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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04Q
管理番号 1361400
審判番号 不服2019-5388  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-23 
確定日 2020-04-16 
事件の表示 特願2014-147797「家電機器設定システム、家電機器および端末」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月 8日出願公開、特開2016- 25449〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年7月18日の出願であって、平成30年7月12日付けで拒絶理由が通知され、同年9月14日に意見書が提出され、平成31年1月30日付けで拒絶査定されたところ、同年4月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。そして、令和1年10月8日に上申書が提出された。

第2 平成31年4月23日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成31年4月23日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び請求項7の記載は次のとおりである(なお、下線は、補正箇所を示す。)。
「【請求項1】
家電機器と、当該家電機器と通信する通信機能を有する端末と、で構築される家電機器設定システムであって、
前記家電機器の所定機能を設定する家電機器側設定手段は前記家電機器に、
前記家電機器の機能のうち前記所定機能を除く機能を設定する端末側設定手段は前記端末に、
それぞれ分散して設けられている家電機器設定システム。」

「【請求項7】
前記端末側設定手段は、前記所定機能も設定する請求項1から6の何れか1項に記載の家電機器設定システム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び請求項7の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
家電機器と、当該家電機器と通信する通信機能を有する端末と、で構築される家電機器設定システムであって、
前記家電機器は、当該家電機器の所定機能を設定する家電機器側設定手段を備え、
前記端末は、前記家電機器の機能のうち前記所定機能を除く機能を設定する端末側設定手段を備える家電機器設定システム。」

「【請求項7】
前記端末側設定手段は、前記所定機能も設定する請求項1から6の何れか1項に記載の家電機器設定システム。」

2 補正の適否
本件補正は、請求項7が引用する請求項1について、本件補正前の請求項1に記載された「家電機器設定システム」が備える「家電機器の所定機能を設定する家電機器側設定手段」及び「前記家電機器の機能のうち前記所定機能を除く機能を設定する端末側設定手段」が、「前記家電機器」及び「前記端末」に、「それぞれ分散して設けられている」ことを特定するものである。
よって、補正前の請求項1を引用する請求項7に記載された発明と補正後の請求項1を引用する請求項7に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。
そこで、本件補正発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明を引用形式を用いずに記載すると、次のとおりのものと認める。
「家電機器と、当該家電機器と通信する通信機能を有する端末と、で構築される家電機器設定システムであって、
前記家電機器の所定機能を設定する家電機器側設定手段は前記家電機器に、
前記家電機器の機能のうち前記所定機能を除く機能を設定する端末側設定手段は前記端末に、
それぞれ分散して設けられている家電機器設定システムであり、
前記端末側設定手段は、前記所定機能も設定する家電機器設定システム。」

(2)引用文献の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-229850号公報(平成16年8月19日出願公開。以下「引用文献」という。)には、図面とともに、次のとおりの記載がある(なお、下線は当審において付与。)。

ア 「【0002】
【従来の技術】
近年発売されているジャー炊飯器は、顧客の食生活を豊かにするため、炊き分けや、メニューなどの種類が次々に増えてきた。これに伴い、ジャー炊飯器の操作部および表示部を配置したパネルには表示文字や、操作キーの数が増加したり、操作が複雑になったりしている。」

イ 「【0015】
本発明は、前記不具合を解決するものであり、本体パネルをシンプルな構成とし、老齢者なども簡単に操作ができ、且つ、種々のメニューに対応できるジャー炊飯器を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、本体と、本体とは別体のリモコンとからなり、本体は負荷を加熱する加熱部と、この加熱部を駆動するドライブ回路と、炊飯状態などを表示する表示部と、動作信号を入力する本体操作部と、リモコンから送られてくる動作信号を受信する受信部と、これらを制御するマイクロコンピュータとを備え、リモコンは動作信号を入力するリモコン操作部と、この動作信号を本体に送信する送信部とを備えたジャー炊飯器において、本体操作部には使用頻度の高い操作キーのみを配置し、リモコン操作部には全ての操作キーを配置するものである。」

ウ 「【0018】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に従って説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施例のブロック構成図で、同図(a)は本体のブロック構成図、同図(b)はリモコンのブロック構成図である。図2は本発明の一実施例のパネルの図で、同図(a)は本体パネルの図、同図(b)はリモコンパネルの図である。図3は本発明の一実施例の白米の炊飯時の表示部の表示を示す図である。図4は本発明の一実施例の無洗米の設定から炊飯までの表示部の表示を示す図である。
【0020】
先ず、図1に従い、全体のブロック構成を説明する。図1(a)において、1はジャー炊飯器の本体である。
【0021】
2は表示部で、通常液晶表示器(LCD)で実現される。入力は後記マイクロコンピュータ10と接続され、入力された信号により時刻や、炊飯状態などを表示する。
【0022】
3は本体操作部で、通常タクトスイッチで実現される操作キーで構成され、動作信号を入力する。本例では、炊飯と切の2つキーから構成され、炊飯信号や切信号、すなわち動作信号を後記マイクロコンピュータ10に出力する。4は本体パネルで、前記表示部2および本体操作部3から構成される。
【0023】
5は加熱部で、誘導加熱式ジャー炊飯器の場合、加熱コイルを含む共振回路とインバータ部(図示せず)とで構成され、加熱コイルに発生する磁束により負荷(図示せず)を誘導加熱する。
【0024】
6はドライブ回路で、入力は後記デジタル/アナログ変換回路(以下、D/A変換回路という。)7と接続され、出力は加熱部5と接続され、後記D/A変換回路7から入力される電力設定信号を加熱部5の駆動に適した駆動電圧に変換して加熱部5に出力し、加熱部5を駆動する。
【0025】
7はD/A変換回路で、入力は後記マイクロコンピュータ10と接続され、出力はドライブ回路6と接続され、後記マイクロコンピュータ10から入力される電力設定基準信号をデジタル値からアナログの電力設定信号に変換して出力する。
【0026】
8は受信部で、後記アナログ/デジタル変換回路(以下、A/D変換回路という。)9と接続され、後記リモコン11の後記送信部13から送られてくる動作信号を受信し、一定レベルのアナログ電気信号に変換し、後記A/D変換回路9に出力する。
【0027】
9はA/D変換回路で、入力は受信部8と接続され、出力は後記マイクロコンピュータ10と接続され、受信部8からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、後記マイクロコンピュータ10に出力する。
【0028】
10はマイクロコンピュータで、表示部2、本体操作部3、A/D変換回路9、D/A変換回路7と接続し、情報を記憶する記憶部を備え、加熱部5、ドライブ回路6、表示部2、本体操作部3、受信部8等を制御し、入力された信号を判断し、制御信号等を出力する。
【0029】
図1(b)において、11はリモコンで、本体1とは別体に構成され、以下に記す構成要素を備えている。
【0030】
12はリモコン操作部で、複数の操作キーで構成され、これらの操作キーを操作することにより動作信号を入力し、操作キーに応じて異なる周波数の動作信号で出力する。
【0031】
13は送信部で、入力はリモコン操作部12と接続され、リモコン操作部12から入力された動作信号を空間で転送できる信号に変換し、本体1の受信部8に送信する。14はリモコンパネルで、リモコン操作部12を搭載するリモコン11の上面部である。
【0032】
次に、図2に従い、本体パネル4およびリモコンパネル14の詳細な構成を説明する。
【0033】
図2(a)は本体パネル4を示したもので、表示部2すなわち液晶表示器の他、使用頻度の高い操作キーで構成される本体操作部3が配置される。ここでは、一例として、炊飯と切の2つの操作キーだけを搭載したが、保温、再加熱等の操作キーを追加してもよい。実際は製品仕様もしくは顧客要求等により選択すればよく、できる限り少ない数とすることが望ましい。
【0034】
図2(b)はリモコンパネル14を示したものである。リモコン11の上面部すなわちリモコンパネル14には、本体1すなわち本体パネル4に配置される炊飯と切の2つの操作キーを含め、全ての操作キーが配置されるリモコン操作部12が搭載されている。リモコン操作部12には最も使用頻度の高い操作キー(炊飯と切)を一番上に並べ、使用頻度が比較的に高い操作キー(保温と再加熱)をその下に並べている。
【0035】
さらに、その下に、メニュー、炊き分け、予約・時計の3つのブロックに分けて操作キーを配置している。
【0036】
メニューブロックの中では、1つの操作キーは1つの炊飯メニューに対応し、おかゆ、炊き込み、雑炊、玄米、玄米がゆ、すしの6つの操作キーを配置している。
【0037】
炊き分けブロックの中では、1つの操作キー、若しくは2つの操作キーの組み合わせが1つの炊き分けメニューに対応し、白米、無洗米、クリン、普通、軟、硬、おこげ、快速の8つの操作キーを配置している。
【0038】
また、予約・時計ブロックの中では、予約、時計、10種の数字、時、分の操作キーを配置している。」

エ 「【0041】
先ず、本体1で操作を行った場合の動作を説明する。図3(a)に示す初期状態すなわち白米(普通)設定の画面において、使用者が本体パネル4の本体操作部3内の炊飯キーを押す。この動作信号がマイクロコンピュータ10に入力され、マイクロコンピュータ10は押された操作キーが炊飯キーと理解したら、記憶された白米(普通)メニューに応じて動作を開始する。」

オ 「【0065】
本体1では一部のメニューの加熱しか対応できないが、リモコン11には全ての操作キーが配置されているので、全てのメニューの設定、加熱が可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のジャー炊飯器によれば、本体と、本体とは別体のリモコンとからなり、本体は負荷を加熱する加熱部と、この加熱部を駆動するドライブ回路と、炊飯状態などを表示する表示部と、動作信号を入力する本体操作部と、リモコンから送られてくる動作信号を受信する受信部と、これらを制御するマイクロコンピュータとを備え、リモコンは動作信号を入力するリモコン操作部と、この動作信号を本体に送信する送信部とを備えたジャー炊飯器において、本体操作部には使用頻度の高い操作キーのみを配置し、リモコン操作部には全ての操作キーを配置するので、本体パネルをシンプルな構成とし、老齢者なども簡単に操作ができ、且つ、本体操作部とリモコン操作部の操作キーを使い分けることによって種々のメニューに対応できるジャー炊飯器を提供することができるという効果を奏する。
【0067】
また、リモコンに全ての操作キーを配置したので、メニューの増減等があっても、開発費用の高い本体パネルの変更をすることなく、リモコンの操作キーの増減のみで対応可能なので、開発費用を節約でき、製品の信頼性も向上する。」

上記アからオで摘記した事項から、引用文献には、「本体パネルをシンプルな構成とし、老齢者なども簡単に操作ができ、且つ、種々のメニューに対応できるジャー炊飯器を提供すること」(【0015】)を目的とする次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「本体と、本体とは別体のリモコンとからなり、本体は負荷を加熱する加熱部と、この加熱部を駆動するドライブ回路と、炊飯状態などを表示する表示部と、動作信号を入力する本体操作部と、リモコンから送られてくる動作信号を受信する受信部と、これらを制御するマイクロコンピュータとを備え、リモコンは動作信号を入力するリモコン操作部と、この動作信号を本体に送信する送信部とを備えたジャー炊飯器において、(【0016】)
本体操作部には使用頻度の高い炊飯と切の2つの操作キーのみを配置し、(【0033】)
リモコン操作部には、本体に配置される炊飯と切の2つの操作キー、使用頻度が比較的に高い操作キー(保温と再加熱)、1つの操作キーは1つの炊飯メニューに対応したおかゆ、炊き込み、雑炊、玄米、玄米がゆ、すしの6つの操作キー、1つの操作キー、若しくは2つの操作キーの組み合わせが炊き分けメニューに対応した白米、無洗米、クリン、普通、軟、硬、おこげ、快速の8つの操作キー、予約、時計、10種の数字、時、分の操作キーを含む、全ての操作キーを配置し、(【0034】、【0036】、【0037】、【0038】)
本体で操作を行った場合、初期状態すなわち白米(普通)設定の画面において、使用者が本体パネルの本体操作部内の炊飯キーを押すと、白米(普通)メニューに応じて動作を開始し、(【0041】)
本体では一部のメニューの加熱しか対応できないが、リモコンには全ての操作キーが配置されているので、全てのメニューの設定、加熱が可能であり、(【0065】)
本体操作部とリモコン操作部の操作キーを使い分けるとによって種々のメニューに対応できるジャー炊飯器。(【0066】)」

(3)対比・判断
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「本体と、本体とは別体のリモコンと」からなる「ジャー炊飯器」は、「本体」に「リモコンから送られてくる動作信号を受信する受信部」を備え、「リモコン」に「動作信号を入力するリモコン操作部と、この動作信号を本体に送信する送信部」とを備え、「リモコンには全ての操作キーが配置されているので、全てのメニューの設定、加熱が可能」であるから、引用発明の「本体」及び「リモコン」は、それぞれ本件補正発明の「家電機器」及び「当該家電機器と通信する通信機能を有する端末」に相当し、引用発明の「本体と、本体とは別体のリモコンと」からなる「ジャー炊飯器」は、本件補正発明と同様に、「家電機器と、当該家電機器と通信する通信機能を有する端末と、で構築される家電機器設定システム」といえる。

イ 引用発明において、「操作キー」の操作によって、「炊飯メニュー」、「炊き分けメニュー」等の「種々のメニュー」や「予約」に対応した「動作信号を入力する」ことは、ジャー炊飯器の「機能を設定する」ことといえ、当該機能のうち、「本体操作部」の「操作キー」の操作によって動作する「白米(普通)メニュー」に応じた炊飯機能を「所定機能」と称することは任意である。

よって、引用発明の「白米(普通)メニュー」に対応する「使用頻度の高い炊飯と切の2つの操作キーのみを配置」した「本体操作部」は、本件補正発明の「前記家電機器の所定機能を設定する家電機器側設定手段」に相当する。

また、引用発明の「リモコン操作部」は、「本体に配置される炊飯と切の2つの操作キー」を含む「全ての操作キー」が配置され、「全てのメニューの設定、加熱が可能」であるから、本件補正発明の「前記家電機器の機能のうち前記所定機能を除く機能を設定する端末側設定手段」であって、「前記所定機能も設定する」「前記端末側設定手段」に相当する。

そして、引用発明の「ジャー炊飯器」は、「本体操作部とリモコン操作部の操作キーを使い分けることによって種々のメニューに対応できる」ものであって、「本体」では、「白米(普通)メニュー」の「加熱しか対応できないが、リモコンには全ての操作キーが配置されているので、全てのメニューの設定、加熱が可能」であるから、本件補正発明と同様に、「前記家電機器の所定機能を設定する家電機器側設定手段は前記家電機器に」、「前記家電機器の機能のうち前記所定機能を除く機能を設定する端末側設定手段は前記端末に」、「それぞれ分散して設けられている家電機器設定システムであり」、「前記端末側設定手段は、前記所定機能も設定する家電機器設定システム」といえる。

ウ 上記ア及びイのとおりであるから、本件補正発明と引用発明とは、すべての点で一致し、相違点を有しない。
よって、本件補正発明は、引用文献に記載された発明である。

(4)小括
したがって、本件補正発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 補正の却下の決定についてのまとめ
以上より、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成31年4月23日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、本願出願当初の特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1を引用する請求項7に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、引用形式を用いずに記載すると、その請求項1及び請求項7に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。

「家電機器と、当該家電機器と通信する通信機能を有する端末と、で構築される家電機器設定システムであって、
前記家電機器は、当該家電機器の所定機能を設定する家電機器側設定手段を備え、
前記端末は、前記家電機器の機能のうち前記所定機能を除く機能を設定する端末側設定手段を備える家電機器設定システムであり、
前記端末側設定手段は、前記所定機能も設定する家電機器設定システム。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
(1)(新規性)この出願の請求項7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)(進歩性)この出願の請求項7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献:特開2004-229850号公報

3 引用文献の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から、「家電機器の所定機能を設定する家電機器側設定手段」は「前記家電機器」に、「前記家電機器の機能のうち前記所定機能を除く機能を設定する端末側設定手段」は「前記端末」に、「それぞれ分散して設けられている」との特定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2(3)に記載したとおり、引用文献に記載された発明であるから、本願発明も、同様の理由により、引用文献に記載された発明である。

よって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1を引用する請求項7に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-02-13 
結審通知日 2020-02-18 
審決日 2020-03-02 
出願番号 特願2014-147797(P2014-147797)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H04Q)
P 1 8・ 575- Z (H04Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永田 義仁  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 衣鳩 文彦
北岡 浩
発明の名称 家電機器設定システム、家電機器および端末  
代理人 特許業務法人 サトー国際特許事務所  

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