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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05B |
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管理番号 | 1360956 |
審判番号 | 不服2019-6133 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-05-10 |
確定日 | 2020-04-07 |
事件の表示 | 特願2014-240408号「点灯回路および灯具システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年6月2日出願公開、特開2016-103367号、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年11月27日の出願であって、平成30年7月26日付けで拒絶理由が通知され、同年10月5日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成31年1月30日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、令和1年5月10日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 本願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1:国際公開第2005/093916号 2:特開昭61-224596号公報 3:特開平11-260569号公報 以下それぞれ「引用文献1ないし3」という。 第3 本願発明 本願の請求項1?7に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」?「本願発明7」という。)は、平成30年10月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 プロセッサからの点消灯指示信号に応じて、半導体光源を点灯または消灯させる点灯回路であって、 点灯を指示するときにパルス状であり、消灯を指示するとき一定レベルである前記点消灯指示信号を受け、前記点消灯指示信号がパルス状であるか否かを判定し、前記点消灯指示信号がパルス状である期間、アサートされ、一定レベルである期間、ネゲートされる判定信号を生成するパルス入力判定回路と、 前記判定信号がアサートされる間、前記点消灯指示信号のレベルにかかわらず前記半導体光源に駆動電流を供給し、前記判定信号がネゲートされるとき、前記半導体光源への前記駆動電流の供給を停止する駆動回路と、 を備えることを特徴とする点灯回路。 【請求項2】 前記パルス入力判定回路は、 キャパシタと、 前記点消灯指示信号のエッジに応答して前記キャパシタを充電または放電し、エッジが検出されないとき前記キャパシタを放電または充電する充放電回路と、 前記キャパシタの電圧と所定のしきい値電圧の比較結果にもとづいて、点灯指示か消灯指示かを判定する判定部と、 を含むことを特徴とする請求項1に記載の点灯回路。 【請求項3】 前記充放電回路は、 前記点消灯指示信号のエッジを検出するエッジ検出回路と、 前記エッジ検出回路の出力に応答して前記キャパシタに電流を供給する電流源と、 前記キャパシタを放電する放電経路と、 前記キャパシタの電圧が制御端子に入力された比較トランジスタと、 を含むことを特徴とする請求項2に記載の点灯回路。 【請求項4】 前記パルス入力判定回路は、そのトリガ入力に前記点消灯指示信号に応じたトリガ信号を受ける再トリガ可能単安定マルチバイブレータを含むことを特徴とする請求項1に記載の点灯回路。 【請求項5】 前記パルス入力判定回路は、 前記点消灯指示信号のエッジを検出するエッジ検出回路と、 そのトリガ入力に前記エッジ検出回路の出力に応じたトリガ信号を受ける再トリガ不可能単安定マルチバイブレータと、 前記再トリガ不可能単安定マルチバイブレータの後段に設けられたローパスフィルタと、 を含むことを特徴とする請求項1に記載の点灯回路。 【請求項6】 前記パルス入力判定回路は、 キャパシタと、 前記点消灯指示信号が第1レベルのとき前記キャパシタを充電し、前記点消灯指示信号が第2レベルのとき前記キャパシタを放電する充放電回路であって、充電速度および放電速度が、前記点消灯指示信号がパルス状であるときに、前記キャパシタの電圧が第1電圧と第2電圧の間に含まれるように規定されている充放電回路と、 前記キャパシタの電圧を、前記第1電圧および前記第2電圧と比較し、比較結果にもとづいて、点灯指示か消灯指示かを判定する判定部と、 を含むことを特徴とする請求項1に記載の点灯回路。 【請求項7】 右ランプと、 左ランプと、 を備え、 前記右ランプおよび前記左ランプはそれぞれ、 半導体光源と、 半導体光源の点灯・消灯を指示する点消灯指示信号を生成する灯具ECU(Electronic Control Unit)と、 前記半導体光源に電流を供給する点灯回路と、 を含み、 前記右ランプの前記点灯回路は、前記右ランプの前記灯具ECUが生成する前記点消灯指示信号と、前記左ランプの前記灯具ECUが生成する前記点消灯指示信号の両方が点灯を指示するときに、前記右ランプの前記半導体光源を点灯させ、 前記左ランプの前記点灯回路は、前記左ランプの前記灯具ECUが生成する前記点消灯指示信号と、前記右ランプの前記灯具ECUが生成する前記点消灯指示信号の両方が点灯を指示するときに、前記左ランプの前記半導体光源を点灯させることを特徴とする灯具システム。」 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付した。以下同様である。) (1a) 「発明が解決しょうとする課題 [0006] このように、デジタルカメラやデジタルビデオ等使用されるレーザ素子LDは、レーザ素子駆動装置101により非連続に(間欠的に)発光する。これは、被写体が人間である場合にその目への悪影響を防ぐためである。 [0007] ここで、本願発明者は、間欠制御信号SIG等に不具合が生じた場合にはレーザ素子が連続点灯状態となり得るのではないかと着目し、このような場合に対しても連続点灯状態にならない対策を講じるのが望ましいとした。また、前述のように、電源スイッチ125が導通した直後は、フィードバック増幅器112の出力電圧は接地レベルであるため、発光制御スイッチ111は最大電流を流すようにフルオンし、その結果、レーザ素子に突入電流が流れて発光強度が過度に大き、発光があり得るのではないかと着目し、このような場合に対しても発光強度が大きい発光にならない対策を講じるのが望ましいとした。 [0008] 本発明は係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、人間の目に悪影響を及ぼすレーザ素子の長時間発光(連続点灯)、あるいは発光強度が大きい発光を防ぎ、人間の目に対する安全性が高められるレーザ素子駆動装置を提供することにある。」 (1b) 「発明を実施するための最良の形態 [0016] 以下、本発明の最良の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の望ましい実施形態に係るレーザ素子駆動装置の回路図である。このレーザ素子駆動装置1は、背景技術におけるレーザ素子駆動装置101と同様に、流れる電流に応じて光強度が変わるレーザ素子LDと、レーザ素子LDが発する光を受け光強度に応じた電流を生成する(すなわちレーザ素子の光強度をモニタして電気信号に変換する)光検出素子PDと、光検出素子PDの電流を電圧に変換する電圧変換抵抗30と、その電圧を非反転入力端子に入力し(すなわち光検出素子の電気信号をフィードバックし)、レーザ素子LDの発光強度を設定するための発光強度設定電圧発生器24の出力電圧を反転入力端子に入力して後述の発光制御スイッチ11を制御するフィードバック増幅器12と、フィードバック増幅器12の出力電圧をゲートに入力し、レーザ素子LDにドレインが接続され、レーザ素子LDに流れる電流を制御するPMOSトランジスタである発光制御スイッチ11と、電源Vddにコレクタが、内部電源VddINにエミッタが接続され、ローレベルとハイレベルよりなる間欠制御信号SIG(例えば、50Hz程度でデューティ50%の矩形波)に応じて開閉する(非導通・導通となる)NPNトランジスタである電源スイッチ25と、を含む。内部電源VddINには、発光制御スイッチ11のソース及びフィードバック増幅器12の電源端が接続される。 [0017] このレーザ素子駆動装置1は、更に、基準クロック(例えば40KHz)を出力する発振器(OSC)17と、内部電源VddINと基準クロックとを入力し、異常な連続点灯を防止するためのフェイルセーフ回路13と、間欠制御信号SIGと基準クロックとを入力し、レーザ素子LDに過度の大電流が流れるのを防ぐためのソフトスタート回路14と、フェイルセーフ回路13からの信号とソフトスタート回路14からの信号を受け、それらの信号に基づき発光制御スイッチ11を制御する発光制御スイッチ制御回路16と、を含む [0018] フェイルセーフ回路13は、内部電源検出回路18と、カウンタ(counter)19と、フリップフロップ回路20と、を含む。内部電源検出回路18は、微分回路を形成するコンデンサ31及び抵抗33と、その出力電圧をクランプするダイオード32と、を含む。コンデンサ31の一端は内部電源VddlNを信号として入力する。コンデンサ31の他端は抵抗33の一端とダイオード32の力ソードに接続されている。抵抗31の他端とダイォード32のアノードは接地されている。そして、微分回路を形成するコンデンサ31及び抵抗33は、内部電源VddlNの立ち上がりを検出し、それに同期したワンショットパルスを生成してカウンタ19とフリップフロップ回路20のリセット入力端子Rに出力する。ダイオード32は、内部電源VddlNの立ち下がりに同期して生じる負方向の出力電圧を接地電位よりショットキーノリア電圧(VF)分下がったところでクランプするようにして、出力電圧を受ける回路に過度の負荷力かからないようにするためのものである。 [0019] フェイルセーフ回路13のカウンタ19は、内部電源検出回路18のワンショットパルスをカウントスタート信号として入力し、発振器17の基準クロックの数をカウントする。そして、所定のカウント数(例えば4000カウント程度)になると以下に説明するフリップフロップ回路20のセット入力端子Sに出力する。フリップフロップ回路20は、入力端子としてリセット入力端子Rとセット入力端子Sとを有し、出力端子として非反転出力端子Qと反転出力端子QNを有する。リセット入力端子Rにパルスが入力されると非反転出力端子Qからローレベルを、反転出力端子QNからハイレベルを出力する。セット入力端子Sにパルスが入力されると非反転出力端子Qからハイレベルを、反転出力端子QN力ローレベルを出力する。非反転出力端子Qの信号は、発光制御スイッチ制御回路16の後述するNOR回路28の一の入力端子に入力される。反転出力端子QNの信号は発振器17に入力され、発振器17はその信号がハイレベルならば発振を行い、ローレベルならば発振を止める。 [0020] 次に、ソフトスタート回路14の回路構成を説明する。ソフトスタート回路14は、間欠制御信号検出回路21と、カウンタ(counter)22と、フリップフロップ回路23と、を含む。間欠制御信号検出回路21は、内部電源検出回路18と同様の回路構成になっている。すなわち、間欠制御信号検出回路21は、微分回路を形成するコンデンサ34及び抵抗36と、その出力電圧をクランプするダイオード35と、を含む。そして、微分回路を形成するコンデンサ34及び抵抗35は、間欠制御信号SIGの立ち上がりを検出し、それに同期したワンショットパルスを生成してカウンタ22とフリップフロップ回路23のリセット入力端子Rに出力する。 [0021] ソフトスタート回路14のカウンタ22は、間欠制御信号検出回路21のワンショットパルスをカウントスタート信号として入力し、発振器17の基準クロックの数をカウントする。そして、所定のカウント数(例えば4カウント程度)までカウントすると以下に説明するフリップフロップ回路23のセット入力端子Sに出力する。フリップフロップ回路23は、前述のフェイルセーフ回路13のフリップフロップ回路20と同様の機能を行う回路である。反転出力端子QNの信号は発光制御スイッチ制御回路16のNOR回路28の他の入力端子に入力され、非反転出力端子Qの信号は、ずれにも入力されない。 [0022] 次に、発光制御スイッチ制御回路16の回路構成を説明する。発光制御スイッチ制御回路16は、前述のように、フェイルセーフ回路13のフリップフロップ回路20の信号とソフトスタート回路14のフリップフロップ回路23の信号が入力されるNOR回路28と、その出力にゲートが、内部電源VddINにソース力フィードバック増幅器12の出力にドレインが接続されるPMOSトランジスタである発光停止スイッチ29と、そのドレインに一端が接続され、他端が接地されたソフトスタート用コンデンサ38と、を含む。ここで、発光停止スイッチ29の電流駆動能力は、フィードバック増幅器12の接地側(すなわちシンク電流側)の電流駆動能力よりも十分に高いものとしている。この構成により、NOR回路28に入力する2つの信号の何れかがハイレベル信号であれば、発光停止スイッチ29がオンし、フィードバック増幅器12の出力に係わらず、発光制御スイッチ11のゲートを強制的に電源電圧レベルにする。その結果、レーザ素子LDに電流は流れなくなると共にソフトスタート用コンデンサ38が電源電圧レベルに充電される。一方、NOR回路28に入力する2つの信号の何れもローレベルであれば発光停止スイッチ29はオフするので、発光制御スイッチ11のゲート電圧はフィードバック増幅器12とソフトスタート用コンデンサ38の状態によって決まることになる。この詳細は後述する。 [0023] 次に、レーザ素子駆動装置1の動作について説明する。先ず、電源スイッチ25に間欠制御信号SIGのローレベルが入力されている場合、電源スイッチ25は非導通となって発光制御スイッチ11等には電源供給されず、従ってレーザ素子LDには電流は流れず、レーザ素子LDは発光しない。 [0024] 次いで、レーザ素子LDの発光開始時、すなわち電源スイッチ25に間欠制御信号SIGのハイレベルが入力されると、電源スイッチ25が導通して内部電源VddINが所定の電源電圧になる。そして、内部電源VddINの立ち上がりエッジは、フェイノレセーフ回路13の内部電源検出回路18により検出され、その検出信号によりフリップフロップ回路20がリセットされると共にカウンタ19がカウントを開始する。 [0025] 一方、ソフトスタート回路14においては、間欠制御信号SIGの立ち上がりエッジは間欠制御信号検出回路21により検出され、その検出信号によりフリップフロップ回路23がリセットされると共にカウンタ22がカウントを開始する。ソフトスタート回路14のフリップフロップ回路23がリセットされると、フリップフロップ回路23の反転出力QNからハイレベルが発光制御スイッチ制御回路16のNOR回路28に入力される。NOR回路28は、発光停止スイッチ29にローレベルを出力し、発光停止スイッチ29をオンして発光制御スイッチ11のゲートを強制的に電源電圧レベルにする。このとき、発光制御スイッチ11はオフ(非導通)となるので、レーザ素子LDには電流は流れない。また、ソフトスタート用コンデンサ38は電源電圧レベルに充電される。なお、レーザ素子LDは発光せず、光検出素子PDに電流は生成されないため、フィードバック増幅器12の非反転入力端子の入力電圧は接地レベルであり、フィードバック増幅器12は接地レベルを出力する。従って、フィードバック増幅器12のシンク電流(例えば100A程度)はそのまま発光停止スイッチ29を流れる力前述のように発光停止スイッチ29の電流駆動能力は十分に高いので発光制御スイッチ11のゲート電圧は電源電圧レベルに維持される。 [0026] 次に、カウントを開始したカウンタ22は、間欠制御信号SIGの1周期(例えば20msec)より短い所定時間(例えば0.1msec程度)までカウント(例えば4カウント程度)すると、フリップフロップ回路23のセット入力Sにハイレベルを入力する。フリップフロップ回路23の反転出力QNからローレベルが発光制御スイッチ制御回路16のNOR回路28に入力される。また、NOR回路28の他の入力端子にはフェイルセーフ回路13のリセットされたフリップフロップ回路20の非反転出力Qからローレベルが入力されている。NOR回路28はハイレベルを出力し、発光停止スイッチ29をオフさせる。なお、カウンタ22で決まる所定時間(例えば0.1msec程度)の間に内部電源VddINが十分に立ち上がり、またソフトスタート用コンデンサ38は十分に充電されている。[0027]そして、ソフトスタート用コンデンサ38(例えば0.01μF)に充電された電荷はフィードバック増幅器12のシンク電流(例えば100Α程度)によって徐々に放電し、発光制御スイッチ11のゲート電圧は徐々に降下する。こうして、発光制御スイッチ制御回路16は、レーザ素子LDの発光開始時にレーザ素子LDに流れる電流を徐々に増加させるよう発光制御スイッチ11を制御する。 [0028] このように、レーザ素子駆動装置1は、レーザ素子LDの発光開始時にレーザ素子LDに流れる電流を徐々に増加させるようにしてレーザ素子LDに突入電流が流れないようにすることにより、発光強度の大きい発光による人間の目への悪影響を防ぐことができる。また、突入電流によるレーザ素子へのストレスを抑制することにより、レーザ素子の長寿命化を図ることができる。 [0029] 次に、発光制御スイッチ11のゲート電圧は徐々に降下するに従って、レーザ素子LDの発光強度は大きくなる。そして、光検出素子PDが生成する電流は多くなり、電圧変換抵抗30の電圧は徐々に高くなる。もし、この電圧が発光強度設定電圧発生器24の出力電圧以上になると、フィードバック増幅器12は発光制御スイッチ11のゲート電圧を上昇させるように出力する。すなわち、フィードバックループにより、電圧変換抵抗30の電圧と発光強度設定電圧発生器24の出力電圧が一致するところで、レーザ素子LDには安定して所定の電流が流れる。 [0030] 以上説明した動作が間欠制御信号SIGに応じて繰り返される。そして、人間の目への悪影響を防ぐよう安全にレーザ素子LDを非連続に(間欠的に)発光させる。」 (2)引用文献1に記載された発明 摘記(1b)及び図1から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] 「フェイルセーフ回路13と、 間欠制御信号SIGと基準クロックとを入力し、レーザ素子LDに過度の大電流が流れるのを防ぐためのソフトスタート回路14と、 フェイルセーフ回路13からの信号とソフトスタート回路14からの信号を受け、それらの信号に基づき発光制御スイッチ11を制御する発光制御スイッチ制御回路16と、 フィードバック増幅器12の出力電圧をゲートに入力し、レーザ素子LDにドレインが接続され、レーザ素子LDに流れる電流を制御するPMOSトランジスタである発光制御スイッチ11と、 電源Vddにコレクタが、内部電源VddINにエミッタが接続され、ローレベルとハイレベルよりなる間欠制御信号SIGに応じて非導通・導通となるNPNトランジスタである電源スイッチ25と、 を含む、レーザ素子駆動装置1であって、 電源スイッチ25に間欠制御信号SIGのローレベルが入力されている場合、電源スイッチ25は非導通となって発光制御スイッチ11等には電源供給されず、レーザ素子LDには電流は流れず、レーザ素子LDは発光せず、 レーザ素子LDの発光開始時、すなわち電源スイッチ25に間欠制御信号SIGのハイレベルが入力されると、電源スイッチ25が導通して内部電源VddINが所定の電源電圧になり、発光制御スイッチ制御回路16は、レーザ素子LDの発光開始時にレーザ素子LDに流れる電流を徐々に増加させるよう発光制御スイッチ11を制御する、 レーザ素子駆動装置1。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 (2a) 「[発明の目的] この発明は上記問題点を改善し多重伝送に異常が発生した場合、負荷の種別に応じて該負荷を適正に制御することのできる多重伝送の異常処理装置を提供することを目的とする。」(明細書2ページ左上欄8?12行) (2b) 「異常処理装置はイグニッション電源線IGNとバッテリ電源線BATTとにモード分けした電源1と、多重伝送装置の異常状態検出手段3と、電源モード切換手段5とから成る。 第1図中、7はバッテリ、9,11は前記バッテリから枝分れしたバッテリ電源線BATTにそれぞれ設けられた安全器、13は前記バッテリ電源線BATTに安全器9を介して設けられた前照灯を示す。DATAは多重伝送装置のデータ線、15は該データ線DATAとバッテリ電源線BATTとに接続される多重伝送装置の復調器、17は前記復調器から出力される前照灯制御信号線上に設けられる逆流防止用ダイオード、19は前記前照灯13と対地間に設けられ前記復調器15又は前記電源モード切換手段5からの制御信号を受けて作動されるトランジスタを示す。 前記異常状態検出手段3は4つの抵抗21,23,25,27と、トランジスタ29と、2つのコンデンサ31,33と、2つのダイオード35,37とを有して成る。 前記トランジスタ29のゲートGは入力抵抗21を介してデータ線DATAと接続し、ドレインDは入力抵抗23を介してバッテリ電源線BATTと接続し、ソースSは接地している。そして、ドレインDにコンデンサ31の一端を接続し、該コンデンサの他端には一端を接地した抵抗25及びダイオード35の直列回路を接続すると共にダイオード37を介して一端を接地したコンデンサ33及び抵抗27の並列回路を接続している。前記ダイオード35と37の接続方向は抵抗25から抵抗27にかけての直列回路において抵抗25側から見て順方向となる方向である。 前記電源モード切換手段5はトランジスタ39と、抵抗41と、コンデンサ43と、ダイオード45とから成っている。トランジスタ39のゲートGは前記抵抗27及びダイオード37の接続点と接続され、ドレインDは入力抵抗41を介してイグニッション電源線IGNと接続され、ソースSは接地されている。又、トランジスタ39のドレインDには一端を接地されたコンデンサ43及び一端を前記トランジスタ19のゲートGと接続したダイオード45の並列回路と接続されている。ダイオード45の接続方向は、トランジスタ39のドレインD例から見て順方向となる方向である。 なお、上記異常処理装置において、各接続点J_(1),J_(2)…J_(5)を図のように定める。 復調器15は多重伝送装置の受信機内部に位置するもので、図示しない送信機側からの前照灯スイッチオンオフ情報をデータ線DATAを介して受信する。そして、正常時には、例えば図示しない送信機から前照灯オンの情報が伝送されれば復調器7は、前照灯オン信号をダイオード17を介してトランジスタ19に伝え、該トランジスタ19を導通させて前照灯13をバッテリ電源で点灯している。なお、本例では、異常時にはデータ線DATA上に信号が全く現われない状態となるとする。 次に、第1図に示した異常処理装置の動作について説明する。 まず、正常時には入力点J_(1)にパルス状のデータ信号が間欠的に現われる。トランジスタ29は入力抵抗21を介してこのデータ信号を受けるので、データ信号がハイレベルにあるときオンし、ローレベルにあるときオフすることになり、オン、オフ動作を繰り返すことになる。 コンデンサ31の一端J_(2)点には入力抵抗23を介してバッテリ電源線BATTからの電位が与えられており、コンデンサ31はこの電位を微分し微分した電圧でコンデンサ33を充電している。従って、トランジスタ39のゲートGには、上記データ信号が入力されている限りハイレベルにあり、この間トランジスタ39はオン状態を持続する。そして、トランジスタ39がオンすれば、該トランジスタのドレインD、ソースS間は短絡され、トランジスタのドレイン側の点J_(4)は接地電圧となり、トランジスタ19に何ら影響を与えることがない。又、接続点J_(4)から接続点J_(5)の間には逆流防止用のダイオード45が設けられているので異常処理装置もトランジスタ19側からの影響を受けることがない。 従って、正常時には前照灯13はバッテリ電源線BATTからの電位を受け、復調器15からの制御信号に従って作動されるトランジスタ19のオンオフ動作によって制御されることになる。この場合、イグニッション電源線からの影響は一切受けていないので、ここでは、この電源モードをバッテリ電源モードと称している。 次に異常時の動作について説明する。ここでいう異常時とはデータ線DATAにパルス状のデータ信号が伝送されず、データ線DATAの電位が常時接地状態又は電源電位状態にある状態をいう。なお、この異常時において、復調器15の出力はローレベルにあるとする。 データ線DATAが常時接地状態又は常時電源電位状態にあると、トランジスタ29は常時オフ状態又はオン状態を維持する。 トランジスタ29が常時オフ状態又はオン状態を維持しつづけると、抵抗23の電位が安定し、コンデンサ31が微分動作をやめてその出力は接地電位に保持される。そして、コンデンサ31の出力が接地電位に保持されるとコンデンサ33は抵抗27を介して電荷を放電するので、トランジスタ39のゲートGの電圧も接地電圧となり、トランジスタ39はオフされる。従って、この場合、トランジスタ39のドレイン側の点J_(4)の電位はイグニッション電源線IGNの電位に左右され、図示しないイグニッションキースイッチがオン状態にあるときはハイレベル信号となり、又、イグニッションキースイッチがオフ状態にあるときはローレベルとなる。 従って、イグニッションキースイッチがオンされ、イグニッション電源線IGNの電位がハイレベルにあるときには、この電圧が抵抗41及びダイオード45を介してトランジスタ19のゲートGに印加されるのでトランジスタ19はオンされ、前照灯13はこの間点灯されることになる。又、イグニッションキースイッチがオフされイグニッション電源線IGNの電位がローレベル(ゼロ)となれば、トランジスタ19はオフされるので前照灯13は消灯されることになる。なお、このように負荷(前照灯)はイグニッション電源線IGNの電源有無の影響を受けているので、ここでは、この種の電源モードをイグニッション電源モードと称している。 上記構成の異常処理装置において、前照灯13は、多重伝送装置が正常に動作しているときには、運転者のスイッチ操作に基づいてバッテリ電源モードで制御され、一方、異常時には、イグニッションキースイッチがオンされている間は点灯し続けると共にイグニッションキースイッチがオフされれば消灯される態様となる。これにより、車両走行中の多重伝送装置の異常状態に基づいて前照灯点灯を行うことができ走行中の照明に関する安全を図ることができる。又、走行停止に際してはイグニッションキースイッチをオフすると同時に前照灯を消灯することができるので、バッテリ上がりを防止することができる。」 (明細書2ページ右上欄14行?4ページ左上欄10行) 3 引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 (3a) 「【0005】一方、ランプ電源に電池を用いる場合、消費電力を極力低減し、少しでもランプ点灯時間を長くすることも要求される。そこで、本発明は、上記したように、自動点消灯の電源として二次電池を使用した場合に、その電圧を自己の放電終止電圧近傍電圧より下回らないようにし、併せて消費電力を低減して使い勝手の良い自動点消灯を提供することを目的としている。」 (3b) 「【0062】以上のような構成において、次に上記第1の実施形態の動作を説明する。自動点消灯が移動している時、移動の変移を加速度として加速度センサ11が検出し、その出力であるアナログ信号を電圧比較器14に出力する。電圧比較器14には、移動と認められる加速度センサ11の最低レベルが予め定められており、その値が基準レベル値として設定されている。加速度センサ11の出力がその基準値よりも高い場合は電圧比較器14は論理値“1”、低い場合は論理値“0”のパルス信号となり、その信号を再トリガ可能な単安定マルチバイブレータ17に出力する。 【0063】再トリガ可能な単安定マルチバイブレータ17は電圧比較器14より出力されたパルス信号の立ち上がりをトリガとして時定数τのパルス信号を出力する。この様子を示したものが図4のタイムチャート図である。 【0064】図4において、タイムチャートAは再トリガ可能な単安定マルチバイブレータ17の出力を示し、電圧比較器出力のパルス信号1?7の立ち上がりでトリガされるため、継続した出力が得られるが、タイムチャートBの再トリガされない一般の単安定マルチバイブレータにおいてはパルス2、4、6ではトリガされず、出力が論理値“0”のときにのみトリガされるため、出力は断続した波形になり、このためランプ22が点滅状態となるので、一般の単安定マルチバイブレータを用いるのは好ましくない。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア (ア) 引用発明において、「電源スイッチ25に間欠制御信号SIGのローレベルが入力されている場合」、「レーザ素子LDは発光せず」、「電源スイッチ25に間欠制御信号SIGのハイレベルが入力されると」、「レーザ素子LDの発光開始時にレーザ素子LDに流れる電流を徐々に増加させる」から、引用発明の「間欠制御信号SIGのローレベル」は、レーザ素子LDを消灯させる信号であり、引用発明の「間欠制御信号SIGのハイレベル」は、レーザ素子LDを点灯させる信号であり、したがって、引用発明の「ローレベルとハイレベルよりなる間欠制御信号SIG」は、レーザ素子LDを点灯または消灯させるから、点消灯指示信号といえる。 (イ) 本願発明1の「点消灯指示信号」は、「プロセッサからの点消灯指示信号」であると共に、「点灯を指示するときにパルス状であり、消灯を指示するとき一定レベルである前記点消灯指示信号」であるから、「点灯を指示するときにパルス状であり、消灯を指示するとき一定レベルである」、「プロセッサからの」「点消灯指示信号」である。 このことと、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「ローレベルとハイレベルよりなる間欠制御信号SIG」と、本願発明1の「プロセッサからの点消灯指示信号」であって、「点灯を指示するときにパルス状であり、消灯を指示するとき一定レベルである前記点消灯指示信号」とは、「点消灯指示信号」において共通している。 イ 引用発明の「フェイルセーフ回路13からの信号とソフトスタート回路14からの信号を受け、それらの信号に基づき発光制御スイッチ11を制御する発光制御スイッチ制御回路16」は、「フェイルセーフ回路13からの信号と」「間欠制御信号SIGと基準クロックとを入力し、レーザ素子LDに過度の大電流が流れるのを防ぐためのソフトスタート回路14」「からの信号を受け、それらの信号に基づき発光制御スイッチ11を制御する」から、「間欠制御信号SIG」を受けて、その信号の入力を判定する、入力判定回路といえる。 このことと、上記アを踏まえると、引用発明の「フェイルセーフ回路13」、「間欠制御信号SIGと基準クロックとを入力し、レーザ素子LDに過度の大電流が流れるのを防ぐためのソフトスタート回路14」及び「フェイルセーフ回路13からの信号とソフトスタート回路14からの信号を受け、それらの信号に基づき発光制御スイッチ11を制御する発光制御スイッチ制御回路16」と、本願発明1の「点灯を指示するときにパルス状であり、消灯を指示するとき一定レベルである前記点消灯指示信号を受け、前記点消灯指示信号がパルス状であるか否かを判定し、前記点消灯指示信号がパルス状である期間、アサートされ、一定レベルである期間、ネゲートされる判定信号を生成するパルス入力判定回路」とは、「前記点消灯指示信号を受ける、入力判定回路」において共通している。 ウ 引用発明において、「電源スイッチ25に間欠制御信号SIGのローレベルが入力されている場合、電源スイッチ25は非導通となって発光制御スイッチ11等には電源供給されず、レーザ素子LDには電流は流れず、レーザ素子LDは発光」しないから、引用発明の「電源スイッチ25」は、単独で、レーザ素子LDへの駆動電流の供給を停止する回路であるといえる。 引用発明において、「レーザ素子LDの発光開始時、すなわち電源スイッチ25に間欠制御信号SIGのハイレベルが入力されると、電源スイッチ25が導通して内部電源VddINが所定の電源電圧になり、発光制御スイッチ制御回路16は、レーザ素子LDの発光開始時にレーザ素子LDに流れる電流を徐々に増加させるよう発光制御スイッチ11を制御する」から、引用発明の「電源スイッチ25」及び「発光制御スイッチ11」は、レーザ素子LDに駆動電流を供給する回路を構成しているといえる。 これらのことを踏まえると、引用発明の「フィードバック増幅器12の出力電圧をゲートに入力し、レーザ素子LDにドレインが接続され、レーザ素子LDに流れる電流を制御するPMOSトランジスタである発光制御スイッチ11」及び「電源Vddにコレクタ力内部電源VddINにエミッタが接続され、ローレベルとハイレベルよりなる間欠制御信号SIGに応じて非導通・導通となるNPNトランジスタである電源スイッチ25」と、本願発明1の「前記判定信号がアサートされる間、前記点消灯指示信号のレベルにかかわらず前記半導体光源に駆動電流を供給し、前記判定信号がネゲートされるとき、前記半導体光源への前記駆動電流の供給を停止する駆動回路」とは、「前記半導体光源に駆動電流を供給し、前記半導体光源への記駆動電流の供給を停止する駆動回路」において共通している。 エ 引用発明の「レーザ素子LD」は、本願発明1の「半導体光源」に相当する。 このことと、上記ア及びウを踏まえると、引用発明の「電源スイッチ25に間欠制御信号SIGのローレベルが入力されている場合、電源スイッチ25は非導通となって発光制御スイッチ11等には電源供給されず、レーザ素子LDには電流は流れず、レーザ素子LDは発光せず、レーザ素子LDの発光開始時、すなわち電源スイッチ25に間欠制御信号SIGのハイレベルが入力されると、電源スイッチ25が導通して内部電源VddINが所定の電源電圧になり、発光制御スイッチ制御回路16は、レーザ素子LDの発光開始時にレーザ素子LDに流れる電流を徐々に増加させるよう発光制御スイッチ11を制御する、レーザ素子駆動装置1」と、本願発明1の「プロセッサからの点消灯指示信号に応じて、半導体光源を点灯または消灯させる点灯回路」とは、「点消灯指示信号に応じて、半導体光源を点灯または消灯させる点灯回路」において共通している。 以上から、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「点消灯指示信号に応じて、半導体光源を点灯または消灯させる点灯回 路であって、 前記点消灯指示信号を受ける、入力判定回路と、 前記半導体光源に駆動電流を供給し、前記半導体光源への記駆動電流の供給を停止する駆動回路と、 を備える点灯回路。」 <相違点1> 「点消灯指示信号」が、本願発明1は、「点灯を指示するときにパルス状であり、消灯を指示するとき一定レベルある」「プロセッサからの」点消灯指示信号であるのに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。 <相違点2> 「前記点消灯指示信号を受ける、入力判定回路と、前記半導体光源に駆動電流を供給し、前記半導体光源への記駆動電流の供給を停止する駆動回路」が、 本願発明は、前記点消灯指示信号を受け、「前記点消灯指示信号がパルス状であるか否かを判定し、前記点消灯指示信号がパルス状である期間、アサートされ、一定レベルである期間、ネゲートされる判定信号を生成するパルス」入力判定回路と、「前記判定信号がアサートされる間、前記点消灯指示信号のレベルにかかわらず」前記半導体光源に駆動電流を供給し、「前記判定信号がネゲートされるとき、」前記半導体光源への前記駆動電流の供給を停止する駆動回路であるのに対して、 引用発明は、そのように特定されていない点。 (2)相違点についての判断 相違点について以下検討する。 ア 相違点1について 引用発明の「ローレベルとハイレベルよりなる間欠制御信号SIG」の「ハイレベル」が、ハイレベルという一定値となっていることは明らかであり(段落[0016]の「ローレベルとハイレベルよりなる間欠制御信号SIG(例えば、50Hz程度でデューティ50%の矩形波)」という記載なども参照)、ハイレベルで一定値であるから、「フェイルセーフ回路13」及び「ソフトスタート回路14」が動作し、「レーザ素子LDの発光開始時、すなわち電源スイッチ25に間欠制御信号SIGのハイレベルが入力されると、電源スイッチ25が導通して内部電源VddINが所定の電源電圧になり、発光制御スイッチ制御回路16は、レーザ素子LDの発光開始時にレーザ素子LDに流れる電流を徐々に増加させるよう発光制御スイッチ11を制御」できるといえる。 そして、引用発明は、「レーザ素子LDの発光開始時にレーザ素子LDに流れる電流を徐々に増加させる」から、「発光強度が大きい発光を防ぎ、人間の目に対する安全性が高められるレーザ素子駆動装置を提供すること」(段落[0008]参照)ができ、課題が解決できるといえる。 そうすると、引用発明の「ローレベルとハイレベルよりなる間欠制御信号SIG」の「ハイレベル」(一定値)を、パルス状にしたりして一定レベルでない態様にすると、上記課題は解決できなくなるから、引用発明の「ローレベルとハイレベルよりなる間欠制御信号SIG」の「ハイレベル」を、レベルが変動するパルス状にすることには、阻害要因があるといえる。 したがって、引用発明において、「ローレベルとハイレベルよりなる間欠制御信号SIG」すなわち「点消灯指示信号」を、上記相違点1に係る本願発明1の「点灯を指示するときにパルス状であ」る構成を備えるようにすることには、阻害要因が存在するから、引用発明に引用文献1、2、3に記載された技術事項を適用することはできず、前記構成は当業者が適宜なし得たともいえないから、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 イ 相違点2について 本願の課題は、「点消灯指示信号が伝搬する信号ラインに異常が生じた場合に、半導体光源を消灯可能な点灯回路の提供にある」ところ(本願明細書の段落【0012】)、この課題を解決するための手段として、上記相違点2に係る本願発明1の、前記点消灯指示信号を受け、「前記点消灯指示信号がパルス状である期間、アサートされ」、「前記判定信号がアサートされる間、前記点消灯指示信号のレベルにかかわらず前記半導体光源に駆動電流を供給」する構成(以下「事項A」ともいう。)は、必須であるといえる。 ところが、本願の課題やその課題を解決するために必須である上記事項Aは、引用文献1、2及び3に記載も示唆もされていない(摘記(1a)?(3b)など参照)。 また、引用発明の「電源スイッチ25」は、単独で、レーザ素子LDへの駆動電流の供給を停止する回路であり(上記(1)ウ参照)、信号を発生するものではないから、引用発明の「レーザ素子LDに流れる電流を制御するPMOSトランジスタである発光制御スイッチ11」及び「電源Vddにコレクタ力内部電源VddINにエミッタが接続され、ローレベルとハイレベルよりなる間欠制御信号SIGに応じて非導通・導通となるNPNトランジスタである電源スイッチ25」、すなわち、「入力判定回路」(上記(1)イ参照)は、上記相違点2に係る本願発明1の「前記点消灯指示信号がパルス状であるか否かを判定し、前記点消灯指示信号がパルス状である期間、アサートされ、一定レベルである期間、ネゲートされる判定信号を生成するパルス入力判定回路」になり得るものではない。 したがって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 ウ 小括 よって、本願発明1は、引用発明及び引用文献1、2、3に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2?4について 本願発明2?4は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献1、2、3に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 原査定について 平成30年10月5日付けの手続補正により、本願発明1?4は、事項A、すなわち、前記点消灯指示信号を受け、「前記点消灯指示信号がパルス状である期間、アサートされ」、「前記判定信号がアサートされる間、前記点消灯指示信号のレベルにかかわらず前記半導体光源に駆動電流を供給」するという事項を有するものとなっており、上記第5で述べたとおり、拒絶査定において引用された引用発明及び引用文献1、2、3に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 また、本願発明5?7は、原査定において、「現時点では、拒絶の理由を発見しない。」としており、その後検討しても、本願発明5?7を拒絶すべき理由を発見しない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 |
審決日 | 2020-03-23 |
出願番号 | 特願2014-240408(P2014-240408) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H05B)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松本 泰典 |
特許庁審判長 |
藤井 昇 |
特許庁審判官 |
出口 昌哉 島田 信一 |
発明の名称 | 点灯回路および灯具システム |
代理人 | 村田 雄祐 |
代理人 | 三木 友由 |
代理人 | 森下 賢樹 |