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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01J 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01J 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01J |
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管理番号 | 1361280 |
審判番号 | 不服2018-6961 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-05-22 |
確定日 | 2020-04-01 |
事件の表示 | 特願2013-250497「高エネルギーイオン注入」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月17日出願公開、特開2014-132568〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2013年(平成25年)12月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年12月3日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成29年8月15日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、平成30年1月19日に意見書が提出され、その後、平成30年1月19日付けで拒絶査定がなされ、同査定の謄本は平成30年1月23日に請求人に送達された。これに対して、平成30年5月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正書が提出され、その後、当審において、平成31年2月1日付けで審尋が通知され、これに対して、令和元年6月27日に回答書が提出されたものである。 第2 平成30年5月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年5月22日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のように補正された(下線は補正箇所であり、当審で付与。以下同じ。)。 「イオンソース、抽出アセンブリ及び電極アセンブリを有するイオン注入システムを用いて目標へ高エネルギーイオンを注入する方法であって、 上記イオンソース及び上記抽出アセンブリを用いて第1エネルギーを有するイオンビームを発生させるステップであって、上記イオンビームを発生させるために、上記イオンソースが一組のイオンソース状態で動作し、上記抽出アセンブリが一組の抽出アセンブリ状態で動作する、ステップと、 上記電極アセンブリ間に第1電圧を印加するステップであって、上記イオンソースが上記一組のイオンソース状態で動作し、上記抽出アセンブリが上記一組の抽出アセンブリ状態で動作する、ステップと、 上記イオンビームは上記電極アセンブリに上記第1エネルギーで進入し、上記電極アセンブリから第2エネルギーで出て行き、上記目標に上記第2エネルギーでイオンを注入し、 上記電極アセンブリ間に第2電圧を印加するステップであって、上記イオンソースが上記一組のイオンソース状態で動作し、上記抽出アセンブリが上記一組の抽出アセンブリ状態で動作する、ステップと、を含み、 上記イオンビームは、上記電極アセンブリに上記第1エネルギーで進入し、上記電極アセンブリから第3エネルギーで出て行き、上記目標に上記第3エネルギーでイオンを注入し、上記第2エネルギーは上記第3エネルギーと異なることを特徴とする方法。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 上記(1)の本件補正の特許請求の範囲の請求項1に対応する、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「イオンソース、抽出アセンブリ及び電極アセンブリを有するイオン注入システムを用いて目標へ高エネルギーイオンを注入する方法であって、 上記イオンソース及び上記抽出アセンブリを用いて第1エネルギーを有するイオンビームを発生させるステップと、 上記電極アセンブリ間に第1電圧を印加するステップと、 上記イオンビームは上記電極アセンブリに上記第1エネルギーで進入し、上記電極アセンブリから第2エネルギーで出て行き、上記目標に上記第2エネルギーでイオンを注入し、 上記電極アセンブリ間に第2電圧を印加するステップと、を含み、 上記イオンビームは、上記電極アセンブリに上記第1エネルギーで進入し、上記電極アセンブリから第3エネルギーで出て行き、上記目標に上記第3エネルギーでイオンを注入し、上記第2エネルギーは上記第3エネルギーと異なることを特徴とする方法。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「上記イオンソース及び上記抽出アセンブリを用いて第1エネルギーを有するイオンビームを発生させるステップ」について、本件補正事項のとおりの限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献 ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された引用文献である、特開平2-263435号公報(平成2年10月26日公開)には、図面とともに、次の記載がある。 (ア)「(イ)産業上の利用分野 本発明は、半導体基板表面に不純物注入層を形成するイオン注入方法及びその装置に関する。」(2頁右上欄5行?7行) (イ)「(ハ)発明が解決しようとする課題 ウェハー37に注入される注入イオンが保有するエネルギは、イオン源31からのイオン引出電圧とイオン加速器34で印加される電圧によって決まり、上記イオン引出電圧を一定値に固定するイオン加速器の電圧で決まることとなる。」(2頁左下欄9行?14行) (ウ)「(ニ)課題を解決するための手段 この発明は、半導体基板内に、所定の不純物イオンを含有するイオンビームを照射し、アニールすることによって高濃度不純物イオン注入層を形成する際に、イオンビームの加速エネルギを段階的に低下させて照射し、かつ加速エネルギを低下させる際にイオンビームの半導体基板への照射を遮断し、それによって実質的に非晶質層の連続層として分布する高濃度不純物イオン注入層を形成することからイオン注入方法、および、イオン源と、イオン源からイオンを引き出すイオン引出手段と、イオン引出手段により引き出されたイオンのうち特定のイオンを選択するイオン選択手段と、イオン選択手段により選択されたイオンからなるイオンビームを段階的に加速エネルギを低下させて加速する加速手段と、加速手段により加速されたイオンビームの進行方向を走査するビーム走査手段と、ビーム走査手段により走査されたイオンビームが導入される開口を有する試料室と、試料室に導入されるイオンビームを遮断する遮断手段と、加速手段及び遮断手段の作動を制御する制御手段とを備えてなるイオン注入装置である。」(3頁左上欄6行?右上欄7行) (エ)「上記イオン注入装置は、イオンに加える加速電圧を第2図に示すように、当初の加速電圧E1が時間と共に段階的により低い加速電圧E2,E3・・・へとプログラムに従って変更する機能をもち、更には上記加速電圧を次の低加速電圧値に変化させている期間、ビームライン-エンドステイション間ゲート7を閉じてビームがウェハー11に照射されないように完全に遮断し、ウェハ表面の十分な冷却をはかる。この冷却時間については加速電圧およびビーム電流が予め定められた値に十分に安定し、なおかつウェハー表面が十分に冷却されるだけの期間する。尚、同一加速電圧においても注入時間が長くなる場合、すなわちウェハー11の深い位置に多量にイオン注入をおこなう場合には、途中に冷却期間を設定し、分割してイオン注入する。」(5頁左下欄9行?右下欄4行) (オ)上記(イ)の記載は、従来技術に関するものであるが、「注入イオンが保有するエネルギは、イオン源31からのイオン引出電圧とイオン加速器34で印加される電圧によって決」まることは、従来技術に特有なことではなく、技術常識から自明な事項であり、また、イオン引出電圧の調整について、明細書に他に格別な記載がないことから、上記(ウ)、(エ)に記載された事項においても、上記(イ)の記載内容が前提となっていると解される。 (カ)第1図、第2図、第5図は以下のとおりである。 イ 上記記載及び図面から、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 引用発明 「半導体基板表面に不純物注入層を形成するイオン注入方法であって、 注入イオンが保有するエネルギは、イオン源からのイオン引出電圧とイオン加速器で印加される電圧によって決まり、上記イオン引出電圧を一定値に固定するイオン加速器の電圧で決まることとなり、 イオン源と、イオン源からイオンを引き出すイオン引出手段と、イオン引出手段により引き出されたイオンのうち特定のイオンを選択するイオン選択手段と、イオン選択手段により選択されたイオンからなるイオンビームを段階的に加速エネルギを低下させて加速する加速手段と、加速手段により加速されたイオンビームの進行方向を走査するビーム走査手段と、ビーム走査手段により走査されたイオンビームが導入される開口を有する試料室と、試料室に導入されるイオンビームを遮断する遮断手段と、加速手段及び遮断手段の作動を制御する制御手段とを備えてなるイオン注入装置からなり、 イオン注入装置は、イオンに加える加速電圧を当初の加速電圧E1が時間と共に段階的により低い加速電圧E2,E3・・・へとプログラムに従って変更する機能をもち、 半導体基板内に、所定の不純物イオンを含有するイオンビームを照射し、アニールすることによって高濃度不純物イオン注入層を形成する際に、イオンビームの加速エネルギを段階的に低下させて照射し、かつ加速エネルギを低下させる際にイオンビームの半導体基板への照射を遮断し、それによって実質的に非晶質層の連続層として分布する高濃度不純物イオン注入層を形成する、 イオン注入方法。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明を対比する。 ア 引用発明の「イオン源」、「イオン引出手段」、「加速手段」は、それぞれ本件補正発明の「イオンソース」、「抽出アセンブリ」、「電極アセンブリ」に相当する。 イ 引用発明の「半導体基板表面に不純物注入層を形成するイオン注入方法」は、本件補正発明の「イオン注入システムを用いて目標へ高エネルギーイオンを注入する方法」に相当する。 ウ 引用発明は、「イオン源からイオンを引き出すイオン引出手段」を有し、「イオン引出手段により引き出されたイオン」から「イオンビーム」を発生させているから、本件補正発明の「上記イオンソース及び上記抽出アセンブリを用いて第1エネルギーを有するイオンビームを発生させるステップ」を有することは明らかである。 エ 引用発明は「イオンに加える加速電圧を当初の加速電圧E1が時間と共に段階的により低い加速電圧E2,E3・・・へとプログラムに従って変更」して「イオンビームの加速エネルギを段階的に低下させて照射し」ているから、引用発明の「加速電圧E1」「E2」及びそれぞれの加速電圧E1、E2に対応した加速エネルギは、それぞれ本願補正発明の「第1電圧」、「第2電圧」及び「第2エネルギー、第3エネルギー」に相当する。 オ 上記ア?エから、本件補正発明と引用発明は、 以下の点で一致し、相違点1、2で相違する。 <一致点> 「イオンソース、抽出アセンブリ及び電極アセンブリを有するイオン注入システムを用いて目標へ高エネルギーイオンを注入する方法であって、 上記イオンソース及び上記抽出アセンブリを用いて第1エネルギーを有するイオンビームを発生させるステップと、 上記電極アセンブリ間に第1電圧を印加するステップと、 上記イオンビームは上記電極アセンブリに進入し、上記電極アセンブリから第2エネルギーで出て行き、上記目標に上記第2エネルギーでイオンを注入し、 上記電極アセンブリ間に第2電圧を印加するステップと、を含み、 上記イオンビームは、上記電極アセンブリに進入し、上記電極アセンブリから第3エネルギーで出て行き、上記目標に上記第3エネルギーでイオンを注入し、上記第2エネルギーは上記第3エネルギーと異なる、方法。」 <相違点1> イオンビームを発生させるステップ、電極アセンブリ間に第1電圧を印加するステップ、電極アセンブリ間に第2電圧を印加するステップについて、本件補正発明は、(イオンビームを発生させるために)「イオンソースが一組のイオンソース状態で動作し、上記抽出アセンブリが一組の抽出アセンブリ状態で動作する、ステップ」を有するのに対し、引用発明ではそのような特定がなされていない点。 <相違点2> イオンビームが電極アセンブリに進入するに際し、本件補正発明は「第1エネルギー」で進入するのに対し、引用発明ではそのような特定がなされていない点。 (4)判断 相違点1、2は関連しているため、併せて検討する。 ア 相違点1に係る本件補正発明の「イオンソースが一組のイオンソース状態で動作し、上記抽出アセンブリが一組の抽出アセンブリ状態で動作する」とは、「一組」が何を意味しているか、必ずしも明確ではないものの、請求人も審判請求書において補正の根拠として提示している、本件明細書の「【0021】 2.高エネルギーイオン注入処理 ・・・処理300では、注入エネルギー及び注入電流は、イオンソース状態(例えば、ドーパントガス流量、ソース磁界、アーク電流)及び抽出アセンブリ状態(例えば、抽出電圧、抽出電極位置)を変えることなく、調整されてよい。・・・このように、イオンビームは、処理300中、安定に維持されてよく、イオンビームエネルギー及び電流を調整する、長いチューニング及び安定化時間(例えば、3-10分)の必要がない。」の記載も参酌すれば、上記記載は、イオンビームを発生させるステップ、電極アセンブリ間に第1電圧を印加するステップ、電極アセンブリ間に第2電圧を印加するステップにおいて、「イオンソース状態(例えば、ドーパントガス流量、ソース磁界、アーク電流)及び抽出アセンブリ状態(例えば、抽出電圧、抽出電極位置)を変える」ことがないということを意図していると解される。 イ 引用発明は、「注入イオンが保有するエネルギは、イオン源からのイオン引出電圧とイオン加速器で印加される電圧によって決まり、上記イオン引出電圧を一定値に固定するイオン加速器の電圧で決まることとな」っているとの構成を有しており、当該構成において「上記イオン引出電圧を一定値に固定する」とされていることから、実質的に相違点1に係る構成を有しているといえる。そして、相違点1に係る構成を有していれば、相違点2に係る「第1エネルギー」で電極アセンブリに進入することも明らかであるから、相違点1、2は実質的な相違点であるとはいえない。 また、引用発明の「注入イオンが保有するエネルギは、イオン源からのイオン引出電圧とイオン加速器で印加される電圧によって決まり、上記イオン引出電圧を一定値に固定するイオン加速器の電圧で決まることとな」るとの構成を考慮しなかったとしても、引用発明は「イオンビームの加速エネルギを段階的に低下させて照射し、かつ加速エネルギを低下させる際にイオンビームの半導体基板への照射を遮断し、それによって実質的に非晶質層の連続層として分布する高濃度不純物イオン注入層を形成」しており、「イオンビームの加速エネルギ」を調整することにより、所望の「高濃度不純物イオン注入層を形成する」ことが前提となっているから、「イオン加速器の電圧」に加えて「イオン引出電圧」も併せて調整することは、所望のイオン注入層を形成することをより困難にするため通常考えられず、引用文献において 「イオン引出電圧」の調整について何ら言及されていないことからみても、引用発明において、「イオン引出電圧」を調整することは想定されておらず、「イオン引出電圧を一定値に固定する」との構成を、実質的に有しているといえる。したがって、そのような観点からも、相違点1、2は実質的な相違点であるとはいえない。 さらに、仮に、引用発明において「イオン引出電圧を一定値に固定する」との構成を実質的に有しているといえないとしても、上記したように、引用発明は「イオンビームの加速エネルギ」を調整することにより、所望の「高濃度不純物イオン注入層を形成する」ことが前提となっているから、所望のイオン注入層を形成することをより簡便にするために、「イオン引出電圧」を一定値に固定するようにすることは当業者が容易に想到しうる程度のことにすぎない。 ウ なお、引用発明の構成に係る、引用文献の「上記イオン引出電圧を一定値に固定するイオン加速器の電圧で決まることとなる」との記載は、その意味するところが明確ではないとする余地もありうるが、当該記載の前の「ウェハー37に注入される注入イオンが保有するエネルギは、イオン源31からのイオン引出電圧とイオン加速器34で印加される電圧によって決まり」の記載、及び「イオン加速器の電圧で決まることとなる」の記載のつながりから見て、「上記イオン引出電圧を一定値に固定する」の記載は「上記イオン引出電圧を一定値に固定すると」や「上記イオン引出電圧を一定値に固定するため」などの意と解することもでき、そのような観点からも、引用発明は「イオン引出電圧を一定値に固定する」との技術思想を有しているといえる。 (5)小括 したがって、本件補正発明は、引用発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 又は、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成30年5月22日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成26年1月31日に提出された翻訳文提出書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、 この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、 この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、 というものである。 3 進歩性について (1)引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、上記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「上記イオンソースが一組のイオンソース状態で動作し、上記抽出アセンブリが一組の抽出アセンブリ状態で動作する、ステップ」との限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2に記載したとおり、引用発明と同一である、又は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明と同一である、又は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2019-10-31 |
結審通知日 | 2019-11-05 |
審決日 | 2019-11-19 |
出願番号 | 特願2013-250497(P2013-250497) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01J)
P 1 8・ 113- Z (H01J) P 1 8・ 575- Z (H01J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 右▲高▼ 孝幸 |
特許庁審判長 |
瀬川 勝久 |
特許庁審判官 |
井上 博之 近藤 幸浩 |
発明の名称 | 高エネルギーイオン注入 |
代理人 | 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK |