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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1361228
審判番号 不服2018-15777  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-28 
確定日 2020-04-02 
事件の表示 特願2017-154659「予測装置、予測方法、及び予測プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月28日出願公開、特開2019- 32771〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成29年8月9日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 5月30日付け:拒絶理由通知書
平成30年 7月30日 :意見書,手続補正書の提出
平成30年 8月22日付け:拒絶査定
平成30年11月28日 :審判請求書,手続補正書の提出



第2 平成30年11月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年11月28日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正による補正前後の特許請求の範囲は,次のとおりである。

(1)補正前特許請求の範囲
【請求項1】
ユーザの位置情報と,POI(Point of Interest)の位置情報とを取得する取得部と,
前記取得部により取得された前記ユーザの位置情報及び前記POIの位置情報に基づく前記ユーザの前記POIへの訪問に関する情報と,前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,前記対象に関連する需要を予測する予測部と,
を備えることを特徴とする予測装置。
【請求項2】
前記取得部は,
前記位置と前記対象とが対応付けられた情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記予測部は,
前記ユーザの位置情報に基づいて特定される前記対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の予測装置。
【請求項4】
前記予測部は,
前記位置において提供される提供物に関連する対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の予測装置。
【請求項5】
前記予測部は,
前記位置において提供される提供物である前記対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項4に記載の予測装置。
【請求項6】
前記予測部は,
前記位置において提供される提供物を要する前記対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項4に記載の予測装置。
【請求項7】
前記予測部は,
前記ユーザの位置情報に対応する時点よりも後における前記対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項1?6のいずれか1項に記載の予測装置。
【請求項8】
前記予測部は,
前記ユーザの位置情報に対応するユーザの第1行動に基づいて,前記第1行動よりも後における前記対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項1?7のいずれか1項に記載の予測装置。
【請求項9】
前記予測部は,
前記ユーザの前記第1行動に基づいて,前記第1行動よりも後の前記ユーザの行動であって,前記対象に関連する行動である第2行動を予測する
ことを特徴とする請求項8に記載の予測装置。
【請求項10】
前記予測部により予測された前記対象に関連する需要を示す情報を提供する提供部,
をさらに備えたことを特徴とする請求項1?9のいずれか1項に記載の予測装置。
【請求項11】
前記提供部は,
前記対象に関連する需要を示す情報を,前記対象に関連する事業者へ提供する
ことを特徴とする請求項10に記載の予測装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する予測方法であって,
ユーザの位置情報と,POI(Point of Interest)の位置情報とを取得する取得工程と,
前記取得工程により取得された前記ユーザの位置情報及び前記POIの位置情報に基づく前記ユーザの前記POIへの訪問に関する情報と,前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,前記対象に関連する需要を予測する予測工程と,
を含むことを特徴とする予測方法。
【請求項13】
ユーザの位置情報と,POI(Point of Interest)の位置情報とを取得する取得手順と,
前記取得手順により取得された前記ユーザの位置情報及び前記POIの位置情報に基づく前記ユーザの前記POIへの訪問に関する情報と,前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,前記対象に関連する需要を予測する予測手順と,
をコンピュータに実行させることを特徴とする予測プログラム。

(2)補正後特許請求の範囲(下線は,補正箇所)
【請求項1】
ユーザの位置情報と,POI(Point of Interest)の位置情報とを取得する取得部と,
前記取得部により取得された前記ユーザの位置情報及び前記POIの位置情報に基づく前記ユーザの前記POIへの訪問数の推移に関する情報と,前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,前記対象に関連する需要の変化に関する情報を予測する予測部と,
を備えることを特徴とする予測装置。
【請求項2】
前記取得部は,
前記位置と前記対象とが対応付けられた情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記予測部は,
前記ユーザの位置情報に基づいて特定される前記対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の予測装置。
【請求項4】
前記予測部は,
前記位置において提供される提供物に関連する対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の予測装置。
【請求項5】
前記予測部は,
前記位置において提供される提供物である前記対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項4に記載の予測装置。
【請求項6】
前記予測部は,
前記位置において提供される提供物を要する前記対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項4に記載の予測装置。
【請求項7】
前記予測部は,
前記ユーザの位置情報に対応する時点よりも後における前記対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項1?6のいずれか1項に記載の予測装置。
【請求項8】
前記予測部は,
前記ユーザの位置情報に対応するユーザの第1行動に基づいて,前記第1行動よりも後における前記対象に関連する需要を予測する
ことを特徴とする請求項1?7のいずれか1項に記載の予測装置。
【請求項9】
前記予測部は,
前記ユーザの前記第1行動に基づいて,前記第1行動よりも後の前記ユーザの行動であって,前記対象に関連する行動である第2行動を予測する
ことを特徴とする請求項8に記載の予測装置。
【請求項10】
前記予測部により予測された前記対象に関連する需要を示す情報を提供する提供部,
をさらに備えたことを特徴とする請求項1?9のいずれか1項に記載の予測装置。
【請求項11】
前記提供部は,
前記対象に関連する需要を示す情報を,前記対象に関連する事業者へ提供する
ことを特徴とする請求項10に記載の予測装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する予測方法であって,
ユーザの位置情報と,POI(Point of Interest)の位置情報とを取得する取得工程と,
前記取得工程により取得された前記ユーザの位置情報及び前記POIの位置情報に基づく前記ユーザの前記POIへの訪問数の推移に関する情報と,前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,前記対象に関連する需要の変化に関する情報を予測する予測工程と,
を含むことを特徴とする予測方法。
【請求項13】
ユーザの位置情報と,POI(Point of Interest)の位置情報とを取得する取得手順と,
前記取得手順により取得された前記ユーザの位置情報及び前記POIの位置情報に基づく前記ユーザの前記POIへの訪問数の推移に関する情報と,前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,前記対象に関連する需要の変化に関する情報を予測する予測手順と,
をコンピュータに実行させることを特徴とする予測プログラム。

2 補正の適否
(1)上記1によれば,本件補正は,次の補正事項を含むものである。
請求項1及び請求項1を引用する請求項2?11,請求項12並びに請求項13において,「前記ユーザの前記POIへの訪問に関する情報」が,「前記ユーザの前記POIへの訪問数の推移に関する情報」である旨(以下,「補正事項1」という。)を新たに特定するものである。
請求項1及び請求項1を引用する請求項2?11,請求項12並びに請求項13において,「前記ユーザの前記POIへの訪問に関する情報」と「前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報」とに基づき,「前記対象に関連する需要を予測する」ことが,「前記ユーザの前記POIへの訪問数の推移に関する情報」と「前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報」とに基づき,「前記対象に関連する需要の変化に関する情報を予測する」である旨(以下,「補正事項2」という。)を新たに特定するものである。
以下,補正の適否について検討をする。

(2)補正事項1について
補正事項1の「訪問数の推移」について,願書に最初に添付した特許請求の範囲,明細書及び図面(以下,「当初明細書等」という。)を参照すると,発明の詳細な説明【0031】【0032】等に「カーディーラーへ来場(訪問)したユーザの数を推定する」とあることから,当初明細書等に記載された事項である。
また,補正事項1は,補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「訪問に関する情報」について,「訪問数の推移に関する情報」との限定を付加するものであって,発明特定事項を上位概念から下位概念へ変更するものであり,補正前の請求項1に記載された発明と,補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって,特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(3)補正事項2について
ア 補正後の,「「前記ユーザの前記POIへの訪問数の推移に関する情報」と「前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報」とに基づき,「前記対象に関連する需要の変化に関する情報を予測する」」とは,対象に関連する「需要の変化」に関する情報の予測が,少なくとも,ユーザのPOIへの「訪問数の推移」に関する情報に基づいて行われることを特定するものである。

イ 当初明細書等には次の事項が記載されている。
(ア)
「【0010】
(実施形態)
〔1.予測処理〕
図1を用いて,実施形態に係る予測処理の一例について説明する。図1は,実施形態に係る予測処理の一例を示す図である。具体的には,図1は,予測装置100がユーザの位置情報と,位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,対象に関連する需要を予測する一例を示す図である。予測装置100は,所定の位置にあるPOI(興味のある地点:Point of Interest)に関連する対象に関連する需要を予測する。ここでいうPOIには,商品やサービスを提供する店舗や渡航に必要なビザの発給などを行う大使館等の種々の地点が含まれてもよい。また,POIは上記に限らず,学校や保育園等の教育機関やハローワーク等の行政機関等の種々の地点であってもよい。また,以下では,商品またはサービスを併せて「商品」と記載する場合がある。
【0011】
図1の例で,予測装置100は,カーディーラMAをPOIとして,対象に関連する需要を予測する。具体的には,予測装置100は,カーディーラMAで提供される提供物である車を対象として,需要を予測する。」

(イ)
「【0019】
予測装置100は,ユーザの位置情報と,位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,対象に関連する需要を予測する情報処理装置である。また,例えば,予測装置100は,対象に関連する需要を示す情報を,対象に関連する事業者へ提供する。例えば,予測装置100は,端末装置10からGPSや上記のような無線通信機能やビーコン等のユーザの位置に関する情報を取得し,それらの情報を組み合わせることにより,ユーザの位置の推定精度を高めてもよい。」

(ウ)
「【0021】
図1の例では,予測装置100は,ユーザU1?U5等が利用する端末装置10が有するGPSセンサ等の機能により,ユーザU1?U5が利用する端末装置10の位置を取得する。図1に示す地図情報MP1は,ユーザU1?U5の位置を模式的に示す。また,図1の例では,予測対象が「車」であり,ユーザのカーディーラへの訪問に関する情報に基づいて,ユーザによる車の購入契約に関する需要を予測する。」

(エ)
「【0034】
そして,予測装置100は,カーディーラへ訪問したユーザに関する情報に基づいて,対象「自動車」に関する需要を予測する(ステップS15)。すなわち,予測装置100は,ユーザのカーディーラ訪問という第1行動に基づいて,第1行動よりも後における対象「自動車」に関する需要を予測する。例えば,予測装置100は,カーディーラへ訪問したユーザの数の変化に基づいて,対象「自動車」に関する需要を予測する。図1の例では,予測装置100は,ユーザのカーディーラへの訪問に関する情報に基づいて,ユーザによる車の購入契約に関する需要を予測する。
【0035】
例えば,予測装置100は,図1中の関係情報記憶部124に示すようなカーディーラへの訪問と,車の購入契約との関係に関する情報に基づいて,ユーザによる車の購入契約に関する需要を予測する。このように,予測装置100は,ユーザのカーディーラ訪問という第1行動に基づいて,第1行動よりも後における車の購入契約という第2行動を予測する。これにより,予測装置100は,ユーザのカーディーラ訪問という第1行動に基づいて,第1行動よりも後における対象「自動車」に関する需要を予測する。
【0036】
図1中の関係情報記憶部124に示す「対象」は,ユーザの需要の対象を示す。図1中の関係情報記憶部124に示す「関係情報」は,対応する対象に関連するユーザの行動やその行動間の相関等を示す。図1中の関係情報記憶部124に示す「段階」は,対象に関してユーザが行う行動の段階を示す。例えば,「段階N(Nは任意の数値)」は,「段階N+1」の前に行われる行動を示す。」

(オ)
「【0044】
図1の例では,予測装置100は,推移グラフSG11と関係情報記憶部124中の対象「自動車」に関する関係情報とに基づいて,ユーザによる車の購入契約に関する需要を予測する。例えば,予測装置100は,予測時点が日時DT12である場合,日時DT11から日時DT12までのカーディーラを訪問したユーザ数の変化やカーディーラ訪問と購入契約との間の関係情報とに基づいて,ユーザによる車の購入契約に関する需要を予測する。」

(カ)
「【0047】
上述のように,予測装置100は,ユーザの位置情報と,位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,対象に関連する需要を予測する。図1の例では,予測装置100は,ユーザの位置情報を用いてカーディーラへ訪問したユーザを捕捉し,そのユーザ数の変化に基づいて対象「自動車」の購入契約に関する需要を予測する。これにより,予測装置100は,ユーザの位置情報を用いてカーディーラへ訪問という行動(第1行動)から対象「自動車」の購入契約(第2行動)を適切に予測することができる。したがって,予測装置100は,需要を適切に予測することができる。」

(キ)
「【0050】
例えば,予測装置100は,学校や保育園等の教育機関が提供する教育サービスを受けるためにその教育機関への入学(入園)に関する需要を予測してもよい。この場合,例えば,予測装置100は,学校や保育園等の教育機関の説明会に参加したユーザの数に基づいて,その教育機関への入学(入園)に関する需要を予測してもよい。
【0051】
この場合,予測装置100は,ユーザの教育機関の説明会への参加という第1行動に基づいて,第1行動よりも後における対象「教育機関」に関する需要を予測する。例えば,予測装置100は,教育機関の説明会へ参加したユーザの数の変化に基づいて,対象「教育機関」が提供するサービスに関する需要を予測する。例えば,予測装置100は,ユーザの教育機関の説明会への参加に関する情報に基づいて,教育機関への入学に関する需要を予測する。
【0052】
また,例えば,予測装置100は,教育機関の説明会に参加した第1ユーザ(保護者)の数に基づいて,その教育機関への入学(入園)を希望する第2ユーザ(被保護者)に関する需要を予測してもよい。例えば,予測装置100は,教育機関の説明会に参加した第1ユーザである親の数に基づいて,その教育機関への入学(入園)する子供の数を予測してもよい。例えば,予測装置100は,教育機関に受験制度がある場合,教育機関の説明会に参加した第1ユーザに基づいて,その教育機関の入学倍率を,その教育機関に関する需要として予測してもよい。」

(ク)
「【0054】
例えば,予測装置100は,カーディーラMA内におけるユーザの位置情報を取得し,ユーザが各車種の車に近接する位置に滞在する時間に応じて,いずれの車種を対象としてユーザがカーディーラMAへ訪問したかを推定してもよい。例えば,予測装置100は,カーディーラMA内においてユーザU1が,各車種のうち,車種「車X」に近接する位置に最も長く滞在している場合,ユーザU1が,車種「車X」を目的としてカーディーラMAへ訪問したと推定してもよい。例えば,予測装置100は,端末装置10からGPSや上記のような無線通信機能やビーコン等のユーザの位置に関する情報を取得し,それらの情報を組み合わせることにより,ユーザの位置の推定精度を高め,ユーザがどの車種の付近に滞在するかを捕捉してもよい。このように,予測装置100は,ユーザの位置情報に基づいて対象を特定し,特定した対象に関連する需要を予測する。例えば,予測装置100は,ユーザの位置情報に基づいて5つの車種のいずれを対象とするかを特定し,特定した車種を対象として需要を予測する。」

(ケ)
「【0056】
また,予測装置100は,POIが市役所等の役所や大使館等である場合,ユーザの位置と各種手続きを受け付ける位置等に基づいて,ユーザの目的とする対象(提供物)を特定してもよい。例えば,予測装置100は,POIが大使館である場合,ユーザの位置がビザ申請の受付け窓口の前に一定時間滞在する場合,ユーザがビザ申請の手続きに大使館に訪問したと特定してもよい。例えば,予測装置100は,POIが市役所である場合,ユーザの位置が転入届等の住民異動届の受付け窓口の前に一定時間滞在する場合,ユーザが住民異動届の手続きに役所に訪問したと特定してもよい。」

(コ)
「【0057】
〔1-2.複数段階の需要予測〕
なお,図1の例では,予測装置100がN段階の行動の情報に基づいて,N+1段階の行動に関する需要を予測する場合を示したが,予測装置100は,N+2段階の行動に関する需要を予測してもよい。この場合,予測装置100は,N段階の行動の情報に基づいて,N+2段階の行動に関する需要を予測してもよいし,予測したN+1段階の行動に基づいて,N+2段階の行動に関する需要を予測してもよい。また,予測装置100は,位置情報により捕捉したN+1段階の行動に基づいて,N+2段階の行動に関する需要を予測してもよい。
【0058】
図1の例では,予測装置100は,カーディーラ訪問の情報から,車の購入契約に関する需要を予測した後,車の購入契約に関する予測を用いて,対象「自動車」について保険加入に関する需要を予測してもよい。このように,予測装置100は,位置情報に基づく1つのユーザの行動情報から,連鎖的に他の行動を推定し,需要を予測してもよい。」

(サ)
「【0066】
〔1-5.予測について〕
なお,図1の例では,前段階(N段階)の行動(第1行動)を行ったユーザ数の変化に応じて,次段階(N+1段階)の行動(第2行動)を行うユーザ数の変化を予測する場合を示したが,予測装置100は,種々の情報を用いて対象に関連する需要を予測してもよい。例えば,予測装置100は,第1行動を行ったユーザ数から第2行動を行うユーザ数を予測してもよい。」

(シ)
「【0093】
例えば,図7に示す例において,対象「自動車」は,段階として「N段階」?「N+2段階」等の需要を予測する段階があることを示す。また,対象「自動車」の「N段階」は,行動種別「ディーラ訪問」であることを示す。また,また,対象「自動車」の「N+1段階」は,行動種別「購入契約」であることを示す。また,対象「自動車」の行動種別「ディーラ訪問」から行動種別「購入契約」に移行するまでの期間については期間「TM11」であることを示す。また,対象「自動車」の行動種別「ディーラ訪問」と行動種別「購入契約」との相関については相関「RT11」であることを示す。」

(ス)
「【0105】
予測部133は,取得部131により取得されたユーザの位置情報と,位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,対象に関連する需要を予測する。例えば,予測部133は,ユーザの位置情報に基づいて特定される対象に関連する需要を予測する。例えば,予測部133は,位置において提供される提供物に関連する対象に関連する需要を予測する。
【0106】
例えば,予測部133は,位置において提供される提供物である対象に関連する需要を予測する。例えば,予測部133は,位置において提供される提供物を要する対象に関連する需要を予測する。
【0107】
例えば,予測部133は,ユーザの位置情報に対応する時点よりも後における対象に関連する需要を予測する。例えば,予測部133は,ユーザの位置情報に対応するユーザの第1行動に基づいて,第1行動よりも後における対象に関連する需要を予測する。例えば,予測部133は,ユーザの第1行動に基づいて,第1行動よりも後のユーザの行動であって,対象に関連する行動である第2行動を予測する。
【0108】
例えば,予測部133は,第1行動の変化に基づいて,第2行動の変化を予測する。例えば,予測部133は,ユーザの第1行動の時点から,対象に応じて変動する期間経過後のユーザの前記第2行動を予測する。
【0109】
図1の例では,予測部133は,カーディーラMAやカーディーラMB等の複数のPOIの情報を用いて,需要を予測する。例えば,予測部133は,カーディーラMAやカーディーラMB等の各POIの位置と,各ユーザU1?U5等の位置との比較に基づいて,所定の期間におけるカーディーラへ来場(訪問)したユーザの数を推定する。
【0110】
例えば,予測部133は,日時DT1にユーザU1がPOIであるカーディーラMAに位置したことを示す情報に基づいて,日時DT1にユーザU1がカーディーラMAに訪問したと推定する。例えば,予測部133は,日時DT2にユーザU2がPOIであるカーディーラMAに位置したことを示す情報に基づいて,日時DT2にユーザU2がカーディーラMAに訪問したと推定する。
【0111】
図1の例では,予測部133は,カーディーラへ訪問したユーザに関する情報に基づいて,対象「自動車」に関する需要を予測する。例えば,予測部133は,ユーザのカーディーラ訪問という第1行動に基づいて,第1行動よりも後における対象「自動車」に関する需要を予測する。例えば,予測部133は,カーディーラへ訪問したユーザの数の変化に基づいて,対象「自動車」に関する需要を予測する。例えば,予測部133は,ユーザのカーディーラへの訪問に関する情報に基づいて,ユーザによる車の購入契約に関する需要を予測する。
【0112】
例えば,予測部133は,図1中の関係情報記憶部124に示すようなカーディーラへの訪問と,車の購入契約との関係に関する情報に基づいて,ユーザによる車の購入契約に関する需要を予測する。例えば,予測部133は,ユーザのカーディーラ訪問という第1行動に基づいて,第1行動よりも後における車の購入契約という第2行動を予測する。例えば,予測部133は,ユーザのカーディーラ訪問という第1行動に基づいて,第1行動よりも後における対象「自動車」に関する需要を予測する。
【0113】
図1の例では,予測部133は,推移グラフSG11と関係情報記憶部124中の対象「自動車」に関する関係情報とに基づいて,ユーザによる車の購入契約に関する需要を予測する。例えば,予測部133は,予測時点が日時DT12である場合,日時DT11から日時DT12までのカーディーラを訪問したユーザ数の変化やカーディーラ訪問と購入契約との間の関係情報とに基づいて,ユーザによる車の購入契約に関する需要を予測する。」

(セ)
「【0131】
図9の例では,予測装置100は,X国大使館EMに訪問し,ビザを申請したユーザの数,日時DT21から日時DT22の間において,ビザ申請者数CN21からビザ申請者数CN22に上昇したことを示す推移グラフSG21を生成する。
【0132】
そして,予測装置100は,X国大使館EMに訪問し,ビザを申請したユーザに関する情報に基づいて,対象「X国」に関する需要を予測する(ステップS25)。すなわち,予測装置100は,ユーザのX国のビザ申請という第1行動に基づいて,第1行動よりも後における対象「X国」に関する需要を予測する。例えば,予測装置100は,X国大使館EMに訪問し,ビザを申請したユーザの数の変化に基づいて,対象「X国」に関する需要を予測する。図9の例では,予測装置100は,ユーザのX国のビザ申請に関する情報に基づいて,ユーザによるX国への渡航に関する需要を予測する。このように,予測装置100は,位置に対応するPOI(X国大使館EM)において提供されるX国のビザを要するユーザによるX国への渡航に関する需要を予測する。
【0133】
例えば,予測装置100は,図9中の関係情報記憶部124に示すようなX国のビザ申請と,X国への渡航との関係に関する情報に基づいて,ユーザによるX国への渡航に関する需要を予測する。このように,予測装置100は,ユーザのX国のビザ申請という第1行動に基づいて,第1行動よりも後におけるX国への渡航という第2行動を予測する。これにより,予測装置100は,ユーザのX国のビザ申請という第1行動に基づいて,第1行動よりも後における対象「X国」に関する需要を予測する。
【0134】
例えば,図9に示す例において,対象「X国」は,段階として「N段階」?「N+1段階」等の需要を予測する段階があることを示す。また,対象「X国」の「N段階」は,行動種別「ビザ申請」であることを示す。また,また,対象「X国」の「N+1段階」は,行動種別「渡航」であることを示す。」

(ソ)
「【0138】
図9の例では,予測装置100は,推移グラフSG21と関係情報記憶部124中の対象「X国」に関する関係情報とに基づいて,ユーザによるX国への渡航に関する需要を予測する。例えば,予測装置100は,予測時点が日時DT22である場合,日時DT21から日時DT22までのビザを申請したユーザ数の変化やX国のビザ申請と渡航との間の関係情報とに基づいて,ユーザによるX国への渡航に関する需要を予測する。」

ウ 当初明細書等の上記イの記載から,当初明細書等には次の事項が記載されていると認められる。
(ア)ユーザがPOIに訪問したとの行動(段階N)から,ユーザの次の行動(段階N+1)の結果を「需要」として予測することが記載されている(【0036】【0057】【0108】)。具体例として,ユーザの位置情報と,位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,対象に関連する需要を予測するものであって(【0105】?【0107】),ユーザの位置情報と,位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,POIに訪問したことを予測し,POIに関連する需要を予測することが記載されている。より具体的には,カーディーラ訪問や車種「車X」に近接する位置に最も長く滞在するという第1の行動に基づいて,「自動車」や車種「車X」に関する需要を予測すること(【0021】【0035】【0054】【0093】【0109】?【0112】),教育機関の説明会に参加したユーザ数に基づいて,教育機関への入学(入園)に関する需要を予測すること(【0050】?【0052】),役所や大使館等である場合,ユーザの位置がビザの申請の受付け窓口の前に一定時間滞在する場合,ユーザがビザ申請の手続きに大使館に訪問したと特定し,ユーザの位置が転入届等の住民異動届の受付け窓口の前に一定時間滞在する場合,ユーザが住民異動届の手続きに役所に訪問したと特定すること(【0056】【0133】【0134】)が記載されている。

(イ)「〔1-2.複数段階の需要予測〕」として,予測したN+1段階の行動に基づいて,N+2段階の行動に関する需要を予測してもよいことが記載されている(【0057】)。具体例として,「車の購入契約」に関する需要を予測した後,車の購入契約に関する予測を用いて,対象「自動車」について「保険加入」に関する需要を予測することが記載されている(【0058】)。

(ウ)ユーザの数の変化に基づき需要を予測することが記載されている。具体的には,カーディーラへ訪問したユーザの数の変化に基づき,対象「自動車」に関する需要を予測すること(【0034】【0044】【0047】【0113】),教育機関の説明会へ参加したユーザの数の変化に基づいて,対象「教育機関」が提供するサービスに関する需要を予測すること(【0051】),X国大使館EMに訪問し,ビザを申請したユーザの数の変化に基づいて,対象「X国」に関する需要を予測すること(【0131】【0132】【0138】)が記載されている。

エ しかしながら,当初明細書等には,上記ウ(ア)では,カーディーラ等への訪問である第1の行動(段階N)から,次の段階(段階N+1)の結果を「需要」として予測するものの,「需要の変化」に関する情報を予測するものではない。上記ウ(イ)では,第N+1段階の行動が予測された需要を意味する「車の購入契約」であり,第N+2段階の行動が予測される需要である「保険加入」であるとして,「需要の変化」に関する情報を予測するものであるとしても,この「需要の変化」に関する情報の予測は,第N+1段階の行動に基づき第N+2段階の行動を予測するものであって,ユーザの位置情報と,POIの位置に基づくユーザのPOIへの「訪問数の推移」に関する情報に基づいて行われるものではない。上記ウ(ウ)では,ユーザの位置と,ユーザ数の変化という「訪問数の推移」基づき,「自動車」等の需要の予測を行うものの,「需要の変化」に関する情報を予測するものではない。
また,当初明細書等のその他の記載を参照しても,「前記ユーザの前記POIへの訪問数の推移に関する情報」と「前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報」とに基づき,「前記対象に関連する需要の変化に関する情報を予測する」ことは,記載されておらず,当初明細書等の記載から自明な事項であるともいえない。

オ このように,上記補正により補正された「「前記ユーザの前記POIへの訪問数の推移に関する情報」と「前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報」とに基づき,「前記対象に関連する需要の変化に関する情報を予測する」」ことは,当初明細書等には記載がなく,当初明細書等から自明の事項でもないから,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。

カ したがって,本件補正は,当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず,特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

キ 補正事項2が,当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであると仮定をして,補正の目的の要件を満たすか否かを,以下で検討する。

ク 補正前の「「前記ユーザの前記POIへの訪問に関する情報」と「前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報」とに基づき,「前記対象に関連する需要を予測する」」ことは,対象に関連する「需要」を予測することである。これに対し,補正後の「「前記ユーザの前記POIへの訪問数の推移に関する情報」と「前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報」とに基づき,「前記対象に関連する需要の変化に関する情報を予測する」」ことは,POIへの「訪問数の推移」という,訪問数の時間による変化に関する情報と,POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づき,需要の「変化」に関する情報を予測することである。
このように,需要の予測に関する点で,産業上の技術分野は同一であるといえるものの,解決しようとする課題が,補正前では,POIへの訪問に関する情報に基づいた需要の予測するためのものであるのに対し,補正後では,POIへの「訪問数の推移」に関する情報に基づいた,「需要の変化」を予測するためのものであるため,補正前後で解決しようとする課題が異なることは明らかである。

ケ このように,補正事項2は,補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「「前記ユーザの前記POIへの訪問に関する情報」と「前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報」とに基づき,「前記対象に関連する需要を予測する」」ことを,「「前記ユーザの前記POIへの訪問数の推移に関する情報」と「前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報」とに基づき,「前記対象に関連する需要の変化に関する情報を予測する」」とするものであって,補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の解決しようとする課題が同一であるとはいえないことから,減縮を目的とする補正であるとは認められない。

コ さらに,補正事項2は,請求項の削除,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明を目的とするものではないことは明らかである。

サ よって,補正事項2は,特許法17条の2第5項各号のいずれを目的とするものではない。

3 小括
以上のとおり,本件補正は,特許法17条の2第3項の規定に違反するものであり,同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
仮に,本件補正が,特許法17条の2第3項で規定する要件を満たすとしても,特許法17の2第5項各号の規定に違反するものであり,同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。

よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。



第3 本願発明について

1 本願発明
平成30年11月28日付け手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?13に係る発明は,平成30年7月30日にされた手続補正により補正された請求項1?13に記載された事項により特定されるものと認められるところ,その請求項12に係る発明(以下「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。
「 【請求項12】
コンピュータが実行する予測方法であって,
ユーザの位置情報と,POI(Point of Interest)の位置情報とを取得する取得工程と,
前記取得工程により取得された前記ユーザの位置情報及び前記POIの位置情報に基づく前記ユーザの前記POIへの訪問に関する情報と,前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報とに基づいて,前記対象に関連する需要を予測する予測工程と,
を含むことを特徴とする予測方法。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由1は,この出願の請求項1-3,7-13に係る発明は,本願の出願の日前に頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない,というものである。

引用文献1:国際公開第2015/151199号

3 引用文献1に記載されている事項
原査定の拒絶の理由で引用された,本願出願の前に,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,国際公開第2015/151199号公報(2015年10月8日国際公開,以下「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(1)
「 本発明の目的は,需要者の商品やサービスを入手するための事前活動に基づき,より精度の高い需要予測を行うことができる需要予測システム,需要予測方法およびプログラムを提供することにある。」([0006])

(2)
「 図1は,本発明の実施形態にかかる需要予測システムの構成の一例を示す図である。この需要予測システムは,検索サーバ1と,需要予測サーバ2と,ユーザ端末3と,店舗サーバ4と,注文端末5とを含む。これらは,ネットワーク6を介して接続されている。ネットワーク6は,例えばローカルエリアネットワークやインターネットといったものである。
検索サーバ1および需要予測サーバ2は,サーバコンピュータであり,データセンタなどに設置されている。検索サーバ1は,ユーザ端末3からの検索要求に応じてデータベース等から情報を検索し,検索された情報をユーザ端末3に向けて返信するとともにその検索に関するログをデータベースなどに格納させる。需要予測サーバ2は,そのログに基づいて,飲食サービスに関する需要を予測する。ユーザ端末3は,例えばスマートフォンなどの携帯情報端末やパーソナルコンピュータのようなコンピュータである。検索サーバ1はウェブサーバプログラム(httpdなど)を実行しており,検索サーバ1とユーザ端末3との間はhttpプロトコルになどにより通信する。ブラウザプログラムを実行するユーザ端末3はユーザが入力した要求を検索サーバ1に送信し,ユーザ端末3は検索サーバ1から送信された情報に応じた画面を表示手段に出力させる。」([0025]?[0026])

(3)
「 図3は,需要予測システムが実現する機能を示すブロック図である。需要予測システムは,機能的に,要求取得部51と,情報返信部52と,需要予測算出部53と,需要予測送信部54と,需要予測受信部55と,追加利用額推定部56と,クーポン発行判定部57と,クーポン出力部58と,商品サービス情報格納部61と,ログ格納部62と,注文履歴格納部63と,を含む。」([0033])

(4)
「 図5は,検索条件入力画面の一例を示す図である。図5に示す画面は,特定のURLを入力することによりユーザ端末3側の画面に表示されるグルメ情報サイトのトップページであり,検索用のキーワードを入力する欄,検索したい店舗が存在する地域を入力する欄,および飲食サービスのジャンルを選択する欄を含む検索条件入力領域70を有している。ユーザが検索条件入力領域70にキーワード,地域,ジャンルといった検索条件を入力し「検索」ボタンを押下すると,ユーザ端末3はそれらの検索条件を含む検索要求データを検索サーバ1に向けて送信する。そして,要求取得部51は検索条件を含む検索要求データを受信する。」([0040])

(5)
「 要求取得部51が検索条件を含む検索要求データを受信すると,情報返信部52はその検索条件を含む検索クエリを用いて商品サービス情報格納部61に含まれる商品やサービスの情報を検索し,その検索条件を満たす商品やサービスを項目とするリストであるリストデータを取得する。そして,情報返信部52はそのリストデータに基づいてリスト画面データを生成し,生成されたリスト画面データを検索要求を送信したユーザ端末3に送信する。ユーザ端末3はリスト画面データを受信し,リスト画面を表示出力デバイスに表示させる。また情報返信部52はこの検索条件を含む検索ログのデータをログ格納部62に格納する。」([0042])

(6)
「 より具体的には,需要予測算出部53はログ格納部62に格納される検索ログや詳細表示ログを取得し,その取得されたデータに基づいて,商品やサービスを購入する人数の予測値(人数予測値)や,その人が購入の際に支払う金額の予測値(金額予測値)を算出する。なお,需要予測値の算出には必ずしもログ格納部62に格納されるデータを用いなくてもよい。この詳細については後述する。」([0050])

(7)
「 次に,検索サーバ1が実行する処理についてさらに説明する。図7は,検索サーバ1の処理フローの一例を示す図である。この処理フローは,要求取得部51が検索条件を含む検索要求データを受信するたびに実行され,検索要求データのそれぞれに対して実行される。以下では,本需要予測システムが取り扱う商品やサービスは,具体的には飲食サービスであり,またその飲食サービスの種類として店舗そのものを用いている場合の処理の詳細について説明する。以下の記載で特に断りのない場合,飲食サービスを示す「店舗」を,他の商品やサービスに置き換えた処理が実行されてもよい。
要求取得部51が検索要求データを取得すると,はじめに,情報返信部52は検索要求データに含まれる店舗の検索条件を取得する(ステップS101)。次に,情報返信部52はその検索条件を用いて商品サービス情報格納部61を検索し,検索条件を満たす店舗情報のリスト(リストデータ)を取得する(ステップS102)。
図8は,商品サービス情報格納部61に格納される店舗情報の一例を示す図である。店舗情報は,店舗(飲食サービス)を一意に特定するサービスIDと,名称と,店舗(飲食サービス)のジャンルと,店舗が存在するエリアと,検索条件中の検索キーワードによる検索対象となるキーワードと,それぞれ時間帯ごとの平均的な予算の額を示す予算昼,予算夕および予算夜と,いった属性の情報を含む。また図8に示される属性は一部であり,店舗情報は他の属性も含んでいてよい。エリアはユーザが検索しやすいように,都道府県とさらに細分化された街との2種類の情報を含んでいる。ここで,店舗情報は飲食サービスの情報でもある。ジャンル,エリア,予算,キーワードといった情報はそれだけで商品やサービス(ここでは店舗)を一意に特定することができない属性の情報であり,また複数の商品やサービスについて同じ情報が設定されうる属性である。図8には,5つの店舗(飲食サービス)についての店舗情報しか記載されていないが,実際にはより多くの店舗情報が商品サービス情報格納部61に格納されている。
情報返信部52が店舗情報のリストを取得すると,情報返信部52は各店舗の人気などに応じてリスト中の店舗情報の表示順を決定し(ステップS103),表示順にソートされた店舗情報のリスト(以下ではリストに含まれる店舗情報を「項目」とも記載する)を含むリスト画面のリスト画面データを生成し,そのリスト画面データをユーザ端末3に向けて送信する(ステップS104)。ここで,情報返信部52は検索条件を満たすすべての店舗の情報をリスト画面データで送らず,例えば表示順があらかじめ与えられた閾値以下である(例えば10位)までの店舗の情報を含むリストを送信する。
そして,情報返信部52は検索条件を示す情報やリストデータに含まれる店舗情報の件数(ヒット件数)などを含む検索ログをログ格納部62に格納する(ステップS105)。図9は,ログ格納部62に格納される検索ログの一例を示す図である。検索ログは,検索IDと,検索時刻と,ユーザIDと,検索条件として与えられたエリア,ジャンルおよびキーワードと,ヒット件数と,表示項目リストと,ユーザ位置などの属性を含む。検索IDは検索ログの対象となる検索要求などを一意に識別するものであり,検索時刻は要求取得部51が検索要求を受信して情報返信部52がリスト画面データを返信する処理を行った時刻であり,ユーザIDは検索要求データを送信したユーザを特定するIDであり,ヒット件数は検索要求に含まれる検索条件を満たした件数であり,商品サービス情報格納部61からみつかった項目の件数である。表示項目リストはリスト画面データとしてユーザ端末3に情報が送られた項目のリストであり,ユーザ位置は検索要求データに含まれる情報でありユーザが検索する際にどの町に居たかなどを示す位置の情報である。」([0052]?[0056])

(8)
「 図12や図13に示す処理フローは,需要予測サーバ2がログ格納部62に格納された情報を用いて需要を予測するための処理の例を示すものであり,この例では需要を予測する対象となる店舗ごとに一定時間ごと(例えば15分ごと)に処理が実行される。なお,以下では予測対象となる店舗を「対象店舗」とも記載する。またこの例では,需要予測算出部53は店舗に来店すると予測される人数である人数予測値と,その来店する人のそれぞれが支払うと予測される金額である金額予測値とを予測する。
はじめに,需要予測算出部53は,商品サービス情報格納部61から,対象店舗の店舗情報に含まれるエリア,ジャンル,キーワードなどの属性の情報を取得する(ステップS201)。これらの属性は,検索要求データに含まれる検索条件による検索対象となりうる属性である。例えば図8に示すサービスIDが「r0001」の店舗が需要予測の対象である場合,需要予測算出部53はジャンル「和食」,エリア「東京都>銀座」,キーワード「薬膳」,「座敷」,「居酒屋」といった情報を取得する。また需要予測算出部53は,別途予算昼,予算夕,予算夜の属性の情報も取得する。
次に,需要予測算出部53は取得されたエリア,ジャンル,キーワードなどを組み合わせて1または複数のログ検索条件を生成する(ステップS202)。1または複数のログ検索条件の組は,対象店舗が検索されうる検索条件を網羅するものである。なお,この例では,検索条件によって検索される場合,その検索条件と完全一致となる店舗の情報が検索されることを前提としている。対象店舗についての複数のログ検索条件の例は,1番目のログ検索条件:ジャンル=「和食」 AND エリア=「東京都」,2番目のログ検索条件:ジャンル=「和食」 AND エリア=「東京都>銀座」,3番目のログ検索条件:ジャンル=「和食」 AND エリア=「東京都」 AND キーワード=「薬膳」,4番目のログ検索条件:ジャンル=「和食」 AND エリア=「東京都」 AND キーワード=「薬膳」 AND キーワード=「座敷」・・・といったものである。仮にこれらのログ検索条件のいずれで店舗情報が検索されても,対象店舗は検索結果のリスト中に存在することになる。なお,実際に検索をする際には,例示したログ検索条件の内容に加えて,検索時刻が現在から一定の範囲(例えば60分前から現在まで)にあるという条件も検索条件に付加される。
次に需要予測算出部53は変数iに1を代入して初期化する(ステップS203)。変数iはログ検索条件の番号に相当する。需要予測算出部53はi番目のログ検索条件を用いて,ログ格納部62に格納される検索ログのリストを抽出する(ステップS204)。なお,この検索をすべてのログ検索条件について行うことで,需要予測算出部53はこの対象店舗が満足している条件を含む受付済みのユーザリクエストを抽出する。
次に,需要予測算出部53は変数jに1を代入して初期化する(ステップS205)。変数jは検索ログのリスト内の順位に相当する。そして需要予測算出部53はj番目の検索ログを取得し(ステップS206),その検索ログによる需要予測値への寄与を算出する。より具体的には,まず需要予測算出部53はj番目の検索ログに含まれる表示項目リストの中に対象店舗が含まれるか否か確認する(ステップS207)。この結果は後述する人数増期待値の計算で用いられる。次に需要予測算出部53はj番目の検索ログに含まれるユーザIDを検索条件として検索ログを検索し,その検索条件を満たす検索ログの件数を取得する(ステップS208)。
需要予測算出部53は検索ログに応じた人数増期待値mを算出し,その人数増期待値mを人数予測値に加算する(ステップS209)。人数増期待値mは,例えば以下の計算式を用いて計算される。

[数1]

cはヒット件数,uは同一ユーザの検索ログの件数,p1xはユーザの位置の経度,p1yはユーザの位置の緯度,p2xは店舗の位置の経度,p2yは店舗の位置の緯度である。関数gはユーザの位置と店舗の位置とが近くなるほど値が大きくなる関数であり,最大値は1以下となる関数である。aはステップS207でリスト画面データにどの店舗の情報を含むかを示す表示項目リスト中に対象店舗が含まれているか否かに応じた値をとり,対象店舗が含まれていない場合の値は含まれている場合の値より小さい。なお,ここでいう人数予測値は計算途中の値を格納する積算変数であり,全ての検索ログや詳細表示ログについての処理が終わると,需要予測算出部53により算出された本物の人数予測値となる。
人数予測値は,対象店舗が満たす検索条件を有するユーザリクエストの数が多いほど大きくなり,またそれぞれのユーザリクエストに含まれる検索条件を満たす店舗の数が多いほど小さくなる。また人数予測値は,それぞれのユーザリクエストを送信するユーザが送信する他のユーザリクエストの数が多いほど小さくなり,それぞれのユーザリクエストに含まれるユーザの位置が対象店舗の位置に近いほど大きくなる。こうすることで,あるユーザが複数の対象店舗を検索をすることによって当該検索の対象となった複数の対象店舗の予測値が不必要に上昇する現象を抑え,またリストに表示されたか,ライバルとなる他の商品やサービスが多いかなどの事情も考慮された予測値を算出することが可能となる。
人数予測値が加算されると,需要予測算出部53は検索ログに含まれるユーザが対象店舗を利用する場合の利用金額を予測する(ステップS210)。金額を予測する際には,需要予測算出部53は需要予測サーバ2に接続される図示しない決済システムから検索ログに含まれるユーザIDのユーザの飲食サービスに対する過去の支払履歴として店舗のサービスIDと支払額と支払時刻とを取得し,そのサービスIDで特定される店舗情報におけるその支払時刻に応じた予算と支払額との比を計算する。また支払履歴が複数ある場合には需要予測算出部53はそれぞれについて計算した比の平均をとる。需要予測算出部53は,このようにして計算された比の値を対象店舗の店舗情報における現在時刻に応じた予算の値にかけ,利用金額の仮の予測値を計算する。」([0062]?[0071])

4 引用発明
上記3に記載した引用文献1の記載によれば,引用文献1には,次のとおりの発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

需要予測算出部53を含む需要予測システムが実行する方法であって,
ユーザが,検索条件入力領域70にキーワード,地域,ジャンルといった検索条件を入力し,「検索」ボタンを押下すると,情報返信部52はその検索条件を含む検索クエリを用いて商品サービス情報格納部61に含まれる商品やサービスの情報を検索し,情報返信部52は,この検索条件を含む検索ログのデータをログ格納部62に格納し,ログ格納部62に格納される検索ログは,表示項目リストと,検索要求データに含まれる情報であり,ユーザが検索する際にどの町に居たかなどを示す位置の情報である,ユーザ位置などの属性を含み,
需要予測算出部53が,ログ格納部62に格納される検索ログを取得し,その取得されたデータに基づいて,商品やサービスを購入する人数の予測値(人数予測値)や,その人が購入の際に支払う金額の予測値(金額予測値)を算出する方法であって,
対象店舗の店舗情報に含まれるエリア,ジャンル,キーワードなどの属性の情報を取得し,
ここで,店舗情報は,店舗(飲食サービス)を一意に特定するサービスIDと,名称と,店舗(飲食サービス)のジャンルと,店舗が存在するエリアと,検索条件中の検索キーワードによる検索対象となるキーワードと,それぞれ時間帯ごとの平均的な予算の額を示す予算昼,予算夕および予算夜と,いった属性の情報を含み,
取得されたエリア,ジャンル,キーワードなどを組み合わせて,1または複数のログ検索条件を生成し,
ログ検索条件を用いて,ログ格納部62に格納される検索ログのリストを抽出し,
検索ログに含まれる表示項目リストの中に対象店舗が含まれるか否か確認し,
全ての検索ログについての処理が終わるまで,検索ログに応じた人数増期待値mを下記[数1]に基づき算出し,その人数増期待値mを人数予測値に加算することで,人数予測値を更新し,
人数予測値が更新されると,検索ログに含まれるユーザが,サービスIDで特定される対象店舗を利用する場合の利用金額を予測する
方法。
[数1]

ここで,p1xはユーザの位置の経度,p1yはユーザの位置の緯度,p2xは店舗の位置の経度,p2yは店舗の位置の緯度である。

5 引用発明との対比
(1)引用発明の「需要予測算出部53を含む需要予測システム」,「ユーザの位置の経度」及び「ユーザの位置の緯度」からなるもの,「対象店舗」,「店舗の位置の経度」及び「店舗の位置の緯度」からなるものは,それぞれ,本願発明の「コンピュータ」,「ユーザの位置情報」,「POI(Point of Interest)」,「POI(Point of Interest)の位置情報」に相当する。

(2)引用発明では,ユーザの位置の緯度,経度,店舗の緯度,経度を用いて[数1]の計算を行うことから,引用発明における,[数1]の計算を行うためのユーザの位置の緯度,経度,店舗の緯度,経度は何らの手段を用いて取得されていることは明らかであるから,この何らの手段が,本願発明の「ユーザの位置情報と,POI(Point of Interest)の位置情報とを取得する取得工程」に相当する。

(3)引用発明の人数予測値は,[数1]に基づき算出された人数期待値mを人数予測値に加算することで,更新されるものであって,[数1]は,ユーザの位置の経度,緯度,店舗の位置の経度,緯度を変数として含んでいることから,人数予測値は,ユーザの位置の経度,緯度,店舗の位置の経度,緯度に基づき算出されるものであって,ユーザの位置が対象店舗の位置に応じて変化するものである。そうすると,引用発明における,人数予測値は,ユーザの位置の経度,緯度,店舗の位置の経度,緯度に基づく情報に応じて変化するものであるという機能を有する点で,本願の「前記取得工程により取得された前記ユーザの位置情報及び前記POIの位置情報に基づく前記ユーザの前記POIへの訪問に関する情報」に相当する。

(4)引用発明の店舗情報には,店舗(飲食サービス)を一意に特定するサービスID,及び,店舗が存在するエリアが含まれている。そうすると,引用発明における,店舗(飲食サービス)を一意に特定するサービスIDは,対象店舗のエリアに対応付けられている点で,本願発明の「前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報」に相当する。

(5)引用発明の,人数予測値が更新されると,需要予測算出部53は検索ログに含まれるユーザが,サービスIDで特定される対象店舗を利用する場合の利用金額を予測する機能は,本願発明の「前記ユーザの前記POIへの訪問に関する情報」と,「前記POIにおける位置に対応付けられた対象に関する情報」とに基づいて,「前記対象に関連する需要を予測する」に相当する。

(6)引用発明の需要予測算出部53を含む需要予測システムは,需要の予測をする方法を実行する点で,本願発明の「コンピュータが実行する予測方法」に相当する。

(7)以上によれば,本願発明と引用発明との間に,差異はない。
したがって,本願発明は,引用発明である。



第4 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。


 
審理終結日 2019-10-02 
結審通知日 2019-10-08 
審決日 2020-02-14 
出願番号 特願2017-154659(P2017-154659)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G06Q)
P 1 8・ 55- Z (G06Q)
P 1 8・ 572- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩田 徳彦  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 石川 正二
松田 直也
発明の名称 予測装置、予測方法、及び予測プログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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