• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  C08G
管理番号 1361441
異議申立番号 異議2019-700345  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-04-24 
確定日 2020-02-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6422657号発明「ポリイミド樹脂の製造方法、ポリイミド膜の製造方法、ポリアミック酸溶液の製造方法、ポリイミド膜、及びポリアミック酸溶液」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6422657号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 特許第6422657号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

1 特許第6422657号(請求項の数3。以下、「本件特許」という。)は、平成26年2月18日を出願日とする特許出願(特願2014-28644号)に係るものであって、平成30年10月26日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、平成30年11月14日である。)。

2 本件特許につき平成31年4月24日に、本件特許の請求項1?3に係る特許に対して、特許異議申立人である特許業務法人朝日奈特許事務所(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。

3 本件特許異議の申立てにおける手続きの経緯は、以下のとおりである。

平成31年 4月24日 特許異議申立書
令和 1年 7月24日付け 取消理由通知書
令和 1年 9月30日 訂正の請求及び意見書(特許権者)
令和 1年10月25日付け 通知書(訂正請求があった旨の通知)

なお、特許法第120条の5第5項の規定により、令和1年10月25日付けで訂正の請求があった旨の通知を申立人に送付したが、申立人からは意見書の提出は無かった。

第2 訂正の請求について
1 訂正の内容
令和1年9月30日付けでの訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の請求は、本件特許の特許請求の範囲を上記訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである。

訂正事項1:特許請求の範囲の請求項1に「下記一般式(1)で表される化合物(A)を少なくとも含有する溶剤中でテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸溶液(但し、液晶配向剤用を除く。)を基体上に塗布して形成されるポリイミド前駆体膜を120?350℃で加熱する工程」と記載されているのを、「下記一般式(1)で表される化合物(A)を少なくとも含有する溶剤中でテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸溶液(但し、液晶配向剤用を除く。)を基体上に塗布して形成されるポリイミド前駆体膜を120?350℃で加熱することにより前記基体上にポリイミド膜を形成する工程」に訂正する。

訂正事項2:特許請求の範囲の請求項1に「工程を含むポリイミド膜の製造方法であって、」と記載されているのを、「工程、及び、
前記ポリイミド膜を前記基体から剥離する工程を含むポリイミド膜の製造方法であって、」に訂正する。

本件訂正請求は、訂正前の請求項1について、請求項2、3は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?3に対応する訂正後の請求項1?3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項となるから、一群の請求項1?3に対して請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係るポリイミド膜の製造方法について、「加熱する工程」を、該加熱する工程をポリイミド膜を形成するというように具体化した「加熱することにより基体上にポリイミド膜を形成する工程」と限定する工程へと減縮するものである。してみると、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。
そして、訂正事項1は、訂正前の請求項1に係るポリイミド膜の製造方法を、本件特許明細書の【0049】に記載された「半導体素子等の電子素子や多層配線基板等を基体として用いて、基体上にポリイミド膜を形成することによって、電子素子や多層配線基板にポリイミド樹脂からなる絶縁膜を形成することができる。また、板上の基板を基体として用いて、ポリイミド膜を形成することによって、ポリイミドフィルムを得ることができる。基板上に形成されるポリイミドフィルムは、基板上で、そのまま使用されてもよいし、基板から剥離させた状態で使用されてもよい。」との記載に基づき特定するものであるから、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1に係るポリイミド膜の製造方法について、「前記ポリイミド膜を前記基体から剥離する工程」を含むものへと減縮するものである。してみると、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであると認められる。
そして、訂正事項2は、訂正前の請求項1に係るポリイミド膜の製造方法を、本件特許明細書の【0049】に記載された「また、板上の基板を基体として用いて、ポリイミド膜を形成することによって、ポリイミドフィルムを得ることができる。基板上に形成されるポリイミドフィルムは、基板上で、そのまま使用されてもよいし、基板から剥離させた状態で使用されてもよい。」との記載に基づき特定するものであるから、新たな技術的事項を導入するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項ないし第6項の規定に適合するので、本件訂正を認める。

第3 本件訂正後の請求項1?3に係る発明
上記第2で述べたように、本件訂正は認められるので、本件訂正により訂正された請求項1?3に係る発明(以下「本件訂正発明1」等という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?3に記載された以下の事項によって特定されるとおりのものである(以下、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。また、下線は訂正箇所を示す。)。

「【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物(A)を少なくとも含有する溶剤中でテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸溶液(但し、液晶配向剤用を除く。)を基体上に塗布して形成されるポリイミド前駆体膜を120?350℃で加熱することにより前記基体上にポリイミド膜を形成する工程、及び、
前記ポリイミド膜を前記基体から剥離する工程を含むポリイミド膜の製造方法であって、
前記化合物(A)が下記式(a-1)?(a-17)で表される化合物の少なくとも1つを含み、
前記ポリイミド前駆体膜の膜厚が0.8?350μmであるポリイミド膜の製造方法。
【化1】

(式中、R^(1)は、水素原子又はヒドロキシル基を表し、R^(2)及びR^(3)は、独立に水素原子又はC_(1)?C_(3)のアルキル基を表し、R^(4)及びR^(5)は、独立にC_(1)?C_(3)のアルキル基を表す。)
【化2】


【請求項2】
前記化合物(A)がN,N,2-トリメチルプロピオンアミドである請求項1記載のポリイミド膜の製造方法。
【請求項3】
前記化合物(A)の量が、前記テトラカルボン酸二無水物成分の量と前記ジアミン成分の量との合計100質量部に対して、20?2000質量部である請求項1又は2記載のポリイミド膜の製造方法。」

第4 特許異議の申立ての理由及び取消理由の概要
1 特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由
本件訂正前の請求項1?3に係る発明は、下記(1)のとおり、特許法第113条第2号に該当する。証拠方法として、下記(2)の甲第1号証(以下、単に「甲1」という。)を提出する。

(1)申立理由1(拡大先願)
本件訂正前の請求項1?3に係る発明は、その出願の日前の日本語特許出願であって、その出願後に国際公開がされた下記の日本語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の日本語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記日本語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)ものであるから、その発明に係る特許は、同法113条2号に該当する。

(2)証拠方法
・甲1:国際公開第2015/053394号

2 取消理由通知書に記載した取消理由
上記1の申立理由1(拡大先願)と同旨。

第5 当審の判断
以下に述べるように、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1?3に係る特許を取り消すことはできない。
以下、詳述する。

1 取消理由1
甲1は特願2013-213117号(出願日:平成25年10月10日。以下「基礎出願」という。)を優先基礎とする日本語国際出願(PCT/JP2014/077219)が公開された国際公報である。そして、下記(1)にて、甲1の記載事項として示した内容は、基礎出願の特許請求の範囲及び明細書に記載されている。
そして、本件出願の発明者が甲1の発明者と同一ではなく、また本件出願時において、本件出願人が甲1の出願人と同一でない。

(1)甲1に記載された事項(下線は当審が付与した。)
甲1には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 (A)成分:下記の式[A]:
【化1】

(式中、X^(1)およびX^(2)は、それぞれ独立して、炭素数1?3のアルキル基を示し、X^(3)およびX^(4)は、それぞれ独立して、炭素数1?3のアルキル基を示す)で示される溶媒;および
(B)成分:ポリイミド前駆体およびポリイミドから選ばれる少なくとも1種の重合体
を含有する組成物。
【請求項2】 前記(A)成分の溶媒が、下記の式[A-1]:
【化2】

で示される溶媒である、請求項1に記載の組成物。
・・(略)・・・
【請求項18】 請求項1?請求項17のいずれか一項に記載の組成物から得られるポリイミド膜。」

イ 「【0009】 そこで本発明は、上記特性を兼ね備えた組成物を提供することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、ポリイミド膜を形成する際に、はじきに伴うピンホールの発生を抑制することができ、その端部の塗膜性にも優れる組成物を提供することである。その際、低温での焼成でも、ポリイミド膜が作製できる組成物となることも目的とする。」

ウ 「【0061】<特定重合体>
本発明の(B)成分である特定重合体は、ポリイミド前駆体およびポリイミド(総称してポリイミド系重合体ともいう)から選ばれる少なくとも1種の重合体である。なかでも、本発明のポリイミド系重合体は、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを反応させて得られるポリイミド前駆体またはポリイミドであることが好ましい。
【0062】 ポリイミド前駆体とは、下記の式[a]で示される構造である。
【化17】

(式[a]中、R^(1)は、4価の有機基であり、R^(2)は、2価の有機基であり、A^(1)およびA^(2)は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1?5のアルキル基を示し、A^(3)およびA^(4)は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1?5のアルキル基またはアセチル基を示し、nは正の整数を示す)。
【0063】 前記ジアミン成分としては、分子内に1級または2級のアミノ基を2個有するジアミン化合物が挙げられる。
【0064】 また、前記テトラカルボン酸成分としては、テトラカルボン酸化合物、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジハライド化合物、テトラカルボン酸ジアルキルエステル化合物またはテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライド化合物が挙げられる。」

エ 「【0126】 ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸成分をそのまま、または溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸成分を溶媒に分散、あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを交互に添加する方法などが挙げられ、これらのいずれの方法を用いてもよい。また、ジアミン成分またはテトラカルボン酸成分を、それぞれ複数種用いて反応させる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させてもよく、個別に順次反応させてもよく、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ重合体としてもよい。その際の重合温度は-20℃?150℃の任意の温度を選択することができるが、好ましくは-5℃?100℃の範囲である。また、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となる。そのため、好ましくは1?50質量%、より好ましくは5?30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、溶媒を追加することができる。」

オ 「【0168】<ポリイミド膜>
本発明の組成物は、基板上に塗布、焼成した後、ポリイミド膜として用いることができる。この際に用いる基板としては、目的とするデバイスに応じて、ガラス基板、シリコンウェハ、アクリル基板、ポリカーボネート基板またはPET(ポリエチレンテレフタレート)基板などのプラスチック基板なども用いることができる。また、ポリイミド膜をそのままフィルム基板として用いることもできる。組成物の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷またはインクジェット法などで行う方法が一般的である。これらは、目的に応じてこれらを用いてもよい。
【0169】 組成物を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブンまたはIR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により50?300℃、好ましくは80?250℃で溶媒を蒸発させてポリイミド膜とすることができる。本発明の特定溶媒を用いた組成物の場合、200℃以下の温度でもポリイミド膜を作製することができる。焼成後のポリイミド膜の厚みは、目的に応じて、0.01?100μmに調整することができる。」

カ 「【0235】「本発明の組成物および液晶配向処理剤の製造」
下記する実施例1?実施例20、比較例1?比較例4では、組成物の製造例を記載する。また、これら組成物は液晶配向処理剤の評価のためにも使用される。
【0236】 本発明の組成物および液晶配向処理剤を表3?表5に示す。
【0237】 本発明の実施例および比較例で得られた組成物および液晶配向処理剤を用い、「組成物および液晶配向処理剤の印刷性の評価(ピンホールの評価)」、「組成物および液晶配向処理剤の印刷性の評価(塗膜端部の評価)」、「電圧保持率(VHR)の評価(通常セル)」、「液晶配向処理剤のインクジェット塗布性の評価」、「液晶セルの作製および液晶配向性の評価(PSAセル)」および「液晶セルの作製および液晶配向性の評価(SC-PVAセル)」を行った。
【0238】「組成物および液晶配向処理剤の印刷性の評価(ピンホールの評価)」
本発明の実施例および比較例の手法で得られた組成物を用いて、ポリイミド膜のピンホールの評価を行った。具体的には、これら組成物を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、未洗浄のCr蒸着基板(縦100mm×横100mm,厚さ1.0mm)に対して印刷を行った。印刷機には簡易印刷機S15型(日本写真印刷社製)を用い、印刷面積が基板の中心に対して80×80mmの範囲、印圧が0.2mm、捨て基板が5枚、印刷から仮乾燥までの時間が90秒、仮乾燥がホットプレート上にて70℃で5分間、本焼成が熱循環型クリーンオーブンにて160℃で15分間の条件で行った。
【0239】 その後、得られたポリイミド膜付き基板のピンホールの数を確認した。具体的には、このポリイミド膜付き基板をナトリウムランプの下で目視観察をして、ポリイミド膜上のピンホールの数を数えた。なお、ピンホールの数が少ないものほど、組成物中の析出物が少なく、本評価に優れるとした。
【0240】 表6?表8に、実施例および比較例で得られたピンホールの数を示す。
【0241】 なお、本発明の実施例および比較例で得られた組成物は、液晶配向処理剤に用いることができる。そのため、本発明の実施例および比較例で得られた組成物のポリイミド膜のピンホールの評価は、液晶配向膜のピンホールの評価ともした。
【0242】「組成物および液晶配向処理剤の印刷性の評価(塗膜端部の評価)」
前記の「組成物および液晶配向処理剤の印刷性の評価(ピンホールの評価)」で得られポリイミド膜付き基板を用いて、ポリイミド膜の塗膜端部の評価、すなわち、ポリイミド膜端部の直線性の評価(直線性の評価ともいう)およびポリイミド膜端部の盛り上がり(盛り上がりの評価ともいう)の評価を行った。
【0243】 ポリイミド膜の端部の直線性の評価は、印刷方向に対して右側端部のポリイミド膜を光学顕微鏡観察することで行った。より具体的には、光学顕微鏡の倍率が25倍で観察して得られたポリイミド膜画像の図1中の(1)と(2)の差、すなわち、図1中のAの長さを測定した。その際、すべてのポリイミド膜の画像は、同一倍率で得た。このAの長さが短いほど、ポリイミド膜の端部の直線性に優れるとした。
【0244】 ポリイミド膜の端部の盛り上がりの評価は、印刷方向に対して右側端部のポリイミド膜を光学顕微鏡観察することで行った。具体的には、光学顕微鏡の倍率が25で観察して得られたポリイミド膜画像の図2中のBの長さを測定した。その際、すべてのポリイミド膜画像は、同一倍率で得た。このBの長さが短いほど、ポリイミド膜の端部の盛り上がりに優れるとした。
【0245】 表6?表8に、実施例および比較例で得られた前記Aの長さおよびBの長さを示す。
【0246】 なお、本発明の実施例および比較例で得られた組成物は、液晶配向処理剤に用いることができる。そのため、本実施例および比較例で得られたポリイミド膜の塗膜端部の評価は、液晶配向膜の塗膜端部の評価ともした。
【0247】「電圧保持率(VHR)の評価(通常セル)」
本発明の実施例および比較例で得られた液晶配向処理剤を用いて、電圧保持率(VHR)の評価を行った。具体的には、これら液晶配向処理剤を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、純水およびIPA(イソプロピルアルコール)にて洗浄を行ったITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm))のITO面にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で3分間、熱循環型クリーンオーブンにて160℃で15分間加熱処理をして膜厚が100nmの液晶配向膜付きのITO基板を得た。このITO基板の塗膜面をロール径が120mmのラビング装置で、レーヨン布を用いて、ロール回転数:300rpm、ロール進行速度:20mm/sec、押し込み量:0.4mmの条件でラビング処理を行った。
【0248】 得られた液晶配向膜付きのITO基板を2枚用意し、液晶配向膜面を内側にして6μmのスペーサー挟んで組み合わせ、紫外線硬化型のシール剤を印刷した。次いで、他方の基板と液晶配向膜面が向き合うようにして貼り合わせた後、紫外線硬化型のシール剤を硬化させるための処理を行い、空セルを得た。具体的には、照度60mWのメタルハライドランプを用いて、310nm以下の波長をカットし、365nm換算で5J/cm^(2)の紫外線を照射し、その後、熱循環型クリーンオーブン中にて120℃で60分間加熱処理をして空セルを得た。この空セルに、減圧注入法によって、ネマチック液晶を注入して液晶セル(通常セル)を得た。
【0249】 なお、実施例2?実施例4の手法で得られた液晶配向処理剤(2)?液晶配向処理剤(4)、実施例12の手法で得られた液晶配向処理剤(12)、実施例19の手法で得られた液晶配向処理剤(19)、比較例1の手法で得られた液晶配向処理剤(21)および比較例2の手法で得られた液晶配向処理剤(22)を用いた液晶セルには、液晶にMLC-2003(メルク・ジャパン製)を用いた。
【0250】 また、前記以外の実施例および比較例で得られた液晶配向処理剤を用いた液晶セルには、液晶にMLC-6608(メルク・ジャパン製)を用いた。
【0251】 得られた液晶セルに、80℃の温度下で1Vの電圧を60μs印加し、50ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率(VHR)として計算した。なお、測定は、電圧保持率測定装置(VHR-1)(東陽テクニカ社製)を使用し、Voltage:±1V、Pulse Width:60μs、Flame Period:50msの設定で行った。
【0252】 さらに、VHRの測定が終わった液晶セルを、温度80℃の高温槽内に720時間保管し、再度、上記と同様の条件でVHRの測定(高温槽保管後ともいう)を行った。
【0253】 評価は、液晶セル作製直後のVHRの値に加え、液晶セル作製直後のVHRの値に対して、高温槽内保管後のVHRの値の低下が小さいものほど、良好とした。
【0254】 表9?表11に、実施例および比較例で得られた電圧保持率(VHR)の値を示す。
【0255】「液晶配向処理剤のインクジェット塗布性の評価」
本発明の実施例4の手法で得られた液晶配向処理剤(4)、実施例7の手法で得られた液晶配向処理剤(7)および実施例15の手法で得られた液晶配向処理剤(15)を用いて、インクジェット塗布性の評価を行った。具体的には、これら液晶配向処理剤を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、インクジェット塗布機に、HIS-200(日立プラントテクノロジー社製)を用いて、純水およびIPAにて洗浄を行ったITO(酸化インジウムスズ)蒸着基板上に、塗布面積が70×70mm、ノズルピッチが0.423mm、スキャンピッチが0.5mm、塗布速度が40mm/秒、塗布から仮乾燥までの時間が60秒、仮乾燥がホットプレート上にて70℃で5分間、本焼成が熱循環型クリーンオーブンにて160℃で15分間の条件で行った。
【0256】 得られた液晶配向膜付き基板をナトリウムランプの下で目視観察をして、液晶配向膜上のピンホールの数を数えたところ、いずれの実施例で得られた液晶配向膜とも、ピンホールは5個未満であった。また、いずれの実施例とも、塗膜均一性に優れた液晶配向膜が得られた。
【0257】 さらに、得られた液晶配向膜付きの基板を用いて、前記「電圧保持率(VHR)の評価(通常セル)」の条件で、VHR(通常セル)の評価を行った。
【0258】「液晶セルの作製および液晶配向性の評価(PSAセル)」
本発明の実施例6の手法で得られた液晶配向処理剤(6)、実施例9の手法で得られた液晶配向処理剤(9)および実施例14の手法で得られた液晶配向処理剤(14)を用いて、液晶セルの作製および液晶配向性の評価(PSAセル)を行った。具体的には、これら液晶配向処理剤を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、純水およびIPAにて洗浄した中心に10×10mmのパターン間隔20μmのITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)と中心に10×40mmのITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)のITO面にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で3分間、熱循環型クリーンオーブンにて160℃で15分間加熱処理をして膜厚が100nmの液晶配向膜付き基板を得た。
【0259】 これら液晶配向膜付き基板を、液晶配向膜面を内側にして、6μmのスペーサー挟んで組み合わせ、シール剤で周囲を接着して空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、ネマティック液晶(MLC-6608)(メルク・ジャパン社製)に、下記の式で示される重合性化合物(1)を、ネマティック液晶(MLC-6608)の100質量%に対して重合性化合物(1)を0.3質量%混合した液晶を注入し、注入口を封止して、液晶セルを得た。
【化60】
(省略)
【0260】 得られた液晶セルに、交流5Vの電圧を印加しながら、照度60mWのメタルハライドランプを用いて、350nm以下の波長をカットし、365nm換算で20J/cm^(2)の紫外線照射を行い、液晶の配向方向が制御された液晶セル(PSAセル)を得た。液晶セルに紫外線を照射している際の照射装置内の温度は、50℃であった。
【0261】 この液晶セルの紫外線照射前と紫外線照射後の液晶の応答速度を測定した。応答速度は、透過率90%から透過率10%までのT90→T10を測定した。
【0262】 いずれの実施例で得られたPSAセルは、紫外線照射前の液晶セルに比べて、紫外線照射後の液晶セルの応答速度が早くなったことから、液晶の配向方向が制御されたことを確認した。また、いずれの液晶セルとも、偏光顕微鏡(ECLIPSE E600WPOL)(ニコン社製)での観察により、液晶は均一に配向していることを確認した。
【0263】「液晶セルの作製および液晶配向性の評価(SC-PVAセル)」
本発明の実施例6の手法で得られた液晶配向処理剤(6)、実施例9の手法で得られた液晶配向処理剤(9)および実施例14の手法で得られた液晶配向処理剤(14)を用いて、液晶セルの作製および液晶配向性の評価(SC-PVAセル)を行った。具体的には、これら液晶配向処理剤に、前記で示される重合性化合物(1)を、液晶配向処理剤中の全重合体成分100質量%に対して2質量%加え、25℃で4時間攪拌した。その後、得られた液晶配向処理剤を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、純水およびIPAにて洗浄した中心に10×10mmのパターン間隔20μmのITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)と中心に10×40mmのITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)のITO面にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で3分間、熱循環型クリーンオーブンにて160℃で15分間加熱処理をして膜厚が100nmの液晶配向膜付き基板を得た。
【0264】 これら液晶配向膜付き基板を、液晶配向膜面を内側にして、6μmのスペーサー挟んで組み合わせ、シール剤で周囲を接着して空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、ネマティック液晶(MLC-6608)(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して、液晶セルを得た。
【0265】 得られた液晶セルに、交流5Vの電圧を印加しながら、照度60mWのメタルハライドランプを用いて、350nm以下の波長をカットし、365nm換算で20J/cm^(2)の紫外線照射を行い、液晶の配向方向が制御された液晶セル(SC-PVAセル)を得た。液晶セルに紫外線を照射している際の照射装置内の温度は、50℃であった。
【0266】 この液晶セルの紫外線照射前と紫外線照射後の液晶の応答速度を測定した。応答速度は、透過率90%から透過率10%までのT90→T10を測定した。
【0267】 いずれの実施例で得られたSC-PVAセルは、紫外線照射前の液晶セルに比べて、紫外線照射後の液晶セルの応答速度が早くなったことから、液晶の配向方向が制御されたことを確認した。また、いずれの液晶セルとも、偏光顕微鏡(ECLIPSE E600WPOL)(ニコン社製)での観察により、液晶は均一に配向していることを確認した。」

キ 「【0327】 本発明の組成物は、ポリイミド膜を形成する際に、はじきに伴うピンホールの発生を抑制することができ、その端部の塗膜性にも優れるポリイミド膜を得ることができる。その際、低温での焼成でも、ポリイミド膜が作製できる。
【0328】 また、本発明の組成物を液晶配向処理剤に用いると、はじきに伴うピンホールの発生を抑制することができ、その端部の塗膜性にも優れる液晶配向膜を得ることができる。さらには、液晶配向膜を作製する際の焼成が低温であっても、液晶表示素子における電気特性、特に電圧保持率(VHRともいう)に優れる液晶配向膜となる。よって、本発明の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜を有する液晶表示素子は、信頼性に優れたものとなり、大画面で高精細の液晶テレビや中小型のカーナビゲーションシステムやスマートフォンなどに好適に利用することができ、TN素子、STN素子、TFT液晶素子、特にVAモード、PSAモードおよびSC-PVAモードなどの垂直配向型の液晶表示素子に有用である。」

(2)甲1に記載された発明
甲1には、記載事項アの請求項1、18から、以下の発明が記載されていると認められる。
「(A)成分:下記の式[A]:
【化1】

(式中、X^(1)およびX^(2)は、それぞれ独立して、炭素数1?3のアルキル基を示し、X^(3)およびX^(4)は、それぞれ独立して、炭素数1?3のアルキル基を示す)で示される溶媒;および
(B)成分:ポリイミド前駆体およびポリイミドから選ばれる少なくとも1種の重合体
を含有する組成物から得られるポリイミド膜。」(以下「甲1発明」という。)

(3)本件訂正発明1について
ア 対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「(A)成分」の「式[A]・・・(略)・・・で示される溶媒」は、本件訂正発明1の一般式(1)で表される化合物の「R^(1)」が「H(水素原子)」、「R^(2)?R^(5)」が「C_(1)?C_(3)のアルキル基」である化合物であって、その構造式からみて「本件訂正発明1の「式(a-1)?(a-17)で表される化合物」を包含するから、本件訂正発明1の「式(a-1)?(a-17)で表される化合物の少なくとも1つを含」む、「一般式(1)で表される化合物(A)を少なくとも含有する溶剤」に相当する。
さらに、甲1の摘記ウ(【0061】、【0064】)に記載されたように、甲1発明の(B)成分の「ポリイミド前駆体」は、「ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸成分とを反応させて得られる」ものであり、一般的に「ポリイミド前駆体」と「ポリアミック酸」が同義であることは本願出願時に良く知られた事項であるから、本件訂正発明1の「テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸」に相当する。

そうすると、本件訂正発明1と甲1発明は、
「下記一般式(1)で表される化合物(A)を少なくとも含有する溶剤中でテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸溶液から形成されるポリイミド膜であって、前記化合物(A)が下記式(a-1)?(a-17)で表される化合物の少なくとも1つを含む、ポリイミド膜。
【化1】

(式中、R^(1)は、水素原子又はヒドロキシル基を表し、R^(2)及びR^(3)は、独立に水素原子又はC_(1)?C_(3)のアルキル基を表し、R^(4)及びR^(5)は、独立にC_(1)?C_(3)のアルキル基を表す。)
【化2】



の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
本件訂正発明1では、「ポリイミド膜の製造方法」との特定があるのに対し、甲1発明は「ポリイミド膜」である点。

<相違点2>
本件訂正発明1では、ポリアミック酸溶液について「ポリアミック酸溶液(但し、液晶配向剤用を除く。)」とあるのに対し、甲1発明はそのような特定がない点。

<相違点3>
本件訂正発明1では、「前記ポリイミド前駆体膜の膜厚が0.8?350μmである」とあるのに対し、甲1発明はそのような特定がない点。

<相違点4>
本件訂正発明1では、ポリアミック酸溶液を「基体上に塗布して形成されるポリイミド前駆体膜を120?350℃で加熱することにより前記基体上にポリイミド膜を形成する工程、及び、
前記ポリイミド膜を前記基体から剥離する工程を含むポリイミド膜の製造方法」とあるのに対し、甲1発明には、「ポリイミド前駆体を含有する組成物」から得られるとあるものの、「基体上に塗布する」こと、及び「120?350℃で加熱する」ことについては特定がない点、及び甲1発明には「ポリイミド膜」とあるものの、「基体上にポリイミド膜を形成する工程」、及び「前記ポリイミド膜を前記基体から剥離する工程」については特定がない点。

イ 判断
事案に鑑み、上記相違点1、4から検討する。
相違点1について、甲1発明は、ポリイミド膜に関するものであるが、ポリイミド膜を得るにはポリイミド膜の製造方法を経るのは自明であるから、本件訂正発明1の「ポリイミド膜の製造方法」を満たすと認められる。
そして、相違点4のうち、「基体上に塗布する」こと、「120?350℃で加熱する」こと、「基体上にポリイミド膜を形成する工程」について検討する。甲1の摘記オには「本発明の組成物は、基板上に塗布、焼成した後、ポリイミド膜として用いることができる」(【0168】)と記載されていることから、甲1発明のポリイミド膜は、ポリイミド前駆体を含む組成物を基板上に塗布して基板上にポリイミド前駆体膜を形成したものと認められ、さらに、甲1の「焼成」とは一般的に「加熱」を含むものであるから、本件発明1のポリアミック酸溶液を「基体上に塗布して形成されるポリイミド前駆体膜」を「加熱する工程」についても満たすものと認められる。
また、甲1の摘記オには「組成物を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブンまたはIR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により50?300℃、好ましくは80?250℃で溶媒を蒸発させてポリイミド膜とすることができる。」(【0169】)と記載されており、本件発明1のポリアミック酸溶液を基体上に塗布して形成されるポリイミド前駆体膜を「120?350℃で加熱する工程」と加熱の温度範囲が「120?300℃の範囲」で重複する範囲を包含する。
そうすると、甲1発明は、本件訂正発明1の「基体上に塗布して形成されるポリイミド前駆体膜を120?300℃で加熱することにより前記基体上にポリイミド膜を形成する工程」についても満たすものと認められる。

しかしながら、甲1発明は、相違点4のうち、「前記ポリイミド膜を前記基体から剥離する工程」については特定していない。
そして、甲1には、「本発明の目的は、ポリイミド膜を形成する際に、はじきに伴うピンホールの発生を抑制することができ、その端部の塗膜性にも優れる組成物を提供することである。その際、低温での焼成でも、ポリイミド膜が作製できる組成物となることも目的とする」(【0009】)こと、
組成物の塗布方法としてディップ法などが挙げられること(【0168】)、実施例の組成物及び液晶配向処理剤の評価方法において、摘記カの記載からみて、基板に組成物又は液晶配向処理剤を塗布した後に焼成してポリイミド膜を形成したものを用いること、有用な用途として本発明の液晶配向処理剤から得られた液晶配向膜を有する液晶表示素子が挙げられること(【0328】)が記載されている。
そうすると、甲1には、ポリイミド膜の形成に際し、ピンホールの発生が抑制された塗膜性に優れる組成物を提供するものであって、組成物の塗布方法についても一般的にディップ法などの塗膜を形成するものが挙げられ、用途としても基板に組成物又は液晶配向処理剤を塗布した後に焼成してポリイミド膜を形成したものを用いる液晶配向素子であること、すなわち基板上にポリイミド膜を形成する工程は記載されているといえるが、これらの記載からは、ポリイミド膜を基板から剥離することは明記されているとはいえず、また、ポリイミド膜を基板から剥離することが予定されているともいえない。
以上によれば、相違点1は実質的な相違点ではないと認められるものの、相違点4は、実質的な相違点である。

したがって、相違点2、3については検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明と同一であるとはいえない。

ウ 小括
以上のとおり、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明と同一であるとはいえない。

(4)本件訂正発明2、3について
本件訂正発明2、3は、本件訂正発明1を直接または間接的に引用するものであるが、上記(3)で述べたとおり、本件訂正発明1が甲1に記載された発明と同一であるとはいえない以上、本件訂正発明2、3についても同様に、甲1に記載された発明と同一であるとはいえない。

(5)まとめ
そうすると、取消理由1は理由がなく、取消理由1と申立理由1とは上記第4で述べたとおり同旨であるから、申立理由1についても理由がない。
よって、本件訂正発明1?3に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。

第6 むすび
以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1?3に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件特許の請求項1?3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物(A)を少なくとも含有する溶剤中でテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させて得られるポリアミック酸溶液(但し、液晶配向剤用を除く。)を基体上に塗布して形成されるポリイミド前駆体膜を120?350℃で加熱することにより前記基体上にポリイミド膜を形成する工程、及び、
前記ポリイミド膜を前記基体から剥離する工程を含むポリイミド膜の製造方法であって、
前記化合物(A)が下記式(a-1)?(a-17)で表される化合物の少なくとも1つを含み、
前記ポリイミド前駆体膜の膜厚が0.8?350μmであるポリイミド膜の製造方法。
【化1】

(式中、R^(1)は、水素原子又はヒドロキシル基を表し、R^(2)及びR^(3)は、独立に水素原子又はC_(1)?C_(3)のアルキル基を表し、R^(4)及びR^(5)は、独立にC_(1)?C_(3)のアルキル基を表す。)
【化2】

【請求項2】
前記化合物(A)がN,N,2-トリメチルプロピオンアミドである請求項1記載のポリイミド膜の製造方法。
【請求項3】
前記化合物(A)の量が、前記テトラカルボン酸二無水物成分の量と前記ジアミン成分の量との合計100質量部に対して、20?2000質量部である請求項1又は2記載のポリイミド膜の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-02-12 
出願番号 特願2014-28644(P2014-28644)
審決分類 P 1 651・ 161- YAA (C08G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 内田 靖恵  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 佐藤 健史
大▲わき▼ 弘子
登録日 2018-10-26 
登録番号 特許第6422657号(P6422657)
権利者 東京応化工業株式会社
発明の名称 ポリイミド樹脂の製造方法、ポリイミド膜の製造方法、ポリアミック酸溶液の製造方法、ポリイミド膜、及びポリアミック酸溶液  
代理人 正林 真之  
代理人 正林 真之  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ