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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1361347
審判番号 不服2019-1211  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-01-30 
確定日 2020-04-08 
事件の表示 特願2017-515231「ユーザの認証方法及び対応端末と認証システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月24日国際公開,WO2016/041891,平成29年11月24日国内公表,特表2017-534961〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,2015年9月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年9月17日,欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって,
平成29年4月4日付けで特許法184条の4第1項の規定による明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る)の日本語による翻訳文が提出されると共に審査請求がなされ,平成30年3月27日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成30年5月28日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成30年9月25日付けで審査官により拒絶査定がなされ(謄本送達;平成30年10月2日),これに対して平成31年1月30日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,平成31年4月19日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされたものである。

第2.平成31年1月30日付けの手続補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成31年1月30日付け手続補正を却下をする。

[理由]

1.補正の内容
平成31年1月30日付け手続補正(以下,「本件手続補正」という。)により,平成30年5月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,
「 【請求項1】
ユーザ(30)を第1端末(32)又は前記第1端末(32)に接続された遠隔サーバ(50)によって認証する方法であって,前記認証は,前記第1端末(32)に複数の記号から構成される一連のコードを順次入力するステップと,入力された前記コードと前記ユーザ(30)の秘密個人コードとを比較するステップとを含み,
前記コードは前記第1端末(32)に入力され,
前記秘密個人コードは,予め前記第1端末又は前記遠隔サーバ(50)に格納されており,前記方法は:
a)前記第1端末(32)から前記ユーザ(30)に属する第2端末(33)に,そのサブセット(1,7,5,9)が前記コードを構成するような,順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を送信するステップと;
b)前記第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記サブセット(1,7,5,9)を含む前記順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を配置して表示するステップと;
c)前記第1端末(32)の第1格子(39)の所定位置であって,
前記第2格子(37)上で前記サブセット(1,7,5,9)が配置されて表示されている位置の対応位置(40,39,42,43)に表示されている一連の記号を前記コードとして入力するステップと;
d)前記第1端末(32)又は前記遠隔サーバ(50)において,前記ユーザ(30)を認証するために,前記第1格子(39)の前記対応位置(40,39,42,43)から入力された一連の記号が前記秘密個人コードと同一であることをチェックするステップと;を備えた方法。
【請求項2】
前記ステップa)が,前記第1端末(32)と協働するスクリーン上に,そのサブセット(1,7,5,9)が前記コードを構成するような,順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)から構成された暗号化イメージ(34)を表示するステップを備え,
前記ステップb)が,前記第2端末(33)に備えられたカメラと解読キー(36)により前記第2端末(33)において前記暗号化イメージ(34)を解読するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップa)が,短距離無線接続又は局所ネットワーク接続により,前記順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を前記第1端末(32)から前記第2端末(33)へ送信するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記暗号化イメージ(34)がQRコード(登録商標)であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第2端末(33)がスマートホンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2端末(33)が,一対のスマート眼鏡であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1端末(32)が,紙幣払出し機であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1端末(32)が,小売販売端末であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
第1端末(32)と称される端末であって,
a)ユーザ(30)に属する第2端末(33)に,そのサブセット(1,7,5,9)が秘密個人コードと比較するために前記第1端末(32)に入力されるコードを構成するような順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を送信する手段と;
b)前記第1端末(32)の第1格子(39)の所定位置であって,前記第2端末(33)の第2格子(37)上で前記サブセット(1,7,5,9)が配置されて表示されている位置の対応位置(40,39,42,43)に表示されている一連の記号を前記コードとして入力する手段を備えた端末。
【請求項10】
前記ユーザ(30)を認証するために,前記第1格子(39)から入力された前記一連の記号が前記秘密個人コードと同一であることをチェックする手段を,さらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の端末。
【請求項11】
前記第1格子(39)に入力された前記一連の記号を遠隔サーバ(50)に送信する手段を,さらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の端末。
【請求項12】
第2端末(33)と称されるユーザ端末であって,
a)第1端末(32)から,そのサブセット(1,7,5,9)がユーザ(30)の秘密個人コードと比較されるコードを構成するような,順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を受信する手段と;
b)前記第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記サブセット(1,7,5,9)を含む前記順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を配置して表示する手段と;
を備えたユーザ端末。
【請求項13】
前記第2端末(33)に備えられたカメラと解読キー(36)により,前記第1端末(32)のスクリーン上に表示された暗号化イメージ(34)を解読する手段をさらに備え,
前記解読されたイメージ(34)は,そのサブセット(1,7,5,9)が前記ユーザ(30)の前記コードを構成する,前記順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)から構成されることを特徴とする請求項12に記載のユーザ端末。
【請求項14】
前記ユーザ端末(33)が一対のスマート眼鏡であることを特徴とする請求項12又は13に記載のユーザ端末。
【請求項15】
ユーザ(30)を第1端末(32)又は前記第1端末(32)に接続された遠隔サーバ(50)によって認証するシステムであって,前記認証は,前記第1端末(32)に複数の記号から構成される一連のコードを順次入力する手段と,入力された前記コードと前記ユーザ(30)の秘密個人コードとを比較する手段とを含み,
前記コードは前記第1端末(32)に入力され,
前記秘密個人コードは,予め前記第1端末又は前記遠隔サーバ(50)に格納されており,前記システムは:
a)前記第1端末(32)から前記ユーザ(30)に属する第2端末(33)に,そのサブセット(1,7,5,9)が前記コードを構成するような,順不同の一連の記号(1.2,・・・9,*,#)を送信する手段と;
b)前記第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記サブセット(1,7,5,9)を含む前記順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を配置して表示する手段と;
c)前記第1端末(32)の第1格子(39)の所定位置であって,
前記第2格子(37)上で前記サブセット(1,7,5,9)が配置されて表示されている位置の対応位置(40,39,42,43)に表示されている一連の記号を前記コードとして入力する手段と;
d)前記第1端末(32)又は前記遠隔サーバ(50)において,前記ユーザ(30)を認証するために,前記第1格子(39)の前記対応位置(40,39,42,43)から入力された一連の記号が前記秘密個人コードと同一であることをチェックする手段と;
を備えたシステム。
【請求項16】
前記システムは,さらに,
a)前記第1端末(32)と協働するスクリーン上に,そのサブセット(1,7,5,9)が前記コードを構成するような,順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)から構成された暗号化イメージ(34)を表示する手段と,
b)前記第2端末(33)に備えられたカメラと解読キー(36)により前記第2端末(33)において前記暗号化イメージ(34)を解読する手段とを備えることを特徴とする請求項15に記載のシステム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という。)は,
「 【請求項1】
ユーザ(30)を第1端末(32)又は前記第1端末(32)に接続された遠隔サーバ(50)によって認証する方法であって,前記認証は,前記第1端末(32)に複数の記号から構成される一連のコード(「1759」)を順次入力するステップと,入力された前記コードと前記ユーザ(30)の秘密個人コードとを比較するステップとを含み,
前記コード(「1759」)は前記第1端末(32)に入力され,
前記秘密個人コードは,予め前記第1端末又は前記遠隔サーバ(50)に格納されており,前記方法は:
a)前記第1端末(32)の第1格子(39)に第1の配列で配置され,そのサブセットが前記コード(「1759」)を構成するような一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を前記第1端末(32)から前記ユーザ(30)に属する第2端末(33)に送信するステップと;
b)前記第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記コード(「1759」)を含む前記一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を前記第1の配列とは異なる第2の配列で配置して表示するステップと;
c)前記第2格子(37)上で前記コード(「1759」)が前記第2の配列で配置されて表示されている位置の前記第1格子(39)の前記第1の配列の対応位置(40,41,42,43)に表示されている記号を順次前記第1端末(32)に入力するステップと;
d)前記第1端末(32)又は前記遠隔サーバ(50)において,前記ユーザ(30)を認証するために,前記順次入力された記号が前記秘密個人コードと同一であるかをチェックするステップと;を備えた方法。
【請求項2】
前記ステップa)が,前記第1端末(32)と協働するスクリーン上に,そのサブセットが前記コード(「1759」)を構成するような,順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)から構成された暗号化イメージ(34)を表示するステップを備え,
前記ステップb)が,前記第2端末(33)に備えられたカメラと解読キー(36)により前記第2端末(33)において前記暗号化イメージ(34)を解読するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップa)が,短距離無線接続又は局所ネットワーク接続により,前記の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を前記第1端末(32)から前記第2端末(33)へ送信するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記暗号化イメージ(34)がQRコード(登録商標)であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第2端末(33)がスマートホンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2端末(33)が,一対のスマート眼鏡であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1端末(32)が,紙幣払出し機であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1端末(32)が,小売販売端末であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
第1端末(32)と称される端末であって,
a)前記第1端末(32)の第1格子(39)に第1の配列で配置され,そのサブセットが前記コード(「1759」)を構成するような一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を前記第1端末(32)から前記ユーザ(30)に属する第2端末(33)に送信する手段と;
b)前記第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記コード(「1759」)を含む前記一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を前記第1の配列とは異なる第2の配列で配置して表示する手段と;
c)前記第2格子(37)上で前記コード(「1759」)が前記第2の配列で配置されて表示されている位置の前記第1格子(39)の前記第1の配列の対応位置(40,41,42,43)に表示されている記号を順次前記第1端末(32)に入力する手段とを備えた端末。
【請求項10】
前記ユーザ(30)を認証するために,前記第1格子(39)から順次入力された前記記号が前記秘密個人コードと同一であるかをチェックする手段を,さらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の端末。
【請求項11】
前記第1格子(39)に入力された前記記号を遠隔サーバ(50)に送信する手段を,さらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の端末。
【請求項12】
ユーザ(30)を第1端末(32)又は前記第1端末(32)に接続された遠隔サーバ(50)によって認証するシステムであって,前記認証は,前記第1端末(32)に複数の記号から構成される一連のコード(「1759」)を順次入力する手段と,入力された前記コードと前記ユーザ(30)の秘密個人コードとを比較する手段とを含み,
前記コード(「1759」)は前記第1端末(32)に入力され,
前記秘密個人コードは,予め前記第1端末又は前記遠隔サーバ(50)に格納されており,前記システムは:
a)前記第1端末(32)の第1格子(39)に第1の配列で配置され,そのサブセットが前記コード(「1759」)を構成するような一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を前記第1端末(32)から前記ユーザ(30)に属する第2端末(33)に送信する手段と;
b)前記第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記コード(「1759」)を含む前記一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を前記第1の配列とは異なる第2の配列で配置して表示する手段と;
c)前記第2格子(37)上で前記コード(「1759」)が前記第2の配列で配置されて表示されている位置の前記第1格子(39)の前記第1の配列の対応位置(40,41,42,43)に表示されている記号を順次前記第1端末(32)に入力する手段と;
d)前記第1端末(32)又は前記遠隔サーバ(50)において,前記ユーザ(30)を認証するために,前記順次入力された記号が前記秘密個人コードと同一であるかをチェックする手段と;を備えたシステム。
【請求項13】
前記システムは,さらに,
a)前記第1端末(32)と協働するスクリーン上に,そのサブセットが前記コード(「1759」)を構成するような,一連の記号(1,2,・・・9,*,#)から構成された暗号化イメージ(34)を表示する手段と,
b)前記第2端末(33)に備えられたカメラと解読キー(36)により前記第2端末(33)において前記暗号化イメージ(34)を解読する手段とを備えることを特徴とする請求項12に記載のシステム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という。)に補正された。

2.補正の適否
本件手続補正が,特許法184条の12第2項により読み替える同法17条の2第3項の規定を満たすものであるか否か,即ち,本件手続補正が,平成29年4月4日付けで提出された明細書,請求の範囲の日本語による翻訳文及び国際出願の願書に添付された図面(以下,これらを「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内でなされたものであるかについて,以下に検討する。

(1)補正後の請求項1,9,12に,
「a)前記第1端末(32)の第1格子(39)に第1の配列で配置され,そのサブセットが前記コード(「1759」)を構成するような一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を前記第1端末(32)から前記ユーザ(30)に属する第2端末(33)に送信するステップと;
b)前記第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記コード(「1759」)を含む前記一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を前記第1の配列とは異なる第2の配列で配置して表示するステップ」
と記載されているが,
当初明細書等には,上記引用記載と同一の記載は存在しない。
そこで,上記引用記載が,当初明細書から読み取れるかについて,以下に検討すると,当初明細書等には,
「【0022】
第1実施例では,本発明は以下のように機能する。
第1端末32は暗号化イメージ34を生成し,これをスクリーンに表示する。
イメージ34はキー38により暗号化されている。暗号化イメージ34はここではQRコードで,そのサブセットがユーザの秘密個人コードを構成する順不同の一連の記号を含んでいる。端末32のスクリーンを見ている悪意のある人間は,この暗号化されたイメージ34を見るだけであり,イメージ34を解読するためのキーを知らないのでそこから悪用可能などんな情報をも引き出すことは出来ない。
【0023】
これに対してユーザの第2端末33はイメージ34の暗号化キー36を備えている。
第2端末33に備えたカメラにより(スマート眼鏡にはカメラが備わっている),暗号化イメージ34は撮影されるか又はその写真が第2端末33により取得される。
第2端末33に含まれている解読キー36により,イメージ34は解読され,第2端末33のスクリーン上に表示される。スマート眼鏡の場合には,順不同の一連の記号が眼鏡の少なくとも一方のレンズ上に表示される。カメラ付きスマートホンを使用する場合(ユーザは2台のスマートホンを有しており,一方は符号32で参照される),順不同の一連の記号がスマートホンのスクリーン上に表示される。
【0024】
順不動の一連の記号は,図3において,第2格子と称される格子37内に配置されて表示される。少なくともユーザの秘密個人コードの記号は第2格子37内に表われる。
ここでは以前に取り上げたコード「1759」の例を取ると,記号は0?9の数字である。重要なポイントの一つは,少なくとも秘密個人コードの記号は,第2格子37内に順不同にあることである。言い換えると,認証ごとに同一位置にあることはない。
【0025】
ユーザは第2格子37を見て,第2格子37内の自身のコードの位置を知る。次に,ユーザは手動で自身の秘密個人コードの記号を第1格子と称される格子39内の第2格子37での自身の秘密個人コードの記号の対応位置に入力する。一例として,ユーザの秘密個人コードが「1759」であった場合には,ユーザはそれぞれ「40,41,42,43」で示される位置を順に押下する。
【0026】
第1端末32がスマートホンである場合,キーパッドはタッチパッドであり,第2格子37と同一の形で仮想格子39の表示となる。ボックスのサイズに制限はなく,すべてが同一サイズである必要もない。またその数にも制限はない。またボックスの形にも制限はなく,矩形,円形,四角形,ひし形,その他であってもよい。
第1端末32が加盟店での支払い端末の場合,物理的キー(押下されるキー)を備える場合もある。それは,外観がすべて互いに同一であるキーからなる真のキーパッドである。このとき,第1格子は物理的キーパッドで構成される。」,(下線は,当審にて,説明の都合上付与したものである。以下,同じ。)
という記載が存在し,更に,段落【0032】に,
「より一般的には,本発明は以下のようなステップで構成される。
a)順不同の一連の記号を第2端末33のスクリーン上の第2格子37内に,各記号が第2格子37のボックスに格納されるように表示する。
b)ユーザ30によって,第1端末32の第1格子39内の第2格子37中の秘密個人コードの記号の対応位置に秘密個人コードを入力する。
c)第1端末32又は遠隔サーバ50において,ユーザ30を認証するためにユーザ30によって入力された一連の記号が秘密個人コードと同一であるかをチェックする。」,
という記載が,段落【0037】に,
「解読キー36を備えた第2端末33(ここではスマート眼鏡)によって,暗号化イメージの写真が取られ,解読された格子37がスマート眼鏡33上に表示される。そして,ユーザは自分の第1端末32の仮想格子(透明又は白色ボックス)中に自分の秘密個人コードを入力する。コードの記号の位置は銀行サイト50に送信され,銀行サイト50は,仮想格子中にユーザによって入力された記号の位置が,このユーザに送られた格子の暗号化前にユーザの秘密個人コードの記号の位置に本当に対応しているかをチェックする。
位置が対応していれば,ユーザは認証される。」,
という記載が存在している。そして,段落【0037】の,
「ユーザは自分の第1端末32の仮想格子(透明又は白色ボックス)中に自分の秘密個人コードを入力する」,
という記載から,「第1端末32の仮想格子39」とは,「第1端末32」の「第1格子39」であることは,明らかであるから,上記引用の段落【0022】?段落【0025】,段落【0032】,及び,段落【0037】に記載された内容から,当初明細書等においては,
“ユーザの秘密個人コードを構成する順不同の一連の記号が,第1端末32において,暗号化イメージとして生成され,当該暗号化イメージが,第2端末33に送信され,第2端末33は,受信した暗号化イメージを,復号して,順不同の一連の記号を,第2格子37に配置して表示し,ユーザは,自身の秘密個人コードを構成する記号が,第2格子37上のどの場所に表示されているかを確認し,第1端末32上で,(透明又は白色ボックスの)第1格子39の同じ場所を押下する”ことが読み取れる。
即ち,「ユーザ」は,「第2端末33」の「第2格子37」において,自身の「秘密個人コード」を構成する「記号」の位置情報を,「第1端末32」の「第1格子39」を用いて,「第1端末32」へ通知していることになり,そのことによって,「第1端末32」が,「ユーザ」が,正しい「記号」を選択したことを知るためには,「第1端末32」が,「順不同の一連の記号」が,「第2端末33」の「第2格子37」上の何処に「配置」されているかを知っていて,「第1格子39」と,「第2格子37」とが,同じ位置座標を持っている,つまり,「第1格子39」の位置座標を指定することで,何の「記号」が選択されたかを「第1端末32」が知ることができる(以下,これを「構成1」という),或いは,「第1端末32」の「第1格子39」上で,「順不同の一連の記号」が,「第2端末33」の「第2格子37」上と同じく配置されている(以下,これを「構成2」という)ことが必要であることが読み取れる。
以上に検討したことから,仮に,「第2端末33」の「第2格子37」上に,「順不同の一連の記号」を「配置」した,その並びを,「第2の配列」と呼ぶとしても,
当初明細書等において読み取れる構成は,「第1端末32」の「第1格子39」には,
「順不同の一連の記号」が配置されていない(構成1)か,或いは,
「第1端末32」の「第1格子39」に,「第2端末33」の「第2格子37」と同じく,「順不同の一連の記号」が配置されている(構成2)かの何れかである。
したがって,当初明細書等からは,「第1端末32」の「第1格子39」に「順不同の一連の記号」が「配置」されていないか,或いは,「第2端末33」の「第2格子37」と同じに「配置」されているかの何れかであることまでは読み取れるが,本願の請求項1の,特に,
「b)前記第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記コード(「1759」)を含む前記一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を前記第1の配列とは異なる第2の配列で配置して表示する」,
ことを読み取ることはできない。
また,そのような構成は,当該技術分野において,周知の構成でもない。

(2)補正後の請求項1,9,12に,
「c)前記第2格子(37)上で前記コード(「1759」)が前記第2の配列で配置されて表示されている位置の前記第1格子(39)の前記第1の配列の対応位置(40,41,42,43)に表示されている記号を順次前記第1端末(32)に入力するステップ」,
と記載されているが,当初明細書等には,上記引用記載と同一の記載は存在しない。
そこで,上記引用記載が,当初明細書から読み取れるかについて,以下に検討すると,
当初明細書等の,上記(1)において引用した,段落【0022】?段落【0026】,段落【0032】及び,段落【0037】,特に,段落【0037】の,
「ユーザは自分の第1端末32の仮想格子(透明又は白色ボックス)」,
という記載から,「第1端末32」には,“何も表示されていない”ことが読み取れ,
当初明細書等の上記引用の記載以外の記載内容を検討しても,
「第1格子(39)」の「第1の配列の対応位置(40,41,42,43)」に「記号」が「表示されている」ことを読み取ることができない。
以上に検討したとおりであるから,当初明細書等からは,
「第2格子(37)上で前記コード(「1759」)が前記第2の配列で配置されて表示されている位置の前記第1格子(39)の前記第1の配列の対応位置(40,41,42,43)に表示されている記号を順次前記第1端末(32)に入力するステップ」,
という構成を読み取ることはできない。
また,そのような構成は,当該技術分野において,周知の構成でもない。

(3)上記(1),及び,(2)において検討したとおりであるから,本件手続補正は,当初明細書等の記載の範囲内でなされたものではない。

3.補正却下むすび
したがって,本件手続補正は,特許法184条の12第2項により読み替える同法17条の2第3項の規定に違反するので,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
平成31年1月30日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項12に係る発明(以下,これを「本願発明」という。)は,平成30年5月28日付けの手続補正により補正された,上記「第2.平成31年1月30日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項12として引用した,次のとおりのものである。

「第2端末(33)と称されるユーザ端末であって,
a)第1端末(32)から,そのサブセット(1,7,5,9)がユーザ(30)の秘密個人コードと比較されるコードを構成するような,順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を受信する手段と;
b)前記第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記サブセット(1,7,5,9)を含む前記順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を配置して表示する手段と;
を備えたユーザ端末。」

第4.原審における拒絶査定の理由の概要
原審における平成30年9月25日付けの拒絶査定の理由は概略,この出願の請求項12に係る発明は,本願の優先権主張の日(以下,「優先日」という。)前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献(以下,これを,「引用文献」という。)1-2に記載された発明及び周知技術に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用文献一覧;
1.特開2010-139711号公報
2.特開2012-174208号公報

第5.引用文献に記載の事項及び発明
1.引用文献に記載の事項
原審における平成30年3月27日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という。)において引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2010-139711号公報(2010年6月24日公開,以下,これを「引用文献1」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

A.「【実施例1】
【0016】
[認証システム1の概略構成]
先ず,実施例1に係る認証システム1の概略構成について図1に基づき説明する。図1は実施例1に係る認証システム1の概略構成を示す図である。
図1に示すように,実施例1に係る認証システム1は,ユーザ2の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ3と,このヘッドマウントディスプレイ3と通信可能に接続される認証装置5とから構成されている。」

B.「【0028】
図3に示すように,ヘッドマウントディスプレイ3は,画像光を出射する出射装置11と,各種操作やデータの入力を行うための入力部31と,認証装置5の入力キー群7等の撮像対象物を撮像すると共に当該撮像対象物までの距離を検出するための撮像部32と,認証装置5からパスワード等の入力値の配列データや各種ファイルデータ等の各種コンテンツ情報(表示情報)が入力される外部接続部33と,出射装置11によって表示するコンテンツやテキスト等のイメージデータを格納するビデオRAM34と,出射装置11によって表示するテキストのフォントデータを格納するフォントROM35と,ヘッドマウントディスプレイ3の全体を制御する制御部36と,電源部37等とから構成されている。尚,出射装置11の詳細については,図4に基づいて後述する。」

C.「【0030】
また,撮像部32は,輝度センサ15,LED16,CCDセンサ17,距離エンコーダ19及びCCDコントローラ14から構成され,CCDコントローラ14は,CPU51の指示により距離エンコーダ19から入力されたCCDカメラ12のピント位置の検出信号を入力キー群7等の撮像対象物までの距離信号に変換して制御部36に出力する。
【0031】
また,外部接続部33は,認証装置5や外部機器(例えば,パーソナルコンピュータである。)に接続されて,各種ファイルデータ等の各種コンテンツ情報を取得する外部接続モジュール45と,外部接続制御回路46とから構成されている。そして,外部接続制御
回路46は外部接続モジュール45から入力されたコンテンツ情報を制御部36に出力し,当該コンテンツ情報はフラッシュメモリ52に記憶される。また,外部接続制御回路46は外部接続モジュール45を介して認証装置5から入力された入力キー群7の各入力キーに割り当てられた入力値の配列情報を制御部36のRAM53の入力値記憶領域へ記憶する。
【0032】
また,制御部36は,CPU51,フラッシュメモリ52,RAM53等とから構成され,これらは不図示のバス線により相互に接続されて,相互にデータのやり取りが行われる。
また,CPU51は,ヘッドマウントディスプレイ3の全体を制御し,ヘッドマウントディスプレイ3の動作に関する全てのデータを管理する演算処理装置である。また,CPU51は,入力キー群7の各入力キーに付与された入力値の配列状態を表す配列データをフォントROM35に記憶されたフォントデータに基づいて画像信号に変換し,また,各種コンテンツ情報を画像信号に変換してビデオRAM34に記憶する。また,CPU51は,後述のように,CCDコントローラ14から入力された距離信号に基づいてピント位置を指示するピント位置信号を出射装置11の映像信号処理部63へ出力する。」

D.「【0052】
[認証装置5の概略構成]
次に,認証装置5の概略構成について図5に基づき説明する。図5は認証装置5の概略構成を示すブロック図である。
図5に示すように,認証装置5は,ユーザID取得部121と,入力キー群7と,情報処理部125と,認証後処理部126と,ヘッドマウントディスプレイ3の外部接続モジュール45に赤外線通信等の無線通信や有線通信等によって接続されて双方向通信が可能な通信部127等とから構成されている。また,認証装置5の外部には,各ユーザIDに対応するパスワード等を記憶しているユーザ情報データベース(ユーザ情報DB)128が設けられており,情報処理部125とネットワークを介して接続されている。
【0053】
また,ユーザID取得部121は,ユーザ2を識別するためのユーザIDを取得するためのものであり,ユーザIDが記憶されたICカード等から当該ユーザIDを読み取る読取装置(不図示)から構成されている。
【0054】
また,パスワード等を入力する入力キー群7は,押しボタン式の9個の入力キー7A?7I(図7参照)が3行3列で配置されて構成されている。また,各入力キー7A?7Bには,情報処理部125によって「1」?「9」の9個の入力値がランダムに付与されるが,各入力キー7A?7I上には,それぞれの入力値は表示されていない(図7参照)。そして,ユーザ2が指先で押下した入力キーに対応するキー信号が,情報処理部125の認証部133へ出力される。
【0055】
また,情報処理部125は,ユーザ情報取得部131,入力値設定部132及び認証部133等から構成されている。このユーザ情報取得部131は,ユーザ情報DB128とネットワークを介して接続されており,ユーザID取得部121からユーザIDを取得し,このユーザIDに対応するパスワードをユーザ情報DB128から読み出して,一時的に記憶すると共に,認証部133のパスワード照合部136へ照合パスワードとして出力する。
【0056】
また,入力値設定部132は,入力キー群7の9個の入力キー7A?7Iに「1」?「9」の9個の入力値をランダムに設定して記憶すると共に,認証部133の入力パスワード取得部135へ各入力キー7A?7Iに設定した入力値として出力する。尚,入力値設定部132は,ユーザID取得部121にICカードが挿入される毎に,各入力キー7A?7Iに「1」?「9」の9個の入力値をランダムに設定して記憶すると共に,入力パスワード取得部135へ各入力キー7A?7Iに設定した入力値として出力する。
【0057】
また,認証部133は,入力キー群7の9個の入力キー7A?7Iを介して入力されたキー信号に基づいて,入力値設定部132から入力された各入力キー7A?7Iに設定された「1」?「9」の9個の入力値から入力パスワードを取得する入力パスワード取得部135と,この入力パスワードとユーザ情報取得部131から入力された照合パスワードとを照合するパスワード照合部136とから構成されている。また,認証部133は,入力パスワードと照合パスワードとを照合後,これらが一致していた場合には,認証後処理部126へパスワード一致信号を出力する。
【0058】
また,情報処理部125は,ヘッドマウントディスプレイ3から各入力キー7A?7Iに対応する入力値の配列情報を要求する配列データ要求信号が通信部127を介して入力された場合には,入力値設定部132から各入力キー7A?7Iに対応する入力値を取得し,この各入力キー7A?7Iの入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列情報を通信部127を介してヘッドマウントディスプレイ3へ出力する。」

E.「【0084】
S24において,CPU51は,外部接続モジュール45を介して,認証装置5へ各入力キー7A?7Iに対応する入力値の配列情報を要求する配列データ要求信号を送信する。そして,CPU51は,この認証装置5から各入力キー7A?7Iに対応する入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列情報を受信して,RAM53に記憶する。
【0085】
続いて,S25において,CPU51は,RAM53から入力値フラグFKを読み出し,この入力値フラグFKに「1」を代入して,再度RAM53に記憶後,S26の処理に移行する。
S26において,CPU51は,ビデオRAM34を初期化する。つまり,CPU51は,出射装置11によるコンテンツ(画像)の表示を一度消去する。
【0086】
そして,S27において,CPU51は,上記S17,S19,S21又はS22で,各入力キー7A?7Iの入力値の配置領域としてRAM53に記憶した撮像画像143上の撮像領域(左側撮像領域RL,右側撮像領域RR,上側撮像領域RU又は下側撮像領域RLのうちのいずれかである。)を再度RAM53から読み出す。また,CPU51は,上記S24で取得した各入力キー7A?7Iの入力値の3行3列の配列情報をRAM53から読み出し,CCDセンサ17によって撮像されるユーザ2の視野範囲に重ねて設定されている表示領域145(図10参照)内で,このRAM53から読み出した配置領域に対応する表示位置に,当該各入力キー7A?7Iの入力値を3行3列の配列情報に従って配置して表示する画像データ(コンテンツ情報)を作成してRAM53に記憶する。尚,撮像画像143上の座標位置と表示領域145上の座標位置との対応関係がフラッシュメモリ52に予め記憶されている。
【0087】
つまり,CPU51は,CCDセンサ17によって撮像されるユーザ2の視野範囲と重なって視認される表示領域145上に,各入力キー7A?7Iの入力値を3行3列に配置した入力値画像146(図10参照)を配置した画像データ(コンテンツ情報)を作成してRAM53に記憶する。
【0088】
その後,CPU51は,この画像データを画像信号に変換して,ビデオRAM34に記憶した後,再度S12以降の処理を実行する。つまり,CPU51は,入力キー群7に重ならないユーザ2の視野範囲中に当該各入力キー7A?7Iの入力値を3行3列に配置した入力値画像146(図10参照)を出射装置11を介して表示後,再度S12以降の処理を実行する。これにより,絶えず,各入力キー7A?7Iの入力値の配置領域を抽出し,ビデオRAM34を初期化してから入力値画像146の画像信号を再度記憶するので,ユーザ2の頭が動いても,常に入力キー群7の近傍に,当該入力キー群7と重ならないように入力値画像146を表示することができる。」

F.「【0091】
そして,CPU51は,CCDセンサ17によって撮像されるユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145中において,表面に入力値が表示されていない各入力キー7A?7Iから構成される入力キー群7の左側上方に,各入力キー7A?7Iの入力値を3行3列に配置した入力値画像146を表示する画像データ(コンテンツ情報)を作成してRAM53に記憶する。例えば,CPU51は,3行3列のマス目を赤色の点線で表示し,1行目の各マス目に「6」,「8」,「3」,2行目の各マス目に「2」,「5」,「1」,3行目の各マス目に「9」,「4」,「7」の各入力値が赤色の数字でそれぞれ配置された入力値画像146を表示する画像データ(コンテンツ情報)を作成してRAM53に記憶する。その後,CPU51は,当該画像データを画像信号に変換してビデオRAM34に記憶する。
【0092】
これにより,図10に示すように,出射装置11を介してユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145中の左側上方の,入力キー群7に重ならない視野範囲中に,例えば,各入力キー7A?7Iに対応する3行3列の入力値が,1行目に「6」,「8」,「3」,2行目に「2」,「5」,「1」,3行目に「9」,「4」,「7」と赤色の数字で表示された入力値画像146が表示される。
従って,ユーザ2は,当該入力値画像146と入力キー群7を同時に見ながら,この表示された入力値画像146の各入力値に対応する各入力キー7A?7Iを押下してパスワードを入力することができる。
【0093】
ここで,出射装置11,ビデオRAM34は,表示手段の一例を構成する。また,CCDカメラ12は,撮像手段の一例として機能する。また,CPU51,RAM53は,位置検出手段,表示情報作成手段の一例を構成する。また,CPU51,フラッシュメモリ52は,表示制御手段の一例として機能する。
【0094】
以上説明した通り,実施例1に係るヘッドマウントディスプレイ3では,CCDセンサ17によって撮像されるユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145内において,入力キー群7の各入力キー7A?7Iにランダムに付与された数字等の入力値が3行3列に配置された入力値画像146を当該入力キー群7に重ならないように直接ユーザ2の網膜上に投射して表示する。」

G.「



2.引用文献1に記載の発明
(1)上記Aの「認証システム1は,ユーザ2の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ3と,このヘッドマウントディスプレイ3と通信可能に接続される認証装置5とから構成されている。」という記載,上記Bの「ヘッドマウントディスプレイ3は,画像光を出射する出射装置11と,各種操作やデータの入力を行うための入力部31と,認証装置5の入力キー群7等の撮像対象物を撮像すると共に当該撮像対象物までの距離を検出するための撮像部32と,認証装置5からパスワード等の入力値の配列データや各種ファイルデータ等の各種コンテンツ情報(表示情報)が入力される外部接続部33と,出射装置11によって表示するコンテンツやテキスト等のイメージデータを格納するビデオRAM34と,出射装置11によって表示するテキストのフォントデータを格納するフォントROM35と,ヘッドマウントディスプレイ3の全体を制御する制御部36と,電源部37等とから構成されている」という記載,上記Cの「制御部36は,CPU51,フラッシュメモリ52,RAM53等とから構成され」という記載,上記Cの「CPU51は,ヘッドマウントディスプレイ3の全体を制御し,ヘッドマウントディスプレイ3の動作に関する全てのデータを管理する演算処理装置である」という記載,同じく,上記Cの「CPU51は,入力キー群7の各入力キーに付与された入力値の配列状態を表す配列データをフォントROM35に記憶されたフォントデータに基づいて画像信号に変換し・・・ビデオRAM34に記憶する」という記載,及び,上記Eの「CPU51は,この認証装置5から各入力キー7A?7Iに対応する入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列情報を受信して,RAM53に記憶する」という記載において,「認証装置5からパスワード等の入力値の配列データ」,「入力キー群7の各入力キーに付与された入力値の配列状態を表す配列データ」,及び,「各入力キー7A?7Iに対応する入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列情報」における,「配列データ」と,「配列情報」とは,同義であると解せるので,上記引用の引用文献1の記載内容から,引用文献1には,
“ヘッドマウントディスプレイ3であって,
前記ヘッドマウントディスプレイ3は,画像光を出射する出射装置11と,各種操作やデータの入力を行うための入力部31と,認証装置5の入力キー群7等の撮像対象物を撮像すると共に当該撮像対象物までの距離を検出するための撮像部32と,認証装置5から各入力キー7A?7Iに対応する入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列データを受信する外部接続部33と,出射装置11によって表示するコンテンツやテキスト等のイメージデータを格納するビデオRAM34と,出射装置11によって表示するテキストのフォントデータを格納するフォントROM35と,前記ヘッドマウントディスプレイ3の全体を制御する制御部36とを有し,
前記制御部36は,CPU51,フラッシュメモリ52,RAM53等とから構成され,
前記CPU51は,前記認証装置5から前記配列データを受信して,RAM53に記憶し,前記配列データを前記フォントROM35に記憶されたフォントデータに基づいて画像信号に変換し,前記ビデオRAM34に記憶する”ことが記載されていると読み取れる。

(2)上記Dの「認証装置5は,ユーザID取得部121と,入力キー群7と,情報処理部125と,認証後処理部126と,ヘッドマウントディスプレイ3の外部接続モジュール45に赤外線通信等の無線通信や有線通信等によって接続されて双方向通信が可能な通信部127等とから構成されている」という記載,同じく,上記Dの「情報処理部125は,ユーザ情報取得部131,入力値設定部132及び認証部133等から構成されている」という記載,同じく,上記Dの「入力値設定部132は,入力キー群7の9個の入力キー7A?7Iに「1」?「9」の9個の入力値をランダムに設定して記憶する」という記載,及び,同じく,上記Dの「情報処理部125は,ヘッドマウントディスプレイ3から各入力キー7A?7Iに対応する入力値の配列情報を要求する配列データ要求信号が通信部127を介して入力された場合には,入力値設定部132から各入力キー7A?7Iに対応する入力値を取得し,この各入力キー7A?7Iの入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列情報を通信部127を介してヘッドマウントディスプレイ3へ出力する」という記載から,引用文献1には,
“認証装置5は,入力キー群7と,情報処理部125と,認証後処理部126と,ヘッドマウントディスプレイ3の外部接続モジュール45に赤外線通信等の無線通信や有線通信等によって接続されて双方向通信が可能な通信部127等とから構成され,前記情報処理部125は,ユーザ情報取得部131,入力値設定部132及び認証部133等から構成され,前記入力設定部132は,前記入力キー群7の9個の入力キー7A?7Iに「1」?「9」の9個の入力値をランダムに設定して記憶し,情報処理部125は,ヘッドマウントディスプレイ3から各入力キー7A?7Iに対応する入力値の配列情報を要求する配列データ要求信号が前記通信部127を介して入力された場合には,前記入力値設定部132から各入力キー7A?7Iに対応する入力値を取得し,この各入力キー7A?7Iの入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列情報を前記通信部127を介して前記ヘッドマウントディスプレイ3へ出力する”ことが記載されていると読み取れ,上記(1)において検討した事項を踏まえると,引用文献1においては,
“ヘッドマウントディスプレイ3であって,
前記ヘッドマウントディスプレイ3は,画像光を出射する出射装置11と,各種操作やデータの入力を行うための入力部31と,認証装置5の入力キー群7等の撮像対象物を撮像すると共に当該撮像対象物までの距離を検出するための撮像部32と,認証装置5から各入力キー7A?7Iに対応するランダムに設定した入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列データを受信する外部接続部33と,出射装置11によって表示するコンテンツやテキスト等のイメージデータを格納するビデオRAM34と,出射装置11によって表示するテキストのフォントデータを格納するフォントROM35と,前記ヘッドマウントディスプレイ3の全体を制御する制御部36とを有し,
前記制御部36は,CPU51,フラッシュメモリ52,RAM53等とから構成され,
前記CPU51は,前記認証装置5から前記配列データを受信して,RAM53に記憶し,前記配列データを前記フォントROM35に記憶されたフォントデータに基づいて画像信号に変換し,前記ビデオRAM34に記憶する”ものであることが読み取れる。

(3)上記Dの「認証部133は,入力キー群7の9個の入力キー7A?7Iを介して入力されたキー信号に基づいて,入力値設定部132から入力された各入力キー7A?7Iに設定された「1」?「9」の9個の入力値から入力パスワードを取得する入力パスワード取得部135と,この入力パスワードとユーザ情報取得部131から入力された照合パスワードとを照合するパスワード照合部136とから構成されている」という記載,同じく,上記Dの「ユーザ情報取得部131は,ユーザ情報DB128とネットワークを介して接続されており,ユーザID取得部121からユーザIDを取得し,このユーザIDに対応するパスワードをユーザ情報DB128から読み出して,一時的に記憶すると共に,認証部133のパスワード照合部136へ照合パスワードとして出力する」という記載,及び,上記Fの「ユーザ2は,当該入力値画像146と入力キー群7を同時に見ながら,この表示された入力値画像146の各入力値に対応する各入力キー7A?7Iを押下してパスワードを入力することができる」という記載から,「各入力値に対応する各入力キー7A?7I」は,“ユーザIDに対応するパスワードを示す照合パスワードと比較するための入力パスワードを入力する”ために用いられるものであるから,このことと,上記(1),及び,上記(2)において検討した事項から,引用文献1においては,
“ヘッドマウントディスプレイ3であって,
前記ヘッドマウントディスプレイ3は,画像光を出射する出射装置11と,各種操作やデータの入力を行うための入力部31と,認証装置5の入力キー群7等の撮像対象物を撮像すると共に当該撮像対象物までの距離を検出するための撮像部32と,認証装置5から,ユーザIDに対応するパスワードを示す照合パスワードと比較するための入力パスワードを入力するために用いられる各入力キー7A?7Iに対応するランダムに設定した入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列データを受信する外部接続部33と,出射装置11によって表示するコンテンツやテキスト等のイメージデータを格納するビデオRAM34と,出射装置11によって表示するテキストのフォントデータを格納するフォントROM35と,前記ヘッドマウントディスプレイ3の全体を制御する制御部36とを有し,
前記制御部36は,CPU51,フラッシュメモリ52,RAM53等とから構成され,
前記CPU51は,前記認証装置5から前記配列データを受信して,RAM53に記憶し,前記配列データを前記フォントROM35に記憶されたフォントデータに基づいて画像信号に変換し,前記ビデオRAM34に記憶する”ものであることが読み取れる。

(4)上記Cの「撮像部32は,輝度センサ15,LED16,CCDセンサ17,距離エンコーダ19及びCCDコントローラ14から構成され」という記載,上記Eの「CPU51は,上記S24で取得した各入力キー7A?7Iの入力値の3行3列の配列情報をRAM53から読み出し,CCDセンサ17によって撮像されるユーザ2の視野範囲に重ねて設定されている表示領域145(図10参照)内で,このRAM53から読み出した配置領域に対応する表示位置に,当該各入力キー7A?7Iの入力値を3行3列の配列情報に従って配置して表示する画像データ(コンテンツ情報)を作成してRAM53に記憶する」という記載,同じく,上記Eの「CPU51は,入力キー群7に重ならないユーザ2の視野範囲中に当該各入力キー7A?7Iの入力値を3行3列に配置した入力値画像146(図10参照)を出射装置11を介して表示後,再度S12以降の処理を実行する」という記載,上記Fの「CPU51は,CCDセンサ17によって撮像されるユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145中において,表面に入力値が表示されていない各入力キー7A?7Iから構成される入力キー群7の左側上方に,各入力キー7A?7Iの入力値を3行3列に配置した入力値画像146を表示する画像データ(コンテンツ情報)を作成してRAM53に記憶する。例えば,CPU51は,3行3列のマス目を赤色の点線で表示し,1行目の各マス目に「6」,「8」,「3」,2行目の各マス目に「2」,「5」,「1」,3行目の各マス目に「9」,「4」,「7」の各入力値が赤色の数字でそれぞれ配置された入力値画像146を表示する画像データ(コンテンツ情報)を作成してRAM53に記憶する。その後,CPU51は,当該画像データを画像信号に変換してビデオRAM34に記憶する」という記載,同じく,上記Fの「これにより,図10に示すように,出射装置11を介してユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145中の左側上方の,入力キー群7に重ならない視野範囲中に,例えば,各入力キー7A?7Iに対応する3行3列の入力値が,1行目に「6」,「8」,「3」,2行目に「2」,「5」,「1」,3行目に「9」,「4」,「7」と赤色の数字で表示された入力値画像146が表示される」という記載,及び,同じく,上記Fの「ヘッドマウントディスプレイ3では,CCDセンサ17によって撮像されるユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145内において,入力キー群7の各入力キー7A?7Iにランダムに付与された数字等の入力値が3行3列に配置された入力値画像146を当該入力キー群7に重ならないように直接ユーザ2の網膜上に投射して表示する」という記載と,上記(1)において検討した事項から,引用文献1においては,
“CPU51は,取得した各入力キー7A?7Iの入力値の3行3列の配列情報をRAM53から読み出し,撮影部32によって撮像されるユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145中において,表面に入力値が表示されていない各入力キー7A?7Iから構成される入力キー群7の左側上方に,例えば,3行3列のマス目を赤色の点線で表示し,1行目の各マス目に「6」,「8」,「3」,2行目の各マス目に「2」,「5」,「1」,3行目の各マス目に「9」,「4」,「7」の各入力値が赤色の数字でそれぞれ配置された入力値画像146を表示する画像データを作成してRAM53に記憶し,その後,CPU51は,当該画像データを画像信号に変換してビデオRAM34に記憶し,
これにより,出射装置11を介してユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145中の左側上方の,入力キー群7に重ならない視野範囲中に,例えば,各入力キー7A?7Iに対応する3行3列の入力値が,直接ユーザ2の網膜上に投射して表示される。”ものであることが読み取れる。

(5)以上,上記(1)?上記(4)において検討した事項から,引用文献1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。

「ヘッドマウントディスプレイ3であって,
前記ヘッドマウントディスプレイ3は,画像光を出射する出射装置11と,各種操作やデータの入力を行うための入力部31と,認証装置5の入力キー群7等の撮像対象物を撮像すると共に当該撮像対象物までの距離を検出するための撮像部32と,認証装置5から,ユーザIDに対応するパスワードを示す照合パスワードと比較するための入力パスワードを入力するために用いられる各入力キー7A?7Iに対応するランダムに設定した入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列データを受信する外部接続部33と,出射装置11によって表示するコンテンツやテキスト等のイメージデータを格納するビデオRAM34と,出射装置11によって表示するテキストのフォントデータを格納するフォントROM35と,前記ヘッドマウントディスプレイ3の全体を制御する制御部36とを有し,
前記制御部36は,CPU51,フラッシュメモリ52,RAM53等とから構成され,
前記CPU51は,前記認証装置5から前記配列データを受信して,RAM53に記憶し,前記配列データを前記RAM53から読み出し,前記撮像部32によって撮像されるユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145中において,表面に入力値が表示されていない各入力キー7A?7Iから構成される入力キー群7の左側上方に,例えば,3行3列のマス目を赤色の点線で表示し,1行目の各マス目に「6」,「8」,「3」,2行目の各マス目に「2」,「5」,「1」,3行目の各マス目に「9」,「4」,「7」の各入力値が赤色の数字でそれぞれ配置された入力値画像146を表示する画像データを作成して前記RAM53に記憶し,その後,前記CPU51は,当該画像データを画像信号に変換して前記ビデオRAM34に記憶し,
これにより,前記出射装置11を介して前記ユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145中の左側上方の,入力キー群7に重ならない視野範囲中に,例えば,前記配列データが,直接ユーザ2の網膜上に投射して表示される,ヘッドマウントディスプレイ3。」

3.周知文献に記載の事項
本願の第1国出願前に既に公知である,特開2013-131164号公報(2013年7月4日公開,以下,これを「周知文献」という)の【図3】には,次の事項が記載されている。

H.「



第6.本願発明と引用発明との対比
1.引用発明における「ユーザIDのパスワード」,「入力パスワード」が,それぞれ,
本願発明における「ユーザ(30)の秘密個人コード」,「比較されるコード」に相当し,
引用発明における「配列データ」は,「各入力キー7A?7Iに対応するランダムに設定した入力値」から構成されるものであって,当該「入力値」は,「数字」であり,「数字」も一種の記号であるから,
本願発明における「順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)」とは,
“順不同の一連の記号列”である点で共通し,
引用発明における「ヘッドマウントディスプレイ3」は,「ユーザ2」の端末であることは明らかであり,「認証装置5」から,“順不同の一連の記号列”を受信するものであるから,
引用発明における「ヘッドマウントディスプレイ3」,「認証装置5」,「ユーザ2」が,それぞれ,
本願発明における「第2の端末(33)と称されるユーザ端末」,「第1端末(32)」,「ユーザ(30)」に相当し,
引用発明において,「配列データ」は,「外部接続部33」によって受信されるので,
引用発明における「外部接続部33」が,
本願発明における「順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を受信する手段」に相当する。

2.引用発明において,「配列データ」は,「各入力キー7A?7Iに対応するランダムに設定した入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列」であって,「ユーザ2」は,この「配列データ」から,自身の「ユーザIDに対応するパスワード」に対応する数値を順に選択して,「入力パスワード」として入力するのであるから,当該「ユーザIDに対応するパスワード」は,「配列データ」の「サブセット」と言い得るものである。
そして,本願発明における「サブセット(1,7,5,9)」における「(1,7,5,9)」は,パスワードの例を示すものである。
したがって,上記1.において検討した事項と併せると,
引用発明における「ヘッドマウントディスプレイ3であって,
前記ヘッドマウントディスプレイ3は,画像光を出射する出射装置11と,各種操作やデータの入力を行うための入力部31と,認証装置5の入力キー群7等の撮像対象物を撮像すると共に当該撮像対象物までの距離を検出するための撮像部32と,認証装置5から,ユーザIDに対応するパスワードを示す照合パスワードと比較するための入力パスワードを入力するために用いられる各入力キー7A?7Iに対応するランダムに設定した入力値を当該各入力キー7A?7Iの並び順に配列した3行3列の配列データを受信する外部接続部33」と,
本願発明における「第2端末(33)と称されるユーザ端末であって,
a)第1端末(32)から,そのサブセット(1,7,5,9)がユーザ(30)の秘密個人コードと比較されるコードを構成するような,順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を受信する手段」とは,
“第2端末(33)と称されるユーザ端末であって,
a)第1端末(32)から,そのサブセット(1,7,5,9)がユーザ(30)の秘密個人コードと比較されるコードを構成するような,順不同の一連の記号列を受信する手段”
である点で共通する。

3.引用発明において,「表示領域145」は,「配列データ」が,表示される場所であるから,
引用発明における「表示領域145」が,
本願発明における「スクリーン」に相当し,
引用発明において,「配列データ」は,「表面に入力値が表示されていない各入力キー7A?7Iから構成される入力キー群7の左側上方に」,「例えば,3行3列のマス目を赤色の点線で表示し,1行目の各マス目に「6」,「8」,「3」,2行目の各マス目に「2」,「5」,「1」,3行目の各マス目に「9」,「4」,「7」の各入力値が赤色の数字でそれぞれ配置された入力値画像146を表示する画像データ」として,表示されるものであり,上記Gに引用した,引用文献1の【図10】に開示の事項を踏まえると,引用発明における「配列データ」も,「入力キー群7」も,「格子状」に表示されるものである。
そして,引用発明において,「出射装置11」は,「配列データ」を,「網膜上に投射して表示する」ものであることから,
引用発明における「出射装置11」が,
本願発明における「表示する手段」に相当し,
引用発明において,「配列データ」は,「入力キー群7」に対して,“第2の格子に表示される”ものであると言い得るものであるから,
引用発明における「CPU51は,前記認証装置5から前記配列データを受信して,RAM53に記憶し,前記配列データを前記RAM53から読み出し,前記撮像部32によって撮像されるユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145中において,表面に入力値が表示されていない各入力キー7A?7Iから構成される入力キー群7の左側上方に,例えば,3行3列のマス目を赤色の点線で表示し,1行目の各マス目に「6」,「8」,「3」,2行目の各マス目に「2」,「5」,「1」,3行目の各マス目に「9」,「4」,「7」の各入力値が赤色の数字でそれぞれ配置された入力値画像146を表示する画像データを作成して前記RAM53に記憶し,その後,前記CPU51は,当該画像データを画像信号に変換して前記ビデオRAM34に記憶し,
これにより,前記出射装置11を介して前記ユーザ2の視野範囲に重なるように設定されている表示領域145中の左側上方の,入力キー群7に重ならない視野範囲中に,例えば,前記配列データが,直接ユーザ2の網膜上に投射して表示される」ことと,
本願発明における「b)前記第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記サブセット(1,7,5,9)を含む前記順不同の一連の記号(1,2,・・・9,*,#)を配置して表示する手段」とは,
“ b)第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記サブセット(1,7,5,9)を含む前記順不同の一連の記号列を配置して表示する手段”である点で共通する。

4.以上,上記1.?3.において検討した事項から,本願発明と引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
第2端末(33)と称されるユーザ端末であって,
a)第1端末(32)から,そのサブセット(1,7,5,9)がユーザ(30)の秘密個人コードと比較されるコードを構成するような,順不同の一連の記号列を受信する手段と;
b)第2端末(33)のスクリーン上の第2格子(37)に前記サブセット(1,7,5,9)を含む前記順不同の一連の記号列を配置して表示する手段と;
を備えたユーザ端末。

[相違点]
“順不同の一連の記号列”に関して,
本願発明においては,「一連の記号(1,2,・・・9,*,#)」であるのに対して,
引用発明においては,「1?9」までの数字である点。

第7.相違点についての当審の判断
ユーザのパスワードを構成する記号として,本願発明と同様な「1,2,・・・9,*,#」を用いることは,本願の第1国出願前に当業者には周知の技術事項であり(必要であれば,上記Hに引用した周知文献等を参照されたい),引用発明においても,「1?9」の数字に換えて,「1,2,・・・9,*,#」を採用することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点]は,格別のものではない。
そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。

第8.むすび
したがって,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-11-05 
結審通知日 2019-11-12 
審決日 2019-11-27 
出願番号 特願2017-515231(P2017-515231)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平井 誠  
特許庁審判長 仲間 晃
特許庁審判官 石井 茂和
山崎 慎一
発明の名称 ユーザの認証方法及び対応端末と認証システム  
代理人 萩原 誠  
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