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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G05D
管理番号 1361027
審判番号 不服2019-13684  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-11 
確定日 2020-04-07 
事件の表示 特願2017-201833「質量流量コントローラ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年1月18日出願公開、特開2018-10696、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)1月9日(パリ条約による優先権主張2012年1月20日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2014-553321号の一部を平成28年7月8日に新たな特許出願とした特願2016-136282号の一部を、平成29年10月18日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 8月23日付け:拒絶理由通知
平成31年 1月15日 :意見書、手続補正書の提出
令和 1年 6月 6日付け:拒絶査定
令和 1年10月11日 :審判請求書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和1年6月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、その発明の属する技術分野における通常の技術を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開平3-211601号公報
2.特開平3-166611号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2004-246826号公報(周知技術を示す文献)
4.米国特許第7826986号明細書(周知技術を示す文献)
5.特開平9-280913号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成31年1月15日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、そのうち本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
半導体工程のための単一の制御弁を持つ主流路を画定する、質量流量コントローラであって、
前記主流路を画定する導管を含み、吸気口と排気口とを有するブロックと、
前記主流路に沿って配置され、質量流量コントローラを通るガスの質量流量を、工程の実行中に実時間で測定し、前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第1の流量測定信号を生成するように機能する第1の流量計と、
前記主流路に沿って配置され、前記質量流量コントローラを通るガスの質量流量を、工程の実行中に実時間で測定し、前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第2の流量測定信号を生成するように機能する第2の流量計であって、前記第1の流量計と同時に質量流量を測定する第2の流量計と、
システムコントローラであって、前記第1の流量計と前記第2の流量計とのそれぞれによって生成された前記第1の流量測定信号と前記第2の流量測定信号とを受信し、前記第1の流量測定信号および前記第2の流量測定信号から選ばれた1つに基づいて制御信号を生成し、前記第1の流量測定信号および前記第2の流量測定信号のもう1つは選ばれた流量測定信号を検証するために当該システムコントローラによって使用され、前記第1の流量測定信号と前記第2の流量測定信号の差が所定の閾値を超えた場合を示すアラーム信号を提供するように機能するシステムコントローラと、
を含み、
前記第1の流量計は熱質量流量計であり、前記第2の流量計は温度センサを含む差圧流量計であり、
前記制御弁は、前記主流路に沿って前記第1の流量計と前記第2の流量計との間に配置され、前記第1の流量計は前記制御弁の上流に配置され、前記第2の流量計は前記制御弁の下流に配置され、前記第1の流量計と前記第2の流量計とのそれぞれによって生成された前記第1の流量測定信号と前記第2の流量測定信号との両方を受信する前記システムコントローラによって提供された前記制御信号に応じて、前記質量流量コントローラを通るガスの質量流量を制御するように機能し、
前記システムコントローラは、
(i)前記第1および前記第2の流量計によって生成された2つの信号を受信し、これらの信号のうち1つを前記制御弁のための前記制御信号のために用いるように機能する流量制御部と、
(ii)前記第1および前記第2の流量計によってそれぞれ生成された前記第1および前記第2の流量測定信号を受信し、前記第1および前記第2の流量計のそれぞれから受信した前記第1および前記第2の流量測定信号の差を示す差信号を出力信号として生成するように機能する比較器と、
(iii)前記差信号を所定の閾値と比較し、前記差信号が前記所定の閾値を超えた場合にアラーム信号を生成するように機能する閾値検出器と
を含む、
質量流量コントローラ。」

また、本願発明2-6は、概略、本願発明1を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は理解の便のため当審にて付与。以下同。)。

ア 第1ページ右下欄第3?最終行
「ガス流量制御装置に係り、特に半導体装置の製造工程で使用するガス流量制御装置に関し、
ガスのコンタミネーションによる誤動作を直ちにキャッチして被害を防止するガス流量制御装置の提供を目的とし、
第1の流量センサと、第2の流量センサと、バルブと、比較回路と、警報器と、比較制御回路を有し、
該第1の流量センサ及び該第2の流量センサはガス流量を検知して電気信号に変換し、該バルブはガス流量を調節し、該比較回路は該第1の流量センサの出力電圧と該第2の流量センサの出力電圧を比較し、その差が予め設定した値より大きい時に該警報器を作動させ、該比較制御回路は該第1の流量センサの出力電圧と予めガス流量に応じて設定した設定電圧を比較し、その差に応じて該バルブを作動させてガス流量を一定に制御するガス流量制御装置により構成する。」

イ 第2ページ左上欄第1?4行
「〔産業上の利用分野〕
本発明はガス流量制御装置に係り、特に半導体装置の製造工程で使用するガス流量制御装置に関する。」

ウ 第3ページ左上欄下から2行?左下欄第11行
「〔実施例〕
第1図は実施例で、本発明によるマスフローコントローラを説明するための図であり、1は第1の流量センサで第1のセンサ管1a、検出回路1b、増幅回路1cからなり、2は第2の流量センサで第2のセンサ管2a、検出回路2b、増幅回路2cからなり、3はバルブ、4は比較回路、5は警報器、6は比較制御回路、7は電圧設定回路を表す。
第1のセンサ管1a、第2のセンサ管2aはともにサーモレジスタをもっていて、これらは検出回路1b、2bのブリッジ回路の一部を構成し、ガス流量に比例した出力電圧が増幅回路1c、2cに送られる。比較回路は第1の流量センサ1からの出力電圧と第2の流量センサ2からの出力電圧を比較する。そして、その差が予め設定してある異常値を超えると警報器5を動作させる。
一方、第1の流量センサ1からの出力電圧は予め流すべきガス流量に応じて電圧設定回路7に設定された設定電圧と比較制御回路6で比較され、その差に応じてバルブ3が駆動されてガス流量を一定に保つように制御系が動作する。
このようにして、警報器が動作しない間はガス流量を一定に保ち、警報器が動作したら直ちに、その事態に対処することができる。
なお、実施例(第1図)では第1の流量センサ1と第2の流量センサ2をバルブ3の上流側に設置したが、下流側に設置してもよく、警報器5を動作させる異常値の設定に注意を払えば第1の流量センサ1と第2の流量センサ2を上流側と下流側に分けて設置することもできる。
さらに、電圧設定回路7の設定電圧と比較する出力電圧は第1の流量センサ1と第2の流量センサ2のどちらからとってもよい。」

(2)上記(1)の記載及び図面から、引用文献1には、次の技術的事項が開示されていると認められる。

ア 第1図から、「ガス流量制御装置」は、単一の「バルブ3」を持つ「主流路」を画定するとともに、前記「主流路」を画定する「導管」を含み、「ガス入口」と「ガス出口」とを有する「ブロック」を含んでいることが看取される。また、「第2の流量センサ2」、「第1の流量センサ1」及び「バルブ3」が、主流路に沿って順に配置されることも看取される。

イ 上記(1)ウの記載及び第1図から、「第1の流量センサ1」及び「第2の流量センサ2」は、「主流路」をバイパスする「第1のセンサ管1a」及び「第2のセンサ管2a」でガスの流量を測定していることから、「ガス流量制御装置」を通るガスの流量を、工程の実行中に実時間で測定していると認められる。また、「第1の流量センサ1」及び「第2の流量センサ2」のそれぞれが実時間で測定していることから、「第2の流量センサ2」は「第1の流量センサ1」と同時に流量を測定するものと認められる。

ウ 上記(1)ウの「第1の流量センサ1からの出力電圧は予め流すべきガス流量に応じて電圧設定回路7に設定された設定電圧と比較制御回路6で比較され、その差に応じてバルブ3が駆動されて・・・」及び「電圧設定回路7の設定電圧と比較する出力電圧は第1の流量センサ1と第2の流量センサ2のどちらからとってもよい」の記載から、「第1の流量センサ1」からの出力電圧および「第2の流量センサ2」からの出力電圧から選ばれた1つと予め流すべきガス流量に応じて「電圧設定回路7」に設定された設定電圧とを「比較制御回路6」で比較し、その差に応じて「バルブ3」を駆動していると認められる。

エ 上記(1)ウの「比較回路は第1の流量センサ1からの出力電圧と第2の流量センサ2からの出力電圧を比較する。そして、その差が予め設定してある異常値を超えると警報器5を動作させる」の記載及び上記ウで指摘した記載から、「第1の流量センサ1」からの出力電圧および「第2の流量センサ2」からの出力電圧のもう1つ(前記「比較制御回路6」で用いられなかった出力電圧)は、選ばれた出力電圧(前記「比較制御回路6」で用いられた出力電圧)を検証するために比較回路4によって使用され、前記「第1の流量センサ1」からの出力電圧と前記「第2の流量センサ2」からの出力電圧の差が予め設定してある異常値を超えると「警報器5」を動作させるものと認められる。

オ 上記(1)ウの「・・・1は第1の流量センサで第1のセンサ管1a、検出回路1b、増幅回路1cからなり、2は第2の流量センサで第2のセンサ管2a、検出回路2b、増幅回路2cからなり・・・」及び「第1のセンサ管1a、第2のセンサ管2aはともにサーモレジスタをもっていて、これらは検出回路1b、2bのブリッジ回路の一部を構成し、ガス流量に比例した出力電圧が増幅回路1c、2cに送られる」の記載から、「第1の流量センサ1」及び「第2の流量センサ2」は熱質量流量計であると認められる。

カ 上記(1)ウの「・・・バルブ3の上流側に設置したが、下流側に設置してもよく、警報器5を動作させる異常値の設定に注意を払えば第1の流量センサ1と第2の流量センサ2を上流側と下流側に分けて設置することもできる」の記載から、「バルブ3」は、「第1の流量センサ1」と「第2の流量センサ2」との間に配置され得るものと認められる。

(3)上記(1)の記載事項及び上記(2)の認定事項から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

引用発明
「半導体装置の製造工程で使用し、単一のバルブ3を持つ主流路を画定するガス流量制御装置であって、
前記主流路を画定する導管を含み、ガス入口とガス出口とを有するブロックと、
前記主流路に沿って配置され、ガス流量制御装置を通るガスの流量を、工程の実行中に実時間で測定し、前記ガス流量制御装置を通るガス流量に比例した第1の流量センサ1からの出力電圧を生成するように機能する第1の流量センサ1と、
前記主流路に沿って配置され、前記ガス流量制御装置を通るガスの流量を、工程の実行中に実時間で測定し、前記ガス流量制御装置を通るガス流量に比例した第2の流量センサ2からの出力電圧を生成するように機能する第2の流量センサ2であって、前記第1の流量センサ1と同時に流量を測定する第2の流量センサ2と、
比較回路4及び比較制御回路6であって、前記第1の流量センサ1と前記第2の流量センサ2とのそれぞれによって生成された前記第1の流量センサ1からの出力電圧と前記第2の流量センサ2からの出力電圧とを受信し、前記第1の流量センサ1からの出力電圧および前記第2の流量センサ2からの出力電圧から選ばれた1つと予め流すべきガス流量に応じて電圧設定回路7に設定された設定電圧とを比較制御回路6で比較し、その差に応じてバルブ3を駆動し、前記第1の流量センサ1からの出力電圧および前記第2の流量センサ2からの出力電圧のもう1つは選ばれた出力電圧を検証するために比較回路4によって使用され、前記第1の流量センサ1からの出力電圧と前記第2の流量センサ2からの出力電圧の差が予め設定してある異常値を超えると警報器5を動作させる、比較回路4及び比較制御回路6と、
を含み、
前記第1の流量センサ1及び前記第2の流量センサ2は熱質量流量計であり、
前記バルブ3は、前記主流路に沿って前記第1の流量センサ1と前記第2の流量センサ2との間に配置され、前記第1の流量センサ1と前記第2の流量センサ2とのそれぞれによって生成された前記第1の流量センサ1からの出力電圧と前記第2の流量センサ2からの出力電圧との両方を受信する前記比較回路4及び比較制御回路6の内の比較制御回路6によって駆動されてガス流量を一定に保つように機能し、
前記比較回路4及び比較制御回路6は、
(i)前記第1の流量センサ1および前記第2の流量センサ2によって生成された2つの出力電圧を受信し、これらの出力電圧のうち1つを前記バルブ3の駆動のために用いるように機能する比較制御回路6と、
(ii)前記第1の流量センサ1および前記第2の流量センサ2によってそれぞれ生成された前記第1の流量センサ1からの出力電圧と前記第2の流量センサ2からの出力電圧を受信し、前記第1の流量センサ1および前記第2の流量センサ2のそれぞれから受信した前記第1の流量センサ1からの出力電圧と前記第2の流量センサ2からの出力電圧を比較し、
(iii)その差が予め設定してある異常値を超えると警報器5を動作させるように機能する比較回路4と
を含む、
ガス流量制御装置。」

2.引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 第1ページ左下欄下から5行?最終行
「[産業上の利用分野]
本発明は被制御流体の質量流量を検出し、流量コントロールバルブの開度を調節して、被制御流体の質量流量を自動的に制御する質量流量制御装置に関する。」

イ 第2ページ右上欄第5?16行
「[課題を解決するための手段]
本発明に係る質量流量制御装置は、被制御流体の流路に設けられた流量コントロールバルブと、前記被制御流体の質量流量を検出する第1の質量流量センサと、この第1の質量流量センサの出力に基づいて前記流量コントロールバルブのバルブ開度を調節する制御回路と、前記被制御流体の質量流量を検出する第2の質量流量センサと、前記第1の質量流量センサの出力と前記第2の質量流量センサの出力との差が所定範囲から外れた場合に警報信号を出力する警報回路とを有することを特徴とする。」

ウ 第3ページ左下欄第7?17行
「本実施例においては、比較用質量流量センサ2aが被制御流体の流路に直接設置されている。従って、本実施例の質量流量制御装置から供給される被制御流体は、その全量が比較用質量流量センサ2a内を通流する。このため、第1の実施例と異なり、比較用質量流量センサ2aに異物が詰まる虞れが少ない。また、本実施例においても、第1の実施例と同様に、流量制御用質量流量センサ1の入口部における分流バランスが変化した場合は、比較回路5から警報信号15が出力され、装置の異常を迅速に知らせることができる。」

エ 第2図
第2図には、バイパスチューブを有する質量流量センサ1、バイパスチューブを有さない質量流量センサ2a、流量コントロールバルブ3がこの順で直列に配置された質量流量制御装置であって、バイパスチューブを有する質量流量センサ1からの出力信号とバイパスチューブを有さない質量流量センサ2aからの出力信号が入力される比較回路5と、バイパスチューブを有する質量流量センサ1からの出力信号が入力される比較制御回路4と、当該比較制御回路4からのバルブ制御信号13が入力される駆動装置16と、当該駆動装置16に接続された前記流量コントロールバルブ3とが看取される。

(2)上記記載から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されている。

「質量流量制御装置において、第1の質量流量センサの出力を流量コントロールのバルブ開度を調整するために用いるとともに、
前記第1の質量流量センサの出力と第2の質量流量センサの出力との差が所定範囲から外れた場合に警報信号を出力する、質量流量制御装置において、
第1の質量流量センサとしてバイパス流路を有する質量流量センサを用い、第2の質量流量センサとしてバイパス流路を有さない質量流量センサを用い、第1の質量流量センサ及び第2の質量流量センサを流量コントロールバルブの上流に配置するという技術。」

3.引用文献3について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 段落【0001】
「【発明の属する技術分野】本発明は、マスフローコントローラに関する。より詳細には、絞り部を用いたマスフローコントローラに関するものである。」

イ 段落【0016】-【0017】
「【発明の実施の形態】
図1は本発明のマスフローコントローラ1の一例を示すブロック図である。本例のマスフローコントローラ1は流体(以下の例では流体としてガスを例示するが、この流体が気体であることを限定するものではない)を流すための流路2を形成する流路ブロック3と、この流路ブロック3に連結された開閉制御弁4と、流量センサ5と、絞り部6と、2つの圧力センサ7と、開閉制御弁4を制御する制御部8と、フィルタ9とを有している。
前記流路2は例えば、流路ブロック3内をくり抜くように形成されており、第1流路2aおよび第2流路2bとを有している。また、流路2の上流端および下流端には配管取付け部3a,3bをそれぞれ設けている。なお、流路2の形成手順は掘削であっても、鋳型を用いたものであってもその他の方法であってもよく、第2流路2bを掘削などで形成する場合には流路ブロック3は少なくとも1か所において分離可能に形成する必要があるが、何れにしても流路ブロック3,3a,3bを全体的に一体成形することで、ガス漏れを防ぐことができる。」

(2)上記記載から、引用文献3には、次の技術的事項が記載されている。

「マスフローコントローラにおいて、マスフローコントローラが、流路を形成する流路ブロックと、この流路ブロックに連結された開閉制御弁と、流量センサと、絞り部と、2つの圧力センサと、開閉制御弁を制御する制御部と、フィルタとを有していること。」

4.引用文献4について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。(丸括弧内は、引用文献4に対応した日本出願の公表公報である特表2012-503833号公報をもとに、当審で付した和訳及び当該公表公報の関連箇所である。)

ア 第1欄第13?16行(段落【0002】)
“The present invention relates generally to mass flow controllers. In particular, but not by way of limitation, the present invention relates to methods and apparatus for operating a mass flow controller.”(本発明は、概略的には質量流量コントローラに関する。限定するつもりはないが、具体的には、本発明は、質量流量コントローラを動作させる方法および装置に関する。)

イ 第1欄下から8行?最終行(段落【0006】)
“Another illustrative embodiment is amethod of validating a mass flow controller thermal sensor. One such method comprises producing thermal sensor and pressure sensor signals, modifying the signals, and using the modified signals to calculate a mass flow rate of a substance flowing through a mass flow controller as measured by the thermal and pressure sensors. The mass flow rates are then compared in order to validate that the thermal sensor is operating properly.”(別の例示的な実施形態は、質量流量コントローラ熱センサを確認する方法である。そのような1つの方法は、熱センサ信号および圧力センサ信号を生成する機能と、信号を変換する機能と、熱センサおよび圧力センサによって測定される質量流量コントローラを通って流れている物質の質量流量を計算するのに変換信号を使用する機能とを含む。次に、熱センサが正常に動作していることを確認するために、質量流量が比較される。)

ウ 第2欄下から32行?下から20行(段落【0011】)
“Referring now to the drawings, where like or similar elements are designated with identical reference numerals throughout the several views where appropriate, and referring in particular to FIG. 1, it is a functional block diagram of a mass flow controller (MFC) 100 in accordance with an illustrative embodiment of the invention is shown. Base 105 of MFC 100 includes a main flow path 175 through which a flow substance, such as, but not limited to, a gas, flows. A bypass 110 directs a constant proportion of gas through a first tube 120 and the main path 175 by creating a pressure differential across the bypass, essentially creating an upstream high pressure gas flow section 180 and a downstream low pressure gas flow section 115.”(必要に応じて、いくつかの図面を通して同様または類似の要素を同一の参照番号で示す図面をここで参照し、特に図1を参照すると、図1は、本発明の例示的な実施形態による質量流量コントローラ(MFC)100の機能ブロック図を示すものである。MFC100の基底部105は、限定はしないが、ガスなどの流動物質が流れる主流経路175を含む。バイパス110は、該バイパスにわたって差圧を発生させることによって、第1の管120および主経路175を通して一定の割合のガスを導き、基本的に、上流高圧ガス流部分180および下流低圧ガス流部分115を生成する。)

エ 第2欄下から19行?下から10行(段落【0012】)
“The first tube 120, a small bore tube in this embodiment, is coupled to a thermal mass flow sensor 135 of the MFC 100.In one embodiment, sensing elements 125 and 130 are wound around the outside of the first tube 120. Each of the sensing elements 125 and 130 may be resistance-thermometer elements, which have a resistance that varies with temperature. However, it is to be appreciated that an embodiment may be comprised of other temperature sensing elements such as, but not limited to,thermopile or infra-red temperature sensing elements.”(この実施形態においては小口径管である第1の管120は、MFC100の質量流量熱センサ135に結合する。一実施形態において、検知素子125および130は、第1の管120の外側面の周りに巻かれる。検知素子125および130のそれぞれは、温度と共に変化する抵抗値を有する抵抗温度計素子とすることができる。しかし、一実施形態は、限定はしないが、サーモパイル、または赤外線温度検知素子などの別の温度検知素子から構成することができることを理解されたい。)

オ 第2欄下から9行?第3欄第2行(段落【0013】)
“In addition to the first tube 120, a second tube 165 is coupled to an upstream-main-flow-path-section 180. An opposing end of the second tube 165 is coupled to a pressure sensor 155. One pressure sensor that may be used in an embodiment is a modified Honeywell Model P-30-P differential pressure transducer, manufactured by Honeywell International Inc., of Golden Valley, Minn. A third tube 170 is coupled to the low pressure downstream section 115, with an opposing third tube end coupled to the pressure sensor 155. The second and third tubes 165 and 170 also comprise small bores in one embodiment, similar to the first tube 120 .”(第1の管120に加えて、第2の管165は、上流主流経路部分180に結合する。第2の管165の反対端は、圧力センサ155に結合する。一実施形態において使用することができる1つの圧力センサは、ミネソタ州、Golden ValleyのHoneywell International Inc.によって製造される改良型Honeywell Model P-30-P差圧変換器である。第3の管170は、低圧下流部分115に結合し、第3の管の反対端は、圧力センサ155に結合する。一実施形態において、第2の管165および第3の管170も、第1の管120と同様に、小口径を有する。)

カ 第4欄第28?45行(段落【0021】)
“Referring next to FIG. 2, shown is a flowchart 200 depicting an exemplary method for validating the output of the thermal sensor 135 which may be carried out in connection with the embodiments discussed with reference to FIG. 1. However, the method shown in FIG. 2, and the other methods described herein are not limited for use only with the embodiment shown in FIG. 1. In one method, in order to detect thermal sensor 135 drift, a first mass flow rate calculated from a first signal 185 produced by the thermal sensor 135 is compared to a second mass flow rate calculated from a second signal 190 produced by the pressure sensor 155. At 205, the thermal sensor 135 produces a thermal sensor output voltage, also referred to herein as the first signal 185. At 210, the first signal is then modified(e.g., through amplification, digital conversion, linearization, or otherwise)to at least partially produce the modified signal 195. Using a thermal-sensor-signal-portion of the modified signal, a first mass flow rate of a substance flowing through the mass flow controller 100 is calculated at 225.”(次に図2を参照すると、図1を参照して説明した実施形態に関連して実行することができる熱センサ135の出力を確認する例示的な方法を示すフローチャート200が示される。しかし、図2に示す方法および本明細書に説明する別の方法は、図1に示す実施形態のみを伴う使用には限定されない。1つの方法において、熱センサ135のドリフトを検出するために、熱センサ135によって生成される第1の信号185から計算される第1の質量流量が、圧力センサ155によって生成される第2の信号190から計算される第2の質量流量と比較される。205において、熱センサ135は、本明細書で第1の信号185とも呼ばれる、熱センサ出力電圧を生成する。210で、次に、第1の信号は、(たとえば、増幅、デジタル変換、線形化、または別の方法によって)変換され、少なくとも部分的に変換信号195を生成する。225において、変換信号の熱センサ信号部分を使用して、質量流量コントローラ100を通って流れている物質の第1の質量流量が計算される。)

キ 第4欄第46?55行(段落【0022】)
“A similar procedure is used to determine the second mass flow rate as determined by the pressure sensor 155. For example, at 215, a pressure sensor signal is produced, also referred to as a second signal 190. The second signal 190 may be amplified, digitized,linearized, or otherwise modified to produce at least a portion of the modified signal 195, which is then used to calculate a second mass flow rate of a substance flowing through the mass flow controller 100 (Blocks 220 and 230).The two mass flow rates are then compared to validate the thermal sensor output(Blocks 235 and 240).”(同様の手順が、圧力センサ155によって規定される第2の質量流量を決定するのに使用される。たとえば、215で、第2の信号190とも呼ばれる圧力センサ信号が生成される。第2の信号190は、増幅され、デジタル化され、線形化され、または別に変換され、変換信号195の少なくとも一部分を生成することができ、次に、変換信号195の少なくとも一部分は、質量流量コントローラ100を通って流れている物質の第2の質量流量を計算するのに使用される(ブロック220および230)。次に、2つの質量流量は、熱センサ出力を確認するために比較される(ブロック235および240)。)

ク 第1図には、“a main path 175”(主流経路175)に沿って、“a control valve 140”(コントロールバルブ140)の上流に“a thermal mass flow sensor 135”(質量流量熱センサ135)と“a pressure sensor 155”(圧力センサ155)とが並列に配置されていることが看取される。

(2)上記記載から、引用文献4には、次の技術的事項が記載されている。

「質量流量コントローラにおいて、コントロールバルブの上流に質量流量熱センサと圧力センサとが並列に配置され、前記質量流量熱センサによって生成される第1の信号から計算される第1の質量流量が、前記圧力センサによって生成される第2の信号から計算される第2の質量流量と比較され、質量流量コントローラ熱センサが正常に動作しているかを確認する技術。」

5.引用文献5について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 段落【0001】
「【発明の属する技術分野】本発明は絞り機構としてベンチュリー管またはフローノズルを用い、上下流の圧力差から流量を測定する差圧流量計に関し、更に詳しくは温度による流体の密度補正を行うようにした絞り機構に関する。」

イ 段落【0008】
「【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る差圧流量計の一実施の形態を示す断面図である。本実施の形態においては、絞り機構としてベンチュリー管を用いた差圧流量計に適用した例を示す。同図において、差圧流量計1は、配管2の直管部の途中に設けられたベンチュリー管3を備えている。ベンチュリー管3は、内径がdのスロート4と、スロート4の両端にそれぞれ連設されたテーパの緩やかな円錐管5a,5bと、内径がDで上流側の円錐管5aに連設された直管6とからなり、下流側の円錐管5bと直管6の端部に設けたフランジ7,8が配管2のフランジ9,10にそれぞれ接続されている。スロート4と直管6の上面には、圧力取出口11,12がそれぞれ設けられ、これらの圧力取出口11,12を導圧管13,14によって差圧計15の高圧側と低圧側にそれぞれ接続している。下流側の円錐管5bの外壁面には、内部が管路内に連通する筒状のセンサ装填部16が突設されている。このセンサ装填部16は、下流側に適宜角度傾斜して設けられ、内部に流体17の温度を測定する温度センサ18が挿入され取付けられている。センサ装填部16を下流側に傾斜させると内側開口端が上流側を指向するので、流体17をセンサ装填部16内に進入し易くし滞留するのを防止することができる。温度センサ18は熱電対、測温抵抗体等からなり、その測温部側端面18aが円錐管5bの内壁面5aと略同一面を形成するように位置付けられ流体17と接液している。また、温度センサ18とセンサ装填部16の内周面との間には適宜な隙間が形成されている。そして、温度センサ18は配線19によって前記差圧計15に接続されている。」

(2)上記記載から、引用文献5には、次の技術的事項が記載されている。

「差圧流量計において、流体の温度を測定する温度センサが取付けられること。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「バルブ3」は本願発明1の「制御弁」に相当し、以下同様に「ガス流量制御装置」は「質量流量コントローラ」に、「ガス入口」は「吸気口」に、「ガス出口」は「排気口」に、「第1の流量センサ1」は「第1の流量計」に、「第2の流量センサ2」は「第2の流量計」に、「第1の流量センサ1からの出力電圧」は「第1の流量測定信号」に、「第2の流量センサ2からの出力電圧」は「第2の流量測定信号」に、「予め設定してある異常値」は「所定の閾値」に、それぞれ相当する。

イ 上記アから、引用発明の「半導体装置の製造工程で使用し、単一のバルブ3を持つ主流路を画定するガス流量制御装置」は、本願発明1の「半導体工程のための単一の制御弁を持つ主流路を画定する、質量流量コントローラ」に相当する。

ウ 上記アから、引用発明の「前記ガス流量制御装置を通るガス流量に比例した第1の流量センサ1からの出力電圧を生成する」及び「前記ガス流量制御装置を通るガス流量に比例した第2の流量センサ2からの出力電圧を生成する」は、本願発明1の「前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第1の流量測定信号を生成する」及び「前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第2の流量測定信号を生成する」に相当する。

エ 引用発明において、「出力電圧から選ばれた1つと予め流すべきガス流量に応じて電圧設定回路7に設定された設定電圧とを比較制御回路6で比較し、その差に応じてバルブ3を駆動」する際、「バルブ3」を駆動するための「制御信号」を生成していることは明らかであるから、引用発明の「前記第1の流量センサ1からの出力電圧および前記第2の流量センサ2からの出力電圧から選ばれた1つと予め流すべきガス流量に応じて電圧設定回路7に設定された設定電圧とを比較制御回路6で比較し、その差に応じてバルブ3を駆動し」は、本願発明1の「前記第1の流量測定信号および前記第2の流量測定信号から選ばれた1つに基づいて制御信号を生成し」に相当する。

オ 上記アから、引用発明の「前記第1の流量センサ1からの出力電圧と前記第2の流量センサ2からの出力電圧の差が予め設定してある異常値を超えると警報器5を動作させる」は、本願発明1の「前記第1の流量測定信号と前記第2の流量測定信号の差が所定の閾値を超えた場合を示すアラーム信号を提供するように機能する」に相当する。

カ 引用発明の「比較回路4」および「比較制御回路6」は、「電圧設定回路7」とともに装置の制御を司る部分であるから、引用発明の「比較回路4および比較制御回路6」は、本願発明1における「システムコントローラ」に相当する。

キ 引用発明は、「出力電圧から選ばれた1つと予め流すべきガス流量に応じて電圧設定回路7に設定された設定電圧とを比較制御回路6で比較し、その差に応じてバルブ3を駆動」するものであるから、引用発明の「比較制御回路6によって駆動されてガス流量を一定に保つ」は、本願発明1における「システムコントローラによって提供された前記制御信号に応じて、前記質量流量コントローラを通るガスの質量流量を制御する」に相当する。

ク 上記アから、引用発明の「前記第1の流量センサ1および前記第2の流量センサ2によって生成された2つの出力電圧を受信し、これらの出力電圧のうち1つを前記バルブ3の駆動のために用いるように機能する比較制御回路6」は、本願発明1の「前記第1および前記第2の流量計によって生成された2つの信号を受信し、これらの信号のうち1つを前記制御弁のための前記制御信号のために用いるように機能する流量制御部」に相当する。

ケ 値を比較する際に、比較器を用いることは一般的な技術であるから、引用発明の「前記第1の流量センサ1および前記第2の流量センサ2によってそれぞれ生成された前記第1の流量センサ1からの出力電圧と前記第2の流量センサ2からの出力電圧を受信し、前記第1の流量センサ1および前記第2の流量センサ2のそれぞれから受信した前記第1の流量センサ1からの出力電圧と前記第2の流量センサ2からの出力電圧を比較し」、「その差が予め設定してある異常値を超えると警報器5を動作させるように機能する比較回路4」は、本願発明1の「前記第1および前記第2の流量計によってそれぞれ生成された前記第1および前記第2の流量測定信号を受信し、前記第1および前記第2の流量計のそれぞれから受信した前記第1および前記第2の流量測定信号の差を示す差信号を出力信号として生成するように機能する比較器」と、「前記差信号を所定の閾値と比較し、前記差信号が前記所定の閾値を超えた場合にアラーム信号を生成するように機能する閾値検出器」に相当する。

コ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
半導体工程のための単一の制御弁を持つ主流路を画定する、質量流量コントローラであって、
前記主流路を画定する導管を含み、吸気口と排気口とを有するブロックと、
前記主流路に沿って配置され、質量流量コントローラを通るガスの質量流量を、工程の実行中に実時間で測定し、前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第1の流量測定信号を生成するように機能する第1の流量計と、
前記主流路に沿って配置され、前記質量流量コントローラを通るガスの質量流量を、工程の実行中に実時間で測定し、前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第2の流量測定信号を生成するように機能する第2の流量計であって、前記第1の流量計と同時に質量流量を測定する第2の流量計と、
システムコントローラであって、前記第1の流量計と前記第2の流量計とのそれぞれによって生成された前記第1の流量測定信号と前記第2の流量測定信号とを受信し、前記第1の流量測定信号および前記第2の流量測定信号から選ばれた1つに基づいて制御信号を生成し、前記第1の流量測定信号および前記第2の流量測定信号のもう1つは選ばれた流量測定信号を検証するために当該システムコントローラによって使用され、前記第1の流量測定信号と前記第2の流量測定信号の差が所定の閾値を超えた場合を示すアラーム信号を提供するように機能するシステムコントローラと、
を含み、
前記制御弁は、前記主流路に沿って前記第1の流量計と前記第2の流量計との間に配置され、前記第1の流量計と前記第2の流量計とのそれぞれによって生成された前記第1の流量測定信号と前記第2の流量測定信号との両方を受信する前記システムコントローラによって提供された前記制御信号に応じて、前記質量流量コントローラを通るガスの質量流量を制御するように機能し、
前記システムコントローラは、
(i)前記第1および前記第2の流量計によって生成された2つの信号を受信し、これらの信号のうち1つを前記制御弁のための前記制御信号のために用いるように機能する流量制御部と、
(ii)前記第1および前記第2の流量計によってそれぞれ生成された前記第1および前記第2の流量測定信号を受信し、前記第1および前記第2の流量計のそれぞれから受信した前記第1および前記第2の流量測定信号の差を示す差信号を出力信号として生成するように機能する比較器と、
(iii)前記差信号を所定の閾値と比較し、前記差信号が前記所定の閾値を超えた場合にアラーム信号を生成するように機能する閾値検出器と
を含む、
質量流量コントローラ。

(相違点)
本願発明1は、「前記第1の流量計は熱質量流量計であり、前記第2の流量計は温度センサを含む差圧流量計であり」、「前記第1の流量計は前記制御弁の上流に配置され、前記第2の流量計は前記制御弁の下流に配置され」るのに対し、引用発明は、「第1の流量センサ1」及び「第2の流量センサ2」共に熱質量流量計であり、「バルブ3」の下流に配置される「第2の流量センサ2」が温度センサを含む差圧流量計ではない点。

(2)相違点についての判断
上記のとおり、引用発明は、2つの流量センサが共に熱質量流量計であり、「バルブ3」の下流に配置される「第2の流量センサ2」を、温度センサを含む差圧流量計に変更することは記載も示唆もされていない。
また、引用文献2-5には、熱質量流量計である第1の流量計を制御弁の上流に配置するとともに、温度センサを含む差圧流量計である第2の流量計を制御弁の下流に配置することは、一切記載されていない。
そうすると、「バルブ3」の下流に配置される「第2の流量センサ2」を、温度センサを含む差圧流量計に変更することを開示する証拠はないし、引用発明において、このような構成を採用する動機もない。
したがって、上記相違点に係る構成は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(3)本願発明1のむすび
したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-6について
本願発明2-6は、本願発明1の構成全てを引用した発明であって、本願発明1の相違点に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-6は、当業者が引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2020-03-24 
出願番号 特願2017-201833(P2017-201833)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G05D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大古 健一黒田 暁子  
特許庁審判長 見目 省二
特許庁審判官 青木 良憲
大山 健
発明の名称 質量流量コントローラ  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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