎に割り当てられた識別情報とされる。
【0178】
撮影の前または後に,識別情報が入力される。その後,編集空間と事後接客空間においても,識別情報の入力が行われることで認証処理が行われる。識別情報などが入力されることで認証処理が行われた場合,サイトを介して提供されるプレミアム画像として高画質の画像や,編集画像と未編集画像の両方を提供するといった特典が利用者に付与されるようにする。このようにすることで,識別情報を入力するような認証であっても,利用者は,特典を受けるための入力を行うだけであり,ゲームを楽しむことができる。

引用文献1の上記記載事項を含め,引用文献1には以下の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「利用者が,代金を投入し,自身が被写体となって撮影を行い,撮影によって得られた撮影画像の中から選択した編集対象の画像に対して,手書きの線画やスタンプ画像を合成する編集機能を用いて編集を行い,編集済みの画像が印刷されたシール紙を受け取るという一連のゲームを提供する写真シール機であって,
写真シール機は,主に,撮影ユニット,編集部,および事後接客部から構成され,
写真シール機の制御部には,記憶部,通信部,ドライブ,ROM,RAM,撮影部,編集部,事後接客部,および印刷部が接続され,
通信部はインターネットなどのネットワークのインタフェースであり,制御部による制御に従って外部の装置と通信を行うものであり,
撮影部,編集部,および事後接客部には,携帯電話機などの非接触型ICが組み込まれている端末をかざすことで認証処理を行う非接触型ICリーダ/ライタ部が設けられ,
サイトのサーバには,一部を携帯端末IDとした会員の情報が管理されており,
携帯電話機などの非接触型ICが組み込まれている端末が,非接触型ICリーダ/ライタ部にかざされ,認証用の情報としての携帯端末IDが入力されたとき,つまり,写真シール機で携帯端末IDが取得された場合,通信部を介してサーバにその携帯端末IDが送信され,サーバ側でその携帯端末IDを記憶したり,記憶されている携帯端末IDと一致しているか否かを判断して会員であるか否かを判断したりし,その結果を,写真シール機に返信し,
会員である場合には,写真シール機で撮影した画像や編集した画像を,携帯電話機でアクセスし,見ることができ,
また,会員である場合,会員番号など,利用者に割り当てられた識別情報があって,そのような識別情報が,認証用の情報として用いられるようにしても良く,
撮影空間,編集空間,及び事後接客空間において,識別情報の入力が行われることで認証処理が行われた場合,サイトを介して提供されるプレミアム画像として高画質の画像や,編集画像と未編集画像の両方を提供するといった特典が利用者に付与されるようにする写真シール機。」

(2)引用文献2
原査定の拒絶理由に引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-242014号公報(以下「引用文献2」という。)には,図面とともに,以下の事項が記載されている。(下線は,当審で付した。他の下線についても同じ。)
ア 「【0053】
本実施の形態に係る写真撮影プリント装置1は,被写体であるユーザの写真を撮影する機能,撮影した写真に対して落書きなどの編集をユーザに行わせる機能,編集された画像をプリントする機能を少なくとも有している。なお,以下では,撮影した画像に画像編集処理において落書きする場合について説明するが,この画像編集処理では落書き以外の画像編集全般の処理が可能である。また,写真撮影プリント装置1は,任意のモードについて適当なハードウェア構成およびソフトウェア構成に変更できる。」

イ 「【0066】
また,図3に示した装置本体11では,撮影部屋側に,ユーザ認証装置24(図1)としてIDストラップ発行機24a,IDストラップリーダ/ライタ24bが設けられている。また,図4に示すように,IDストラップ発行機24a,IDストラップリーダ/ライタ24bの代わりに,カードの発行機能を備えたカードリーダ/ライタ24cをユーザ認証装置24として設けてもよい。
【0067】
写真撮影プリント装置1は,ユーザIDを記録したバーコードシールや磁気カード等のユーザID記憶媒体25を利用して,上記ユーザ認証装置24によりユーザを識別する。具体的には,ユーザ認証装置24がユーザID記憶媒体25から読み取ったユーザID(ユーザ識別情報)を,ユーザ情報処理部51(図1)が通信インターフェイス35(図1)よりインターネット等の通信網Nを介してユーザ情報管理用サーバ100に照会し,該当するユーザのユーザ情報(後述)を取得する(図5)。なお,このようにユーザID記憶媒体25にはユーザID等の必要最小限のデータのみを記録することで,悪質なユーザによる記録データの改ざん等の不正行為を防止できる。もちろん,ユーザの利用履歴などさらに多くのデータをユーザID記憶媒体25に記録することも可能である。
【0068】
ユーザID記憶媒体(ユーザ識別媒体)25には,磁気カード,ICカード,バーコード印刷カード等が利用できる。また,その形態も様々なものが可能である。例えば,ユーザID記憶媒体25を携帯電話用ストラップと一体に設けることもできる。
【0069】
例えば,図6に示すように,ユーザID記憶媒体25は,携帯電話用ストラップに取り付けられるプレート状のIDタグ61としてもよい。この場合,IDストラップ発行機24aが,生IDタグ付きストラップにユーザID,会員番号(=装置番号+ユーザID),ニックネームを印字してIDタグ61を新規発行する。そして,2回目以降の利用の際,IDストラップリーダ/ライタ24bがIDタグ61を読み取ることで,ユーザを認証する。
【0070】
また,携帯電話用ストラップの形状として,35ミリフィルムなどの模型が考えられる(図7)。なお,このフィルムの模型をユーザが装置本体11の所定の場所にセットすることで,プレイが開始するように制御してもよい。また,携帯電話用ストラップに,写真撮影プリント装置1の商品名・ロゴマーク,ユーザのニックネームなどを印刷した写真撮影プリント装置1を模した模型を取り付ければ,ユーザの利便性,プレミアム性,コレクターズアイテムとしてのアピール効果が絶大である。
【0071】
また,図8に示すように,ユーザID記憶媒体25は,シール紙の余白に印字されてもよい。この場合,ユーザはバーコードを切り抜いて携帯電話の裏側などに貼り付け,写真撮影プリント装置1のバーコードリーダで読み取らせる。このように,ユーザIDをシール紙に印刷すれば,磁気カードリーダライタ等を設ける必要がないため,コストを削減できる。なお,ユーザにユーザIDをタッチパネル21や操作ボタン14を用いて入力させてもよい。」

ウ 「【0111】
コインの投入によりプレイを開始すると,ユーザ情報取得部51aが,ユーザID記憶媒体25(IDストラップ等)を持っているユーザにそれをユーザ認証装置24に装着させ,ユーザを識別する(S11)。例えば,1台の写真撮影プリント装置1で同時に3人のユーザがプレイする場合には,ユーザ認証の処理を順次3回行うこととなる。
【0112】
次に,ユーザID記憶媒体25が利用されている場合(S12でYES),ユーザ情報取得部51aが,ユーザ情報管理用サーバ100からユーザ情報を取得する(S13(利用回数取得処理))。そして,利用回数判定部52dが,ユーザ情報に含まれている利用回数を判定し,特典サービスの提供の可否を決定する(S14(動作制御処理))。なお,利用回数の判定は,そのプレイに参加しているユーザのうち最も利用回数の多いユーザの利用回数をもって行ってもよい。例えば,3人のグループのメンバーの利用回数がそれぞれ5回,3回,2回である場合,利用回数を5回と判定する。」

エ 「【0120】
次に,図12を参照しながら,上記ユーザ情報の登録・更新処理(S19)について詳細に説明する。
【0121】
まず,ユーザ情報記録部51bの制御により,ユーザID記憶媒体25を利用していないユーザに入会手続きをするか否かを確認する(S91,S92)。ユーザが入会手続きを希望した場合(S92でYES),『100円を入れてね』と表示して,ユーザID記憶媒体25の料金を請求する(S93)。料金が投入されると(S94でYES),ユーザ情報の入力を求める(S95)。なお,ユーザ情報としては,例えば,ニックネーム,好きな食べ物等が挙げられる。
【0122】
ユーザ情報の入力が完了すると(S96でYES),会員番号を採番して発行し(S97),IDストラップ発行機24a等によりユーザID記憶媒体25を発行する(S98)。
【0123】
その後,利用回数を更新し(S99),ユーザ情報をユーザ情報管理用サーバ100に登録する(S100)。なお,ニックネームの入力は,ユーザがユーザID記憶媒体25を利用していないことが識別できた時点で行ってもよい。また,ユーザID記憶媒体25を利用しているユーザの場合には,ステップS99,S100のみを行う。
【0124】
このように,写真撮影プリント装置1では,新規ユーザには,シールの印刷処理の待ち時間に簡単なアンケートを実施して,ニックネーム,誕生日,血液型,好きな食べ物・動物,スポーツ,タレントなどのユーザ情報を取得する。このユーザ情報を,写真撮影プリント装置1ごとにユニークに採番した会員番号とともに,通信機能を用いてユーザ情報管理用サーバ100に転送する。なお,ユーザIDは,すべてのユーザにユニークにユーザ情報記録部51b(または,ユーザ情報管理用サーバ100)によって割り当てられる。また,ユーザID記憶媒体25には,ユーザIDの他には会員番号とニックネームのみを記録しておく。ユーザ情報管理用サーバ100にユーザ情報を格納することにより,他の写真撮影プリント装置1でもユーザ情報が利用できる。」

オ 「【0126】
2回目以降のリピートユーザは,コイン投入前または直後に,ユーザID記憶媒体25によりユーザ認証を行う。そして,写真撮影プリント装置1に蓄積されたユーザ情報を検索し,ナレーションに会員のニックネームを織り込んだり,適宜ニックネームで呼びかけたりする。
【0127】
次に,図13を参照しながら,シナリオをユーザが自作する処理について説明する。
【0128】
プレイを開始すると,ユーザ情報取得部51aが,ユーザID記憶媒体25(IDストラップ等)を持っているユーザにそれをユーザ認証装置24に装着させ,ユーザを識別する(S11)。
【0129】
次に,ユーザID記憶媒体25が利用されている場合(S12でYES),ユーザ情報取得部51aが,ユーザ情報管理用サーバ100からユーザ情報を取得する(S13)。そして,利用回数判定部52dが,ユーザ情報に含まれている利用回数を判定し,特典サービスの提供の可否を決定する(S21)。例えば,利用回数が5回以上の場合(S21(動作制御処理)でYES),ユーザにシナリオを自作するかどうかを選択させ(S22),希望する場合には,自作シナリオ設定処理を実行する(S23(自作シナリオ設定処理))。そして,シナリオのメニュー表示・選択処理では,通常モード(美白,ナチュラル,グラビア,ホラー)とともに,自作シナリオ1を選択可能とする(S24B)。
【0130】
一方,利用回数が5回未満の場合(S21でNO),特典サービスであるシナリオの自作を提供せず,シナリオのメニュー表示・選択処理では,通常モード(美白,ナチュラル,グラビア,ホラー)のみを選択可能とする(S24A)。また,その後,選択されたシナリオに従って,撮影処理部52aの制御による撮影処理(S16)と,落書処理部52bの制御による落書処理(S17)と,印刷処理(S18)とを順に実行する。」

引用文献2の上記記載事項を含め,引用文献2には以下の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「被写体であるユーザの写真を撮影する機能,撮影した写真に対して落書きなどの編集をユーザに行わせる機能,編集された画像をプリントする機能を有している写真撮影プリント装置において,
写真撮影プリント装置は,ユーザIDを記録したバーコードシールや磁気カード等のユーザID記憶媒体を利用して,ユーザ認証装置によりユーザを識別し,読み取ったユーザIDを,ユーザ情報処理部が通信インターフェイスよりインターネット等の通信網を介してユーザ情報管理用サーバに照会し,該当するユーザのユーザ情報を取得するにあたり,バーコードの場合,ユーザはバーコードを切り抜いて携帯電話の裏側などに貼り付け,写真撮影プリント装置のバーコードリーダで読み取らせるものであって,
ユーザIDは,すべてのユーザにユニークにユーザ情報管理用サーバによって割り当てられており,
ユーザ情報記録部は,ユーザID記憶媒体を利用していないユーザに入会手続きをするか否かを確認し,ユーザが入会手続きを希望した場合,ユーザ情報の入力を求め,ユーザ情報の入力が完了すると,会員番号を採番して発行し,ユーザID記憶媒体を発行するものであって,
プレイを開始すると,ユーザ情報取得部が,ユーザID記憶媒体を持っているユーザにそれをユーザ認証装置に装着させ,ユーザを識別し,ユーザ情報取得部が,ユーザ情報管理用サーバからユーザ情報を取得し,利用回数判定部が,ユーザ情報に含まれている利用回数を判定し,特典サービスの提供の可否を決定し,
利用回数が5回以上の場合,ユーザにシナリオを自作するかどうかを選択させ,希望する場合には,自作シナリオ設定処理を実行させ,シナリオのメニュー表示・選択処理では,通常モード(美白,ナチュラル,グラビア,ホラー)とともに,自作シナリオを選択可能とし,
利用回数が5回未満の場合,特典サービスであるシナリオの自作を提供せず,シナリオのメニュー表示・選択処理では,通常モード(美白,ナチュラル,グラビア,ホラー)のみを選択可能とする写真撮影プリント装置。」

3 対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「利用者」は,本願発明の「ユーザ」に相当する。
イ 引用発明1の「利用者が,代金を投入し,自身が被写体となって撮影を行い,撮影によって得られた撮影画像」は,本願発明の「ユーザを被写体とする撮影で得られた撮影画像」に相当する。
ウ 引用発明1の「編集済みの画像」は,本願発明の「撮影画像を編集した編集画像」に相当する。
エ 引用発明1の「未編集画像」は,未だ編集されていない画像のことであるから,本願発明の「(ユーザを被写体とする撮影で得られた)撮影画像」に相当することは明らかである。
オ 引用発明1の「編集画像と未編集画像」は,会員にはサイトを介して提供されるものであるから,画像データとして取り扱われていることは明らかであり,その画像データは,何らかの手段により管理され,該何らかの手段に送信されることも明らかであるから,本願発明の「撮影画像または該撮影画像を編集した編集画像」と引用発明1の「編集画像と未編集画像」とは,「画像データを管理する画像管理サービスを提供する手段」に送信されるものである点で共通する。
カ 引用発明1の「写真シール機」は,本願発明の「写真撮影編集装置」に相当する。
キ 引用発明1の「写真シール機」は,「利用者が,代金を投入し,自身が被写体となって撮影を行い,撮影によって得られた撮影画像の中から選択した編集対象の画像に対して,手書きの線画やスタンプ画像を合成する編集機能を用いて編集を行い,編集済みの画像が印刷されたシール紙を受け取るという一連のゲームを提供」するものであるから,本願発明の「ゲーム」が,「少なくとも写真を撮影し,編集する工程を含む」ものであることを踏まえると,引用発明1の「写真シール機」は,本願発明の「ゲーム提供手段」に相当する構成(手段)を有することは自明である。
ク 引用発明1の「携帯端末ID」は,「サイトのサーバに管理されている会員の情報の一部」であり,「携帯電話機などの非接触型ICが組み込まれている端末が,非接触型ICリーダ/ライタ部にかざされ,認証用の情報としての携帯端末IDが入力されたとき,つまり,写真シール機で携帯端末IDが取得された場合,通信部を介してサーバにその携帯端末IDが送信され,サーバ側でその携帯端末IDを記憶したり,記憶されている携帯端末IDと一致しているか否かを判断して会員であるか否かを判断したりし,その結果を,写真シール機に返信」するものであるから,引用発明1の「携帯端末ID」は,本願発明の「(画像管理サービスの会員であるか否かを認証するための)ユーザ情報」に相当する。
そして,引用発明1において,写真シール機が,利用者が会員であるか否かの認証用の情報として「携帯端末ID」を,取得するのであるから,引用発明1の写真シール機において,ユーザが画像管理サービスの会員であるか否かを認証するためのユーザ情報を取得する,本願発明の「ユーザ情報取得手段」に相当する構成(手段)が備えられていることは自明である。
ケ 引用発明1は,「写真シール機で携帯端末IDが取得された場合,通信部を介してサーバにその携帯端末IDが送信され,サーバ側でその携帯端末IDを記憶したり,記憶されている携帯端末IDと一致しているか否かを判断して会員であるか否かを判断したりし,その結果を,写真シール機に返信」されるものであるから,引用発明1の「写真シール機」は,本願発明の「認証結果取得手段」に相当する構成(手段)を有することは自明であり,本願発明と同様に,「認証結果として,ユーザ情報が認証情報と対応しているか否かを判定した結果を取得している」といえる。

以上のことから,両者は,
〈一致点〉
「ユーザを被写体とする撮影で得られた撮影画像または該撮影画像を編集した編集画像である画像データを,画像データを管理する画像管理サービスを提供する手段に送信する写真撮影編集装置であって,
少なくとも写真を撮影し,編集する工程を含むゲームを上記写真撮影編集装置で提供するゲーム提供手段と,
ユーザが上記画像管理サービスの会員であるか否かを認証するためのユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と,
上記ユーザ情報取得手段が取得した上記ユーザ情報を用いて行われた認証の結果を取得する認証結果取得手段と,
上記認証結果取得手段は,上記認証結果として,上記ユーザ情報が上記認証情報と対応しているか否かを判定した結果を取得する写真撮影編集装置。」
である点で一致し,以下の点で相違している。
〈相違点〉
相違点1
本願発明の「ユーザ情報」は,「ユーザ端末に表示された」,「画像パターンとして示す符号」であるのに対して,引用発明1の「会員の情報」は,「携帯電話機などの非接触型ICが組み込まれている端末」の「携帯端末ID」である点。

相違点2
ユーザ情報取得手段に関して,本願発明は,「カメラが撮影した符号から,上記符号が示す上記ユーザ情報」を取得する手段であるのに対して,引用発明1は,「非接触型ICリーダ/ライタ部にかざされた,携帯電話機などの非接触型ICが組み込まれている端末から,携帯端末ID」を取得する手段である点。

相違点3
ユーザ情報に関して,本願発明のユーザ情報である「符号」は,「サーバにて,ユーザが画像管理サービスを利用するための認証を受けていることを示す認証情報から生成され,ユーザ端末に対して発行」されたものであるのに対して,引用発明1の会員の情報である「携帯端末ID」は,そのようなものではない点。

相違点4
ユーザに提供されるゲームにおける会員向けの特典に関して,本願発明は「認証結果取得手段が取得した認証の結果に応じて,写真撮影編集装置で提供するゲームにおいてユーザに適用されるオプションを決定」するものであるのに対して,引用発明1において「会員である場合には,写真シール機で撮影した画像や編集した画像を,携帯電話機でアクセスし,見る」ことは行っているものの,「写真撮影編集装置で提供するゲームにおいてユーザに適用されるオプションを決定」しているかについては不明な点

4 相違点についての検討
ア 各相違点についての検討に先立ち,本願発明と引用発明2とを対比する。
(ア)引用発明2の「ユーザID」は,本願発明の「ユーザ情報」に相当する。
(イ)引用発明2の「(ユーザIDを記録したバーコードシールの)バーコード」と,本願発明の「符号」とは,ユーザ情報を画像パターンとして示す符号である点で共通し,また,引用発明2の「(ユーザIDを記録した)バーコードシール」は,携帯電話の裏側などに貼り付け,写真撮影プリント装置のバーコードリーダで読み取らせるものであるから,ユーザ端末に表示される点でも共通する。
(ウ)引用発明2の「ユーザ情報取得部」は,ユーザID記憶媒体を持っているユーザにそれをユーザ認証装置に装着させ,ユーザを識別するためのものであって,具体的には「バーコードを切り抜いて携帯電話の裏側などに貼り付け,写真撮影プリント装置のバーコードリーダで読み取らせる」ものである。
また,本願発明の「ユーザ情報取得手段」に関して,本願の発明の詳細な説明の段落【0135】の「コード特定部316Aは,認証制御部316がサブカメラ91Aから受信した携帯端末6の画像から二次元コードを抽出し,当該二次元コードをデコードすることにより,二次元コードが示す認証コード(ユーザ情報)を特定する」,段落【0153】の「認証コードは,二次元コード,バーコード自体であってもよいし,会員IDおよびパスワードを示す情報であってもよい」と記載されていることを踏まえると,本願発明の「ユーザ情報取得手段」と引用発明2の「ユーザ情報取得部」とは,「符号が示すユーザ情報を取得」する手段である点で共通する。
(エ)引用発明2の「ユーザ情報管理用サーバ」は,ユーザが入会手続きを希望した場合,ユーザ情報の入力を求め,ユーザ情報の入力が完了したユーザに対してユーザIDを割り当てるものであるから,本願発明の「サーバ」と引用発明2の「ユーザ情報管理用サーバ」とは,「(ユーザ情報を画像パターンとして示す)符号」を,「ユーザが画像管理サービスを利用するための認証を受けていることを示す認証情報から生成」して,「ユーザに対して発行する」点で共通する。
(オ)以上のことを踏まえると,引用発明2には,本願発明の「画像パターンとして示す符号」である「ユーザ情報」,「符号が示すユーザ情報を取得する」手段,「符号」をユーザが画像管理サービスを利用するための認証を受けていることを示す認証情報から生成し,該符号をユーザに対して発行する「サーバ」に相当する構成が記載されているといえる。

イ 相違点1について
上記「(4) ア (イ)」で検討したように,引用発明2の「(ユーザIDを記録したバーコードシールの)バーコード」は,ユーザ情報を画像パターンとして示した「符号」であり,バーコードを有するバーコードシールは携帯電話の裏側などに貼り付けられているから,ユーザ端末に表示されているといえる。
したがって,相違点1に係る本願発明の発明特定事項は,引用発明2に記載されている。
そして,引用発明1と引用発明2とは,ユーザが自身の写真を撮影し,その画像を加工編集してプリントを行う装置という技術分野に属する点,及び,そのような装置におけるユーザの認証のための情報の利用という内在する課題を有する点で共通するから,引用発明1の「ユーザ情報」に,引用発明2を適用して,相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。
なお,「ユーザ端末に表示された」が,携帯電話のようなユーザ端末の画面に符号が表示されることであるとしても,そのような技術は周知技術(以下,「周知技術1」という。)であって,当業者が適宜行う程度の設計的事項にすぎず,この場合であっても,引用発明1の「ユーザ情報」に,引用発明2及び周知技術1を適用して,相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。
周知技術1に関して,必要であれば以下の文献を参照されたい。
周知技術文献1:特開2008-65655号公報(特に段落【0058】ないし【0060】,【0072】ないし【0076】,【図6】,【図7】)
周知技術文献2:特開2003-22238号公報(特に段落【0078】ないし【0080】,【図10】,【図7】)
周知技術文献3:特開2002-333667号公報(特に段落【0108】ないし【0110】,【図14】)

ウ 相違点2について
上記「(4) ア (ウ)」で検討したように,引用発明2には,「符号が示すユーザ情報を取得」する手段である「ユーザ情報取得部」が記載されている。
そして,バーコードのような符号を読み取る具体的手段として,本願発明における「カメラ」も,引用発明2のような「バーコードリーダ」も,引用文献をあげるまでもない周知技術(以下,「周知技術2」という。)であって,そのいずれを採用するかについては,当業者が適宜選択する程度の設計的事項というべきものである。
そして,引用発明1と引用発明2とは,ユーザが自身の写真を撮影し,その画像を加工編集してプリントを行う装置という技術分野に属する点,及び,そのような装置におけるユーザの認証のための情報の取得と利用という内在する課題を有する点で共通するから,引用発明1の「ユーザ情報」に,引用発明2および周知技術2を適用して,相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

エ 相違点3について
上記「(4) ア (エ)」で検討したように,引用発明2の「ユーザID」は,「ユーザ情報管理用サーバ」が,ユーザが入会手続きを希望した場合,ユーザ情報の入力を求め,ユーザ情報の入力が完了したユーザに対してユーザIDを割り当てるものである。
上記「(4) ア (イ)」で検討したように,引用発明2の「ユーザID」は,「バーコードシール」に「バーコード」として記録されているものである。
つまり,引用発明2の「バーコード」は,「サーバにて,ユーザが画像管理サービスを利用するための認証を受けていることを示す認証情報から生成され,ユーザ端末に対して発行された符号」であるといえるから,相違点3に係る本願発明の発明特定事項は,引用発明2に記載されている。
したがって,相違点1に係る本願発明の発明特定事項は,引用発明2に記載されている。
そして,引用発明1と引用発明2とは,ユーザが自身の写真を撮影し,その画像を加工編集してプリントを行う装置という技術分野に属する点,及び,そのような装置におけるユーザの認証のための情報の発行という内在する課題を有する点で共通するから,引用発明1の「ユーザ情報」に,引用発明2を適用して,相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。
なお,「ユーザ端末に対して発行」が,携帯電話のようなユーザ端末の画面に符号が表示可能なように発行されることであるとしても,そのような技術は周知技術(以下,「周知技術3」という。)であって,当業者が適宜行う程度の設計的事項にすぎず,この場合であっても,引用発明1の「ユーザ情報」に,引用発明2及び周知技術3を適用して,相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。
周知技術3に関して,必要であれば以下の文献を参照されたい。
周知技術文献1:特開2008-65655号公報(特に段落【0058】ないし【0060】,【0072】ないし【0076】,【図6】,【図7】)
周知技術文献2:特開2003-22238号公報(特に段落【0078】ないし【0080】,【図10】,【図7】)
周知技術文献3:特開2002-333667号公報(特に段落【0108】ないし【0110】,【図14】)

オ 相違点4について
本願発明において,「上記認証結果取得手段は,上記認証結果として,上記ユーザ情報が上記認証情報と対応しているか否かを判定した結果を取得し」とある。
ここで,「認証情報」とは,ユーザが画像管理サービスを利用するための認証を受けていることを示す情報のことであるから,認証結果とは,ユーザ情報が上記認証情報と対応しているか否か,つまり,ユーザが,いわゆる「会員」であるか「非会員」であるかを示すものである。
そして,本願発明において「認証の結果に応じて,上記写真撮影編集装置で提供する上記ゲームにおいて上記ユーザに適用されるオプションを決定する」のであるから,たとえば,会員であるユーザに適用されるオプションを決定することが含まれる。
そして,引用発明1において「(利用者が)会員である場合には,写真シール機で撮影した画像や編集した画像を,携帯電話機でアクセスし,見ること」ができるのであるから,「会員であるユーザに適用されるオプションを決定」しているといえる。
したがって,相違点4に係る本願発明の発明特定事項は,引用発明1に記載されているから,相違点4は実質的な相違点ではない。

なお,相違点4に係る本願発明の発明特定事項である「認証結果取得手段が取得した認証の結果に応じて,写真撮影編集装置で提供するゲームにおいてユーザに適用されるオプションを決定」することが,本願の発明の詳細な説明の段落【0296】の「また,本実施形態に係る写真シール作成装置1は,ユーザ認証が成功したユーザの会員情報から当該ユーザの会員種別を判別し,ユーザの会員種別に応じて,写真シール作成ゲーム中の各工程において,ユーザが利用可能なオプションを決定してもよい。ここで,「オプション」とは,写真シール作成ゲームの各工程の少なくともいずれかにおいてユーザに適用されるサービス(サービスの質,量,および種類)である。より具体的には,「オプション」とは,例えば撮影回数,編集時間,あるいは編集内容などのゲームにおける設定のことである。」のことであると解釈した場合について,念のために検討する。
引用発明2には,利用回数によって特典サービスの提供の有無を決定しており,上述の本願の発明の詳細な説明の段落【0296】の解釈に基づく,相違点4に係る本願発明の発明特定事項が記載されているといえる。
そして,引用発明1と引用発明2とは,ユーザが自身の写真を撮影し,その画像を加工編集してプリントを行う装置という技術分野に属する点,及び,そのような装置におけるユーザの認証の結果の利用という内在する課題を有する点で共通するから,引用発明1の「特典」に,引用発明2を適用して,相違点4に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

カ 本願発明の作用効果について
本願発明の発明特定事項全体によって奏される作用効果も,引用発明1及び2,ならびに周知技術1ないし3から,当業者が予測しうる程度のものである。

5 小括
上記のとおり,本願発明は,引用発明1及び2,ならびに周知技術1ないし3から,当業者が容易に想到し得たものである。

第3 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明1及び2,ならびに周知技術1ないし3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-01-10 
結審通知日 2020-01-14 
審決日 2020-01-29 
出願番号 特願2014-57315(P2014-57315)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小倉 宏之  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 畑井 順一
吉村 尚
発明の名称 写真撮影編集装置、サーバ、制御プログラム、および記録媒体  
代理人 村上 尚  

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