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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 B29C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B29C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B29C
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B29C
管理番号 1361287
審判番号 不服2018-15862  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-29 
確定日 2020-04-01 
事件の表示 特願2016-509022「半透明シールキャップ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月23日国際公開、WO2014/172302、平成28年 6月23日国内公表、特表2016-518271〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)4月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年4月15日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 4月14日 :手続補正書、上申書の提出
平成30年 4月 4日付け:拒絶理由通知
平成30年 7月 9日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 7月24日付け:拒絶査定
平成30年11月29日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 1年 6月 6日 :上申書の提出


第2 平成30年11月29日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年11月29日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 平成30年11月29日付けの手続補正の内容
平成30年11月29日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項5について、本件補正により補正される前の(すなわち、平成30年7月9日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項5の記載である、
「【請求項5】
t)締着具と、
u)成形された硬化済みシーラントと、
を含む、保護された締着具構成体であって、前記硬化済みシーラントが成形されてシールキャップを形成し、
前記成形された硬化済みシーラントが光学的に半透明であり、
前記成形された硬化済みシーラントが、前記締着具の少なくとも一部分の上に配置されて、前記締着具の少なくとも一部分を密封し、前記成形された硬化済みシーラントが前記締着具に結合され、
前記成形された硬化済みシーラントがポリウレタンポリマー又はポリチオエーテルポリマーを含む、保護された締着具構成体。」
を、
「【請求項5】
t)締着具と、
u)成形された硬化済みシーラントと、
を含む、保護された締着具構成体であって、前記硬化済みシーラントが成形されてシールとシールキャップの組み合わせを形成し、
前記成形された硬化済みシーラントが光学的に半透明であり、
前記成形された硬化済みシーラントが、前記締着具の少なくとも一部分の上に配置され
て、前記締着具の少なくとも一部分を密封し、前記成形された硬化済みシーラントが前記締着具に結合され、
前記成形された硬化済みシーラントがポリウレタンポリマー又はポリチオエーテルポリマーを含む、保護された締着具構成体。」
と補正する事項を含むものである(なお、下線は、補正箇所を示すためのものである。)。

2 本件補正の適否
(1)新規事項の追加について
特許請求の範囲の請求項5についての本件補正は、本件補正前の同請求項5に係る発明の発明特定事項である「硬化済みシーラントが成形されてシールキャップを形成」することから、「硬化済みシーラントが成形されてシールとシールキャップの組み合わせを形成」することに変更するものである。
すなわち、「硬化済み」のシーラントから成形されるものが「シール」から「シールとシールキャップの組み合わせ」と変更するものである。

そこで、上記本件補正について、検討する。
本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0024】には、「いくつかの実施形態において、組み合わせシールとシールキャップが、シールキャップ成形型を用いて締着具の上で、その場成形される。」とあり、同【0025】には、この実施形態に関し「シーラント60は放射線70の適用により硬化する。図5bは、シールキャップ成形型50を除去した後の、完成したシール62を示す。」と記載されている。また、【図5b】として以下の図が記載されている。
「【図5b】



上記記載は、「組み合わせシールとシールキャップ」が成形される手段について、シーラントを放射線の適用で硬化することによって「シール」のみを形成する実施形態を例示するものといえる。
そして、当初明細書等のその他の記載をみても、「シールとシールキャップの組み合わせ」を「硬化済み」のシーラントから成形することについての記載あるいは示唆があるともいえない。
そうすると、当初明細書等には、「シールとシールキャップの組み合わせ」を「硬化済み」のシーラントから成形することについて記載が認められない。
また、技術常識を参酌しても、一度硬化したシーラントから、シールとシールキャップを形成することは、当業者にとって当初明細書等から自明な事項であるとはいえない。
したがって、本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるので、新規事項を追加する補正である。


(2)本件補正の目的
仮に、本件補正が、新規事項の追加には当たらないものとした場合、特許法第17条の2第5項各号に規定するいずれかの目的に合致するかについて、さらに検討する。
本件補正後の特許請求の範囲の請求項5に記載される発明は、上記本件補正によって、「硬化済みシーラントが成形され」て形成される対象が、「シールキャップ」から、「シール」という本件補正前の請求項に記載されない特定事項を追加するとともに、さらに「シールとシールキャップの組み合わせ」という2つの物の組み合わせとされたが、この補正はシールキャップを概念的に、より下位の発明特定事項とする補正とはいえないから、本件補正は、本件補正前の発明特定事項を減縮するものとはいえない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。
また、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に規定する請求項の削除、同第3号に規定する誤記の訂正及び同第4号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものともいえない。
よって、本件補正の目的は、特許法第17条の2第5項各号のいずれにも該当しない。

(3)請求人による補正の根拠の主張の検討
請求人は平成30年11月29日付けの審判請求書で請求項5に係る本件補正について、以下のように主張する。
「(3)請求項5において、「シールキャップ」を「シールとシールキャップの組み合わせ」と補正しました。この補正は、当初明細書の0024及び0025の記載に基づくものであり、シールキャップ成形型により形成されるのはシールキャップのみならずシールでもあることは、図5b等の記載から当業者には明らかであり、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであります。」(下線は、合議体が記した。以下同様。)

上記主張を検討する。
請求人が述べるように、「シールキャップのみならずシール」をシールキャップ成形型により形成されるものとすると、「シール」を発明特定事項に追加することになるから、上記(2)で述べたように、発明特定事項を限定する補正とは認められない。
仮に、請求人による、「シールキャップのみならずシールでもある」との主張を、シールキャップとシールが兼用されるものと解したとしても、引用文献2の段落【0024】には「組み合わせシールとシールキャップ」や「シール及びシールキャップ」として、「シール」と「シールキャップ」がそれぞれ別物とする記載があること、さらに、同【0025】及び【図5b】には、シールのみが記載され、シールキャップとシールの兼用に関する記載も示唆もなされていないこと、また、兼用されるシールとシールキャップを「組み合わせ」とするのは不合理であるから採用できるものではない。

よって、請求項5に係る補正に関し、出願人による「請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定する」という主張は採用できない。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、新規事項を追加するものであり、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
また、仮に、本件補正が、新規事項の追加ではないとしても、本件補正は特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。

したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
以上のとおり、本件補正は却下されたため、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし6に係る発明は、平成30年7月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「【請求項4】
q)締着具と、
r)内部を画定するシールキャップと、
s)硬化済みシーラントと、
を含む、保護された締着具構成体であって、前記シールキャップが光学的に半透明であり、
前記シールキャップが前記締着具の上に配置されることにより、前記締着具の少なくとも一部分が前記シールキャップの内部に所在し、
前記シールキャップの前記内部が更に、前記シールキャップを前記締着具に結合させる前記硬化済みシーラントを付加的に含み、
前記シールキャップがポリウレタンポリマー、ポリチオエーテルポリマー、ポリスルフィドポリマー、THVポリマー、フッ素化熱硬化性ポリマー、エンジニアリング熱可塑性樹脂、又はPEEKポリマーを含む、保護された締着具構成体。」

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定は、概略、次のとおりの理由を含むものである。

理由1 本願発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2 本願発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・引用文献2:実願昭63-155030号
(実開平02-074612号)のマイクロフィルム

3 引用文献2に記載された事項等
(1)引用文献2に記載された事項
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「[実施例]
第1図は、第1実施例の光硬化性被覆キャップ10の構造を示す概略斜視図である。また、第2図には、その光硬化性被覆キャップ10を、実際にナットN及びナットNから突出したボルトBの先端部を被覆するために使用した使用状態の断面斜視図である。
図示するように光硬化性被覆キャップ10は、略円錐台形状の凹部12を有し、大径の開口部には鍔部14が形成されている。また、その側壁には多数の環状の滑り止め16が連続して形成されている。
上記形状の光硬化性被覆キャップ10は、光透過性の材質により一体成形されるものであり、各種の合成樹脂、例えばポリカーボネート(PC)、塩化ビニル(PVC)、アクリル(PMMA)あるいはポリスチレン(PS)等により形成される。ここで、この光硬化性被覆キャップ10の透過する光とは、可視光に限定されるものではなく、後述するごとく凹部12に注入される光硬化性樹脂18の反応に適した光であり、紫外線、赤外線あるいは遠赤外線など適宜選択される。
凹部12に注入される光硬化性樹脂18は、紫外線硬化性樹脂組成物、可視光線硬化性樹脂組成物等の各種光硬化性樹脂を単独にあるいは適宜配合したものであり、特に屋外で太陽光による硬化反応を必要とする場合には太陽光線に含まれる波長の光で硬化するタイプのものを使用すればよい。(中略)
上記のごとく、使用目的に応じた特性を示すように製造された光硬化性樹脂18は、硬化前の液状あるいは半練り状の状態において光硬化性被覆キャップ10の凹部12に適量注入される。そして、第2図に示すように被覆を希望する箇所に覆いかぶせるようにして利用される。
光硬化性被覆キャップ10を第2図に示す状態にした後、所定波長の光あるいは自然太陽光を照射することにより凹部12に注入された光硬化性樹脂18は被覆対象であるナットN及びボルトBの先端部と光硬化性被覆キャップ10とを一体化した状態で硬化し、被覆対象と外界とを完全に遮断する目的を簡便に達成することができる。」(第8ページ第13行?第11ページ第2行)





(2)引用発明
上記実施例及び第2図の記載を整理すると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「ナット及びナットから突出したボルトと、
略円錐台形状の凹部を有する光硬化性被覆キャップと、
硬化した光硬化性樹脂と、
を含む、ナット及びナットから突出したボルトの先端部の被覆物であって、前記光硬化性被覆キャップは、光透過性の材質により一体成形されるものであり、
前記光硬化性被覆キャップが、前記ナット及びナットから突出したボルトに覆いかぶせられ、
前記光硬化性被覆キャップの凹部に注入された光硬化性樹脂は被覆対象であるナット及びボルトの先端部と光硬化性被覆キャップとを一体化した状態で硬化し、
前記光硬化性被覆キャップが、ポリカーボネート(PC)により形成される、ナット及びナットから突出したボルトの先端部の被覆物。」

4 対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明における、「光硬化性被覆キャップ」、「光硬化性樹脂」及び「ナット及びナットから突出したボルトの先端部」は、それぞれ本願発明の「シールキャップ」、「シーラント」及び「締着具」に相当する。
また、「ポリカーボネート(PC)」は、「エンジニアリング熱可塑性樹脂」であることは明らかである。

すると、両者は
「q)締着具と、
r)内部を画定するシールキャップと、
s)硬化済みシーラントと、
を含む、保護された締着具構成体であって、前記シールキャップが光学的に透過であり、
前記シールキャップが前記締着具の上に配置されることにより、前記締着具の少なくとも一部分が前記シールキャップの内部に所在し、
前記シールキャップの前記内部が更に、前記シールキャップを前記締着具に結合させる前記硬化済みシーラントを付加的に含み、
前記シールキャップが、エンジニアリング熱可塑性樹脂を含む、保護された締着具構成体。」
である点で一致し、以下の点で一応相違する。

<相違点>
本願発明は、シールキャップが「光学的に半透明」であるのに対し、引用発明の光硬化性被覆キャップは、「光透過性の材質」である点。

5 相違点についての判断
本願の発明の詳細な説明の段落【0014】には、「本明細書で使用される用語「半透明」とは、可視光の一部を透過できることを意味し、典型的には波長360?750nmの光の20%超、いくつかの実施形態においては30%超、いくつかの実施形態においては40%超、及びいくつかの実施形態においては50%超を透過できることを意味する。」と記載されている。
引用発明における、光硬化性被覆キャップの「光透過性の材質」に関し、引用文献2には、「この光硬化性被覆キャップ10の透過する光とは、可視光に限定されるものではなく、後述するごとく凹部12に注入される光硬化性樹脂18の反応に適した光であり」(第9ページ第10?13行)と記載されていることから、可視光及び可視光以外の光硬化性樹脂の反応に適した光を透過するものと解され、引用発明の「光透過性の材質」とは、可視光の一部を透過できる素材、すなわち、本願発明の「光学的に半透明」な素材と同一であると認められる。
したがって、この点は実質的な相違点ではない。

もし仮に、相違点であったとしても、引用発明において、ポリカーボネート(PC)により形成される光硬化性被覆キャップを、可視光の一部を透過できるようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

6 平成30年7月9日に提出された意見書における主張について
請求人は、平成30年7月9日に提出された意見書において、「本願の請求項4?6に係る発明と、引用文献2に記載の発明とを比較すると、シールキャップ又はシーラントを構成する材料が相違しています。」旨主張する。
しかしながら、上記4で述べたように、引用発明には、「ポリカーボネート」を用いることが特定されており、本願発明のエンジニアリング熱可塑性樹脂と一致するため、シールキャップを構成する材料に関する主張は採用できない。

7 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるし、また、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。


第4 むすび
上記第3のとおり、本願発明、すなわち請求項4に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるか、または、同条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-11-01 
結審通知日 2019-11-05 
審決日 2019-11-18 
出願番号 特願2016-509022(P2016-509022)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (B29C)
P 1 8・ 113- Z (B29C)
P 1 8・ 121- Z (B29C)
P 1 8・ 572- Z (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 越本 秀幸  
特許庁審判長 加藤 友也
特許庁審判官 大畑 通隆
植前 充司
発明の名称 半透明シールキャップ  
代理人 河原 肇  
代理人 青木 篤  
代理人 三橋 真二  
代理人 高橋 正俊  
代理人 胡田 尚則  
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