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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1360887 |
審判番号 | 不服2019-5552 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-04-25 |
確定日 | 2020-03-13 |
事件の表示 | 特願2015- 56658「画像処理装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月 6日出願公開、特開2016-178451〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯及び本願発明 1 手続の経緯 本件出願は、平成27年3月19日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 平成30年 6月12日:拒絶理由の通知 平成30年 8月22日:意見書 平成31年 1月17日:拒絶査定 平成31年 1月29日:拒絶査定の謄本の送達 平成31年 4月25日:拒絶査定不服審判の請求 2 査定の概要 原査定の理由は、概略、次のとおりである。 [査定の理由] (1)(新規性)この出願の請求項1?3、6、7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記1の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (2)(進歩性)この出願の請求項1?7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.特開2013-31090号公報 2.特開2009-10758号公報(請求項4、5) 3 本願発明 本願の請求項1?7に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1?7に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 (本願発明) (A)複数の原稿を読み取ることにより得られるページ単位の画像データを処理する画像処理装置において、 (B)読み取られた原稿の枚数を計数する計数部、 (C)前記原稿から得られる画像データからページ番号を検出する検出部、及び (D)前記計数部が計数した原稿の枚数と、前記検出部が検出したページ番号より算出される原稿の枚数とを比較することにより、ページ抜けが発生しているか否かを判定する判定部 (A)を備えることを特徴とする画像処理装置。 ((A)?(D)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」?「構成要件D」という。) 第2 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明 1 引用文献の記載事項 原査定における拒絶の理由に引用された特開2013-31090号公報(以下「引用文献」という。)には、「画像読取装置、及び、読取制御プログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、原稿を一枚ずつ搬送して読み取る画像読取装置において原稿が重送されているか否かを判断する技術に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、ページ番号が表示されている複数枚の原稿を1枚ずつ読み取って画像データを生成し、生成した画像データから抽出したページ番号が不規則に増加または減少していたらページが欠落していると判断する画像読取装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。」 「【0004】 原稿が重なって搬送される重送が発生した場合はページが欠落するので、従来の画像読取装置によればページの欠落を判断することによって原稿が重送されているか否かを判断できる。 しかしながら、原稿には必ずしもページ番号が表記されているとは限らない。このため、従来の技術によると、原稿によっては重送されているか否かを判断できないという問題がある。 本明細書では、原稿が重送されているか否かをより確実に判断できる技術を開示する。」 「【0019】 <実施形態1> 本発明の実施形態1を図1ないし図13によって説明する。 (1)イメージスキャナの構成 図1は、実施形態1に係る画像読取装置としてのイメージスキャナ1の構成を簡略化して示す模式図である。ここでは等倍光学系を用いて原稿を読み取るCIS(Contact Image Sensor)方式のイメージスキャナを例に説明する。」 「【0025】 図2は、イメージスキャナ1の電気的構成を示すブロック図である。イメージスキャナ1は、制御部30、ASIC31、FBモータ32、FBモータ駆動回路33、ADFモータ34、ADFモータ駆動回路35、読取デバイス19、光源制御回路36、AFE(Analog Front End)37、原稿厚検出センサ24、操作部38、通信インタフェース39などを備えて構成されている。 【0026】 制御部30は、ROM30a、CPU30b、RAM30cを備えて構成されている。CPU30bは、ROM30aに記憶されている各種のプログラムを実行することによってイメージスキャナ1の各部を制御する。ROM30aにはCPU30bによって実行される読取制御プログラムや各種のデータなどが記憶されている。RAM30cはCPU30bが各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。」 「【0030】 (2)重送の判断基準 前述したようにADF14は積載トレイ15に積載されている原稿を一枚ずつ搬送するものであるが、原稿が重なって搬送される所謂重送が発生することもある。そこで、実施形態1に係る制御部30は、原稿が重送されているか否かを判断するための複数の判断基準であって原稿群の特徴ごとに用意されている判断基準の中から重送の判断に用いる判断基準を選択し、原稿が重送されているか否かをその選択した判断基準を用いて判断する。以下に判断基準の一例を示す。」 「【0032】 (判断基準2) 図4は、判断基準2を説明するための模式図である。判断基準2は、ページ番号が表記されている原稿とページ番号が表記されていない原稿とが混在しているという原稿群の特徴を想定して用意された重送の判断基準である。 図示する例では1枚目の原稿S1と3枚目の原稿S3とにはページ番号が表記されているが、2枚目の原稿S2にはページ番号が表記されていない。この場合、原稿が重送されていなくてもページ番号が連続していないことになるが、1枚目の原稿S1を読み取って生成された画像データから抽出されたページ番号「1」と、1枚目の原稿S1が読み取られた順番である「1」とが対応している。同様に、3枚目の原稿S3を読み取って生成された画像データから抽出されたページ番号「3」と、3枚目の原稿が読み取られた順番である「3」とが対応している。 そこで、判断基準2では、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していればページ番号が連続していなくても原稿が重送されていないと判断し、対応していなければ原稿が重送されていると判断する。 【0033】 なお、ページ番号は必ずしも1から始まらなくてよい。例えば、最初にページ番号が抽出された原稿が1枚目の原稿であり、そのページ番号が34ページであったとすると、次にページ番号が抽出された原稿が8枚目の原稿(+7枚目の原稿)であった場合、その8枚目の原稿から抽出されたページ番号が41(+7ページ)であれば、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していると判断してもよい。」 「【0053】 (5)原稿読取処理 図9は、原稿読取処理の流れを示すフローチャートである。本処理はユーザが操作部38で原稿の読み取りを指示すると開始される。 【0054】 S101では、読取制御プログラムを実行するCPU30b(以下、単に「CPU30b」という)は、イメージスキャナ1の各部を制御して1枚目の原稿を読み取らせる。ユーザが原稿の一番上にテンプレート原稿を載置した場合はテンプレート原稿が1枚目の原稿として読み取られることになる。 S102では、CPU30bは1枚目の原稿を読み取って生成された画像データを解析する。この解析では、ページ番号の抽出、原稿のサイズの検出、余白領域のサイズの検出、画像領域のサイズの検出、及び特定の文字列の認識が行われる。特定の文字列は、実施形態1の場合には「公開特許公報」、「週刊」、及び、「伝票」であり、これらの文字列は読取制御プログラムにハードコーディングされている。 【0055】 S103では、CPU30bはS102で「公開特許公報」、「週刊」、又は、「伝票」のいずれかの文字列を認識できたか否かを判定し、認識できた場合はS104に進み、認識できなかった場合はS105に進む。 S104では、CPU30bは原稿群5の一部が有している特徴を間接的に判断して判断基準を選択する「間接的な判断による選択処理」を実行する。 【0056】 S105では、CPU30bは原稿群5の一部が有している特徴を直接的に判断して判断基準を選択する「直接的な判断による選択処理」を実行する。 S106では、CPU30bは積載トレイ15に積載されている残りの原稿を読み取る残り原稿読取処理を実行して原稿読取処理を終了する。」 「【0060】 (5-2)直接的な判断による選択処理 図11は、直接的な判断による選択処理の流れを示すフローチャートである。 S301では、CPU30bはS102でページ番号を抽出できたか否かを判定し、抽出できた場合はS302に進み、抽出できなかった場合はS303に進む。 【0061】 S302では、CPU30bは、判断基準2を選択する。先述したようにページ番号が抽出できた場合は原稿群5が「ページ番号が表記されている原稿とページ番号が表記されていない原稿とが混在している」という特徴を有していると想定できる。このため、その特徴に対して用意された判断基準2が選択される。 S303では、CPU30bはイメージスキャナ1の各部を制御して2枚目の原稿を読み取らせる。ユーザが原稿の一番上にテンプレート原稿を2枚載置した場合は2枚目のテンプレート原稿が2枚目の原稿として読み取られることになる。」 「【0069】 (5-3)残り原稿読取処理 図13は、残り原稿読取処理の流れを示すフローチャートである。 S401では、CPU30bは積載トレイ15に積載されている原稿の読み取りが完了したか否かを判定し、完了していない場合はS402に進み、完了した場合はS407に進む。 【0070】 S402では、CPU30bはイメージスキャナ1の各部を制御して原稿を1枚読み取らせ、画像データを生成する。 S403では、CPU30bは生成した画像データを解析する。 この解析は選択した判断基準に応じて行われる。例えば、判断基準1や判断基準2を選択した場合はページ番号の抽出が行われ、判断基準3を選択した場合は原稿のサイズの検出が行われる。 【0071】 S404では、CPU30bはS403での解析結果を選択した判断基準に照らして原稿が重送されているか否かを判断し、原稿が重送されていると判断した場合はS405に進み、重送されていないと判断した場合はS401に戻る。S404は判断処理の一例である。 S405では、CPU30bは読み取りを中断するか否かを判断する。 具体的には、ユーザは重送と判断されたときに読み取りを中止するか否かを予め設定しておくことができ、CPU30bは中止するよう設定されていない場合はS406に進み、中止するよう設定されている場合は原稿の読み取りを中止してS408に進む。」 2 引用文献に記載された発明 段落【0001】によると、引用文献1に記載された「画像読取装置」は、「原稿を一枚ずつ搬送して読み取る」ものであり、段落【0025】、【0026】、【0019】によると、「画像読取装置」は、「各部を制御する制御部」を備えている。 段落【0030】によると、「制御部30は、原稿が重送されているか否かを判断するための複数の判断基準であって原稿群の特徴ごとに用意されている判断基準の中から重送の判断に用いる判断基準を選択し、原稿が重送されているか否かをその選択した判断基準を用いて判断する」ものであり、段落【0032】?【0033】には、判断基準2が記載されているから、判断基準2を用いて原稿が重送されているか否かを判断するものを引用発明として認定する。 段落【0032】によると、「判断基準2は、ページ番号が表記されている原稿とページ番号が表記されていない原稿とが混在しているという原稿群の特徴を想定して用意された重送の判断基準である」。 また、段落【0032】によると、「判断基準2は、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していればページ番号が連続していなくても原稿が重送されていないと判断し、対応していなければ原稿が重送されていると判断する」ものであり、段落【0033】によると、「例えば、最初にページ番号が抽出された原稿が1枚目の原稿であり、そのページ番号が34ページであったとすると、次にページ番号が抽出された原稿が8枚目の原稿(+7枚目の原稿)であった場合、その8枚目の原稿から抽出されたページ番号が41(+7ページ)であれば、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していると判断」する。 段落【0054】のS101によると、CPU30bは、「1枚目の原稿を読み取らせる」。ここで、段落【0026】によると、CPU30bは制御部30といい得る。 段落【0054】のS102によると、CPU30b(制御部30)は、「1枚目の原稿を読み取って生成された画像データを解析し、ページ番号の抽出を行う」。 段落【0060】のS301、段落【0061】のS302によると、CPU30b(制御部30)は、「ページ番号が抽出できた場合は、判断基準2を選択する」。 段落【0056】のS106によると、CPU30b(制御部30)は、「残りの原稿を読み取る処理を実行」する。 段落【0071】の残り原稿読取処理のS404によると、CPU30b(制御部30)は、「判断基準に照らして原稿が重送されているか否かを判断」する。ここでの判断基準は、判断基準2である。 以上によると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明) (a)原稿を一枚ずつ搬送して読み取る画像読取装置であって、 (b)前記画像読み取り装置は、各部を制御する制御部を備え、前記制御部は、 (b-1)1枚目の原稿を読み取らせ、 (b-2)1枚目の原稿を読み取って生成されたが画像データを解析し、ページ番号の抽出を行い、 (b-3)ページ番号を抽出できた場合は、判断基準2を選択し、 (b-4)残りの原稿を読み取る処理を実行し、 (b-5)前記残りの原稿を読み取る処理は、判断基準2に照らして原稿が重送されているか否かを判断するものであり、 (c-1)前記判断基準2は、ページ番号が表記されている原稿とページ番号が表記されていない原稿とが混在しているという原稿群の特徴を想定して用意された重送の判断基準であり、 (c-2)前記判断基準2は、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していればページ番号が連続していなくても原稿が重送されていないと判断し、対応していなければ原稿が重送されていると判断するものであり、 (d-1)例えば、最初にページ番号が抽出された原稿が1枚目の原稿であり、そのページ番号が34ページであったとすると、 (d-2)次にページ番号が抽出された原稿が8枚目の原稿(+7枚目の原稿)であった場合、 (d-3)その8枚目の原稿から抽出されたページ番号が41(+7ページ)であれば、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していると判断する、 (a)画像読取装置。 ((a)?(d-3)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a」?「構成d-3」という。) 第3 対比 1 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)構成要件Aについて 構成b-1の原稿を読み取ること、構成b-4の「原稿を読み取る処理」は、構成要件Aの「複数の原稿を読み取ることにより得られるページ単位の画像データを処理」することに相当し、引用発明の「画像読取装置」は、原稿を読み取って画像データを生成するから「画像処理装置」といえる。 したがって、構成要件Aと構成aとは、「複数の原稿を読み取ることにより得られるページ単位の画像データを処理する画像処理装置」として一致する。 (2)構成要件Bについて 構成c-2及び構成d-3の「当該原稿が読み取られた順番」は、制御部が原稿を読み取らせることで得ていることは明らかであり、構成d-1の「1枚目の原稿」、構成d-2及び構成d-3の「8枚目の原稿」も制御部が原稿を読み取らせることで得ていることは明らかであるから、引用発明は、「読み取られた原稿の枚数を計数する計数部」(構成要件B)を備えているといえる。 したがって、本願発明と引用発明とは、「読み取られた原稿の枚数を計数する計数部」を備えている点で一致する。 (3)構成要件Cについて 構成b-2の「原稿を読み取って生成された画像データを解析し、ページ番号を抽出」するから、引用発明は、「前記原稿から得られる画像データからページ番号を検出する検出部」(構成要件C)を備えているといえる。 したがって、本願発明と引用発明とは、「前記原稿から得られる画像データからページ番号を検出する検出部」を備えている点で一致する。 (4)構成要件Dについて 構成b-5における「原稿が重送されている」ことは、重送された原稿が読み取れないことになるから、「ページ抜け」になることといえる。 したがって、構成b-5は、「ページ抜けが発生している否かを判定」しているといえ、引用発明は、「ページ抜けが発生している否かを判定する判定部」を備えているといえる。 よって、本願発明と引用発明とは、「ページ抜けが発生している否かを判定する判定部」を備えている点で共通する。 しかしながら、構成要件Dにおいては、「前記計数部が計数した原稿の枚数と、前記検出部が検出したページ番号より算出される原稿の枚数とを比較することにより、」ページ抜けが発生しているか否かを判定するものであるのに対し、引用発明は、「ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していればページ番号が連続していなくても原稿が重送されていないと判断し、対応していなければ原稿が重送されていると判断するもの」(構成c-2)であり、「例えば、最初にページ番号が抽出された原稿が1枚目の原稿であり、そのページ番号が34ページであったとすると、次にページ番号が抽出された原稿が8枚目の原稿(+7枚目の原稿)であった場合、その8枚目の原稿から抽出されたページ番号が41(+7ページ)であれば、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していると判断する」(構成d-1?d-3)ものである点で相違する。 2 一致点、相違点 以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) (A)複数の原稿を読み取ることにより得られるページ単位の画像データを処理する画像処理装置において、 (B)読み取られた原稿の枚数を計数する計数部、 (C)前記原稿から得られる画像データからページ番号を検出する検出部、及び (D’)ページ抜けが発生しているか否かを判定する判定部 (A)を備えることを特徴とする画像処理装置。 (相違点) 「ページ抜けが発生しているか否かを判定する判定部」が、本願発明においては、「前記計数部が計数した原稿の枚数と、前記検出部が検出したページ番号より算出される原稿の枚数とを比較することにより」ページ抜けが発生しているか否かを判定しているのに対し、引用発明においては、「ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していればページ番号が連続していなくても原稿が重送されていないと判断し、対応していなければ原稿が重送されていると判断するものであり、例えば、最初にページ番号が抽出された原稿が1枚目の原稿であり、そのページ番号が34ページであったとすると、次にページ番号が抽出された原稿が8枚目の原稿(+7枚目の原稿)であった場合、その8枚目の原稿から抽出されたページ番号が41(+7ページ)であれば、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と当該原稿が読み取られた順番とが対応していると判断する」ものである点。 第4 判断 引用発明は、「ページ番号が表記されている原稿のページ番号」と「当該原稿が読み取られた順番」(「34ページ」と「1枚目の原稿」、「41ページ」と「8枚目の原稿」)とを用いて、対応しているか否かを判断しており、当該判断で比較する対象を「ページ番号が表記されている原稿のページ番号」(すなわち、8枚目の原稿から抽出されたページ番号が41であるか否か)としている。 ページ番号が表記されている原稿とページ番号が表記されていない原稿とが混在しているという原稿群において、重送されているか否かを判断するための比較する対象は、「ページ番号が表記されている原稿のページ番号」又は「当該原稿が読み取られた順番」のいずれかであるから、比較する対象を「当該原稿が読み取られた順番」とすることは当業者が適宜に選択し得ることである。 よって、引用発明において、比較する対象を「当該原稿が読み取られた順番」(すなわち、抽出されたページ番号が41である原稿が8枚目であるか否か)とし、「最初にページ番号が検出された原稿のページ番号」と「次にパージ番号が検出された原稿のページ番号」から算出した原稿の枚数と、検出した原稿の枚数との比較により、重送しているか否かを判断するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、当該「当該原稿が読み取られた順番」を比較対象としたものにおいて、「最初にページ番号が検出された原稿のページ番号」と「次にパージ番号が検出された原稿のページ番号」から算出した原稿の枚数は、「検出したページ番号により算出される原稿の枚数」といえる。 したがって、引用発明において、最初に抽出したページ番号と検出した枚数により算出したページ番号と、次に抽出したページ番号とが一致しているか否かを判断する代わりに、「計数した原稿の枚数と検出したページ番号より算出された原稿の枚数を比較することにより、ページの抜けが発生しているか否かを判定する」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 また、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。 請求人は、審判請求書において次のとおり主張している(以下「主張ア」、「主張イ」という。)。なお、主張における「引用文献1」は上記「引用文献」である。 ア 「引用文献1には、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と、当該原稿が読み取られた順番とが対応していなければ原稿が重送されていると判断する画像読取装置が開示されている(引用文献1の請求項3等を参照)。 すなわち、引用文献1は、原稿のページ番号と、原稿が読み取られた順番とが対応していなければ重送と判断する構成を開示しているに過ぎない。引用文献1は、計数部が計数した原稿の枚数と、ページ番号より算出される原稿の枚数とを比較することにより、ページ抜けが発生しているか否かを判定する構成を開示するものではなく、示唆するものでもない。」 イ 「引用文献1では、ページ番号が表記されている原稿のページ番号と、当該原稿が読み取られた順番とが対応していなければ原稿が重送されていると判断するのであるから、判断対象の原稿には連続したページ番号が付けられていることを前提としていることが明らかであり、連続したページ番号を有する原稿の中に、広告ページなどのページ番号を持たない原稿が挿入され、ページ番号と原稿の読取枚数とがずれるような原稿については全く想定されていない。よって、引用文献1からは、読み取られた原稿の枚数と、ページ番号より算出される原稿の枚数とを比較することにより、ページ抜けが発生しているか否かを判定するという着想は得られるはずもない。」 主張アについて検討すると、上記のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、請求人の主張は採用できない。 また、主張イについては、構成c-1にあるとおり、「ページ番号が表記されている原稿とページ番号が表記されていない原稿とが混在しているという原稿群」を想定しているのだから、「広告ページなどのページ番号を持たない原稿が挿入され、ページ番号と原稿の読取枚数とがずれるような原稿については全く想定されていない」とすることは妥当ではないから、請求人の主張は採用できない。 よって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易になし得たものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2020-01-09 |
結審通知日 | 2020-01-14 |
審決日 | 2020-01-27 |
出願番号 | 特願2015-56658(P2015-56658) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 粕谷 満成、梅本 達雄 |
特許庁審判長 |
千葉 輝久 |
特許庁審判官 |
小池 正彦 菊池 智紀 |
発明の名称 | 画像処理装置、画像形成装置、コンピュータプログラム及び記録媒体 |
代理人 | 河野 英仁 |
代理人 | 河野 登夫 |